説明

自動車の車室内構造

【課題】中央席シートに着座する乗員の快適性(見晴らし性)向上を図ることができる車両の車室内構造の提供を目的とする。
【解決手段】車室内前方から1列目シートおよび2列目シートYが設けられた車両において、上記2列目シートYが車幅方向に独立して3席22,26,30設けられ、該3席22,26,30のうちの中央席シート22のシートクッション19着座部が左右席のシート26,30のシートクッション23,27着座部よりも高い位置に配置されたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車室内においてその前方から1列目シートおよび2列目シートが設けられたような車両の車室内構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上述例の車両の車室内構造としては、特許文献1に開示された構造がある。
すなわち、ドライバーズシート(運転席)とパッセンジャーズシート(助手席)とから成る1列目シートを車室内の前方に配設し、この1列目シートの後方においてドライバーズシートの後方に2列目シートにおける右側シートを配設すると共に、パッセンジャーズシートの後方に2列目シートにおける左側シートを配設し、さらに上記2列目シートのさらに後方に大人の乗員が2人着座可能な3列目シートを配設し、しかも、上記2列目シート(つまりセカンドシート)の左側シートと右側シートとの間には、補助シートを配設した車両の車室内構造である。
【0003】
上述の2列目シートにおける左右席のシートは、1列目シートのドライバーズシートおよびパッセンジャーズシートの車幅方向の幅と同等の横幅を有する一方で、2列目シートにおける補助シート(いわゆるセンタシート)の車幅方向の幅は狭小に構成されているうえに、そのシートクッションの着座部の高さは、左右席のシートのシートクッションの着座部の高さと同等に設定されているので、この2列目の補助シート(中央席シート)に着座した乗員の座り心地、見晴らし性などの快適性が不充分であった。
【特許文献1】特開2003−226168号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、この発明は、2列目シートを車幅方向に独立して3席設け、この3席のうちの中央席シートのシートクッション着座部を、左右席シートのシートクッション着座部よりも高い位置に配置することで、2列目中央席シートの着座部を左右席のそれに対して高く設定し、これにより、中央席シートに着座する乗員の快適性(見晴らし性)向上を図ることができる車両の車室内構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明による車両の車室内構造は、車室内前方から1列目シートおよび2列目シートが設けられた車両において、上記2列目シートが車幅方向に独立して3席設けられ、該3席のうちの中央席シートのシートクッション着座部が左右席シートのシートクッション着座部よりも高い位置に配置されたものである。
【0006】
上記構成によれば、2列目の中央席シートにおけるシートクッション着座部を、左右席シートのシートクッション着座部に対して高く設定したので、この中央席シートに着座する乗員の快適性(特に、見晴らし性)の向上を図ることができる。
【0007】
この発明の一実施態様においては、フロアパネルの車幅方向中央部に車両の前後方向に延びるトンネル部が設けられ、上記トンネル部の上面部の車幅方向の幅が上記2列目の中央席シートの前方位置において幅広に形成されたものである。
上記構成によれば、2列目の中央席シートの前方位置において上記トンネル部を幅広に形成したので、中央席シート乗員の足置性向上を図ることができる。
【0008】
この発明の一実施態様においては、上記トンネル部近傍のフロアパネル下面に車両の前後方向に延びるフロアフレームが設けられ、該フロアフレームが上記トンネル部の幅広部の左右立上がり部に結合されたものである。
上記構成によれば、上述のトンネル部の幅広部を利用して、フロアフレームの剛性および下部車体剛性の向上を図ることができる。
【0009】
この発明の一実施態様においては、上記2列目の左右席シートはそのシートバックをシートクッション上に折畳み可能に構成されたものである。
