自動車用コンソールの給電構造
【課題】車体前後方向にスライド可能なコンソール部への電力供給系統を小型化出来、感電や漏電の心配のない自動車用コンソールの給電構造を提供する。
【解決手段】車体のフロア側に車体前後方向にレール6L、6Rを敷設し、レール6L、6Rの溝部11の上部内面にバッテリー8から給電される導電体14を設ける。中空部分10にコンソールユニット部1を支持するスライダ9を設け、スライダ9に導電体14と導通可能なローラ24、軸受板23、取付軸24Aからなる導電部18を設け、導電体14にバッテリー8から給電可能とする。コンソールユニット部1にロックレバー26を設け、レール6L、6Rに所望の位置で位置固定させる長穴15を形成し、ロックレバー26を長穴15に嵌合してコンソールユニット部1の位置をロックする。
【解決手段】車体のフロア側に車体前後方向にレール6L、6Rを敷設し、レール6L、6Rの溝部11の上部内面にバッテリー8から給電される導電体14を設ける。中空部分10にコンソールユニット部1を支持するスライダ9を設け、スライダ9に導電体14と導通可能なローラ24、軸受板23、取付軸24Aからなる導電部18を設け、導電体14にバッテリー8から給電可能とする。コンソールユニット部1にロックレバー26を設け、レール6L、6Rに所望の位置で位置固定させる長穴15を形成し、ロックレバー26を長穴15に嵌合してコンソールユニット部1の位置をロックする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のコンソールボックスにおける電気装置に給電可能な自動車用コンソールの給電構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の自動車用コンソールの給電構造としては、例えば、特許文献1に示すものが開示されている。
【0003】
この公報記載のものは「車両用ダッシュボード」と題するものであり、ダッシュボードの本体部と、このダッシュボードの略中央部等に設置されるオーディオ機器用のセンターコンソール部とが別体に構成され、センターコンソール部が車体前後方向に移動可能とされている。
【0004】
ダッシュボードにはセンターコンソール部が出入可能な開口部が形成され、この開口部のフロア側には一対の案内レールが敷設されており、センターコンソール部には案内レールの上を移動可能とするための部材が設けられている。センターコンソール部のオーディオ機器には、ダッシュボードの下部から延びるコイル状に巻いたハーネスが接続されており、このコイル状のハーネスを通して電力が供給可能とされている。センターコンソール部は、一対の案内レールの上を車体前後方向にスライド可能とされ、センターコンソール部がスライドするときに、コイル状に巻かれたハーネスが伸縮してダッシュボード側の電源とセンターコンソール部のオーディオ機器とを給電可能に接続している。
【特許文献1】特開平9−267662号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記車両用ダッシュボードの場合、ハーネスがフロア等に固定されたものでないために、ハーネスが他の部品と干渉したり、ハーネス自身が絡んで断線するなどの問題がある。また、このような他の部品との干渉や断線を避けるために十分なクリアランスを確保するために、スペースが大きくなるという問題もある。更に、例えば、コネクタ等をハーネスに取り付け、センターコンソール部の移動位置を決めた後に、コネクタでダッシュボード側の給電側のコネクタと接続する方式である場合、コネクタ同士の結合作業が必要であったり、水漏れ等による漏電を防止する必要もある。
【0006】
本発明は、このような問題に着目してなされたものであり、他の部品等々の干渉やハーネスの断線を極力防止し、スペースの拡大化を防止した自動車用コンソールの給電構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の自動車用コンソールの給電構造は、 車載用の電気機器を設置するコンソール部がインストルメントパネル側から車体前後方向に移動可能とされる自動車用コンソールの給電構造において、車体のフロアに車体前後方向に延びると共に上部に長手方向に延びる溝部を形成したレールを敷設し、該レール内に前記溝部上方に突出してレール長手方向にスライド可能なスライド部材を設け、該スライド部材に前記コンソール部を支持させ、前記溝部の上部内面に導電体を設け、前記レールの導電体を車体の電源部の電極に接続し、前記スライド部材に前記導電体と電気的に接触する導通部を設け、該導通部を前記コンソール部の電源部に接続すると共に、前記スライド部材若しくは前記コンソール部の何れかと、前記レールに、前記コンソール部を前記レールの所望の位置で位置固定させるロック機構を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の自動車用コンソールの給電構造によれば、レールに沿ってコンソール部を移動させても、レール内の導電体とスライド部の導通部とが電気的に接触しているので、導電体から導通部に給電できる。