説明

自動車用多機能システムの制御デバイス

【課題】自動車用多機能システムの制御デバイスを提供する。
【解決手段】本発明の自動車用多機能システムの制御デバイス1は、運動及び/又はタッチセンサが構成された1つ又は複数の制御要素2と、電気的に絶縁される制御要素2に対する入力装置10であって、入力装置10は、制御要素2自体の運動及び/又は制御要素2上のタッチ操作を検出する、二次元又は三次元の光センサ10aのセットを備える、入力装置と、それによって多機能システムを制御することができる、情報をリストに表す表示装置と、入力装置10及び表示装置にデータ接続された演算装置であって、演算装置は、制御要素2の位置データ及び/又は制御要素2上のタッチの位置データを、表示装置の選択リスト内の対応する位置に変換する、演算装置と、リスト要素の選択を可能にする制御要素2を介して作動することができる、スイッチ装置と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用多機能システムの制御デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
様々な車両において、ローラ形状の制御素子又は制御ノブ/回転作動装置、回転押圧作動装置、4経路又は8経路の回転押圧作動装置、操作レバー又は他の制御要素及びこれらによって形成された制御装置は、好ましくはハンドル制御要素を通して、多機能システムを制御するために利用される。
【0003】
多機能システムを、メニュー又は同様の構造における表示装置上に表された情報を通して制御することは、制御要素の設計及び概念において具体的な考慮を必要とする。
【0004】
従来のように電気的に接続された純粋な機械制御要素は、車の製造業者の要求、特に防水又は水の影響を受けない設計をある程度を満たすに過ぎない。
【0005】
特許文献1には、ローラとして形成された双方向制御要素が記載されている。ローラは、回転可能且つ押圧可能である。ローラの他の形態は、横方向に配置された2つのスイッチを備えている。
【0006】
特許文献2から、ローラ形状の制御要素が知られている。ローラは、回転可能であり、押圧可能であり、且つ回転軸に沿って摺動可能である。回転軸に沿った移動は、電気スイッチの作動させることができる。
【0007】
また、特許文献3では、ローラ形状の制御要素を開示している。ローラは、回転可能であり、回転軸に沿って摺動可能である。回転軸に沿った摺動は、力の作用を決定するためにセンサに連結されている。
【0008】
一般的には、従来技術の短所が以下に挙げられる。
従来のように電気的に接続された純粋な機械制御要素は、車の製造業者の要求をある程度満たすに過ぎない。これらの要素は、例えば、電子構成部品の封入された設計、並びに、それによって達成された防水及び防塵、又は少なくとも水、若しくは埃の影響を受けない設計、並びに低摩擦設計で長い耐用年数を達成することである。電子入力装置及び制御構成部品は分離しておらず、封入できないので、水が貫通する可能性に対する保護が提供されていない、又は不十分な提供に過ぎないので、短絡の危険があり、同様に埃の貫通に対する保護が提供されていない、又は不十分な提供に過ぎないので、低品質をもたらし、それ故、制御要素の耐用年数が短くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】独国特許出願公開第10123478号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2008/257701号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第10315721号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明に基づく課題は、制御装置が水及び埃から保護され、長い耐用年数を有するように、多機能システムを制御するための機械制御要素を備えた、制御装置を構成することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の課題は、特許請求の範囲の請求項1乃至11の何れか1項に記載の自動車用多機能システムの制御デバイスによって解決される。制御デバイスは、運動及び/又はタッチセンサが構成された制御要素と、電気的に絶縁される制御要素に対する入力装置であって、制御要素自体の運動及び/又は制御要素上のタッチ操作を検出する二次元又は三次元の光センサのセットが設けられた入力装置と、多機能システムを制御することができる手段によって情報をリストに表す表示装置と、入力装置(10)及び表示装置にデータ接続された演算装置であって、制御要素(2)の位置データ及び/又は制御要素(2)上のタッチの位置データを、表示装置の選択リスト内の対応する位置に変換する演算装置と、リスト要素の選択を可能にする制御要素(2)を介して作動することができるスイッチ装置と、を有する。
