説明

自動車の車体構造

【課題】共通の基本フレームを用い、車高の異なる複数の車種に対して、共通の部材でバンパレインフォースメントの上下位置を調整する。
【解決手段】フロントサイドフレーム端部5aとフロントサイドフレーム端部に接合したセットプレート13の上下方向寸法を、バンパレインフォースメント10の接続部12よりも大きくし、セットプレート13に、その上部へバンパレインフォースメント10の接続部12を接合する一組の上側位置選択用ボルト孔13aと、その下部へ上記接続部12を接合する一組の下側位置選択用ボルト孔13bを設ける。前後方向に延びて後方へ向かうほど上下寸法が拡大されるサイドフレームレインフォースメント15の前端を、接続部12の後端と対面するようにセットプレート13に接合し、その後部をフロントサイドフレーム5と接合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の前部に左右一対配されるサイドフレームの端部と、衝突時に障害物と適切な高さでサイドフレームよりも先に衝突し、衝突荷重の吸収および左右サイドフレームへの分散を行うサイドフレームバンパレインフォースメントとの取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の前部に上記バンパレインフォースメントを設けることで、衝突時の衝突荷重を左右のサイドフレームに効果的に分散する、あるいはそれ自体が変形して衝突荷重を吸収することで、車体や乗員のダメージを軽減することが行われている。
【0003】
ところで、上記バンパレインフォースメントの高さは、対小型車両との衝突時に自車両が相手車両に乗り上げる事を防止して相手車両のダメージを軽減する事や、対大型車両との衝突時に自車両が相手車両に潜り込む事を防止して自車両のダメージを軽減する事といった、いわゆるコンパチビリティ性能を向上させる為、ある程度好適な位置が定まる。またバンパレインフォースメントとサイドフレーム端部との間に、それ自体が変形することで衝突荷重を吸収し、車体本体や乗員に対するダメージを軽減する、いわゆるクラッシュカンがさらに設けられているものもある。(例えば特許文献1参照。)
【0004】
図6、7は略同等の車体剛性である共通の基本フレームを有する2種類の車両を示すものであり、図6は前方からの斜視図、図7は車体前部の側面図である。図6、7に示すように、ベース車両と基本フレーム構造を共通化しつつ、車高や車体前部構造の異なる派生車を設定することが行われている。派生車としては、例えばベース車両が前輪駆動であるのに対して、四輪駆動とすると共に車輪を大型化して車高を上げることで、悪路走破性を向上した派生車や、ベース車両に対してサスペンションのバネ定数を高くすると共に車高を下げ、操安性を向上した派生車等が上げられる。なお、図6において(a)は、車輪が小さく車高の低いベース車両で、(b)は、ベース車両に対して車輪を大型化して車高を上げた派生車を示す。
この際、車高がベース車両と派生車とで異なる場合は、バンパレインフォースメントを地上から適切な高さにする為に、フレームに対する取付位置を変えることが好ましい。また仕向地における法規制によって、必要とされるバンパレインフォースメントの高さが異なることも有り、この場合においては、仕向地に応じてバンパレインフォースメントの位置を変える必要が生じる。さらにラジエータやサブフレームなど車体前部構造がベース車両と異なる場合は、他の部品とのレイアウトの関係からバンパレインフォースメントの高さを変える必要が生じることがある。
【0005】
このようにバンパレインフォースメントの位置を変更する必要がある場合には、派生車毎にフロントサイドフレームの形状を変更することで、衝突に対して適切な構造を確保しながらバンパレインフォースメントの位置変更に対応できる。しかしながら、派生車や仕向地毎に専用のフロントサイドフレームを作り分けると、基本的な車体剛性が変わることから、開発時に膨大な計算や実験等による検討が必要になる。
またフロントサイドフレームの形状を変更せずにバンパレインフォースメントやクラッシュカンの取付位置のみを変更することも考えられるが、バンパレインフォースメントからフロントサイドフレームに伝達される衝突荷重の伝達経路が変わるため、フロントサイドフレームの一部に応力が集中し、フロントサイドフレームの衝突に対する耐力が低下してしまう可能性があり、バンパレインフォースメントやクラッシュカンのフロントサイドフレームへの取付位置を変更する度に、フロントサイドフレームの衝突に対する耐力を検証する為の計算や実験が必要になると共に、耐力が不足した場合には、新たにフロントサイドフレームの形状変更の検討や、フロントサイドフレームを補強する専用の補強部材を設計する為の開発工数が発生する。
そこでバンパレインフォースメントやクラッシュカンの形状を変更することで、バンパレインフォースメントのフロントサイドフレームに対する取付位置をある程度変更しつつ、フロントサイドフレームの一部へ衝突荷重の応力が集中することを防ぐことが考えられる。
このようにバンパレインフォースメント、またはクラッシュカンを作り分ける方法では、フロントサイドフレームへの入力荷重特性が変化するので、取付位置を変更する範囲が限られたり、専用の補強部材が必要になるなどの制約があると共に、新たなバンパレインフォースメントやクラッシュカンを設計する為の開発工数の増加や、補修用部品の種類が増えることによる在庫の増加などでコストがかかるという問題がある。
