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自動車の車体構造
説明

自動車の車体構造

【課題】車室の内外を隔てる第1部材および第2部材の接合部分から車室内への水の浸入についての対策を不要とすることができる、自動車の車体構造を提供する。
【解決手段】サイドシルインナパネル21およびフランジ32は、鋼板からなり、それぞれ面25Aおよび面34Aを有している。フランジ32は、サイドシルインナパネル21の面25Aに交差する方向に延びている。フランジ32のサイドシルインナパネル21側の縁部は、前後方向に沿った屈曲部31で上方に屈曲することにより形成されるフランジ32を有し、面34Aは、そのフランジ32に形成されている。そして、サイドシルインナパネル21とフランジ32との間には、面34Aに対して車室4側に、中空部37が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の車体の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の車体において、左右のドアの下方には、前後方向に延びるサイドシル(ロッカ)が設けられている。左右のサイドシルの間には、フロアパネルが設けられている。フロアパネルの左右の側縁部がサイドシルに接合されることにより、フロアパネルは、左右のサイドシルに架設された状態で支持されている。
【0003】
図4は、従来構造に係るサイドシルおよびフロアパネルの断面図である。
【0004】
サイドシル91は、鋼板からなるサイドシルインナパネル92およびサイドシルアウタパネル93を互いに接合して形成されている。
【0005】
フロアパネル94は、鋼板からなり、水平方向に延在されている。フロアパネル94のサイドシル91側の縁部は、上方に折り曲げられている。そして、フロアパネル94の上方に延びる部分は、平板状をなし、その外側面がサイドシルインナパネル92の表面に面接触した状態で、スポット溶接によりサイドシルインナパネル92に接合されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実公平4−15580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、サイドシルインナパネル92とフロアパネル94とがスポット溶接により接合されているので、水がサイドシルインナパネル92とフロアパネル94との隙間を通って車室内に浸入するおそれがある。そのため、サイドシルインナパネル92に防錆鋼板を用いたり、フロアパネル94の折り曲げ部とサイドシルインナパネル92との間を封止するシーラ(シーリング材)を設けたりと、車室内への水の浸入についての対策を施さなければならない。
【0008】
本発明の目的は、車室の内外を隔てる第1部材および第2部材の接合部分から車室内への水の浸入についての対策を不要とすることができる、自動車の車体構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の目的を達成するため、本発明は、自動車の車体構造において、車室の内外を隔てる第1部材および第2部材を備え、前記第1部材および前記第2部材は、鋼板からなり、前記第1部材は、第1接合面を有し、前記第2部材は、前記第1接合面に交差する方向に延び、前記第2部材の前記第1部材側の縁部は、前記第1接合面に沿った屈曲部で前記第1接合面に沿う方向に屈曲することにより形成されるフランジを有し、前記フランジは、スポット溶接により前記第1接合面に接合される第2接合面を有し、前記第1部材と前記フランジとの間には、前記第2接合面に対して前記車室側に、前記第1部材と前記フランジとが離間することによる中空部が形成されていることを特徴としている。
【0010】
車室の内外を隔てる第1部材および第2部材は、鋼板からなり、それぞれ第1接合面および第2接合面を有している。第2部材は、第1接合面に交差する方向に延びている。第2部材の第1部材側の縁部は、第1接合面に沿った屈曲部で第1接合面に沿う方向に屈曲することにより形成されるフランジを有し、第2接合面は、そのフランジに形成されている。
【0011】
そして、第1部材とフランジとの間には、第2接合面に対して車室側に、中空部が形成されている。そのため、第1接合面と第2接合面との隙間を通って車室内に向かって水が浸入しても、その水を中空部でとどめることができ、車室側へのそれ以上の水の浸入を防止することができる。
【0012】
中空部において、第1部材とフランジとが離間している。そのため、車体に電着塗装が施されるときに、第1部材およびフランジにおける中空部に臨む部分に塗膜が形成される。したがって、第1部材に防錆鋼板を用いる必要がない。
【0013】
よって、第1部材および第2部材の接合部分から車室内への水の浸入についての対策を不要とすることができる。
【0014】
屈曲部は、第1部材から離間していることが好適である。屈曲部と第1部材とが離間していれば、屈曲部および第1部材における屈曲部と対向する部分に錆が発生しにくい。よって、第1部材および第2部材を屈曲部側から見たときの見栄えを良くすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、第1部材と第2部材のフランジとの間において、第2接合面に対して車室側に、中空部が形成されている。そのため、第1接合面と第2接合面との隙間を通って車室内に向かって水が浸入しても、その水を中空部でとどめることができる。そして、第1部材およびフランジにおける中空部に臨む部分には、電着塗装による塗膜が形成されるので、当該部分では、錆が発生しにくい。よって、第1部材および第2部材の接合部分から車室内への水の浸入についての対策を不要とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る車体構造を有する自動車の車体の一部を示す斜視図である。
