説明

自動車用シートバック

【課題】使い勝手のよいポケットティッシュ収納部を備え、外観品質を向上させることができるシートバックを提供する。
【解決手段】ポケットティッシュ収納部18が設けられ、ポケットティッシュ収納部18は側部10に形成されて、ポケットティッシュを側面に沿った一定の姿勢に保持可能に構成され、ポケットティッシュ収納部18のポケットティッシュ出し入れ口13は左右外方側に開口し、ポケットティッシュがポケットティッシュ収納部18に収納された状態で、ポケットティッシュのティッシュペーパー引き出し口がポケットティッシュ収納部18のポケットティッシュ出し入れ口13に重なるように、ポケットティッシュ出し入れ口13がポケットティッシュ収納部18に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポケットティッシュ収納部が設けられている自動車用シートバックに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されているように、従来、上記の自動車用シートバックのポケットティッシュ収納部は側部に形成され、ポケットティッシュ収納部のポケットティッシュ出し入れ口は上方に開口し、前記ポケットティッシュは、全体がポケットティッシュ収納部に覆い隠されるように収納されていた。また、前記ポケットティッシュ収納部はポケットティッシュの専用の収納部ではなく、ポケットティッシュよりも大きくて重い物品を収納可能に構成してあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3034947号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の構造によれば、前記ポケットティッシュは、全体がポケットティッシュ収納部に覆い隠されるように収納されていたために、ポケットティッシュのティッシュペーパーを使用する場合、ポケットティッシュをポケットティッシュ収納部から取り出して使用する必要があり、ポケットティッシュ収納部へのポケットティッシュの出し入れが煩わしかった。
また、ポケットティッシュ収納部はポケットティッシュの専用の収納部ではなく、ポケットティッシュよりも大きくて重い物品を収納可能に構成してあったために、他の物品をポケットティッシュ収納部に収納した場合、物品の重さがポケットティッシュ収納部の底にかかり、ポケットティッシュ収納部が下へ引っ張られることで、表皮にしわ等が生じて外観が低下する虞があった。
本発明は上記実状に鑑みて成されたもので、その目的は、使い勝手のよいポケットティッシュ収納部を備え、外観品質を向上させることができるシートバックを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の特徴は、
ポケットティッシュ収納部が設けられている自動車用シートバックであって、
前記ポケットティッシュ収納部は側部に形成されて、前記ポケットティッシュを側面に沿った一定の姿勢に保持可能に構成され、
前記ポケットティッシュ収納部のポケットティッシュ出し入れ口は左右外方側に開口し、
前記ポケットティッシュが前記ポケットティッシュ収納部に収納された状態で、前記ポケットティッシュのティッシュペーパー引き出し口が前記ポケットティッシュ収納部のポケットティッシュ出し入れ口に重なるように、前記ポケットティッシュ出し入れ口が前記ポケットティッシュ収納部に形成されている点にあり、その作用効果は次の通りである。(請求項1)
【0006】
シートバックの側部に形成されたポケットティッシュ収納部にポケットティッシュをポケットティッシュ出し入れ口から挿入して収納すると、ポケットティッシュ収納部がポケットティッシュをシートバックの側面に沿った一定の姿勢に保持する。また、ポケットティッシュのティッシュペーパー引き出し口が、ポケットティッシュ収納部のポケットティッシュ出し入れ口に重なる。
従って、乗員(着座者)は、ポケットティッシュ全体をポケットティッシュ収納部から取り出すことなく、車両用シートに座った状態でポケットティッシュ収納部のポケットティッシュからティッシュペーパーを、前記ティッシュペーパー引き出し口及びポケットティッシュ出し入れ口を通して引き出すことができる。
