説明

自動車の車体構造

【課題】 ワイヤハーネスの取り外し性を向上することのできる車体構造を提供する。
【解決手段】 車体側7のワイヤハーネス8の配索経路に、このワイヤハーネス8の配索経路に向けて開口する凹部10が形成され、この凹部9によってワイヤハーネス取り外し用具11の挿入空間が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車の車体構造に関し、より詳しくは、ワイヤハーネスを配索した自動車の車体から容易にワイヤハーネスを取り外すことのできる車体構造に関する。
【0002】
【従来の技術】環境問題の認識の高まりのなか、資源の有効利用への関心が益々高まっている。このような問題は、廃棄処分された車両についても例外ではない。特に、近時の電子制御化された車両が使用しているワイヤハーネスの量は膨大であり、これを無視することはできなのが現状である。
【0003】このような実状から、ワイヤハーネスを分別回収してそのリサイクルが行われているが、車体からワイヤハーネスを取り外すための作業が容易ではないという問題がある。すなわち、ワイヤハーネスは、車体に隣接した状態つまり隙間が殆ど無い状態で配索されていることから、解体業者がワイヤハーネスを車体から取り外すときに、取り外し用具をワイヤハーネスにしっかりと係合させることが難しい。取り外し用具をワイヤハーネスに係合させるためには、何個かのクランプを外して取り外し用具の先端を入れるための空間を作る、等の余分の作業が必要となる。また、クレーン車を用いてワイヤハーネスを取り外すときには、ワイヤをワイヤハーネスの回りに通し、このワイヤをクレーン車で引っ張る、ということが行われていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような従来技術の問題点を解消し、車両の解体作業において、車体からワイヤハーネスを取り外す作業性を向上することのできる車体構造を提供することをその課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の技術的課題は、本発明によれば、車体のワイヤハーネスの配索経路に、該ワイヤハーネスの配索経路に向けて開口する凹部が形成され、該凹部によってワイヤハーネス取り外し用具の挿入空間が形成されていることを特徴とする自動車の車体構造を提供することによって達成される。
【0006】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を好ましい実施例に基づいて詳しく説明する。図1は、車体側1に取り付けられたワイヤハーネス2を示す。このワイヤハーネス2は、電線の端に連結したコネクタ3を有し、このコネクタ3を介して車両内の電気系統との接続が行われる。ワイヤハーネス2は、その長手方向に間隔を隔てて配置された複数の留め具4によって所定の位置に配索されている。図2は、運転席の足元の車体側7を平面視した概略図である。このワイヤハーネス8にあっても、その長手方向に間隔を隔てて配置された複数の留め具9によって所定位置に配索されている。
【0007】ワイヤハーネス2、8は、車体側1、7に対して隣接した状態つまり隙間が殆ど無い状態で取り付けられているものの(図3参照)、車体側1、7には、そのワイヤハーネス2、8の配索経路に沿って、ワイヤハーネス2、8の配索経路に向けて開口する凹部10が形成され、これら凹部10は間隔を隔てて複数配置されている。この凹部10によって、図4、図5から理解できるように、配索されたワイヤハーネス2、8と車体側1、7との間に、ワイヤハーネス取り外し用具の挿入空間が形成されている。凹部10により形成される挿入空間の形状は、ニブルや、クレーン車のクランパー等のワイヤハーネス取り外し用具の先端の形状に従ったものであることが望ましい。このようにすると、該先端の挿入作業が非常にスムーズとなる。
【0008】車体側1、7からワイヤハーネス2、8を取り外すときには、取り外し用具、例えば、図4に示すようにクレーン車のフック11を凹部10の中に入れてフック11でワイヤハーネス2、8を引っ掛けた状態にした後に、このフック11を引き上げて、ワイヤハーネス2、8を車体側1、7から取り外してもよく、図5に示すようにニブル11の一方の把持部12aを凹部10の中に入れてワイヤハーネス2、8を他方の把持部12bと協働してワイヤハーネス2、8をしっかりと把持した状態にした後に、ニブル12によってワイヤハーネス2、8を引っ張ってワイヤハーネス2、8を車体側1、7から取り外すこともできる。
【0009】上述のようにワイヤハーネス2、8の配索経路に沿って配置した凹部によって、取り外し用具の挿入空間が形成されているため、この取り外し用具11、12を容易且つ確実にワイヤハーネス2、8と係合させることができるので、ワイヤハーネス取り外し作業の作業性を向上することができる。
【0010】
【発明の効果】本発明によれば、前記構成を採用したので、車両の解体作業において、ワイヤハーネス取り外し用具の先端を容易且つ確実に係合させることができるため、分別回収を作業性よく行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】車体側に配索されたワイヤハーネスを示す図である。
【図2】車体側に配索されたワイヤハーネスを示す別の図である。
【図3】図2のIII−III線に沿った車体側の断面図である。
【図4】図2のIV−IV線に沿った車体側の断面図であり、車体側に形成した凹部にクレーン車のフックを挿入した状態を示す図である。
【図5】図2のIV−IV線に沿った車体側の断面図であり、車体側に形成した凹部にニブルの一方の把持部を挿入した状態を示す図である。
【符号の説明】
1 車体側
2 ワイヤハーネス
7 車体側
8 ワイヤハーネス
10 凹部
11 クレーン車のフック
12 ニブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】 車体のワイヤハーネスの配索経路に、該ワイヤハーネスの配索経路に向けて開口する凹部が形成され、該凹部によってワイヤハーネス取り外し用具の挿入空間が形成されていることを特徴とする自動車の車体構造。
【請求項2】 該凹部が、ワイヤハーネス取り外し用具の形状に応じた形状に形成されている請求項1に記載の自動車の車体構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2001−105997(P2001−105997A)
【公開日】平成13年4月17日(2001.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−288296
【出願日】平成11年10月8日(1999.10.8)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】