説明

自動車用外装品

【課題】蓋体を開口から脱落させることなく確実に保持でき、かつ作業スペースを抑制しつつ作業用開口を大きく取ることが可能なカウルトップカバーを提供する。
【解決手段】カウルトップカバー本体に設けた開口22を閉塞可能な蓋体23に係止部68を設ける。開口22に係止部68を受ける係止受け部46を設ける。係止部68を係止受け部46に受けることで蓋体本体64を開口22に保持するとともに、この保持の一部を解除した状態で屈曲部63によって蓋体本体64を屈曲させて開口22の一部を開いて作業用開口72とする。蓋体23を開口22から脱落させることなく確実に保持でき、かつ作業スペースを抑制しつつ作業用開口72を大きく取ることが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、自動車のフロントガラスとボンネットフードとの間に配置されるカウルトップカバーなどの自動車用外装品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の自動車用外装品として、自動車のフロントガラスとボンネットフードとの間に配置され、これらフロントガラスの前端部とボンネットフードの後端部との間を覆うカウルトップカバーが用いられている。そして、フロントガラスの前端部を支持する車体には車台番号(車体番号)が打刻されており、カウルトップカバーには、この車台番号をエンジンルーム側から視認可能とするように作業用開口が設けられている。
【0003】
この作業用開口には、この作業用開口を開閉するためのキャップが設けられ、このキャップには、4〜6箇所程度の複数の爪部が設けられており、これら爪部を作業用開口に嵌合させることでキャップを作業用開口に対して着脱可能としている。
【0004】
しかしながら、このような構成の場合、作業用開口とキャップとの隙間(がた)が発生しやすかったり、キャップの脱着力の調整のために爪部の形状のチューニングが必要であったりした。また、キャップの脱着作業時には、誤ってエアボックス内にキャップを落下させてしまうことがあった。
【0005】
この点、横長の開口部を有するホルダをカウルトップカバーの作業用開口に着脱可能に設け、このホルダの壁面に沿ってスライド可能な引き戸式のスライドプレートを設けることにより、常時はスライドプレートによって開口部を閉塞し、必要時にスライドプレートをスライドさせて開口部を開く構成が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−119458号公報 (第4−6頁、図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の自動車用外装品では、引き戸式のスライドプレートを用いるため、スライド長に応じて開口部が開口される。したがって、開口部の面積が大きい場合、スライドプレートのスライド長も大きくなり、作業性が良好でないという問題点を有している。
【0008】
また、他の部材とのレイアウトの関係によっては、スライドプレートのスライド長を大きく取ることが容易でない場合もある。
【0009】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、蓋体を開口から脱落させることなく確実に保持でき、かつ作業スペースを抑制しつつ作業用開口を大きく取ることが可能な自動車用外装品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1記載の自動車用外装品は、外装品本体と、この外装品本体に設けられた開口と、この開口を閉塞可能な蓋体と、前記開口と前記蓋体との少なくともいずれか一方に設けられた係止部と、前記開口と前記蓋体との他方に設けられ、前記係止部を受ける係止受け部とを具備し、前記蓋体は、前記係止部の少なくとも一部を前記係止受け部の少なくとも一部に受けることにより前記開口に保持される蓋体本体と、前記係止部と前記係止受け部との受けによる前記蓋体本体の保持の一部を解除した状態で前記蓋体本体を屈曲させることにより前記開口の一部を開いて作業用開口とする屈曲部とを備えているものである。
【0011】
請求項2記載の自動車用外装品は、請求項1記載の自動車用外装品において、係止部と係止受け部とによる蓋体本体の保持の一部は、前記蓋体本体を所定方向に沿って所定長スライドさせることにより解除されるものである。
【0012】
請求項3記載の自動車用外装品は、請求項1記載の自動車用外装品において、係止部と係止受け部とによる蓋体本体の保持の一部は、前記蓋体本体を所定角度、回動方向にスライドさせることにより解除されるものである。
【0013】
請求項4記載の自動車用外装品は、請求項2または3記載の自動車用外装品において、係止受け部は、蓋体本体を開口に保持する状態で係止部を受け、前記蓋体本体のスライドによりこの係止部の一部の受けを解除する保持用係止受け部と、前記蓋体本体のスライドにより前記係止部の他部を受ける屈曲用係止受け部とを備えているものである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の自動車用外装品によれば、外装品本体に設けた開口とこの開口を閉塞可能な蓋体との少なくともいずれか一方に係止部を設け、開口と蓋体との他方に係止部を受ける係止受け部を設けて、係止部の少なくとも一部を係止受け部の少なくとも一部に受けることで蓋体本体を開口に保持するとともに、この保持の一部を解除した状態で屈曲部によって蓋体本体を屈曲させて開口の一部を開いて作業用開口とすることにより、蓋体を開口から脱落させることなく確実に保持でき、かつ作業スペースを抑制しつつ作業用開口を大きく取ることが可能になる。
