説明

自動車の車体下部構造

【課題】 サブフレームに固定のアンダーカバーの、アルミ合金製の放熱板が、下からの突きあげ荷重を受けても、変形することがないようにした。
【解決手段】 サブフレームF1に固定されるのアンダーカバー1を、合成樹脂製カバー本体10と、それに接合されるアルミ合金製放熱板20とより構成し、放熱板20上方に高熱源部材Exに対向させた車体下部構造であって、カバー本体10に、下方からの突き上げ荷重に対する復元力を付与する段部12aを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体フレームを構成する骨格部材に接合されて、エンジンに連なる高熱源部材の下方を覆うアンダーカバーを備えた、自動車の車体下部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エンジンルームの下方を覆うアンダーカバーを、合成樹脂製の本体部と、その本体部に形成した開口部に固定される金属製のリッドとで構成し、そのリッドを高熱源部材に対向させて、高熱源に起因しる、アンダーカバーの主体部を構成する合成樹脂製本体部の損傷を防止するようにした、自動車の車体下部構造は公知(後記特許文献1参照)である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4573699号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記アンダーカバーは、車体フレームの下部に設けられて走行路面に近い位置にあるため、このアンダーカバーに、走行路面の突起物が接触したり、走行路面から飛散する小石や、砂礫などの飛散物が衝当したりするなどの下方からの突き上げ荷重があったときに、金属製のリッドが変形、損傷することがあるという問題がある。
【0005】
本発明はかかる実情に鑑みてなされたもので、主体部分を合成樹脂製のカバー本体で形成すると共に高熱源部材に対向する部分を金属製の放熱板で形成するアンダーカバー自体の剛性を高めると共に、そのアンダーカバーが下方からの突き上げ荷重を受けた際に、合成樹脂製のカバー本体が、その弾性変形によりその突き上げ荷重を吸収して元の位置に復元し、金属製の放熱板の変形、損傷を防止するようにした、新規な自動車の車体下部構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、エンジンに連なる高熱源部材の周辺において、車体下部フレームの一部を構成する骨格部材に、走行気流とエンジンルームからの気流を上下に分流させるアンダーカバーを一体に設け、そのアンダーカバーを、合成樹脂製のカバー本体と、そのカバー本体に接合される金属製の放熱板とより構成して前記骨格部材に緩衝間隙を存して固定し、前記放熱板の上方を前記高熱源部材に対向させてなる自動車の車体下部構造であって、
前記カバー本体は前記骨格部材に向かって延びる延長部を備え、この延長部に骨格部材取付部を設けると共にこの骨格部材取付部の近傍に段部を形成し、この段部は、前記カバー本体に、そこに作用する下方からの突き上げ荷重に対する復元力を付与することを特徴としている。
【0007】
上記目的を達成するために、請求項2の発明は、前記請求項1記載のものにおいて、前記放熱板は、カバー本体の延長部に向けて延出されて、その延長部上に固定される延出部を備え、この延出部に、第1の高剛性部を設けたことを特徴としている。
【0008】
上記目的を達成するために、請求項3の発明は、前記請求項1または2記載のものにおいて、前記カバー本体の延長部には、前記骨格部材取付部とカバー本体の縁部との間に第2の高剛性部を設けたことを特徴としている。
【0009】
上記目的を達成するために、請求項4の発明は、前記請求項1、2または3記載のものにおいて、前記カバー本体の延長部と、その上に接合される前記放熱板の延出部との間には、閉断面構造の緩衝空間が形成されることを特徴としている。
【0010】
