説明

自動車の回生制動システム

【課題】制動制御の正確度を向上させることができ、構造が簡単で、製造費が安作動効率を向上させることができる自動車の回生制動システムを提供する。
【解決手段】本発明の実施例による自動車の回生制動システムは、油圧で作動する自動車の回生制動システムにおいて、運転者の操作によって直接的に油圧を生成する第1シリンダー、自動車の制動に必要な油圧を生成して、ホイールに伝達する第2シリンダー、運転者が要求する制動力を認識して、油圧を生成する油圧生成器、及び前記第1シリンダーで生成された油圧を前記第2シリンダーに選択的に供給するように、前記第1シリンダーと前記第2シリンダーとの間に挿入される第1バルブ、を含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の回生制動システムに係り、より詳しくは、制御の正確度を向上させることができる自動車の回生制動システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車の制動は、走行する自動車の運動エネルギーを他の形態のエネルギーに転換することによって行われる。
このような自動車の制動方法のうち、自動車の運動エネルギーによって別の発電機を駆動したり、電動機が発電機として作動して電気エネルギーを発生させ、この時に発生した電気エネルギーでバッテリーを充電する技術を回生制動という。即ち、自動車の運動エネルギーを電気エネルギーに転換することによって制動が行われ、このような回生制動は、主に電気自動車の分野で幅広く使用されている。
【0003】
一方、回生制動で運転者が要求する制動力は、ホイールを拘束する油圧制動力及びバッテリーを充電して発生する回生制動力の和で計算される。即ち、回生制動システムは、運転者が要求する制動力を油圧制動力及び回生制動力に配分して発生させる。ここで、油圧制動力に相当する油圧をマスターシリンダーで発生させる。しかし、運転者が要求する目標油圧制動力は、マスターシリンダーの実際の油圧と同一ではなく、その差が大きいほど、制動制御の正確度が低くなる。
例えば、一般的なマスターシリンダーに使用されるピストンにはシール(seal)が備えられる。ここで、シールの抵抗は、ピストンの運動方向とは反対方向、即ち、要求された油圧制動力の方向とは反対方向に作用する。したがって、シールの抵抗が大きいほど、要求された油圧制動力とマスターシリンダーの実際の油圧との差が大きくなり、マスターシリンダーに多数のピストンを使用すると、シールの個数を減らしたり、シールの抵抗を小さくするのに限界がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−301564号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、本発明の目的は、制動制御の正確度を向上させることができる自動車の回生制動システムを提供することにある。
また、本発明の他の目的は、構造を簡単にして、製造費用を節減して、作動効率を向上させることができる自動車の回生制動システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的を達成するための本発明の実施例による自動車の回生制動システムは、油圧で作動する自動車の回生制動システムにおいて、運転者の操作によって直接的に油圧を生成する第1シリンダー、自動車の制動に必要な油圧を生成して、ホイールに伝達する第2シリンダー、運転者が要求する制動力を認識して、油圧を生成する油圧生成器、及び前記第1シリンダーで生成された油圧を前記第2シリンダーに選択的に供給するように、前記第1シリンダーと前記第2シリンダーとの間に挿入される第1バルブ、を含むことを特徴とする。
【0007】
前記第2シリンダーは、前記油圧生成器から油圧の伝達を受け、あるいは前記第1シリンダーから油圧の伝達を受けて、自動車の制動に必要な油圧を生成することを特徴とする。
【0008】
前記第1シリンダーは、第1ピストンを含み、前記第2シリンダーは、第2ピストンを含み、前記第2シリンダーは、弾性部材をさらに含むことを特徴とする。
【0009】
前記第1ピストンの一端は、運転者の操作によって動くプッシュロッドと接触し、前記プッシュロッドは、運転者の操作によって前記第1ピストンの一端を押し、前記第1ピストンは、シリンダーの長さ方向に移動して、流体に圧力を加えることによって、油圧を生成することを特徴とする。
【0010】
前記第2シリンダーの内部は、シールが備えられた前記第2ピストンを間において第1圧力室及び第2圧力室に分けられることを特徴とする。
