説明

自動車用温調システム

【課題】車内の空調、電装品の冷却及びバッテリの温調を行うことができ、かつ、バッテリの電力消費の増加を抑制することができる自動車用温調システムの提供。
【解決手段】自動車用温調システム10は、冷媒回路12と、制御装置60と、を備えている。冷媒回路12は、圧縮機80、四路切替弁81、空調用熱交換器21、バッテリ用熱交換器32及び冷却器42を含む。空調用熱交換器21は、車内を空調するためのものである。バッテリ用熱交換器32は、バッテリ31の温調を行う。冷却器42は、電装品41を冷却する。また、制御装置60は、空調用熱交換器21、バッテリ用熱交換器32及び冷却器42におけるそれぞれの熱交換量を制御可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド車や電気自動車等の自動車用温調システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ハイブリッド車や電気自動車において、空調用冷凍サイクルを利用して走行用の電力源となるバッテリの温調を行う自動車用温調システムが提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1(特開平11−337193号公報)に開示されている発熱体冷却装置では、車内空調用の冷媒回路に、バッテリに相当するモータを冷却するための冷却器が接続されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ハイブリッド車や電気自動車には、バッテリ以外にも冷却が必要な電装品が搭載されている。このため、特許文献1に開示されている発熱体冷却装置では、バッテリ以外の電装品を冷却するための冷却装置を別途車に搭載する必要があるが、別途搭載される冷却装置の重量によっては、車全体の重量が大きくなることでバッテリの電力消費が増加してしまうという問題がある。
【0005】
そこで、本発明の課題は、車内の空調、電装品の冷却及びバッテリの温調を行うことができ、かつ、バッテリの電力消費の増加を抑制することができる自動車用温調システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1観点に係る自動車用温調システムは、冷媒回路と、制御装置と、を備えている。冷媒回路は、圧縮機、四路切替弁、空調用熱交換器、バッテリ用熱交換器及び冷却器を含む。空調用熱交換器は、車内を空調するためのものである。バッテリ用熱交換器は、バッテリの温調を行う。冷却器は、電装品を冷却する。また、制御装置は、空調用熱交換器、バッテリ用熱交換器及び冷却器におけるそれぞれの熱交換量を制御可能である。
【0007】
本発明の第1観点に係る自動車用温調システムでは、冷媒回路に、空調用熱交換器、バッテリ用熱交換器及び冷却器が含まれている。このため、この冷媒回路を車に搭載することで、電装品を冷却するための冷却装置を別途搭載しなくても、電装品の冷却、バッテリの温調、及び、車内の空調を行うことができる。したがって、この自動車用温調システムでは、電装品を冷却するための冷却装置を別途搭載する場合と比較して、軽量化を図ることができる。
【0008】
これによって、車内の空調、電装品の冷却及びバッテリの温調を行うことができ、かつ、バッテリの電力消費の増加を抑制することができる。
【0009】
本発明の第2観点に係る自動車用温調システムは、第1観点の自動車用温調システムにおいて、冷媒回路は、空調用制御弁と、バッテリ用制御弁と、冷却器用制御弁と、を含む。空調用制御弁は、主として空調用熱交換器における熱交換量を制御するためのものである。バッテリ用制御弁は、バッテリ用熱交換器における熱交換量を制御するためのものである。冷却器用制御弁は、冷却器における熱交換量を制御するためのものである。この自動車用温調システムでは、空調用熱交換器、バッテリ用熱交換器及び冷却器のそれぞれの熱交換量を、制御弁によって制御することができる。
【0010】
本発明の第3観点に係る自動車用温調システムは、第1観点又は第2観点の自動車用温調システムにおいて、圧縮機は、冷却器で熱交換された冷媒を圧縮機内の高圧空間に導くための供給部を含む。この自動車用温調システムでは、冷却器において熱交換された冷媒が供給部によって圧縮機内の高圧空間に導かれることで、例えば、冷却器において熱交換された冷媒が圧縮機内の低圧空間に導かれる場合と比較して、圧縮機動力の増加を抑えることができる。
【0011】
本発明の第4観点に係る自動車用温調システムは、第1観点の自動車用温調システムにおいて、冷媒回路は、空調用制御弁と、バッテリ用制御弁と、ポンプと、を含む。空調用制御弁は、主として空調用熱交換器における熱交換量を制御するためのものである。バッテリ用制御弁は、バッテリ用熱交換器における熱交換量を制御するためのものである。ポンプは、冷却器における熱交換量を制御するためのものである。この自動車用温調システムでは、空調用熱交換器及びバッテリ用熱交換器のそれぞれの熱交換量を制御弁によって制御することができ、冷却器の熱交換量をポンプによって制御することができる。
【0012】
本発明の第5観点に係る自動車用温調システムは、第1観点又は第2観点の自動車用温調システムにおいて、圧縮機は、低段側圧縮機構で圧縮された冷媒を高段側圧縮機構でさらに圧縮する二段圧縮機である。また、冷却器において熱交換を行った高圧液冷媒は、高段側圧縮機構の吸入側に流れる。この自動車用温調システムでは、冷却器において電装品と熱交換を行った冷媒が、高段側圧縮機構の吸入側に流れるため、例えば、低段側圧縮機構の吸入側に流れる場合と比較して、圧縮機の負担を軽減することができる。
【0013】
本発明の第6観点に係る自動車用温調システムは、第1観点又は第2観点に係る自動車用温調システムにおいて、冷媒回路は、圧縮機の吐出部と四路切替弁とを接続する吐出側冷媒配管を含む。また、吐出側冷媒配管は、冷却器において熱交換を行った高圧液冷媒を、吐出側冷媒配管に流すためのエジェクタ部を有する。この自動車用温調システムでは、冷却器において熱交換を行った高圧液冷媒が、エジェクタ部によって圧縮機の吐出側に流れるため、冷却器において熱交換を行った高圧液冷媒が圧縮機の吸入側に流れる場合と比較して、圧縮機動力の増加を抑えることができる。
【0014】
本発明の第7観点に係る自動車用温調システムは、第1観点から第6観点のいずれかの自動車用温調システムにおいて、冷媒回路は、外気用熱交換器と、空調用制御弁と、第1冷媒配管と、第2冷媒配管と、第1冷却器用冷媒配管と、第2冷却器用冷媒配管と、を含む。外気用熱交換器は、外気と熱交換を行う。空調用制御弁は、主として空調用熱交換器における熱交換量を制御するためのものである。第1冷媒配管は、外気用熱交換器と、空調用制御弁とを接続する配管である。第2冷媒配管は、空調用制御弁と空調用熱交換器とを接続する配管である。第1冷却器用冷媒配管は、第1冷媒配管から分岐している配管である。また、第1冷却器用冷媒配管は、第1冷媒配管を流れる冷媒を、冷却器に流すための配管である。第2冷却器用冷媒配管は、第2冷媒配管から分岐している配管である。また、第2冷却器用冷媒配管は、第2冷媒配管を流れる冷媒を、冷却器に流すための配管である。さらに、第1冷却器用冷媒配管には、冷却器側から第1冷媒配管側への冷媒の流れを阻止する第1逆止弁が設けられている。第2冷却器用冷媒配管には、冷却器側から第2冷媒配管側への冷媒の流れを阻止する第2逆止弁が設けられている。この自動車用温調システムでは、第1逆止弁及び第2逆止弁が設けられていることで、冷却器において熱交換を行うための冷媒が、第1冷媒配管及び第2冷媒配管に逆流することを防止することができる。
