説明

自動車前部の導風構造

【課題】空力特性を損なうことなく、走向風を冷却系部品に対して効率的に導くことができ、しかも、車両前方からの荷重入力により変形した導風板による冷却系部品等の損傷を防止し得る自動車前部の導風構造を提供する。
【解決手段】車両前方からの荷重入力により容易に屈曲変形する易変形部44を備えた一対の導風板14,14を、フロントバンパ10と冷却系部品12との間に、ファンシュラウド18の側壁部22a,22bとは非連結で、車幅方向両側に位置する一対のサポートサイド26,28よりも車幅方向内側に位置させた状態で、荷重入力による易変形部44での屈曲変形と、易変形部44よりも後側で且つ導風板14,14よりも車幅方向外側に位置して上下方向に延びる回転軸P回りでの導風板14,14の回転とが許容されるように配設して、構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車前部の導風構造に係り、特に、自動車の走行時に、自動車前面から導入される走行風を、ラジエータや空調用コンデンサ等の冷却系部品に導くための自動車前部の導風構造の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
よく知られているように、自動車では、その走行によって生ずる、車両前方から後方に向かう流れの走行風が、自動車前面に設置されたフロンバンパやフロントグリルの開口部から自動車前部に導入されるようになっている。そして、この走行風が、自動車前部に設置されたラジエータや空調用コンデンサ等の冷却用部品に導かれて、それらの冷却用部品の冷却に利用されている。
【0003】
ところで、従来から、走行風を冷却用部品に対して効率的に導くための構造が、種々、提案されている。例えば、特開2003−306047号公報(特許文献1)には、フロントバンパと冷却系部品との間に、一対の導風板を、車幅方向に所定距離を隔てて互いに対向させた状態で、車両前後方向に延びるように配設してなる自動車前部の導風構造が提案されている。このような導風構造によれば、走行風が、一対の導風板により冷却系部品に対してスムーズに導かれ、それによって、冷却系部品の冷却効率の向上が図られる。しかしながら、そのような導風構造を採用した場合、自動車の空力特性を悪化させる恐れがあった。
【0004】
すなわち、一般に、枠状サポート部材は、冷却系部品が載置されるサポートロアと、このサポートロアの長さ方向両端から上方に延び出して、冷却系部品の左右両側(車幅方向両側)に位置する一対のサポートサイドと、冷却系部品の上方に位置して、一対のサポートサイドの上端部同士を連結するサポートアッパとを有している。このような枠状サポート部材では、一対のサポートサイドと冷却部品の左右両側(車幅方向両側)の側面との間に所定の隙間が形成されており、この隙間によって、自動車への振動入力時における冷却系部品と各サポートサイドとの接触が防止されるようになっているのである。
【0005】
一方、上記した従来の導風構造においては、各導風板が、一対のサポートサイドの前面にそれぞれ固定されている。そのため、自動車の前面から導入された走行風が、冷却系部品と各サポートサイドとの間の隙間を通過し得るようになっていた。それ故、そのような従来の導風構造では、フロントバンパと冷却系部品との間での走行風の流通抵抗が不可避的に小さくされ、それによって、走行風が、冷却系部品に対して、それを冷却するのに必要以上の量で導かれるようになっていた。そして、それが、自動車の空力特性を低下させる要因となっていたのである。
【0006】
かかる状況下、例えば、特開2005−96684号公報(特許文献2)には、冷却系部品と一対のサポートサイドとの間の隙間内に位置するファンシュラウドの側壁部を冷却系部品よりも車両前方に突出させ、そして、このファンシュラウドの側壁部の突出部に対して、導風板を固定してなる導風構造が、提案されている。この導風構造によれば、導風板が、一対のサポートサイドよりも車幅方向内側に配置される。それ故、各サポートサイドと冷却系部品との間に形成される隙間内に侵入して、かかる隙間内を通過する走行風の量を、導風板が一対のサポートサイドの前面に固定された従来の導風構造に比して、有利に減少させることができる。これにより、フロントバンパと冷却系部品との間での走行風の流通抵抗の増大が図られる。その結果、走行風が冷却部品に対して必要以上の量で導かれて、自動車の空力特性が低下してしまうことが、効果的に防止乃至は抑制され得るのである。
【0007】
また、かかる導風構造では、導風板が、ファンシュラウドの側壁部の突出部に対して、その内側で係合固定されている。そして、その係合状態が脆弱とされている。これによって、軽衝突の発生時等に、車両前方からの衝撃荷重が導風板に入力されて、導風板が車体後側に変位した際に、ファンシュラウドの側壁部に対する導風板の係合固定が容易に解消されて、ファンシュラウドの損傷が効果的に防止され得るようになっている。
【0008】
ところが、そのような従来の導風構造においては、導風板に対する車両前方からの荷重入力によって導風板とファンシュラウドの側壁部との係合固定が解消されて、導風板が車体後側に変位したときに、導風板の後端部が、冷却系部品の前面に接触して、冷却系部品を損傷させる恐れがあったのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003−306047号公報
