説明

自動車用の横部材モジュール

【課題】自動車用の横部材モジュールを提供する。
【解決手段】自動車の計器盤を収容する横部材モジュールであって、少なくとも一部がプラスチックで取り囲まれた金属管1とステアリングコラムリテーナとして機能する単純成形シートメタル材2とを含み、上乗せ成形されたプラスチックとの複合体として第1にステアリングコラムと前壁との間を堅く連結し、第2に全体がプラスチックからなる構造体3によって金属管1にしっかり連結するように構成および配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計器盤を収容するための、また自動車の2本のフロントピラーを直接連結することによって車体構造を補強するための、横部材とステアリングコラムリテーナ(steering−column retainer)とから構成される横部材モジュールであって、横部材モジュール(すなわち、横部材だけでなくステアリングコラムリテーナも)が金属−プラスチックの複合構成で製造される(ハイブリッド技術)、横部材モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
公知のステアリングコラムリテーナ(ステアリングコンソール(steering consoles)とも称される)は、複数の鋼鉄の溶接シートメタル材またはダイカスト構成部品(例えば、アルミニウムまたはマグネシウムから構成される)から構成されていて計器盤横部材の耐力構造との一体物(single piece)を形成して横部材モジュールとなっているか、あるいは溶接形態または複合異形材(combined profiles)(アルミニウム、鋼鉄、マグネシウム、あるいはプラスチック−金属ハイブリッド構成から構成される)の形態でしっかり連結されている。
【0003】
(特許文献1)は、自動車用の横部材モジュールであって、少なくとも一部がプラスチックで取り囲まれた金属管と、一体物が形成されるように上乗せ成形された(moulded−on)、導線セットを貫通させることができるプラスチックダクトと、自動車の前壁へねじ方式(screw−thread methods)で固定するためのプラスチックから構成される上乗せ成形された連結体(link)とを含む、横部材モジュールを開示している。
【0004】
(特許文献2)は、自動車を対象とした横部材であって、管の湾曲部分の領域に溶接金属ステアリングコラム連結体を有し、その連結体上にステアリングコラムのねじ式板が取り付けられる、横部材を開示している。前記横部材の湾曲部の製造には、金属−プラスチックのハイブリッド構成を使用している。
【0005】
(特許文献3)は、自動車のフロントピラー間に取り付けるためのハイブリッド型構成の計器盤支持体を開示しており、それは細長い貝殻のような本体と金属材料から構成される安定化挿入部品とを有し、それらは上乗せ成形された内部プラスチックリブによって結合されて金属/プラスチック複合部品となっており、それらの中を少なくとも1つのエアダクトが少なくともある程度貫通しており、ここで、プラスチックのリブと平行して、リテーナ、コンソ−ルおよび結合ポイント(プラスチックから構成され、本体から外側へ突出している)が一体物となるように上乗せ成形されている。
【0006】
(特許文献4)は、自動車用の構成部品、特に基本的に管状である本体を有する、自動車のフロントピラー間に配置するための横部材(その中に少なくとも1つのダクトが備わっている)について記載している。より簡単かつより少ない作業で、またそれゆえに低コストで製造でき、さらに有利な仕方でダクトを組み込むことができる改良された軽量の構成部品を提供するために、(特許文献4)は、プラスチックから構成されるダクト壁を形成するプラスチック内部ライニングを、本体が有することを提案している。前記構成部品は、自動車の計器盤支持体として使用できる。ステアリングコラムホルダー(steering−column holder)などのホルダーは本体に取り付け、それらのホルダーは同様に好ましくは金属から構成される。(特許文献4)によれば、ホルダーはプラスチックで取り囲むことができ、こうして剛性を増大させ、がたつきをなくし、エッジを保護する。
【0007】
ステアリングコラムリテーナと横部材とを連結するための、先行技術に記載された解決法のすべてに共通する特徴として、それらが、金属から構成されるかまたはプラスチックから構成されるホルダーのみを含み、ホルダーは更なる作業が行われるまで、あるいはステアリングコンソールの上乗せ成形がリブ(これは(特許文献3)の場合のように、プラスチックだけで構成される)のプラスチックの上乗せ成形と同時に行われる限りにおいて、ステアリングコンソールを収容しないという点がある。
【0008】
2部品型構成の結果として作業コストが増大し、(特許文献3)に従った全体がプラスチックから構成される解決法の結果として、安定性が欠如する。先行技術に記載されている解決法はさらに、ハンドルにまで及ぶ知覚される不利な振動挙動を示す。(特許文献1)は、横部材モジュールの提案ハイブリッド構成により振動する塊が小さくなり、比較的高い固有周波数(intrinsic frequency)を有する横部材が提供され、高いレベルの振動快適性を有する横部材モジュールが得られることを示しているが、改良された乗り物構成では、この横部材のみの振動挙動は不十分であり、不快な振動挙動がハンドルにまで及ぶことが見出された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】独国特許出願公開第102005004605A1号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第10240395A1号明細書
【特許文献3】独国実用新案第20008201U1号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第10064522A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって本発明の目的は、第1にハンドルで測定される1次固有周波数(first−mode natural frequency)が>36Hzとなることを目的として、ステアリングコンソールとそれに固定するステアリングコラム(ステアリングコラム管とも称される)とともに計器盤支持体全体の固有振動挙動を改善することであった。また、付加的な結果として、上記で引用した先行技術と比べて、さらなる重量削減、コスト低減、および簡略化された製造工程がもたらされる。
