説明

自動車用盗難防止装置

【課題】大きさの限られたトランク内の収納スペースを占有することなく自動車が盗難されてしまう不都合を未然に防止することができる自動車用盗難防止装置を提供する。
【解決手段】自動車の屋根、若しくは、当該屋根に設けられるキャリアに固定可能とされた収納具と、該収納具内に納出自在に収納された遮光性の覆い具と、この覆い具に設けられ、自動車の車体に係脱自在に係合可能とされ、且つ、当該係合状態を施錠可能とされた係合部とを備える。収納具内から引き出された覆い具は、係合部が車体に係合された状態で自動車の前面ガラスを覆う。係合部が施錠された状態で収納具、覆い具、又は、係合部のうちの何れかが破損した場合、或いは、収納具が屋根、又は、キャリアから取り外された場合、若しくは、係合部が車体から外された場合、警報を発する警報装置を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の前面を覆って前方視野を視認できなくすることにより、自動車の運転を阻害して盗難抑止効果を向上させた自動車用盗難防止装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より自動車の盗難防止、特に高級乗用車の盗難防止装置が開発されているが、一般的な自動車用盗難防止装置としてステアリングコラムを機械的にロックしたり、ステアリングホイールを回転不能にロックするステアリングホイールロック装置などが知られている。また、自動車のドアに鍵が掛かっている状態で、当該自動車の鍵を使用せずにドアが開けられると警報を発して盗難を防止する自動車用盗難防止装置などが知られている。
【0003】
該自動車用盗難防止装置の具体的なものとしては、タイヤの回転中心から3方向に放射する鋼鉄製の爪が設けられた鋼鉄製の板を延在させる。この板は、タイヤ径の大きさに合わせて伸縮自在に固定可能に設けられると共に、先端に設けられたタイヤを保持するための爪でタイヤの幅方向とタイヤの周囲3方向を保持し、自動車用盗難防止装置板が外されないように3方向に放射する鋼鉄製の板を施錠していた。
【0004】
この自動車用盗難防止装置は、タイヤの回転軸の中心から3方向に放射する鋼鉄製の板端部が略直角に折れ曲がって、側面コ字形状の鋼鉄製の爪が設けられている。この側面コ字形状の爪は、自動車用盗難防止装置がタイヤの外側から引き抜かれて外れないように、タイヤの内側に爪を入り込ませると共にタイヤ周囲を保持している。これにより、タイヤ径の異なる自動車においても、自動車の盗難防止ができるように構成していた(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−112601号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、タイヤの回転軸の中心から3方向に放射する鋼鉄製の板端部が略直角に折れ曲がって側面コ字形状の鋼鉄製の爪が設けられ、この爪によってタイヤの幅方向とタイヤの周囲を保持できるように構成されていた。この鋼鉄製の自動車用盗難防止装置は重量が重く、また、爪が側面コ字形状に形成されていたため、タイヤの幅より広くなってしまう。このため、持ち運びが困難であると共に、大きさの限られたトランク内の収納スペースを大きく占有してしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、係る従来技術の課題を解決するために成されたものであり、大きさの限られたトランク内の収納スペースを占有することなく自動車が盗難されてしまう不都合をを未然に防止することができる自動車用盗難防止装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
即ち、本発明の自動車用盗難防止装置は、自動車の屋根、若しくは、当該屋根に設けられるキャリアに固定可能とされた収納具と、該収納具内に納出自在に収納された遮光性の覆い具と、この覆い具に設けられ、自動車の車体に係脱自在に係合可能とされ、且つ、当該係合状態を施錠可能とされた係合部とを備え、収納具内から引き出された覆い具は、係合部が車体に係合された状態で自動車の前面ガラスを覆うと共に、係合部が施錠された状態で収納具、覆い具、又は、係合部のうちの何れかが破損した場合、或いは、収納具が屋根、又は、キャリアから取り外された場合、若しくは、係合部が車体から外された場合、警報を発する警報装置を設けたことを特徴とする。
