説明

自動車用フロアマット

【課題】タイヤハウス近傍のペダルの操作性を阻害せずに、ペダルの下方のフロアを覆うことができる自動車用フロアマットを提供すること。
【解決手段】自動車用フロアマット9は、運転席の足下のフロアに配設した際に、隅部18付近をタイヤハウスの表面側に当てて折り曲げ可能な薄肉の折目予定部20が、前部9a側におけるタイヤハウス側の隅部付近に、配設される。折目予定部は、隅部の頂点18a付近を囲うように、略円弧状に形成されるとともに、折目FCの形成時、折目を間にした隅部の頂点18a側を、タイヤハウスの表面側に接触しつつ、タイヤハウスの表面側に沿って曲面状に曲がり可能なカバー部19とし、かつ、折目を間にした隅部から離れる側を、タイヤハウス近傍からフロア側に接近若しくは密着可能な一般部10とするように、形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の運転席の足下のフロアに配設される際、タイヤハウス近傍のペダルの下方に、隅部付近を配設可能な略長方形板状の自動車用フロアマットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の自動車用フロアマットでは、前席の運転席側に配設する場合のアクセルペダルの操作を考慮して、タイヤハウス近傍の吊り下げ式のアクセルペダルの下方付近に、フロアマットを配設させないように、凹部を設けていた(例えば、特許文献1参照)。なお、凹部を有する自動車用フロアマットでは、購入者が、購入後に、カッタやはさみ等を利用し、予め賦形されていた複数の曲線状の目印の内の一つに沿わせるようにカットして、凹部を形成するタイプのものもあった。
【0003】
また、従来の自動車用フロアマットでは、三列シートの二列目と三列目とに共用できるものがあった(例えば、特許文献2参照)。このフロアマットでは、三列目のシートの足下での使用時、後輪のタイヤハウスが邪魔となることから、曲げて使用できるように、折目形成用の蛇腹部位が、左右の両縁付近に、前後方向に沿って直線状に配設されていた。そして、このフロアマットでは、タイヤハウスの無い二列目のシートの足下での使用時、折目を付けずに、平らに展開させて使用する状態となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−080991号公報
【特許文献2】実用新案登録第3149549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の特許文献1に記載のフロアマットでは、アクセルペダルの下方に、フロアマットが配設されないことから、ペダル操作時の靴裏のゴミ等が、直接、フロアに落ちて、フロアを汚してしまう。
【0006】
この場合、特許文献1のフロアマットの凹部の部位において、特許文献2のフロアマットの構成を応用して、凹部を設けずにタイヤハウスまで延ばす隅部を設け、隅部を曲げ可能に、隅部の前縁側から左右の縁側にかけて直線状に蛇腹部位を設け、蛇腹部位を折り曲げつつ、隅部をタイヤハウスの表面側に当てるように、フロアマットを配設すれば、アクセルペダルの下方のフロアを、フロアマットの延設した隅部で覆うことができる。
【0007】
しかし、アクセルペダル付近のタイヤハウスは、球殻状に張り出しており、直線状の折目では、隅部付近が、フロアやタイヤハウスの表面側から部分的に浮き上がって、ペダル操作時、隅部付近の浮き上がり部位にペダルの下面側が当って、違和感が発生し、ペダルを大きく踏み込めない等の支障が生ずる虞れがあり、ペダルの下方にフロアマットの隅部を配設する点に、課題が生じてしまう。
【0008】
ちなみに、上記の対策のため、フロアマットがフロアやタイヤハウスの表面側から浮き上がらないように、フロアマットに柔軟性を持たせて、フロアマットを深く折れ曲がるようにすることが考えられる。しかし、この場合には、折れ曲がった隅部が、後方側に反転する虞れが生じ、隅部が反転してしまえば、反転部位が押し込み時のペダルと大きく干渉して、ペダルの操作性を阻害するため、上記の対策でも、解決策とは成り難い。
【0009】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、タイヤハウス近傍のペダルの操作性を阻害せずに、ペダルの下方のフロアを覆うことができる自動車用フロアマットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
<請求項1の説明>
本発明に係る自動車用フロアマットは、自動車の運転席の足下のフロアに配設される際、タイヤハウス近傍のペダルの下方に、隅部付近を配設可能な略長方形板状の自動車用フロアマットであって、
前記フロアマットを運転席の足下のフロアに配設した際に、前記隅部付近を前記タイヤハウスの表面側に当てて折り曲げ可能な薄肉の折目予定部が、前記フロアマットの前部側における前記タイヤハウス側の隅部付近に、配設され、
前記折目予定部が、
前記隅部の頂点付近を囲うように、連続的若しくは断続的な略円弧状に形成されるとともに、
折目の形成時、折目を間にした前記隅部の頂点側を、前記タイヤハウスの表面側に接触しつつ、前記タイヤハウスの表面側に沿って曲面状に曲がり可能なカバー部とし、かつ、折目を間にした前記隅部から離れる側を、前記タイヤハウス近傍からフロア側に接近若しくは密着可能な一般部とするように、形成されていることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る自動車用フロアマットは、運転席の足下で使用しようとして、隅部付近をタイヤハウスに載せつつ、フロアに配設する。すると、折目予定部に折目が形成されつつ、隅部付近が折り曲げれられて、カバー部がタイヤハウスの表面側を覆ってタイヤハウスの表面側に載る。その際、折目予定部は、隅部の頂点付近を囲うように、薄肉として、連続的若しくは断続的な略円弧状に、形成されているため、折目となった折目予定部が、その前端(フロアマットの前縁側の端部)から横端(フロアマットの左右方向の縁側の端部)までの範囲で、カバー部自体やその近傍の一般部の重量により、フロア側に接近するように低く配置されて、扇状のカバー部を下方に引張る状態となる。その結果、カバー部は、立体的な球殻状の曲面を形成しつつ一般部から立ち上がるような形状となって、タイヤハウスの表面側に密着し、かつ、その表面側に沿ってタイヤハウスを覆い可能となる。