上記構成によれば、折畳んだ左右席シートのシートバックを、中央席シートに着座する乗員がアームレストとして使用することができるので、中央席シート乗員の快適性をさらに向上させることができる。
【0010】
この発明の一実施態様においては、上記2列目の左右席シートはそのシートバックをシートクッション上に折畳んだ状態で中央席シート側に起立した状態で格納可能に構成されたものである。
上記構成によれば、2列目の中央席シート側に起立した状態で格納した左右席シートを、中央席シートの乗員がアームレストとして使用することができ、格納状態の左右席シートの高さがアームレストとして使用する適切な高さとなるので、中央席シートの乗員のさらなる快適性向上を図ることができる。
【0011】
この発明の一実施態様においては、上記2列目の中央席シートは該2列目の左右席シートよりも車幅方向の幅が幅広に形成されたものである。
上記構成によれば、2列目の中央席シートを幅広化して、幅広シートと成すことができ、該中央席シートに着座した乗員の快適性(特に、座り心地)のさらなる向上を図ることができる。
【0012】
この発明の一実施態様においては、上記2列目の中央席シートのシートクッションの左右には隆起部が形成され、2列目の左右席シートにおいては左席のシートクッションの左側と、右席のシートクッションの右側とに隆起部が形成されたものである。
上記構成によれば、中央席シートのシートクッションにはその左右両側に隆起部を形成し、左右席シートのシートクッションにはその片側に隆起部を形成したので、中央席シートの乗員の座り心地を重視しつつ、左右席シートの着座スペースを確保することができる。
【0013】
この発明の一実施態様においては、上記2列目シートの後方に3列目シートが設けられたものである。
上記構成によれば、2列目の中央席シートにのみ乗員が乗車し、1列目および3列目のシートにそれぞれ前席乗員、後席乗員が乗車した時、特に3列目シートに対する後席乗員の快適性(見晴らし性および足元スペースの確保)を確保することができると共に、中央席シート側に左右席シートを格納すると、3列目シートに対する乗降スペースが形成されるので、該後席乗員の乗降性向上を図ることができる。
【0014】
この発明の一実施態様においては、上記2列目シートの両側方にはサイドドアが設けられたものである。
上記構成によれば、サイドドアの開成時には乗員乗降用のドア開口部が形成されるので、上述の3列目シートに対する乗降スペースがさらに拡大されて、3列目の後席乗員の乗降性をより一層向上することできる。
【0015】
この発明の一実施態様においては、上記2列目シートの左右席シートのシートクッション下部には、該シートを支持する支持部材が起伏可能に設けられたものである。
上記構成によれば、左右席シートのシートクッション下部に支持部材を起伏可能に設けたので、左右席シートの使用時には、支持部材を引起こして左右席シートを支持することができ、左右席シートを中央席シート側に起立させて格納する時には、支持部材を折畳んで左右席シートのシートクッション下部に収納することができる。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、2列目シートを車幅方向に独立して3席設け、この3席のうちの中央席シートのシートクッション着座部を、左右席シートのシートクッション着座部よりも高い位置に配置したので、2列目中央席シートの着座部を左右席のそれに対して高く設定し、これにより、中央席シートに着座する乗員の快適性(見晴らし性)向上を図ることができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
2列目中央席シートの着座部を左右席のそれに対して高く設定し、中央席シートに着座する乗員の快適性(見晴らし性)向上を図るという目的を、車室内前方から1列目シートおよび2列目シートが設けられた車両において、上記2列目シートが車幅方向に独立して3席設けられ、該3席のうちの中央席シートのシートクッション着座部を、左右席シートのシートクッション着座部よりも高い位置に配置するという構成にて実現した。
【実施例】
【0018】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図1は車両の車室内構造を示す平面図、図2は2列目シートの正面図、図3は図2の要部の斜視図である。
【0019】