【特許文献2】特開2005−96684号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ここにおいて、本発明は、上述せる如き事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、自動車の空力特性を低下させることなく、走行風を冷却系部品に対して効率的に導くことができ、しかも、車両前方からの荷重入力により、導風板が、ファンシュラウドの側壁部や冷却系部品に接触して、それらを損傷させることを有利に防止できる自動車前部の導風構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記した課題、又は本明細書全体の記載や図面から把握される課題を解決するために、以下に列挙する各種の態様において、好適に実施され得るものである。また、以下に記載の各態様は、任意の組み合わせにおいても、採用可能である。そして、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに何等限定されることなく、明細書全体の記載並びに図面に開示の発明思想に基づいて、認識され得るものであることが、理解されるべきである。
【0012】
本発明にあっては、上記した課題の解決のために、フロントバンパと冷却系部品との間に、一対の導風板を、車幅方向に所定距離を隔てて互いに対向させた状態で、車両前後方向に延びるように配設してなる自動車前部の導風構造であって、前記導風板が、車両前方からの荷重入力により車幅方向内側に容易に屈曲変形する易変形部を有していると共に、該導風板は、前記冷却系部品の外周面を外側から覆うファンシュラウドの側壁部とは非連結とされ、且つそれら冷却系部品とファンシュラウドとを外側から更に覆って支持する枠状サポート部材に対して車幅方向両側に位置するように設けられた一対のサポートサイドよりも車幅方向内側に配置されており、更に、前記荷重入力による前記易変形部での屈曲変形と、該易変形部よりも車両前後方向において後側で且つ該導風板よりも車幅方向外側に位置して上下方向に延びる回転軸回りでの該導風板の回転とが許容される状態で、該導風板が、前記フロントバンパと前記冷却系部品との間に配設されていることを特徴とする自動車前部の導風構造を、その要旨とするものである。
【0013】
本発明の好ましい態様の一つによれば、前記易変形部が、前記導風板における車幅方向外側の板面に設けられた、上下方向に延びる凹溝を形成する薄肉部又は曲げ部にて構成される。なお、そのような構成が採用される場合には、前記凹溝が、前記導風板に対して、上下方向の全高(全長)に亘って連続して延びるように形成されていることが、望ましい。
【0014】
本発明の有利な態様の一つによれば、前記導風板の前端部に、車幅方向外側に向かって突出し且つ上下方向に延びる板状リブが一体形成されると共に、該板状リブの前面が、車両前方からの荷重の入力面とされる。なお、かかる板状リブが導風板に一体形成される場合には、好ましくは、板状リブの導風板からの突出高さが、導風板よりも車幅方向外側において上下方向に延びる回転軸と導風板との間の距離よりも小さくされる。
【0015】
本発明の好ましい態様の一つによれば、前記フロントバンパに、走行風を車両前方から前記冷却部品に導くための開口部が設けられると共に、前記一対の導風板が、該開口部の車幅方向両側に位置する一対の開口縁部よりも車幅方向外側に位置するように配設される。
【0016】
本発明の望ましい態様の一つによれば、前記易変形部が、導風板における車両前後方向への延出方向の中央部よりも前方に偏倚した部位に形成される。
【0017】
本発明の好適な態様の一つによれば、前記導風板と前記ファンシュラウドの側壁部とが、車両前後方向に延びる一直線上に配置されると共に、該導風板の後端面と該ファンシュラウドの側壁部の前端面との間に間隙が形成される。
【0018】
本発明の別の有利な態様の一つによれば、前記導風板が、前記フロントバンパと前記冷却系部品との間に配設されたバンパリーンホースメントに対して回転可能に取り付けられる。
【0019】
本発明の他の望ましい態様の一つによれば、前記フロントバンパと前記冷却系部品との間に、前記一対の導風板の互いの対向面間を上下両側から覆う上側カバーパネルと下側カバーパネルとが配設されて、該一対の導風板が、それら上側カバーパネルと下側カバーパネルの少なくとも何れか一方に対して回転可能に取り付けられる。
【発明の効果】
【0020】
要するに、本発明に従う自動車前部の導風構造にあっては、導風板が、車幅方向両側に互いに所定の間隔を開けて位置する一対のサポートサイドよりも車幅方向内側にそれぞれ配置されている。それ故、各サポートサイドと冷却系部品との間に形成される隙間内に侵入して、通過する走行風の量を、導風板が一対のサポートサイドの前面に固定された従来の導風構造に比して、有利に減少させることができる。これによって、そのような隙間内への走行風の侵入に起因した自動車の空力特性の低下が、効果的に防止乃至は抑制され得るのである。
【0021】
