説明

自動車の後部車体構造

【課題】トレイの組付作業性向上とフロアパネルの剛性確保とを図る。
【解決手段】トレイ17の車幅方向両側端縁のフランジ29前端をフロアパネル11の開口部21の車幅方向両側縁後端に上方から重合させた状態で、トレイ17を車体前方にスライドさせることにより、フロアパネル11裏面の2本のメンバー23をトレイ17のフランジ29裏側におけるトレイ支持部31の挿入孔31aに車体前方から挿入してトレイ本体27を開口部21に収める。補強部材33の2本の挿入ステー37先端をトレイ支持部31の挿入孔31a端部に車体後方から挿入した状態で、補強部材33を車体前方にスライドさせることにより、挿入ステー37をトレイ支持部31の挿入孔31aに車体後方から挿入して補強部材33をトレイ本体27の車体後端縁に配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、フロアパネルに物品収納用トレイが設けられた自動車の後部車体構造の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車体後部の荷室のフロアパネルに略コ字状の開口部が車体後方に開放するように形成され、該開口部に物品を収納するトレイが配置された自動車の後部車体構造が開示されている。
【0003】
この後部車体構造では、上記トレイを上方に持ち上げた状態で車体前方に移動させることにより、トレイ本体を上記開口部に収めるとともに、該トレイ本体の上方開口端縁に張出し形成されたフランジを上記開口部の車体前縁及び車幅方向両側縁に上方から重合させている。
【0004】
また、補強部材を上記トレイ本体の車体後端縁に配置して締結具により車体後端に締結することにより、上記開口部が車体後方に開放していることに起因してフロアパネルの剛性が低下するのを上記補強部材で補填している。
【特許文献1】特開2005−138805号公報(第4頁、第5頁、図1、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記の特許文献1では、トレイを車体前方に移動させる際、トレイのフランジ裏面に突設されている係止爪がフロアパネルの開口部周縁の表面に当接しないように組付作業者はトレイを持ち上げた状態で移動させなければならず、大きくて重量大なるトレイを移動させるには多大な労力が必要で組付作業性が低下する。
【0006】
また、フロアパネルの車体後端縁を補強部材で補強しているとはいっても、フロアパネルに開口部が大きく開口しているため、剛性低下は否めない。
【0007】
この発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、トレイの組付作業性向上とフロアパネルの剛性確保とを図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、この発明は、トレイを車体前方に案内するガイド手段を設け、該ガイド手段にトレイ支持機能をも付与したことを特徴とする。
【0009】
具体的には、この発明は、車体後部の荷室のフロアパネルに略コ字状の開口部が車体後方に開放するように形成され、該開口部にトレイの主体をなす凹状収納部を有するトレイ本体が収められるとともに、該トレイ本体の上方開口端縁に外側方に張出し形成されたフランジが上記開口部の車体前縁及び車幅方向両側縁に上方から重合し、上記トレイ本体の車体後端縁に補強部材が車幅方向に延びるように配置されて締結具により車体後端に締結され、上記補強部材の車体後方にリヤバンパーが配設されて該リヤバンパーにより補強部材を車体後方から覆っている自動車の後部車体構造を対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0010】
すなわち、請求項1に記載の発明は、上記フロアパネルの裏面には、車体前後方向に延びる棒状メンバーが上記開口部内で上記トレイ本体の車幅方向両側に位置するように設けられ、上記トレイの車幅方向両側端縁には、上記メンバーが挿入される挿入孔を有する筒状トレイ支持部が車体前後方向に延びるように一体に設けられ、上記補強部材は、車幅方向に延びる補強部材本体と、該補強部材本体の車体前面側に車体前方に延びて上記トレイ支持部の挿入孔に挿入される挿入ステーとからなり、上記トレイは、車幅方向両側端縁のフランジ前端を上記開口部の車幅方向両側縁後端に上方から重合させた状態で車体前方にスライドさせることにより、上記メンバーを上記トレイ支持部の挿入孔に車体前方から挿入してトレイ本体が開口部に収められ、上記補強部材は、挿入ステー先端を上記トレイ支持部の挿入孔端部に車体後方から挿入した状態で車体前方にスライドさせることにより、上記挿入ステー全体をトレイ支持部の挿入孔に車体後方から挿入してトレイ本体の車体後端縁に配置されていることを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、上記メンバーには、車体後端から少なくとも車体前方側所定長さに亘って中空部が形成され、該中空部に上記挿入ステーが挿入されていることを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、上記トレイのフランジと上記開口部周縁との重合箇所は、両者の合わせ目が見えないようにシール材で覆われていることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、上記トレイ本体の車体後端縁には、カバーパネル部が一体に上方突設され、該カバーパネル部により上記補強部材本体の上端縁を車幅方向に亘って覆っていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る発明によれば、トレイの車幅方向両側端縁のフランジ前端をフロアパネルの開口部の車幅方向両側縁後端に上方から重合させた状態で、トレイを車体前方にスライドさせるだけで、開口部内で車体前後方向に延びるメンバーが、トレイの車幅方向両側端縁で車体前後方向に延びるトレイ支持部の挿入孔に車体前方から挿入されてトレイ本体が開口部に収められる。
【0015】
したがって、組付作業者はトレイを持ち上げた状態で車体前方に移動させずに済み、つまりトレイの荷重をメンバーに預けた状態でトレイを車体前方へ押し込むだけでよく、組付時の労力が軽減されて組付作業性が向上する。また、トレイの荷重は剛性の高い上記メンバーで受けられてトレイの剛性が確保される。さらに、閉断面によって構成された筒状トレイ支持部がトレイに一体に形成されていることによりトレイの剛性が向上する。
【0016】
そして、トレイ本体を開口部に収めてから、補強部材本体の車体前面側で車体前方に延びる挿入ステーが、上記トレイ支持部の挿入孔に車体後方から挿入されて補強部材がトレイ本体の車体後端縁に配置される。
【0017】
したがって、補強部材を締結具により車体後端に締結することにより、開口部が車体後方に開放していることに起因してフロアパネルの剛性が低下するのが補強部材で補填される。
【0018】
請求項2に係る発明によれば、メンバーの中空部に挿入ステーが挿入されて両者が車体前後方向に連続しているため、トレイの支持構造が強固になるとともに、フロアパネルの剛性がさらに向上する。
【0019】
請求項3に係る発明によれば、トレイのフランジと開口部周縁との合わせ目がシール材で覆われて外部に露出していないため、荷室の水密性及び気密性が確保されて水及び排気ガス等の荷室への侵入が防止される。
【0020】
請求項4に係る発明によれば、補強部材の上端縁が、トレイ本体の車体後端縁に上方突設されたカバーパネル部で車幅方向に亘って覆われているため、従来より用いられている別物のエンドトリムが不要で、その分だけ組付工数及び製作費が削減するとともに、トレイの剛性がさらに向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、この発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
【0022】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る後部車体構造が適用されたハッチバック車(自動車)1において、バックドア3を上方に開けて車体5後部の荷室7を開放した状態を車体5後方から見た斜視図である。図1中、9は座席、11は荷室7のフロアパネル、13はタイヤ15の略上半部分を覆うタイヤハウス、17は略矩形状の樹脂製物品収納用トレイ、19はリヤバンパーである。
【0023】
上記フロアパネル11には、図2〜図6に示すように、略コ字状の開口部21が車体5後方に開放するように形成され、該フロアパネル11の裏面には、全長に亘って中空部23aが貫通形成された角パイプ材からなる棒状メンバー23が上記開口部21を通り、車体前縁から車体後方に延びるように車幅方向に間隔をあけて2本配置され、各々の車体前端側が支持具25によりフロアパネル11の裏側で片持ち状態で支持されて、各々の車体後端が開口部21の中程に位置している。
【0024】
