説明

自動車ヘッドライト用のランプ

自動車ヘッドライト用のランプ(10、11)を記載する。ランプは、光源(1、2)を密接に閉じ込めるクオーツバルブ(3、12、17)と、場合によってはクオーツバルブを閉じ込める外部バルブ(4)を有する。ランプの長手軸(L)の方向に延在する負のレンズ(7、8、14、15、16)は、クオーツバルブ及び/又は外側バルブの2つの側面(6、13)内に又は2つの側面において存在する。これらのレンズは、光源が、少なくとも1つの方向において光学的にサイズが縮小されるよう設計される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車ヘッドライト用のランプ及びそのようなランプを有する自動車ヘッドライトに係る。
【背景技術】
【0002】
実質的に全ての自動車ヘッドライトの基本的な要件は、一方で、ヘッドライトは自動車の運転手に良好な視界を与えるよう可能な限り良好な通行空間の照明を達成すべきであり、他方で、接近する車両を危険にさらさないよう接近する車両の運転手の眩惑は回避されなければならないということである。従って、確実に接近する車両の運転手の目が眩まないように、カットオフ(cut off)とも呼ばれるいわゆる明暗境界(bright/dark limit)が、関連の規格において低ビーム機能に対して定められている。これは、ランプ及びヘッドライトの組み立てと、自動車におけるヘッドライトの取付け及び調整において、このカットオフより下の通行空間のみが照明されるよう留意されるべきである。明暗境界は、多くの場合、ランプ自体又はヘッドライトにおいて適切に位置付けられ且つ形作られたスクリーンキャップ又はブラインドによって、暗領域の適切なシェーディングによって順守されている。両方のシステムにおいて、ランプから横方向に放射される、即ち、ランプの組み立てられた状態において水平方向に相互に対向するよう配置される側面を通り出る光線は、通常、明暗カットオフのすぐ下の領域に投影される。
【0003】
通行空間の可能な限り最良の照明を、特に、自動車の前の可能な限り遠い距離において達成するために、ランプ又はヘッドライトは、最大限の光が、明暗カットオフのすぐ下の許可された領域に投影されるよう組み立てられるべきである。例えば、大きいヘッドライト直径といったヘッドライトの特別な構成は、明暗カットオフのすぐ下の領域がより一層強く照射されるよう光を再分配することを可能にし得る。しかし、残念ながら、ヘッドライトの放射動作を最適化するための追加の措置は、ヘッドライトの設計及び特定設計の自動車前部へのヘッドライトの組み込みに追加の境界条件をもたらしてしまい、これらは通常高くつく。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、明暗カットオフのすぐ下の許可領域における通行空間のより強い照明が、ランプが中に組み込まれた自動車ヘッドライトの設計に実質的に関係なく達成可能である自動車ヘッドライト用のランプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、自動車ヘッドライト用のランプであって、光源を直接閉じ込めるクオーツバルブと、場合によってはクオーツバルブを閉じ込める外部バルブと、ランプの長手軸の方向に延在し、クオーツバルブ及び/又は外側バルブの2つの側面内に又は2つの側面において存在し、該側面は、ランプの組み立てられた状態では水平方向において互いに対向するよう配置される2つの負のレンズとを有し、レンズは、光源が、少なくとも1つの方向において光学的にサイズが縮小されるよう構成されるランプによって達成される。
【0006】
ランプの側面から出る光、また、従って、側部から見た光源の像は、上述されたように明暗カットオフの領域に向けて放射されるので、負のレンズは、側面での明暗カットオフにおける光源の像を縮小する。例えば、光源の像を、長手方向に短くし、及び/又は、長手方向に垂直な方向に細くし、それにより、その領域において正確により高い輝度が達成される。従って、光源の光学的な縮小は、同じ総光量と仮定すると、従来のヘッドライトを使用して、通行空間のより良好な照明を達成可能である。ここでは、光源のサイズの実際の縮小は必要ではない。光源のサイズの実際の縮小は、物理的又は構造上の理由から原則可能ではない。その代わりに、ランプの側面におけるレンズが、ヘッドライトが小さい光源を「見て」、この縮小された仮想光源を通行空間に投影することを確実にする。
