説明

自動車の車体前部構造

【課題】 バンパーレインフォースメントに牽引フックアンカーを貫通状に取付けて、牽引フックアンカーの取付強度を高くすると共に、バンパーレインフォースメントの軽量化、低コスト化を図ることができる、自動車の車体前部構造を提供する
【解決手段】 バンパーレインフォースメント6は、前方が開放するように後壁21と上壁22と下壁23とを有する縦断面コ字形状に形成されたベース板20を有し、バンパーレインフォースメント6に、後方が開放するように前板部41と左右1対の側板部42とを有する横断面コ字形状に形成されたブラケット40を設け、ブラケット40の1対の側板部42をベース板20の後壁21及び上壁22及び下壁23に接合し、牽引フックアンカー17の前部をブラケット40の前板部41に貫通状に接合すると共に、牽引フックアンカー17の後部をベース板20の後壁21に貫通状に接合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、牽引フックを着脱可能な牽引フックアンカーをバンパーレインフォースメントに貫通状に取付けるようにした自動車の車体前部構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の車体前部に、左右のフロントサイドフレームの前端部に連結されたバンパーレインフォースメントを設け、このバンパーレインフォースメントに、牽引フックを着脱可能な牽引フックアンカーを取付けた構造が周知である。例えば、特許文献1の車体前部構造では、牽引フックが筒状の牽引フックアンカーに螺合されて装着され、この牽引フックアンカーがバンパーレインフォースメントに貫通状に取付けられている。
【0003】
バンパーレインフォースメントは、車幅方向略全長に亙って延びるアウタパネルとインナパネルとからなる略矩形閉断面のクロスメンバを有し、アウタパネルは後方を開放する縦断面コ字形状に形成され、インナパネルは帯板状に形成されアウタパネルの上壁及び下壁の後端部に接合されている。このクロスメンバに牽引フックアンカーが貫通され、牽引フックアンカーの前部がクロスメンバのアウタパネルに内嵌状に接合され、牽引フックアンカーの後部がクロスメンバのインナパネルに内嵌状に接合されている。
【0004】
尚、クロスメンバの前側にバンパーフェースが配設され、このクロスメンバは左右のサイドフレームにクラッシュカンを介して連結されている。
【特許文献1】特開2002−331889号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のように、牽引フックアンカーをバンパーレインフォースメントに貫通状に取付ける場合、牽引フックアンカーの前部と後部を単にバンパーレインフォースメントのアウタパネルとインナパネルに内嵌状に接合するのでは、牽引フックアンカーの取付強度(支持強度)を確保できない虞がある。そこで、バンパーレインフォースメントのアウタパネル及びインナパネルの板厚を厚くして剛性を高めることで対処できるが、バンパーレインフォースメントの重量(即ち、車体重量)が重くなり、製作コストが高価になる。
【0006】
また、バンパーレインフォースメントのクロスメンバは、略矩形閉断面に形成されているため、このクロスメンバに車幅方向略全幅に亙って衝撃吸収体を簡単に確実に装着することが難しくなる。衝撃吸収体を設けない場合は衝突安全性能が低下する。ここで、クロスメンバのアウタパネルに、車幅方向略全幅に亙って前方が開放状の凹部を形成すると、その凹部に衝撃吸収体を装着可能になるが、クロスメンバのアウタパネルとインナパネル間の間隔、つまり、牽引フックアンカーをクロスメンバに接合する箇所の前後方向の間隔が小さくなるため、牽引フックアンカーの取付強度が低下する。
【0007】
また、バンパーレインフォースメントがクラッシュカンを介して左右のフロントサイドフレームに連結されている場合、車両衝突時、クラッシュカンが圧縮変形するように潰れることで衝撃が吸収されるが、バンパーレインフォースメントに牽引フックアンカーを貫通状に取付ける等の関係から、クラッシュカンに衝突荷重が適切な方向から作用しなくなり、クラッシュカンによる所期の衝撃吸収性能を期待できないため、衝突安全性能が低下する虞が生じる。
【0008】
本発明の目的は、バンパーレインフォースメントに牽引フックアンカーを貫通状に取付けて、牽引フックアンカーの取付強度を高くすると共に、バンパーレインフォースメントの軽量化、低コスト化を図り、また、バンパーレインフォースメントに衝撃吸収体を装着可能にし、車両衝突時にクラッシュカンによる所期の衝撃吸収性能を発揮させて、衝突安全性能を高めることができる、自動車の車体前部構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の自動車の車体前部構造は、自動車の車体前部に左右のフロントサイドフレームの前端部に連結され且つ前壁と後壁と上壁と下壁とを有する閉断面形状のバンパーレインフォースメントを備え、牽引フックを着脱可能な牽引フックアンカーをバンパーレインフォースメントのうちの左右のフロントサイドフレーム間の所定部位に貫通状に且つ前後方向に隔てた複数箇所で接合して取付けるようにした自動車の車体前部構造において、前記バンパーレインフォースメントに、後方が開放するように前板部と左右1対の側板部とを有する横断面コ字形状に形成されたブラケットを設け、前記ブラケットの1対の側板部を前記バンパーレインフォースメントの後壁及び上壁及び下壁に接合し、前記牽引フックアンカーの前部をブラケットの前板部に貫通状に接合すると共に、牽引フックアンカーの後部をバンパーレインフォースメントの後壁に接合したことを特徴とする。
