説明

自動車遠隔監視システム

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、特定小電力無線設備を用い、見通し100m前後の距離で車両監視を行う自動車遠隔監視システムに関する。
【0002】
【従来の技術】特開昭61−274062号公報には、車載機からの盗難警報信号待ち状態において電源供給を所定の周期でON・OFF制御して携帯機のバッテリーの消耗を防ぐ技術が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、上記従来の技術では、車載機から盗難警報信号が来ない時でも電源がオンになるので節電効果が少ないという欠点がある。本発明の目的は、携帯器側の電池消耗を極力減らした自動車遠隔監視システムの提供にある。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する為、本発明は、車両盗難の可能性が有るか否か等の車両状態を検知し、検知結果に基づいた監視信号を送出する車両監視手段と、搬送波を、次回送信までの時間に関する情報を含んだ拍子信号、前記監視信号で変調し、変調波を間欠的に空中に放射する送信部とを有する車載器、該車載器からの変調波を捉えて、監視信号および拍子信号を復調する受信部と、前記監視信号に基づいて報知を行う報知部と、前記車載器の送信終了の直後から次回送信の直前迄、前記拍子信号の情報に基づいて、前記受信部と電池との電気接続を断つ通電制御手段とを備える携帯器で構成される構成を採用した。
【0005】
【作用および発明の効果】車載器の送信終了の直後から次回送信の直前迄、拍子信号の情報に基づいて、携帯器の受信部と電池との電気接続が断たれるので携帯器の電池消耗を極力減らすことができる。
【0006】
【実施例】本発明の一実施例を図1、図2に基づいて説明する。図1に示すように、自動車遠隔監視システムは、車両盗難の可能性が有るか否かを検知する車両監視手段1、変調波21を間欠送信する送信部2を有する車載器Aと、変調波21を捉える受信部3、報知を行う報知部4、受信部3と電池5との通電を制御する通電制御手段6を備える携帯器Bとで構成される。
【0007】車両監視手段1は、ドア開、サイドブレーキが解除状態、ブレーキランプが点灯、オルタネータの電圧がHi、イグニッション系電圧がHi、変速レバーが“P”以外、ドア解錠、キー挿入状態、ボンネット開、の内1つでも満足する場合、車両盗難の可能性有りとし、異常情報を含んだ監視信号10を送出する。また、何れも満足しない場合は、安全情報を含んだ監視信号10を送出する。送信部2は、搬送波を、次回送信までの時間t(例えばt=10秒)に関する情報を含んだ拍子信号22、監視信号10でデジタル変調し、この変調波21を電波(400MHz帯、10mW)として空中線23から送信する。
【0008】受信部3は、車載器Aからの変調波21をアンテナ31で捉え、この変調波21から監視信号10、拍子信号22を復調する。報知部4は、点灯すると“OK”の透かし文字が表示される緑色LED、点灯すると“ERROR”の透かし文字が表示される橙色LED、点灯すると“WARN”の透かし文字が表示される赤色LEDを並べた表示器と、ブザーと、これらを駆動するマイクロコンピュータを備えた駆動制御回路とを備える。緑色LEDは正常情報を含んだ監視信号10を受信した場合(盗難の可能性ない場合)に点灯する。橙色LEDは所定時間(例えば15秒間)の間に監視信号10、拍子信号22を検知できなかった場合に通信エラーとして点灯する。赤色LEDは監視信号10に異常情報が含まれている場合(盗難の可能性がある場合)に点灯する。ブザーは赤色LEDまたは橙色LEDの点灯に連動して発鳴する。
【0009】通電制御手段6は、図2に示すように、携帯器Bの電源スイッチが投入され、車載器Bからの監視信号10、拍子信号22を検知すると、次回送信までの時間t(例えばt=10秒)に関する情報を含んだ拍子信号22の情報に基づいて、車載器Aの送信終了の直後から次回送信の直前迄、受信部3と電池5との電気的接続を断つ。なお、監視信号10、拍子信号22の完全受信や頭切れの防止の為、余裕時間α、βを設けている。
【0010】本実施例の自動車遠隔監視システムの効果を述べる。
(あ)携帯器Bの電源スイッチが投入され、車載器Aからの監視信号10、拍子信号22を検知すると、以後は、周期的に、時間t−余裕時間α−余裕時間βの間、受信部3と電池5との電気的接続を断つので、電池5の消耗を極力減らすことができる。
(い)何者かが自動車内に侵入し、自動車を盗もうとすると、ドア開、サイドブレーキが解除状態、ブレーキランプが点灯、オルタネータの電圧がHi、イグニッション系電圧がHi、変速レバーが“P”以外、ドア解錠、キー挿入状態、ボンネット開、の内、少なくとも1つの現象が起こる。そうすると、車両監視手段1は異常情報を含んだ監視信号10を送出し、携帯器Bの報知部4の赤色LEDが点灯し、ブザーが発鳴するので、未然に車両盗難が防げる。
(う)正常情報を含んだ監視信号10が受信できる場合は緑色LEDが点灯し、また、受信部3が所定時間の間に監視信号10や拍子信号22を受信できない場合、通信エラーとして橙色LEDが点灯してブザーが発鳴するので、監視エリアが把握できるとともに、該エリア内で確実に車両監視が行える。
【0011】本発明は、上記実施例以外に、つぎの実施態様を含む。
a.エンジン始動、ドアロック等の遠隔操作を行うための送信部を携帯器Bに、これを受信する受信部を車載器Aにそれぞれ組み込んでリモコン機能を持たせても良い。
b.車両監視手段1が一度異常を検知すると、次回送信時までこの異常を記憶しておき、次回送信時点で異常状態が解除されていても異常情報を含んだ監視信号10を送信するという構成であっても良い。こうすれば、盗人がドアをこじ開け乗り込み、直ぐ閉めてもこれを探知できる。
c.車載器Aの送信部2の送信間隔は、状況に応じて変化させても良い。
d.通電制御手段6は、受信部3と電池5との電気的接続を断つ場合、報知部4のマイクロコンピュータを待機状態にしてさらに節電を図るようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る遠隔監視システムの説明図である。
【図2】そのシステムの車載器、携帯器の送信、受信のタイムチャート図である。
【符号の説明】
1 車両監視手段
2 送信部
3 受信部
4 報知部
5 電池
6 通電制御手段
10 監視信号
22 拍子信号
A 車載器
B 携帯器