【0007】
レンズは、バルブ壁の適切な成形によって当該のバルブに組み込まれることが好適である。しかし、或いは、別個に製造され壁に接して設けられるレンズを用いてもよい。
【0008】
本発明は、様々な種類のランプタイプについて実現され得る。特に好適な実施例では、ランプは、ガス放電ランプである。一般的なガス放電ランプは、例えば、高圧ナトリウムランプといったいわゆるHID(高輝度放電)ランプや、いわゆるMPXL(マイクロパワーキセノンライト)ランプである。このようなランプは通常、クオーツバルブから構成される放電管を有し、放電管の中には不活性ガスが充填される。長手ランプ方向に延在する電極は、クオーツバルブの互いに対向する端からクオーツバルブ内に突出する。電極は、互いからある距離において終端する。電極に印加される高圧によって達成される点火の後、明るい放電アークが、電極間に確立される。放電アークが、光源として使用される。ガス放電ランプのクオーツバルブは、通常、特にUV放射を遮蔽するよう機能する外側バルブによって閉じ込められる。そのようなガス放電ランプでは、負のレンズを外側バルブの側面に組み込むか又は側面に取り付けることが勧められる。外側バルブも多くの場合クオーツガラスで形成される。
【0009】
或いは、内側バルブには、好適なレンズが設けられてもよい。これは、レンズは光源により近く、従って、より効率よく作用するという利点を有する。しかし、不利点は、そのようなレンズを、内側バルブ内に又は内側バルブに設けることは技術的により複雑で且つより高価であり、また、内側バルブの幾何学形状における変化は、同時に、例えば、内側バルブ内の温度分布といった他のランプパラメータも変更してしまう点である。このことは、放電アークの形成、従って、光分布にも影響を与える。それとは対照的に、レンズを外側バルブの側面に導入することは、比較的単純であり且つ安価であり、放射及び光源自体の効率には影響を与えない。
【0010】
更なる好適な実施例において、ランプは、その光源としてフィラメント、例えば、白熱コイルを有する。そのようなランプの一般的な例は、おなじみのH4ランプといったハロゲンランプである。このようなランプは通常、フィラメントに対してある距離においてフィラメントを密接して閉じ込める1つのクオーツバルブのみを有する。このようなランプは通常更なる外側バルブを有さず、従って、光源を直接閉じ込めるクオーツバルブの側面自体に、負のレンズが設けられる。しかし、これは、このフィラメントランプが追加の外側バルブを有することができない、また、側面レンズがこの外側バルブに又は外側バルブにおいて配置されることができない、又は、内側クオーツバルブに1つのレンズが、外側バルブに1つのレンズが設けられて相互に協働するレンズの各対を配置することができないということを意味するわけではない。
【0011】
残りの従属項は、更なる特に有利な実施例と本発明の更なる展開に関連する。
【0012】
特に好適な実施例において、負のレンズは、各負のレンズの湾曲は、ランプの長手軸に垂直に延在するよう構成される。このことは、原則として、クオーツバルブ又は外側バルブの側面を平らにすることによって容易に達成可能である。原則として、内側クオーツバルブと、ある場合には外側バルブは、その製造によって円形の内側断面を有する。即ち、バルブは、長手ランプ方向において円筒の管として構成される。各バルブの外側が平らにされると、負の、即ち、平凹レンズが単純な方法で自動的に形成される。これによって、光源は、側部から見たときに光学的に細く見えるようにされる。しかし、このように負のレンズの作用を有するランプを製造するのに、各バルブの外面に湾曲を与えることも可能である。尚、特定の湾曲又は湾曲方向を有するレンズも、そのような湾曲に対応する効果を有するよう、例えば、本願のコンテキストにおいてそうではないと述べられない限り、このためにフレネルレンズとして構成されるレンズであることを理解するものとする。
【0013】
