説明

自己乳化性組成物

【課題】非常に有効な乳化性能を有し、相安定および粘度安定な水中油型エマルションを製造することができる環境にやさしい自己乳化性組成物を提供する。
【解決手段】(a)ステアリルオリゴグリコシド7〜20質量%、(b)セチルオリゴグリコシド7〜20質量%、(c)ミリスチルオリゴグリコシド0.1〜3質量%、(d)ラウリルオリゴグリコシド0.5〜7質量%、(e)セチルアルコール4〜12質量%、
(f)ステアリルアルコール10〜20質量%、(g)58〜62質量%のモノグリセリドを含有するC16/18部分グリセリド20〜30質量%、および(h)30〜45質量%のモノグリセリドを含有するC16/18部分グリセリド20〜30質量%を含有する(ただし、示した量が水をあわせて合計100質量%となる。)自己乳化性組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に化粧品分野、とりわけ新規の自己乳化性組成物に関し、これは、非常に少量で使用される場合でさえ、高い貯蔵および粘度安定性により特徴づけられるエマルションを導く。
【背景技術】
【0002】
近年、化粧品の化学者は、「環境にやさしい」乳化剤を含有する高性能の自己乳化性ベースをますます獲得しており、該乳化剤は、非常に低濃度、即ち1%未満の乳化性成分において、温度ストレス下でさえ長期安定性を有するエマルションを形成することができる。一方で、市場のコスト圧力がいっそう大きくなっているので、これに対する経済的動機も存在する。しかしながら他方で、皮膚科学的および生態学的理由も存在する。自己乳化性ベースは、完全に相互に適合させられるエマルションの鍵となる成分、即ち乳化剤およびワックスを粘稠要素として既に含有し、そうして理想的に、適当なオイル成分(軟化剤)のみ、および任意に助剤を、長期安定性を有するエマルションを得るために添加する必要がある系であると理解される。環境にやさしい乳化剤は、エチレンオキシドを含まない非イオン性構造物であり、アルキルポリグルコシド型の乳化剤が、一般に好ましい。欧州特許第0554292号(Cognis)に記載されているような、先行技術からの対応する自己乳化性ベースは、この要求を完全に満たすことができない。なぜなら配合物全体を基準に少なくとも4質量%の乳化性成分が、安定な水中油型エマルションのために必要だからである。濃度がそのレベル未満に低下すると、相分離の危険が劇的に増加し、同時に粘度が減少する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許第0554292号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って本発明が取り組む課題は、非常に有効な乳化性能を有し、相安定および粘度安定な水中油型エマルションを製造することができる環境にやさしい自己乳化性組成物を提供することであった。とりわけ本発明は、乳化性成分を基準に多くて2質量%、好ましくは多くて1質量%の濃度で使用される場合でさえ、温度ストレス下でさえ2〜3ヶ月の間安定なままであり、オイル成分の性質に関わり無く粘度減少をうけないエマルションを導く自己乳化性組成物を供給することを提示する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、
(a)ステアリルオリゴグリコシド7〜20質量%、
(b)セチルオリゴグリコシド7〜20質量%、
(c)ミリスチルオリゴグリコシド0.1〜3質量%、
(d)ラウリルオリゴグリコシド0.5〜7質量%、
(e)セチルアルコール4〜12質量%、
(f)ステアリルアルコール10〜20質量%、
(g)58〜62質量%のモノグリセリドを含有するC16/18部分グリセリド20〜30質量%、および
(h)30〜45質量%のモノグリセリドを含有するC16/18部分グリセリド20〜30質量%
を、示した量が水をあわせて合計100質量%となることを条件として含有する、新規の自己乳化性組成物に関する。
【発明の効果】
【0006】
驚くべきことに、鎖長が異なるアルキルオリゴグルコシドの特別な混合物、脂肪アルコール、および定められた分布を有する部分グリセリドからなる自己乳化性ベースは、乳化性成分の濃度が、配合物全体を基準に2質量%未満、とりわけ1質量%である、安定なo/wエマルションを形成し得ることを見出した。
【発明を実施するための形態】
【0007】
アルキルオリゴグリコシド
乳化性成分(a)、(b)、(c)および(d)を形成するアルキルオリゴグリコシドは、式(I):
1O-[G]p (I)
〔式中、R1は、12、14、16または18個の炭素原子を有するアルキルおよび/またはアルケニル基であり、Gは、5または6個の炭素原子を有する糖単位であり、pは、1〜10の数である。〕
に相当する既知の非イオン界面活性剤である。それらを、合成有機化学の関連する方法により得ることができる。アルキルオリゴグリコシドは、5または6個の炭素原子を有するアルドースまたはケトース、好ましくはグルコースから誘導することができる。従って好ましいアルキルオリゴグリコシドは、アルキルオリゴグルコシドである。一般式(I)中の指数pは、オリゴマー化度(DP)、即ちモノ-およびオリゴグリコシドの分布を示し、これは、1〜10の数である。所定の化合物中のpは、常に整数であるべきであり、とりわけ1〜6の値をとり得るのに対して、或るアルキルオリゴグリコシドのp値は、分析的に定められる計算量であり、これは、一般に非整数である。平均オリゴマー化度p1.1〜3.0を有するアルキルおよび/またはアルケニルオリゴグリコシドが、好ましくは使用される。1.7未満、とりわけ1.2〜1.4の間のオリゴマー化度を有するアルキルおよび/またはアルケニルオリゴグリコシドが、適用の観点から好ましい。
【0008】
脂肪アルコール
成分(e)および(f)を形成する脂肪アルコールは、式(II):
2OH (II)
〔式中、R2は、16または18個の炭素原子を有する直鎖アルキル基である。〕
に相当する第1級脂肪族のアルコールであると理解される。典型例は、セチルアルコールおよびステアリルアルコール並びにそれらの工業混合物、例えば1:1混合のセテアリル(cetearyl)アルコールである。
【0009】
部分グリセリド
成分(g)および(h)を形成する部分グリセリド、即ちモノグリセリド、ジグリセリドおよびそれらの工業混合物は、それらの製造から少量のトリグリセリドも含有し得る。部分グリセリドは、好ましくは式(III):
【化1】

〔式中、R3COは、16〜18個の炭素原子を有する直鎖の飽和アシル基であり、R4およびR5は、相互に独立に、R3COと同じ意味を有するか、または水素を表し、但し2つの置換基R4およびR5の少なくとも1つは、水素を表すことを条件とする。〕
に相当する。典型例は、パルミチン酸および/またはステアリン酸並びにそれらの工業混合物をベースとするモノ-および/またはジグリセリドである。モノエステル含有量が異なる2つの別の部分グリセリドが、本発明に従い使用される。58〜62質量%のモノグリセリドを含有する適当な部分グリセリドは、特に Monomuls(商標) 60-35 であり、30〜45質量%のモノグリセリドを含有する適当な部分グリセリドは、Cutina(商標) MD である(両方とも Cognis Deutschland GmbH & Co. KG)。
【0010】
産業用途
本発明は、化粧および/または医薬組成物を製造するための自己乳化性組成物の使用にも関し、その中で自己乳化性組成物は、化粧および/または医薬組成物を基準に0.1〜8質量%、好ましくは0.5〜5質量%、または化粧および/または医薬組成物中に存在する乳化性成分を基準に0.1〜2質量%の量で存在し得る。
【0011】
化粧および/または医薬組成物
自己乳化性組成物を使用して調製される化粧および/または医薬組成物は、他の典型的な助剤および添加剤、例えば穏やかな界面活性剤、オイル成分、乳化剤、パール化ワックス、粘稠要素、増粘剤、過脂肪剤、安定剤、ポリマー、シリコーン化合物、脂肪、ワックス、レシチン、リン脂質、UV保護要素、保湿成分、生物起源薬剤、酸化防止剤、消臭剤、制汗剤、フケ防止剤、膜形成剤、膨潤剤、駆虫剤、セルフタンニング剤(self-tanning agent)、チロシン阻害剤(脱色素剤)、ヒドロトロープ、可溶化剤、保存料、香油、染料などを含有し得る。
【0012】
界面活性剤
