説明

自動音声応答装置、自動音声応答プログラム及び自動音声応答方法

【課題】応対時間の短縮化を図る。
【解決手段】実施の形態の自動音声応答装置は、選択要求部、選択結果登録部及び案内順序組替部を備える。選択要求部は、発信元からの着信に応じて、複数の応対項目を設定された順序で音声案内して応対項目の選択を前記発信元に要求する。選択結果登録部は、前記要求に応じて選択された応対項目の選択結果を履歴情報データベースへ登録する。案内順序組替部は、選択結果登録部により登録された内容に基づいて、前記複数の応対項目が音声案内される順序を組み替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、自動音声応答装置、自動音声応答プログラム及び自動音声応答方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般企業の電話総合窓口などで、音声による自動応答を行う自動音声応答装置が利用されている。自動音声応答装置は、電話機による顧客からの着信に応じて、例えば、提供可能な各サービスの内容をそれぞれ項目で表す複数の応対項目を、決められた順序で音声案内する音声ガイダンスを再生する。これにより、希望する応対項目の項目番号などを電話機から選択させる選択操作を顧客に要求する。
【0003】
ここで、上述した選択操作では、顧客が希望する応対項目の音声案内の順番が音声ガイダンスの最後のほうにある場合、顧客にとって不要な応対項目の音声案内を長く聞かされた後で、ようやく所望とする応対項目の項目番号などを知り得ることになる。したがって、この種の不要な待ち時間を削減するための対策が検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−60633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、応対時間の短縮化を図れる自動音声応答装置、自動音声応答プログラム及び自動音声応答方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施の形態の自動音声応答装置は、選択要求部、選択結果登録部及び案内順序組替部を備える。選択要求部は、発信元からの着信に応じて、複数の応対項目を設定された順序で音声案内して応対項目の選択を前記発信元に要求する。選択結果登録部は、前記要求に応じて選択された応対項目の選択結果を履歴情報データベースに登録する。案内順序組替部は、選択結果登録部により登録された前記履歴情報データベースの内容に基づいて、前記複数の応対項目が音声案内される順序を組み替える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】第1の実施形態に係る自動音声応答装置を備えた音声応答処理システムの構成を示す図。
【図2】図1の自動音声応答装置により登録される応答処理情報の内容を示す図。
【図3】図1の自動音声応答装置による処理を示すフローチャート。
【図4】第2の実施形態に係る自動音声応答装置を備えた音声応答処理システムの構成を示す図。
【図5】図4の自動音声応答装置による処理を示すフローチャート。
【図6】第3の実施形態に係る自動音声応答装置を備えた音声応答処理システムの構成を示す図。
【図7】図6の自動音声応答装置により登録される応答処理情報の内容を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施の形態を図面に基づき説明する。
[第1の実施形態]
図1に示すように、本実施形態の自動音声応答装置(IVR:Interactive Voice Response)3を含む音声応答処理システム1は、例えば一般の企業とその顧客(ユーザ)との間で利用されるものであって、前記の自動音声応答装置3に加え、顧客応対履歴情報DB(顧客応対履歴情報データベース)5及び顧客応対履歴集計部6並びに電話機2を備えている。
【0009】
電話機2は、顧客が使用する通話装置である。電話機2と自動音声応答装置3との間は、例えば、一般電話回線やISDN回線などの公衆網、IP−PBXなどの構内交換機、及びLANなどのネットワークを介して互いに接続される。顧客応対履歴情報DB5及び顧客応対履歴集計部6は、LANなどのネットワークを介して自動音声応答装置3と接続された例えばサーバ装置上に構成されている。なお、これらの顧客応対履歴情報DB5及び顧客応対履歴集計部6は、自動音声応答装置3自体に設けられていてもよい。
