説明

自動車用収納ボックス

【目的】 荷物収納用以外の目的に使用することができ、かつ、荷物の取扱いを容易に行なえるようにした自動車用収納ボックスを提供する。
【構成】 一対のサイドフレームボックス10の後端間にセンターフレームボックス20を固定し、スライドボックス30をサイドフレームボックス10間にガイドレール50を介して取付ける。蓋部材40の前蓋部41または後蓋部42をヒンジ43により連結し選択的に開閉可能とする。蓋部材40にはテーブル脚45を取付可能な雌ねじ部44を配設する。
【効果】 収納スペースを有効利用でき、かつ、利用者に対するサービス性を一層向上できる。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は自動車用収納ボックスに関するものであり、特に、ワゴン等の1ボックスカーまたは所謂、バン等の2ボックスカー等、後部扉を開放して接近可能な荷物室に配置される荷物収納ボックスの改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、自動車の後部には荷物室(ラゲッジコンパートメント)が設けられ、レジャー用品または手荷物等の荷物を収納するようになっているが、かかる荷物を整理して収納するために、荷物室には荷物収納用品が配置されることがある。
荷物収納用品の例としては、合成樹脂等により蓋付の四角箱状に形成される収納ボックスが挙げられる。ここで、1ボックスカーまたは2ボックスカー等の自動車では、3ボックスカーのように、荷物室をキャビンと隔離した独立の空間として設けることなく、荷物室をキャビンに連続した空間として設け、ハッチ等の車体の後部扉を開閉して荷物室に接近するようになっている。そして、かかる1ボックスカーまたは2ボックスカー等の自動車では、走行時の振動により、収納ボックスが荷物室内を移動して、荷物室前方の座席等に衝突する等の事態を防止するため、収納ボックスは、荷物室の床の所定位置に固定して設置する据置式とされている。例えば、荷物室の床の所定面積を占める蓋付の四角箱状の収納ボックスを、ボルト及びナット等の固定具により、荷物室の所定位置に移動不能に固定している。
【0003】
前記収納ボックスを使用するには、まず、運転者及び同乗者等の利用者は、自動車の後部扉を開放して、荷物室内の収納ボックスの蓋を開放し、レジャー用品等の荷物を収納ボックス内に整理して収納するとともに、必要時は、同じく、自動車の後部扉を開放して、荷物室内の収納ボックスの蓋を開放して、所望の荷物を取出す。即ち、前記収納ボックスは、利用者がレジャー用品等の荷物を整理して収納し、必要時に即座、かつ、容易に取出すことができるという利点を有し、利用者に対するサービス性を向上することができる。
【0004】
【考案が解決しようとする課題】
従来の自動車用収納ボックスは、上記のように構成され、荷物室の床に固定されているから、収納ボックス内に荷物を収納したり、収納ボックスから荷物を取出すときは、利用者は、後部扉を開放して、荷物室内に体をかがめて進入し、窮屈な姿勢で荷物の取扱いをしなければならず、利用者が手元で荷物を取扱うことができないため、利用者が不便に感じることがある。また、前記収納ボックスは、レジャー用品等の荷物を収納するために使用される以外は、他の用途を持たず、単一目的に使用されるのみであった。しかし、荷物室を含め、自動車内の限られたスペースを有効利用し、或いは、利用者に対するサービス性を一層向上するという観点等から、収納ボックスを、荷物収納用以外の他の用途にも併用することができれば好都合である。
【0005】
そこで、本考案は、荷物収納用以外の目的に使用することができ、かつ、荷物の取扱いを容易に行なえるようにした自動車用収納ボックスの提供を課題とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本考案にかかる自動車用収納ボックスは、自動車の後部扉より接近可能な荷物室の左右両側の床に、前後に平行に延びるよう一対の固定手段を固定し、前記両固定手段間に、内部に収納空間を有する移動収納手段を配置し、前記固定手段及び前記移動収納手段間に、前記移動収納手段を前記固定手段に対し前後方向へ移動案内する案内手段を配設し、前記移動収納手段の前記収納空間の上部に蓋部材を配設して、前記収納空間を開閉するとともに、前記蓋部材にテーブル脚を着脱可能に取付ける取付部を設けたものである。