従来のハロゲンランプといった白熱コイルを有するランプの場合、このような負のレンズは、白熱コイルがより細いと思われることを確実にする。しかし、ランプの長手軸に垂直に延在する湾曲を有するそのような負のレンズの特定の利点は、ガス放電ランプにおいて見つけられる。ガス放電ランプ内の物理的な条件は、常に、特定の半径で上方向に湾曲した放電アークを形成する。この実際の放電アーク湾曲は、構造上の措置では縮小することができない。何故なら、放電管の直径を小さくすることが必要となるからである。これは、放電アークの高温によってクオーツバルブの結晶化をもたらし、これは、ランプの寿命を相当短くしてしまう。しかし、側面の負のレンズは、通行空間に投影される仮想の発光アークの湾曲を減少し、これは、最終的に、放電アークの湾曲の実際の減少と同じ効果を有する。
【0014】
負のレンズは、或いは、又は、追加的に、それぞれ、ランプの長手軸に平行に延在する湾曲を有することが好適である。この構成の負のレンズは、光源、即ち、コイル又は放電アークが、負のレンズがない場合よりも側面から見たときに短いと思えるようにすることを確実にする。光源を直接閉じ込めるクオーツバルブ、又は、ある場合には、外側バルブが既に、内側に、ランプの長手軸に平行に延在する対応する湾曲を有するよう成形される場合、そのような負のレンズは、水平方向において側面のバルブ壁を単純に平らにすることによって達成され得る。しかし、更に、又は、或いは、湾曲は、この目的のために外面に設けられてもよい。
【0015】
更なる好適な実施例において、(内側の)クオーツバルブ、及び/又は、ある場合には、外側バルブは、斜め上方向及び/又は斜め下方向に延在し、且つ、光源が、水平方向に対して僅かに斜めに傾斜された各方向から見たときにサイズが縮小したように見えるよう水平方向において相互に対向する側面レンズに直接隣接する更なるレンズを有する。
【0016】
これは、もともと内部湾曲、即ち、例えば、楕円形の、球面の、又は円筒形の湾曲を有する壁を有するバルブにおいて、断面が多角形である、即ち、横方向だけではなく僅かに斜め上方向及び/又は斜め下方向において平らにされる外面が側面の領域において設けられるバルブにおいて比較的単純に達成される。
【0017】
特に、本発明のガス放電ランプの場合、正のレンズ素子が、ランプの長手方向に関連して特定の各領域における2つの側面の負のレンズの中に配置されることが好適である。例えば、ECE−R99といった特定の規格は、ガス放電ランプの放電アークは、一般的に、電極管の中心である位置においてより大きい幅又は発散度を有さなければならないことを規定している。これは、長手軸に沿って関連の位置に配置される上述のような追加の正の、例えば、凸レンズによって達成され得、その方向における光源の像の拡張を与える。この正のレンズ素子は、回転対称形状、又は、球面セグメントの形状を与えられることが好適である。或いは、この正のレンズ素子は、ランプの長手軸に対し実質的に直角に延在する円筒の対称軸について円筒対称なレンズ素子であり得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明は、添付図面及び有利な実施例を参照して以下により詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明の放電ランプ10の構成の断面図であり、図2は、本発明の放電ランプ10の構成の垂直長手方向断面であり、このランプ10には、本発明に従って、負のレンズ7が、水平方向において相互に対向する側面に組み込まれる。
【0020】
ランプ10は、内側クオーツバルブ3から通常の方法で形成され、その内側クオーツバルブ内に2つの電極5が、長手方向のランプ方向Lにおいて相互に対向する端部から突出する。この内側クオーツバルブ3が、内部空間が不活性ガスで充填される放電管を形成する。ランプ10は、電極5に高電圧を印加することによって点火され、明るい放電アーク1がクオーツバルブ3の内部における電極5間に確立される。点火後、ランプ10は通常、後続の動作において低い交流電圧で動作する。
【0021】
内側クオーツバルブ3は、ここでは外側バルブ4によって従来通りに囲まれ、この外側バルブも例えばクオーツから形成され、その2つの端部において内側バルブ3に接続される。この外側バルブ4は、特に、ランプ10の動作時に発生するUV放射を遮るよう作用する。
【0022】