【0015】
本発明の第8観点に係る自動車用温調システムは、第1観点から第7観点のいずれかの自動車用温調システムにおいて、空調用熱交換器は、第1熱交換部と、第2熱交換部と、を含む。第2熱交換部は、膨張機構を介して第1熱交換部に接続されている。このため、この自動車用温調システムでは、車内の暖房時に膨張機構が制御されることで、車内の除湿を行うことができる。
【0016】
これによって、暖房時に車窓が曇るおそれを低減することができる。
【0017】
本発明の第9観点に係る自動車用温調システムは、第1観点から第8観点のいずれかの自動車用温調システムにおいて、制御装置は、電装品不使用モードと、空調停止モードと、を実行可能な実行部を有する。電装品不使用モードは、車内の空調及びバッテリの温調が行われ、かつ、電装品の冷却が行われないモードである。空調停止モードは、バッテリの温調及び電装品の冷却が行われ、かつ、車内の空調が行われないモードである。この自動車用温調システムでは、電装品不使用モードや空調停止モードが実行されることで、車内の空調、バッテリの温調及び電装品の冷却が常に行われている場合と比較して、バッテリの電力消費を抑えることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の第1観点に係る自動車用温調システムでは、車内の空調、電装品の冷却及びバッテリの温調を行うことができ、かつ、バッテリの電力消費の増加を抑制することができる。
【0019】
本発明の第2観点に係る自動車用温調システムでは、空調用熱交換器、バッテリ用熱交換器及び冷却器のそれぞれの熱交換量を、制御弁によって制御することができる。
【0020】
本発明の第3観点に係る自動車用温調システムでは、冷却器において熱交換された冷媒が圧縮機内の低圧空間に導かれる場合と比較して、圧縮機動力の増加を抑えることができる。
【0021】
本発明の第4観点に係る自動車用温調システムでは、空調用熱交換器及びバッテリ用熱交換器のそれぞれの熱交換量を制御弁によって制御することができ、冷却器の熱交換量をポンプによって制御することができる。
【0022】
本発明の第5観点に係る自動車用温調システムでは、冷却器において電装品と熱交換を行った冷媒が低段側圧縮機構の吸入側に流れる場合と比較して、圧縮機の負担を軽減することができる。
【0023】
本発明の第6観点に係る自動車用温調システムでは、冷却器において熱交換を行った高圧液冷媒が圧縮機の吸入側に流れる場合と比較して、圧縮機動力の増加を抑えることができる。
【0024】
本発明の第7観点に係る自動車用温調システムでは、冷却器において熱交換を行うための冷媒が、第1冷媒配管及び第2冷媒配管に逆流することを防止することができる。
【0025】
本発明の第8観点に係る自動車用温調システムでは、暖房時に車窓が曇るおそれを低減することができる。
【0026】
本発明の第9観点に係る自動車用温調システムでは、車内の空調、バッテリの温調及び電装品の冷却が常に行われている場合と比較して、バッテリの電力消費を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態に係る自動車用温調システムの概略図。
【図2】自動車用温調システムの備える制御装置の制御ブロック図。
【図3】変形例Aに係る自動車用温調システムの備える冷媒回路の概略図。
【図4】変形例Bに係る自動車用温調システムの備える冷媒回路の概略図。
【図5】吐出側冷媒配管の断面図であって、エジェクタ部を説明するための図。
【図6】変形例Cに係る自動車用温調システムの備える冷媒回路の概略図。
【図7】変形例Dに係る自動車用温調システムの備える冷媒回路の概略図。
【図8】変形例Eに係る自動車用温調システムの備える冷媒回路の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照しながら本発明の1実施形態に係る自動車用温調システム10について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の具体例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0029】
(1)全体構成
自動車用温調システム10は、ハイブリッド車や電気自動車等のバッテリ31が走行用の電力源である車に用いられる温調システムであって、温調装置11と、制御装置60とを備えている。温調装置11は、単一の冷媒を用いて車内の空調、バッテリ31の温調及びバッテリ31以外の電装品41の冷却を行うことが可能な1つの冷媒回路12を備えている。制御装置60は、温調装置11の備える各種機器を制御するための装置である。この自動車用温調システム10では、制御装置60が温調装置11の備える各種機器を制御することで、車内の空調、バッテリ31の温調、及び、バッテリ31以外の電装品41の冷却が行われる。
【0030】
(2)詳細構成
(2−1)温調装置の構成
温調装置11は、図1に示すように、主に、圧縮機80、四路切替弁81、外気用熱交換器82、空調用熱交換器21、バッテリ用熱交換器32及び冷却器42を含む蒸気圧縮式の冷媒回路12を備えている。また、冷媒回路12は、主冷媒回路13と、第1分岐配管14と、第2分岐配管15と、を有する。主冷媒回路13には、空調ユニット20に含まれる空調用熱交換器21が接続されている。第1分岐配管14は、主冷媒回路13から分岐しており、温調ユニット30に含まれるバッテリ用熱交換器32が接続されている。第2分岐配管15は、主冷媒回路13から分岐しており、冷却ユニット40に含まれる冷却器42が接続されている。
【0031】
(2−1−1)主冷媒回路の構成
主冷媒回路13には、図1に示すように、圧縮機80と、外気と熱交換を行う外気用熱交換器82と、空調用制御弁83と、車内を空調するための空調用熱交換器21と、が順に接続されている。
【0032】
圧縮機80は、回転数が可変なインバータ式の圧縮機であって、吸入したガス冷媒を圧縮するためのものである。また、本実施形態の圧縮機80は、圧縮機80内の高圧空間に冷媒を導くためのインジェクションポート80aを有しており、冷却器42において熱交換が行われた冷媒は、インジェクションポート80aを介して圧縮機80の圧縮過程途中に吸入される。
【0033】
空調用制御弁83は、外気用熱交換器82と空調用熱交換器21との間の冷媒圧力の調整や冷媒流量の調整等を行うための電動膨張弁であって、主に、空調用熱交換器21における熱交換量を制御する。
【0034】
外気用熱交換器82は、外気を熱源として冷媒と熱交換を行うためのものであり、外ファン84が外気用熱交換器82に接触する空気流れを生成することで、外気と外気用熱交換器82を流れる冷媒とを熱交換させることができる。
【0035】