【0010】
自動音声応答装置3は、音声ガイダンスなどの再生により自動応答を行う装置であって、例えば一般企業の顧客応対用のコールセンタの総合電話窓口などに設置されている。自動音声応答装置3は、概略的には、着呼の検出、受話信号の検出、転送処理、録音音声や合成音声の再生処理、送話信号の送信など、各種の機能を有する。具体的には、自動音声応答装置3は、電話機2による顧客からの着信に応じて、音声で提供可能な各サービスの内容をそれぞれ項目で表す複数の応対項目を、設定した順序で音声案内する音声ガイダンスを自動再生することが可能になっている。
【0011】
つまり、自動音声応答装置3は、図1に示すように、着信受付部として機能する通話着信検出部12、受話信号受信部14、選択結果抽出部15、音声応答コールフロー処理部20、送話音声DB(送話音声データベース)9、音声応答コールフローシナリオDB(音声応答コールフローシナリオデータベース)10、案内順序組替部7、及び送話信号送信部8を備えている。
【0012】
ここで、自動音声応答装置3は、RAMなどのメインメモリ、HDDなどの外部(補助)記憶装置、CPU、ROMといった各種のハードウェアを搭載している。自動音声応答装置3は、外部記憶装置やROMなどに予め格納された音声応答処理プログラムをメインメモリ上にロードすることによって、上記した案内順序組替部7、音声応答コールフロー処理部20を含む各構成要素をソフトウェアによって実現する。なお、案内順序組替部7や音声応答コールフロー処理部20を含む各構成要素は、ソフトウェアに代えてハードウェアで構成されていてもよい。
【0013】
図1に示すように、通話着信検出部12は、顧客が使用する電話機2の着呼を検出することにより、電話機2からの着信を受け付ける。受話信号受信部14は、通話中に顧客が電話機2の例えばボタン1〜9のうちのいずれかを押した時の選択操作を受け付ける。選択結果抽出部15は、ボタン1〜9のうちの選択操作されたいずれかのボタンの番号を抽出し、抽出したこの番号を音声応答コールフロー処理部20に通知する。
【0014】
送話音声DB9は、音声ガイダンスなどの応答メッセージの生成に用いる慣用的な例文や単語などに対応した音声データを記憶している。詳述すると、送話音声DB9には、「応対項目1(専用電話窓口Aでの応対)をご希望の方は番号1を」、「応対項目2(専用電話窓口Bでの応対)をご希望の方は番号2を」、「押して下さい。」、「音声ガイダンスの途中でも番号の入力は可能です。」、「電話を専用電話窓口Aへおつなぎします。」といった各種の音声データが記憶されている。応対項目としては、例えば、サービスの契約方法、契約内容の変更方法、サービスの解約方法、サービスの利用に必要な機器の入手方法、機器の設定方法、機器の不具合に対する相談、利用料金の紹介、などが挙げられる。
【0015】
音声応答コールフローシナリオDB10には、送話音声DB9に記憶された複数の音声データを例えば適宜組み合わせて、所定の応答メッセージを作成するためのシナリオデータが記憶されている。このシナリオデータとは、音声データを再生させる順番や、再生させた音声データに対応してユーザから入力された選択情報に基づき次に再生させる音声データ等を示すものである。送話信号送信部8は、送話音声DB9や音声応答コールフローシナリオDB10を利用して作成される応答メッセージを、電話機2で音声として再生可能な送話信号にして電話機2へ送信する。
【0016】
音声応答コールフロー処理部20は、送話音声DB9及び音声応答コールフローシナリオDB10を参照しつつ、電話機2と自動音声応答装置3本体との間でのやり取りの状況に応じた応答メッセージを作成する。また、音声応答コールフロー処理部20は、上述した電話機2との間での情報のやり取りの結果を、顧客応対履歴情報として、顧客応対履歴情報DB5に登録する。具体的には、音声応答コールフロー処理部20は、図1に示すように、選択要求部21、選択結果登録部22、応答処理情報登録部23、応答処理実行部24を備えている。
【0017】