【0008】
また、請求項2の発明の自動車用盗難防止装置は、上記において、収納具から引き出された前面ガラス側となる覆い具の面及びその反対側となる面に、文字及び/又は画像を表示可能なディスプレーを設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、自動車の屋根、若しくは、当該屋根に設けられるキャリアに固定可能とされた収納具と、該収納具内に納出自在に収納された遮光性の覆い具と、この覆い具に設けられ、自動車の車体に係脱自在に係合可能とされ、且つ、当該係合状態を施錠可能とされた係合部とを備え、収納具内から引き出された覆い具は、係合部が車体に係合された状態で自動車の前面ガラスを覆うと共に、係合部が施錠された状態で収納具、覆い具、又は、係合部のうちの何れかが破損した場合、或いは、収納具が屋根、又は、キャリアから取り外された場合、若しくは、係合部が車体から外された場合、警報を発する警報装置を設けたので、運転席からの前方視野を妨げることが可能となる。これにより、例えば、自動車内に侵入し、エンジンを始動して盗もうとしても、遮光性の覆い具により運転席から前方視野が確保されず、前方の視認が不可能となる。従って、覆い具により前方視認が不可能となるので運転操作ができなくなり、自動車の盗難事故を未然に防止することができるようになるものである。
【0010】
また、覆い具は自動車の屋根、若しくは、当該屋根に設けられるキャリアに固定された収納具内に設けているので、大きさが限られたトランク内の収納スペースを占有せず、自動車内の空間が狭くなるようなこともない。これにより、自動車内の空間も狭くならず、然も、大きさの限られたトランク内の収納スペースを有効に利用することが可能となる。
【0011】
特に、係合部が施錠された状態で収納具、覆い具、又は、係合部のうちの何れかが破損した場合、或いは、収納具が屋根、又は、キャリアから取り外された場合、若しくは、係合部が車体から外された場合、警報を発する警報装置を設けたので、例えば自動車を盗もうとして故意に覆い具が外されたり、破られたりした場合には、警報装置としての回転赤色灯の点灯や、警報装置から警報音を発するなどの報知を行うことができる。これにより、自動車が盗難事故に遭う以前に周囲に異常を報知させることが可能となる。従って、自動車が盗難事故に遭ってしまうなどという不都合を確実に防止することができるようになるものである。
【0012】
また、請求項2の発明によれば、上記において、収納具から引き出された前面ガラス側となる覆い具の面及びその反対側となる面に、文字及び/又は画像を表示可能なディスプレーを設けたので、係合部が施錠された状態で収納具、覆い具、又は、係合部のうちの何れかが破損した場合、或いは、収納具が屋根、又は、キャリアから取り外された場合、若しくは、係合部が車体から外された場合、ディスプレーの車外面に盗難などといった警報文字を点滅させながら表示させることができる。これにより、自動車が盗難に遭う以前にディスプレーから車外に向けて警報を発することができ、自動車用盗難防止装置の利便性を大幅に向上させることができる。
【0013】
特に、覆い具は自動車の前面ガラス側にディスプレーを設けているので、車内でテレビ、ビデオ、カラオケ、ゲームなどを楽しむことができる。これにより、キャンプなど家族や友人の絆を一層盛り上げることが可能となる。従って、自動車用盗難防止装置の利便性を一層向上させることができるようになるものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施例としての自動車用盗難防止装置を載置した自動車の側面図である。
