説明

自動車玩具の操舵装置

【課題】 ホイールアーチを小さくすることが可能な自動車玩具の操舵装置を提供すること。
【解決手段】 左右に位置し互いに対向する2つのリンクと、前後に位置し互いに対向する2つのリンク等によって4節回転連鎖が構成され、
前記左側リンクに左側車輪の車軸が左方に突出して設けられているとともに、前記右側リンクに右側車輪の車軸が右方に突出して設けられ、後側リンクの左右に位置する軸の中心同士を結ぶ線分よりも後方に他の軸を備え、後側リンクを駆動手段によって前記他の軸に対して回動するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動車玩具の操舵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車玩具の操舵装置として、左右に位置し互いに対向する2つのリンクと、前後に位置し互いに対向する2つのリンクとを有し、前側リンクが固定リンクである平行クランクを備え、左側リンクに左側車輪の車軸が左方に突出して設けられ、右側リンクに右側車輪の車軸が右方に突出して設けられた構造のものが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3030650号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の操舵装置にあっては、左右の車輪は、前側リンク両側の軸、すなわち、該左右の車輪よりも内側に位置し車輪幅中央付近に位置するナックルアームの回転軸を中心に向きを変えるように構成されているため、ホイールアーチ(ホイールハウジングの開口)が小さいと、車輪がホイールアーチと干渉する。そのため、ホイールアーチを大きくしなければならず、実車とデザインが著しく異なってしまうという問題があった。
本発明は、かかる問題点に鑑みなされたもので、ホイールアーチを小さくすることが可能な自動車玩具の操舵装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、
自動車玩具の操舵装置であって、
左右に位置し互いに対向する2つのリンクと、前後に位置し互いに対向する2つのリンクと、左側リンク及び前側リンクを相互に連結する第1の軸と、前記前側リンク及び右側リンクを相互に連結する第2の軸と、前記右側リンク及び後側リンクを相互に連結する第3の軸と、前記後側リンク及び前記左側リンクを相互に連結する第4の軸とによって4節回転連鎖が構成され、
前記左側リンクに左側車輪の車軸が左方に突出して設けられているとともに、前記右側リンクに右側車輪の車軸が右方に突出して設けられ、
前記第1の軸及び前記第2の軸の中心同士を結ぶ第1の線分、前記第2の軸及び前記第3の軸の中心同士を結ぶ第2の線分、前記第3の軸及び前記第4の軸の中心同士を結ぶ第3の線分、前記第4の軸及び前記第1の軸の中心同士を結ぶ第4の線分を考えた場合、前記左側車輪及び前記右側車輪が前方に向いている中立位置で、前記第1の線分及び前記第3の線分は前記自動車玩具の幅方向と平行であり、前記第2の線分及び前記第4の線分は自動車玩具の幅方向の中心線に対して左右対称位置にあり、
自動車玩具の幅方向の中央に、前記中立位置において前記第3の線分よりも後方に位置し、且つ、前記第3の軸及び前記第4の軸と平行な第5の軸を備え、
前記後側リンクは前記第5の軸に対して回動可能に設けられ、
自動車玩具の幅方向の中央に、前記中立位置において前記第1の線分よりも前方に位置し、且つ、前記第1の軸及び前記第2の軸と平行な第6の軸を備え、
前記前側リンクは前記第6の軸に対して回動可能に設けられている、
ことを特徴とする自動車玩具の操舵装置である。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1に記載の自動車玩具の操舵装置であって、前記後側リンク又は前記前側リンクは入力リンクとなっており、前記入力リンクは駆動手段に連結され、この駆動手段によって回動するように構成されていることを特徴とする。