【0012】
本発明によれば、光電子入力装置及び制御構成部品は、互いに分離している。実際に、光センシング技術は、制御要素の運動、すなわち回転運動及び/又は移動の検出を、制御要素の機械的運動から分離させることが可能である。
【0013】
有利には、制御装置は、1つ又は複数の以下の制御要素を備え、回転可能に、押圧可能に、且つ摺動可能に構成されたローラと、回転作動装置又は回転押圧作動装置と、4経路方向、8経路方向、又は自由な可動において、摺動可能に構成された機械的な制御板と、タッチセンサ表面上の指のジェスチャを検出するための、光検出装置(センシング装置、入力装置)と、いわゆるトラックボールと、を備えることができる。
【0014】
本発明の特に好ましい実施形態によれば、制御要素の少なくとも1つは、第1の回転軸上にローラ形状に回転可能に支持され、同時に経路方向に押圧可能に構成され、ローラ形状の制御要素の場合によって実行される回転運動は、入力装置の二次元又は三次元の光センサのセットによって検出され、ローラ形状の制御要素の方向である位置は、演算装置により表示装置の選択リスト内の対応する位置に変換され、表示要素の選択リストを通して垂直運動を可能にする。
【0015】
フォトセンサ又は光センサを使用して、ローラの回転及び左方向又は右方向の運動を検出し、これにより二次元又は三次元の方向を確保する。ローラは、基板から電気的に絶縁され、したがって電気が流れている電子構成部品からも絶縁される。したがって、電子構成部品に直接接続された制御要素によってもたらされる、製品の設計に制限はない。むしろ、製品の設計の最大の自由が与えられる。さらに、湿度及び透水に対する理想的な保護、又はその非感受性が確保される。回転運動の光学的入力により、入力装置の摩耗が発生されない。
【0016】
本発明は、複合メニューに基づくシステムの最適化された制御を提供する。特に、ローラ形状の制御要素を通した制御は、コンピュータの分野では標準であるように実装されるコンピュータ・マウスのスクロール・ホイールを使用する制御と類似している。
【0017】
本発明の他の実施形態によれば、制御要素は、左右に摺動可能に構成されており、制御要素の場合によって実行される摺動運動は、入力装置の二次元又は三次元の光センサのセットによって検出され、制御要素の位置は、演算装置により表示装置の選択リスト内の対応する位置に変換され、その結果、表示要素の選択リストを通して左方向又は右方向の運動が可能になる。
【0018】
本発明の変形実施形態によれば、制御要素は、制御要素の表面上のあらゆる位置でスワイプ運動を容量センサによって検出可能にする容量表面を備え、制御要素の各位置は、表示装置の選択リスト内の対応する位置に変換される。これにより、左方向又は右方向の運動などのあらゆるスワイプ運動が、表示装置の選択リストを通して実行可能にされる。
【0019】
押圧するために、スイッチは、機械的に又は電子的に作動することができ、人間の使用者に対して、接触フィードバック又は触覚フィードバックの形で作動される。有利なことに、接触スイッチは、押圧のために選択することができる。スイッチの接触フィードバックは、様々な自動車製造業者の要求を満たすために変更可能である。また、各制御要素の材料も変更可能である。
【0020】
また、ローラ形状の制御要素は、1経路の押圧機能を提供する。そのためローラは、下部にある構造を必要とする。スイッチを作動すると、スイッチが表面の下に隠れて、リスト要素の選択が可能になる。スイッチは、機械的に又は電子的に作動することができる。本発明の好ましい実施形態によれば、スイッチ・デバイスは、及び押圧によって引き起こされる第1の回転軸及びローラ形状の制御要素の垂直運動又は水平運動により、スイッチを動作させる方法で、第1の回転軸に機械的に連結されたスイッチを備える。これにより、ローラ形状の制御要素の1経路の押圧機能を介して、リスト要素の選択が可能になる。
【0021】
特に有利なことは、第1の回転軸から、2つのレバーアーム及び頂点を有するトグル要素の第1のレバーアームが起因し、トグル要素は第2の回転軸上のその頂点で支持され、第2の回転軸から起因する、トグル要素の第2のレバーは、ローラ形状の制御要素及び第1の回転軸の垂直運動時に移動し、その直面する端部を有する第2のレバーアームがスイッチに接触し、それによりスイッチ操作を作動する設計である。
【0022】
変形実施形態によれば、スイッチ・デバイスは、光センサ又は容量センサが、押圧によって引き起こされた、ローラ形状の制御要素の垂直運動又は水平運動を検出すると、スイッチ操作を動作させる、光センサ又は容量センサを備える。また、この方法で、ローラ形状の制御要素の1経路の押圧機能を通して、リスト要素の選択を可能にさせる。
