説明

自己免疫疾患の治療のための方法および組成物

【課題】自己免疫疾患の治療のための方法および組成物を提供すること。
【解決手段】7アミノ酸残基で分離された少なくとも二つの固定されたアンカー残基を有するセミランダム配列コポリマーを含むコポリマー組成物であり、
(1)該アンカー残基がアスパラギン酸残基(D)およびグルタミン酸残基(E)より選択され;
(2)コポリマーの残りが少なくとも二つのアミノ酸残基を含むランダム配列を有し、一つのアミノ酸が
(a)アラニン(A)またはグリシン(G);ならびに
(b)ロイシン(L)、イソロイシン(I)、バリン(V)、メチオニン(M)、トレオニン(T)、セリン(S)、およびシステイン(C)
のアミノ酸残基の各群より選択され、
さらに、任意にプロリン(P)を含む、
コポリマー組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自己免疫疾患の治療のための方法および組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
宿主の免疫応答が自己分子由来の異物抗原(自己抗原)の認識を失敗することにより、異常な免疫応答を誘発する場合、自己免疫疾患が生じる。生後間もなくに免疫系の発生時に起こる事象により阻害されてきた自己免疫疾患の自己分子に対する免疫応答は、自己抗原に対して応答し得るT細胞およびB細胞の破壊を含む、自己寛容の正常な状態からの逸脱を生じる。T細胞に結合し、加工されたペプチドをT細胞に提示する能力を介して、免疫応答の制御において中心的な役割を担う細胞表面タンパク質は、主要組織適合性複合体(MHC)である(非特許文献1)。
【0003】
特定のヒト白血球抗原(HLA)対立遺伝子は、特定の疾患を有する個体に通常の集団よりも高頻度で生じる。HLA座は、ヒトの主要組織適合性複合体(MHC)遺伝子をコードする。MHC分子は、単一の遺伝子複合体にコードされたクラスIおよびクラスIIの二つの形態で存在する。MHC遺伝子は高度に多型化されている:いくつかの座はヒト集団中に最大数百の対立遺伝子を有する(非特許文献2)。
【0004】
クラスI MHC分子は45kDaの膜貫通糖タンパク質であり、他の糖タンパク質、12kDa β-2ミクログロブリンと非共有結合している。後者は細胞膜に挿入されておらず、ゲノムのMHC領域の外側にコードされている。ヒトクラスI分子は三つの異なるアイソタイプからなり、HLA-A、-Bおよび-Cと呼ばれ、離れた位置にコードされている。クラスI分子の組織での発現は遍在的で、共優性である。いくつかのヒトおよびマウスクラスI分子の三次元構造が明らかにされている(非特許文献3;非特許文献4;非特許文献5;非特許文献6)。三つのクラスIアイソタイプおよびその対立遺伝子の形状は、結合部位内の多形性残基に依存する、異なるペプチド結合特異性を有する(非特許文献7;非特許文献8)。
【0005】
クラスII MHC分子は、二つの膜貫通糖タンパク質である35kDaα鎖および28kDaβ鎖の非共有結合性ヘテロダイマーである。ヒトにおいて、クラスII分子はHLA-DP、-DQおよび-DRと呼ばれる三つの異なるアイソタイプとして生じる。異なるクラスターに配置される最低6個のαおよび最低8個のβ遺伝子が存在する。DRにおける多型はβ鎖に限定されるが、DPおよびDQのアイソタイプにおける二つの鎖は多型性である。クラスII遺伝子産物における構造変異体は免疫認識の機能的特徴に関係しており、組織適合性における個々の変化、免疫認識、および罹患性を引き起こす。細胞表面のダイマーの二つの型はDRβl、DRβ2、DRβ3、またはDRβ4ポリペプチドに関連するDRαポリペプチドからなる。二種類の構造変異体は35%も異なる主要なアミノ酸配列を含む。クラスIIポリペプチド鎖は、クラスIIα遺伝子およびクラスIIβ遺伝子を区別する、種々の配列を含有する特異的な構造サブユニットであるドメインを有する。これらの対立遺伝子変異部位は抗原結合裂溝を形成し、それは免疫認識における個々の構造の相違を示す。クラスII分子は共優性的に発現するが、クラスIとは対照的に、限定された組織分布を示す:それらは免疫系の細胞の表面のみに存在している。かかる細胞としては抗原提示細胞、例えばマクロファージ、樹状細胞、およびランゲルハンス細胞;免疫系と相互作用する、胸腺上皮細胞を含む上皮細胞;Bリンパ球、単球および肥満細胞;ならびに誘導されたT細胞が挙げられる。
【0006】
クラスII MHCの三つの異なるDR分子およびDQ分子の三次元構造が決定された(非特許文献9;非特許文献10;非特許文献11;非特許文献12;非特許文献13)。全般的に、それらの構造はクラスI分子の構造と非常に類似している。ペプチド結合部位はαおよびβ鎖の第一のドメインからなり、それはクラスIとは対照的に両側が開いており、より長い(12〜24残基長)ペプチドの結合が可能となる(非特許文献14)。αおよびβ鎖の第二のドメインのさらなる結合部位は、ヘルパーT(Th)細胞に選択的に発現するCD4分子と相互作用する。この分子はTヘルパー(Th)細胞に対するコレセプター機能を有し、CD8の細胞傷害性T(Tc)細胞に対するコレセプター機能と類似している。
【0007】
クラスII MHC分子に結合するペプチドは、特定のT細胞が活性化される経路で提示される。一般的にTヘルパー1(Th1)およびTヘルパー2(Th2)の二種類のT細胞が存在する。Th1細胞は、一般的に前炎症性である細胞性免疫の供給に関係する。活性化された際に、Th1細胞は、インターフェロン(IFN)-γおよびインターロイキン(IL)-2等の前炎症性サイトカインを産生する。Th2細胞は、一般的に非炎症性である液性免疫の供給に関係する。活性化された際に、Th2細胞はIL-4、IL-5、IL-10およびIL-13等の非炎症性サイトカインを産生する。また、活性化されたT細胞は、増殖またはアポトーシスの実行も誘導されるかもしれない。従って、MHC分子に結合して、MHCに提示されるペプチドは、ペプチドの同一性によって前炎症性および非炎症性反応のバランスを変化し、Th1またはTh2のいずれかを活性化させるかもしれない。
【0008】