また、レールの溝部の上部内面に導電体を設けているので、フロアが雨などで濡れても感電や漏電がおきる心配がない。更に、所望の位置でコンソール部を停止してロック機構により位置固定すると、コンソール部の電気機器を操作出来る。そして、従来のようなコイル状のハーネス等を持たないので、コンソール部への電力供給系統の大きさを小型化することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施するための最良の形態にかかる自動車用コンソールの給電構造を図面に基づいて説明する。
【0010】
図3はこの実施の形態の自動車用コンソール部の配置位置を示す。このコンソールユニット部1(コンソール部)は乗用車のインストルメントパネル2の中央下部に設置され、インストルメントパネル2の中央下部にはコンソールユニット部1を挿入する取付開口部(図示省略)が形成されている。
【0011】
運転席3と助手席4との間はコンソールユニット部1が車体前後方向に通過できる程度の間隔が設けられており、運転席3と助手席4との間の車体フロア5上にはコンソールユニット部1の取付開口部から車体後方に向かって平行な左右一対のレール6L、6Rが敷設されている。
【0012】
一対のレール6L、6Rは、インストルメントパネル2の下から運転席3のシートバック3aの後部の位置まで延びている。コンソールユニット部1は一対のレール6L、6R上にスライド可能に搭載されており、所望の位置で固定できるようになっている。一対のレール6L、6Rにはハーネス7L、7Rの銅線がそれぞれ接続され、ハーネス7L、7Rは自動車のバッテリー8の負極、正極にそれぞれ接続されている。この例では、バッテリー8の正極がハーネス7Rに接続され、バッテリー8の負極がハーネス7Lに接続されている。一対のレール6L、6Rは、自動車のバッテリー8の負極、正極に接続されており、電気的に接触している。
【0013】
コンソールユニット部1には、例えば、コンパクトディスクやDVD等のオーディオ機器が搭載されており、コンソールユニット部1の車体後方側の面には図示しない操作パネル及びディスプレー等が設けられている。コンソールユニット部1は、ハーネス7L、7Rから電力を供給されるようになっており、ハーネス7L、7Rは車載のバッテリー8から給電される。
【0014】
図1はレール6L、6Rの断面形状を示す。レール6L、6Rの構造は左右対称である以外は同じであるので、レール6Lについて説明し、レール6Rの説明は省略する。レール6Lは内部にスライダ9を挿入可能な中空部分10を有している。レール6Lの上面部には中空部分10に通じる溝部11が形成されており、溝部11はレール6Lの長手方向に続いている。溝部11の開口縁部12L、12Rは中空部分10の内側に突出している。また、図1右側の開口縁部12Rとレール6Lの側壁部の間に位置する溝部上面には、レール6Lの長手方向に延びる「π」字型断面の絶縁部材13が取り付けられており、この絶縁部材13の下面部に導電体14が取り付けられている。
【0015】
絶縁部材13は例えばプラスチック板により形成され、導電体14は銅板により構成される。レール6Lの側壁部にはロック機構の一部を構成する長穴15がレール6Lの長手方向に所定間隔で形成されている。
【0016】
図2は、レール6Lの中空部分10内部に収納されるスライダ9(スライド部)の構成を示す。スライダ9は、コンソールユニット部1下部の図示しないフレームにネジ等で固定される。スライダ9はレール6Lの中空部分10内部であって開口縁部12L、12Rの下部に挿入される台座部16と、台座部16から上方に突出するフレーム支持板部17と、導電部18を搭載するための取付板部19とを有する。
【0017】
台座部16は下方が開いたコの字形の断面形状を有しており、スライダ9の前後両方の端部に設けられている。各々の台座部16の内部にはローラ20が配設され、台座部16の側壁部にはローラ20の取付軸21が回転自在に保持されている。
【0018】
