説明

自動車の懸架装置

【課題】 タンデムホイールの前輪及び後輪の車輪荷重の均等化作用を有し、かつ、前輪及び後輪に加わる振動・衝撃を連携的に緩衝するタンデムホイール用緩衝装置を有する自動車の懸架装置を提供する。
【解決手段】 前輪1及び後輪2を隣接して配設したタンデムホイールと、このタンデムホイールの前輪1及び後輪2をそれぞれ独立に車体5に連結する懸架機構3,4とを備えた、少なくとも一組のタンデムホイールを有する自動車の懸架装置において、前記前輪1を車体5に連結する懸架機構3と、前記後輪2を前記車体5に連結する懸架機構4との間に連結機構17,18を介して連結されるレバー部材16を設け、このレバー部材16と前記車体5との間に懸架ばね(弾性手段)22及びダンパー(減衰手段)23を有する減衰装置21を配設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の懸架装置に係り、特に、少なくともタンデムホイールを有する自動車の懸架装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のタンデムホイールを有する自動車の懸架装置は、下記特許文献1及び特許文献2に提案されている。
【0003】
従来のタンデムホイールの懸架装置(下記特許文献1の図3参照)は、タンデムホイールの前輪及び後輪がそれぞれ独立した懸架機構により支持されている。すなわち、それぞれの車輪がアッパーアーム及びロアーアームにより車体に支持されると共に、懸架ばね及びダンパーを備えた緩衝装置を備えている。従って、タンデムホイールの前輪及び後輪が独立に懸架されるため、タンデムホイールの車輪間で車輪荷重を均等化するという作用はまったく期待できなかった。
【0004】
また、タンデムホイールの前輪及び後輪を剛体の構造部材に回転自在に支持すると共に、この構造部材を回動可能に支持する支持部材を設け、この支持部材をアッパーアーム及びロアーアームよりなる懸架機構により車体に連結し、支持部材と車体との間に懸架ばね及びダンパーを備えた緩衝装置が下記特許文献1の図4に示されている。
【0005】
しかし、この場合には、車輪を回転自在に支持する構造部材が支持部材に対して自由に回転できるため、タンデムホイールの前輪及び後輪の車輪荷重を均等化できるが、構造部材の回動に対しては緩衝装置の緩衝作用が働かないことから、前輪及び後輪に加わる振動・衝撃によりピッチングが生じ易く、場合によっては共振を生じる恐れがあった。
【0006】
また、下記特許文献2には、タンデムホイールの前輪及び後輪をそれぞれアッパーアーム及びロアーアームよりなる懸架機構により車体に連結すると共に、各車輪ごとに懸架ばねと減衰手段である流体空圧シリンダよりなる緩衝装置を設け、かつ、前輪及び後輪の流体空圧シリンダ間をパイプにより連通した技術が示されている。
【0007】
この懸架装置においては、前輪及び後輪の流体空圧シリンダをパイプにより連通することにより前輪及び後輪に加わる振動・衝撃に対して、各車輪の減衰作用を協調させることができる。
【0008】
しかし、各流体空圧シリンダ間の流体室をパイプで連結しているので、パイプの流路抵抗によりタイムラグを生じると共に、流体漏れの虞がある。また、懸架ばねが前輪及び後輪の懸架装置によりそれぞれ独立に設けられていることから、タンデムホイールの前輪及び後輪の車輪荷重を均等化する効果は期待できない。
【0009】
なお、緩衝装置の懸架ばねに関しては、懸架ばねを空気ばねを用いる構造として、空気ばね10,63とダンパー(ショックアブソーバ)22,66とが別体のものが下記特許文献3及び4に開示され、空気ばね28とダンパー(ショックアブソーバ)2とが一体構造のものが下記特許文献5に開示されている。
【0010】
また、空気ばねを用いた独立懸架装置に関するものが下記特許文献6として開示されている。
【特許文献1】特開平10−278596号公報
【特許文献2】特開2002−225526号公報
【特許文献3】特開平06−191249号公報
【特許文献4】特開平07−228122号公報
【特許文献5】特開2000−186736号公報
【特許文献6】特開平11−123919号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従来の自動車の懸架装置には、上記したような種々の問題があった。
【0012】
