説明

自動車用エアコンの給電システム

【課題】自動車のエンジンが停止しても、自動車のエアコンシステムに持続的に給電することができる自動車用エアコンの給電システムを提供すること。
【解決手段】本発明に係る自動車用エアコンの給電システムは、自動車用エアコンシステムと、電池給電ユニットと、電機給電ユニットと、前記電機給電ユニットの作動状態を検知し、且つこれに基づいて対応する検知信号を送信する検知電気回路と、前記検知電気回路の検知信号に基づいて、相応する制御信号を送信する処理ユニットと、第一場効果管〜第四場効果管及び第一電気抵抗〜第四電気抵抗を備え、且つ前記処理ユニットから送られた制御信号に基づいて、前記電池給電ユニット及び前記電機給電ユニットの中の何れか一種を自動的に選択して、前記自動車用エアコンシステムに給電するスイッチ電気回路と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用エアコンの給電システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の自動車のエアコンは、一般的に自動車内設置された発電機によって給電される。即ち、自動車が始動すると同時に、該発電機も作動して、エアコンに給電する。ある自動車は、エンジンが停止しても、継電器を介してエアコンシステムの発電機給電モードを電池給電モードに切り替えて、給電を行うことができる。しかし、電池の容量が残り僅かになると、エアコンシステムに持続的に給電することができない。また、継電器は、接点を押圧することにより、電気回路の転換等の切替え操作を行うという機械的接点を持つ。従って、幾度となく切替えが行われると、前記接点は接触不良を起こし易い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
以上の問題点に鑑みて、本発明は、自動車のエンジンが停止しても、自動車のエアコンシステムに持続的に給電することができる自動車用エアコンの給電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の目的を達成するために、本発明に係る自動車用エアコンの給電システムは、自動車用エアコンシステムと、電池給電ユニットと、電機給電ユニットと、前記電機給電ユニットの作動状態を検知し、且つこれに基づいて対応する検知信号を送信する検知電気回路と、前記検知電気回路の検知信号に基づいて、相応する制御信号を送信する処理ユニットと、前記処理ユニットから送られた制御信号に基づいて、前記電池給電ユニット及び前記電機給電ユニットの中の何れか一種を自動的に選択して、前記自動車用エアコンシステムに給電するスイッチ電気回路と、を備える。前記スイッチ電気回路は、第一場効果管〜第四場効果管及び第一電気抵抗〜第四電気抵抗を備え、前記第一場効果管のグリッド電極は、前記処理ユニットに接続され、且つ前記処理ユニットが発生する制御信号を受信し、前記第一場効果管のソース電極は接地され、前記第一場効果管のドレイン電極は、前記第一電気抵抗を介して1つの直流電源に接続されると共に、前記第二及び第三場効果管のグリッド電極に接続され、前記第二場効果管のソース電極は接地され、前記第二場効果管のドレイン電極は、前記第二電気抵抗を介して、もう1つの直流電源に接続されると共に、前記第四場効果管のグリッド電極に接続され、前記第三場効果管のグリッド電極は、前記第三電気抵抗を介して、自身のドレイン電極に接続され、前記第三場効果管のドレイン電極は、前記電機給電ユニットに接続され、前記第三場効果管のソース電極は、前記第四場効果管のドレイン電極に接続されると共に、前記自動車用エアコンシステムに接続され、前記第四場効果管のソース電極は、前記電圧転換ユニットに接続され、前記第四場効果管のグリッド電極は、前記第四電気抵抗を介して、自身のソース電極に接続される。
【発明の効果】
【0005】
従来の技術と比較して、本発明に係る自動車用エアコンの給電システムは、前記スイッチ電気回路を用いて、前記自動車用エアコンシステムの給電ユニットを切り替えるので、従来の技術における継電器を使用する際に発生する接触不良を避けることができる。
【0006】