【0011】
前記弾性部材は、前記第2圧力室に備えられて、第2ピストンを弾性的に支持することを特徴とする。
【0012】
前記第1圧力室及び前記第2圧力室には、互いに異なるホイールに連結される油圧ラインが各々備えられることを特徴とする。
【0013】
前記第1シリンダーは、第1油圧ラインによって前記第1圧力室に連結され、前記第1油圧ライン上には、前記第1バルブが備えられることを特徴とする。
【0014】
前記第1油圧ラインは、前記第1バルブと前記第1シリンダーとの間で分岐されて、反力生成器と連結され、前記分岐された油圧ラインには、第2バルブが備えられることを特徴とする。
【0015】
前記第1バルブが閉鎖されて前記第2バルブが開放されると、前記反力生成器は、前記プッシュロッドが前記第1ピストンを押す力に対する反力を生成することを特徴とする。
【0016】
前記第1バルブが開放されると、前記第1圧力室に油圧が伝達され、前記第1圧力室は、第2油圧ラインによって油圧生成器と連結されることを特徴とする。
【0017】
前記油圧生成器は、前記第1圧力室に油圧を伝達し、あるいは前記第1圧力室の油圧を解除し、前記油圧生成器は、第3油圧ラインによってリザーバタンクと連結されることを特徴とする。
【0018】
第4油圧ラインの一端は、リザーバタンクに連結され、その他端は、分岐されて、前記第1、2シリンダーに各々連結されることを特徴とする。
【0019】
前記第1圧力室及び前記第2圧力室が互いに独立的に制御されるように、前記第2圧力室は、第5油圧ラインによって前記油圧生成器と連結されることを特徴とする。
【0020】
前記油圧生成器は、前記第2圧力室に油圧を伝達し、あるいは前記第2圧力室の油圧を解除することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明による自動車の回生制動システムは、運転者が要求する油圧制動力とマスターシリンダーで発生する実際の油圧との差を減少させ、制動制御の正確度を向上させることができる。
また、自動車の回生制動システムの構成が簡単になるため、製造費用を節減することができる。
さらに、プッシュロッドが備えられたシリンダーとマスターシリンダーが油圧ラインによって連結されることにより、自動車の回生制動システムの構成において多様な配置が可能になり、空間活用度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施例による自動車の回生制動システムの概略図である。
【図2】本発明の他の実施例による自動車の回生制動システムの概略図である。
【図3】図1の油圧生成器の詳細図である。
【図4】図2の油圧生成器の詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の好ましい実施例を添付した図面を参照して詳細に説明する。
本発明の実施例による自動車の回生制動システムは、マスターシリンダーの内部に備えられるピストンの数を減らして、2つのシリンダーを並列に配置する。
図1は本発明の実施例による自動車の回生制動システムの概略図である。
図1に示すように、本発明の実施例による自動車の回生制動システムは、第1シリンダー100、第2シリンダー200、反力生成器300、油圧生成器400、リザーバタンク500、及び多数の油圧ラインを含む。
第1シリンダー100は、運転者の操作によって油圧を生成する。
また、第1シリンダー100には、第1ピストン110及びプッシュロッド120が備えられる。
【0024】
第1ピストン110は、第1シリンダー100の内部に備えられ、プッシュロッド120は、その一端が運転者の操作するペダル(図示せず)などに連結され、その他端が第1ピストン110に接触して備えられる。したがって、運転者がペダルなどを操作すると、プッシュロッド120が動いて、第1ピストン110を押し、ピストンが第1シリンダー100内に満たされた流体を加圧して、油圧が生成される。
本明細書では、プッシュロッド120を動かす手段として、運転者が操作するペダルを記載したが、他の手段によってもプッシュロッド120の動きが具現される。
【0025】
第2シリンダー200は、油圧生成器400から油圧の伝達を受けて、制動に必要な油圧を生成する。前記油圧生成器400と第2シリンダー200との間には、アキュムレーター(図示せず)が配置される。
ここで、第2シリンダー200は、運転者が要求する制動力を油圧によって生成するマスターシリンダーである。また、前記アキュムレーターは、油圧を蓄積しておいて、必要時にこれを放出する装置である。