【0015】
請求項2記載の自動車用外装品によれば、請求項1記載の自動車用外装品の効果に加え、係止部と係止受け部とによる蓋体本体の保持の一部を、蓋体本体を所定方向に沿って所定長スライドさせることで解除可能とすることにより、蓋体本体の必要最小限のスライドによって蓋体本体の保持の一部を容易に解除できる。
【0016】
請求項3記載の自動車用外装品によれば、請求項1記載の自動車用外装品の効果に加え、係止部と係止受け部とによる蓋体本体の保持の一部を、蓋体本体を所定角度、回動方向にスライドさせることで解除可能とすることにより、蓋体本体の必要最小限のスライドによって蓋体本体の保持の一部を容易に解除できるとともに、蓋体のスライドのためのスペースを周囲に取る必要がなく、作業性がより向上する。
【0017】
請求項4記載の自動車用外装品によれば、請求項2または3記載の自動車用外装品の効果に加え、蓋体本体を開口に保持する状態で係止部を受け、蓋体本体のスライドによりこの係止部の一部の受けを解除する保持用係止受け部と、蓋体本体のスライドにより係止部の他部を受ける屈曲用係止受け部とを備えることにより、蓋体本体をスライドさせて屈曲部から屈曲させる際に、蓋体本体を確実に開口に保持する構成を容易に形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施の形態の自動車用外装品の作業用開口を開いた状態を前方から示す斜視図である。
【図2】同上自動車用外装品の作業用開口を開いた状態を示す縦断面図である。
【図3】同上自動車用外装品の外装品本体の開口近傍を前方から示す斜視図である。
【図4】同上自動車用外装品の蓋体を後方から示す斜視図である。
【図5】同上蓋体により開口を閉塞した状態を後方から示す斜視図である。
【図6】図5のI−I断面相当位置の説明図である。
【図7】同上蓋体を開口に対して所定長スライドさせた状態を前方から示す斜視図である。
【図8】同上蓋体を開口に対して所定長スライドさせた状態を後方から示す斜視図である。
【図9】図8のII−II断面相当位置の説明図である。
【図10】図8のIII−III断面相当位置の説明図である。
【図11】同上蓋体により開口を閉塞した状態を前方から示す斜視図である。
【図12】同上自動車用外装品の蓋体を取り付けた外装品本体の外観を示す斜視図である。
【図13】同上自動車用外装品を配置するエンジンルームを示す説明図である。
【図14】本発明の他の実施の形態の自動車用外装品の蓋体による作業用開口の形成状態を(a)ないし(d)の順に示す説明斜視図であり、(a)ないし(c)は後方から、(d)は前方から示す。
【図15】本発明のさらに他の実施の形態の自動車用外装品の蓋体により開口を閉塞した状態を後方から示す正面図である。
【図16】図15のIV−IV断面相当位置の説明図である。
【図17】同上蓋体を開口に対して所定角度スライドさせた状態を後方から示す正面図である。
【図18】図17のV−V断面相当位置の説明図である。
【図19】図17のVI−VI断面相当位置の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施の形態の構成を図1ないし図13を参照して説明する。
【0020】
図13において、11は自動車のエンジンルームを示し、このエンジンルーム11には、エンジン12の周囲に、図示しないラジエータを覆うラジエータカバー13、エンジン12の前側の両側に位置する図示しないサスペンションの支柱(ストラット)を覆うストラットカバー14,14、図示しないタイヤハウスとエンジンルーム11とを区画するフードリッジを覆うフードリッジカバー15,15、及びフロントガラスとボンネットフードとの間のカウル部に位置する自動車用外装品としてのカウルトップカバー16がそれぞれ配置されている。なお、以下、前後、上下、及び両側などの方向に付いては、車体の直進方向を基準として説明し、矢印F方向が前方、矢印U方向が上方、矢印W方向が両側方向である車幅方向である。
【0021】
カウル部は、エアボックスなどとも呼ばれるもので、例えば鉄板にて形成されたカウルトップパネルと、例えば鉄板にて形成され車体を構成する車体パネルとにより、上側を開口した樋状に形成されている。カウルトップパネルの上側部には、シール材を介してフロントガラス固定されている。また、車体パネルは、後側部がカウルトップパネルに固着されている。そして、カウル部には、車室内に外気を導入する空調装置の空気取入部が接続されているとともに、このカウル部の一側である左側には、ワイパーのワイパーアームを駆動するモータなどが配置され、このカウル部の他側である右側には、バッテリなどの部品が配置されている。
【0022】
そして、図11及び図12などに示すように、カウルトップカバー16は、カウルカバーなどとも呼ばれ、カウル部すなわちカウルトップパネル及び車体パネルの上側を覆って外観を向上するように、カウル部に沿って車体の両側方向すなわち車幅方向を長手方向とする長尺な略板状に形成された外装品本体としての一般部となるカウルトップカバー本体21と、このカウルトップカバー本体21に形成された開口22(図1)を覆う蓋体23とを備えている。
【0023】