また、本発明に係る自動車前部の導風構造では、ファンシュラウドの側壁部に対して非連結とされた導風板が、易変形部よりも後側で且つ導風板よりも車幅方向外側に位置して上下方向に延びる回転軸回りに回転可能とされている。このため、車両前方からの荷重が導風板に入力された際に、導風板が、その後端部を車幅方向外側に変位させるように回転する。また、そのとき、導風板の易変形部が内側に屈曲変形し、それによって、導風板の回転量が、より大きくされる。それ故、導風板に対する車両前方からの荷重入力によって、導風板全体が車体後側に変位しても、導風板の後端部が、ファンシュラウドの側壁部や冷却系部品に接触することが、有利に回避乃至は抑制され得る。
【0022】
従って、このような本発明に従う自動車前部の導風構造によれば、自動車の空力特性を低下させることなく、走行風が、冷却系部品に対して効率的に導かれ得る。その上、車両前方からの荷重入力によって導風板が後側に変位したときに、導風板が冷却系部品やファンシュラウドの側壁部に接触して、それら冷却系部品とファンシュラウドが損傷するようなことが、極めて効果的に防止され得るのである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に従う導風構造の一実施形態を採用した自動車前部の部分断面説明図である。
【図2】図1のA−A断面説明図である。
【図3】図1に示された導風構造を採用する自動車前部に取り付けられた導風板に衝撃荷重が入力されたときの導風板の変形状態を示す説明図である。
【図4】図1に示された導風構造を構成する導風板とは異なる導風板を自動車の前部に取り付けて実現した、本発明に従う自動車前部の導風構造の別の実施形態を示す、図2に対応する図である。
【図5】図1及び図4に示された導風構造を構成する導風板とは更に異なる導風板を自動車の前部に取り付けて実現した、本発明に従う自動車前部の導風構造の更に別の実施形態を示す部分断面説明図である。
【図6】図1、図4及び図5に示された導風構造を構成する導風板とは異なる導風板を自動車の前部に取り付けて実現した、本発明に従う自動車前部の導風構造の他の実施形態を示す部分断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の構成について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
【0025】
先ず、図1及び図2には、本発明に従う導風構造の一実施形態が適用された自動車前部の構造が、概略的に示されている。本実施形態においては、自動車の前面に設置されたフロントバンパ10と、このフロントバンパ10よりも車両後側(図1及び図2の右側)に配設された、冷却系部品としてのラジエータ12との間の自動車前部Fに、一対の導風板14,14が、車両前後方向(図1及び図2における左右方向)に延びるように設置されている。そして、自動車の前面から自動車前部Fに導入された走行風が、一対の導風板14,14にて、ラジエータ12の前面に導かれるようになっている。なお、以下からは、車両前後方向を、単に前後方向、車両上下方向(図1の紙面に垂直な方向で、図2の上下方向)を、単に上下方向、車両左右方向(図1の上下方向で、図2の紙面に垂直な方向)を、単に左右方向又は車幅方向と言う。
【0026】
より具体的には、フロントバンパ10は、それを貫通する開口部としての透孔16を有している。この透孔16は、前後方向においてラジエータ12と対応位置するフロントバンパ10部分に形成されている。これにより、自動車の走行時に、走行風が、透孔16を通じて、自動車前部F(ラジエータ12の前面)に導入されるようになっている。
【0027】
ラジエータ12には、ファンシュラウド18が取り付けられている。図示されてはいないものの、ファンシュラウド18には、冷却ファンが装着されており、この冷却ファンは、ファンシュラウド18のラジエータ12への取付状態下で、ラジエータ12の後側に配置されるようになっている。また、ファンシュラウド18は、冷却ファンによって生ずる風をラジエータ12に導くための周壁部20を有している。この周壁部20は、矩形の枠体形状を呈し、左側壁部22aと右側壁部22bと上側壁部22cと下側壁部22dとを有している。そして、そのような周壁部20が、ラジエータ12の外周面を外側から覆うように配置されている。
【0028】
ラジエータ12は、それに取り付けられたファンシュラウド18と共に、枠状サポート部材としてのラジエータサポート24に支持されている。ラジエータサポート24は、ファンシュラウド18の周壁部20よりも一周り大きな矩形の枠体形状を呈し、サポートサイドとしての左側サポートサイドメンバ26及び右側サポートサイドメンバ28と、それら左右一対のサポートサイドメンバ26,28の上端部同士を連結するサポートアッパメンバ(図示せず)と、それらの下端部同士を連結するサポートロアメンバ30とを有している。そして、ラジエータ12が、サポートロアメンバ30上に、ファンシュラウド18の周壁部20の下側壁部22dを介して載置された状態で、ラジエータサポート24に支持されて、取り付けられている。
【0029】
