説明

自動車道路の渋滞防止

【課題】 自動車専用道路では料金所で車両が一時停車するので渋滞が起きる。そのため料金所を増設する対策がなされたが、今度は料金所を通過した後、元の車線に戻ろうとする車両で渋滞が起きてしまう。この少ない車線を他の車両と奪い合うことで起きる渋滞は、休憩所の出口や、他の道路からの流入口付近でも、また無線で料金別払いの方法(ETC)を取っても起きる。この渋滞をあまり費用を掛けずに解決したい。
【解決手段】 渋滞発生個所の、その前方と後方の渋滞が影響する区間を全て、1車線又は複数の車線分離して、他の隣接する車線からは自動車が流入しないようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
自動車専用道路の渋滞を防止する構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車専用道路の料金所では、料金を授受するために車両が一時停止するので、通過量が落ちる。そのため流入する車両が多ければ、その個所から手前で渋滞が発生してしまう。その解決法として料金口を増設する方法が取られている。
【0003】
しかしそうなると今度は料金口を通過した後、元の車線に戻ろうとしても、車線の数よりも車両の数が多いので、互いに譲り合いながら接触しないように、どうしてもゆっくりした速度や停止を繰り返しながら走行しなければならず、流入車両が増加するにつれて必ず渋滞が起きてしまう。
【0004】
そのため無線で料金別払いの方法(ETC)も取られているが、現金支払の料金口と併設されているため、料金口はスムースに通過するのであるが、その後少ない車線に戻ろうとするETCを搭載していない車両と車線の奪い合いになり、その効果が発揮出来ないでいる。
【0005】
これと同じ渋滞は流入量により休憩所の出口や、他の道路からの流入口付近でも起きる。この根本的な解決方法は、合流しても車線が減らないように車線を増やせばよいが、そうなると道路の幅を増やしていかなければならず、用地取得や,莫大な費用の問題が出てくる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
用地取得や,莫大な費用の問題を発生させることなく、渋滞が起きないようにしたいし、起きても早く解消したい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
渋滞発生個所の、その前方と後方の渋滞が影響する区間を全て、他の隣接する車線からは自動車が少なくとも流入しないように、1車線又は複数の車線を分離する。
【発明の効果】
【0008】
分離された車線を走る車両は渋滞発生個所で、車線を奪い合ったりすることが無くなり、走行速度が落ちないので、通過量も増す。その結果その渋滞発生個所全体で、渋滞が起きなかったり、起きてもより早く解消する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明を料金所の付近と合流点の2ヶ所で説明する。合流点は他の道路からの流入口だけでなく、高速道路上の休憩所の出口やバス合流点等も含む。
【実施例1】
【0010】
図1は本発明の最適例を示す、また図2は従来の、各々料金所の付近を示す簡単な平面図である。車両は図面上右側から左側に走行する。自動車専用道路の料金所の手前までの走行車線を1〜4、料金所の徴収窓口(以後料金口という)11〜19、そこを通過した楕円で示す車両を各々21〜29、料金所から後の走行車線を31〜34とする。
【0011】
従来は図2のように料金所の付近ではどの車線でも自由に変更出来たので、流入車両が多い場合は料金口11から19までを通過してきた車両21から29の9台が、その先の4車線に絞られた料金所出口を目指して走行して行くのである。
【0012】
出口までは車では直ぐなので速度は出ていないが、隣接する車両と接触する危険性が増すので、さらに速度を落とさざるを得ないし、場合によっては停止して相手を通す場合も出てくる。ETC搭載車が料金口を時速20Kmで抜けられても、前に車両が割り込んで来れば速度を落とさざるを得ない。この状況ではETCを搭載していても、何ら効果が無い。
【0013】
この渋滞が起きるとこの渋滞は当然後ろに伸びて行き、料金所のはるか手前5Km以上にも伸びて行くが、流入量が多いと前方にもつまり料金所を過ぎて何も無いにも拘わらず、1Km以上も低速で走行する渋滞状態が起きる。これら前後の渋滞を抜けるのに2時間掛かることはざらにある。1時間に3Kmしか進まないとすると、一車両10mを占めるとして、つまり車長を5mとすると車間距離5mとなるが、一車線あたり一時間に300台の通過ということになる。
【0014】
本発明ではその対策として、例えば2車線を分離しようというもので、走行車線1,2及び31、32をその他の車線と分離させるのである。この分離車線では隣の渋滞車線に比べれば非常に早い走行が可能なので、車線変更禁止ライン程度では容易に車線を変更する車が出るので衝突の危険性が有る。従ってそれを防止出来る程度の柵10を、走行車線2と3、32と33との間に設けるのである。その始まりと終わりは取りあえず過去にこの料金所で渋滞して、伸びた車の最後尾から先端までとすれば、充分である。そして料金口はETC専用とする。