また、本発明の自動車用エアコンの給電システムは、太陽エネルギーを利用して前記電池給電ユニットに充電するので、自動車のエンジンが停止しても、前記電池給電ユニットを介して、自動車のエアコンを正常的に作動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施形態に係る自動車用エアコンの給電システムの構成を表すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係る自動車用エアコンの給電システムの電気回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1に示したように、本発明の実施形態に係る自動車用エアコンの給電システム100は、処理ユニット10と、検知電気回路20と、スイッチ電気回路30と、電圧転換ユニット40と、電池給電ユニット50と、電機給電ユニット60と、太陽エネルギー充電ユニット70及び自動車用エアコンシステム80と、を備える。
【0009】
前記検知電気回路20は、前記電機給電ユニット60が正常的に作動するかどうかを検知し、且つ前記処理ユニット10に検知信号を転送する。前記電機給電ユニット60は、自動車が起動されると、共に作動して、前記自動車用エアコンシステム80に給電する。前記処理ユニット10は、前記検知電気回路20から送られた検知信号に基づいて、前記スイッチ電気回路30に制御信号を出力する。
【0010】
前記スイッチ電気回路30は、前記処理ユニット10からの制御信号に基づいて、前記電池給電ユニット50又は前記電機給電ユニット60を選択して、前記自動車用エアコンシステム80に給電する。前記電圧転換ユニット40は、前記電池給電ユニット50が出力する電圧を、前記自動車用エアコンシステム80に適用する作動電圧に転換し、且つ該作動電圧を前記スイッチ電気回路30に転送する。
【0011】
前記太陽エネルギー充電ユニット70は、太陽パネル(図示せず)及び充電電気回路(図示せず)を備える。前記太陽パネルは、自動車の天井部或いは側面に設けられて、太陽エネルギーを採集する。前記太陽パネルにより採集された太陽エネルギーは、前記充電電気回路を介して、前記電池給電ユニット50の中に蓄積される。
【0012】
図2に示したように、前記スイッチ電気回路30は、第一場効果管Q1〜第四場効果管Q4(field effect transistor)と、第一電気抵抗R1〜第四電気抵抗R4と、第一ダイオードD1〜第四ダイオードD4と、を備える。前記第一場効果管Q1及び第二場効果管Q2は、NチャンネルMOS場効果管であり、前記第三場効果管Q3及び第四場効果管Q4は、PチャンネルMOS場効果管である。
【0013】
前記第一場効果管Q1のグリッド電極は、前記処理ユニット10に接続され、且つ前記処理ユニット10が発生する制御信号を受信する。前記第一場効果管Q1のソース電極は接地される。前記第一場効果管Q1のドレイン電極は、前記第一電気抵抗R1を介して、前記第一ダイオードD1の陰極に接続されると共に、前記第二場効果管Q2及び第三場効果管Q3のグリッド電極に接続される。前記第一ダイオードD1の陽極は、直流電源VCCに接続される。前記第二場効果管Q2のソース電極は接地される。前記第二場効果管Q2のドレイン電極は、前記第二電気抵抗R2を介して、前記第二ダイオードD2の陰極に接続されると共に、前記第四場効果管Q4のグリッド電極に接続される。前記第二ダイオードD2の陽極は、前記直流電源VCCに接続される。
【0014】
前記第四場効果管Q4のソース電極は、前記電圧転換ユニット40に接続され、前記第四場効果管Q4のグリッド電極は、前記第四電気抵抗R4を介して、前記第四ダイオードD4の陰極に接続される。前記第四ダイオードD4の陽極は、前記第四場効果管Q4のソース電極に接続される。前記第三場効果管Q3のドレイン電極は、前記電機給電ユニット60に接続され、前記第三場効果管Q3のグリッド電極は、前記第三電気抵抗R3を介して前記第三ダイオードD3の陰極に接続され、前記第三場効果管Q3のソース電極は、前記第四場効果管Q4のドレイン電極に接続され、且つ前記自動車用エアコンシステム80に接続される。前記第三ダイオードD3の陽極は、前記第三場効果管Q3のドレイン電極に接続される。
