説明

自動車用吸音シート及びこの吸音シートを用いた自動車用エンジンアンダーカバー

【課題】互いに積層状に設けた高分子有機材料からなる両層の間に多数の気泡を分散してなるシートを有効に活用して、高周波数範囲の騒音に限ることなく低周波数範囲の騒音に対する吸音性をも良好に発揮するようにした自動車用吸音シート及びこの吸音シートを用いた自動車用エンジンアンダーカバーを提供する。
【解決手段】吸音シート50bは、互いに積層した難燃性ポリエチレン樹脂からなる両フィルム52、53と、表皮層54とを備えている。フィルム53は、平膜部53aと、多数の気泡部53bとを有しており、平膜部53aは、その裏面にて、平膜状のフィルム52にその表面側から固着されている。多数の気泡部53bは、フィルム52の面方向に沿い分散して、平膜部53aの厚さ方向に沿いフィルム52から離れる方向に、円筒状に隆起して形成されている。表皮層54は、フェルトからなり、フィルム53に沿い積層されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用吸音シート及びこの吸音シートを用いた自動車用エンジンアンダーカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車においては、例えば、下記特許文献1に記載したエンジン用アンダーカバーが提案されている。このエンジンアンダーカバーは、エンジンの底部側に設けられており、当該エンジンアンダーカバーのエンジン側の内壁面には、多数の小突起が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−10544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述のような構成によれば、エンジンから発生する騒音がエンジンアンダーカバーの内壁面の多数の小突起に入射すると、当該騒音が、多数の小突起によって乱反射される。このため、この乱反射による反射音が干渉して打ち消し合う。
【0005】
しかしながら、多数の小突起が、上述のごとく、単に、エンジンアンダーカバーのエンジン側の内壁面に形成されているにすぎない。このため、これら多数の小突起が半球状に形成されて規則正しくエンジンアンダーカバーの内壁面に配列されていても、上述のような単なる反射音の打ち消し合いのみでは、上記騒音は、良好には低減されにくい。このことは、多数の小突起は、当該エンジンアンダーカバーにおいて、吸音性に欠けることを意味する。
【0006】
その結果、当該エンジンアンダーカバーは、多数の小突起に依っては、騒音に対する吸音を良好には確保できないという不具合が生じる。
【0007】
ここで、エンジンから発生する騒音は、低い周波数から高い周波数に亘る広い周波数の騒音であるが、当該エンジンアンダーカバーは、高い周波数の騒音だけでなく、低い周波数の騒音をも良好には吸音し得ない。
【0008】
そこで、本発明は、以上のようなことに対処するため、互いに積層状に設けた高分子有機材料からなる両層の間に多数の気泡を分散してなるシートを有効に活用して、高周波数範囲の騒音に限ることなく低周波数範囲の騒音に対する吸音性をも良好に発揮するようにした自動車用吸音シート及びこの吸音シートを用いた自動車用エンジンアンダーカバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題の解決にあたり、本発明に係る自動車用吸音シートは、請求項1の記載によれば、
柔軟な弾性を有する高分子有機材料により形成される一側フィルム(52)と、
柔軟な弾性を有する高分子有機材料により形成されて前記一側フィルムに沿い積層してなる他側フィルム(53)と、
当該他側フィルムを介し上記一側フィルムに対向するように上記他側フィルムに沿い積層されて多孔質材料により形成してなる表皮層(54)とを備えて、
上記他側フィルムは、吸音性能を発揮するように、気泡部(53b)を、多数、上記一側フィルムに沿い分散させるとともに当該一側フィルムから上記表皮層に向け隆起させて形成してなり、
上記表皮層を形成する上記多孔質材料は、低周波数から高周波数に亘る所定の広い周波数範囲以内の周波数を有する騒音を吸音するに適した所定の目付量範囲以内の目付量を有する。
【0010】
これにより、当該吸音シートを、その表皮層にて、自動車のうちエンジンの音等の騒音の伝搬の向きに対向するように、当該騒音の伝搬方向に位置する構成部位に配設する。
【0011】
このような状態にて、当該騒音が上記構成部位に伝搬して吸音シートの表皮層に入射したとき、この騒音は、当該表皮層により、その形成材料であるフェルトの吸音性能のもとに、吸音されて低減される。
【0012】
ここで、表皮層を形成する多孔質材料は、上述のように、低周波数から高周波数に亘る所定の広い周波数範囲以内の周波数を有する騒音を吸音するに適した所定の目付量範囲以内の目付量を有する。このため、当該表皮層は、高周波数の騒音に対し良好な吸音性能を発揮するのは勿論のこと、低周波数の騒音に対しても、良好な吸音性能を発揮する。
【0013】
従って、上記騒音の周波数が、高周波数から低周波数に亘っても、当該騒音は、表皮層を透過することで、当該表皮層により良好に低減され得る。
【0014】
このように表皮層により低減されたエンジン音は、さらに、吸音シートの他側フィルム及び一側フィルムからなるフィルム積層体に他側フィルムの表面から入射する。
【0015】
ここで、当該フィルム積層体において、他側フィルムは、吸音性能を発揮するように、気泡部を、多数、一側フィルムに沿い分散させるとともに当該一側フィルムから表皮層に向け隆起させて形成されている。このため、フィルム積層体に入射した騒音に対する反射が、当該フィルム積層体により各気泡部に基づき良好に抑制され得る。従って、表皮層により低減された騒音は、当該フィルム積層体によりさらに低減され得る。このようにして、当該吸音シートによれば、上述した騒音が、その低周波数から高周波数に亘る広い周波数範囲において、良好に吸音され得る。
【0016】
また、本発明は、請求項2の記載によれば、請求項1に記載の自動車用吸音シートにおいて、
表皮層を形成する上記多孔質材料は、上記所定の目付量範囲以内の目付量を有するフェルト、グラスウール或いはウレタン素材であることを特徴とする。
【0017】
これによれば、上記所定の目付量範囲以内の目付量は、低周波数から高周波数に亘る所定の広い周波数範囲以内の周波数を有する騒音を吸音するに適した目付量であることから、当該目付量を有するフェルト、グラスウール或いはウレタン素材でもって表皮層を形成することにより、請求項1に記載の発明による吸音性能を具体的に確保し得る。その結果、請求項1に記載の発明の作用効果をより一層具体的に達成し得る。
【0018】
また、本発明は、請求項3の記載によれば、請求項1または2に記載の自動車用吸音シートにおいて、
上記一側及び他側の各フィルムは、それぞれ、7(μm)〜150(μm)の範囲以内の厚さを有しており、
上記他側フィルムの上記多数の気泡部は、それぞれ、10(mm)〜50(mm)の範囲以内の径及び5(mm)〜30(mm)の範囲以内の高さを有する筒状気泡部であり、
上記所定の広い周波数範囲は、250(Hz)〜5000(Hz)の周波数範囲であり、
上記所定の目付量範囲は、200(g/m2)〜2000(g/m2)の目付量範囲であることを特徴とする。
