説明

自動車用モール

【課題】軽量で、アルミニウム、鋼材同等以上の低伸縮性を示し、耐衝撃性、耐食性に優れる自動車用モールを提供する。
【解決手段】上記自動車用モールを、熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを一対の引抜ロール間に通して引抜延伸する一次延伸に引き続き、引抜ロールの温度より高い温度で引抜延伸方向に二次延伸して得られる延伸熱可塑性ポリエステル樹脂シートからなる芯材をポリプロピレン系樹脂又はゴム材系の表面材で被覆してなるものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用モールに関し、さらに詳しくは軽量で、アルミニウム、鋼材同等以上の低伸縮性を示し、耐衝撃性、耐食性に優れる自動車用モールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ベルトモール、ウインドウモール、サイドモール等の自動車用モールにおいては、その芯材に金属材が用いられてきたものの、かかる金属材系では車体の軽量化を阻害し、また、耐食性に難があるので、近年、車体の軽量化や耐食性向上等のためオレフィン系樹脂等の樹脂材への代替が進んできている(例えば特許文献1参照)。
しかし、この樹脂製自動車用モールは、芯材を金属材とするものに比し、耐衝撃性、低伸縮性等の物性が十分ではないという問題を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−26668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、このような事情の下、軽量で、アルミニウム、鋼材同等以上の低伸縮性を示し、耐衝撃性、耐食性に優れる自動車用モールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、自動車用モールにおいて、その芯材とそれを被覆する表面材として特定のポリエステル樹脂とポリプロピレン系樹脂又はゴム材とを組み合わせて用いることにより、上記課題が達成されることを見出し、この知見に基づいて本発明をなすに至った。
【0006】
すなわち、本発明の第1の発明によれば、熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを一対の引抜ロール間に通して引抜延伸する一次延伸に引き続き、引抜ロールの温度より高い温度で引抜延伸方向に二次延伸して得られる延伸熱可塑性ポリエステル樹脂シートからなる芯材をポリプロピレン系樹脂又はゴム材系の表面材で被覆してなることを特徴とする自動車用モールが提供される。
【0007】
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、上記芯材が、延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを二次延伸後、熱固定されてなることを特徴とする自動車用モールが提供される。
【0008】
また、本発明の第3の発明によれば、第1の発明において、上記芯材が、延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを二次延伸後、熱固定され、さらにアニールされてなることを特徴とする自動車用モールが提供される。
【0009】
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明において、ポリプロピレン系樹脂がプロピレンホモポリマー、プロピレンとエチレン又は炭素数4以上のオレフィンとの共重合体であることを特徴とする自動車用モールが提供される。
【0010】
また、本発明の第5の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明において、ゴム材がエチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体ゴム、エチレン−1−ブテン−非共役ジエン共重合体ゴム、プロピレン−1−ブテン−非共役ジエン共重合体ゴムであることを特徴とする自動車用モールが提供される。
【0011】
また、本発明の第6の発明によれば、第1〜5のいずれかの発明において、熱可塑性ポリエステル系樹脂がポリエチレンテレフタレートであることを特徴とする自動車用モールが提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明の自動車用モールは、軽量で、アルミニウム、鋼材同等以上の低伸縮性を示し、耐衝撃性、耐食性に優れ、ドアベルトモール、サイドモール、ステップモール、ルーフモール、ルーフドリップモール、フロントウィンドモール、クォーターウィンドモール、フードトップモール、リアウィンドモール、グラスランチャンネル、バンパーモール等として好ましく適用しうるという利点がある。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の自動車用モールは、その芯材が、熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを少なくとも一組の一対の引抜ロール間に通して引抜延伸する一次延伸に引き続き、引抜ロールの温度より高い温度で引抜延伸方向に延伸して得られる延伸熱可塑性ポリエステル樹脂シートからなり、芯材を被覆する表面材がポリプロピレン系樹脂又はゴム材系のものであることで特徴付けられる。
【0014】