図1において、この車両の車室内構造は、車室内前方に1列目シートXを配設し、1列目シートXの後方には2列目シートYを配設し、2列目シートYのさらに後方には3列目シートZを配設している。
【0020】
また、上述の1列目シートXの左右両側方には左右のフロントドアをそれぞれ設ける一方、2列目シートYの左右両側方にはサイドドアとしての左右のスライドドア10,10をそれぞれ設けている。
【0021】
上述の1列目シートXは、シートクッション11と、シートバック12と、ヘッドレスト13とを備えた左席シート14と、シートクッション15と、シートバック16と、ヘッドレスト17とを備えた右席シート18とから成り、これら左右席シート14,18は何れもバケットシート(セパレートシート)により構成される一方、右ハンドル車両または左ハンドル車両に対応して、これらシート14,18の何れか一方がドライバーズシート(運転席)に設定され、何れか他方がパッセンジャーズシート(助手席)に設定される。
【0022】
上述の2列目シートYは車幅方向に独立して3席設けられている。すなわち、2列目シートYは、シートクッション19と、シートバック20と、ヘッドレスト21とを備えた中央席シート22(いわゆるセンタシート)と、シートクッション23と、シートバック24と、ヘッドレスト25とを備えた左席シート26と、シートクッション27と、シートバック28と、ヘッドレスト29とを備えた右席シート30とから構成されている。
そして、上記3席のうちの中央席シート22の車幅方向の寸法が左右席シート26,30の車幅方向の寸法よりも幅広に構成されている。
【0023】
この実施例では、左席シート26、中央席シート22、右席シート30の車幅方向の寸法の比率は3:4:3に設定されているが、この比率数値に限定されるものではない。
【0024】
また、上述の3列目シートZは、シートクッション31と、シートバック32と、ヘッドレスト33とを備えた左席シート34と、シートクッション35と、シートバック36と、ヘッドレスト37とを備えた右席シート38とから成り、これら左右席シート34,38はセパレートシートにより構成されているが、3列目シートZはベンチシートで構成してもよい。
【0025】
図2、図3に示すように、2列目シートYの各シート22,26,30におけるシートクッション19,23,27とシートバック20,24,28とはそれぞれ左右一対のナックル40,40を介して、シートバック20,24,28がシートクッション19,23,27上に折畳み可能に構成されている。
【0026】
さらに、図2、図3に示すように、2列目シートYの中央席シート22におけるシートクッション19の左右両部には上方に隆起する隆起部19a,19aが形成され、左右席シート26,30においては左席シート26のシートクッション23の左側と、右席シート30のシートクッション27の右側とに上方に隆起する隆起部23a,27aが形成されており、中央席シート22の座り心地を重視しつつ、中央席シート22よりも幅狭な、左右席シート26,30の着座スペースを確保するように構成している。
【0027】
しかも、図2に2列目シートYの3席を正面図で示すように、中央席シート22のシートクッション19の着座部は、左右席シート26,30のシートクッション23,27の着座部よりも高い位置に配置されており、この中央席シート22に着座する乗員の快適性、特に、見晴らし性の向上を図るように構成している。
【0028】
つまり、2列目シートYの中央席シート22のヒップポイントh1は、左席シート26および右席シート30のヒップポイントh2,h3よりも高い位置に設定されると共に、左席シート26と右席シート30のヒップポイントh2,h3は各シート26,30の車幅方向中心に対して隆起部23a,27aが形成されている分、内寄りに設定されている。
【0029】
このように、中央席シート22のシートクッション19の着座部を高く配置(換言すれば、中央席シート22のヒップポイントh1を高く設定)しても、車両のルーフ中央はその左右に対して高い位置に存在するので、充分な中央席乗員の着座空間(着座スペース)が確保できると共に、着座部が高い分、視界が拡大されると同時に、レッグスペースを確保することができる。
【0030】
ところで、図1に示すように、エンジンルーム41と車室とを前後方向に仕切るダッシュロアパネル42(ダッシュパネル)を設け、図2に示すように、このダッシュロアパネル42の下部には、車室の底面を形成するフロアパネル43を接続している。