空調用熱交換器21は、車内の空気を熱源として冷媒と熱交換を行うためのものであり、内ファン25が空調用熱交換器21に接触する空気流れを生成することで、車内の空気と空調用熱交換器21を流れる冷媒とを熱交換させることができる。
【0036】
また、空調用熱交換器21は、図1に示すように、第1熱交換部22と、膨張機構である制御弁24を介して第1熱交換部22に接続される第2熱交換部23と、を有する。制御弁24は、第1熱交換部22と第2熱交換部23との間の冷媒圧力の調整や冷媒流量の調整等を行うための電動膨張弁であって、その弁開度が調整されることで、第1熱交換部22及び第2熱交換部23を凝縮器或いは蒸発器として機能させたり、第1熱交換部22又は第2熱交換部23のいずれか一方を凝縮器或いは蒸発器として機能させたりすることができる。なお、空調用熱交換器21は、制御弁24及び内ファン25と共に、空調ユニット20を構成している。
【0037】
また、主冷媒回路13に接続されている四路切替弁81は、主冷媒回路13を流れる冷媒の流路を変更する切替機構を構成している。四路切替弁81は、圧縮機80の吐出側と外気用熱交換器82と接続し、かつ、空調用熱交換器21と圧縮機80の吸入側とを接続する第1状態(図1の実線参照)と、圧縮機80の吐出側と空調用熱交換器21とを接続し、かつ、外気用熱交換器82と圧縮機80の吸入側とを接続する第2状態(図1の破線参照)とに切り替わることで、主冷媒回路13における冷媒の循環方向が可逆に構成されている。
【0038】
なお、以下では、説明の便宜上、主冷媒回路13に含まれる冷媒配管のうち、外気用熱交換器82と空調用制御弁83とを接続する冷媒配管を第1冷媒配管13aといい、空調用熱交換器21と空調用制御弁83とを接続する冷媒配管13eの一部であって第1熱交換部22と制御弁24とを接続する配管を第2冷媒配管13bという。
【0039】
(2−1−2)温調ユニットの構成
温調ユニット30は、バッテリ用熱交換器32と、バッテリ用制御弁33,34と、を有する。また、温調ユニット30は、第1分岐配管14によって主冷媒回路13に接続されている。
【0040】
第1分岐配管14は、一端が高圧液冷媒の流れる冷媒配管(一般に、凝縮器として機能する熱交換器の出口側)に接続されており、他端が低圧液冷媒の流れる冷媒配管(一般に蒸発器として機能する熱交換器の入口側)に接続された配管である。なお、本実施形態では、第1分岐配管14は、図1に示すように、空調用制御弁83、第2熱交換部23及び制御弁24を迂回するように、一端が第1冷媒配管13aに接続されており、他端が第2冷媒配管13bに接続されている。
【0041】
バッテリ用熱交換器32は、バッテリ31を温調するための冷媒ジャケットであって、内部に冷媒が流れる冷媒通路を有している。バッテリ用熱交換器32において、冷媒通路を流れる冷媒とバッテリ31との間で熱交換が行われることで、バッテリ31が温調されることになる。なお、バッテリ用熱交換器32の具体的構成は、温調するバッテリ31の形状等に応じた形態に設計される。
【0042】
バッテリ用制御弁33,34は、第1分岐配管14を流れる冷媒圧力の調整や冷媒流量の調整等を行うための電動膨張弁であって、主に、バッテリ用熱交換器32における熱交換量を制御する。具体的には、バッテリ用制御弁33,34は、2つの膨張弁(以下の説明では、図1において符号33で示すバッテリ用制御弁を第1膨張弁といい、図1において符号34で示すバッテリ用膨張弁を第2膨張弁という)を有しており、第1膨張弁33及び第2膨張弁34は、図1に示すように、バッテリ用熱交換器32を挟むように配置されている。より詳しくは、第1膨張弁33及び第2膨張弁34は、モータ等により弁開度(すなわち、絞り量)が連続的に制御可能な制御弁であって、第1分岐配管14を流れる高圧液冷媒を任意の中間圧力まで減圧したり、中間圧冷媒(気液二相冷媒)をさらに低圧圧力まで減圧したりする。第1膨張弁33又は第2膨張弁34の弁開度が調整されることで、高圧液冷媒を任意の中間圧力に減圧してバッテリ31の冷却温度を所定の温度範囲(主冷媒回路13を流れる冷媒の凝縮温度から蒸発温度までの間の温度範囲)で自由に調整することができるため、バッテリ31の冷却温度を所望の温度に設定することができる。この結果、バッテリ31の温度を最適温度範囲内で維持することができる。なお、ここでは、最適温度範囲は、20℃から40℃の間の範囲とするが、これに限定されず、最適温度範囲は、バッテリ31に結露が発生しない温度であってバッテリ31の使用可能な温度範囲であればよく、バッテリ31の放充電に適した温度範囲内であることが好ましい。
【0043】
なお、本実施形態では、発熱体であるバッテリ31は、バッテリ31からの外部への放熱が抑制されるように、例えばケーシングに収納されるなどして、外気と断熱されている。しかしながら、バッテリ31周辺の構成は、これに限定されず、バッテリ31が外気と断熱されていなくてもよい。ただし、バッテリ31の排熱を暖房時に熱源として利用する場合には、バッテリ31は外気と断熱されていることが好ましい。
【0044】
(2−1−3)冷却ユニットの構成
冷却ユニット40は、冷却器42と、冷却器用制御弁43と、を有している。また、冷却ユニット40は、第2分岐配管15によって主冷媒回路13に接続されている。
【0045】
第2分岐配管15は、図1に示すように、圧縮機80から吐出され凝縮器として機能する熱交換器(ここでは、冷房時には、外気用熱交換器82であり、暖房時には、空調用熱交換器21の第1熱交換部22である)から流れてきた高圧液冷媒が冷却器42に流れるように主冷媒回路13に接続されている。具体的には、第2分岐配管15は、第2冷媒配管13bを流れる冷媒を冷却器42に流すための第1分岐管15aと、第1冷媒配管13aを流れる冷媒を冷却器42に流すための第2分岐管15bと、を含む。第1分岐管15aは、一端が第1分岐配管14の一部の配管(第2冷媒配管13bと第1膨張弁33とを接続する配管)14aを介して第2冷媒配管13bに接続されており、他端が圧縮機80のインジェクションポート80aに接続されている。第2分岐管15bは、一端が第1冷媒配管13aに接続されており、他端が第1分岐配管14の配管14aと第1分岐管15aとの接続点Aと冷却器用制御弁43との間に接続されている。
【0046】
なお、本実施形態では、第1分岐管15aの一端は、配管14aの途中に接続されているが、これに限定されず、第1分岐管15aの一端が第2冷媒配管13bに接続されていてもよい。また、本実施形態では、第2分岐管15bの一端は、第1冷媒配管13aに接続されているが、これに限定されず、第2分岐管15bの一端が、第1分岐配管14の一部であって、第1冷媒配管13aと第2膨張弁34とを接続する配管14bの途中に接続されていてもよい。
【0047】
冷却器42は、電装品41(モータやインバータ或いはコンバータ等)を冷却するための熱交換器であって、内部に冷媒が流れる冷媒通路を有している。冷却器42では、冷媒通路を流れる高圧液冷媒と電装品41との間で熱交換が行われることで、電装品41の冷却を行う。なお、冷却器42の具体的構成は、冷却する電装品41の形状等に応じた形態に設計される。また、本実施形態における電装品41には、バッテリ31は含まれないものとする。
【0048】