【0010】
バンパーレインフォースメントは、前壁と後壁と上壁と下壁とを有する閉断面形状に形成され、このバンパーレインフォースメントには横断面コ字形状に形成されたブラケットが設けられ、このブラケットが、その1対の側板部をバンパーレインフォースメントの後壁及び上壁及び下壁に接合して確実に取付けられる。牽引フックアンカーの前部がブラケットの前板部に貫通状に接合され、牽引フックアンカーの後部がバンパーレインフォースメントの後壁に接合されて、牽引フックアンカーがバンパーレインフォースメントに貫通状に取付けられる。
【0011】
ブラケットにより、バンパーレインフォースメントのうち牽引フックアンカーを取付ける部分が補強され、バンパーレインフォースメントの強度低下が抑えられる。そして、ブラケットはバンパーレインフォースメントに確実に取付けられて、バンパーレインフォースメントと一体的に高い強度・剛性を有するものに構成され、バンパーレインフォースメントの後壁とブラケットの前板部間の間隔、つまり、牽引フックアンカーをバンパーレインフォースメントに接合する箇所の前後方向の間隔が長くなるため、牽引フックアンカーの取付強度が高くなる。
【0012】
ここで、請求項1の発明に次の構成を採用可能である。
前記バンパーレインフォースメントは、前方が開放するように後壁と上壁と下壁とを有する縦断面コ字形状に形成されたベース板と、そのベース板の前側に配設されてベース板の上壁及び下壁の前端部に接合され且つベース板よりも低剛性のクロージングプレートを有する(請求項2)。前記クロージングプレートに、車幅方向略全幅に亙って前方が開放状の凹部を形成し、前記クロージングプレートの凹部に装着され且つ凹部の前方へ突出する衝撃吸収体を設け、前記ブラケットの前板部をクロージングプレートの凹部の後壁部よりも前側へ位置させると共に、クロージングプレートに前記ブラケットが干渉しないようにブラケット貫通用の切欠き部を形成する(請求項3)。
【0013】
請求項4の自動車の車体前部構造は、自動車の車体前部に左右のフロントサイドフレームの前端部に連結されたバンパーレインフォースメントを備え、牽引フックを着脱可能な牽引フックアンカーをバンパーレインフォースメントのうちの左右のフロントサイドフレーム間の所定部位に貫通状に且つ前後方向に隔てた複数箇所で接合して取付けるようにした自動車の車体前部構造において、前記バンパーレインフォースメントが、前方が開放するように後壁と上壁と下壁とを有する縦断面コ字形状に形成されたベース板と、このベース板の前側に配設されてベース板の上壁及び下壁の前端部に接合され且つ車幅方向略全幅に亙って前方が開放状の凹部が形成されたクロージングプレートとを有し、前記クロージングプレートの凹部に装着され且つ凹部の前方へ突出する衝撃吸収体を設け、前記バンパーレインフォースメントに、クロージングプレートの上壁部の前端部と下壁部の前端部とに亙って架着されたブラケットを設け、前記牽引フックアンカーの前部をブラケットに貫通状に接合すると共に、牽引フックアンカーの後部をベース板の後壁に接合したことを特徴とする。
【0014】
バンパーレインフォースメントは、前方が開放するように縦断面コ字形状に形成されたベース板と、このベース板に接合されたクロージングプレートとを有する。クロージングプレートは、ベース板の前側に配設されてベース板の上壁及び下壁の前端部に接合され、このクロージングプレートに車幅方向略全幅に亙って前方が開放状の凹部が形成され、この凹部に凹部の前方へ突出する衝撃吸収体が装着される。バンパーレインフォースメントにはブラケットが設けられ、このブラケットがクロージングプレートの上壁の前端部と下壁の前端部とに亙って架着されて確実に取付けられる。牽引フックアンカーの前部がブラケットに貫通状に接合され、牽引フックアンカーの後部がベース板の後壁に接合されて、牽引フックアンカーがバンパーレインフォースメントに貫通状に取付けられる。
【0015】
ブラケットにより、ベース板のうち牽引フックアンカーを取付ける部位がクロージングプレートと共に補強され、クロージングプレート、ベース板の強度低下が抑えられる。そして、ブラケットはクロージングプレート、ベース板に確実に取付けられて、クロージングプレート、ベース板と一体的に高い強度・剛性を有するものに構成され、ベース板の後壁とブラケット間の間隔、つまり、牽引フックアンカーをバンパーレインフォースメントに接合する箇所の前後方向の間隔が長くなるため、牽引フックアンカーの取付強度が高くなる。
【0016】
ここで、請求項1,4の発明に次の構成を採用可能である。