【0006】
【特許文献1】特開平07−187003号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、派生車や仕向地の違い等によってバンパレインフォースメントの高さを変更する必要が生じても、これに共通の部材で対応できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に関わる第1の構成は、 車体の左右両側において前後方向に延設されるフロントサイドフレームと、該フロントサイドフレームより前方において車幅方向に配設されるバンパレインフォースメントとを備え、該バンパレインフォースメントに、上記両サイドフレーム端部に対して夫々取付可能なバンパレインフォースメント側取付部が備えられている自動車の車体構造であって、上記両サイドフレーム端部は、上下方向寸法が上記バンパレインフォースメント側取付部より大きく形成されていると共に、上記バンパレインフォースメント側取付部を上下方向に間隔を開けて設定された複数位置に選択的に取り付けて固定し得る上下位置選択取付部を備え、該上下位置選択取付部の後方に、上記サイドフレームに沿って後方に延びるサイドフレームレインフォースメントが設けられ、該サイドフレームレインフォースメントは、その前端が上記バンパレインフォースメント側取付部の後端と略対面するよう選択的に位置決めされると共に、上記サイドフレームと接合されることを特徴とするものである。
【0009】
上記第1の構成によれば、衝突時に障害物を受け止めるバンパレインフォースメントの位置を変更する場合でも、フロントサイドフレームの上下位置選択取付部から最適な上下位置を選択し、そこへバンパレインフォースメントの上下位置に係らず同じ形状のバンパレインフォースメントおよびサイドフレームレインフォースメントを取り付けたとしても、バンパレインフォースメント側取付部の後端とサイドフレームレインフォースメントの前端とが略対面するので、衝突に対してフロントサイドフレーム端部の一部への応力集中を防ぐ適切な構造を確保しながらバンパレインフォースメントの位置変更に柔軟に対応できることから、新たにバンパレインフォースメントの上下位置変更によるフロントサイドフレームの形状変更や、専用の補強部材の設計をする必要が無い為、開発の工数削減や、フロントサイドフレーム、サイドフレームレインフォースメント、バンパレインフォースメント等部品の共通化による量産効果、および補修用部品の在庫抑制によるコストダウンを図ることができる。
【0010】
本発明に関わる第2の構成は、上記構成1において、上記バンパレインフォースメントからフロントサイドフレーム端部に向かって車両前後方向に延びる連結部材が設けられ、該連結部材のフロントサイドフレーム側端部に上記バンパレインフォースメント側取付部が設けられていることを特徴とするものである。
【0011】
上記第2の構成によれば、連結部材のフロントサイドフレーム側端部にバンパレインフォースメント側取付部が設けられているので、バンパレインフォースメントの前後位置を調整する連結部材を設ける場合においても、バンパレインフォースメントおよび連結部材を両方とも形状変更することなく、バンパレインフォースメントの上下位置を容易に変更することができる。
【0012】
本発明に関わる第3の構成は、上記構成2において、上記連結部材は、所定値以上の前後方向の衝突荷重が入力された際に、座屈変形の起点となる変形起点部が設けられ、該座屈変形により上記衝突荷重を吸収するクラッシュカンであることを特徴とするものである。
【0013】
上記第3の構成によれば、連結部材が座屈変形による衝突荷重吸収性能を有するクラッシュカンである場合において、クラッシュカンの形状を変更することなくバンパレインフォースメントの上下位置を調節できるので、クラッシュカンの変形モードや衝突荷重吸収特性が変わらないことから、車高の変更やバンパレインフォースメント位置の異なる派生車に対して新たに異なる形状のクラッシュカンを用意する場合に比べ、求められる荷重吸収性能を達成するクラッシュカン形状の計算や実験が不要であり、開発工数を削減しながら、前突時における乗員安全性の確保、および軽衝突時の修理容易性の確保ができる。
【0014】
本発明に関わる第4の構成は、上記構成1ないし3の何れか1つにおいて、上記サイドフレーム端部には、上記バンパレインフォースメント側取付部よりも上下方向に延びる面を形成するセットプレートが接合されており、該セットプレートに、上記位置選択取付部が設けられると共に、上記サイドフレームレインフォースメントの前端が接合されることを特徴とするものである。
【0015】
上記第4の構成によれば、バンパレインフォースメント側取付部を任意の選択位置に容易に位置決めできると共に、前突時にバンパレインフォースメント側取付部から入力される衝突荷重をフロントサイドフレーム端部とサイドフレームレインフォースメントとに分散でき、フロントサイドフレーム端部の一部への応力集中を緩和してフロントサイドフレーム全体としての剛性を発揮させることができる。
【0016】
本発明に関わる第5の構成は、上記構成1ないし4の何れか1つにおいて、サイドフレームレインフォースメントは、後部が前部よりも上下方向に拡大するように形成されていると共に、該後部が上記サイドフレームに接合されることを特徴とするものである。