【0007】
【作用】
本考案においては、移動収納手段の収納空間にレジャー用品等の荷物を収納できる。このとき、自動車の荷物室の床に固定された固定手段に対し、案内手段を介して移動収納手段を前後に移動案内できるため、移動収納手段を自動車の荷物室から手前に引出した状態で荷物を取扱うことができる。その結果、利用者は、荷物の取扱いを、自動車の荷物室内で行なう場合のように窮屈な姿勢で行なう必要はなく、自分の手元で容易に行なうことができる。また、移動収納手段の収納空間を開閉する蓋部材の取付部にテーブル脚を取付けることにより、蓋部材をテーブルとして兼用することができる。その結果、レジャー等において必要となるテーブルを別個用意する必要がなく、経済的であり、また、テーブル収納用のスペースを省略して、その分、移動収納手段の収納空間を有効利用することができる。
【0008】
【実施例】
以下、本考案の実施例を説明する。
【0009】
<第一実施例> 図1は本考案の第一実施例の自動車用収納ボックスの通常状態を示す斜視図である。図2は本考案の第一実施例の自動車用収納ボックスのスライドボックスを引出した状態を示す斜視図である。図3は本考案の第一実施例の自動車用収納ボックスの蓋部材を開いた状態を示す斜視図である。図4は本考案の第一実施例の自動車用収納ボックスの分解斜視図である。図5は本考案の第一実施例の自動車用収納ボックスの蓋部材をテーブルとして使用した状態を示す斜視図である。
【0010】
第一実施例の自動車用収納ボックスは、図1に示すように、バン等の2ボックスカーに具体化され、自動車1の後部扉(図示略)及びリアゲート2を開放して接近可能な荷物室3の床の略全面積を占めるように配置される。即ち、荷物室3の床の左右両側部には、前後方向に延びる固定手段としての一対のサイドフレームボックス10が互いに平行となるよう固定される。前記サイドフレームボックス10は、図4に示すように、底板11、後板12及び側板13により、上側、外側及び前側を開放した長箱状に形成されるとともに、その前後略中央を区画板14により区画されている。サイドフレームボックス10の区画板14より前方の空間は、天板15により上部を閉塞されている。また、サイドフレームボックス10の区画板14より後方の空間は収納空間16とされ、取外可能な蓋17により収納空間16の上部を適宜開閉可能となっている。各サイドフレームボックス10の底板11の外側縁並びに天板15及び蓋17の外側縁は、自動車1内の内壁を構成するサイドトリム4の表面形状に対応する形状とされ、それらの外側縁をサイドトリム4の表面に密接させて、サイドフレームボックス10の収納空間16の外側を閉塞するようになっている。サイドフレームボックス10の底板11の前端部及び後端部には、それぞれ取付孔11aが穿設され、取付孔11aを介して、ボルト及びナット等の所定の締結具(図示略)を締付けることにより、サイドフレームボックス10を自動車1の荷物室3の床に移動不能に取付けるようになっている。
【0011】
なお、サイドフレームボックス10の前記蓋17には、マグネット等の止着部材(図示略)を取着するとともに、後板12、側板13または区画板14の対応する位置には、止着部材を保持可能な金具等の保持部材(図示略)を取着して、蓋17により収納空間16を閉塞したときには、蓋17が定位置に自動的に止着保持され、収納空間16を開放するときは、蓋17を所定の引張力で上方に引張ることにより、蓋17の止着保持が自動的に解除されるよう構成することが好ましい。
【0012】
両サイドフレームボックス10の前端間にはセンターフレームボックス20が左右方向に延びるよう掛渡して配置される。前記センターフレームボックス20は、後板21、天板22及び側板23により、下側及び前側を開放した長箱状に形成されている。センターフレームボックス20の天板22及び側板23の前側縁は、自動車1内の後部座席5の後面形状に対応する形状とされ、それらの前側縁を後部座席5の後面に密接させるようになっている。センターフレームボックス20の側板23には上下一対の取付孔23aがそれぞれ穿設されるとともに、前記サイドフレームボックス10の側板13の前端にも、前記センターフレームボックス20の取付孔23aと対応する上下一対の取付孔13aが穿設されている。そして、センターフレームボックス20の両側板23をサイドフレームボックス10の側板13の前端部に密接させるとともに、センターフレームボックス20の取付孔23aとサイドフレームボックス10の取付孔13aを互いに整合させ、取付孔13a,23aを介して、ボルト及びナット等の所定の締結具(図示略)を締付けることにより、センターフレームボックス20を両サイドフレームボックス10間に移動不能に取付けるようになっている。