前記ベース板のうち少なくとも牽引フックアンカーが取付けられる部位に、その後壁及び上壁及び下壁に後側から接合された補強部材を設ける(請求項5)。前記フロントサイドフレームとバンパーレインフォースメントとの間にクラッシュカンを設け、前記補強部材をクラッシュカンの前側の位置まで延長させる(請求項6)。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の自動車の車体前部構造によれば、バンパーレインフォースメントを、前壁と後壁と上壁と下壁とを有する閉断面形状に形成し、このバンパーレインフォースメントに、後方が開放するように前板部と左右1対の側板部とを有する横断面コ字形状に形成されたブラケットを設け、ブラケットの1対の側板部をバンパーレインフォースメントの後壁及び上壁及び下壁に接合し、牽引フックアンカーの前部をブラケットの前板部に貫通状に接合すると共に、牽引フックアンカーの後部をバンパーレインフォースメントの後壁に接合したので、次の効果を奏する。
【0018】
ブラケットにより、バンパーレインフォースメントのうち牽引フックアンカーを取付ける部分を補強して、バンパーレインフォースメントの強度低下を抑え、ブラケットをバンパーレインフォースメントに確実に取付けできて、バンパーレインフォースメントと一体的に高い強度・剛性を有するものに構成でき、バンパーレインフォースメントの後壁とブラケットの前板部間の間隔、つまり、牽引フックアンカーをバンパーレインフォースメントに接合する箇所の前後方向の間隔を長くして、牽引フックアンカーの取付強度を高くすることができる。従って、牽引フックアンカーの取付強度を高くするために、バンパーレインフォースメントの強度、剛性を必要以上に高くしなくてもよいので、バンパーレインフォースメントの軽量化、低コスト化が可能になる。
【0019】
請求項2の自動車の車体前部構造によれば、バンパーレインフォースメントは、前方が開放するように後壁と上壁と下壁とを有する縦断面コ字形状に形成されたベース板と、そのベース板の前側に配設されてベース板の上壁及び下壁の前端部に接合され且つベース板よりも低剛性のクロージングプレートを有するので、牽引フックアンカーをベース板とブラケットとに確実に取付けできることにより、ベース板よりも低剛性のクロージングプレートを採用して、クロージングプレートの軽量化、低コスト化を図り、それで以て、バンパーレインフォースメントの強度、剛性を大きく高めることができる。
【0020】
請求項3の自動車の車体前部構造によれば、クロージングプレートに、車幅方向略全幅に亙って前方が開放状の凹部を形成し、クロージングプレートの凹部に装着され且つ凹部の前方へ突出する衝撃吸収体を設け、ブラケットの前板部をクロージングプレートの凹部の後壁部よりも前側へ位置させると共に、クロージングプレートにブラケットが干渉しないようにブラケット貫通用の切欠き部を形成したので、バンパーレインフォースメントに衝撃吸収体を簡単に確実に装着できて、この衝撃吸収体により衝突安全性能を高めることができ、しかも、ベース板の後壁とブラケットの前板部間の間隔、つまり、牽引フックアンカーをベース板とブラケットに接合する箇所の前後方向の間隔を確実に長くして、牽引フックアンカーの取付強度を確実に高くすることができる。
【0021】
請求項4の自動車の車体前部構造によれば、バンパーレインフォースメントが、前方が開放するように後壁と上壁と下壁とを有する縦断面コ字形状に形成されたベース板と、このベース板の前側に配設されてベース板の上壁及び下壁の前端部に接合され且つ車幅方向略全幅に亙って前方が開放状の凹部が形成されたクロージングプレートとを有し、クロージングプレートの凹部に装着され且つ凹部の前方へ突出する衝撃吸収体を設け、バンパーレインフォースメントに、クロージングプレートの上壁部の前端部と下壁部の前端部とに亙って架着されたブラケットを設け、牽引フックアンカーの前部をブラケットに貫通状に接合すると共に、牽引フックアンカーの後部をベース板の後壁に接合した。
【0022】
つまり、ブラケットにより、ベース板のうち牽引フックアンカーを取付ける部分をクロージングプレートと共に補強して、牽引フックアンカーがクロージングプレート、ベース板を貫通する場合でも、クロージングプレート、ベース板の強度低下を抑え、ブラケットをクロージングプレート、ベース板に確実に取付けできて、クロージングプレート、ベース板と一体的に高い強度・剛性を有するものに構成でき、ベース板の後壁とブラケット間の間隔、つまり、牽引フックアンカーをベース板とブラケットに接合する箇所の前後方向の間隔を長くして、牽引フックアンカーの取付強度を高くすることができる。従って、牽引フックアンカーの取付強度を高くするために、バンパーレインフォースメントの強度、剛性を必要以上に高くしなくてもよいので、バンパーレインフォースメントの軽量化、低コスト化が可能になる。その他、請求項2と同様の効果を奏する。
【0023】
請求項5の自動車の車体前部構造によれば、ベース板のうち少なくとも牽引フックアンカーが取付けられる部位に、その後壁及び上壁及び下壁に後側から接合された補強部材を設けたので、牽引フックアンカーの取付けに影響を与えることなく、牽引フックアンカーを取付ける部分のベース板を確実に補強して、バンパーレインフォースメントの強度、剛性を更に高めることができる。
【0024】