冷却器用制御弁43は、冷却器42に流れる冷媒の流量の調整を行うための電動膨張弁であって、主に、冷却器42における熱交換量を制御する。なお、本実施形態では、冷却器用制御弁43は、第1分岐管15aにおいて接続点Bと冷却器42との間に設けられている。また、本実施形態では、冷却器用制御弁43は、制御装置60において、冷却器42の出口側の過熱度が算出され、算出された過熱度に応じて弁開度が調整(いわゆる過熱度制御)されている。さらに、本実施形態では、冷却器用制御弁43として電動膨張弁が用いられているが、冷却器42に流れる冷媒の流量調整が可能であれば膨張弁でなくてもよい。
【0049】
また、第1分岐管15a及び第2分岐管15bには、主冷媒回路13側から冷却器42側に向かう冷媒の流れのみを許容する第1逆止弁44及び第2逆止弁45がそれぞれ設けられている。第1逆止弁44及び第2逆止弁45が設けられていることで、冷却器42において熱交換を行うための高圧液冷媒が、第1冷媒配管13a及び第2冷媒配管13bに逆流することを阻止することができる。第1逆止弁44は、図1に示すように、第1分岐管15aにおいて接続点Aと冷却器用制御弁43との間に配置されている。
【0050】
なお、本実施形態では、冷却器用制御弁43は、冷却器42の入口側(上流側)に設けられているが、これに限定されず、冷却器42の出口側(下流側)に、又は、冷却器42の入口側及び出口側の両方に設けられていてもよい。このような構成であれば、冷却器42において冷媒温度が低下し過ぎて電装品41に結露が発生するおそれを低減することができる。
【0051】
また、本実施形態では、第1分岐管15aの入口側端部が第1分岐配管14に接続されており、第2分岐管15bの入口側端部が第1冷媒配管13aに接続されているが、冷却器42に高圧液冷媒が流入すればよいため、第1分岐管15a及び第2分岐管15bの冷媒入口側が、外気用熱交換器82及び第1熱交換部22の中間あたりに接続されていてもよい。
【0052】
さらに、本実施形態では、発熱体である電装品41は、電装品41からの外部への放熱が抑制されるように、例えばケーシングに収納されるなどして、外気と断熱されている。しかしながら、電装品41周りの構成は、これに限定されず、電装品41が外気と断熱されていなくてもよい。ただし、電装品41の排熱を暖房時に熱源として利用する場合には、電装品41は外気と断熱されていることが好ましい。
【0053】
(2−2)制御装置の構成
制御装置60は、図2に示すように、温調装置11の有する各種機器と接続されており、車内の空調、バッテリ31の温調及び電装品41の冷却等を行うために各種機器の動作制御を行う。より詳しくは、制御装置60は、空調用制御弁83及び制御弁24の弁開度や内ファン25の回転数を調整する制御を行うことで空調用熱交換器21における熱交換量を制御したり、バッテリ用制御弁33,34の弁開度を調整する制御を行うことでバッテリ用熱交換器32における熱交換量を制御したり、冷却器用制御弁43の弁開度を調整する制御を行うことで冷却器42における熱交換量を制御したりする。
【0054】
また、制御装置60は、ユーザによって操作される操作スイッチ90と接続されている。操作スイッチ90には、空調作動スイッチや風量調整スイッチ等が含まれており、制御装置60は、操作スイッチ90からの信号に基づいて車内の空調(冷房や暖房等)を行う。
【0055】
さらに、制御装置60は、各種機器を制御することで記憶部62に記憶されている各種モードを実行する実行部61を有している。各種モードには、通常運転モード、電装品不使用モード及び空調停止モードが含まれる。なお、実行部61は、操作スイッチ90によるユーザからの指令や各種センサ(圧力センサや温度センサ等)の検知結果に基づいて各モードのいずれかを実行する。
【0056】
通常運転モードは、自動車が走行中であって、操作スイッチ90によるユーザからの空調作動指令がある場合に実行されるモードである。通常運転モードでは、車内の空調(冷房や暖房等)と、バッテリ31の温調、及び、電装品41の冷却が行われるように、各種機器が制御される。
【0057】
電装品不使用モードは、操作スイッチ90によるユーザからの空調作動指令がある場合であって、自動車の停車時などのバッテリ31以外の電装品41が使用されていないときに実行されるモードである。電装品不使用モードでは、車内の空調(冷房や暖房等)及びバッテリ31の温調は行われるが、電装品41の冷却が行われないように、各種機器が制御される。
【0058】
空調停止モードは、自動車の走行中であって、操作スイッチ90によるユーザからの空調作動指令がない場合に実行されるモードである。空調停止モードでは、バッテリ31の温調及び電装品41の冷却は行われるが、車内の空調(冷房や暖房等)が行われないように、各種機器が制御される。
【0059】
なお、本実施形態では、各モードは、ユーザからの空調作動指令の有無に応じて実行部61によって実行されているが、これに限定されず、例えば、バッテリ31の電力消費の増加が抑制されるように自動的に実行されてもよい。
【0060】
(3)各モード実行時における各種機器の制御動作
次に、実行部61による各モード実行時における各種機器の制御動作について説明する。なお、以下では、通常運転モードについては、車内の空調として冷房が実行される場合と、暖房が実行される場合とについて説明している。
【0061】
(3−1)冷房時の通常運転モード
冷房時の通常運転モードでは、四路切替弁81が第1状態に切り替えられ、制御弁24の弁開度が全開となるように調整される。また、圧縮機80の回転数及び空調用制御弁83の弁開度は、車内の冷房能力又は除湿能力に応じて調整され、第1膨張弁33及び第2膨張弁34の弁開度は、バッテリ31の温度が最適温度範囲に入るように調整され、冷却器用制御弁43の弁開度は、冷却器42の出口側の過熱度に基づいて調整される。
【0062】
圧縮機80から吐出された高圧ガス冷媒は、外気用熱交換器82で外ファン84により送風される外気と熱交換して、冷却され凝縮する。外気用熱交換器82から流出した高圧液冷媒は、第1冷媒配管13aを流れて空調用制御弁83に至り、或いは、第1冷媒配管13aの途中で第1分岐配管14又は第2分岐配管15に流れる。ここで、空調用制御弁83に至った高圧液冷媒は、空調用制御弁83で減圧された後に、空調用熱交換器21に流入する。空調用熱交換器21では、流入した液冷媒が内ファン25により送風される車内空気と熱交換を行い、液冷媒が蒸発するとともに空気を冷却し、車内の冷房を行う。蒸発したガス冷媒は、四路切替弁81を介して圧縮機80に吸入される。
【0063】
また、第1冷媒配管13aの途中で第1分岐配管14に流れた高圧液冷媒は、第2膨張弁34で中間圧力まで減圧された後に、バッテリ用熱交換器32に流入する。バッテリ用熱交換器32では、流入した液冷媒の一部が、バッテリ31から吸熱して蒸発することによりバッテリ31を冷却する。また、バッテリ用熱交換器32から流出した液冷媒は、第1膨張弁33で低圧圧力まで減圧された後に、第2冷媒配管13bを流れる冷媒に合流する。
【0064】
さらに、第1冷媒配管13aの途中で第2分岐配管15に流れた高圧液冷媒は、冷却器用制御弁43を介して冷却器42に流れる。そして、冷却器42に流入した高圧液冷媒は、電装品41から吸熱することにより電装品41を冷却する。また、冷却器42から流出した冷媒は、インジェクションポート80aを通じて圧縮機80内の高圧空間に吸入される。