【0007】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の自動車玩具の操舵装置であって、前記中立位置で見た場合、前記第3の線分から前記第5の軸の中心までのオフセット距離と前記第1の線分から前記第6の軸までのオフセット距離とは同じとなっていることを特徴とする。
【0008】
請求項4の発明は、請求項1から3いずれか一項に記載の自動車玩具の操舵装置であって、前記第5の軸及び前記第3の軸の中心同士を結ぶ第5の線分、前記第5の軸及び前記第4の軸の中心同士を結ぶ第6の線分を考えた場合、前記後側リンクの回動角は、前記第5の線分が自動車玩具の幅方向と平行となる所から、前記第6の線分が自動車玩具の幅方向と平行となる所までの範囲内に設定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、例えば、左旋回の際、左側車輪で見た場合、第4の軸が中立位置から自動車玩具の前方且つ幅方向内方に移動する一方で、第1の軸が中立位置から自動車玩具の前方且つ幅方向外方に移動して、左側リンクの外縁が自動車玩具の左斜め後方を向く。これによって、左側車輪が左に向きを変える。また、左旋回の際、右側車輪で見た場合、第2の軸が中立位置から自動車玩具の後方且つ幅方向内方に移動する一方で、第3の軸が中立位置から自動車玩具の後方且つ幅方向外方に移動して、右側リンクの外縁が自動車玩具の右斜め前方を向く。これによって、右側車輪が左に向きを変える。
したがって、左右の車輪はホイールアーチが小さい場合でも向きを自由に変えることができる。なお、右旋回の場合には、各部材の動作は逆になるが、同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施形態の自動車玩具の斜視図である。
【図2】実施形態の自動車玩具のシャーシの平面図である。
【図3】実施形態の自動車玩具の後輪の駆動機構の平面図である。
【図4】実施形態の自動車玩具の操舵装置の平面図である。
【図5】実施形態の自動車玩具の回路構成を示すブロック図である。
【図6】実施形態の自動車玩具の操舵装置の動作を説明するための図で、(A)は前輪が前方に向いた状態の平面図、(B)は前輪が左を向いた場合の平面図である。
【図7】実施形態の自動車玩具の操舵装置の作用及び効果を説明するための図であり、(A)は実施形態の操舵装置及びその周辺の模式的平面図、(B)は比較例の操舵装置及びその周辺の模式的平面図である。
【図8】4節回転連鎖の変形例を示す模式図であり、(A)は前輪が前方に向いた状態の平面図、(B)は前輪が左を向いた場合の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
図1は実施形態に係る自動車玩具の斜視図である。この自動車玩具1は、図2に示すシャーシ2(図2)とボディ3とを備えている。このうち、ボディ3の前部及び側部は、特に限定はされないが、ある程度の弾性を持ち、その前部内側及び側部内側に図示しない凹部又は凸部を備えている。そして、このボディ3の凹部又は凸部をシャーシ2の図示しない凸部又は凹部に弾性的に係合させることによって、ボディ3はシャーシ2に取り付けられている。なお、この自動車玩具1は、図示しないコントローラからのコントロール信号を受信するアンテナ装置ANT(図5)を有し、コントローラからのコントロール信号に基づいて、自動車玩具1が走行や操舵を行うようになっている。
【0012】
図2はシャーシ2の平面図である。このシャーシ2の中央部には電池ボックス4が設けられている。この電池ボックス4には、図示しない電池が設置されている。この場合の電池は充電可能な電池であってもよい。
【0013】
また、シャーシ2の後部にはメカボックス5が設けられている。このメカボックス5には、図3に示すように、モータMと、後輪2b,2bの車軸6にモータMの動力を伝達するための歯車機構7とが設けられている。モータMはモータ駆動装置21(図5)によって駆動される。そして、モータ動力によって後輪2b,2bが一体に回転するようになっている。