上記のように、乗員はポケットティッシュをポケットティッシュ収納部から取り出していないので、ティッシュペーパーの引き出し後に、ポケットティッシュをポケットティッシュ収納部に収納する必要がない。
また、助手席のシートバックを後ろ側に倒し、後席のシートクッションの前端に繋げてフラットなシートアレンジができるシートでは、シートバックを倒した状態の助手席の上で乳幼児などの世話をする場合がある。このような場合、世話をする乗員が助手席や運転席のシートバック側部のポケットティッシュ収納部に収納されたポケットティッシュからティッシュペーパー(ウェットティッシュのティッシュペーパーなどでも良い)を、前記ティッシュペーパー引き出し口及びポケットティッシュ出し入れ口を通して引き出して、乳幼児の手や顔などの汚れを拭くのに使用することができる。
これにより、ポケットティッシュ収納部の使い勝手をよくすることができる。
例えば、他の物品を収納可能なポケット(ポケットティッシュ収納部)をシートバックの側部に設けた場合、物品の重さはポケットの底部にかかるため、ポケットが下へ引っ張られ、シートバック側面のサイド表皮材にしわ等が生じる虞がある。
これに対して、本発明の上記の構成によれば、ポケットティッシュ専用のポケットティッシュ収納部がシートバックの側部に設けられ、ポケットティッシュ収納部に収納されるポケットティッシュは非常に軽いので、ポケットティッシュの重さでサイド表皮材にしわ等が生じることはない。従って、外観品質を向上させることができる。(請求項1)
【0007】
本発明において、
前記ポケットティッシュ収納部は、シートバックパッドの側面を覆うサイド表皮材と、前記サイド表皮材の表側の面又は裏側の面に重なり、周部を前記サイド表皮材に縫製された表皮片とから成り、
前記サイド表皮材と表皮片のうち、より左右外方側に位置する表皮片又はサイド表皮材に前記ポケットティッシュ出し入れ口が形成されていると、次の作用を奏することができる。(請求項2)
【0008】
前記ポケットティッシュ収納部は、シートバックパッドの側面を覆うサイド表皮材と、前記サイド表皮材の表側の面又は裏側の面に重なり、周部を前記サイド表皮材に縫製された表皮片とから成るから、シートバックに自然な外観を与えることができ、部品点数を少なくすることができて、縫製作業を簡単に行うことができる。
また、前記サイド表皮材と表皮片のうち、より左右外方側に位置する表皮片又はサイド表皮材に前記ポケットティッシュ出し入れ口が形成されているので、ポケットティッシュ収納部のポケットティッシュからティッシュペーパーを、前記ティッシュペーパー引き出し口及びポケットティッシュ出し入れ口を通して引き出すことができる。
そして、ポケットティッシュ自体にある程度の弾力やクッション性を備えさせることができ、ポケットティッシュ収納部にポケットティッシュを収納した状態では、ポケットティッシュ収納部を構成する表皮片やその他周辺の表皮材に対しても張り感を与え、よりしわや弛みの発生を防ぎ、外観品質をより向上させることができる。(請求項2)
【0009】
本発明において、
前記表皮片は、シートバック上下方向に並ぶ上側表皮片と下側表皮片とから成り、
前記上側表皮片のシートバック前方側の端部と前記下側表皮片のシートバック前方側の端部とが、前記サイド表皮材のシートバック前方側の端部の縫製部に共縫いされ、
前記上側表皮片のシートバック後方側の端部と前記下側表皮片のシートバック後方側の端部とが、前記サイド表皮材のシートバック後方側の端部の縫製部に共縫いされ、
前記ポケットティッシュ出し入れ口は前記上側表皮片の下端縁と前記下側表皮片の上端縁との間に、シートバック前後方向に沿うスリット状に形成され、
前記ポケットティッシュのティッシュペーパー引き出し口は前記ポケットティッシュ収納部のポケットティッシュ出し入れ口に沿って重なると、次の作用を奏することができる。(請求項3)
【0010】