適当な界面活性剤は、アニオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、カチオン界面活性剤および/または両性若しくは両性イオン界面活性剤であり、これらは、調剤中に、普通は約1〜70質量%、好ましくは5〜50質量%、より好ましくは10〜30質量%の量で存在し得る。アニオン界面活性剤の典型例は、石鹸、アルキルベンゼンスルホネート、アルカンスルホネート、オレフィンスルホネート、アルキルエーテルスルホネート、グリセロールエーテルスルホネート、α-メチルエステルスルホネート、スルホ脂肪酸、アルキルスルフェート、アルキルエーテルスルフェート、グリセロールエーテルスルフェート、脂肪酸エーテルスルフェート、ヒドロキシ混合エーテルスルフェート、モノグリセリド(エーテル)スルフェート、脂肪酸アミド(エーテル)スルフェート、モノ-およびジアルキルスルホスクシネート、モノ-およびジアルキルスルホスクシナメート、スルホトリグリセリド、アミド石鹸、エーテルカルボン酸およびその塩、脂肪酸イセチオネート、脂肪酸サルコシネート、脂肪酸タウリド、N-アシルアミノ酸、例えばアシルラクチレート、アシルタルトレート、アシルグルタメートおよびアシルアスパルテート、アルキルオリゴグルコシドスルフェート、タンパク質脂肪酸縮合物(特に小麦系植物生産物)およびアルキル(エーテル)ホスフェートである。アニオン界面活性剤がポリグリコールエーテル鎖を有する場合、それらは通常の同族体分布を有し得るが、それらは好ましくは狭い同族体分布を有する。
【0013】
非イオン界面活性剤の典型例は、脂肪アルコールポリグリコールエーテル、アルキルフェノールポリグリコールエーテル、脂肪酸ポリグリコールエステル、脂肪酸アミドポリグリコールエーテル、脂肪アミンポリグリコールエーテル、アルコキシル化トリグリセリド、混合エーテルおよび混合ホルマール、任意に部分酸化されているアルキル(アルケニル)オリゴグリコシドまたはグルクロン酸誘導体、脂肪酸-N-アルキルグルカミド、タンパク質水解物(特に小麦系植物生産物)、ポリオール脂肪酸エステル、糖エステル、ソルビタンエステル、ポリソルベートおよびアミンオキシドである。非イオン界面活性剤がポリグリコールエーテル鎖を有する場合、それらは通常の同族体分布を有し得るが、それらは好ましくは狭い同族体分布を有する。
【0014】
カチオン界面活性剤の典型例は、第4級アンモニウム化合物、例えばジメチルジステアリルアンモニウムクロリド、およびエステルクアット(esterquat)、とりわけ4級化脂肪酸トリアルカノールアミンエステル塩である。両性または両性イオン界面活性剤の典型例は、アルキルベタイン、アルキルアミドベタイン、アミノプロピオネート、アミノグリシネート、イミダゾリニウムベタインおよびスルホベタインである。言及した界面活性剤は、すべて既知の化合物である。特に適当で穏やかな、即ち、特に皮膚適合性である界面活性剤の典型例は、脂肪アルコールポリグリコールエーテルスルフェート、モノグリセリドスルフェート、モノ-および/またはジアルキルスルホスクシネート、脂肪酸イセチオネート、脂肪酸サルコシネート、脂肪酸タウリド、脂肪酸グルタメート、α-オレフィンスルホネート、エーテルカルボン酸、アルキルオリゴグルコシド、脂肪酸グルカミド、アルキルアミドベタイン、アンホアセタール(amphoacetal)および/またはタンパク質脂肪酸縮合物(好ましくはコムギタンパク質をベースとするもの)である。
【0015】
オイル成分
適当なオイル成分は、例えば、6〜18個、好ましくは8〜10個の炭素原子を有する脂肪アルコールをベースとするゲルべアルコール、直鎖C6〜22脂肪酸と直鎖または分枝C6〜22脂肪アルコールとのエステル、あるいは分枝C6〜13カルボン酸と直鎖または分枝C6〜22脂肪アルコールとのエステル、例えばミリスチン酸ミリスチル、パルミチン酸ミリスチル、ステアリン酸ミリスチル、イソステアリン酸ミリスチル、オレイン酸ミリスチル、ベヘン酸ミリスチル、エルカ酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、パルミチン酸セチル、ステアリン酸セチル、イソステアリン酸セチル、オレイン酸セチル、ベヘン酸セチル、エルカ酸セチル、ミリスチン酸ステアリル、パルミチン酸ステアリル、ステアリン酸ステアリル、イソステアリン酸ステアリル、オレイン酸ステアリル、ベヘン酸ステアリル、エルカ酸ステアリル、ミリスチン酸イソステアリル、パルミチン酸イソステアリル、ステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸イソステアリル、オレイン酸イソステアリル、ベヘン酸イソステアリル、オレイン酸イソステアリル、ミリスチン酸オレイル、パルミチン酸オレイル、ステアリン酸オレイル、イソステアリン酸オレイル、オレイン酸オレイル、ベヘン酸オレイル、エルカ酸オレイル、ミリスチン酸ベヘニル、パルミチン酸ベヘニル、ステアリン酸ベヘニル、イソステアリン酸ベヘニル、オレイン酸ベヘニル、ベヘン酸ベヘニル、エルカ酸ベヘニル、ミリスチン酸エルシル、パルミチン酸エルシル、ステアリン酸エルシル、イソステアリン酸エルシル、オレイン酸エルシル、ベヘン酸エルシルおよびエルカ酸エルシルである。
【0016】
また適当なものは、直鎖C6〜22脂肪酸と分枝アルコール、とりわけ2-エチルヘキサノールとのエステル、C18〜38アルキルヒドロキシカルボン酸と直鎖または分枝C6〜22脂肪アルコールとのエステル、とりわけリンゴ酸ジオクチル、直鎖および/または分枝脂肪酸と多価アルコール(例えばプロピレングリコール、ダイマージオールまたはトリマートリオール)および/またはゲルベアルコールとのエステル、C6〜10脂肪酸をベースとするトリグリセリド、C6〜18脂肪酸をベースとする液状モノ-/ジ-/トリグリセリド混合物、C6〜22脂肪アルコールおよび/またはゲルベアルコールと芳香族カルボン酸、とりわけ安息香酸とのエステル、C2〜12ジカルボン酸と、1〜22個の炭素原子を有する直鎖または分枝アルコール、または2〜10個の炭素原子および2〜6個のヒドロキシル基を有するポリオールとのエステル、植物油、分枝第1級アルコール、置換シクロヘキサン、直鎖および分枝C6〜22脂肪アルコールカーボネート、例えばジカプリリルカーボネート(Cetiol(商標) CC)、C6〜18、好ましくはC8〜10脂肪アルコールをベースとするゲルベカーボネート、安息香酸と直鎖および/または分枝C6〜22アルコールとのエステル(例えば Finsolv(商標) TN)、アルキル基1個あたり6〜22個の炭素原子を有する直鎖または分枝の対称または非対称ジアルキルエーテル、例えばジカプリリルエーテル(Cetiol(商標) OE)、エポキシド化脂肪酸エステルとポリオールとの開環生成物、シリコーンオイル(シクロメチコーン、シリコンメチコーンタイプなど)および/または脂肪族またはナフタレン系炭化水素、例えばスクアラン、スクアレンまたはジアルキルシクロヘキサンである。
【0017】
乳化剤
適当な乳化剤は、例えば以下の群の少なくとも1つからの非イオン界面活性剤である:
・エチレンオキシド2〜30モルおよび/またはプロピレンオキシド0〜5モルと、直鎖C8〜22脂肪アルコール、C12〜22脂肪酸、アルキル基中に8〜15個の炭素原子を有するアルキルフェノールおよびアルキル基中に8〜22個の炭素原子を有するアルキルアミンとの付加生成物、
・アルキル(アルケニル)基中に8〜22個の炭素原子を有するアルキルおよび/またはアルケニルオリゴグリコシド、およびそのエトキシル化類似体、
・エチレンオキシド1〜15モルとヒマシ油および/または水添ヒマシ油との付加生成物、
・エチレンオキシド15〜60モルとヒマシ油および/または水添ヒマシ油との付加生成物、
・グリセロールおよび/またはソルビタンと、12〜22個の炭素原子を有する不飽和、直鎖または飽和、分枝の脂肪酸、および/または3〜18個の炭素原子を有するヒドロキシカルボン酸との部分エステル、およびエチレンオキシド1〜30モルとのその付加生成物
【0018】
・ポリグリセロール(平均自己縮合度2〜8)、ポリエチレングリコール(分子量400〜5,000)、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、糖アルコール(例えばソルビトール)、アルキルグルコシド(例えばメチルグルコシド、ブチルグルコシド、ラウリルグルコシド)およびポリグルコシド(例えばセルロース)と、12〜22個の炭素原子を有する飽和および/または不飽和、直鎖または分枝の脂肪酸、および/または3〜18個の炭素原子を有するヒドロキシカルボン酸との部分エステル、およびエチレンオキシド1〜30モルとのその付加生成物、
