説明

自動車の燃料容器支持装置の固定構造

【課題】軽量化を図ることができ、部品の点数を削減できる自動車の燃料容器支持装置の固定構造を提供する。
【解決手段】燃料容器50を保持する保持部30と基台10を備えた燃料容器支持装置100が車体後部に搭載され、保持部30で保持した燃料容器50の重心50Aよりも車両前方側Frと車両後方側Rrで基台10がフロアパネル1に上下方向に固定されている自動車の燃料容器支持装置の固定構造であって、燃料容器50の重心50Aよりも車両前方側Frと車両後方側Rrで基台10の車幅方向の側面11Mとフロアパネル1がステー70で連結され、基台10の車幅方向の側面11Mとステー70は車幅方向に連結されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、
燃料容器を保持する保持部と基台を備えた燃料容器支持装置が車体後部に搭載され、
前記保持部で保持した前記燃料容器の重心よりも車両前方側と車両後方側で前記基台が前記フロアパネルに上下方向に固定されている自動車の燃料容器支持装置の固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上記の自動車の燃料容器支持装置の固定構造では、前記保持部で保持した燃料容器の重心よりも車両前方側と車両後方側で基台がフロアパネルに単に上下方向にボルト固定されているだけであった(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公昭51−7614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の構造によれば、自動車の加減速時に車両前方側に向かう力が発生した場合、この力により燃料容器の重心よりも車両前方側の基台のボルト固定部に圧縮力が加わり、燃料容器の重心よりも車両後方側のボルト固定部に引っ張り力が加わっていた。また、自動車の加速時に車両後方側に向かう力が発生した場合、この力により前記車両前方側のボルト固定部に引っ張り力が加わり、前記車両後方側のボルト固定部に圧縮力が加わっていた。
【0005】
前記圧縮力や引っ張り力は前記ボルト固定部に繰り返し作用することから、前記ボルト固定部及びその周辺に高い強度性能が必要とされ、ボルト固定部とその周辺の部品の板厚の増加やリンフォースの追加を招くとともに、ボルト・ナットの大型化やボルト・ナットの個数の増加を招いていた。その結果、燃料容器支持装置の重量が増大し、部品点数が増加するという問題があった。
本発明は上記実状に鑑みて成されたもので、その目的は、軽量化を図ることができ、部品点数を削減できる自動車の燃料容器支持装置の固定構造を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の特徴は、
燃料容器を保持する保持部と基台を備えた燃料容器支持装置が車体後部に搭載され、
前記保持部で保持した前記燃料容器の重心よりも車両前方側と車両後方側で前記基台が前記フロアパネルに上下方向に固定されている自動車の燃料容器支持装置の固定構造であって、
前記燃料容器の重心よりも車両前方側と車両後方側で前記基台の車幅方向の側面と前記フロアパネルがステーで連結され、
前記基台の車幅方向の側面とステーは車幅方向に連結されている点にある。(請求項1)
【0007】
この構成によれば、前記燃料容器の重心よりも車両前方側と車両後方側で基台の車幅方向の側面とフロアパネルがステーで連結され、基台の車幅方向の側面とステーは車幅方向に連結されているから、自動車の加減速時や加速時に発生する力を剪断方向でも受けることができて、燃料容器支持装置のフロアパネルへの固定強度を向上させることができ、基台がフロアパネルに上下方向に固定されている固定箇所(固定部)で受ける力を低減することができる。これによって固定箇所周辺の補強を最小限とすることができ、重量の増大を抑えることができるとともに部品点数を削減できる。(請求項1)
【0008】
本発明において、
前記ステーとフロアパネルの間に別部材が配置されて、前記ステーが前記別部材に連結されていると、ステー連結のためのフロアパネルの形状変更を回避することができて、フロアパネルの構造が複雑化することを回避することができる。また、フロアパネルの形状変化に別部材で対応することができてステー形状を簡素化することができる。(請求項2)
【0009】
本発明において、
前記燃料容器の重心よりも車両前方側のステーと前記基台の側面との第1連結部は、前記車両前方側のステーと前記フロアパネルとの第2連結部より車両後方側に位置し、