【0019】
このように、一側及び他側の各フィルムの厚さが、7(μm)〜150(μm)の範囲以内の厚さとされ、他側フィルムの多数の気泡部の径及び高さが、それぞれ、10(mm)〜50(mm)の範囲以内の径及び5(mm)〜30(mm)の範囲以内の高さとされることで、250(Hz)の低周波数から5000(Hz)の高周波数に亘る騒音が、200(g/m2)〜2000(g/m2)の範囲以内の目付量を有する多孔質材料からなる表皮層及び上記一側及び他側の各フィルムの積層構造でもって、より一層確実に達成され得る。その結果、請求項1または2に記載の発明の作用効果がより一層確実に達成され得る。
【0020】
なお、気泡部が、例えば、円筒状である場合には、上記径は、円筒状気泡部の周壁部の径に対応し、また、気泡部が、例えば、四角筒状である場合には、上記径は、四角筒状気泡部の周壁部のうちの両対向壁部間の幅に対応する。
【0021】
また、本発明は、請求項4の記載によれば、請求項1〜3のいずれか1つに記載の自動車用吸音シートにおいて、
上記表皮層、上記他側フィルム及び上記一側フィルムの各外周部は、共に、上記一側フィルムの上記外周部を基準に熱融着されて、環状フランジ部(F)として形成されていることを特徴とする。
【0022】
これによれば、吸音シートを、上記騒音の伝搬する方向に位置する構成部材に取り付けるにあたっては、吸音シートの環状フランジ部を、表皮層側から両面テープにより上記構成部材の表面に貼着するのみで、吸音シートの上記構成部材に対する装着を強固に行うことができる。その結果、吸音シートの上記構成部材に対する強固な装着が、両面テープでもって、簡単になされ得るのは勿論のこと、このような吸音シートの上記構成部材に対する強固な装着のもとに、請求項1〜3のいずれか1つに記載の発明の作用効果がより一層確実に達成され得る。
【0023】
また、本発明は、請求項5の記載によれば、請求項1〜3のいずれか1つに記載の自動車用吸音シートにおいて、
上記表皮層を介し上記他側フィルムに対向するように上記表皮層に沿い積層されて撥水性多孔質材料により形成してなる撥水層(55)を有することを特徴とする。
【0024】
これによれば、撥水層は、撥水性不織布などの撥水性多孔質材料で形成されていることから、当該撥水層は、その表面にて水分をはじく撥水性能を有するのは勿論のこと、騒音を吸音する吸音性能を有する。
【0025】
しかして、吸音シートが、例えば、雨水に水没しても、撥水層が、撥水性能により、水分をはじくことで、一側フィルム及び他側フィルムと相俟って、表皮層を水分の含浸から防止して、常に吸音シートを軽量に維持し得る。また、騒音が、撥水層により吸音された後に、上述と同様にして、低周波数から高周波数に亘り表皮層により吸音された上で、両フィルムのフィルム積層体により吸音される。その結果、吸音シートの含水防止による軽量性を常に確保しつつ、請求項1〜3のいずれか1つに記載の発明による作用効果がより一層向上され得る。
【0026】
また、本発明は、請求項6の記載によれば、請求項1〜3のいずれか1つに記載の自動車用吸音シートにおいて、
上記撥水層、上記表皮層、上記他側フィルム及び上記一側フィルムの各外周部は、共に、上記一側フィルムの上記外周部を基準に熱融着されて、環状フランジ部(Fa)として形成されていることを特徴とする。
【0027】
これによれば、吸音シートを、上記騒音の伝搬する方向に位置する構成部材に取り付けるにあたっては、吸音シートの環状フランジ部を、一側フィルム側から両面テープにより上記構成部材の表面に貼着するのみで、吸音シートの上記構成部材に対する装着を強固に行うことができる。その結果、吸音シートの上記構成部材に対する強固な装着が、両面テープでもって、簡単になされ得るのは勿論のこと、このような吸音シートの上記構成部材に対する強固な装着のもとに、騒音に対する吸音シートの吸音がより一層確実に達成され得る。
【0028】
また、本発明は、請求項7の記載によれば、請求項1〜6のいずれか1つに記載の自動車用吸音シートにおいて、
一側フィルムは、その上記各気泡部に対向して当該各気泡部とは反対方向へ隆起する各気泡部であって一側フィルムの上記各気泡部と共に、空気を共通に封入する各気泡共通部を形成してなる各気泡部(56b)を備えており、
一側及び他側の両フィルムは、上記各気泡共通部のうち互いに隣り合う少なくとも両気泡共通部の間に当該両気泡共通部を互いに連通するように形成される連通共通路部を設けてなることを特徴とする。
【0029】
このように連通共通路部を形成する構成であっても、請求項1〜6のいずれか1つに記載の発明と実質的に同様の作用効果を達成し得る。
【0030】
また、本発明に係る自動車用エンジンアンダーカバーは、請求項8の記載によれば、自動車のエンジンルーム(10)内に配設してなるエンジン(E)の底部に沿い配設される。
【0031】
当該エンジンアンダーカバーにおいて、
エンジンの上記底部に沿い支持されて合成樹脂板からなるカバー本体(50a)と、
請求項1〜7のいずれか1つに記載の吸音シート(50b、50c、50d、50e、50f)とを具備して、
この吸音シートは、上記表皮層を上記一側フィルムのエンジン側に位置させるように、上記カバー本体に沿い、エンジンの上記底部側から装着されることを特徴とする。
【0032】
これにより、自動車のエンジンの音等の騒音が、エンジンの底部側に伝搬して吸音シートに入射すると、この騒音は、吸音シートによりその表皮層及びフィルム積層体の各気泡部のもとに、低周波数から高周波数に亘り、良好に低減され得る。その結果、エンジンの底部側へ伝搬するエンジンの音等の騒音が、低周波数から高周波数に亘り、当該自動車の車室内や車外に向けて騒音として伝搬することなく、吸音シートにより良好に吸音され得る。
【0033】
このことは、請求項1〜7のいずれか1つに記載の発明の作用効果を達成し得るエンジンアンダーカバーの提供が可能であることを意味する。
【0034】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明に係るエンジンアンダーカバーの第1実施形態を適用した自動車の部分破断による模式的概略側面図である。
【図2】図1のエンジンアンダーカバーをオイルパンと共に示す拡大断面図である。
【図3】図2のエンジンアンダーカバーをオイルパンと共に示す下面図である。
【図4】図2の吸音シートの部分破断平面図である。
【図5】図4の吸音シートの拡大破断断面図である。
【図6】上記第1実施形態における第5比較例の断面図である。
【図7】上記第1実施形態における実施例及び第1比較例の各々の吸音率と周波数との関係をそれぞれ示すグラフである。
【図8】上記第1実施形態における実施例及び第2比較例の各々の吸音率と周波数との関係をそれぞれ示すグラフである。
【図9】上記第1実施形態における実施例及び第3比較例の各々の吸音率と周波数との関係をそれぞれ示すグラフである。
【図10】上記第1実施形態における実施例及び第4比較例の各々の吸音率と周波数との関係をそれぞれ示すグラフである。
【図11】上記第1実施形態における実施例及び第5比較例の各々の吸音率と周波数との関係をそれぞれ示すグラフである。
【図12】本発明の第2実施形態の要部である吸音シートを示す部分破断平面図である。
【図13】図12の吸音シートの拡大概略断面図である。