【0015】
この車線を走るETC搭載車は隣の渋滞を横目に、流れに乗って走れば良い。料金口を通過する速度は現在のところ時速20Kmとしているから、この速度で一車両10mを占めるとすると、一時間に20Km通過するので、一車線あたり一時間の通過車両は2000台となる。さらに料金口の通過速度は無線の受発信の長さを長くすれば改良出来るから、将来例えば時速60Kmになって、一車両20mを占めるとすると、つまり車長を5m、車間距離を15mとすると、一車線あたり通過車両は3000台に増える。
【0016】
つまり4車線合計で、従来の料金所では時間あたり通過車両は300×4で1200台であるのに、本発明の料金所ならば時速20Kmで走行しても2000×2+300×2で4600台となり、ほぼ4倍になる。時速60Kmで走行すれば5.5倍にもなる。これによって渋滞は発生しないか、しても短時間で解消することが出来る。
【0017】
この場合分離車線を走行するのはETC搭載車でなければならないので、分離する車線の割合は利用する搭載車の数による。その数が少なければ、車線も少なくしなければならず、効果も落ちる。しかし先程の例の渋滞距離6Km、通過2時間の区間が、時速20Kmで20分、時速60Kmなら6分で通過できるとなったら、ETCを搭載しようとする車が必ず増え、効果も上がる。
【0018】
分離する柵の長さは、その入口が隣接する車線の渋滞に巻き込まれないことが要件である。終わりの料金所から先の渋滞は、図2の例では料金口の数を少なくすれば必ず解消する。しかし始まりの長さは流入する車両の数量による。いくら分離により料金所の効率が上がっても、それを上回る車両が流入すれば渋滞は起きる。従って状況により調節出来るようにするのが便利である。
【実施例2】
【0019】
図3は本発明の、図4は従来の、合流点の付近を示す簡単な平面図である。本流の車線を5、6として、流入する車線を7として、その上の楕円で示す車両を各々45、46、47とすると、従来は、図4のように合流点のでの車両は3車線から2車線に減るので、互いに相手の車線に乱入する可能性が高いのでどうしても速度が落ち、走行車両が多ければ必ず渋滞する。
【0020】
その時図3のように車線5と6の間に通行不可能な柵10を、渋滞の影響のある限りの区間設ける。そうすると車線5を走る車両45は、車線6と車線7の混乱をよそに、先程の料金所のように、その車線の流れに乗ってスムースに走行出来るのである。これによって通過車両は増加するので、その分はこの合流点全体の通過量の増大に貢献する。
【産業上の利用可能性】
【0021】
渋滞が解消又は時間が短くなることにより、物流や人の動きが速くなり、社会的効率が非常に高くなる。
【0022】
スムースに道路を通行出来るのは、運転者の精神に非常に良いだけでなく、疲労も少なくなるので、事故の減少につながる。
【0023】
渋滞中に消耗される無駄な石油エネルギーが少なくなるだけでなく、炭酸ガス等の排出量も少なくなる。
【0024】
本発明の考え方から自動車専用道路の構造を考えれば、無駄な道路幅や車線、料金所増設を無くすことが出来、必要な投資を効率よくすることが出来る。
【0025】
本発明の料金所であれば、ETCの効果が非常に高いので、搭載しようとするドライバーが多くなるので、自動車専用道路全体の自動化、効率も高くなる可能性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の料金所を示す平面図
【図2】従来の料金所を示す平面図
【図3】本発明の合流点を示す平面図
【図4】従来の合流点を示す平面図
【符号の説明】
【0027】
1〜4 料金所の手前までの走行車線
10 車線を分離する柵
11〜19 料金口
21〜29 料金口を通過した車両
31〜34 料金所から後の走行車線
5,6 合流点の本流の車線
7 合流点の流入する車線
45〜47 合流点の車線5〜7を走る車両

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の流入量の増加により渋滞が発生する渋滞発生個所の、1車線又は複数の車線を、他の隣接する車線と、その渋滞が影響して混乱の起きる区間の全てを、分離した構造にすることを特徴とする自動車専用道路。
【請求項2】
その車線に料金口がある場合、ETCを備えたものである請求項1の自動車専用道路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−31779(P2008−31779A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−208308(P2006−208308)
【出願日】平成18年7月31日(2006.7.31)
【出願人】(000174301)
【出願人】(000174356)
【Fターム(参考)】