フレーム支持板部17はレール6Lの溝部11からレール6Lの上方に突出するように形成されている。このフレーム支持板部17の前後の端部のネジ穴17Sには、前述したコンソールユニット部1のフレームがネジ止めされる。
【0019】
取付板部19は前後の台座部16の間に設けられ、取付板部19の上面にコイルバネ22が装着されている。コイルバネ22の上端部にはコの字形の軸受板23が固定されている。導電部18は軸受板23とローラ24により構成されている。
【0020】
コイルバネ22と軸受板23とは例えばプラスチック板やシリカ等で絶縁されている。軸受板23には導電性のローラ24の取付軸24Aが保持されている。ローラ24、軸受板23、ローラ24の取付軸24Aは例えば銅製或いは鉄製とされており、軸受板23にはハーネス25の銅線の一端部がハンダ付けされている。ローラ24は導電体14と接触しており、導電体14から給電可能とされている。
【0021】
この例では、前述のように、レール6Lが負極に接続され、レール6Rが正極に接続されているので、図2に示すハーネス25の銅線の他端部は、コンソールユニット部1の給電用の負極端子に接続され、レール6R側のハーネスはコンソールユニット部1の給電用の正極端子に接続される。
【0022】
これによって、バッテリー8の正極はハーネス7R、レール6R、導電体14、導電性のローラ24、取付軸24A、軸受板23、ハーネス25を介してコンソールユニット部1に接続される。コンソールユニット部1の負極は、レール6L側のハーネス25、軸受板23、取付軸24A、ローラ24、導電体14、レール6L、ハーネス7Lを介してバッテリー8の負極に接続され、バッテリー8からコンソールユニット部1に給電可能とされている。
【0023】
図5に示すように、コンソールユニット部1の側壁部には、レール6Lの長穴15に嵌合可能な突起部26Aを備えたロックレバー26が取り付けられている。ロックレバー26は突起部26Aが常時長穴15に噛み合う方向に図示しないバネ等によって、付勢されている。ロックレバー26の握り部分26Bは運転席側に臨んでおり、握り部分26Bを操作して突起部26Aと長穴15の噛み合いを解除することが出来るようになっている。
【0024】
この自動車用コンソールの給電構造では、車体のフロア側に車体前後方向にレール6L、6Rを敷設し、レール6L、6Rに中空部分10を形成し、中空部分10の内面に、レール6L、6Rの外周面と絶縁された導電体14を設けている。
【0025】
次に、レール6L、6Rの中空部分10にスライダ9を設け、スライダ9の一部をレール6L、6Rから外側に突出させてコンソールユニット部1の支持部とし、スライダ9のレール6L、6R内の部位に導電体14と導通可能なローラ24、軸受板23、取付軸24Aからなる導電部18を設けており、更に、導電体14にバッテリー8から給電可能とし、ローラ24、軸受板23、取付軸24Aからなる導電部18からコンソールユニット部1に給電可能に結線する。そして、コンソールユニット部1にロックレバー26を設け、レール6L、6Rに長穴15を設けている。
【0026】
従って、レール6L、6Rに沿ってコンソールユニット部1を移動させても、導電体14からコンソールユニット部1に給電できる。また、ロックレバー26と長穴15を噛み合わせることで、所望の位置でコンソールユニット部1を停止して、コンソールユニット部1の車載電気機器を操作出来る。そして、従来のようにコイル状のハーネス等を持たないので、コンソールユニット部1への電力供給系統の大きさを小さくコンパクトにすることが出来、レールの外周部と内側とを絶縁しているので、レール6L、6R内部に水が入ることが防止されると共に、フロアが雨などで濡れても感電や漏電がおきる心配がない。
【0027】
以上、本発明を実施する最良の形態に即して説明したが、上記の形態に限られるものではなく、ロックレバー26はスライダ9に設けても良い。また、ローラ24と導電体14とを導通させているが、ローラ24の代わりに板金からなる接触子を用いても良く、接触子に上方に突出する弾性を付与すれば、コイルバネ22は不要である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施の形態にかかるレールおよびスライダの組合せ状態を示す部分斜視図。
【図2】図1に示されたスライダの斜視図。
【図3】インストルメントパネルの中央部から車体前後方向にスライド可能なコンソール部の取付状態を示す斜視図。
【図4】スライダにコンソール部を装着した状態の部分構成を示す側面図。