【0013】
前記両サイドフレームボックス10及びセンターフレームボックス20により囲まれる空間には、その空間と略同一形状をなす移動収納手段としてのスライドボックス30が配置される。スライドボックス30は、底板31、前板32、後板33及び側板34により上部を開放した四角箱状に形成され、その内部に収納空間35を形成している。スライドボックス30の収納空間35の上部は、スライドボックス30に対応して下方を開放した四角箱状の蓋部材40により開閉可能とされる。蓋部材40は、スライドボックス30の収納空間35の前半部を覆う前蓋部41と、後半部を覆う後蓋部42に分割され、前蓋部41と後蓋部42は、ヒンジ43により上下への折曲可能に連結されている。これにより、蓋部材40は、前後に独立して開閉可能とされ、前蓋部41を後上方へ、或いは、後蓋部42を前上方へと選択的に開放して、スライドボックス30の収納空間35の前半部及び後半部に適宜接近可能である。
【0014】
なお、スライドボックス30の側板34の前端部及び後端部は、他の部分より上方に突出され、蓋部材40によりスライドボックス30の収納空間35を覆ったときに、蓋部材40の内面と係合して、蓋部材40の前後左右への移動を規制する。また、スライドボックス30の前板32の上縁の中央部及び後板33の上縁の中央部には凹部32a及び凹部33aが切欠き形成され、蓋部材40の前蓋部41及び後蓋部42の開放を容易にしている。更に、スライドボックス30の後板33の下縁の中央部にも凹部33bが切欠き形成され、スライドボックス30の手前側への引出しを容易にしている。前記サイドフレームボックス10、センターフレームボックス20、スライドボックス30及び蓋部材40は、合板等の板材により形成される。
【0015】
図5に示すように。前記蓋部材40の四隅部にはそれぞれ下方に突出する取付部としての雌ねじ部44が配設され、テーブル脚45の先端の雄ねじ部45aを螺入して、テーブル脚45を蓋部材40に取付可能となっている。また、前蓋部41には、ラッチ等の掛止部材46が取着されるとともに、後蓋部42の対応する位置には、掛止部材46を掛止保持可能な保持部材47が取着され、掛止部材46を保持部材47に掛止保持することにより、蓋部材40の前蓋部41及び後蓋部42を折曲不能として、蓋部材40をテーブル台として使用可能となっている。
【0016】
なお、蓋部材40の前蓋部41及び後蓋部42の先端部には、マグネット等の止着部材(図示略)を取着するとともに、スライドボックス30の前板32、後板33または側板34の対応する位置には、止着部材を保持可能な保持部材(図示略)を取着して、蓋部材40によりスライドボックス30の収納空間35を閉塞したときには、蓋部材40が閉状態に自動的に止着保持され、収納空間35を開放するときは、蓋部材40を所定の引張力で上方に引張ることにより、蓋部材40の止着保持が自動的に解除されるよう構成することが好ましい。
【0017】
スライドボックス30の両側板34及び前記両サイドフレームボックス10の側板13の対向する側面には、案内手段としての一対のガイドレール50が前後方向に延設され、各ガイドレール50の固定部51が各サイドフレームボックス10の側板13に固着されるとともに、摺動部52がスライドボックス30の各側板34に固着され、ガイドレール50に沿ってスライドボックス30を前後に摺動可能となっている。更に、スライドボックス30の前板32の前面には、マグネット等の一対の止着部材61が固着されるとともに、前記センターフレームボックス20の後面の対向する位置には、止着部材61を保持可能な金属片等の一対の保持部材62が固着され、スライドボックス30を前方に摺動してセンターフレームボックス20に当接させたときに、止着部材61が保持部材62に自動的に止着保持され、スライドボックス30を所定の引張力で手前に引張ることにより、その止着保持が自動的に解除されるようになっている。