一連の多くの証拠により、多くの疾患、特に自己免疫疾患に対する罹患性は主要組織適合性複合体の特異的な対立遺伝子に強く関連があることが証明された(非特許文献15に概説される)。自己免疫疾患としては慢性関節リウマチ(RA)、多発性硬化症(MS)、ヒトI型またはインスリン依存型糖尿病(IDDM)、自己免疫ブドウ膜炎、原発性胆汁性肝硬変(PBC)およびセリアック病が挙げられる。いくつかのクラスI関連性疾患が存在するが、ほとんどの自己免疫状態がクラスII対立遺伝子に関連していることが見出された。MHCクラスII分子は、タンパク質抗原に対する免疫応答を調節するCD4+ Tリンパ球の選択および活性化に非常に重要である。ゲノム解析により、特に、ホジキン病、多発性硬化症、慢性関節リウマチ、尋常性天疱瘡、インスリン依存型糖尿病(IDDM、I型糖尿病)、およびセリアック病に関連のある、特定の個体のHLAの対立遺伝子変異体が同定された(非特許文献16;非特許文献17; Tiwari, 上記)。
【0009】
I型糖尿病(すなわち、インスリン依存型糖尿病、(IDDM))は全てのヒト糖尿病の20%になり、糖尿病の最も深刻な形態であり、最も高い罹患率および死亡率を有する。米国で最大800,000人の人々がIDDMに罹患していると推定され、毎年約30,000人が新しく診断されている。米国およびいくつかの欧州諸国の特定の地域、特にフィンランドおよび英国でIDDMの発症率は過去数十年の間に増加し続けている。長年の糖尿病により生じるいくつかの合併症は血管疾患、毛細血管疾患、眼性合併症、糖尿病性腎障害、糖尿病性神経障害、糖尿病による足の問題、ならびに皮膚および粘膜の問題である。
【0010】
IDDMは進行性の自己免疫疾患であり、インスリンを産生する膵臓のβ細胞は体内の自身の免疫系により徐々に破壊される。グルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD)、インスリン、および膵島細胞抗原等の特定のタンパク質は、免疫系の自己攻撃の標的となる自己抗原の役目をする。これらの自己抗原のうち、GADは疾患の病因において主要な自己抗原であると示唆されている。何がこの異常な免疫事象のカスケードを引き起こすのかは未知であるが、ヒトにおいて、IDDMの罹患性および抵抗性は、特定のHLA-DQB1およびDQA1座の対立遺伝子にコードされるHLA-DQ分子に関連がある。かかるHLA-DQ分子は、DQB1*0201、DQB1*0302、DQB1*0304、DQB1*0401、DQB1*0501、DQB1*0502; およびDQA1*0301、DQA1*0302、DQA1*0303、DQA1*0501として公知の特異的なHLA-DQB1およびDQA1対立遺伝子の組み合せられたタンパク質産物である。これらの対立遺伝子は、DQB1*0201〜DQA1*0501〜DRB1*0301およびDQBl*0302〜DQAl*0301〜DRBl*0401等の一つのハプロタイプ(「シス」対立遺伝子)上にコードされ得る。あるいは、該対立遺伝子は異なるハプロタイプ(「トランス」対立遺伝子)上にコードされ得る。「トランス」対立遺伝子の例は、DQBl*0201〜DQAl*0501〜DRB1*0301上のDQB1*0201、またはDQB1*0301〜DQA1*0301〜DRB1*0404上のDQA1*0301の組み合わせである。DQB1*0201〜DQA1*0501およびDQBl*0302〜DQAl*03ハプロタイプの両方を有する個体は、IDDMを発症する最も高い危険性を有する。(非特許文献18)。また、IDDMに罹患したコーカソイド人の95%は、DRB1*0301もしくはDRB1*0401、または両方の対立遺伝子を有する。Aβ°/HLA-DQ8およびHLA-DR3を発現するトランスジェニック動物を用いた糖尿病のマウスモデル系において、GAD由来の天然に加工されたペプチドは、脾臓およびリンパ節でHLA-DQ8および/またはHLA-DR3に結合する。これらのマウスはインスリン炎およびGAD自己応答性を自発的に発症する。
【0011】
現在、IDDMの治療には高血糖を制御するために慢性的なインスリンの投与を要する。制御されない高血糖によりインスリン産生膵臓β細胞にさらに障害が生じ、長期的には、より顕著なインスリン欠乏を生じる。現在、経口性のスルホニル尿素およびインスリン注射が、米国においてIDDMの治療に利用可能な二つだけの治療剤である。両薬剤には、副作用として、血糖濃度を危険なレベルまで減少させる低血糖症を誘発する可能性がある。IDDMにおいて、一般的に適用でき、常に効果的なグルコースレベルを実質的に正常な変動に維持する手段はない。理想的な治療は、グルコースレベルを目標値以下で維持しながら、低血糖の危険性を最小限にするだろう。投薬計画は、グルコースレベルを制御し続けるために炭水化物の食事摂取の調整と組み合わせられる。しかしながら、現在までIDDMの治療法はない。
【0012】
セリアックスプルーまたはグルテン過敏性腸症としても公知であるセリアック病は、小麦、大麦、オート麦およびライ麦中に存在するグルテンおよびその産物のグリアジンおよびグルテニンを含む、穀物貯蔵タンパク質に対する過敏症のための胃腸吸収の欠陥により生じる疾患である。該疾患は、食物抗原としてグリアジンを認識するCD4 T細胞により生じ、これらの細胞が、柔突起に障害を与え、下痢、体重減少、ならびに脂肪便、繊毛萎縮および吸収不良を含む症状を引き起こす、Th1媒介慢性炎症反応を生じさせる。さらに、セリアック病患者は吸収不良および栄養不良の結果として生じる病状を患うかもしれない。それは疱疹状皮膚炎、水疱性皮膚発疹、被刺激性、鬱病、筋肉痙攣、関節痛、疲労、および月経の不順にも関連があるかもしれない。欧州において、セリアック病は最も一般的な遺伝的疾患であるとみなされ、ある研究によるとアメリカ人の250人に1人もがこの疾患の何らかの形状を有すると示されているが、推定でアメリカ人の4,700人に1人がこの疾患であると診断されている。セリアック病は、DQAl*0301およびDQAl*0501と連結した、対立遺伝子DQBl*0302およびDQBl*0201に関連がある。患者の95%はDQBl*0201またはDQBl*0302のいずれかを有する(非特許文献19)。強力なHLA結合は、DQBl*0201、DQAl*0501、DQBl*0302およびDQAl*0301にコードされているDQ分子の収容力により、グリアジンおよびグルテニン由来のグルタミンに富んだペプチドの脱アミノ化された変異体を効率的に提示するためであると思われる。従って、同一の治療的応用は、IDDMのように、この疾患に有用かもしれない。
【0013】