【0012】
さらに付言すると、カバー部が立体的な球殻状の曲面形状に曲がれば、曲がったカバー部の形状は、車内側に突出するように球殻状に膨らんだ形状であって、隅部の頂点付近をタイヤハウス側に接近させる挙動を、許容するものの、隅部の頂点付近をタイヤハウス側から離れてペダル側に接近させるような反転挙動を、規制する形状となる。
【0013】
そのため、フロアマットは、運転席の近傍から、ペダルの下方を経て、タイヤハウスの表面側にわたる全域にわたって、フロアからの浮き上がりを抑制されつつ、タイヤハウスの表面側を含めて、フロア側に密着若しくは接近するように展開されて配設される状態となる。その結果、ペダルの操作時に、フロアマットには、ペダルが殆ど接触せず、若しくは、ペダルが接触しても、フロアマットの撓む部位を、極力、少なく、かつ、小さな撓み量とすることができ、違和感無く、ペダルを大きく押し込むことができる。
【0014】
また、フロアマットが、ペダルの下方からタイヤハウスの表面側まで、覆えることから、フロア自体の汚れも防止できる。
【0015】
したがって、本発明に係る自動車用フロアマットは、タイヤハウス近傍のペダルの操作性を阻害せずに、ペダルの下方のフロアを覆うことができる。
【0016】
<請求項2の説明>
本発明に係る自動車用フロアマットでは、前記折目予定部は、裏面側に配設させて、表面側に凹む凹部から形成することが望ましい。
【0017】
このような構成では、折目予定部の凹部が、裏面側だけに設けられて、表面側では、折目予定部の部位とそれ以外の部位とを、同等の外観で構成できて、外観意匠を低下させずに、利用できる。
【0018】
さらに、折目予定部を形成する凹部が、裏面側だけに設けられることから、凹部を表面側に設ける場合に比べて、ゴミ等が凹部に溜まらず、フロアマットの清掃が容易となる。
【0019】
<請求項3の説明>
本発明に係る自動車用フロアマットでは、前記折目予定部は、前記隅部の頂点付近を囲うように、前縁と側壁との端まで連なる連続的若しくは断続的な略円弧状の溝状として、略同心的に、複数形成することが望ましい。
【0020】
一般的に、小型車では、タイヤハウスがアクセルペダルに接近しており、大型車では、タイヤハウスがアクセルペダルから離れて配置されている。そのため、上記のような構成では、使用する自動車が、小型車や大型車と種々異なっていても、タイヤハウスがアクセルペダルに接近していれば、使用時、自動的に隅部の頂点付近から離れた大径側の円弧状折目予定部が折り曲げられ、また、タイヤハウスがアクセルペダルから離れていれば、自動的に隅部の頂点付近に近い小径側の円弧状折目予定部が折り曲げられ、共に、円滑に使用することができる。
【0021】
<請求項4の説明>
略同心的に複数の円弧状折目予定部を配設する場合には、さらにつぎのように構成することが望ましい。すなわち、前記折目予定部は、
略同心的に配設される複数の円弧状折目予定部と、
複数の前記円弧状折目予定部の内の前記隅部の頂点付近に接近した小径側円弧状折目予定部と、該小径側円弧状折目予定部に隣接して、前記隅部の頂点付近から離れた側の大径側円弧状折目予定部と、の相互に離れた前記フロアマットの外周縁側の端末相互を、前記小径側円弧状折目予定部と前記大径側円弧状折目予定部との間で、略円弧状に連結する連結円弧状折目予定部と、
を設けて構成することが望ましい。
【0022】
このような構成では、同心的な円弧状折目予定部の間で、小径側円弧状折目予定部と大径側円弧状折目予定部との相互に反対側の端部となる前端と横端とを結ぶような連結円弧状折目予定部が、その前端から横端までの範囲を、カバー部自体やその近傍の一般部の重量により、フロア側に接近するように低く配置させて、カバー部をタイヤハウスの表面側に密着させることも可能となり、タイヤハウスの異なった形状に対応するバリエーションを、増やすことができる。
【0023】
換言すれば、同心的に配置される複数の円弧状折目予定部内の一つの円弧状折目予定部だけでは、フロア側に接近させ難い場合、連結円弧状折目予定部が、前端付近から横端付近までの略全域をフロア側に密着若しくは接近させつつ、連結円弧状折目予定部より隅部の頂点側に位置する部位のカバー部を、タイヤハウスの表面側に密着させるように、曲面状に曲げることが可能となる。
【0024】
<請求項5の説明>
本発明に係る自動車用フロアマットでは、前記一般部が、底壁部と、該底壁部の周縁の前縁側を除く少なくとも後縁と左右両縁とから上方に延びる縦壁部と、を備えてなるトレーマットタイプとして、構成される場合に、前記折目予定部は、前記一般部の前方側における平坦面部位に、形成することが望ましい。
【0025】
このような構成では、海水浴や雪山等のレジャー時に乗車する際、靴から水滴等が垂れて底壁部上に溜まっても、縦壁部により、溜まった水滴等をフロアマットの外周縁から自動車自体のフロアに垂らさないことから、フロアを汚さない。
【0026】
なお、フロアマットの前縁側は、底壁部の前縁に、後方側の縦壁部から連なる縦壁部を設けて、その縦壁部の上端から鍔状に平坦面部位を形成したり、あるいは、底壁部の左右両縁の縦壁部を徐々に低くして前方に延ばしつつ、左右両縁の縦壁部の下端相互を連結するように、底壁部の前縁から斜め前上方向に傾斜して延びるように、平坦面部位を形成して、底壁部の前縁に、縦壁部を設けないように構成してもよい。