前記上側表皮片のシートバック前方側の端部と前記下側表皮片のシートバック前方側の端部とが、前記サイド表皮材のシートバック前方側の端部の縫製部に共縫いされ、前記上側表皮片のシートバック後方側の端部と前記下側表皮片のシートバック後方側の端部とが、前記サイド表皮材のシートバック後方側の端部の縫製部に共縫いされているから、スリット状のポケットティッシュ出し入れ口の端部の縫製強度を向上させることができる。
その結果、ポケットティッシュ収納部にポケットティッシュを入れ替する際のポケットティッシュ出し入れ口の拡張と元の大きさへの復元とが多数回繰り返されても前記ポケットティッシュ出し入れ口の端部がほつれにくくすることができる。
また、前記ポケットティッシュ出し入れ口は前記上側表皮片の下端縁と前記下側表皮片の上端縁との間に、シートバック前後方向に沿うスリット状に形成され、前記ポケットティッシュのティッシュペーパー引き出し口は前記ポケットティッシュ収納部のポケットティッシュ出し入れ口に沿って重なるから、ポケットティッシュ収納部のポケットティッシュからティッシュペーパーを、前記ティッシュペーパー引き出し口及びポケットティッシュ出し入れ口を通して円滑に引き出すことができる。(請求項3)
【0011】
本発明において、
運転席用又は助手席用に構成され、
前記ポケットティッシュ収納部が形成された側部はシートバック両側部のうち車両の左右中心側の側部であると、次の作用を奏することができる。(請求項4)
【0012】
前記ポケットティッシュ収納部が形成されたシートバックの側部はシートバック両側部のうち車両の左右中心側の側部であるから、ポケットティッシュ収納部が設けられた座席に着座している乗員だけでなく、この座席に並設した座席に着座している乗員も、ポケットティッシュ収納部のポケットティッシュに手が届いてポケットティッシュ収納部のポケットティッシュからティッシュペーパーを、ティッシュペーパー引き出し口及びポケットティッシュ出し入れ口を通して引き出すことができる。
さらに、乗員が左右どちらの後席に座っていても、前席の前記ポケットティッシュ収納部のポケットティッシュに手が届いてティッシュペーパーを、ティッシュペーパー引き出し口及びポケットティッシュ出し入れ口を通して引き出すことができる。
また、自動車の側壁側のシートバックの側部(シートバック両側部のうち自動車の左右外方側の側部)にポケットティッシュ収納部を設ける場合に比べて、ティッシュペーパーを引き出す動作の為の空間を広く取ることができ、ティッシュペーパーを引き出しやすくすることができる。(請求項4)
【0013】
本発明において、
前記ポケットティッシュ収納部はシートバック上半部に配置されていると、次の作用を奏することができる。(請求項5)
【0014】
前記ポケットティッシュ収納部はシートバック上半部に配置されているから、ポケットティッシュ収納部がシートベルト装置のバックルから上方に離れて位置し、シートベルトがポケットティッシュ収納部のポケットティッシュ出し入れ口に重なることがない。
これにより、乗員は、シートベルトを着用した状態でも、ポケットティッシュ収納部のポケットティッシュからティッシュペーパーを、ティッシュペーパー引き出し口及びポケットティッシュ出し入れ口を通して引き出すことができる。(請求項5)
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、
使い勝手のよいポケットティッシュ収納部を備え、外観品質を向上させることができるシートバックを提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】車両用シート(運転席)の斜視図
【図2】図1のA−A断面図
【図3】シートベルト装置とシートバックのポケットティッシュ収納部との位置関係を示す斜視図
【図4】車室内の前後の車両用シートを示す斜視図
【図5】別実施形態を示す断面図であり、図1のA−A断面に対応する断面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
図1に、車両用シートとしての運転席1Aを示してある。この運転席1Aは、乗員の臀部及び大腿部を支持するシートクッション3と、乗員の背中を受け止め支持するシートバック2とから成る。
