説明

自動返却装置および自動返却方法

【課題】ベルトコンベヤから容器への図書投入の位置を一点に集中せずに拡散させて、収納効率を向上させることができる自動返却装置および自動返却方法を提供する。
【解決手段】図書を搬送するコンベヤ部C1,C2,C3と、コンベヤ部の下流側の先端であって図書の投入位置に設けられ、図書の投入位置を一点に集中させないように振り分ける突起部K1,K2,K3と、コンベヤ部の下流側の先端の下方であり図書が投入される位置に配置されることで、図書を収納する容器部14…21をもつ自動返却装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、主に公共図書館にて用いられる自動返却装置に関し、特に、ベルトコンベヤから容器への図書投入の位置を一点に集中せずに拡散させて収納効率を向上させる自動返却装置および自動返却方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、主に公共図書館等で用いられる図書の返却ポスト装置が知られている。これは、返却のあった複数の図書等をベルトコンベヤ等を介して複数の収納ボックス等に分配して返却する装置である。
【0003】
特許文献1は、図書等が収納部に収納されるように、コンベヤ等が配置された分配設備が開示されている。
【0004】
特許文献2は、コンベヤ等が配置され、図書等が収納箱に返却される自動図書返却装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3596242号公報
【特許文献2】実開平2−34519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1および特許文献2は、図書がコンベヤから収納容器に収納される際に、収納容器のどの位置に投入されて収納されるかについては何ら開示されていない。
【0007】
本発明は、ベルトコンベヤから容器への図書投入の位置を一点に集中せずに拡散させて収納効率を向上させることができる自動返却装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
課題を解決する一実施形態は、
図書を搬送するコンベヤ部(C1,C2,C3)と、
前記コンベヤ部の下流側の先端であって前記図書の投入位置に設けられ、前記図書の投入位置を一点に集中させないように振り分ける突起部(K1、K2、K3)と、
前記コンベヤ部の下流側の先端の下方であり前記図書が投入される位置に配置されることで、前記図書を収納する容器部(14、…、21)と、
を具備することを特徴とする自動返却装置である。
【発明の効果】
【0009】
図書を搬送するコンベヤ部に、例えば棒状の突起物を備えることで、従来のように図書はコンベヤ部の中央真下に集中して一つの図書の山を築くのではなく、図書が突起物に衝突して、少なくとも二つ以上の図書の山に分散されることになる。これにより、容器(ビン)の容量に対して効率的に図書が収納されるため収納効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態に係る自動返却ポスト装置の一例を示す平面図および断面図。
【図2】本発明の一実施形態に係る自動返却ポスト装置の一例を示す外観図。
【図3】該自動返却ポスト装置の返却処理の一例を示す外観図。
【図4】該自動返却ポスト装置の返却処理の他の一例を示す外観図。
【図5】該自動返却ポスト装置の返却処理の他の一例を示す外観図。
【図6】該自動返却ポスト装置の返却処理の他の一例を示す外観図。
【図7】該自動返却ポスト装置の電気的構成の一例を示すブロック図。
【図8】該自動返却ポスト装置の各センサの一例を示す平面図。
【図9】該自動返却ポスト装置の返却処理の複数のタイプを示す平面図。
【図10】該自動返却ポスト装置のシングルタイプの返却処理を示す平面図。
【図11】該自動返却ポスト装置のシングルタイプの返却処理を示す平面図。
【図12】該自動返却ポスト装置のダブルタイプの返却処理を示す平面図。
【図13】該自動返却ポスト装置のダブルタイプの返却処理を示す平面図。
【図14】該自動返却ポスト装置のダブルディープタイプの返却処理を示す平面図。
【図15】該自動返却ポスト装置のダブルディープタイプの返却処理を示す平面図。
【図16】該自動返却ポスト装置のダブルディープタイプの返却処理を示す平面図。
【図17】該自動返却ポスト装置のダブルディープタイプの返却処理を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1乃至図8を用いて、本発明に係る自動返却装置1の構成と基本的動作を説明する。自動返却装置1は、図1の(a)の平面図と(b)の側面図および図2の外観図により説明されると共に、電気的構成は図7により説明される。