【0011】
ステアリングコラムリテーナには、ステアリングコラムを収容するという役目と、隔壁(耐力車体構造の構成要素)と計器盤横部材との間の重要な連結要素として働くという役目があるという事実に、特に難しさが存在する。ステアリングコラムリテーナは、本明細書では、計器盤横部材の固有振動挙動に決定的な影響を及ぼす最大剛性の連結を生み出さなければならない。望ましくない固有振動は、例えば、エンジン、パワートレインおよびシャシーに由来する加振によって生じる。こうした振動は車体構造によってステアリングロッド(steering rod)およびハンドルへ伝播し、またダッシュボード全体にも伝播して、ハンドルの振動および乗り物の内部の騒音が生じる。その結果として、快適性は受け入れがたいまで低下する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的は達成され、それゆえに本発明は、自動車の計器盤を収容する横部材モジュールであって、少なくとも一部がプラスチックで取り囲まれた金属管とステアリングコラムリテーナとして機能する単純成形シートメタル材とを含み、上乗せ成形されたプラスチックとの複合体として第1にステアリングコラムと前壁との間を堅く連結し、第2に全体がプラスチックからなる構造体によって金属管にしっかり連結するように構成および配置される、横部材モジュールを提供する。
【0013】
意外にも、ハイブリッド構成によって同様に製造して横部材モジュールとステアリングコラムリテーナをしっかり連結すると、取り付けられた状態では、ハンドルの固有振動挙動が最適化される、すなわち1次固有周波数が>36Hzになり、また乗り物全体のコストおよび重量の低減がもたらされる。最後の点として、横部材モジュールとステアリングコラムリテーナとのこの組み合わせは、簡略化された仕方で単一の作業によって生み出すことができる。つまり、同じ金型において単一の作業で、オーバーモールドを行い2つの金属部品(金属管および成形された金属板)をつなぎ合わせることによって生み出すことができる。
【0014】
本発明はまた、取り付けられた状態にある自動車の計器盤支持体の固有振動挙動に影響を及ぼして1次固有周波数が>36Hzとなるようにするための方法であって、少なくとも一部がプラスチックで取り囲まれた金属管とステアリングコラムリテーナとして機能する単純成形シートメタル材とを含み、さらに上乗せ成形されたプラスチックとの複合体として第1にステアリングコラムと前壁との間を非常に堅く連結し、第2に全体がプラスチックからなる構造体によって金属管にしっかり連結するように構成および配置される横部材モジュールを、計器盤の下に取り付けることを特徴とする方法を提供する。
【0015】
本発明はまた、自動車の計器盤の下に取り付けるための横部材モジュールであって、少なくとも一部がプラスチックで取り囲まれた金属管とステアリングコラムリテーナとして機能する単純成形シートメタル材とを含み、さらに上乗せ成形されたプラスチックとの複合体として第1にステアリングコラムと前壁との間を堅く連結し、第2に全体がプラスチックからなる構造体によって金属管にしっかり連結するように構成および配置される横部材モジュールの、取り付けられた状態にある計器盤支持体の固有振動挙動に影響を及ぼして1次固有周波数が>36Hzとなるようにするための使用を提供する。1つの好ましい実施態様では、1次固有周波数は36.1〜50Hz、特に好ましくは37.1〜39Hzである。
【0016】
1つの好ましい実施態様では、横部材モジュールの、射出成形手順で製造されたプラスチック構造体は、計器盤横部材との連結を強固にするだけでなく、オーバーモールドされたシートメタル材を補強および支持する機能も担い、しかも広い範囲にわたって前壁への力の伝達を引き起こす補強リブを備えている。そして次にその補強リブは、好ましくは、シートメタル材の打ち抜き穴によって別々の連結箇所でシートメタル材にしっかり連結されており、ここでプラスチックは打ち抜き穴を貫通しかつ打ち抜き穴の表面上に延在している。
【0017】
本発明の1つの好ましい実施態様では、金属管および/またはシートメタル材(ステアリングコラムリテーナに使用される)は、接着促進剤または接着剤の被覆を有する。独国特許出願公開第102006025745A1号明細書は、本発明に従って使用される接着促進剤を開示しており、この主題に関連した内容すべてを本出願に援用する。接着促進剤または接着剤は、好ましくは、2つの連続段階で(好ましくは熱活性化によって)完全に架橋する2段階型接着促進剤(two−stage adhesion promoter)である。接着促進剤または接着剤は、打抜きおよび/または付形などを行う前にシートメタル材または金属材料に施すことができる。このタイプの施工は、好ましくは、シートメタル材への作業を行う前に「コイル被覆」法によってシートメタル材に行う。この方法は特に経済的である。しかし、接着促進剤または接着剤は、吹き付け法、浸漬被覆法、または粉末吹き付け法などでも施すことができる。シートメタル材および/または金属管への施工後に、最初の段階でそれは部分的に架橋され、こうして、「指触乾燥状態」の表面が形成され、取り扱いによる損傷に対して十分な抵抗性が得られる。プラスチックの上乗せ成形時またはその後に、接着促進剤または接着剤は完全に架橋され、その最終性質が得られる。接着促進剤の架橋の第2段階に必要な活性化エネルギーを得るために、プラスチック金型を加熱し、かつ/または挿入シートメタル材または金属管を加熱し、かつ/または射出金型へプラスチック材料を注入するときの温度が架橋を生じさせるほど十分高くなるようにすることが有利でありうる。別の方法として、上乗せ成形法の後でアニールすることにより完全架橋を実現することが可能である。
【0018】
プラスチックおよびシートメタル材および/または金属管の間を緊密に結合させる接着促進剤または接着剤は、好ましくはポリウレタン系またはエポキシ系、特に好ましくは、ビスフェノールAおよび/またはビスフェノールBおよび/またはビスフェノールCおよび/またはビスフェノールFをベースにしたエポキシ樹脂である。
【0019】
本発明に従って使用されるプラスチック材料用の好ましい接着促進剤系または接着剤は、エラストマー変性エポキシ接着剤をベースにしており、特に1,3−ブタジエンの共重合による共有結合および/またはゴム添加による物理的結合による。
【0020】
別の好ましい実施態様では、オーバーモールド工程の後で初めて別個の工程段階で、熱間リベット打ちまたは他のタイプのリベット打ち、クリンチング(clinching)、接着結合、またはねじ方式によって、シートメタル材を金属管のプラスチック構造体に連結する。