MHC分子の二つのクラスの中で、クラスIIは次の理由で免疫抑制性介入の主要な標的である:第一に、MHC-II分子は、免疫調整の中心であり、炎症性疾患の免疫病理学の大部分に関与するTヘルパー(Th)細胞を活性化する。第二に、ほとんどの自己免疫疾患はクラスII対立遺伝子に遺伝的に関係がある。第三に、MHC-II分子は免疫系の細胞に選択的に発現するが、MHC-Iはほとんどの体細胞上に存在する。
【0014】
クラスII MHC分子を標的とする医薬剤はほとんどの利用可能な免疫抑制薬にいくつかの利点を提供する。第一に、それは、病原性カスケードの最初の事象を遮断すると予想される、疾患メカニズムに基づいた介入に相当する。第二に、それはいくつかのクラスIIアロタイプのみに選択的に設計され得、抗原提示系の残物を病原体への保護反応に利用可能なままにするので、ほとんどの免疫抑制薬に比べ、免疫を弱らせる副作用をほとんど生じない。第三に、該方法および化合物は、疾患を引き起こす実際の自己抗原の何らかの具体的な知識を有することなく適用され得る。
【0015】
現在まで、HLA-DRサブクラス分子を標的にする方法および組成物は記載されてきたが、HLA-DQサブクラス分子を標的にする方法および組成物は記述されてこなかった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】Rothbardら, (1991) Annu. Rev. Immunol. 9 : 527
【非特許文献2】Hansenら, 1993 In "Fundamental Immunology" 版. Paul, W. E., Raven Press, New York, NY, p. 577
【非特許文献3】Bjorkmanら, (1987) Nature 329: 506
【非特許文献4】Garrettら, (1989) Nature 342: 692
【非特許文献5】Maddenら, (1991) Nature 353: 321
【非特許文献6】Fremontら, (1992) Science 257: 919
【非特許文献7】Falkら, (1991) Nature 351 : 290
【非特許文献8】Falkら, (1992) Eur. J. Immunol, 22: 277
【非特許文献9】Brownら, (1993), Nature 364: 33
【非特許文献10】Sternら, (1994) Nature 388: 215
【非特許文献11】Ghoshら, (1995) Nature 378: 457
【非特許文献12】Dessenら, (1997) Immunity, 7: 473
【非特許文献13】Leeら, (2001) Nature Immunol. 2 (6): 501- 507
【非特許文献14】Chiczら (1992) Nature, 358: 764
【非特許文献15】TiwariおよびTerasaki (1985), "HLA and disease association," New York; Springer Verlag
【非特許文献16】Thomson (1995) Crit. Rev. Clin. Lab. Sci. 32: 183-219
【非特許文献17】NepomおよびErlich (1991) Annu. Rev. Imnunol. 9: 493-525
【非特許文献18】Yuら, (2000) Eur. J' Immunol. 30: 2497-2506
【非特許文献19】Sollidら, (1993) Gastroenterol. 105: 910
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の課題は、自己免疫疾患の治療のための方法および組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
即ち、本発明の要旨は、
〔1〕7アミノ酸残基で分離された少なくとも二つの固定されたアンカー残基を有するセミランダム配列コポリマーを含むコポリマー組成物であり、
(1)該アンカー残基がアスパラギン酸残基(D)およびグルタミン酸残基(E)より選択され;
(2)コポリマーの残りが少なくとも二つのアミノ酸残基を含むランダム配列を有し、一つのアミノ酸が
(a)アラニン(A)またはグリシン(G);ならびに
(b)ロイシン(L)、イソロイシン(I)、バリン(V)、メチオニン(M)、トレオニン(T)、セリン(S)、およびシステイン(C)
のアミノ酸残基の各群より選択され、
さらに、任意にプロリン(P)を含む、
コポリマー組成物、
〔2〕ランダム配列コポリマーを含むコポリマー組成物であり、そのアミノ酸配列が少なくとも四つの異なるアミノ酸残基を含み、少なくとも一つのアミノ酸残基が
(1)グルタミン酸(E)、アスパラギン酸(D);
(2)ロイシン(L)、イソロイシン(I)、バリン(V)、およびメチオニン(M);
(3)トレオニン(T)、セリン(S)、およびシステイン(C);ならびに
(4)アラニン(A)およびグリシン(G)
からなる群の各々より選択され
さらに、任意にプロリンを含む、
コポリマー組成物、
〔3〕コポリマーが:
(1)アスパラギン酸、アラニン、ロイシン、グルタミン酸(DALE);
(2)アスパラギン酸、アラニン、イソロイシン、グルタミン酸(DAIE);
(3)アスパラギン酸、アラニン、バリン、グルタミン酸(DAVE);
(4)アスパラギン酸、アラニン、トレオニン、グルタミン酸(DATE);および
(5)アスパラギン酸、アラニン、セリン、グルタミン酸(DASE)
より選択されるアミノ酸組成物を有するテトラポリマーである、〔2〕記載のコポリマー組成物、
〔4〕コポリマーが:
(1)アスパラギン酸、グリシン、ロイシン、グルタミン酸(DGLE);
(2)アスパラギン酸、グリシン、イソロイシン、グルタミン酸(DGIE);
(3)アスパラギン酸、グリシン、バリン、グルタミン酸(DGVE);
(4)アスパラギン酸、グリシン、トレオニン、グルタミン酸(DGTE);および
(5)アスパラギン酸、グリシン、セリン、グルタミン酸(DGSE)
より選択されるアミノ酸組成物を有するテトラポリマーである、〔2〕記載のコポリマー組成物、
〔5〕ランダム配列中にアミノ酸残基:
(1)アスパラギン酸、アラニン、ロイシン、グルタミン酸(DALE);
(2)アスパラギン酸、アラニン、イソロイシン、グルタミン酸(DAIE);
(3)アスパラギン酸、アラニン、バリン、グルタミン酸(DAVE);または