【図14】本発明の第3実施形態の要部である吸音シートを示す断面図である。
【図15】本発明の第4実施形態の要部である吸音シートの断面図である。
【図16】本発明の第5実施形態における吸音シートの部分破断平面図である。
【図17】図6の17−17線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の各実施形態を図面により説明する。
(第1実施形態)
図1は、セダン型自動車に搭載してなるエンジンEの底部側に適用された本発明に係るエンジンアンダーカバーの第1実施形態を示している。当該自動車において、エンジンEは、この自動車のエンジンルーム10内に組み付けられており、このエンジンEの底部の直下には、オイルパン20が配設されている。
【0037】
なお、ダッシュボード40は、当該自動車の車室30とエンジンルーム10との境界壁部に設けられて、車室30をエンジンルーム10から隔離する役割を果たす。また、このダッシュボード40には、両ダッシュインシュレータ(図示しない)が、それぞれ、エンジンルーム10及び車室30の各内部から装着されている。また、エンジンルーム10のボンネット(フード)には、フードインシュレータ(図示しない)が、エンジンルーム10の内部から装着されている。
【0038】
上述のエンジンアンダーカバーは、図2及び図3にて示すごとく、エンジンルーム10内にて、エンジンアンダーカバー50として、オイルパン20にその直下から支持されているもので、当該エンジンアンダーカバー50は、その裏面にて、エンジンルーム10の底壁開口部を介し、当該自動車の走行路面G(図1参照)に対向している。
【0039】
当該エンジンアンダーカバー50は、図2或いは図3にて示すごとく、カバー本体50aと、吸音シート50bとを備えている。カバー本体50aは、合成樹脂板からなるもので、このカバー本体50aは、吸音シート50bを介し、オイルパン20の裏面に沿うように当該オイルパン20にその直下から各支持部材51により支持されている(図2参照)。ここで、当該カバー本体50aは、当該自動車の走行路面Gからの飛水、砂利、小石等からオイルパン20やエンジンEを保護する役割を果たす。
【0040】
吸音シート50bは、その裏面にて、カバー本体50aの表面に沿い装着されているもので、この吸音シート50bは、その表面にて、オイルパン20の裏面に対し間隙を介して対向している。
【0041】
当該吸音シート50bは、図4或いは図5から分かるように、両フィルム52、53と、表皮層54とを備えており、両フィルム52、53は、難燃性ポリエチレン樹脂でもって、互いに積層形成されている。
【0042】
フィルム52は、その全体に亘り、平膜状に形成されている。また、フィルム53は、平膜部53aと、多数の気泡部53bとを有しており、当該フィルム53は、平膜部53aにより、その裏面にて、フィルム52にその表面側から固着されている。このフィルム53の多数の気泡部53bは、図4にて示すごとく、フィルム52の面方向に沿い互いに千鳥状に配列して形成されている。また、当該多数の気泡部53bは、それぞれ、図5にて例示するごとく、フィルム52のうち各気泡部53bに対する対応部から平膜部53aの厚さ方向に向け円筒状に隆起して形成されており、当該多数の気泡部53bの各内部には、空気が封入されている。
【0043】
本第1実施形態において、両フィルム52、53の各厚さは、10(mm)である。従って、両フィルム52、53の各厚さの和は、20(mm)である。
また、多数の気泡部53bは、以下に述べるようにして、千鳥状に配列されている。即ち、多数の気泡部53bのうちの1つの気泡部53bを選択すると、この選択気泡部53bは、図4にて示すごとく、正6角形状に配列した6つの気泡部53bにより包囲されており、当該選択気泡部53bと上記6つの気泡部53bの各々との各中心間隔及び当該6つの気泡部53bのうちの各両隣接気泡部53bの中心間隔は、所定の同一間隔となっている。
【0044】
また、各気泡部53bは、それぞれ、所定の外径(例えば、30(mm))及び所定の高さ(例えば、10(mm))を有する。ここで、上記所定の外径は、円筒状気泡部53bの周壁の外径に相当する。また、上記所定の高さは、フィルム52の表面から気泡部53bの頂壁部の表面までの間隔に相当する。また、気泡部53bの数は、吸音シート50bに吸音性を良好に発揮させ得るように、できる限り多くしてある。
【0045】
また、本第1実施形態において、両フィルム52、53の各目付量は、それぞれ、所定の目付量範囲25(g/m2)〜200(g/m2)以内の値、例えば、50(g/m2)となっている。従って、両フィルム52、53の各目付量の和は、50(g/m2)〜400(g/m2)以内の値、100(g/m2)である。なお、本第1実施形態において、上記所定の目付量範囲25(g/m2)〜200(g/m2)は、両フィルム52、53の各厚さの範囲7(μm)〜150(μm)に対応する。
【0046】
ここで、両フィルム52、53の各目付量の下限値を25(g/m2)としたのは、当該各目付量が、25(g/m2)未満(各フィルム52、53の厚さ7(μm)未満に対応)であると、両フィルム52、53の各々が、薄くなって、破れ易くかつ成形の際に冷め易く成形し難いためである。
【0047】
一方、両フィルム52、53の各目付量の上限値を200(g/m2)としたのは、両フィルム52、53の各目付量が、200(g/m2)(各フィルム52、53の厚さ150(μm)に対応)よりも増大すると、両フィルム52、53の各々が、厚くなり、柔軟性に欠けて固くなって重くなり、成形し難いためである。
【0048】
但し、気泡部の外径が5(mm)〜100(mm)の範囲以内の値から外れると、気泡部が小さすぎたり大きすぎたりして、吸音性能に欠けることとなる。
【0049】
以上のように構成してなる両フィルム52、53からなるフィルム積層体は、次のようにして製造されている。まず、両フィルム52、53の原材料として、難燃性ポリエチレン樹脂を準備する。そして、フィルム52の原材料である難燃性ポリエチレン樹脂を溶融して、溶融フィルム(以下、第1溶融フィルムともいう)とするとともに、フィルム53の原材料である難燃性ポリエチレン樹脂を溶融して溶融フィルム(以下、第2溶融フィルムともいう)とする。このとき、この第2溶融フィルムは、その厚さ方向に沿い多数の円筒状気泡部を上述のごとく隆起させるように成形される。
【0050】
然る後、上述のように溶融した第1及び第2の溶融フィルムを、真空成形のもと或いは一対の加圧ローラ(図示しない)による挟持のもとに、加圧冷却して、相互に固着する。これにより、上記フィルム積層体の製造が終了される。
【0051】
なお、上述した第1及び第2の溶融フィルムに対する加圧の力は、当該加圧の終了後に、第2溶融フィルムのうち各気泡部53bに対する対応部を原形状に復帰させ得る程度であって、第2溶融フィルムのうち平膜部53aに対する対応部を第1溶融フィルムに一様に固着させ得る程度の値に設定されている。
【0052】
表皮層54は、フェルトからなるもので、当該表皮層54は、その裏面のうちフィルム53の多数の気泡部53bの各円筒状頂壁部に対する各対応裏面部位にて、当該多数の気泡部53bの各円筒状頂壁部の表面に接着剤により接着されている。
【0053】