【0021】
本発明の1つの好ましい実施態様においては、横部材モジュールに使用する金属管は両端が挟まれて締め付けられるパイプであり、挟まれて締め付けられる両端に穴が位置している。挟まれて締め付けられる端に設けられている穴は、乗り物の車体内の横部材モジュールの組み立て時に、フロントピラー用のねじ式ラグ(screw−on lugs)の役割を果たす。このような設計の利点は、追加の角ブラケット(先行技術においてフロントピラーの連結に普通なら慣例的なものなど)を溶接する必要がないことである。したがって、フロントピラー連結体の溶接のための追加の製造工程を省くことができ、それゆえにこうした箇所のひずみの問題もなくなる。
【0022】
さらに、横部材モジュールが、ステアリングコラムリテーナに加えて、挟まれて締め付けられる金属パイプの各端部に上乗せ成形プラスチックラグを有すること、および各上乗せ成形プラスチックラグに貫通孔があることが好ましい。この更なる貫通孔は、横部材モジュールをフロントピラーにさらに連結するのに役立ち、特に金属管の長手方向軸を中心にして横部材モジュールが少しも回転しないようにするのに役立つ。
【0023】
本発明の1つの好ましい実施態様によれば、金属管は、鋼鉄から構成され、好ましくは継ぎ目がない。金属管の材料は一般には、求められている機械的性質を考慮に入れて選択できる。さらに、乗り物のタイプに応じて、取り付けスペースの最適化または重量の最適化を比較的重視しなければならず、このこともまた金属管の好適な材料の選択に影響を及ぼす。最後に、自動車において金属パイプとフロントピラーとの間の直接接触があるため、材料の選択では、この材料の組み合わせに関連した腐食要件も考慮に入れられる。金属管は好ましくは継ぎ目がないが、長手方向溶接線のある金属管あるいは押出金属管であってもよい。射出金型により鋼管がしっかりシールされるように、また金属管およびステアリングコラムリテーナの、プラスチックによる部分的オーバーモールドの際に高い製造品質を達成できるように、金属管の外部寸法は好ましくは公差が小さい。1つの好ましい実施態様では、金属管は直線的な設計である。すなわち、(横からの衝撃が生じたとき)挟まれて締め付けられた端部によって圧力による力が金属管に加えられた場合に湾曲変形が起こりうる、湾曲部分がない。
【0024】
横部材モジュールは、好ましくは、乗客用エアバッグの上乗せ成形収容手段および/または膝プロテクター(knee protectors)の上乗せ成形収容手段および/またはラジオ装置および/またはナビゲーション装置(navigation unit)用の上乗せ成形収容手段を有する。既述の収容手段はすべて、代替手段として上乗せ成形されたものであってよいか、または所望により互いに任意に組み合わせて横部材モジュール上の一体物として上乗せ成形されたものであってよく、これらによりさまざまな運転席構成部品の組み立てが容易になる。代替手段として、または組み合わせて上乗せ成形された更なる収容手段は、カルダントンネル(cardan tunnel)の連結に役立つ。カルダントンネル連結の利点は、横部材モジュールが、それぞれのフロントピラーの固定ポイント間に乗り物の車体の追加固定ポイントを有し、こうして第1に複合体全体の強度および剛性が増大し、第2に横部材モジュールの振動挙動に有利な影響も及ぼすことである。
【0025】
本発明の1つの好ましい実施態様によれば、横部材モジュールは、金属管上にプラスチックで取り囲まれていない領域も含み、これは連結要素の取り付けに役立つ。連結要素により、ステアリングコラムのねじ式プレートを固定することが可能である。連結要素を使用して、ステアリングコラム連結体を一体化することができる。好ましい連結要素はパイプクランプである。この方法により、ステアリングコラム連結体の領域でのひずみという付随的な問題がなくなるとともに、いかなる溶接連結も不要になる。確実に取り付けられるようにするために、この方法は、好ましくは金属管に直接用いる。すなわち、プラスチックで取り囲まれていない箇所で用いる。
【0026】
本発明の1つの好ましい実施態様によれば、横部材モジュールは、プラスチックダクトを貫通する導線セットを取り囲み、かつ金属管に任意選択的に設けられるプラスチックダクト内に挿入でき、かつ伸縮自在にプラスチックダクト内で伸張してその内壁に対して固定されるような寸法である、フォーム要素(foam elements)も含む。フォーム要素は、好ましくはPEフォーム、フォームラバーまたはそれと類似した材料から構成される。PEフォームは非常に安価であるが、フォームラバーはプラスチックダクト内に固定するのに重要な弾性および摩擦係数との関連で有利である(PE=ポリエチレン)。フォーム要素の利点は、フォーム要素の弾性のおかげでさまざまな厚さの導線セットを受け入れることができることである。導線セットの厚さが異なるのは、特に顧客固有のケーブルハーネスを使用する場合である。フォーム要素の圧縮性およびその回復性を用いて、任意選択で存在するプラスチックケーブルダクト内に導線セットを固定できる。さらに、個々の導線の束全体の回りに巻き付ける接着テープの煩わしい使用を不要にすることも可能である。任意選択的に存在するプラスチックダクト内の個々の導線のがたつきがフォーム要素によってなくなるからである。
【0027】
プラスチックダクト内にはさらに、好ましくは、上乗せ成形され互いに平行に配列された誘導用の溝があり、その各々の間にフォーム要素を挿入できる。この方法により、フォーム要素の挿入時に正確な位置付けが容易になるだけでなく、プラスチックダクト内に個々のフォーム要素を正確に確実に位置付けることも可能になる。
【0028】
1つの好ましい実施態様によれば、任意選択的に存在するプラスチックダクトを貫通する導線セットは、基本的には結合剤によってのみまとめられる個々の導線を含む。結合剤は、分岐する導線の位置を定めるために使用する。言い換えれば、個々の導線の束全体の回りに巻き付けることを不要にすることができ、残りの唯一の必要条件は、結合剤が、個々の導線またはそのストランドの分岐が定められている箇所に存在することである。
【0029】