そのようなラジエータサポート24に対するラジエータ12の取付状態下では、左側サポートサイドメンバ26が、ファンシュラウド18の周壁部20の左側壁部22aを介して、ラジエータ12の左側面と所定距離を隔てて対向配置されている。右側サポートサイドメンバ28は、ファンシュラウド18の周壁部20の右側壁部22bを介して、ラジエータ12の右側面と所定距離を隔てて対向配置されている。これにより、左側及び右側サポートサイドメンバ26,28が、ファンシュラウド18の周壁部20の左側及び右側壁部22a,22bを介して、ラジエータ12の左側面及び右側面をそれぞれ外側から覆うように配置されている。
【0030】
また、左側サポートサイドメンバ26とラジエータ12の左側面との間には、第一の隙間32が形成されている。右側サポートサイドメンバ28とラジエータ12の右側面との間には、第二の隙間34が形成されている。そして、そのような第一の隙間32内と第二の隙間34内には、ファンシュラウド18の周壁部20の左側壁部22aと右側壁部22bとが、左側及び右側サポートサイドメンバ26,28やラジエータ12の左右両側側面に対して非接触の状態で、それぞれ配置されている。これによって、自動車への振動入力時に、左側及び右側サポートサイドメンバ26,28と、ファンシュラウド18の周壁部20の左側及び右側壁部22a,22bと、ラジエータ12とが、互いに接触しないようになっている。
【0031】
一方、一対の導風板14,14は、互いに同一の構造で且つ対称な形状を有している。即ち、導風板14は、自動車前部Fへの配置状態下で、上下方向に延びる略長手矩形平板状の樹脂成形品にて構成されている。なお、一対の導風板14a,14bの具体的な構造や形状は、特に限定されるものではなく、互いに異なる構造で、非対称な形状とされていても良い。また、以下からは、便宜上、自動車前部Fへの配置状態下で上下方向となる導風板14の長さ方向(図1の紙面に垂直な方向で、図2の上下方向)を、単に上下方向と言い、自動車前部Fへの配置状態下で前後方向となる導風板14の幅方向(図1及び図2の左右方向)を、単に前後方向と言う。
【0032】
導風板14の上下方向の中間部には、切欠部36が形成されている。この切欠部36は、前方に向かって開口するコ字形状を呈し、導風板14の前後方向中間部よりも後側の位置にまで達する深さを有している。また、導風板14の一方の板面には、平板状を呈する一対の取付突起38,38が、一体形成されている。それら一対の取付突起38,38は、コ字状の切欠部36の前後方向に延びる二つの辺縁部の延出方向の中央部よりも後側に偏倚した位置に配設されている。また、各取付突起38,38は、導風板14の一方の板面に対して直角な方向に突出している。これによって、一対の取付突起38,38が、上下方向において互いに対向配置されている。更に、そのような各取付突起38,38の中央部には、ボルト挿通孔40,40が、同軸上で、各取付突起38,38を貫通するように設けられている。
【0033】
導風板14の前端部には、リブ41が一体形成されている。このリブ41は、取付突起38,38の形成面に対して略90°の角度で、取付突起38,38の突出方向と同一方向に突出し、且つ導風板14の全高(全長)に亘って上下方向に連続して延びる狭幅の平板形状を呈している。そして、かかる平板状のリブ41は、厚さ方向両側の面が、前方と後方とに向けてそれぞれ位置する前面及び後面とされて、その前面が、平面からなる衝撃入力面42とされている。なお、導風板14における取付突起38,38の形成面からのリブ41の突出高さは、かかる形成面から取付突起38のボルト挿通孔40の中心までの距離よりも短くされている。
【0034】
また、そのような導風板14における取付突起38,38とリブ41の形成面には、ノッチ部43が形成されている。このノッチ部43は、取付突起38,38の形成部位よりも前側の部位において、導風板14の全長に亘って上下方向に真っ直ぐに連続して延びる断面V字状の凹溝にて構成されている。これにより、導風板14におけるノッチ部43の形成部位が、それ以外の部位よりも、ノッチ部43(V字状凹溝)の深さ分だけ薄肉化された薄肉部44とされている。
【0035】
このようなノッチ部43と薄肉部44とが形成された導風板14は、それを前後方向において圧縮させるような荷重が入力されたときに、薄肉部44において応力集中が惹起される。また、それと同時に、導風板14の前端部をノッチ部43の開口側に向かって変位させる方向に、導風板14の薄肉部44よりも前側部分を、薄肉部44を中心として回転させる回転モーメントが、かかる導風板14の前側部分に加えられる。これによって、導風板14に対して、それを前後方向において圧縮させる荷重が入力されたときに、導風板14が、厚さ方向におけるノッチ部43の形成面側とは反対側に向かって凸となるV字状を呈するように、薄肉部44を屈曲点として容易に屈曲変形するようになっている。このことから明らかなように、本実施形態では、薄肉部44にて、易変形部が構成されている。
【0036】
なお、導風板14の厚さは、特に限定されるものではないものの、本実施形態では、薄肉部44の厚さが0.8mm以下の厚さで、薄肉部44以外の部分の厚さが1.3〜1.5mm程度とされている。何故なら、前述のように、導風板14は、自動車前部Fに導入された走行風をラジエータ12の前面に導くものである。それ故、導風板14の厚さは、走行風の風圧によって容易に変形しない程度の剛性を発揮し得る厚さとされていることが望ましい。その一方、導風板14が厚過ぎると、樹脂製であることによって得られるべき軽量性のメリットが損なわれる。従って、本実施形態では、導風板14において適度な強度と軽量性のメリットとが共に確保され得るように、導風板14の厚さが1.3〜1.5mm程度の厚さとされている。そして、そのような厚さを有する導風板14が、薄肉部44において容易に屈曲変形するように、薄肉部44の厚さの最小値が0.8mm以下とされているのである。