物理的な条件によって、このようなガス放電ランプ10においては、上方向に湾曲する放電アーク1が常に形成される。この場合、曲率半径は、約0.5ミリメートル(標準的なランプについて)から約0.7ミリメートル(水銀のないランプについて)の範囲にある。放電アーク1の高温と、クオーツバルブ3の材料の融点によって、クオーツバルブ3の内径を、放電アーク1が強制的に直線状となるよう小さくすることが不可能である。しかし、以下により詳細に説明するように、曲率半径の縮小は照明技術の理由から非常に望まれる。
【0023】
従って、図1及び2のランプには、本発明では、側面に負のレンズ7が設けられる。図示する実施例では、側面以外は中空の円筒型外側バルブ4の側面6は、外側が平らにされる。これは、側壁に好適な負のレンズ7を形成し、負のレンズの湾曲は、どの場合でも、ランプ10の長手軸Lに垂直である。これは、外側バルブ4の側壁は、それぞれ、凹部面が内側である平凹レンズ7を形成することを意味する。
【0024】
これらの平凹レンズ7は、ランプ10の長手軸Lに直角な面から見たときに、放電アーク1が平らになったかのように見えることが達成される。この効果は、光源1の上部境界及び下部境界から始まり、レンズ7を通過する境界光線Sによって図1において明らかにされる。これらの境界光線Sの実際の経路はそれぞれ実線矢印で示す。図示するように、境界光線Sは、平凹レンズ7の中で上方向及び下方向に偏向される。レンズ7の外側で且つレンズ7の隣にいる観察者は、ランプ10の外側において境界線Sが有する方向での境界線Sしか見ない。従って、観察者は、放電アーク1の事実上の像1を、内側に向かって破線S’に沿った境界光線Sの外側部分の延長の結果であるかのように見る。従って、横にいる観察者は、図2において破線で示す影響を受けていない放電アーク1ではなく、光学的に平らにされ補正された放電アーク像1’を見る。ここでは、この放電アーク像1’は、点線で示す。
【0025】
図3及び4は、比較のためにD2S型のクオーツガラスバルブランプの光度画像を示す。グレイレベルは、様々な光度値に対応する。図3は、従来技術のクオーツガラスバルブランプ、即ち、横の負のレンズなしの画像を示す。図4は、その一方で、同じ型のランプの画像を示すが、負のレンズが、本発明の方法で外側バルブの側壁において側面を平らにすることによって設けられる。図3及び4における画像の比較は、外側から可視の像、即ち、放電アーク1の(仮想の)形状は、補正していないランプより本発明の補正されたランプにおいて、実質的により直線状であることをすぐに示す。
【0026】
側部から可視である放電アーク1の像1’のこの補正の肯定的な効果は、図5及び6の比較から明らかとなる。両方の図面は、ヘッドライト(図示せず)の水平放射方向に垂直な投影面における通行空間20を示す。これは、ここでは、反射器型ヘッドライトで、1つの場合では、側面の負のレンズのない従来のランプが挿入され(図5)、もう1つの場合では、本発明のランプが挿入される(図6)。明暗カットオフ21は、図示する通行空間20のそれぞれにおいて示され、上部の眩惑範囲19を低ビーム範囲18、即ち、照射される通行空間から分ける。右側車両の全てのヘッドライトにおけるように、明暗カットオフ21は、右側において斜め上方向に角度が付けられる。何故なら、明暗カットオフ21に応じて眩惑から保護されるべき接近する車両は、左側を通過するからである。
【0027】
反射型ヘッドライトは、ランプから上方向に放射される光は、低ビームの下部領域内に反射されるよう通常の方法で構成される。下方向に放電ランプからくる光は、追加のスクリーンによって遮断されるか、又は、更に、低ビームの下部領域内に反射される。外側バルブの側面を通り出る光、従って、ランプの側面から可視である放電アーク1の像B、Bは、通行空間20における明暗カットオフ21の領域内にイメージされる。反射器は通常、幾つかのセグメントから構成されるので、反射器は、通行空間において互いに隣同士に又は相互に重なり合って放電アークを数回投影する。実際には、放電アークは一回しか存在しない。しかし、図5及び6は、より明瞭とするために放電アーク1の2つの像B、Bのみを示す。
【0028】
上述したように、光は、接近する車両の運転手の目が眩むことがないよう明暗カットオフ21の上方に絶対に放射されてはならない。しかし、その一方で、特に、車両の前方の遠く離れた範囲において、運転手にとって可能な限り良好な視界が得られるよう明暗カットオフ21の付近において可能な限りの光を投影することが有用である。