【0018】
なお、スライドボックス30の収納空間35内には、例えば、図4に示すように、収納空間35を二分する一対のポリ容器71、水タンク、または清涼飲料水等を収容するクーラ等が収納配置される。各ポリ容器71にはレジャー用品または折畳椅子72等の荷物を整理して収納するようになっている。また、前記蓋部材40に取付けられるテーブル脚45も、例えば、スライドボックス30の収納空間35内のポリ容器71等に収納される。
【0019】
次に、上記のように構成された第一実施例の自動車用収納ボックスの使用方法を説明する。
【0020】
まず、通常の状態では、図1に示すように、スライドボックス30は、その前板32の止着部材61をセンターフレームボックス20の保持部材62に保持されて、定位置に保持されている。一方、サイドフレームボックス10の蓋17は収納空間16を閉塞するとともに、蓋部材40はスライドボックス30の収納空間35を閉塞している。
【0021】
自動車用収納ボックスを使用するときは、自動車1の後部扉を上方に開いて保持するとともに、リアゲート2を下方に開いて、荷物室の床と面一の状態に保持し、図2に示すように、スライドボックス30をガイドレール50に沿って手前側に引出す。このとき、リアゲート2がスライドボックス30の下面を当接支持する。そして、図3に示すように、蓋部材40の前蓋部41または後蓋部42を上方に開くことにより、スライドボックス30の収納空間35内に荷物を出入れすることができる。このとき、利用者は、必要に応じて、蓋部材40の前蓋部41及び後蓋部42の一方または両方を開くことにより、収納空間35の前半部、後半部または全部に適宜荷物を出入れすることができる。一方、サイドフレームボックス10の蓋17を収納空間16から取外すことにより、収納空間16内に比較的小さな荷物を出入することができる。
【0022】
また、ピクニック等において野外等でテーブルを必要とする場合は、蓋部材40をスライドボックス30から取外すとともに、前蓋部41の掛止部材46を後蓋部42の保持部材47に掛止保持して、前蓋部41及び後蓋部42を平板状として折曲しないようにする。その後、蓋部材40の雌ねじ部44にテーブル脚45を取付けることにより、図5に示すように、蓋部材40及びテーブル脚45によりテーブルを用意することができる。また、必要に応じ、折畳椅子72をスライドボックス30の収納空間35から取出して使用してもよい。なお、蓋部材40をテーブルとして使用した後は、蓋部材40からテーブル脚45を取外し、テーブル脚45をスライドボックス30の収納空間35内に再び収納する。また、蓋部材40の前蓋部41の掛止部材46と後蓋部42の保持部材47との掛止保持を解除して、前蓋部41及び後蓋部42を折曲可能とするとともに、蓋部材40をスライドボックス30に載置して、その収納空間35を開閉可能とする。
【0023】
このように、上記第一実施例の自動車用収納ボックスは、自動車1の後部扉より接近可能な荷物室3の左右両側の床に、前後に平行に延びるよう一対のサイドフレームボックス10を固定し、各サイドフレームボックス10の後半部には収納空間16を設けて蓋17により開閉可能とし、前記両サイドフレームボックス10の前端部間に左右に延びるセンターフレームボックス20を掛渡して固定するとともに、前記両サイドフレームボックス10及びセンターフレームボックス20により囲まれる空間には、内部に収納空間35を有する四角箱状のスライドボックス30を配置し、前記サイドフレームボックス10及び前記スライドボックス30間に、前記スライドボックス30を前記サイドフレームボックス10に対し前後方向へ摺動案内するガイドレール50を配設し、前記スライドボックス30の前端には止着部材61を固着するとともに、センターフレームボックス20の対応する位置には前記止着部材61を止着保持可能な保持部材62を固着し、前記スライドボックス30の前記収納空間35の上部に、ヒンジ43により連結され独立して折曲開閉可能な前蓋部41及び後蓋部42からなる蓋部材40を配設して、前記収納空間35の前半部及び後半部を選択的に開閉し、前記蓋部材40の前蓋部41に掛止部材46を配設するとともに、後蓋部42に掛止部材46を掛止保持可能な保持部材47を配設して、前記掛止部材46を前記保持部材47に掛止保持することにより、前蓋部41及び後蓋部42が互いに独立して開閉不能となるようにし、前記蓋部材40の下面の四隅部にテーブル脚45の雄ねじ部45aを螺入して取付ける雌ねじ部44を設けたものである。