【図2】本発明の自動車用盗難防止装置を構成する覆い具で、自動車の前面ガラスを覆う状態を示す展開図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明は、自動車の盗難を防止するため、自動車の前方視野を視認不可能にすることにより、自動車の運転を阻害することを最も主要な特徴とする。前方視野を視認不可能にして自動車の運転を阻害するという目的を、覆い具で自動車の前面ガラスを覆うだけの簡単な構成で実現した。
【実施例1】
【0016】
次に、図面に基づき本発明の実施の形態を詳述する。図1は本発明の一実施例としての自動車用盗難防止装置10を載置した自動車40の側面図、図2は本発明の自動車用盗難防止装置10を構成する覆い具で、自動車40の前面ガラス48を覆う状態を示す展開図をそれぞれ示している。
【0017】
以下、本実施形態における自動車盗難防止装置の構成について図1乃至図2を参照して説明する。尚、自動車用盗難防止装置10は主に自動車40(普通乗用車)に用いられるものとする。図1は本実施形態における自動車用盗難防止装置10を自動車40の屋根に載置した状態を示したもので、図中10は自動車用盗難防止装置、40は自動車、46は予め自動車40の屋根44上にボルト(図示せず)で固定されたキャリアである。該キャリア46は、予め自動車40の一部として屋根44に一体に設けられているものであっても差し支えない。
【0018】
自動車用盗難防止装置10は、自動車40の屋根44に設けられているキャリア46に図示しないボルトで固定された収納具12と、この収納具12内に納出自在に収納された覆い具14(図2に図示)とから構成されている。この覆い具14は、収納具12の前面ガラス48側から当該収納具12内に納出自在に収納されている。尚、収納具12の下面に予めキャリア46同等の取付具(図示せず)を固定しておき、この取付具をキャリア46同様に自動車40の屋根にボルトで固定しても差し支えない。これにより、キャリアを格別に手配しなくても、自動車40の屋根に収納具12を容易に取り付け固定することができる。
【0019】
該収納具12は、合成樹脂板、アルミニウム板、或いは、ステンレス板などにて薄い箱状を呈している。この収納具12の上面に太陽の光で発電可能な太陽電池パネル60が設けられている。該太陽電池パネル60は、図示しない蓄電池に配線接続されると共に、当該蓄電池に充電可能に構成されている。
【0020】
前記覆い具14は、自動車40の前面ガラス48全体面を覆うことができる大きさを呈している。該覆い具14は、前面ガラス48面に沿って湾曲形成され、これによって覆い具14全体を前面ガラス48面に略密着して覆えるように構成されている。該覆い具14は2段重ねに構成されており、1段目は前面ガラス48の約上半分、2段目は前面ガラス48の約下半分を覆えるように構成されている。
【0021】
この覆い具14は、雨風に強い耐候性、遮光性の合成繊維材(光を透過させない素材)にて構成されており内部には導通材(電線や針金、或いは、カーボン繊維など)にて構成された導線が埋設されると共に、導通材(導線)に非接触に容易に破損しない強度を有した、薄い板状の鋼製テープや鋼線(細い針金)が埋設されている。また、鋼製テープは、複数の鋼線を縦横に交差するように配置したメッシュ状のもの、或いは、メッシュ状の鋼線を覆い具14全体面に設けても差し支えない。これによって、覆い具14は、容易に破損しない強度に構成されている。
【0022】
そして、収納具12から覆い具14を引き出す際は、1段目と2段目が同時に引き出される。この時、1段目の覆い具14の後端部は収納具12内に残り、当該収納具12に強固に連結され、収納具12から外れないようになっている。そして、前面ガラス48の約上半分が覆い具14の1段目で覆われた状態で、当該1段目に重ねられた2段目が引き出されて前面ガラス48の約下半分を覆えるようになっている。
【0023】
この場合も、2段目の覆い具14の後端部は、1段目の収納具12の先端と重なり、当該1段目と2段目の収納具12が強固に連結されて外れないようになっている。これにより、異なる自動車40前面に設けられた、大きさの異なる前面ガラスを覆い具14で覆うことができるように構成されている。即ち、収納具12から連続して自動車40の前面ガラス48全体が収納具12で覆われることになる。