【0027】
そして、底壁部の前縁自体に、縦壁部を設けないようにして、平坦面部位を形成する場合には、縦壁部が無い分、フロアからタイヤハウスの表面側にかけて、密着させて、フロアマットを配設し易い。
【0028】
<請求項6の説明>
本発明に係る自動車用フロアマットでは、上面側に繊維層からなる表皮層を配設させて、前記一般部と前記カバー部とを構成する略長方形板状のマット本体と、
前記繊維層のほつれ防止用に、前記マット本体の外周縁に該外周縁を包んで取り付けられる可撓性を有したテープ材と、
から構成してもよく、その場合には、
前記折目予定部は、前記マット本体の裏面側で前記マット本体の表面側に凹み、かつ、前記マット本体の前縁と側縁との端まで連続的に連なる凹溝を設けて、形成することが望ましい。
【0029】
このような構成では、フロアマットが、上面側に繊維層からなる表皮層を配設させて構成され、かつ、折目予定部の凹溝も裏面側に配設されて表面側から目視できないことから、使用時、自動車のタフトカーペット等を設けたフロアと違和感無く使用でき、また、テープ材により、繊維層のほつれを防止できて、耐久性よく使用できる。
【0030】
さらに、マット本体がテープ材を設けていても、折目予定部の凹溝が、マット本体の前縁と側縁との端まで連続的に連なって形成されていることから、使用時、可撓性を有したテープ材を曲げつつ、円滑に折り曲げられて、カバー部が、立体的な球殻を形成しつつ円滑にタイヤハウスを覆うことができる。
【0031】
<請求項7の説明>
本発明に係る自動車用フロアマットでは、自動車の前席の運転席若しくは助手席の足下のフロアで共用可能に、前記折目予定部を、前部の左右両側の隅部側に、左右対称的に配設させてもよい。
【0032】
このような構成では、折目予定部が、左右対称的に配設されていることから、助手席の足下に配設しても、対応するカバー部が、助手席側のタイヤハウスの表面側に沿ってタイヤハウスの表面側を覆いつつ曲面状に折り曲げられ、かつ、一般部がフロアに密着できる。そのため、助手席の足下にも、フロアマットを円滑に配設させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の第1実施形態の自動車用フロアマットを使用する運転席の足下付近を示す斜視図であり、併せて、第1実施形態の自動車用フロアマットを配設させた状態を示す。
【図2】第1実施形態の自動車用フロアマットを配設させた運転席の足下付近を、左側から見た斜視図である。
【図3】第1実施形態の自動車用フロアマットの使用状態を示す前後方向に沿った概略部分縦断面図であり、併せて、従来のフロアマットの使用状態を示す。
【図4】第1実施形態の自動車用フロアマットの斜視図であり、併せて、小径側円弧状折目予定部と大径側円弧状折目予定部とをそれぞれ折り曲げた状態を示す。
【図5】第1実施形態の自動車用フロアマットの断面図であり、図4のV−V部位に対応する。
【図6】図5のVI部位の拡大図である。
【図7】第2実施形態のフロアマットを示す斜視図である。
【図8】第2実施形態のフロアマットの断面図であり、図7のVIII−VIII部位に対応する。
【図9】第2実施形態のフロアマットの使用状態を示す前後方向に沿った概略部分縦断面図である。
【図10】第3実施形態のフロアマットを示す斜視図である。
【図11】第3実施形態のフロアマットの断面図であり、図10のXI−XI部位に対応する。
【図12】第4実施形態のフロアマットの底面図である。
【図13】第5実施形態のフロアマットの底面図である。
【図14】第6実施形態のフロアマットの底面図である。
【図15】第6実施形態のフロアマットの斜視図であり、併せて、小径側円弧状折目予定部、大径側円弧状折目予定部、及び、連結円弧状折目予定部をそれぞれ折り曲げた状態を示す。
【図16】第7実施形態のフロアマットの底面図である。
【図17】第8実施形態のフロアマットの底面図である。
【図18】第9実施形態のフロアマットの底面図である。
【図19】第10実施形態のフロアマットの底面図である。
【図20】第11実施形態のフロアマットの底面図である。
【図21】第11実施形態のフロアマットの断面図であり、図20のXXI−XXI部位に対応する。
【図22】第1実施形態の変形例を示す斜視図である。
【図23】図22のXXIII−XXIII部位に部分断面図である。
【図24】第2実施形態の変形例を示す斜視図である。
【図25】図24のXXV−XXV部位の断面図である。
【図26】第1実施形態の他の変形例を示す斜視図と、併せて折目予定部を折り曲げた状態を示す。
【図27】図26のフロアマットにおける前部側の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明すると、第1実施形態の自動車用フロアマット9は、図1〜5に示すように、前後方向に延びた略長方形板状とし、さらに、略長方形の底壁部11と、底壁部11の前後左右の周縁11a,11b,11c,11dから隆起するように上方に延びる縦壁部12,13,14,15と、を備えたトレーマットタイプとしている。なお、図1のA,Bに示したフロアマット9では、後述するカバー部19を曲面状に曲げた状態で図示しており、フロア1への配設前の曲げていない状態では、図4のAに示す状態となる。
【0035】