【0018】
前記シートバック2は、シートバックフレームと、シートバックフレームに支持されるシートバックパッド(いずれも図示せず)と、シートバックパッドを覆う表皮9(図2参照)とを備えている。
【0019】
シートバック2の表皮9は、シートバックパッドの前面を覆うメイン表皮材と、シートバックパッドの側面を覆うサイド表皮材51と、シートバックパッドの後面を覆う後ろ側表皮材とを備えて袋状に形成され、シートバックパッドに被せられている。各表皮材はレザーで形成されている。各表皮材が布材で形成されていてもよく、レザーや布材以外の部材で形成されていてもよい。
【0020】
図1,図2に示すように、シートバック2の両側部10のうち車両の左右中心側の側部10の上半部にポケットティッシュ収納部18が設けられている。図4に示すように、助手席1Bの車両の左右中心側の側部10の上半部にも、前記ポケットティッシュ収納部18と同一構造のポケットティッシュ収納部18が設けられている。
【0021】
ポケットティッシュ収納部18に収納されるポケットティッシュ60は小型の携帯用のティッシュであり、縦横の長さよりも厚さが短い直方体状に折り畳まれて積層された複数のティッシュペーパー61と、複数のティッシュペーパー61を包み込むフイルム包装体62とから成る。ティッシュペーパー引き出し口62Kは、厚さ方向の両面のうちの一面(フイルム包装体62の一面)の幅方向中央に、長手方向略全長にわたるスリット状に形成されている。
【0022】
前記ポケットティッシュ収納部18は、サイド表皮材51と、サイド表皮材51の表側の面51M(シートバック2の側面に相当)に重なり、周部をサイド表皮材51に縫製された表皮片20とから成る。サイド表皮材51と表皮片20は同一の材質で形成され、同一の厚さに設定されている。また、サイド表皮材51と表皮片20のうち、より左右外方側に位置する表皮片20にポケットティッシュ出し入れ口13が形成されて、ポケットティッシュ出し入れ口13が左右外方側に開口している。
【0023】
そして、ポケットティッシュ60がポケットティッシュ収納部18に収納された状態で、ポケットティッシュ60のティッシュペーパー引き出し口62Kがポケットティッシュ収納部18のポケットティッシュ出し入れ口13に沿って重なるように、ポケットティッシュ出し入れ口13がポケットティッシュ収納部18に形成されている。
【0024】
詳述すると、前記表皮片20は、シートバック上下方向に並ぶ上側表皮片11と下側表皮片12とから成る。そして、図2に示すように、上側表皮片11の上端部と下側表皮片12の下端部とがそれぞれ裏側に折り曲げられ、両折り曲げ片11A,12Aが、サイド表皮材51に縫製されている。
また、図1,図2に示すように、上側表皮片11のシートバック前方側Frの端部と下側表皮片12のシートバック前方側Frの端部とが、サイド表皮材51のシートバック前方側Frの端部とメイン表皮材の側部との前側縫製部16に共縫いされ、上側表皮片11のシートバック後方側Rrの端部と下側表皮片12のシートバック後方側Rrの端部とが、サイド表皮材51のシートバック後方側Rrの端部と後ろ側表皮材の側部との後ろ側縫製部15に共縫いされている。
【0025】
図2に示すように、前記ポケットティッシュ出し入れ口13は前記上側表皮片11の下端縁11Tと前記下側表皮片12の上端縁12Tとの間に、シートバック前後方向(シートバック厚み方向)に沿うスリット状に形成されている。そして、前述のように、ポケットティッシュ60がポケットティッシュ収納部18に収納された状態で、ポケットティッシュ60のティッシュペーパー引き出し口62Kが前記ポケットティッシュ出し入れ口13に沿って重なる。
【0026】
前記上側表皮片11の下端部は裏側(サイド表皮材51側)に折り曲げられて、折り曲げ片11Bとこの折り曲げ片11Bが重なる表皮片部分とが縫製されている。また、前記下側表皮片12の上端部は裏側(サイド表皮材51側)に折り曲げられて、折り曲げ片12Bとこの折り曲げ片12Bが重なる表皮片部分とが縫製されている。符号Lは縫着ラインである。これにより、ポケットティッシュ出し入れ口13の開口周縁部の強度を向上させることができる。