【0024】
したがって、上記第一実施例は、スライドボックス30の収納空間35にレジャー用品等の荷物を収納できる。このとき、自動車1の荷物室3の床に固定されたサイドフレームボックス10に対し、ガイドレール50を介してスライドボックス30を前後に摺動案内できるため、スライドボックス30を自動車1の荷物室3から手前に引出した状態で荷物の出入をすることができる。その結果、利用者は、荷物の出入れ及び取扱いを、自動車1の荷物室3内で行なう場合のように窮屈な姿勢で行なう必要はなく、自分の手元で容易に行なうことができる。また、蓋部材40の前蓋部41及び後蓋部42を独立して開閉できるため、荷物の収納場所に応じて、スライドボックス30の収納空間35の前半部または後半部に適宜接近することができ、荷物の出入れが一層容易になる。そして、蓋部材40の前蓋部41及び後蓋部42をヒンジ43により連結して、上方に折曲して開放するようにしたため、その開閉作業が簡単である。
【0025】
更に、スライドボックス30の収納空間35を開閉する蓋部材40の前蓋部41及び後蓋部42を掛止部材46及び保持部材47により連結して折曲不能とするとともに、雌ねじ部44にテーブル脚45の雄ねじ部45aを取付けることにより、蓋部材40をテーブルとして兼用することができる。その結果、レジャー等において必要となるテーブルを別個用意する必要がなく、経済的であり、また、テーブル収納用のスペースを省略して、その分、スライドボックス30の収納空間35を有効利用することができる。
【0026】
また、サイドフレームボックス10にも収納空間16を設け、蓋17により開閉するようにしたため、サイドフレームボックス10をスライドボックス30を摺動案内するガイドレール50を取付けるための固定手段としてのみならず、荷物の収納スペースとしても使用できる。その結果、全体の収納スペースが増大し、より多くの荷物を収納できる。そして、スライドボックス30の止着部材61をセンターフレームボックス20の保持部材62に止着保持することにより、自動車の走行中等に、スライドボックス30が、その定位置から不意に後方に摺動してリアゲート2等に衝突する等の不都合を生じることもない。
【0027】
更に、サイドフレームボックス10の蓋17を、止着部材及び保持部材により止着保持するようにした場合、蓋17が、自動車の走行に伴ない振動して雑音を発生したり、サイドフレームボックス10から不意に外れることが防止される。
同様に、蓋部材40の前蓋部41または後蓋部42の先端を、止着部材及び保持部材により止着保持するようにした場合、蓋部材40が、自動車の走行に伴ない振動して雑音を発生したり、スライドボックス30から不意に外れることが防止される。
【0028】
また、後部座席5を前方に倒した場合に、後部座席5の上面が第一実施例の自動車用収納ボックスの上面と面一となるよう、自動車用収納ボックスの高さを決定すれば、利用者が休息時に横になるための仮眠ベッド、または、スライドボックス30の収納空間35等に収容不能な大型の荷物の収納スペース等、特別のスペースとして使用することができる。このとき、両サイドフレームボックス10により、自動車1の後輪のタイヤハウスは隠蔽され、前記後部座席5の上面から自動車用収納ボックスの上面にかけては、何ら凹凸は存在しないため、自動車1の車内後部の全幅をかかる特別のスペースとして使用でき、そのスペースを十分に大きく取って、利用者の快適度の向上及び荷物の収納量の増大等を図ることができる。
【0029】
<第二実施例> 次に、本考案による第二実施例を以下に説明する。なお、第二実施例においては上記第一実施例との相違点のみを説明し、上記第一実施例と同一の構成については図面に同一符号を付してその説明を省略する。
【0030】
図6は本考案の第二実施例の自動車用収納ボックスを示す斜視図である。
【0031】
