説明

自動車用洗浄液を供給するための装置

本発明は、自動車用洗浄液を供給するための装置(1)に関する。この装置は、少なくとも1つの液体流入口と、少なくとも2つの液体流出口と、各液体流出口から各液体流入口へ向かう流体の流れを防ぐことのできる逆止弁とを含んだ配液部材(2)を含み、洗浄液を供給するための当該装置(1)が、配液部材(2)と熱的に結合された加熱手段(4)を更に含んでいることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用洗浄液、特にウインドシールド(フロントガラス)ウォッシャー液を経路に従って送るための装置に関する。本発明はまた、少なくとも1つの自動車用散布器へ液体を供給するための当該装置の使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
以下の説明は、主として、自動車におけるガラスの表面、例えばウインドシールド、リアウインドウ、またはヘッドライトやヘッドランプの外装部分などを洗浄するための液体を経路に従って送ることに関するが、専らそれだけに関するものではない。
【0003】
ガラスの表面の改良された洗浄は、1つないし複数の散布器によって、洗浄すべき表面上へと洗浄液を散布する前に、その洗浄液を加熱することによって得られるかもしれない。散布器とは、自動車のフード(ボンネット)上に配置された加圧式散布用オリフィス、或いはワイパー内へと直接的に統合された散布用マニフォールドという意味である。更に、加熱された洗浄液はまた、ウインドシールドの着氷を防止する効果を助けもするかもしれない。
【0004】
洗浄液装置は、液体が加熱されてもされなくても、車両におけるグリルの高さの所に、配液(液体配給)要素を主として備えている。この配液要素は、フードの下に位置する管を、車両の散布器へ繋がる管と素早く連結するように企図されている。
【0005】
低温の場合には、装置内における洗浄液の流通の継続を保証するために、装置内での氷の形成を防止することが望ましい。また、液圧システムの満足な応答時間が得られるように、ワイパーにできるだけ接近して液体を蓄えることも望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、これらの目的を達成することを企図している。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かくして、本発明は、自動車用洗浄液を経路に従って送るための装置にある。
本発明の装置は、少なくとも1つの液体流入口と、少なくとも2つの液体流出口と、各流体流出口から各流体流入口へ向かう流体の流れを防ぐための逆止弁とを含んだ配液部材を備え、洗浄液を経路に従って送るための当該装置が、配液部材に対して熱的に結合された加熱手段を更に含んでいる。
【0008】
かくして、逆止弁と、配流体(流体配給)部材の高さにある加熱手段との共役作用のおかげで、フードの下にある管と、洗浄すべき表面付近の管との間における流体の流通が維持されるが、それは当該装置の優れた液圧的作用である。
【0009】
配液部材は少なくとも1つのサブアセンブリを備え、このサブアセンブリに、逆止弁に連結された液体流入口と、2つの液体流出口とが設けられていてもよい。配液部材は例えば、2つのサブアセンブリを備え、各サブアセンブリに、液体流入口と2つの液体流出口とが設けられていてもよい。
【0010】
加熱手段は2つのサブアセンブリ同士の間に配置されていてもよい。
【0011】
2つのサブアセンブリの液体流入口が、双方向ポンプに対して連結されていることが有利である。
【0012】
加熱手段は、少なくとも1つのPTCストーン(positive temperature coefficient stone)を含んでいてもよい。
【0013】
本発明はまた、少なくとも1つの自動車用散布器へ液体を供給するための、上述した装置の使用にもある。
【0014】
それは特に、2つのサブアセンブリを備えた配液部材を含み、各サブアセンブリに逆止弁に連結された液体流入口と2つの液体流出口とが設けられている装置の、ガラスの表面を拭き取るためのシステムへ液体を供給するための使用であって、当該システムは2つのワイパーを備えており、各ワイパーには、上方への拭取り段階中に当該ワイパーの第1の側からの配液を可能とするための第1の散布器と、下方への拭取り段階中に当該ワイパーの他側での配液を可能とする第2の散布器とが備え付けられており、配液部材における一方のサブアセンブリの液体流出口は、ワイパーの第1の散布器へ液体を供給するように企図され、他方のサブアセンブリの液体流出口は、ワイパーの第2の散布器へ液体を供給するように企図されている、装置の使用にある。