カウルトップカバー本体21は、必要に応じて適宜材料を選択すればよいが、本実施の形態では、例えば、ポリプロピレン(PP)に添加剤を加えた複合材(PPC)を、金型を用いて射出成形し、弾性的に変形可能な一体形成の長尺な樹脂成形品として形成されている。また、このカウルトップカバー本体21の平面形状は、中央部分が前側に突出するように緩やかに湾曲している。
【0024】
さらに、このカウルトップカバー本体21の断面形状は、基本的には、カウル部を覆って両側方向及び前後方向に延びる本体部25と、この本体部25の前端部に連続して両側方向及び上下方向に延びる板状部である縦壁部26と、この縦壁部26の下端部に連続して車体パネルの上端部に支持される車体取付部27とを備えている。
【0025】
本体部25は、被覆部とも呼び得るもので、板状の上壁部31を後部に一体に備え、この上壁部31の前端部の段差により、両側方向に沿った雨水排水用の樋部32が形成されている。また、この上壁部31には、カウル部の下側に外気を導入可能な格子状の空気取入口34が一側寄りの位置に形成されている。さらに、本体部25には、ワイパーの形状などに応じて孔部36や凹部37が他側寄りの位置に形成されている。また、上壁部31の後部には、フロントガラスの縁部と嵌着される図示しない嵌着部が下面側に位置して形成されている。さらに、本体部25の前端部には、前方に向けて上側へと傾斜したシール取付部39が一体に形成されている。
【0026】
この嵌着部は、ガラス嵌合爪とも呼び得るもので、本体部25の上壁部31との隙間をフロントガラスの縁部にあてがって、カウルトップカバー本体21を所定方向である後方に押し込むことにより、本体部25の上壁部31との間でフロントガラスを弾性的に挟持するように構成されている。
【0027】
また、シール取付部39は、ボンネットフードの下方すなわち裏面に対向するように配置されている。そして、このシール取付部39の上部には、弾性変形可能な図示しないカウルトップシールが配置されている。このカウルトップシールは、例えばゴム製あるいは熱可塑性エラストマ製の筒状部を有し、閉じた状態のボンネットフードに液密に密着し、エンジンルーム11からの熱気や臭気を遮蔽するようになっている。
【0028】
また、縦壁部26は、カウルトップカバー16を車体に取り付けた状態で上下方向に沿って、かつカウル部のカウルトップパネルの前面に対向して位置している。この縦壁部26には、一側寄りの位置に、側壁部41が一体に形成されており、この側壁部41との連続部が段差状の段差部42となっている。さらに、この縦壁部26には、車体側、例えばカウルトップパネルの前面に打刻された車台番号に対向する位置、本実施の形態では一側寄りの位置に、車体の両側方向すなわち車幅方向を長手方向とする長尺状、すなわち横長の上記開口22(図1)が形成され、この開口22に、横長の上記蓋体23が取り付けられている。
【0029】
また、図1ないし図3に示すように、開口22は、車台番号を目視可能な大きさ、すなわち打刻された車台番号よりも幅方向及び上下方向に広く形成されており、一側が段差部42に開口している。また、この開口22の内縁部には、係止受け部46が突出して形成されている。
【0030】
係止受け部46は、蓋体23を保持してこの蓋体23により開口22を閉塞させるための複数のフックである保持用係止受け部51と、蓋体23を開口22に対して長手方向に所定長スライドさせた状態で蓋体23を係止するための複数のL字フックである屈曲用係止受け部52とを備えている。
【0031】
保持用係止受け部51は、開口22の上側の縁部にそれぞれ位置する第1ないし第3の上部保持用係止受け部51a,51b,51cと、開口22の下側の縁部にそれぞれ位置する第1ないし第3の下部保持用係止受け部51d,51e,51fとを有している。そして、これら第1ないし第3の上部保持用係止受け部51a,51b,51c及び第1ないし第3の下部保持用係止受け部51d,51e,51fは、それぞれ開口22の長手方向に沿って長尺状に形成された横長の四角形状であり、第1の上部保持用係止受け部51a及び第1の下部保持用係止受け部51dは、それぞれ開口22の一側端に位置して段差部42に臨んでおり、第2の上部保持用係止受け部51b及び第2の下部保持用係止受け部51eは、それぞれ開口22の長手方向の中心近傍に位置しており、第3の上部保持用係止受け部51c及び第3の下部保持用係止受け部51fは、それぞれ開口22の他側端に位置して開口22の他側部と連続している。
【0032】
さらに、第1ないし第3の上部保持用係止受け部51a〜51cは互いに離間されており、第1及び第2の上部保持用係止受け部51a,51b間、及び、第2及び第3の上部保持用係止受け部51b,51c間には、それぞれこれら第1ないし第3の保持用係止受け部51a〜51cよりも長手状の空間部54a,54bが形成されている。
【0033】
また、第1の下部保持用係止受け部51dは、第1の上部保持用係止受け部51aと上下方向に対応する位置に形成されている。さらに、第2及び第3の下部保持用係止受け部51e,51fは、第2の上部保持用係止受け部51bよりも長手寸法が大きく設定され、それぞれ第1及び第2の下部保持用係止受け部51d,51e側へと延びて形成されている。そして、これら第2及び第3の下部保持用係止受け部51e,51fは、蓋体23をスライドさせる際のガイド部となる部分であり、これら第2及び第3の下部保持用係止受け部51e,51fの上部には、前方へと下側に向けて傾斜した傾斜面56a,56bがそれぞれ形成されている。
【0034】
