説明

自動車用のインナーフェンダー

【課題】 エンジンルームにおいて発生する様々なノイズや、エンジンルーム内におけるロードノイズの反響音などを吸音でき、しかも、タイヤによって跳ね上げられる泥や小石等の影響を受けずに、吸音作用を維持することができるインナーフェンダーを提供する。
【解決手段】 インナーフェンダー2に形成した中空部をインナーフェンダー2の長手方向に画成して複数の空気室10を形成する。各空気室10の底部14には、それぞれ所望の長さ寸法を有するダクト15が連通しており、空気室10とダクト15とによって、ヘルムホルツのレゾネーターを構成している。ダクト15の開口15aは、インナーフェンダー2におけるタイヤ対向面2bとは反対側の上面2aに開口している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤと対向して配され、車体パネルに固着される自動車用のインナーフェンダーに関する。
【背景技術】
【0002】
車体パネルに固着される自動車用のインナーフェンダーの上面側は、エンジンルームに繋がった配置構成に配されている。そのため、インナーフェンダーの上面側は、エンジンルームにおいて発生する様々なノイズ、例えば、エンジンの駆動音や走行時に発生するロードノイズの反響音などに晒された状態になっている。
【0003】
通常、これらのノイズを吸音する方法として、インナーフェンダーの上面側の面に不織布等の吸音材を貼り付けておく方法が広く知られている。しかし、貼り付けておく吸音材にかかるコストに問題が生じることになる。また、吸音材に付着したオイル等の影響によって、吸音材としての機能を低下してしまう問題も生じている。
【0004】
インナーフェンダーの機能としては、上述した吸音機能の他にインナーフェンダーで覆われるホイールハウス内をチッピングや泥・雪などからガードする機能が求められている。そのため、インナーフェンダーの構成として、シートプレス成形などで成形した比較的薄い樹脂製の構成では、高速走行時における風圧や降雪時に付着した雪溜りによる圧縮荷重等に耐え切れない剛性になってしまう。そこで、インナーフェンダーの剛性を高めるために、金属性の補強部材などを追加して、インナーフェンダーに対する剛性を高めた製品が提供されている。
【0005】
また、タイヤと路面との間で発生するロードノイズを効果的に吸音する目的で、インナーフェンダーのタイヤ対向面側に、不織布等の吸音材を貼り付けた構成を備えたアンダープロテクター(特許文献1参照)や、インナーフェンダーの剛性を高めるためにハニカム構造を採用し、このハニカム構造内に形成される空間を利用して、この空間内にロードノイズを取り込んで吸音を行わせるインナーフェンダー(特許文献2参照)などが提案されている。
【0006】
特許文献1に記載されたアンダープロテクターでは、繊維からなるシート状の不織布をインナーフェンダーであるアンダープロテクターのタイヤ対向面側に貼り付けた構成になっている。そして、ロードノイズを不織布で吸音させている。
【0007】
特許文献2に記載されたインナーフェンダーでは、インナーフェンダーを軽量化させて剛性を高めるために、ハニカム構造を採用している。そして、インナーフェンダーとしては、ハニカム構造を構成するハニカム部材とハニカム部材をサンドウィッチ状に挟み込む2枚のシートとから構成されている。
【0008】
また、ハニカム構造体内に形成された各空間には、それぞれタイヤ側の外部に開口した連通孔が形成されている。各連通孔を介してロードノイズを各空間内に取り込み、各連通孔から空間内に取り込んだノイズを空間内で乱反射させることにより、吸音作用を行わせている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2004−142675号公報
【特許文献2】特開2006−103408号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1に記載された発明では、インナーフェンダーであるアンダープロテクターに貼り付けられている不織布には、車両の高速走行時には大きな負荷が加わることになる。特に、不織布は繊維からなるシート状の成形品であるので、高速走行時に加わる風圧等の負荷に不織布が耐えられなくなり、アンダープロテクターからの剥離等を生じてしまうことがある。また、アンダープロテクター内に付着した泥や油分などの影響によって、吸音材としての性能が徐々に低下してしまうことにもなる。
【0011】