【0017】
上記第5の構成によれば、バンパレインフォースメント側取付部の上下方向寸法がフロントサイドフレーム端部の上下方向寸法よりも小さいにも拘らず、サイドフレームレインフォースメントによってフロントサイドフレームの上下方向のより広い範囲に衝突荷重を分散し、フロントサイドフレーム端部の一部への応力集中を効果的に低減できる。
【0018】
本発明に関わる第6の構成は、上記構成1−5の何れか1つにおいて、 上記サイドフレーム端部は断面が略矩形の内周面部を有し、上記上下位置選択取付部は上記バンパレインフォースメント側取付部を選択的に取り付けて固定可能なサイドフレーム側取付部を上下2箇所備え、上記サイドフレームレインフォースメントは、上記内周面部の左右側面に沿って延びる左右縦壁と、両縦壁の間に車幅方向に架け渡される横壁を備え、上記縦壁の上下方向一方の辺部を上記内周面部の上面に沿わせることで、上記横壁の前端が上記上下位置選択取付部の上側に位置するサイドフレーム側取付部に取り付けられた状態の上記バンパレインフォースメント側取付部と対向するよう位置決めされ、上記内周面部の下面に沿わせることで、上記横壁の前端が上記上下位置選択取付部の上記上下位置選択取付部の下側に位置するサイドフレーム側取付部に取り付けられた状態の上記バンパレインフォースメント側取付部と対向するよう位置決めされると共に、上記横壁は、後方へ向かって上記縦壁の一方の辺部から遠ざかる側へ傾斜して延びることを特徴とするものである。
【0019】
上記第6の構成によれば、サイドフレームレインフォースメントの横壁がフロントサイドフレーム端部を補強すると共に、サイドフレームレインフォースメントの横壁前端をバンパレインフォースメント側取付部と対面する位置に容易に精度良く位置決めできるので、サイドフレームレインフォースメントのフロントサイドフレームへの組付け性を向上できる。また、フロントサイドフレーム端部には、サイドフレームレインフォースメントによって、後方に向かって拡がる切頭錐状の閉断面が形成され、この切頭錐状の閉断面によってバンパレインフォースメント側取付部を受け止めているので、フロントサイドフレーム端部の車両前後方向の耐力が重量の増加を抑えながら高められ、衝突時には、バンパレインフォースメントからの衝突荷重が直接サイドフレームレインフォースメントの各壁を介してフロントサイドフレームの広い範囲に分散されることから、衝突安全性能を向上できる。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、本発明によれば、バンパレインフォースメントの位置を変更する必要が生じた場合でも、共通の部材によって衝突に対してフロントサイドフレームの一部への応力集中を防ぐ適切な構造を確保しながら柔軟に対応でき、開発の工数削減や、部品の量産効果および在庫抑制によるコストダウンを図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を実施するために最適と考える実施形態を、図1ないし図7に基づいて説明する。
図1は、本発明の好適な実施形態に係る自動車の車体前部構造の基本構造を示す斜視図であり、図2は、フロントサイドフレーム端部周辺の拡大図であり、図3は、バンパレインフォースメント側取付部とセットプレートとの位置選択を説明する為の分解説明図であり、図4は、バンパレインフォースメントおよびサイドフレームレインフォースメントの上下選択位置取付状態を示す説明図であり、(a)は上側位置を選択した場合を示し、(b)は、下側位置を選択した場合を示している。図5は、図4における線A−A矢視断面図である。
【0022】
図1に示すように、車体前部1は、図示しないエンジン等の駆動装置を格納するエンジンルーム2と、その後方に形成された車室3とが、ダッシュパネル4により仕切られるように形成されている。そして上記ダッシュパネル4から、左右一対のフロントサイドフレーム5が前方へ向かって延設されている。これらフロントサイドフレーム5の後部は、上記ダッシュパネル4に沿って車幅方向に架け渡されるダッシュクロスメンバ6や、車室3側部のサイドシル7、および図示しない車室3下方に設けられたフロアフレームと連結されており、これらフロントサイドフレーム5、ダッシュクロスメンバ6、サイドシル7、フロアフレームは、それぞれ閉断面を形成しており、車両の走行時における剛性および、衝突時における安全性に強く影響する車両の基本的な剛性を得る為の基本フレームの一部を構成している。なお、本実施形態において、各部材は特に説明しない場合、金属から成るものとする。
【0023】
上記両フロントサイドフレーム5を含む基本フレームに対して、上記車室3のルーフ8や、該ルーフ8の前部を車体に支持するフロントピラー9、ダッシュパネル4は、上記基本フレームが車両の基本的な剛性を受け持つので、デザイン上の制約が少なく、比較的自由にデザインを設計、変更容易になっている。逆に上記基本フレームは、そのデザインを変更すると車両の基本的な剛性に強く影響する為、デザインの変更は容易ではない。
【0024】
