説明

自動車用室内灯制御装置

【課題】 室内灯の消し忘れを確実に防止する自動車用室内灯制御装置を提供する。
【解決手段】 送信機能を備えた携帯機1と、受信機能を備え且つ前記携帯機1による受信電波強度によってドアを施解錠可能にした制御装置10と、該制御装置10がドアを施錠することで待機状態になり且つ解錠することで待機状態を解除するセキュリティ装置5と、前記制御装置10が所定以上の電波強度を受信したか或いは前記セキュリティ装置5が待機状態を解除したことで点灯し且つ前記制御装置10が所定以下の電波強度を受信したか或いは前記セキュリティ装置5が待機状態になることで消灯するように制御された灯火装置6とより構成されてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動車用室内灯制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の室内灯に採用されている制御装置としては、例えば、ドアの開成に連動して点灯するメカニカルタイプ、乗員が押しボタンを押すことによって点灯する押しボタンタイプ、乗員が摘みをスライドさせることによって点灯するスライドスライド型スイッチタイプなど、何れも乗員がスイッチをオン(ON)することでマップランプ、ルームランプ等の室内灯が点灯し、ドアを閉じたり押しボタンを押したりスイッチをスライドさせて消灯するものである(例えば、特許文献1。)。
【特許文献1】実開昭60−15754号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このような従来の技術にあっては、乗員が押しボタンを押し忘れたりスイッチをスライドさせ忘れたり半ドアのまま降車した場合、室内灯が点灯したままになり、エンジンが停止状態であると、バッテリが過放電することによるバッテリ上がりを生じさせるおそれがある。
【0004】
この発明は、このような従来の技術の問題点に着目してなされたものであり、室内灯の消し忘れを確実に防止する自動車用室内灯制御装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる従来技術を解決するために、請求項1に記載の発明は、送信機能を備えた携帯機と、受信機能を備え且つ前記携帯機による受信電波強度によってドアを施解錠可能にした制御装置と、該制御装置がドアを施錠することで待機状態になり且つ解錠することで待機状態を解除するセキュリティ装置と、前記制御装置が所定以上の電波強度を受信したか或いは前記セキュリティ装置が待機状態を解除したことで点灯し且つ前記制御装置が所定以下の電波強度を受信したか或いは前記セキュリティ装置が待機状態になることで消灯するように制御された灯火装置とより構成されてなることを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の自動車用室内灯制御装置であって、前記制御装置は、車外からのドアロック操作によってドアを施錠した時にも前記灯火装置を消灯するように制御されてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、送信機能を備えた携帯機を携えている乗員と車両との距離によって、制御装置が受信する携帯機の送信電波の強度が変化するが、受信強度が所定値以下と判断した場合は、乗員が車両から離れていると判断して、制御装置によりドアを施錠し且つセキュリティ装置を待機状態にするので、防犯性能が著しく向上する。と同時に、灯火装置(室内灯)を確実に消灯する或いは消灯状態を維持することができ、灯火装置(室内灯)の消し忘れが確実に防止できる。また、制御装置が受信する受信強度が所定値以上と判断した場合は、乗員が車両に近づいている状態と判断して、制御装置によりドアを解錠すると共にセキュリティ装置を待機状態を解除し且つ灯火装置(室内灯)を点灯することで、乗員の乗車上の支障が生じないことになる。
【0008】
請求項2に記載の発明によれば、制御装置は、車外からの機械的なドアロック操作によってドアを施錠した時にも前記灯火装置を消灯するように制御されてなるので、より消灯のきっかけが増大し、灯火装置(室内灯)の消し忘れの可能性が少なくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
室内灯の消し忘れを確実に防止する自動車用室内灯制御装置を提供するという目的を、送信機能を備えた携帯機と、受信機能を備え且つ前記携帯機による受信電波強度によってドアを施解錠可能にした制御装置と、該制御装置がドアを施錠することで待機状態になり且つ解錠することで待機状態を解除するセキュリティ装置と、前記制御装置が所定以上の電波強度を受信したか或いは前記セキュリティ装置が待機状態を解除したことで点灯し且つ前記制御装置が所定以下の電波強度を受信したか或いは前記セキュリティ装置が待機状態になることで消灯するように制御された灯火装置とより構成されてなることにより、実現した。
【実施例1】
【0010】
図1及び図2は、この発明の第1実施例の自動車用室内灯制御装置を示した図面である。符号1は、乗員が常に携えることが可能な携帯機で、アンテナと送信装置(共に図示省略)とを備え、送信時にIDコード信号Sdを1秒ごとに、図示しない車両に搭載した制御装置10へ送信可能とした機能を備えたものである。
【0011】
前記制御装置10は、アンテナ3により受信機能を備え且つ前記携帯機1による受信電波強度によって、予め記憶した情報に基いて演算処理をするマイクロコンピュータ等の演算処理部(図示省略)を内蔵している受信回路2と、該受信回路2の受信情報を基にドア(図示省略)を施錠するロック信号と解錠するアンロック信号を共に出力可能であるドアロックアクチュエータ4とより構成されている。
【0012】
前記ドアロックアクチュエータ4により、図示しないストライカーにラッチがロックしたりアンロックしたりの稼働制御が可能である。
【0013】
従って、前記制御装置10の受信回路2は、前記携帯機1による発信電波レベルを常に監視していて、受信電波が所定値を越えたか否かを判断して、所定値以上であると、乗員が車両に近づいている(或いは乗車済み)と判断して、ドアロックアクチュエータ4に対して、アンロック信号を出力し、ドアを開成可能状態にする。そして、受信電波が所定値以下であると、乗員が車両から離れていると判断して、ドアロックアクチュエータ4に対して、ロック信号を出力し、ドアを施錠或いは施錠状態を維持する。