【0029】
図5が明らかに示すように、放電アークの像Bの強く湾曲した形状は、各像Bの最大の中心部分が望ましく明暗カットオフの近くにあることができないことを意味する。何故なら、望ましく明暗カットオフの近くにあるのならば、像Bの端は、明暗カットオフ21の上方にあることになるからである。対照的に、ランプバルブにおいて側面に配置される負のレンズによって生成される像B1’は、その像の全長に亘って明暗カットオフ21の実質的に近くに位置付けられることが可能である。それにより、光は、明暗カットオフ21のすぐ下に特に良好に集中し、これは、特に、車両の前方30メートル乃至75メートルの通行空間がより良好に照射されるという結果をもたらす。従って、運転手は、より迅速に潜在的な危険を見つけ、それに応じて迅速に反応することができ、これは、交通の安全における対応した向上をもたらす。
【0030】
明暗カットオフ21のすぐ下の領域の良好な照明は、放電アークを短くすることによっても達成可能である。このような放電アーク1の光学的な短縮は、バルブ4の側面が負のレンズとして形成され、この負のレンズの湾曲は、図7の水平断面図に示すようにランプの長手軸と平行に延在することによって達成される。境界光線S、S’を再び参照して示すように、横位置からの観察者は、実際の放電アーク1ではなく、負のレンズ8によってランプ軸Lに沿って光学的に短くされた放電アークの像1’を見る。従って、これも、放電アークが明暗カットオフ21の下の通行空間内に投影されるときの光の凝縮を与え、従って、車両の前方の更に離れた領域がより良好に照射される。
【0031】
特に良好な照明は、上述の効果の組み合わせ、即ち、両方向における光源の光学的な縮小によって達成される。図1のランプ10は、ランプ軸Lを横断する(内側)湾曲と、外側バルブ4の壁の内面の通常の湾曲の結果ランプ軸Lに平行な(外側の)の湾曲の両方を有する負のレンズを有するので、ランプ10の光源1の像は、必ず、ランプ軸Lの横断方向に圧縮され、ランプ軸Lに平行に短縮される。これは、この好適な「二重効果」が、外側バルブ4の外側壁の比較的簡単な成形で達成されることを意味する。しかし、原則的に、側壁に、代替の負のレンズ、特に複雑な形状のレンズを導入することも可能である。
【0032】
図8及び9は、本発明の更なる実施例を示す。基本的には、ここでは、図1及び2におけるのと同じような外側バルブ4の平らにされた側面6を有する放電ランプ10を示す。しかし、図1及び2のランプ10との違いは、正のレンズ素子9が、側面6、即ち、ランプ10の長手軸Lに沿った中心領域に追加的に設けられる点である。これらは、外部の回転対称の、即ち、半球形の凸レンズである。ここでは、外側バルブの壁の内側が湾曲しているので、正の半月形状が、長手ランプ軸Lの横断方向に得られる。
【0033】
これらの正のレンズ素子9は、放電アーク1が、電極5間の正確に中心領域においてより広い幅を示し、従ってより発散する効果を有する。このような中心領域における放電アーク1のより高い発散度は、特定の要件によって必要とされる。レンズ素子9の効果は、図9の垂直長手方向断面図において最も明確に見ることができる。図9でも、変更されてない放電アーク1は、破線で示し、中心に組み付けられた正のレンズ素子9を有する負のレンズ7によって変更された放電アークの像1’’は、点線で示す。
【0034】
図10乃至13は、従来の白熱コイル2を有するハロゲンランプ11における本発明の負のレンズ14、16の使用を非常に概略的に示す。図10は、図12及び13のための比較対象に過ぎない。コイル2は、クオーツバルブ12の中にあるよう示され、クオーツバルブ12は、単一の内部バルブとして機能し、コイル2を封じ込める。このようなハロゲンランプ11には、更なる外側バルブは通常存在しない。しかし、これは、ハロゲンランプ11に原則的に追加の外側バルブを使用することを排除するものではなく、その場合、外側バルブが、内側クオーツバルブ12を封じ込み、その場合、レンズは、外側バルブのみに設けられるか、又は、各レンズが適切な方法で協働するよう内側クオーツバルブ12と外側バルブに設けられる。ランプは、例えば、H4ランプであり得るが、単純さのために、ここでは、2つの白熱コイルのうちの1つ、特に、低ビームコイルのみを示す。スクリーンキャップもここでは、単純さのために省略する。