プラスチックダクトの寸法設計は、好ましくは、乗り物に搭載された回路網全体の導線セットを受け入れることができるようにするものである。本明細書における導線セットは、エンジン室の導線セット(好ましくはプレートまたはブッシングによって取り囲まれている)も含み、その寸法は乗り物の前壁の開口部の寸法に合わせられている。したがって、この横部材モジュールの組み立て方法では、この段階までにエンジン室の導線セットを含んでおりかつ前壁の適切な開口部を通ってエンジン室内に入る導線セットを、プラスチックダクト内で組み立てることが可能である。漏れが起こらないよう前壁の適切な開口部を再閉鎖できるようにするために、適切なプレートまたはブッシングがこの目的のためにこの段階までに設けられている。
【0030】
ステアリングコラムリテーナのシートメタル材に用いる材料、または金属管に用いる材料は、好ましくは、鋼鉄、アルミニウム、アルミニウム合金、鋼鉄合金、マグネシウム、チタン、あるいはガラス繊維強化または炭素繊維強化プラスチックである。本発明の別の実施態様では、上述の一連のものからの種々の材料から構成されるシートメタル材は、互いに組み合わせることができる。鋼鉄は、特に好ましくは金属管に使用される。
【0031】
管を取り囲む材料のリブ構造体を得るため、また横部材モジュールとステアリングコラムリテーナとを連結させるために、熱可塑性ポリマーを、好ましくはポリマー成形組成物(polymer moulding compositions)の形で使用する。
【0032】
プラスチック−金属の複合構成を用いた、上述の目的のためのポリマー成形組成物の加工は、熱可塑性プラスチックの付形加工によって、好ましくは射出成形、溶融押出、圧縮成形、打抜きまたはブロー成形によって行われる。原則として、達成される有益な効果はどのタイプのものについても明らかである。構成部品A)として使用されるプラスチックのリストは、一例として、Kunststoff−Taschenbuch[プラスチックハンドブック](Ed.Saechtling),1989 editionに記載されており、それには出典も記載されている。これらのプラスチックを製造するための方法自体は当業者に知られている。達成される効果は、上で引用したハイブリッド技術の使用に関する先行技術に開示されているすべての変形形態において同じように明らかであり、そのことは、プラスチック部分が金属部分を完全に封入するか、あるいは欧州特許出願公開第1380493A2号明細書の場合のようにその回りに単にウェブを形成するかに関係なく、さらにプラスチック部分が後で接着によって組み込まれるかまたは(一例として)レーザーによって金属部分に連結されるかどうか、あるいは国際公開第2004/071741号パンフレットの場合のように、プラスチック部分および金属部分が更なる作業で確実に連結結合(interlock bond)されるかどうかに関わりない。
【0033】
ハイブリッド構成を使用した金属管とステアリングコラムリテーナとから構成される本発明の横部材モジュール用の好ましい半結晶質熱可塑性ポリマー(熱可塑性プラスチック)は、ポリアミド、ビニル芳香族ポリマー、ASAポリマー、ABSポリマー、SANポリマー、POM、PPE、ポリアリーレンエーテルスルホン、ポリプロピレン(PP)またはこれらのブレンドの群から選択されるものである。本明細書では、ポリアミド、ポリエステル、ポリプロピレンおよびポリカーボネート、あるいは基本的な構成成分としてポリアミド、ポリエステルまたはポリカーボネートを含むブレンドが好ましい。
【0034】
加工する成形組成物に使用する材料は、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリプロピレンまたはポリアミドあるいはこれらの熱可塑性プラスチックと上述の材料とのブレンドよりなる群からの少なくとも1種のポリマーを含むのが特に好ましい。
【0035】
特に好ましくは、本発明に従って使用されるポリアミドは、半結晶質ポリアミド(PA)であり、これはジアミンおよびジカルボン酸から、および/または少なくとも5つの環員(ring members)を有するラクタムから、または対応するアミノ酸から出発して調製できる。この目的で使用できる出発物質は、脂肪族および/または芳香族のジカルボン酸(アジピン酸、2,2,4−および2,4,4−トリメチルアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、イソフタル酸、テレフタル酸など)、および脂肪族および/または芳香族のジアミン(例えば、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,9−ノナンジアミン、2,2,4−および2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、異性体ジアミノジシクロヘキシルメタン、ジアミノジシクロヘキシルプロパン、ビスアミノメチルシクロヘキサン、フェニレンジアミン、キシレンジアミン)、アミノカルボン酸、例えば、アミノカプロン酸、および対応するラクタムである。既述の複数種のモノマーからなるコポリアミドも含まれる。
【0036】
本発明による好ましいポリアミドは、カプロラクタムから、特に非常に好ましくはε−カプロラクタムから調製され、またPA6、PA66、および他の脂肪族および/または芳香族のポリアミドまたはコポリアミドをベースにしたほとんどの複合材料(compounding materials)からも調製され、ここで、ポリマー鎖中のポリアミド基ごとに3〜11個のメチレン基がある。
【0037】
本発明に従って使用する半結晶質ポリアミドは、他のポリアミドおよび/または更なるポリマーとの混合物の形で使用することもできる。
【0038】
従来の添加剤、例えば、金型離型剤、安定剤および/または流動助剤(flow aids)は、溶融物の形でポリアミドと混ぜ合わせるか、または表面に施すことができる。
【0039】
さらに、芳香族ジカルボン酸をベースにした、また脂肪族または芳香族のジヒドロキシ化合物をベースにしたポリエステルは、本発明に従って用いるのに好ましい。
【0040】
好ましいポリエステルの第1グループは、ポリアルキレンテレフタレートのグループ、特にアルコール部分に2〜10個の炭素原子を有するものである。
【0041】
この種のポリアルキレンテレフタレートは公知であり、文献に記載されている。それらの主鎖は、芳香族ジカルボン酸から得られる芳香環を含む。芳香環の中で、例えば、ハロゲン、特に塩素または臭素、あるいはC〜Cのアルキル基、特にメチル基、エチル基、i−またはn−プロピル基、あるいはn−、i−またはt−ブチル基による置換が行われていてもよい。
【0042】
これらのポリアルキレンテレフタレートは、芳香族ジカルボン酸またはそれらのエステルまたは他のエステル形成性誘導体(ester−forming derivatives)と、脂肪族ジヒドロキシ化合物とを公知の方法で反応させることによって調製できる。