【図5】コンソール部にロックレバーを設け、ロックレバーでコンソール部とレールとをロックさせた状態の模式図。
【符号の説明】
【0029】
1 コンソールユニット部
6L、6R レール
7L、7R ハーネス
8 バッテリー
9 スライダ
10 レールの中空部分
11 溝部
13 絶縁部材
14 レールの導電体
15 長穴(ロック機構)
18 導電部
20 ローラ
22 コイルバネ
23 軸受板(導電部)
24 ローラ(導電部)
24A 取付軸
26 ロックレバー(ロック機構)
26A 突起部
26B 握り部分
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のコンソールボックスにおける電気装置に給電可能な自動車用コンソールの給電構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の自動車用コンソールの給電構造としては、例えば、特許文献1に示すものが開示されている。
【0003】
この公報記載のものは「車両用ダッシュボード」と題するものであり、ダッシュボードの本体部と、このダッシュボードの略中央部等に設置されるオーディオ機器用のセンターコンソール部とが別体に構成され、センターコンソール部が車体前後方向に移動可能とされている。
【0004】
ダッシュボードにはセンターコンソール部が出入可能な開口部が形成され、この開口部のフロア側には一対の案内レールが敷設されており、センターコンソール部には案内レールの上を移動可能とするための部材が設けられている。センターコンソール部のオーディオ機器には、ダッシュボードの下部から延びるコイル状に巻いたハーネスが接続されており、このコイル状のハーネスを通して電力が供給可能とされている。センターコンソール部は、一対の案内レールの上を車体前後方向にスライド可能とされ、センターコンソール部がスライドするときに、コイル状に巻かれたハーネスが伸縮してダッシュボード側の電源とセンターコンソール部のオーディオ機器とを給電可能に接続している。
【特許文献1】特開平9−267662号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記車両用ダッシュボードの場合、ハーネスがフロア等に固定されたものでないために、ハーネスが他の部品と干渉したり、ハーネス自身が絡んで断線するなどの問題がある。また、このような他の部品との干渉や断線を避けるために十分なクリアランスを確保するために、スペースが大きくなるという問題もある。更に、例えば、コネクタ等をハーネスに取り付け、センターコンソール部の移動位置を決めた後に、コネクタでダッシュボード側の給電側のコネクタと接続する方式である場合、コネクタ同士の結合作業が必要であったり、水漏れ等による漏電を防止する必要もある。
【0006】
本発明は、このような問題に着目してなされたものであり、他の部品等々の干渉やハーネスの断線を極力防止し、スペースの拡大化を防止した自動車用コンソールの給電構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の自動車用コンソールの給電構造は、 車載用の電気機器を設置するコンソール部がインストルメントパネル側から車体前後方向に移動可能とされる自動車用コンソールの給電構造において、車体のフロアに車体前後方向に延びると共に上部に長手方向に延びる溝部を形成したレールを敷設し、該レール内に前記溝部上方に突出してレール長手方向にスライド可能なスライド部材を設け、該スライド部材に前記コンソール部を支持させ、前記溝部の上部内面に導電体を設け、前記レールの導電体を車体の電源部の電極に接続し、前記スライド部材に前記導電体と電気的に接触する導通部を設け、該導通部を前記コンソール部の電源部に接続すると共に、前記スライド部材若しくは前記コンソール部の何れかと、前記レールに、前記コンソール部を前記レールの所望の位置で位置固定させるロック機構を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の自動車用コンソールの給電構造によれば、レールに沿ってコンソール部を移動させても、レール内の導電体とスライド部の導通部とが電気的に接触しているので、導電体から導通部に給電できる。また、レールの溝部の上部内面に導電体を設けているので、フロアが雨などで濡れても感電や漏電がおきる心配がない。更に、所望の位置でコンソール部を停止してロック機構により位置固定すると、コンソール部の電気機器を操作出来る。そして、従来のようなコイル状のハーネス等を持たないので、コンソール部への電力供給系統の大きさを小型化することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施するための最良の形態にかかる自動車用コンソールの給電構造を図面に基づいて説明する。