(4)アスパラギン酸、アラニン、トレオニン、グルタミン酸(DATE)
を含むコポリマー組成物、
〔6〕ランダム配列中にアミノ酸残基:
(1)アスパラギン酸、グリシン、ロイシン、グルタミン酸(DGLE);
(2)アスパラギン酸、グリシン、イソロイシン、グルタミン酸(DGIE);
(3)アスパラギン酸、グリシン、バリン、グルタミン酸(DGVE);または
(4)アスパラギン酸、グリシン、トレオニン、グルタミン酸(DGTE)
を含むコポリマー組成物、
〔7〕XがL、I、V、S、もしくはTであるアミノ酸残基D:A:X:EまたはD:G:X:Eのモルアウトプット比が約:
(1)1:10:3:1;
(2)1:15:3:1;
(3)1:25:15:5;または
(4)1:3:1.5:0.2
であり、モルアウトプット比のばらつきが、異なるアミノ酸の間で約10%の範囲に含まれる、〔3〕または〔4〕記載のコポリマー組成物、
〔8〕XがL、I、V、S、もしくはTであるアミノ酸残基D:A:X:EまたはD:G:X:Eのモルアウトプット比が約:
(1)1:10:3:1;
(2)1:15:3:1;
(3)1:25:15:5;または
(4)1:3:1.5:0.2
であり、モルアウトプット比のばらつきが、異なるアミノ酸の間で約10%の範囲に含まれる、〔5〕または〔6〕記載のコポリマー組成物、
〔9〕XがL、I、V、S、もしくはTであるアミノ酸残基D:A:X:EまたはD:G:X:Eのモルインプット比が約:
(1)1:5:3:1;
(2)1:25:15:5;または
(3)1:1:1.5:0.2
である、〔3〕または〔4〕記載のコポリマー組成物、
〔10〕XがL、I、V、もしくはTであるアミノ酸残基D:A:X:EまたはD:G:X:Eのモルインプット比が約:
(1)1:5:3:1;
(2)1:25:15:5;または
(3)1:1:1.5:0.2
である、〔5〕または〔6〕記載のコポリマー組成物、
〔11〕コポリマーがHLA-DQタンパク質に特異的な自己抗原性ペプチド中に見られる付加的なアミノ酸残基をさらに含む、〔3〕または〔4〕記載のコポリマー組成物、
〔12〕付加的なアミノ酸残基がリシン残基(K)である、〔11〕記載のコポリマー組成物、
〔13〕コポリマーがMHCタンパク質HLA-DQに機能的に結合する、〔1〕〜〔12〕いずれか記載のコポリマー組成物、
〔14〕コポリマーが30〜70のアミノ酸残基を含む、〔1〕〜〔13〕いずれか記載のコポリマー組成物、
〔15〕コポリマーが約50のアミノ酸残基を含む、〔14〕記載のコポリマー組成物、
〔16〕コポリマーが固相化学作用によって合成される、〔1〕〜〔15〕いずれか記載のコポリマー組成物、
〔17〕コポリマーがクラスII MHCタンパク質HLA-DQに機能的に結合し、少なくとも1つのアミノ酸残基がアスパラギン酸残基またはグルタミン酸残基である、少なくとも3つの異なるアミノ酸残基を有するランダムまたはセミランダム配列コポリマーを含むコポリマー組成物、
〔18〕HLA-DQが自己免疫疾患と関連する、〔13〕記載のコポリマー組成物、
〔19〕自己免疫疾患がインスリン依存型糖尿病またはセリアック病である、〔18〕記載のコポリマー組成物、
〔20〕HLA-DQが望ましくない免疫応答に関連する、〔13〕記載のコポリマー組成物、
〔21〕HLA-DQがアレルギーと関連する、〔13〕記載のコポリマー組成物、
〔22〕HLA-DQがコポリマー組成物の投与によって治療できる疾患と関連する、〔13〕記載のコポリマー組成物、
〔23〕HLA-DQがHLA-DQ2(対立遺伝子DQA1*0501-DQB1*0201の組合せ)またはHLA-DQ8(対立遺伝子DQA1*03-DQB1*0302の組合せ)である、〔13〕記載のコポリマー組成物、
〔24〕自己免疫疾患と関連するHLA-DQ分子に機能的に結合するコポリマー、ならびに薬学的に許容され得る担体および/または賦形剤を含む、薬学的に有効量のコポリマー組成物を含む、自己免疫疾患治療のための医薬組成物、
〔25〕コポリマー組成物が〔18〕記載のコポリマー組成物である、〔24〕記載の医薬組成物、
〔26〕治療効果のある付加的な薬剤をさらに含む、〔25〕記載の医薬組成物、
〔27〕治療効果のある付加的に薬剤が、自己免疫疾患に関連する第2のHLA分子に結合する第2のコポリマー組成物である、〔26〕記載の医薬組成物、
〔28〕第2のHLA分子がHLA-DQ分子である、〔27〕記載の医薬組成物、
〔29〕第2のHLA分子がHLA-DR分子である、〔27〕記載の医薬組成物、
〔30〕自己免疫疾患が糖尿病の症状またはセリアック病である、〔24〕〜〔29〕いずれか記載の医薬組成物、
〔31〕治療効果のある追加の薬剤がインスリンである、〔26〕記載の医薬組成物、
〔32〕治療効果のある追加の薬剤が1つ以上の免疫抑制薬である、〔26〕記載の医薬組成物、
〔33〕免疫抑制薬が、
(1)ラパマイシン、コルチコステロイド、アザチオプリン、ミコフェノール酸モフェチル、シクロスポリン、シクロフォスファミド、メトトレキサート、6-メルカプトプリン、FK506、15-デオキシスパガリン、スフィンゴシン-1-リン酸 (S1P)アゴニスト、FTY 720(2-アミノ-1,3-プロパンジオール、塩酸2-アミノ-2[2-(4-オクチルフェニル)エチル]プロパン-1,3-ジオール)、ミトザントロン、6-(3-ジメチル-アミノプロピオニル)フォルスコリン、およびデメトイムイノマイシンから選択される薬物、または
(2)hul 124、BTI-322、アロトラップ-HLA-B270、OKT4A、エンリモマブ、ABX-CBL、OKT3、ATGAM、バシリキシマブ、ダクリズマブ、胸腺グロブリン、ISAtx247、Medi-500、Medi-507、アレファセプト、エファリズマブ、インフリキシマブ、およびインターフェロンから選択されるタンパク質
である、〔32〕記載の医薬組成物、
〔34〕望ましくない免疫応答と関連するHLA-DQ分子に機能的に結合するコポリマー、ならびに薬学的に許容され得る担体および/または賦形剤を含む、薬学的に有効量のコポリマー組成物を含む、望ましくない免疫応答治療のための医薬組成物、
〔35〕コポリマー組成物が〔20〕記載のコポリマー組成物である、〔34〕記載の医薬組成物、
〔36〕アレルギーと関連するHLA-DQ分子に機能的に結合するコポリマー、および薬学的に許容され得る担体および/または賦形剤を含む、薬学的に有効量のコポリマー組成物を含む、アレルギー治療のための医薬組成物、