上記目的を達成するために、請求項5の発明は、前記請求項2記載のものにおいて、前記放熱板の延出部に形成される前記第1の高剛性部は、上方に隆起する複数条のビードよりなることを特徴としている。
【0011】
上記目的を達成するために、請求項6の発明は、前記請求項1、2、3、4または5記載のものにおいて、前記カバー本体の延長部は、前記骨格部材に固定するための骨格部材取付部を有し、この骨格部材取付部には、骨格部材に当接し得る複数の突起を突設して、前記延長部と骨格部材との間に緩衝間隙を形成したことを特徴としている。
【0012】
上記目的を達成するために、請求項7の発明は、前記請求項1、2、3、4、5または6記載のものにおいて、前記放熱板は、高熱源部材の高熱源部に対向する切欠部を設けたことを特徴としている。
【0013】
上記目的を達成するために、請求項8の発明は、前記請求項1、2、3、4、5、6または7記載のものにおいて、前記アンダーカバーは、自動車の前後方向に延びる複数条のビードを備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
請求項各項の発明によれば、自動車の走行による走行気流は、車体の骨格部材からアンダーカバーの下面を流れ、一方、エンジンルームからの気流は、骨格部材からアンダーカバー1上面を流れ、それらの流れの衝突による乱気流を防止して空気抵抗を減少させ、燃費を向上させることができる。
【0015】
また、アンダーカバーは、高熱源部材に対向する部分を金属製の放熱板により形成しているので、放熱性がよく、高熱源部材およびアンダーカバーの冷却効果を高めることができ、アンダーカバーの熱による損傷を防止することができる。また、アンダーカバーに、下からの突き上げ荷重が作用したとき、この荷重を合成樹脂製のカバー本体の段部の弾性変形により吸収し、カバー本体の復元力を確保して放熱板の変形を防止することができる。
【0016】
請求項2の発明によれば、放熱板は、カバー本体の延長部に向けて延出されて、その延長部上に固定される延出部を備え、この延出部に、第1の高剛性部を設けたので、放熱板の剛性を高めることができると共に、前記段部による、突き上げ荷重に対するカバー本体の延長部の復元作用を助成することができる。
【0017】
請求項3の発明によれば、前記カバー本体の延長部には、骨格部材取付部とカバー本体の縁部との間に第2の高剛性部を設けたので、カバー本体の骨格部材取付部の剛性を高めると共に、前記段部と協働して、突き上げ荷重に対するカバー本体の延長部の復元力を高めることができる。
【0018】
請求項4の発明によれば、カバー本体の延長部と、そこに接合される放熱板の延出部との間には、閉断面構造の緩衝空間が形成されるので、放熱板の延出部の剛性を高めると共に、放熱板の冷却効率を向上させることができる。
【0019】
請求項5の発明によれば、前記放熱板の延出部に形成される前記第1の高剛性部は、上方に膨出する複数条のビードよりなるので、閉断面構造の緩衝空間を確保しながら、放熱板の延出部の剛性を一層高めることができる。
【0020】
請求項6の発明によれば、前記カバー本体の延長部は、前記骨格部材に固定するための骨格部材取付部を有し、この骨格部材取付部には、骨格部材に当接し得る複数の突起を突設して、前記延長部と骨格部材との間に緩衝間隙を形成したので、アンダーカバーに下からの突き上げ荷重が作用したとき、アンダーカバーが骨格部材に衝突するのを防止することができ、騒音の発生を防止すると共に骨格部材の損傷による発錆を防止することができる。
【0021】
請求項7の発明によれば、前記放熱板は、高熱源部材に対向する切欠部を設けたので、高熱源部材から発散する高熱気流を、切欠部を通してアンダーカバーの外方に放散させることができ、高熱源部材およびアンダーカバーの冷却効率の向上を図ることができる。
【0022】
請求項8の発明によれば、前記アンダーカバーは、自動車の前後方向に延びる複数条のビードを備えるので、アンダーカバーの剛性を高めて、その自重による変形を防止し、また、アンダーカバーの上面および下面を流れるエンジンルームからの気流および走行気流に整流作用を与えて、それらの乱気流を抑え、空気抵抗を減少させて燃費の向上に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】アンダーカバーを備えた車体フレームの部分斜視図