【0010】
図3はこの実施の形態の自動車用コンソール部の配置位置を示す。このコンソールユニット部1(コンソール部)は乗用車のインストルメントパネル2の中央下部に設置され、インストルメントパネル2の中央下部にはコンソールユニット部1を挿入する取付開口部(図示省略)が形成されている。
【0011】
運転席3と助手席4との間はコンソールユニット部1が車体前後方向に通過できる程度の間隔が設けられており、運転席3と助手席4との間の車体フロア5上にはコンソールユニット部1の取付開口部から車体後方に向かって平行な左右一対のレール6L、6Rが敷設されている。
【0012】
一対のレール6L、6Rは、インストルメントパネル2の下から運転席3のシートバック3aの後部の位置まで延びている。コンソールユニット部1は一対のレール6L、6R上にスライド可能に搭載されており、所望の位置で固定できるようになっている。一対のレール6L、6Rにはハーネス7L、7Rの銅線がそれぞれ接続され、ハーネス7L、7Rは自動車のバッテリー8の負極、正極にそれぞれ接続されている。この例では、バッテリー8の正極がハーネス7Rに接続され、バッテリー8の負極がハーネス7Lに接続されている。一対のレール6L、6Rは、自動車のバッテリー8の負極、正極に接続されており、電気的に接触している。
【0013】
コンソールユニット部1には、例えば、コンパクトディスクやDVD等のオーディオ機器が搭載されており、コンソールユニット部1の車体後方側の面には図示しない操作パネル及びディスプレー等が設けられている。コンソールユニット部1は、ハーネス7L、7Rから電力を供給されるようになっており、ハーネス7L、7Rは車載のバッテリー8から給電される。
【0014】
図1はレール6L、6Rの断面形状を示す。レール6L、6Rの構造は左右対称である以外は同じであるので、レール6Lについて説明し、レール6Rの説明は省略する。レール6Lは内部にスライダ9を挿入可能な中空部分10を有している。レール6Lの上面部には中空部分10に通じる溝部11が形成されており、溝部11はレール6Lの長手方向に続いている。溝部11の開口縁部12L、12Rは中空部分10の内側に突出している。また、図1右側の開口縁部12Rとレール6Lの側壁部の間に位置する溝部上面には、レール6Lの長手方向に延びる「π」字型断面の絶縁部材13が取り付けられており、この絶縁部材13の下面部に導電体14が取り付けられている。
【0015】
絶縁部材13は例えばプラスチック板により形成され、導電体14は銅板により構成される。レール6Lの側壁部にはロック機構の一部を構成する長穴15がレール6Lの長手方向に所定間隔で形成されている。
【0016】
図2は、レール6Lの中空部分10内部に収納されるスライダ9(スライド部)の構成を示す。スライダ9は、コンソールユニット部1下部の図示しないフレームにネジ等で固定される。スライダ9はレール6Lの中空部分10内部であって開口縁部12L、12Rの下部に挿入される台座部16と、台座部16から上方に突出するフレーム支持板部17と、導電部18を搭載するための取付板部19とを有する。
【0017】
台座部16は下方が開いたコの字形の断面形状を有しており、スライダ9の前後両方の端部に設けられている。各々の台座部16の内部にはローラ20が配設され、台座部16の側壁部にはローラ20の取付軸21が回転自在に保持されている。
【0018】
フレーム支持板部17はレール6Lの溝部11からレール6Lの上方に突出するように形成されている。このフレーム支持板部17の前後の端部のネジ穴17Sには、前述したコンソールユニット部1のフレームがネジ止めされる。
【0019】
取付板部19は前後の台座部16の間に設けられ、取付板部19の上面にコイルバネ22が装着されている。コイルバネ22の上端部にはコの字形の軸受板23が固定されている。導電部18は軸受板23とローラ24により構成されている。
【0020】
コイルバネ22と軸受板23とは例えばプラスチック板やシリカ等で絶縁されている。軸受板23には導電性のローラ24の取付軸24Aが保持されている。ローラ24、軸受板23、ローラ24の取付軸24Aは例えば銅製或いは鉄製とされており、軸受板23にはハーネス25の銅線の一端部がハンダ付けされている。ローラ24は導電体14と接触しており、導電体14から給電可能とされている。