しかして、このように構成してなる吸音シート50bは、表皮層54の表面にてオイルパン20の裏面に間隙を介して沿うように、フィルム52の裏面にてカバー本体50aの表面に沿い装着されている。
【0054】
本第1実施形態において、表皮層54を形成するフェルトの目付量は、所定の目付量範囲200(g/m2)〜2000(g/m2)の範囲以内の値、例えば200(g/m2)となっている。また、表皮層54の厚さは、上記所定の目付量範囲200(g/m2)〜2000(g/m2)の範囲に対応する所定の厚さ範囲5(mm)〜30(mm)の範囲以内の値、例えば、10(mm)となっている。
【0055】
上述のように当該フェルトの目付量を、所定の目付量範囲200(g/m2)〜2000(g/m2)の目付量範囲以内に設定したのは、この範囲内の目付量のフェルトでもって形成される表皮層54は、高周波数の騒音だけでなく、この高周波数の騒音から低周波数の騒音に亘り良好な吸音性能を発揮し得るからである。
【0056】
ここで、表皮層54を形成するフェルトの目付量の下限値を、200(g/m2)(表皮層54の厚さの下限値5(mm)に対応)としたのは、当該フェルトの目付量が200(g/m2)未満であると、不織布と変わりがなく、低周波数の騒音に対する吸音性能が低下するためである。一方、表皮層54を形成するフェルトの目付量の上限値を、2000(g/m2)(表皮層54の厚さの上限値30(mm)に対応)としたのは、当該フェルトの目付量が2000(g/m2)よりも増大すると、表皮層54が、低周波数の騒音に対する良好な吸音性能を有するものの、重くなりすぎて、軽量化に反するためである。
【0057】
また、本第1実施形態において、表皮層54の形成材料として、フェルトを採用したのは、次の根拠に基づく。
【0058】
例えば、フェルトを不織布と対比させた場合、フェルトは、ウールその他種々の繊維の混在した繊維構成を有するのに対し、不織布は、レーヨンその他の単一の繊維からなる繊維構成を有する。このため、フェルトは、不織布と同一の目付量であっても、必然的に厚くなる。
【0059】
このことは、フェルトが、不織布に比べて、低周波数の騒音に対する吸音性能に優れることを意味する。そこで、本第1実施形態では、表皮層54の形成材料としては、上記目付量を有するフェルトが採用されている。
【0060】
なお、このような観点からすれば、表皮層54を形成するフェルトの目付量は、より好ましくは、300(g/m2)〜2000(g/m2)の範囲以内の値であってもよい。これにより、表皮層54の形成材料が不織布との相違することがより一層明確になる。
【0061】
以上のように構成した本第1実施形態においては、上述のように構成したエンジンアンダーカバー50が、上述のごとく、エンジンルーム10内にて、オイルパン20にその直下から支持されている。しかも、当該エンジンアンダーカバー50は、上述のごとく、合成樹脂板からなるカバー本体50aにその表面側から吸音シート50bを装着して構成されている。
【0062】
ここで、例えば、当該自動車の走行中において、エンジンEが、その作動に伴い音(以下、エンジン音ともいう)を発生すると、このエンジン音は、その周囲に向けて騒音として伝搬する。このようにエンジンEの周囲に向けて伝搬する騒音のうち、エンジンEの底部側へ伝搬する騒音は、オイルパン20を介しエンジンアンダーカバー50に向けてさらに伝搬して、吸音シート50bの表皮層54にその表面側から入射する。
【0063】
すると、このように表皮層54に入射した騒音は、当該表皮層54により、その形成材料であるフェルトの吸音性能のもとに、吸音されて低減される。ここで、表皮層54の形成材料であるフェルトは、上述のごとく、200(g/m2)の目付量を有するとともに、表皮層54は10(mm)の厚さを有することから、当該表皮層54は、高周波数の騒音に対し良好な吸音性能を発揮するのは勿論のこと、高周波数から低周波数に亘る騒音に対して、良好な吸音性能を発揮する。
【0064】
従って、エンジン音の騒音としての周波数が、高周波数から低周波数に亘っても、当該騒音は、表皮層54を透過することで、当該表皮層54により良好に低減され得る。
【0065】
然る後、このように表皮層54により低減された騒音は、さらに、吸音シート50bの上記フィルム積層体にそのフィルム53の表面から入射する。
【0066】
ここで、吸音シート50bの上記フィルム積層体は、上述のごとく、フィルム53を、その平膜部53aにて、フィルム52にその表面側から固着してなるもので、フィルム53の多数の気泡部53bは、それぞれ、上述のごとく、平膜部53aの厚さ方向に向け円筒状に隆起して千鳥状に配列されている。これにより、当該両フィルム52、53は、千鳥状に配列された多数の気泡部53b内の各封入空気を介し、2層構造となっている。
【0067】
また、上述したごとく、両フィルム52、53の各厚さの和は、20(μm)であり、各気泡部53bの外径及び高さは、それぞれ、30(mm)及び10(mm)である。
【0068】
このように構成した両フィルム52、53は、通気性を有さないものの、ポリエチレン樹脂でもって、上述のごとく、それぞれ、10(μm)と薄く形成されている。従って、当該両フィルム52、53は、柔軟な弾性を有する。
【0069】
従って、上述のように、表皮層54により低減された騒音が上記フィルム積層体にフィルム53から入射すると、当該騒音は、上記フィルム積層体により反射される。
【0070】
しかしながら、上記フィルム積層体が上述のごとく多数の気泡部53bを有するため、このフィルム積層体による上記騒音に対する反射は、当該フィルム積層体によりその各気泡部53bのもとに良好に抑制され得る。このことは、各気泡部53bが、上記フィルム積層体を構成する両フィルム52、53において、吸音性の発揮にあたり大きな役割を果たし、その結果、上記フィルム積層体が良好な吸音性能を発揮することを意味する。これにより、当該フィルム積層体によれば、このフィルム積層体に入射した騒音がさらに低減され得る。
【0071】
その結果、上述のようにエンジンEの底部側へ伝搬する騒音としてのエンジン音は、当該自動車の車室内や車外に向けて伝搬することなく、吸音シート50bでもって、表皮層54の吸音性能と両フィルム52、53の吸音性能とからなる相乗的な吸音性能により、低周波数から高周波数に亘り、良好に吸音され得る。また、エンジン音と同様に吸音シート50bに入射する外乱音等も同様に当該吸音シート50bでもって良好に吸音により防音され得る。なお、上述のようにエンジンEの周囲に向けて伝搬する騒音のうちエンジンEの上方及び後方へ伝播する騒音や外乱音は、上記フードインシュレータ及び上記ダッシュインシュレータにより吸音される。
【0072】
また、両フィルム52、53を形成するポリエチレン樹脂は、上述のごとく難燃性を有するから、エンジンEが高温になったとしても、両フィルム52、53は、熱による損傷を受けることなく、騒音や外乱音を良好に吸音し得る。
【0073】
また、両フィルム52、53の各目付量の和が、上述のごとく、100(g/m2)であるのに対し、表皮層54の目付量は、上述のごとく、200(g/m2)である。従って、吸音シート50bとしては、多少重くなるが、軽量化の要請を十分に満たす。しかも、両フィルム52、53の形成材料は、難燃性を有するものの、ポリエチレン樹脂であることに変わりはない。このため、当該フィルム52、53は、共に、含水性を有さない。従って、これらフィルム52、53の重量が、当該フィルムの含水により増大するという事態を招くことはない。
