説明

自動車の外装加飾部品

【課題】ハウジングとレンズ部材とからなり、レンズ意匠裏面に突部を設けることにより、意匠性を向上させた自動車の外装加飾部品を提供することを目的とする。
【解決手段】自動車の外装加飾部品10は、ハウジング20と車両前方に離間して配置されたレンズ部材30とから構成されており、レンズ意匠裏面33に外装加飾部品10に沿って水平方向に長尺な突部34を設けることで、ハウジング意匠表面22に、突部34の形状に応じた陰影を映りこませることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の外表面に取り付ける意匠性向上のため取り付けるハウジングと、ハウジングに対向した前方に配置されるレンズ部材を用いた外装加飾部品にかかる。
【背景技術】
【0002】
現在、自動車の外装を加飾するもので、例えば自動車前方に取り付けられるラジエータグリル周辺の意匠性を向上させるために、ラジエータグリルの形状や、メッキ、スパッタ等を施した光輝性部材の前方に透明なカバーを用いたものが使用されている(特許文献1)。
【0003】
特許文献1に記載の構造においては、カバーと光輝性部材と間に空間を形成することにより奥行感をだしている。さらには、カバーを前方へ凸形状に、光輝性部材全体の形状を後方に凸形状に湾曲させることにより、歩行者への反射光の見え方などを向上させたものも使用されている。
【0004】
しかし、前述した構成において、光輝性部材が簡単な構成であって、車体との取り付け構造を必要としない場合、光輝性表面を加飾する蒸着、スパッタ、メッキに影響をあたえるような形状とはなりにくいが、光輝性部材が車両に取り付けるための構造を有している場合になど形状が複雑になり、蒸着、スパッタ、メッキを施しても、車体側への取り付けの際の変形により、光輝性表面にひび割れなどが生じる可能性があり、適切な形状や成形条件を設定するために、多大な労力を要していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−036672号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の従来技術の課題を踏まえ、意匠性を向上させるとともに、意匠面の加飾不良を低減する自動車の外装装飾部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0008】
[適用例1]
適用例1の自動車の外装加飾部品においては、自動車の表面に外装として取り付けられる外装加飾部材であって、自動車の外方に向け平滑なハウジング意匠表面を有するハウジング意匠部を有し、自動車の外面に直接取り付けられるハウジングと、ハウジング意匠表面に対向しているレンズ意匠裏面にハウジングに向けて突設している突部を有し、ハウジングを覆うようにハウジングの前方に取り付けられている透明または半透明のレンズ部材と、を有することを特徴とする。
【0009】
適用例1の自動車の外装加飾部品によれば、レンズ意匠裏面にハウジングに向けて突部を突設させることにより、レンズへの入射した光が屈折し、突部の形状が光の陰影により映りこむ。平滑なものよりも複雑な意匠を表現することができ、意匠性を向上できる。また、突部の形状が、ハウジング意匠表面に映りこむなどして、より奥行き感のある見栄えを実現することができる。
【0010】
また、ハウジング意匠部に突部を設けず略平面であるため、ハウジングの車両への取付部が存在した場合の、ハウジング意匠部に設けた突部による成形によるひけなどが生じるようなことがなく、変形による取付部へ影響を与えない。さらに、変形が生じにくいため、ハウジング意匠表面も蒸着、スパッタおよびメッキを施しても、特に表面が光輝性のものになった場合には、ひび割れなどの発生を防止することできる。
【0011】
[適用例2、3]
適用例2として、レンズ意匠裏面をメッキや塗装など加飾することで意匠性を向上することができる。さらには、適用例3として、ハウジング意匠表面にメッキや塗装など加飾することができる。レンズ意匠裏面またはハウジング意匠表面、もしくは両方に加飾することで多彩な意匠を表現することができる。また、加飾した面は、レンズ部材によって外面に出ていないので、外部環境やピッキングなどによるはがれや加飾の劣化や防ぐことができる。
【0012】
[適用例4]
レンズ意匠裏面の突部を、垂直断面における略水平軸で上下に非対称の形状にすることで、より光の屈折が通常の凸レンズ構造とは違い、ハウジング意匠表面への映りこみが一律でない緩やかな濃淡の変化のある意匠を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明の自動車の外装加飾部品の正面図である。
【図2】図2は、本発明の自動車の外装加飾部品の図1に示すA−A断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、自動車の外装加飾部品の一実施例を説明する。図1は、本発明の自動車の外装加飾部品の正面図である。本実施例の外装加飾部品10は、自動車の全面に装着されているラジエータグリル周辺を加飾する部品である。
【0015】
外装加飾部品10は、ハウジング20と、ハウジング20の前方に組みつけられているレンズ部材30から構成されている。ハウジング20は、車両側の形状に応じて図示しない取付部を形成し必要があればボルトなどを用いて自動車の外面に配置されるように取り付けられている。さらに、中央には、オーナメント40を設けている。
【0016】
図2は、本発明の自動車の外装加飾部品の図1に示すA−A断面図であり、垂直断面を表している。ハウジング20は、樹脂材料として剛性がよく成形加工性が良いポリプロピレン(PP)、アクリルニトリル/エチレン―プロピレン―ジエン/スチレン(AES)を用い射出成形により成形される。平板で水平方向に長尺なハウジング意匠部21を有している。ハウジング意匠部21には、前方に向けて平滑なハウジング意匠表面22を形成している。ハウジング意匠部21は、着色された樹脂材料を用いて成形しても良く、ハウジング意匠表面22に蒸着、スパッタ、メッキ、塗装、もしくは、フィルムを張り付けて加飾する等の手段を適宜選択して着色してよい。
【0017】