【0015】
本発明の他の特徴や利点は、例示や非限定的な例として述べられる以下の説明を読んだときに、また添付図面の参照で、より明瞭となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】洗浄液を経路に従って送るための本発明の装置を概略的に示す図。
【図2】当該装置の配液部材を全体的に示す図。
【図3】配液部材を部分的に示す図。
【図4】配液部材を部分的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1に示す自動車用洗浄液を経路に従って送るための装置1は、配液部材2を備えている。この配液部材2は、上流側で双方向ポンプ3に連結されている。また配液部材2は、下流側では、助手席の側に位置する助手席側ワイパーBPと、運転席の側に位置する運転席側ワイパーBCとに連結されている。
【0018】
ワイパーBPおよびBCには、それぞれ、上方への拭取り段階中に当該ワイパーの第1の側からの配液を可能とするための第1の散布器と、下方への拭取り段階中に当該ワイパーの他側での配液を可能とする第2の散布器とが設けられている。配液部材2は、アームBPおよびBCの下にある管との連結部の前に設置されている。
【0019】
配液部材2は、2つのサブアセンブリ2A,2Bを備えている。それらのサブアセンブリ2A,2B同士の間には、加熱部材4が配置されている。
【0020】
サブアセンブリ2Aは、ポンプ3によって液体を供給される液体流入口と、2つの液体流出口とを備えている。サブアセンブリ2Aの一方の液体流出口が、ワイパーBPの第1の散布器に連結されているのに対して、サブアセンブリ2Aの他方の液体流出口は、ワイパーBCの第1の散布器に連結されている。
【0021】
同様に、サブアセンブリ2Bは、ポンプ3によって液体を供給される液体流入口と、2つの液体流出口とを備えている。サブアセンブリ2Bの一方の液体流出口が、ワイパーBPの第2の散布器に連結されているのに対して、サブアセンブリ2Bの他方の液体流出口は、ワイパーBCの第2の散布器に連結されている。
【0022】
従って、上方への拭き取り段階中に、ポンプ3は、サブアセンブリ2Aを通じて、ワイパーBPおよびBCの第1の散布器に液体を送り込む。下方への拭き取り段階中には、ポンプ3は、サブアセンブリ2Bを通じて、ワイパーBPおよびBCの第2の散布器に供給を行う。
【0023】
或いは、ポンプ3に代えて、各々が配液部材2の液体流入口への送り込みを行う2つの単方向ポンプを用いてもよい。
【0024】
図2から図4は配液部材2の詳細を示す図であり、それらの図において、同一の要素は同じ参照符号を伴っている。
【0025】
配液部材2は、図2に示すように、2つのサブアセンブリ2Aおよび2Bを備えている。それら2つのサブアセンブリ同士の間には、既知の加熱部材4を収容するために開口部が形成されている。
【0026】
図3に示すように、サブアセンブリ2Aは、コネクタへの素早い嵌合のため、或いは管への直接的な連結のための区域である下方部分2A1を備えている。サブアセンブリ2Aはまた、液体流出口へそれぞれ繋がる2つの部分へと流入通路を分けている区域である上方区域2A3だけでなく、逆止弁を収容している区域である中間区域2A2をも備えている。各流体流出口は、コネクタへの素早い嵌合のため、或いは管への直接的な連結のための区域を備えていてもよい。逆止弁は、既知の逆止弁から、特に、ガイド付き弁部材型、フラップ型、ダブルフラップ型、ボール型、または同心円盤型の逆止弁から選ばれてよい。下方区域2A1の覆いが逆止弁のキャップを構成していることが有利である。加熱部材4の最適な働きのためには、流入通路を2つの部分へと分けている区域2A3に対して加熱部材4が熱的に結合されることとなるのが有利である。サブアセンブリ2Bがサブアセンブリ2Aと同じ構造を有している、ということに留意されたい。
【0027】
各サブアセンブリ2A,2Bは、少なくとも2つの液体流出口を備えていてよいが、流出口の数はワイパーの数に等しいことが有利である。各サブアセンブリ2A,2Bは更に、異なる形状、例えばT字形状やV字形状を有していてもよい。