【図2】図1の2線矢視平面図
【図3】図2の仮想線囲い部分の3矢視拡大図
【図4】図3の4矢視斜視図
【図5】図3の5−5線に沿う拡大断面図
【図6】図3の6−6線に沿う拡大断面図
【図7】図3の7−7線に沿う拡大断面図
【図8】カバー本体と放熱板との分離平面図
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に示した本発明の実施例に基づいて具体的に説明する。
【0025】
以下の説明において、前、後、左、右および、上、下は、自動車の前進方向を基準にしていう。
【0026】
図1、2において、自動車の前後方向に延びる左右サイドフレームFSの間には、骨格部材としてサブフレームF1が一体に結合され、サイドフレームFSと、サブフレームF1とで、車体下部フレームの一部を構成する。
【0027】
サブフレームF1上には、図示しないエンジンマウントを介してエンジンEが搭載される。そして、エンジンEに連なる排気系Exは、前記サブフレームF1の上方を前後方向に延長されている。この排気系Exは、その内部に、エンジンEからの高温の排気ガスが流れ、特に、その途中に介在される触媒Cは、その反応作動時に高熱を発散する、最も高温の高熱源部材となる。
【0028】
サブフレームF1後方の開放部は、アンダーカバー1により覆われる。このアンダーカバー1は、自動車の運転時に、エンジンルームからの気流がアンダーカバー1の上方に沿って流れるように導き、また、走行気流がアンダーカバー1の下方に沿って流れるよう導いて、両気流が衝突して乱気流発生しないように整流し、空気抵抗を低減し、燃費の向上に寄与する。
【0029】
つぎに、前記アンダーカバー1の構造について詳述する。
【0030】
図1、2、8に示すように、サブフレームF1後方の開放部を覆うアンダーカバー1は、平坦状に形成されており、その主体部分を構成する合成樹脂製のカバー本体10と、このカバー本体10に一体に接合される金属製、この実施例ではアルミ合金製の放熱板20とより構成されている。
【0031】
カバー本体10は、合成樹脂板により板状に一体成形されて、その前縁部が、骨格部材としてのサブフレームF1の後縁部に固定(後に詳述)される。カバー本体10の右側半部には、車幅方向の中央側に向かって凹む凹状の開口部11が形成されると共にその前部には、サブフレームF1に沿って車幅方向外方に向かって延長される延長部12が一体に形成されている。この延長部12は、後に詳述するように、サブフレームF1に向かって上り勾配に傾斜(図5参照)されており、その前端部に、骨格部材取付部、すなわちサブフレーム取付部13が一体に延出されている。
【0032】
カバー本体10の前記開口部11は、前記放熱板20により被覆される。この放熱板20は、その前縁部および内縁部が、接合縁部21によって縁取り補強されており、この接合縁部21が、カバー本体10の開口部11の縁部に、複数の固着手段、この実施例では、リベット止め30により固定される。
【0033】
図1、2、8に示すように、カバー本体10の上面には、複数条のビード14が前後方向に沿って平行に膨出形成され、また放熱板の上面にも複数条の他のビード24が前後方向に沿って平行に膨出形成されており、これらのビード14および他のビード24は、カバー本体10および放熱板20の強度を高めて、それらの自重による変形を防止すると共に自動車の前方から後方に流れる走行気流およびエンジンルームからの気流を整流させる。そして、放熱板20の上方を、高熱源部材である、前記排気系Exが縦走している。
【0034】
また、放熱板20の右側縁には、車幅方向の内方の凹む切欠部22が形成されており、この切欠部22の真上に、前記排気系Exの、最も高熱な触媒Cが位置しており、この触媒Cから発散する熱気流は、切欠部22を通ってアンダーカバー1の下方へと放散される。
【0035】