上記両フロントサイドフレーム5は、前突時の衝撃に対して巨大な衝撃荷重を吸収しながら車室3の変形を抑制する為に、十分な剛性を有することが望まれている。これに対応する為、上記両フロントサイドフレーム端部5aの前方に、バンパレインフォースメント10が架け渡され、障害物を受け止めて衝突荷重を左右両フロントサイドフレーム5に分散させるようになっており、衝突時の車体剛性を向上させている。
【0025】
また図2および図4に示すように、上記バンパレインフォースメント10は、フロントパネル10aと断面コ字状のリヤパネル10bとが接合された閉断面構造からなり、その左右両端部と上記両フロントサイドフレーム端部5aとが、左右一対のクラッシュカン11によってそれぞれ連結されている。このクラッシュカン11は、複数のパネルを溶接して、後方に向かって次第に拡大されるように延びる切頭四角錐状に形成され、その前端が上記バンパレインフォースメント10のリヤパネル10bの後面に溶接され、その後端には、後面を有する板状のバンパレインフォースメント側取付部12が溶接され、後述するセットプレート13と締結されるようになっている。このように切頭錐状に形成することで、軽量でありながら前後方向の剛性を高めていると共に、衝突時のバンパレインフォースメントから伝達される衝突荷重を、フロントサイドフレーム端部の広範囲に分散して、応力集中を低減するようになっている。
【0026】
上記クラッシュカン11の左右側面には、内側に凹入して上下方向に延びるビード11aが形成され、上下面には外側に突出して車幅方向に延びるビード11bが形成されており、これらビード11a,11bは、前突時等、所定値以上の前後方向の衝突荷重が入力された際に、座屈変形の起点となる変形起点部として機能する。そして、これらビード11a,11bによって、上記クラッシュカン11の耐力が上記フロントサイドフレーム5の耐力よりも低くなるよう設定され、前突時にクラッシュカン11から変形し、衝突時の発生荷重を適切な値に抑えながら衝突荷重を吸収できる。よって、乗員に対するダメージを低減すると共に、対車両との衝突の際に、相手車両に対するダメージを低減することができる。また軽衝突時にはクラッシュカン11のみの変形に留めて、修理費用を抑えることができるようになっている。
【0027】
次に、上記フロントサイドフレーム5について詳細を説明する。
図2〜図4に示すように、上記フロントサイドフレーム端部5aは、それよりも後方の上記フロントサイドフレーム5に別のパネルが溶接されており、上記クラッシュカンよりも高い耐力に設定されている。そしてこのフロントサイドフレーム端部5aの前後方向に加わる衝撃荷重に対する耐力を、上記クラッシュカン11よりも高く、後方のフロントサイドフレーム5よりも低く設定することで、上記クラッシュカン11によって吸収しきれない衝突荷重が加わった場合に、変形して衝突荷重を吸収できるので、上記フロントサイドフレーム5全体や車室まで変形することを抑制し、車両の安全性を高めている。
【0028】
上記フロントサイドフレーム端部5aの前端には、上記バンパレインフォースメント側取付部12よりも上下方向に長く、車幅方向の幅が等しい前面を有する板状のセットプレート13が溶接され、後述するようにバンパレインフォースメント10の上下位置選択取付部として機能するようになっている。図3に示すように、上記バンパレインフォースメント側取付部12の上下左右の4隅には、それぞれボルト孔12aが形成されており、一方上記セットプレート13には、上記上下位置選択取付部の上側サイドフレーム側取付部として、上記バンパレインフォースメント側取付部12の4つのボルト孔12aとそれぞれ重合可能な位置に配設された4つ一組の上側位置選択用ボルト孔13aが形成され、またこの一組の上側位置選択用ボルト孔13aに対して下方にずれた位置において、上記上下位置選択取付部の下側サイドフレーム側取付部として、上記バンパレインフォースメント側取付部12の4つのボルト孔12aとそれぞれ重合可能な位置に配設された4つ一組の下側位置選択用ボルト孔13bが形成されている。
【0029】
そして、上記バンパレインフォースメント側取付部12の各ボルト孔12aにそれぞれボルト14を挿通し、さらに上記各上側位置選択用ボルト孔13aにそれぞれ挿通すると共に図示しないナットと締結することで、上記バンパレインフォースメント側取付部12およびバンパレインフォースメント10が、上記セットプレート13に対して上側の位置に取り付けられる一方、上記バンパレインフォースメント側取付部12の各ボルト孔12aにそれぞれ挿通されたボルト14を、上記各下側位置選択用ボルト孔13bにそれぞれ挿通すると共に図示しないナットと締結することで、上記バンパレインフォースメント側取付部12およびバンパレインフォースメント10が、上記セットプレート13に対して下側の位置に取り付けられるようになっている。
なお、上記セットプレート13は、上記フロントサイドフレーム端部5aに溶接するようにしているが、ボルト等により着脱可能に締結するようにしても良く、この構成においては、衝突などでセットプレートまで変形した場合においても、ボルトを外して容易に交換することができる。
【0030】
図4および図5に示すように、上記フロントサイドフレーム5は、コ字状のインナパネル51とアウタパネル52とが互いの端部を接合されて、上記バンパレインフォースメント側取付部12よりも上下方向に大きな略矩形の閉断面構造に形成されている。そして上記フロントサイドフレーム端部5aの内周面部には、該内周面部の車幅方向左右側面に沿って前後方向に延びる左右縦壁15aと、該側壁の下辺間に架け渡される横壁15bを有するコ字状断面のサイドフレームレインフォースメント15が配設されている。