前記燃料容器の重心よりも車両後方側のステーと前記基台の側面との第3連結部は、前記車両後方側のステーと前記フロアパネルの第4連結部より車両前方側に位置していると、次の作用を奏することができる。(請求項3)
【0010】
前記燃料容器の重心よりも車両前方側のステーと前記基台の側面との第1連結部は、前記車両前方側のステーと前記フロアパネルとの第2連結部より車両後方側に位置しているから、自動車の加減速時に発生する車両前方側に向かう力にステーを介して車両前方側から抗することができる。
また、前記燃料容器の重心よりも車両後方側のステーと前記基台の側面との第3連結部は、前記車両後方側のステーと前記フロアパネルの第4連結部より車両前方側に位置しているから、自動車の加速時に発生する車両後方側に向かう力にステーを介して車両後方側から抗することができる。
これにより、燃料容器支持装置のフロアパネルへの固定強度を向上させることができ、基台がフロアパネルに上下方向に固定されている固定箇所(固定部)で受ける力を低減することができる。その結果、固定箇所周辺の補強を最小限とすることができ、重量の増大を抑えることができる。(請求項3)
【0011】
本発明において、
前記基台とフロアパネル、前記基台の車幅方向の側面とステー、前記フロアパネルとステーはそれぞれボルトで固定されていると、燃料容器支持装置のフロアパネルへの固定作業を簡単に行うことができて、固定作業の作業性を向上させることができる。(請求項4)
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、
軽量化を図ることができ、部品点数を削減できる自動車の燃料容器支持装置の固定構造を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】自動車の後部車体の側面図
【図2】自動車の後部車体の斜視図
【図3】(a)は燃料容器支持装置の基台周りの側面図(b)は比較例の燃料容器支持装置の基台周りの側面図
【図4】(a)は燃料容器支持装置の縦断正面図(b)は比較例の燃料容器支持装置の縦断正面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1,図2にCNG(圧縮天然ガス)を貯留する燃料容器としてのガスタンク50を自動車の車体後部のフロアパネル1に固定した自動車の燃料容器の固定構造を示してある。符号3はリアドア用の開口である。
【0015】
前記ガスタンク50は外径に比べて軸芯方向の長さが長い金属製の円筒状に形成されている。ガスタンク50の長手方向両端部は半球状に形成され、両端部間は、外径が全長にわたって一定に設定されている。このガスタンク50を軸芯が車幅方向に沿う横向き姿勢に設定し、フロアパネル1に燃料容器支持装置100を介して固定してある。フロアパネル1にはタイヤ収容凹部72が形成されている。
【0016】
ガスタンク50の左端部には配管接続部51(配管接続口、ガス給排口)が設けられている。前記燃料容器支持装置100(及びガスタンク50)は、シートバック7とシートクッション8から成るリアシートの車両後方側Rrの車体後部に搭載され、車体パネル2の車幅方向内側W1のパネル面よりも車幅方向内側W1に膨出した左右一対のホイールハウスインナパネル4の間に位置している。
【0017】
[燃料容器支持装置100の構造]
図2,図3(a)に示すように、燃料容器支持装置100は、フロアパネル1に載置固定される基台10と、ガスタンク50を保持する保持部30とから成る。
【0018】
[基台10の構造]
図2,図3(a)に示すように、基台10は、フロアパネル1のタイヤ収容凹部72を挟んで位置する左右一対の支持壁11と、左右一対の支持壁11の上端部のうち車両後方側Rrの上端部部分11J2同士を連結する連結部材12とを備えている。支持壁11は中空の箱状に形成され、連結部材12は断面円形のパイプ部材で形成されている。これにより、基台10の剛性・強度を確保できる構造でありながら、基台10の軽量化を図ることができる。また基台10の材料コストを低廉化できて、燃料容器支持装置100の製作コストを低廉化することができる。
【0019】
支持壁11は、横断面において車両前後方向に長い長方形状に形成されるとともに、車幅方向視(側面視)で上端部が二股状に形成され、車両前方側Frの上端部部分11J1が、車両後方側Rrの上端部部分11J2よりも高所に位置している。