第二実施例の自動車用収納ボックスは、第一実施例のスライドボックス30と同様の四角箱状のスライドボックス81及びスライドボックス82を上下二段に設けている。各スライドボックス81,82には、第一実施例のスライドボックス30と同様、その引出しを容易にする凹部81a,82aが形成される。また、各スライドボックス81,82は、第一実施例と同様、ガイドレール50により一対のサイドボックス10間を前後に摺動案内される。更に、上側のスライドボックス81を開閉する蓋部材83は、第一実施例の四角箱状の蓋部材40とは異なり、平板状に形成され、前蓋部84及び後蓋部85の上面には、その開閉を容易にする取手86,87がそれぞれ配設されている。
【0032】
上記のように構成された第二実施例の自動車用収納ボックスは、第一実施例の自動車用収納ボックスと同様にして使用することができる。加えて、上段のスライドボックス81及び下段のスライドボックス82を使用して、荷物の収納整理がより容易になり、かつ、そのいずれかを選択的に手前側に引出すことにより、荷物の出入れを迅速に行なうことができる。
【0033】
ところで、上記各実施例の固定手段は、収納空間16を有する一対のサイドフレームボックス10により構成されているが、本考案を実施する場合には、これに限定されるものではなく、スライドボックス30を移動案内するガイドレール50を取付けるべく機能するものであればよい。例えば、固定手段を、ガイドレール50の取付けのための単なるフレームとして構成することもできる。しかし、サイドフレームボックス10に収納空間16を設けて実施した場合には、全体の収納スペースを増加できるという効果が得られる。この観点から、サイドフレームボックス10の後半部のみならず、前半部にも収納スペースを設け、天板15の代りに蓋により開閉するようにしてもよい。なお、センターフレームボックス20を両サイドフレームボックス10間に配設することなく、スライドボックス30の前方への移動を規制する板状物等で代用してもよい。しかし、センターフレームボックス20を設けた場合、全体の強度が増大するという効果が得られる。
【0034】
また、上記第一実施例の移動収納手段は一段式のスライドボックス30により構成され、第二実施例の移動収納手段は二段式のスライドボックス81,82により構成されているが、例えば、これを三段以上の構成とすることもできる。そして、スライドボックスを前後二段式の構成としてもよい。或いは、スライドボックス30,81,82の凹部32a,33a,33b,81a,82aを省略したり、別個の取手状の部材を設けてもよい。また、スライドボックス30,81,82の収納空間35を複数室に区画することもできる。即ち、スライドボックス30,81,82は、荷物用の収納空間35を有し、前後に移動可能な限りにおいて、その構成を種々変更することができる。
【0035】
そして、上記実施例の案内手段は、固定部51及び摺動部52からなるガイドレール50により、スライドボックス30,81,82を摺動案内する構成としたが、例えば、スライドボックス30,81,82をローラ等により転動案内する構成とする等、スライドボックス30,81,82を前後に移動案内可能な限りにおいて、種々の変更が可能である。
【0036】
更に、上記各実施例のスライドボックス30,81の収納空間35を開閉する蓋部材40,83は、前蓋部41,84と後蓋部42,85に分割して構成したが、これを一体構造としてもよく、この場合、蓋部材40の構成が簡単になるという効果が得られる。逆に、蓋部材40,83の前蓋部41,84及び後蓋部42,85を更に左右に二分割し、蓋部材40,83の4個所からスライドボックス30,81の収納空間35に接近するよう構成する等、蓋部材40,83の構成も上記各実施例と異なるものとすることができる。なお、この場合、蓋部材40,83をテーブルとして使用するときは、左右に分割した前蓋部41,84及び後蓋部42,85を互いに連結する構造を設けることが好ましい。また、テーブル脚45を蓋部材40,83に取付けるために、蓋部材40,83に雌ねじ部44を設け、テーブル脚45に雄ねじ部45aを設ける代りに、蓋部材40,83に雄ねじ部を設け、テーブル脚45に雌ねじ部を設けてもよい。
【0037】
なお、前記サイドフレームボックス10の外側縁、即ち、前記底板11の外側縁並びに天板15及び蓋17の外側縁は、自動車1の内側壁を構成するサイドトリム4の表面形状に対応する形状とすることなく、外側縁側に別個に側板を設けてもよい。この場合も、収納空間16及び前端の開放部分から取付孔11a,13aに接近可能であり、荷物室3の床及びセンターフレームボックス20への取付が不可能となることはない。