図1〜8において、アンダーカバー1の主体部を構成するカバー本体10の延長部12の外端部に、サブフレームF1に向かう骨格部材取付部、すなわちサブフレーム取付部13が形成されている。また、前記放熱板20の前部には、右方に延びてカバー本体10の延長部12上に重なるように延出部23が形成されており、この延出部23は、カバー本体10の延長部12上に複数箇所(4箇所)でリベット止め30により固定されている。カバー本体10のサブフレーム取付部13は、放熱板20の延出部23よりも外方へサブフレームF1に向かって延長されており、金属製の放熱板20がサブフレームF1に直接固定されないようにして、自動車の前衝突時に、合成樹脂製であるカバー本体10の延長部12の切断で衝突荷重を吸収できるようしている。
【0036】
図5、6に明瞭に示すように、カバー本体10の延長部12には、サブフレーム取付部13に近接して下向きに屈曲する段部12aと、この段部12aに続いてサブフレームの下面に沿うように傾斜する傾斜面12bが形成されており、この延長部12とサブフレームF1の下面との間に緩衝間隙aが形成されている。そして、カバー本体10の延長部12は、サブフレームF1に向かって上り勾配に傾斜されている。一方、カバー本体10の延長部12上に接合される放熱板20の延出部23は、前記傾斜面12bに対向する部分が上向きに屈曲形成されていて、カバー本体10の延長部12と、放熱板20の延出部23間には、閉鎖断面の緩衝空間bが形成されている。そして、この緩衝空間bにおいて、放熱板20の延出部23には、上方に膨出する第1の高剛性部23aが形成され、一方、カバー本体10の延長部12には、下方に膨出する第2の高剛性部12cが形成されており、第1の高剛性部23aは、放熱板20の剛性を高めるのに寄与し、また、第2の高剛性部12cはカバー本体10の剛性を高めるのに寄与している。アンダーカバー1に下からの突き上げ荷重が作用したとき、この荷重を合成樹脂製のカバー本体10の前記段部12aおよび第1、第2の高剛性部23a、12cの弾性変形により吸収し、カバー本体10の復元力を確保して金属製(アルミ合金製)放熱板20の変形を防止することができる。
【0037】
図3〜5に明瞭にすように、放熱板20の延出部23には、複数状(3条)のビード23bが膨出されており、これらのビード23bは、その延出部23の剛性を高め、下方からの突き上げ荷重に対する放熱板20の形状保持力を高め、前記緩衝空間bの確保に寄与する。
【0038】
また、図2、3、6、8に示すように、カバー本体10のサブフレーム取付部13の上面には、サブフレームF1に当接し得る複数の矩形柱状の突起13aが上向きに突設されており、サブフレームF1とアンダーカバー1との間の緩衝間隙aを確保し、アンダーカバー1に、下からの突き上げ荷重が作用したとき、これらの突起13aは、アンダーカバー1がサブフレームF1に衝接するのを防止して、騒音の発生を防止すると共に、サブフレームF1の損傷による発錆を防止することができる。
【0039】
図2〜8に示すように、カバー本体10の延長部12外端部の、サブフレーム取付部13には、取付孔を開口した、一対の取付ボス13bが形成されると共にカバー本体10の左側縁の前部にも、前記一対の取付ボス13bに対応して、取付孔を開口した一対の他の取付ボス10bが設けられ、これらの取付ボス13b、10bが、骨格部材であるサブフレームF1の後縁部にボルト止め31(図7参照)により固定される。
【0040】
なお、図2、8に示すように、カバー本体10の左側後縁部にも、取付孔を開口した複数の他の取付ボス10b′が設けられ、これらの取付ボス10b′は、車体フレームに設けた取付部(図示せず)に固定される。
【0041】
次に、この実施の態様の作用について説明する。
【0042】
自動車の走行による走行気流は、サブフレームF1からアンダーカバー1の下面をビード14、24により整流されつつ流れ、一方、エンジンルームからの気流は、サブフレームF1からアンダーカバー1上面をビード14、24により整流されつつ流れ、それらの流れの衝突による乱気流を防止して空気抵抗を減少させ、燃費の向上に寄与することができる。