【0015】
前記検知電気回路20は、第五電気抵抗R5及び第六電気抵抗R6を備える。前記電機給電ユニット60は、前記第五電気抵抗R5及び前記第六電気抵抗R6を介して接地される。前記第五電気抵抗R5と前記第六電気抵抗R6間のノードは、前記処理ユニット10に接続される。
【0016】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る自動車用エアコンの給電システム100の作動原理について詳細に説明する。
【0017】
前記電機給電ユニット60が正常に作動する場合(即ち、自動車のエンジンが起動された)、前記処理ユニット10が受けた前記検知電気回路20の第五電気抵抗R5及び前記第六電気抵抗R6間の前記ノードの電圧は、ハイレベル電気信号である。従って、前記処理ユニット10は、前記スイッチ電気回路30にハイレベルの制御信号を送信する。前記スイッチ電気回路30の前記第一場効果管Q1の前記グリッド電極は、前記ハイレベルの制御信号を受信した後導通される。この際、前記第二場効果管Q2及び前記第三場効果管Q3の前記グリッド電極は接地されて、Pチャンネルの前記第三場効果管Q3を導通させるので、前記電機給電ユニット60は、前記自動車用エアコンシステム80に給電する。これと同時に、Nチャンネルの前記第二場効果管Q2とPチャンネルの前記第四場効果管Q4が遮断され、前記電池給電ユニット50と前記自動車用エアコンシステム80との接続が解除される。
【0018】
前記電機給電ユニット60が停止した場合(即ち、自動車のエンジンが停止する)、前記処理ユニット10が受けた前記検知電気回路20の第五電気抵抗R5及び前記第六電気抵抗R6間のノードの電圧は、ローレベル電気信号である。従って、前記処理ユニット10は、前記スイッチ電気回路30にローレベルの制御信号を送信する。前記スイッチ電気回路30の前記第一場効果管Q1の前記グリッド電極は、前記ローレベルの制御信号を受信した後遮断される。この際、前記第二場効果管Q2及び前記第三場効果管Q3の前記グリッド電極には、ハイレベル電気信号が入力され、Pチャンネルの前記第三場効果管Q3は遮断され、前記電機給電ユニット60と前記自動車用エアコンシステム80との接続は解除される。これと同時に、Nチャンネルの前記第二場効果管Q2が導通されることに伴い、Pチャンネルの前記第四場効果管Q4も導通されて、前記電池給電ユニット50を前記自動車用エアコンシステム80に接続して、前記自動車用エアコンシステム80に給電する。
【0019】
上記の実施形態において、前記場効果管Q1〜Q4は、全てスイッチとして機能する。従って、変形例として、他のタイプのトランジスタ及びスイッチ機能を持つ電子チップ等を用いて、前記場効果管Q1〜Q4に代替することができる。
【0020】
本発明の自動車用エアコンの給電システム100は、太陽エネルギーを利用して前記電池給電ユニット50に充電するので、自動車のエンジンが停止しても、前記電池給電ユニット50を介して、自動車のエアコンを正常的に作動させることができる。また、本発明の自動車用エアコンの前記給電システム100は、継電器の代わりに、前記スイッチ電気回路30を用いて、前記自動車用エアコンシステム80の給電ユニットを切り替えるので、従来の技術における継電器を使用する際に発生する接触不良を避けることができる。
【0021】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変形又は修正が可能であり、該変形又は修正も又、本発明の特許請求の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
【符号の説明】
【0022】
10 処理ユニット
20 検知電気回路
30 スイッチ電気回路
40 電圧転換ユニット
50 電池給電ユニット
60 電機給電ユニット
70 太陽エネルギー充電ユニット
80 自動車用エアコンシステム