【0023】
本発明のさらなる詳細、特徴及び利点は、添付図面とともに以下の実施形態の例示の詳細を参照することにより明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】ローラ形状の制御要素を示す図である。
【図2】光センサを使用するローラの設計を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、4経路のローラとして形成された、制御要素2を備えた制御装置1の一部の正面図を示す。ローラ形状の制御要素2は、ばねケース(図示せず)内の第1の回転軸3で支持される。両矢印4によって示された、第1の回転軸3のローラ形状の制御要素2の回転運動4は、図1に示されていない表示要素で表されるリストを通して、垂直運動に使用される。ローラ形状の制御要素2は、好ましくは幅が40mm以上であり、直径は20〜25mmを有する。この実施形態の例では、第1の回転軸3に平行に差し向けられた線5を備えた表面構造5は、制御要素2の表面5上に形成され、線5により、ローラ形状の制御要素2の位置を光学的に検出可能になる。しかし、線構造は、必ずしも必要とされない。さらに、ローラ形状の制御要素2は、回転軸3に沿って左右に可動であり、図1の制御要素2のそれぞれの摺動運動6,7は、左方向摺動矢印6又は右方向摺動矢印7によって示される。任意に、ローラ表面5は、左方向運動又は右方向運動の容量置換が可能であり、容量ローラ表面5により、あらゆる位置でローラの表面5上でスワイプ運動が可能になる。
【0026】
ローラ形状の制御要素2は、また下方を指示する矢印8によって示された、1経路押圧機能8を提供する。そのために、ローラ形状の制御要素2は、サブ構造(図1には図示せず)を必要とする。1つ又は複数のスイッチ9を1経路押圧機能8を通して作動することにより、それぞれのスイッチ9は、使用者に視認される表面の下に隠れて、制御要素2のリスト要素の選択が可能になる。スイッチ9は、機械的に又は電子的に作動でき、人間の使用者に対して、接触フィードバック又は触覚フィードバックの形で作動される。
【0027】
図2は、ばねケース(図示せず)内の第1の回転軸3で支持される、ローラ形状の制御要素2を備えた制御デバイス1の部分の側面図を示す。入力装置10の一部として二次元又は三次元の光センサ10a(又は1つ又は複数のセンサを備える、二次元若しくは三次元の光センサシステム)は、ローラ形状の制御要素2の回転運動4を検出する。例えば、コンピュータ・マウスのように、二次元又は三次元のフォトセンサを、入力装置10の一部として使用することができる。さらに、図2は、図1からのスイッチ9と同一であることが可能である、又は異なる技術的基礎に基づくことができる、スイッチを備えたスイッチ・デバイスを示し、スイッチはトグル要素11を介して作動可能である。2つのレバーアーム12、13及び頂点14を備えたトグル要素11の第1のレバーアーム12は、第1の回転軸3から起因し、トグル要素11は、第2の回転軸15上の頂点14で支持され、第2の回転軸15から起因する、トグル要素11の第2のレバーアーム13は、ローラ形状の制御要素2及び第1の回転軸3の、押圧8によって引き起こされる垂直運動(下方)時に移動し、その直面する自由端部13aを備えた第2のレバーアーム13は、スイッチ9をそれぞれ接触、又は押圧することができ、したがってスイッチ工程を作動する。トグル要素11は、結合部品であることが可能であるか、又は第2の回転軸15に固定された2つの別個のレバーアーム12、13からなることが可能である。
【符号の説明】
【0028】
1 制御デバイス
2 制御要素
3 第1の回転軸
4 両矢印、回転運動
5 ローラ形状の制御要素の表面構造
6 摺動運動
7 摺動運動
8 押圧
9 スイッチ
10 入力装置
10a 光センサ、光センサのセット
11 トグル要素
12 トグル要素の第1のレバーアーム
13 トグル要素の第2のレバーアーム
13a 第2のレバーアームの自由端部
14 トグル要素の頂点
15 第2の回転軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車用多機能システムの制御デバイス(1)であって、
運動及び/又はタッチセンサが構成された制御要素(2)と、
電気的に絶縁される上記制御要素(2)に対する入力装置(10)であって、上記制御要素(2)自体の運動及び/又は上記制御要素(2)上のタッチ操作を検出する二次元又は三次元の光センサ(10a)のセットが設けられた上記入力装置(10)と、
上記多機能システムを制御することができる手段によって情報をリストに表す表示装置と、