【0014】
符号5は、該ドアロックアクチュエータ4がドア(図示省略)を施錠することで待機状態になり且つ解錠することで待機状態を解除するセキュリティ装置である。該セキュリティ装置5とは、例えば、エンジンを始動するためのスタータが起動できないスタータカット装置や、ガラスが割られるとかバールでドアをこじ開けるなど異常な振動を加えられることを検知して警報音を発生するアラーム装置などがある。ここでいう待機状態とは、スタータカット装置やアラーム装置などが、いつでも稼働できる状態にあることで、アラーム装置で説明すれば、異常な振動が加えられなければ、そのままを維持し(つまり待機し)、異常な振動が加えられれば、アラームが鳴り響く(稼働する)状態のことである。
【0015】
符号6は、前記制御装置10の受信回路2が所定以上の電波強度を受信することでリレー7により或いは前記セキュリティ装置5が待機状態を解除したことにより点灯し且つ前記10の受信回路2が所定以下の電波強度を受信することでリレー7を消磁することにより或いは前記セキュリティ装置5が待機状態になることで消灯するように制御された灯火装置(室内灯)である。灯火装置(室内灯)6としては、室内全体を点灯するためのルームランプ、地図を見るなど限定された一部を見るためのマップランプ或いはブックランプ、足下のみを照らす為の足下ランプ、化粧をする際の顔のみを照らすことが可能なバニティランプなどがある。
【0016】
符号8は、ドア(図示省略)の開閉を検知するセンサーで、ドアロックアクチュエータ4にドア(図示省略)の開閉状況を信号として発信可能である。また、符号9は、ドアロック操作及びドアアンロック操作を機械的に行える操作装置で、例えば、室内側にあるボタン式のもの、或いは車外側にあるキーシリンダ式のもの、或いはドア(図示省略)を開けた状態で前記ボタン式をロック側に操作してアウトサイドハンドルを操作しながらドアを閉じるキーレスロック方式などがある。
【0017】
なお、灯火装置(室内灯)6の点消灯を直接制御するモーメンタリースイッチからなる各種のライトスイッチについては、周知のため、説明を割愛したが、これらのライトスイッチによって点灯されたままであっても、携帯機1による発信電波が所定値以下になれば、前記したように消灯するものであるから、該消灯への説明に特化したことを敢えて説明する。
【0018】
前記制御装置10の制御動作について、図2のフローチャートを参照に次に説明する。
【0019】
まず、送信機能を備えた携帯機1を携えている乗員と車両との距離によって、制御装置10の受信回路2が受信する携帯機1の送信電波の強度が変化するが、制御装置10の受信回路2が受信する受信強度が所定値以上と判断(ステップ1)した場合は、乗員が車両に近づいている状態と判断して、制御装置10のドアロックアクチュエータ4によりドアを解錠する(ステップ2)と共にセキュリティ装置5の待機状態を解除し(ステップ3)且つ灯火装置(室内灯)6を待機状態にする(ステップ4)ことで、乗員の乗車上の支障が生じないことになる。この状態で、ドアが開成されれば(ステップ5)、灯火装置(室内灯)6を点灯(ステップ6)する。ドア4が開成されなければ(ステップ10)、灯火装置(室内灯)6は消灯を維持(ステップ10)する。
【0020】
携帯機1からの受信強度が所定値以下と制御装置10が判断した場合(ステップ1)は、乗員が車両から離れていると判断(ステップ7)して、制御装置10のドアロックアクチュエータ4によりドアを施錠(ステップ8)し且つセキュリティ装置5を待機状態にする(ステップ9)ので、防犯性能が著しく向上する。と同時に、灯火装置(室内灯)6を確実に消灯する或いは消灯を維持する(ステップ10)ことができ、灯火装置(室内灯)6の消し忘れが確実に防止できる。
【0021】
制御装置10のドアロックアクチュエータ4は、車外からの機械的なドアロック操作によってドアを施錠した時にも前記灯火装置6を消灯するように制御されてなるので、より消灯のきっかけが増大し、灯火装置(室内灯)の消し忘れの可能性が少なくなる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】この発明の第1実施例に係る自動車用室内灯制御装置を示す回路ブロック図。
【図2】図1の実施例の作動要領を説明するためのフローチャート。
【符号の説明】
【0023】
1 携帯機
2 受信回路
3 アンテナ
4 ドアロックアクチュエータ
5 セキュリティ装置
6 灯火装置(室内灯)
7 リレー
8 センサー
9 操作装置
10 制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信機能を備えた携帯機と、受信機能を備え且つ前記携帯機による受信電波強度によってドアを施解錠可能にした制御装置と、該制御装置がドアを施錠することで待機状態になり且つ解錠することで待機状態を解除するセキュリティ装置と、前記制御装置が所定以上の電波強度を受信したか或いは前記セキュリティ装置が待機状態を解除したことで点灯し且つ前記制御装置が所定以下の電波強度を受信したか或いは前記セキュリティ装置が待機状態になることで消灯するように制御された灯火装置とより構成されてなることを特徴とする自動車用室内灯制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の自動車用室内灯制御装置であって、
前記制御装置は、車外からの機械的なドアロック操作によってドアを施錠した時にも前記灯火装置を消灯するように制御されてなることを特徴とする自動車用室内灯制御装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−96207(P2006−96207A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−285440(P2004−285440)
【出願日】平成16年9月29日(2004.9.29)
【出願人】(598147400)ジョンソン コントロールズ テクノロジー カンパニー (224)
【氏名又は名称原語表記】Johnson Controls Technology Company
【出願人】(000005337)株式会社本田技術研究所 (1)
【Fターム(参考)】