100 自動車用エアコンの給電システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車用エアコンシステムと、電池給電ユニットと、電機給電ユニットと、前記電機給電ユニットの作動状態を検知し、且つこれに基づいて対応する検知信号を送信する検知電気回路と、前記検知電気回路の検知信号に基づいて、相応する制御信号を送信する処理ユニットと、前記処理ユニットから送られた制御信号に基づいて、前記電池給電ユニット及び前記電機給電ユニットの中の何れか一種を自動的に選択して、前記自動車用エアコンシステムに給電するスイッチ電気回路と、を備える自動車用エアコンの給電システムにおいて、
前記スイッチ電気回路は、第一場効果管〜第四場効果管と、第一電気抵抗〜第四電気抵抗と、を備え、前記第一場効果管のグリッド電極は、前記処理ユニットに接続され、且つ前記処理ユニットが発生する制御信号を受信し、前記第一場効果管のソース電極は接地され、前記第一場効果管のドレイン電極は、前記第一電気抵抗を介して1つの直流電源に接続されると共に、前記第二場効果管及び第三場効果管のグリッド電極に接続され、前記第二場効果管のソース電極は接地され、前記第二場効果管のドレイン電極は、前記第二電気抵抗を介してもう1つの直流電源に接続されると共に、前記第四場効果管のグリッド電極に接続され、前記第三場効果管のグリッド電極は、前記第三電気抵抗を介して自身のドレイン電極に接続され、前記第三場効果管のドレイン電極は、前記電機給電ユニットに接続され、前記第三場効果管のソース電極は、前記第四場効果管のドレイン電極に接続されると共に、前記自動車用エアコンシステムに接続され、前記第四場効果管のソース電極は、前記電圧転換ユニットに接続され、前記第四場効果管のグリッド電極は、前記第四電気抵抗を介して自身のソース電極に接続されることを特徴とする自動車用エアコンの給電システム。
【請求項2】
前記第一場効果管及び第二場効果管は、それぞれNチャンネルMOS場効果管であり、前記第三場効果管及び第四場効果管は、それぞれPチャンネルMOS場効果管であることを特徴とする請求項1に記載の自動車用エアコンの給電システム。
【請求項3】
前記電池給電ユニットを、前記スイッチ電気回路の第四場効果管のソース電極に接続させ、且つ前記電池給電ユニットが出力する電圧を、前記自動車用エアコンシステムに適用する作動電圧に転換するための電圧転換ユニットをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の自動車用エアコンの給電システム。
【請求項4】
前記検知電気回路は、第五電気抵抗及び第六電気抵抗を備え、前記電機給電ユニットは、前記第五電気抵抗及び前記第六電気抵抗を介して接地され、前記第五電気抵抗と前記第六電気抵抗間のノードは、前記処理ユニットに接続されることを特徴とする請求項1に記載の自動車用エアコンの給電システム。
【請求項5】
前記電池給電ユニットに充電するために用いられ、且つ自動車の天井部或いは側面に設けられて、太陽エネルギーを採集する太陽パネルと、前記太陽パネルにより採集された太陽エネルギーを前記電池給電ユニットの中に蓄積させることを特徴とする請求項1に記載の自動車用エアコンの給電システム。
【請求項6】
前記スイッチ電気回路は、第一ダイオード〜第四ダイオードをさらに備え、前記第一ダイオードの陽極及び陰極は、前記1つの直流電源及び前記第一電気抵抗にそれぞれ接続され、前記第二ダイオードの陽極及び陰極は、前記もう1つの直流電源及び前記第二電気抵抗にそれぞれ接続され、前記第三ダイオードの陽極及び陰極は、前記第三場効果管のドレイン電極及び前記第三電気抵抗に接続され、前記第四ダイオードの陽極及び陰極は、前記第四場効果管のソース電極及び前記第四電気抵抗に接続されることを特徴とする請求項1に記載の自動車用エアコンの給電システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−56661(P2013−56661A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−191087(P2012−191087)
【出願日】平成24年8月31日(2012.8.31)
【出願人】(503023069)鴻富錦精密工業(深▲セン▼)有限公司 (399)
【出願人】(500080546)鴻海精密工業股▲ふん▼有限公司 (1,018)
【Fターム(参考)】