上記トレイ17は、該トレイ17の主体をなす凹状収納部27aを有する略矩形状のトレイ本体27と、該トレイ本体27の車体後端縁を除く上方開口端縁に外側方に張出し形成されたフランジ29とからなり、上記トレイ本体27は上記開口部21に収められるとともに、上記フランジ29が上記開口部21の車体前縁及び車幅方向両側縁に上方から重合し、この状態で、上記メンバー23が上記開口部21内でトレイ本体27の車幅方向両側に位置している。
【0025】
上記トレイ17の車幅方向両側端縁のフランジ29裏側には、車体前後方向に貫通する挿入孔31aを有する角筒状トレイ支持部31が、上壁及び一方の側壁を上記フランジ29とトレイ本体27の側壁上部と共有して車体前後方向に延びるように一体に形成されている。上記トレイ支持部31における上記挿入孔31aの上壁車体前端側には、図5に示すように、車体前方に前上がりに傾斜したガイド部31bが形成され、該ガイド部31bに上記メンバー23が挿入されるようになっている。
【0026】
上記トレイ17は、車幅方向両側端縁のフランジ29前端を上記開口部21の車幅方向両側縁後端に上方から重合させた状態で車体5前方にスライドさせることにより、上記メンバー23を上記トレイ支持部31の挿入孔31aに車体5前方から挿入してトレイ本体27が開口部21に収められている。この状態で、上記トレイ17のフランジ29と上記開口部21周縁との重合箇所は、両者の合わせ目が見えないようにシール材Sで覆われている(図6仮想線参照)。
【0027】
上記トレイ本体27の車体後端縁には、金属製の板状補強部材33が車幅方向に延びるように配置されている。該補強部材33は、車幅方向に延びる補強部材本体35と、該補強部材本体35の車体前面側に車体5前方に延びて上記トレイ支持部31の挿入孔31aに挿入される2本の挿入ステー37とからなり、該挿入ステー37は、上記メンバー23と同様に中空部37aが貫通形成され、かつ断面積がメンバー23と略等しい角パイプ材からなる。
【0028】
上記補強部材33は、挿入ステー37先端を上記トレイ支持部31の挿入孔31a端部に車体後方から挿入した状態で車体5前方にスライドさせることにより、上記挿入ステー37をトレイ支持部31の挿入孔31aに車体5後方から挿入してトレイ本体27の車体後端縁に配置され、両タイヤハウス13近傍の車体後端に立設された締結部39に締結具としてのボルト41及びナット43により締結されている。すなわち、上記締結部39にはボルト挿通孔39aが形成され、締結部39の車体前面側には、上記ナット43がボルト挿通孔39aに対応するように溶着されている。また、補強部材本体35の車幅方向両端寄りには、ボルト挿通孔35aが上記ナット43(ボルト挿通孔39a)に対応するようにそれぞれ形成されている。
【0029】
上記トレイ本体27の車体後端縁には、略L字状カバーパネル部45が一体に上方に突設され、該カバーパネル部45により上記補強部材33の上端縁を車幅方向に亘って覆っている。また、上記補強部材33の車体5後方にはリヤバンパー19が車体後端に取付具(図示せず)により取り付けられて配置され、該リヤバンパー19により補強部材33を車体5後方から覆っている。
【0030】
このように構成された後部車体構造は、次のようにして組み付けられる。
【0031】
まず、作業者がトレイ17を持ち上げ、該トレイ17の車幅方向両側端縁のフランジ29前端をフロアパネル11の開口部21の車幅方向両側縁後端に上方から重合させる。この状態からトレイ17を車体5前方にスライドさせて押し込む。この過程で、車体5側の2本のメンバー23がトレイ17側の2本のトレイ支持部31のガイド部31bに案内されながら挿入孔31aに車体5前方から挿入される。この際、上記メンバー23の上面車体後端部が挿入孔31aの上壁内面に摺接した後、フランジ29下面と開口部21周縁のフロアパネル11上面との間に隙間hを有しながらトレイ17を車体前方へ押すことにより、トレイ本体27の車体前側の側壁が開口部21の車体前端縁に当接してトレイ本体27が開口部21に完全に収められ、フランジ29が開口部21の車体前縁及び車幅方向両側縁に上方から重合する。
【0032】
このように、組付作業者がトレイ17を持ち上げた状態で開口部21の車体前方端まで移動させずに済み、つまりトレイ17をメンバー23に預けた状態でトレイ17を車体前方に押し込むだけでよいので、組付作業者の肉体的負担が軽減されて組付作業を効率良く行うことができる。また、トレイ17の荷重を剛性の高い上記メンバー23で受けてトレイ17の剛性を確保することができる。さらに、閉断面によって構成された角筒状トレイ支持部31をトレイ17に一体に形成することでトレイ17の剛性を向上させることができる。