上記熱可塑性ポリエステル系樹脂シートにおける樹脂材の熱可塑性ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等のポリアルキレンテレフタレート、ポリグリコール酸、ポリ(L−乳酸)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート/ヒドロキシバリレート)、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリブチレンサクシネート/乳酸、ポリブチレンサクシネート/カーボネート、ポリブチレンサクシネート/テレフタレート、ポリブチレンアジペート/テレフタレート、ポリテトラメチレナジペート/テレフタレート、ポリブチレンサクシネート/アジペート/テレフタレート等が挙げられ、中でも耐熱性の優れたポリエチレンテレフタレートが好ましい。
【0015】
また、熱可塑性ポリエステル系樹脂シートは非晶状態であるのが好ましく、さらには結晶化度が10%未満、中でも5%未満であるのが好ましい。結晶化度は、例えば示差走査熱量計等で測定される。
【0016】
引抜延伸の際の熱可塑性ポリエステル系樹脂シートは、その温度が低すぎると延伸熱可塑性ポリエステル樹脂シートが白化したり、また、硬すぎて裂けたり、引き抜けなくなるので、引抜延伸前に、熱可塑性ポリエステル系樹脂のガラス転移温度−30℃以上の温度に予熱するのが好ましい。
【0017】
引抜延伸の際の一対の引抜ロールは、その温度が低すぎると延伸熱可塑性ポリエステル樹脂シートの温度が低下して該シートが白化したり、また、硬すぎて引き抜けなくなるし、また、高すぎても引抜延伸の際の摩擦熱等により樹脂温度が上昇して分子配向性が十分でなくなるので、好ましくは熱可塑性ポリエステル系樹脂のガラス転移温度−30℃以上で、かつ該ガラス転移温度+20℃未満、より好ましくは熱可塑性ポリエステル系樹脂のガラス転移温度以上で、かつ該ガラス転移温度+10℃未満の温度に調整するのがよい。
【0018】
延伸倍率は、特に限定されるものではないが、低すぎると引張強度、引張弾性率に優れたシートが得られにくいし、また、高すぎても延伸時にシートの破断が生じやすくなるので、2〜9倍が好ましく、さらに好ましくは4〜8倍である。
【0019】
本発明においては、一次延伸された延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを、引抜ロールの温度より高い温度で引抜延伸方向に二次延伸する、好ましくは一軸延伸する。
【0020】
一次延伸された延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートのポリエステル系樹脂は、延伸の阻害要因となる熱による等方的な結晶化及び配向が抑えられた状態で分子鎖は高度に配向しているので強度及び弾性率が優れているが結晶化度は低いので、加熱されると配向は容易に緩和され弾性率は低下してしまうという欠点を有している。
【0021】
しかし、この一次延伸された延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを、該ロールの温度より高い温度で二次延伸することにより配向が緩和されることなく結晶化度が上昇し、加熱されても配向が容易に緩和されない耐熱性の優れた延伸シートが得られる。
【0022】
上記一軸延伸方法としてはロール延伸法が好適に用いられる。ロール延伸法とは、速度の異なる2対のロール間に熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを挟み、該シートを加熱しつつ引っ張る方法であり、一軸方向のみに強く分子配向させることができる。この場合、2対のロールの速度比が延伸倍率となる。
【0023】
一次延伸後に延伸する際の温度は、一次延伸する際の一対の引抜ロールの温度より高い温度であればよいが、高すぎると一次延伸された延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートが溶融して切断されるので、昇温速度1℃/minで測定した示差走査熱量曲線での熱可塑性ポリエステル系樹脂の結晶化ピークの立ち上がり温度以上融解ピークの立ち上がり温度以下の範囲が好ましい。
【0024】
なお、ポリエチレンテレフタレートの結晶化ピークの立ち上がり温度は約120℃であり、融解ピークの立ち上がり温度は約230℃である。従って、ポリエチレンテレフタレートシートを引抜延伸方向に延伸する際は約120℃〜230℃で延伸するのが好ましい。
【0025】
かかる延伸時の延伸倍率は、特に限定されるものではないが、延伸倍率が低すぎると、引張強度、引張弾性率等の機械的強度に優れたシートが得られにくいし、また高すぎても延伸時にシートの破断が生じやすくなるので、1.1〜3倍が好ましく、さらに好ましくは1.2〜2倍である。また、一次延伸と二次延伸の合計延伸倍率は、同様の理由で、2.5〜10倍が好ましい。
【0026】
また、延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートは、上記引抜延伸の方向と直交する方向に延伸してもよく、この場合二軸延伸となり、引抜延伸方向に沿って屈曲させても割れ発生等の強度低下がなくなる。
【0027】
また、延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートにおいては、結晶化度が低いと耐熱性が低下し、また、高いと割れやすくなるので、結晶化度は20〜50%が好ましく、30〜45%がより好ましい。
【0028】
また、延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートは、耐熱性や、機械的強度を向上させるために、二次延伸後、熱固定するのが好ましい。
【0029】
また、熱固定温度は、上記後続の引抜延伸温度より低いと熱可塑性ポリエステル系樹脂の結晶化が進まないので耐熱性が向上せず、前記した熱可塑性ポリエステル系樹脂の融解ピークの立ち上がり温度より高くなると熱可塑性ポリエステル系樹脂が溶解して延伸(配向)が消滅し、機械的強度等が低下するので、かかる融解ピークの立ち上がり温度以下であるのが好ましい。加熱手段は特に限定されず、例えば熱風、ヒーター等によればよい。
【0030】