例えば、運転者がペダルを踏むと、ペダルストロークセンサー(図示せず)がペダルの移動距離を測定して、油圧生成器400に電気的な信号を伝達する。また、信号の伝達を受けた油圧生成器400は、アキュムレーターを通して運転者が要求する油圧制動力に相当する油圧を第2シリンダー200に伝達する。ここで、運転者が要求する油圧制動力は、前記のように、運転者の要求制動力から回生制動力を引いた制動力である。
【0026】
油圧制動システムに適用されるアキュムレーターは、当該技術分野で通常の知識を有する者に自明であるので、その詳細な説明は省略する。ただし、本明細書で、アキュムレーターは、高圧タンク430(図3または図4参照)である。
第2シリンダー200の内部には、第2ピストン210が備えられる。また、第2シリンダー200は、第2ピストン210によって第1圧力室220及び第2圧力室230に分けられる。
第2ピストン210の外周面には、シール240が備えられて、第1圧力室220及び第2圧力室230の間の直接的な流体の流れを防止する。
第1圧力室220は、アキュムレーターから油圧の伝達を受ける。また、第1圧力室220では、制動に必要な油圧が生成されて、ホイール610に伝達される。さらに、第1圧力室220で生成された油圧によって第2ピストン210が押されて、第2圧力室230に満たされた流体を加圧することによって、第2圧力室230に油圧が生成される。
【0027】
第2圧力室230は、ホイール600に油圧を伝達する。また、第2圧力室230には、第2ピストン210を弾性的に支持するように、弾性部材が備えられる。弾性部材は、第1圧力室220の油圧が減少すると、第2ピストン210を元の位置に移動させる。
図1及び図2では弾性部材にスプリングが使用されたことを例示したが、これに限定されない。弾性部材としては、第2ピストン210に復原力を提供するいかなる手段も使用することができる。
ホイール600、610に伝達された油圧は、ホイールシリンダー(図示せず)を作動させて、自動車の制動を行う。ここで、第2圧力室に連結されたホイール600及び第1圧力室に連結されたホイール610は、互いに異なるホイールを示す。例えば、ホイール600は前輪左側及び後輪右側ホイールであり、ホイール610は前輪右側及び後輪左側ホイールであるが、その反対であってもよい。また、ホイール600は前輪左側及び右側ホイールであり、ホイール610は後輪右側及び左側ホイールであるが、その反対であってもよい。
【0028】
油圧生成器400は、自動車の回生制動システムの全体的な油圧及び流体の流れを制御する装置である。また、油圧生成器400は、自動車の要求制動力を演算し、要求制動力により回生制動力及び油圧制動力を演算することによって、油圧及び流体の流れを制御する。
リザーバタンク500は、圧力及び温度などの変化によって流体の体積が変化する場合に備えた装置である。即ち、リザーバタンク500は、自動車の回生制動システム内に流体が不足すれば、流体をシステムに補充し、システム内に流体が過多であれば、流体を収容する機能を行う。
【0029】
油圧ラインは、第1油圧ライン710、第2油圧ライン720、第3油圧ライン730、及び第4油圧ライン740を含み、ホイール600、610と圧力室220、230を連結する油圧ラインをさらに含む。
第1油圧ライン710は、第1シリンダー100と第2シリンダー200の第1圧力室220を連結する。また、第1油圧ライン710上には、第1バルブ250が備えられる。第1バルブ250は、選択的に開閉されて、第1圧力室220に油圧を伝達したり遮断する機能を行う。
【0030】
一方、第1油圧ライン710は、第1シリンダー100と第1バルブ250との間で分岐されて、反力生成器300と連結される。また、分岐された第1油圧ライン710上には、選択的に開閉可能な第2バルブ350が備えられる。さらに、反力生成器300には、ピストン及び弾性部材が備えられて、反力生成器300に伝達される油圧に対する反力が生成される。
詳細に説明すれば、プッシュロッド120が動くと同時に第1ピストン110が第1シリンダー100内の流体を加圧して、油圧が生成される。この時、第1バルブ250が閉鎖されて第2バルブ350が開放されると、油圧が反力生成器300に伝達されて、油圧に対する反力が生成される。結果的に、反力は、運転者が行うペダルなどの操作に対する反力である。
【0031】
反力生成器300で反力が生成される方法は、これに限定されず、当該技術分野で通常の知識を有する者によって多様に具現される。