ハウジング意匠部21は車両前方に全体にやや凸形状なっており、その外周の上端および下端には、車両前方に向かって開口し車両後方のやや上方に向かって突設するコの字型の接続凹部23a、23bが形成されている。接続凹部23a、23bは、後述するレンズ部材30と接合される個所である。接続凹部23a、23bの方向や形状は、意匠および車両側との取付構造によって変更してもよい。
【0018】
次に、レンズ部材30について説明する。図2に示す通り、レンズ部材30は、樹脂材料として透明性の高いアクリル(PMMA)やポリカーボネート(PC)で射出成形により成形されており、ハウジング20の前方に配置されている。本実施例においては、レンズ部材30の意匠を形成するレンズ意匠部31は、ハウジング意匠部21の形状にやや離間して平行になるような形状となっている。
【0019】
レンズ意匠部31は、車両前方側にレンズ意匠表面32、車両後方側でハウジング意匠表面22に対向してレンズ意匠裏面33を有している。そのレンズ意匠部31であってレンズ意匠裏面33には、ハウジング意匠表面22に向けて突部34が形成されている。本実施例においては、断面にて2つの突部34が設けられている。
【0020】
突部34は、図示していないが、外装加飾部品10の正面視において外装加飾部品10の形状に沿って水平方向に形成されている。断面形状としては、突部34は、ハウジング意匠部21に近くなる頂点部34aと、上側に突部34の裾にあたる第1裾部34bと、下側に突部34aの裾にあたる第2裾部34cとからなる。突部34が形成されているレンズ意匠部31の垂直方向(上下方向)に対し、略直角方向に頂点部34aを通る軸から第1裾部34bまでの第1距離W1、第2裾部34cまでの第2距離W2の関係は、W1<W2となっており、頂点部を通る軸から第1裾部34bと第2裾部34c側は、非対称の形状となっている。
【0021】
レンズ意匠裏面33に突部34を設けることにより、ハウジング意匠表面22に入射した光により屈折して映りこみ、奥行きがあり陰影に濃淡のある意匠を実現できる。さらに、突部34を非対称とすることで、入射する光が一様に屈折しないので、頂点部34aから第1裾部34bと第2裾部34cまでの形状に対応してそれぞれ違う濃淡の陰影を映りこませることができ、さらに意匠性を向上できる。また、ハウジング20に突部34を設けていないため、ハウジング20の車体への図示しない取付部への成形時の変形も少なくなる。
【0022】
レンズ部材30のハウジング20への組付については、レンズ意匠部31からハウジング20に向けて屈曲する接続端部35a、35bが、それぞれハウジング20の接続凹部23a、23bに挿入され、熱溶着され一体化される。熱溶着の手段としては、熱板溶着、レーザー溶着、超音波溶着など、適宜形状にあった手段を用いることができる。接続端部35a、35bと接続凹部23a、23bとできる外周部の間隙を視認させないために接続端部35a、35bの外周側で接続凹部23a、23bの前方に外周突部36a、36bを設けている。また、外周突部36a、36bは、接続凹部23a、23bに埃やゴミなどの進入を防ぐことができる。
【0023】
レンズ部材30の加飾について述べる。レンズ部材30は、透明状態でも良いが、レンズ意匠裏面33に、蒸着、スパッタ、メッキ、塗装、もしくは、フィルムを張り付ける等の手段を適宜選択して加飾することもできる。レンズ部材30の樹脂材料を着色した樹脂材料を用いて、成形することにより半透明のレンズ部材30を成形しても良い。
【0024】
なお、上記で説明した本発明の要旨を逸脱しない範囲においては、適宜、構成を変更することができる。例えば、上述した構成では、ハウジング意匠表面22とレンズ意匠裏面33は、それぞれ着色した材料を用いたり、表面を加飾して、色彩においての意匠性を向上させても良い旨を述べたが、ハウジング意匠表面22とレンズ意匠裏面33の両方に加飾しても良い。
【0025】
本実施例においては、自動車前方のラジエータグリルについて述べたが、バックパネルに装着する外装加飾部品や、大きさに関係なくオーナメントとしても用いることができる。
【符号の説明】
【0026】
10・・・外装加飾部品
20・・・ハウジング
21・・・ハウジング意匠部
22・・・ハウジング意匠表面
23a、23b・・・接続凹部
30・・・レンズ部材
31・・・レンズ意匠部
32・・・レンズ意匠表面
33・・・レンズ意匠裏面
34・・・突部
34a・・・頂点部
34b・・・第1裾部
34c・・・第2裾部
35a、35b・・・接続端部
36a、36b・・・外周突部
40・・・オーナメント
W1・・・第1距離
W2・・・第2距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の表面に外装として取り付けられる外装加飾部材であって、
自動車の外方に向け平滑なハウジング意匠表面(22)を有するハウジング意匠部(21)を有し、上記自動車の外面に直接取り付けられるハウジング(20)と、
上記ハウジング意匠表面に(32)に対向しているレンズ意匠裏面(33)に上記ハウジング(20)に向けて突設している突部(34)を有し、上記ハウジング(20)を覆うように上記ハウジング(20)の前方に取り付けられている透明または半透明のレンズ部材(30)と、を有する
自動車の外装加飾部品。
【請求項2】
請求項1に記載の自動車の外装加飾部品において、
上記レンズ意匠裏面(33)に加飾されている自動車の外装加飾部品。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の自動車の外装加飾部品において、
上記ハウジング意匠表面(21)に加飾されている自動車の外装加飾部品。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3に記載の自動車の外装加飾部品において、
上記突部(34)は、垂直断面における水平軸で上下に非対称となっている自動車の外装加飾部品。

【図1】
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【図2】
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