また、熱固定する際に、延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートに大きな張力がかかっていると延伸され、張力がかかっていないか、非常に小さい状態では収縮するので、延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの長さが実質的に変化しない状態で行うことが好ましく、延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートに圧力もかかっていないのが好ましい。
【0031】
例えば、熱固定された延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの長さが、熱固定前の延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの長さの0.95〜1.1になるように熱固定するのが好ましい。
【0032】
熱固定する時間は、特に限定されず、延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの厚さや熱固定温度により異なるが、一般に10秒〜10分が好ましい。
【0033】
さらに、上記延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートは、二次延伸後、熱固定された後、アニールされるのが好ましい。熱固定及びアニールされることにより、自動車モールとして使用した場合に、加熱収縮が生じにくくなる。
【0034】
また、アニールする際に、延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートに大きな張力がかかっていると延伸されるので、延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートに実質的に張力がかからない状態でアニールするのが好ましい。
【0035】
即ち、アニールされた延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの長さが、アニール前の延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの長さの1.0倍以下になるようにアニールするのが好ましい。
【0036】
従って、延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートをピンチロール等のロールで加熱室内を移動しながら連続的にアニールする場合は、入口側と出口側の延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの送り速度比を1.0以下になるように設定してアニールするのが好ましい。
【0037】
また、短尺シートをアニールする際には、荷重がかからないよう両端部を開放して行うのが好ましい。
【0038】
アニールする際の加熱方法は、特に限定されるものではなく、例えば、熱風、ヒーター等で加熱する方法があげられる。
【0039】
アニールする時間は、特に限定されず、延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの厚さやアニール温度により異なるが、一般に10秒以上が好ましく、より好ましくは30秒〜5分であり、更に好ましくは1〜2分である。
【0040】
次に、本発明の自動車用モールにおける表面材としては、ポリプロピレン系樹脂やゴム材系のものが用いられる。
このポリプロピレン系樹脂としては、プロピレンホモポリマー、プロピレンとエチレン又は炭素数4以上のオレフィンとの共重合体等が挙げられる。
【0041】
また、ゴム材としては、エチレン・α−オレフィン共重合体ゴムやその無水マレイン酸グラフト重合体、エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴム、スチレン・ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ニトリルゴムやその水添物、アクリルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ブチルゴム、天然ゴム等が挙げられ、中でもエチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体ゴム、エチレン−1−ブテン−非共役ジエン共重合体ゴム、プロピレン−1−ブテン−非共役ジエン共重合体ゴムが好ましい。
【0042】
表面材や芯材、とりわけ表面材には、本発明の効果が損なわれない範囲で、適宜添加成分を配合することができる。添加成分としては、例えば、充填材、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、分散剤、着色剤、難燃剤、帯電防止剤、導電性付与剤、金属不活性化剤、分子量調整剤、防菌剤、防黴剤、蛍光増白剤などの各種添加物、前記必須成分以外の熱可塑性樹脂およびフィラー等が挙げられ、中でも酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、着色剤が好ましい。
【0043】
充填材としては、ガラス繊維、中空ガラス球、炭素繊維、タルク、炭酸カルシウム、マイカ、チタン酸カリウム繊維、シリカ、二酸化チタン、カーボンブラック等が挙げられ、前記必須成分以外の熱可塑性樹脂としては、例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、エチレン・メタクリル酸エステル共重合体の様なエチレン・α−オレフィン共重合体、ポリエチレン、ポリブテン−1樹脂などのポリオレフィン樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリオキシメチレンホモポリマー、ポリオキシメチレンコポリマー等のポリオキシメチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレート系樹脂などが挙げられる。