・ペンタエリトリトール、脂肪酸、クエン酸および脂肪アルコールの混合エステル、および/または6〜22個の炭素原子を有する脂肪酸、メチルグルコースおよびポリオール、好ましくはグリセロールまたはポリグリセロールの混合エステル、
・モノ-、ジ-およびトリアルキルホスフェート、およびモノ-、ジ-および/またはトリPEGアルキルホスフェート、およびその塩、
・羊毛ろうアルコール、
・ポリシロキサン/ポリアルキル/ポリエーテルコポリマー、および対応誘導体、
・ブロックコポリマー、例えばポリエチレングリコール-30 ジプロピルヒドロキシステアレート、
・ポリマー乳化剤、例えば Goodrich からの Pemulen タイプ (TR-1, TR-2) または Cognis からの Cosmedia(商標) SP、
・ポリアルキレングリコール、および
・グリセロールカーボネート。
【0019】
・アルコキシレート
エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドと、脂肪アルコール、脂肪酸、アルキルフェノール、またはヒマシ油との付加生成物は、既知の市販製品である。それらは、同族体混合物であり、その平均アルコキシル化度は、エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシド量並びにそれらと付加反応を行う基質量の間の比に対応する。エチレンオキシドとグリセロールとの付加生成物のC12/18脂肪酸モノエステルおよびジエステルは、化粧配合物のための脂質層増強剤として知られている。
【0020】
・アルキルおよび/またはアルケニルオリゴグリコシド
アルキルおよび/またはアルケニルオリゴグリコシド、それらの製造および使用は、先行技術から知られている。それらは、特にグルコースまたはオリゴ糖類と8〜18個の炭素原子を有する第1級アルコールとを反応させることにより製造される。グルコシド単位に関して、環式糖単位がグリコシド結合により脂肪アルコールに結合しているモノグリコシド、および好ましくは約8までのオリゴマー化度を有するオリゴマーグリコシドの両方が適当である。オリゴマー化度は、そのような工業生成物に典型的な同族体分布が基礎とする統計平均値である。
【0021】
・部分グリセリド
適当な部分グリセリドの典型例は、ヒドロキシステアリン酸モノグリセリド、ヒドロキシステアリン酸ジグリセリド、イソステアリン酸モノグリセリド、イソステアリン酸ジグリセリド、オレイン酸モノグリセリド、オレイン酸ジグリセリド、リシノール酸モノグリセリド、リシノール酸ジグリセリド、リノール酸モノグリセリド、リノール酸ジグリセリド、リノレン酸モノグリセリド、リノレン酸ジグリセリド、エルカ酸モノグリセリド、エルカ酸ジグリセリド、酒石酸モノグリセリド、酒石酸ジグリセリド、クエン酸モノグリセリド、クエン酸ジグリセリド、リンゴ酸モノグリセリド、リンゴ酸ジグリセリド、および製造方法から少量のトリグリセリドも含有し得るそれらの工業混合物である。エチレンオキシド1〜30モル、好ましくは5〜10モルと言及した部分グリセリドとの付加生成物も適当である。
【0022】
・ソルビタンエステル
適当なソルビタンエステルは、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンセスキイソステアレート、ソルビタンジイソステアレート、ソルビタントリイソステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタンジオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタンモノエルケート、ソルビタンセスキエルケート、ソルビタンジエルケート、ソルビタントリエルケート、ソルビタンモノリシノレエート、ソルビタンセスキリシノレエート、ソルビタンジリシノレエート、ソルビタントリリシノレエート、ソルビタンモノヒドロキシステアレート、ソルビタンセスキヒドロキシステアレート、ソルビタンジヒドロキシステアレート、ソルビタントリヒドロキシステアレート、ソルビタンモノタルトレート、ソルビタンセスキタルトレート、ソルビタンジタルトレート、ソルビタントリタルトレート、ソルビタンモノシトレート、ソルビタンセスキシトレート、ソルビタンジシトレート、ソルビタントリシトレート、ソルビタンモノマレエート、ソルビタンセスキマレエート、ソルビタンジマレエート、ソルビタントリマレエートおよびそれらの工業混合物である。エチレンオキシド1〜30モル、好ましくは5〜10モルと言及したソルビタンエステルとの付加生成物も適当である。
【0023】
・ポリグリセロールエステル
適当なポリグリセロールエステルの典型例は、ポリグリセリル-2 ジプロピルヒドロキシステアレート(Dehymuls(商標) PGPH)、ポリグリセリン-3 ジイソステアレート(Lameform(商標) TGI)、ポリグリセリル-4 イソステアレート(Isolan(商標) GI 34)、ポリグリセリル-3 オレエート、ジイソステアロイルポリグリセリル-3 ジイソステアレート(Isolan(商標) PDI)、ポリグリセリル-3 メチルグルコースジステアレート(Tego Care(商標) 450)、ポリグリセリル-3 ビーズワックス(Beeswax)(Cera Bellina(商標))、ポリグリセリル-4 カプレート(Polyglycerol Caprate T2010/90)、ポリグリセリル-3 セチルエーテル(Chimexane(商標) NL)、ポリグリセリル-3 ジステアレート(Cremophor(商標) GS 32)およびポリグリセリルポリリシノレエート(Admul(商標) WOL 1403)、ポリグリセリルジメレート(Dimerate)イソステアレートおよびそれらの混合物である。他の適当なポリオールエステルの例は、場合によりエチレンオキシド1〜30モルと反応した、トリメチロールプロパンまたはペンタエリトリトールと、ラウリン酸、ココ脂肪酸、獣脂脂肪酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘン酸などとのモノ-、ジ-およびトリエステルである。
【0024】
・アニオン性乳化剤
典型的なアニオン性乳化剤は、12〜22個の炭素原子を有する脂肪族の脂肪酸、例えばパルミチン酸、ステアリン酸またはベヘン酸、および12〜22個の炭素原子を有するジカルボン酸、例えばアゼライン酸またはセバシン酸である。
【0025】
・両性およびカチオン性乳化剤
他の適当な乳化剤は、両性イオン界面活性剤である。両性イオン界面活性剤は、少なくとも1個の第4級アンモニウム基、並びに少なくとも1個のカルボキシレートおよび1個のスルホネートの基を分子中に有する界面活性化合物である。特に適当な両性イオン界面活性剤はいわゆるベタインであり、例えばアルキルまたはアシル基中に8〜18個の炭素原子を有するN-アルキル-N,N-ジメチルアンモニウムグリシネート、例えばココアルキルジメチルアンモニウムグリシネート、N-アシルアミノプロピル-N,N-ジメチルアンモニウムグリシネート、例えばココアシルアミノプロピルジメチルアンモニウムグリシネートおよび2-アルキル-3-カルボキシメチル-3-ヒドロキシエチルイミダゾリン、並びにココアシルアミノエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルグリシネートである。コカミドプロピルベタイン(Cocamidopropyl Betaine)のCTFA名で知られている脂肪酸アミド誘導体が特に好ましい。
【0026】
両性界面活性剤も、適当な乳化剤である。両性界面活性剤は、C8/18アルキルまたはアシル基に加えて、少なくとも1個の遊離アミノ基および少なくとも1個の-COOHまたは-SO3H基を分子中に有し、分子内塩を形成することができる界面活性化合物である。適当な両性界面活性剤の例は、アルキル基中に約8〜18個の炭素原子を有するN-アルキルグリシン、N-アルキルプロピオン酸、N-アルキルアミノ酪酸、N-アルキルイミノジプロピオン酸、N-ヒドロキシエチル-N-アルキルアミドプロピルグリシン、N-アルキルタウリン、N-アルキルサルコシン、2-アルキルアミノプロピオン酸およびアルキルアミノ酢酸である。特に好ましい両性界面活性剤は、N-ココアルキルアミノプロピオネート、ココアシルアミノエチルアミノプロピオネートおよびC12/18アシルサルコシンである。最後にカチオン界面活性剤も、適当な乳化剤であり、エステルクアット型のもの、好ましくはメチル4級化二脂肪酸トリエタノールアミンエステル塩が、特に好ましい。