【0012】
すなわち、自動返却装置1は、図1および図7に示すように、全体の動作を制御する制御部2と、ユーザが操作を行うための制御部2に接続された操作部3と、図書を搬送するための第1コンベヤ部C1と、同じく第2コンベヤ部C2と、同じく第3コンベヤ部C3と、第1コンベヤ部C1の下流側の先端であって図書の投入位置に設けられ、図書の投入位置を一点に集中させないように振り分けるための突起部材であり、一例として図1の(b)のように第1コンベヤ部C1に接続される第1拡散バーK1と、同じく第2拡散バーK2と、同じく第3拡散バーK3を有している。なお、拡散バーK1〜3の形状は、図面に記載された形状に限定されず、図書の投入位置を拡散させるものであればよい。
【0013】
さらに、自動返却装置1は、図1および図7に示すように、第1コンベヤ部C1を駆動させるための動力源である第1コンベヤ駆動部41と、同じく第2コンベヤ駆動部42と、同じく第3コンベヤ駆動部43を有している。さらに、自動返却装置1は、制御部2に接続され、上記の第1コンベヤ駆動部41自体をコンベヤの搬送方向に直角の方向に移動させる第1コンベヤユニット移動部11と、同じく第2コンベヤユニット移動部12と、同じく第3コンベヤユニット移動部13を有している。
【0014】
さらに、自動返却装置1は、図書を格納するための容器である第1ビン14と、同じく第2ビン15と、同じく第3ビン16と、同じく第4ビン17と、同じく第5ビン18と、同じく第6ビン19と、同じく第7ビン20と、同じく第8ビン21を有している。また、一例として、第1投入口22,第2投入口22’を有している。これらのビンは、図1の(b)に示すように、図書の重量に応じて底が沈下する構造をもつことにより、図書の落下高さが一定となり、図書を傷めることがない。
【0015】
また、図8に示すように、第1ビン14は、図書が容器内に一杯になったことを検出する第1ビン満杯検出センサ31を、第2ビン15は、同様に第2ビン満杯検出センサ32を、また、同様に、第8ビン21は、同様に第8ビン満杯検出センサ33をそれぞれ有している。また、第1ビン14は、第1ビン14が設置されていることを検出するための第1ビン設置検出センサ34を、第2ビン15は、同じく第2ビン設置検出センサ35を、同様に、第8ビン21は、同じく第8ビン設置検出センサ36を有している。
【0016】
また、自動返却装置1は、図書で満杯となった第1ビン14を図3に示すように退避させるための第1ビン移動部51と、同じく第2ビン移動部52と、同様に、第8ビン移動部55を有している。また、自動返却装置1は、制御部2に従って第1投入口22の開閉を制御するための第1投入口開閉部37と、制御部2に従って第2投入口22’の開閉を制御するための第2投入口開閉部38を有している。
【0017】
このような構成をもつ自動返却装置1は、図4乃至図6に示すように、制御部2の制御下において、一例として、第1コンベヤ部C1、第2コンベヤ部C2、第3コンベヤ部C3を用いて図書を搬送し、第4ビン17に図書を格納する。次に、第4ビン17が図書で満杯となると、第4ビン移動部54を介して第4ビン17を退避させ、第3コンベヤユニット移動部を用いて第3コンベヤ部C3を退避させ、今度は、第2コンベヤ部C2と第1コンベヤ部C1を用いて、第3ビン16、第2ビン15、第1ビン14に図書を格納させる。さらに、図6に示すように、第2投入口を用いて、第8ビン21、第7ビン20、第6ビン19、第5ビン18のように、使用するビンは遷移していく。また、格納に使用するビンの順序、投入口の順序は、任意に選択が可能である。
【0018】
(動作)
次に、図9に示すように、自動返却装置1が、シングルタイプの構成をもつ場合の返却処理、ダブルタイプの構成をもつ場合の返却処理、ダブルディープタイプの構成をもつ場合の返却処理を、図10乃至図17の説明図を用いて詳細に説明する。
【0019】
シングルタイプの構成をもつ自動返却装置1の返却処理を、はじめに、図10および図11を用いて説明する。図10は、シングルタイプの返却処理を示しており、第1投入口に近い第1ビン14から第4ビン17へと順番にビンを使用する場合である。
【0020】
図10の(1)において、基本ポジションが示され、コンベヤユニットは待機ポジションにある。
【0021】
図10の(2)において、少なくとも第1ビン14が設置され、制御部2は、第1ビン14のための第1ビン設置検出センサ34からの信号により設置を認識する。この状態で図書の返却が可能となり、制御部2は、第1投入口開閉部37により第1投入口22のシャッタを開ける。
