説明

自動車用網戸

【課題】着脱が容易で、雨風や虫の侵入を防止することができる自動車用網戸を提供する。
【解決手段】ドア2と、このドア2に設けられた窓枠3と、この窓枠3の上辺部14の車内側に設けられドア2の閉鎖時に車体ボディ1と該ドア2とを水密状態に保持するドア側ウエザーストリッパ15とを備えた自動車に取付可能な網戸31であって、網戸31と窓枠3の上辺部14とを接合する接合手段が設けられ、接合手段は枠体32の網上辺部34に設けた差込み片45からなり、差込み片45を窓枠3とドア側ウエザーストリッパ15との間に差込保持し、ドア2の閉鎖時に枠体32の網上辺部34がドア側ウエザーストリッパ15にて圧着保持されるから、ドア閉鎖時における保持強度が向上すると共に、従来構造のように網戸の枠体を経由した雨水などの浸入を防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のドアの窓枠に取り付ける自動車用網戸に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のものとして、網材と、この網材の周縁に固定された枠材とからなる自動車用の網戸において、前記枠材は自動車の窓枠内面に付着できる永久磁石を有し、この永久磁石を、扉の窓枠の内面と車両の扉開口部のゴムパッキンとの間に挟着保持する自動車用の網戸(例えば特許文献1)が提案されている。
【0003】
また、自動車のドアに取付可能となされた網戸であって、ドアの窓枠に略合致する大きさの枠体と、枠体に設けられる網本体とを具備し、枠体の下辺部には、窓枠の下辺窓出没部に差し込まれる差込み片が設けられ、枠体の上辺部には、枠体と窓枠の上辺車内部とを接合するマグネットシートが設けられ、窓枠の下辺窓出没部に車内側から差込み片を差し込み、マグネットシートによって窓枠の上辺車内部と枠体の上辺部とを接合することで、枠体が窓枠に取り付けられる網戸(例えば特許文献2)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭60−38819号公報
【特許文献2】特開2000−301942号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1の網戸では、永久磁石を扉の窓枠の内面と車両の扉開口部のゴムパッキンとの間に挟むため、扉の窓枠の内面とゴムパッキンとの間に隙間が発生し、この隙間から雨風や虫が侵入する虞があった。
【0006】
また、特許文献2の網戸でも、その上部においては、マグネットシートを枠体と窓枠の上辺車内部との間に挟むため、枠体と窓枠の上辺車内部との間に隙間が生じ、この隙間から雨風や虫が侵入する虞があり、さらに、その下部においては、単に窓枠の下辺窓出没部に差込み片を差し込んで取り付けるため、窓ガラスの開閉時に窓ガラスが上昇すると、差込み片が下辺窓出没部から外れる問題があり、窓を開閉して風通しの調整を行うことができなかった。
【0007】
そこで、本発明は、上記課題を解決するものであり、着脱が容易で、雨風や虫の侵入を防止することができる自動車用網戸を提供することを目的とし、加えて取付状態で窓ガラスを開閉することができる自動車用網戸を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、ドアと、このドアに設けられた窓枠と、この窓枠の上辺部車内側に設けられ前記ドアの閉鎖時に自動車本体と該ドアとを水密状態に保持するドア側水密部材とを備えた自動車に取付可能な網戸であって、前記窓枠に略合致する大きさの枠体と、この枠体に設けられた網本体とを具備し、前記枠体の網上辺部には、前記枠体と前記窓枠の上辺部とを接合する接合手段が設けられ、前記接合手段は前記枠体の網上辺部に設けた差込み片からなり、前記差込み片を前記窓枠と前記ドア側水密部材との間に差込保持し、前記ドアの閉鎖時に前記枠体の網上辺部が前記ドア側水密部材にて圧着保持されることを特徴とする。
【0009】