【0027】
脂肪およびワックス
脂肪の典型例はグリセリド、即ち、固体または液状の植物性または動物性の生産物であり、これは、本質的に高級脂肪酸の混合グリセロールエステルからなる。適当なワックスは、とりわけ天然ワックス、例えばカンデリラろう、カルナウバろう、木ろう、アフリカハネガヤろう、コルクろう、グアルマろう、ライスオイルろう、サトウキビろう、オウリカリろう、モンタンろう、蜜ろう、セラックろう、鯨ろう、ラノリン(羊毛ろう)、尾羽脂、セレシン、オゾセライト(地ろう)、ペトロラタム、パラフィンワックス、マイクロワックス、化学変性ワックス(硬ろう)、例えばモンタンエステルろう、サソールろう、水素化ホホバろう、並びに合成ワックス、例えばポリアルキレンワックスおよびポリエチレングリコールワックスである。
【0028】
脂肪のほかの適当な添加剤は、脂肪様物質、例えばレシチンおよびリン脂質である。レシチンは、専門家の間で、脂肪酸、グリセロール、リン酸およびコリンからエステル化により形成されるグリセロリン脂質として知られている。従ってレシチンは、しばしば専門家によりホスファチジルコリン(PC)とも称される。天然レシチンの例は、1,2-ジアシル-sn-グリセロール-3-リン酸の誘導体であり、ホスファチジン酸としても知られているケファリンである。対照的にリン脂質は、普通は脂肪として分類される、一般にリン酸とグリセロールとのモノエステル、好ましくはジエステル(グリセロホスフェート)であると理解される。スフィンゴシンおよびスフィンゴ脂質も適当である。
【0029】
パール化ワックス
適当なパール化ワックスは、例えばアルキレングリコールエステル、特にエチレングリコールジステアレート、脂肪酸アルカノールアミド、特にココ脂肪酸ジエタノールアミド、部分グリセリド、特にステアリン酸モノグリセリド、多塩基の、場合によりヒドロキシ置換のカルボン酸と6〜22個の炭素原子を有する脂肪アルコールとのエステル、特に酒石酸の長鎖エステル、脂肪化合物、例えば合計で少なくとも24個の炭素原子を有する脂肪アルコール、脂肪ケトン、脂肪アルデヒド、脂肪エーテルおよび脂肪カーボネート、特にラウロンおよびジステアリルエーテル、脂肪酸、例えばステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸またはベヘン酸、12〜22個の炭素原子を有するオレフィンエポキシドと、12〜22個の炭素原子を有する脂肪アルコールおよび/または2〜15個の炭素原子および2〜10個のヒドロキシル基を有するポリオールとの開環生成物、並びにそれらの混合物である。
【0030】
粘稠要素および増粘剤
主に使用される粘稠要素は、12〜22個、好ましくは16〜18個の炭素原子を有する脂肪アルコールまたはヒドロキシ脂肪アルコール、およびまた部分グリセリド、脂肪酸またはヒドロキシ脂肪酸である。これら物質とアルキルオリゴグリコシドおよび/または同じ鎖長の脂肪酸N-メチルグリカミドおよび/またはポリグリセロールポリ-12-ヒドロキシステアレートとの組合せが、好ましくは使用される。適当な増粘剤は、例えば、Aerosil(商標) タイプ(親水性シリカ)、多糖類、とりわけキサンタンガム(Kelco からの Keltrol タイプ)、グアール、寒天、アルギナートおよびチロース、カルボキシメチルセルロース並びにヒドロキシエチルおよびヒドロキシプロピルセルロース、また比較的高分子量のポリエチレングリコール脂肪酸モノエステルおよびジエステル、ポリアクリレート(例えば Cosmedia(商標) SP および SPL [Cognis]、Carbopols(商標) および Pemulen タイプ[Goodrich]、Synthalens(商標) [Sigma]、Sepigel タイプ [Seppic]、Salcare タイプ [Allied Colloids])、ポリアクリルアミド、ポリマー、ポリビニルアルコールおよびポリビニルピロリドンである。特に有効であることが分かっている他の粘稠要素は、ベントナイト、例えばシクロペンタシロキサン、ジステアルジモニウムヘクトライト(Disteardimonium Hectorite)およびプロピレンカーボネートの混合物である Bentone(商標) Gel VS-5PC (Rheox) である。他の適当な粘稠要素は、界面活性剤、例えばエトキシル化脂肪酸グリセリド、脂肪酸と、ポリオール、例えばペンタエリトリトールまたはトリメチロールプロパンとのエステル、狭範囲の脂肪アルコールエトキシレートまたはアルキルオリゴグルコシド、および電解質、例えば塩化ナトリウムおよび塩化アンモニウムである。
【0031】
過脂肪剤
過脂肪剤を、例えばラノリンおよびレシチン、およびまたポリエトキシル化またはアシル化ラノリンおよびレシチン誘導体、ポリオール脂肪酸エステル、モノグリセリドおよび脂肪酸アルカノールアミドのような物質から選択し得る。脂肪酸アルカノールアミドは、気泡安定剤としても作用する。
【0032】
安定剤
脂肪酸の金属塩、例えば、ステアリン酸またはリシノール酸のマグネシウム、アルミニウムおよび/または亜鉛塩を、安定剤として使用し得る。
【0033】
ポリマー
適当なカチオン性ポリマーは、例えば、カチオン性セルロース誘導体、例えば Amerchol から Polymer JR 400(商標) の名前で入手できる4級化ヒドロキシエチルセルロース、カチオン性デンプン、ジアルキルアンモニウム塩およびアクリルアミドのコポリマー、4級化ビニルピロリドン/ビニルイミダゾールポリマー、例えば Luviquat(商標)(BASF)、ポリグリコールおよびアミンの縮合生成物、4級化コラーゲンポリペプチド、例えばラウリルジモニウムヒドロキシプロピル加水分解コラーゲン(Lamequat(商標) L、Gruenau)、4級化小麦ポリペプチド、ポリエチレンイミン、カチオン性シリコーンポリマー、例えばアモジメチコーン、アジピン酸およびジメチルアミノヒドロキシプロピルジエチレントリアミンのコポリマー(Cartaretine(商標)、Sandoz)、アクリル酸とジメチルジアリルアンモニウムクロリドとのコポリマー(Merquat(商標) 550、Chemviron)、ポリアミノポリアミドおよびその架橋水溶性ポリマー、カチオン性キチン誘導体、例えば場合により微結晶分布の4級化キトサン、ジハロアルキレン(例えばジブロモブタン)とビスジアルキルアミン(例えばビスジメチルアミノ-1,3-プロパン)との縮合生成物、カチオン性グアールゴム、例えば Celanese の Jaguar(商標) CBS、Jaguar(商標) C-17、Jaguar(商標) C16、4級化アンモニウム塩ポリマー、例えば Miranol の Miranol(商標) A-15、Miranol(商標) AD-1、Miranol(商標) AZ-1 である。
【0034】
適当なアニオン性、両性イオン性、両性および非イオン性ポリマーは、例えばビニルアセテート/クロトン酸コポリマー、ビニルピロリドン/ビニルアクリレートコポリマー、ビニルアセテート/ブチルマレエート/イソボルニルアクリレートコポリマー、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸コポリマーおよびそのエステル、未架橋およびポリオール架橋ポリアクリル酸、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド/アクリレートコポリマー、オクチルアクリルアミド/メチルメタクリレート/t-ブチルアミノエチルメタクリレート/2-ヒドロキシプロピルメタクリレートコポリマー、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン/ビニルアセテートコポリマー、ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレート/ビニルカプロラクタムターポリマー、および任意に誘導化されているセルロースエーテルおよびシリコーンである。