【0074】
よって、当該自動車の走行時において、吸音シート50bが、両フィルム52、53において、飛水を受けても、両フィルム52、53は、常に軽量に維持され得るのは勿論のこと、当該両フィルム52、53は、その含水によって本来の良好な吸音性を損なうという事態を招くこともない。
【0075】
また、両フィルム52、53は、上述のごとく、ポリエチレン樹脂でもって、柔軟な弾性を有するように形成されているから、当該両フィルム52、53は、本来の原形状を良好に維持することができる。また、表皮層54は、上記目付量を有するフェルトでもって形成されているから、柔軟な弾性を有する。その結果、上述した吸音シート50bの取り扱いが非常に容易に維持され得る。
【0076】
ちなみに、本第1実施形態における吸音シート50bを実施例とし、この実施例の他に、第1〜第5の各比較例を準備して、これら実施例及び第1〜第5の比較例を各試料として用い、当該各試料に対し、残響室法吸音率試験を施して、吸音率と周波数との関係を調べてみた。
【0077】
ここで、第1比較例は、上記実施例とは異なり、1000(g/m2)の目付量及び20(mm)の厚さを有する平板状のフェルトでもって構成されている。第2比較例は、第1比較例において、フェルトの目付量を1200(g/m2)に変更した構成となっている。
【0078】
また、第3比較例は、上記実施例において、表皮層54に代えて、目付量60(g/m2)を有する不織布からなる表皮層を採用し、両フィルム52、53に代えて、それぞれ、目付量92.5(g/m2)を有する両フィルムを採用した。また、当該両フィルムのうちフィルム53に対応するフィルムの各気泡部(各気泡部53bに対応)の外径及び高さは、それぞれ、30(mm)及び20(mm)である。
【0079】
また、第4比較例は、上記実施例において、表皮層54に代えて、目付量200(g/m2)を有する不織布からなる表皮層を採用した。その他の当該第4比較例の構成は、上記実施例と同様である。
【0080】
また、第5比較例は、上記実施例の両フィルム52、53からなるフィルム積層体(図5参照)に代えて、当該両フィルム52、53の他に他の両フィルム52、53(上記実施例の両フィルム52、53と同様の構成を有する)
をさらに付加してなる2段フィルム積層体を採用し、かつ、上記実施例の表皮層54に代えて、目付量200(g/m2)を有する不織布からなる表皮層Sを採用した(図6参照)。
【0081】
しかして、当該第4比較例は、図6にて示すごとく、上記2段フィルム積層体上に表皮層Sを積層して構成されている。ここで、上記2段フィルム積層体は、上記実施例のフィルム積層体を構成する両フィルム52、53上に、上述の他の両フィルム52、53を積層して形成されており、当該他の両フィルム52、53のうちのフィルム52は、上記実施例のフィルム積層体を構成する両フィルム52、53のうちのフィルム53の各気泡部53b上に接着により積層されている。なお、表皮層Sは、上述の他の両フィルム52、53のうちのフィルム53の各気泡部53b上に接着により積層されている。
【0082】
しかして、上記実施例につき、上記残響室法吸音率試験により、吸音率と周波数との関係を調べたところ、図7にて示すグラフ1が得られた。ここで、グラフ1は、上記実施例の吸音率と周波数との関係を示す折れ線グラフである。
【0083】
一方、第1〜第5の各比較例につき、上記残響室法吸音率試験により、吸音率と周波数との関係を調べてみた。これによれば、第1比較例の吸音率と周波数との関係は、図7にて示すグラフ2として得られた。第2比較例の吸音率と周波数との関係は、図8にて示すグラフ3として得られた。
【0084】
また、第3比較例の吸音率と周波数との関係は、図9にて示すグラフ4として得られた。また、第4比較例の吸音率と周波数との関係は、図10にて示すグラフ5として得られた。さらに、第5比較例の吸音率と周波数との関係は、図11にて示すグラフ6として得られた。
【0085】
本第1実施形態では、各グラフ1〜6において、上記周波数は、エンジンEからその作動に伴い発生される音の周波数、即ち、所定の周波数の範囲(例えば、250(Hz)〜5000(Hz)の範囲)以内の周波数をいう。
【0086】
以上述べた実施例に対応するグラフ1(図7〜図11参照)を各グラフ2〜6と対比してみると、次のようなことが分かる。
【0087】
まず、図7において、グラフ1をグラフ2と対比してみると、吸音率は、いずれのグラフにおいても、低周波数のエンジン音から高周波数のエンジン音にかけて、周波数の増大に伴い上昇していることが分かる。
【0088】
ここで、エンジン音の250(Hz)〜630(Hz)の周波数範囲、即ち、低周波数に属する範囲では、両グラフ1及び2は、共に、ほぼ同一の吸音率を示している。また、グラフ1は、エンジン音の周波数が800から5000(Hz)にかけて増大するにつれて、グラフ2よりも上昇していることが分かる。
【0089】
これにより、実施例の吸音率は、低周波数範囲のエンジン音に対しては、第1比較例の吸音率と実質的に同様であるが、高周波数のエンジン音に対しては、第1比較例の吸音率よりも高いことが認識される。
【0090】
換言すれば、吸音シートが、第1比較例のようにフェルトのみで構成されている場合には、吸音シートが、実施例のように、表皮層54と、両フィルム52、53との双方で構成されている場合に比べて、フェルトの目付量及び厚さを増大しないと、実施例のような吸音率が、周波数との関係において得られないことが理解される。
【0091】
また、図8において、両グラフ1及び3を対比してみると、吸音率は、いずれのグラフにおいても、低周波数のエンジン音から高周波数のエンジン音にかけて、周波数の増大に伴い、ほぼ一致しながら上昇していることが分かる。
【0092】
ここで、実施例の吸音率は、低周波数のエンジン音から高周波数のエンジン音にかけて、第2比較例の吸音率とほぼ一致していることが認識される。
【0093】
これによれば、吸音シートが、第2比較例のようにフェルトのみで構成されている場合には、吸音シートが、実施例のように、表皮層54と、両フィルム52、53との双方で構成されている場合に比べて、フェルトの目付量をかなり増大し、かつ、フェルトの厚さも増大しないと、実施例のような吸音率が、周波数との関係において得られないことが理解される。
【0094】
また、図9において、両グラフ1及び4を対比してみると、グラフ1においては、吸音率が、上述したようにエンジン音の低周波数から高周波数にかけて上昇している。これに対して、グラフ4においても、吸音率が、エンジン音の低周波数から高周波数にかけて上昇してはいるものの、当該グラフ4における吸音率は、エンジン音の低周波数から高周波数にかけて、グラフ1からその下側へ離れつつ当該グラフ1に沿うように上昇している。
【0095】
これによれば、吸音シートが、第3比較例のように、表皮層を不織布で構成した場合には、両フィルムの構成を、実施例と同一にしても、第3比較例における吸音率が、実施例の吸音率に比べて、エンジン音の低周波数から高周波数に亘り、低くなることが分かる。また、上述のようにグラフ4における吸音率が、低周波数から高周波数にかけて、グラフ1からその下側へ離れていく根拠は、実施例の表皮層の目付量が200(g/m2)であるのに対し、第3比較例の目付量が60(g/m2)とかなり小さいことによる。