請求項6の自動車の車体前部構造によれば、フロントサイドフレームとバンパーレインフォースメントとの間にクラッシュカンを設け、補強部材をクラッシュカンの前側の位置まで延長させたので、車両衝突時に、クラッシュカンに衝突荷重が適切な方向から加わるようにして、クラッシュカンを圧縮変形させるように潰して、クラッシュカンによる所期の衝撃吸収性能を発揮させて、衝突安全性能を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明の自動車の車体前部構造は、自動車の車体前部に左右のフロントサイドフレームの前端部に連結されたバンパーレインフォースメントを備え、牽引フックを着脱可能な牽引フックアンカーをバンパーレインフォースメントのうちの左右のフロントサイドフレーム間の所定部位に貫通状に且つ前後方向に隔てた複数箇所で接合して取付けるようにした構造である。
【実施例1】
【0026】
図1〜図3に示すように、自動車Cの車体前部には、フロントバンパー1がボンネットフード2や左右のフロントフェンダ3の前端に連なるように設けられ、それら1〜3等が自動車Cのフロントノーズ部分を構成している。フロントバンパー1は、ボンネットフード2及びフロントフェンダ3と略連続する形状となるように射出成形された合成樹脂製のバンパーフェース4と、左右のフロントサイドフレーム5の前端部に連結され且つ車幅方向に延びるように配設された鋼製のバンパーレインフォースメント6と、バンパーフェース4とバンパーレインフォースメント6との間に車幅方向に延びるように配設された発泡樹脂製の衝撃吸収体7等で構成されている。
【0027】
バンパーフェース4は、車幅方向の略中央部分から左右両端側に向かって徐々に後退するように全体として大きく湾曲形成された正面部分と、その左右両端側から車体後方に向かって延びてフロントフェンダ3に連続する側面部分とからなる。バンパーフェース4の下端部には、バンパーフェース4の内方に向かうように湾曲して延びる湾曲縁部4aと、湾曲縁部4aに連続して車体後方に延びる底板部4bが形成されている。バンパーフェース4の正面部分の上下方向の略中央部分において、車幅方向全長に亙って延びる帯状部分がバンパー機能部4cとされ、バンパー機能部4cよりも上側に、車幅方向略中央位置においてボンネットフード2の先端縁との間にフロントグリルを形成する中央切欠部8が形成され、その中央切欠部8の左右両側にヘッドランプ9が取付けられている。
【0028】
バンパーフェース4のバンパー機能部4cの下側に、中央空気導入口10と、その左右両側の側方空気導入口11が形成され、中央空気導入口10により自動車Cのエンジンルームに走行風が導入され、また、側方空気導入口11により前輪のブレーキ用ロータに走行風が導入される。バンパーフェース4の車体への取付けについては、図示省略するが、中央切欠部8と左右両側部位の上端に設けられた上側取付フランジ部がシュラウドアッパパネルに連結され、バンパーフェース4の底板部4bの後端側がシュラウドロワパネルに連結され、湾曲縁部4bの左右両側部位に設けられた下側取付フランジ部がペリメータフレームのフロントメンバに連結されている。
【0029】
図1〜図9に示すように、バンパーレインフォースメント6は、バンパーフェース4のバンパー機能部4cの後側に所定間隔空けて配設され、左右のフロントサイドフレーム5の前端部に夫々クラッシュカン15を介して連結されている。クラッシュカン15は、バンパーレインフォースメント6を介して入力される衝突荷重により圧縮変形して潰れることにより、衝突エネルギーを吸収するものであり、各クラッシュカン15は、フロントサイドフレーム5とバンパーレインフォースメント6との間に設けられて、その後下端部がフランジ15aを介してフロントサイドフレーム5に結合され、その前端部がバンパーレインフォースメント6に結合されている。
【0030】
バンパーレインフォースメント6は、左右のフロントサイドフレーム5間の間隔よりも長い左右長を有し、その左右両端部分が左右のフロントサイドフレーム5よりも左右両側へ少し張出した状態で設けられている。このバンパーレインフォースメント6のうちの左右のフロントサイドフレーム5間の所定部位、詳しくは、左側(又は右側)のフロントサイドフレーム5の前側近傍で且つフロントサイドフレーム5よりも車幅方向中心側の部位に、牽引フック16を前側から螺合により着脱可能な筒状の前後方向向きの牽引フックアンカー17が貫通状に且つ前後方向に隔てた複数箇所で接合されて取付けられている。
【0031】
図4〜図9に示すように、バンパーレインフォースメント6は、車幅方向に長いベース板20及びクロージングプレート30を有し、このベース板20とクロージングプレート30が接合されて閉断面が形成され、ベース板20がクラッシュカン15の前端部に連結支持され、クロージングプレート30に衝撃吸収体7が装着されている。バンパーレインフォースメント6には、ベース板20に接合されたブラケット40が設けられ、このブラケット40を介して牽引フックアンカー17がバンパーレインフォースメント6(ベース板20)に取付けられている。
【0032】
ベース板20は、前方が開放するように後壁21と上壁22と下壁23とを有する縦断面コ字形状に形成され、上壁22の前端部に上側に張出す上端フランジ部22aが形成され、下壁23の前端部に下側に張出す下端フランジ部23aが形成されている。また、ベース板20のうち牽引フックアンカー17が取付けられる部位(以下、ベース板20のアンカー取付部位という)には、ベース板20の後壁21及び上壁22及び下壁23に後側から接合された補強部材25が設けられている。