上記入力装置(10)及び上記表示装置にデータ接続された演算装置であって、上記制御要素(2)の位置データ及び/又は上記制御要素(2)上のタッチの位置データを、上記表示装置の選択リスト内の対応する位置に変換する上記演算装置と、
リスト要素の選択を可能にする上記制御要素(2)を介して作動することができるスイッチ装置と、
を有することを特徴とする制御デバイス(1)。
【請求項2】
上記制御要素(2)の少なくとも1つは、ばねケース内の第1の回転軸(3)上にローラ形状に回転可能に支持され、同時に経路方向に押圧可能に構成され、上記ローラ形状の制御要素(2)の回転運動(4)は、上記入力装置(10)の二次元又は三次元の光センサ(10a)のセットによって検出され、上記ローラ形状の制御要素(2)の方向である位置は、上記演算装置により上記表示装置の選択リスト内の対応する位置に変換され、上記表示要素の選択リストを通して垂直運動を可能にする請求項1記載の制御デバイス(1)。
【請求項3】
上記制御要素(2)の少なくとも1つは、回転作動装置又は回転押圧作動装置である請求項1又は2に記載の制御デバイス(1)。
【請求項4】
上記制御要素(2)の少なくとも1つは、タッチセンサ表面(5)を備え、上記入力装置(10)の光センサ(10a)のセットは、上記タッチセンサ表面(5)上の指のジェスチャを検出するように構成されている請求項1乃至3の何れか1項に記載の制御デバイス(1)。
【請求項5】
上記制御要素(2)の少なくとも1つは、いわゆるトラックボールである請求項1乃至4の何れか1項に記載の制御デバイス(1)。
【請求項6】
上記制御要素(2)は、左右に摺動可能に構成されており、上記制御要素(2)の摺動運動(6、7)は、上記入力装置(10)の二次元又は三次元の光センサ(10a)のセットによって検出され、上記制御要素(2)の位置は、上記演算装置により上記表示装置の選択リスト内の対応する位置に変換され、上記表示要素の選択リストを通して左方向又は右方向の運動が可能になる請求項1乃至5の何れか1項に記載の制御デバイス(1)。
【請求項7】
上記制御要素(2)は、上記制御要素(2)の表面(5)上のあらゆる位置でスワイプ運動を容量センサによって検出可能にする容量表面(5)を備え、上記制御要素(2)のそれぞれの位置は、上記表示装置の選択リスト内の対応する位置に変換され、左方向又は右方向の運動を含む、あらゆるスワイプ運動が、上記表示装置の選択リストを通して実行可能にされる請求項1乃至5の何れか1項に記載の制御デバイス(1)。
【請求項8】
上記制御要素(2)の少なくとも1つは、4経路方向、8経路方向、又は自由な可動において、摺動可能に構成された機械的な制御板である請求項1乃至7の何れか1項に記載の制御デバイス(1)。
【請求項9】
上記スイッチ・デバイスは、押圧(8)による上記第1の回転軸(3)及びローラ形状の制御要素(2)の垂直運動又は水平運動により、上記スイッチ(9)を動作させるように、上記ローラ形状の制御要素(2)の上記第1回転(3)に機械的に連結されたスイッチ(9)を備え、上記ローラ形状の制御要素(2)の1経路の押圧機能(8)を介して、リスト要素の選択が可能になる請求項2乃至8の何れか1項に記載の制御デバイス(1)。
【請求項10】
上記第1の回転軸(3)から、2つのレバーアーム(12、13)及び頂点(14)を備えたトグル要素(11)の第1のレバーアーム(12)が起因し、頂点(14)の上記トグル要素(11)は、第2の回転軸(15)で支持され、上記第2の回転軸(15)に起因する、上記トグル要素(11)の上記第2のレバー(13)は、上記ローラ形状の制御要素(2)及び上記第1の回転軸(3)の垂直運動時に移動し、その直面する端部(13a)を備えた上記第2のレバーアーム(13)が、上記スイッチ(9)に接触し、上記スイッチ操作を作動する請求項9記載の制御デバイス(1)。
【請求項11】
上記スイッチ・デバイスは、押圧(8)によって引き起こされる上記ローラ形状の制御要素(2)の垂直運動又は水平運動を検出すると、上記スイッチ操作を作動する光センサ又は容量センサを備え、上記ローラ形状の制御要素(2)の1経路の押圧機能(8)を通して、リスト要素の選択を可能にする請求項2乃至8の何れか1項に記載の制御デバイス(1)。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−105499(P2013−105499A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−250361(P2012−250361)
【出願日】平成24年11月14日(2012.11.14)
【出願人】(505450755)ビステオン グローバル テクノロジーズ インコーポレイテッド (140)
【Fターム(参考)】