【0031】
このサイドフレームレインフォースメント15は、その左右縦壁15aが後方へ向かうに従って上下方向に拡幅された略台形形状になっており、両縦壁15aの上辺を上記フロントサイドフレーム端部5aの上面に沿わせるように配設することで、上記両縦壁15a、および横壁15bが、上記セットプレート13の上側位置選択用ボルト孔13aに締結された状態の上記バンパレインフォースメント側取付部12と車両前後方向から見て対向するように容易且つ正確に位置決めされ、この状態において、上記両縦壁15aと横壁15bの前端が、上記セットプレート13の後面に接合されると共に、上記両縦壁15aの後部が、上記フロントサイドフレーム5の内周面部に、片面溶接が可能なプラズマ溶接装置などによりフロントサイドフレームの外面側から溶接されている。これにより、フロントサイドフレーム5の内部には、上記バンパレインフォースメント側取付部12を受け止めるよう、車両後方に向かって徐々に拡大する切頭四角錐状の閉断面が形成される。
【0032】
また、図4、図5に破線で示すように、上記サイドフレームレインフォースメント15を上記サイドフレームに対して組付ける際に、上下方向にひっくり返し、上記両縦壁15aの下辺を上記フロントサイドフレーム端部5aの下面に沿わせるように配設することで、上記両縦壁15a、および横壁15bが、上記セットプレート13の下側位置選択用ボルト孔13aに締結された状態の上記バンパレインフォースメント側取付部12と車両前後方向から見て対向するように容易且つ正確に位置決めされ、この状態において、上記両縦壁15aと横壁15bの前端が、上記セットプレート13の後面に接合されると共に、上記両縦壁15aの後部が、上記フロントサイドフレーム5の内周面部に溶接可能になっている。
【0033】
このように、上記セットプレート13が上記フロントサイドフレーム端部5aの前端とサイドフレームレインフォースメント15とに接合されていると共に、上記サイドフレームレインフォースメント15の後部が前部よりも上下方向に拡大され、上記フロントサイドフレーム5の内周面部に溶接されているので、上記バンパレインフォースメント側取付部12がセットプレート13よりも上下方向で短いにも拘らず、上記バンパレインフォースメント側取付部12から後方へ伝達される衝突荷重を、フロントサイドフレーム5の上下方向により広い範囲に衝突荷重を分散し、閉断面構造のフロントサイドフレーム5の剛性を十分に発揮させることができる。
また、図4に示すように、クラッシュカン11とサイドフレームレインフォースメント15とが、車両後方へ向かって略連続した切頭四角錐状の閉断面構造を形成することによって、バンパレインフォースメント10から伝達される衝突荷重をスムーズにフロントサイドフレーム5に分散して伝達でき、フロントサイドフレーム5の剛性をさらに効果的に発揮させることができる。
【0034】
次に、本実施形態の適用例を説明する。
図6(a)に示すベース車両16に対して、同図(b)に示す派生車16´は、基本的に同一形状の基本フレーム構造を採用しており、基本的な車体の剛性は変わらないものの、細部の形状が異なっており、意匠や走行性能が異なる商品になっている。
具体的には、派生車16´のフロントピラー9´の傾斜がベース車両16のフロントピラー9よりも直立に近くなっており、またベース車両16のエンジンルーム2の上部を開閉可能に覆うボンネット17にはグリル25がなく、バンパフェイシャ18にはエンジンルーム2への冷却風導風口18aが設けられている一方、派生車16´のボンネット17´にはグリル25が設けられ、バンパフェイシャ18´には冷却風導風口が設けられていない。さらに図7に示すように、上記派生車16´の車輪19´は、上記ベース車両16の車輪19よりも直径が大きく、それに伴って車高もベース車両16の位置h1に対して位置h1´と高くなっている。また上記ベース車両16の車輪19に比してゴムタイヤ部分20´が厚くされている。従って、派生車16´はベース車両16と同じ基本フレームを使用しながら、ベース車両16よりも重心が高くゴムタイヤ部分20´が厚いことから、舗装路における旋回性能が劣るものの、悪路走破性やクッション性に優れたベース車両とは異なる商品となっている。
【0035】
図7に示すように、上記派生車16´は、上記車輪19´の直径が大きいので、上記バンパレインフォースメント10が、上記ベース車両16の高さh2よりも高い位置h2´に位置する。本実施形態においては、上記ベース車両16では上記バンパレインフォースメント側取付部12を上記セットプレート13の上側位置選択用ボルト孔13aに締結し、上記派生車16´では上記バンパレインフォースメント側取付部12を上記セットプレート13の下側位置選択用ボルト孔13bに締結しているので、上記ベース車両16と派生車16´とで上記バンパレインフォースメント10の上下方向の位置がほとんど同じとなり、正面衝突時において互いの上記バンパレインフォースメント10が衝突する為、上記派生車16´の乗り上げを抑制して、互いの上記バンパレインフォースメント10による上記左右両フロントサイドフレーム5への荷重分散と上記クラッシュカン11、11´による衝突荷重吸収とを効果的に行うことができる。
従って、共通の基本フレームで車高の異なるベース車両と派生車とを作成し、さらにバンパレインフォースメントを共通化して開発工数や金型等の設備投資、および補修に備えた補修用部品の在庫を抑えながら、低コストでパンパレインフォースメントの高さを適切にして安全性を高めることができる。
【0036】
上記派生車16´は比較的車高が高い為、自車よりも低いバンパレインフォースメントを備える車高の低い車両と正面衝突した際に、互いのバンパレインフォースメントが上下に交錯し、衝撃荷重を効果的に吸収することなく上記ベース車両16に上記派生車16´が乗り上げる可能性がある。
図7における符号21は、派生車16´のフロントサイドフレーム5の下方に取り付けられたサブフレーム22´から前方へ突出する突出部であり、派生車16´が、自車よりも低いバンパレインフォースメントを備える車高の低い車両と衝突した際に相手車両と衝突して、派生車16´が相手車両に乗り上げることを防止するものである。
【0037】
このように、上記派生車16´は正面衝突時の相手車両に対する安全性を高める為に上記ベース車両16にはない突出部21を備えていると共に、エンジン23´の形状が上記ベース車両16のエンジン23よりも前方に突出しているので、エンジン23´の冷却水を走行風などにより空冷するラジエータ24´の位置が、ベース車両16のラジエータ24よりも、上記フロントサイドフレーム5に対して高くされ、かつ前方に配設されている。
【0038】
このラジエータ23´に走行風を効率的に当てるために、上記派生車16´における車体前部の比較的高い位置にある上記ボンネット17´に、グリル25が形成されている。本実施形態においては、上記バンパレインフォースメント側取付部12を上記セットプレート13の下側位置選択用ボルト孔13bと締結することにより、上記バンパレインフォースメント10も上記フロントサイドフレーム5に対して下方に偏在させ、上記グリル25から上記ラジエータ23´への導風を妨げないようにしていると共に、クラッシュカン11´を上記ベース車両16のクラッシュカン11よりも長くすることで、上記バンパレインフォースメント10の継承を変更することなく、その後方に上記ラジエータ24´の位置が、ベース車両16のラジエータ24よりも、上記フロントサイドフレーム5に対して前方に配設されるスペースを確保している。
【0039】
一方、上記ベース車両16は、重心を低くする為にラジエータ23が比較的下方に配設されており、このラジエータ23に走行風を効率的に当てるために、ベース車両16における車体前部の比較的低い位置にある上記バンパフェイシャ18に、上記冷却風導風口18aが形成されている。本実施形態においては、上記バンパレインフォースメント側取付部12を上記セットプレート13の上側位置選択用ボルト孔13aと締結することにより、上記バンパレインフォースメント10も上記フロントサイドフレーム5に対して上方に偏在させ、上記冷却風導風口18aから上記ラジエータ23への導風を妨げないようにしている。
このように、本願発明は、車両との正面衝突への対応ではなく、車体前部のラジエータやサブフレーム等の形状やレイアウトが、ベース車両と派生車とで異なる場合において、バンパレインフォースメントの高さを変更する必要性がある場合にも、共通の部材によって対応することができる。
【0040】
以上の構成により、本願発明の実施形態においては、フロントサイドフレーム端部5aが、バンパレインフォースメント10のバンパレインフォースメント側取付部12よりも上下方向に大きく形成されていると共に、その前端に接合されたセットプレート13に、上下2組の位置選択用ボルト孔13a、13bが設けられ、さらにサイドフレームレインフォースメント15が、その前端に接合されたセットプレート13に締結された状態の上記バンパレインフォースメント側取付部12と車両前後方向から見て対向するように正確に位置決めされ、この状態において、サイドフレームレインフォースメント15の前端が、上記セットプレート13の後面に接合される為、バンパレインフォースメント10の位置を変更する必要が生じた場合でも、なんら形状変更や部品の追加無く共通の部材によって、前突に対してフロントサイドフレーム5の一部に応力が集中することを抑制できる適切な構造を確保しながら、バンパレインフォースメント10の上下位置変更に柔軟に対応でき、新たにバンパレインフォースメント10の上下位置変更によるフロントサイドフレーム5の形状変更や、専用のサイドフレームレインフォースメント等補強部材の設計をする必要が無い為、開発の工数削減や、フロントサイドフレーム5、サイドフレームレインフォースメント15、バンパレインフォースメント10等部品の共通化による量産効果、およびバンパレインフォースメント10等補修用部品の在庫抑制によるコストダウンを図ることができる。
【0041】
また、クラッシュカン11にバンパレインフォースメント側取付部12が設けられ、フロントサイドフレーム5のセットプレート13に設けられた上側位置選択用ボルト孔13aまたは下側位置選択用ボルト孔13bのどちらかの位置に選択的に連結されるので、バンパレインフォースメント10およびクラッシュカン11の両方の形状を変更することなく、バンパレインフォースメント10を異なる位置に配設することができる。
【0042】
さらに、クラッシュカン11には座屈変形の起点となるビード11a,11bが設けられており、これをバンパレインフォースメント10の上下位置に応じて変更する必要が無いことから、車両衝突時にはクラッシュカン11が安定して座屈変形し、高い衝撃荷重吸収量を確保できる為、新たに異なる形状のクラッシュカンを用意する場合に比べ、求められる荷重吸収性能を達成するクラッシュカン形状の計算や実験が不要であり、開発工数の削減をしながら、前突時における乗員へのダメージ軽減による安全性の確保や、後方のフレームへのダメージ軽減による軽衝突時の修理容易性の確保ができる。またバンパレインフォースメント10およびクラッシュカン11がフロントサイドフレームに対する取付位置によらず共通であるので、クラッシュカン11についても補修用部品の種類が増加しない為、補修用部品の在庫抑制によるコストダウンを図ることができる。
【0043】
またバンパレインフォースメント側取付部12が取り付けられるセットプレート13が、フロントサイドフレーム端部5aとサイドフレームレインフォースメント15とに接合されているので、バンパレインフォースメント側取付部12を任意の選択位置に容易に位置決めできると共に、前突時にバンパレインフォースメント側取付部12から入力される衝突荷重をフロントサイドフレーム端部5aとサイドフレームレインフォースメント15とに分散でき、フロントサイドフレーム端部5aの一部への応力集中を緩和して、複数のパネルを接合して閉断面形状に形成されたフロントサイドフレーム5の剛性を効果的に発揮させることができる。
【0044】
この際、サイドフレームレインフォースメント15の後部が前部よりも上下方向に拡大するよう形成されると共に、この後部がフロントサイドフレーム5の内周面部に接合されるので、バンパレインフォースメント側取付部12の上下方向寸法がフロントサイドフレーム端部5aの上下方向寸法よりも小さいにも拘らず、サイドフレームレインフォースメント15によってフロントサイドフレーム5の上下方向のより広い範囲に衝突荷重を分散し、フロントサイドフレーム5へ衝突荷重伝達を効果的に行うことができる。
【0045】
また、フロントサイドフレーム端部5aを略矩形の内周面部を有する断面とし、サイドフレームレインフォースメント15を、フロントサイドフレーム内周面部の左右側面とそれぞれ接合される左右縦壁15aと、両縦壁の上下方向の一辺間に架け渡される横壁15bからなる略コ字状に形成した為、フロントサイドフレーム端部を補強できる。
【0046】
そして上記サイドフレームレインフォースメント15を上記フロントサイドフレーム5に対して組付ける際に、両縦壁15aの開放側端部を上記フロントサイドフレーム内周面部の上面に沿わせるよう配設することで、上記両縦壁15a、および横壁15bが、上記セットプレート13の上側位置選択用ボルト孔13aに締結された状態の上記バンパレインフォースメント側取付部12と車両前後方向から見て対向するように容易且つ正確に位置決めされ、上記サイドフレームレインフォースメント15を上下方向にひっくり返し、上記両縦壁15aの下辺を上記フロントサイドフレーム端部5aの下面に沿わせるように配設することで、上記両縦壁15a、および横壁15bが、上記セットプレート13の下側位置選択用ボルト孔13aに締結された状態の上記バンパレインフォースメント側取付部12と車両前後方向から見て対向するように容易且つ正確に位置決めできるので、サイドフレームレインフォースメントのフロントサイドフレームへの組付け性を向上できると共に、衝突時には、バンパレインフォースメントからの衝突荷重が直接サイドフレームレインフォースメントの隔壁を介してフロントサイドフレームの広い範囲に分散され、衝突安全性能を向上できる。
【0047】
以上、本発明を実施するための最良の形態を、図面に基づいて説明したが、実施の形態は、これに限定されるものではない。
例えば、上記実施形態において、上記サイドフレームレインフォースメントは上記フロントサイドフレーム内周面部と溶接されているが、他の実施形態として、上記実施形態の図4に対応する図8に示すように、セットプレート113と一体化して、フロントサイドフレーム105にボルト114による締結などにより着脱可能に接合しても良い。なお図8中、113aは上側位置選択用ボルト孔であり、113bは下側位置選択用ボルト孔である。この他の実施形態においては、サイドフレームレインフォースメントを内周面部内に配設した状態でフロントサイドフレームに溶接する必要が無く、スポット溶接用のスポットガンを溶接部位へ挿入するサービスホールをフロントサイドフレームに設けたり、高価なプラズマ溶接装置などを用いる必要が無いと共に、同一の車両でサスペンションを交換するなどして、車高のみを調節する場合においても、ひっくり返すだけでバンパレインフォースメントの位置を適切に調整できるという効果を奏する。
【0048】
さらに、上記実施形態においてはバンパレインフォースメント側取付部の位置選択が上下2箇所しかできなかったが、3箇所以上設けることで、バンパレインフォースメントの上下位置を細かく調整できるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施形態に係る車体前部の斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係るフロントサイドフレーム端部周辺の拡大図である。
【図3】本発明の実施形態に係るバンパレインフォースメント側取付部とセットプレートとの位置選択を説明する為の説明図である。
【図4】(a)は、本発明の実施形態に係るバンパレインフォースメントを上下選択位置の上側位置に取り付けた状態を示す説明図であり、(b)は本発明の実施形態に係るバンパレインフォースメントを上下選択位置の下側位置に取り付けた状態を示す説明図である。
【図5】図4の線A−A矢視断面図である。
【図6】(a)は、本発明の実施形態に係るベース車両の斜視図であり、(b)は、本発明の実施形態に係る派生車の斜視図である。
【図7】(a)は、本発明の実施形態に係るベース車両のフロントサイドフレーム周辺側面図であり、(b)は、本発明の実施形態に係る派生車のフロントサイドフレーム周辺側面図である。
【図8】本発明の他の実施形態に係る図4に対応する説明図である。
【符号の説明】
【0050】
1・・・車体前部
5・・・フロントサイドフレーム
5a・・・フロントサイドフレーム端部
10・・・バンパレインフォースメント
11・・・クラッシュカン(連結部材)
11a,11b・・・ビード
12・・・バンパレインフォースメント側取付部
13、113・・・セットプレート
13a、113a・・・上側位置選択用ボルト孔
13b、113b・・・下側位置選択用ボルト孔
15,115・・・サイドフレームレインフォースメント
16・・・ベース車両
16´・・・派生車

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の左右両側において前後方向に延設されるフロントサイドフレームと、該フロントサイドフレームより前方において車幅方向に配設されるバンパレインフォースメントとを備え、該バンパレインフォースメントに、上記両サイドフレーム端部に対して夫々取付可能なバンパレインフォースメント側取付部が備えられている自動車の車体構造であって、上記両サイドフレーム端部は、上下方向寸法が上記バンパレインフォースメント側取付部より大きく形成されていると共に、上記バンパレインフォースメント側取付部を上下方向に間隔を開けて設定された複数位置に選択的に取り付けて固定し得る上下位置選択取付部を備え、該上下位置選択取付部の後方に、上記サイドフレームに沿って後方に延びるサイドフレームレインフォースメントが設けられ、該サイドフレームレインフォースメントは、その前端が上記バンパレインフォースメント側取付部の後端と略対面するよう選択的に位置決めされると共に、上記サイドフレームと接合されいることを特徴とする自動車の車体構造。
【請求項2】
上記バンパレインフォースメントから上記サイドフレーム端部に向かって車両前後方向に延びる連結部材が設けられ、該連結部材の上記サイドフレーム側端部に上記バンパレインフォースメント側取付部が設けられていることを特徴とする請求項1記載の自動車の車体構造。
【請求項3】
上記連結部材は、所定値以上の前後方向の衝突荷重が入力された際に、座屈変形の起点となる変形起点部が設けられ、該座屈変形により上記衝突荷重を吸収するクラッシュカンであることを特徴とする請求項2に記載の自動車の車体構造。
【請求項4】
上記サイドフレーム端部には、上記バンパレインフォースメント側取付部よりも上下方向に延びる面を形成するセットプレートが接合されており、該セットプレートに、上記上下位置選択取付部が設けられると共に、上記サイドフレームレインフォースメントの前端が接合されていることを特徴とする請求項1ないし3の何れか1つに記載の自動車の車体構造。
【請求項5】
上記サイドフレームレインフォースメントは、後部が前部よりも上下方向に拡大するように形成されていると共に、該後部が上記サイドフレームに接合されることを特徴とする請求項1ないし4の何れか1つに記載の自動車の車体構造。
【請求項6】
上記サイドフレーム端部は断面が略矩形の内周面部を有し、上記上下位置選択取付部は上記バンパレインフォースメント側取付部を選択的に取り付けて固定可能なサイドフレーム側取付部を上下2箇所備え、上記サイドフレームレインフォースメントは、上記内周面部の左右側面に沿って延びる左右縦壁と、両縦壁の間に車幅方向に架け渡される横壁を備え、上記縦壁の上下方向一方の辺部を上記内周面部の上面に沿わせることで、上記横壁の前端が上記上下位置選択取付部の上側に位置するサイドフレーム側取付部に取り付けられた状態の上記バンパレインフォースメント側取付部と対向するよう位置決めされ、上記内周面部の下面に沿わせることで、上記横壁の前端が上記上下位置選択取付部の上記上下位置選択取付部の下側に位置するサイドフレーム側取付部に取り付けられた状態の上記バンパレインフォースメント側取付部と対向するよう位置決めされると共に、上記横壁は、後方へ向かって上記縦壁の一方の辺部から遠ざかる側へ傾斜して延びることを特徴とする請求項1ないし5の何れか1つに記載の自動車の車体構造。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−91048(P2007−91048A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−283437(P2005−283437)
【出願日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】