選択要求部21は、発信元からの着信に応じて、複数の応対項目(音声サービスの選択候補)を、予め設定された順序で音声案内して応対項目の選択を発信元に要求する。詳細には、電話機2による発信者(顧客)からの着信を通話着信検出部12で受け付けた場合、選択要求部21は、音声ガイダンスを再生させ、所望の応対項目の項目番号に該当した電話機2上のボタン1〜9のいずれかを顧客に選択させる。音声ガイダンスに応じて選択されるこの項目番号は、前述した受話信号受信部14及び選択結果抽出部15を介して取得される。
【0018】
選択結果登録部22は、選択要求部21による要求に応じて、発信者(顧客)から選択された応対項目の選択結果である項目番号を、顧客応対履歴情報DB5に登録する。ここで、後に詳述する案内順序組替部7は、選択結果登録部22により顧客応対履歴情報DB5に登録された内容に基づいて、選択要求部21を通じて実行される複数の応対項目の音声案内の順序を組み替える。
【0019】
応答処理情報登録部23は、図2に示すように、複数の応対項目をそれぞれ識別するための前述した項目番号と応対項目毎にそれぞれ対応する応答処理の内容とを互いに関連付けた応答処理情報18を、例えば顧客応対履歴情報DB5が構築されている外部記憶装置などに登録する(記憶させる)。さらに、本実施形態の応答処理情報登録部23は、案内順序組替部7が組み替える応対項目毎の音声案内の順序(順序番号)を、当該応対項目及び応答処理の内容に関連付けたかたちで応答処理情報18を登録する。
【0020】
応答処理実行部24は、応答処理情報登録部23により登録された登録内容と選択された応対項目の選択結果とに基づいて、当該選択された応対項目の項目番号に対応した応答処理を実行する。図2に示すように、応答処理Aは、例えば「電話を専用電話窓口Aへおつなぎします。」という応答メッセージを音声案内する送話処理と、実際に電話を総合電話窓口から専用電話窓口Aへ転送する転送処理とを含む処理である。同様に、応答処理B(又はC、D、E、F…)は、例えば「電話を専用電話窓口B(又はC、D、E、F…)へおつなぎします。」という応答メッセージを音声案内する送話処理と、実際に着信中の電話を総合電話窓口から専用電話窓口B(又はC、D、E…)へ転送する転送処理とを含む処理である。
【0021】
なお、この他の応答処理としては、例えば、実際に電話を専用電話窓口Aから、さらに下位の階層の専用電話窓口である専用電話窓口A1(又はB1、C1、D1、E1、F1…)へ転送する転送処理と、「電話を専用電話窓口A1(又はB1、C1、D1、E1、F1…)へおつなぎします。」という応答メッセージを音声案内する送話処理と、を含むものなどがある。
【0022】
また、顧客応対履歴情報の登録を行う音声応答コールフロー処理部20は、具体的には、各音声サービスの内容を項目としてそれぞれ表した各応対項目の項目番号(選択肢)と、予めデフォルトとして設定された応対項目毎の音声案内の順序番号(シナリオ内順序)と、顧客が選択した応対項目の項目番号(選択結果)と、を互いに対応付けて顧客応対履歴情報として顧客応対履歴情報DB5に登録する。
【0023】
ここで、本実施形態の音声応答コールフロー処理部20は、発信者である顧客を特定せず、全ユーザが選択した項目番号をまとめて顧客応対履歴情報DB5に登録する。これにより、ユーザ全体が所望する音声サービス(応対項目)を顧客応対履歴情報DB5に反映させることができる。
【0024】
顧客応対履歴集計部6は、顧客応対履歴情報DB5に登録された上記の顧客応対履歴情報を集計し、全顧客を対象として選択回数の多い順に順位を定めた応対項目毎の選択順位を決定する。案内順序組替部7は、顧客応対履歴集計部6で決定された応対項目毎の選択順位を参照することによって、音声ガイダンスとして順次音声案内される各応対項目の案内順序を、選択順位の若い(選択回数の多い)応対項目がより早い順番で音声案内されるように、組み替える。なお、前記の他の応答処理として例示したように、応対項目が選択された後、さらにその下位の階層で応対項目が選択される場合など、応対項目の選択が複数の階層に分かれているときには、各階層において応対項目毎の選択順位が決定され、これに応じて各階層において音声案内の順序がそれぞれ組み替えられる。
【0025】