また、請求項2に係る発明は、前記自動車は、前記ドア側水密部材より下方に位置し自動車本体に設けた自動車本体側水密部材を備え、前記ドアの閉鎖時に前記枠体の網上辺部が前記ドア側水密部材及び前記自動車本体側水密部材にて圧着保持されることを特徴とする。
【0010】
また、請求項3に係る発明は、ドアと、このドアに設けられた窓枠と、この窓枠の下辺部車内側に設けられ上下移動にて閉塞する窓ガラスと下辺部車内側を水密状態に保つ窓ガラス用水密部材とを備えた自動車に取付可能な網戸であって、前記ドアの窓枠に略合致する大きさの枠体と、この枠体に設けられた網本体とを具備し、前記枠体の網下辺部には、前記枠体と前記窓枠の下辺部とを接合する接合手段が設けられ、前記接合手段は前記枠体の網下辺部に設けた挿入体からなり、この挿入体を前記窓枠の下辺部と前記窓ガラス用水密部材間に差込保持してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の請求項1に記載の自動車用網戸によれば、網戸の枠体を窓枠の上辺部室内側に設けた水密部材に差込保持することでドア閉鎖時における保持強度が向上すると共に、従来構造のように網戸の枠体を経由した雨水などの浸入を防止することができる。
【0012】
本発明の請求項2に記載の自動車用網戸によれば、ドア側水密部材及び自動車本体側水密部材にて圧着保持されることによる二重の保持構造を有するため、さらなる保持強度の向上と雨水などの浸入防止効果の向上を図ることができる。
【0013】
本発明の請求項3に記載の自動車用網戸によれば、窓ガラスの開閉に際して、挿入体の抜け出しが防止され長期に渡り保持性能が維持され利便性が向上すると共に、車両装備品を活用して装着することでコスト削減が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施例1を示す網戸の正面図である。
【図2】同上、図1のA−A線断面図である。
【図3】同上、図1のB−B線断面図である。
【図4】同上、図1のC−C線断面図である。
【図5】同上、ドアを閉鎖した状態の窓枠上部回り断面図である。
【図6】同上、窓枠の下縁部回り断面図である。
【図7】同上、網戸の前後の取付けを説明する斜視図である。
【図8】同上、網戸の上部の取付けを説明する斜視図である。
【図9】同上、網戸の下部の取付けを説明する斜視図である。
【図10】同上、本発明の実施例2を示す網戸の正面図である。
【図11】同上、図10のD−D線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の自動車用網戸の実施例について説明する。
【実施例1】
【0016】
図1〜図9は本発明の実施例1を示し、同図に示すように、網戸を取り付ける自動車は、自動車本体たる車体ボディ1の側部開口に、ドア2が開閉自在に設けられ、このドア2は上部に窓枠3を備え、この窓枠3の開口窓4には窓ガラス5が設けられ、前記ドア2に支持された前記窓ガラス5が昇降して前記開口窓4が開閉される。また、前記窓枠3は磁石が吸着する磁性材料を備える。尚、本実施例では、自動車前側の右のドア2を例にして説明し、左右のドア及び網戸は左右対象である。
【0017】
前記窓枠3は、前側から上下方向の前辺部11、中辺部12及び後辺部13と、これら前辺部11、中辺部12及び後辺部13の上部を連結する上辺部14とを備え、前記中辺部12は前後中央位置より前辺部11側に近い位置に設けられ、前記中辺部12,後辺部13,上辺部14及びドア2のドア本体2Aとに間に前記開口窓4が設けられている。また、前記前辺部11,後辺部13及び上辺部14の車内側の取付面3Tには、ドア側水密部材たるドア側ウエザーストリップ15が取り付けられており、このドア側ウエザーストリップ15は、ドア2を閉めたときに車体ボディ1とドア2との間に挟まれて、それら車体ボディ1とドア2との間をシールするものである。
【0018】