【0035】
シリコーン化合物
適当なシリコーン化合物は、例えばジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、環式シリコーン、並びにアミノ変性、脂肪酸変性、アルコール変性、ポリエーテル変性、エポキシ変性、フッ素変性、グリコシド変性および/またはアルキル変性シリコーン化合物であり、これらは、室温で液状および樹脂状の両方であり得る。他の適当なシリコーン化合物は、平均鎖長200〜300のジメチルシロキサン単位を有するジメチコーンの混合物であるシメチコン、および水素化シリケートである。
【0036】
UV保護要素
本発明におけるUV保護要素は、例えば、室温で液体または結晶であり、紫外線または赤外線を吸収することができ、吸収したエネルギーを長波長放射、例えば熱の形態で放出することができる有機物質(光フィルター)である。UV保護要素は、普通は0.1〜5質量%、好ましくは0.2〜1質量%の量で存在する。
【0037】
UV-Bフィルターは、油溶性または水溶性であり得る。以下のものは、油溶性物質の例である:
・3-ベンジリデンカンファーまたは3-ベンジリデンノルカンファーおよびそれらの誘導体、例えば3-(4-メチルベンジリデン)-カンファー、
・4-アミノ安息香酸誘導体、好ましくは4-(ジメチルアミノ)-安息香酸-2-エチルヘキシルエステル、4-(ジメチルアミノ)-安息香酸-2-オクチルエステルおよび4-(ジメチルアミノ)-安息香酸アミルエステル、
・ケイ皮酸エステル、好ましくは4-メトキシケイ皮酸-2-エチルヘキシルエステル、4-メトキシケイ皮酸プロピルエステル、4-メトキシケイ皮酸イソアミルエステル、2-シアノ-3,3-フェニルケイ皮酸-2-エチルヘキシルエステル(オクトクリレン)、
・サリチル酸エステル、好ましくはサリチル酸-2-エチルヘキシルエステル、サリチル酸-4-イソプロピルベンジルエステル、サリチル酸ホモメンチルエステル、
・ベンゾフェノン誘導体、好ましくは2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-4'-メチルベンゾフェノン、2,2'-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、
・ベンザルマロン酸エステル、好ましくは4-メトキシベンザルマロン酸-ジ-2-エチルヘキシルエステル、
・トリアジン誘導体、例えば2,4,6-トリアニリノ-(p-カルボ-2'-エチル-1'-ヘキシルオキシ)-1,3,5-トリアジンおよびオクチルトリアゾン、またはジオクチルブタミドトリアゾン(Uvasorb(商標) HEB)、
・プロパン-1,3-ジオン、例えば1-(4-t-ブチルフェニル)-3-(4'-メトキシフェニル)-プロパン-1,3-ジオン、
・ケトトリシクロ(5.2.1.0)デカン誘導体。
【0038】
適当な水溶性物質は、以下のものである:
・2-フェニルベンズイミダゾール-5-スルホン酸、並びにそのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アルキルアンモニウム塩、アルカノールアンモニウム塩およびグルクアンモニウム塩、
・1H-ベンズイミダゾール-4,6-ジスルホン酸、2,2'-(1,4-フェニレン)-ビス-、二ナトリウム塩(Neo Heliopan(商標))、
・ベンゾフェノンのスルホン酸誘導体、好ましくは2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸およびその塩、
・3-ベンジリデンカンファーのスルホン酸誘導体、例えば4-(2-オキソ-3-ボルニリデンメチル)-ベンゼンスルホン酸および2-メチル-5-(2-オキソ-3-ボルニリデン)スルホン酸並びにそれらの塩。
【0039】
典型的なUV-Aフィルターは、特にベンゾイルメタン誘導体、例えば1-(4'-t-ブチルフェニル)-3-(4'-メトキシフェニル)-プロパン-1,3-ジオン、4-t-ブチル-4'-メトキシジベンゾイルメタン(Parsol 1789)、2-(4-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)-安息香酸ヘキシルエステル((Uvinul(商標) A Plus)、1-フェニル-3-(4'-イソプロピルフェニル)-プロパン-1,3-ジオンおよびエナミン化合物である。UV-AおよびUV-Bフィルターを、当然、混合物の形態でも使用し得る。特に望ましい組合せは、ケイ皮酸エステル、好ましくは4-メトキシケイ皮酸-2-エチルへキシルエステルおよび/または4-メトキシケイ皮酸プロピルエステルおよび/または4-メトキシケイ皮酸イソアミルエステルと組み合せた、ベンゾイルメタン誘導体、例えば4-t-ブチル-4'-メトキシジベンゾイルメタン(Parsol(商標) 1789)および2-シアノ-3,3-フェニルケイ皮酸-2-エチルヘキシルエステル(オクトクリレン)からなる。これらのような組合せは、有利には、水溶性フィルター、例えば2-フェニルベンズイミダゾール-5-スルホン酸、並びにそのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アルキルアンモニウム塩、アルカノールアンモニウム塩およびグルクアンモニウム塩と組み合わされる。
【0040】
言及した溶解性物質の他に、不溶性遮光顔料、即ち微分散金属酸化物または塩も、この目的のために使用し得る。適当な金属酸化物の例は、特に酸化亜鉛および二酸化チタン、およびまた鉄、ジルコニウム、ケイ素、マンガン、アルミニウムおよびセリウムの酸化物、並びにそれらの混合物である。シリケート(タルク)、硫酸バリウムおよびステアリン酸亜鉛も、塩として使用し得る。酸化物および塩は、スキンケアおよびスキン保護エマルション並びに化粧品のための顔料の形態で使用される。粒子は、100nm未満、好ましくは5〜50nmの間、より好ましくは15〜30nmの間の平均径を有すべきである。それらは球形であり得るが、楕円形粒子および他の非球形粒子も使用し得る。顔料をまた、表面処理、即ち親水化または疎水化し得る。典型例は、被覆二酸化チタン、例えば Titandioxid T 805 (Degussa) および Eusolex(商標) T2000、Eusolex(商標) T、Eusolex(商標) T-ECO、Eusolex(商標) T-S、Eusolex(商標) T-Aqua、Eusolex(商標) T-45D (全て Merck)、Uvinul TiO2 (BASF) である。適当な疎水性被覆用物質は、とりわけシリコーン、これらの中で特にトリアルコキシオクチルシランまたはシメチコンである。いわゆるマイクロ顔料またはナノ顔料が、好ましくは日焼け止め製品中で使用される。例えば Z-COTE(商標) または Z-COTE HP1(商標) の形態のマイクロ化酸化亜鉛が、好ましくは使用される。
【0041】
保湿剤
保湿剤は、組成物の感覚特性をさらに最適化することに寄与し、皮膚の保湿度を整える。同時に本発明の組成物の低温安定性が、特にエマルションの場合に向上される。保湿剤は、普通は0.1〜15質量%、好ましくは1〜10質量%、とりわけ5〜10質量%の量で存在する。
【0042】
本発明にとって適当な保湿剤は、とりわけアミノ酸、ピロリドンカルボン酸、乳酸およびそれらの塩、ラクチトール、尿素および尿素誘導体、尿酸、グルコサミン、クレアチニン、コラーゲンの開裂生成物、キトサンまたはキトサン塩/誘導体、並びに特にポリオールおよびポリオール誘導体(例えばグリセロール、ジグリセロール、トリグリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、エリトリトール、1,2,6-ヘキサントリオール、ポリエチレングリコール、例えばPEG-4、PEG-6、PEG-7、PEG-8、PEG-9、PEG-10、PEG-12、PEG-14、PEG-16、PEG-18、PEG-20)、糖および糖誘導体(とりわけフルクトース、グルコース、マルトース、マルチトール、マンニトール、イノシトール、ソルビトール、ソルビチルシランジオール、スクロース、トレハロース、キシロース、キシリトール、グルクロン酸およびそれらの塩)、エトキシル化ソルビトール(ソルベス-6、ソルベス-20、ソルベス-30、ソルベス-40)、ハチミツおよび水添ハチミツ、水添デンプン水解物、並びに水添コムギタンパク質およびPEG-20-アセテートコポリマーの混合物である。本発明にとって特に好ましい保湿剤は、グリセロール、ジグリセロール、トリグリセロールおよびブチレングリコールである。