【0035】
図11は、本発明のこのようなハロゲンランプの1つの実施例の断面図である。ここでも、負のレンズ14は、図1に示すガス放電ランプの実施例と全く同様に、水平方向に互いに対向する側面13においてクオーツバルブ12の壁の外側を平らにすることによって形成される。レンズはここでも平凹レンズであって、凹部は、クオーツバルブ12の壁の内側の湾曲形状によって与えられる。
【0036】
図12は、図11のランプ11の中心部分の垂直長手方向断面図である。側面13におけるレンズ14を通して可視であるコイル像2’が、ここではランプ11の中にあるよう示される。図12におけるこの仮想コイル2’と図10におけるこの実際のコイル2との比較は、レンズ14を通して見たコイル像は、相当に細いことを示す。この細いコイル像2’は従って、光源の仮想の縮小を伴うこのような光の凝縮が、明暗カットオフのすぐ下をより多くの光が放射することを可能にするようヘッドライトの反射器によって再び通行空間内に投影される。
【0037】
図13は、クオーツバルブ12が更に、ランプの長手方向Lに延在する湾曲を有する負のレンズ15として側面に形成される。これらの負のレンズ15を通して見ると、コイル像2’’は更に、ランプ軸Lに沿って短くされている。これは、明暗カットオフのすぐ下の小さい領域における通行空間内に最終的に放射される光の更なる集光が行われることを意味する。
【0038】
図14は、クオーツバルブ17の外面が、水平方向に配置された領域において断面において多角形にされる更なる実施例を示す。これは、ランプは、更なる負のレンズ素子16が、真っすぐ水平方向に配置されたレンズ14に加えて斜め下方向及び斜め上方向のそれぞれに互いに隣りに形成されるようランプ軸Lに沿って横断するセグメントとして延在する平らな領域を有することを意味する。これは、コイル2は、僅かに斜め上方向及び斜め下方向から見られたときに、ランプの長手軸Lに対して横断する方向においてより細くなるという結果を有する。真っ直ぐの側面13にすぐ隣でクオーツバルブ17から斜め下方向及び上方向に出る光も、明暗カットオフに比較的近くに投影され、それにより、これらによって、利用可能な光の有利な再分配が、通行空間における関心の領域に向けて行われる。
【0039】
最後に再び説明するが、図面及び説明において示し且つ説明するランプ10、11は、本発明の範囲から逸脱することなく当業者によって相当な程度に変更され得る例に過ぎない。従って、特に、負のレンズは、具体的には、例えば、フレネルレンズとして別の形状に形成されてもよく、それにより、同じ効果を達成する。同様に、様々な実施例の個々の特徴は、新しい実施例を形成するよう組み合わされてもよい。従って、例えば、正のレンズ素子が、ハロゲンランプ又は他のランプ上に負の側面レンズ内に設けられてもよい。更に、レンズが、各側面の全長及び/又は幅に亘って延在する必要はないが、レンズは、特に、幾つかの光源を有するランプの場合、側面に組み込まれてもよく、その光源のうちの1つのみが縮小されて投影され得る。
【0040】
本発明のランプは、自動車ヘッドライトにおける低ビームランプとして特に好適であるが、原則的に、他の車両のヘッドライトにおいて他の目的に使用されてもよい。
【0041】
完全のために、単数形で示す素子は、その関連の素子が複数存在することを排除するものではなく、また、「有する」という動詞の使用は、更なる素子の存在を排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】放電アークの領域における側面が平らにされた外側バルブを有するガス放電ランプを示す断面図である。
【図2】図1のガス放電ランプを示す垂直長手方向断面図である。
【図3】横から見た従来のガス放電ランプの放電アークを示す光度画像である。
【図4】図3と同様に本発明のガス放電ランプの放電アークを示す光度画像である。
【図5】従来技術のガス放電ランプの放電アーク像による通行空間の照明を示す図である。
【図6】本発明のガス放電ランプの放電アークの像による通行空間の照明を示す図である。
【図7】長手軸に沿って曲線を描く外面を有する外側バルブを有するガス放電ランプを示す水平長手方向断面図である。