【0020】
両上端部部分11J1,11J2の上面は長方形状の水平面に形成されている。車両前方側Frの上端部部分11J1には裏面にナットが溶接固着されており、前記上端部部分11J1に保持部30の後述の第2取り付けブラケット34が連結する。
【0021】
そして、前記支持壁11の下端部がフロアパネル1に上下方向に固定されている。この固定構造(燃料容器支持装置100の固定構造)と前記基台10の構造については後で詳しく説明する。
【0022】
車両後方側Rrの上端部部分11J2には車両後方側Rr及び上方に開放する切り欠きが形成され、切り欠きに連結部材12の長手方向の端部が嵌合して溶接固着されている。また、連結部材12の長手方向中間部に左右一対の第1取り付けブラケット13が溶接固着されて、連結部材12から第1取り付けブラケット13が車両後方側Rrに突出している。
【0023】
[保持部30の構造]
図2,図3(a)に示すように、保持部30は、ガスタンク50の下半部を取り囲む平面視長方形の環状の枠体39と、枠体39に設けられ、ガスタンク50を下側から受け止め支持する左右一対の円弧状の下側バンド32と、ガスタンク50を下側バンド32との協働で上側から締め付け固定する左右一対の円弧状の上側バンド(図示せず)とを備えている。
【0024】
枠体39は、車幅方向に沿う前側枠部材31と、前側枠部材31の後ろ下方に位置する後側枠部材38と、前側枠部材31と後側枠部材38の左端部同士を連結する平面視コの字状の左側枠部材33と、前側枠部材31と後側枠部材38の右端部同士を連結する平面視コの字状の右側枠部材37とから成る。前側枠部材31と後側枠部材38は互いに平行に位置する。
【0025】
前記基台10の連結部材12は、前述のように、支持壁11の車両後方側Rrの上端部部分11J2同士を連結して後側枠部材38の下方に位置している。
【0026】
各枠部材31,33,37,38は断面円形のパイプ部材で形成され、各枠部材31,33,37,38の隣り合うもの同士の端部が互いに溶接固着されている。前記下側バンド32は前側枠部材31と後側枠部材38の間に架設されている。
【0027】
また、左側枠部材33の車幅方向に沿う前端部33Aと右側枠部材37の車幅方向に沿う前端部37Aとに上側開放の断面コの字状の第2取り付けブラケット34が溶接固着されて、前記前端部33A,37Aから第2取り付けブラケット34が車両前方側Frに突出している。そして、第2取り付けブラケット34の下壁34Kが支持壁11の車両前方側Frの上端部部分11J1に上方から重なってボルトBで連結されている。
【0028】
また、後側枠部材38に左右一対の第3取り付けブラケット35が溶接固着されて、後側枠部材38から第3取り付けブラケット35が下方に突出している。そして、第3取り付けブラケット35の下壁35Kが連結部材12の第1取り付けブラケット13に上方から重なってボルトで連結されている。
【0029】
[燃料容器支持装置の固定構造]
燃料容器支持装置100が固定されるフロアパネル1とその周りの構造について説明すると、図4(a)に示すように、ホイールハウスインナパネル4の車幅方向内側W1に、車両前後方向に延びる上側開放の断面コの字状のリアサイドメンバ9が位置し、リアサイドメンバ9の車幅方向外側W2の側壁9S2がホイールハウスインナパネル4の下端部に車幅方向外側W2から重なって溶接接合されている。また、リアサイドメンバ9に下側開放の断面コの字状の支持ブラケット73が上側から嵌合(内嵌)して溶接接合されている。支持ブラケット73の上壁73Jの下面にはナットNが溶接固着されている。
【0030】
フロアパネル1のタイヤ収容凹部72の側壁72Sは、車幅方向外側W2ほど上方に位置するように傾斜している。そして、前記側壁72Sの上端部からフロアパネル1が車幅方向外側W2に水平に延びてリアサイドメンバ9及び支持ブラケット73の上方を覆い、ホイールハウスインナパネル4の下端部4Kに連なっている。
【0031】
フロアパネル1のタイヤ収容凹部72の傾斜した側壁72Sと、この側壁72Sの車幅方向外側W2に位置するフロアパネル1の幅方向の端部1Aとには、これら両者よりも厚肉のリンフォース74(別部材に相当)が上方から重なって溶接接合されている(図2も参照)。
リンフォース74は、後述の第2連結部R2と第4連結部R4に対応する箇所では、タイヤ収容凹部72の傾斜した側壁72Sとは反対側に膨出している。