【0096】
換言すれば、実施例のように表皮層を上記目付量のフェルトで構成すれば、第3比較例のように表皮層を上記目付量の不織布で構成した場合に比べ、両フィルムの構成を実施例及び第3比較例の双方において同一にしても、実施例の吸音率が、エンジン音の低周波数から高周波数に亘り、第3比較例の吸音率よりも高いことが認識される。
【0097】
このことから、表皮層の形成材料を、上記目付量のフェルトとすれば、第3比較例のように表皮層の形成材料を上述の不織布とする場合に比べて、高周波数範囲のエンジン音だけでなく、低周波数範囲、例えば、250(Hz)〜630(Hz)の範囲のエンジン音に対しても、実施例は、良好な吸音性能を有することが分かる。
【0098】
また、図10において、両グラフ1及び5を対比してみると、グラフ1においては、吸音率が、上述したようにエンジン音の低周波数から高周波数にかけて上昇している。これに対して、グラフ5においても、吸音率が、エンジン音の低周波数から高周波数にかけて上昇してはいるものの、当該グラフ5における吸音率は、エンジン音の周波数の低周波数から増大に応じて、グラフ1にその下側から沿うように上昇した後、3150(Hz)以上の高周波数領域にてほぼ一致している。
【0099】
このようなグラフ5における吸音率の周波数変化は、次のような根拠に基づく。即ち、実施例及び比較例4の各表皮層は、共に、200(g/m2)という同一の目付量を有していても、実施例の表皮層の形成材料がフェルトであるのに対し、第4比較例の表皮層の形成材料が不織布であることから、実施例の吸音率が、低周波数から2500(Hz)付近の高周波数にかけて、比較例5の吸音率に比べて高くなっている。
また、図11において、両グラフ1及び6を対比してみると、グラフ1においては、吸音率が、上述したようにエンジン音の低周波数から高周波数にかけて上昇している。これに対して、グラフ6においても、吸音率が、エンジン音の低周波数から高周波数にかけて上昇してはいるものの、当該グラフ6における吸音率は、エンジン音の周波数の低周波数領域630(Hz)以下ではグラフ1の吸音率よりも明らかに低く、その後、周波数の2000(Hz)近辺までの増大に応じて、グラフ1の吸音率よりも幾分上昇しながら当該グラフ1に沿うように変化した後、2000(Hz)を超える高周波数領域にてほぼ一致している。
【0100】
従って、比較例5の吸音率は、630(Hz)を超える周波数領域では、実施例の吸音率と同様の傾向を示すものの、低周波数領域630(Hz)以下では、実施例の吸音率よりも低いことが分かる。
【0101】
これは、以下の根拠に基づく。即ち、実施例の表皮層が、共に、200(g/m2)と同一の目付量を有していても、第5比較例の表皮層が、実施例の表皮層の形成材料であるフェルトとは異なり、不織布であること、及び第5比較例が、実施例のフィルム積層体のように単層ではなく、2段のフィルム積層体を有するためである。
【0102】
また、実施例において、フィルム53の気泡部の外径及び各フィルム52、53の厚さを種々変更した吸音シートを、多数、準備して、上述と同様に吸音率と周波数との関係を調べたところ、気泡部の外径が、上述したごとく、10(mm)〜50(mm)の範囲以内にあり、かつ、気泡部の高さが、上述したごとく、5(mm)〜30(mm)の範囲以内にあれば、エンジンアンダーカバーの吸音シートとしての吸音性能は、高周波数範囲のエンジン音だけでなく、低周波数範囲のエンジン音に対しても、良好に確保し得ることが分かった。・
(第2実施形態)
図12は、本発明の第2実施形態の要部を示している。この第2実施形態では、上記第1実施形態にて述べた吸音シート50bの外周縁部が、高周波誘導加熱等の加熱により溶融圧着されて、環状フランジ部Fとして形成されている。ここで、環状フランジ部Fは、フィルム52の外周部を基準に、表皮層54の外周部を、フィルム53の外周部を介し、フィルム52の外周部側へ加熱により溶融圧着することで、薄く形成されている。
【0103】
このように形成した吸音シート50bは、フィルム52の裏面をカバー本体50aの表面に沿うように当接させた状態で、環状フランジ部Fを環状の両面テープT(図13参照)でもって、カバー本体50aの表面に貼着されることで、カバー本体50aに装着されている。その他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0104】
このように構成した本第2実施形態によれば、吸音シート50bをカバー本体50aの表面に装着するにあたっては、上述のごとく、吸音シート50bの環状フランジ部Fが、フィルム52側から両面テープTによりカバー本体50aの表面に貼着される。
【0105】
ここで、環状フランジ部Fは、上述のごとく、表皮層54の外周部を、フィルム53の外周部を介し、フィルム52の外周部側へ加熱により溶融圧着することで形成されているので、当該環状フランジ部Fは、表皮層54、フィルム53及びフィルム52の各外周部を一体化した状態で薄く形成されている。
【0106】
従って、吸音シート50bのカバー本体50aに対する装着が、両面テープTの貼着のみで、強固に行われ得る。その結果、吸音シート50bのカバー本体50aに対する強固な装着が簡単な構成にて簡単な作業で済むのは勿論のこと、吸音シートの上記構成部材に対する強固な装着のもとに、騒音に対する吸音シートの吸音がより一層確実に達成され得る。その他の作用効果は、上記第1実施形態と同様である。
(第3実施形態)
図14は、本発明の第3実施形態の要部を示している。この第3実施形態においては、吸音シート50dは、上記第1実施形態にて述べた吸音シート50bにおいて、撥水層55を付加した構成を有する。
【0107】
当該撥水層55は、所定の目付量及び所定の厚さを有するように、撥水性不織布でもって形成されており、この撥水層55は、上記第1実施形態にて述べた表皮層54にその表面に沿い接着されている。
【0108】
ここで、当該撥水層55は、その撥水性能により、その表面にて水分をはじく撥水性能を有することで、吸音シート50dを雨水等の含浸から未然に防止する役割を果たす。本第3実施形態において、当該撥水層55の形成材料である撥水性不織布は、例えば、ポリエステルにシリコン等の撥水性材料を混入して形成されている。その他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0109】
このように構成した本第3実施形態によれば、当該自動車の走行中において、吸音シート50dが、例えば、雨水に水没しても、撥水層55が、撥水性能により、その表面にて、水分をはじくことで、含水により重量増加を招くことなく、常に軽量に維持され得る。
【0110】
また、当該撥水層55は、その撥水性能により、両フィルム52、53と相俟って、表皮層54を雨水等の水分の含浸から防止する。従って、表皮層54がフェルトから形成されているものの、当該表皮層54が、常に軽量に維持され得る。
【0111】
また、撥水層55の形成材料である撥水性不織布は、不織布であることに変わりがなく、多孔質材料の1種である。従って、撥水層55は、上記騒音に対する吸音性能を有する。