【0033】
ベース板20のアンカー取付部位において、後壁21と補強部材25には、牽引フックアンカー17が貫通するアンカー貫通穴21a,25aが形成され、牽引フックアンカー17の後部が補強部材25に貫通状に接合(溶接)されている。尚、牽引フックアンカー17を後壁21に貫通状に接合してもよいし接合しなくてもよい。ここで、補強部材25のうち少なくともアンカー貫通穴25aが形成された部分は、後壁21から後側へ離隔して膨出され、これにより、牽引フックアンカー17の後端部付近を補強部材25に接合し、牽引フックアンカー17を前方へ突出させ過ぎないように取付けることが可能になる。
【0034】
クロージングプレート30は、ベース板20の前側に配設されてバンパーレインフォースメント6の前壁を構成し、その上端フランジ部30aと下端フランジ部30bが、ベース板20の上端フランジ部21aと下端フランジ部22aに夫々接合されている。クロージングプレート30には、車幅方向略全幅に亙ってベース板20の上壁21と下壁22との間において前方が開放状の後壁部31aを含む凹部31が形成され、衝撃吸収体7は、この凹部31に装着されて凹部31の前方へ突出している。クロージングプレート30には、ベース板20のアンカー取付部位に対応する部位にブラケット貫通用の切欠き部30dが形成されている。
【0035】
ブラケット40は、後方が開放するように前板部41と左右1対の側板部42とを有する横断面コ字形状に形成され、ベース板20のアンカー取付部位において、後壁21と上壁22と下壁23からなる凹部の内部に収容された状態で取付けられている。ブラケットの1対の側板部42には、その後端部と上端部と下端部から夫々左右両側へ張出す、後端フランジ部42aと上端フランジ部42bと下端フランジ部42cが形成され、後端フランジ部42aが後壁21に接合され、上端フランジ部42bが上壁22に接合され、下端フランジ部42cが下壁23に接合されている。
【0036】
ブラケット40の前板部41は、クロージングプレート30の凹部31の後壁部31aよりも前側へ位置しており、それ故、クロージングプレート30に、ブラケット40が干渉しないようにブラケット貫通用の切欠き部30dが形成され、この切欠き部30dは、正面視にて前板部41よりも少し大きな矩形穴に形成されている。前板部41には、牽引フックアンカー17が貫通するアンカー貫通穴41aが形成され、牽引フックアンカー17の前部がブラケット40の前板部41に貫通状に接合(溶接)されている。
【0037】
衝撃吸収体7において、牽引フックアンカー17の前側部分に牽引フック挿通孔7aが形成され、また、バンパーフェース4にも牽引フック挿通孔4aが形成され(図1、図2参照)、この牽引フック挿通孔7a,4aを通して牽引フック16が牽引フックアンカー17に着脱可能に装着される。尚、前記のように、ブラケット40はクロージングプレート30の後壁部31aよりも前側へ突出しているが、このブラケット40の突出する部分とも干渉しないように衝撃吸収体7が形成されている。
【0038】
こうして、牽引フックアンカー17は、その前部をブラケット40の前板部41に貫通状に接合すると共に、その後部をベース板20の後壁21の補強部材25に貫通状に接合して、牽引フック16を前側から着脱可能に、牽引フックアンカー17がバンパーレインフォースメント6に貫通状に取付けられている。
【0039】
以上説明した自動車Cの車体前部構造によれば次の効果を奏する。
バンパーレインフォースメント6は、前方が開放するように後壁21と上壁22と下壁23とを有する縦断面コ字形状に形成されたベース板20を有し、バンパーレインフォースメント6に、後方が開放するように前板部41と左右1対の側板部42とを有する横断面コ字形状に形成されたブラケット40を設け、ブラケット40の1対の側板部42をベース板20の後壁21及び上壁22及び下壁23に接合し、牽引フックアンカー17の前部をブラケット40の前板部41に貫通状に接合すると共に、牽引フックアンカー17の後部をベース板20の後壁21に貫通状に接合した。
【0040】
従って、ブラケット40により、ベース板20のアンカー取付部位を補強して、ベース板20の強度低下を抑え、ブラケット40をベース板20に確実に取付けできて、ベース板20と一体的に高い強度・剛性を有するものに構成でき、ベース板20の後壁21とブラケット40の前板部41と間の間隔、つまり、牽引フックアンカー17をバンパーレインフォースメント6に接合する箇所の前後方向の間隔を長くして、牽引フックアンカー17の取付強度を高くすることができる。従って、牽引フックアンカー17の取付強度を高くするために、バンパーレインフォースメント6の強度、剛性を必要以上に高くしなくてもよいので、バンパーレインフォースメント6の軽量化、低コスト化が可能になる。
【0041】
バンパーレインフォースメント6が、ベース板20とベース板20の前側に配設されてベース板20の上壁22及び下壁23の前端部に接合され且つベース板20よりも低剛性のクロージングプレート30を有するので、牽引フックアンカー17をベース板20とブラケット40に確実に取付けできることにより、ベース板20よりも低剛性のクロージングプレート30を採用して、クロージングプレート30の軽量化、低コスト化を図り、それで以て、バンパーレインフォースメント6の強度、剛性を大きく高めることができる。