特許文献2に記載された発明では、ハニカム構造を形成するハニカム部材を2枚のシートでサンドウィッチ状に挟み込んだ構成になっているので、インナーフェンダーとしての構造が複雑になるとともに、形状を構成するときの自由度が低いものになっている。
【0012】
また、中空凸形状からなる各空間にそれぞれ連通した連通孔は、インナーフェンダーにおけるタイヤ対向面側に開口した構成になっている。そのため、走行時や豪雨時等のときには、連通孔に、泥や水、雪等が付着し易くなる。また、水溜りの走行時や霧、結露などの影響によって、空間内に水分等が浸入してしまったり、付着した泥や雪等によって連通孔が塞がれてしまうことになる。
【0013】
特許文献2における連通孔は、直径が1mm程度の小径の孔として形成されているので、空間内に水分等が浸入しても、これを外部に排出する方法がない。更に、連通孔が泥や雪等によって塞がれると、簡単に吸音効果が消失することになる。
【0014】
本願発明では、上述した従来の問題を解決し、エンジンルームにおいて発生する様々なノイズや、エンジンルーム内におけるロードノイズの反響音などを吸音することができ、しかも、タイヤによって跳ね上げられる泥や小石等の影響を受けずに、吸音作用を維持することができるインナーフェンダーの提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本願発明の課題は、請求項1〜3に記載された各発明により達成することができる。
即ち、本願発明では、タイヤと対向して自動車の車体パネルに固着されるインナーフェンダーにおいて、前記インナーフェンダーに、共鳴箱となる空気室と前記空気室に連通したダクトとが形成され、前記ダクトが、前記インナーフェンダーにおけるタイヤ対向面とは反対側の面に開口してなることを最も主要な特徴としている。
【0016】
また、本願発明では、前記ダクトは、前記空気室内における一番低い底部に連通して形成され、前記空気室内には前記底部に向かって連なる下り傾斜の傾斜面が形成されてなることを主要な特徴としている。
【0017】
更に、本願発明では、前記インナーフェンダーに、複数の前記空気室と前記各空気室にそれぞれ連通したダクトとが形成され、前記各空気室と前記各ダクトとの組合せにより、異なる吸音特性のヘルムホルツのレゾネーターが複数形成されてなることを主要な特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
本願発明に係わる自動車用のインナーフェンダーでは、インナーフェンダーに形成したヘルムホルツのレゾネーターを用いて、インナーフェンダーに面した空間内において発生する様々なノイズを吸音することができる。しかも、ヘルムホルツのレゾネーターを構成
するダクトの開口が、インナーフェンダーにおけるタイヤ対向面とは反対側の面に開口した構成なので、タイヤによって蹴り上げられた土砂や雪等がダクトの開口に付着することがない。このため、ダクトの開口が土砂や雪等によって塞がれることがなく、空気室とダクトとからなるヘルムホルツのレゾネーターは、安定した吸音効果を発揮し続けることができる。
【0019】
また、インナーフェンダーは、空気室からなる中空部を備えた構成に形成されている。一般的に、同じ量の材料を用いて構成する場合に、板状体を構成した場合に比べて、中空部を有する構成にした場合の方が、断面二次モーメントが大きくなるなどの理由から剛性を高めておくことができる。そのため、中空部を備えた本願発明に係るインナーフェンダーは、その剛性を高めておくことができる。即ち、インナーフェンダーとして、吸音効果を備えて高い剛性を有した製品として構成しておくことができる。
【0020】
このように構成されているので、タイヤからの熱などの影響によって温度変化が激しい状況下のところにインナーフェンダーを配しても、また、高速走行時の厳しい状況下に晒されても、インナーフェンダーの高い剛性によって、確実にホイールハウス内を保護することができ、しかも安定した吸音効果を発揮し続けることができる。
【0021】
本発明では、空気室内における一番低い底部にダクトを連通させた構成にしておくことができる。そして、空気室内の内部構成としては、ダクトが連通した底部に向かって連なる下り傾斜の傾斜面を形成しておくことができる。
【0022】
このように構成することによって、水溜りの走行時や結露などによって、空気室内に水分が浸入した場合であっても、重力の作用によって、あるいは走行時の振動等によって、空気室内に侵入した水分を空気室内に形成した傾斜面を伝わって底部に集めることができる。空気室の底部に集められた水は、自重により、あるいはインナーフェンダーの振動等によって、ダクトを通って空気室の外部に排出することができる。