前記ドア側ウエザーストリップ15は、ゴムなどの弾性部材からなり、図5に示すように、前記窓枠3に取付固定される取付基部16と、車内側に配置された中空なシール部17とを一体に有する。尚、前記取付基部16は、窓枠3に設けた突起片(図示せず)に、該取付基部16に設けた嵌合凹部(図示せず)を嵌合して取り付けられる。
【0019】
また、上辺部14は、室内側に位置し、中空で略角形の本体14Aと、外面部14Bと、それら本体14Aの上側と外面部14Bの高さ方向中央側とを連結する連結部14Cを備え、前記上辺部14の前記取付面3Tは、前記外面部14Bの上部内面と、前記本体14A及び連結部14Cの上面により構成される。
【0020】
そして、前記シール部17は、前記取付基部16を介して窓枠3の取付面3Tに取り付けられるから、ドア2を開いた状態で、シール部17と取付面3Tの間に隙間をあったり、隙間がない場合も、シール部17を弾性変形させることによりシール部17と取付面3Tの間に隙間Sを形成したりすることができる。尚、後述するように、前記隙間Sに網戸の差込み片が挿入される。
【0021】
また、前記連結部14Cの下部には、下部が開口した凹部14Dが設けられ、この凹部14Dが前記開口窓4の上縁であり、その凹部14Dに、下方が開口した略コ字形のシール材18を設け、このシール材18は窓ガラス5を閉じたときに前記上辺部14と窓ガラス5との間をシールする。
【0022】
前記車体ボディ1には、前記ドア側ウエザーストリップ15より下方に、自動車本体側水密部材たる自動車本体側ウエザーストリップ19が設けられ、この自動車本体側ウエザーストリップ19は、車体ボディ1の側部開口に設けた外向き面20に取り付けられ、ドア2を閉めたときに、前記外向き面20と前記上辺部14の本体14Aの内面との間に挟まれて、それら外向き面20と本体14Aの内面との間をシールするものである。
【0023】
次に、前記窓枠3の下部側の構造について説明する。図6などに示すように、前記ドア本体2Aの室内側のドア内側部21には、その上部外面21Uにドア内側面21と窓ガラス5の内面との隙間をシールするモール部材22が設けられ、前記上部外面21Uは前記窓ガラス5の内面と間隔を置いて配置されている。また、前記モール部材22は、ゴム等の弾性部材からなり、前記上部外面21Uに設けた外面部23と、この外面部23から窓ガラス5側に延ばされ、窓ガラス5の内面に当接させて、ドア内側部21と窓ガラス5とをシールするリップ部24とを一体に有し、このリップ部24は上部外面21Uから斜め上方に突出されている。尚、前記モール部材22が窓ガラス用水密部材であり、前記ドア本体2Aの上縁部2Fにより前記窓枠3の下辺部を構成している。また、後述するように、前記外面部23と前記リップ部24との間の隙間25に、網戸の挿入体が差込み保持される。
【0024】
また、前記ドア2の車外側のドア外側部21Aには、その上部内面にドア外側部21Aと窓ガラス5の外面との隙間をシールするモール部材22Aが設けられ、このモール部材22Aは、ゴム等の弾性部材からなり、ドア外側部21Aの上部内面に設けた内面部23Aと、この内面部23Aから窓ガラス5側に延ばされ、窓ガラス5の外面に当接させて、ドア外側部21Aと窓ガラス5とをシールするリップ部24Aとを一体に有し、このリップ部24Aは内面部23Aから斜め上方に突出されている。
【0025】
次に、前記自動車に着脱自在に取り付ける網戸31について説明する。
【0026】
図1に示すように、網戸31は、前記窓枠3の窓ガラス5部分に略合致する大きさの枠体32と、この枠体32内に設けられた網本体33とを具備し、この網本体33はポリエステル等の合成繊維などからなる。前記枠体32は、前記上辺部14に取り付ける網上辺部34と、前記隙間Sに取り付ける網下辺部35と、前記中辺部12に取り付ける網前辺部36と、前記後辺部13に取り付ける網後辺部37とを備える。また、前記網戸31の内面には、内面を示す印であるラベル38が設けられている。
【0027】