【0112】
このため、上記騒音は、撥水層55により吸音されて表皮層54に入射することとなる。しかして、このように表皮層54に入射する騒音は、上記第1実施形態にて述べたと同様に、吸音シート50b、即ち、表皮層54及び両フィルム52、53のフィルム積層体でもって吸音される。
【0113】
その結果、吸音シート50dによれば、上記第1実施形態にて述べた吸音シート50bよりもさらに高い吸音性能をエンジン音に対し発揮し得る。
【0114】
ここで、撥水層55は、その撥水性能により、両フィルム52、53と相俟って、上述のごとく、表皮層54をも含めて、含水から保護されるので、当該撥水層55の吸音性能は、表皮層54の吸音性能と共に、含水による低下をきたすこともない。その他の作用効果は、上記第1実施形態と同様である。
(第4実施形態)
図15は、本発明の第4実施形態の要部を示している。この第4実施形態では、吸音シート50eが、上記第3実施形態にて述べた吸音シート50dにおいて、その外周縁部を、高周波誘導加熱等の加熱により溶融圧着して、環状フランジ部Faとして形成することで構成されている。ここで、環状フランジ部Faはフィルム52の外周部を基準に、撥水層55の外周部を、表皮層54及びフィルム53の各外周部を介し、フィルム52の外周部側へ加熱により溶融圧着することで、薄く形成されている。
【0115】
このように形成した吸音シート50eは、フィルム52の裏面をカバー本体50aの表面に沿うように当接させた状態で、環状フランジ部Faを、環状の両面テープTa(図15参照)でもって、カバー本体50aの表面に貼着することで、カバー本体50aに装着されている。その他の構成は、上記第3実施形態と同様である。
【0116】
このように構成した本第4実施形態によれば、吸音シート50eをカバー本体50aの表面に装着するにあたっては、上述のごとく、吸音シート50eの環状フランジ部Faが、フィルム52側から両面テープTaによりカバー本体50aの表面に貼着される。
【0117】
ここで、環状フランジ部Faは、上述のごとく、撥水層55の外周部を、表皮層54及びフィルム53の外周部を介し、フィルム52外周部側へ加熱により溶融圧着することで形成されているので、当該環状フランジ部Faは、撥水層55、表皮層54、フィルム53及びフィルム52の各外周部を一体化した状態で薄く形成されている。
【0118】
従って、吸音シート50eのカバー本体50aに対する装着が、両面テープTaの貼着のみで、強固に行われ得る。このことは、吸音シート50eのカバー本体50aに対する装着が簡単な構成にて簡単な作業で済むことを意味する。その他の作用効果は、上記第3実施形態と同様である。
(第5実施形態)
図16及び図17は、本発明の第5実施形態の要部を示している。この第5実施形態では、上記第1実施形態にて述べたエンジンアンダーカバー50において、吸音シート50fが、吸音シート50bに代えて採用された構成となっている。
【0119】
吸音シート50fは、その裏面にて、カバー本体50aの表面に沿い装着されているもので、この吸音シート50fは、その表面にて、オイルパン20の裏面に対し間隙を介して対向している。
【0120】
当該吸音シート50fは、図16或いは図17から分かるように、上記第1実施形態にて述べたフィルム53と、上記第1実施形態にて述べたフィルム52に代わるフィルム56と、上記第1実施形態にて述べた表皮層54とを備えている。
【0121】
但し、本第5実施形態では、フィルム53は、上記第1実施形態にて述べた構成に加えて、多数の半円筒状連通路部53cを付加して形成されている。
【0122】
当該多数の半円筒状連通路部53cは、それぞれ、平膜部53aにおいて、図16にて図示上下方向に隣り合うように並ぶ各両隣接気泡部53bの両隣接気泡部53b毎に連通させるべく当該両隣接気泡部53bの間に連結形成されている。ここで、各半円筒状連通路部53cは、平膜部53aにおいて、表皮層54側へ凸となるような縦断面半円状に隆起形成されている。
【0123】
フィルム56は、平膜部56aと、多数の気泡部56bと、多数の半円筒状連通路部56cとを備えており、当該フィルム56は、フィルム53と同様に難燃性ポリエチレン樹脂でもって形成されている。
【0124】
このフィルム56において、平膜部56a、多数の気泡部56b及び多数の半円筒状連通路部56cは、フィルム53の平膜部53a、多数の気泡部53b及び多数の半円筒状連通路部53cにそれぞれ対応して位置するように形成されている。しかして、当該フィルム56は、平膜部56aにより、その表面にて、フィルム53の平膜部53aにその表面側から固着されている。
【0125】
多数の気泡部56bは、フィルム53の多数の気泡部53bと同様に、当該フィルム53の面方向に沿い互いに千鳥状に配列して形成されている。また、当該多数の気泡部56bは、それぞれ、図17にて例示するごとく、フィルム53の各気泡部53bとは反対方向に向け円筒状に隆起して形成されており、当該多数の気泡部56bは、それぞれ、その開口部にて、各気泡部53bの開口部に対向するように固着されている。
【0126】
これにより、多数の気泡部56bは、その内部にて、それぞれ、各対応の気泡部53bの内部に連通して、当該各対応の気泡部53bと共に、平膜部56aの厚さ方向に気泡共通部を構成しており、当該各気泡共通部の各内部、即ち、互いに対向する各両気泡部53b、56bの内部には、空気が封入されている。本第5実施形態において、フィルム56の目付量は、フィルム53の目付量と同一であり、フィルム56の厚さは、フィルム53の厚さと同様である。また、各気泡部56bの外径及び高さは、それぞれ、各気泡部53bの外径及び高さと同一である。
【0127】
多数の連通路部56cは、それぞれ、平膜部56aにおいて、多数の連通路部53cに対向して、図16にて図示上下方向に隣り合うように並ぶ各両隣接気泡部56bの両隣接気泡部56b毎に連通させるべく当該隣接気泡部56bの間に連結形成されている。ここで、各半円筒状連通路部56cは、平膜部56aにおいて、表皮層54とは反対側へ凸となるような縦断面半円状に隆起形成されている。
【0128】
しかして、当該多数の連通路部56cは、それぞれ、その開口部にて、各連通路部53cの開口部に対向するように固着されている。これに伴い、各連通路部56cは、その開口部にて、それぞれ、各対応の連通路部53cの開口部内に開口して、当該各対応の連通路部53cと共に、平膜部56aの厚さ方向に連通共通路部を構成する。
【0129】
これにより、吸音シート50fにおいては、図16にて図示上下方向に列状に並ぶ一連の気泡共通部、即ち、一連の対向気泡部53b、56b毎に、上下方向に互いに隣接する各両対向気泡部53b、56bが、その内部にて、その間に位置する連通共通路部である両対向連通路部53c、56cの各内部を通して、相互に連通して、各連通共通路部の各内部を空気で満たす。
【0130】
このことは、上述した各一連の気泡共通部が、それぞれ、当該各一連の共通気泡円筒部に間に位置する各連通共通路部を通して互いに連通して空気を封入した状態にあることを意味する。その他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0131】