また、上述のフロアパネル43には、図1、図2に示すように、車幅方向中央部において車室側に突出して車両の前後方向に延びるトンネル部44(いわゆるフロアトンネル)を一体または一体的に形成している。
【0031】
このトンネル部44は上述のダッシュロアパネル42と、3列目シートZのシートクッション31,35前端部と対応するキックアップ部(図示せず)との間にわたって前後方向に延びるもので、2列目シートYの中央席シート22の前方位置においては、上述のトンネル部44の上面部の車幅方向の幅が幅広に形成された幅広部45が形成され、この幅広部45により中央席シート22に着座した乗員の足置き性向上を図るように構成している。
【0032】
また、図2に示すように、上述の幅広部45の左右両部には左席シート26のシートクッション23前方位置および右席シート30のシートクッション27前方位置と対応してフロア掘下げ部43a,43aを形成し、左右席シート26,30に着座した乗員のレッグスペースを確保するように構成している。
【0033】
さらに、図2に示すように、トンネル部44近傍のフロアパネル43下面(図2のフロア掘下げ部43aの下面参照)には車両の前後方向に延びるフロアフレーム46が設けられており、このフロアフレーム46の内側部46aが上記幅広部45の左右の両立上がり部近傍に結合され、両者45,46間および43a,46間には車両の前後方向に延びる閉断面47を形成し、下部車体剛性の向上を図るように構成している。
【0034】
また、上述のフロアパネル43の左右両サイドには、サイドシルインナ48,48が接合固定されている。
このサイドシルインナ48は開示しないサイドシルアウトと接合されて、車両の前後方向に延びるサイドシル閉断面を形成する車体剛性部材であるが、この実施例ではサイドドアとしてスライドドア10を用いるので、サイドシル閉断面内には、スライドドア10を前後方向に開閉案内するガイドレール等の案内手段(図示せず)が設けられる。
【0035】
図2、図3に示すように、トンネル部44の上面には、複数のフランジ50および支持脚51を介してブラケット52を水平に取付け、このブラケット52の上面に左右一対のシートスライド装置53,53を介して上述の中央席シート22を、前後方向にシートスライド可能に、取付けている。
【0036】
この中央席シート22のシートクッション19に設けられたシートクッションフレーム(図示せず)の左右には、図2で示すように、正面視凹状のブラケット54を介して回動中心軸55を設け、2列目シートYの左右席シート26,30におけるシートバック24,28を、ナックル40(図3参照)を介して、シートクッション23,27上に折畳んだ後(図4、図5、図6参照)、この状態の左右席シート26,30を、上述の回動中心軸55を支点として、中央席シート22側に起立した状態で格納することができるように構成している(図7、図8、図9参照)。
【0037】
ここで、上述の回動中心軸55は車両の前後方向に指向する一方、左席シート26および、右席シート30は、上記ブラケット54を介して中央席シート22のシートクッションフレーム(図示せず)に対して片持ち構造に形成されているので、左席シート26、右席シート30のシートクッション23,27下部には、折畳み可能な前後一対の支持脚56,56が設けられている。
【0038】
この実施例では、図9に示すように左右席シート26,30の格納時に、上記一対の支持脚56,56がシートクッション23,27の下面(折畳まれた状態下におけるシートクッション23,27の車外側の面)より外方に突出しないように、これら一対の支持脚56,56はシートクッション23,27の下面に形成された凹部57に対して起伏可能に支持されており、図1〜図3に示す左席シート26、右席シート30の使用時には、該凹部57から一対の支持脚56を、図2に示すように引き起こし、使用時の左右席シート26、30およびこれらシート26,30に着座する乗員の荷重を受け止めるものである。
【0039】
図1〜図3に示すノーマル状態下においては、最大7人乗車が可能であるが、この図1〜図3に示す状態から2列目シートYの左右席シート26,30の各シートバック24,28を、ナックル40内の支点を中心として前方に倒伏させてシートクッション23,27上に折畳むと、図4、図5、図6に示すように、折畳まれたシートバック24,28を中央席シート22のアームレストとして使用することができる。