図2に示すように、前記網上辺部34は、合成繊維などからなる二枚の縁布41,41により網本体33の縁を挟んだ状態で、縫着部42により縫い付けて網本体33に二枚の縁布41,41を取り付け、これら二枚の縁布41,41の外縁を折返し縁布43により挟んで、この折返し縁布43を縫着部44により二枚の縁布41,41の外縁に取り付けている。このような構造の前記網上辺部34の縁側に、板状の差込み片45を複数の縫着部46により取り付け、前記差込み片45は、可撓性を有する合成樹脂からなり、略一定幅の帯状をなす。また、前記差込み片45は、網戸31の外面側に取り付けられ、図1に示すように、前記網上辺部34の略全長に設けられており、前記隙間Sに挿入される。尚、尚、差込み片45の厚さは2〜3mm程度である。また、本実施例における何れの縁布にも合成繊維を用いることができる。
【0028】
図3に示すように、前記網下辺部35は、縁布51を折り返し、この縁布51の折返し部分51Aの内部に、棒状の挿入体52を配置し、前記縁布51の両側縁51F,51Fを内側に折返し、この内側に折り返した両側縁51F,51Fにより前記網本体33の縁を挟んだ状態で、縫着部53により前記網本体33の縁に両側縁51F,51Fを取り付けている。また、前記挿入体52は、断面円形をなし、アルミニウム又はその合金や合成樹脂などからなり、弾性を有し、図6に示すように、前記網下辺部35の略全長に設けられており、前記隙間25に挿入される。
【0029】
図4に示すように、前記網前辺部36及び網後辺部37は、二枚の縁布61,61により網本体33の縁を挟んだ状態で、縫着部62により前記網本体33の縁に二枚の縁布61,61を取り付け、その外側(外周側)で二枚の縁布61,61間に、接合手段たる永久磁石63を挟み、二枚の縁布61,61の外縁を折返し縁布64により挟んで、この折返し縁布64を縫着部65により二枚の縁布61,61の外縁に取り付けている。また、図1に示すように、前記永久磁石63の上下で二枚の縁布61,61を横方向の縫着部66,66により縫い付け、これら縫着部66,66を連結するように縦方向の縫着部66Aにより二枚の縁布61,61を縫い付け、それら縫着部65,66,66,66Aにより永久磁石63を囲み、これにより永久磁石63を前記網前辺部36及び網後辺部37に取り付け、また、図1に示すように、複数の前記永久磁石63が間隔を置いて設けられている。尚、永久磁石61の厚さは2〜3mm程度である。
【0030】
次に、前記網戸31の取付方法について説明する。図7に示すように、ドア2を開け、ラベル38のある面を室内側に向け、網戸31の前後に設けた永久磁石63を、窓枠3の中辺部12と後辺部13に固定する。また、図8に示すように、網戸31の上部の取り付けは、ドア側ウエザーストリップ15のシール部17を捲るようにして隙間Sを形成し、この隙間Sに差込み片45を差し込んで固定する。さらに、図6及び図9に示すように、網戸31の下部の取り付けは、隙間25に挿入体52を挿入して固定し、図9に示すように、挿入体52の挿入によりリップ部24が僅かに弾性変形し、このリップ部24の弾性復元力により挿入体52が保持され、この際、挿入体52の断面が略円形であるから、挿入が容易であると共に、良好に保持される。
【0031】
さらに、ドア2を閉めると、図5に示したように、ドア側ウエザーストリップ15が車体ボディ1とドア2に挟まれシール部17が弾性変形し、シール部17と取付面3Tとに差込み片45が挟まれて確実な固定状態が得られ、シール部17と車体ボディ1との間は水密性が確保されているから、雨風や虫などが侵入することがない。しかも、ドア側ウエザーストリップ15の下方においては、網上辺部34が自動車本体側ウエザーストリップ19と窓枠3とに挟まれるため、一層確実な固定状態が得られる。この場合、網本体33が挟まれるのではなく、二重に重ねた縁布61,61が自動車本体側ウエザーストリップ19と窓枠3の本体14Aに挟まれるから、網本体33に無理な力が加わることもない。
【0032】
さらに、網戸31を取り付けた状態で、挿入体52が邪魔にならず、窓ガラス5を下げて開くことができ、一方、窓ガラス5を上げても、隙間25から挿入体52が外れることがなく、網戸31を取り付けた状態で、窓ガラス5を開閉することができる。