〔37〕コポリマー組成物が〔21〕記載のコポリマー組成物である、〔36〕記載の医薬組成物、
〔38〕コポリマー組成物の投与によって治療可能な疾患と関連するHLA-DQ分子に機能的に結合するコポリマー、ならびに薬学的に許容され得る担体および/または賦形剤を含む、薬学的に有効量のコポリマー組成物を含む、コポリマー組成物の投与によって治療可能な疾患の治療のための医薬組成物、
〔39〕コポリマー組成物が〔22〕記載のコポリマー組成物である、〔37〕記載の医薬組成物、
〔40〕自己免疫疾患と関連するHLA-DQ分子に結合する一つ以上のランダム配列コポリマーを含む治療有効量のコポリマー組成物を、自己免疫疾患を有する被験体に投与することを含む、自己免疫疾患の治療方法、
〔41〕前記コポリマー組成物が〔18〕記載のコポリマー組成物である、〔40〕記載の方法、
〔42〕第二の治療的に活性な薬剤を投与することをさらに含む、〔41〕記載の方法、
〔43〕第二の治療的に活性な薬剤が前記自己免疫疾患と関連する第二のHLA分子に結合する第二のコポリマー組成物である、〔42〕記載の方法、
〔44〕前記第二のHLA分子がHLA-DQ分子である、〔43〕記載の方法、
〔45〕前記第二のHLA分子がHLA-DR分子である、〔43〕記載の方法、
〔46〕前記自己免疫疾患が糖尿病の症状およびセリアック病から選択される、〔40〕〜〔45〕いずれか記載の方法、
〔47〕糖尿病の状態が糖尿病前症、インスリン依存型糖尿病(I型)、およびII型糖尿病から選択される、〔46〕記載の方法、
〔48〕糖尿病の状態がインスリン依存型糖尿病(I型)である、〔46〕記載の方法、
〔49〕コポリマーを投与することが注射によりコポリマーを与えることである、〔40〕〜〔48〕いずれか記載の方法、
〔50〕注射の位置が静脈内(i.v.)、皮下(s.c.)、筋肉内(i.m.)、および腹腔内(i.p.)から選択される、〔49〕記載の方法、
〔51〕コポリマーを投与することが静脈内注射を与えることである、〔49〕記載の方法、
〔52〕コポリマーの投与の後、糖尿病の症状またはセリアック病の生理的パラメーターを観察することをさらに含む、〔46〕記載の方法、
〔53〕パラメーターが、遊離血糖の減少、血液インスリンの増加、膵臓インスリンの増加、膵臓質量の増加、およびβ島細胞数の増加である、〔52〕記載の方法、
〔54〕コポリマーの投与の後、糖尿病の発現の頻度の減少、または糖尿病の発現の重篤度の減少を観察することをさらに含む、〔46〕記載の方法、
〔55〕薬剤がインスリンである、〔42〕記載の方法、
〔56〕投与されるインスリンの量が、該被験体に対してコポリマーを投与する前よりも少ない、〔55〕記載の方法、
〔57〕薬剤が免疫抑制剤である、〔42〕記載の方法、
〔58〕薬剤が、
(1)ラパマイシン、コルチコステロイド、アザチオプリン、ミコフェノール酸モフェチル、シクロスポリン、シクロホスファミド、メトトレキサート、6-メルカプトプリン、FK506、15-デオキシスパガリン、スフィンゴシン-1-ホスファートアゴニスト、FTY 720(塩酸2-アミノ-2[2-(4-オクチルフェニル)エチル] プロパン-1,3-ジオール)、ミトザントロン、2-アミノ-1,3-プロパンジオール、6-(3-ジメチル-アミノプロピオニル) フォルスコリン、およびデメトイムノマイシンから選択される薬物、または
(2)hul 124、BTI-322、アロトラップ- HLA-B270、OKT4A、エンリモマブ、ABX-CBL、OKT3、ATGAM、バシリキシマブ、ダクリズマブ、胸腺グロブリン、ISAtx247、Medi-500、Medi-507、アレファセプト、エファリズマブ、インフリキシマブ、およびインターフェロンから選択されるタンパク質
である、〔56〕記載の方法、
〔59〕被験体がヒトである、〔40〕〜〔58〕いずれか記載の方法、
〔60〕被験体がげっ歯類である、〔40〕〜〔58〕いずれか記載の方法、
〔61〕被験体が非肥満性糖尿病(NOD)マウスまたはストレプトゾチシン誘導糖尿病マウスである、〔60〕記載の方法、
〔62〕望ましくない免疫応答と関連するHLA-DQ分子に結合する一つ以上のランダム配列コポリマーを含む治療有効量のコポリマー組成物を、望ましくない免疫応答を有する被験体に投与することを含む、望ましくない免疫応答の治療方法、
〔63〕前記コポリマー組成物が〔20〕記載のコポリマー組成物である、〔62〕記載の方法、
〔64〕アレルギーと関連するHLA-DQ分子に結合する一つ以上のランダム配列コポリマーを含む治療有効量のコポリマー組成物を、アレルギーの症状を有する被験体に投与することを含む、アレルギーの治療方法、
〔65〕前記コポリマー組成物が〔21〕記載のコポリマー組成物である、〔64〕記載の方法、
〔66〕疾患と関連するHLA-DQ分子に結合する一つ以上のランダム配列コポリマーを含む治療有効量のコポリマー組成物を、疾患を有する被験体に投与することを含む、コポリマー組成物の投与により治療し得る疾患の治療方法、
〔67〕前記コポリマー組成物が〔22〕記載のコポリマー組成物である、〔66〕記載の方法、
〔68〕〔18〕記載のコポリマーを投与することを含む、自己免疫疾患にかかる危険性のある被験体を予防的に治療する方法であって、自己免疫疾患の開始を遅延させるかまたは妨げる、方法、
〔69〕前記自己免疫疾患と関連する第二のHLA分子に結合する第二のコポリマーをさらに含む、〔68〕記載の方法、
〔70〕前記第二のHLA分子がHLA-DQ分子である、〔69〕記載の方法、
〔71〕前記第二のHLA分子がHLA-DR分子である、〔69〕記載の方法、
〔72〕前記自己免疫疾患がI型糖尿病およびセリアック病から選択される、〔68〕〜〔71〕いずれか記載の方法、
〔73〕糖尿病前症の状態を有する被験体において糖尿病の進行を妨げる方法であって、被験体に〔1〕〜〔18〕および〔25〕〜〔33〕いずれか記載の組成物を投与し、それにより糖尿病の進行を妨げることを含む方法、
〔74〕被験体または被験体の家族が、該状態を有さない対照の被験体と比較して、高い血中グルコースレベルまたは高い自己抗体レベルを有する、〔73〕記載の方法、
〔75〕被験体に〔1〕〜〔18〕および〔25〕〜〔33〕いずれか記載の組成物を投与することを含む、膵島移植の被験体受容者を治療する方法、
〔76〕組成物の投与が膵島移植の前である、〔75〕記載の方法、