縦壁部12,13,14,15の上端には、底壁部11と略平行として、底壁部11から離れる方向に延びるように、鍔部16が形成されている。そして、前方側の前縦壁部15から前方に延びる鍔部16の部位が、略平板状に形成される平坦面部位17として、その左右の隅部18(18L,18R)付近の内、右方の隅部18R付近が、運転席DS側のタイヤハウス6の表面6a側を覆うカバー部19としている。換言すれば、フロアマット9は、タイヤハウス6を覆うカバー部19と、それ以外の一般部10と、から構成されているとも言える。
【0036】
なお、第1実施形態の場合、前縦壁部15は、図3,5の括弧書きに示す従来のトレーマットタイプのフロアマット90の前縦壁部91に比べて、前方側に倒れる角度を大きくして、配設されている。
【0037】
また、隅部18R付近のカバー部19は、一般部10における平坦面部位17に連ならせるように、平らに展開すれば、後述する折目予定部20で囲まれた略1/8円の扇状の板状としている。
【0038】
さらに、運転席DSの足下のフロア1は、図1のAに示すように、運転席DSの近傍から前方に延びる平面部2と、平面部2の前縁から斜め上方向に延びる傾斜部3と、を備えて、傾斜部3の右方側にタイヤハウス6が曲面状に隆起するように配設されている。傾斜部3の上方には、タイヤハウス6側の右方から順に、吊り下げ式のアクセルペダルAPとブレーキペダルBPとが配設され、傾斜部3の左縁側には、フットレスト部4が配設されている。
【0039】
さらにまた、第1実施形態のフロアマット9は、図6に示すように、上面側(表面側)のタフトカーペットや不織布等の繊維層81aからなる表皮層81、下面(裏面側)のポリ塩化ビニル等の合成樹脂やゴム等からなって滑り止めの図示しない複数の突起を設けたベース層83、及び、表皮層81とベース層83との間に配置されるスポンジ等からなるクッション層82、の三層構造として、ホットプレスにより形成されている。
【0040】
そして、フロアマット9の前部9aにおける平坦面部位17の隅部18R付近には、薄肉の折目予定部20が配設されている。この折目予定部20は、フロアマット9を運転席DSの足下のフロア1に配設した際に、タイヤハウス6の表面6a側を覆って折り曲げ可能に、形成されて、隅部18Rの頂点18a付近を囲うように、略円弧状に形成されている。
【0041】
また、折目予定部20は、折目の形成時、折目を間にした隅部18Rの頂点18a側を、タイヤハウス6の表面6a側に接触しつつ、表面6a側に沿って曲面状に曲がり可能なカバー部19とし、かつ、折目を間にした隅部18Rから離れる側を、タイヤハウス6近傍からフロア1側に接近若しくは密着可能な一般部10とするように、形成されている。換言すれば、折目予定部20は、カバー部19と一般部10とが上記の態様を確保できるような、半径寸法、若しくは、曲率として、形成されている。ちなみに、実施形態の場合、折目予定部20は、半径寸法R(RS,RL)を200〜300mm程度として、頂点18a付近を中心とした1/8の円弧状に、形成されている。なお、換言すると、実施形態の場合、折目予定部20の前後左右の配置エリアとしては、折目予定部20の前端(22a,23a)が、フロアマット9の左右方向の中心からの左右方向距離Wを40〜100mm程度とし、折目予定部20の横端(22b,23b)が、フロアマット9の前縁9bからの前後方向距離Lを100〜180mm程度の範囲内として、配設されている(図4,14参照)。
【0042】
さらに、第1実施形態では、折目予定部20は、フロアマット9の裏面側に配設されて、表面側に凹む凹部20aから形成されている。
【0043】
さらにまた、第1実施形態では、折目予定部20が、隅部18Rの頂点18a付近を囲うように、連続的に連ならせた略1/8の円弧状の溝状(凹溝)20bとして、略同心的に、複数(実施形態では2つ)の円弧状折目予定部21から、構成されている。すなわち、第1実施形態では、折目予定部20としての円弧状折目予定部21が、隅部18Rの頂点18a付近に接近した小径側円弧状折目予定部22と、小径側円弧状折目予定部22に隣接して、隅部18Rの頂点18a付近から離れた側の大径側円弧状折目予定部23と、から構成されている。そして、第1実施形態の場合、これらの凹溝20bは、縦壁部13,14の設けられていない平坦なシート状の平坦面部位17の裏面側において、フロアマット9の前縁9bと左右方向の縁である側縁9c,9dとの端まで、連続的に連なって、配設されている。
【0044】
なお、折目予定部20としての円弧状折目予定部21は、前部9aの左右両側の隅部18L,18Rに、左右対称的に配設されている。そして、左方側の隅部18L付近では、円弧状折目予定部21より隅部18Lの頂点18a付近側となる部位が、フロアマット9を助手席の足下に配設させた際に助手席近傍のタイヤハウスの表面側に密着するカバー部19となる。
【0045】
また、第1実施形態では、小径側円弧状折目予定部22は、半径寸法RSを200〜250mm程度の250mm、前端22aの左右方向の中心からの左右方向距離Wを70mm、横端22bの前縁9bからの前後方向距離Lを120mmとし、大径側円弧状折目予定部23は、半径寸法RLを250〜300mm程度の300mm、前端23aの左右方向の中心からの左右方向距離Wを50mm、横端23bの前縁9bからの前後方向距離Lを160mmとしている(図4参照)。
【0046】
さらに、折目予定部20の開口幅BOや深さは、使用時、折目予定部20で折り曲げられて、カバー部19が、円滑に、球殻状の曲面に曲げられる寸法であればよい。ちなみに、実施形態では、開口幅B0は、1〜2mm、折目予定部20を除いた部位のフロアマット9の厚さT0は、3mm、折目予定部20の厚さT1は、約1mmとしている(図6参照)。
【0047】
これらの小径側円弧状折目予定部22や大径側円弧状折目予定部23からなる円弧状折目予定部21は、フロアマット9のホットプレス成形時、同時に賦形されている。
【0048】