本発明は、上記状況に鑑みて、タンデムホイールの前輪及び後輪の車輪荷重の均等化作用を有し、かつ、前輪及び後輪に加わる振動・衝撃を連携的に緩衝するタンデムホイール用緩衝装置を有する自動車の懸架装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕前輪及び後輪を隣接して配設したタンデムホイールと、このタンデムホイールの前輪及び後輪をそれぞれ独立に車体に連結する懸架機構とを備えた、少なくとも一組のタンデムホイールを有する自動車の懸架装置において、前記前輪(1)を車体(5)に連結する懸架機構(3)と、前記後輪(2)を前記車体(5)に連結する懸架機構(4)との間に連結機構(17,18)を介して連結されるレバー部材(16)を設け、このレバー部材(16)と前記車体(5)との間に弾性手段(22)及び減衰手段(23)を有する緩衝装置(21)を配設するようにしたことを特徴とする。
【0014】
〔2〕上記〔1〕記載の自動車の懸架装置において、前記レバー部材(16)と前記車体(5)との間に、複数の緩衝装置(31a,31b)を間隔を置いて配設したことを特徴とする。
【0015】
〔3〕上記〔1〕又は〔2〕記載の自動車の懸架装置において、前記連結機構は前記前輪(1)及び前記後輪(2)からの入力方向を変更するベルクランク機構(67a,67b,77a,77b)を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、以下のような効果を奏することができる。
【0017】
(A)タンデムホイールの前輪を車体に連結する懸架機構と、後輪を車体に連結する懸架機構との間に連結機構により連結されるレバー部材を設け、そのレバー部材と車体との間に、弾性手段及び減衰手段を有する緩衝装置を配設するようにしたので、
(1)タンデムホイールの前輪及び後輪に加わる車輪荷重を均等化することができる。
【0018】
(2)前輪に加わる振動・衝撃及び後輪に加わる振動・衝撃の両方に対して緩衝作用を有するため、前輪及び後輪に加わる振動・衝撃に対して連携的な緩衝作用を得ることができる。
【0019】
(B)レバー部材と車体との間に、複数の緩衝装置を間隔をおいて配設するようにしたので、タンデムホイールの前輪及び後輪に加わる振動・衝撃に対する緩衝効果を、前輪及び後輪に対して所定の割合に設定することができる。
【0020】
(C)前輪及び後輪からの入力方向を変更するベルクランク機構を連結機構に含むようにしたので、レバー部材と車体の間に配設する緩衝装置の設置方向をベルクランクを介して例えば横方向など自由に設定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の自動車の懸架装置は、前輪及び後輪を隣接して配設したタンデムホイールと、このタンデムホイールの前輪及び後輪をそれぞれ独立に車体に連結する懸架機構とを備えた、少なくとも一組のタンデムホイールを有する自動車の懸架装置において、前記前輪を車体に連結する懸架機構と、前記後輪を前記車体に連結する懸架機構との間に連結機構を介して連結されるレバー部材を設け、このレバー部材と車体との間に弾性手段及び減衰手段を有する緩衝装置を配設するようにした。
【実施例】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0023】
図1は本発明の第1実施例を示すタンデムホイールの懸架装置全体を示す正面図、図2は図1のA矢視図である。
【0024】
これらの図において、1はタンデムホイールの前輪、2はタンデムホイールの後輪であり、これらの前輪1及び後輪2はそれぞれ懸架機構3,4によって車体5に連結されている。
【0025】
懸架機構3,4は、それぞれアッパーアーム6a,6b,7a,7b、ロアーアーム8a,8b,9a,9b及びナックル12,13を有している。アッパーアーム6a,6b及び7a,7bの車体側端部は車体5に上下方向に揺動可能に支持され、その車輪側端部はボールジョイント10,11を介して前輪1及び後輪2を軸支するナックル12,13に連結されている。
【0026】
また、ロアーアーム8a,8b及び9a,9bの車体側端部は車体5に上下方向に揺動可能に支持され、その車輪側端部はボールジョイント14,15を介してナックル12,13に連結されている。16は前輪1のロアーアーム8bと後輪2のロアーアーム9aとを連結機構を介して連結するレバー部材であって、このレバー部材16は、連結機構を構成する連結部材17及び18によって、前輪1のロアーアーム8b及び後輪2のロアーアーム9aにそれぞれ連結されている。そのため、ロアーアーム8a,8b及び9a,9bの上下動により生じるロアーアーム間の長さの変化を吸収することができる。
【0027】