【0043】
生物起源薬剤および酸化防止剤
本発明における生物起源薬剤は、例えばトコフェロール、酢酸トコフェロール、パルミチン酸トコフェロール、アスコルビン酸、(デオキシ)リボ核酸およびその断片生成物、β-グルカン、レチノール、ビサボロール、アラントイン、フィタントリオール、パンテノール、AHA酸、アミノ酸、セラミド、プサイドセラミド、精油、植物抽出物、例えばプルーン抽出物、バンバラナット抽出物、およびビタミン錯体である。
【0044】
酸化防止剤は、UV線が皮膚に浸透した時に開始する光化学反応連鎖を中断する。典型例は、アミノ酸(例えばグリシン、ヒスチジン、チロシン、トリプトファン)およびその誘導体、イミダゾール(例えばウロカニン酸)およびその誘導体、ペプチド、例えば D,L-カルノシン、D-カルノシン、L-カルノシンおよびそれらの誘導体(例えばアンセリン)、カロチノイド、カロテン(例えばα-カロテン、β-カロテン、リコペン)およびその誘導体、クロロゲン酸およびその誘導体、リポン酸およびその誘導体(例えばジヒドロリポン酸)、アウロチオグルコース、プロピルチオウラシルおよび他のチオール(例えばチオレドキシン、グルタチオン、システイン、シスチン、シスタミンおよびそれらのグリコシル、N-アセチル、メチル、エチル、プロピル、アミル、ブチルおよびラウリル、パリミトイル、オレイル、γ-リノレイル、コレステリルおよびグリセリルエステル)およびそれらの塩、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、チオジプロピオン酸およびその誘導体(エステル、エーテル、ペプチド、脂質、ヌクレオチド、ヌクレオシドおよび塩)およびスルホキシミン化合物(例えばブチオニンスルホキシミン、ホモシステインスルホキシミン、ブチオニンスルホン、ペンタ-、ヘキサ-およびヘプタチオニンスルホキシミン)を非常に少量の混和可能な適用量(例えばpmol〜μmol/kg)で、また(金属)キレート化剤(例えばα-ヒドロキシ脂肪酸、パルミチン酸、フィチン酸、ラクトフェリン)、α-ヒドロキシ酸(例えばクエン酸、乳酸、リンゴ酸)、フミン酸、胆汁酸、胆汁抽出物、ビリルビン、ビルベルジン、EDTA、EGTAおよびそれらの誘導体、不飽和脂肪酸およびその誘導体(例えばγ-リノレイン酸、リノール酸、オレイン酸)、葉酸およびその誘導体、ユビキノンおよびユビキノールおよびそれらの誘導体、ビタミンCおよびその誘導体(例えばアスコルビルパルミテート、Mgアスコルビルホスフェート、アスコルビルアセテート)、トコフェロールおよび誘導体(例えばビタミンEアセテート)、ビタミンAおよび誘導体(ビタミンAパルミテート)およびベンゾイン樹脂のコニフェリルベンゾエート、ルチン酸およびその誘導体、α-グリコシルルチン、フェルラ酸、フルフリリデングルシトール、カルノシン、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ノルジヒドログアヤク樹脂酸、ノルジヒドログアイアレチン酸、トリヒドロキシブチロフェノン、尿酸およびその誘導体、マンノースおよびその誘導体、スーパーオキシド-ジムスターゼ、亜鉛およびその誘導体(例えばZnO、ZnSO4)、セレンおよびその誘導体(例えばセレンメチオニン)、スチルベンおよびその誘導体(例えばスチルベンオキシド、トランススチルベンオキシド)および本発明の目的のために適当なこれら活性物質の誘導体(塩、エステル、エーテル、糖、ヌクレオチド、ヌクレオシド、ペプチドおよび脂質)である。
【0045】
消臭剤および微生物阻害剤
化粧用消臭剤は、体臭を中和し、隠し、または除去する。体臭は、アポクリン腺発汗での皮膚細菌の作用により形成され、この結果、不快臭の分解生成物が形成される。従って消臭剤は、微生物阻害剤、酵素阻害剤、臭気吸収剤または臭気マスキング剤として作用する活性要素を含有する。
【0046】
・微生物阻害剤
基本的に適当な微生物阻害剤は、グラム陽性細菌に対して作用するあらゆる物質であり、例えば4-ヒドロキシ安息香酸、並びにその塩およびエステル、N-(4-クロロフェニル)-N'-(3,4-ジクロロフェニル)-尿素、2,4,4'-トリクロロ-2'-ヒドロキシジフェニルエーテル(トリクロサン)、4-クロロ-3,5-ジメチルフェノール、2,2'-メチレン-ビス-(6-ブロモ-4-クロロフェノール)、3-メチル-4-(1-メチルエチル)-フェノール、2-ベンジル-4-クロロフェノール、3-(4-クロロフェノキシ)-プロパン-1,2-ジオール、3-ヨード-2-プロピルブチルカーバメート、クロルへキシジン、3,4,4'-トリクロロカーバニリド(TTC)、抗細菌性香料、チモール、サイム油、オイゲノール、チョウジ油、メントール、ハッカ油、ファルネソール、フェノキシエタノール、グリセロールモノカプレート、グリセロールモノカプリレート、グリセロールモノラウレート(GML)、ジグリセロールモノカプレート(DMC)、サリチル酸-N-アルキルアミド、例えばサリチル酸-n-オクチルアミドまたはサリチル酸-n-デシルアミドである。
【0047】
・酵素阻害剤
適当な酵素阻害剤は、例えばエステラーゼ阻害剤である。エステラーゼ阻害剤は、好ましくはトリアルキルシトレート、例えばトリメチルシトレート、トリプロピルシトレート、トリイソプロピルシトレート、トリブチルシトレート、特にトリエチルシトレート(Hydagen(商標) CAT)である。エステラーゼ阻害剤は酵素活性を阻害し、それにより臭気形成を減少させる。他のエステラーゼ阻害剤は、ステロールスルフェートまたはホスフェート、例えばラノステロール、コレステロール、カンペステロール、スチグマステロールおよびシトステロールスルフェートまたはホスフェート、ジカルボン酸およびそのエステル、例えばグルタル酸、グルタル酸モノエチルエステル、グルタル酸ジエチルエステル、アジピン酸、アジピン酸モノエチルエステル、アジピン酸ジエチルエステル、マロン酸およびマロン酸ジエチルエステル、ヒドロキシカルボン酸およびそのエステル、例えばクエン酸、リンゴ酸、酒石酸または酒石酸ジエチルエステル、および亜鉛グリシネートである。
【0048】
・臭気吸収剤
適当な臭気吸収剤は、臭気形成化合物を吸収し、充分に保持することができる物質である。それらは各成分の分圧を減少させ、それによりそれらの拡散速度も減少させる。これに関して重要な要件は、香料が損なわれないことである。臭気吸収剤は、細菌に対して活性ではない。それらは、例えばリシノール酸亜鉛錯体塩、または専門家に「保留剤(fixateur)」として知られている主として中性臭気物の特別な香料、例えばラダナムまたはエゴノキの抽出物、またはそれらの基本成分としての或るアビエチン酸誘導体を含有する。臭気マスキング剤は、臭気マスキング機能の他に、特定の香りノートを消臭剤に加える香料または香油である。
【0049】
適当な香油は、例えば天然および合成香料の混合物である。天然香料は、花、茎および葉、果実、果皮、根、木、ハーブおよび草、針状葉および枝、樹脂およびバルサムの抽出物を含む。動物原料、例えばジャコウネコおよびビーバーも使用し得る。典型的な合成香料化合物は、エステル、エーテル、アルデヒド、ケトン、アルコールおよび炭化水素型の生成物である。
【0050】
エステル型の香料化合物の例は、ベンジルアセテート、p-t-ブチルシクロヘキシルアセテート、リナリルアセテート、フェニルエチルアセテート、リナリルベンゾエート、ベンジルホルメート、アリルシクロヘキシルプロピオネート、スチラリルプロピオネートおよびベンジルサリチラートである。エーテル類は、例えばベンジルエチルエーテルを含み、一方アルデヒド類は、例えば8〜18個の炭素原子を有する直鎖アルカナール、シトラール、シトロネラール、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、シクラメンアルデヒド、ヒドロキシシトロネラール、リリアールおよびボルゲオナールを含む。
【0051】