【0028】
図4は、内部に加熱部材4が収容されている、サブアセンブリ2A,2B同士の間の中間区域を示している。加熱部材4は、PTCストーン(positive temperature coefficient stone)であることが有利である。加熱部材としては、発熱抵抗体、抵抗体ワイヤ、または任意の他の加熱要素が、同等に申し分なく用いられるかもしれない。
【0029】
PTCストーンを使用することは、多くの利点を有している。まず初めに、このタイプのサーミスタに電力を供給することによって得られる加熱温度は、自己制限的なものである。正確には、これらのサーミスタは、いわゆる自己調節(自動平衡)温度に対応した略一定の温度値に達するまで温度が上昇する。従って、これらの部材の調節用に特別な制御装置を設けることは不要である。
【0030】
更に、平坦なPTCストーンを昇温させるためには、その一方の面を第1のDC電圧に対して電気的に接続して、他方の面が第2のDC電圧(典型的には接地)を受けるようにすることで十分である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車用洗浄液を経路に従って送るための装置(1)において、当該装置が、少なくとも1つの液体流入口と、少なくとも2つの液体流出口と、各流体流出口から各流体流入口へ向かう流体の流れを防ぐための逆止弁とを備えた配液部材(2)を含み、液体を経路に従って送るための当該装置(1)が、配液部材(2)に対して熱的に結合された加熱手段(4)を更に含んでいることを特徴とする装置(1)。
【請求項2】
配液部材(2)は少なくとも1つのサブアセンブリ(2A,2B)を備え、このサブアセンブリ(2A,2B)に、逆止弁に連結された液体流入口と、2つの液体流出口とが設けられている、ことを特徴とする請求項1記載の装置(1)。
【請求項3】
配液部材(2)は2つのサブアセンブリ(2A,2B)を備え、各サブアセンブリ(2A,2B)に、液体流入口と2つの液体流出口とが設けられている、ことを特徴とする請求項2記載の装置(1)。
【請求項4】
加熱手段(4)は2つのサブアセンブリ(2A,2B)同士の間に配置されている、ことを特徴とする請求項3記載の装置(1)。
【請求項5】
2つのサブアセンブリ(2A,2B)の液体流入口が、双方向ポンプ(3)に対して連結されている、ことを特徴とする請求項3または4記載の装置(1)。
【請求項6】
加熱手段(4)は、少なくとも1つのPTCストーン(positive temperature coefficient stone)を含んでいる、ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項7】
少なくとも1つの自動車用散布器へ液体を供給するための、請求項1からの6いずれか一項に記載の装置(1)の使用。
【請求項8】
ガラスの表面を拭き取るためのシステムへ液体を供給するための、請求項3記載の装置(1)の使用であって、当該システムは2つのワイパー(BP,BC)を備えており、各ワイパー(BP,BC)には、上方への拭取り段階中に当該ワイパー(BP,BC)の第1の側からの配液を可能とするための第1の散布器と、下方への拭取り段階中に当該ワイパー(BP,BC)の他側での配液を可能とする第2の散布器とが備え付けられており、配液部材(2)における一方のサブアセンブリ(2A)の液体流出口は、ワイパー(BP,BC)の第1の散布器へ液体を供給するように企図され、他方のサブアセンブリ(2B)の液体流出口は、ワイパー(BP,BC)の第2の散布器へ液体を供給するように企図されている、装置(1)の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−507287(P2013−507287A)
【公表日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−532532(P2012−532532)
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際出願番号】PCT/EP2010/064146
【国際公開番号】WO2011/042319
【国際公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(512092737)
【氏名又は名称原語表記】VALEO SYSTEMES D’ESSUYAGE
【Fターム(参考)】