【0022】
図10の(3)において、制御部2の制御下において、図書の返却処理が開始され、第1投入口22から搬送された図書は次々と第1ビン14に格納される。制御部2は、第1ビン満杯検出センサ31からの信号により、第1ビン14が図書で満杯となったことを認識すると、[第1ビン]→[第2ビン]へと使用するビンを変更する。
【0023】
図10の(4)において、制御部2の制御下において、第1コンベヤ部C1を第1コンベヤユニット移動部を用いて搬送ポジションに移動した後、第1コンベヤ部C1により次々と図書が搬送されて第2ビン15に図書が格納される。やがて、制御部2が第2ビン満杯検出センサ32からの信号により第2ビン満杯を検出すると、[第2ビン]→[第3ビン]へと使用するビンを変更する。
【0024】
図10の(5)において、制御部2の制御下において、第2コンベヤ部C2を第2コンベヤユニット移動部を用いて搬送ポジションに移動した後、第1コンベヤ部C1および第2コンベヤ部C2により次々と図書が搬送されて第3ビン16に図書が格納される。やがて、制御部2は、第3ビン満杯検出センサ32からの信号により第3ビン満杯を検出し、[第3ビン]→[第4ビン]へと使用するビンを変更する。
【0025】
図10の(6)において、制御部2の制御下において、第3コンベヤ部C3を第3コンベヤユニット移動部を用いて搬送ポジションに移動した後、第1コンベヤ部C1乃至第3コンベヤ部C3により次々と図書が搬送されて第4ビン17に図書が格納される。やがて、制御部2は、第4ビン満杯検出センサ33からの信号により第4ビン満杯を検出して格納処理を終了する。
【0026】
以上のように、シングルタイプの構成をもつ自動返却装置1は、第1投入口に近い第3ビン16から第4ビン17へと順番にビンを使用していく。
【0027】
なお、各第1コンベヤ部C1乃至第3コンベヤ部C3は、各コンベヤ部の下流側の先端であって図書の投入位置に拡散バーK1、第2拡散バーK2、第3拡散バーK3を有している。この拡散バーは、図書の投入位置を一点に集中させないように振り分けるための突起部材であり、一例として図1の(b)のように第1コンベヤ部C1に接続され、これにより、従来のように図書はコンベヤ部の中央真下に集中して一つの図書の山を築くのではなく、図書が突起物である拡散バーに衝突して、少なくとも二つ以上の図書の山に分散されることになる。これにより、容器(ビン)の容量に対して効率的に図書が収納されるため収納効率を向上させることができる。
【0028】
次に、シングルタイプの構成をもつ自動返却装置1の返却処理であって、図11に示されているのは、シングルタイプの返却処理であって、逆に、第3ビン16から第1投入口に近い第1ビン14へと順番にビンを使用する場合である。
【0029】
図11の(1)において、基本ポジションが示され、コンベヤユニットは待機ポジションにある。
【0030】
図11の(2)において、少なくとも第3ビン16が設置され、制御部2は、第3ビン16のための第3ビン設置検出センサからの信号により第3ビン16の設置を認識する。制御部2は、第1コンベヤ部C1を第1コンベヤユニット移動部を用いて、第2コンベヤ部C2を第2コンベヤユニット移動部を用いて、それぞれ搬送ポジションに移動する。この状態で図書の返却が可能となり、制御部2は、第1投入口開閉部37により第1投入口22のシャッタを開ける。
【0031】
図11の(3)において、制御部2の制御下において、図書の返却処理が開始され、第1投入口22から搬送された図書は、第1コンベヤ部C1および第2コンベヤ部C2に搬送されて、次々と第3ビン16に格納される。制御部2は、第3ビン満杯検出センサからの信号により第3ビン16が図書で満杯となったことを認識すると、[第3ビン]→[第2ビン]へと使用するビンを変更する。
【0032】
図11の(4)において、制御部2の制御下において、第2コンベヤ部C2を第2コンベヤユニット移動部を用いて待機ポジションに移動する。第1投入口22から搬送された図書は第1コンベヤ部C1により搬送され、次々と第2ビン15に格納される。制御部2は、第2ビン満杯検出センサ32からの信号により第2ビン15が図書で満杯となったことを認識すると、[第2ビン]→[第1ビン]へと使用するビンを変更する。
【0033】
図11の(5)において、制御部2の制御下において、第1コンベヤ部C1を第1コンベヤユニット移動部を用いて待機ポジションに移動する。第1投入口22から搬送された図書は、次々と第1ビン14に格納される。制御部2は、第1ビン満杯検出センサ31からの信号により第1ビン14が図書で満杯となったことを認識すると、格納処理を終了する。
