説明

自動車用ヘッドランプ制御回路

【課題】 簡素な構成で、かつ各国毎のDRLへの対応を容易に可能にする。
【解決手段】 ドライバーによってイグニッションキー51がオンにされ、パーキングブレーキ52が解除されると、マイコン3によってDRLの作動条件を満足したと判別され、マイコン3から半導体スイッチング素子1の制御端子P11にデューティ比50%のPWM信号が、マイコン3から半導体スイッチング素子2の制御端子P21にロー信号が入力される。これによって、ハイビームランプL11,L21の光量が低減されて点灯し、DRLが作動する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車に配設されたヘッドランプの点灯を制御するための自動車用ヘッドランプ制御回路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】北欧や北米では、特に冬には日中でも日照量が少ないため、日中における自動車のヘッドランプの点灯が義務付けられている。そこで、これらの国で販売される自動車には、ドライバーによるランプスイッチの入れ忘れや、スイッチ操作の手間を省くために、DRL(Daytime Running Light)と称されるランプ制御システムが具備されている。
【0003】例えばカナダで販売される自動車に備えられるDRLによれば、イグニッションキーがオンにされ、かつパーキングブレーキがオフにされた状態で、ランプコントロールスイッチのヘッドランプスイッチがオンにされていなければ、ヘッドランプのハイビームが通常使用時より減光されて点灯する。そして、ドライバーによってヘッドランプスイッチがオンにされると、ヘッドランプの照度が通常レベルに戻るとともに、通常のランプ動作に戻るようになっている。
【0004】更に、DRLには、■一旦点灯すると、パーキングブレーキを入れても消灯しないこと。
■エンストしても消灯しないこと。
■イグニッションキーのオフにより消灯すること。
■DRL点灯中は、ヘッドランプのハイロー切換を不可能にすること。
という制約が課されており、これらは、複数のリレー及びリレーの切換を制御するロジック回路を用いて実現されている。
【0005】図4は従来のDRL機能を有するヘッドランプの制御回路である。左右のヘッドランプB1,B2には、それぞれハイビームランプL11,L21と、ロービームランプL12,L22が配設されている。
【0006】そして、通常使用においてヘッドランプB1,B2のハイビームランプL11,L21を点灯するときは、制御部11によって、リレーRLY1を端子Bに接続し、リレーRLY2をオンにし、リレーRLY3を端子Cに接続する。
【0007】この接続状態では、ハイビームランプL11の左端側がリレーRLY1によってバッテリー12の+端子に接続され、ハイビームランプL21の右端側がリレーRLY3によってバッテリー12の+端子に接続され、ハイビームランプL11とハイビームランプL21との接続点側がリレーRLY2によってアースラインに接続される。従って、バッテリー12の+端子とアースラインとの間に、ハイビームランプL11,L21が並列接続されることになり、各ハイビームランプL11,L21にバッテリー電圧VBが印加されて、各ハイビームランプL11,L21は通常の照度で点灯する。
【0008】一方、DRLを作動させるときは、制御部11によって、リレーRLY1を端子Bに接続し、リレーRLY2をオフにし、リレーRLY3を端子Dに接続する。
【0009】この接続状態では、ハイビームランプL11の左端側がリレーRLY1によってバッテリー12の+端子に接続され、ハイビームランプL21の右端側がリレーRLY3によってアースラインに接続され、ハイビームランプL11とハイビームランプL21との接続点側は、リレーRLY2によってアースラインとの接続が切断される。従って、バッテリー12の+端子とアースラインとの間に、ハイビームランプL11,L21が直列接続されることになり、各ハイビームランプL11,L21には、VB/2の電圧が印加されて、各ハイビームランプL11,L21は通常の照度より減光された照度で点灯する。