一方、アキュムレーターから伝達される油圧による第1圧力室220内の油圧生成が容易でない場合、第1シリンダー100で生成された油圧が第1圧力室220に伝達される。このような作動は、第1バルブ250が開放されることによって行われる。即ち、回生制動システムが正常に作動する場合、第1バルブ250は常に閉鎖されており、正常に作動しない場合、第1バルブ250は開放される。
【0032】
第2油圧ライン720は、第1圧力室220及び油圧生成器400を連結する。
第1圧力室220の油圧を減圧する場合、第1圧力室220の油圧を油圧生成器400に伝達して減圧を行う。また、第1圧力室220の油圧を昇圧する場合、第1圧力室220は、油圧生成器400から油圧の伝達を受けて昇圧を行う。
第3油圧ライン730は、油圧生成器400とリザーバタンク500を連結する。即ち、第2油圧ライン720を通じて油圧生成器400に流入した流体は、第3油圧ライン730を通じて放出されて、リザーバタンク500に保存され、リザーバタンク500は、状況に応じて回生制動システム内の流体を補充する。
【0033】
第4油圧ライン740は、リザーバタンク500と第1シリンダー100を連結する。また、第4油圧ライン740は、リザーバタンク500と第1シリンダー100との間で分岐されて、第2シリンダー200の第2圧力室230と連結される。即ち、リザーバタンク500に保存された流体は、第1シリンダー100及び第2圧力室230に補充される。
ホイール600、610と圧力室220、230を連結する油圧ラインは、前記のように、第1圧力室220及び第2圧力室230を互いに異なるホイール600、610に各々連結する。
【0034】
図2は本発明の他の実施例による自動車の回生制動システムの概略図である。
説明の便宜上、同一の構成要素に対しては同一の図面符号を付け、これに対する説明は省略する。
図2に示すように、本発明の他の実施例による自動車の回生制動システムは、第5油圧ライン750をさらに含む。
第5油圧ライン750は、第2シリンダー200の第2圧力室230及び油圧生成器400を連結する。したがって、第1圧力室220及び第2圧力室230の油圧が油圧生成器400によって独立的に制御される。
【0035】
図3は図1の油圧生成器の詳細図である。
図3に示すように、本発明の実施例による油圧生成器400は、ポンプ410、モータ420、高圧タンク430、及び圧力調節装置440を含む。
ポンプ410及びモータ420は、油圧生成器400内に各々一つまたはそれ以上備えられる。
ポンプ410は、モータ420によって流体をポンピングして、回生制動システム内の流体の流れを円滑にする。
【0036】
高圧タンク430は、油圧生成器400の内部の油圧を設定圧力以上に維持するように、油圧生成器400内に備えられる。即ち、高圧タンク430は、その内部に流体を保存し、流体が保存された空間は、高圧タンク430の外部の油圧ラインと連結される。また、高圧タンク430は、その内部に保存された流体を加圧することによって、油圧を設定圧力以上の高圧に維持することができる。したがって、油圧生成器400の内部の流体が外部に放出されなければならない場合に、流体の流れを円滑にする。
圧力調節装置440は、複数の圧力調節バルブを含み、回生制動システムの油圧を調節する。
【0037】
図3及び図4では、説明の便宜上、4つの圧力調節バルブ442、444、446、448を示したが、これに限定されない。
油圧生成器400に連結された第2油圧ライン720は、圧力調節装置440の内部で4つに分岐されて、4つの圧力調節バルブ442、444、446、448に各々連結される。また、4つの圧力調節バルブ442、444、446、448は、選択的に開閉されて、第2シリンダー200及び回生制動システムの全体的な油圧を調節する。
【0038】
第1、2圧力調節バルブ442、444が開放されると、油圧生成器400の内部の流体が第2油圧ライン720を通じて油圧生成器400の外部に放出される。また、放出された流体は、第2油圧ライン720を通じて第1圧力室220に流入する。したがって、第1圧力室220の油圧は増加し、第2ピストン210の作動によって第2圧力室230の油圧も増加して、第1圧力室220の油圧と同一になる。
第1、2圧力調節バルブ442、444は、状況に応じて二つとも開放されるか、あるいは、二つのうちの一つだけが開放される。
【0039】
第3、4圧力調節バルブ446、448が開放されると、油圧生成器400の外部の流体が第2油圧ライン720を通じて油圧生成器400の内部に流入する。また、流入した流体は、第3、4圧力調節バルブ446、448を経由して、その一部はポンプ410に流入し、他の一部は第3油圧ライン730を通じて油圧生成器400の外部に放出される。したがって、第2油圧ライン720によって油圧生成器400と連結された第1圧力室220の油圧は低下し、第2ピストン210の作動によって第2圧力室230の油圧も低下して、第1圧力室220の油圧と同一になる。