【0037】
導風板14を形成する樹脂材料の種類も、特に限定されるものではない。しかしながら、導風板14は、上記のように、走行風の風圧では容易に曲げ変形しない程度の曲げ剛性を有すると同時に、衝撃荷重等が入力された際に、割れ等を生じることなしに曲げ変形するような適度な柔軟性を有していることが望ましい。それ故、導風板14の形成材料としては、そのような曲げ剛性と柔軟性とを兼備した樹脂材料、例えば、ポリプロピレンとポリエチレン(低密度ポリエチレン)のブレンド材(ポリマーアロイ)等が、好適に用いられる。
【0038】
そして、本実施形態では、上記のような構造を有する一対の導風板14が、自動車前部Fの左右両側(車幅方向両側)において、車幅方向に所定距離を隔てて対向した状態で前後方向に延びるように設置されている。
【0039】
より詳細には、一対の導風板14,14のうちの一方の導風板14は、前記第一の隙間32と前後方向に対応位置する自動車前部Fの左側部分において、前後方向に延びる一直線上に、ファンシュラウド18の左側壁部22aと並び、且つフロントバンパ10の透孔16よりも左側部分と前後方向に所定距離を隔てて、位置している。この導風板14は、フロントバンパ10やファンシュラウド18の左側壁部22aとは非連結とされている。導風板14の前端面及びリブ41の衝撃入力面42とフロントバンパ10の後面との間や、導風板14の後端面とファンシュラウド18の左側壁部22aの前端面との間には、それぞれ、僅かな間隙が形成されている。また、かかる導風板14は、リブ41と二つの取付突起38,38とを、車幅方向外側に突出させ、且つノッチ部43を車幅方向外側に向かって開口させるように配置されている。
【0040】
一方、一対の導風板14,14のうちの他方の導風板14は、前記第二の隙間34と前後方向に対応位置する自動車前部Fの右側部分において、前後方向に延びる一直線上に、ファンシュラウド18の右側壁部22bと並び、且つフロントバンパ10の透孔16よりも右側部分と前後方向に所定距離を隔てて、位置している。この導風板14は、フロントバンパ10やファンシュラウド18の右側壁部22bとは非連結とされている。導風板14の前端面及びリブ41の衝撃入力面42とフロントバンパ10の後面との間や、導風板14の後端面とファンシュラウド18の右側壁部22bの前端面との間には、それぞれ、僅かな間隙が形成されている。また、かかる導風板14は、リブ41と二つの取付突起38,38とを、車幅方向外側に突出させ、且つノッチ部43を車幅方向外側に向かって開口させるように配置されている。なお、それら一対の導風板14,14とフロントバンパ10やファンシュラウド18との間に形成される僅かな隙間には、例えば、シーラやスポンジ等のクッション性乃至は弾性を有する部材等を充填しても良い。
【0041】
これにより、図1に矢印にて示されるように、フロントバンパ10の透孔16を通じて自動車前部Fに導入された走行風が、一対の導風板14,14の対向面間を流れるようになっている。その際、走行風が、各導風板14,14の取付突起38やノッチ部43にて、流れを乱されることなく、一対の導風板14,14の対向面にて案内されつつ、ファンシュラウド18の左側及び右側壁部22a,22bの間に挟まれたラジエータ12の前面に向かってスムーズに導かれるようになっている。
【0042】
そして、本実施形態では、一対の導風板14,14の対向面間の左側部分を流れる走行風が、第一の隙間32のうち、ファンシュラウド18の左側壁部22aとラジエータ12の左側面との間の部分は通過するものの、ファンシュラウド18の左側壁部22aと左側サポートサイドメンバ26との間の部分に侵入すること、更にはかかる部分を通過することが可及的に阻止乃至は抑制されるようになっている。また、一対の導風板14,14の対向面間の右側部分を流れる走行風は、第二の隙間34のうち、ファンシュラウド18の右側壁部22bとラジエータ12の右側面との間の部分は通過するものの、ファンシュラウド18の右側壁部22bと右側サポートサイドメンバ28との間の部分に侵入すること、更にはかかる部分を通過することが可及的に阻止乃至は抑制されるようになっている。その結果、第一及び第二の隙間32,34を通過する走行風の量が、効果的に少なくされている。
【0043】
また、上記のようにして自動車前部Fの左側部分と右側部分とにそれぞれ配置された各導風板14,14の切欠部36内には、自動車前部Fを横切って車幅方向に延びるバンパリーンホースメント46が嵌入されている。この切欠部36内に嵌入されたバンパリーンホースメント46の上面と下面には、各導風板14,14に互いに対向するように突設された二つの取付突起38,38が、それぞれ重ね合わされている。また、それら各取付突起38,38のボルト挿通孔40には、取付ボルト48,48が、それぞれ挿通されている。そして、各取付ボルト48,48が、同軸上において、バンパリーンホースメント46を貫通して、バンパリーンホースメント46内に固着されたナット50,50にそれぞれ螺合されている。これによって、各導風板14,14が、薄肉部44よりも後側で、厚さ方向の中心から車幅方向外側にオフセットされた位置において、バンパリーンホースメント46に取り付けられている。なお、バンパリーンホースメント46内へのナット50の固着が困難な場合は、例えば、バンパリーンホースメント46に雌ネジ孔を設けたり、或いはバンパリーンホースメント46に設けた貫通孔に雌ネジ部材を挿通して、固着したりする方法が採用される。