一方、屈曲用係止受け部52は、開口22の下側の縁部にそれぞれ位置する第1の屈曲用係止受け部52aと第2の屈曲用係止受け部52bとを有している。第1の屈曲用係止受け部52aは、第2の下部保持用係止受け部51eの一側端に一体に形成されており、第2の屈曲用係止受け部52bは、第3の下部位保持用係止受け部51fの一側端に一体に形成されている。このため、各屈曲用係止受け部52a,52bは、空間部54a,54bの幅方向の略中心位置に上下方向に対向する位置に形成されている。
【0035】
各屈曲用係止受け部52a,52bは、各下部保持用係止受け部51e,51fよりも上方へと突出しており、先端側がこれら下部保持用係止受け部51e,51f側である他側に向けてL字状に屈曲されて、各傾斜面56a,56bの一側端に連続する係止凹部である係止溝部58a,58bを形成している。
【0036】
また、図4に示す蓋体23は、キャップとも呼び得るもので、例えば、カウルトップカバー本体21(図12)と同一の材料により樹脂成形されている。さらに、この蓋体23は、第1の蓋本体部としての長尺状の可動蓋本体部61と、第2の蓋本体部としての長尺状の固定蓋本体部62とが屈曲部63を介して上下に一体的に形成された横長の蓋体本体64を備えている。そして、この蓋体本体64には、一側部に、カウルトップカバー本体21(図12)の段差部42に対応して段差状に湾曲された湾曲部65を介して、一側へと延びる延出部66が一体に形成されているとともに、蓋体本体64の後側面の周縁部の複数箇所には、開口22(図1)の外縁部の前面側に摺接する摺接部67が一体に形成され、かつ、この蓋体本体64を開口22に係止するための係止部68が一体に形成されている。
【0037】
可動蓋本体部61は、本実施の形態では、蓋体本体64の上半分よりも若干広い面積を占めており、長手寸法は、開口22の長手寸法よりも若干大きく設定されている。また、この可動蓋本体部61の一側寄りの位置には、前方へと突出する取手部71(図1)が上下方向に沿って形成され、前方へと突出している。すなわち、この取手部71は、蓋体23(蓋体本体64)のスライド方向に対して交差(直交)する方向に沿って形成されている。さらに、可動蓋本体部61の一側部には、湾曲部65の上側を構成する第1の湾曲部としての可動側湾曲部65aを介して、延出部66の上側を構成する第1の延出部としての可動側延出部66aが一体に形成されている。
【0038】
取手部71は、蓋体本体64のスライド操作、及び可動蓋本体部61側を固定蓋本体部62側に対して屈曲部63からL字状に屈曲させる際の屈曲操作をするためのものであり、この屈曲操作によって、蓋体本体64が屈曲部63から屈曲されて、開口22の上側の部分が露出し作業用開口72となるように構成されている。この作業用開口72は、例えば車台番号を目視確認するための開口部であり、開口22と略長手寸法が等しい横長に形成される。
【0039】
また、固定蓋本体部62は、可動蓋本体部61と略等しい長手寸法を有しており、一側部に、湾曲部65の下側を構成する第2の湾曲部としての固定側湾曲部65bを介して、延出部66の下側を構成する第2の延出部としての固定側延出部66bが一体に形成されている。
【0040】
屈曲部63は、蓋体本体64を屈曲させるためのもので、可動蓋本体部61及び固定蓋本体部62よりも薄肉のヒンジ状に形成されており、蓋体本体64の長手方向に沿って直線状に形成され、蓋体本体64の両側端に亘って連続している。また、この屈曲部63は、断面視で前側に突出する円弧状に形成されている。
【0041】
各摺接部67は、後面が平坦状に形成されており、蓋体23(蓋体本体64)をスライドさせることにより縦壁部26及び側壁部41の前面に摺接するものである。また、これら摺接部67は、係止部68の上下に対応する位置を除く位置に形成されている。
【0042】
係止部68は、可動蓋本体部61の後面からそれぞれ突出した第1ないし第3の保持用係止部68a,68b,68cと、固定蓋本体部62の後面から突出した第4の保持用係止部68d及び第1及び第2の屈曲用係止部68e,68fとを備えている。そして、これら係止部68a〜68cは、先端側が上方に向けて屈曲された略L字状に形成され、係止部68d〜68fは、先端側が下方に向けて屈曲された略L字状に形成されている。すなわち、係止部68a〜68cは、それぞれ可動蓋本体部61の後面から突出した第1の突出部74と、この突出部74の先端から上方へと屈曲する第1の突出屈曲部75とを有し、係止部68d〜68fは、それぞれ固定蓋本体部62の後面から突出した第2の突出部76と、この第2の突出部76の先端から下方へと屈曲する第2の突出屈曲部77とを有している。
【0043】
第1の保持用係止部68aは、第1の上部保持用係止受け部51aに対応するもので、可動蓋本体部61の一側の上側寄りの位置に形成されている。
【0044】
第2の保持用係止部68bは、第2の上部保持用係止受け部51bに対応するもので、可動蓋本体部61の長手方向の略中心近傍の上側寄りの位置に形成されている。
【0045】
第3の保持用係止部68cは、第3の上部保持用係止受け部51cに対応するもので、可動蓋本体部61の他側の上側寄りの位置に形成されている。
【0046】
また、第4の保持用係止部68dは、第1の下部保持用係止受け部51dに対応するもので、固定蓋本体部62の一側の下側寄りの位置に形成されている。
【0047】
第1の屈曲用係止部68eは、第2の下部保持用係止受け部51eに対応するとともに、第1の屈曲用係止受け部52aに対応するもので、固定蓋本体部62の長手方向の略中心近傍の下側寄りの位置に形成されている。