【0034】
また、各第1コンベヤ部C1乃至第2コンベヤ部C2は、各コンベヤ部の下流側の先端であって図書の投入位置に拡散バーK1、第2拡散バーK2を有しており、図書が突起物である拡散バーに衝突して、少なくとも二つ以上の図書の山に分散されることになる。これにより、容器(ビン)の容量に対して効率的に図書が収納されるため収納効率を向上させることができる。
【0035】
次に、ダブルタイプ(利便型)の構成をもつ自動返却装置1の返却処理を、図12および図13を用いて説明する。図12および図13に示されているのは、ダブルタイプ(利便型)の返却処理であって、第1投入口に近い第1ビン14から第8ビン21へと順番にビンを使用する場合である。この場合、ダブルタイプ(利便型)においては、第1ビン14〜第8ビン21を移動する際に、図9に示すように両側から各ビンを退避する。このため多少スペースを要するが、各ビンを安定して迅速に退避することができる。
【0036】
図12の(1)において、基本ポジションが示され、コンベヤユニットは待機ポジションにある。
【0037】
図12の(2)において、少なくとも第1ビン14が設置され、制御部2は、第1ビン14のための第1ビン設置検出センサ34からの信号により設置を認識する。この状態で図書の返却が可能となり、制御部2は、第1投入口開閉部37により第1投入口22のシャッタを開ける。
【0038】
図12の(3)において、制御部2の制御下において、図書の返却処理が開始され、第1投入口22から搬送された図書は、次々と第1ビン14に格納される。制御部2は、第1ビン満杯検出センサ31からの信号により、第1ビン14の図書の満杯を認識すると、[第1ビン]→[第2ビン]へ使用するビンを変更する。
【0039】
図12の(4)において、制御部2の制御下において、第1コンベヤ部C1を第1コンベヤユニット移動部を用いて第1搬送ポジションに移動する。第1投入口22から搬送された図書は、第1コンベヤ部C1に搬送されて、次々と第2ビン15に格納される。制御部2は、第2ビン満杯検出センサ32からの信号により第2ビン満杯を検出し、[第2ビン]→[第3ビン]へ使用するビンを変更する。
【0040】
図12の(5)において、制御部2の制御下において、第2コンベヤ部C2を第2コンベヤユニット移動部を用いて第1搬送ポジションに移動する。第1投入口22から搬送された図書は、第1コンベヤ部C1および第2コンベヤ部C2に搬送されて、次々と第3ビン16に格納される。制御部2は、第3ビン満杯検出センサからの信号により第3ビン満杯を検出し、[第3ビン]→[第4ビン]へ使用するビンを変更する。
【0041】
図13の(6)において、制御部2の制御下において、第3コンベヤ部C3を第3コンベヤユニット移動部を用いて第1搬送ポジションに移動する。第1投入口22から搬送された図書は、第1コンベヤ部C1乃至第3コンベヤ部C3に搬送されて、次々と第4ビン17に格納される。制御部2は、第4ビン満杯検出センサからの信号により第4ビン満杯を検出し、[第4ビン]→[第5ビン]へ使用するビンを変更する。
【0042】
図13の(7)において、制御部2は、第1投入口開閉部37により第1投入口22のシャッタを閉じ、第2投入口開閉部38により第2投入口22’のシャッタを開け、第1コンベヤ部C1乃至第3コンベヤ部C3を待機ポジションに移動する。第2投入口22’から搬送された図書は、次々と第5ビン18に格納される。制御部2の制御下において、第5ビン満杯検出センサからの信号により第5ビン満杯を検出し、[第5ビン]→[第6ビン]へ使用するビンを変更する。
【0043】
図13の(8)において、制御部2の制御下において、第1コンベヤ部C1を第1コンベヤユニット移動部を用いて第2搬送ポジションに移動する。第2投入口22’から搬送された図書は、第1コンベヤ部C1に搬送されて、次々と第6ビン19に格納される。制御部2は、第6ビン満杯検出センサからの信号により第6ビン満杯を検出し、[第6ビン]→[第7ビン]へ使用するビンを変更する。
【0044】
図13の(9)において、制御部2の制御下において、第2コンベヤ部C2を第2コンベヤユニット移動部を用いて第2搬送ポジションに移動する。第2投入口22’から搬送された図書は、第1コンベヤ部C1および第2コンベヤ部C2に搬送されて、次々と第7ビン20に格納される。制御部2は、第7ビン満杯検出センサからの信号により第7ビン満杯を検出し、[第7ビン]→[第8ビン]へ使用するビンを変更する。
【0045】