【0040】
また、図6に示すように、2列目シートYの左右席シート26,30におけるシートバック24,28の背面には、予めカップホルダ60と凹状の物入れ61とが形成されているので、シートバック24,28の前側への折畳み時にはシートバック24,28の背面が上面に位置し、これらカップホルダ60、物入れ61の使用が可能となるので、中央席シート22に着座した乗員の利便性向上を図ることができる。なお、図4〜図6に示す状態下にあっては、最大5人乗車が可能となり、中央席シート22に着座した乗員の前方乃至側方の見晴らし性向上を図ることができると共に、幅広シートにより、その座り心地の向上を図ることができる。
【0041】
図4〜図6に示すシートバック24,28の折畳み状態から、左右の回動中心軸55,55を支点として、2列目シートYの左右席シート26,30を中央席シート22側に起立した状態で格納すると、図7、図8、図9に示すように、この格納した左右席シート26,30を中央席シート22の乗員がアームレストとして使用することができ、格納状態の左右席シート26,30の高さは、アームレストとして使用する適切な高さとなるので、中央席シート22の乗員のさらなる快適性向上を図ることができるうえ、3列目シートZに着座する乗員の足元スペースの拡大を図ることができる。
【0042】
しかも、図7に示すように、上記格納時においては、3列目シートZに対する広い乗降スペースが形成され、スライドドア10の開放時には該乗降スペースがさらに拡大されるので、3列目シートZの後席乗員の乗降性向上を図ることができる。なお、図7〜図9に示す状態下にあっては図4〜図6と同様に、最大5人乗車が可能となる。
【0043】
このように図1〜図9で示した実施例の車両の車室内構造は、車室内前方から1列目シートXおよび2列目シートYが設けられた車両において、上記2列目シートYが車幅方向に独立して3席22,26,30設けられ、該3席22,26,30のうちの中央席シート22のシートクッション19着座部が左右席シート26,30のシートクッション23,27着座部よりも高い位置に配置されたものである(図1、図2参照)。
【0044】
この構成によれば、2列目の中央席シート22におけるシートクッション19着座部を、左右席シート26,30のシートクッション23,27着座部に対して高く設定したので、この中央席シート22に着座する乗員の快適性(特に、見晴らし性)の向上を図ることができる。
【0045】
また、フロアパネル43の車幅方向中央部に車両の前後方向に延びるトンネル部44が設けられ、上記トンネル部44の上面部の車幅方向の幅が上記2列目の中央席シート22の前方位置において幅広に形成されたものである(図1、図2参照)。
この構成によれば、2列目の中央席シート22の前方位置において上記トンネル部44を幅広に形成(幅広部45参照)したので、中央席シート22の乗員の足置性向上を図ることができる。
【0046】
さらに、上記トンネル部44近傍のフロアパネル43下面に車両の前後方向に延びるフロアフレーム46が設けられ、該フロアフレーム46が上記トンネル部44の幅広部45の左右立上がり部に結合されたものである(図2参照)。
【0047】
この構成によれば、上述のトンネル部44の幅広部45を利用して、フロアフレーム46の剛性および下部車体剛性の向上を図ることができる。
加えて、上記2列目の左右席シート26,30はそのシートバック24,28をシートクッション23,27上に折畳み可能に構成されたものである(図4、図5、図6参照)。
【0048】
この構成によれば、折畳んだ左右席シート26,30のシートバック24,28を、中央席シート22に着座する乗員がアームレストとして使用することができるので、中央席シート22の乗員の快適性をさらに向上させることができる。
しかも、上記2列目の左右席シート26,30はそのシートバック24,28をシートクッション23,27上に折畳んだ状態で中央席シート22側に起立した状態で格納可能に構成されたものである(図7、図8、図9参照)。
【0049】
この構成によれば、2列目の中央席シート22側に起立した状態で格納した左右席シート26,30を、中央席シート22の乗員がアームレストとして使用することができ、格納状態の左右席シート26,30の高さがアームレストとして使用する適切な高さとなるので、中央席シート22の乗員のさらなる快適性向上を図ることができる。
また、上記2列目の中央席シート22は該2列目の左右席シート26,30よりも車幅方向の幅が幅広に形成されたものである(図2参照)。
【0050】
この構成によれば、2列目の中央席シート22を幅広化して、幅広シートと成すことができ、該中央席シート22に着座した乗員の快適性(特に、座り心地)のさらなる向上を図ることができる。
【0051】
そのうえ、上記2列目の中央席シート22のシートクッション19の左右には隆起部19a,19aが形成され、2列目の左右席シート26,30においては左席のシートクッション23の左側と、右席のシートクッション27の右側とに隆起部23a,27aが形成されたものである(図2参照)。
【0052】
この構成によれば、中央席シート22のシートクッション19にはその左右両側に隆起部19a,19aを形成し、左右席シート26,30のシートクッション23,27にはその片側に隆起部23a,27aを形成したので、中央席シート22の乗員の座り心地を重視しつつ、左右席シート26,30の着座スペースを確保することができる。
また、上記2列目シートYの後方に3列目シートZが設けられたものである(図1参照)。
【0053】
この構成によれば、2列目の中央席シート22にのみ乗員が乗車し、1列目シートXおよび3列目シートZにそれぞれ前席乗員、後席乗員が乗車した時、特に3列目シートZに対する後席乗員の快適性(見晴らし性および足元スペースの確保)を確保することができると共に、中央席シート22側に左右席シート26,30を格納すると(図7参照)、3列目シートZに対する乗降スペースが形成されるので、該後席乗員の乗降性向上を図ることができる。
さらに、上記2列目シートYの両側方にはサイドドア(スライドドア10参照)が設けられたものである(図1参照)。
【0054】
この構成によれば、サイドドア(スライドドア10参照)の開成時には乗員乗降用のドア開口部が形成されるので、上述の3列目シートZに対する乗降スペースがさらに拡大されて、3列目の後席乗員の乗降性をより一層向上することできる。
【0055】
加えて、上記2列目シートYの左右席シート26,30のシートクッション23,27下部には、該シート26,30を支持する支持部材(支持脚56参照)が起伏可能に設けられたものである(図2参照)。
【0056】
この構成によれば、左右席シート26,30のシートクッション23,27の下部に支持部材(支持脚56参照)を起伏可能に設けたので、左右席シート26,30の使用時には、支持部材(支持脚56参照)を引起こして左右席シート26,30を支持することができ、左右席シート26,30を中央席シート22側に起立させて格納する時には、支持部材(支持脚56)を折畳んで(図9参照)、左右席シート26,30のシートクッション23,27下部に収納することができる。
【0057】
図10は車両の車室内構造の他の実施例を示し、2列目シートYの左席シート26におけるシートクッション23の右側に、中央席シート22の左側の隆起部19aと連続するように隆起量が小さい隆起部23bを形成すると共に、右席シート30におけるシートクッション27の左側に、中央席シート22の右側の隆起部19aと連続するように隆起量が小さい隆起部27bを形成したものである。
このように構成すると、左席シート26のシートクッション23には、その隆起高さが異なるものの、両側に隆起部23a,23bが形成されるので、左席シート26に着座する乗員の座り心地向上を図ることができる。
【0058】
同様に、右席シート30のシートクッション27にも、その隆起高さが異なるものの、両側に隆起部27a,27bが形成されるので、右席シート30に着座する乗員の座り心地向上を図ることができる。
【0059】
図10で示すこの実施例においても、その他の構成、作用、効果については、先の実施例と同様であるから、図10において前図と同一の部分には同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【0060】
図11は車両の車室内構造のさらに他の実施例を示し、2列目シートYの中央席シート22の前方位置に幅広部45を形成する場合、トンネル部44を備えたフロアパネル43とは別部材にて、上記幅広部45を形成したものである。
すなわち、トンネル部44の上面と、その左右のフロア掘下げ部43a,43aとに跨るように、トンネルメンバ62を接合固定し、このトンネルメンバ62とトンネル部44の左右両部には、前後方向に延びる閉断面63,63を形成している。
【0061】
また、トンネル部44近傍下部におけるフロアパネル43の下面(フロア掘下げ部43aの下面参照)には通常の断面ハット形状のフロアフレーム46,46を設け、フロアパネル43下面と該フロアフレーム46との間には前後方向に延びる閉断面47を形成し、この閉断面47と上述の閉断面63とを上下方向に対向させて、下部車体剛性の向上を図っている。
このように構成しても、中央席シート22に着座する乗員の足置きスペースを広く確保することができると共に、下部車体剛性の向上を図ることができる。
【0062】
図11で示すこの実施例においても、その他の構成、作用、効果については、図1〜図9で示した先の実施例と同様であるから、図11において前図と同一の部分には同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【0063】
図12、図13は車両の車室内構造のさらに他の実施例を示し、先の各実施例においては、ブラケット52の上部に左右一対のシートスライド装置53,53を介して中央席シート22をシートスライド可能に取付けたが、図12、図13に示すこの実施例では、幅広部45を含むトンネル部44の上面にシートスライド装置53のロアレール53Lを直接固定し、中央席シート22の図示しないシートクッションフレームにはブラケット52を取付け、ロアレール53Lと該ブラケット52(またはシートクッションフレーム)との間を、アッパレール53Uで上下方向に連結したものである。
ロアレール53Lとアッパレール53Uとから成るシートスライド装置53は左右に離間した一対構造のもので、上述のロアレール53Lは前後方向に延出するセミロングレールにて構成されている。
【0064】
このように構成すると、図13に示すように、3列目シートZに後席乗員が乗車(着座)しない時、左右席シート26,30のシートバック24,28を前側に折畳んだ状態で2列目シートYを、シートスライド装置53,53を介して、3列目シートZのシートクッション31.35に当接する位置まで後退移動させて、該2列目シートYにおける中央席シート22に着座する乗員のスペースを最大限に拡大することができる。
また、図13に示す状態下においては、最大3人乗車可能となる。
【0065】
図12、図13に示したこの実施例においても、その他の構成、作用、効果については、先の各実施例と同様であるから、図12、図13において前図と同一の部分には同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【0066】
図14は車両の車室内構造のさらに他の実施例を示し、幅広部45を含むトンネル部44の上面部に、ロアレール53L,53Lを埋設する一対の凹部44a,44aを形成し、車両の前後方向に延びる左右一対の該凹部44a,44aにロアレール53L,53Lを収納固定し、ロアレール53Lの上端面と、幅広部45を含むトンネル部44の上面とを面一(または略面一)に形成し、上述の幅広部45はロアレール53Lの突出がないフラット状に構成したものである。また、上述のフロアフレーム46における内側部46aの上端部は、上記一対の凹部44a,44aの底面部、換言すればトンネル部44のトップデッキ下面に接合固定されている。
【0067】
このように構成すると、2列目の中央席シート22の乗員の足置き性のさらなる向上を図ることができる。
【0068】
図14で示したこの実施例においても、その他の構成、作用、効果については、図12、図3で示した先の実施例とほぼ同様であるから、図14において図12と同一の部分には、同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【0069】
なお、以上の各実施例においては、左右席のシート26,30をブラケット54を介して中央席シート22と共にスライド可能に構成したが、ブラケット54をフロアパネル43に対してスライド可能に支持し、左右席を中央席と独立してスライド可能に構成することも可能である。
【0070】
また、以上の各実施例においては、隆起部19a,23a,27aや、隆起量の小さい隆起部23b,27bをシートクッション19,23,27に形成するものとしたが、シートバック20,24,28に同様の隆起部を構成することも可能である。