【0042】
クロージングプレート30に、車幅方向略全幅に亙って前方が開放状の凹部31を形成し、凹部31に装着され且つ凹部31の前方へ突出する衝撃吸収体7を設け、ブラケット40の前板部41を凹部31の後壁部31aよりも前側へ位置させると共に、クロージングプレート30にブラケット40が干渉しないようにブラケット貫通用の切欠き部30dを形成したので、バンパーレインフォースメント6に衝撃吸収体7を簡単に確実に装着できて、この衝撃吸収体7により衝突安全性能を高めることができ、しかも、ベース板20の後壁21とブラケット40の前板部41と間の間隔、つまり、牽引フックアンカー17をベース板20とブラケット40に接合する箇所の前後方向の間隔を確実に長くして、牽引フックアンカー17の取付強度を確実に高くすることができる。
【0043】
ベース板20のうち少なくとも牽引フックアンカー17が取付けられる部位に、その後壁21及び上壁22及び下壁23に後側から接合された補強部材25を設けたので、牽引フックアンカー17の取付けに影響を与えることなく、ベース板20のアンカー取付部位を確実に補強して、バンパーレインフォースメント6の強度、剛性を更に高めることができる。フロントサイドフレーム5とバンパーレインフォースメント6との間にクラッシュカン15を設け、補強部材25をクラッシュカン15の前側の位置まで延長させたので、車両衝突時に、クラッシュカン15に衝突荷重が適切な方向から加わるようにして、クラッシュカン15を圧縮変形させるように潰して、クラッシュカン15による所期の衝撃吸収性能を発揮させて、衝突安全性能を高めることができる。
【0044】
実施例1を次のように部分的に変更してもよい。
1]図10に示すように、補強部材25を省略する。この場合、牽引フックアンカー17をベース板20の後壁21に貫通状に接合し、クラッシュカン15の前端部をベース板20の後壁21に直接接合する。また、図示省略するが、補強部材25をベース板20のアンカー取付部位にのみを補強するように設けてもよい。この場合も、クラッシュカン15の前端部をベース板20の後壁21に直接接合する。
【0045】
2]図11に示すように、牽引フックアンカー17をベース板20の後壁21に非貫通状に接合する。この場合、牽引フックアンカー17の後端部をベース板20の後壁21に当接状に接合する。牽引フックアンカー17の取付け位置が多少前側になるが、牽引フックアンカー17がフロントバンパー1よりも前方へ突出しなければ問題ない。これにより、ベース板20の後壁21に形成されたアンカー貫通穴21a、更に、補強部材25に形成されたアンカー貫通穴25aを省略できる。
【0046】
3]図12に示すように、バンパーレインフォースメント6Aにおいて、ベース板20の後壁21とクロージングプレート30Aとの間の前後方向の間隔を大きくし、このベース板20とクロージングプレート30Aとで形成された閉断面内に、ブラケット40を完全に収容するように構成する。この場合、クロージングプレート30Aを帯板状に形成することができ、このクロージングプレート30Aに、牽引フック16が挿通する牽引フック挿通孔30eを形成することになる。また、この場合、衝撃吸収体7を省略してもよいし、前記実施例よりも前後幅が小さい衝撃吸収体7を設けてもよい。
【実施例2】
【0047】
実施例2の自動車Cの車体前部構造は、実施例1において、フロントバンパー1の構造と、牽引フックアンカー17を取付ける構造を変更したものであり、その他の構造は実施例1と同様である。尚、実施例1と基本的に同じものには同一符号を付して説明する。
【0048】
図13〜図16に示すように、バンパーレインフォースメント6Bは、車幅方向に長いベース板20B及びクロージングプレート30Bを有し、ベース板20Bとクロージングプレート30Bが接合されて閉断面が形成され、ベース板20Bがクラッシュカン15の前端部に連結支持され、クロージングプレート30Bに衝撃吸収体7Bが装着されている。バンパーレインフォースメント6Bには、クロージングプレート30Bに接合されたブラケット40Bが設けられ、このブラケット40Bを介して牽引フックアンカー17がバンパーレインフォースメント6B(クロージングプレート30B)に取付けられている。
【0049】
ベース板20Bは、実施例1のベース板20と同様の構造であり、後壁21、上壁22、下壁23を有し、上壁22と下壁23に上端フランジ部22aと下端フランジ部23aが形成され、ベース板20Bのアンカー取付部位において、後壁21及び上壁22及び下壁23に後側から接合された補強部材25が設けられ、後壁21と補強部材25にアンカー貫通穴21a,25aが形成され、牽引フックアンカー17の後部が補強部材25に貫通状に接合(溶接)されている。
【0050】
クロージングプレート30Bは、前方が開放するように後壁部50と上壁部51と下壁部52とを有する縦断面コ字形状に形成され、上壁部51の前端部に上側に張出す上端フランジ部51aが形成され、下壁部52の前端部に下側に張出す下端フランジ部52aが形成されている。クロージングプレート30Bは、ベース板20Bの前側に配設され、その上端フランジ部51aと下端フランジ部52aが、ベース板20Bの上端フランジ部22aと下端フランジ部23aに夫々接合されている。