第1実施形態のフロアマット9では、例えば、図1,2に示すように、例えば、運転席DSの足下で使用しようとして、隅部18R付近をタイヤハウス6に載せつつ、フロア1に配設する。すると、折目予定部20に折目FCが形成されつつ、隅部18R付近が折り曲げれられて、カバー部19がタイヤハウス6の表面6a側を覆って表面6a側に載る。その際、折目予定部20は、図4のAに示すように、隅部18Rの頂点18a付近を囲うように、薄肉として、連続的な略1/8の円弧状に、形成されているため、折目となった折目予定部20が、その前端23a(フロアマット9の前縁9b側の端部)から横端23b(フロアマット9の左右方向の縁9c,9d側の端部)までの範囲で、カバー部19自体やその近傍の一般部10の重量により、フロア1側に接近するように低く配置されて、略1/8円形状とした扇状のカバー部19を下方に引張る状態となる。その結果、カバー部19は、図1のA,Bや図4のBに示すように、立体的な球殻状の曲面を形成しつつ一般部10から立ち上がるような形状となって、タイヤハウス6の表面6a側に密着し、かつ、その表面6a側に沿ってタイヤハウス6を覆い可能となる。
【0049】
さらに付言すると、カバー部19が立体的な球殻状の曲面形状に曲がれば、曲がったカバー部19の形状は、車内側に突出するように球殻状に膨らんだ形状であって、隅部18Rの頂点18a付近をタイヤハウス6側に接近させる挙動を、許容するものの、隅部18Rの頂点18a付近をタイヤハウス6側から離れてペダルAP側に接近させるような反転挙動を、規制する形状となる。
【0050】
そのため、フロアマット9は、運転席DSの近傍から、ペダルAPの下方を経て、タイヤハウス6の表面6a側にわたる全域にわたって、フロア1の平面部2や傾斜部3からの浮き上がりを抑制されつつ、タイヤハウス6の表面6a側を含めて、フロア1側に密着若しくは接近するように展開されて配設される状態となる。その結果、ペダルAPの操作時に、図3に示すように、フロアマット9には、ペダルAPが殆ど接触せず、若しくは、ペダルAPが接触しても、フロアマット9の撓む部位を、極力、少なく、かつ、小さな撓み量とすることができ、違和感無く、ペダルAPを大きく押し込むことができる。
【0051】
ちなみに、従来タイプのフロアマット90では、実施形態と同様に、運転席の足下のフロア1に配設させた場合、図3の括弧書きに示すように、前縦壁部91の上端91aから前方に延びる平坦面部位92が、タイヤハウス6の表面6a側に当りつつ、多少の下方への撓みがあるものの、上端91aから斜め上方向に平板状に延びることとなる。そのため、ペダルAPの操作時に、図3の括弧書きに示すように、ペダルAPが、平坦面部位92と大きく干渉して、撓む部位が広い大きなエリアとなり、かつ、大きな撓み量となって、運転者に大きな違和感を生じさせてしまう。なお、このような違和感を生じないように、隅部18R付近を切除する場合には、押し込んだペダルAPの先端が、切除した際に露出する端面に引っ掛り、戻らなくなる事態を招く虞れが生じ、好ましくない。
【0052】
また、第1実施形態のフロアマット9では、ペダルAPの下方からタイヤハウス6の表面6a側まで、覆えることから、フロア1自体の汚れも防止できる。
【0053】
したがって、第1実施形態の自動車用フロアマット9では、タイヤハウス6近傍のペダルAPの操作性を阻害せずに、ペダルAPの下方のフロア1を覆うことができる。
【0054】
また、第1実施形態のフロアマット9では、折目予定部20が、図6に示すように、フロアマット9の裏面側に配設させて、表面側に凹む凹部20aから形成されている。そのため、折目予定部20の凹部20aが、裏面側だけに設けられて、表面側では、折目予定部20の部位とそれ以外の部位とを、同等の外観で構成でき、外観意匠を低下させずに、利用できる。
【0055】
さらに、折目予定部20を形成する凹部20aが、裏面側だけに設けられることから、凹部20aを表面側に設ける場合に比べて、ゴミ等が凹部20aに溜まらず、フロアマット9の清掃が容易となる。
【0056】
ちなみに、上記の点を考慮しなければ、凹部20aを、表面側から裏面側に凹むように、表面側に設けてもよい。さらに、折目予定部20としては、裏面側から表面側に凹む凹部20aと、表面側から裏面側に凹む凹部と、を併用してもよい。裏面側と表面側とに凹部を併用する場合は、共に連続的に凹む凹部(凹溝)としてもよいし、あるいは、一方を連続的に凹む凹部(凹溝)とし、他方を断続的に凹む凹部として構成してもよく、さらに、共に、断続的に凹む凹部としてもよい。
【0057】
そしてまた、第1実施形態のフロアマット9では、折目予定部20が、隅部18Rの頂点18a付近を囲うように、連続的に連なる略円弧状の凹溝20bを設けた円弧状折目予定部21とし、さらに、略同心的な複数(実施形態では二つ)の小径側円弧状折目予定部22や大径側円弧状折目予定部23から構成されており、種々の自動車に対して、好適に使用できる。
【0058】
すなわち、一般的に、小型車では、タイヤハウスがアクセルペダルに接近しており、大型車では、タイヤハウスがアクセルペダルから離れて配置されている。そのため、第1実施形態のフロアマット9では、使用する自動車が、小型車や大型車と種々異なっていても、タイヤハウスがアクセルペダルに接近していれば、使用時、図4のBに示すように、自動的に隅部18Rの頂点18a付近から離れた大径側円弧状折目予定部23が折り曲げられ、また、タイヤハウスがアクセルペダルから離れていれば、図4のCに示すように、自動的に隅部18Rの頂点18a付近に近い小径側円弧状折目予定部22が折り曲げられ、共に、円滑に使用することができる。
【0059】