図2では、項目番号“4”の応対項目の選択順位[選択回数]が1位になった場合(かつ項目番号“4”以外の全ての応対項目の選択順位が例えば同率で2位になった場合)の組替処理を示している。デフォルトでは、項目番号“1”、“2”、“3”、“4”、“5”、“6”…の順に応対項目の選択頻度が多いことを想定していたことに対し、項目番号“4”の選択順位[選択回数]が1位になったため、項目番号“1”、“2”、“3”、“4”、“5”、“6”…にそれぞれ対応した音声案内の順序は“1”、“2”、“3”、“4”、“5”、“6”…から“2”、“3”、“4”、“1”、“5”、“6”…に組み替えられる。
【0026】
この際、送話信号送信部8は、例えば「応対項目4をご希望の方は番号4を、応対項目1をご希望の方は番号1を、応対項目2をご希望の方は番号2を…、押して下さい。なお、音声ガイダンスの途中でも番号の入力は可能です。」といった音声ガイダンスを電話機2に対して送話する。これにより、顧客全体のニーズの高い応対項目の項目番号が先に音声案内されるので、音声ガイダンス開始後の早い段階で顧客が所望とする項目番号を選択することが可能となり、その項目番号に対応した応答処理を迅速に実行させることができる。
【0027】
さらにこの際、図2に示したように、登録する応答処理情報登録部23は、応対項目の項目番号と音声案内の順序番号との対応付け(番号の並び)を顧客の選択結果に応じて適宜変更するものの、応対項目の項目番号と応答処理の内容との対応付けを変えないようにして応答処理情報18を登録している。つまり、ある顧客が所望する応対項目が例えば顧客全体のニーズの低い応対項目であって、その項目番号が音声ガイダンスの最後のほうで音声案内される状況になったとしても、その顧客が所望の応対項目に対応した項目番号を事前に知り得ている場合には、その項目番号を音声ガイダンスの途中で直ちに入力して、希望する応対項目に対応した応答処理を実行させることができる。応答処理情報18のこのようなデータ構造によっても、待ち時間の少ない迅速なサービスを顧客に提供することができる。
【0028】
次に、自動音声応答装置3により実現される自動音声応答方法を、図1、図2に加え、図3に示すフローチャートに基づき、音声応答コールフローシナリオDB10に記憶されたシナリオに沿った音声応答フロー処理部20の処理を中心に説明する。図1、図3に示すように、まず、通話着信検出部12が、電話機2による顧客からの着信を受け付けた場合(S[ステップ]1のYES)、音声応答コールフロー処理部20は、送話対応の後に音声コールフローシナリオの現ステップにおいてさらに受話対応が必要になるか否かを判断する(S2)。後の処理に受話対応が必要になる場合(S2のYES)、案内順序組替部7は、今回の着信を受け付ける以前の前回処理までの期間において、後述するステップ6(S6)で顧客が選択した応対項目の選択結果に基づいて、音声ガイダンスにて出力されることになる各応対項目の音声案内の順序を組み替える(S3)。
【0029】
次に、音声応答コールフロー処理部20の選択要求部21は、組み替えられた順序(又は初回の場合は予め設定された順序)で各応対項目を送話信号送信部8を介して電話機2側へ音声案内し、これによって応対項目の選択を発信者に要求する(S4)。続いて、選択結果抽出部15は、受話信号受信部14で受け付けた選択操作に対応した応対項目の項目番号を選択結果として抽出する(S5)。次いで、音声応答コールフロー処理部20の選択結果登録部22は、選択結果抽出部15から選択結果として通知された応対項目の項目番号を、顧客応対履歴情報DB5に登録する(S6)。
【0030】
さらに、音声応答コールフロー処理部20は、全ての応対項目の各項目番号(選択肢)と、デフォルトで設定されている応対項目毎の音声案内の順番(シナリオ内順序)と、今回の着信で顧客が選択した応対項目の項目番号(選択結果)と、を互いに関連付けるコールフロー内部詳細処理を行い(S7)、この処理結果を顧客応対履歴情報として顧客応対履歴情報DB5に登録する。次に、音声応答コールフロー処理部20は、送話対応が例えば音声コールフローシナリオの現ステップにおいてさらに必要になると判断し(S8のYES)、その後の処理に受話対応が不要であると判断した場合(S2のNO)には、例えば「電話を専用電話窓口Dへおつなぎします。」などといった受話対応が不要な音声メッセージを送話信号送信部8を介して送話し(S9)、処理終了となる。
【0031】