【0043】
アンダーカバー1は、高熱源部材である排気系Exに対向する部分をアル合金製放熱板20により形成し、かつ最も高温の高熱源部材である、触媒Cの直下に切欠部22を形成しているので、放熱性がよく、アンダーカバー1は、その主体部分であるカバー本体10が合成樹脂製であるにも拘らず、その放熱性に優れ、アンダーカバー1の熱による損傷を防止することができる。
【0044】
なお、切欠部22と触媒Cとの間には、エンジンEのアイドリング運転時の触媒Cの揺動を考慮して、25mm以上の間隔があけられる。
【0045】
アンダーカバー1に下からの突き上げ荷重が作用したとき、この荷重を合成樹脂製カバー本体10の前記段部12aの弾性変形により吸収し、カバー本体10の復元力を確保して放熱板20の変形を防止することができる。
【0046】
放熱板20は、カバー本体10の延長部12に向けて延出されて、その延長部12上に固定される延出部23を備え、この延出部23に、第1の高剛性部23aを設けたことにより、放熱板20の剛性が高められると共に、前記段部12aによる、突き上げ荷重に対するカバー本体10の延長部12の復元作用が助成される。また前記カバー本体10の延長部12には、サブフレーム取付部13とカバー本体10の縁部との間に第2の高剛性部12cを設けたことにより、カバー本体10のサブフレーム取付部13の剛性を高めると共に、前記段部12aとの協働により突き上げ荷重に対するカバー本体10の延長部12の復元力が高められる。
【0047】
カバー本体10の延長部12と、そこに接合される放熱板20の延出部23との間には、閉断面構造の緩衝空間bが形成されることにより、放熱板20の延出部23の剛性が高められる共に、放熱板の冷却効率が向上する。
【0048】
前記放熱板20の延出部23に形成される前記第1の高剛性部23aは、上方に膨出する複数条のビードより構成されることにより閉断面構造の緩衝空間bを確保しながら、放熱板20の延出部23の剛性が一層高められる。
【0049】
前記カバー本体10の延長部12は、サブフレームF1に固定するためのサブフレーム取付部13を有し、このサブフレーム取付部13には、サブフレームF1に当接する複数の突起13aが突設され、延長部12とサブフレームF1との間に緩衝間隙bが形成されることにより、アンダーカバー1に下からの突き上げ荷重が作用したとき、アンダーカバー1がサブフレームF1に衝突するのを防止し、騒音の発生とサブフレームF1の損傷による発錆が防止される。
【0050】
前記放熱板20は、触媒Cに対向する切欠部22を設けたことにより、触媒Cから発散する高熱の気流を、その切欠部22を通してアンダーカバー1の下方に放散させることができ、触媒Cおよびアンダーカバー1の冷却効率が高められる。
【0051】
前記アンダーカバー1は、自動車の前後方向に延びる複数条のビード14,24を備えることにより、アンダーカバー1の剛性が高められ、そのアンダーカバー1の自重による変形が防止され、また、アンダーカバー1の上面および下面を流れるエンジンルームからの気流および走行気流に整流作用を与えて、それらの乱気流を抑え、空気抵抗を減少させる。
【0052】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこの実施の形態に限定されることなく、本発明の範囲内で種々の実施の形態が可能である。
【0053】
たとえば、前記実施の形態では、アンダーカバー1を骨格部材としてのサブフレームF1に接合した場合を説明したが、アンダーカバー1を骨格部材としての他の車体フレームに接合してもよい。また、前記実施の態様では、アンダーカバー1の放熱板20の上方に、高熱源部材としての排気系Exが対向している場合を説明したが、前記放熱板20の上方に、他の高熱源部材を対向させるようにしてもよい。また、前記実施の態様では、放熱板20をアルミ合金板としているが、これを放熱性のよい他の金属板により形成してもよい。
【符号の説明】
【0054】