【0048】
第2の屈曲用係止部68fは、第3の下部保持用係止受け部51fに対応するとともに、第2の屈曲用係止受け部52bに対応するもので、固定蓋本体部62の長手方向の他側の下側寄りの位置に形成されている。
【0049】
さらに、保持用係止部68a,68dの突出部74,76は、突出屈曲部75,77に対して、蓋体23の長手方向の他側の寸法が短く形成されている。このため、各突出屈曲部75,77は、突出部74,76に対して側方へと突出し、弾性を有する先端部の前側に、図10に示すように、爪部である弾性爪79,80がそれぞれ突出して形成されている。これら弾性爪79,80は、各係止受け部51a,51dの他側に弾性的に係合されることにより図11に示すように蓋体23が開口22に対して開かないように固定するためのもので、脱着力は比較的軽く設定されている。
【0050】
また、図12に示す車体取付部27は、車体固定部とも呼び得るもので、車体パネルの上端部に載置される略水平な板状をなし、所定の位置に形成された複数の取付孔27aなどの取付部が、図示しない樹脂製のクリップやボルトなどの取付具を用いて、あるいは取付部に一体成形したフック形状により、車体パネルに着脱可能に固定されている。
【0051】
そして、このように形成されたカウルトップカバー16は、後端部の嵌着部をフロントガラスの縁部に挿入して嵌着し、前端部の車体取付部27を車体パネルの上端部上に載置し取付具を用いて固定することにより、車体に取り付けられる。また、ボンネットフードを閉じた状態で、シール取付部39に支持されたフードシールがボンネットフードに密着し、エンジンルーム11からの熱気や臭気を遮蔽する。また、本体部25の樋部32が、雨水などを両側方に排水する。
【0052】
次に、上記一実施の形態の動作を説明する。
【0053】
蓋体23を開口22に取り付ける際には、例えば、蓋体23の屈曲用係止部68e,68fを、それぞれ開口22の下部保持用係止受け部51e,51fに係止させ、これら屈曲用係止部68e,68fと下部保持用係止受け部51e,51fとの係止位置を支点として蓋体23を開口22側へと回動させて蓋体23の保持用係止部68b,68cを開口22の空間部54a,54bに嵌合させた状態で(図7ないし図9に示す状態で)、この蓋体23の取手部71を摘んでこの蓋体23を長手方向の他側へとスライドさせる。この結果、蓋体23の各係止部68a〜68fがそれぞれ各係止受け部51a〜51fに係止され、さらに、図10の実線に示すように、保持用係止部68a,68dの弾性爪79,80が弾性変形して保持用係止受け部51a,51dを乗り越えた後、これら保持用係止受け部51a,51dの他側に係合することにより、図5、図6及び図11などに示すように、蓋体23が、がたつきなく開口22に固定される。
【0054】
そして、例えば車台番号を確認したい場合には、まず、ボンネットフードを開き、エンジンルーム11(図13)に露出したカウルトップカバー16(図12)の蓋体23の取手部71(図11)を摘み、この蓋体23を、図7ないし図10に示すように、所定方向である長手方向一側へとスライドさせる。
【0055】
この蓋体23のスライドの開始時には、図10の想像線に示すように、保持用係止部68a,68dの弾性爪79,80が弾性変形して保持用係止受け部51a,51dの他側との係合が外れることにより、蓋体23のスライドが可能となる。この状態で、図8に示すように、各係止部68a〜68cは、各係止受け部51a〜51cに対して一側へとずれ、第1の保持用係止部68aは、開口22の外側の一側に位置し、保持用係止部68b,68cは、それぞれ空間部54a,54bに位置するとともに、また、第4の保持用係止部68dは、開口22の外側の一側に位置し、各屈曲用係止部68e,68fは、傾斜面56a,56bによってガイドされつつ各係止受け部51e,51f上をスライドした後、各屈曲用係止受け部52a,52bの係止溝部58a,58bに係合する。この結果、蓋体23が、所定長スライドした時点で停止する。
【0056】
そして、この状態では、蓋体本体64の固定蓋本体部62のみが各屈曲用係止部68e,68fと各屈曲用係止受け部52a,52bとの係合によって開口22(カウルトップカバー本体21(図12))に保持され、可動蓋本体部61が開口22(カウルトップカバー本体21(図12))に保持されていないので、図1及び図2に示すように、取手部71を摘んで可動蓋本体部61を屈曲部63から前方へと屈曲させることで、開口22の上側の部分が作業用開口72として露出し、この作業用開口72から、車台番号を目視することができる。
【0057】
このように、上記一実施の形態では、カウルトップカバー本体21(図12)に設けた開口22を閉塞可能な蓋体23に係止部68を設け、開口22に係止部68を受ける係止受け部46を設けて、係止部68を係止受け部46の保持用係止受け部51に受けることで蓋体本体64を開口22に保持するとともに、この保持の一部を解除した状態で屈曲部63によって蓋体本体64を屈曲させて開口22の上側を開いて作業用開口72とする構成とした。
【0058】
このため、蓋体を開口に対して着脱させて作業用開口を開閉する従来の場合では、作業用開口を開くために蓋体を開口から取り外す際に誤って蓋体を落下させたり、紛失してしまったりすることがあったのに対して、本実施の形態では、蓋体23を開口22から脱落させることなく確実に保持できるので、蓋体23を誤って落下させたり紛失したりすることを防止できる。
【0059】