既述したように、本実施形態の自動音声応答装置3は、複数の応対項目からの全顧客による選択の履歴を反映させ、選択頻度の高い応対項目をより早い順番で音声案内するように各応対項目の音声案内の順序を組み替える。したがって、自動音声応答装置3によれば、顧客全体からの要請の高い応対項目及びその項目番号が優先的に音声案内されるので、音声ガイダンスが開始されてからの早い段階で所望の項目番号を選択し、その項目番号に対応した応答処理を迅速に実行させることが可能になる。これにより、顧客側での不要な待ち時間が削減され、結果的に応対時間の短縮化を図ることができる。
【0032】
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態を図4及び図5に基づいて説明する。なお、図4において、第1の実施形態で説明した図1中の構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付与しその説明を省略する。図4に示すように、本実施形態の自動音声応答装置33を含む自動音声応答処理システム31は、第1の実施形態の顧客応対履歴情報DB5及び顧客応対履歴集計部6に代えて、顧客応対履歴情報DB35及び顧客応対履歴集計部36を備えている。
【0033】
また、本実施形態の自動音声応答装置33は、図4に示すように、第1の実施形態の音声応答コールフロー処理部20及び案内順序組替部7に代えて、音声応答コールフロー処理部30及び案内順序組替部37を有する共に、発信者番号受信部39を含む発信者特定部34さらに備えている。また、上記の音声応答コールフロー処理部30は、第1の実施形態の選択結果登録部22に代えて選択結果登録部32を備えている。
【0034】
すなわち、発信者特定部34は、着信受付部として機能する通話着信検出部12で受け付けた着信の内容に基づいて発信者を特定する。具体的には、発信者特定部34の備える発信者番号受信部39は、顧客が例えば番号通知でダイヤルしてきたときに通知される電話番号や電話機2によるボタン操作で入力された電話番号のその着信結果から発信者(顧客)を特定する。また、発信者特定部34は、電話機2によるボタン操作で入力された顧客のID(識別番号)やパスワードの着信結果に基づいて発信者(顧客)を特定するものであってもよい。
【0035】
音声応答コールフロー処理部30の選択結果登録部32は、特定された発信者に対応付けて応対項目の選択結果を登録する。つまり、選択結果登録部32は、第1の実施形態の顧客応対履歴情報DB5に登録される顧客応対履歴情報のデータ構造を一部変更し、選択要求部21による選択要求に応じて選択された応対項目の項目番号(選択結果)と、発信者特定部34で特定された発信者(実質的には発信者の所有する電話番号や、発信者の所有するID及びパスワードなど)と、をさらに対応付けした顧客応対履歴情報を顧客応対履歴情報DB35に登録する。具体的には、選択結果登録部32は、同一の顧客からの着信がある度に顧客応対履歴情報DB35にある複数のレコードの中から、着信を受け付けた対象の顧客のレコードを抽出して、項目番号の選択結果を追加登録する。
【0036】
顧客応対履歴集計部36は、顧客応対履歴情報DB35に登録された上記の顧客応対履歴情報を発信者(顧客)毎に集計し、個々の顧客を対象とし、選択回数の多い順に各応対項目の順位を顧客毎に定めた選択順位を決定する。案内順序組替部37は、選択結果登録部32による発信者に対応付けた登録内容に基づいて、複数の応対項目が音声案内される順序を発信者毎に組み替える。より詳細には、案内順序組替部37は、顧客応対履歴集計部36で決定された各応対項目についての顧客毎の選択順位を参照することで、音声ガイダンスにおける各応対項目の音声案内の順序を、顧客単位において選択順位の若い(選択回数の多い)応対項目がより早い順番で音声案内されるように組み替える。
【0037】
次に、このような自動音声応答装置33により実現される自動音声応答方法を、上記した図4に加え、図5に示すフローチャートに基づき、音声応答コールフローシナリオDB10に記憶されたシナリオに沿った音声応答フロー処理部20の処理を中心に説明する。図5に示すように、第2の実施形態の自動音声応答装置33による自動音声応答方法では、S(ステップ)11、S13、S15、S16、S18、S19及びS20の処理は、それぞれ第1の実施形態のS1、S2、S4、S5、S7、S8及びS9の処理とほぼ同様であるものの、当該第2の実施形態ではS12の処理が追加されていると共に、S14、S17の処理が、第1の実施形態のS3、S6の処理と異なっている。