【0021】
この例では、前述のように、レール6Lが負極に接続され、レール6Rが正極に接続されているので、図2に示すハーネス25の銅線の他端部は、コンソールユニット部1の給電用の負極端子に接続され、レール6R側のハーネスはコンソールユニット部1の給電用の正極端子に接続される。
【0022】
これによって、バッテリー8の正極はハーネス7R、レール6R、導電体14、導電性のローラ24、取付軸24A、軸受板23、ハーネス25を介してコンソールユニット部1に接続される。コンソールユニット部1の負極は、レール6L側のハーネス25、軸受板23、取付軸24A、ローラ24、導電体14、レール6L、ハーネス7Lを介してバッテリー8の負極に接続され、バッテリー8からコンソールユニット部1に給電可能とされている。
【0023】
図5に示すように、コンソールユニット部1の側壁部には、レール6Lの長穴15に嵌合可能な突起部26Aを備えたロックレバー26が取り付けられている。ロックレバー26は突起部26Aが常時長穴15に噛み合う方向に図示しないバネ等によって、付勢されている。ロックレバー26の握り部分26Bは運転席側に臨んでおり、握り部分26Bを操作して突起部26Aと長穴15の噛み合いを解除することが出来るようになっている。
【0024】
この自動車用コンソールの給電構造では、車体のフロア側に車体前後方向にレール6L、6Rを敷設し、レール6L、6Rに中空部分10を形成し、中空部分10の内面に、レール6L、6Rの外周面と絶縁された導電体14を設けている。
【0025】
次に、レール6L、6Rの中空部分10にスライダ9を設け、スライダ9の一部をレール6L、6Rから外側に突出させてコンソールユニット部1の支持部とし、スライダ9のレール6L、6R内の部位に導電体14と導通可能なローラ24、軸受板23、取付軸24Aからなる導電部18を設けており、更に、導電体14にバッテリー8から給電可能とし、ローラ24、軸受板23、取付軸24Aからなる導電部18からコンソールユニット部1に給電可能に結線する。そして、コンソールユニット部1にロックレバー26を設け、レール6L、6Rに長穴15を設けている。
【0026】
従って、レール6L、6Rに沿ってコンソールユニット部1を移動させても、導電体14からコンソールユニット部1に給電できる。また、ロックレバー26と長穴15を噛み合わせることで、所望の位置でコンソールユニット部1を停止して、コンソールユニット部1の車載電気機器を操作出来る。そして、従来のようにコイル状のハーネス等を持たないので、コンソールユニット部1への電力供給系統の大きさを小さくコンパクトにすることが出来、レールの外周部と内側とを絶縁しているので、レール6L、6R内部に水が入ることが防止されると共に、フロアが雨などで濡れても感電や漏電がおきる心配がない。
【0027】
以上、本発明を実施する最良の形態に即して説明したが、上記の形態に限られるものではなく、ロックレバー26はスライダ9に設けても良い。また、ローラ24と導電体14とを導通させているが、ローラ24の代わりに板金からなる接触子を用いても良く、接触子に上方に突出する弾性を付与すれば、コイルバネ22は不要である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施の形態にかかるレールおよびスライダの組合せ状態を示す部分斜視図。
【図2】図1に示されたスライダの斜視図。
【図3】インストルメントパネルの中央部から車体前後方向にスライド可能なコンソール部の取付状態を示す斜視図。
【図4】スライダにコンソール部を装着した状態の部分構成を示す側面図。
【図5】コンソール部にロックレバーを設け、ロックレバーでコンソール部とレールとをロックさせた状態の模式図。
【符号の説明】
【0029】
1 コンソールユニット部
6L、6R レール
7L、7R ハーネス
8 バッテリー
9 スライダ
10 レールの中空部分
11 溝部
13 絶縁部材
14 レールの導電体
15 長穴(ロック機構)
18 導電部
20 ローラ
22 コイルバネ
23 軸受板(導電部)
24 ローラ(導電部)
24A 取付軸
26 ロックレバー(ロック機構)
26A 突起部
26B 握り部分
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載用の電気機器を設置するコンソール部がインストルメントパネル側から車体前後方向に移動可能とされる自動車用コンソールの給電構造において、