【0043】
挙げることのできる好ましいジカルボン酸は、2,6−ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸およびイソフタル酸、およびこれらの混合物である。最高30モル%まで、好ましくは10モル%以下の芳香族ジカルボン酸を、脂肪族または脂環式のジカルボン酸(アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸およびシクロヘキサンジカルボン酸など)で置換してよい。
【0044】
脂肪族ジヒドロキシ化合物のうち、2〜6個の炭素原子を有するジオール、特に1,2−エタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールおよびネオペンチルグリコール、およびこれらの混合物が好ましい。
【0045】
特に非常に好ましく使用されるポリエステルは、2〜6個の炭素原子を有するアルカンジオールから得られるポリアルキレンテレフタレートである。これらのうち、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレンテレフタレートおよびポリブチレンテレフタレート(PBT)、およびこれらの混合物が特に好ましい。他のモノマー単位として、1重量%まで、好ましくは0.75重量%までの1,6−ヘキサンジオールおよび/または2−メチル−1,5−ペンタンジオールを含む、PETおよび/またはPBTも好ましい。
【0046】
本発明に従って好ましく使用されるポリエステルの粘度数は、一般に50〜220、好ましくは8〜160の範囲である(ISO 1628に従って、25℃においてフェノール/o−ジクロロベンゼン混合物(重量比が1:1)中に0.5重量%濃度溶液で測定)。
【0047】
カルボキシ末端基含量が、100meq/kg(ポリエステル)まで、好ましくは50meq/kg(ポリエステル)まで、特に40meq/kg(ポリエステル)までであるポリエステルが特に好ましい。この種のポリエステルは、例えば、独国特許出願公開第4401055号明細書の方法で調製できる。カルボキシ末端基含量は、普通は滴定法(例えば、電位差測定法)で測定する。
【0048】
ポリエステル混合物を使用する場合、成形組成物は、PBTとは異なるポリエステル(一例としてポリエチレンテレフタレート(PET)がある)をさらに含むポリエステルから構成される混合物を含む。
【0049】
PA再利用物質またはPET再利用物質(スクラップPETとも称される)などの再利用物質を、必要に応じて、ポリアルキレンテレフタレート(PBTなど)と混ぜて使用することも有利である。
【0050】
再利用物質とは、一般に以下のものである:
1)工場使用済み(post−industrial)再利用物質として知られているもの:これらは、重縮合時または加工時の製造廃棄物であり、例えば、射出成形からのスプルー、射出成形または押出成型の出発材料(start−up material)、あるいは押出シートまたはフォイルからのエッジの切り取り部分がある。
2)消費者使用済み(post−consumer)再利用物質:これらは、末端消費者が使用した後に回収して処理されるプラスチック品である。ミネラルウォーター、清涼飲料およびジュース用の吹込成型PET瓶は、量の点で文句なく顕著な品目である。
【0051】
どちらのタイプの再利用物質も、粉砕材料またはペレットの形のいずれかとして使用できる。後者の場合、加工されていない再利用物質を分離し精製してから溶融させ、押出機を用いてペレット化する。普通これによって、取り扱いが容易になり、自由に流れやすくなり、加工におけるさらなる段階のための計量が簡単になる。
【0052】
使用する再利用物質は、ペレット化されたものか、またはリグラインドの形態のいずれかであってよい。エッジ長(edge length)は、10mm以下にすべきであり、好ましくは8mm以下にすべきである。
【0053】
ポリエステルは、加工時に(微量の水分のせいで)加水分解するため、再利用物質を予備乾燥させるのが望ましい。乾燥後の残留含水量は、好ましくは<0.2%、特に<0.05%である。
【0054】
挙げることのできる好ましく使用されるポリエステルのグループは、芳香族ジカルボン酸および芳香族ジヒドロキシ化合物から得られる完全芳香族ポリエステルである。
【0055】
好適な芳香族ジカルボン酸は、ポリアルキレンテレフタレートについて先に挙げた化合物である。好ましく使用される混合物は、5〜100モル%のイソフタル酸および0〜95モル%のテレフタル酸、特に約50〜約80%のテレフタル酸および20〜約50%のイソフタル酸から構成される。
【0056】
芳香族ジヒドロキシ化合物は、好ましくは次の一般式(I)で表される。
【化1】

式中、
Zは、8個までの炭素原子を有するアルキレンまたはシクロアルキレン基、12個までの炭素原子を有するアリーレン基、カルボニル基、スルホニル基、酸素または硫黄原子、または化学結合であり、
mは、0〜2である。
【0057】
化合物のフェニレン基は、C〜Cのアルキル基またはアルコキシ基およびフッ素、塩素または臭素による置換が行われていてもよい。
【0058】
これらの化合物の親化合物の例には、ジヒドロキシビフェニル、ジ(ヒドロキシフェニル)アルカン、ジ(ヒドロキシフェニル)シクロアルカン、ジ(ヒドロキシフェニル)スルフィド、ジ(ヒドロキシフェニル)エーテル、ジ(ヒドロキシフェニル)ケトン、ジ(ヒドロキシフェニル)スルホキシド、α,α’−ジ(ヒドロキシフェニル)ジアルキルベンゼン、ジ(ヒドロキシフェニル)スルホン、ジ(ヒドロキシベンゾイル)ベンゼン、レソルシノール、およびヒドロキノン、ならびにこれらの環状アルキル化(ring−alkylated)および環状ハロゲン化誘導体がある。
【0059】