第3、4圧力調節バルブ446、448は、状況に応じて二つとも開放されるか、二つのうちの一つだけが開放される。
【0040】
図4は図2の油圧生成器の詳細図である。
図4に示すように、本発明の他の実施例による油圧生成器400には、第5油圧ライン750がさらに連結される。また、第5油圧ライン750によって第1圧力室220及び第2圧力室230の油圧を独立に制御することができる。したがって、より正確な油圧制御を実現することができる。
油圧生成器400に連結された第2油圧ライン720は、圧力調節装置440の内部で2つに分岐されて、第1、2圧力調節バルブ442、444の1つ及び第3、4圧力調節バルブ446、448の1つに各々連結される。また、油圧生成器400に連結された第5油圧ライン750は、圧力調節装置440の内部で2つに分岐されて、4つの圧力調節バルブ442、444、446、448のうちの第2油圧ライン720と連結されない2つと連結される。
【0041】
前記4つの圧力調節バルブ442、444、446、448は、選択的に開閉されて、第2シリンダー200及び回生制動システムの全体的な油圧を調節する。
第1、2圧力調節バルブ442、444が開放されると、油圧生成器400の内部の流体が第2油圧ライン720及び第5油圧ライン750を通じて油圧生成器400の外部に放出される。また、第2油圧ライン720を通じて放出された流体は、第1圧力室220に流入し、第5油圧ライン750を通じて放出された流体は、第2圧力室230に流入する。したがって、第1圧力室220及び第2圧力室の油圧は増加し、流動的な第2ピストン210の作動によって第1圧力室220及び第2圧力室の油圧は同一になる。
【0042】
第3、4圧力調節バルブ446、448が開放されると、油圧生成器400の外部の流体が第2油圧ライン720及び第5油圧ライン750を通じて油圧生成器400の内部に流入する。また、流入した流体は、第3、4圧力調節バルブ446、448を経由して、その一部はポンプ410に流入し、他の一部は第3油圧ライン730を通じて油圧生成器400の外部に放出される。したがって、第2油圧ライン720によって油圧生成器400と連結された第1圧力室220の油圧は低下し、第5油圧ライン750よって油圧生成器400と連結された第2圧力室230の油圧も低下する。また、第2ピストン210の作動によって第1圧力室220及び第2圧力室230の油圧は同一になる。
第1、2、3、4圧力調節バルブ442、444は、状況に応じて独立に開放または閉鎖される。
【0043】
前記のように、本発明の実施例による自動車の回生制動システムは、運転者が要求する油圧制動力とマスターシリンダーで発生する実際の油圧との差を減少させ、制動制御の正確度を向上させることができる。
また、自動車の回生制動システムの構成が簡単になり、生産費用を節減することができる。
さらに、プッシュロッドが備えられたシリンダーとマスターシリンダーが油圧ラインによって連結されることによって、自動車の回生制動システムの構成において多様な配置が可能になり、空間活用度を向上させることができる。
【0044】
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明は前記実施例に限定されず、本発明の実施例から当該発明が属する技術分野における通常の知識を有する者によって容易に変更されて均等であると認められる範囲の全ての変更を含む。
【符号の説明】
【0045】
100 第1シリンダー
110 第1ピストン
120 プッシュロッド
200 第2シリンダー
210 第2ピストン
220 第1圧力室
230 第2圧力室
240 シール
250 第1バルブ
300 反力生成器
350 第2バルブ
400 油圧生成器
410 ポンプ
420 モータ
430 高圧タンク
440 圧力調節装置
442 第1圧力調節バルブ
444 第2圧力調節バルブ
446 第3圧力調節バルブ
448 第4圧力調節バルブ
500 リザーバタンク
600、610:ホイール
710 第1油圧ライン
720 第2油圧ライン
730 第3油圧ライン
740 第4油圧ライン
750 第5油圧ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
油圧で作動する自動車の回生制動システムにおいて、