【0033】
このように本実施例では、請求項1に対応して、ドア2と、このドア2に設けられた窓枠3と、この窓枠3の上辺部14の車内側に設けられドア2の閉鎖時に自動車本体たる車体ボディ1と該ドア2とを水密状態に保持するドア側水密部材たるドア側ウエザーストリッパ15とを備えた自動車に取付可能な網戸31であって、窓枠3に略合致する大きさの枠体32と、この枠体32内に設けられた網本体33とを具備し、枠体32の網上辺部34には、枠体32と窓枠3の上辺部14とを接合する接合手段が設けられ、接合手段は枠体32の網上辺部34に設けた差込み片45からなり、差込み片45を窓枠3とドア側ウエザーストリッパ15との間に差込保持し、ドア2の閉鎖時に枠体32の網上辺部34がドア側ウエザーストリッパ15にて圧着保持されるから、網戸31の枠体32を窓枠3の上辺部14室内側に設けたドア側ウエザーストリッパ15に差込保持することでドア閉鎖時における保持強度が向上すると共に、従来構造のように網戸の枠体を経由した雨水などの浸入を防止することができる。
【0034】
また、このように本実施例では、請求項2に対応して、自動車は、ドア側水密部材たるドア側ウエザーストリッパ15より下方に位置し自動車本体たる車体ボディ1に設けた自動車本体側水密部材たる自動車本体側ウエザーストリッパ19を備え、ドア2の閉鎖時に枠体32の網上辺部34がドア側ウエザーストリッパ15及び自動車本体側ウエザーストリッパ19にて圧着保持されるから、二重の保持構造を有するため、さらなる保持強度の向上と雨水などの浸入防止効果の向上を図ることができる。
【0035】
また、このように本実施例では、請求項3に対応して、ドア2と、このドア2に設けられた窓枠3と、この窓枠3の下辺部たるドア本体2Aの上部の車内側に設けられ上下移動にて閉塞する窓ガラス5とドア本体2Aの車内側を水密状態に保つ窓ガラス用水密部材たるモール部材22とを備えた自動車に取付可能な網戸31であって、ドア2の窓枠3に略合致する大きさの枠体32と、この枠体32内に設けられた網本体33とを具備し、枠体32の網下辺部35には、枠体32と窓枠3の下辺部たるドア本体2Aの上縁部2Fとを接合する接合手段が設けられ、接合手段は枠体32の網下辺部35に設けた挿入体52からなり、この挿入体52をドア本体2Aとモール部材22間に差込保持してなるから、窓ガラス5の開閉に際して、挿入体52の抜け出しが防止され長期に渡り保持性能が維持され利便性が向上すると共に、車両装備品であるモール材22などを活用して装着することでコスト削減を図ることができる。
【0036】
また、実施例上の効果として、ドア側ウエザーストリップ15は、窓枠3に取付固定される取付基部16と、車内側に配置された中空なシール部17とを一体に有し、シール部17は窓枠3に固定されていないから、差込み片45を挿入する隙間Sを確保し易い。また、網前辺部36及び網後辺部37は複数の永久磁石63を設けたから、窓枠3の中辺部12及び後辺部13への取り付けを簡便に行うことができる。さらに、前記差込み片45を網戸31の外面側に取り付けたから、縁布42,43にシール部17が当り、保持強度を確保することができる。また、挿入体52は断面円形であるから、狭い隙間25に容易に挿入することができる。
【実施例2】
【0037】
図10〜図11は、本発明の実施例2を示し、上記実施例1と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述する。同図は、自動車の後側の右のドア2に設ける網戸31Aを示し、この例では、網戸31Aの左右及び上部の固定構造が実施例1と異なり、前記網戸31Aの網上辺部34,網前辺部36及び網後辺部37に複数の面ファスナ71を設けており、この面ファスナ71が着脱可能に係止する車体ボディ側面ファスナ(図示せず)を前記窓枠3又は該窓枠3の周囲に設けている。
【0038】