〔77〕組成物の投与が膵島の移植の後に続く、〔75〕記載の方法、
〔78〕被験体中の生理学的パラメーターの観察をさらに含む、〔73〕〜〔77〕いずれか記載の方法、
〔79〕パラメーターが遊離血糖、血液インスリン、膵臓インスリン、膵臓質量、およびβ島細胞数の群より選択される、〔78〕記載の方法、
〔80〕望ましくない免疫応答を発症する危険のある被験体を予防的に処置する方法であって、〔19〕のコポリマーを投与することを含み、望ましくない免疫応答の開始を遅延させるかまたは妨げる、方法、
〔81〕アレルギーを発症する危険のある被験体を予防的に処置する方法であって、〔21〕のコポリマーを投与することを含み、アレルギー反応の開始を遅延させるかまたは妨げる、方法、
〔82〕コポリマーを投与することによって処置可能な疾患を発症する危険のある被験体を予防的に処置する方法であって、所望されない免疫応答の開始を〔22〕のコポリマーを投与することによって遅延させるかまたは妨げる、方法、
〔83〕(a)(1)疎水性、脂肪族残基(ロイシン、イソロイシン、バリン、メチオニン)
(2)酸性残基(アスパラギン酸、グルタミン酸)
(3)小親水残基(セリン、システイン、トレオニン)
(4)小脂肪族残基(アラニン、グリシン)および
(5)プロリン
より選択されるアミノ酸のランダムコポリマーを合成すること、
(b)前記コポリマーのHLA-DQ分子への結合を測定すること;
(c)前記コポリマーの前記HLA-DQ分子への結合と公知の自己抗原ペプチドの前記HLA-DQ分子への結合とを比較すること;
(d)前記公知の自己抗原ペプチドよりも実質的により強く前記HLA-DQ分子へ結合する前記コポリマーを選択すること;ならびに
(e)前記ポリマーを提示する前記HLA-DQ分子によって抑制されるTヘルパー細胞の活性化を測定すること
を含む、HLA-DQ媒体自己免疫疾患を処置するのに治療有効的であるコポリマーを同定する方法、
〔84〕前記自己抗原ペプチドが、
(1)ヒトインスリンのアミノ酸残基9〜23を含むペプチド;
(2)ヒトGADのアミノ酸残基206〜220を含むペプチド;および
(3)ヒトHSP60のアミノ酸残基441〜460を含むペプチド
から選択される、〔83〕記載の方法、
〔85〕前記HLA-DQ分子がDQA1*03〜DQB1*0302、DQA1*0501〜DQB1*0201、HLA-DQA1*0501〜DQB1*0201およびHLA-DQA1*03〜DQB1*0302間のトランスダイマー、DQA1*03/B1*0302、DQB1*0201/DQA1*0501、DQB1*0201およびDQA1*03から選択される、〔84〕記載の方法、
〔86〕コポリマーがビオチン付加している、〔83〕〜〔85〕いずれか記載の方法、
〔87〕コポリマーがFITCで標識される、〔83〕〜〔85〕いずれか記載の方法、
〔88〕コポリマーがクラスII MHCマウスタンパク質IAg7に結合可能である、〔83〕〜〔87〕いずれか記載の方法、
〔89〕自己免疫疾患の処置のための医薬の製造方法であって、自己免疫疾患を有する被験体に投与するための〔1〕〜〔23〕いずれか記載のコポリマー組成物を調剤することを含む、方法、
〔90〕インスリン依存性糖尿病(IDDM)またはセリアック病の処置のための医薬の製造方法であって、IDDMまたはセリアック病を有する被験体に投与するための〔19〕記載のコポリマー組成物を調剤することを含む、方法、
〔91〕望ましくない免疫応答の処置のための医薬の製造方法であって、望ましくない免疫応答を有する被験体に投与するための〔20〕記載のコポリマー組成物を調剤することを含む、方法、
〔92〕アレルギーの処置のための医薬の製造方法であって、アレルギーを有する被験体に投与するための〔21〕記載のコポリマー組成物を調剤することを含む、方法、
〔93〕〔22〕記載のコポリマー組成物を投与することによって処置可能な疾患の処置のための医薬の製造方法であって、該疾患を有する被験体に投与するためのコポリマー組成物を調剤することを含む、方法、
〔94〕〔5〕、〔6〕、〔8〕、〔10〕または〔19〕いずれか記載のアミノ酸のランダム配列を有するコポリマーを含む糖尿病被験体を処置するためのキットおよび容器、
〔95〕さらに使用説明書を含む、〔94〕記載のキット、
〔96〕単位用量である、〔94〕記載のキット
に関する。
【発明の効果】
【0019】
本発明により、自己免疫疾患の治療のための方法および組成物が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、RSP-006(ビオチン標識したRSP-003)と競合してHLA-DQ8に結合するセミランダムコポリマーRSP-001、RSP-002、およびRSP-003の競合分析から得た結果を示し、認められた残存複合体のバックグラウンドの陰性対照を差し引いた縦座標に示す量を増加した競合物の関数として示す。縦座標に示されるafuは任意の蛍光単位を意味する。
【図2】図2は、RSP-006と競合してHLA-DQ8に結合するランダムコポリマーRSP-008(DAVE)、RSP-009(DATE)、およびRSP-010(DALE)の競合分析の結果を示す。
【図3】図3は、RSP-006と競合してHLA-DQ8に結合するランダムコポリマーCO-14(YFAK)の競合分析の結果を示す。
【図4】図4は、ビオチン標識したランダムコポリマーRSP-004、RSP-005、およびRSP-006のHLA-DQ8に対する直接結合分析の結果を示す。
【図5】図5は、ビオチン標識したランダムコポリマーRSP-004、RSP-005、およびRSP-006のHLA-DR2に対する直接結合分析の結果を示す。
【図6】図6は、ビオチン標識したCLIP(クラスII関連のインバリアント鎖ペプチド)と競合してHLA-DR2に対するRSP-008(DAVE)、RSP-009(DATE)、およびRSP-010(DALE)の競合分析の結果を示す。
【図7】図7は、免疫化後にコポリマーへのT細胞応答によって示されたように、マウスに免疫を与えるRSP-001の能力を示す。
【図8】図8は、免疫化後にコポリマーへのT細胞応答によって示される、マウスに免疫を与えるRSP-002の能力を示す。
【図9】図9は、免疫化後にコポリマーへのT細胞応答によって示される、マウスに免疫を与えるRSP-003の能力を示す。