図13の(10)において、制御部2の制御下において、第3コンベヤ部C3を第3コンベヤユニット移動部を用いて第2搬送ポジションに移動する。第2投入口22’から搬送された図書は、第1コンベヤ部C1乃至第3コンベヤ部C3に搬送されて、次々と第8ビン21に格納される。制御部2は、第8ビン満杯検出センサからの信号により第8ビン満杯を検出し、格納処理を終了する。
【0046】
また、各第1コンベヤ部C1乃至第3コンベヤ部C3は、各コンベヤ部の下流側の先端であって図書の投入位置に拡散バーK1、第2拡散バーK2、第3拡散バーK3を有しており、図書が突起物である拡散バーに衝突して、少なくとも二つ以上の図書の山に分散されることになる。これにより、容器(ビン)の容量に対して効率的に図書が収納されるため収納効率を向上させることができる。
【0047】
また、各ビンに図書が満たされると、各ビンは、随意、第1ビン移動部51乃至第8ビン移動部55により退避される。ここで、ダブルタイプ(利便型)の構成をもつ自動返却装置1の返却処理の場合は、図9に示すように各ビン列の両側から各ビンが退避されるため、迅速に安定した各ビンの退避を行うことができる。
【0048】
次に、ダブルタイプ(大量省スペース型:投入口2個)の構成をもつ自動返却装置1の返却処理を、図14および図15を用いて説明する。図14および図15に示されているのは、ダブルタイプ(大量省スペース型:投入口2個)の返却処理であって、第1投入口に近い第1ビン14から第8ビン21へと順番にビンを使用する場合である。この場合、ダブルタイプ(大量省スペース型:投入口2個)においては、第1ビン14〜第8ビン21を移動する際に、図9の(3)に示すようにビン列の片側から各ビンを移動する。このため自動返却装置1の設置のためのスペースを少なくすることが可能となる。
【0049】
図14の(1)において、基本ポジションが示され、コンベヤユニットは待機ポジションにある。
【0050】
図14の(2)において、少なくとも第1ビン14が設置され、制御部2は、第1ビン14のための第1ビン設置検出センサ34からの信号により設置を認識する。この状態で図書の返却が可能となり、制御部2は、第1投入口開閉部37により第1投入口22のシャッタを開ける。
【0051】
図14の(3)において、制御部2の制御下において、図書の返却処理が開始され、第1投入口22から搬送された図書は、次々と第1ビン14に格納される。制御部2は、第1ビン満杯検出センサ31からの信号により、第1ビン14の図書の満杯を認識すると、[第1ビン]→[第2ビン]へ使用するビンを変更する。
【0052】
図14の(4)において、制御部2の制御下において、第1コンベヤ部C1を第1コンベヤユニット移動部を用いて第1搬送ポジションに移動する。第1投入口22から搬送された図書は、第1コンベヤ部C1に搬送されて、次々と第2ビン15に格納される。制御部2は、第2ビン満杯検出センサ32からの信号により第2ビン満杯を検出し、[第2ビン]→[第3ビン]へ使用するビンを変更する。
【0053】
図14の(5)において、制御部2の制御下において、第2コンベヤ部C2を第2コンベヤユニット移動部を用いて第1搬送ポジションに移動する。第1投入口22から搬送された図書は、第1コンベヤ部C1および第2コンベヤ部C2に搬送されて、次々と第3ビン16に格納される。制御部2は、第3ビン満杯検出センサからの信号により第3ビン満杯を検出し、[第3ビン]→[第4ビン]へ使用するビンを変更する。
【0054】
図15の(6)において、制御部2の制御下において、第3コンベヤ部C3を第3コンベヤユニット移動部を用いて第1搬送ポジションに移動する。第1投入口22から搬送された図書は、第1コンベヤ部C1乃至第3コンベヤ部C3に搬送されて、次々と第4ビン17に格納される。制御部2は、第4ビン満杯検出センサからの信号により第4ビン満杯を検出し、[第4ビン]→[第5ビン]へ使用するビンを変更する。
【0055】
図15の(7)において、制御部2は、第1投入口開閉部37により第1投入口22のシャッタを閉じ、第2投入口開閉部38により第2投入口22’のシャッタを開け、第1コンベヤ部C1乃至第3コンベヤ部C3を待機ポジションに移動する。第2投入口22’から搬送された図書は、次々と第5ビン18に格納される。制御部2の制御下において、第5ビン満杯検出センサからの信号により第5ビン満杯を検出し、[第5ビン]→[第6ビン]へ使用するビンを変更する。
【0056】
図15の(8)において、制御部2の制御下において、第1コンベヤ部C1を第1コンベヤユニット移動部を用いて第2搬送ポジションに移動する。第2投入口22’から搬送された図書は、第1コンベヤ部C1に搬送されて、次々と第6ビン19に格納される。制御部2は、第6ビン満杯検出センサからの信号により第6ビン満杯を検出し、[第6ビン]→[第7ビン]へ使用するビンを変更する。