すなわち、前記第2連結部R2と第4連結部R4に対応する箇所のリンフォース74は、図4(a)に示すように、縦断面においてフロアパネル1の幅方向の端部1A側からタイヤ収容凹部72の傾斜した側壁72Sの上方側に水平に延びるとともに下方に折曲して、タイヤ収容凹部72の側壁72Sに上方側から間隔を空けて対向している。タイヤ収容凹部72の側壁72Sに対向するリンフォース74の傾斜した側壁74Sの裏面(下面)にはナットNが溶接固着されている。そして、リンフォース74の下端部がさらにタイヤ収容凹部72の側壁72S側に折曲し、この側壁72Sに隙間なく重なって溶接接合されている。
【0032】
前記支持壁11の車幅方向内側W1の側壁11S1の下端部は車幅方向外側W2に折曲し、支持壁11の車幅方向外側W2の側壁11S2よりも車幅方向外側W2に張り出して張り出し部11H1が形成されている。また、支持壁11の車幅方向外側W2の側壁11S2の下端部は車幅方向外側W2に少し折曲し、前記張り出し部11H1に上方から重なって溶接接合されている。
【0033】
前記張り出し部11H1は、リンフォース74とフロアパネル1の幅方向の端部1Aと前記支持ブラケット73の上壁73Jに重なり、張り出し部11H1よりも車幅方向内側W1の支持壁11の下端部11H2(支持壁11の車幅方向内側W1の側壁11S1の下端部であり、前記車幅方向外側W2に折曲された下端部)はリンフォース74とフロアパネル1に重なっている。
【0034】
そして、支持壁11の下端部の張り出し部11H1とリンフォース74とフロアパネル1の幅方向の端部1Aと支持ブラケット73の上壁73JとがボルトB及びナットNで一体に連結されている。前記ボルトBを挿通させるボルト挿通孔は、保持部10に保持されたガスタンク50の重心50Aよりも車両前方側Frと車両後方側Rにそれぞれ位置している。すなわち、図2,図4(a)に示すように、前記保持部10で保持したガスタンク50の重心50Aよりも車両前方側Frと車両後方側Rrで支持壁11の下端部がフロアパネル1の幅方向の端部1Aに上下方向に連結されている。
【0035】
また、前記重心50Aよりも車両前方側Frと車両後方側Rrで支持壁11の車幅方向内側W1の側壁11S1の側面11M(基台の車幅方向の側面に相当)とフロアパネル1がステー70で連結されている。ステー70は縦長の長方形状に形成され、幅方向両端部に支持壁11とは反対側に延びるフランジを備えている。ステー70の下端部70Kとフロアパネル1の間には前記リンフォース74の傾斜した側壁74Sが介在し、ステー70の下端部70Kがリンフォース74の傾斜した側壁74Sに上方から重なって、ステー70の下端部70Kとリンフォース74の傾斜した側壁74SがボルトB及びナットNで連結されている
【0036】
ステー70の上端部70Jは上方に鉛直に折曲して支持壁11の車幅方向内側W1の側壁11S1の側面11Mに車幅方向内側W1から重なっている。そして、ボルトB及びナットNでステー70の上端部70Jと支持壁11の車幅方向内側W1の側壁11S1が車幅方向に連結されている。
【0037】
図2,図3(a)に示すように、ガスタンク50の重心50Aよりも車両前方側Frのステー70の上端部70Jと支持壁11の車幅方向内側W1の側壁11S1の側面11Mとの第1連結部R1は、車両前方側Frのステー70の下端部70Kとフロアパネル1との第2連結部R2より車両後方側Rrに位置して、前記ステー70が後ろ上がりに傾斜している。
【0038】
また、ガスタンク50の重心50Aよりも車両後方側Rrのステー70の上端部70Jと支持壁11の車幅方向内側W1の側壁11S1の側面11Mとの第3連結部R3は、車両後方側Rrのステー70の下端部70Kとフロアパネル1との第4連結部R4より車両前方側Frに位置して、前記ステー70が前上がりに傾斜している。
【0039】
図3(b),図4(b)に示すように、前記保持部30で保持したガスタンク50の重心50Aよりも車両前方側Frと車両後方側Rrで基台10がフロアパネル1に単に上下方向に固定されているだけの比較例の構造では、自動車の加減速時に車両前方側Frに向かう力Fが発生した場合に次の作用を奏する。
【0040】
つまり、前記車両前方側Frに向かう力Fにより、ガスタンク50の重心50Aよりも車両前方側Frのボルト固定部に圧縮力Fcが加わり、ガスタンク50の重心50Aよりも車両後方側Rrのボルト固定部に引っ張り力Feが加わる。逆に、自動車の加速時に車両後方側Rrに向かう力が発生した場合、前記車両後方側Rrに向かう力Fにより、ガスタンク50の重心50Aよりも車両前方側Frのボルト固定部に引っ張り力が加わり、ガスタンク50の重心50Aよりも車両後方側Rrのボルト固定部に圧縮力が加わる。