【図8】図1に類似する更なる実施例での本発明のガス放電ランプを示す断面図である。
【図9】図8のガス放電ランプを示す垂直長手方向断面図である。
【図10】従来技術のハロゲンランプの一部を示す断面図である。
【図11】白熱コイルと側面が平らにされたクオーツバルブを有するハロゲンランプを示す断面図である。
【図12】横方向から負のレンズを通して可視であるコイル像を示す図11のハロゲンランプを示す垂直長手方向部分断面図である。
【図13】更なる実施例において横の外壁に組み込まれる負の円柱レンズを有し、横方向からそのレンズを通して可視であるコイル像を示すハロゲンランプを示す水平長手方向部分断面図である。
【図14】図11に類似するが、外側において外側バルブが部分的に多角形に成形されるハロゲンランプを示す断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車ヘッドライト用のランプであって、
光源を直接閉じ込めるクオーツバルブと、
場合によっては前記クオーツバルブを閉じ込める外部バルブと、
前記ランプの長手軸の方向に延在し、前記クオーツバルブ及び/又は前記外側バルブの2つの側面内に又は2つの側面において存在し、該側面は、前記ランプの組み立てられた状態では水平方向において互いに対向するよう配置される2つの負のレンズと、
を有し、
前記レンズは、前記光源が、少なくとも1つの方向において光学的にサイズが縮小されるよう構成されるランプ。
【請求項2】
前記ランプは、前記クオーツバルブによって閉じ込められる放電アークを有するガス放電ランプであり、前記放電アークは、前記光源として機能することを特徴とする請求項1記載のランプ。
【請求項3】
前記ランプは、前記光源として少なくとも1つのフィラメントを有することを特徴とする請求項1記載のランプ。
【請求項4】
各負のレンズの湾曲は、前記ランプの前記長手軸を横断して延在することを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一項記載のランプ。
【請求項5】
各負のレンズの湾曲は、前記ランプの前記長手軸に平行にそれぞれ延在することを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか一項記載のランプ。
【請求項6】
前記クオーツバルブ及び/又は前記外側バルブは、前記側面レンズに隣接し、且つ、斜め上方向及び/又は斜め下方向に延在する更なるレンズを有することを特徴とする請求項1乃至5のうちいずれか一項記載のランプ。
【請求項7】
前記クオーツバルブ及び/又は前記外側バルブは、前記側面の領域において断面において多角形に成形される外面を有することを特徴とする請求項6記載のランプ。
【請求項8】
前記ランプの前記長手軸に関連してそれぞれ決められた領域に対して前記2つの側面の負のレンズにおいて配置される正のレンズ素子を有することを特徴とする請求項1乃至7のうちいずれか一項記載のランプ。
【請求項9】
前記正のレンズ素子は、形状が回転対称であることを特徴とする請求項8記載のランプ。
【請求項10】
前記凸レンズ素子は、前記ランプの前記長手軸に対し本質的に直角に延在する円筒対称軸について円筒対称の形状であることを特徴とする請求項8記載のランプ。
【請求項11】
請求項1乃至10のうちいずれか一項記載のランプを有する自動車ヘッドライト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2006−526257(P2006−526257A)
【公表日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−506921(P2006−506921)
【出願日】平成16年4月29日(2004.4.29)
【国際出願番号】PCT/IB2004/050544
【国際公開番号】WO2004/099667
【国際公開日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips Electronics N.V.
【住所又は居所原語表記】Groenewoudseweg 1,5621 BA Eindhoven, The Netherlands
【Fターム(参考)】