また、蓋体23を開口22に対して必要以上にスライドさせることなく作業用開口72の開口面積を容易に確保できるので、作業スペースを抑制しつつ作業用開口72を大きく取ることが可能になる。そして、作業スペースが少なくて済むので、周辺部品のレイアウトへの影響が少なく、作業性も良好になる。
【0060】
さらに、係止部68と係止受け部46とによる蓋体本体64の保持の一部を、蓋体本体64を所定方向、例えば蓋体本体64の長手方向に沿って、所定長、例えば蓋体本体64の長手寸法よりも小さい寸法スライドさせることで解除可能とすることにより、蓋体本体64の必要最小限のスライドによって蓋体本体64の保持の一部を容易に解除できる。
【0061】
具体的に、蓋体本体64を開口22に保持する状態で係止部68a〜68f(図4)を受け蓋体本体64のスライドによりこれら係止部68a〜68dの受けを解除する保持用係止受け部51a〜51fと、蓋体本体64のスライドにより係止部68e,68fを受ける屈曲用係止受け部52a,52bとを備えることにより、蓋体本体64をスライドさせて屈曲部63から屈曲させる際に、蓋体本体64を確実に開口22に保持する構成を容易に形成できる。
【0062】
また、爪形状などによって蓋体を開口に保持する従来の場合のように蓋体23との間にがた(隙間)が発生することがなく、さらに、蓋体23のスライドと蓋体本体64の折り曲げとにより作業用開口72を開閉できるので、脱着力の調整のためのチューニングなども必要ない。
【0063】
しかも、大型の自動車に用いるカウルトップカバー16の場合、蓋体23をカウルトップカバー本体21と二色成形などする構成とすると金型が大型化し、製造コストが上昇するだけでなく、また、細かい形状の一体成形も容易でないのに対して、本実施の形態では、カウルトップカバー本体21に形成した開口22と、このカウルトップカバー本体21とは別体の蓋体23とを係止部68及び係止受け部46によって係止(保持)したり、この保持の一部を蓋体本体64のスライドによって解除可能としたりする構成とすることで、製造性が良好で、かつ、細かい形状を形成することができる。
【0064】
次に、他の実施の形態を図14を参照して説明する。なお、上記一実施の形態と同様の構成及び作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0065】
この実施の形態は、上記一実施の形態において、屈曲用係止受け部52が、第2の屈曲係止受け部52bに代えて、第2の上部保持用係止受け部51bの一側、すなわち第1の屈曲用係止受け部52aの上方に対向する位置に、第3の屈曲用係止受け部52cを備えていることにより、上記一実施の形態の空間部54aに代えて、下部保持用係止受け部51e,51f間、すなわち空間部54bの下方に対向する位置に空間部54cが形成されている開口22aを有し、かつ、蓋体本体64aが、一側に固定蓋本体部62aを備え、他側に可動蓋本体部61aを備え、これら本体部61a,62a間が、上下方向に沿って直線状の薄肉ヒンジ状の屈曲部63aにより連結されている蓋体23aを有するものである。
【0066】
第3の屈曲用係止受け部52cは、上部保持用係止受け部51bよりも下方へと突出しており、先端側が第2の上部保持用係止受け部51b側である他側に向けてL字状に屈曲されて、係止凹部である係止溝部58cを形成している。
【0067】
また、可動蓋本体部61aは、本実施の形態では、蓋体本体64aの長手方向の半分よりも若干狭い面積を占めている。さらに、可動蓋本体部61aには、保持用係止部68a,68d及び第1の屈曲用係止部68eがそれぞれ形成されているとともに、第2の保持用係止部68bに代えて、この第2の保持用係止部68bと同様の形状を有する第3の屈曲用係止部68gが形成されている。また、この可動蓋本体部61aには、取手部71aが一体に形成されている。
【0068】
一方、固定蓋本体部62aは、第3の保持用係止部68cが形成されているとともに、第2の屈曲用係止部68fに代えて、第2の屈曲用係止部68fと同様の形状を有する第5の保持用係止部68hが形成されている。
【0069】
そして、図14(a)に示すように、開口22aに対して蓋体23aを取り付けた状態から、図14(b)に示すように、取手部71a(図14(d))を摘んで蓋体23aを所定方向である長手方向一側へとスライドさせると、各係止部68a,68g,68c,68d,68e,68hは、各係止受け部51a,51b,51c,51d,51e,51fに対して一側へとずれ、第1の保持用係止部68aは、開口22の外側の一側に位置し、第3の屈曲用係止部68gは、第3の屈曲用係止受け部52cの係止溝部58cに係合し、第3の保持用係止部68cは、空間部54bに位置するとともに、また、第4の保持用係止部68dは、開口22の外側の一側に位置し、第1の屈曲用係止部68eは、第1の屈曲用係止受け部52aの係止溝部58aに係合し、第5の保持用係止部68hは、空間部54cに位置する。この結果、蓋体23aが、所定長スライドした時点で停止する。
【0070】
この状態では、蓋体本体64aの固定蓋本体部62aのみが各屈曲用係止部68e,68gと屈曲用係止受け部52a,52cとの係合によって開口22aに保持され、可動蓋本体部61aが開口22aに保持されていないので、図14(c)及び図14(d)に示すように、取手部71aを摘んで可動蓋本体部61aを屈曲部63aから前方へと屈曲させることで、開口22aの他側の部分が作業用開口72aとして露出し、この作業用開口72aから各種作業を行うことができる。