運転者の操作によって直接的に油圧を生成する第1シリンダー、
自動車の制動に必要な油圧を生成して、ホイールに伝達する第2シリンダー、
運転者が要求する制動力を認識して、油圧を生成する油圧生成器、及び
前記第1シリンダーで生成された油圧を前記第2シリンダーに選択的に供給するように、前記第1シリンダーと前記第2シリンダーとの間に挿入される第1バルブ、
を含むことを特徴とする自動車の回生制動システム。
【請求項2】
前記第2シリンダーは、前記油圧生成器から油圧の伝達を受け、あるいは前記第1シリンダーから油圧の伝達を受けて、自動車の制動に必要な油圧を生成することを特徴とする請求項1に記載の自動車の回生制動システム。
【請求項3】
前記第1シリンダーは、第1ピストンを含み、前記第2シリンダーは、第2ピストンを含み、
前記第2シリンダーは、弾性部材をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の自動車の回生制動システム。
【請求項4】
前記第1ピストンの一端は、運転者の操作によって動くプッシュロッドと接触することを特徴とする請求項3に記載の自動車の回生制動システム。
【請求項5】
前記プッシュロッドは、運転者の操作によって前記第1ピストンの一端を押し、前記第1ピストンは、シリンダーの長さ方向に移動して、流体に圧力を加えることによって、油圧を生成することを特徴とする請求項4に記載の自動車の回生制動システム。
【請求項6】
前記第2シリンダーの内部は、シールが備えられた前記第2ピストンを間において第1圧力室及び第2圧力室に分けられることを特徴とする請求項3に記載の自動車の回生制動システム。
【請求項7】
前記弾性部材は、前記第2圧力室に備えられて、第2ピストンを弾性的に支持することを特徴とする請求項6に記載の自動車の回生制動システム。
【請求項8】
前記第1圧力室及び前記第2圧力室には、互いに異なるホイールに連結される油圧ラインが各々備えられることを特徴とする請求項6に記載の自動車の回生制動システム。
【請求項9】
前記第1シリンダーは、第1油圧ラインによって前記第1圧力室に連結され、前記第1油圧ライン上には、前記第1バルブが備えられることを特徴とする請求項6に記載の自動車の回生制動システム。
【請求項10】
前記第1油圧ラインは、前記第1バルブと前記第1シリンダーとの間で分岐されて、反力生成器と連結され、
前記分岐された油圧ラインには、第2バルブが備えられることを特徴とする請求項9に記載の自動車の回生制動システム。
【請求項11】
前記第1バルブが閉鎖されて前記第2バルブが開放されると、
前記反力生成器は、前記プッシュロッドが前記第1ピストンを押す力に対する反力を生成することを特徴とする請求項10に記載の自動車の回生制動システム。
【請求項12】
前記第1バルブが開放されると、
前記第1圧力室に油圧が伝達されることを特徴とする請求項10に記載の自動車の回生制動システム。
【請求項13】
前記第1圧力室は、第2油圧ラインによって油圧生成器と連結されることを特徴とする請求項12に記載の自動車の回生制動システム。
【請求項14】
前記油圧生成器は、
前記第1圧力室に油圧を伝達し、あるいは前記第1圧力室の油圧を解除することを特徴とする請求項13に記載の自動車の回生制動システム。
【請求項15】
前記油圧生成器は、第3油圧ラインによってリザーバタンクと連結されることを特徴とする請求項13に記載の自動車の回生制動システム。
【請求項16】
第4油圧ラインの一端は、リザーバタンクに連結され、
その他端は、分岐されて、前記第1、2シリンダーに各々連結されることを特徴とする請求項13に記載の自動車の回生制動システム。
【請求項17】
前記第1圧力室及び前記第2圧力室が互いに独立的に制御されるように、前記第2圧力室は、第5油圧ラインによって前記油圧生成器と連結されることを特徴とする請求項13に記載の自動車の回生制動システム。
【請求項18】
前記油圧生成器は、
前記第2圧力室に油圧を伝達し、あるいは前記第2圧力室の油圧を解除することを特徴とする請求項17に記載の自動車の回生制動システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−18475(P2013−18475A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255938(P2011−255938)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(591251636)現代自動車株式会社 (1,064)
【Fターム(参考)】