【0038】
つまり、S(ステップ)12では、発信者特定部34が、通話着信検出部12で受け付けた着信の内容に基づいて発信者(顧客)を特定し、S17では、受話対応において選択結果抽出部15により抽出された応対項目の項目番号(選択結果)を、選択結果登録部32が、特定された発信者と対応付けて顧客応対履歴情報DB35に登録する。また、S14では、案内順序組替部37は、特定された顧客の今回の着信を受け付ける以前の前回処理までの期間において、S17での当該顧客による応対項目の選択結果に基づいて、音声ガイダンスにおける各応対項目の音声案内の順序を組み替える。
【0039】
したがって、本実施形態の自動音声応答装置33によれば、顧客単位でニーズの高い応対項目の項目番号が先に音声案内されることになるので、その顧客が所望する項目番号を音声ガイダンス開始後の早い段階で選択させることを可能とし、この項目番号に対応した応答処理を迅速に実行させることができる。これにより、顧客毎の要請を反映させたサービスを提供することができる。
【0040】
[第3の実施形態]
次に、第3の実施形態を図6及び図7に基づいて説明する。なお、図6において、第1、第2の実施形態で説明した図1、図4中の構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付与しその説明を省略する。図6に示すように、本実施形態の自動音声応答装置53を含む自動音声応答処理システム51は、第2の実施形態の顧客応対履歴情報DB35及び顧客応対履歴集計部36に代えて、顧客応対履歴情報DB55及び顧客応対履歴集計部56を備えている。
【0041】
また、本実施形態の自動音声応答装置53は、図6に示すように、第2の実施形態の選択結果登録部32及び応答処理情報登録部23を含む音声応答コールフロー処理部30と案内順序組替部37とに代えて、選択結果登録部52及び応答処理情報登録部43を含む音声応答コールフロー処理部50と案内順序組替部57とを有している。
【0042】
すなわち、選択結果登録部52は、第2の実施形態の顧客応対履歴情報DB35に登録される顧客応対履歴情報のデータ構造を一部変更し、図6に示すように、選択要求部21による要求に応じて発信者(顧客)から選択された応対項目(の項目番号)と、関連する応対項目どうしをまとめてグループ分けした複数のグループ項目(α、β…)のうち当該選択された応対項目の属するグループ項目と、をさらに関連付けした顧客応対履歴情報を発信者毎に顧客応対履歴情報DB55に登録する。
【0043】
グループ項目について詳述すると、例えば項目番号1、2、3でそれぞれ表される応対項目が、「サービスの契約方法」、「契約内容の変更方法」、「サービスの解約方法」である場合、各応対項目の概念がサービスの契約事項に関する項目として互いに共通しているため、これらは例えばグループ項目αに属する応対項目としてグループ分けされる。また、例えば項目番号4、5、6でそれぞれ表される応対項目が、「サービスの利用に必要な機器の入手方法」、「機器の設定方法」、「機器の不具合に対する相談」である場合、各応対項目の概念がサービスで用いる機器に関する項目として互いに共通しているため、これらは例えばグループ項目βに属する応対項目としてグループ分けされる。
【0044】
顧客応対履歴集計部56は、顧客応対履歴情報DB55にグループ項目を含めて登録された顧客応対履歴情報を発信者(顧客)毎に集計し、顧客単位において選択回数の最も多い応対項目を選出すると共に、選出されたこの応対項目と同一のグループ項目に属する他の応対項目をさらに選出し、この結果に基づいて、全ての応対項目についての優先案内順位を顧客単位で決定する。具体的には、顧客応対履歴集計部56は、選択回数の最も多い応対項目が最も若い優先案内順位である1位となり、次に当該応対項目と同一のグループ項目に属する他の応対項目のうちで、デフォルトでの音声案内の順序が早いものから順に優先案内順位が2位、3位…となる順位付けをする。
【0045】