【0051】
クロージングプレート30Bには、車幅方向略全幅に亙ってベース板20の上壁22と下壁23との間において前方が開放状の後壁部50と上壁部51と下壁部52からなる凹部53が形成され、衝撃吸収体7Bは、この凹部53に装着されて凹部53の前方へ突出している。クロージングプレート30Bの後壁部50には、ベース板20Bのアンカー取付部位に対応する部位にアンカー貫通穴50aが形成されている。
【0052】
ブラケット40Bは、上下方向に長い板状部60と、板状部60の左右両端部を前方へ折曲げられた補強部61とを有する横断面門形に形成され、クロージングプレート30Bの上下長と略同じ上下長を有する。ブラケット40Bは、ベース板20Bのアンカー取付部位に対応する部位において、クロージングプレート30Bの前側に配設され、その上下両端部が、クロージングプレート30の上端フランジ部51aと下端フランジ部52aに夫々接合されて、ブラケット40Bがクロージングプレート30Bの上壁部51の前端部と下壁部52の前端部とに亙って架着されている。
【0053】
ブラケット40Bの板状部60には、牽引フックアンカー17が貫通するアンカー貫通穴60aが形成され、牽引フックアンカー17の前部がブラケット40Bに貫通状に接合(溶接)されている。衝撃吸収体7Bにおいて、牽引フックアンカー17の前側部分に牽引フック挿通孔7bが形成され、また、ブラケット40Bとも干渉しないように衝撃吸収体7Bが形成されている。
【0054】
こうして、牽引フックアンカー17は、その前部をブラケット40Bに貫通状に接合すると共に、その後部をベース板20Bの後壁21の補強部材25に貫通状に接合して、牽引フック16を前側から着脱可能に、牽引フックアンカー17がバンパーレインフォースメント6Bに貫通状に取付けられている。
【0055】
以上説明した自動車Cの車体前部構造によれば次の効果を奏する。
バンパーレインフォースメント6Bが、前方が開放するように後壁21と上壁22と下壁23とを有する縦断面コ字形状に形成されたベース板20Bと、このベース板20Bの前側に配設されてベース板20Bの上壁22及び下壁23の前端部に接合され且つ車幅方向略全幅に亙って前方が開放状の凹部53が形成されたクロージングプレート30Bとを有し、クロージングプレート30Bの凹部53に装着され且つ凹部53の前方へ突出する衝撃吸収体7Bを設け、バンパーレインフォースメント6Bに、クロージングプレート30Bの上壁部51の前端部と下壁部52の前端部とに亙って架着されたブラケット40Bを設け、牽引フックアンカー17の前部をブラケット40Bに貫通状に接合すると共に、牽引フックアンカー17の後部をベース板20Bの後壁21に接合した。
【0056】
つまり、ブラケット40Bにより、ベース板20Bのアンカー取付部位をクロージングプレート30Bと共に補強して、クロージングプレート30B、ベース板20Bの強度低下を抑え、ブラケット40Bをクロージングプレート30B、ベース板20Bに確実に取付けできて、クロージングプレート30B、ベース板20Bと一体的に高い強度・剛性を有するものに構成でき、ベース板20Bの後壁21とブラケット40B間の間隔、つまり、牽引フックアンカー17をベース板20Bとブラケット40Bに接合する箇所の前後方向の間隔を長くして、牽引フックアンカー17の取付強度を高くすることができる。従って、牽引フックアンカー17の取付強度を高くするために、バンパーレインフォースメント6Bの強度、剛性を必要以上に高くしなくてもよいので、バンパーレインフォースメント6Bの軽量化、低コスト化が可能になる。その他、実施例1と同様の効果を奏する。
【0057】
実施例2を次のように部分的に変更してもよい。
1]図17に示すように、ベース板20のアンカー取付部位において、後壁部21の前面部に補強板70を溶接して設け、更に、その補強板70をクラッシュカン15の前側まで延長させる。この場合、補強板70にアンカー貫通穴を設け、その穴に牽引フックアンカー17を貫通させ、場合により接合する。前記補強部材25と同様に、バンパーレインフォースメント6Bの強度、剛性を高め、クラッシュカン15による所期の衝撃吸収性能を発揮させて、衝突安全性能を高めるのに寄与させることができる。尚、図17はクロージングプレート30Bを省略した図である。
【0058】
2]ベース板20Bのアンカー取付部位に対応するクロージングプレート30Bの上端フランジ部51aと下端フランジ部52aとを含む部分を切欠いて、ブラケット40Bの上下両端部をベース板20Bの上端フランジ部22aと下端フランジ部23aに接合する。
3]実施例1の変更例1]〜3]を採用する。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を付加して実施可能であり種々の自動車の車体前部構造に本発明を適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】実施例1の自動車の車体前部の斜視図である。
【図2】車体前部の正面図である。
【図3】車体前部の側面図である。
【図4】バンパーレインフォースメントの前上側からの斜視図である。
【図5】バンパーレインフォースメントの後上側からの斜視図である。