【0027】
前記ポケットティッシュ収納部18はポケットティッシュ60をサイド表皮材51の表側の面51M(シートバック2の側面に相当)に沿った一定の姿勢に弾性保持可能に構成されている。すなわち、ポケットティッシュ60を前記一定の姿勢に弾性保持可能にポケットティッシュ収納部18のポケットティッシュ収納空間Sの大きさが設定されている。
【0028】
上記の構成により、
(1) 図2に示すように、シートバック2の側部10に形成されたポケットティッシュ収納部18にポケットティッシュ60をポケットティッシュ出し入れ口13から挿入して収納すると、ポケットティッシュ収納部18がポケットティッシュ60をサイド表皮材51の表側の面51M(シートバック2の側面)に沿った一定の姿勢に保持する。また、ポケットティッシュ60のティッシュペーパー引き出し口62Kが、ポケットティッシュ収納部18のポケットティッシュ出し入れ口13に沿って重なる。
従って、乗員(着座者)は、ポケットティッシュ60の全体をポケットティッシュ収納部18から取り出すことなく、運転席1Aに座った状態でポケットティッシュ収納部18のポケットティッシュ60からティッシュペーパー61を、前記ティッシュペーパー引き出し口62K及びポケットティッシュ出し入れ口13を通して引き出すことができる。ティッシュペーパー61を一枚引き出すと、次の一枚の一部分がポケットティッシュ出し入れ口13から突出する。これにより、乗員はティッシュペーパー61を引き出しやすくなる。
上記のように、乗員はポケットティッシュ60をポケットティッシュ収納部18から取り出していないので、ティッシュペーパー61の引き出し後に、ポケットティッシュ60をポケットティッシュ収納部18に収納する必要がない。
また、図4に示すように、助手席1Bのシートバック2を後ろ側に倒し、後席31B(左側の後席)のシートクッション33の前端に繋げてフラットなシートアレンジにした場合、シートバック2を倒した状態の助手席1Bの上で乳幼児などの世話をすることがある。
このような場合、世話をする乗員が助手席1Bや運転席1Aのシートバック2の側部10のポケットティッシュ収納部18に収納されたポケットティッシュ60からティッシュペーパー61(ウェットティッシュのティッシュペーパーなどでも良い)を、前記ティッシュペーパー引き出し口62K及びポケットティッシュ出し入れ口13を通して引き出して、乳幼児の手や顔などの汚れを拭くのに使用することができる。
これにより、ポケットティッシュ収納部18の使い勝手をよくすることができる。
例えば、他の物品を収納可能なポケット(ポケットティッシュ収納部)をシートバックの側部に設けた場合、物品の重さはポケットの底部にかかるため、ポケットが下へ引っ張られ、シートバック側面のサイド表皮材にしわ等が生じる虞がある。
これに対して、本発明の上記の構成によれば、ポケットティッシュ専用のポケットティッシュ収納部18がシートバック2の側部10に設けられ、ポケットティッシュ収納部18に収納されるポケットティッシュ60は非常に軽いので、ポケットティッシュ60の重さでサイド表皮材51にしわ等が生じることはない。従って、外観品質を向上させることができる。
【0029】
(2) 前記ポケットティッシュ収納部18は、シートバックパッドの側面を覆うサイド表皮材51と、前記サイド表皮材51の表側の面51Mに重なり、周部を前記サイド表皮材51に縫製された表皮片20とから成るから、シートバック2に自然な外観を与えることができ、部品点数を少なくすることができて、縫製作業を簡単に行うことができる。
また、前記サイド表皮材51と表皮片20のうち、より左右外方側に位置する表皮片20に前記ポケットティッシュ出し入れ口13が形成されているので、ポケットティッシュ収納部18のポケットティッシュ60からティッシュペーパー61を、前記ティッシュペーパー引き出し口62K及びポケットティッシュ出し入れ口13を通して引き出すことができる。