このように構成した本第5実施形態においては、上記第1実施形態とは異なり、上述したごとく、一連の気泡共通部毎に、互いに対向する各両気泡部53b、56bが、当該各両気泡部53b、56bの間に形成してなる各両連通路部53c、56cを通して、単一の長手状気泡部を構成することとなる。
【0132】
これによっても、上記第1実施形態と実質的に同様の吸音性能を発揮し得る。その結果、上記第1実施形態と実質的に同様の作用効果が達成され得る。
【0133】
なお、本発明の実施にあたり、上記各実施形態に限ることなく、次のような種々の変形例が挙げられる。
(1)表皮層54の形成材料は、上記各実施形態にて述べたフェルトに限ることなく、例えば、グラスウール或いはウレタン素材であってもよく、このグラスウール或いはウレタン素材が、上述した200(g/m2)〜2000(g/m2)の範囲以内の目付量を有すればよい。また、一般的には、表皮層54の形成材料は、上述した200(g/m2)〜2000(g/m2)の範囲以内の目付量を有する多孔質材料であればよい。これにより、上記各実施形態のいずれかと実質的に同様の作用効果を達成することができる。
(2)各フィルム52、53の形成材料は、上記各実施形態にて述べた難燃性ポリエチレン樹脂に限ることなく、ポリプロピレン樹脂、ナイロン樹脂、ポリエステル樹脂或いはフッ素樹脂等の熱可塑性樹脂その他の高分子有機材料であって難燃性のあるものであればよい。
(3)上記第1実施形態では、各気泡部を千鳥状に配列したが、これに限らず、例えば、格子状に配列してもよく、また、一般的には、各気泡部が多数分散して位置しておれば、どのような配列にあってもよい。
(4)また、本発明の実施にあたり、吸音シート50b、50c或いは50dは、エンジンアンダーカバー50に限ることなく、例えば、当該自動車のボンネットのフードに適用して実施してもよい。
(5)本発明の実施にあたり、上記第6実施形態にて述べたように、裏皮層54を両フィルムと加熱による融着するのではなく、両フィルム52、53にフィルム52側から接着剤でもって接着するようにしてもよい。
(6)本発明の実施にあたり、各気泡部の数及び形状が、上記所定の周波数の範囲以内の周波数の騒音を吸音するように設定されていれば、当該各気泡部のもと、吸音シートの吸音性が良好に確保され得る。従って、例えば、気泡の形状は、上記各実施形態にて述べた円筒状にかぎることなく、例えば、四角筒状であってもよい。
(7)本発明の実施にあたり、上記第5実施形態にて述べた共通連通円筒部は、上記第5実施形態とは異なり、互いに隣り合う各両対向気泡部53b、56bのうちの少なくとも一両対向気泡部53b、56bとこれに隣り合う他の両対向気泡部53b、56bとの間に形成されていればよい。
【符号の説明】
【0134】
10…エンジンルーム、50…エンジンアンダーカバー、
50a…カバー本体、50b、50c、50d、50e、50f…吸音シート、
52、53…フィルム、53b、56b…気泡部、54…表皮層、
55…撥水層、53c、56c…連通路部、E…エンジン、
F、Fa…環状フランジ部、T、Ta…環状両面テープ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
柔軟な弾性を有する高分子有機材料により形成される一側フィルムと、
柔軟な弾性を有する高分子有機材料により形成されて前記一側フィルムに沿い積層してなる他側フィルムと、
当該他側フィルムを介し前記一側フィルムに対向するように前記他側フィルムに沿い積層されて多孔質材料により形成してなる表皮層とを備えて、
前記他側フィルムは、吸音性能を発揮するように、気泡部を、多数、前記一側フィルムに沿い分散させるとともに当該一側フィルムから前記表皮層に向け隆起させて形成してなり、
前記表皮層を形成する前記多孔質材料は、低周波数から高周波数に亘る所定の広い周波数範囲以内の周波数を有する騒音を吸音するに適した所定の目付量範囲以内の目付量を有する自動車用吸音シート。
【請求項2】
前記表皮層を形成する前記多孔質材料は、前記所定の目付量範囲以内の目付量を有するフェルト、グラスウール或いはウレタン素材であることを特徴とする請求項1に記載の自動車用吸音シート。
【請求項3】
前記一側及び他側の各フィルムは、それぞれ、7(μm)〜150(μm)の範囲以内の厚さを有しており、
前記他側フィルムの前記多数の気泡部は、それぞれ、10(mm)〜50(mm)の範囲以内の径及び5(mm)〜30(mm)の範囲以内の高さを有する筒状気泡部であり、
前記所定の広い周波数範囲は、250(Hz)〜5000(Hz)の周波数範囲であり、
前記所定の目付量範囲は、200(g/m2)〜2000(g/m2)の目付量範囲であることを特徴とする請求項1または2に記載の自動車用吸音シート。
【請求項4】
前記表皮層、前記他側フィルム及び前記一側フィルムの各外周部は、共に、前記一側フィルムの前記外周部を基準に熱融着されて、環状フランジ部として形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の自動車用吸音シート。
【請求項5】
前記表皮層を介し前記他側フィルムに対向するように前記表皮層に沿い積層されて撥水性多孔質材料により形成してなる撥水層を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の自動車用吸音シート。
【請求項6】
前記撥水層、前記表皮層、前記他側フィルム及び前記一側フィルムの各外周部は、共に、前記一側フィルムの前記外周部を基準に熱融着されて、環状フランジ部として形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の自動車用吸音シート。
【請求項7】
前記一側フィルムは、その前記各気泡部に対向して当該各気泡部とは反対方向へ隆起する各気泡部であって前記一側フィルムの前記各気泡部と共に、空気を共通に封入する各気泡共通部を形成してなる各気泡部を備えており、
前記一側及び他側の両フィルムは、前記各気泡共通部のうち互いに隣り合う少なくとも両気泡共通部の間に当該両気泡共通部を互いに連通するように形成される連通共通路部を設けてなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の自動車用吸音シート。
【請求項8】
自動車のエンジンルーム内に配設してなるエンジンの底部に沿い配設されるエンジンアンダーカバーにおいて、
エンジンの前記底部に沿い支持されて合成樹脂板からなるカバー本体と、
請求項1〜7のいずれか1つに記載の吸音シートとを具備して、
この吸音シートは、前記表皮層を前記一側フィルムの前記エンジン側に位置させるように、前記カバー本体に沿い、前記エンジンの前記底部側から装着されることを特徴とする自動車用エンジンアンダーカバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−245834(P2012−245834A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−117570(P2011−117570)
【出願日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(509069892)豊和繊維工業株式会社 (23)
【Fターム(参考)】