案内順序組替部57は、選択された応対項目に対しグループ項目を関連付けて登録した選択結果登録部52による顧客応対履歴情報DB55への登録内容に基づいて、各応対項目が音声案内される順序を組み替える。より詳細には、案内順序組替部37は、顧客応対履歴集計部36で決定された各応対項目についての顧客毎の優先案内順位を参照することで、音声ガイダンスにおける各応対項目の音声案内の順序を、顧客単位において優先案内順位の若い応対項目がより早い順番で音声案内されるように組み替える。
【0046】
また、応答処理情報登録部43は、図7に示すように、各応対項目の項目番号と、応対項目毎にそれぞれ対応する応答処理の内容と、応対項目の属するグループ項目と、案内順序組替部57が組み替える応対項目毎の音声案内の順序(順序番号)と、を互いに関連付けた応答処理情報58を、例えば顧客応対履歴情報DB55が構築されている外部記憶装置などに登録する。
【0047】
ここで、図7の例示では、項目番号“4”の応対項目の選択回数が1位になった場合(かつ項目番号“4”以外の全ての応対項目の選択回数が例えば同率で2位になった場合)の組替処理を示している。デフォルトでは、項目番号“1”、“2”、“3”、“4”、“5”、“6”…の順に応対項目の選択頻度が多いことを想定していたことに対し、ある顧客の場合では、項目番号“4”の選択回数が1位になったため、項目番号“1”、“2”、“3”、“4”、“5”、“6”…にそれぞれ対応した音声案内の順序は“1”、“2”、“3”、“4”、“5”、“6”から“4”、“5”、“6”、“1”、“2”、“3”に組み替えられる。
【0048】
ここで、上記のように組替処理された音声案内の順序番号について、本実施形態の図7の応答処理情報58と第1の実施形態の図2に示す応答処理情報18とを比較すると明らかであるように、項目番号“4”の選択回数が1位になったことで、項目番号“4”の音声案内の順序は、初期(デフォルト)の1番から4番に繰り上がり、これに伴い、同一のグループ項目βに属する応対項目“5”、“6”の音声案内の順序は、デフォルトでは5番、6番だったものが、それぞれ2番、3番へと繰り上げられる。
【0049】
すなわち、本実施形態の自動音声応答装置53は、顧客単位でニーズの高い応対項目とその応対項目に関連する同一のグループ項目中の応対項目とが優先的に音声案内されることになる。したがって、自動音声応答装置53によれば、顧客から直接的に要請の高い応対項目とその項目に関連性があることから後に選択される可能性が非常に高い応対項目との項目番号を、音声ガイダンス開始後の早い段階で選択させることが可能となり、これに伴い対応する応答処理を迅速に実行させることができる。これにより、不要な待ち時間を削減する効果を高めることができ、応対時間のさらなる短縮化を図ることができる。
【0050】
なお、第3の本実施形態では、グループ項目を含む応対項目の選択結果を顧客毎に登録し、これに基づき音声案内の順序を顧客毎に並べ替える例を示したが、これに代えて、顧客を特定することなく顧客全体を対象としてグループ項目を含む応対項目の選択結果を登録し、これに基づき、顧客全体を対象として音声案内の順序を並べ替えるようにしてもよい。
【0051】
以上、具体的に説明した各実施形態は例示であり、権利範囲はこれらにのみ限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、自動音声応答装置3、33、53に音声認識の機能を付与することで、所望の項目番号を発信者に発話させ、音声認識により応対項目の項目番号を自動音声応答装置3、33、53側で取得するようにしてもよい。
【0052】
また、例えば、自動音声サービスが継続的に提供されている継続期間中の、ある期間を特定し、特定したその期間においては、応対項目毎やグループ項目毎に対し、選択順位や優先案内順位を順位付けする際の重み付けを付与するようにしてもよい。つまり、音声案内の順序を左右する上記の重み付けを時期に応じて取り入れるようにすることで、例えば1年間のうちの所定の時期に問い合わせが集中することが予想される応対項目(及びグループ項目)については、音声ガイダンスの最初のほうで音声案内が行われるように設定することなどが可能となる。
【符号の説明】
【0053】