【図2】図2は、図1に示される切断線A−Aにおけるサイドシルおよびフロアパネルの断面図である。
【図3】図3は、変形例に係るサイドシルおよびフロアパネルの断面図である。
【図4】図4は、従来構造に係るサイドシルおよびフロアパネルの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下では、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態に係る車体構造を有する自動車の車体の一部を示す斜視図である。
【0019】
自動車の車体1は、左右のドア(図示せず)の下方に、前後方向に延びるサイドシル(ロッカ)2を備えている。また、車体1は、左右のサイドシル2の間に、フロアパネル3を備えている。フロアパネル3は、その左右の側縁部がサイドシル2に接合されることにより、左右のサイドシル2に架設された状態で支持されている。自動車において、フロアパネル3の上方が車室4となる。サイドシル2およびフロアパネル3は、上下方向において車室4の内外を隔てる。
【0020】
図2は、図1に示される切断線A−Aにおけるサイドシルおよびフロアパネルの断面図である。
【0021】
サイドシル2は、サイドシルインナパネル21およびサイドシルアウタパネル22で構成されている。サイドシルインナパネル21およびサイドシルアウタパネル22は、鋼板からなる。
【0022】
サイドシルインナパネル21は、断面形状が車幅方向の外側に向けて開放される略コ字状をなしている。具体的には、サイドシルインナパネル21は、車幅方向に沿った平板状の上壁部23と、上壁部23と上下方向に間隔を空けて対向し、車幅方向に沿った平板状の下壁部24と、上壁部23および下壁部24の車幅方向の内側の各端縁の間に設けられ、上下方向に沿った平板状の側壁部25とを一体的に備えている。
【0023】
サイドシルインナパネル21の上縁部には、上壁部23が上方に折り曲げられることにより、上下方向に沿った平板状の上フランジ26が形成されている。また、サイドシルインナパネル21の下縁部には、下壁部24が下方に折り曲げられることにより、上下方向に沿った平板状の下フランジ27が形成されている。
【0024】
サイドシルアウタパネル22は、断面形状が車幅方向の内側に向けて開放される略C字状をなしている。
【0025】
サイドシルアウタパネル22の上縁部には、サイドシルアウタパネル22が上方に折り曲げられることにより、上下方向に沿った平板状の上フランジ28が形成されている。また、サイドシルアウタパネル22の下縁部には、サイドシルアウタパネル22が下方に折り曲げられることにより、上下方向に沿った平板状の下フランジ29が形成されている。
【0026】
そして、サイドシルインナパネル21の上フランジ26とサイドシルアウタパネル22の上フランジ28とが接合され、サイドシルインナパネル21の下フランジ27とサイドシルアウタパネル22の下フランジ29とが接合されることにより、サイドシル2が形成されている。上フランジ26,28の接合および下フランジ27,29の接合は、たとえば、スポット溶接により達成される。
【0027】
フロアパネル3は、鋼板からなる。フロアパネル3のサイドシル2側の縁部は、前後方向に沿った屈曲部31で上方に屈曲している。これにより、フロアパネル3のサイドシル2側の縁部は、サイドシルインナパネル21の側壁部25と対向するフランジ32を有している。
【0028】
屈曲部31は、サイドシルインナパネル21の側壁部25の下端部に対して、車幅方向に離間している。
【0029】
フランジ32は、その上端部および上下方向の途中部が側壁部25に接合されている。具体的には、フランジ32は、屈曲部31から上方に立ち上がる下鉛直部33と、下鉛直部33の上端から車幅方向の外側に膨出する断面略コ字状の膨出部34と、膨出部34の上端から上方に延びる上鉛直部35と、上鉛直部35の上端から車幅方向の外側に延び、上方に屈曲する断面略L字状のL字状部36とを一体的に備えている。そして、膨出部34は、その車幅方向の外側の面34Aが側壁部25の車幅方向の内側の面25Aに接触した状態で、スポット溶接により、側壁部25に接合されている。また、L字状部36は、その車幅方向の外側の面36Aが側壁部25の車幅方向の内側の面25Aに接触した状態で、スポット溶接により、側壁部25に接合されている。
【0030】
これにより、サイドシルインナパネル21の側壁部25とフロアパネル3のフランジ32との間には、膨出部34の上方(車室4側)に、中空部37が形成されている。
【0031】
以上のように、サイドシルインナパネル21およびフランジ32は、鋼板からなり、それぞれ第1接合面の一例としての面25Aおよび第2接合面の一例としての面34Aを有している。フランジ32は、サイドシルインナパネル21の面25Aに交差する方向に延びている。フランジ32のサイドシルインナパネル21側の縁部は、面25Aに沿った(前後方向に沿った)屈曲部31で面25Aに沿う方向(上方)に屈曲することにより形成されるフランジ32を有し、面34Aは、そのフランジ32に形成されている。
【0032】
そして、サイドシルインナパネル21とフランジ32との間には、面34Aに対して車室4側に、中空部37が形成されている。そのため、面25Aと面34Aとの隙間を通って車室4内に向かって水が浸入しても、その水を中空部37でとどめることができ、車室4側へのそれ以上の水の浸入を防止することができる。
【0033】