【0014】
一方、シャーシ2の前部には、図2に示すように、前輪2c,2cの操舵を行うための操舵装置8が設けられている。図4にはこの操舵装置8の拡大図が示されている。この図4において符号Lは自動車玩具1の幅方向の中心線を示している。
操舵装置8は4節回転連鎖9を備えている。この4節回転連鎖9は、自動車玩具1における左右に位置し互いに対向するリンク10a,10cと、自動車玩具1における前後に位置し互いに対向するリンク10b,10dと、左側リンク10a及び前側リンク10bを相互に連結する第1の軸11aと、前側リンク10b及び右側リンク10cを相互に連結する第2の軸11bと、右側リンク10c及び後側リンク10dを相互に連結する第3の軸11cと、後側リンク10d及び左側リンク10aを相互に連結する第4の軸11dを備えている。このうち左側リンク10aと右側リンク10cとは同じ大きさ形状に構成されている。この左側リンク10aと右側リンク10cとは、自動車玩具1の幅方向の中心線に対して左右対称となるような向きに配置されている。
【0015】
そして、左側リンク10aの前後方向の中央には左側車軸2dが左方に突出するように固定して設けられている。この左側車軸2dには左側車輪2cが空転可能に取り付けられている。
一方、右側リンク10cの前後方向の中央には右側車軸2dが右方に突出するように固定して設けられている。この右側車軸2dには右側車輪2cが空転可能に取り付けられている。
【0016】
また、前側リンク10bは、平面視で、自動車玩具1の幅方向中央が前方に向けて山形に膨出した形状を有している。この前側リンク10bには、第1の軸11a及び第2の軸11bの中心同士を結ぶ線分(第1の線分)の垂直2等分線上であって該線分よりも前方に長穴12が形成されている。この長穴12は長円形で、第1の軸11a及び第2の軸11bを結ぶ線分(第1の線分)の垂直2等分線に沿って延びた形状を有している。一方、シャーシ2には、第1の軸11a及び第2の軸11bに平行である第6の軸13が設けられている。この第6の軸13は自動車玩具1の幅方向の中心に位置している。そして、この第6の軸13は、前側リンク10bの長穴12に挿入されている。その結果、前側リンク10bは、第6の軸13に対して回動可能となっている。
なお、実施形態の場合、第6の軸13は、ねじS1(図2)の軸によって構成されている。このように、ねじS1の軸によって第6の軸13を構成する場合には、ねじS2の頭部とシャーシ2の固定部との間で前側リンク10bを挟持することが可能となるので、4節回転連鎖9のシャーシ2への取り付け構造が簡単となる。
【0017】
後側リンク10dには、第3の軸11c及び第4の軸11dの中心同士を結ぶ線分(第3の線分)の垂直2等分線上であって該線分よりも後方に該第3の軸11c及び第4の軸11dと平行である第5の軸14が付設されている。この第5の軸14は、自動車玩具1の幅方向の中心に位置している。この第5の軸14はシャーシ2に支持されている。実施形態の場合、第5の軸は、ねじS2(図2)の軸によって構成されている。このように、ねじS2の軸によって第5の軸14を構成する場合には、ねじS2の頭部とシャーシ2の固定部との間で後側リンク10dを挟持することが可能となるので、4節回転連鎖9のシャーシ2への取り付け構造が簡単となる。
このように構成された後側リンク10dは、第5の軸14に対して回動可能となっている。この後側リンク10dは、前後に移動しつつ回動する前側リンク10bとは異なり、前後には移動せず、その場で回動するだけである。
なお、上記中立位置で見た場合、第3の線分から第5の軸14の中心までのオフセット距離と第1の線分から第6の軸13までのオフセット距離とは同じとなっている。
【0018】
この後側リンク10dは、4節回転連鎖9において入力リンクを構成している。そして、この後側リンク10dにはレバー15が取り付けられている。このレバー15は、第3の軸11c及び第4の軸11dの中心同士を結ぶ線分(第3の線分)の垂直2等分線に沿って後方に延びている。このレバー15の先端部には永久磁石16が設けられている。
一方、シャーシ2には、レバー15の後方に、自動車玩具1の幅方向の中心線を挟む左右位置に永久磁石16と選択的に対峙可能なコイルC1,C2が設けられている。このコイルC1,C2は、コイル駆動装置22(図5)によって駆動されるようになっている。そして、コイルC1,C2と永久磁石16との間に磁力を生じさせることによって、4節回転連鎖9が動作するようになっている。
例えば、永久磁石16の対峙面がN極である場合、コイルC1の対峙面をS極にするとともにコイルC2の対峙面をN極とすれば、永久磁石16の対峙面がコイルC2の対峙面から反発を受けるとともにコイルC1の対峙面に引き付けられるので、自動車玩具1の左右の前輪2c,2cは左向きとなる。永久磁石16の対峙面がN極である場合、反対に、コイルC1の対峙面をN極にするとともにコイルC2の対峙面をS極とすれば、永久磁石16の対峙面がコイルC1の対峙面から反発を受けるとともにコイルC2の対峙面に引き付けられるので、自動車玩具1の左右の前輪2c,2cは右向きとなる。この場合、コイルC1,C2のどちらかだけを作動させて4節回転連鎖9を動作させることも可能である。また、永久磁石16の対峙面をS極とすることも可能である。
なお、レバー15、永久磁石16及びコイルC1,C2の代わりに、後側リンク10dの回動軸14と同心的に歯車を設け、この歯車を歯車機構を介して或いは直接モータに連結し、モータ動力によって後側リンク10dを回動させるようにしてもよい。
【0019】
続いて、自動車玩具1の回路構成を説明する。図5にはその回路構成が示されている。図5において符号20は制御装置を示している。この制御装置20は、アンテナ装置ANTと、モータMを駆動するためのモータ駆動装置21と、コイルC1,C2を駆動するためのコイル駆動装置22とに接続されている。この場合のコイル駆動装置22は、永久磁石16及びコイルC1,C2とともに、4節回転連鎖9の駆動手段を構成している。
【0020】
制御装置20は、走行及び操舵のためのプログラムを内蔵し、アンテナ装置ANTで受信したコントロール信号を復調して解読し、このコントロール信号に応じて、モータ駆動装置21やコイル駆動装置22の駆動制御を行う。例えば、制御装置20は、コントロール信号が走行のためのコントロール信号である場合には、モータ駆動装置21を制御し、自動車玩具1の速度を変化させる。また、制御装置20は、コントロール信号が操舵のためのコントロール信号である場合には、コイル駆動装置22を制御し、自動車玩具1の操舵を行う。
【0021】
次に、上記操舵装置8における4節回転連鎖9の動作について説明する。図6(A),(B)は4節回転連鎖9の動作の一例を示している。このうち、図6(A)は4節回転連鎖9が中立位置にあるときの様子を示している。一方、図6(B)は4節回転連鎖9が左旋回状態にあるときの様子を示している。
【0022】
図6(A)に示すように、4節回転連鎖9が中立位置にあるとき、左右の前輪2b,2bは前方を向いた状態にある。この4節回転連鎖9が中立位置から図6(B)に示す左旋回状態に移行する際には、平面視で、後側リンク10dは第5の軸14を中心に時計方向に回転し、一方、前側リンク10bも第6の軸13を中心に時計方向に回転する。そして、左右の前輪2c,2cは左向きとなる。なお、4節回転連鎖9が中立位置から右旋回状態に移行する際には、後側リンク10d及び前側リンク10bは先ほどと逆の動作を行い、左右の前輪2c,2cは右向きとなる。
【0023】
以上のように構成された自動車玩具1の操舵装置8の作用効果を図7(A),(B)を用いて説明すれば以下の通りである。