1,31,51…音声応答処理システム、2…電話機、3,33,53…自動音声応答装置、5,35,55…顧客応対履歴情報DB(顧客応対履歴情報データベース)、6,36,56…顧客応対履歴集計部、7,37,57…案内順序組替部、8…送話信号送信部、9…送話音声DB(送話音声データベース)、10…音声応答コールフローシナリオDB(音声応答コールフローシナリオデータベース)、12…通話着信検出部、14…受話信号受信部、15…選択結果抽出部、18,58…応答処理情報、20,30,50…音声応答コールフロー処理部、21…選択要求部、22,32,52…選択結果登録部、23,43…応答処理情報登録部、24…応答処理実行部、34…発信者特定部、39…発信者番号受信部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発信元からの着信に応じて、複数の応対項目を設定された順序で音声案内して応対項目の選択を前記発信元に要求する選択要求部と、
前記要求に応じて選択された応対項目の選択結果を履歴情報データベースに登録する選択結果登録部と、
前記選択結果登録部により登録された前記履歴情報データベースの内容に基づいて、前記複数の応対項目が音声案内される順序を組み替える案内順序組替部と、
を具備する自動音声応答装置。
【請求項2】
発信元からの着信を受け付ける着信受付部と、
前記着信受付部で受け付けた着信の内容に基づいて発信者を特定する発信者特定部と、
をさらに備え、
前記選択結果登録部は、前記特定された発信者に対応付けて前記応対項目の選択結果を前記履歴情報データベースに登録し、
前記案内順序組替部は、前記選択結果登録部による発信者に対応付けた登録内容に基づいて、前記複数の応対項目が音声案内される順序を発信者毎に組み替える、
請求項1記載の自動音声応答装置。
【請求項3】
前記複数の応対項目をそれぞれ識別するための項目番号と応対項目毎にそれぞれ対応する応答処理の内容とを互いに関連付けて前記履歴情報データベースに登録する応答処理情報登録部と、
前記応答処理情報登録部による前記履歴情報データベースの登録内容と前記選択された応対項目の選択結果とに基づいて、当該選択された応対項目の項目番号に対応した応答処理を実行する応答処理実行部と、
をさらに備える請求項1又は2記載の自動音声応答装置。
【請求項4】
前記選択結果登録部は、前記要求に応じて選択された応対項目と、関連する応対項目どうしをまとめてグループ分けした複数のグループ項目のうち当該選択された応対項目の属するグループ項目と、を互いに関連付けて前記履歴情報データベースに登録し、
前記案内順序組替部は、前記選択された応対項目に対し前記グループ項目を関連付けて登録された前記履歴情報データベースの登録内容に基づいて、前記複数の応対項目が音声案内される順序を組み替える、
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の自動音声応答装置。
【請求項5】
発信元からの着信に応じて、複数の応対項目を決められた順序で音声案内して応対項目の選択を前記発信元に要求する選択要求部と、
前記要求に応じて選択された応対項目の選択結果を履歴情報データベースに登録する選択結果登録部と、
前記選択結果登録部により登録された前記履歴情報データベースの内容に基づいて、前記複数の応対項目が音声案内される順序を組み替える案内順序組替部、
としてコンピュータを機能させる自動音声応答プログラム。
【請求項6】
発信元からの着信に応じて、複数の応対項目を決められた順序で音声案内して応対項目の選択を前記発信元に要求する選択要求ステップと、
前記要求に応じて選択された応対項目の選択結果を履歴情報データベースに登録する選択結果登録ステップと、
前記選択結果登録ステップで登録された前記履歴情報データベースの内容に基づいて、前記選択要求ステップで前記複数の応対項目が音声案内される順序を組み替えるステップと、
を有する自動音声応答方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−248962(P2012−248962A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−117339(P2011−117339)
【出願日】平成23年5月25日(2011.5.25)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】