適当なケトン類の例は、イオノンおよびメチルセドリルケトンである。適当なアルコール類は、アネトール、シトロネロール、オイゲノール、イソオイゲノール、ゲラニオール、リナロール、フェニルエチルアルコールおよびテルピネオールである。炭化水素類は、主としてテルペンおよびバルサムを含む。しかしながら、調和した芳香を一緒に生み出す異なる香料化合物の混合物を使用することが好ましい。他の適当な香油は、比較的低揮発性の精油であり、それらはたいていアロマ成分として使用される。その例は、セージ油、カミツレ油、チョウジ油、メリッサ油、ハッカ油、シナモンリーフ油、ライム花油、杜松子油、ベチベル油、オリバナム油、ガルバヌム油、ラブダナム油およびラバンジン油である。
【0052】
以下のものが、個々または混合物の形態のいずれかで好ましくは使用される:ベルガモット油、ジヒドロミルセノール、リリアール、リラール(lyral)、シトロネロール、フェニルエチルアルコール、α-ヘキシルシンナムアルデヒド、ゲラニオール、ベンジルアセトン、シクラメンアルデヒド、リナロール、ボイサムブレンフォルテ(Boisambrene Forte)、アムブロキサン、インドール、エディオン、サンデリス(sandelice)、シトラス油、マンダリン油、オレンジ油、アリルアミルグリコラート、シクロベルタール、ラバンジン油、サルビア油、β-ダマスコン、ゼラニウム油バーボン、シクロヘキシルサリチラート、バートフィックスコオイル(Vertofix Coeur)、イソイースーパー(Iso-E-Super)、フィキソリドNP(Fixolide NP)、エバーニル、イラルダインガンマ(iraldein gamma)、フェニル酢酸、ゲラニルアセテート、ベンジルアセテート、ローズオキシド、ロミラート(Romilat)、イロチル(Irotyl)およびフローラマット(Floramat)。
【0053】
・制汗剤
制汗剤は発汗を減少させ、そうしてエクリン汗腺の活動に影響を与えることにより、わきの下の湿りおよび体臭を打ち消す。水性または無水制汗配合物は、典型的に以下の成分を含有する:
・収斂活性要素、
・オイル成分、
・非イオン性乳化剤、
・共乳化剤、
・粘稠要素
・例えば増粘剤または錯生成剤の形態の助剤、および/または
・非水溶媒、例えばエタノール、プロピレングリコールおよび/またはグリセロール。
【0054】
制汗剤の適当な収斂活性要素は、とりわけアルミニウム、ジルコニウムまたは亜鉛の塩である。この種の適当なアンチハイドロティック(antihydrotic)剤は、例えばアルミニウムクロリド、アルミニウムクロロヒドレート、アルミニウムジクロロヒドレート、アルミニウムセスキクロロヒドレート、およびそれらと例えば1,2-プロピレングリコールとの錯体化合物、アルミニウムヒドロキシアラントイネート、アルミニウムクロリドタルトレート、アルミニウムジルコニウムトリクロロヒドレート、アルミニウムジルコニウムテトラクロロヒドレート、アルミニウムジルコニウムペンタクロロヒドレート、およびそれらと例えばグリシンのようなアミノ酸との錯体化合物である。
【0055】
制汗剤中に典型的に存在する油溶性および水溶性助剤も、比較的少量で存在し得る。このような油溶性助剤は、例えば
・抗炎症性、皮膚保護または心地よい香りの精油、
・合成皮膚保護剤、および/または
・油溶性香油
を含む。
典型的な水溶性添加剤は、例えば保存料、水溶性香料、pH調整剤、例えば緩衝混合物、水溶性増粘剤、例えば水溶性の天然または合成ポリマー、例えばキサンタンガム、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドンまたは高分子量ポリエチレンオキシドである。
【0056】
膜形成剤
標準的な膜形成剤は、例えばキトサン、微結晶キトサン、4級化キトサン、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン/ビニルアセテートコポリマー、アクリル酸系ポリマー、第4級セルロース誘導体、コラーゲン、ヒアルロン酸およびその塩、並びに類似化合物である。
【0057】
フケ防止剤
適当なフケ防止剤は、ピロクトンオラミン(Piroctone Olamine)(1-ヒドロキシ-4-メチル-6-(2,4,4-トリメチルフェニル)-2-(1H)-ピリジノンモノエタノールアミン塩)、Baypival(商標)(クリムバゾール)、Ketoconazole(商標)(4-アセチル-1-{4-[2-(2,4-ジクロロフェニル)r-2-(1H-イミダゾール-1-イルメチル)-1,3-ジオキシラン-c-4-イルメトキシフェニル}-ピペラジン)、二硫化セレン、コロイド状硫黄、硫黄ポリエチレングリコールソルビタンモノオレエート、硫黄リシノールポリエトキシレート、硫黄タール留分、サリチル酸(またはヘキサクロロフェンとの組合せ)、ウンデシレン酸、モノエタノールアミドスルホコハク酸Na塩、Lamepon(商標) UD(タンパク質/ウンデシレン酸縮合物)、亜鉛ピリチオン、アルミニウムピリチオンおよびマグネシウムピリチオン/ジピリチオンマグネシウムスルフェートである。
【0058】
膨潤剤
水相のために適当な膨潤剤は、モンモリロナイト、粘土鉱物、Pemulen およびアルキル変性の Carbopol タイプ(Goodrich)である。他の適当なポリマーおよび膨潤剤は、Cosm. Toil. 108, 95 (1993年) 中の R. Lochhead のレヴューで見出すことができる。
【0059】
特別な活性成分
適当な駆虫剤は、N,N-ジエチル-m-トルアミド、ペンタン-1,2-ジオールまたはエチルブチルアセチルアミノプロピオネートである。適当なセルフタンニング剤はジヒドロキシアセトンである。メラニンの形成を妨げ、脱色素調剤中で使用される適当なチロシン阻害剤は、例えばアルブチン、フェルラ酸、コウジ酸、クマリン酸およびアスコルビン酸(ビタミンC)である。
【0060】
ヒドロトロープ
さらにヒドロトロープ、例えばエタノール、イソプロピルアルコールまたはポリオールを、流れ挙動を向上させるために使用し得る。適当なポリオールは、好ましくは2〜15個の炭素原子および少なくとも2個のヒドロキシル基を有する。ポリオールは、他の官能基、とりわけアミノ基を有することができ、または窒素を用いて変性され得る。典型例は、以下のものである:
・グリセロール、
・アルキレングリコール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコールおよび100〜1,000ダルトンの平均分子量を有するポリエチレングリコール、
・自己縮合度1.5〜10を有する工業オリゴグリセロール混合物、例えばジグリセロール含有量40〜50質量%を有する工業ジグリセロール混合物、
・メチロール化合物、例えば特にトリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ペンタエリトリトールおよびジペンタエリトリトール、
・低級アルキルグリコシド、特にアルキル基中に1〜8個の炭素原子を有するもの、例えばメチルグリコシドおよびブチルグリコシド、
・5〜12個の炭素原子を有する糖アルコール、例えばソルビトールまたはマンニトール、
・5〜12個の炭素原子を有する糖、例えばグルコースまたはスクロース、
・アミノ糖、例えばグルカミン、
・ジアルコールアミン、例えばジエタノールアミンまたは2-アミノプロパン-1,3-ジオール。
【0061】
保存料
適当な保存料は、例えばフェノキシエタノール、ホルムアルデヒド溶液、パラベン、ペンタンジオールまたはソルビン酸、Surfacine(商標) の名前で知られている銀錯体、および Kosmetikverordnung(「化粧品処方」)の付録6, パートAおよびBに掲げられている他の群の化合物である。
【0062】
香油およびアロマ
適当な香油は、天然および合成香料の混合物である。天然香料は、花(ユリ、ラベンダー、バラ、ジャスミン、ネロリ、イランイランノキ)、茎および葉(フクロウソウ、パチュリ、プチグレン)、果実(アニス、コエンドロ、ヒメウイキョウ、ビャクシン)、果皮(ベルガモット、レモン、オレンジ)、根(ナツメグ、アンゼリカ、セロリ、カルダモン、コスタス、イリス、カルムス(calmus))、木(松材、ビャクダン、グアヤク材、セダー材、シタン)、ハーブおよび草(タラゴン、レモングラス、セージ、タイム)、針状葉および枝(トウヒ、モミ、松、ハイマツ(dwarf pine))、樹脂およびバルサム(ガルバヌム、エレミ、ベンゾイン、ミルラ、オリバナム、オポパナックス)の抽出物を含む。動物原料、例えばジャコウネコおよびビーバーも使用し得る。典型的な合成香料化合物は、エステル、エーテル、アルデヒド、ケトン、アルコールおよび炭化水素型の生成物である。