【0024】
この覆い具14で、自動車40の大きい前面ガラス48を覆った場合、覆い具14の下方に僅かな隙間ができるものの、覆い具14により運転席からの前方視野を殆ど妨げることができるので、自動車40の運転操作が容易に行えなくなる。この場合、異なる自動車40の前面に設けられた、大きさの異なる前面ガラスであっても、運転席からは殆ど前方を視認することができなくなる。これにより、自動車40の盗難を確実に防止することができるように構成されている。
【0025】
また、覆い具14には係合部18を備えており、この係合部18は、容易に破損しない鋼鉄製のワイヤにて構成されている。この係合部18は、収納具12から覆い具14周囲に渡って設けられ、自動車40の車体42に係脱自在に係合可能、且つ、係合状態を施錠装置としての鍵20(図2の(4)に図示)にて施錠可能に構成されている。該係合部18には、図示しないが鍵20で施錠できるようにループ、或いは、角孔や丸孔などの施錠部が設けられている。尚、係合部18は、説明の都合上図2の(4)のみ図示。
【0026】
ここで、車体42としては、両側のサイドミラー52、及び、前面ガラス48前に設けられたワイパー50の回転軸近傍などがある。そして、覆い具14に設けた係合部18をそれらの車体42(両側のサイドミラー52、ワイパー50の回転軸近傍)に対応させて設ける。以降、両側のサイドミラー52、ワイパー50の回転軸近傍などを車体42と称す。
【0027】
そして、前記収納具12から覆い具14が引き出されて、当該覆い具14で自動車40の前面ガラス48が覆われた状態で、係合部18が車体42に係合される。詳しくは、覆い具14に設けられた係合部18が車体42に外れないように引っ掛けられると共に、車体の係合部分(両側のサイドミラー52、ワイパー50の回転軸近傍)に捲回されることにより係合される。そして、係合部18が車体42係合された状態で、係合部18の施錠部が鍵20にて施錠される(図2の(4)に図示)。
【0028】
即ち、覆い具14によって自動車40の前面ガラス48が覆われ、覆い具14周囲に設けられた係合部18が車体42に係合された状態で、当該係合部18の施錠部が鍵20にて施錠されることにより、覆い具14が容易に外されないように構成されている。
【0029】
一方、自動車40の屋根44には警報装置56が備えられている。この警報装置56は、警報音を発するものや赤色回転灯を作動させるものを自動車40の周囲から視認できる位置に設ける。これにより、自動車の盗難防止効果を向上させることができる。尚、説明の都合上警報装置56(赤色回転灯)を自動車40の屋根44に設けているが、警報音を発する警報音装置を自動車40の屋根44に設けても差し支えない。また、警報装置56は自動車40の屋根44に限られず、自動車40内に設けても差し支えない。
【0030】
該警報装置56としては、警報音を発するもの、回転赤色灯や赤や橙の電球(LED電球を含む)を点灯するもの、或いは、無線で自動車40の所有者、警備会社などに送信するものなど何れの警報装置56を用いても差し支えない。この警報装置56は、前記太陽電池パネル60に接続された蓄電池に接続されると共に、鍵20が施錠された状態で、自動車用盗難防止装置10が破損した場合、或いは、外された場合に警報を発するように構成されている。
【0031】
詳しくは、覆い具14は、係合部18が車体42から外れないように引っ掛けられて係合され、係合部18の施錠部鍵20にて施錠された状態で、収納具12、覆い具14、又は、係合部18のうちの何れかが破損した場合、或いは、収納具12が屋根44、又は、キャリア46から取り外された場合、若しくは、係合部18が車体42から外された場合に警報装置56から警報を発するように構成されている。
【0032】
また、自動車用盗難防止装置10には、図示しないがマイクロコンピュータからなる制御装置を備えている。そして、係合部18が車体42に係合されて鍵20で施錠された状態で、収納具12、覆い具14、係合部18、屋根44、キャリア46、車体42、及び、鍵20などはそれぞれ並列、又は、直列に電気的に導通されている。そして、制御装置はそれらに微弱電力を通電し、それらの一箇所、若しくは、一部の通電が遮断された場合、警報装置56を制御して警報を発するように構成されている。