そして、ポケットティッシュ60自体にある程度の弾力やクッション性を備えさせることができ、ポケットティッシュ収納部18にポケットティッシュ60を収納した状態では、ポケットティッシュ収納部18を構成する表皮片20やその他周辺の表皮材に対しても張り感を与え、よりしわや弛みの発生を防ぎ、外観品質をより向上させることができる。
【0030】
(3) 前記上側表皮片11のシートバック前方側Frの端部と前記下側表皮片12のシートバック前方側Frの端部とが、前記サイド表皮材51のシートバック前方側Frの端部の前側縫製部16に共縫いされ、前記上側表皮片11のシートバック後方側Rrの端部と前記下側表皮片12のシートバック後方側Rrの端部とが、前記サイド表皮材51のシートバック後方側Rrの端部の後ろ側縫製部15に共縫いされているから、スリット状のポケットティッシュ出し入れ口13の端部の縫製強度を向上させることができる。
その結果、ポケットティッシュ収納部18にポケットティッシュ60を入れ替する際のポケットティッシュ出し入れ口13の拡張と元の大きさへの復元とが多数回繰り返されても前記ポケットティッシュ出し入れ口13の端部がほつれにくくすることができる。
また、前記ポケットティッシュ出し入れ口13は前記上側表皮片11の下端縁11Tと前記下側表皮片12の上端縁12Tとの間に、シートバック前後方向に沿うスリット状に形成され、前記ポケットティッシュ60のティッシュペーパー引き出し口62Kは前記ポケットティッシュ収納部18のポケットティッシュ出し入れ口13に沿って重なるから、ポケットティッシュ収納部18のポケットティッシュ60からティッシュペーパー61を、前記ティッシュペーパー引き出し口62K及びポケットティッシュ出し入れ口13を通して円滑に引き出すことができる。
【0031】
(4) 前記ポケットティッシュ収納部18が形成されたシートバック2の側部10はシートバック両側部のうち車両の左右中心側の側部10であるから、ポケットティッシュ収納部18が設けられた運転席1Aに着座している乗員だけでなく、この運転席1Aに並設した助手席1Bに着座している乗員も、ポケットティッシュ収納部18のポケットティッシュ60に手が届いてポケットティッシュ収納部18のポケットティッシュ60からティッシュペーパー61を、ティッシュペーパー引き出し口62K及びポケットティッシュ出し入れ口13を通して引き出すことができる。
さらに、乗員が左右どちらの後席31A,31Bに座っていても、運転席1A又は助手席1Bの前記ポケットティッシュ収納部18のポケットティッシュ60に手が届いてティッシュペーパー61を、ティッシュペーパー引き出し口62K及びポケットティッシュ出し入れ口13を通して引き出すことができる。図4の符号32は後席31A,31Bのシートバックである。
また、自動車の側壁側のシートバック2の側部(シートバック両側部のうち自動車の左右外方側の側部)にポケットティッシュ収納部18を設ける場合に比べて、ティッシュペーパー61を引き出す動作の為の空間を広く取ることができ、ティッシュペーパー61を引き出しやすくすることができる。
【0032】
(5) 図3に示すように、前記ポケットティッシュ収納部18はシートバック2の上半部に配置されているから、ポケットティッシュ収納部18がシートベルト装置40のバックル42から上方に離れて位置し、シートベルト41がポケットティッシュ収納部18のポケットティッシュ出し入れ口13に重なることがない。これにより、乗員は、シートベルト41を着用した状態でも、ポケットティッシュ収納部18のポケットティッシュ60からティッシュペーパー61を、ティッシュペーパー引き出し口62K及びポケットティッシュ出し入れ口13を通して引き出すことができる。
【0033】
[別実施形態]
図5に示すように、前記ポケットティッシュ収納部18は、シートバックパッドの側面を覆うサイド表皮材51と、前記サイド表皮材51の裏側の面51Nに重なり、周部20A,20Bを前記サイド表皮材51に縫製された表皮片20とから構成されていてもよい。
前記サイド表皮材51と表皮片20のうち、より左右外方側に位置するサイド表皮材51に前記ポケットティッシュ出し入れ口13がスリット状に形成されている。