また、21は弾性手段である懸架ばね22と減衰手段であるダンパー23を備えた緩衝装置であって、その上端部はゴム等の弾性部材を介して車体5のブラケット部24に連結され、その下端部はピン機構を介してレバー部材16に連結されている。
【0028】
なお、この第1実施例においては、レバー部材16は連結部材17,18を介してロアーアーム8bと9a間を連結し、車体5とレバー部材16との間に緩衝装置19を配設しているが、レバー部材16は連結部材を介してアッパーアーム6bと7aとの間を連結してもよく、また、アッパーアーム又はロアーアームとナックル間を連結してもよい。
【0029】
また、図2において、25は前輪1及び後輪2のリム内に配設された駆動用のインホイールモーターであって、内面に永久磁石26を備えた回転子27と、コイル28を備えた固定子29から構成されている。
【0030】
なお、インホイールモーター25の固定子29はナックル12又は13に固定され、回転子27には車輪1又は2が固定され、車輪を駆動する。
【0031】
図3は本発明の第1実施例を示す自動車の懸架装置の模式図である。
【0032】
レバー部材16は、連結機構(図示なし)を介して前輪1のロアーアーム8b及び後輪2のロアーアーム9aに連結されており、このレバー部材16の略中央部と車体5との間に懸架ばね22及びダンパー23を有する緩衝装置21が配設されている。従って、緩衝装置21は前輪1及び後輪2に加わるそれぞれの振動・衝撃に対して緩衝作用を有する。
【0033】
例えば、前輪1又は後輪2に衝撃や振動等の入力が加わった場合、その入力はレバー部材16を介して緩衝装置21に伝達され、この緩衝装置21により緩和されて車体5に伝達される。すなわち、前輪1及び後輪2への路面からの入力が異なるとき、両入力の平均値が車体5に伝達されるので、伝達力を小さくすることができる。
【0034】
また、前輪1及び後輪2に加わる路面からの入力をレバー部材16により機械的に関連付けているので、上記特許文献2のように流体的に関連付けたものに比して伝達遅れ或いは流体漏れ等の問題がない。
【0035】
特に、インホイールモーターを備えた車輪の場合は、車輪を含むいわゆるバネ下の質量が大きくなるため、その衝撃は大きくなるが、車輪の変位はレバー部材16により生じるレバー比効果により減縮されて緩衝装置21に伝達されるので車体5への変位伝達は緩和される。なお、緩衝装置には、懸架ばねに空気ばねを用いた前記特許文献5に示された構造のものを用いることもできる。
【0036】
図4は本発明の第2実施例を示すタンデムホイールの懸架装置全体を示す正面図、図5は本発明の第2実施例を示す自動車の懸架装置の模式図である。
【0037】
この第2実施例は、前記した第1実施例が1個の緩衝装置を設けているのに対して、2個の緩衝装置を設けた点、及びレバー部材16を連結部材18´を介して後輪2のナックル13に連結している点で異なり、他の部分は第1実施例と同様であるので、同一部分については同一の符号を付して説明は省略する。
【0038】
図4において、レバー部材16は、連結機構としての連結部材17により前輪1のロアーアーム8bに連結されると共に、連結部材18´により後輪2のナックル13に連結されている。そして、レバー部材16と車体5のブラケット部34aとの間には緩衝装置31aが、また、レバー部材16と車体5のブラケット部34bとの間には緩衝装置31bが、それぞれ前後方向に間隔を置いて配設されている。この緩衝装置31a,31bは第1実施例の緩衝装置21と同様、懸架ばね32a,32b及びダンパー33a,33bを有している。
【0039】
図5に示すように、レバー部材16と車体5との間には、懸架ばね32a及びダンパー33aを有する緩衝装置31aが前輪1寄りに、また、懸架ばね32b及びダンパー33bを有する緩衝装置31bが後輪2寄りに配設されている。
【0040】
このように構成することにより、例えば前輪1に振動・衝撃が加わった場合には、その振動・衝撃はレバー部材16を介して緩衝装置31a及び緩衝装置31bに伝達されるが、その変位はレバー部材16のレバー比効果、すなわち、後輪2の懸架機構4(具体的にはナックル13)とレバー部材16との連結点Eから、それぞれの緩衝装置31a,31bとレバー部材16とが連結されている連結点C及びDまでの距離の比に応じて作用する。そのため、前輪1の振動・衝撃に対しては前輪1寄りの緩衝装置31aが後輪2寄りの緩衝装置31bに比してより大きな緩衝作用を奏することになる。一方、後輪2に振動・衝撃が加わった場合には、同様の作用により、後輪2の振動・衝撃に対して、後輪2寄りの緩衝装置31bが前輪1寄りの緩衝装置31aに比してより大きな緩衝作用を奏することになる。
【0041】
従って、前輪1及び後輪2への路面からの入力が異なるとき、主として両輪の平均値が車体5に伝達されるため、両輪への入力の差異に起因する力の伝達を小さくすることができ、また、前輪1及び後輪2の逆相共振に対しての減衰効果を最適に低減することができる。
【0042】
また、緩衝装置31a及び31bのレバー部材16に対する連結位置を変更することにより、前輪1及び後輪2に作用する緩衝効果の比率を独立懸架に近い状態から均等懸架に近い状態まで自由に選択することができる。
【0043】
図6は本発明の第3実施例を示す自動車の懸架装置の模式図である。
【0044】
上記した第1及び第2実施例においては、懸架ばねとダンパーとを一体的に組立てた構造の緩衝装置21又は31a,31bを用いたが、この実施例では懸架ばねとダンパーとを別体に構成した緩衝装置41を用いている。
【0045】
図6において、レバー部材16と車体5との間には、懸架ばね42とダンパー43a,43bより構成される緩衝装置41が配設されている。そして、懸架ばね42がレバー部材16のほぼ中央部に連結され、その前方にダンパー43aが、後方にダンパー43bがそれぞれ連結されている。
【0046】
このように構成することによって、前輪1及び後輪2への路面からの入力が異なるとき、懸架ばね42への伝達力は平均化されて伝達され、ダンパー伝達力は主として両輪からの入力の平均値が車体5に伝達され、両入力の差異に起因する力の伝達を少なくすることができる。また、前輪1及び後輪2の逆相共振に対しての減衰効果を適度に低減できる。なお、懸架ばねには、前記特許文献3及び4に示された構造の空気ばねを用いることもできる。
【0047】
図7は本発明の第4実施例を示す自動車の懸架装置の模式図である。
【0048】
この第4実施例は、懸架ばねを一本から二本にした緩衝装置51を用いる点で第3実施例と異なる。
【0049】
図7において、レバー部材16と車体5との間には、懸架ばね52a,52bが配設され、それらの外側にダンパー53a,53bが設けられている。
【0050】
このように構成することによって、前輪1及び後輪2に加わる振動・衝撃等の入力に対して、両入力の実質的な平均値が車体5に伝達される。
【0051】
図8は本発明の第5実施例を示す自動車の懸架装置の模式図である。
【0052】
この第5実施例は、上記した第1〜4実施例が緩衝装置を上下方向に設置しているのに対して、車輪からの上下方向の入力をベルクランク機構を用いて横方向の力に変更することにより、緩衝装置を横方向に設置するようにしている。
【0053】
図8において、前輪1の上下運動は前輪1の懸架機構62を介してベルクランク67aに伝達され、横方向の運動に変更される。また、後輪2の上下運動は後輪2の懸架機構63を介してベルクランク67bに伝達され、横方向の運動に変更される。66はレバー部材であって、その上部はリンク部材64によりベルクランク67aに連結されており、ベルクランク67aで横方向に変更された運動がレバー部材66に伝達される。一方、レバー部材66の下部はリンク部材65によりベルクランク67bに連結されており、ベルクランク67bで横方向に変更された運動がレバー部材66に伝達される。そして、レバー部材66と車体5との間に緩衝装置61a及び61bが横置きに配設されている。
【0054】
このように緩衝装置を横置きに配設されることにより、懸架装置全体の高さを低く押さえることができる。
【0055】
なお、この第5実施例は、ベルクランク機構を介することで緩衝装置への入力方向を変更したのみでその他の部分については第2実施例と同じであり、緩衝効果に対する作用も同じであるので説明を省略する。
【0056】
図9は本発明の第6実施例を示す自動車の懸架装置の模式図である。
【0057】
この第6実施例は、上記した第5実施例と同様にベルクランク機構を用いて上下方向の入力を横方向の力に変更しているが、前輪1及び後輪2で緩衝装置のレバー部材に対する作用方向が異なる。
【0058】
図9において、前輪1の上下運動は前輪1の懸架機構72を介してベルクランク77aに伝達され、横方向の運動に変更される。また、後輪2の上下運動は後輪2の懸架機構73を介してベルクランク77bに伝達され、横方向の運動に変更される。76はレバー部材であって、その上部はリンク部材74によりベルクランク77aに連結されており、ベルクランク77aで横方向に変更された運動がレバー部材76に伝達される。一方、レバー部材76の下部はリンク部材75によりベルクランク77bに連結されており、ベルクランク77bで横方向に変更された運動がレバー部材76に伝達される。そして、レバー部材76と車体5との間に緩衝装置71a及び71bが横置きに配設されている。
【0059】
ただし、本実施例においては、第5実施例とは異なり、前輪1に上方向の入力が加わるとベルクランク77aはレバー部材76の上部を右方向に押すが、後輪2に上方向に入力が加わるとベルクランク77bはレバー部材76の下部を左方向に押すよう作用する。そのため、緩衝装置71aは前輪1の上方向の入力に対向する向きに配設され、また、緩衝装置71bは後輪2の上方向の入力に対向する向きに配設されており、緩衝装置71a及び71bがレバー部材76の回転運動に対して緩衝作用を有する。
【0060】
このように構成することにより、前輪1及び後輪2から加えられる入力を実質的に平均化して車体に伝達することができる。特に、逆相の入力が加わった場合には、緩衝装置71aと緩衝装置71bとの緩衝作用が相殺方向に働くので、入力を均等化する効果が大である。
【0061】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明の自動車の懸架装置は、タンデムホイールの前輪及び後輪の車輪荷重の均等化作用を有し、かつ、前輪及び後輪に加わる振動・衝撃を連携的に緩衝するタンデムホイール用緩衝装置を有する自動車の懸架装置として利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の第1実施例を示すタンデムホイールの懸架装置全体を示す正面図である。
【図2】図1のA矢視図である。
【図3】本発明の第1実施例を示す自動車の懸架装置の模式図である。
【図4】本発明の第2実施例を示すタンデムホイールの懸架装置全体を示す正面図である。
【図5】本発明の第2実施例を示す自動車の懸架装置の模式図である。
【図6】本発明の第3の実施例を示す自動車の懸架装置の模式図である。
【図7】本発明の第4実施例を示す自動車の懸架装置の模式図である。
【図8】本発明の第5の実施例を示す自動車の懸架装置の模式図である。
【図9】本発明の第6の実施例を示す自動車の懸架装置の模式図である。
【符号の説明】
【0064】
1 前輪
2 後輪
3,4 懸架機構
5 車体
6a,6b,7a,7b アッパーアーム
8a,8b,9a,9b ロアーアーム
10,11,14,15 ボールジョイント
12,13 ナックル
16,66,76 レバー部材
17,18,18′ 連結部材
21,31a,31b,41,51,61a,61b,71a,71b 緩衝装置
22,32a,32b,42,52a,52b 懸架ばね(弾性手段)
23,33a,33b,43a,43b,53a,53b ダンパー(減衰手段)
24,34a,34b ブラケット部
25 インホイールモーター
26 永久磁石
27 回転子
28 コイル
29 固定子
62,72 前輪の懸架機構
63,73 後輪の懸架機構
64,65,74,75 リンク部材
67a,67b,77a,77b ベルクランク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前輪及び後輪を隣接して配設したタンデムホイールと、該タンデムホイールの前輪及び後輪をそれぞれ独立に車体に連結する懸架機構とを備えた、少なくとも一組のタンデムホイールを有する自動車の懸架装置において、
前記前輪を車体に連結する懸架機構と前記後輪を前記車体に連結する懸架機構との間に連結機構を介して連結されるレバー部材を設け、該レバー部材と前記車体との間に弾性手段及び減衰手段を有する緩衝装置を配設するようにしたことを特徴とする自動車の懸架装置。
【請求項2】
請求項1記載の自動車の懸架装置において、前記レバー部材と前記車体との間に、複数の緩衝装置を間隔を置いて配設したことを特徴とする自動車の懸架装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の自動車の懸架装置において、前記連結機構は前記前輪及び前記後輪からの入力方向を変更するベルクランク機構を含むことを特徴とする自動車の懸架装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−52558(P2010−52558A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−219004(P2008−219004)
【出願日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(509142069)株式会社クリーンクラフト (1)
【Fターム(参考)】