【0010】従来、上記図4のように、バッテリーから左右のヘッドランプへの接続を直列と並列で切り換える他に、ヘッドランプと電力線の間に抵抗を接続するとともに、この抵抗と並列にリレーの接点を接続し、リレーのオン、オフによって抵抗の両端間の短絡と開放とを切り換えることなどによって、通常使用の場合とDRLシステムの場合とでヘッドランプの照度のレベルが切り換えられていた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、DRLの動作論理は国によって異なるので、ランプ制御回路の配線やロジック回路を各国毎に適合するように構成する必要があり、このためにDRLを構成するのに手間がかかるとともに、DRL構成部品の量産効果を発揮しにくいのでコストが高くつく問題があった。また、DRLを装備しない自動車に比べてワイヤハーネスの構成が複雑になる問題があった。
【0012】本発明は、上記問題を解決するもので、簡素な構成で、かつ各国毎のDRLへの対応が容易に可能な自動車用ヘッドランプ制御回路を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、電源からハイビームランプ及びロービームランプを有するヘッドランプへの電力供給を制御する自動車用ヘッドランプ制御回路において、上記ハイビームランプと上記電源との間に設けられ、制御端子に入力される制御信号に応じて上記ハイビームランプと上記電源との接続をオン、オフする半導体スイッチング素子と、この半導体スイッチング素子の制御端子に制御信号を入力する制御手段とを備え、上記制御手段は、予め定められた減光点灯条件が成立したか否かを判定し、減光点灯条件が成立したときに、予め設定された設定デューティ比のPWM信号からなる制御信号を上記半導体スイッチング素子の制御端子に入力するものである(請求項1)。
【0014】この構成によれば、減光点灯条件が成立したと判定されると、予め設定された設定デューティ比のPWM信号からなる制御信号が半導体スイッチング素子の制御端子に入力され、半導体スイッチング素子が設定デューティ比でオン、オフすることにより、設定デューティ比に応じた光量でハイビームランプが点灯し、簡素な構成で容易にDRLが行われる。また、制御手段において、減光点灯成立条件や、その解除条件の変更、設定デューティ比の変更による光量の変更が容易に可能であり、国によるDRLの動作論理の相違に容易に対処し得る。
【0015】なお、本発明では、「デューティ比」は、(1周期において制御信号が半導体スイッチング素子をオン状態にするレベルの時間)/(1周期)を意味するものとする。
【0016】また、請求項1記載の自動車用ヘッドランプ制御回路において、上記ロービームランプと上記電源との間に設けられ、制御端子に入力される制御信号に応じて上記ロービームランプと上記電源との接続をオン、オフする第2の半導体スイッチング素子と、外部からの操作を受けて上記ハイビームランプの点灯指示信号を上記制御手段に送出するハイビームランプ点灯指示手段と、外部からの操作を受けて上記ロービームランプの点灯指示信号を上記制御手段に送出するロービームランプ点灯指示手段とを備え、上記制御手段は、上記ハイビームランプの点灯指示信号が入力されると、上記設定デューティ比より大きいデューティ比のPWM信号からなる制御信号を上記半導体スイッチング素子の制御端子に入力し、一方、上記ロービームランプの点灯指示信号が入力されると、上記半導体スイッチング素子の制御端子へ上記半導体スイッチング素子をオフにさせる制御信号を入力するとともに、上記設定デューティ比より大きいデューティ比のPWM信号からなる制御信号を上記第2の半導体スイッチング素子の制御端子に入力するものである(請求項2)。
【0017】この構成によれば、ハイビームランプの点灯指示信号が入力されると、上記設定デューティ比より大きいデューティ比のPWM信号からなる制御信号が半導体スイッチング素子の制御端子に入力され、一方、ロービームランプの点灯指示信号が入力されると、半導体スイッチング素子の制御端子へ半導体スイッチング素子をオフにさせる制御信号が入力されるとともに、上記設定デューティ比より大きいデューティ比のPWM信号からなる制御信号が第2の半導体スイッチング素子の制御端子に入力されることにより、簡素な構成で、DRLより光量レベルの大きい通常のハイビームランプ又はロービームランプの点灯が行われる。
【0018】なお、本発明では、「設定デューティ比より大きいデューティ比」には、制御信号が常に半導体スイッチング素子をオン状態にする場合が含まれる。
【0019】また、請求項1又は2記載の自動車用ヘッドランプ制御回路において、上記ハイビームランプと上記電源との間に上記半導体スイッチング素子と並列に設けられ、外部からの操作を受けてオン状態とオフ状態とに切り換わるスイッチ手段を備えたものである(請求項3)。
【0020】この構成によれば、ハイビームランプと電源との間に半導体スイッチング素子と並列に設けられたスイッチ手段を外部から操作し、オフ状態からオン状態に切り換えることにより、ハイビームランプと電源との間が遮断状態から導通状態に切り換わり、制御手段又は半導体スイッチング素子に異常が生じた場合でも、ハイビームランプの点灯が可能になる。
【0021】また、請求項1記載の自動車用ヘッドランプ制御回路において、上記ロービームランプと上記電源との間に設けられ、外部からの操作を受けて上記ロービームランプと上記電源との間を遮断状態から導通状態に切り換える切換手段と、外部からの操作を受けて上記ハイビームランプの点灯指示信号を上記制御手段に送出するハイビームランプ点灯指示手段とを備え、上記制御手段は、上記ハイビームランプの点灯指示信号が入力されると、上記設定デューティ比より大きいデューティ比のPWM信号からなる制御信号を上記半導体スイッチング素子の制御端子に入力し、一方、上記切換手段により上記ロービームランプと上記電源との間が導通状態に切り換えられると、上記半導体スイッチング素子の制御端子へ上記半導体スイッチング素子をオフにさせる制御信号を入力するものである(請求項4)。
【0022】この構成によれば、ハイビームランプの点灯指示信号が入力されると、上記設定デューティ比より大きいデューティ比のPWM信号からなる制御信号が半導体スイッチング素子の制御端子に入力され、ロービームランプと電源との間に設けられた切換手段を外部から操作して、ロービームランプと電源との間が遮断状態から導通状態に切り換えられると、半導体スイッチング素子の制御端子へ半導体スイッチング素子をオフにさせる制御信号が入力されることにより、半導体スイッチング素子及び制御手段、又は切換手段のいずれか一方に異常が生じたような場合でも、正常な他方を用いてハイビームランプ又はロービームランプのいずれか一方の点灯が可能になり、これによって、ヘッドランプの操作性が向上し、自動車の安全性が向上する。
【0023】また、請求項1〜4のいずれかに記載の自動車用ヘッドランプ制御回路において、イグニッションキーがオンにされたか否かを検出するイグニッションキー検出手段と、パーキングブレーキが解除されたか否かを検出するパーキングブレーキ検出手段とを備え、上記制御手段は、イグニッションキーのオンが検出され、次いで、パーキングブレーキの解除が検出されたときに、上記減光点灯条件が成立したと判定するものである(請求項5)。
【0024】この構成によれば、イグニッションキーのオンが検出され、次いで、パーキングブレーキの解除が検出されたときに、減光点灯条件が成立したと判定されることにより、簡素な構成で確実にDRLが行われる。
【0025】
【発明の実施の形態】図1は本発明に係る自動車用ヘッドランプ制御回路の第1実施形態を示すブロック図である。この自動車用ヘッドランプ制御回路は、左右のヘッドランプB1,B2と、半導体スイッチング素子1,2と、マイクロコンピュータ(以下、「マイコン」という。)3と、バッテリー4と、操作部5と、緊急用ヘッドランプスイッチSW1とを備えており、左のヘッドランプB1は、内部に2本のフィラメントからなるハイビームランプL11とロービームランプL12とを備え、右のヘッドランプB2は、同様にハイビームランプL21とロービームランプL22とを備えている。
【0026】左のハイビームランプL11の左端はアースラインに接続され、右端は右のハイビームランプL21の左端に接続されており、右のハイビームランプL21の右端はアースラインに接続されている。また、左のロービームランプL12の左端はアースラインに接続され、右端は右のロービームランプL22の左端に接続されており、右のロービームランプL22の右端はアースラインに接続されている。
【0027】半導体スイッチング素子1は、制御端子P11とスイッチ端子P12,P13とを備え、制御端子P11に所定の制御信号が入力されると、スイッチ端子P12,P13間を導通するもので、制御端子P11はマイコン3の出力端子に、スイッチ端子P12はバッテリー4の正極に、スイッチ端子P13は左右のハイビームランプL11,L21の接続点に、それぞれ接続されている。
【0028】半導体スイッチング素子2は、制御端子P21とスイッチ端子P22,P23とを備え、制御端子P21に所定の制御信号が入力されると、スイッチ端子P22,P23間を導通するもので、制御端子P21はマイコン3の出力端子に、スイッチ端子P22はバッテリー4の正極に、スイッチ端子P23は左右のロービームランプL12,L11の接続点に、それぞれ接続されている。
【0029】半導体スイッチング素子1,2は、スイッチング周波数が100Hz程度以上の高速スイッチングが可能な素子で、MOSFETなどの電界効果トランジスタや、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)などのバイポーラトランジスタを用いることができる。なお、電圧駆動が可能によりスイッチング制御を容易に行え、オン抵抗が低いので、MOSFETが最も好ましい。
【0030】操作部5は、ドライバーが操作するもので、イグニッションキー51と、パーキングブレーキ52と、ランプコントロールスイッチ53とを備え、それぞれ操作信号がマイコン3に入力されるようになっている。ランプコントロールスイッチ53は、ハイビームランプ又はロービームランプや、テールランプなどのランプの点灯を指示するためのものである。
【0031】緊急用ヘッドランプスイッチSW1は、ドライバーが操作するもので、その一端がバッテリー4の正極に接続され、他端が左右のハイビームランプL11,L21の接続点に接続されている。
【0032】マイコン3は、左右のヘッドランプB1,B2の点灯を制御するもので、ランプコントロールスイッチ53によってハイビームランプの点灯が指示されると、半導体スイッチング素子1の制御端子P11にハイレベル信号を出力し、スイッチ端子P12,P13間を導通させることによって、ハイビームランプL11,L21を点灯させるものである。また、ランプコントロールスイッチ53によってロービームランプの点灯が指示されると、半導体スイッチング素子2の制御端子P21にハイレベル信号を出力し、スイッチ端子P22,P23間を導通させることによって、ロービームランプL12,L22を点灯させるものである。
【0033】また、マイコン3は、イグニッションキー51がオンにされ、パーキングブレーキ52が解除されると、予め設定されたデューティ比(例えば、50%)で、スイッチング周波数が100Hz程度以上のPWM(Pulse Width Modulation)信号からなる制御信号を半導体スイッチング素子1の制御端子P11に出力することによって、ハイビームランプL11,L21の光量を低減して点灯させるDRL機能を有している。
【0034】次に、図2のタイミングチャートを用いて動作について説明する。ドライバーによってイグニッションキー51がオンにされ、パーキングブレーキ52が解除されると、マイコン3によってDRLの作動条件を満足したと判別され、図2(a)に示すように、マイコン3から半導体スイッチング素子1の制御端子P11にデューティ比50%のPWM信号が、マイコン3から半導体スイッチング素子2の制御端子P21にロー信号が入力される。これによって、ハイビームランプL11,L21の光量が低減されて点灯し、DRLが作動する。
【0035】なお、このDRLが一旦作動すると、途中でパーキングブレーキ52がオンにされてもマイコン3はDRLを解除せずに保持し、低減した光量でのハイビームランプL11,L21の点灯が継続される。
【0036】そして、DRLの作動中に、ドライバーによってランプコントロールスイッチ53が操作され、ハイビームランプの点灯が指示されると、図2(b)に示すように、マイコン3から半導体スイッチング素子1の制御端子P11にハイレベル信号が入力される。これによって、DRLは解除され、ハイビームランプL11,L21は通常の光量で点灯する。
【0037】一方、DRLの作動中に、ドライバーによってランプコントロールスイッチ53が操作され、ロービームランプの点灯が指示されると、図2(c)に示すように、マイコン3から半導体スイッチング素子1の制御端子P11にローレベル信号が入力され、半導体スイッチング素子2の制御端子P21にハイレベル信号が入力される。これによって、DRLは解除され、ロービームランプL21,L22が点灯する。
【0038】なお、半導体スイッチング素子1又はマイコン3に異常が生じて、ハイビームランプL11,L21の点灯が不可能になった場合には、緊急用ヘッドランプスイッチSW1をオンにすることによって、ハイビームランプL11,L21を強制的に点灯させることができる。
【0039】このように、第1実施形態によれば、マイコン3から半導体スイッチング素子1の制御端子P11に所定のデューティ比のPWM信号を入力するようにしたので、簡素な配線構成で、ハイビームランプL11,L21の光量を低減して容易にDRLを作動させることができる。
【0040】また、DRL作動中において、ランプコントロールスイッチ53の操作によりテールランプの点灯が指示されるとDRLを解除するDRL仕様や、テールランプの点灯指示ではDRLを解除しないDRL仕様などの多様なDRL仕様に対して、マイコン3の制御プログラムを書き換えることによって対応することができるので、同一の回路構成で容易に、DRLに関する法規の異なる国々に対応することができる。
【0041】また、緊急用ヘッドランプスイッチSW1を設けることによって、半導体スイッチング素子1又はマイコン3に異常が生じたような緊急時でも、ハイビームランプL11,L21の強制的な点灯を可能にしたので、ヘッドランプの操作性を向上することができる。
【0042】なお、緊急用ヘッドランプスイッチSW1は、非常時のみにボタンを押すものであるので、表面を赤色又は蛍光色に着色するなど目立つようにしてもよい。
【0043】図3は本発明に係る自動車用ヘッドランプ制御回路の第2実施形態を示すブロック図である。第2実施形態は、第1実施形態の半導体スイッチング素子2及び緊急用ヘッドランプスイッチSW1に代えて、リレー6及びヘッドランプスイッチ54を備えており、リレー6は、励磁コイル及び常開接点を有し、ヘッドランプスイッチ54は、コモン接点54C、中立接点54N、ハイ接点54H及びロー接点54Lを有している。
【0044】リレー6の励磁コイルの一端はバッテリー4の正極に接続され、他端は抵抗R1、R2を介してアースラインに接続されている。また、リレー6の常開接点の一方はバッテリー4の正極に接続され、他方はロービームランプL12,L22の接続点に接続されている。
【0045】ヘッドランプスイッチ54のコモン接点54Cはアースラインに接続され、ハイ接点54Hはマイコン3の入力端子P31に接続されるとともに、抵抗R3を介してバッテリー4の正極に接続されている。また、ロー接点54Lはマイコン3の入力端子P32に接続されるとともに、抵抗R1,R2の接続点に接続されている。
【0046】なお、抵抗R2〜R4は、抵抗値の高い(例えば、数MΩ)ものが採用されている。また、第2実施形態のランプコントロールスイッチ53は、ヘッドランプ以外のランプ点灯を指示するものである。
【0047】次に、第2実施形態の動作について説明する。ドライバーによってイグニッションキー51がオンにされ、パーキングブレーキ52が解除されると、第1実施形態と同様に、DRLが作動する。
【0048】そして、DRLの作動中に、ドライバーによってヘッドランプスイッチ54が操作され、コモン接点54Cとハイ接点54Hが接続されると、マイコン3の入力端子P31がハイレベルからローレベルに低下することによってこの操作が検出され、第1実施形態と同様に、マイコン3から半導体スイッチング素子1の制御端子P11にハイレベル信号が入力され、これによってDRLは解除され、ハイビームランプL11,L21は通常の光量で点灯する。
【0049】一方、DRLの作動中に、ドライバーによってヘッドランプスイッチ54が操作され、コモン接点54Cとロー接点54Lが接続されると、マイコン3の入力端子P32がハイレベルからローレベルに低下することによってこの操作が検出され、第1実施形態と同様に、マイコン3から半導体スイッチング素子1の制御端子P11にローレベル信号が入力される。また、コモン接点54Cとロー接点54Lの接続によってリレー6の励磁コイルに励磁電流が流れ、これによって常開接点が導通され、ロービームランプL21,L22がバッテリー4の正極に接続される。これによって、DRLは解除され、ロービームランプL21,L22が点灯する。
【0050】このように、第2実施形態によれば、第1実施形態と同様に、簡素な配線構成で、ハイビームランプL11,L21の光量を低減して容易にDRLを作動させることができるとともに、同一の回路構成で容易に、DRLに関する法規の異なる国々に対応することができる。
【0051】また、光量を低減する必要のあるハイビームランプL11,L21は、マイコン3から半導体スイッチング素子1の制御端子P11に制御信号を入力することによって点灯を制御し、光量を低減する必要のないロービームランプL21,L22は、ヘッドランプスイッチ54及び機械的なリレー6を用いて点灯を制御するようにしたので、半導体スイッチング素子1及びマイコン3、又はリレー6のいずれか一方に異常が生じたような場合でも、正常な他方を用いてハイビームランプL11,L21又はロービームランプL12,L22のいずれか一方を点灯することができる。これによって、ヘッドランプの操作性を向上し、自動車の安全性を向上することができる。
【0052】なお、上記各実施形態において、DRL作動時にマイコン3から半導体スイッチング素子1の制御端子P11に入力するPWM信号のデューティ比は、50%に限られず、法規で定められる必要な光量に応じて設定すればよい。
【0053】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、減光点灯条件が成立したと判定されると、予め設定された設定デューティ比のPWM信号からなる制御信号を半導体スイッチング素子の制御端子に入力し、半導体スイッチング素子を設定デューティ比でオン、オフさせるようにしたので、設定デューティ比に応じた光量でハイビームランプを点灯させることができ、簡素な構成で容易にDRLを行うことができる。
【0054】また、ハイビームランプの点灯指示信号が入力されると、上記設定デューティ比より大きいデューティ比のPWM信号からなる制御信号を半導体スイッチング素子の制御端子に入力し、一方、ロービームランプの点灯指示信号が入力されると、半導体スイッチング素子の制御端子へ半導体スイッチング素子をオフにさせる制御信号を入力するとともに、上記設定デューティ比より大きいデューティ比のPWM信号からなる制御信号を第2の半導体スイッチング素子の制御端子に入力することにより、簡素な構成で、DRLより光量レベルの大きい通常のハイビームランプ又はロービームランプの点灯を行うことができる。
【0055】また、ハイビームランプと電源との間に設けられたスイッチ手段を外部から操作し、オフ状態からオン状態に切り換えて、ハイビームランプと電源との間を遮断状態から導通状態に切り換えることにより、制御手段又は半導体スイッチング素子に異常が生じた場合でも、ハイビームランプを点灯することができ、これによってヘッドランプの操作性を向上することができるとともに、自動車の安全性を向上させることができる。
【0056】また、ハイビームランプの点灯指示信号が入力されると、上記設定デューティ比より大きいデューティ比のPWM信号からなる制御信号を半導体スイッチング素子の制御端子に入力し、ロービームランプと電源との間に設けられた切換手段を外部から操作して、ロービームランプと電源との間が遮断状態から導通状態に切り換えられると、半導体スイッチング素子の制御端子へ半導体スイッチング素子をオフにさせる制御信号を入力することにより、半導体スイッチング素子及び制御手段、又は切換手段のいずれか一方に異常が生じたような場合でも、正常な他方を用いてハイビームランプ又はロービームランプのいずれか一方を点灯することができ、これによって、ヘッドランプの操作性を向上することができるとともに、自動車の安全性を向上させることができる。
【0057】また、イグニッションキーのオンが検出され、次いで、パーキングブレーキの解除が検出されたときに、減光点灯条件が成立したと判定することにより、簡素な構成で確実にDRLを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る自動車用ヘッドランプ制御回路の第1実施形態を示すブロック図である。
【図2】半導体スイッチング素子の制御端子に入力される制御信号のタイミングチャートである。
【図3】本発明に係る自動車用ヘッドランプ制御回路の第2実施形態を示すブロック図である。
【図4】従来のDRL機能を有するヘッドランプの制御回路である。
【符号の説明】
1,2 半導体スイッチング素子
3 マイコン(イグニッションキー検出手段、パーキングブレーキ検出手段、制御手段)
4 バッテリー
5 操作部
51 イグニッションキー
52 パーキングブレーキ
53 ランプコントロールスイッチ(ハイビームランプ点灯指示手段、ロービームランプ点灯指示手段)
54 ヘッドランプスイッチ(切換手段)
6 リレー(切換手段)
B1,B2 ヘッドランプ
L11,L12 ハイビームランプ
L21,L22 ロービームランプ
SW1 緊急用ヘッドランプスイッチ(スイッチ手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】 電源からハイビームランプ及びロービームランプを有するヘッドランプへの電力供給を制御する自動車用ヘッドランプ制御回路において、上記ハイビームランプと上記電源との間に設けられ、制御端子に入力される制御信号に応じて上記ハイビームランプと上記電源との接続をオン、オフする半導体スイッチング素子と、この半導体スイッチング素子の制御端子に制御信号を入力する制御手段とを備え、上記制御手段は、予め定められた減光点灯条件が成立したか否かを判定し、減光点灯条件が成立したときに、予め設定された設定デューティ比のPWM信号からなる制御信号を上記半導体スイッチング素子の制御端子に入力するものであることを特徴とする自動車用ヘッドランプ制御回路。
【請求項2】 請求項1記載の自動車用ヘッドランプ制御回路において、上記ロービームランプと上記電源との間に設けられ、制御端子に入力される制御信号に応じて上記ロービームランプと上記電源との接続をオン、オフする第2の半導体スイッチング素子と、外部からの操作を受けて上記ハイビームランプの点灯指示信号を上記制御手段に送出するハイビームランプ点灯指示手段と、外部からの操作を受けて上記ロービームランプの点灯指示信号を上記制御手段に送出するロービームランプ点灯指示手段とを備え、上記制御手段は、上記ハイビームランプの点灯指示信号が入力されると、上記設定デューティ比より大きいデューティ比のPWM信号からなる制御信号を上記半導体スイッチング素子の制御端子に入力し、一方、上記ロービームランプの点灯指示信号が入力されると、上記半導体スイッチング素子の制御端子へ上記半導体スイッチング素子をオフにさせる制御信号を入力するとともに、上記設定デューティ比より大きいデューティ比のPWM信号からなる制御信号を上記第2の半導体スイッチング素子の制御端子に入力するものであることを特徴とする自動車用ヘッドランプ制御回路。
【請求項3】 請求項1又は2記載の自動車用ヘッドランプ制御回路において、上記ハイビームランプと上記電源との間に上記半導体スイッチング素子と並列に設けられ、外部からの操作を受けてオン状態とオフ状態とに切り換わるスイッチ手段を備えたことを特徴とする自動車用ヘッドランプ制御回路。
【請求項4】 請求項1記載の自動車用ヘッドランプ制御回路において、上記ロービームランプと上記電源との間に設けられ、外部からの操作を受けて上記ロービームランプと上記電源との間を遮断状態から導通状態に切り換える切換手段と、外部からの操作を受けて上記ハイビームランプの点灯指示信号を上記制御手段に送出するハイビームランプ点灯指示手段とを備え、上記制御手段は、上記ハイビームランプの点灯指示信号が入力されると、上記設定デューティ比より大きいデューティ比のPWM信号からなる制御信号を上記半導体スイッチング素子の制御端子に入力し、一方、上記切換手段により上記ロービームランプと上記電源との間が導通状態に切り換えられると、上記半導体スイッチング素子の制御端子へ上記半導体スイッチング素子をオフにさせる制御信号を入力するものであることを特徴とする自動車用ヘッドランプ制御回路。
【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の自動車用ヘッドランプ制御回路において、イグニッションキーがオンにされたか否かを検出するイグニッションキー検出手段と、パーキングブレーキが解除されたか否かを検出するパーキングブレーキ検出手段とを備え、上記制御手段は、イグニッションキーのオンが検出され、次いで、パーキングブレーキの解除が検出されたときに、上記減光点灯条件が成立したと判定するものであることを特徴とする自動車用ヘッドランプ制御回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開平10−86746
【公開日】平成10年(1998)4月7日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平8−243741
【出願日】平成8年(1996)9月13日
【出願人】(395011665)株式会社ハーネス総合技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)