【0023】
これにより、水分が空気室内に浸入したとしても、空気室内に水が滞留するのを防止でき、侵入した水は簡単にしかも直ちに空気室内から外部に排出することができる。その結果、ダクト内にも水が滞留することがなくなり、空気室内における容積を常に一定に保っておくことができるので、レゾネーターとしての機能を失うことがない。
【0024】
本発明では、複数の空気室と各空気室にそれぞれ連通したダクトとの組合せにより、インナーフェンダーに異なる吸音特性を備えたヘルムホルツのレゾネーターを複数形成しておくことができる。このように複数のヘルムホルツのレゾネーターを構成しておくことにより、吸音できる周波数帯を拡大させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】インナーフェンダーの配置を示す要部斜視図である。(実施例)
【図2】インナーフェンダーの斜視図である。(実施例1)
【図3】図2のIII−III断面図である。(実施例1)
【図4】図2のIV−IV断面図である。(実施例1)
【図5】図3のア方向から視た矢視図である。(実施例1)
【図6】図3のイ方向から視た矢視図である。(実施例1)
【図7】インナーフェンダーの正面から視た図である。(実施例2)
【図8】インナーフェンダーの正面から視た図である。(実施例3)
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の好適な実施の形態について、添付図面に基づいて以下において具体的に説明す
る。本願発明に係わる自動車用のインナーフェンダーとして、以下においてエンジンルーム側に配された前輪のインナーフェンダーを例に挙げて説明を行うが、本願発明に係わるインナーフェンダーとして、後輪、中輪のインナーフェンダーとしても好適に適用することができる。
【0027】
また、ヘルムホルツのレゾネーターをインナーフェンダーの前方側に配した構成を例に挙げて説明を行うが、ヘルムホルツのレゾネーターを形成するインナーフェンダーの部位としては、インナーフェンダーの前方側の部位に限定されるものではなく、インナーフェンダーの後方側の部位に配設することもできる。また、インナーフェンダーの全周に亘ってヘルムホルツのレゾネーターを配設しておくこともできる。このため、本発明は、以下に説明する実施例に限定されるものではなく、多様な変更が可能である。
【実施例1】
【0028】
本発明に係るインナーフェンダーの一実施形態について、図1〜図6を参照しながら説明する。図1に示すように、自動車1の車体パネルには、車両ボディの下部外面を被覆するインナーフェンダー2が、タイヤ3の外面側に対向して固着されている。
【0029】
図1に示すように、インナーフェンダー2は、自動車1の走行時にタイヤが地面から跳ね上げる小石や泥などからタイヤハウス内をガードしている。また、インナーフェンダー2は、エンジンルーム4内において発生するノイズを吸音するように構成されている。ボンネット5によって上部を覆われたエンジンルーム4内において発生するノイズとしては、エンジン等によって発生するノイズの他に、タイヤと路面との間で発生するロードノイズの反響音などがある。
【0030】
図2に示すように、インナーフェンダー2は、合成樹脂材を用いたブロー成形により構成されている。合成樹脂材としては、ポリプロピレンやポリエチレン、TPO(ポリプロピレンとゴム成分の混合物)、ポリカーボネート、ポリアミド、変性ポリフェニレンエーテル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアセタール、ポリフェニレンサルファイドなどを用いることができる。
【0031】
以下では、ブロー成形によりインナーフェンダー2を構成した構成例について説明を行っていくが、プレス成形した金属板や合成樹脂板を重ね合わせて接合し、中空部を有するインナーフェンダー2を構成することもできる。インナーフェンダー2をブロー成形により構成したり、プレス成形した金属板や合成樹脂板を重ね合わせて構成したりすることできるので、インナーフェンダー2の形状を構成するときの自由度を高めることができる。また、中空部を有する形状にインナーフェンダー2を構成することができるので、インナーフェンダー2の剛性を高めておくことができる。
【0032】