【0057】
図15の(9)において、制御部2の制御下において、第2コンベヤ部C2を第2コンベヤユニット移動部を用いて第2搬送ポジションに移動する。第2投入口22’から搬送された図書は、第1コンベヤ部C1および第2コンベヤ部C2に搬送されて、次々と第7ビン20に格納される。制御部2は、第7ビン満杯検出センサからの信号により第7ビン満杯を検出し、[第7ビン]→[第8ビン]へ使用するビンを変更する。
【0058】
図15の(10)において、制御部2の制御下において、第3コンベヤ部C3を第3コンベヤユニット移動部を用いて第2搬送ポジションに移動する。第2投入口22’から搬送された図書は、第1コンベヤ部C1乃至第3コンベヤ部C3に搬送されて、次々と第8ビン21に格納される。制御部2は、第8ビン満杯検出センサからの信号により第8ビン満杯を検出し、格納処理を終了する。
【0059】
また、各第1コンベヤ部C1乃至第3コンベヤ部C3は、各コンベヤ部の下流側の先端であって図書の投入位置に拡散バーK1、第2拡散バーK2、第3拡散バーK3を有しており、図書が突起物である拡散バーに衝突して、少なくとも二つ以上の図書の山に分散されることになる。これにより、容器(ビン)の容量に対して効率的に図書が収納されるため収納効率を向上させることができる。
【0060】
また、各ビンに図書が満たされると、各ビンは、随意、第1ビン移動部51乃至第8ビン移動部55により退避される。ここで、ダブルディープタイプ(利便型)の構成をもつ自動返却装置1の返却処理の場合は、図9に示すように各ビン列の片側から各ビンが退避されるため、自動返却装置1の設置のためのスペースを少なくすることが可能となる。
【0061】
次に、ダブルタイプ(大量省スペース型:投入口1個)の構成をもつ自動返却装置1の返却処理を、図16および図17を用いて説明する。図16および図17に示されているのは、ダブルタイプ(大量省スペース型:投入口1個)の返却処理であって、一つの投入口を用いて、第1投入口に近い第1ビン14から第8ビン21へと順番にビンを使用する場合である。この場合、第1コンベヤ部C1乃至第3コンベヤ部C3をうまく使って、各ビンへ図書を搬送する。
【0062】
また、各ビンの退避は、図9に示すように各ビン列の片側から各ビンが退避されるため、自動返却装置1の設置のためのスペースを少なくすることが可能となる。
【0063】
図16の(1)において、基本ポジションが示され、コンベヤユニットは待機ポジションにある。
【0064】
図16の(2)において、少なくとも第1ビン14が設置され、制御部2は、第1ビン14のための第1ビン設置検出センサ34からの信号により設置を認識する。この状態で図書の返却が可能となり、制御部2は、第1投入口開閉部37により第1投入口22のシャッタを開ける。
【0065】
図16の(3)において、制御部2の制御下において、図書の返却処理が開始され、第1投入口22から搬送された図書は、次々と第1ビン14に格納される。制御部2は、第1ビン満杯検出センサ31からの信号により、第1ビン14の図書の満杯を認識すると、[第1ビン]→[第2ビン]へ使用するビンを変更する。
【0066】
図16の(4)において、制御部2の制御下において、第1コンベヤ部C1を第1コンベヤユニット移動部を用いて第1搬送ポジションに移動する。第1投入口22から搬送された図書は、第1コンベヤ部C1に搬送されて、次々と第2ビン15に格納される。制御部2は、第2ビン満杯検出センサ32からの信号により第2ビン満杯を検出し、[第2ビン]→[第3ビン]へ使用するビンを変更する。
【0067】
図16の(5)において、制御部2の制御下において、第2コンベヤ部C2を第2コンベヤユニット移動部を用いて第1搬送ポジションに移動する。第1投入口22から搬送された図書は、第1コンベヤ部C1および第2コンベヤ部C2に搬送されて、次々と第3ビン16に格納される。制御部2は、第3ビン満杯検出センサからの信号により第3ビン満杯を検出し、[第3ビン]→[第4ビン]へ使用するビンを変更する。
【0068】
図17の(6)において、制御部2の制御下において、第3コンベヤ部C3を第3コンベヤユニット移動部を用いて第1搬送ポジションに移動する。第1投入口22から搬送された図書は、第1コンベヤ部C1乃至第3コンベヤ部C3に搬送されて、次々と第4ビン17に格納される。制御部2は、第4ビン満杯検出センサからの信号により第4ビン満杯を検出し、[第4ビン]→[第5ビン]へ使用するビンを変更する。
【0069】