【0038】
また、前記センターフレームボックス20の前側縁は、自動車1の後部座席5の後面形状に対応する形状とすることなく、前側縁側に別個に側板を設けて前側を閉塞し、底部側から取付孔23aに接近して、締結具によりサイドフレームボックス10に取付けるようにしてもよい。これと逆に、センターフレームボックス20の底部を閉塞し、前部側から取付孔23aに接近して、締結具によりサイドフレームボックス10に取付けるようにしてもよい。
【0039】
【考案の効果】
以上のように、本考案の自動車用収納ボックスは、自動車の後部扉より接近可能な荷物室の左右両側の床に、前後に平行に延びるよう一対の固定手段を固定し、前記両固定手段間に、内部に収納空間を有する移動収納手段を配置し、前記固定手段及び前記移動収納手段間に、前記移動収納手段を前記固定手段に対し前後方向へ移動案内する案内手段を配設し、前記移動収納手段の前記収納空間の上部に蓋部材を配設して、前記収納空間を開閉するとともに、前記蓋部材にテーブル脚を着脱可能に取付ける取付部を設けたものである。
【0040】
したがって、移動収納手段の収納空間にレジャー用品等の荷物を収納できる。
このとき、自動車の荷物室の床に固定された固定手段に対し、案内手段を介して移動収納手段を前後に移動案内できるため、移動収納手段を自動車の荷物室から手前に引出した状態で荷物を取扱うことができる。その結果、利用者は、荷物の取扱いを、自動車の荷物室内で行なう場合のように窮屈な姿勢で行なう必要はなく、自分の手元で容易に行なうことができる。また、移動収納手段の収納空間を開閉する蓋部材の取付部にテーブル脚を取付けることにより、蓋部材をテーブルとして兼用することができる。その結果、レジャー等において必要となるテーブルを別個用意する必要がなく、経済的であり、また、テーブル収納用のスペースを省略して、その分、移動収納手段の収納空間を有効利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本考案の第一実施例の自動車用収納ボックスの通常状態を示す斜視図である。
【図2】図2は本考案の第一実施例の自動車用収納ボックスのスライドボックスを引出した状態を示す斜視図である。
【図3】図3は本考案の第一実施例の自動車用収納ボックスの蓋部材を開いた状態を示す斜視図である。
【図4】図4は本考案の第一実施例の自動車用収納ボックスの分解斜視図である。
【図5】図5は本考案の第一実施例の自動車用収納ボックスの蓋部材をテーブルとして使用した状態を示す斜視図である。
【図6】図6は本考案の第二実施例の自動車用収納ボックスを示す斜視図である。
【符号の説明】
1 自動車
3 荷物室
10 サイドフレームボックス(固定手段)
30 スライドボックス(移動収納手段)
35 収納空間
50 ガイドレール(案内手段)
40 蓋部材
44 雌ねじ部(取付部)
45 テーブル脚

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 自動車の後部扉より接近可能な荷物室の左右両側の床に、前後に平行に延びるよう固定される一対の固定手段と、前記両固定手段間に配置され、内部に収納空間を有する移動収納手段と、前記固定手段及び前記移動収納手段間に配設され、前記移動収納手段を前記固定手段に対し前後方向へ移動案内する案内手段と、前記移動収納手段の前記収納空間の上部に配設されて前記収納空間を開閉するとともに、テーブル脚を着脱可能に取付ける取付部を設けた蓋部材とを具備することを特徴とする自動車用収納ボックス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図4】
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【図6】
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【公開番号】実開平6−25039
【公開日】平成6年(1994)4月5日
【考案の名称】自動車用収納ボックス
【国際特許分類】
【出願番号】実願平4−62474
【出願日】平成4年(1992)9月4日
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)