【0065】
このように冷媒回路12内を冷媒が流れ、空調用制御弁83の弁開度が調整されることで、空調用熱交換器21において車内を冷房又は除湿することができる。また、第2膨張弁34の弁開度が調整されることで、バッテリ31の温度を任意の温度範囲内に維持することができる。さらに、冷却器用制御弁43の弁開度が調整されて冷却器42に高圧液冷媒が流れることで、電装品41を冷却することができる。また、冷却器42では、電装品41からの排熱を吸入した冷媒が、インジェクションポート80aを通じて圧縮機80の圧縮過程途中に吸入されるため、圧縮機80の平均吸入圧が上昇して圧縮比を低減でき、結果として、圧縮動力を低減することができる。さらに、圧縮機80から吐出された高圧ガス冷媒は、直ちに外気用熱交換器82において放熱されるため、冷房能力及び除湿能力の低下を抑えることができる。
【0066】
(3−2)暖房時の通常運転モード
暖房時の通常運転モードでは、四路切替弁81が第2状態に切り替えられる。また、圧縮機80の回転数及び空調用制御弁83の弁開度は、車内の暖房能力に応じて調整され、制御弁24の弁開度は、車内の除湿能力に応じて調整され、第1膨張弁33及び第2膨張弁34の弁開度は、バッテリ31の温度が最適温度範囲に入るように調整され、冷却器用制御弁43の弁開度は、冷却器42の出口側の過熱度に基づいて調整される。
【0067】
圧縮機80から吐出された高圧ガス冷媒は、空調用熱交換器21の第1熱交換部22で内ファン25により送風される車内空気と熱交換を行い、高圧ガス冷媒が凝縮するとともに空気を加熱し、車内の暖房を行う。また、第1熱交換部22から流出した高圧液冷媒は、第2冷媒配管13bを流れて制御弁24に至り、或いは、第2冷媒配管13bの途中で第1分岐配管14に流れる。ここで、制御弁24に至った高圧液冷媒は、制御弁24で減圧され又は減圧されずに、第2熱交換部23に流入する。そして、第2熱交換部23で内ファン25により送風される車内空気と熱交換を行うことで凝縮するとともに空気を加熱して車内の暖房を行い、又は、蒸発するとともに空気を冷却して車内の除湿を行う。また、第2熱交換部23から流出した液冷媒は、空調用制御弁83に至り、空調用制御弁83で減圧された後に、外気用熱交換器82に流入する。外気用熱交換器82では、流入した液冷媒が、外ファン84により送風される外気と熱交換を行うことで蒸発する。そして、蒸発したガス冷媒は、四路切替弁81を介して圧縮機80に吸入される。
【0068】
また、第2冷媒配管13bの途中で第1分岐配管14に流れた高圧液冷媒は、第1膨張弁33で中間圧力まで減圧された後に、バッテリ用熱交換器32に流入する。バッテリ用熱交換器32では、流入した液冷媒の一部が、バッテリ31から吸熱して蒸発することによりバッテリ31を冷却する。また、バッテリ用熱交換器32から流出した液冷媒は、第2膨張弁34で低圧圧力まで減圧された後に、第1冷媒配管13aを流れる冷媒に合流する。
【0069】
さらに、第2冷媒配管13bの途中で第1分岐配管14から接続点Aを介して第2分岐配管15に流れた高圧液冷媒は、冷却器用制御弁43を介して冷却器42に流れる。そして、冷却器42に流入した高圧液冷媒は、電装品41から吸熱することにより電装品41を冷却する。また、冷却器42から流出した冷媒は、インジェクションポート80aを通じて圧縮機80内の高圧空間に吸入される。
【0070】
このように冷媒回路12内を冷媒が流れ、空調用制御弁83の弁開度が調整されることで、空調用熱交換器21において車内の暖房又は除湿暖房が行われる。なお、除湿暖房とは、空調用熱交換器21の第1熱交換部22が凝縮器として機能し、第2熱交換部23が蒸発器として機能している状態であるが、制御弁24の弁開度が調整されることで、第2熱交換部23における冷媒の蒸発能力が変更されるため、車内の暖房能力及び除湿能力を調整することができる。例えば、制御弁24の弁開度を小さくする(絞る)ことにより車内の除湿能力を上げることができ、また、制御弁24の弁開度を大きくする(開く)ことにより、車内の除湿能力を下げる、すなわち、暖房能力を上げることができる。したがって、車内の暖房時には、制御弁24の弁開度が調整されることで、車内の湿度調整を行うことができる。
【0071】
また、第1膨張弁33の弁開度が調整されることで、バッテリ31の温度を任意の温度範囲内に維持することができる。さらに、冷却器用制御弁43の弁開度が調整されて冷却器42に高圧液冷媒が流れることで、電装品41を冷却することができる。また、冷却器42において電装品41からの排熱を吸入した冷媒は、インジェクションポート80aを通じて圧縮機80の圧縮過程途中に吸入されるため、圧縮機80の平均吸入圧が上昇して圧縮比を低減でき、結果として、圧縮動力を低減することができる。さらに、圧縮機80から吐出された高圧ガス冷媒は、直ちに空調用熱交換器21の第1熱交換部22において放熱されるため、暖房能力を増加させることができる。
【0072】
(3−3)電装品不使用モード
電装品不使用モードでは、車内の冷房或いは暖房が行われるように、四路切替弁81の状態が切り替えられるとともに空調用制御弁83及び制御弁24の弁開度が調整された状態で、圧縮機80の回転数が調整される。また、第1膨張弁33及び第2膨張弁34の弁開度は、バッテリ31の温度が最適温度範囲に入るように調整され、冷却器用制御弁43の弁開度は、全閉となるように調整される。すなわち、電装品不使用モードでは、冷却器用制御弁43が全閉される以外は、通常運転モードが実行される場合と同様の制御が行われるが、通常運転モードとは異なり、冷却器用制御弁43が全閉されていることで冷却器42には高圧液冷媒が流れないことになる。したがって、電装品不使用モードが実行されることで、電装品41の冷却を行わずに、車内の空調(冷房や暖房等)及びバッテリ31の温調を行うことができる。
【0073】
(3−4)空調停止モード
空調停止モードでは、四路切替弁81が第1状態に切り替えられると共に、空調用制御弁83及び制御弁24の弁開度が全開となるように調整された状態で、圧縮機80の回転数が調整される。また、外ファン84が駆動されると共に、内ファン25の駆動は停止される。さらに、第1膨張弁33及び第2膨張弁34の弁開度は、バッテリ31の温度が最適温度範囲に入るように調整され、冷却器用制御弁43の弁開度は、冷却器42の出口側の過熱度に基づいて調整される。すなわち、空調停止モードでは、内ファン25が停止され、かつ、空調用制御弁83及び制御弁24が全開とされる以外は、冷房時の通常運転モードと同様の制御が行われるが、通常運転モードとは異なり、内ファン25が停止されているため車内の空調が行われないことになる。したがって、空調停止モードが実行されることで、車内の空調(冷房及び冷房等)を行わずに、バッテリ31の温調及び電装品41の冷却を行うことができる。なお、空調停止モードでは、主に、バッテリ用熱交換器32及び冷却器42において冷媒が蒸発するため、通常運転モードが実行されている場合と比較して、圧縮機80の回転数を低下させることができる。この結果、バッテリ31の電力消費を抑えることができる。
【0074】