図17の(7)において、制御部2の制御下において、第1投入口22から搬送された図書は第1コンベヤ部C1により第1コンベヤ部C1の途中まで搬送され、第1コンベヤ部C1は、第1コンベヤユニット移動部11により第2搬送ポジションに移動され、第1コンベヤ部C1は逆回転して図書を第5ビン18に格納する。やがて、制御部2は、第5ビン満杯検出センサからの信号により第5ビン満杯を検出すると、[第5ビン]→[第6ビン]へ使用するビンを変更する。
【0070】
図17の(8)において、制御部2の制御下において、第1投入口22から搬送された図書は第1コンベヤ部C1により第1コンベヤ部C1の途中まで搬送され、第1コンベヤ部C1は、第1コンベヤユニット移動部11により第2搬送ポジションに移動され、第1コンベヤ部C1は図書を第6ビン19に格納する。やがて、制御部2は、第6ビン満杯検出センサからの信号により第6ビン満杯を検出すると、[第6ビン]→[第7ビン]へ使用するビンを変更する。
【0071】
図17の(9)において、制御部2は、第2コンベヤ部C2を第2コンベヤユニット移動部を用いて第2搬送ポジションに移動する。制御部2の制御下において、第1投入口22から搬送された図書は第1コンベヤ部C1により第1コンベヤ部C1の途中まで搬送され、第1コンベヤ部C1は、第1コンベヤユニット移動部11により第2搬送ポジションに移動され、第1コンベヤ部C1および第2コンベヤ部C2は図書を第7ビン20に格納する。やがて、制御部2は、第7ビン満杯検出センサからの信号により第7ビン満杯を検出すると、[第7ビン]→[第8ビン]へ使用するビンを変更する。
【0072】
図17の(10)において、制御部2は、第3コンベヤ部C3を第3コンベヤユニット移動部を用いて第2搬送ポジションに移動する。第1投入口22から搬送された図書は第1コンベヤ部C1により第1コンベヤ部C1の途中まで搬送され、第1コンベヤ部C1は、第1コンベヤユニット移動部11により第2搬送ポジションに移動され、第1コンベヤ部C1乃至第3コンベヤ部C3は図書を第8ビン21に格納する。やがて、制御部2は、第8ビン満杯検出センサからの信号により第8ビン満杯を検出すると、格納処理を終了する。
【0073】
このようにダブルタイプ(大量省スペース型:投入口1個)の構成をもつ自動返却装置1においては、制御部2によりコンベヤ部を制御することで、投入口が第1投入口22ひとつだけの場合でも、二列のビン列の自動返却装置1により図書を格納することができる。
【0074】
また、各第1コンベヤ部C1乃至第3コンベヤ部C3は、各コンベヤ部の下流側の先端であって図書の投入位置に拡散バーK1、第2拡散バーK2、第3拡散バーK3を有しており、図書が突起物である拡散バーに衝突して、少なくとも二つ以上の図書の山に分散されることになる。これにより、容器(ビン)の容量に対して効率的に図書が収納されるため収納効率を向上させることができる。
【0075】
また、上述したように本発明の一実施形態に係る自動返却装置は、図書が平均化されて収納されるため、ビンの収容スペースに無駄がなくなり、ビンの収容容積一杯に図書が収容できる。さらに、沈下型のビンを使用することにより、図書の落下高さが一定となり、図書を傷めることがない。さらに、返却口、ビンの設置数には制約がないため、建屋スペースに合わせた組合せを自由に行える。さらに、ビンの搬出入を1方向とすることが可能となるため、ビンを密着させて設置したり、一方を壁面とすることができ、建屋のスペースを有効に利用することができる。
【0076】
さらに、各ビンのセット確認及び、満杯を検知しているため、優先順位を含め、図書を投入すべき最適なビンを自動検索することができ、ビンがないところに図書を落下させたり、図書をビンより溢れさせるような不具合を生じない。さらに、各ビン毎に満杯を検知しているため、各ビン毎に満杯を通知することができ、適時利用者に処理を促すことができると共に、図書を溢れさせることがないので利用者に余分な作業を強いることもない。さらに、装置構造がシンプルなため、安価に設置できるという効果がある。
【0077】
以上記載した様々な実施形態は複数同時に実施することが可能であり、これらの記載により、当業者は本発明を実現することができるが、更にこれらの実施形態の様々な変形例を思いつくことが当業者によって容易であり、発明的な能力をもたなくとも様々な実施形態へと適用することが可能である。従って、本発明は、開示された原理と新規な特徴に矛盾しない広範な範囲に及ぶものであり、上述した実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0078】