【0033】
即ち、係合部18が車体42に係合されて鍵20で施錠された状態で、収納具12、覆い具14、又は、係合部18のうちの何れかが破損して通電が遮断された場合、或いは、収納具12が屋根44、又は、キャリア46から取り外された場合、若しくは、係合部18が車体42から外されて通電が遮断された場合、制御装置は警報装置56を制御して警報を発する。
【0034】
また、自動車用盗難防止装置10の一部又は全体が故意に外されたり破られたりした場合に、制御装置は警報装置56から警報を発する。尚、自動車用盗難防止装置10と車体42間、及び、収納具12、覆い具14、係合部18、鍵20などに通電する技術については、既に周知の技術であるため詳細な説明を省略する。また、それらの通電が遮断された場合、制御装置が警報装置56を制御して警報を発す技術についても既に周知の技術であるため詳細な説明を省略する。
【0035】
また、自動車用盗難防止装置10が外されたり破損した場合の検出に静電容量スイッチを用いても差し支えない。この場合、係合部18が車体42に係合して鍵20で施錠された状態で、収納具12、覆い具14、係合部18、屋根44、キャリア46、車体42、及び、鍵20などはそれぞれ並列、又は、直列に静電気的に導通するように構成されている。
【0036】
そして、制御装置は、係合部18が車体42に係合し、施錠された状態で収納具12、覆い具14、又は、係合部18のうちの何れかが破損した場合、或いは、収納具12が屋根44、又は、キャリア46から取り外された場合、若しくは、係合部18が車体42から外された場合、静電容量の変化を検出して警報装置56を制御して警報を発する。該係合部18が車体42から外された場合を詳しく説明すると、例えば、ワイパー50自体やサイドミラー52自体が破壊されて、施錠されたまま係合部18が取り外された場合である。即ち、自動車用盗難防止装置10の一部又は全体が故意に外されたり破られたりした場合に、制御装置は警報装置56から警報を発する。
【0037】
他方、覆い具14には文字及び/又は画像を表示可能なディスプレー58を設けている。詳しくは、覆い具14が収納具12具から引き出されて、自動車40の前面ガラス48を覆った状態で、当該覆い具14の前面ガラス48側となる面(車内側の面)及びその反対側となる面(車外面)に、文字及び/又は画像を表示可能なディスプレー58を設けている。即ち、ディスプレー58は、2段目の覆い具14の両面(自動車40の車内側の面と車外側の面)に設けられている。
【0038】
該ディスプレー58は、液晶テレビ或いは湾曲可能な有機ELテレビに用いられるものが使用される。特に、湾曲可能な有機ELテレビ用のディスプレー58を覆い具14に取り付けることで、当該覆い具14全体を前面ガラス48面に略密着して覆うことができる。これにより、自動車40を運転する際、運転席からの前方視野を殆ど妨げることができるので、自動車40の運転ができなくなって、自動車40の盗難を確実に防止することができる。尚、覆い具14は、遮光性の合成繊維材にて構成されているので、覆い具14のどちらかの一面に設けられた有機ELテレビ用のディスプレー58に映し出された画像が裏面に映し出されることがない。
【0039】
また、ディスプレー58を1段目の覆い具14の両面に設けても差し支えない。また、2段目と、1段目の覆い具14の両面にディスプレー58を設け、1段目と2段目のディスプレー58を組み合わせて全体で画像を一体的に見えるようにしても差し支えない。また、テレビチューナー、ビデオ機器、カラオケ機器、ゲーム機器などを接続すれば、それらの映像を映し出し、楽しむことができる。尚、1段目と、2段目のディスプレー58を組み合わせて全体で画像を一体的に見えるようにする技術、テレビチューナー、ビデオ機器、カラオケ機器、ゲーム機器などを接続して、ディスプレー58に映し出す技術は、既に周知の技術であるため詳細な説明は省略する。
【0040】