【図6】バンパーレインフォースメントの正面図である。
【図7】バンパーレインフォースメントの正面図である。
【図8】バンパーレインフォースメントと衝撃吸収体の横断面図である。
【図9】図8のIX−IX線断面図である。
【図10】変更例の図9相当図である。
【図11】変更例の図9相当図である。
【図12】変更例の図8相当図である。
【図13】実施例2のバンパーレインフォースメントの前上側からの斜視図である。
【図14】バンパーレインフォースメントの正面図である。
【図15】バンパーレインフォースメントと衝撃吸収体の横断面図である。
【図16】図15のXVI −XVI 線断面図である。
【図17】変更例の図13相当図である。
【図18】変更例の図13相当図である。
【符号の説明】
【0060】
C 自動車
5 フロントサイドフレーム
6,6A,6B バンパーレインフォースメント
7,7B 衝撃吸収体
15 クラッシュカン
16 牽引フック
17 牽引フックアンカー
20,20B ベース板
21 後壁
22 上壁
23 下壁
25 補強部材
30,30A,30B クロージングプレート
30d 切欠き部
31 53 凹部
40,40B ブラケット
41 前板部
42 側板部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の車体前部に左右のフロントサイドフレームの前端部に連結され且つ前壁と後壁と上壁と下壁とを有する閉断面形状のバンパーレインフォースメントを備え、牽引フックを着脱可能な牽引フックアンカーをバンパーレインフォースメントのうちの左右のフロントサイドフレーム間の所定部位に貫通状に且つ前後方向に隔てた複数箇所で接合して取付けるようにした自動車の車体前部構造において、
前記バンパーレインフォースメントに、後方が開放するように前板部と左右1対の側板部とを有する横断面コ字形状に形成されたブラケットを設け、
前記ブラケットの1対の側板部を前記バンパーレインフォースメントの後壁及び上壁及び下壁に接合し、
前記牽引フックアンカーの前部をブラケットの前板部に貫通状に接合すると共に、牽引フックアンカーの後部をバンパーレインフォースメントの後壁に接合したことを特徴とする自動車の車体前部構造。
【請求項2】
前記バンパーレインフォースメントは、前方が開放するように後壁と上壁と下壁とを有する縦断面コ字形状に形成されたベース板と、そのベース板の前側に配設されてベース板の上壁及び下壁の前端部に接合され且つベース板よりも低剛性のクロージングプレートを有することを特徴とする請求項1に記載の自動車の車体前部構造。
【請求項3】
前記クロージングプレートに、車幅方向略全幅に亙って前方が開放状の凹部を形成し、
前記クロージングプレートの凹部に装着され且つ凹部の前方へ突出する衝撃吸収体を設け、
前記ブラケットの前板部をクロージングプレートの凹部の後壁部よりも前側へ位置させると共に、クロージングプレートに前記ブラケットが干渉しないようにブラケット貫通用の切欠き部を形成したことを特徴とする請求項2に記載の自動車の車体前部構造。
【請求項4】
自動車の車体前部に左右のフロントサイドフレームの前端部に連結されたバンパーレインフォースメントを備え、牽引フックを着脱可能な牽引フックアンカーをバンパーレインフォースメントのうちの左右のフロントサイドフレーム間の所定部位に貫通状に且つ前後方向に隔てた複数箇所で接合して取付けるようにした自動車の車体前部構造において、
前記バンパーレインフォースメントが、前方が開放するように後壁と上壁と下壁とを有する縦断面コ字形状に形成されたベース板と、このベース板の前側に配設されてベース板の上壁及び下壁の前端部に接合され且つ車幅方向略全幅に亙って前方が開放状の凹部が形成されたクロージングプレートとを有し、
前記クロージングプレートの凹部に装着され且つ凹部の前方へ突出する衝撃吸収体を設け、
前記バンパーレインフォースメントに、クロージングプレートの上壁部の前端部と下壁部の前端部とに亙って架着されたブラケットを設け、
前記牽引フックアンカーの前部をブラケットに貫通状に接合すると共に、牽引フックアンカーの後部をベース板の後壁に接合したことを特徴とする自動車の車体前部構造。
【請求項5】
前記ベース板のうち少なくとも牽引フックアンカーが取付けられる部位に、その後壁及び上壁及び下壁に後側から接合された補強部材を設けたことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の自動車の車体前部構造。
【請求項6】
前記フロントサイドフレームとバンパーレインフォースメントとの間にクラッシュカンを設け、
前記補強部材をクラッシュカンの前側の位置まで延長させたことを特徴とする請求項5に記載の自動車の車体前部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2006−321407(P2006−321407A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−147648(P2005−147648)
【出願日】平成17年5月20日(2005.5.20)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】