【0071】
この結果、上記一実施の形態と同様の作用効果を奏することができるとともに、開口22aの長手方向に対して交差(直交)する方向に屈曲部63aを形成して横開きの蓋体23aに対応できる。
【0072】
次に、さらに他の実施の形態を図15ないし図19を参照して説明する。なお、上記各実施の形態と同様の構成及び作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0073】
この実施の形態は、略円形状の開口22bに対して、蓋体23bを周方向に回動させてスライド可能としたものである。
【0074】
図15及び図17に示すように、開口22bには、係止受け部46として、蓋体23bを保持してこの蓋体23bにより開口22bを閉塞させるための複数のフックである保持用係止受け部85と、蓋体23bを開口22bに対して周方向に沿った回動方向に所定角度スライドさせた状態で蓋体23bを係止するための複数のL字フックである屈曲用係止受け部86とが形成されている。
【0075】
保持用係止受け部85は、開口22bの上側の両側縁部にそれぞれ位置する上部保持用係止受け部85a,85bと、開口22bの下側の両側縁部にそれぞれ位置する下部保持用係止受け部85c,85dとを有している。また、これら保持用係止受け部85a〜85dは、それぞれ開口22bの周方向に沿って長尺状に形成された略四角形状に形成されており、開口22bの周方向に互いに離間されている。さらに、下部保持用係止受け部85c,85dは、上部保持用係止受け部85a,85bよりも周方向への長さが長く形成されている。
【0076】
また、屈曲用係止受け部86は、下部保持用係止受け部85c,85dのそれぞれの一側(図15に示す反時計回り側)に一体に形成された屈曲用係止受け部86a,86bを有しており、これら屈曲用係止受け部86a,86bは、下部保持用係止受け部85c,85dよりも開口22bの中心側へと突出している。また、これら屈曲用係止受け部86a,86bの先端側は、下部保持用係止受け部85c,85d側である他側に向けてL字状に屈曲されて、係止凹部である係止溝部88a,88bを形成している。
【0077】
そして、上部保持用係止受け部85bと上部保持用係止受け部85aとの間、及び上部保持用係止受け部85aと下部保持用係止受け部85cとの間には、係止受け部85a〜85dよりも周方向に長手状の空間部89a,89bが形成されている。
【0078】
一方、蓋体23bは、第1の蓋本体部としての半円形状の可動蓋本体部61bと、第2の蓋本体部としての半円形状の固定蓋本体部62bとが屈曲部63bを介して上下に一体的に形成された略円形状の蓋体本体64bを備えている。そして、この蓋体本体64bには、周縁部に、開口22bの周縁部と摺接する摺接部91が一体に形成されている。
【0079】
さらに、蓋体本体64bに一体に形成された係止部68は、可動蓋本体部61bの両側にそれぞれ形成された保持用係止部としての上部係止部93a,93bと、固定蓋本体部62bの両側にそれぞれ形成された屈曲用係止部としての下部係止部94a,94bとを有している。
【0080】
そして、上部係止部93a,93bは、図16及び図18に示すように、可動蓋本体部61bから突出した上部突出部96と、この上部突出部96の先端から蓋体本体64bの径方向へと屈曲した上部屈曲突出部97とを備え、断面視で略L字状に形成されている。
【0081】
同様に、下部係止部94a,94bは、固定蓋本体部62bから突出した下部突出部98と、この下部突出部98の先端から蓋体本体64bの径方向へと屈曲した下部屈曲突出部99とを備え、断面視で略L字状に形成されている。
【0082】
また、図15及び図17に示すように、可動蓋本体部61bと固定蓋本体部62bとのそれぞれには、屈曲部63bに対して略直交する方向に沿って、取手部71bが形成されている。これら取手部71b,71bは、蓋体本体64bの中心線に沿って配置されている。
【0083】
屈曲部63bは、蓋体本体64bの略中心を通る直線状に形成されている。
【0084】
そして、蓋体23bを開口22bに取り付ける際には、例えば、蓋体23bの下部係止部94a,94bを、それぞれ開口22bの下部保持用係止受け部85c,85dに係止させ、これら下部係止部94a,94bと下部保持用係止受け部85c,85dとの係止位置を支点として蓋体23bを開口22b側へと回動させて蓋体23bの上部係止部93a,93bを開口22bの空間部89a,89bに嵌合させた状態で(図17及び図18に示す状態で)、この蓋体23bの取手部71bを摘んでこの蓋体23bを、図17に示す時計回り方向へと周方向に回動させるようにスライドさせる。この結果、蓋体23bの各係止部93a,93b,94a,94bがそれぞれ各係止受け部85a,85b,85c,85dに係止されることにより、図15及び図16に示すように、蓋体23bが、がたつきなく開口22bに固定される。
【0085】
そして、例えば作業用開口72bを開口させて作業をする場合には、蓋体23bの取手部71bを摘み、この蓋体23bを、図17及び図18に示すように、反時計回り方向へと周方向に回動させるようにスライドさせる。
【0086】
このとき、各係止部93a,93b,94a,94bは、各係止受け部85a,85b,85c,85dに対して周方向の反時計回り側へとずれ、各上部係止部93a,93bが空間部89b,89aに位置するとともに、各下部係止部94a,94bは、各屈曲用係止受け部86a,86bの係止溝部88a,88bに係合する。この結果、蓋体23bが、所定角度スライドした時点で停止する。