【図10】図10は、免疫化後にコポリマーへのT細胞応答によって示されたように(demonstrated)、RSP-010(DALE)がマウスに免疫を与えることを示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(発明の概要)
本発明は、一つ以上のHLA-DQ分子に結合し、DQ限定的T細胞応答を調整するコポリマーを投与することを含む、自己免疫疾患および他の望まれない免疫応答の治療のための方法および組成物を提供する。ある好ましい態様において、本発明のコポリマーはHLA-DQA1分子に結合し、ならびにさらにより好ましくはDQA1*0501〜DQB1*0201、DQA1*0301、DQB1*0401、およびDQAl*0301〜DQBl*0302対立遺伝子にコードされる一つ以上のHLA分子に結合する。本発明のDQ指向性コポリマーを用いて治療され得る具体的な障害としては、インスリン依存型糖尿病(IDDM);セリアック病;慢性関節リウマチ;ステロイド感受性腎臓症候群;メサンギウム(mesengial)IgA腎症;ナルコレプシー;神経性多発性硬化症;再発性多発性軟骨炎;疱疹状皮膚炎、アトピー性皮膚炎、ベーチェット病、天疱瘡、乾癬等の皮膚障害;一次シェーグレン症候群;全身性脈管炎;紅斑;クローン病等の胃腸性障害;ソマー(Sommer)型過敏性肺炎等の呼吸器障害;および自己免疫甲状腺疾患(AITD)が挙げられる。さらにより好ましい態様において、本発明のコポリマーは、HLA-DQ分子の保有者がIDDMおよびセリアック病に罹患しやすくするような特定のHLA-DQ分子に結合する。かかるHLA-DQ分子はDQB1*0201、DQB1*0302、DQB1*0304、DQB1*0401、DQB1*0501、DQB1*0502;ならびにDQA1*0301、DQA1*0302、DQA1*0303、DQA1*0501として公知の特定のなHLA-DQB1およびDQA1対立遺伝子の組み合わされたタンパク質産物である。これらの対立遺伝子はDQB1*0201〜DQA1*0501〜DRB1*0301およびDQBl*0302〜DQAl*0301〜DRBl*0401等の同一のハロタイプ(「シス」対立遺伝子)上にコードされ得る。「シス」対立遺伝子のポリペプチド産物を含む得られたHLA分子は、本明細書中で「シスダイマー」と言う。あるいは、対立遺伝子は異なるハプロタイプ(「トランス」対立遺伝子)上にコードされ得る。「トランス」対立遺伝子のポリペプチド産物を含むHLA分子は、本明細書中で「トランス」ダイマーと言う。「トランス」対立遺伝子の例としてはDQBl*0201〜DQAl*0501-DRBl*0301上のDQBl*0201、およびDQBl*0301〜DQAl*0301〜DRBl*0404上のDQAl*0301がある。
【0022】
コポリマーの要約
本発明の一つの局面は、種々のアミノ酸残基のランダム合成(重合)により形成されるコポリマー組成物である。かかる組成物は、少なくとも3つの異なるアミノ酸残基のランダム配列を有するコポリマーであるターポリマーを含み、ここで少なくとも一つのアミノ酸は:
(1)酸性または中立極性残基(アスパラギン酸(D)、アスパラギン(N)、グルタミン酸(E)、グルタミン(Q));ならびに
(2)疎水性脂肪族残基および小親水性水酸基残基(ロイシン(L)イソロイシン(I)、バリン(V)、セリン(S)、トレオニン(T));
(3)小脂肪族残基(アラニン(A)、グリシン(G))
の各群より選択される。
【0023】
従って該コポリマーは、例えば以下の表1中の3つのアミノ酸残基の群を含むターポリマーである。
【0024】
一般的に、ターポリマー組成物において、該コポリマーは、アミノ酸成分のモルインプット比(molar input ratio)が、第1の群、第2の群および第3の群それぞれのアミノ酸の相対量として約2:5:3であるように合成される。または、アミノ酸成分のモルインプット比が、第1の群、第2の群および第3の群それぞれのアミノ酸の相対量として約2:25:15である。あるいは、アミノ酸成分のモルインプット比が、第1の群、第2の群および第3の群それぞれのアミノ酸の相対量として約2:1:0.6である。
【0025】
別の態様において、コポリマー組成物は、上記3つの各群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基の4つのアミノ酸残基を含むテトラポリマーである。従って、本発明のコポリマーは、例えば以下の表2中の4つのアミノ酸残基の群を含むテトラポリマーである。
【0026】
本発明の好ましい態様は、アミノ酸残基の以下の組:
アスパラギン酸、アラニン、ロイシンおよびグルタミン酸(DALE);
アスパラギン酸、アラニン、イソロイシンおよびグルタミン酸(DAIE);
アスパラギン酸、アラニン、バリンおよびグルタミン酸(DAVE);
アスパラギン酸、アラニン、トレオニンおよびグルタミン酸(DATE);
アスパラギン酸、グリシン、ロイシンおよびグルタミン酸(DGLE);
アスパラギン酸、グリシン、イソロイシンおよびグルタミン酸(DGIE);
アスパラギン酸、グリシン、バリンおよびグルタミン酸(DGVE);または
アスパラギン酸、グリシン、トレオニンおよびグルタミン酸(DGTE)
のいずれかのランダム配列を含むコポリマー組成物である。
【0027】
一般的に、これらの組成物は、上記に示されたものとして、それぞれ約1:10:3:1、または1:15:3:1のアミノ酸成分のモルアウトプット比(molar output ratio)を有するように合成される。または、アミノ酸成分のモルアウトプット比がそれぞれ約1:25:15:5である。あるいは、アミノ酸成分のモルアウトプット比がそれぞれ約1:3:1.5:0.2である。モルアウトプット比は異なるアミノ酸の間で約10%の範囲のばらつきを有する。D: A: X: EまたはD: G: X: Eのコポリマー組成物の合成に好ましいモルインプット比は約1:5:3:1で、ここでXはL、I、V、SまたはTである。あるいは、これらのアミノ酸のモルインプット比は約1:25:15:5または1:1:1.5:0.2である。
【0028】
別の態様において、本DQ指向性コポリマーは、アミノ酸残基を含むランダムなまたは部分的にランダムなアミノ酸配列を有するコポリマーの混合物であり、ここで少なくとも一つのアミノ酸は:
(1)疎水性脂肪族残基(ロイシン(L)、イソロイシン(I)、バリン(V)、メチオニン(M)等);