具体的には、図11に示すように、網上辺部34,網前辺部36及び網後辺部37において、合成繊維などからなる二枚の縁布72,72により網本体33の縁を挟んだ状態で、縫着部73により縫い付けて網本体33に二枚の縁布72,72を取り付け、これら二枚の縁布72,72の外縁を折返し縁布74により挟んで、この折返し縁布74を縫着部75により二枚の縁布72,72の外縁に取り付けている。このような構造の網上辺部34,網前辺部36及び網後辺部37の縁側の外面に、長方形形状の面ファスナ71を縫着部76により取り付け、この縫着部76は面ファスナ71と略相似形の長方形に設けられている。
【0039】
このように本実施例では、請求項3に対応して、上記実施例1と同様な作用・効果を奏し、また、このように本実施例では、接合手段が網戸31Aに設けた面ファスナとドア2側に設けた面ファスナ71であるから、網戸31Aの左右及び上部をドア2の窓枠3に簡便に取り付けることができる。
【0040】
尚、本発明は、本実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、両ウエザーストリッパの形状は適宜選定可能であり、ドア側ウエザーストリッパは、車内側に隙間を形成できるものであれば各種タイプのものを用いることができる。また、実施例では、一端を枢着した片開き式のドアを示したが、スライド式のドアでもよい。さらに、差込み片及び挿入体は長さ方向において複数に分割されていてもよい。また、差込み片を網戸の内面側に設けてもよい。さらに、実施例1において、網前辺部と網後辺部に接合手段として面ファスナを設けたり、網上辺部の接合手段として面ファスナーを設けたりしてもよい。また、実施例2において、網前辺部,網後辺部及び網上辺部に接合手段として永久磁石を設けてもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 車体ボディ
2 ドア
2F 上縁部(下辺部)
3 窓枠
4 開口窓
5 窓ガラス
15 ドア側ウエザーストリップ(ドア側水密部材)
19 自動車本体側ウエザーストリップ
20 上向き面
22 モール部材(窓ガラス用水密部材)
31 網戸
32 枠体
33 網本体
34 網上辺部
35 網下辺部
36 網前辺部
37 網後辺部
45 差込み片(接合手段)
52 挿入体(接合手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアと、このドアに設けられた窓枠と、この窓枠の上辺部車内側に設けられ前記ドアの閉鎖時に自動車本体と該ドアとを水密状態に保持するドア側水密部材とを備えた自動車に取付可能な網戸であって、前記窓枠に略合致する大きさの枠体と、この枠体に設けられた網本体とを具備し、前記枠体の網上辺部には、前記枠体と前記窓枠の上辺部とを接合する接合手段が設けられ、前記接合手段は前記枠体の網上辺部に設けた差込み片からなり、前記差込み片を前記窓枠と前記ドア側水密部材との間に差込保持し、前記ドアの閉鎖時に前記枠体の網上辺部が前記ドア側水密部材にて圧着保持されることを特徴とする自動車用網戸。
【請求項2】
前記自動車は、前記ドア側水密部材より下方に位置し自動車本体に設けた自動車本体側水密部材を備え、前記ドアの閉鎖時に前記枠体の網上辺部が前記ドア側水密部材及び前記自動車本体側水密部材にて圧着保持されることを特徴とする請求項1記載の自動車用網戸。
【請求項3】
ドアと、このドアに設けられた窓枠と、この窓枠の下辺部車内側に設けられ上下移動にて閉塞する窓ガラスと下辺部車内側を水密状態に保つ窓ガラス用水密部材とを備えた自動車に取付可能な網戸であって、前記ドアの窓枠に略合致する大きさの枠体と、この枠体に設けられた網本体とを具備し、前記枠体の網下辺部には、前記枠体と前記窓枠の下辺部とを接合する接合手段が設けられ、前記接合手段は前記枠体の網下辺部に設けた挿入体からなり、この挿入体を前記窓枠の下辺部と前記窓ガラス用水密部材間に差込保持してなることを特徴とする自動車用網戸。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate