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自己アセンブルされる血管内構造物
説明

自己アセンブルされる血管内構造物

本発明は、リガンド結合の原理を介する構造物のin situ形成に関する。これらの構造は組織修復のためにならびに短期および長期疾患および症状管理のために有効である。本発明の一態様によれば、自己アセンブル性ナノ粒子を含んでなる注入可能な組成物が提供される。自己アセンブル性ナノ粒子は、(a)ナノ粒子部分、(b)該組成物を身体中に注入すると、1以上の標的化した組織位置においてナノ粒子の優先的結合および蓄積を生じるナノ粒子部分に付着した組織結合リガンド、および(c)該組成物を身体中に注入すると、粒子間結合を生じるナノ粒子部分に付着した第1および第2の粒子間結合リガンドを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、様々な疾患と症状を治療するのに役立つ自己アセンブルされる血管内構造に関する。
【背景技術】
【0002】
血管内医療デバイスの展開と設置に関する当技術分野の現状はプロファイルと送達事象への挑戦である。例えば、ステントを適当に送達しかつ配置する前に、最初に特定の標的部位を複雑な撮像と感知手順を用いて検出しかつ特徴付けなければならない。次いで、ガイドワイヤー、カテーテル、および様々な他のデバイスを用いて手間のかかる追跡と送達手順を実施する。これらの手順は所望の結果を得るまでしばしば繰り返さなければならない。従って、これらの手順には大変な費用がかかる。
【0003】
さらに、分子レベルで介入できる治療用デバイス、例えばBoston Scientific社のパクリタキセル系薬物溶出ステントは疾患管理に重要な可能性を示している。しかし、効果的である一方、かかるデバイスは複雑かつ高価である。
【発明の開示】
【0004】
以上のおよび他の挑戦は、特異的な、効果的な、かつ高度の自由度と精度で展開できる安価な血管内構築物の必要性を強調している。
【0005】
この点について、本発明はリガンド結合の原理を介する血管内構造のin situ形成に関する。これらの構造は、例えば、組織修復ならびに短期および長期疾患管理に効果的である。
【0006】
本発明の一態様によれば、自己アセンブル性ナノ粒子を含んでなる注入可能な組成物が提供される。自己アセンブル性ナノ粒子は(a)ナノ粒子部分、(b)組成物を身体中に注入すると1以上の標的化した組織位置でナノ粒子の優先的な結合および蓄積を生じるナノ粒子部分に付着した組織結合リガンド、ならびに(c)組成物を身体中に注入すると、粒子間結合を生じるナノ粒子部分に付着した第1と第2の粒子間結合リガンドを含む。
【0007】
本発明の応用の具体的な例には、脆弱なプラークおよび動脈瘤管理のための血管内パッチ、血流を増大しかつ血管開存性を維持するための拡張可能なステント、うっ血性心不全のための収縮性パッチ、薬物送達構造物、および組織工学のための骨格のin situ形成が含まれる。しかし、このプラットフォーム技術の応用はあらゆる分野にあり、当業者が以下の詳細な説明と請求項を読めば多数の他の応用は直ぐ明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
詳細な説明
本発明の多数の態様と実施形態の以下の詳細な説明を参照することによって本発明のさらに完全な理解が得られる。以下の実施形態の詳細な説明は、本発明を説明することを意図するものであり、決して限定するものではない。
【0009】
本明細書に引用した全ての出版物、特許および特許出願は、前後の記載を問わず、参照により本明細書にその全てが組み入れられる。
【0010】
本発明の第1の態様によれば、自己アセンブル性ナノ粒子を含有する組成物が提供される。これらのナノ粒子は、順に、次を含んでなる:(a)ナノ粒子部分、(b)身体の1以上の標的位置でナノ粒子の優先的な結合および蓄積を生じる、ナノ粒子部分に付着した組織結合リガンド、ならびに(c)優先的にお互いに結合する第1と第2の粒子間結合リガンドが同じであってもまたは異なってもよい、ナノ粒子部分に付着した第1および第2粒子間結合リガンド
本発明による組成物は、様々な経路を介して注入することができ、かかる経路には、とりわけ、血管内注入(例えば、静脈内注入、動脈内注入、冠動脈内注入、心臓内注入など)、筋肉内注入、皮下注入、および腹腔内注入経路が含まれる。注入はシリンジ、静脈薬物送達カテーテル、動脈薬物送達カテーテルなどを含む様々な公知の医療デバイスを介して実施することができる。ある特定の実施形態においては、薬物送達カテーテルは、薬物送達をより局在化し、全身送達を少なくすることを容易にするので有利である。様々な薬物送達カテーテル設計が公知であり、それらには、とりわけ、灌流カテーテル、注入カテーテル、および二重バルーンカテーテルが含まれる。
【0011】
いくつかの実施形態において、ナノ粒子は注入前に貯蔵されるかまたは粒子間結合リガンド間の結合を阻害する溶液を用いて再水和される。これらの実施形態においてナノ粒子は注入時点に実質的な凝集を防止するのに十分な低濃度で注入されるので、ナノ粒子が(例えば、微粒子上の組織結合リガンドの存在によって)アセンブリー部位においてお互いに密接に会合するときに結合の大部分が起こる。他の実施形態においては、第1と第2の粒子間結合リガンドの少なくとも1つが、身体内の1以上の標的位置においてin vivoで活性化される。本発明のこれらの特徴は標的部位におけるナノ粒子の自己アセンブリーを可能にする一方、同時に、例えば注入前の、未熟な粒子間凝集を回避する。
【0012】
粒子間結合リガンドがin vivoで活性化される実施形態については、かかる活性化は好適な方法を介して進めることができる。例えば、粒子間結合リガンドの1つまたは両方を、粒子間結合リガンドがお互いに結合するのを阻止する不活性化部分(多数の他の選択肢のなかでも、例えば親水性ポリマー鎖)に可逆的に付着させることにより不活性化してもよい。次いで不活性化部分を身体内の1以上の標的位置で、例えば、酵素または光に曝して(例えば、カテーテルを用いて)切断し、リガンドから不活性化部分をin vivoで放出させる。例えば、Subr Vら, 「酵素分解性結合を含有する親水性ゲルからの高分子およびダウノマイシンの放出(Release of macromolecules and daunomycin from hydrophilic gels containing enzymatically degradable bonds)」 J Biomater Sci Polym Ed. 1990;1(4):261-78を参照されたい。
【0013】
同様に、粒子間結合リガンドの1つまたは両方を、熱分解性である連鎖を介して、不活性化部分と可逆的に付着させることにより不活性化してもよい。(これらおよび本明細書に記載の他の例において、典型的な適用温度は標的位置における組織結合リガンドと組織間の連鎖の破壊を回避するのに十分低い温度である)。次いで不活性化部分をリガンドからin vivoで熱により(例えば、MRIにより加熱するなど、またはカテーテルを介してその領域を温かい溶液で洗浄することにより)切断して不活性化部分を放出させる。熱不安定性である連鎖には、金属配位結合、例えば、アクリルアミドポリマーの金属配位結合を介するヒスチジン基との連鎖が含まれる。(例えば、以下のChenらおよびWangらを参照されたい)。他の例は、お互いに多重水素結合を介して対合する基の間の連鎖である。かかる分子の例は、Sherrington DC および Taskinen KA、「多重水素結合相互作用を介する合成高分子系における自己アセンブリー(Self-assembly in synthetic macromolecular systems via multiple hydrogen bonding interactions)」, Chem. Soc. Rev., 2001, 30 (2), 83-93, に記載され、それには、チミン/ウラシルとアデニンの間およびシトシンとグアニンの間の周知の水素結合、ならびにウレドピリミジノン残基を用いる4つの水素を介する結合のような高次結合が含まれる。(ウレドピリミジノン残基はお互いと結合し、従って同じであるがお互いと結合するリガンドであることに注意されたい。この点で、かかるリガンドはまた、本発明のある特定の実施形態における粒子間結合用にも利用される。)
他の実施形態においては、粒子間結合リガンドの1つまたは両方はヒドロゲルポリマー内に包埋される。ヒドロゲルポリマーを疎水性から親水性の状態に移行させる(この事象はまたヒドロゲルの膨潤も伴う)かまたはヒドロゲルポリマーを親水性から疎水性の状態に移行させる誘発事象が起こると、結合リガンドはヒドロゲルから生体環境中に放逐/放出されうる。例えば、ヒドロゲルはpH、浸透圧濃度または温度の変化で、電場の適用時になどに基づいてより親水性になることが知られている。例えば、Chatterjeeら, Nanotech 2003 Vol. 1, Technical Proceedings of the 2003 Nanotechnology Conference and Trade Show, Volume 1, Chapter 7: Bio Micro Systems, 「電気的に誘発されるヒドロゲル:数学モデルとシミュレーション(Electrically Triggered Hydrogels: Mathematical Models and Simulations)」” pp. 130 - 133;Eichenbaum GMら, 「pHとイオンで誘発される陰イオン性ヒドロゲル微小球の体積応答(pH and Ion-Triggered Volume Response of Anionic Hydrogel Microspheres)」, Macromolecules. 1998 Jul 28;31(15):5084-93;Chen ら, 「titin 免疫グロブリンモジュールにより調節される体積遷移を伴う応答性ハイブリッドヒドロゲル(Responsive hybrid hydrogels with volume transitions modulated by a titin immunoglobulin module)」 Bioconj. Chem. 2000 Sep-Oct;11(5): 734-40;Coughlan DCら, 「熱応答性ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)ヒドロゲルの膨潤/脱膨潤動力学および拍動性薬物放出に与える薬物物理化学的特性の効果(Effect of drug physicochemical properties on swelling/deswelling kinetics and pulsatile drug release from thermoresponsive poly(N-isopropylacrylamide) hydrogels)」, J Control Release. 2004 Jul 23;98(1):97-114;Molinaro Gら, 「感熱性キトサン系ヒドロゲルの生体適合性:注入可能な生体材料のin vivo実験研究(Biocompatibility of thermosensitive chitosan-based hydrogels: an in vivo experimental approach to injectable biomaterials)」 Biomaterials. 2002 Jul;23(13):2717-22;Wang Cら, 「遺伝子操作で作られたコイルドコイルブロックタンパク質により架橋されたハイブリッドヒドロゲル(Hybrid hydrogels cross-linked by genetically engineered coiled-coil block proteins)」 Biomacromolecules. 2001 Fall;2(3):912-20を参照されたい。従って、上記ヒドロゲルポリマーならびに他の現在利用しうるポリマーマトリックスを用いて、例えば、ポリマー中のイオン基をイオン化する局所的pH変化により(例えば、その領域をカテーテルを介し酸性または塩基性溶液を用いて洗浄することにより)、加熱して(例えば、MRIにより加熱するかまたはその領域をカテーテルを介し温溶液で洗浄することにより)水和を可能にする臨界的遷移を超えるポリマーの変換を強いることにより、または加水分解/酵素切断をしてポリマー中の親水基を曝すことにより、リガンド放出を誘発することができる。リガンド被覆と暴露だけでなく(またはその代わりに)、かかる誘発可能なヒドロゲルを利用して薬物を保持しかつ放出することができる。
【0014】
例えば、変性、pH変化、温度変化などによる立体形状変化を介するリガンドの活性化も利用できる。
【0015】
ある特定の実施形態においては、保護性、非反応性表面をもつナノ粒子(結合リガンドを含有する部分を除く)を提供してもよい。例えば、ポリエチレングリコールまたは他の公知の受動態化したポリマーのコーティングを施してタンパク質相互作用、非特異的結合および凝集などを防止することができる。
【0016】
本発明の他の態様によれば、少なくとも第1および第2のナノ粒子を含有する注入可能な組成物を含むキットが提供される。第1の注入可能な組成物は、(a)第1のナノ粒子部分、(b)身体中の1以上の標的位置におけるナノ粒子の優先的結合と蓄積をもたらす第1のナノ粒子部分に付着した組織結合リガンド、および(c)粒子間結合を促進する第1のナノ粒子部分に付着した第1の粒子間結合リガンドを含んでなる第1の自己アセンブル性ナノ粒子を含んでなる。第2の注入可能な組成物は、(a)第2のナノ粒子部分、および(b)第1のナノ粒子部分に付着した第1の粒子間結合リガンドと優先的に結合する第2のナノ粒子部分に付着した第2の粒子間結合リガンドを含んでなる第2の自己アセンブル性ナノ粒子を含んでなる。第2の自己アセンブル性ナノ粒子は組織結合リガンドを含有してもしなくてもよい。さらに、第1および第2のナノ粒子部分は同じかまたは異なる組成物であってもよい。
【0017】
本発明のこの態様において、第1の組成物の注入は身体内の1以上の標的位置において第1の自己アセンブル性ナノ粒子の優先的結合および蓄積をもたらし、それにより最初の基層を形成する。第2の組成物を続いて注入すると、第2のナノ粒子上の粒子間結合リガンドが第1のナノ粒子の第1の粒子間結合リガンドと優先的に結合する。第1と第2の組成物の注入を交互に行うことにより、ナノ粒子が組織上にロックとキーの特異性により積層(layer-by-layer)方式でアセンブルされる。
【0018】
所望であれば、次いで、(a)第3のナノ粒子部分および(b)第2のナノ粒子の第2の粒子間結合リガンドと優先的に結合する第3のナノ粒子部分に付着した第3の粒子間結合リガンドを含んでなる第3の自己アセンブル性ナノ粒子を含んでなる第3の組成物を投与してもよい。組織結合リガンドを第3の自己アセンブル性ナノ粒子と付着させてもよいが、多くの実施形態において、第3の自己アセンブル性ナノ粒子は組織結合リガンドを含まないであろう。第3の自己アセンブル性ナノ粒子のナノ粒子部分は、第1および第2の自己アセンブル性ナノ粒子のナノ粒子部分と同じであってもまたは異なってもよい。さらに、第3の粒子間結合リガンドは第1の粒子間結合リガンドと同じであってもまたは異なってもよい。第3の組成物を注入すると、第3の自己アセンブル性ナノ粒子上の粒子間結合リガンドは先に付着した第2の自己アセンブル性ナノ粒子上の粒子間結合リガンドと結合する。
【0019】
先と同じように、第2と第3の組成物の注入を交互に行うことにより、ナノ粒子は組織上に積層する方式でアセンブルされる。
【0020】
先に示したように、本発明の組成物は様々な疾患と症状の治療に用いることができる。「治療」は疾患または症状の予防、疾患または症状に関連する症候群の軽減または除去、または 疾患または症状の実質的または完全な除去を意味する。好ましい被験者(「患者」とも呼ばれる)は脊椎動物の被験体、より好ましくは哺乳動物被験体そしてより好ましくはヒト被験者である。例えば、様々な実施形態において、本発明の組成物は、アテローム硬化型プラーク部位、動脈瘤部位、心筋梗塞、感染部位、血管損傷部位などにおいて、自己アセンブル構造を形成させるために利用される。
【0021】
典型的な注入可能な本発明の組成物は、1以上の製薬上許容される賦形剤またはビヒクル、例えば水、生理食塩水、グリセロール、ポリエチレングリコール、ヒアルロン酸、エタノールなどを含んでもよい。さらに、湿潤剤または乳化剤、生物学的緩衝化剤などの様々な補助的な物質がかかるビヒクル中に存在してもよい。生物学的バッファーは実質的に薬理学的に許容されかつ所望のpH、すなわち生理学的範囲内のpHを与えるいずれの溶液であってもよい。バッファ溶液の例には、生理食塩水、リン酸緩衝化生理食塩水、Tris緩衝化生理食塩水、Hankの緩衝化生理食塩水などが含まれる。
【0022】
上記のように、本発明の組成物内の自己アセンブル性ナノ粒子は、組織結合リガンドおよび/または粒子間結合リガンドを含む付着したリガンドをもつナノ粒子部分を有し、それらのそれぞれを以下に考察する。
【0023】
本発明の組成物に用いるナノ粒子部分としては、ポリマーナノ粒子部分(すなわち、少なくとも50wt%ポリマー分子を含むナノ粒子部分)などの有機ナノ粒子部分(すなわち、少なくとも50wt%有機分子を含むナノ粒子部分)、ならびに金属ナノ粒子部分(すなわち、少なくとも50wt%金属原子を含むナノ粒子部分)および非金属ナノ粒子部分(すなわち、少なくとも50wt%非金属原子を含むナノ粒子部分)などの無機ナノ粒子部分(すなわち、少なくとも50wt%無機分子または原子を含むナノ粒子部分)が挙げられる。
【0024】
本発明のナノ粒子部分は実質的にいずれの形状であってもよく、それには球、平らなまたは曲ったプレート、および断面が円形、環状、多角形、不規則などであってもよい真直ぐにまたは曲って伸びた粒子(例えば、伸びた円筒、管、多角形断面の粒子カラム形状物、リボン形状粒子など)、ならびに他の規則的または不規則的な幾何形状物が含まれる。ナノ粒子の寸法は様々であってよく、最大寸法(例えば、球の直径、プレートの幅、ロッドの長さなど)は1〜1,000nmであり、かつ最小寸法(例えば、ロッドの直径、プレートの厚さなど)は0.1〜100nmである。
【0025】
ナノ粒子部分を作るためのポリマーには、天然および合成の生物分解性または生物非分解性、ホモポリマーまたはコポリマー、熱可塑性または非熱可塑性などのポリマーが含まれる。ナノ粒子部分を作るための好適なポリマーは例えば、次のものから選択できる:ポリアクリル酸を含むポリカルボン酸ポリマーおよびコポリマー;アセタールポリマーおよびコポリマー;アクリレートおよびメタクリレートポリマーおよびコポリマー(例えば、n-ブチルメタクリレート);酢酸セルロース、硝酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、セロファン、レーヨン、三酢酸レーヨン、およびカルボキシメチルセルロースならびにヒドロキシアルキルセルロースなどのセルロースエーテル類を含むセルロース性ポリマーおよびコポリマー;ポリオキシメチレンポリマーおよびコポリマー;ポリエーテルブロックイミド、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド、およびポリエーテルイミドなどのポリイミドポリマーおよびコポリマー;ポリアリールスルホンおよびポリエーテルスルホンを含むポリスルホンポリマーおよびコポリマー;ナイロン6,6、ナイロン12、ポリカプロラクタムおよびポリアクリルアミドを含むポリアミドポリマーおよびコポリマー;アルキド樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、アリル樹脂およびエポキシド樹脂を含む樹脂;ポリカーボネート;ポリアクリロニトリル;ポリビニルピロリドン(架橋されたものなど);ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニルなどのポリハロゲン化ビニルを含むビニルモノマーのポリマーおよびコポリマー、エチレン-酢酸ビニルコポリマー(EVA)、ポリ塩化ビニルデン、ポリビニルメチルエーテルなどのポリビニルエーテル、ポリスチレン、スチレン-マレイン酸無水物コポリマー、スチレン-ブタジエンコポリマー、スチレン-エチレン-ブチレンコポリマー(例えば、Kraton(登録商標)Gシリーズポリマーとして入手しうるポリスチレン-ポリエチレン/ブチレン-ポリスチレン(SEBS)コポリマー、)、スチレン-イソプレンコポリマー(例えば、ポリスチレン-ポリイソプレン-ポリスチレン)、アクリロニトリル-スチレンコポリマー、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンコポリマー、スチレン-ブタジエンコポリマーおよびスチレン-イソブチレンコポリマー(例えば、SIBSなどのポリイソブチレン-ポリスチレンブロックコポリマー)、ポリビニルケトン、ポリビニルカルバゾール、およびポリ酢酸ビニルなどのポリビニルエステル;ポリベンズイミダゾール;イオノマー;ポリエチレンオキサイド(PEO)を含むポリアルキルオキサイドポリマーおよびコポリマー;グリコサミノグリカン;ポリエチレンテレフタレートおよびラクチド(乳酸ならびにd-,l-およびmesoラクチドを含む)のポリマーおよびコポリマーを含む脂肪族ポリエステルを含むポリエステル、ε-カプロラクトン、グリコリド(グリコール酸を含む)、ヒドロキシ酪酸エステル、ヒドロキシ吉草酸エステル、パラ-ジオキサノン、炭酸トリメチレン(およびそのアルキル誘導体)、1,4-ジオキセパン-2-オン、1,5-ジオキセパン-2-オン、および6,6-ジメチル-1,4-ジオキサン-2-オン(ポリ乳酸およびポリカプロラクトンのコポリマーが1つの具体例である);ポリフェニレンエーテル類などのポリアリールエーテル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトンを含むポリエーテルポリマーおよびコポリマー;ポリフェニレンスルフィド;ポリイソシアネート;ポリプロピレン、ポリエチレン(低および高密度、低および高分子量)、ポリブチレン(ポリブタ-1-エンおよびポリイソブチレンなど)、ポリ-4-メチル-ペンタ-1-エン、エチレン-α-オレフィンコポリマー、エチレン-メチルメタクリレートコポリマーおよびエチレン-酢酸ビニルコポリマーなどのポリアルキレンを含むポリオレフィンポリマーおよびコポリマー;ポリオレフィンエラストマー(例えば、サントプレン)、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)ゴム、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ(テトラフルオロエチレン-コ-ヘキサフルオロプロペン)(FEP)、修飾エチレン-テトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)、およびフッ化ポリビニリデン(PVDF)を含むフッ素化ポリマーおよびコポリマー;シリコーンポリマーおよびコポリマー;ポリウレタン;p-キシレンポリマー;ポリイミノカルボナート;ポリエチレンオキシド-ポリ乳酸コポリマーなどのコポリ(エーテル-エステル);ポリホスファジン;蓚酸ポリアルキレン;ポリオキサアミドおよびポリオキサエステル(アミン類および/またはアミド基を含有するものを含む);ポリオルトエステル;フィブリン、フィブリノーゲン、コラーゲン、エラスチン、キトサン、ゼラチン、デンプン、ヒアルロン酸などのグリコサミノグリカンを含むポリペプチド、タンパク質、多糖および脂肪酸(およびそれらのエステル)などのバイオポリマー;ならびに上記のブレンドおよびさらなるコポリマー。
【0026】
ナノ粒子部分を形成させうる好適な金属は、例えば、次から選択することができる:銀、金、白金、パラジウム、イリジウム、オスミウム、ロジウム、チタン、タングステン、およびルテニウムなどの実質的に純粋な金属、ならびに、とりわけ、コバルト-クロム合金、ニッケル-チタン合金(例えば、ニチノール)、鉄-クロム合金(例えば、少なくとも50%鉄および少なくとも11.5%クロムを含有するステンレススチール)、コバルト-クロム-鉄合金(例えば、エルジロイ合金)、およびニッケル-クロム合金(例えば、インコネル合金)などの金属合金。
【0027】
ナノ粒子部分を形成させうる好適な非金属無機物は、例えば、次から選択することができる:リン酸カルシウムセラミックス(例えば、ヒドロキシアパラタイト);ガラスセラミックス(例えば、バイオガラス)とも呼ばれるリン酸カルシウムガラス;非遷移金属酸化物(例えば、酸化アルミニウムを含む、例えば、周期律表の13、14および15族の金属の酸化物)、および遷移金属酸化物(例えば、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、タンタル、モリブデン、タングステン、レニウム、イリジウムなどの酸化物を含む、例えば、周期律表の3、4、5、6、7、8、9、10、11および12族に属する金属の酸化物)を含む金属酸化物;純粋なおよびドーピングした炭素(例えば、フラーレン、炭素ナノ繊維、単層(singlewall)、いわゆる数層(few-wall)および多層(multi-wall)炭素ナノチューブ)などの炭素系材料、シリコンカーバイドおよび窒化炭素;シリカ(LuYら,「エーロゾルに支援されたメソ構造化球状ナノ粒子の自己アセンブリー(Aerosol-assisted self-assembly of mesostructured spherical nanoparticles)」 Nature 398, 223-226, 18 March 1999を参照);ケイ酸アルミニウム、様々な官能化POSSおよびポリマーPOSSを含む多角体オリゴマーのシルセスキオキサン(POSS)などの単量体ケイ酸塩、およびモントリオナイト、ヘクトライト、ヒドロタルサイト、バーミキュライトおよびラポナイトなどの粘土およびマイカ(場合によりインターカレートおよび/または剥脱していてもよい)を含むフィロケイ酸塩を含む合成または天然ケイ酸塩。
【0028】
いくつかの実施形態においては、ナノ粒子部分をその最終の物理的立体形状と異なる物理的立体形状で送達する。例えば、いくつかの実施形態においては、ナノ粒子部分を形状記憶金属または形状記憶ポリマーなどの形状記憶材料を用いて形成させる。形状記憶材料は形状を記憶する能力を有する。熱などの好適な刺激は一時的な形状からそれが記憶した形状への移行を生じさせる。例えば、コンパクトでない立体形状(例えば、真直ぐまたは平滑な立体形状などの直線の立体形状)からコンパクトな立体形状(例えば、コイル状またはその他の曲がった立体形状のような、非直線または非平面立体形状)へ移行する材料を選択してもよく、逆もしかりである。
【0029】
例えば、ニッケル-チタンフィルムを、真空加熱蒸着、電気メッキまたはスパッタリングなどの技法を用いて析出させてもよい。この目的に対して選択される基質は、例えば、プロセスの後の方の時点で完全にエッチングまたは溶解しうる基質(例えば、シリコンからまたはNaCl、KCl、またはNaF2などの塩から形成された基質)であるかまたは最終的にエッチングされない材料(例えば、ポリイミドフィルムなどのポリマーコーティングを施して平滑な規則的な表面をもつシリコン)で形成されるが、その上にエッチングされる層、例えば、ニッケル-チタン合金と比較して非常に特異的なエッチング速度を有するクロムまたは他の材料(例えば、アルミニウムまたは銅)が設けられ、ニッケル-チタン合金薄層を有意にエッチングすることなく犠牲層を除去することができる基質である。犠牲層は、真空加熱蒸着、電気メッキまたはスパッタリングなどの通常の薄層析出技法により形成させて、犠牲層を好ましくは厚さ1ミクロン未満にすることができる。アルミニウムを選択的にエッチングするには水酸化カリウム、銅を選択的にエッチングするには硝酸、そしてクロムを選択的にエッチングするには硝酸セリウムアンモニウム、硝酸、および水を含有するエッチング溶液(Arch Chemicals Inc.から入手しうるChrome Etch)を利用することができる。次いでニッケル-チタン形状-記憶合金を、ニッケル-チタン合金(例えば、ほぼ50アトム(atomic)%チタン、50アトム(atomic)%ニッケルを含有する)から成るスパッター標的を用いることによりスパッタリング析出させることができる。合金組成をニッケルリッチ(例えば、1〜2%程度)にして転移温度を必要に応じて調節することができる。標的を高真空スパッタリング装置中でスパッタする。所望のフィルム厚みに到達すれば、スパッタ析出ステップを終える。ニッケル-チタン製膜についてのさらなる情報は、Johnsonらの米国特許出願公開第2003/0127318号に記載されていて、本明細書に参照によりその全てが組み入れられる。
【0030】
スパッタリングが完了すると、半導体工業で周知である金属マスキングおよびエッチング技法を使って区切られたニッケル-チタン合金ナノ粒子を基質上に形成させる。例えば、マスクをリトグラフィにより形成し、次いでマスク中の開口部を通してニッケル-チタン合金のある特定の領域の選択的エッチングを行う(例えば、プラズマエッチングプロセス)。リトグラフ技法は急速に進んでいる。例えば、光学リトグラフィ用の光カップリングマスク(LCM)を用いると、248nm照明を用いて200nmピッチで80nmの特性(features)を描くことができる。例えば、紫外リトグラフィ、X線リトグラフィおよび/または電子ビームリトグラフィによれば、さらに小さい構造物でも作ることができる。エッチングの後にマスクを取除いて今度は区切られたナノ粒子を曝すことができる。
【0031】
次いで、フィルムを加熱/冷却条件下でアニーリングして、デバイスにおける所望の形状記憶合金特性を達成する。アニーリングステップは、例えば、加熱によっても、または真空中で赤外線ヒーターへの暴露によってもよい。アニーリングの後に、例えば、先に考察したように溶解/エッチング溶液への暴露により、粒子を放出させる。アニーリングおよびフィルム放出についての情報は、米国特許出願公開第2003/0127318号を参照されたい。
【0032】
ナノ粒子を変形させて、次いで転移温度を超えて加熱すると、それらは析出した基質の形状に依存して、元来の析出した形状、例えば、平面(すなわち、平滑な)立体形状または非平面(例えば、曲った)立体形状に復帰する。例えば、前者の場合、低い温度で曲がっていた粒子は加熱すると平らな立体形状に戻りうる。逆に、後者の場合、低い温度で平らな粒子は加熱すると曲りうる。ナノ粒子は低温で曲がるかまたは平らになりうる、例えばフィルムをピエゾ電気または電気活性ポリマー基質上に析出させることにより要求によって曲がる。さらに、他の実施形態においては機械的成型(例えば、プレス)が利用される。
【0033】
上記の代わりに、例えば、Hoらの米国特許出願公開第2003/0162048号に記載の段階的に移行するニッケル-チタン合金フィルムを形成させてもよい。薄いフィルムの析出中に標的を徐々に加熱することにより、段階的に移行する組成をもつフィルムが作られる。ニッケル-チタン合金の形状記憶転移温度は組成に対して非常に鋭敏であるのでこの技法により、さらに熱処理の必要なしにツーウエイ形状記憶効果を示すオーステナイトおよびマルテンサイトの二形態性(bimorphic)フィルムが作られる。従って、かかるフィルムは加熱されると第1の形状をとる一方、冷却されると第2の形状に復帰する。フィルムを作ったのちに、次いでナノ粒子にパターン化し、そして先に考察したように解放する。平らな基質を用いると仮定すると、フィルムは加熱されるとカールしかつ冷却されると平らになる。
【0034】
ツーウエイ形状記憶効果を達成する他の方法は、フィルムの両側に圧縮および引張応力の存在するフィルムに沈降物を仕込むことにより偏った力を導入することである。K. Kuribayashiら, 「可逆的TiNi合金薄膜アクチュエーターを用いるミクロンサイズのアーム(Micron sized arm using reversible TiNi alloy tin film actuators)」 Mat. Res. Soc. Symp. Pro., vol.276, p.167,1992を参照されたい。このフィルムはマルテンサイト相でカールし、そして加熱されてオーステナイト相になると、剛性が高くなり残留応力に打克つので平らになる。
【0035】
金属だけでなく、形状記憶ポリマーを含む形状記憶効果を示す他の材料を利用することができ、例えば、Langerらの米国特許出願公開第2003/0055198号は形状記憶効果を有する様々なポリマーを記載している。
【0036】
形状記憶ポリマーはしばしば、ハードセグメントとソフトセグメントを有する相が分離されたブロックコポリマーを含有する。ソフトセグメントの融点またはガラス転移温度(Ttrans)はハードセグメントの融点またはガラス転移温度(Ttrans)より実質的に低い。形状記憶ポリマーをハードセグメントのTtransより上に加熱すると、材料を形状化できる。この最初の形状は、形状記憶ポリマーをハードセグメントのTtransより低く冷却することにより記憶させることができる。材料がソフトセグメントのTtransより低い温度で第2の形状であると、第1の形状は材料をハードセグメントのTtransより低いがソフトセグメントのTtransより高い温度に加熱することにより回復される。形状記憶ポリマーのハードおよびソフトセグメントを作製するのに使われるポリマーの例は非常に多様であって、様々なポリエーテル、ポリアクリレート、ポリアミド、ポリシロキサン、ポリウレタン、ポリエーテルアミド、ポリウレタン/ウレア、ポリエーテルエステル、およびウレタン/ブタジエンコポリマーが含まれる。
【0037】
米国特許出願公開第2003/0055198号はまた、ハードセグメントおよび少なくとも1つのソフトセグメントを含みかつ所望であれば1以上の形状を記憶の保持しうる広範囲の形状記憶ポリマー組成物を記載している。少なくとも1つのハードまたはソフトセグメントは架橋可能な基を含有してもよく、そしてセグメントを相互貫入ネットワークまたはセミ相互貫入ネットワークの形成によりまたはブロックの物理的相互作用により連結してもよい。オブジェクトをハードセグメントのTtransを超える温度で所与の形状に成型しそしてソフトセグメントのTtransより低い温度へ冷却してもよい。もしオブジェクトをその後に第2の形状に成型すれば、オブジェクトをソフトセグメントのTtransを超えかつハードセグメントのTtransより低く加熱することによりオブジェクトをその元来の形状に戻しうる。組成物はまた、光、電場、磁場または超音波を適用すると応答して切断される官能基を介して連結された2つのソフトセグメントを含んでもよい。これらの基の切断はオブジェクトをその元来の形状に戻させる。ハードセグメントおよびソフトセグメントは、ポリヒドロキシ酸、ポリオルトエステル、オリゴ(p-ジオキサン)などのポリエーテルエステル、ポリエステル、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリデプシドペプチド、脂肪族ポリウレタン、多糖類、ポリヒドロキシアルカン酸エステル、およびそれらのコポリマーなどから選択することができる。
【0038】
適当なポリマーを選択すれば、その層を、例えば、熱可塑または溶媒キャスティング技法を用いて基質に析出する。金属と同じように、ポリマー層を選択的にマスキングしかつエッチングする技法は半導体工業で周知であり、その場合、ポリマーが、例えば、その低い比誘電率によってしばしば使用される。表面上に形成されると、先に記載のように、ナノ粒子を基質/犠牲層エッチングにより放出させることができる。先にも記載した通り、これらのナノ粒子は、その基質の形状に依存する記憶形状による形状記憶を有するように処理した後、放出させることができる。上と同じように、いくつかの実施形態においては、ピエゾ電気または電気活性ポリマーまたは形状記憶金属基質上にポリマーフィルムを析出させることにより、所望の記憶形状から曲がっているかまたは平らである。さらに、形成中の残留応力もナノ粒子を曲げたりまたは平らにするのに十分であり、それにより事実上の変形の必要性を回避できる。さらに他の実施形態では機械的形成(例えば、プレス)を利用する。
【0039】
本発明の他の特定の実施形態によれば、熱収縮性ナノ粒子が形状記憶材料以外に使われた。例えば、直径約3〜40ミクロンでかつ最小径約0.1ミクロンのコラーゲン粒子が、乳濁化して天然のコラーゲンを架橋することにより調製された。Rossler Bら, 「コラーゲン微粒子:調製と特性(Collagen microparticles: preparation and properties)」, J. Microencapsul; 1995 Jan-Feb; 12(1): 49-57を参照されたい。粒子径は主に使用するコラーゲンの分子量により制御され、コラーゲンの変性が進むとより小さい粒子径になる(同書)。コラーゲンは加熱されると収縮することは周知である。Haines, BM, 「コラーゲン繊維の収縮温度(Shrinkage temperature in collagen fibres)」, Leather Conservation News, 3:1-5, 1987.
磁場を適用するとサイズが変化する磁気歪み(磁歪)粒子も公知である。
【0040】
従って、以上のおよび他の技法を用いると、熱などの好適な刺激に曝すと形状が変化するナノ粒子を形成することができる。その結果、身体内の組織に付着すると、これらのナノ粒子は活性化されて形状が変化しうる。
【0041】
例えば、これらの材料のあるものは熱または他の刺激の局所的な適用を介して活性化できる(例えば、カテーテルまたは他の挿入しうる器具を介して)。
【0042】
あるいは、これらの材料のあるものはex vivo刺激を用いて活性化し、in vivo形状変化を達成しうる。ex vivoの刺激源には、例えば、振動磁場、電磁波照射(例えば、RFおよびマイクロ波照射)、超音波などが含まれる。
【0043】
例えば、磁性ナノ粒子は振動磁場を用いて誘導加熱により加熱できる。目的の材料が本質的に磁性にならない程度まで、フェライトナノ粒子などの磁性ナノ粒子を感受性粒子として加えてもよい。あるいは、焦点を合わせた高周波照射、マイクロ波照射または超音波を用いて材料をin situで加熱してもよい。
【0044】
いくつかの実施形態においては、本発明のナノ粒子を、さらに、薬物とともに提供して、ナノ粒子の自己アセンブリー後にin vivo送達してもよい。
【0045】
組織結合リガンドだけを有する粒子と異なり、本発明に記載のナノ粒子は粒子間結合リガンドも含有するので、それらは粒子間アセンブリーにより、組織接触点を過ぎて連続することを可能にする。その結果、増量された薬物量を含有する自己アセンブル構造が本発明により形成される。
【0046】
「薬物」、「治療薬」、「薬学的に活性な薬」およびその他の関係用語が本明細書では互換的に用いられ、それには遺伝的および非遺伝的治療薬が含まれる。治療薬は単独でまたは組合わせて用いることができる。治療薬は性質上、例えば、非イオン性であってもよいしまたは陰イオン性および/もしくは陽イオン性であってもよい。
【0047】
本発明との関係で用いる非遺伝的治療薬の例には次が含まれる:(a)抗血栓薬、例えばヘパリン、ヘパリン誘導体、ウロキナーゼ、およびPPack(dextro-フェニルアラニンプロリンアルギニンクロロメチルケトン)および組織プラスミノーゲンアクチベーター(TPA);(b)抗炎症薬、例えばデキサメタゾン、プレドニソロン、コルチコステロン、ブデソニド、エストロゲン、スルファサラジンおよびメサラミン;(c)抗悪性腫瘍薬/抗増殖性/抗有糸分裂薬、例えばパクリタキセル(その微粒子型、例えば、ABRAXANEアルブミン結合パクリタキセルナノ粒子などを含む)、5-フルオロウラシル、シスプラチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、エポチロン、エンドスタチン、アンギオスタチン、アンギオペプチン、平滑筋細胞増殖をブロックできるモノクローナル抗体、およびチミジンキナーゼ阻害剤;(d)麻酔薬、例えばリドカイン、ブピバカインおよびロピバカイン;(e)抗-血液凝固薬、例えばD-Phe-Pro-Argクロロメチルケトン、RGDペプチドを含有する化合物、ヘパリン、ヒルジン、抗トロンビン化合物、血小板レセプターアンタゴニスト、抗トロンビン抗体、抗血小板レセプター抗体、アスピリン、プロスタグランジン阻害剤、血小板阻害剤およびダニ(tick)抗-血小板薬ペプチド;(f)血管細胞成長促進物質、例えば増殖因子、転写活性化因子、および翻訳促進因子;(g)血管細胞増殖阻害剤、例えば増殖因子阻害剤、増殖因子レセプターアンタゴニスト、転写抑制因子、翻訳抑制因子、複製阻害剤、阻害抗体、増殖因子に対する抗体、増殖因子と細胞毒から成る二官能性分子、抗体と細胞毒から成る二官能性分子;(h)タンパク質キナーゼおよびチロシンキナーゼ阻害剤(例えば、チルホスチン、ゲニステイン、キノキサリン);(i)プロスタサイクリン類似体;(j)コレステロール低下薬;(k)アンギオポエチン;(l)抗菌薬、例えばトリクロサン、セファロスポリン、アミノグリイコシドおよびニトロフラントイン;(m)細胞傷害薬、細胞分裂停止薬および細胞増殖影響因子;(n)血管拡張薬;(o)内因血管作動性機構を妨害する薬;(p)白血球補充の阻害剤、例えばモノクローナル抗体;(q)サイトカイン;(r)ホルモン;(s)ゲルダナマイシンを含むHSP90タンパク質の阻害剤(すなわち、分子シャペロンまたはハウスキーピングタンパク質でありかつ細胞の増殖および生存に関わる他のクライアントタンパク質/シグナル形質導入タンパク質の安定性および機能に必要である熱ショックタンパク質);(t)β-ブロッカー、(u)bARKct阻害剤、(v)ホスホランバン阻害剤、および(w)Serca2遺伝子/タンパク質。
【0048】
本発明との関係で用いる遺伝的治療薬の例には、次のアンチセンスDNAおよびRNAならびに様々なタンパク質をコードするDNA(ならびにタンパク質それら自体)が含まれる:(a)アンチセンスRNA、(b)欠損または欠乏内因性分子と置換えるtRNAまたはrRNA、(c)増殖因子を含む血管形成性および他の因子、例えば酸性および塩基性繊維芽細胞増殖因子、血管内皮増殖因子、内皮分裂促進増殖因子、上皮増殖因子、トランスフォーミング増殖因子αおよびβ、血小板由来の内皮増殖因子、血小板由来の増殖因子、腫瘍壊死因子α、肝細胞増殖因子およびインスリン様増殖因子、(d)CD 阻害剤を含む細胞サイクル阻害剤、および(e)チミジンキナーゼ("TK")ならびに細胞増殖を妨害する他の作用薬。また重要なのは骨形成タンパク質(BMP)のファミリーをコードするDNAであり、それにはBMP-2、BMP-3、BMP-4、BMP-5、BMP-6(Vgr-1)、BMP-7(OP-1)、BMP-8、BMP-9、BMP-10、BMP-11、BMP-12、BMP-13、BMP-14、BMP-15、およびBMP-16が含まれる。現在好ましいBMPはBMP-2、BMP-3、BMP-4、BMP-5、BMP-6およびBMP-7のいずれかである。これらの2量体タンパク質は、ホモ2量体、ヘテロ2量体、またはそれらの組合わせとして、単独でまたは他の分子と一緒に提供しうる。あるいは、またはさらに、BMPの上流または下流効果を誘導できる分子を提供しうる。かかる分子には、「ヘッジホグ(hedgehog)」タンパク質のいずれか、またはそれをコードするDNAが含まれる。
【0049】
遺伝治療薬を送達するためのベクターには、ウイルスベクター、例えばアデノウイルス、gutted型アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、レトロウイルス、アルファウイルス(Semliki Forest、Sindbisなど)、レンチウイルス、単純ヘルペスウイルス、複製コンピテントウイルス(例えば、ONYX-015)およびハイブリッドベクター;ならびに非ウイルスベクター、例えば人工染色体およびミニ染色体、プラスミドDNAベクター(例えば、pCOR)、カチオンポリマー(例えば、ポリエチレンイミン、ポリエチレンイミン(PEI))、グラフトコポリマー(例えば、ポリエーテル-PEIおよびポリエチレンオキシド-PEI)、ポリビニルピロリドン(PVP)などのニュートラルポリマー、SP1017(SUPRATEK)、カチオン性脂質などの脂質、リポソーム、リポプレックス、ナノ粒子、またはタンパク質形質導入ドメイン(PTD)などの標的化配列を伴うおよび伴わない微粒子が含まれる。
【0050】
必ずしも以上掲げたものに限られず、多数の治療薬が血管治療体制の候補薬として、例えば再狭窄を標的化する作用薬として同定されている。かかる作用薬は本発明の実施において有用であり、それには1以上の次の作用薬が含まれる:(a)Ca-チャネルブロッカー(ジルチアゼムおよびクレンチアゼムなどのベンゾチアザピン、ニフェジピン、アムロジピンおよびニカルダピンなどのジヒドロピリジン、ならびにベラパミルなどのフェニルアルキルアミンを含む)、(b)セロトニン経路モジュレーター(ケタンセリンおよびナフチドロフリルなどの5-HTアンタゴニスト、ならびにフルオキセチンなどの5-HT取込み阻害剤を含む)、(c)環状ヌクレオチド経路薬(シロスタゾールおよびジピリダモールなどのホスホジエステラーゼ阻害剤、ホルスコリンならびにアデノシン類似薬などのアデニル酸/グアニル酸シクラーゼ刺激薬を含む)、(d)カテコールアミンモジュレーター(プラゾシンおよびブナゾシンなどのα-アンタゴニスト、プロパノロールなどのβ-アンタゴニストおよびラベタロールおよびカルベジロールなどのα/β-アンタゴニストを含む)、(e)エンドテリンレセプターアンタゴニスト、(f)一酸化窒素ドナー/放出分子{ニトログリセリン、二硝酸イソソルビドおよび亜硝酸アミルなどの有機硝酸エステル/亜硝酸エステル、ニトロプルシドナトリウムなどの無機ニトロソ化合物、モルシドミンおよびリンシドミンなどのシドノンイミン、ジアゼニウムジオレートなどのNONOエートおよびアルカンジアミンのNOアダクツ、低分子量化合物(例えば、カプトプリル、グルタチオンおよびN-アセチルペニシルアミンのS-ニトロソ誘導体)および高分子量化合物(例えば、タンパク質、ペプチド、オリゴ糖、多糖、合成ポリマー/オリゴマーおよび天然ポリマー/オリゴマー)を含むS-ニトロソ化合物、ならびにC-ニトロソ-化合物、O-ニトロソ-化合物、N-ニトロソ-化合物ならびにL-アルギニンを含む}、(g)シラザプリル、フォシノフリルおよびエナラプリルなどのアンギオテンシン転化酵素(ACE)阻害剤、(h)サララシンおよびロサルチンなどのATII-レセプターアンタゴニスト、(i)アルブミンおよびポリエチレンオキシドなどの血小板接着阻害剤、(j)血小板凝集阻害剤{シロスタゾール、アスピリンおよびチエノピリジン(チノクロピジン、クロピドグレル)ならびにアブシキシマブ、エピチフィバチドおよびチロフィバンなどのGPIIb/IIIa阻害剤を含む}、(k)凝集経路モジュレーター{ヘパリン、低分子量ヘパリン、硫酸デキストランおよびテトラデカ硫酸β-シクロデキストリンなどのヘパリノイド、ヒルジン、ヒルログ、PPACK(D-phe-L-プロピル-L-arg-クロロメチルケトン)およびアルガトロバンなどのトロンビン阻害剤、アンチスタチンおよびTAP(ダニ抗凝集体ペプチド)などのFXa阻害剤、ワルファリンなどのビタミンK阻害剤、ならびに活性化タンパク質Cを含む}、(l)アスピリン、イブプロフェン、フルビプロフェン、インドメタシンおよびスルフィンピラゾンなどのシクロオキシゲナーゼ経路阻害剤、(m)デキサメタゾン、プレドニソロン、メトプレドニソロンおよびヒドロコルチゾンなどの天然および合成コルチコステロイド、(n)ノルジヒドログアヤレチック酸およびカフェイン酸などのリポキシゲナーゼ経路阻害剤、(o)ロイコトリエンレセプターアンタゴニスト、(p)E-およびP-セレクチンのアンタゴニスト、(q)VCAM-1およびICAM-1相互作用の阻害剤、(r)プロスタグランジンおよびその類似体(PGE1およびPGI2などのプロスタグランジンおよびシプロステン、エポプロステノール、カルバサイクリン、イロプロストおよびベラプロストなどのプロスタサイクリン類似体を含む)、(s)マクロファージ活性化防止剤(ビスホスホネートを含む)、(t)HMG-CoAレダクターゼ阻害剤(ロバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、シムバスタチンおよびセリバスタチンなど)、(u)魚油およびω-3-脂肪酸、(v)フリーラジカルスカベンジャー/酸化防止剤(プロブコール、ビタミンCおよびE、エブセレン、trans-レチノイン酸およびSOD模倣物など)、(w)様々な増殖因子に影響を与える作用薬{bFGF抗体およびキメラ融合タンパク質などのFGF経路作用薬、トラピジルなどのPDGFレセプターアンタゴニスト、アンギオペプチンおよびオクレチドなどのソマトスタチン類似体を含むIGF経路作用薬、ポリアニオン剤(ヘパリン、フコイジン)、デコリン、およびTGF-β抗体などのTGF-β経路作用薬、EGF抗体、レセプターまたはアンタゴニストおよびキメラ融合タンパク質などのEGF経路作用薬、サリドマイドおよびその類似体などのTNF-α経路作用薬、スロトロバン、バピプロスト、ダゾキシベンおよびリドグレルなどのトロンボキサンA2(TXA2)経路モジュレーター、ならびにチルホスチン、ゲニステインおよびキノキサリン誘導体などのタンパク質チロシンキナーゼ阻害剤を含む}、(x)マリマスタット、イロマスタットおよびメタスタットなどのMMP経路阻害剤、(y)サイトカラシンBなどの細胞運動性阻害剤、(z)抗増殖性/抗悪性腫瘍薬{プリン類似体(例えば、塩素化プリンヌクレオシド類似体である6-メルカプトプリンまたはクラドリビン)、ピリミジン類似体(例えば、シタラビンおよび5-フルオロウラシル)およびメトトレキセートなどの代謝拮抗剤、窒素マスタード、アルキルスルホン酸塩、エチレンイミン、抗生物質(例えば、ダウノルビシン、ドキソルビシン)、ニトロソウレア、シスプラチン、微小管動力学に影響を与える作用薬(例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチン、コルヒチン、Epo D、パクリタキセルおよびエポチロン)、カスパーゼ活性化因子、プロテアソーム阻害剤、血管新生阻害剤(例えば、エンドスタチン、アンギオスタチンおよびスクアラミン)、ラパマイシン、セリバスタチン、フラボピリドールおよびスラミンを含む}、(aa)ハロフジノンまたはその他のキナゾリノン誘導体およびトラニラストなどのマトリックス析出/組織化経路阻害剤、(bb)VEGFおよびRGDペプチドなどの内皮化促進薬、ならびに(cc)ペントキシフィリンなどの血液レオロジーモジュレーター。
【0051】
本発明の実施に有用である多数のさらなる治療薬はまた、NeoRx社が譲受した米国特許第5,733,925号にも開示され、その全開示は参照により組み入れられる。
【0052】
いくつかの実施形態において、薬物はナノ粒子部分と、共有結合技術を用いて連結されており、以下にこれをリガンドカップリングと一緒に考察する。
【0053】
いくつかの実施形態においては、ナノ粒子部分に対応するかまたはナノ粒子部分とカップリングしたナノカプセル内の薬物が提供される。この関係で、高分子電解質ナノカプセルは本発明の目的に有用となるいくつもの望ましい特性を有する。例えば、高分子電解質ナノカプセルは多様な治療薬および他の作用薬の封入を可能にし、それには小分子医薬品、ポリペプチド(例えば、酵素などのタンパク質)、ポリヌクレオチド(例えば、DNAおよびRNA)などが含まれる。例えば、「高分子電解質多層ミクロメートル寸法のシェルにおける有機溶媒のミクロ封入(Microencapsulation of Organic Solvents in Polyelectrolyte Multilayer Micrometer-sized Shells)」 S. Moyaら, Journal of Colloid and Interface Science、216、297-302 (1999)を参照されたい。さらに、薬物をこれらのナノカプセル内に高精度、例えば、0.1ピコグラム/ナノ粒子の倍数で封入することができる。例えば、「コロイド粒子上における、交互の多価イオン/高分子電解質層のアセンブリー(Assembly of Alternated Multivalent Ion/Polyelectrolyte Layers on Colloidal Particles)」I.L. Radtchenkoら, Journal of Colloid and Interface Science、230、272-280 (2000)を参照されたい。
【0054】
高分子電解質ナノカプセルは様々な公知の積層技法を用いて調製できる。典型的な積層技法は、水媒質中に分散した粒子または液滴の荷電ポリマー(高分子電解質)材料を用いる静電気自己アセンブリーを介するコーティングに関わる。これらの技法は、高分子電解質層のテンプレートとなる粒子または液滴がそれぞれ表面電荷を有する現象を利用する。これによって粒子は水分散性となりかつその後の高分子電解質層の析出に必要な電荷を提供する。多層は交互に反対の電荷を有する高分子電解質による繰返し処理によって、すなわち、カチオンとアニオンの高分子電解質を用いる交互の処理によって形成される。ポリマー層は静電気的、積層析出の方法により予め電荷のある固体/液体粒子上に自己アセンブルして、コア周囲に多層のポリマーシェルを形成する。
【0055】
ポリペプチドおよびポリヌクレオチドなどの多数の材料は、それが作られた粒子上に存在する固有の表面電荷を有する。他の材料は無荷電である。かかる材料は、しかし、それでも積層技法によって、例えば、表面電荷を有する粒子または液滴内のそれらを提供することによって封入できる。
【0056】
高分子電解質はポリマー鎖の一成分または置換基であってもよいイオンとして解離しうる基を有するポリマーである。通常、これらのイオンとして解離しうる高分子電解質中の基の数は非常に多いので、解離しうる型のポリマー(ポリイオンとも呼ばれる)は水溶性である。ポリカチオンの具体的な例としては、硫酸プロタミンポリカチオン、ポリ(アリルアミン)ポリカチオン(例えば、ポリアリルアミン塩酸塩)(PAH))、ポリジアリルジメチルアンモニウムポリカチオン、ポリエチレンイミンポリカチオン、キトサンポリカチオン、Eudragit(登録商標)ポリカチオン、ゼラチンポリカチオン、スペルミジンポリカチオンおよびアルブミンポリカチオンが挙げられる。ポリアニオンの具体的な例としては、ポリ(スチレンスルホン酸)ポリアニオン(例えば、ポリ(スチレンスルホン酸ナトリウム)(PSS))、ポリアクリル酸ポリアニオン、アルギン酸ナトリウムポリアニオン、Eudragit(登録商標)ポリアニオン、ゼラチンポリアニオン、ヒアルロン酸ポリアニオン、カラゲナンポリアニオン、硫酸コンドロイチンポリアニオン、およびカルボキシメチルセルロースポリアニオンが挙げられる。
【0057】
分解しうる高分子電解質を用いることにより、封入された薬物の放出を、ナノカプセル壁の分解を介して制御してもよい。あるいは、放出を典型的には拡散により制御する。
【0058】
積層技法により与えられる壁厚みは、例えば、4〜50nmであることが多い。得られるナノカプセルのサイズはテンプレートのサイズに応じて広い範囲で変わり得て、例えば、しばしば最大で50〜1000ナノメートルでありうるが、これらの数値を超える寸法も提供することができる。
【0059】
直接封入以外の技法も、目的の作用薬を高分子電解質シェル内に封入するために利用しうる。例えば、様々な技法はナノカプセルを横切る勾配を利用してシェル内の所望の物質の沈降または合成を行う。例えば、一般的に、大きい巨大分子は典型的に高分子電解質多層を貫通できない一方、小分子は貫通できる。従って、ナノカプセル内に巨大分子が存在すると、ナノカプセルの内側と外側の間の物理化学的特性に差が生じるので、例えば、ナノカプセル内に材料を捕捉するために利用できるpHおよび/または極性の勾配を与える。
【0060】
さらに荷電薬物を1以上の高分子電解質層と置換して、それによりカプセルシェル内の高分子電解質層の間に薬物を組み込むことができる。
【0061】
薬物の代わりにまたは薬物に加えて、材料も高分子電解質析出技法を用いて封入することができる。具体的な例として、マグネタイト(Fe3O4)ナノ粒子の、ポリ(スチレンスルホン酸塩)/ポリ(アリルアミン塩酸塩)高分子電解質多層内への封入が報じられている。ミクロンおよびサブミクロン寸法のナノカプセルは、反対荷電の高分子電解質(PSS、PAH)をコロイド状のテンプレート粒子(例えば、沈降したPAH-クエン酸コンプレックスを有する少し架橋したメラミンホルムアルデヒド粒子)の表面上に積層吸着させ、次いでテンプレートコアを分解させる方法によって作られる。こうすることによりフリーのPAHがコア中に残り、シェルを横切るpH勾配を生じる。この点で、(a)負電荷の予め成型された十分に小さい寸法の磁性粒子(例えば、Fe3O4ナノ粒子)を用いてナノカプセルを含浸して、ナノカプセルの上にそれらを静電気相互作用により保持させてもよいし、または(b)磁性材料(例えば、Fe3O4)をナノカプセル内でpH勾配および溶解したPAHの存在のもとでコア内に選択的に合成させてもよい。得られるナノカプセルは磁場により容易に駆動される。さらなる情報は、例えば「内部にナノ寸法の磁性Fe3O4を有するミクロン規模の中空高分子電解質ナノカプセル(Micron-Scale Hollow Polyelectrolyte Nanocapsules with Nanosized Magnetic Fe3O4 Inside)」, Materials Letters、D.G. Shchukin ら (印刷中)に記載されていて、この開示は本明細書に参照により組み入れられる。所望であれば、薬物をかかるナノカプセル中に磁性材料とともに組み込むことができる。
【0062】
高分子電解質シェルを有するナノカプセルの形成に関するさらなる情報は、例えば、米国特許出願第10/638,739号、米国特許出願公開第2002/0187197号、WO 99/47252、WO 00/03797、WO 00/77281、WO 01/51196、WO 02/09864、WO 02/09865、WO 02/17888、「仕立てた特性をもつミクロ反応かごの製作(Fabrication of Micro Reaction Cages with Tailored Properties)」, L. Daehne ら, J. Am. Chem. Soc., 123, 5431-5436 (2001)、「高分子電解質表面で修飾したコロイド粒子および高分子電解質ナノカプセル上の脂質コーティング(Lipid Coating on Polyelectrolyte Surface Modified Colloidal Particles and Polyelectrolyte Nanocapsules)」, Moya ら, Macromolecules, 33, 4538-4544 (2000); 「中空高分子電解質ナノカプセル中への色素の制御された沈降(Controlled Precipitation of Dyes into Hollow Polyelectrolyte Nanocapsules)」, G. Sukhorukov ら, Advanced Materials, Vol. 12, No. 2, 112-115 (2000), 「難水溶性薬物を封入する新規の方法:高分子電解質多層シェル中の沈降(A Novel Method for Encapsulation of Poorly Water-soluble Drugs: Precipitation in Polyelectrolyte Multilayer Shells)」, I.L. Radtchenko ら, International Journal of Pharmaceutics, 242, 219-223 (2002)に記載され、これらの開示は本明細書に参照により組み入れられる。
【0063】
封入された薬物を含有するナノ粒子については、薬物放出は例えば、次の1以上の機構に応じて起こりうる:(a)封入層を通過する拡散の結果として、(b)封入層の生物分解の結果として、および(c)封入層の透過率の増加または破壊、例えば、高周波照射、マイクロ波、振動磁場、または超音波(例えば、熱エネルギーの発生を介してまたは音響キャビテーションを介して送達を支援しうる)を用いる外界刺激の結果として。例えば、診断レベルの磁気共鳴撮像(MRI)場を用いて、Biological Systems Office (BSO), Johnson Space Centerの研究者は、強磁性粒子を含有するマイクロカプセルの外皮を融解して孔を開けるのに十分な温度まで加熱している。同じ様に、加熱中に強磁性ナノ粒子が達する温度より低い融点を有するシェル材料を選ぶ限り、高分子電解質カプセル内の強磁性ナノ粒子(前記参照)を同様に、高分子電解質シェルを貫通する点まで加熱しうる。
【0064】
薬物が付着したナノ粒子については、例えば、1以上の次の機構により放出が起こりうる:(a)ナノ粒子の生物分解の結果として、(b)ナノ粒子と薬物の間のカップリング化学種の生物分解の結果として、(c)付着する相手の粒子を加熱することによりまたはそれが占める環境(例えば、超音波、交代磁場ならびに高周波およびマイクロ波周波数電磁場)への暴露により切断される感熱性カップリングの選択によって。
【0065】
本発明のいくつかの実施形態は、例えば、アセンブルしたナノ粒子を前記の超音波、交代磁場ならびに高周波およびマイクロ波周波数電磁場に暴露することにより、in vivoで加熱されて局所的細胞死を生じうるナノ粒子に関わる。加熱による細胞死の機構にはネクローシスのプロセスおよびアポトーシスのプロセスが含まれる。ネクローシス細胞は膨潤および破裂を受ける一方、アポトーシス細胞は、細胞表面上に選択的排除のためにそれらを標的化するマーカーを提示するので、食作用により除去される。穏やかな温熱処理(例えば、43℃、30〜60分間)が正常および癌性細胞集団のアポトーシスを促進する一方、より高い温度(例えば、56℃より高い)がネクローシスプロセスを誘発することは公知である。さらなる情報については、例えば、Andrea Jordanら, 「ヒトの固体腫瘍を磁場温熱療法により治療する新しい磁場療法系の提案(Presentation of a new magnetic field therapy system for the treatment of human solid tumors with magnetic fluid hyperthermia)」, Journal of Magnetism and Magnetic Materials, 225 (2001) 118-126;およびKuznetsov AAら, 「自己制御誘導加熱用の「スマート」メディエータ('Smart' mediators for self-controlled inductive heating)」, European Cells and Materials, Vol. 3. Suppl. 2, 2002 (pp.75-77), を参照されたい。
【0066】
先に記載したように、本発明の重要な特徴は、ナノ粒子がin vivoで自己アセンブルすることである。本発明における自己アセンブリーは、身体の組織に付着するかまたは他のナノ粒子上のリガンドに付着するリガンドを備えたナノ粒子を提供することにより指令される。
【0067】
本発明のナノ粒子を組織に結合するリガンドは、標的化する組織に依存しうる。組織付着リガンドは、例えば次の化学種(またはその部分)から選択しうる:アンキリン、カドヘリン、免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバー(NCAM、ICAM、VCAMなどを含む広範囲の分子が含まれる)、セレクチン(L-、E-およびP-サブクラス)、プロテオグリカン、コネクシン、粘膜付着物、シアリルLex、植物性または細菌性レクチン(上皮細胞膜の糖部分と特異的に結合する接着分子)、ラミニン、デルマタン硫酸、エンタクチン、フィブリン、フィブロネクチン、ビメンチン、コラーゲン、糖脂質、グリコホリン、糖タンパク質、ヘパラン硫酸、ヘパリン硫酸、ヒアルロン酸、ケラタン硫酸、スペクトリン、フォン・ビルブラント因子、ビンクリン、ビトロネクチン、ならびに様々なペプチド配列を含有するポリペプチドおよびタンパク質{これには、RGDトリペプチド(すなわち、フィブロネクチン、ラミニン、コラーゲンI、コラーゲンIV、トロンボスポンジン、およびテネイシンの細胞接着特性のいくつかに関わることが同定されているArgGlyAsp)、REDVテトラペプチド(すなわち、内皮細胞接着を支持するが平滑筋細胞、繊維芽細胞、または血小板の細胞接着は支持しないことが知られるArg-Glu-Asp-Val)、およびYIGSRペンタペプチド(すなわち、上皮細胞付着を促進するが、血小板接着を促進しないTyrIleGlySerArg)が含まれる}。これらおよび他のペプチドのさらなる情報は、米国特許第6,156,572号および米国特許出願公開第2003/0087111号に記載されている。
【0068】
これに関連して、小オリゴペプチド(例えば、2〜12個のアミノ酸)は通常、身体からそのクリアランスに関わる様々なプロセスによって速やかに取出される。Meijer DKら, 「新規ペプチド-リガンドアルブミンを用いる疾患に誘導される薬物標的化(Disease-induced drug targeting using novel peptide-ligand albumins)」 J Control Release; 2001 May 14;72(1-3):157-64を参照されたい。しかし、かかるペプチドのナノ粒子とのカップリングにより、様々な経路を介する排除は低下するかまたは阻止されると予想される。
【0069】
従って、リガンドと組織の間の相互作用は本発明において、役に立つ組織-リガンド相互作用に選択的であり、かかる相互作用には、他の相互作用のなかでも、リガンド-細胞レセプター相互作用、抗体-抗原型相互作用(例えば、全抗体または抗体フラグメントを用いる)、酵素および補酵素と阻害剤の間の相互作用、ならびに核酸ハイブリダイゼーションが含まれる。
【0070】
組織を標的化するリガンドの少数の具体的な例を以下に詳しく考察する。
【0071】
例えば、脆弱なプラークの組織学的な特徴には、大きい脂質コア、薄い線維性キャップ、プラーク内出血、および増加した炎症細胞数、特に単球-マクロファージが含まれる。プラークはコア(例えば、脂質およびコレステロール結晶、マクロファージ、泡沫細胞、ネクローシス細胞砕片、血漿タンパク質および変性血液成分を含有する)から構成されて線維性組織の層によりルーメンから分離されており、これは線維性キャップ(例えば、平滑筋細胞、マクロファージ、泡沫細胞、コラーゲン、エラスチン、プロテオグリカンおよび他の細胞外マトリックス[ECM]構成要素を含有する)としても知られる。
【0072】
従って、標的化組織がアテローム硬化型プラークである場合、リガンドはプラークのECM構成成分中の様々な分子種の存在または発現に基づいて選択することができる。特に、プラーク再造形はマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)、具体的にはMMP-1、MMP-2、MMP-3およびMMP-9により起こることが知られている。Zaltsman AB ら, 「コレステロールを与えたウサギの大動脈からのメタロプロテアーゼ1および2の組織インヒビター分泌の増加は部分的にメタロプロテイナーゼ活性の増加を相殺する(Increased secretion of tissue inhibitors of metalloproteinases 1 and 2 from the aortas of cholesterol fed rabbits partially counterbalances increased metalloproteinase activity)」, Arterioscler Thromb Vasc Biol; 1999 Jul; 19(7):1700-7を参照されたい。さらに、様々なメタロプロテイナーゼの組織インヒビター(TIMP)がマトリックスメタロプロテイナーゼと優先的に結合することが知られている。例えば、TIMP-1はMMP-1およびMMP-9と優先的に結合し、TIMP-2はMMP-2と優先的に結合し、TIMP-3はMMP-1およびMMP-9と優先的に結合する(同書)。MMP-2およびMMP-3を含むMMPとの結合親和性が増強されたTIMPの突然変異体も報じられている。Shuo Weiら, 「メタロプロテイナーゼ1の組織インヒビター(TIMP-1)阻害性ドメインのタンパク質エンジニアリング(Protein Engineering of the Tissue Inhibitor of Metalloproteinase 1 (TIMP-1) Inhibitory Domain)」, J. Biol. Chem., Vol. 278, Issue 11, 9831-9834, March 14, 2003。従って本発明の一実施形態において、TIMPまたはその類似体または誘導体を、プラーク標的化に利用することができる。
【0073】
線維性キャップ内のMMPを標的化するために、抗体も利用しうるし、または公知の技法を用いて作製することもできる。例えば、ウサギ抗-MMP-1(MMP-1と結合するがMMPファミリーメンバーMMP-2A、MMP-2B、およびMMP-3、MMP-9と交差反応しない)は、Research Diagnostics Inc., Flanders NJ, USAから入手しうる。またResearch Diagnostics Inc.から、マウス抗-ヒトMMP-3モノクローナル抗体、ウサギ抗-MMP-3抗体、マウス抗-ヒトMMP-9モノクローナル抗体およびウサギ抗-MMP-9抗体も入手しうる。従って本発明の他の実施形態において、抗-MMP抗体またはそのフラグメント、類似体もしくは誘導体がプラーク標的化に利用される。
【0074】
線維性キャップ中のIII型コラーゲンが、その暴露とキャップを覆う基底膜の喪失に基づく自己アセンブリーに対する別の標的である。例えば、Kolodgie FD ら, 「責任病変中のプロテオグリカンとヒアルロナンの示差的蓄積:プラーク侵食の洞察(Differential accumulation of proteoglycans and hyaluronan in culprit lesions: insights into plaque erosion)」, Arterioscler Thromb Vasc Biol; 2002 Oct 1; 22(10):1642-8を参照されたい。抗体もコラーゲンIIIと結合するリガンドを作るために利用しうるしまたは作製することができる。例えば、マウスIII型コラーゲンモノクローナル抗体はChemicon International, Inc, Temecula, CA, USAから入手しうるし、ウサギIII型コラーゲン抗体およびマウスIII型コラーゲン抗体はAbcam, Ltd., Cambridge, UKから入手しうる。従って、本発明の他の実施形態においては、抗III型コラーゲン抗体、またはそのフラグメント、類似体もしくは誘導体をプラーク標的化に利用できる。
【0075】
自己アセンブリーのための他の標的は、リポタンパク質(a)マトリックスメタロプロテイナーゼ由来のF2である、というのは、これがマトリックスメタロプロテイナーゼ2およびマトリックスメタロプロテイナーゼ9の増加した領域に存在するからである。Fortunato JE ら, 「ヒト頸動脈プラーク不安定性と関係するアポリポタンパク質(a)断片(Apolipoprotein (a) fragments in relation to human carotid plaque instability)」, J Vasc Surg; 2000 Sep; 32(3):555-63を参照されたい。
【0076】
アポトーシスは進行したヒトアテロームに共通し、プラーク不安定性に寄与する。アネキシンV(カルシウム依存性リン脂質結合タンパク質のアネキシンファミリーのメンバー)はアポトーシス細胞上に曝されたホスファチジルセリンと強い親和性を有する。Kolodgie FDら, 「放射標識したアネキシンVによるアポトーシスマクロファージおよび実験的アテロームの標的化:脆弱なプラークの非侵襲性撮像の可能性をもつ技法(Targeting of apoptotic macrophages and experimental atheroma with radiolabeled annexin V: a technique with potential for noninvasive imaging of vulnerable plaque)」, Circulation. 2003 Dec 23;108(25):3134-9を参照されたい。さらに、ベンジルオキシカルボニル-Val-Ala-DL-Asp(O-メチル)-フルオロメチルケトン(Z-VAD-fmk)は、アポトーシスと緊密に関係する酵素カスケードの強力なインヒビターであるいことが公知である。Haberkorn Uら, 「アポトーシスの強力なシンチグラフィーマーカーの研究: 放射ヨウ素標識した Z-Val-Ala-DL-Asp(O-メチル)-フルオロメチルケトン(Investigation of a potential scintigraphic marker of apoptosis: radioiodinated Z-Val-Ala-DL-Asp(O-methyl)-fluoromethyl ketone)」, Nucl Med Biol. 2001 Oct;28(7):793-8を参照されたい。
【0077】
さらに、炎症性刺激が存在すると、単球およびマクロファージ上のCC(システイン-システインモチーフ)ケモカインレセプター(CCR)-2、ならびにTリンパ球上のソマトスタチンレセプターの発現が増加する。単球化学誘引物質タンパク質(MCP)-1はCCR-2と高親和性で結合するので、亜急性および慢性炎症性病変を検出するために利用される。Blankenberg FGら, 「血管撮像用の放射造影剤の開発:現在の進歩(Development of radiocontrast agents for vascular imaging: progress to date)」, Am J Cardiovasc Drugs; 2002;2(6):357-65を参照されたい。さらに、オクトレオチドまたはデプレオチドが脆弱なプラークを同定する活性化Tリンパ球を検出するために用いられる。同書。MCP-1およびフルオロ-2-デオキシグルコースは動物モデルにおいて、それぞれ、アテローム性病変のマクロファージ浸潤および代謝活性を同定するのに効果的であることが示されている。同書。
【0078】
さらに、染色体16q13ケモカインであるMDC、フラクタルキン、およびTARCはアテローム硬化型病変において発現される。Greaves DRら, 「連結された染色体16q13ケモカイン、マクロファージ由来のケモカイン、フラクタルキン、および胸腺-および活性化-調節されたケモカインがヒトアテローム硬化型病変において発現される(Linked chromosome 16q13 chemokines, macrophage-derived chemokine, fractalkine, and thymus- and activation-regulated chemokine, are expressed in human atherosclerotic lesions)」, Arterioscler Thromb Vasc Biol; 2001 Jun;21(6):923-9。
【0079】
エンドテリンなどのペプチドも、不安定なアテローム硬化型プラークを採集する作用薬として探索されている(Knight LC, 「放射標識したペプチドの核医薬における非腫瘍学的応用(Non-oncologic applications of radiolabeled peptides in nuclear medicine)」, Q J Nucl Med; 2003 Dec; 47(4):279-91)。
【0080】
その結果、プラークを標的化するために本発明のある特定の実施形態において、とりわけ、アネキシンV、Z-VAD-fmk、(MCP)-1、オクトレオチド、デプレオチド、フルオロ-2-デオキシグルコース、MDC、フラクタルキン、TARCおよびエンドテリン、またはそれらの断片、類似体または誘導体を含有するリガンドが用いられる。
【0081】
プラークに加えて、アポトーシスもまた、癌、急性脳および心筋虚血損傷および梗塞、免疫の介在する炎症性疾患および移植片拒絶に関係がある。Blankenberg FG, 「プログラム細胞死の撮像における最近の進歩(Recent advances in the imaging of programmed cell death)」, Curr Pharm Des, 2004;10(13):1457-67およびBlankenberg Fら, 「in vivoでの細胞死の撮像(Imaging cell death in vivo)」, Q J Nucl Med; 2003 Dec;47(4):337-48を参照されたい。従って、本発明のいくつかの実施形態においては、アポトーシス細胞に対して高親和性をもつ化学種を含有するリガンド、なかでも、アネキシンVおよびZ-VAD-fmk(またはそれらの断片、類似体もしくは誘導体)などが同様にこれらの症状の治療および/または診断に用いられる。
【0082】
梗塞については、抗ミオシンFab、Fabモノクローナル抗体フラグメントが傷害の原因に関係なく心筋ネクローシスを検出する高い特異性を与えることが知られている。KhawBA、「梗塞診断撮像の現在の役割(The current role of infarct avid imaging)」, Semin Nucl Med; 1999 Jul;29(3):259-70。例えば、陳旧性梗塞(remote infarction)および急性ネクローシスの病歴をもつ5人の患者が、梗塞の急性突発事象と合致する領域においてだけ、抗ミオシン摂取を示し、かつ放射標識抗ミオシンFabが古い梗塞にも正常な非梗塞心筋にも局在化しないことが報じられた。Khaw BAら、「インジウム-111-標識モノクローナル抗ミオシンFabによる急性心筋梗塞撮像(Acute myocardial infarct imaging with indium-111-labeled monoclonal antimyosin Fab)」, J Nucl Med; 1987 Nov; 28(11):1671-8。従って、抗ミオシンFab、またはそのフラグメント、類似体または誘導体を含有するリガンドが本発明のいくつかの実施形態において梗塞を標的化するために利用される。
【0083】
自己白血球は炎症性および感染性部位に濃縮し、サイトカイン(例えば、IL-1、IL-2)およびケモカイン(例えば、IL-8、PF-4、MCP-1、NAP-2)、補体因子(例えば、C5aおよびC5adR)、化学走化性ペプチド(例えば、fMLF)、他の化学走化性因子(例えば、LTB4)、ならびにタフトシンレセプターに対するアンタゴニストも同様である。van Eerd JEら、「放射標識した化学走化性サイトカイン:感染および炎症をシンチグラフィ撮像するための新薬剤(Radiolabeled chemotactic cytokines: new agents for scintigraphic imaging of infection and inflammation)」, Q J Nucl Med; 2003 Dec; 47(4):246-55、およびKnight LC、「放射標識したペプチドの核医薬における非腫瘍学的応用(Non-oncologic applications of radiolabeled peptides in nuclear medicine)」, Q J Nucl Med; 2003 Dec; 47(4):279-91。従って、これらの化学種、その断片、類似体または誘導体を含有するリガンドが、本発明のいくつかの実施形態において、炎症性および感染性部位を標的化するために利用される。
【0084】
α(v)β(3)インテグリンの発現が、血管傷害後の活性化内皮細胞および血管の平滑筋細胞で増加するが、α(v)β(3)インテグリンは平滑筋細胞で最小限しか発現されずかつ静止状態の上皮細胞では発現されない。Blankenberg FGら、「血管撮像用放射造影剤の開発:進歩の現状(Development of radiocontrast agents for vascular imaging: progress to date)」, Am J Cardiovasc Drugs; 2002;2(6):357-65を参照されたい。さらに、放射標識した高親和性ペプチドを用いてα(v)β(3)インテグリンを標的化しかつ血管損傷領域を可視化できることが報じられている。同書。従って、このペプチドまたはその断片、類似体または誘導体を含有するリガンドは、本発明のいくつかの実施形態によって、血管損傷を標的化するために利用することができる。
【0085】
血管損傷において、基底層/基底膜(IV型コラーゲン、フィブロネクチン、ラミニン、ヘパラン硫酸プロテオグリカン、および硫酸化糖タンパク質であるニドゲンを含む特殊化ECMタンパク質のネットワークである)などのサブ内皮領域が曝され、かつ大きい血管については中膜(エラスチン、I、IIIおよびV型コラーゲン、プロテオグリカンなどのマトリックス内の平滑筋細胞から構成される)が存在する、従って、血管損傷を標的化するためのリガンドにはまた、これらの化学種と結合する様々なインテグリンが含まれる。インテグリンは様々な細胞外マトリックス構成成分および細胞表面レセプターを認識し、それにはコラーゲン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、ラミニン、フィブリノーゲン、および細胞内接着分子(ICAMS)および血管接着分子(VCAMS)を含む接着分子が含まれる。細胞表面レセプターのインテグリンファミリーのメンバーは、実質的に全ての哺乳動物細胞上に発現されて細胞がお互いおよび細胞外マトリックスと接着するのを媒介する。さらなる情報は、例えば、米国特許出願第2002/0058336号および米国特許出願第2003/0007969号に記載され、これらは参照により本明細書に組み入れられる。
【0086】
血栓塞栓性疾患については、血栓の様々な構成成分が公知であり、それにはフィブリンまたはフィブリンと区切られた結合ドメインを有するフィブロネクチンの断片のペプチド類似体、血小板上の糖タンパク質IIb/IIIaレセプターの直鎖および環状ペプチドアンタゴニスト、毒液中に見出されるこのレセプターの天然アンタゴニスト、血小板上の他のレセプターと結合するラミニンおよびトロンボスポンジンの類似体、およびフィブリン血塊内に隔絶されるトロンビンを標的化するペプチドが含まれる。Knight LC、「放射標識したペプチドの核医薬における非腫瘍学的応用(Non-oncologic applications of radiolabeled peptides in nuclear medicine)」, Q J Nucl Med; 2003 Dec; 47(4):279-91を参照。これらのある特定の実施形態においては、ナノ粒子を、血栓を溶解しかつ治癒するのを助ける作用薬、例えば、プラスミン、組織プラスミノーゲンアクチベーター(TPA)、増殖因子および/またはフィブロネクチンなどの細胞接着タンパク質、RGDペプチド等々とともに提供する。
【0087】
本発明によるナノ粒子はまた、粒子間結合用のリガンドとともに提供される。組織結合用のリガンドと同じように、粒子間結合リガンド間の相互作用は選択的であり、それには、なかでも、リガンド-レセプター型相互作用、抗体-抗原型相互作用、核酸相互作用、および細胞レセプター模倣結合のような役に立つ相互作用が含まれる。粒子間リガンド結合対の具体的な例は合成ペプチド配列(好ましくはin vivo対応物を有しない)とそれに対する抗体(または抗体フラグメント)の組合わせである。
【0088】
リガンドが選択されると、それを、例えば、前記のナノ粒子部分と会合させなければならない。この点については、近年、ポリペプチド、多糖、ポリヌクレオチド、ならびに他のバイオポリマーおよび小分子を固体支持体とカップリングさせる多数の技法が開発された。例えば、カップリング技法は診断の応用、例えば、アフィニティクロマトグラフィにおける使用に広く実施されている。
【0089】
選択される固定化技法は一般に、リガンド(例えば、それがポリペプチド、多糖、ポリヌクレオチド、小分子物質であるかどうかなど)およびナノ粒子(例えば、それが有機または無機、金属または非金属であるかどうか)の化学的特性に依存しうる。明らかなことだが、その技法はリガンドの結合能力を破壊してはならない。
【0090】
選択されたリガンド内の利用しうる反応基に応じて、いくつかの周知のカップリング化学をリガンド固定化に直ぐ利用することができ、それには様々な縮合、付加および置換反応に基づくものが含まれる。例えば、アミン、チオールおよびアルデヒドカップリング化学がカップリング業界では周知である。ほとんどの巨大分子はアミンカップリングに利用できるアミン基を含有する。チオールカップリングの選択はリガンド上のチオールの利用可能性に依存する。しかし、必要であれば、チオール基をもつ所与のリガンドを提供することは比較的容易である。チオール化学は一般にアミン化学より頑丈であり、カップリング条件がそれほど重要でないと考えられる。例えば、多糖および糖コンジュゲートについてはアルデヒドカップリングが選択される。ストレプトアビジン-ビオチンカップリングについては、核酸、多糖および糖コンジュゲートは様々な試薬と官能基を利用して比較的容易にビオチン化される。
【0091】
性質がポリマーであるナノ粒子部分については、以上考察したものを含む当技術分野で公知のリガンドを付着するためのカップリング化学に直接加わるか、または容易に修飾して加わることができる有機官能基を有することが多い。
【0092】
ナノ粒子の性質が金属またはセラミックである場合、典型的にはその表面を誘導体化した後にカップリングする。例えば、米国特許出願第10/830,772号に記載のような技法を利用し、(a)表面をハロゲン化するステップ;および(b)ハロゲン化した表面を塩素化した表面領域と共有結合しうる反応性分子と反応させるステップを含んでなる方法によってリガンドをナノ粒子表面と共有結合させることができる。例えば、表面領域を反応性塩化物、例えば、次から選択される反応性塩化物に曝すことによりハロゲン化する:SiCl4(四塩化シリコン)、TiCl4(四塩化チタン)、GeCl4(四塩化ゲルマニウム)、SnCl4(四塩化スズ)、VCl4(四塩化バナジウム)、MoCl5(五塩化モリブデン)、WCl6(六塩化タングステン)、BCl3(三塩化ホウ素)、およびPCl5(五塩化リン)。具体的な例によれば、表面領域(例えば、利用しうる水酸化基をもつ金属またはセラミック表面領域)をハロゲン化剤(この例では、クロロシラン化剤)として四塩化シリコンと反応させる。この反応式は、例えば、次の通り表わされる:
M-OH + SiCl4 → M-O-SiCl3 + HCl
[式中、Mは金属またはセラミック表面に対応する]。これらが表面上に作製されると、次いでクロロシラン基をそれと反応する分子(例えば、ヒドロキシル基を含む化学種)に曝し、それにより共有結合した分子化学種を形成させる。
【0093】
前記反応式は、反応に利用しうる表面ヒドロキシル基がある限り、様々な金属またはセラミック表面を含む色々な表面上で行うことができる。この反応式はまた、生来の酸化層を形成する様々な金属上で実施しうる。この点については、制御された生来の酸化層を、現在医療デバイスで用いられるほとんどの金属上に形成することができる。この技法は周知である。前記反応式はまた、前処理してヒドロキシル基を構築しておいた表面領域で実施してもよい。例えば、いくつかの実施形態においては、表面領域、例えば、ポリマー表面領域をグロー放電にかけて前処理する。グロー放電ステップ中にヒドロキシル化して得られる表面領域は、次いで前記反応式による反応に利用できる。
【0094】
リガンド付着が共有結合である必要はない。例えば、Michel R.ら、「自己組織化分子アセンブリー:生物学的応用のためのミクロおよびナノ規模における表面のパターン形成(Self-organized molecular assembly: patterning of surfaces at the micro- and nano-scale for biological applications)」, Langmuir、2002、18、3281-3287に記載の通り、水溶液からのアルカンリン酸エステルは酸化チタンまたはニオビウムなどのある特定の金属酸化物上に吸着しうることは公知である。ニッケル-チタン合金表面上には酸化チタンが存在するので、ドデシルリン酸エステル(DDP)はそのアンモニウム塩の水溶液から自己アセンブリーにより容易に吸着され、チタンオキシド表面を疎水性にし、そしてタンパク質吸着性にすると予想される。(代わりの実施形態においては、純粋な酸化チタンの薄層をナノ粒子表面上に形成させる)。続いて、タンパク質を含む、ポリペプチドを含有する分子が表面上に吸着される。
【0095】
所望であれば、リガンドをナノ粒子表面の一部分とだけカップリングさせてもよい。例えば、リトグラフマスキング技法を利用してナノ粒子のある特定の部分との接触を阻止してもよい。他の例としては、例えば、A K Salemら, 「遺伝子送達用の多機能性ナノロッド(Multifunctional nanorods for gene delivery)」, Nature Materials、Vol. 2、2003、pp 668-671も参照されたい(コンパクトなDNAプラスミドと標的化リガンドを空間的に規定したやり方で同時に結合できる、マルチセグメントのバイメタルナノロッド(Au/Ni)に基づく非ウイルス遺伝子送達系を記載する)。
【0096】
以上および他の技法を用いて、多様なリガンドを広い範囲のナノ粒子部分に吸着または共有結合でカップリングさせることができる。リガンドカップリングのさらなる情報については、例えば、Mohammed Aslam PhDおよび, Bioconjugation: Protein Coupling Techniques for the Biomedical Sciences, Nature Publishing Group, Nature Publishing Group, 1998;Yuri Lvovら, Protein Architecture: Interfacing Molecular Assemblies and Immobilization Biotechnology, Marcel Dekker, 1999;および Shtilman, MI, Immobilization on Polymers, VSP International Science Publishers、1993を参照されたい;これらの開示は参照により本明細書に組み入れられる。
【0097】
本発明の多くの実施形態においては、ナノ粒子がin vivoでアセンブルされると、ナノ粒子を非侵襲的に撮像することが所望される。現在利用しうる非浸潤性撮像技法のなかには、磁気共鳴撮像(MRI)、X線フッ素分光分析およびシンチグラフィー撮像が含まれる。
【0098】
磁気共鳴撮像(MRI)は、撮像する身体の部分において示差的に検出しうる磁性種により画像を作製する。MRIの造影能(contrast)を増強するために、造影剤は大きい磁気モーメントを有して比較的長い電子緩和時間をもつことが所望される。この判定基準に基づいて、Gd(III)、Mn(II)およびFe(III)などの造影剤が使われている。ガドリニウム(III)は、これら3種のなかでも最大の磁気モーメントを有するので、MRIの造影能を増強するために広く用いられる常磁性種である。Gd-DTPA(リガンドによりジエチレントリアミン五酢酸とキレート化したガドリニウムイオン)などの常磁性イオンのキレートもMRI造影剤として使われている。本発明のある特定の実施形態によれば、常磁性イオンキレートを、選択したナノ粒子部分と前記のカップリング技法を用いて付着させてもよい。
【0099】
以上記載したように、組織を標的化するリガンドとして有用な多くの化学種は現在、放射標識した形態で入手しうるので、それらを撮像することが可能である。あるいは、放射標識した原子をもつリガンドを提供する技法は周知である。
【0100】
X線に基づくフッ素分光分析については、金属ナノ粒子などのいくつかのナノ粒子は元来、周囲組織よりX線をよく吸収する。あるいは、本発明のナノ粒子を、造影剤、ある特定の実施形態においては、例えば、金属(例えば、タングステン、白金、タンタル、イリジウム、金、または他の高密度金属)、金属化合物(例えば、硫酸バリウム、次炭酸ビスマス、三酸化ビスマス、オキシ塩化ビスマスなど)またはヨウ化化合物(例えば、イオパミドール、イオタラム酸ナトリウム、ヨーダミドナトリウム)などとともに提供することができる。
【0101】
超音波は、生体組織の画像を作製するために高周波数の音波を用いる。音シグナを送り出して、反射される超音波エネルギーまたは「エコー」を利用して画像を作製する。超音波撮像造影剤は、超音波装置により作製される画像を増強する材料である。本発明の組成物中に導入される超音波撮像造影剤は、例えば、エコー原性(すなわち、反射される超音波エネルギーの増加をもたらす材料)または低エコー性(echolucent)(すなわち、反射される超音波エネルギーの減少をもたらす材料)であってもよい。本発明との関係で用いるのに好適な超音波撮像造影剤には、最大寸法で約0.01〜50ミクロンの範囲の固体粒子(例えば、本発明のナノ粒子はいくつかの事例で十分な造影能を提供しうる)が含まれる。他の実施形態においては、ナノバブル(例えば、空気の充満したナノカプセル)を用いる。
【0102】
従って、当業者に公知の以上のおよび他の技法を用いてナノ粒子を製造し、次いで血管系に注入すると、ナノ粒子は同定しうるマーカーを有する罹患または異常構造に付着し、例えば、内皮の上、曝された基底膜の上、曝された細胞外マトリックスの上などに現れうる。さらなる粒子は次いで自己アセンブルして、最初に組織に付着する粒子を覆う構造となる。アセンブルした血管内構造の形状は、例えば粒子の形状、リガンドの位置などに依存しうる。 いくつかの実施形態においては、自己アセンブル構造は罹患または異常組織を覆う構造を安定化するかまたは単離するように作用する。例えば、いくつかの実施形態において、脆弱なプラーク(すなわち、破裂のリスクがあるプラーク)はプラークを覆うパッチに有効な量の自己アセンブリーにより安定化される。さらに、もしナノ粒子がプラークを区画できる特性を有すれば(例えばそれらが、他の粒子のなかでも炭素ナノチューブが所持しうる親油特性を有するので)、それらはプラーク中に自己アセンブルし、例えば、アセンブリーをより安定に保持されるようにし、プラークを大きい構造の存在により安定化し、そして/または様々な治療薬(例えば、プラークが不安定化する原因となるプロセスを和らげる抗炎症薬、プラークの治癒を促進する作用薬、例えば、放出されるとポリマー前駆体の架橋によりプラークの構成成分をゲル化して安定化できる作用薬およびポリマー前駆体など)を放出できるようにする。さらに、自己アセンブルした構造を脆弱なプラークの位置を突き止める診断に用いることができる。ナノ粒子とその構成成分の性質に応じて、それらをMRIにより(例えば、常磁性粒子を用いて)または分光学的(例えば、近赤外)検出器カテーテルにより可視化しうる。後者の技法の例については、例えば、PW Baroneら、「単層炭素ナノチューブに基づく近赤外光学センサー(Near-infrared optical sensors based on single-walled carbon nanotubes)」, Nature Materials 4 (2005) 86-92を参照されたい。
【0103】
いくつかの実施形態において、自己アセンブル構造は機械的機能を果たす。例えば、その構造は活性化すると収縮および/または拡大する(例えば、形状記憶または個々の粒子の他の形状変化特性を利用することにより)。材料の形状変化特性を活性化する誘発事象には、先に考察したように、超音波、高周波照射、マイクロ波照射、または振動磁場が含まれる。さらに、粒子間結合リガンドおよびさらなるリガンドとの分子凝集体を用いて、血液中の注入された作用薬または循環する作用薬がこのさらなるリガンドと結合するときに、立体形状変化を起こさせることができる。例えば、他の作用薬と結合すると立体形状が変化する様々な分子が知られている。エネルギーに暴露すると立体形状が変化して、部分的または全面的な変性の原因となる分子も知られている。
【0104】
かかる技法を用いて、構造が妨害プラークまたは再狭窄構造を覆って自己アセンブルしている場合、次に、自己アセンブルした粒子の形状記憶特性を活性化することによりその構造を拡大して血管径を増加する。この例では、自己アセンブル構造は拡大ステントセグメントとして作用する。ある特定の実施形態においては、U型の形状記憶ロッドをナノ粒子部分として使い、リガンドをUの末端に与える。これらの粒子は次いで(例えば、加熱により)誘発されると形状変化を起こして開放される。
【0105】
この形状変化はまた、損傷して拡大した組織を収縮させる力を加えるために利用することもできる。役に立つ収縮構造の具体的な例は、接着性構造を(例えば、古い梗塞の)瘢痕心臓筋肉を覆って自己アセンブルさせ、そして次に活性化して収縮させる(例えば、誘発するとU型になる直線形状位置ロッドを使う)事例である。この収縮は心臓を再成型し、心室体積を縮小し、駆出率を増加し、そして心臓のポジティブな再成型に導く。体積減少はStarlingの心臓収縮力の法則に一致した心臓収縮力および駆出率を増加する。この概念は肉眼規模では、外科介入により心筋を取出すことにより、BattistaまたはDorr手順を用いる心室縮小により、または瘢痕組織を収縮させかつHearten Medical、Irvine、CA、USAから入手しうるような方法を用いてパッチングすることにより実施される。
【0106】
自己アセンブル構造はまた、先に考察した技法を用いて誘発し、ナノ粒子に含まれるまたは付着した薬物または役に立つ他の作用薬を放出することもできる。例えば、これらの作用薬はプラークを治療する抗再狭窄薬であってもよい。他の例として、これらの作用薬は、脆弱なプラークをさらに安定化しかつ動脈瘤管理用の単成分または多成分粘着剤または接着剤(例えば、フィブリノーゲン、トロンビン、シアノアクリレート接着剤など)に対応してもよい。さらに他の例として、これらの作用薬は血管組織を修復するかまたは梗塞後の心筋などの傷害および/または瘢痕組織を再血管新生する増殖因子に対応してもよい。
【0107】
さらなる実施形態においては、自己アセンブルする本発明の組成物を用いて、生物テロ薬に感染した組織を含む罹患もしくは感染組織を標的化する。自己アセンブル構造(最もありうるのは毛細管床内の)を活性化すると、疾患または感染を治療する薬物もしくは他の作用薬が放出される。
【0108】
具体例として、感染薬の肺中への吸入は肺内の毛細管床内皮に変化をもたらすと予想される。これらの異常な内皮を自己アセンブル構造形成の標的にして、抗感染薬を感染の局部においてのみ放出しうるようにすることができる。例えば、前記のように、自己白血球は、サイトカイン、ケモカイン、補因子、走化性ペプチド、他の走化性因子ならびにtuftsinレセプターに対するアンタゴニストと同じように、炎症および感染部位に濃縮する。従って、局所感染の部位への送達を意図するナノ粒子に対するリガンドはこれらの化学種から選択することができる。以上および他の技法は、感染部位で局所的にだけ放出されるので、比較的毒性の作用薬の使用が可能になろう。
【0109】
本発明による自己アセンブルした血管内構造はまた、組織修復用の骨格としても利用できる。これらの構造は内因性細胞または注入された細胞と結合するリガンドを含有しうる。例えば上記のように、α(v)β(3)インテグリンに対する親和性を有するペプチドを用いて血管傷害の領域を標的化できる。さらに、インテグリンはまた、様々な細胞外マトリックス構成成分および細胞表面レセプターを認識するので、先に記載の通り、血管傷害の領域を標的化するためにも利用できる。組織修復用の自己アセンブル骨格を形成するのに好ましいナノ粒子としては、コラーゲン(例えば、IV型コラーゲン)、グリコサミノグリカン、治癒を促進するECM様-材料によりコーティングされた合成粒子などの細胞外マトリックス材料のナノ粒子が挙げられる。自己アセンブルされるナノ粒子はまた、放出されて所望の内因性細胞型の増殖を誘引および/または促進する薬物または他の作用薬を備えることもできる。
【0110】
本明細書において様々な本発明の実施形態を具体的に説明しかつ記載したが、本発明の修飾と変法は、以上の教示に包含されるものであって、本発明の精神と意図する範囲から逸脱することなく、添付した請求の範囲内にあることが理解されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自己アセンブル性ナノ粒子を含んでなる注入可能な組成物であって、前記自己アセンブル性ナノ粒子が(a)ナノ粒子部分、(b)組成物を身体中に注入すると、1以上の標的化した組織位置でナノ粒子の優先的な結合および蓄積を生じるナノ粒子部分に付着した組織結合リガンド、および(c)1以上の標的化した組織位置で粒子間結合を生じる、ナノ粒子に付着した第1および第2粒子間結合リガンドを含む、前記組成物。
【請求項2】
第1および第2粒子間結合リガンドの少なくとも1つが1以上の標的化した組織位置においてin vivoで活性化される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
ナノ粒子部分が球状ナノ粒子部分、平面形状ナノ粒子部分、および伸長したナノ粒子部分から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
ナノ粒子部分が無機ナノ粒子部分である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
無機ナノ粒子部分が金属性ナノ粒子部分である、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
ナノ粒子部分が有機ナノ粒子部分である、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
有機ナノ粒子部分がポリマーナノ粒子部分である、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
誘発処置を行うことによりナノ粒子部分の形状をin vivoで変えることができる、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
ナノ粒子部分が形状記憶を有する、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
ナノ粒子部分が形状記憶金属または形状記憶ポリマーから形成される、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
形状記憶を誘発するとナノ粒子部分が拡大する、請求項9に記載の組成物。
【請求項12】
形状記憶を誘発するとナノ粒子部分が収縮する、請求項9に記載の組成物。
【請求項13】
ナノ粒子部分が熱収縮性材料から形成される、請求項8に記載の組成物。
【請求項14】
自己アセンブル性ナノ粒子が放出しうる接着化学種を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
自己アセンブル性ナノ粒子がin vivoでかつナノ粒子自己アセンブリーの後に放出される薬物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
薬物がナノ粒子部分と共有結合している、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
薬物が封入されかつナノ粒子部分に付着している、請求項15に記載の組成物。
【請求項18】
ナノ粒子部分が薬物を含む、請求項15に記載の組成物。
【請求項19】
ナノ粒子部分が封入された薬物を含む、請求項15に記載の組成物。
【請求項20】
薬物が抗再狭窄薬、抗血栓薬、増殖因子、抗炎症薬、細胞接着タンパク質、およびそれらの組合わせから選択される、請求項15に記載の組成物。
【請求項21】
自己アセンブル性ナノ粒子が磁性ナノ粒子を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項22】
組織結合リガンドが抗体、インテグリン、細胞レセプター模倣物およびそれらの組合わせから選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項23】
第1および第2粒子間結合リガンドが抗体-抗原対を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項24】
ナノ粒子のin vivo自己アセンブリーのためのキットであって、
(a)(i)第1のナノ粒子部分、(ii)第1の組成物を身体中に注入すると、1以上の標的化した組織位置で第1の自己アセンブル性ナノ粒子の優先的な結合および蓄積を生じる第1のナノ粒子部分に付着した組織結合リガンド、および(iii)粒子間結合を促進する第1のナノ粒子部分に付着した第1の粒子間結合リガンド、を含む第1の自己アセンブル性ナノ粒子を含んでなる第1の注入可能な組成物;ならびに
(b)(i)第2のナノ粒子部分、および(ii)第2の組成物を身体中に注入すると、第1のナノ粒子の第1の粒子間結合リガンドと優先的に結合する第2のナノ粒子部分に付着した第2の粒子間結合リガンド、を含む第2の自己アセンブル性ナノ粒子を含んでなる第2の注入可能な組成物を含んでなり、
前記第1および第2のナノ粒子部分は同じまたは異なる材料から形成されてもよい前記キット。
【請求項25】
第2の自己アセンブル性ナノ粒子がさらに、身体中に注入すると、1以上の標的位置で第2のナノ粒子の組織との優先的結合を生じる第2の粒子部分に付着した組織結合リガンドを含む、請求項24に記載のキット。
【請求項26】
第2の自己アセンブル性ナノ粒子がさらに第2のナノ粒子部分に付着した組織結合リガンドを含まない、請求項24に記載のキット。
【請求項27】
さらに、(i)第3のナノ粒子部分および(ii)身体中に注入すると第2のナノ粒子の第2の粒子間結合リガンドと優先的に結合する第3のナノ粒子部分に付着した第3の粒子間結合リガンドを含む第3の自己アセンブル性ナノ粒子を、含んでなる第3の注入可能な構成成分を含んでなり、前記第3の自己アセンブル性ナノ粒子はさらに第3のナノ粒子部分に付着した組織結合リガンドを含まず、第1、第2および第3のナノ粒子部分は同じもしくは異なる材料から形成されてもよく、そして、前記第1および第3の粒子間結合リガンドは同じかもしくは異なってもよい、請求項24に記載のキット。
【請求項28】
有機ナノ粒子部分がタンパク質を含む、請求項6に記載の組成物。

【公表番号】特表2009−506074(P2009−506074A)
【公表日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−528244(P2008−528244)
【出願日】平成18年8月25日(2006.8.25)
【国際出願番号】PCT/US2006/033633
【国際公開番号】WO2007/025274
【国際公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【出願人】(508249608)ボストン サイエンティフィック リミテッド (1)
【Fターム(参考)】