1・・・・・・・・・アンダーカバー
10・・・・・・・・・カバー本体
12・・・・・・・・・延長部
12a・・・・・・・・段部
12c・・・・・・・・第2の高剛性部
13・・・・・・・・・骨格部材取付部(サブフレーム取付部)
13a・・・・・・・・突起
14・・・・・・・・・ビード
20・・・・・・・・・放熱板
22・・・・・・・・・切欠部
23・・・・・・・・・延出部
23a・・・・・・・・第1の高剛性部
C・・・・・・・・・高熱源部材(触媒)
E・・・・・・・・・エンジン
Ex・・・・・・・・・高熱源部材(排気系)
F1・・・・・・・・・骨格部材(サブフレーム)
a・・・・・・・・・緩衝間隙
b・・・・・・・・・緩衝空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン(E)に連なる高熱源部材(Ex)の周辺において、車体下部フレームの一部を構成する骨格部材(F1)に、走行気流とエンジンルームからの気流を上下に分流させるアンダーカバー(1)を一体に設け、
そのアンダーカバー(1)を、合成樹脂製のカバー本体(10)と、そのカバー本体(10)に接合される金属製の放熱板(20)とより構成して前記骨格部材(F1)に緩衝間隙(a)を存して固定し、前記放熱板(20)の上方を前記高熱源部材(Ex)に対向させてなる自動車の車体下部構造であって、
前記カバー本体(10)は前記骨格部材(F1)に向かって延びる延長部(12)を備え、この延長部(12)に、骨格部材取付部(13)を設けると共にこの骨格部材取付部(13)の近傍に段部(12a)を形成し、この段部(12a)は、前記カバー本体(10)に、そこに作用する下方からの突き上げ荷重に対する復元力を付与することを特徴とする、自動車の車体下部構造。
【請求項2】
前記放熱板(20)は、カバー本体(10)の延長部(12)に向けて延出されて、その延長部(12)上に固定される延出部(23)を備え、この延出部(23)に、第1の高剛性部(23a)を設けたことを特徴とする、前記請求項1記載の自動車の車体下部構造。
【請求項3】
前記カバー本体(10)の延長部(12)には、前記骨格部材取付部(13)とカバー本体(10)の縁部との間に第2の高剛性部(12c)を設けたことを特徴とする、前記請求項1または2記載の自動車の車体下部構造。
【請求項4】
前記カバー本体(10)の延長部(12)と、その上に接合される前記放熱板(20)の延出部(23)との間には、閉断面構造の緩衝空間(b)が形成されることを特徴とする、前記請求項1、2または3記載の自動車の車体下部構造。
【請求項5】
前記放熱板(20)の延出部(23)に形成される前記第1の高剛性部(23a)は、上方に膨出する複数条のビードよりなることを特徴とする、前記請求項2記載の自動車の車体下部構造。
【請求項6】
前記カバー本体(10)の延長部(12)は、前記骨格部材(F1)に固定するための骨格部材取付部(13)を有し、この骨格部材取付部(13)には、骨格部材(F1)に当接し得る複数の突起(13a)を突設して、延長部(12)と骨格部材(F1)との間に緩衝間隙(a)を形成したことを特徴とする、前記請求項1、2、3、4または5記載の自動車の車体下部構造。
【請求項7】
前記放熱板(20)は、高熱源部材(Ex)の高熱源部(C)に対向する切欠部(22)を設けたことを特徴とする、前記請求項1、2、3、4、5または6記載の自動車の車体下部構造。
【請求項8】
前記アンダーカバー(1)は、自動車の前後方向に延びる複数条のビード(14,24)を備えることを特徴とする、前記請求項1、2、3、4、5、6または7記載の自動車の車体下部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−201266(P2012−201266A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−68693(P2011−68693)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】