【特許請求の範囲】
【請求項1】 (a)車両盗難の可能性が有るか否か等の車両状態を検知し、検知結果に基づいた監視信号を送出する車両監視手段と、搬送波を、次回送信までの時間に関する情報を含んだ拍子信号、前記監視信号で変調し、変調波を間欠的に空中に放射する送信部とを有する車載器、(b)該車載器からの変調波を捉えて、監視信号および拍子信号を復調する受信部と、前記監視信号に基づいて報知を行う報知部と、前記車載器の送信終了の直後から次回送信の直前迄、前記拍子信号の情報に基づいて、前記受信部と電池との電気接続を断つ通電制御手段とを備える携帯器で構成される自動車遠隔監視システム。

【図1】
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【図2】
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【特許番号】第2919625号
【登録日】平成11年(1999)4月23日
【発行日】平成11年(1999)7月12日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平3−37504
【出願日】平成3年(1991)3月4日
【公開番号】特開平4−278865
【公開日】平成4年(1992)10月5日
【審査請求日】平成10年(1998)2月13日
【出願人】(000210986)中央発條株式会社 (173)
【参考文献】
【文献】特開 昭61−274063(JP,A)
【文献】特開 昭61−274062(JP,A)
【文献】特開 昭62−1657(JP,A)
【文献】特開 昭61−30450(JP,A)
【文献】特開 昭62−11360(JP,A)