中空部37において、サイドシルインナパネル21とフランジ32とが離間している。そのため、車体1に電着塗装が施されるときに、サイドシルインナパネル21およびフランジ32における中空部37に臨む部分に塗膜が形成される。したがって、サイドシルインナパネル21に防錆鋼板を用いる必要がない。
【0034】
よって、サイドシルインナパネル21およびフランジ32の接合部分から車室4内への水の浸入についての対策を不要とすることができる。
【0035】
また、屈曲部31は、サイドシルインナパネル21から離間している。屈曲部31とサイドシルインナパネル21とが離間しているので、屈曲部31およびサイドシルインナパネル21における屈曲部31と対向する部分に錆が発生しにくい。よって、サイドシルインナパネル21およびフランジ32を屈曲部31側(下方)から見たときの見栄えが良い。
【0036】
なお、サイドシルインナパネル21の側壁部25とフランジ32のL字状部36とは、必ずしも接合されていなくてもよく、それらの間には、隙間が生じていてもよい。
【0037】
また、L字状部36が省略されてもよい。
【0038】
また、サイドシルインナパネル21の面25Aおよびフランジ32の面34Aは、その両方が平面であってもよいし、面25Aに面34A側に突出する複数の凸部が形成されて、各凸部の先端面と面34Aとがスポット溶接により接合されて、面25Aにおける凸部以外の部分が面34Aと離間していてもよい。また、面34Aに面25A側に突出する複数の凸部が形成されて、各凸部の先端面と面25Aとがスポット溶接により接合されて、面34Aにおける凸部以外の部分が面25Aと離間していてもよい。
【0039】
図3は、変形例に係るサイドシルおよびフロアパネルの断面図である。図3において、図2に示される各部に相当する部分には、それらの各部と同一の参照符号が付されている。
【0040】
図3に示される構造では、サイドシルインナパネル21の側壁部25に、車幅方向の内側に膨出する断面コ字状の2つの膨出部41,42が上下方向に間隔を空けて形成されている。一方、フロアパネル3のフランジ32は、平板状に形成されている。そして、フランジ32の車幅方向の内側の面32Aと上側の膨出部41の車幅方向の内側の面41Aとが接触した状態で、スポット溶接により、フランジ32と膨出部41とが接合されている。また、フランジ32の車幅方向の内側の面32Aと下側の膨出部42の車幅方向の内側の面42Aとが接触した状態で、スポット溶接により、フランジ32と膨出部42とが接合されている。
【0041】
これにより、サイドシルインナパネル21の側壁部25とフロアパネル3のフランジ32との間には、膨出部42の上方(車室4側)に、中空部43が形成されている。
【0042】
この構造においても、図2に示される構造の場合と同様な作用効果を発揮することができる。
【0043】
なお、サイドシルインナパネル21の上側の膨出部41とフランジ32とは、必ずしも接合されていなくてもよく、それらの間には、隙間が生じていてもよい。
【0044】
また、膨出部41が省略されてもよい。
【0045】
また、フランジ32の面32Aおよび膨出部42の面42Aは、その両方が平面であってもよいし、面32Aに面42A側に突出する複数の凸部が形成されて、各凸部の先端面と面42Aとがスポット溶接により接合されて、面32Aにおける凸部以外の部分が面42Aと離間していてもよい。また、面42Aに面32A側に突出する複数の凸部が形成されて、各凸部の先端面と面32Aとがスポット溶接により接合されて、面42Aにおける凸部以外の部分が面32Aと離間していてもよい。
【0046】
図2および図3に示される各構造において、サイドシルインナパネル21とフランジ32の上端縁との間を封止するシーラ(シーリング材)が設けられることが好ましい。シーラが設けられることにより、車室4内への水の浸入を確実に防止することができる。
【0047】
また、本発明は、車室の内外を隔てる第1部材および第2部材を備える構造に広く適用することができ、サイドシルインナパネル21およびフロアパネル3を備える構造に限らず、たとえば、ホイールハウスを区画するパネルとこれに接合されるフロアパネルとを備える構造などに適用することができる。
【0048】
その他、前述の構成には、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0049】
1 車体
2 サイドシル
3 フロアパネル(第2部材)
4 車室
21 サイドシルインナパネル(第1部材)
25A 面(第1接合面)
31 屈曲部
32 フランジ
32A 面(第2接合面)
34A 面(第2接合面)
37 中空部
42A 面(第1接合面)
43 中空部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室の内外を隔てる第1部材および第2部材を備え、
前記第1部材および前記第2部材は、鋼板からなり、
前記第1部材は、第1接合面を有し、
前記第2部材は、前記第1接合面に交差する方向に延び、
前記第2部材の前記第1部材側の縁部は、前記第1接合面に沿った屈曲部で前記第1接合面に沿う方向に屈曲することにより形成されるフランジを有し、
前記フランジは、スポット溶接により前記第1接合面に接合される第2接合面を有し、
前記第1部材と前記フランジとの間には、前記第2接合面に対して前記車室側に、前記第1部材と前記フランジとが離間することによる中空部が形成されている、自動車の車体構造。
【請求項2】
前記屈曲部は、前記第1部材から離間している、請求項1に記載の自動車の車体構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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