【0044】
そして、軽衝突の発生等により、前方からの荷重が一対の導風板14,14に入力されたときに限って、一対の導風板14,14が、上下方向に延びる取付ボルト48,48の中心軸を回転軸Pとして、その回転軸P回りに回転するようになっている。
【0045】
すなわち、取付ボルト48に対するナット50の締結によって生ずる軸力の大きさが、自動車前部Fに導入された走行風の風圧に基づいて各導風板14,14に作用する回転軸P回りの回転モーメントの大きさよりも大きくされている。また、かかる軸力の大きさは、フロントバンパ10が軽衝突等によって生ずる前方からの衝撃荷重により後側に変位して各導風板14,14と接触したときに、それら各導風板14,14に作用する回転軸P回りの回転モーメントの大きさよりも小さくされている。そして、上記のように、取付ボルト48,48がそれぞれ挿通される取付突起38,38が、薄肉部44よりも後側において、導風板14の板面から車幅方向外側に突出している。これによって、導風板14の回転軸Pが、薄肉部44よりも後側で且つ導風板14よりも車幅方向外側に位置して、上下方向に延出している。また、前記したように、導風板14,14における取付突起38,38の形成面からのリブ42の突出高さが、かかる形成面から取付突起38のボルト挿通孔40の中心、つまり回転軸Pまでの距離よりも短くされている。
【0046】
このため、一対の導風板14,14は、自動車前部Fに導入された走行風の風圧を受けても、回転軸P回りに回転することがない。しかしながら、図3に示されるように、軽衝突等により後方に変位したフロントバンパ10が各導風板14,14のリブ42の衝撃面44と接触して、前方からの衝撃荷重が各導風板14,14に対して入力されると、それら各導風板14,14が、その後端部を車幅方向外側に変位させる方向(図3に矢印Sにて示される方向)において、回転軸P回りに回転するようになっているのである。
【0047】
また、そのようなフロントバンパ10の後方への変位に伴う前方からの荷重入力により、導風板14が回転軸P回りに回転したときには、図3に示されるように、薄肉部44が車幅方向内側に容易に折れ曲がるようになる。
【0048】
すなわち、図3に示されるように、前方からの荷重入力により後方に変位したフロントバンパ10の後面が導風板14の前端面に接触すると、導風板14にも、前方からの荷重が入力される。このとき、導風板14がバンパリーンホースメント46に取り付けられているため、前方からの荷重は、導風板14に対して、それを前後方向において圧縮させる作用力として働く。それ故、そのような前方からの荷重が導風板14に入力されると、導風板14の薄肉部44よりも前側部分には、薄肉部44を中心として、導風板14の前端部を車幅方向外側に変位させる方向に回転させる回転モーメントが加わる。その際、フロントバンパ10の後面は、導風板14の前端面と共に、リブ41の衝撃入力面42と接触する。それによって、前方からの荷重が、導風板14に対して、その前端面から車幅方向外側にオフセットされた位置において加えられる。このため、導風板14の薄肉部44よりも前側部分には、上記の如き薄肉部44を中心とした回転モーメントが、より大きな力で加えられることとなる。これによって、導風板14の薄肉部44が、車幅方向内側に、より容易に且つより確実に折れ曲がって、導風板14が、全体としてV字状となるように、より確実に屈曲変形するようになる。
【0049】
このとき、導風板14の取付突起38と薄肉部44との間の部分に対して、その部分を後方に向かって斜め内側に押し込む作用力が発揮される。その結果、前方からの荷重入力による導風板14の回転軸P回りの回転量が、有利に増大するようになる。なお、この導風板14の回転軸P回りの回転量の増大を図るには、例えば、回転軸Pと薄肉部44との前後方向の距離を短くしたり、或いは導風板14から突出する取付突起38の基端部から回転軸Pまでの距離を長くすることが、望ましい。
【0050】
このように、本実施形態では、一対の導風板14,14が、ファンシュラウド18の左側壁部22aと右側壁部22bとに対して、前後方向に一直線上に並んで配置されていることにより、第一及び第二の隙間32,34を通過する走行風の量が、効果的に少なくされている。このため、自動車前部Fに導入されて、ラジエータ12に導かれる走行風の自動車前部Fでの流通抵抗の増大が図られる。そして、その結果、走行風がラジエータ12の前面に対して必要量以上に導かれて、自動車の空力特性が低下してしまうことが、効果的に防止乃至は抑制され得ることとなる。
【0051】