車体のフロアに車体前後方向に延びると共に上部に長手方向に延びる溝部を形成したレールを敷設し、該レール内に前記溝部上方に突出してレール長手方向にスライド可能なスライド部材を設け、該スライド部材に前記コンソール部を支持させ、前記溝部の上部内面に導電体を設け、前記レールの導電体を車体の電源部の電極に接続し、前記スライド部材に前記導電体と電気的に接触する導通部を設け、該導通部を前記コンソール部の電源部に接続すると共に、前記スライド部材若しくは前記コンソール部の何れかと、前記レールに、前記コンソール部を前記レールの所望の位置で位置固定させるロック機構を設けたことを特徴とする自動車用コンソールの給電構造。
【請求項2】
請求項1の自動車用コンソールの給電構造において、前記スライド部材の導通部は、前記レールの長手方向に転動可能なローラと、該ローラの取付軸を支持する軸受部と、該軸受部を支持するコイルスプリングとで構成し、少なくとも、前記ローラと前記軸受部との間、若しくは、前記軸受部と前記コイルスプリングとの間を絶縁し、前記ローラと前記レールの導電体とを電気的に接触させたことを特徴とする自動車用コンソールの給電構造。
【請求項3】
請求項1、2の何れかの自動車用コンソールの給電構造において、
車体のフロアに前記レールを左右一対として平行に敷設し、該一対のレールのそれぞれに前記スライド部材を設け、左右のスライド部材に前記コンソール部を支持させ、前記一対のレールの一方の導電体を車体の電源部の正極に接続し、前記一対のレールの他方の導電体を車体の電源部の負極に接続し、前記スライド部材の左右の導通部の一方を前記一対のレールの一方の導電体に接触させ、前記スライド部材の左右の導通部の他方を前記一対のレールの他方の導電体に電気的に接触させたことを特徴とする自動車用コンソールの給電構造。
【請求項1】
車載用の電気機器を設置するコンソール部がインストルメントパネル側から車体前後方向に移動可能とされる自動車用コンソールの給電構造において、
車体のフロアに車体前後方向に延びると共に上部に長手方向に延びる溝部を形成したレールを敷設し、該レール内に前記溝部上方に突出してレール長手方向にスライド可能なスライド部材を設け、該スライド部材に前記コンソール部を支持させ、前記溝部の上部内面に導電体を設け、前記レールの導電体を車体の電源部の電極に接続し、前記スライド部材に前記導電体と電気的に接触する導通部を設け、該導通部を前記コンソール部の電源部に接続すると共に、前記スライド部材若しくは前記コンソール部の何れかと、前記レールに、前記コンソール部を前記レールの所望の位置で位置固定させるロック機構を設けたことを特徴とする自動車用コンソールの給電構造。
【請求項2】
請求項1の自動車用コンソールの給電構造において、前記スライド部材の導通部は、前記レールの長手方向に転動可能なローラと、該ローラの取付軸を支持する軸受部と、該軸受部を支持するコイルスプリングとで構成し、少なくとも、前記ローラと前記軸受部との間、若しくは、前記軸受部と前記コイルスプリングとの間を絶縁し、前記ローラと前記レールの導電体とを電気的に接触させたことを特徴とする自動車用コンソールの給電構造。
【請求項3】
請求項1、2の何れかの自動車用コンソールの給電構造において、
車体のフロアに前記レールを左右一対として平行に敷設し、該一対のレールのそれぞれに前記スライド部材を設け、左右のスライド部材に前記コンソール部を支持させ、前記一対のレールの一方の導電体を車体の電源部の正極に接続し、前記一対のレールの他方の導電体を車体の電源部の負極に接続し、前記スライド部材の左右の導通部の一方を前記一対のレールの一方の導電体に接触させ、前記スライド部材の左右の導通部の他方を前記一対のレールの他方の導電体に電気的に接触させたことを特徴とする自動車用コンソールの給電構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【公開番号】特開2006−290227(P2006−290227A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−115719(P2005−115719)
【出願日】平成17年4月13日(2005.4.13)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年4月13日(2005.4.13)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
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