【0063】
エステル型の香料化合物の例は、ベンジルアセテート、フェノキシエチルイソブチレート、p-t-ブチルシクロヘキシルアセテート、リナリルアセテート、ジメチルベンジルカルビニルアセテート、フェニルエチルアセテート、リナリルベンゾエート、ベンジルホルメート、エチルメチルフェニルグリシネート、アリルシクロヘキシルプロピオネート、スチラリルプロピオネートおよびベンジルサリチラートである。エーテル類は、例えばベンジルエチルエーテルを含み、一方アルデヒド類は、例えば8〜18個の炭素原子を有する直鎖アルカナール、シトラール、シトロネラール、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、シクラメンアルデヒド、ヒドロキシシトロネラール、リリアールおよびボルゲオナールを含む。
【0064】
適当なケトン類の例は、イオノン、α-イソメチリオノンおよびメチルセドリルケトンである。適当なアルコール類は、アネトール、シトロネロール、オイゲノール、イソオイゲノール、ゲラニオール、リナロール、フェニルエチルアルコールおよびテルピネオールである。炭化水素類は、主としてテルペンおよびバルサムを含む。しかしながら、調和した芳香を一緒に生み出す異なる香料化合物の混合物を使用することが好ましい。他の適当な香油は、比較的低揮発性の精油であり、それらはたいていアロマ成分として使用される。その例は、セージ油、カミツレ油、チョウジ油、メリッサ油、ハッカ油、シナモンリーフ油、ライム花油、杜松子油、ベチベル油、オリバナム油、ガルバヌム油、ラブダナム油およびラバンジン油である。
【0065】
以下のものが、個々または混合物の形態のいずれかで好ましくは使用される:ベルガモット油、ジヒドロミルセノール、リリアール、リラール(lyral)、シトロネロール、フェニルエチルアルコール、α-ヘキシルシンナムアルデヒド、ゲラニオール、ベンジルアセトン、シクラメンアルデヒド、リナロール、ボイサムブレンフォルテ(Boisambrene Forte)、アムブロキサン、インドール、エディオン、サンデリス(sandelice)、シトラス油、マンダリン油、オレンジ油、アリルアミルグリコラート、シクロベルタール、ラバンジン油、サルビア油、β-ダマスコン、ゼラニウム油バーボン、シクロヘキシルサリチラート、バートフィックスコオイル(Vertofix Coeur)、イソイースーパー(Iso-E-Super)、フィキソリドNP(Fixolide NP)、エバーニル、イラルダインガンマ(iraldein gamma)、フェニル酢酸、ゲラニルアセテート、ベンジルアセテート、ローズオキシド、ロミラート(Romilat)、イロチル(Irotyl)およびフローラマット(Floramat)。
適当なアロマは、例えばペパーミント油、スペアミント油、アニス油、スターアニス油、カラウェー油、ユーカリ油、ウィキョウ油、シトラス油、ウィンターグリーン油、チョウジ油、メントールなどである。
【0066】
染料
適当な染料は、例えば Farbstoffkommission der Deutschen Forschungsgemeinschaft の刊行物 "Kosmetishce Faerbemittel", Verlag Chemie, バインハイム 1984年, 第81〜106頁に列挙されているような化粧目的のために定評があり適当なあらゆる物質である。その例は、コチニールレッドA(C.I. 16255)、パテントブルーV(C.I. 42051)、インジゴチン(C.I. 73015)、クロロフィリン(C.I. 75810)、キノリンイエロー(C.I. 47005)、二酸化チタン(C.I. 77891)、インダンスレンブルーRS(C.I. 69800)およびマッダーレーキ(C.I. 58000)を含む。ルミノールも、発光染料として存在し得る。これらの染料は、混合物全体を基準に、普通は0.001〜0.1質量%の濃度で使用される。
【0067】
助剤および添加剤の全含有率(%)は、特定組成物を基準に1〜50質量%であり得、好ましくは5〜40質量%である。組成物は、標準的なホットプロセスまたはコールドプロセスにより製造することができ、好ましくは転相温度法により製造される。
【実施例】
【0068】
化粧エマルションを、以下に記載する(表1参照)2つの自己乳化性ベースA(本発明)およびC(比較)で調製し、粘度および相安定性に関して温度および時間の関数として評価した。2つの自己乳化性ベースを、適当に成分を80℃での溶融状態で均一に攪拌し、次いで冷却することにより調製した。
【0069】
【表1】

【0070】
化粧エマルション(実験室用バッチ200gをベースとする。)を、ホット法により製造した。この目的のために、油相を80℃に加熱し、ポリマー成分 Carbopol(商標) 940 をその中に均一に分散させた。次いで水相(これも80℃に加熱している。)を、油相に攪拌しながらゆっくりと添加した。エマルションを、攪拌しながら40℃に冷却し、pH7に調節し、次いでさらに30℃に冷却した。冷却中(45〜60℃の間)にエマルションを、適当なローター/ステーター系(例えば IKA Ultra Turrax(商標) T 50)を使用して2分間均質化した。化粧エマルションの組成を、表2に示す。
【0071】
エマルションの安定性を、1〜12週間で、研究所表示尺度(school marking scale):(1)=安定、(2)=わずかに分離、(3)=分離、(4)=明確に分離、および(5)=分割、を使用して視覚的に評価した。粘度を、ブルックフィールド法によりRVF粘度計、スピンドル5、10rpm、23℃で測定した。性能の結果を、表2に示す。実施例1は本発明に相当し、実施例C1およびC2は、比較用である。乳化性成分の濃度は、各場合に配合物全体を基準に、実施例1で約0.6質量%、実施例C1で約4質量%、および実施例C2で約2質量%であった。
【0072】
【表2】

【0073】
乳化性成分を基準に1質量%より充分に低い量における本発明の組成物の使用は、−5〜+40℃の温度で3ヶ月の間、粘度安定および相安定であるエマルションを導く。匹敵する効果を達成するために、比較生成物は6倍の量で使用する必要がある。しかしながら比較生成物の濃度を約3倍の量に減少させると、粘度減少および完全な相分離が短時間で生ずる。
多くの配合物例を、以下の表で示す。量は、組成物全体中の市販物質の質量割合(%)で表される。文字Lはローションを、Cはクリームを、Sはスプレーを表す。
【0074】
【表3−1】

【0075】
【表3−2】

【0076】
【表4−1】

【0077】
【表4−2】

【0078】
【表5−1】

【0079】
【表5−2】

【0080】
【表6−1】

【0081】
【表6−2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ステアリルオリゴグリコシド7〜20質量%、
(b)セチルオリゴグリコシド7〜20質量%、
(c)ミリスチルオリゴグリコシド0.1〜3質量%、
(d)ラウリルオリゴグリコシド0.5〜7質量%、
(e)セチルアルコール4〜12質量%、
(f)ステアリルアルコール10〜20質量%、
(g)58〜62質量%のモノグリセリドを含有するC16/18部分グリセリド20〜30質量%、および
(h)30〜45質量%のモノグリセリドを含有するC16/18部分グリセリド20〜30質量%
を含有する(ただし、示した量が水をあわせて合計100質量%となる。)
自己乳化性組成物。

【公開番号】特開2012−101224(P2012−101224A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−4800(P2012−4800)
【出願日】平成24年1月13日(2012.1.13)
【分割の表示】特願2004−299721(P2004−299721)の分割
【原出願日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【出願人】(505066718)コグニス・アイピー・マネージメント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (191)
【氏名又は名称原語表記】Cognis IP Management GmbH
【Fターム(参考)】