【0087】
そして、この状態では、蓋体本体64bの固定蓋本体部62bのみが各下部係止部94a,94bと各屈曲用係止受け部86a,86bとの係合によって開口22bに保持され、可動蓋本体部61bが開口22bに保持されていないので、図19に示すように、取手部71bを摘んで可動蓋本体部61bを屈曲部63bから屈曲させることで、開口22bの上側の部分が作業用開口72bとして露出し、この作業用開口72bから、各種作業を行うことができる。
【0088】
この結果、上記各実施の形態と同様の作用効果を奏することができるとともに、係止部68と係止受け部46とによる蓋体本体64bの保持の一部を、蓋体本体64bを所定角度、回動方向にスライドさせることで解除可能とすることにより、蓋体本体64bの必要最小限のスライドによって蓋体本体64bの保持の一部を容易に解除できるとともに、開口22b及び蓋体23bを円形に形成できるため、周囲に蓋体本体64bのスライドのためのスペースを取る必要がなく、作業性がより向上する。すなわち、蓋体23bは、その位置を周方向に回動させるのみで、上下左右など、異なる位置へと移動させることなく作業用開口72bの開閉が可能になるので、より省スペース化できる。
【0089】
なお、上記各実施の形態において、屈曲部63(屈曲部63a,63b)は、蓋体本体64(蓋体本体64a,64b)の各本体部61,62(各本体部61a,62a,61b,62b)を形成する材料と異なる、弾性を有する材料を用いて、2色成形などをすることで各本体部61,62(各本体部61a,62a,61b,62b)と一体としてもよい。
【0090】
また、自動車用外装品としては、カウルトップカバー16だけでなく、例えば、図13に示すラジエータカバー13、ストラットカバー14、フードリッジカバー15などでもよい。すなわち、上記開口22(開口22a,22b)と蓋体23(蓋体23a,23b)との構成は、これらラジエータカバー13、ストラットカバー14、あるいはフードリッジカバー15など、他の任意の自動車用外装品に適用してもよい。したがって、作業用開口72は、車台番号確認用以外でも、例えば、エンジンオイル、ウォッシャ液、バッテリ液、ラジエータ液などの補充、あるいは点検(チェック)用の作業用開口、部品を固定するためのボルト締結用の作業用開口、あるいはランプ交換用の作業用開口などとすることもできる。
【0091】
さらに、係止部68を開口22(開口22a,22b)側に設け、係止受け部46を蓋体23(蓋体23a,23b)側に設けてもよく、また、係止部68を開口22(開口22a,22b)と蓋体23(蓋体23a,23b)とのそれぞれに設け、この係止部68に対応して係止受け部46を蓋体23(蓋体23a,23b)と開口22(開口22a,22b)とのそれぞれに設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明は、例えば、自動車のフロントガラスとボンネットフードとの間に配置されるカウルトップカバーなどに適用できる。
【符号の説明】
【0093】
16 自動車用外装品としてのカウルトップカバー
21 外装品本体としてのカウルトップカバー本体
22 開口
23 蓋体
46 係止受け部
51,85 保持用係止受け部
52,86 屈曲用係止受け部
63 屈曲部
64 蓋体本体
68 係止部
72 作業用開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外装品本体と、
この外装品本体に設けられた開口と、
この開口を閉塞可能な蓋体と、
前記開口と前記蓋体との少なくともいずれか一方に設けられた係止部と、
前記開口と前記蓋体との他方に設けられ、前記係止部を受ける係止受け部とを具備し、
前記蓋体は、
前記係止部の少なくとも一部を前記係止受け部の少なくとも一部に受けることにより前記開口に保持される蓋体本体と、
前記係止部と前記係止受け部との受けによる前記蓋体本体の保持の一部を解除した状態で前記蓋体本体を屈曲させることにより前記開口の一部を開いて作業用開口とする屈曲部とを備えている
ことを特徴とした自動車用外装品。
【請求項2】
係止部と係止受け部とによる蓋体本体の保持の一部は、前記蓋体本体を所定方向に沿って所定長スライドさせることにより解除される
ことを特徴とした請求項1記載の自動車用外装品。
【請求項3】
係止部と係止受け部とによる蓋体本体の保持の一部は、前記蓋体本体を所定角度、回動方向にスライドさせることにより解除される
ことを特徴とした請求項1記載の自動車用外装品。
【請求項4】
係止受け部は、
蓋体本体を開口に保持する状態で係止部を受け、前記蓋体本体のスライドによりこの係止部の一部の受けを解除する保持用係止受け部と、
前記蓋体本体のスライドにより前記係止部の他部を受ける屈曲用係止受け部とを備えている
ことを特徴とした請求項2または3記載の自動車用外装品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2010−188968(P2010−188968A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−38096(P2009−38096)
【出願日】平成21年2月20日(2009.2.20)
【出願人】(000229955)日本プラスト株式会社 (740)
【Fターム(参考)】