図7(A)に示すように、左旋回の際には、左側車輪2c側で見ると、第4の軸11dが中立位置から自動車玩具1の前方且つ幅方向内方に移動する一方で、第1の軸が11a中立位置から自動車玩具1の前方且つ幅方向外方に移動して、左側リンク10aの外縁が左斜め後方を向く。これによって、左側の前輪2cが左に向きを変える。また、図7(A)に示すように、左旋回の際、右側車輪2cで見ると、第2の軸11bが中立位置から自動車玩具1の後方且つ幅方向内方に移動する一方で、第3の軸11cが中立位置から自動車玩具1の後方且つ幅方向外方に移動して、左側リンク10cの外縁が右斜め前方を向く。これによって、右側の前輪2cが左に向きを変える。
したがって、左右の車輪2c,2cはホイールアーチが小さい場合でも向きを自由に変えることができる。右旋回の場合でも、各部材の動作は逆になるが、同様の効果が得られる。
これに対して、図7(B)の比較例に示すように、固定された軸2j,2jを中心に前輪2c,2cが向きを変える従来構造のものでは、ホイールアーチが小さいと、旋回の際に左右の前輪2c,2cがホイールハウジングの開口縁に当たってしまうことになる。
【0024】
図8には4節回転連鎖の変形例が示されている。同図において図8(A)は前輪が前方に向いた状態、図8(B)は前輪が左を向いた場合を示している。
この4節回転連鎖90においては、第2の軸11b及び第3の軸11cの中心同士を結ぶ線分(第2の線分)と、第4の軸11d及び第1の軸11aの中心同士を結ぶ線分(第4の線分)とが平行とはなっていない。この点で、この4節回転連鎖90は、図2、図3、図4、図6及び図7に示す4節回転連鎖9と異なっている。
すなわち、この4節回転連鎖90では、中立位置で見た場合、第2の線分及び第4の線分の距離が後方に行くに従って狭くなるように設定されている。ただし、中立位置で見た場合、左側リンク10a及び右側リンク10cの車軸2dはそれぞれ真横に突出して設けられている。この変形例の4節回転連鎖90は、図2、図3、図4、図6及び図7に示す4節回転連鎖9の代わりに用いることが可能である。
その他の構成は、図2、図3、図4、図6及び図7に示す4節回転連鎖9と同様なので、詳しい図示及び説明は省略する。
【0025】
この変形例の4節回転連鎖90によれば、旋回する場合、内側のリンク(左側リンク10a又は右側リンク10c)が外側のリンク(右側リンク10c又は左側リンク10a)よりも大きく回転するので、旋回が円滑に行えることになる。この点は、図8(B)からも明らかである。すなわち、例えば、左旋回の場合には、左側リンク10aの回転角度α1の方が右側リンク10cの回転角度α2よりも大きくなる。一方、図示はしないが右旋回の場合は、右側リンク10cの回転角度の方がα2左側リンク10aの回転角度α1よりも大きくなる。
【0026】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であることは言うまでもない。
例えば、上記実施形態では、4節回転連鎖9を中立位置に保持するための構造を開示していないが、例えば、左右のコイルC1,C2の通電を制御することによっても4節回転連鎖9を中立位置に保持することができる。ただし、安定的に、4節回転連鎖9を中立位置に保持するためには、4節回転連鎖9を中立位置に向けて付勢するスプリングを設けることが好ましい。
【0027】
また、上記実施形態では、4節回転連鎖9の中立位置の微調整を行う構造を開示していないが、第6の軸13をシャーシ2に対して移動できるようにしておき、4節回転連鎖9の中立位置の微調整を行えるようにしておいてもよい。
【0028】
また、上記実施形態では、サスペンションの構造を開示していないが、4節回転連鎖9全体に上下方向の弾性を持たせれば、4節回転連鎖9はサスペンションとしても機能する。或いは、4節回転連鎖9の幅方向両端が上下動するように遊びを持たせて幅方向中央で支持すれば、この場合も、サスペンションとしても機能することになる。
【0029】
さらに、上記実施形態では、後側リンク10dを入力リンクとしたが、後側リンク10dに代えて、前側リンク10bを入力リンクとしてもよいことは勿論である。