これらのうち、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,4−ジ(4’−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、α,α’−ジ(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、2,2−ジ(3’−メチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、および2,2−ジ(3’−クロロ−4’−ヒドロキシフェニル)プロパンが好ましく、特に2,2−ジ(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ジ(3’,5−ジクロロジヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ジ(4’−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、3,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンおよび2,2−ジ(3’,5’−ジメチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロパンならびにこれらの混合物が好ましい。
【0060】
当然ながら、ポリアルキレンテレフタレートと完全芳香族ポリエステルとの混合物を使用することも可能である。こうした混合物は一般には、20〜98重量%のポリアルキレンテレフタレートおよび2〜80重量%の完全芳香族ポリエステルを含む。
【0061】
当然ながら、コポリエーテルエステルなどのポリエステルブロックコポリマーを使用することも可能である。この種の製造物は知られており、文献、例えば、米国特許出願公開第3651014号明細書に記載されている。これに相当する製造物は市販もされている(例えば、Hytrel(登録商標)(DuPont))。
【0062】
本発明によれば、ポリエステルとして好ましく使用される物質として、ハロゲンを含まないポリカーボネートも含まれる。好適なハロゲンを含まないポリカーボネートの例には、次の一般式(II)のジフェノールをベースにしたものがある。
【化2】

式中、
Qは、単結合、C〜Cのアルキレン基、C〜Cのアルキリデン基、C〜Cのシクロアルキリデン基、C〜C12のアリーレン基、または−O−、−S−または−SO−であり、mは0〜2の整数である。
【0063】
ジフェノールのフェニレン基は、C〜CのアルキルまたはC〜Cのアルコキシなどの置換基を有していてもよい。
【0064】
この式で表される好ましいジフェノールの例として、ヒドロキノン、レソルシノール、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタンおよび1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンがある。2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンおよび1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンが特に好ましく、また1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンも特に好ましい。
【0065】
ホモポリカーボネートまたはコポリカーボネートのいずれかが構成部品Aとして適しており、ビスフェノールAのコポリカーボネート、ならびにビスフェノールAのホモポリマーが好ましい。
【0066】
好適なポリカーボネートは、公知の方法で分岐させることができ、詳細には、好ましくは使用するジフェノールの総量に対して0.05〜2.0モル%の少なくとも三官能価の化合物(特に、3個以上のフェノール性OH基を有するもの)を混ぜることによって分岐させることができる。
【0067】
特に好適であることが実証されているポリカーボネートは、相対粘度(ηrel)が1.10〜1.50、特に1.25〜1.40である。これは、10000〜200000g/モル、好ましくは20000〜80000g/モルの平均モル質量M(重量平均)に相当する。
【0068】
この一般式で表されるジフェノールは公知であるか、または公知の方法で調製できる。
【0069】
ポリカーボネートは、例えば、ジフェノールを、界面法においてホスゲンと反応させるか、あるいは均質相法(ピリジン法として知られる)においてホスゲンと反応させることによって調製できる。いずれの場合も、所望の分子量は、適切な量の公知の連鎖停止剤を用いて公知の方法で達成することができる。(ポリジオルガノシロキサン含有ポリカーボネートに関しては、例えば、独国特許出願公開第3334782号明細書を参照のこと)。
【0070】
好適な連鎖停止剤の例には、フェノール、p−tert−ブチルフェノール、あるいは独国特許出願公開第2842005号明細書にあるような4−(1,3−テトラメチルブチル)フェノールなどの長鎖アルキルフェノール、あるいは独国特許出願公開第3506472号明細書にあるようなアルキル置換基中に合計8〜20個の炭素原子を有するモノアルキルフェノールまたはジアルキルフェノール(p−ノニルフェノール、3,5−ジ−tert−ブチルフェノール、p−tert−オクチルフェノール、p−ドデシルフェノール、2−(3,5−ジメチルヘプチル)フェノールおよび4−(3,5−ジメチルヘプチル)フェノールなど)がある。
【0071】
本発明においては、ハロゲンを含まないポリカーボネートは、ハロゲンを含まないジフェノール、ハロゲンを含まない連鎖停止剤および(使用する場合には)ハロゲンを含まない分岐剤からなるポリカーボネートであり、ここで、例えば、界面法でのホスゲンを用いたポリカーボネートの調製から生じる加水分解性塩素のppmレベルの低含有量(the content of subordinate amounts)は、本発明においては、ハロゲン含有という用語に値するとは見なされない。加水分解性塩素の含有量がppmレベルであるこの種のポリカーボネートは、本発明においては、ハロゲンを含まないポリカーボネートである。
【0072】
挙げることのできる他の好適な熱可塑性ポリマーには、調製工程の際に、ホスゲンの代わりに芳香族ジカルボン酸単位(イソフタル酸および/またはテレフタル酸単位など)を使用した非晶質ポリエステルカーボネートがある。ここで、さらに詳細については欧州特許出願公開第0711810A号明細書を参照できる。
【0073】
欧州特許出願公開第365916A号明細書は、モノマー単位としてシクロアルキル基を有する他の好適なコポリカーボネートを開示している。
【0074】
ビスフェノールAの代わりにビスフェノールTMCを使用することも可能である。この種のポリカーボネートは、APEC HT(登録商標)という商標でBayer AGから入手可能である。
【0075】
本発明の別の好ましい実施態様では、ポリマー成形組成物は、0.001〜75重量部、好ましくは10〜70重量部、特に好ましくは20〜65重量部、特に好ましくは30〜65重量部の充填剤または補強材を含む。