【0034】
前記ポケットティッシュ出し入れ口13の開口周縁部を形成するサイド表皮材51の端末は裏側に折り曲げられて、折り曲げ片51Tとサイド表皮材部分とが縫製されている。これにより、ポケットティッシュ出し入れ口13の開口周縁部の強度を向上させることができる。
また、上記の構成によれば、第1実施形態に比べて、表皮片20の周部20A,20Bとサイド表皮材51との縫製部での表皮片20の折り曲げがなくなるため、シートバック2の側面のシルエットをより滑らかな状態とすることができる。
【符号の説明】
【0035】
18 ポケットティッシュ収納部
10 側部(シートバックの側部)
11 上側表皮片
11T 上側表皮片の下端縁
12 下側表皮片
12T 下側表皮片の上端縁
13 ポケットティッシュ出し入れ口
15 縫製部(後ろ側縫製部)
16 縫製部(前側縫製部)
20 表皮片
51 サイド表皮材
51M 側面(シートバックの側面、サイド表皮材の表側の面)
51N サイド表皮材の裏側の面
60 ポケットティッシュ
62K ティッシュペーパー引き出し口
Fr シートバック前方側
Rr シートバック後方側

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポケットティッシュ収納部が設けられている自動車用シートバックであって、
前記ポケットティッシュ収納部は側部に形成されて、前記ポケットティッシュを側面に沿った一定の姿勢に保持可能に構成され、
前記ポケットティッシュ収納部のポケットティッシュ出し入れ口は左右外方側に開口し、
前記ポケットティッシュが前記ポケットティッシュ収納部に収納された状態で、前記ポケットティッシュのティッシュペーパー引き出し口が前記ポケットティッシュ収納部のポケットティッシュ出し入れ口に重なるように、前記ポケットティッシュ出し入れ口が前記ポケットティッシュ収納部に形成されている自動車用シートバック。
【請求項2】
前記ポケットティッシュ収納部は、シートバックパッドの側面を覆うサイド表皮材と、前記サイド表皮材の表側の面又は裏側の面に重なり、周部を前記サイド表皮材に縫製された表皮片とから成り、
前記サイド表皮材と表皮片のうち、より左右外方側に位置する表皮片又はサイド表皮材に前記ポケットティッシュ出し入れ口が形成されている請求項1記載の自動車用シートバック。
【請求項3】
前記表皮片は、シートバック上下方向に並ぶ上側表皮片と下側表皮片とから成り、
前記上側表皮片のシートバック前方側の端部と前記下側表皮片のシートバック前方側の端部とが、前記サイド表皮材のシートバック前方側の端部の縫製部に共縫いされ、
前記上側表皮片のシートバック後方側の端部と前記下側表皮片のシートバック後方側の端部とが、前記サイド表皮材のシートバック後方側の端部の縫製部に共縫いされ、
前記ポケットティッシュ出し入れ口は前記上側表皮片の下端縁と前記下側表皮片の上端縁との間に、シートバック前後方向に沿うスリット状に形成され、
前記ポケットティッシュのティッシュペーパー引き出し口は前記ポケットティッシュ収納部のポケットティッシュ出し入れ口に沿って重なる請求項2記載の自動車用シートバック。
【請求項4】
運転席用又は助手席用に構成され、
前記ポケットティッシュ収納部が形成された側部はシートバック両側部のうち車両の左右中心側の側部である請求項1〜3のいずれか一つに記載の自動車用シートバック。
【請求項5】
前記ポケットティッシュ収納部はシートバック上半部に配置されている請求項4記載の自動車用シートバック。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2013−112000(P2013−112000A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−256973(P2011−256973)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000002082)スズキ株式会社 (3,196)
【Fターム(参考)】