1…自動返却装置、2…制御部、3…操作部、B…図書、C1…第1コンベヤ部、C2…第2コンベヤ部、C3…第3コンベヤ部、K1…第1拡散バー、K2…第2拡散バー、K3…第3拡散バー、11…第1コンベヤユニット移動部、12…第2コンベヤユニット移動部、13…第3コンベヤユニット移動部、14…第1ビン、15…第2ビン、16…第3ビン、17…第4ビン、18…第5ビン、19…第6ビン、20…第7ビン、21…第8ビン、22…投入口、31…第1ビン満杯検出センサ、32…第2ビン満杯検出センサ、33…第8ビン満杯検出センサ、34…第1ビン設置検出センサ、35…第2ビン設置検出センサ、36…第8ビン設置検出センサ、37…第1投入口開閉部、38…第2投入口開閉部、41…第1コンベヤ駆動部、42…第2コンベヤ駆動部、43…第3コンベヤ駆動部、51…第1ビン移動部、52…第2ビン移動部、53…第3ビン移動部、54…第4ビン移動部、55…第8ビン移動部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
図書を搬送するコンベヤ部と、
前記コンベヤ部の下流側の先端であって前記図書の投入位置に設けられ、前記図書の投入位置を一点に集中させないように振り分ける突起部と、
前記コンベヤ部の下流側の先端の下方であり前記図書が投入される位置に配置されることで、前記図書を収納する容器部と、を具備することを特徴とする自動返却装置。
【請求項2】
図書を搬送する複数のコンベヤ部と、
前記複数のコンベヤ部をそれぞれ前記コンベヤ部の搬送方向に対して直角方向に移動する複数の第1移動部と、
前記複数のコンベヤ部の下流側の先端であって前記図書の投入位置にそれぞれ設けられ、前記図書の投入位置を一点に集中させないように振り分ける複数の突起部と、
前記複数のコンベヤ部の下流側の先端の下方であり前記図書が投入される位置に配置されることで、前記図書を収納する複数の容器部と、
前記複数の容器部のそれぞれの配置位置を移動する第2移動部と、
前記第1移動部により前記コンベヤ部を移動し、前記第2移動部により前記容器部を移動することで、前記複数の容器部に順番に複数の図書を収納する制御部と、
を具備することを特徴とする自動返却装置。
【請求項3】
前記容器部は、前記図書の重量に応じて底が沈下することを特徴とする請求項2記載の自動返却装置。
【請求項4】
前記複数の容器部は、複数の列を形成して配置されることを特徴とする請求項2記載の自動返却装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記容器部に設けられ前記図書が一杯になったことを検出する検出部からの信号に基づいて、前記第1移動部により前記複数のコンベヤ部を移動し、前記第2移動部により前記複数の容器部の移動を促すことを特徴とする請求項2記載の自動返却装置。
【請求項6】
前記複数の容器部が複数の列を形成して配置され、
前記制御部は、前記容器部に設けられ前記図書が一杯になったことを検出する検出部からの信号に基づいて、前記第1移動部により前記コンベヤ部を移動し、前記第2移動部により前記容器部を移動することで、前記複数の容器部の内の一つの容器部を選択し、この選択された容器部に前記図書が収納されることを特徴とする請求項2記載の自動返却装置。
【請求項7】
図書を搬送するコンベヤ部を用意し、
前記コンベヤ部の下流側の先端であって前記図書の投入位置に、前記図書の投入位置を一点に集中させないように振り分けるための突起部を設け、
前記コンベヤ部の下流側の先端の下方であり前記図書が投入される位置に前記図書を収納する容器部を配置し、
前記コンベヤ部を駆動させ前記図書を投入させて前記突起部に衝突させることで、前記容器部内に築かれる図書の山を分散させることを特徴とする自動返却方法。
【請求項8】
図書を搬送する複数のコンベヤ部を用意し、
前記複数のコンベヤ部の下流側の先端であって前記図書の投入位置に、前記図書の投入位置を一点に集中させないように振り分けるための突起部をそれぞれ設け、
前記複数のコンベヤ部の下流側の先端の下方であり前記図書が投入される位置に前記図書を収納する複数の容器部を配置し、
前記複数のコンベヤ部を駆動させ前記図書を投入させて前記突起部に衝突させることで、前記複数の容器部内に築かれる図書の山を分散させることを特徴とする自動返却方法。
【請求項9】
前記容器部は、前記図書の重量に応じて底が沈下することを特徴とする請求項8記載の自動返却方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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