【0076】
使用する充填剤または補強材は、2種以上の異なる充填剤および/または補強材(例えば、タルクまたは雲母、ケイ酸塩、石英、二酸化チタン、珪灰石、カオリン、非晶質シリカ、炭酸マグネシウム、白墨、長石、硫酸バリウム、ガラスビーズをベースにしたもの)および/または繊維性の充填剤および/または補強材(炭素繊維および/またはガラス繊維をベースにしたもの)からなる混合物を含むこともできる。粒状無機充填剤(タルク、雲母、ケイ酸塩、石英、二酸化チタン、珪灰石、カオリン、非晶質シリカ、炭酸マグネシウム、白墨、長石、硫酸バリウムをベースにしたもの)および/またはガラス繊維を使用するのが好ましい。タルク、珪灰石、カオリンをベースにした粒状無機充填剤および/またはガラス繊維を使用するのが特に好ましく、ガラス繊維が特に非常に好ましい。
【0077】
さらに、針状無機充填剤の使用も特に好ましい。本発明によれば、針状無機充填剤という用語は、明白な針状の性質を有する無機充填剤を意味する。挙げることのできる一例として、針状珪灰石がある。その鉱物の長さ:直径の比は、好ましくは2:1〜35:1、特に好ましくは3:1〜19:1、特に好ましくは4:1〜12:1である。CILAS GRANULOMETERを用いて測定した本発明の針状鉱物の平均粒径は、好ましくは20μm未満、特に好ましくは15μm未満、特に好ましくは10μm未満である。
【0078】
充填剤および/または補強材は、必要に応じて、例えばカップリング剤またはカップリング剤系(例えば、シランをベースにしたもの)で表面改質されてきた。しかし、こうした前処理は不可欠なものではない。しかし、特にガラス繊維を使用する場合は、シランに加えて、ポリマー分散物、皮膜形成剤、分岐剤および/またはガラス繊維加工助剤を使用することも可能である。
【0079】
本発明によって特に好ましく使用されるガラス繊維は、連続フィラメント繊維の形態または細断されるかまたは粉砕されたガラス繊維の形態で添加され、繊維の直径は一般には7〜18μm、好ましくは9〜15μmである。繊維は、好適な寸法体系のもので、カップリング剤またはカップリング剤系(例えば、シランをベースにしたもの)を用いて用意されたものであってよい。
【0080】
前処理に通常用いられる、シランをベースにしたカップリング剤は、シラン化合物、好ましくは次の一般式(III)で表されるシラン化合物である。
(X−(CH−Si−(O−C2r+14−k (III)
式中、
Xは、NH−、HO−または
【化3】

である。
qは、2〜10、好ましくは3〜4の整数である。
rは、1〜5、好ましくは1〜2の整数である。
kは、1〜3の整数、好ましくは1である。
【0081】
さらに好ましいカップリング剤には、アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノブチルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノブチルトリエトキシシランの群からのシラン化合物、さらに置換基Xとしてグリシジル基を有する対応するシランもある。
【0082】
充填剤の改質のための表面被覆用のシラン化合物の一般的な使用量は、無機充填剤に対して0.05〜2重量%、好ましくは0.25〜1.5重量%、特に0.5〜1重量%である。
【0083】
粒状充填剤のd97またはd50値は、成形組成物または成形品を得るための加工の結果として、成形組成物または成形品の場合のほうが、最初に使用した充填剤の場合よりも小さくなりうる。ガラス繊維の長さの分布は、成形組成物または成形品を得るための加工の結果として、成形組成物または成形品では狭くなりうる。
【0084】
明確にするため述べるが、本発明の範囲は、一般に、または好ましい範囲で、上述した定義およびパラメータすべての任意の所望の組み合わせを含むことに注目すべきである。
【0085】
本発明を、添付の図を用いて以下にあくまでも例示として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】部分的にプラスチックでオーバーモールドされた本発明による横部材モジュールの部分を示す。プラスチックは、全体がリブ構成プラスチックから構成される構造体3の全体にわたってシートメタル材2まで延在しており、プラスチックはシートメタル材を同様に部分的に取り囲んでいる。プラスチックでオーバーモールドされたシートメタル材2の構造体は、ステアリングコラム用の固定ポイント4および乗り物の車体の前壁用の固定ポイント5を有する。
【図2】ステアリングコラムリテーナおよび金属管から構成される本発明の横部材モジュールの別の図を示す。
【図3】プラスチック構造体がない状態のステアリングコラムリテーナのシートメタル材を示す。
【0087】
シートメタル材の打ち抜き穴は示されておらず(図3)、これらの全体にわたって成形されたプラスチックの領域およびエッジの全体にわたって成形されたプラスチックの領域も示されていない(図1および2)。
【発明を実施するための形態】
【0088】
本発明の実施方法
横部材モジュールにおいて参照番号1で概略的に示された金属管は、図1では部分的に示されているだけであり、金属管の特定のいかなる形状も個々の連結体要素の特定のいかなる形状も示されていない。とはいえ、特定の幾何学的形状も、以下の説明から明確でない限り、単なる一例としてのものであることは明らかであるはずである。
【0089】
ステアリングコラムリテーナおよび金属管から構成される本発明の横部材モジュールの、示されている部分は、乗り物の計器盤を収容する役割を果たし、組み立て時に自動車のフロントピラー(図示せず)に連結される。横部材モジュールは、継ぎ目のない、または長手方向溶接線を有する金属管(好ましくは鋼管)を含み、その外部寸法の公差が小さい。金属管は好ましくはその両端が挟まれて締め付けられている。こうした締め付けられる端に穴が位置しており、それらの穴はフロントピラー用のねじ式ラグとしての役割を果たす。したがって穴の位置は、フロントピラー間をしっかり連結するために横部材が使用する金属管の領域にある。特に横からの衝撃が起きた場合に生じる大きな力も吸収できるようにするために、金属管の設計はさらに好ましくは直線的である。すなわち、挟まれて締め付けられた端部によって圧力による力が金属管に加えられた場合に曲げ変形が起こりうる湾曲部分が金属管にはない。
【0090】