【0044】
表面材や芯材の調製には、例えば、単軸押出機、2軸押出機、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、プラストグラフ、ニーダー等の通常の混練機が用いられる。
【0045】
芯材への表面材の被覆方法は、接着や圧着により行われる。接着は、溶融接着や接着剤を介しての貼り合わせによればよい。圧着は芯材及び表面材の一方又は両方の接合面を、接合しやすくするため、表面処理、好ましくはコロナ処理、プラズマ処理、ブラスト加工処理、バフ加工処理等を行い、圧接することにより行われる。ブラスト加工処理にはショットブラスト加工、ウェットブラスト加工、サンドブラスト加工等が挙げられる。
【実施例】
【0046】
次に実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらの例により何ら限定されるものではない。
【0047】
(実施例)
厚さ2mm、幅200mmのポリエチレンテレフタレートシート(帝人化成社製、商品名「A−PETシートFR」、結晶化度4%)を延伸装置(協和エンジニアリング社製)に供給し、75℃に予熱した後、80℃に加熱された一対のロール(ロール間隔0.2mm)間を2m/minの速度で引き抜き、一次延伸したのち、更に熱風加熱槽中でポリエチレンテレフタレートシート表面温度を170℃に加熱し、出口速度2.5m/minに設定して二次延伸(ロール延伸)して、延伸倍率が約6倍の延伸ポリエチレンテレフタレートシートを得た。
【0048】
なお、上記ポリエチレンテレフタレートシートのガラス転移温度は72℃、昇温速度1℃/minで測定した示差走査熱量曲線での結晶化ピークの立ち上がり温度は約118℃であり、融解ピークの立ち上がり温度は約230℃であった。
【0049】
このようにして得られた延伸ポリエチレンテレフタレートシートを芯材とし、この芯材に、ポリプロピレン(厚み0.45mm)を以下の方法で被覆し、所望の自動車用モールを作製した。
【0050】
入口がシート状で出口がモール形状になった金型を160℃に加熱し、シートを連続で通し賦形し、その後、1つの金型内で接着剤、ポリプロピレンの順でモール形状になったシートの両面に押出被覆し、次にモール表面を真空引きした冷却金型に通し、冷却固化しモールを成形した。
【0051】
自動車用モール(長さ2m)の重量は160gであった。
【0052】
(比較例)
延伸ポリエチレンテレフタレートシートに変えて厚み0.3mmの亜鉛めっき鋼板を芯材としたこと以外は実施例1と同様にして自動車用モールを作製した。
得られた自動車用モール(長さ2m)の重量は338gであった。
【0053】
このようにして得られた自動車用モールについて、その特性を以下の試験方法により評価した。その結果を表1に示す。
【0054】
<試験方法>
・線膨張係数 :JIS K7197に準拠し、TMAにより0℃−100℃間にて測定
・耐衝撃性 :0℃にてナス型錘(1kg)を1m上より落下させ、外観確認
・耐食性 :塩水濃度3%の温水に3000hr浸漬し、外観確認
【0055】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明の自動車用モールは、軽量で、アルミニウム、鋼材同等以上の低伸縮性を示し、耐衝撃性、耐食性に優れ、ドアベルトモール、サイドモール、ステップモール、ルーフモール、ルーフドリップモール、フロントウィンドモール、クォーターウィンドモール、フードトップモール、リアウィンドモール、グラスランチャンネル、バンパーモール等として好ましく適用しうるので、産業上大いに有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを一対の引抜ロール間に通して引抜延伸する一次延伸に引き続き、引抜ロールの温度より高い温度で引抜延伸方向に二次延伸して得られる延伸熱可塑性ポリエステル樹脂シートからなる芯材をポリプロピレン系樹脂又はゴム材系の表面材で被覆してなることを特徴とする自動車用モール。
【請求項2】
上記芯材が、延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを二次延伸後、熱固定されてなることを特徴とする請求項1記載の自動車用モール。
【請求項3】
上記芯材が、延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを二次延伸後、熱固定され、さらにアニールされてなることを特徴とする請求項1記載の自動車用モール。
【請求項4】
ポリプロピレン系樹脂がプロピレンホモポリマー、プロピレンとエチレン又は炭素数4以上のオレフィンとの共重合体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の自動車用モール。
【請求項5】
ゴム材がエチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体ゴム、エチレン−1−ブテン−非共役ジエン共重合体ゴム、プロピレン−1−ブテン−非共役ジエン共重合体ゴムであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の自動車用モール。
【請求項6】
熱可塑性ポリエステル系樹脂がポリエチレンテレフタレートであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の自動車用モール。

【公開番号】特開2012−71651(P2012−71651A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−217037(P2010−217037)
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】