また、本実施形態においては、軽衝突等により、前方からの荷重がバンパリーンホースメント46や一対の導風板14,14に入力されて、それらバンパリーンホースメント46と一対の導風板14,14が後方に変位しても、各導風板14,14が、薄肉部44において車幅方向内側に屈曲変形しつつ、後端部を車幅方向外側に変位させる方向に、回転軸P回りに大きく回転する。このため、各導風板14,14の後端部が、その配置位置の後側に位置するファンシュラウド18の左側及び右側壁部22a,22bや、その配置位置よりも車幅方向内側に位置するラジエータ12の前面に接触することが、効果的に回避され得る。
【0052】
従って、このような本実施形態にあっては、自動車の空力特性を低下させることなく、走行風が、ラジエータ12に対して効率的に導かれ得る。その結果、ラジエータ12の冷却効率の向上が、有効に図られ得る。その上、軽衝突等の発生に伴う前方からの荷重入力によって一対の導風板14,14が後側に変位したときに、各導風板14,14の後端部がラジエータ12やファンシュラウド18の左側及び右側壁部22a,22bに接触して、それらラジエータ12とファンシュラウド18が損傷することが、極めて効果的に防止され得るのである。
【0053】
本実施形態では、導風板14の車幅方向外側に位置する面へのノッチ部43の形成によって、容易に屈曲変形する薄肉部44が形成されている。このため、導風板14を特定の箇所において、車幅方向内側への屈曲変形を容易とする構造が、極めて簡略に実現され得る。
【0054】
本実施形態においては、導風板14の前端部に、前面が衝撃入力面42とされたリブ41が、車幅方向外側に突出し且つ上下方向に連続して延びる平板形状を有して形成されている。これにより、導風板14の前方からの荷重入力時に、導風板14の薄肉部44が、車幅方向内側に向かってより確実に屈曲変形して、導風板14が、回転軸P回りに、より大きく回転するようになっている。従って、このような本実施形態によれば、一対の導風板14,14の回転軸P回りの回転によるファンシュラウド18やラジエータ12の損傷防止効果が、更に一層有利に享受され得る。
【0055】
本実施形態では、導風板14,14が、フロントバンパ10の透孔16よりも左側部分や右側部分とに対して車両前後方向に所定距離を隔てて配置されている。このため、軽衝突の発生時等における前方からの入力荷重により、時等にフロントバンパ10が車両後方に変位したときに、フロントバンパ10が導風板14,14と確実に接触する。そして、それによって、各導風板14,14が、薄肉部44において、車幅方向内側に、より確実に屈曲変形し、以て、前方から入力される衝撃荷重が、有利に緩和乃至は吸収され得ることとなる。
【0056】
本実施形態では、一対の導風板14,14とファンシュラウド18の左側及び右側壁部22a,22bとが前後方向に延びる一直線上に並び、且つそれらの間に間隙が形成された状態で配置されている。これによって、各導風板14,14のファンシュラウド18やラジエータ12との接触を回避しつつ、第一及び第二の隙間32,34内への走行風の侵入及び通過が、より有利に防止され得る。
【0057】
本実施形態においては、一対の導風板14,14が、十分な剛性を有するバンパリーンホースメント46に対して回転軸P回りに回転可能に取り付けられている。これによって、軽衝突等により前方からの荷重が入力された際に、各導風板14,14が予期せぬ変形挙動を示すことが未然に防止され得る。その結果、各導風板14,14の回転軸P回りの回転によるファンシュラウド18やラジエータ12との接触の回避が、より確実に実現され得る。
【0058】
以上、本発明の具体的な構成について詳述してきたが、これはあくまでも例示に過ぎないのであって、本発明は、上記の記載によって、何等の制約をも受けるものではない。
【0059】
例えば、一対の導風板14,14が取り付けられる部材は、バンパリーンホースメント46に何等限定されるものではない。一対の導風板14,14は、自動車前部Fにおいて、易変形部たる薄肉部44の後側で且つ導風板14よりも車幅方向外側に位置して上下方向に延びる回転軸P回りに回転可能に取り付けられておれば良い。
【0060】
従って、例えば、図4に示されるように、フロントバンパ10とラジエータ12との間に、一対の導風板14,14の対向面間を上下両側から覆う上側カバーパネル52と下側カバーパネル54とを配設する。そして、それら上側カバーパネル52の下面と下側カバーパネル54の上面とに取付突起38,38を重ね合わせた状態で、各導風板14,14を、上側及び下側カバーパネル52,54に対して、回転軸P回りに回転可能に取り付けても良い。なお、図4、及び後述する図5、図6にそれぞれ示される実施形態に関しては、前記実施形態と同様な構造とされた部材及び部位について、図1乃至図3と同一の符号を付すことにより、その詳細な説明は省略した。
【0061】
一対の導風板14,14に設けられる易変形部の構造も、前記実施形態に示されるものに、特に限定されるものではない。例えば、図5に示されるように、各導風板14,14の車幅方向外側に位置する面の回転軸Pよりも前側の部位に、矩形状の凹溝56を、上下方向に連続して延びるように形成する。そして、この凹溝56の底部からなる薄肉部58にて、易変形部を形成しても良い。
【0062】