そしてまた、第1実施形態のフロアマット9では、一般部10が、底壁部11と、底壁部11の周縁の全周から上方に延びる縦壁部12,13,14,15を備えてなるトレーマットタイプとして、構成されている。そして、折目予定部20は、一般部10の前方側における平坦面部位17に、形成されている。
【0060】
このようなフロアマット9では、海水浴や雪山等のレジャー時に乗車する際、靴から水滴等が垂れて底壁部11上に溜まっても、縦壁部12,13,14,15により、溜まった水滴等をフロアマット9の外周縁から自動車自体のフロア1に垂らさないことから、フロア1を汚さない。
【0061】
ちなみに、上記の点を考慮しなければ、トレーマットタイプで無く、縦壁部の無い平らなフロアマットとして、本発明を適用してもよい。
【0062】
さらに、第1実施形態のフロアマット9は、折目予定部20が、左右対称的に配設されていることから、助手席の足下に配設しても、対応する左方側の隅部18L付近のカバー部19が、助手席側のタイヤハウスの表面側に沿ってその表面側を覆いつつ曲面状に折り曲げられ、かつ、一般部10がフロアに密着できる。そのため、助手席の足下にも、フロアマット9を円滑に配設させることができる。
【0063】
この場合、第1実施形態では、折目予定部20が、図6に示すように、フロアマット9の裏面側に配設させて、表面側に凹む凹部20aから形成されている。そのため、フロアマット9を助手席の足下で使用する際、助手席のタイヤハウスから離れた側の隅部18R付近を、すなわち、運転席DSの足下での使用時に運転席DSのタイヤハウス6側を曲面状に折り曲げられて覆うカバー部19を、平らに広く展開させていても、その部位の表面側には、凹部20aが露出せず、助手席のタイヤハウスを覆う隅部18L側とともに、外観意匠を低下させずに、利用できる。
【0064】
勿論、上記の点を考慮しなけば、運転席のタイヤハウス側だけとなる左右の片側だけに、折目予定部を形成してもよい。この場合、左右方向の逆側の隅部には、適宜、フットレスト用等の折目予定部を付けたり、あるいは、装飾的な折目予定部や凹部、あるいは、凸部、さらには、非対称的な形状の折目予定部を付けてもよい。
【0065】
なお、第1実施形態のフロアマット9の前縁9b側では、底壁部11の前縁11aに、後方側の縦壁部13,14から連なる縦壁部(前縦壁部)15を設けて、その縦壁部15の上端15aから鍔状に平坦面部位17を形成している。しかし、トレーマットタイプのフロアマットとしては、図7〜9に示す第2実施形態のフロアマット9Aのように構成してもよい。
【0066】
第2実施形態のフロアマット9Aでは、一般部10が、底壁部11と、底壁部11の周縁の前縁11a側を除く少なくとも後縁11bと左右両縁11c,11dとから上方に延びる縦壁部12,13,14と、を設けて、底壁部11の左右両縁の縦壁部13,14を徐々に低くして前方に延ばしつつ、左右両縁の縦壁部13,14の下端相互を連結するように、底壁部11の前縁11aから斜め前上方向に傾斜して延びるように、平坦面部位17を形成して、底壁部11の前縁11aに、縦壁部を設けないように構成している。この場合でも、水滴等が底壁部11上に溜まった際には、縦壁部12,13,14や平坦面部位17により、溜まった水滴等をフロアマット9Aの外周縁から自動車自体のフロア1に垂らさないことから、フロア1を汚さない。
【0067】
さらに、このフロアマット9Aでは、底壁部11の前縁11a自体に、屈曲して上方へ延びる縦壁部15を設けないようにして、平坦面部位17を形成している。そのため、フロアマット9Aでは、図9に示すように、縦壁部15が無い分、前方へ向かう方向でのフロア1の傾斜部3からタイヤハウス6の表面6a側にかけて、密着させて配設し易く、一層、操作時のペダルAPとの接触自体を回避可能となる。
【0068】
なお、このような構成の場合、図10,11に示す第3実施形態のフロアマット9Bのように、平坦面部位17の前端17a側を高くするように、平坦面部位17を、底壁部11から斜め上方に延びて上がる角度を大きくして、左右の縦壁部13,14から離脱させるように構成してもよい。
【0069】
また、第1実施形態では、隅部18R,18L付近に円弧状折目予定部21を二つ配設した場合を示したが、頂点18a付近を中心とした半径寸法Rを200〜300mm程度の範囲内の略1/3〜1/12円、望ましくは、略1/4〜1/10円、さらに望ましくは、略1/8円程度の円弧状であれば、図12に示す第4実施形態のフロアマット9Cに示すように、円弧状折目予定部21を隅部18R,18L付近に一つだけ配設させたり、あるいは、図13に示す第5実施形態のフロアマット9Dに示すように、円弧状折目予定部21を隅部18R,18L付近に、略同心的に、3つずつ以上の円弧状折目予定部21を配設させてもよい。
【0070】
ちなみに、折目予定部20の略円弧状とは、厳密な円弧を指すものではなく、フロアマット9の前縁9bから側縁9c,9dまで頂点18aを囲うように弧状に連なって、折目予定部20で折り曲げられた際、カバー部19が球殻状の曲面状に曲がることができれば、楕円や二次曲線等を除外するものではない。
【0071】
さらに、略同心的に複数の円弧状折目予定部21を配設する場合には、図14,15に示す第6実施形態のフロアマット9Eのように、構成してもよい。
【0072】
このフロアマット9Eでは、折目予定部20が、略同心的に配設される複数の円弧状折目予定部21と、連結円弧状折目予定部24と、を備えて構成されている。略同心的に配置される円弧状折目予定部21は、隅部18R,18Lの頂点18a付近に接近した小径側円弧状折目予定部22と、小径側円弧状折目予定部に隣接して、隅部18Rの頂点18a付近から離れた側の大径側円弧状折目予定部23と、から構成されている。連結円弧状折目予定部24は、小径側円弧状折目予定部22と大径側円弧状折目予定部23との相互に離れたフロアマット9Eの外周縁側の端末相互(前端22aと横端23bとの相互)を、小径側円弧状折目予定部22と大径側円弧状折目予定部23との間で、略1/8の円弧状に連結する凹溝20b(凹部20a)から、形成されている。