【0033】
次いで、組付作業者が補強部材33を持ち上げ、2本の挿入ステー37の先端を上記2本のトレイ支持部31の挿入孔31aに車体5後方から挿入し、この状態から補強部材33を車体5前方に補強部材33の車体前面側がカバーパネル部45の縦面に当接するまでスライドさせて押し込み、補強部材33をボルト41及びナット43により車体後端に締結する。これにより、補強部材33がトレイ本体27の車体後端縁に配置される。この状態で、上記メンバー23の後端と挿入ステー37の前端とが離間してトレイ支持部31の挿入孔31a内で対向接近している。また、補強部材33の上端縁がカバーパネル部45で車幅方向全体に亘って覆われている。
【0034】
その後、リヤバンパー19を車体後端に取り付けて車体5後方に配置し、該リヤバンパー19により補強部材33を車体5後方から覆う。
【0035】
しかる後、トレイ17のフランジ29と開口部21周縁との重合箇所を、両者の合わせ目が見えないようにシール材Sで覆う。
【0036】
このように、補強部材33をボルト41及びナット43により車体後端に締結することにより、開口部21が車体5後方に開放していることに起因してフロアパネル11の剛性が低下するのを補強部材33で補填することができる。
【0037】
また、トレイ17は、剛性の高い上記メンバー23で受けられてトレイ17の剛性が確保される。さらに、閉断面によって構成された角筒状トレイ支持部31がトレイ17に一体に形成されていることにより、トレイ17の剛性が向上する。
【0038】
さらに、カバーパネル部45が補強部材33の上端縁を覆っているので、従来より用いられている別物のエンドトリムがいらず、その分だけ組付工数及び製作費を削減するとともに、トレイ17の剛性をさらに向上させることができる。
【0039】
さらにまた、上記合わせ目が外部に露出しないので、荷室7の水密性及び気密性が確保されて水及び排気ガス等の荷室7への侵入を防止することができる。
【0040】
(実施形態2)
図7〜図10は実施形態2を示し、この実施形態2では、メンバー23が実施形態1よりも長く形成されて開口部21の車体5後方の開放側まで延び、トレイ17を開口部21に配置した状態でメンバー23がトレイ支持部31全長に亘って挿入されている。
【0041】
また、挿入ステー37の断面積が実施形態1よりも小さく形成され、補強部材33を車体5に組み付けた状態で該挿入ステー37が上記メンバー23の中空部23aに挿入されている。
【0042】
そのほかは、実施形態1と同様に構成されているので、同一構成箇所に同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0043】
したがって、実施形態2では、実施形態1と同様の効果を奏することができることに加え、メンバー23がトレイ支持部31の長手方向(車体前後方向)全体に亘って挿入されるとともに、挿入ステー37が挿入されている領域では、該挿入ステー37、メンバー23及びトレイ支持部31により三重構造になっているため、トレイ17の支持構造を強固にすることができるとともに、フロアパネル11の剛性をさらに向上させることができる。
【0044】
なお、上記の実施形態1,2では、メンバー23、トレイ支持部31及び挿入ステー37を角パイプ材で構成したが、その断面形状は問わない。また、メンバー23に中空部23aを全長に亘って貫通形成したが、実施形態1では、中空部23aのない中実であってもよく、中空部23aは長手方向中途部までであってもよい。実施形態2では、挿入ステー37が挿入される長さだけメンバー23に中空部23aを形成したものであってもよい。また、上記の実施形態1,2における挿入ステー37についても中空部37aのない中実であってもよい。
【0045】
また、上記の実施形態1,2では、上記トレイ支持部31は、車体前後方向に延びる1個の角筒状支持部としたが、車体前後方向に複数に分割してもよい。
【0046】
さらに、上記の実施形態1,2では、トレイ支持部31が、上壁及び一方の側壁をフランジ29とトレイ本体27の側壁上部と共有している場合を例示したが、トレイ支持部31が、上壁をフランジ29と共有し、側壁はトレイ本体27の側壁から離れている場合であってもよい。逆に、トレイ支持部31が、側壁をトレイ本体27の側壁の一部と共有し、上壁はフランジ29から離れている場合であってもよい。
【0047】
さらにまた、上記の実施形態1,2では、補強部材33は金属製としたが、樹脂製でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0048】