また、図6に示されるように、各導風板14,14の回転軸Pよりも前側の部位に、車幅方向内側に向かって凸となる湾曲形状を呈し、且つ上下方向に連続して延びる曲げ部60を形成する。そして、この曲げ部60の形成によって、各導風板14,14の車幅方向外側に位置する面の回転軸Pよりも前側の部位に、上下方向に連続して延びる凹溝62を形成する。このような曲げ部60にて、易変形部を構成することもできる。この曲げ部60の形状としては、図6に示されるような半円形状に代えて、例えば、U字形状やV字形状、矩形形状等が、採用可能である。
【0063】
それら図5及び図6に示される構造を有する導風構造によっても、二点鎖線で示されるように、軽衝突等による前方からの荷重入力時に、一対の導風板14,14が、回転軸P回りに、矢印Sの方向に回転すると共に、易変形部としての薄肉部58や曲げ部60が車幅方向内側に屈曲変形する。これにより、各導風板14,14の後端部が車幅方向外側に向かって確実に変位する。その結果、前方からの荷重入力により変形した各導風板14,14がラジエータ12やファンシュラウド18と接触して、それらラジエータ12やファンシュラウド18が損傷するようなことが効果的に防止され得る。
【0064】
なお、導風板14に形成される薄肉部44,58や曲げ部60等からなる易変形部は、必ずしも、導風板14の全高(全長)に亘って上下方向に連続して延びるように形成されている必要はない。例えば、導風板14の上下方向に非連続的に設けられていても良い。また、導風板14の高さ方向の一部に、上下方向に延びるように設けられていても、何等差し支えない。
【0065】
また、リブ42を、導風板14,14の前端部に対して、車幅方向内側に突出するように設けても良い。なお、取付突起38とリブ42の導風板14,14からの突出方向は、互いに同一方向であっても、また互いに異なる方向であっても良い。
【0066】
前記実施形態では、導風板14,14の回転軸Pが、それら導風板14,14を車両に取り付ける取付ボルト48,48の中心軸にて構成されていたが、導風板14,14の回転軸Pを与える部材は、導風板14,14を車両に対して回転可能に取り付ける部材であれば、特に限定されるものではない。例えば、導風板14,14をピン部材にて車両に取り付ける場合には、かかるピン部材の中心軸にて、回転軸Pが構成されることとなる。
【0067】
加えて、一対の導風板14,14にて走行風が導かれる冷却系部品には、ラジエータ12以外に、空調用コンデンサ等、自動車に設置される各種の冷却系部品が適用される。
【0068】
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもないところである。
【符号の説明】
【0069】
10 フロントバンパ 12 ラジエータ
14 導風板 18 ファンシュラウド
22 側壁部 24 ラジエータサポート
26 左側サポートサイドメンバ 28 右側サポートサイドメンバ
32 第一の隙間 34 第二の隙間
43 ノッチ部 44,58 薄肉部
46 バンパリーンホースメント 56,62 凹溝
60 曲げ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロントバンパと冷却系部品との間に、一対の導風板を、車幅方向に所定距離を隔てて互いに対向させた状態で、車両前後方向に延びるように配設してなる自動車前部の導風構造であって、
前記導風板が、車両前方からの荷重入力により車幅方向内側に容易に屈曲変形する易変形部を有していると共に、
該導風板は、前記冷却系部品の外周面を外側から覆うファンシュラウドの側壁部とは非連結とされ、且つそれら冷却系部品とファンシュラウドとを外側から更に覆って支持する枠状サポート部材に対して車幅方向両側に位置するように設けられた一対のサポートサイドよりも車幅方向内側に配置されており、
更に、前記荷重入力による前記易変形部での屈曲変形と、該易変形部よりも車両前後方向において後側で且つ該導風板よりも車幅方向外側に位置して上下方向に延びる回転軸回りでの該導風板の回転とが許容される状態で、該導風板が、前記フロントバンパと前記冷却系部品との間に配設されていることを特徴とする自動車前部の導風構造。
【請求項2】
前記易変形部が、前記導風板における車幅方向外側の板面に設けられた、上下方向に延びる凹溝を形成する薄肉部又は曲げ部にて構成されている請求項1に記載の自動車前部の導風構造。
【請求項3】
前記導風板の前端部に、車幅方向外側に向かって突出し且つ上下方向に延びる板状リブが一体形成されていると共に、該板状リブの前面が、車両前方からの荷重の入力面とされている請求項1又は請求項2に記載の自動車前部の導風構造。
【請求項4】
前記フロントバンパに、走行風を車両前方から前記冷却部品に導くための開口部が設けられていると共に、前記一対の導風板が、該開口部の車幅方向両側に位置する一対の開口縁部よりも車幅方向外側に位置するように配設されている請求項1乃至請求項3のうちの何れか1項に記載の自動車前部の導風構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−81795(P2012−81795A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−227427(P2010−227427)
【出願日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(308013436)小島プレス工業株式会社 (386)
【Fターム(参考)】