図2におけるIII−III断面図及びIV−IV断面図である図3、図4に示しているように、インナーフェンダー2における車両前方側の部位には、中空部が形成されている。そして、中空部をインナーフェンダー2の長手方向に画成して複数の空気室10が構成されている。各空気室10の底部14には、それぞれ所望の長さ寸法を有するダクト15が連通しており、空気室10とダクト15とによって、ヘルムホルツのレゾネーターが構成されている。また、隣接する空気室10間は、連結部2cが形成されており、空気室10間を密閉状態に構成している。
【0033】
尚、図2では、各空気室10をインナーフェンダー2の長手方向に複数配した構成について例示しているが、インナーフェンダー2の長手方向に沿った複数の空気室を構成する代わりに、後述する実施例3のように、インナーフェンダー2の幅方向に配した構成にすることも、インナーフェンダー2の長手方向に配した空気室とインナーフェンダー2の幅方向
に配した空気室とを組み合わせた配置構成にすることもできる。
【0034】
ヘルムホルツのレゾネーターは、一つの空気室に一つのダクトが連通した構成になっており、空気室10内の容積とダクト15部分の空気の質量とを調整することによって、レゾネーターで吸音する周波数帯を調整することができる。ダクト15部分における空気の質量の調整方法としては、ダクト15の内径、長さ寸法L1〜L3(図3参照。)を調整することにより行うことができる。
【0035】
各空気室10における容積とそれぞれの空気室10に連通したダクト15部分の空気の質量とを調整することで、複数のレゾネーターを配することができ、この複数のレゾネーターで異なる周波数帯を吸音することができる。これにより、複数のレゾネーターで吸音できる周波数帯を拡大することができる。
【0036】
ダクト15の開口15aは、インナーフェンダー2におけるタイヤ対向面2bとは反対側の上面2aに開口した構成になっている。また、インナーフェンダー2には、インナーフェンダー2を自動車1の車体パネルに取り付けるための取付け片6が形成されており、インナーフェンダー2の車外側の側縁には、車体パネルとの間の隙間を塞ぐフランジ部2dが形成されている。
【0037】
各空気室10内は、底部14に向かって下り傾斜の傾斜面11a,11b、12a,12b、13a,13bがそれぞれ形成されている。即ち、各傾斜面11a,11b、12a,12b、13a,13bは、各空気室10内において、それぞれの空気室10内に浸入した水分をそれぞれの底部14に集めることができる。そして、各底部14に集められた水は、各底部14に連通し、下方に向かって配されたそれぞれのダクト15を通って、効率よくインナーフェンダー2の上面2a側における外部に排出することができる。
【0038】
即ち、図3〜図6に示すように、各空気室10内に浸入した水分は、傾斜面11a,11b、12a,12b、13a,13b上を伝わって底部14に集められて水溜まりとなり、水溜りとなった水は、各空気室10内に残留することなく重力の影響やインナーフェンダー2の振動等によって、ダクト15を通って外部に排出される。
尚、図3では、空気室10内での水の流れを実線の矢印で示しており、図5、図6では、空気室10内における仮想の水の流れを点線の矢印で示している。
【0039】
これにより、水分が空気室10内に浸入したとしても、空気室10内に水が滞留して、空気室10内の容積が変化するのを防止でき、空気室10内の容積を常に一定に保っておくことができる。また、ダクト15内にも水が滞留することがないので、レゾネーターとしての機能を失うことがない。
【0040】
このようにインナーフェンダー2が構成されているので、エンジンルーム4(図3参照)内で発生した各種のノイズのうちで、所望の周波数帯のノイズを空気室10とエンジンルーム4側に開口しているダクト15とからなるレゾネーターで吸音することができる。しかも、空気室10内に水分が浸入したとしても、この水分はダクト15を通って外部に排出することができるので、レゾネーターとしての機能を失うことがない。また、ダクト15の開口15aは、インナーフェンダー2におけるタイヤ対向面2bとは反対側の上面2aに開口した構成になっているので、タイヤ3によって跳ね上げられた土砂や雪等がダクト15の開口15aに付着することがない。
【実施例2】
【0041】
図7を用いて、本願発明に係わる自動車用のインナーフェンダー2におけるヘルムホルツのレゾネーターを構成する空気室として、実施例1とは異なる他の構成について説明す
る。実施例2では、インナーフェンダー2の正面視において、空気室内の傾斜面が右又は左に傾斜した構成になっている。他の構成は、実施例1と同様の構成となっている。そのため、実施例1における構成と同様の構成については、実施例1で用いた部材符号を用いることで、その部材についての説明を省略する。