この発明は、フロアパネルに物品を収納するトレイが設けられた自動車の後部車体構造について有用である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】実施形態1に係る後部車体構造が適用された自動車を車体後方から見た斜視図である。
【図2】実施形態1に係る後部車体構造の分解斜視図である。
【図3】実施形態1に係る後部車体構造の分解平面図である。
【図4】実施形態1に係る後部車体構造の組付け状態の平面図である。
【図5】図4のV−V線における断面図である。
【図6】図4のVI−VI線における断面図である。
【図7】実施形態2の図3相当図である。
【図8】実施形態2の図4相当図である。
【図9】実施形態2の図5相当図(図8のIX−IX線における断面図)である。
【図10】実施形態2の図6相当図(図8のX−X線における断面図)である。
【符号の説明】
【0050】
1 ハッチバック車(自動車)
5 車体
7 荷室
11 フロアパネル
17 トレイ
19 リヤバンパー
21 開口部
23 メンバー
23a 中空部
27 トレイ本体
27a 収納部
29 フランジ
31 トレイ支持部
31a 挿入孔
33 補強部材
35 補強部材本体
37 挿入ステー
41 (締結具)
43 ナット(締結具)
45 カバーパネル部
S シール材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体後部の荷室のフロアパネルに略コ字状の開口部が車体後方に開放するように形成され、該開口部にトレイの主体をなす凹状収納部を有するトレイ本体が収められるとともに、該トレイ本体の上方開口端縁に外側方に張出し形成されたフランジが上記開口部の車体前縁及び車幅方向両側縁に上方から重合し、上記トレイ本体の車体後端縁に補強部材が車幅方向に延びるように配置されて締結具により車体後端に締結され、上記補強部材の車体後方にリヤバンパーが配設されて該リヤバンパーにより補強部材を車体後方から覆っている自動車の後部車体構造であって、
上記フロアパネルの裏面には、車体前後方向に延びる棒状メンバーが上記開口部内で上記トレイ本体の車幅方向両側に位置するように設けられ、
上記トレイの車幅方向両側端縁には、上記メンバーが挿入される挿入孔を有する筒状トレイ支持部が車体前後方向に延びるように一体に設けられ、
上記補強部材は、車幅方向に延びる補強部材本体と、該補強部材本体の車体前面側に車体前方に延びて上記トレイ支持部の挿入孔に挿入される挿入ステーとからなり、
上記トレイは、車幅方向両側端縁のフランジ前端を上記開口部の車幅方向両側縁後端に上方から重合させた状態で車体前方にスライドさせることにより、上記メンバーを上記トレイ支持部の挿入孔に車体前方から挿入してトレイ本体が開口部に収められ、
上記補強部材は、挿入ステー先端を上記トレイ支持部の挿入孔端部に車体後方から挿入した状態で車体前方にスライドさせることにより、上記挿入ステー全体をトレイ支持部の挿入孔に車体後方から挿入してトレイ本体の車体後端縁に配置されていることを特徴とする自動車の後部車体構造。
【請求項2】
請求項1に記載の自動車の後部車体構造において、
上記メンバーには、車体後端から少なくとも車体前方側所定長さに亘って中空部が形成され、該中空部に上記挿入ステーが挿入されていることを特徴とする自動車の後部車体構造。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の自動車の後部車体構造において、
上記トレイのフランジと上記開口部周縁との重合箇所は、両者の合わせ目が見えないようにシール材で覆われていることを特徴とする自動車の後部車体構造。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の自動車の後部車体構造において、
上記トレイ本体の車体後端縁には、カバーパネル部が一体に上方突設され、該カバーパネル部により上記補強部材本体の上端縁を車幅方向に亘って覆っていることを特徴とする自動車の後部車体構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−149721(P2010−149721A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−330417(P2008−330417)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(390026538)ダイキョーニシカワ株式会社 (492)
【Fターム(参考)】