【0073】
この第6実施形態のフロアマット9Eでは、図15のBに示すように、大径側円弧状折目予定部23に折目FCを付けて折り曲げたり、図15のCに示すように、小径側円弧状折目予定部22に折目FCを付けて折り曲げたりする他、図15のDに示すように、連結円弧状折目予定部24に折目FCを付けて折り曲げることができる。すなわち、同心的な円弧状折目予定部22,23の間で、小径側円弧状折目予定部22と大径側円弧状折目予定部23との相互に反対側の端部となる前端22aと横端23bとを結ぶような連結円弧状折目予定部24が、その前端24aから横端24bまでの範囲を、カバー部19自体やその近傍の一般部10の重量により、フロア側に接近するように低く配置させて、カバー部19をタイヤハウスの表面側に密着させることも可能となり、タイヤハウスの異なった形状に対応するバリエーションを、増やすことができる。
【0074】
換言すれば、同心的に配置される複数の円弧状折目予定部内の一つずつの円弧状折目予定部22,23だけでは、フロア側に接近させ難い場合、連結円弧状折目予定部24が、前端24a付近から横端24b付近までの略全域をフロア側に密着若しくは接近させつつ、連結円弧状折目予定部24より隅部18Rの頂点18a側に位置する部位のカバー部19を、タイヤハウスの表面側に密着させるように、曲面状に曲げることが可能となる。
【0075】
なお、連結円弧状折目予定部24は、図16に示す第7実施形態のフロアマット9Fのように、大径側円弧状折目予定部23の前端23aと小径側円弧状折目予定部22の横端22bとを連結するように、配設したり、あるいは、図17に示す第8実施形態のフロアマット9Gのように、小径側円弧状折目予定部22の前端22aと大径側円弧状折目予定部23の横端23bとを連結する連結円弧状折目予定部24Eと、大径側円弧状折目予定部23の前端23aと小径側円弧状折目予定部22の横端22bとを連結する連結円弧状折目予定部24Fと、の二つを設けてもよい。
【0076】
また、カバー部19が、タイヤハウス6の表面6a側に密着できるように、折目予定部21に折目FCを付けて、一般部10から折り曲げれられれば、隅部18付近に設ける折目予定部としては、図18に示す第9実施形態のフロアマット9Hや図19に示す第10実施形態のフロアマット9Iのように、大径側円弧状折目予定部23から前縁9bにかけて、前後方向に沿って前方に延びる補助折目予定部26,27を設けてもよい。このように構成すれば、補助折目予定部26,27と横端23b付近の大径側円弧状折目予定部23とに折目を付けて、隅部18の頂点18a付近を、一般部10から折り曲げることができる。そのため、フットレスト部4が配設されている部位にフロアマット9H,9Iを配設する場合、フットレスト部4付近の隅部18を、浮き上がりを抑えて、フットレスト部4に密着若しくは接近させて、配設させることができる。
【0077】
なお、第1実施形態のフロアマット9では、三層構造のものを例示したが、二層構造、あるいは、四層以上の多層構造でもよく、さらに、ポリ塩化ビニル等の合成樹脂、あるいは、ゴム等からなる単層構造の一体成形品から、フロアマットを形成してもよい。
【0078】
但し、フロアマットとしては、全域が容易に撓むのではなく、折目予定部20が折目FCを付けて折り曲げられた際、カバー部19が、上方に出っ張るような球殻を構成する曲面状に曲がるように、ある程度の形状を維持できる剛性を確保して、形成される必要がある。
【0079】
また、図26,27に示すように、フロアマット9Kが、第1実施形態と近似して、上面側に、タフトカーペット等の織布や不織布等の繊維層81aからなる表皮層81を配設させて、一般部10とカバー部19とを構成する略長方形板状のマット本体80と、繊維層81aのほつれ防止用に、マット本体80の外周縁80aに外周縁80aを包んで、縫合や接着等により取り付けられる可撓性を有した布製のテープ材85と、から構成してもよい。
【0080】
この場合、折目予定部20は、第1実施形態と同様に、マット本体80における平坦なシート状の平坦面部位17における裏面側で、マット本体80の表面側に凹み、かつ、マット本体80の前縁9bと側縁9c,9dとの端まで連続的に連ならせた凹溝20bとして、形成する。
【0081】
このフロアマット9Kでは、上面側に繊維層81aからなる表皮層81を配設させて構成され、かつ、折目予定部20の凹溝20bも裏面側に配設されて表面側から目視できないことから、使用時、自動車のタフトカーペット等を設けたフロアと違和感無く使用でき、また、テープ材85により、繊維層81aのほつれを防止できて、耐久性よく使用できる。
【0082】
さらに、マット本体80がテープ材85を設けていても、折目予定部20の凹溝20bが、マット本体80の前縁9bと側縁9c,9dとの端まで連続的に連ならせて形成されていることから、使用時、可撓性を有したテープ材85を曲げつつ、円滑に折り曲げられて、カバー部19が、立体的な球殻を形成しつつ円滑にタイヤハウスを覆うことができる。
【0083】
また、第1,2実施形態のフロアマット9,9Aの平坦面部位17の左右方向の中央付近が撓み易く、形状保持し難い場合には、図22,23に示すように、縦壁部15の上端15a付近に、左右方向に沿って、ビードやリブ等の補強部17bを設けたり、図24,25に示すように、平坦面部位17の後部付近に、左右の縦壁部13,14相互を連結するように、左右方向に延びるビードやリブ等の補強部17bを設けてもよい。なお、これらの補強部17bは、折目予定部20を外した部位に設けることが望ましいが、折目予定部20に円滑に折目FCが形成されれば、折目予定部20と交差させて、平坦面部位17の前端17a付近に形成してもよい。
【0084】
また、各実施形態の円弧状折目予定部21(22,23)は、連続的なV字溝からなる凹溝20b(凹部20a)を連ならせて形成するものを示したが、凹溝20bは、V字溝の他、U字溝、角溝、台形溝等の種々の形状を採用できる。さらに、カバー部19側が円滑に折り曲げられれば、円弧状折目予定部21(22,23)は、凹溝20b(凹部20a)を略円弧状に断続的に連ならせて、形成してもよい。
【0085】
例えば、カバー部19が、タイヤハウス6の表面6a側に密着できるように、折目予定部20に折目を付けて、一般部10から曲面状に折り曲げられれば、図20,21に示す第11実施形態のフロアマット9Jのように、丸穴状に凹んだ凹部20cを、略1/8円弧状に配置させるように、多数付けて、折目予定部20(円弧状折目予定部21)を形成してもよい。
【0086】
さらに、各実施形態では、自動車のフロア1の上面に直接載せるフロアマットについて説明したが、フロア1に純正マットが配設されている場合には、その純正マットの上面に載せる補助マットとして、本発明のフロアマットを使用してもよいことは勿論である。
【符号の説明】
【0087】
1…フロア、6…タイヤハウス、9,9A,9B,9C,9D,9E,9F,9G,9H,9I,9J,9K…フロアマット、9b…前縁、9c,9d…側縁、10…一般部、11…底壁部、12,13,14,15…縦壁部、17…平坦面部位、18,18R,18L…隅部、18a…頂点、19…カバー部、20…折目予定部、20a,20c…凹部、20b…凹溝、21…円弧状折目予定部、22…小径側円弧状折目予定部、23…大径側円弧状折目予定部、24…連結円弧状折目予定部、80…マット本体、80a…外周縁、81…表皮層、81a…繊維層、85…テープ材、FC…折目、DS…運転席、AP…(アクセル)ペダル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の運転席の足下のフロアに配設される際、タイヤハウス近傍のペダルの下方に、隅部付近を配設可能な略長方形板状の自動車用フロアマットであって、
前記フロアマットを運転席の足下のフロアに配設した際に、前記隅部付近を前記タイヤハウスの表面側に当てて折り曲げ可能な薄肉の折目予定部が、前記フロアマットの前部側における前記タイヤハウス側の隅部付近に、配設され、
前記折目予定部が、
前記隅部の頂点付近を囲うように、連続的若しくは断続的な略円弧状に形成されるとともに、
折目の形成時、折目を間にした前記隅部の頂点側を、前記タイヤハウスの表面側に接触しつつ、前記タイヤハウスの表面側に沿って曲面状に曲がり可能なカバー部とし、かつ、折目を間にした前記隅部から離れる側を、前記タイヤハウス近傍からフロア側に接近若しくは密着可能な一般部とするように、形成されていることを特徴とする自動車用フロアマット。
【請求項2】
前記折目予定部が、裏面側に配設されて、表面側に凹む凹部から形成されていることを特徴とする請求項1に記載の自動車用フロアマット。
【請求項3】
前記折目予定部が、前記隅部の頂点付近を囲うように、前縁と側壁との端まで連なる連続的若しくは断続的な略円弧状の溝状として、略同心的に、複数形成されていることを特徴とする請求項1若しくは請求項2に記載の自動車用フロアマット。
【請求項4】
前記折目予定部が、
略同心的に配設される複数の円弧状折目予定部と、
複数の前記円弧状折目予定部の内の前記隅部の頂点付近に接近した小径側円弧状折目予定部と、該小径側円弧状折目予定部に隣接して、前記隅部の頂点付近から離れた側の大径側円弧状折目予定部と、の相互に離れた前記フロアマットの外周縁側の端末相互を、前記小径側円弧状折目予定部と前記大径側円弧状折目予定部との間で、略円弧状に連結する連結円弧状折目予定部と、
を備えて構成されていることを特徴とする請求項3に記載の自動車用フロアマット。
【請求項5】
前記一般部が、底壁部と、該底壁部の周縁の前縁側を除く少なくとも後縁と左右両縁とから上方に延びる縦壁部と、を備えてなるトレーマットタイプとして、構成されて、
前記折目予定部が、前記一般部の前方側における平坦面部位に、形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の自動車用フロアマット。
【請求項6】
上面側に繊維層からなる表皮層を配設させて、前記一般部と前記カバー部とを構成する略長方形板状のマット本体と、
前記繊維層のほつれ防止用に、前記マット本体の外周縁に該外周縁を包んで取り付けられる可撓性を有したテープ材と、
から構成され、
前記折目予定部が、前記マット本体の裏面側で前記マット本体の表面側に凹み、かつ、前記マット本体の前縁と側縁との端まで連続的に連ならせた凹溝を設けて、形成されていることを特徴とする請求項2乃至請求項5のいずれか1項に記載の自動車用フロアマット。
【請求項7】
自動車の前席の運転席若しくは助手席の足下のフロアで共用可能に、前記折目予定部が、前部の左右両側の隅部側に、左右対称的に配設されていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の自動車用フロアマット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2013−6582(P2013−6582A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−30464(P2012−30464)
【出願日】平成24年2月15日(2012.2.15)
【出願人】(507292173)エイ・エス・ケイジャパン株式会社 (2)
【Fターム(参考)】