【0030】
また、上記実施形態では、コイル駆動装置22を制御し、入力リンクを駆動させて自動車玩具1の操舵を行うものについて説明したが、モータによって入力リンクを駆動させて自動車玩具1の操舵を行うように構成してもよい。
【0031】
また、上記実施形態では、自走式の自動車玩具1の操舵装置について説明したが、手押し式の自動車玩具1の操舵装置にも適用できることは勿論である。
【符号の説明】
【0032】
1 自動車玩具
2 シャーシ
2b 後輪
2c 前輪
8 操舵装置
9 4節回転連鎖
10a 左側リンク
10b 前側リンク
10c 右側リンク
10d 後側リンク
11a 第1の軸
11b 第2の軸
11c 第3の軸
11e 第4の軸
13 第6の軸
14 第5の軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車玩具の操舵装置であって、
左右に位置し互いに対向する2つのリンクと、前後に位置し互いに対向する2つのリンクと、左側リンク及び前側リンクを相互に連結する第1の軸と、前記前側リンク及び右側リンクを相互に連結する第2の軸と、前記右側リンク及び後側リンクを相互に連結する第3の軸と、前記後側リンク及び前記左側リンクを相互に連結する第4の軸とによって4節回転連鎖が構成され、
前記左側リンクに左側車輪の車軸が左方に突出して設けられているとともに、前記右側リンクに右側車輪の車軸が右方に突出して設けられ、
前記第1の軸及び前記第2の軸の中心同士を結ぶ第1の線分、前記第2の軸及び前記第3の軸の中心同士を結ぶ第2の線分、前記第3の軸及び前記第4の軸の中心同士を結ぶ第3の線分、前記第4の軸及び前記第1の軸の中心同士を結ぶ第4の線分を考えた場合、前記左側車輪及び前記右側車輪が前方に向いている中立位置で、前記第1の線分及び前記第3の線分は前記自動車玩具の幅方向と平行であり、前記第2の線分及び前記第4の線分は自動車玩具の幅方向の中心線に対して左右対称位置にあり、
自動車玩具の幅方向の中央に、前記中立位置において前記第3の線分よりも後方に位置し、且つ、前記第3の軸及び前記第4の軸と平行な第5の軸を備え、
前記後側リンクは前記第5の軸に対して回動可能に設けられ、
自動車玩具の幅方向の中央に、前記中立位置において前記第1の線分よりも前方に位置し、且つ、前記第1の軸及び前記第2の軸と平行な第6の軸を備え、
前記前側リンクは前記第6の軸に対して回動可能に設けられている、
ことを特徴とする自動車玩具の操舵装置。
【請求項2】
前記後側リンク又は前記前側リンクは入力リンクとなっており、
前記入力リンクは駆動手段に連結され、この駆動手段によって回動するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の自動車玩具の操舵装置。
【請求項3】
前記中立位置で見た場合、前記第3の線分から前記第5の軸の中心までのオフセット距離と前記第1の線分から前記第6の軸までのオフセット距離とは同じとなっていることを特徴とする請求項1又は2に記載の自動車玩具の操舵装置。
【請求項4】
前記第5の軸及び前記第3の軸の中心同士を結ぶ第5の線分、前記第5の軸及び前記第4の軸の中心同士を結ぶ第6の線分を考えた場合、前記後側リンクの回動角は、前記第5の線分が自動車玩具の幅方向と平行となる所から、前記第6の線分が自動車玩具の幅方向と平行となる所までの範囲内に設定されていることを特徴とする請求項1から3いずれか一項に記載の自動車玩具の操舵装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−75742(P2012−75742A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−224885(P2010−224885)
【出願日】平成22年10月4日(2010.10.4)
【出願人】(000003584)株式会社タカラトミー (248)
【Fターム(参考)】