以上の構成で、次に図2を参照して自動車用盗難防止装置10の使用例を説明する。尚、収納具12には、図示しないが覆い具14が収納された状態で自動車40の前面ガラス48側に扉が設けられており、この扉が閉じられて施錠されているものとする。また、収納具12の扉の鍵と、覆い具14に設けた係合部18を係合する鍵は同一の鍵20で施錠、解錠できるように構成されている。
【0041】
先ず、自動車用盗難防止装置10が自動車40の屋根44に取り付けられた状態で、収納具12の扉が鍵20で解錠される(1)。次に、収納具12内から覆い具14が前面ガラス48側に引き出される(2)。この時、覆い具14は収納具12と略平行に引き出す(白抜き矢印方向)。そして、引き出された覆い具14先端を下方(実線矢印方向)に下げて、前面ガラス48を覆う(3)。これによって、自動車40の前面ガラス48全体面が覆い具14にて覆われる。
【0042】
次に、係合部18を車体42に係合し、鍵20で施錠する。この鍵20は、両側のサイドミラー52、ワイパー50の回転軸近傍などに係合した係合部18をそれぞれ施錠するようにしても、係合部18を両側のサイドミラー52、ワイパー50の回転軸近傍などにループ状に引っ掛け、一箇所を鍵20で施錠しても差し支えない。
【0043】
このように、自動車40の屋根44、若しくは、当該屋根44に設けられるキャリア46に固定可能とされた収納具12と、この収納具12内に納出自在に収納された遮光性の覆い具14と、この覆い具14に設けられ、自動車40の車体42に係脱自在に係合可能とされ、且つ、当該係合状態を施錠可能とされた係合部18とを備え、自動車40の屋根44、若しくは、キャリア46に固定された収納具12から覆い具14を引き出し、係合部18を車体42に係合した状態で、覆い具14は自動車40の前面ガラス48を覆うので、運転席からの前方視野を妨げることが可能となる。これにより、例えば、自動車40内に侵入し、エンジンを始動して盗もうとしても、遮光性の材料からなる覆い具14により運転席から前方視野が確保されず、前方を視認することができない。また、覆い具14により運転操作ができなくなるので自動車40の盗難事故を未然に防止することができるようになる。
【0044】
特に、覆い具14は自動車40の屋根44、若しくは、当該屋根44に設けられるキャリア46に固定された収納具12内に設けているので、大きさの限られたトランク内の収納スペースを占有せず、自動車40内の空間が狭くなるようなこともない。これにより、自動車40内の空間も狭くならず、然も、大きさの限られたトランク内の収納スペースを有効に利用することが可能となる。
【0045】
また、係合部18が車体42に係合し、施錠された状態で収納具12、覆い具14、又は、係合部18のうちの何れかが破損した場合(具体的には、収納具12自体の破壊、覆い具14自体の切断、係合部18自体(施錠装置(鍵20)を含む)の破壊)、或いは、収納具12が屋根44、又は、キャリア46から取り外された場合、若しくは、係合部18が車体42から外された場合、警報を発する警報装置56を備えたので、例えば故意に覆い具14が外されたり、破られたりした場合には、警報装置56を動作させることができる。これにより、自動車40が盗難事故に遭う以前に周囲に異常を報知させることが可能となる。従って、自動車40が盗難に遭ってしまうなどの不都合を確実に防止することができるようになる。
【0046】
また、自動車用盗難防止装置10に、太陽電池パネル60と蓄電池を設け、その電力で警報装置56を動作させるようにしているので、既に車載されている蓄電池の電力を使用しなくても済む。これにより、省エネルギーに寄与することができ、自動車用盗難防止装置10の利便性を更に向上させることができる。
【0047】
また、収納具12から引き出された前面ガラス48側となる覆い具14の面及びその反対側となる面に、文字及び/又は画像を表示可能なディスプレー58を設けたので、係合部18が施錠された状態で収納具12、覆い具14、又は、係合部18のうちの何れかが破損した場合、或いは、収納具12が自動車40の屋根44、又は、キャリア46から取り外された場合、若しくは、係合部18が車体42から外された場合、ディスプレー58の車外面に盗難などといった警報文字を点滅させながら表示させることができる。これにより、自動車40が盗難に遭う以前にディスプレー58から車外に向けて警報を発することができ、自動車用盗難防止装置10の利便性を大幅に向上させることができる。