(4)特徴
(4−1)
従来より、ハイブリッド車や電気自動車において、空調用冷凍サイクルを利用して走行用の電源となるバッテリの冷却を行う自動車用温調システムが提案されている。
【0075】
しかしながら、従来の自動車用温調システムには、単一の冷媒を用いて、車内の空調、バッテリの温調及び電装品の冷却をそれぞれ所望の温度で行うことができるものはなく、電装品を冷却するための専用の冷却装置(例えば、空冷であれば、ヒートシンクやファン、水冷であれば、冷却ジャケット、ラジエータ、ファン及びポンプを備える装置)を搭載する必要がある。この場合、コストアップになったり、また、搭載される冷凍装置の重量によっては、車全体の重量が大きくなることでバッテリの電力消費が増加してしまったりするという問題がある。一方で、特に電気自動車では、バッテリへの1度の充電で走行できる距離をなるべく長くするために、走行以外で消費される電力を抑えることが望まれている。
【0076】
そこで、本実施形態では、1つの冷媒回路12が、車内の空調を行うための空調用熱交換器21と、バッテリ31の温調を行うバッテリ用熱交換器32と、バッテリ31以外の電装品41の冷却を行う冷却器42とを含んでいる。このため、この冷媒回路12を備える温調装置11を車に搭載することで、単一の冷媒を用いて、車内の空調、バッテリ31の温調及び電装品41の冷却を行うことができる。したがって、従来のように、電装品を冷却するための冷却装置を別途搭載する場合と比較して、温調装置11の軽量化や小型化を図ることができる。
【0077】
これによって、車内の空調、電装品41の冷却及びバッテリ31の温調を行うことができ、かつ、バッテリ31の電力消費の増加を抑制することができている。
【0078】
また、空調用熱交換器21、バッテリ用熱交換器32及び冷却器42におけるそれぞれの熱交換量の制御が可能であるため、空調温度、バッテリ31の温調温度、及び、電装品41の冷却温度をそれぞれ異なる温度域に設定することができる。
【0079】
さらに、電気自動車では、ガソリン車のようにエンジンの排熱を車内暖房に利用することができないため、車内暖房時の熱源としてヒータ等が利用される場合があるが、本実施形態では、冷媒回路12に車内の空調を行うための空調用熱交換器21が設けられているため、ヒータを省略、或いは、ヒータを設けたとしてもそのサイズを小さくすることができる。
【0080】
(4−2)
本実施形態では、空調用熱交換器21、バッテリ用熱交換器32及び冷却器42のそれぞれの熱交換量が、主に、空調用制御弁83、バッテリ用制御弁33,34及び冷却器用制御弁43の弁開度が調整されることで、制御されている。このため、制御装置60は、空調用制御弁83、バッテリ用制御弁33,34及び冷却器用制御弁43の弁開度を調整する制御を行うことで、車内の空調、バッテリ31の温調及び電装品41の冷却を実行することができている。
【0081】
(4−3)
本実施形態では、圧縮機80がインジェクションポート80aを有しており、冷却器42において熱交換が行われ電装品41から放熱された冷媒がインジェクションポート80aを介して圧縮機80内の高圧空間に導かれる。このため、例えば、冷却器42において熱交換された冷媒が圧縮機80内の低圧空間に導かれる場合と比較して、圧縮機動力の増加を抑えることができている。
【0082】
また、暖房時には、冷却器42において電装品41から放熱された冷媒は、圧縮機80で圧縮された後に空調用熱交換器21に流れるため、電装品41の排熱を暖房に利用することができ、高効率化を期待することができる。
【0083】
さらに、本実施形態では、高圧液冷媒で電装品41を冷却し、冷却器42において冷媒圧力が低下しないようにして、冷却器42から圧縮機80内の高圧空間に冷媒が供給されることで、電装品41の熱負荷による圧縮機動力の増加を抑制することができている。
【0084】
(4−4)
モータやインバータ等の電装品41は熱負荷が大きいため、例えば、空調用熱交換器21を含む主冷媒回路13に冷却器42が設けられていると、冷房時には、電装品41を冷却することにより圧縮機80の負荷が大きくなり、バッテリ31の電力消費が増加してしまうという問題がある。また、電装品41の冷却温度が下がりすぎると、電装品41に結露が発生するおそれがある。
【0085】
一方で、バッテリ31以外の電装品41は、冷却温度がある程度高くてもその動作に問題が生じない場合が多い。
【0086】
そこで、本実施形態では、空調用熱交換器21を含む主冷媒回路13から分岐した第2分岐配管15に冷却器42が設けられている。また、第2分岐配管15の有する第1分岐管15a及び第2分岐管15bには、主冷媒回路13側から冷却器42側に向かう冷媒の流れのみを許容する第1逆止弁44及び第2逆止弁45がそれぞれ設けられている。このため、車内の冷房時及び暖房時のいずれの場合であっても冷却器42に高圧液冷媒を流すことができ、バッテリ31以外の電装品41を高温液冷媒で冷却することができる。したがって、電装品41が結露するおそれを低減することができている。
【0087】
また、本実施形態では、冷却器42が主冷媒回路13から分岐した第2分岐配管15に設けられており、第2分岐配管15の一端は圧縮機80のインジェクションポート80aに接続されている。このため、電装品41を冷却することによる冷房時の圧縮機80の負荷増加を抑えることができている。
【0088】
(4−5)
本実施形態では、空調用熱交換器21が、第1熱交換部22と、制御弁24を介して第1熱交換部22と接続される第2熱交換部23とを有している。このため、暖房時に制御弁24の弁開度が調整される制御が行われることで、第1熱交換部22を凝縮器として機能させ、第2熱交換部23を蒸発器として機能させることができるため、車内の暖房除湿を実行することができる。これにより、車窓が曇るおそれを低減することができる。また、暖房時に制御弁24の弁開度が調整されることで、暖房能力を向上させたり、除湿能力を向上させたりすることができる。このように、この自動車用温調システム10では、制御弁24の弁開度を調整する制御が行われることで、車内の温度だけでなく車内の湿度も調整することができる。すなわち、この自動車用温調システム10では、単一の冷媒を用いて、車内の温湿度、バッテリ31の温調温度、及び、電装品41の冷却温度を異なる温度(温湿度)域に設定することができる。
【0089】
(4−6)
本実施形態では、制御装置60により実行される各モードには、車内の空調、バッテリ31の温調及び電装品41の冷却が行われる通常運転モードの他に、電装品41が使用されていないときに実行される電装品不使用モードや、車内の空調が行われていないときに実行される空調停止モードが含まれる。このため、この自動車用温調システム10では、車内の空調(本実施形態では、冷暖房及び除湿)と同時に、或いは、車内の空調とは独立して、電装品41の冷却やバッテリ31の温調を行うことができる。また、この自動車用温調システム10では、各種センサの検知結果やユーザからの指令に応じて各モードが実行されるため、通常運転モードが常に行われている場合と比較して、バッテリ31の電力消費を抑えることができている。
【0090】
(4−7)
通常、バッテリ31は、使用可能な温度範囲が決まっており、また、放充電に適した温度が存在する。したがって、バッテリ31の温調については、精度の高い温度制御が必要となる。
【0091】
そこで、本実施形態では、他の電装品41を冷却する冷却器42とは別に、バッテリ31を冷却するためだけのバッテリ用熱交換器32が設けられている。また、バッテリ用制御弁33,34の有する第1膨張弁33及び第2膨張弁34は、バッテリ用熱交換器32を挟むように配置されている。このため、第1膨張弁33又は第2膨張弁34の弁開度を調整することで、バッテリ31の冷却温度を任意の温度に設定することができる。また、蒸発温度が一定であるため、バッテリ31を均一に冷却することができる。
【0092】
(5)変形例
(5−1)変形例A
上記実施形態では、冷却器42に流れる冷媒の流量を調整して冷却器42における熱交換量を制御するために、冷却器用制御弁43が用いられている。これに代えて、冷却器42に流れる冷媒の流量を調整可能なポンプが用いられてもよい。
【0093】
例えば、ポンプとして冷媒ポンプが用いられる場合について、図を用いて説明する。なお、本変形例の自動車用温調システムでは、冷媒回路112の構成として、図3に示すように、上記実施形態の冷却器用制御弁43の代わりに冷媒ポンプ143が用いられており、第2分岐配管15の第1分岐管15aの一端が圧縮機180の吐出部と四路切替弁81とを接続する吐出側冷媒配管13cに接続されていること以外は、上記実施形態と同様の構成である。なお、図3では、上記実施形態と同様の構成の機器については、上記実施形態の機器と同様の符号を付している。
【0094】
冷媒ポンプ143は、いわゆるブースタポンプで構成されており、吸い込んだ冷媒を昇圧して吐出するように構成されている。そして、図3に示すように、冷媒ポンプ143が第1分岐管15aに設けられている場合には、冷媒ポンプ143の出力を変更することで冷却器42における熱交換量を制御することができるため、電装品41の冷却能力を調整することができる。さらに、冷媒ポンプ143が用いられることで、冷却器42において熱交換が行われた冷媒を吐出側冷媒配管13cに流すことができるため、圧縮機のインジェクションポートが不要となる。また、電装品41を冷却した後の冷媒が、圧縮機内ではなく、吐出側冷媒配管13cに導かれるため、圧縮機動力が増加しないようにすることができる。
【0095】
(5−2)変形例B
上記実施形態では、冷却器42において熱交換を行った冷媒は、インジェクションポート80aを通じて圧縮機80内の高圧空間に吸入されている。
【0096】
これに代えて、冷却器において熱交換された冷媒が、圧縮機の吐出部と四路切替弁とを接続する吐出側冷媒配管に戻されてもよい。より詳しくは、吐出側冷媒配管が、冷却器において熱交換を行った高圧液冷媒を吐出側冷媒配管に流すためのエジェクタ部を有していてもよい。なお、以下に説明する本変形例の自動車用温調システムでは、冷媒回路212の構成として、図4に示すように、吐出側冷媒配管13cがエジェクタ部85を有しており、第2分岐配管15の一端がエジェクタ部85に接続されていること以外は、上記実施形態と同様の構成である。なお、図4及び図5では、上記実施形態と同様の構成の機器については、上記実施形態の機器と同様の符号を付している。
【0097】
エジェクタ部85は、図5に示すように、吐出側冷媒配管13cの内径が部分的に縮径された絞り部85aと、第2分岐配管15において冷却器42の出口側に接続された配管15aaを絞り部85aに接続するための接続部85bと、を含む。圧縮機280から吐出された冷媒の速度は、絞り部85aを通過する時に一時的に増大し、冷媒の圧力が低下する。このとき、絞り部85aでの冷媒の圧力低下によって、接続部85bから絞り部85aへ冷媒が吸入される。これにより、冷却器42において熱交換が行われた冷媒が吐出側冷媒配管13cに流入することになる。
【0098】
本変形例のように吐出側冷媒配管13cがエジェクタ部85を有していることで、圧縮機のインジェクションポートが不要となる。また、電装品41を冷却した後の冷媒が圧縮機内ではなく、吐出側冷媒配管13cに導かれるため、圧縮機動力が増加しないようにすることができる。
【0099】
(5−3)変形例C
上記実施形態の圧縮機80は、低段側圧縮機構で圧縮された冷媒を高段側圧縮機構でさらに圧縮する二段圧縮機ではないが、これに代えて、自動車用温調システムの備える冷媒回路に含まれる圧縮機が二段圧縮機であってもよい。以下に、二段圧縮機を含む冷媒回路を備える自動車用温調システムについて説明する。なお、以下に説明する本変形例の自動車用温調システムでは、冷媒回路の構成として、上記実施形態の圧縮機80の代わりに二段圧縮機が用いられており、第2分岐配管15の第1分岐管15aの一端が低圧側圧縮機構と高圧側圧縮機構との間に接続されていること以外は、上記実施形態と同様の構成である。また、二段圧縮機としては、例えば、2つの圧縮機構が単一の駆動軸に連結されており、この2つの圧縮機構がともに1つのモータによって回転駆動されるいわゆる一軸二段圧縮構造を備えるものや、図6に示す冷媒回路312のように、2つの独立した圧縮機380a,380bが直列に設けられたものがある。なお、図6では、上記実施形態と同様の構成の機器については、上記実施形態の機器と同様の符号を付している。
【0100】
なお、一軸二段圧縮構造を備える二段圧縮機であれば、冷却器において熱交換が行われた冷媒が、高段側圧縮機構の吸入側、すなわち、低段側圧縮機構と高段側圧縮機構との間の中間部に戻るように、第2分岐配管の一端が二段圧縮機に接続される。
【0101】
また、図6に示すように、2つの独立した圧縮機380a,380bが直列に設けられている場合には、低段側圧縮機構としての圧縮機380a及び高段側圧縮機構としての圧縮機380bの回転数を独立制御することで、冷媒の圧力を所定の中間圧にできるため、電装品41の発熱量に応じて冷媒温度を適切に制御することができる。
【0102】
このように、二段圧縮機が用いられることで、冷却器42において電装品41と熱交換を行った冷媒が、高段側圧縮機構の吸入側に流れるため、例えば、低段側圧縮機構の吸入側に流れる場合と比較して、圧縮機の負担を軽減することができる。
【0103】
(5−4)変形例D
上記実施形態では、冷却器42において熱交換を行った冷媒はインジェクションポート80aを通じて圧縮機80内の高圧空間に吸入されているが、これに代えて、図7に示すように、冷却器42において熱交換を行った冷媒が、圧縮機480の吸入部と四路切替弁81とを接続する吸入側冷媒配管13dに流れるように冷媒回路412が構成されていてもよい。なお、本変形例の自動車用温調システムでは、冷媒回路412の構成として、第2分岐配管15の一端が接続点Cにおいて吸入側冷媒配管13dに接続されており、冷却器用制御弁43が、上記実施形態のように第1分岐管15aにおいて接続点Bと冷却器42との間ではなく、第1分岐管15aにおいて冷却器42と接続点Cとの間に接続されていること以外は、上記実施形態と同様の構成である。なお、図7では、上記実施形態と同様の構成の機器については、上記実施形態の機器と同様の符号を付している。
【0104】
冷却器用制御弁43を冷却器42の出口側(下流側)に設けることで、冷却器42において熱交換を行った冷媒を減圧して吸入側冷媒配管13dに戻すことができる。そして、このような構成の冷媒回路412を備える自動車用温調システムにおいても、冷媒回路412に空調用熱交換器21、バッテリ用熱交換器32及び冷却器42がそれぞれ設けられているため、単一の冷媒を用いて、車内の空調、電装品41の冷却及びバッテリ31の温調を行うことができる。
【0105】
(5−5)変形例E
上記実施形態では、冷却器42が、空調用熱交換器21の設けられている主冷媒回路13から分岐した第2分岐配管15に設けられている。
【0106】
これに代えて、冷却器が、主冷媒回路に設けられていてもよい。具体的には、図8に示すように、主冷媒回路513において外気用熱交換器82と空調用制御弁83とを接続する第1冷媒配管513aに、冷却器用制御弁43及び冷却器42が設けられている。なお、図8では、上記実施形態と同様の構成の機器については、上記実施形態の機器と同様の符号を付している。また、冷却器用制御弁43の代わりにキャピラリが設けられていてもよい。
【0107】
また、この場合、図8に示すように、空調用制御弁83と第1熱交換部22とが配管13baで接続されており、配管13baの途中から分岐した配管13bbに制御弁24を介して第2熱交換部23が配置される。このような構成の冷媒回路512を備える自動車用温調システムにおいても、冷媒回路512に空調用熱交換器21、バッテリ用熱交換器32及び冷却器42がそれぞれ設けられているため、単一の冷媒を用いて、車内の空調、電装品41の冷却及びバッテリ31の温調を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0108】
本発明は、車内の空調、電装品の冷却及びバッテリの温調を行うことができ、かつ、バッテリの電力消費の増加を抑制することができる自動車用温調システムに係る発明であり、ハイブリッド車や電気自動車等のバッテリを電力源として走行する車への適用が有効である。
【符号の説明】
【0109】
10 自動車用温調システム
13a 第1冷媒配管
13c 吐出側冷媒配管
13e 冷媒配管(第2冷媒配管)
15a 第1分岐管(第2冷却器用冷媒配管)
15b 第2分岐管(第1冷却器用冷媒配管)
21 空調用熱交換器
22 第1熱交換部
23 第2熱交換部
24 制御弁(膨張機構)
31 バッテリ
32 バッテリ用熱交換器
33 第1膨張弁/バッテリ用制御弁
34 第2膨張弁/バッテリ用制御弁
41 電装品
42 冷却器
43 冷却器用制御弁
44 第1逆止弁
45 第2逆止弁
60 制御装置
61 実行部
80 圧縮機
80a インジェクションポート(供給部)
81 四路切替弁
82 外気用熱交換器
83 空調用制御弁
85 エジェクタ部
143 冷媒ポンプ(ポンプ)
380a 圧縮機(低段側圧縮機構)
380b 圧縮機(高段側圧縮機構)
12,112,212,312 冷媒回路
【先行技術文献】
【特許文献】
【0110】
【特許文献1】特開平11−337193号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機(80)と、四路切替弁(81)と、車内を空調するための空調用熱交換器(21)と、バッテリ(31)の温調を行うバッテリ用熱交換器(32)と、電装品(41)を冷却する冷却器(42)と、を含む冷媒回路(12,112,212,312)と、
前記空調用熱交換器、前記バッテリ用熱交換器、及び、前記冷却器におけるそれぞれの熱交換量を制御可能な制御装置(60)と、
を備える自動車用温調システム(10)。
【請求項2】
前記冷媒回路(12,212,312)は、
主として前記空調用熱交換器における熱交換量を制御するための空調用制御弁(83)と、
前記バッテリ用熱交換器における熱交換量を制御するためのバッテリ用制御弁(33,34)と、
前記冷却器における熱交換量を制御するための冷却器用制御弁(43)と、
を含む、
請求項1に記載の自動車用温調システム。
【請求項3】
前記圧縮機は、前記冷却器で熱交換された冷媒を前記圧縮機内の高圧空間に導くための供給部(80a)を含む、
請求項1又は2に記載の自動車用温調システム。
【請求項4】
前記冷媒回路(112)は、
主として前記空調用熱交換器における熱交換量を制御するための空調用制御弁(83)と、
前記バッテリ用熱交換器における熱交換量を制御するためのバッテリ用制御弁(33,34)と、
前記冷却器における熱交換量を制御するためのポンプ(143)と、
を含む、
請求項1に記載の自動車用温調システム。
【請求項5】
前記圧縮機は、低段側圧縮機構(380a)で圧縮された冷媒を高段側圧縮機構(380b)でさらに圧縮する二段圧縮機であり、
前記冷却器において熱交換を行った高圧液冷媒は、前記高段側圧縮機構の吸入側に流れる、
請求項1又は2に記載の自動車用温調システム。
【請求項6】
前記冷媒回路(212)は、前記圧縮機の吐出部と前記四路切替弁とを接続する吐出側冷媒配管(13c)を含み、
前記吐出側冷媒配管は、前記冷却器において熱交換を行った高圧液冷媒を前記吐出側冷媒配管に流すためのエジェクタ部(85)を有する、
請求項1又は2に記載の自動車用温調システム。
【請求項7】
前記冷媒回路は、外気と熱交換を行う外気用熱交換器(82)と、主として前記空調用熱交換器における熱交換量を制御するための空調用制御弁(83)と、前記外気用熱交換器と前記空調用制御弁とを接続する第1冷媒配管(13a)と、前記空調用制御弁と前記空調用熱交換器とを接続する第2冷媒配管(13e)と、前記第1冷媒配管から分岐しており前記第1冷媒配管を流れる冷媒を前記冷却器に流すための第1冷却器用冷媒配管(15b)と、前記第2冷媒配管から分岐しており前記第2冷媒配管を流れる冷媒を前記冷却器に流すための第2冷却器用冷媒配管(15a)と、を含み、
前記第1冷却器用冷媒配管には、前記冷却器側から前記第1冷媒配管側への冷媒の流れを阻止する第1逆止弁(44)が設けられており、
前記第2冷却器用冷媒配管には、前記冷却器側から前記第2冷媒配管側への冷媒の流れを阻止する第2逆止弁(45)が設けられている、
請求項1から6のいずれか1項に記載の自動車用温調システム。
【請求項8】
前記空調用熱交換器は、第1熱交換部(22)と、膨張機構(24)を介して前記第1熱交換部と接続される第2熱交換部(23)と、を含む、
請求項1から7のいずれか1項に記載の自動車用温調システム。
【請求項9】
前記制御装置は、
前記車内の空調及び前記バッテリの温調が行われ、かつ、前記電装品の冷却が行われない電装品不使用モードと、
前記バッテリの温調及び前記電装品の冷却が行われ、かつ、前記車内の空調が行われない空調停止モードと、
を実行可能な実行部(61)を有する、
請求項1から8のいずれか1項に記載の自動車用温調システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−60036(P2013−60036A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−198092(P2011−198092)
【出願日】平成23年9月12日(2011.9.12)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】