【0071】
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この発明の2列目シートYの両側方に設けられたサイドドアは、実施例のスライドドア10に対応し、
以下同様に、
支持部材は、支持脚56に対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の車両の車室内構造を示す平面図
【図2】2列目シートの取付け構造を示す正面図
【図3】図2の要部の斜視図
【図4】2列目シートの左右席のシートバックを前倒しした状態の平面図
【図5】図4の2列目シートの正面図
【図6】図5の要部の斜視図
【図7】2列目シートの左右席を中央席側に格納した状態の平面図
【図8】図7の2列目シートの正面図
【図9】図8の要部の斜視図
【図10】隆起部の他の実施例を示す2列目シートの正面図
【図11】幅広部の他の実施例を示す2列目シートの正面図
【図12】シートスライド装置の他の実施例を示す2列目シートの正面図
【図13】2列目シートを最大限後退させた状態で示す平面図
【図14】車両の車室内構造の他の実施例を示す正面図
【符号の説明】
【0073】
X…1列目シート
Y…2列目シート
Z…3列目シート
10…スライドドア(サイドドア)
19,23,27…シートクッション
19a,23a,27a…隆起部
20,24,28…シートバック
22…中央席シート
26…左席シート
30…右席シート
43…フロアパネル
44…トンネル部
45…幅広部
46…フロアフレーム
56…支持脚(支持部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室内前方から1列目シートおよび2列目シートが設けられた車両において、
上記2列目シートが車幅方向に独立して3席設けられ、
該3席のうちの中央席シートのシートクッション着座部が左右席シートのシートクッション着座部よりも高い位置に配置された
車両の車室内構造。
【請求項2】
フロアパネルの車幅方向中央部に車両の前後方向に延びるトンネル部が設けられ、
上記トンネル部の上面部の車幅方向の幅が上記2列目の中央席シートの前方位置において幅広に形成された
請求項1記載の車両の車室内構造。
【請求項3】
上記トンネル部近傍のフロアパネル下面に車両の前後方向に延びるフロアフレームが設けられ、該フロアフレームが上記トンネル部の幅広部の左右立上がり部に結合された
請求項2記載の車両の車室内構造。
【請求項4】
上記2列目の左右席シートはそのシートバックをシートクッション上に折畳み可能に構成された
請求項1〜3の何れか1に記載の車両の車室内構造。
【請求項5】
上記2列目の左右席シートはそのシートバックをシートクッション上に折畳んだ状態で中央席シート側に起立した状態で格納可能に構成された
請求項1〜4の何れか1に記載の車両の車室内構造。
【請求項6】
上記2列目の中央席シートは該2列目の左右席シートよりも車幅方向の幅が幅広に形成された
請求項1〜5の何れか1に記載の車両の車室内構造。
【請求項7】
上記2列目の中央席シートのシートクッションの左右には隆起部が形成され、
2列目の左右席シートにおいては左席のシートクッションの左側と、右席のシートクッションの右側とに隆起部が形成された
請求項6記載の車両の車室内構造。
【請求項8】
上記2列目シートの後方に3列目シートが設けられた
請求項1〜7の何れか1に記載の車両の車室内構造。
【請求項9】
上記2列目シートの両側方にはサイドドアが設けられた
請求項1〜8の何れか1に記載の車両の車室内構造。
【請求項10】
上記2列目シートの左右席シートのシートクッション下部には、該シートを支持する支持部材が起伏可能に設けられた
請求項1〜9の何れか1に記載の車両の車室内構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−284901(P2008−284901A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−129303(P2007−129303)
【出願日】平成19年5月15日(2007.5.15)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】