【0041】
前記圧縮力や引っ張り力は、自動車が加減速や加速される度に前記ボルト固定部に加わることから、前記ボルト固定部及びその周辺に高い強度性能が必要とされ、ボルト固定部とその周辺の部品の板厚の増加やリンフォースの追加を招くとともに、ボルト・ナットの大型化やボルト・ナットの個数の増加を招き、その結果、燃料容器支持装置の重量が増大し、部品点数が増大する。
【0042】
これに対して、本発明の上記構成によれば、図3(a),図4(a)に示すように、ガスタンク50の重心50Aよりも車両前方側Frと車両後方側Rrで基台10の車幅方向の側面11Mとフロアパネル1がステー70で連結され、基台10の車幅方向の側面11Mとステー70は車幅方向に連結されているから、自動車の加減速時や加速時に発生する力を剪断方向でも受けることができて、燃料容器支持装置100のフロアパネル1への固定強度を向上させることができ、基台10がフロアパネル1に上下方向に固定されている固定箇所(支持壁11の下端部の張り出し部11H1とリンフォース74とフロアパネル1の幅方向の端部1Aとブラケット73の上壁73JとのボルトB及びナットNによる固定箇所)で受ける力を低減することができる。これによって固定箇所周辺の補強を最小限とすることができ、重量の増大を抑えることができる。
図3(a)に示すように、自動車の加減速時には、車両前方側Frのステー70にはステー70の長手方向に沿う圧縮力Fsが加わり、車両後方側Rrのステー70にはステー70の長手方向に沿う引っ張り力Fsが加わる。
【0043】
[別実施形態]
(1) 前記ステー70の下端部70Kをフロアパネル1に直接連結してあってもよい。
(2) 前記基台10の車幅方向の側面11Mとステー70の上端部70Jとを溶接接合してあってもよい。また、ステー70の下端部70Kとリンフォース74(又はフロアパネル1)を溶接接合してあってもよい。
(3) 前記ステー70を前記基台10又はリンフォース74又はフロアパネル1と一体成形してあっても良い。
【符号の説明】
【0044】
1 フロアパネル
10 基台
11M 基台の車幅方向の側面
30 保持部
50 燃料容器
50A 燃料容器の重心
70 ステー
74 別部材(リンフォース)
100 燃料容器支持装置
B ボルト
Fr 車両前方側
Rr 車両後方側
R1 第1連結部
R2 第2連結部
R3 第3連結部
R4 第4連結部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料容器を保持する保持部と基台を備えた燃料容器支持装置が車体後部に搭載され、
前記保持部で保持した前記燃料容器の重心よりも車両前方側と車両後方側で前記基台が前記フロアパネルに上下方向に固定されている自動車の燃料容器支持装置の固定構造であって、
前記燃料容器の重心よりも車両前方側と車両後方側で前記基台の車幅方向の側面と前記フロアパネルがステーで連結され、
前記基台の車幅方向の側面とステーは車幅方向に連結されている自動車の燃料容器支持装置の固定構造。
【請求項2】
前記ステーとフロアパネルの間に別部材が配置されて、前記ステーが前記別部材に連結されている請求項1記載の自動車の燃料容器支持装置の固定構造。
【請求項3】
前記燃料容器の重心よりも車両前方側のステーと前記基台の側面との第1連結部は、前記車両前方側のステーと前記フロアパネルとの第2連結部より車両後方側に位置し、
前記燃料容器の重心よりも車両後方側のステーと前記基台の側面との第3連結部は、前記車両後方側のステーと前記フロアパネルの第4連結部より車両前方側に位置している請求項1又は2記載の自動車の燃料容器支持装置の固定構造。
【請求項4】
前記基台とフロアパネル、前記基台の車幅方向の側面とステー、前記フロアパネルとステーはそれぞれボルトで固定されている請求項1〜3のいずれか一つに記載の自動車の燃料容器支持装置の固定構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−84122(P2011−84122A)
【公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−236925(P2009−236925)
【出願日】平成21年10月14日(2009.10.14)
【出願人】(000002082)スズキ株式会社 (3,196)
【Fターム(参考)】