【0048】
特に、覆い具は自動車の前面ガラス側にディスプレーを設けているので、車内でテレビ、ビデオ、カラオケ、ゲームなどを楽しむことができる。これにより、キャンプなど家族や友人の絆を一層盛り上げることが可能となる。従って、自動車用盗難防止装置の利便性を一層向上させることができる。
【0049】
尚、実施形態では自動車用盗難防止装置10は、自動車40として普通乗用車の盗難防止として説明したが、自動車用盗難防止装置10は普通乗用車の盗難防止に限られず、軽乗用車や大型乗用車、或いは、ワゴン乗用車やバン、或いは、バスやトラックなどの盗難防止に用いても、本発明は有効である。
【0050】
また、係合部18を係合する車体42として、両側のサイドミラー52、ワイパー50の回転軸近傍としたが、係合部18を係合する車体42はこれに限らず、ボンネットの縁や前面ガラス48周囲に格別な引っ掛け部(図示せず)を設け、その格別な引っ掛け部に係合部18を係合しても差し支えない。これにより、覆い具14に設けた係合部18を係合する数が多くなるので、覆い具14が浮いて前面ガラス48との間に隙間ができて、前方が見えてしまうなどといった不都合を確実に防止することができる。
【0051】
また、実施形態では自動車用盗難防止装置10の形状や取り付け構造を説明したが、自動車用盗難防止装置10の要旨を逸脱しない範囲内で収納具12の配置や、覆い具14の形状、鍵20位置などを変更しても差し支えない。また、両側のサイドミラー52、ワイパー50の回転軸近傍、前面ガラス48周囲に設けられた格別な引っ掛け部などに係合部18を係合したが、覆い具14が取り外せず、尚且つ、覆い具14を容易に鍵20で施錠できれば、他の車体42の部分であっても良いのは言うまでもない。勿論本発明は、上記実施例のみに限定されるものではなく、この発明の趣旨を逸脱しない範囲で他の様々な変更を行っても本発明は有効である。
【符号の説明】
【0052】
10 自動車用盗難防止装置
12 収納具
14 覆い具
18 係合部
20 鍵
40 自動車
42 車体
44 屋根
46 キャリア
48 前面ガラス
50 ワイパー
52 サイドミラー
56 警報装置
58 ディスプレー
60 太陽電池パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の屋根、若しくは、当該屋根に設けられるキャリアに固定可能とされた収納具と、
該収納具内に納出自在に収納された遮光性の覆い具と、この覆い具に設けられ、前記自動車の車体に係脱自在に係合可能とされ、且つ、当該係合状態を施錠可能とされた係合部とを備え、
前記収納具内から引き出された覆い具は、前記係合部が前記車体に係合された状態で前記自動車の前面ガラスを覆うと共に、
前記係合部が施錠された状態で前記収納具、前記覆い具、又は、前記係合部のうちの何れかが破損した場合、或いは、前記収納具が前記屋根、又は、前記キャリアから取り外された場合、若しくは、前記係合部が前記車体から外された場合、警報を発する警報装置を設けたことを特徴とする自動車用盗難防止装置。
【請求項2】
前記収納具から引き出された前記前面ガラス側となる前記覆い具の面及びその反対側となる面に、文字及び/又は画像を表示可能なディスプレーを設けたことを特徴とする請求項1に記載の自動車用盗難防止装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−81801(P2012−81801A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−227591(P2010−227591)
【出願日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(502451063)
【Fターム(参考)】