横部材の製造時に、金属管は射出成形工場内においてプラスチックでオーバーモールドされる。本明細書では、繊維強化プラスチック、例えば、ガラス繊維を充填したプラスチックを使用するのが好ましい。PA GF30(ガラス繊維含量が30重量%であるポリアミド)という材料が、本明細書では特に適していることが実証された。オーバーモールドされるプラスチックは金属管全体を覆うことができるか、あるいはオーバーモールドされたプラスチックのない領域が存在しうる。金属管を完全にはオーバーモールドしない場合、射出成形工場において、成形物の寸法精度に(また金属管の寸法精度についても)特別の必要条件が課せられ、したがって金属管の外部寸法の公差を小さくすべきである。
【0091】
金属管のオーバーモールドにプラスチックを使用する利点は、高い強度および剛性が求められる箇所については、金属管によって実現できるが、以下にさらに詳細に説明する構成部品の連結にのみ役立つ箇所はプラスチックで上乗せ成形することができることである。同様にして、使用するプラスチックにおいても更なる差別化を行うことも可能である。一例として、繊維強化プラスチック、特にガラス繊維を充填したプラスチックを、プラスチックに課せられる機械的要求が(結果として)厳しくなる箇所にのみ使用することが可能になるであろうし、他の領域には繊維で強化されていない従来のプラスチックを使用できる。図1に示す横部材モジュール部品の場合、示されている部分のみが、ステアリングコラムリテーナに確実に連結される部分である。本明細書では、プラスチック部品すべてを単一の製造ステップで上乗せ成形することができる。
【0092】
独国特許出願公開第102005004605A1号明細書は、別の実施態様と、更なる要素と、横部材の金属管の製造法とを開示している。
【0093】
すべてがプラスチックから構成されるという解決法とは対照的に、金属管とステアリングコラムリテーナとの形態の横部材モジュールに関する、本発明において説明するプラスチック−金属複合の解決法では、取り付けられた状態において1次固有周波数>36Hzを達成することができ、こうした周波数は、普通なら金属から構成される(したがって著しく重くなる)構成を用いることによってのみ達成可能である。
【0094】
金属管とステアリングコラムリテーナ(そのどちらもハイブリッド技術を使用している)から構成される横部材モジュールの構造体は、好ましくはプラスチックのリブを有し、製造方法が簡単でしっかりしたものとなるようにも設計されている。
【符号の説明】
【0095】
1 金属管
2 シートメタル材
3 構造体
4 固定ポイント
5 固定ポイント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の計器盤を収容する横部材モジュールであって、少なくとも一部がプラスチックで取り囲まれた金属管とステアリングコラムリテーナとして機能する単純成形シートメタル材とを含み、上乗せ成形されたプラスチックとの複合体として第1にステアリングコラムと前壁との間を堅く連結し、第2に全体がプラスチックからなる構造体によって金属管にしっかり連結するように構成および配置される、横部材モジュール。
【請求項2】
前記プラスチック構造体が補強リブを有することを特徴とする、請求項1に記載の横部材モジュール。
【請求項3】
前記補強リブが、前記シートメタル材の打ち抜き穴の別々の連結場所で前記シートメタル材に確実に連結されており、前記プラスチックが前記打ち抜き穴を貫通しかつ前記打ち抜き穴の表面上に延在していることを特徴とする、請求項2に記載の横部材モジュール。
【請求項4】
熱可塑性ポリマーがプラスチックとして使用されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の横部材モジュール。
【請求項5】
ポリアミド、ビニル芳香族ポリマー、ポリエステル、ASAポリマー、ABSポリマー、SANポリマー、POM、PPE、ポリアリーレンエーテルスルホン、ポリプロピレンまたはこれらのブレンドの群からの熱可塑性ポリマーを使用することを特徴とする、請求項4に記載の横部材モジュール。
【請求項6】
前記熱可塑性ポリマーが0.001〜75重量部の充填剤または補強材を含むことを特徴とする、請求項4または5に記載の横部材モジュール。
【請求項7】
前記シートメタル材および/または前記金属管が接着促進剤または接着剤で被覆されていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の横部材モジュール。
【請求項8】
オーバーモールド工程の後で初めて、別個の工程段階で、熱間リベット打ちまたは他のタイプのリベット打ち、クリンチング、接着結合、またはねじ方式によって前記シートメタル材を前記プラスチック構造体に連結することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の横部材モジュール。
【請求項9】
取り付けられた状態にある計器盤支持体の固有振動挙動に影響を及ぼして1次固有周波数が>36Hzとなるようにするための方法であって、
自動車において、少なくとも一部がプラスチックで取り囲まれた金属管とステアリングコラムリテーナとして機能する単純成形シートメタル材とを含み、さらに上乗せ成形されたプラスチックとの複合体として第1にステアリングコラムと前壁との間を堅く連結し、第2に全体がプラスチックからなる構造体によって前記金属管にしっかり連結するように構成および配置される横部材モジュールを、前記計器盤の下に取り付けることを特徴とする方法。
【請求項10】
自動車の計器盤を収容する横部材モジュールであって、少なくとも一部がプラスチックで取り囲まれた金属管とステアリングコラムリテーナとして機能する単純成形シートメタル材とを含み、さらに上乗せ成形されたプラスチックとの複合体として第1にステアリングコラムと前壁との間を堅く連結し、第2に全体がプラスチックからなる構造体によって前記金属管にしっかり連結するように構成および配置される横部材モジュールの、取り付けられた状態にある計器盤支持体の固有振動挙動に影響を及ぼして1次固有周波数が>36Hzとなるようにするための使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−76757(P2010−76757A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−194394(P2009−194394)
【出願日】平成21年8月25日(2009.8.25)
【出願人】(505422707)ランクセス・ドイチュランド・ゲーエムベーハー (220)
【Fターム(参考)】