【0042】
図7に示すように、インナーフェンダー2に形成した複数の空気室20は、各空気室20の底面側が紙面に向かって右側に傾斜した傾斜面21a又は左側に傾斜した傾斜面21bが構成されている。各傾斜面21a,21bの底部には、下方に向かって下り勾配のダクト23が連通しており、各ダクト23の開口23aは、インナーフェンダー2の上面2a側に開口している。
【0043】
このように構成されているので、インナーフェンダー2の成形性及び剛性を損なうことなく、空気室20内における容積の大きさを大きく変更することができ、レゾネーターで吸音することのできる周波数帯の幅を大きくすることができる。また、ダクト23から排出された水が、下流側に配した空気室20のダクト23に掛かることを防止できる。
【実施例3】
【0044】
図8を用いて、本願発明に係わる自動車用のインナーフェンダー2におけるヘルムホルツのレゾネーターを構成する空気室として、実施例1とは異なる別の構成について説明する。実施例3では、インナーフェンダー2の正面視において、複数の空気室25をインナーフェンダー2の幅方向に並列させると共に、インナーフェンダー2の長手方向にも配設した構成になっている。他の構成は、実施例1と同様の構成となっている。そのため、実施例1における構成と同様の構成については、実施例1で用いた部材符号を用いることで、その部材についての説明を省略する。
【0045】
図8では、インナーフェンダー2の幅方向に2列と3列の空気室25を配設した構成を示しているが、インナーフェンダー2の幅方向に並列させる空気室25の列数としては、図示例に限定されるものではなく、適宜の列数を構成することができる。
インナーフェンダー2の幅方向に配設した各空気室25の容積としては、吸音させたい周波数帯に応じて適宜の容積に構成しておくことができる。
【0046】
図8に示すように、インナーフェンダー2に形成した複数の空気室25は、インナーフェンダー2の長手方向に沿った細長の形状に構成されており、底面側に向かって下り傾斜の傾斜面25a,25bが構成されている。各傾斜面25a,25bの底部には、下方に向かって下り勾配のダクト27が連通しており、各ダクト27の開口27aは、インナーフェンダー2の上面2a側に開口している。
【0047】
このように構成されているので、インナーフェンダー2の成形性及び剛性を損なうことなく、空気室20内における容積の大きさを任意に変更することができ、レゾネーターで吸音することのできる周波数帯の幅を大きくすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本願発明の技術思想をインナーフェンダーの構成においても適用することができる。
【符号の説明】
【0049】
2・・・インナーフェンダー、2a・・・上面、10・・・空気室、15・・・ダクト、20・・・空気室、23・・・ダクト、25・・・空気室、27・・・ダクト。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤと対向して自動車の車体パネルに固着されるインナーフェンダーにおいて、
前記インナーフェンダーに、共鳴箱となる空気室と前記空気室に連通したダクトとが形成され、
前記ダクトが、前記インナーフェンダーにおけるタイヤ対向面とは反対側の面に開口してなることを特徴とする自動車用のインナーフェンダー。
【請求項2】
前記ダクトは、前記空気室内における一番低い底部に連通して形成され、前記空気室内には前記底部に向かって連なる下り傾斜の傾斜面が形成されてなることを特徴とする請求項1に記載の自動車用のインナーフェンダー。
【請求項3】
前記インナーフェンダーに、複数の前記空気室と前記各空気室にそれぞれ連通したダクトとが形成され、前記各空気室と前記各ダクトとの組合せにより、異なる吸音特性のヘルムホルツのレゾネーターが複数形成されてなることを特徴とする請求項1または2に記載の自動車用のインナーフェンダー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−23007(P2013−23007A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−157834(P2011−157834)
【出願日】平成23年7月19日(2011.7.19)
【出願人】(000229955)日本プラスト株式会社 (740)
【Fターム(参考)】