(2)酸性残基(アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)等);
(3)小親水性残基(セリン(S)、トレオニン(T)、システイン(C)等);および
(4)小脂肪族残基(アラニン(A)、グリシン(G)等)
の各群より選択される。
【0029】
ある態様において、該ポリマーはグルタミン酸(E)および/またはアスパラギン酸(D)、ロイシン(L)、セリン(S)、ならびにアラニン(A)のアミノ酸を用いて誘導され、本明細書中で「ELSA」コポリマーと言う。
【0030】
ある他の態様において、本DQ指向性コポリマーは、少なくとも5つの異なるアミノ酸残基を含むランダムなまたは部分的にランダムなアミノ酸配列であり、ここで少なくとも1つのアミノ酸は:
(1)酸性残基(アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)等);
(2)疎水性脂肪族残基(ロイシン(L)、イソロイシン(I)、バリン(V)、メチオニン(M)等)
(3)かさ高い疎水性残基(チロシン(Y)、フェニルアラニン(F)等);
(4)小親水性残基(セリン(S)、システイン(C)、トレオニン(T)等);および
(5)小脂肪族残基(アラニン(A)、グリシン(G)等)
の各群より選択される。
【0031】
別の具体的なコポリマーは、グルタミン酸(E)および/またはアスパラギン酸(D)、ロイシン(L)、チロシン(Y)およびバリン(V)のアミノ酸残基を用いて誘導され、本明細書中で「DLYV」コポリマーと言う。
【0032】
別の態様において、いずれかのコポリマーはさらに、付加的なアミノ酸残基を含み、ここで付加的なアミノ酸残基は、糖尿病等の自己免疫疾患における自己抗原ペプチド中の特定のアミノ酸配列位置に見られる。かかるアミノ酸は、自己免疫疾患に関係のあるクラスII MHCタンパク質との機能的な結合のためのペプチドの親和性に影響を及ぼす。かかるコポリマーは、クラスII MHCタンパク質と複合している際に、T細胞刺激活性を有する。例えば、上記の組み合わせのいずれかに対する付加的なアミノ酸はリシン残基(K)である。K残基は、クラスII MHCタンパク質と複合したコポリマーによりT細胞刺激を増加するのに十分なモルアウトプット比で存在する。さらにK残基は、コポリマーの水溶解性を増加するのに十分なモルアウトプット比で存在する。別の態様において、コポリマーはプロリン(P)残基を含有し得る。
【0033】
ランダムコポリマーに組み込まれるアミノ酸の特定の比が用いられ得る。本発明の好ましいランダムコポリマーは、アミノ酸残基K、E、A、S、VおよびPを含む。K:E:A:S:Vの好ましいモルインプット比は0.3:0.7:9:0.5:0.5:0.3である。
【0034】
他の態様において、コポリマーアミノ酸配列は完全にはランダムではなく、得られたポリマー中に規則的な間隔を持たせる「アンカー」残基を有する。好ましくは、一般配列:


を有するコポリマーであり、
ここでXa1およびXa2は各々、グルタミン酸およびアスパラギン酸から選択される酸性アミノ酸残基であり、Xは任意の選択されたアミノ酸残基であり、2≦n≦8である。
【0035】
好ましくは、該コポリマーは一般配列:


のいずれかを有するように合成することができ、XはA、S、V、KまたはPである。
【0036】
好ましい態様において、A:S:V:K:Pのモルインプット比は5:1:1:1:0.5である。
【0037】
該コポリマーはクラスII MHCタンパク質、例えば、対立遺伝子DQA1*0501〜DQB1*0201にコードされるHLA-DQ2または対立遺伝子DQA1*03〜DQB1*0302対立遺伝子にコードされるHLA-DQ8等のヒトクラスII MHCタンパク質に結合し得る。さらに、コポリマーはマウス等の被験体動物のクラスII MHCタンパク質、例えばIAg7タンパク質に結合し得る。好ましい態様において、本発明のコポリマー組成物は1μM以下の平均Kdで一つ以上のDQアイソタイプに結合し、より好ましくは100nM、10nMまたはさらに1nM未満の平均Kdで結合する。好ましいコポリマーを同定するための別の方法は、Sidneyら (2002) J. Immunol. 169: 5098に記載されるような競合結合アッセイに基づき、IC50値で表される。本発明の好ましいコポリマーは、1μM未満のIC50値を有し、より好ましくは、500nM未満であり、さらにより好ましくは100nM未満である。
【0038】
本明細書で提供されるコポリマーは少なくとも約30残基長、少なくとも約40残基長であるか、またはコポリマーは少なくとも約50残基長である。さらに、コポリマーは約90残基長、約80残基長、または約70残基長である。好ましくは、ランダムコポリマーは約10〜100アミノ酸残基長であり、より好ましくは20〜80アミノ酸残基長、30〜70アミノ酸残基長で、さらにより好ましくは40〜60アミノ酸残基長で、最も好ましくは約50アミノ酸残基長である。合成される際に、ランダムコポリマーの典型的な製剤は種々の長さのペプチド混合物であり、その大部分は所望の長さ内であるが、現在実行可能な合成過程で必然的に生じるより短いかまたは長いペプチドも含まれる。
【0039】
ある態様において、本コポリマーは、25,000未満、より好ましくは10000、5000、1000、500、100、50または10未満の多分散性(polydispersity)を有するように医薬としての用途のために調剤される。
【0040】
治療方法の要約
本発明の別の局面は、自己免疫疾患に関係のあるHLA-DQ分子に機能的に結合するコポリマー組成物を投与することを含む、自己免疫疾患の治療方法であり、これによりT細胞認識を活性化する。ある態様において、本コポリマーは、HLA-DR分子および/または他のDQアイソタイプに結合するコポリマーのKdの少なくとも10倍未満のKdで一つ以上のDQB1*0201、DQB1*0302、DQB1*0304、DQB1*0401、DQB1*0501、DQB1*0502;およびDQA1*0301、DQA1*0302、DQA1*0303、DQA1*0501等の自己免疫疾患関連HLA-DQアイソタイプに結合する。
【0041】
本発明の別の局面は、望ましくない免疫応答に関係のあるHLA-DQ分子に機能的に結合するコポリマー組成物を投与することを含む、HLA-DQ分子が媒介する望ましくない免疫応答の治療方法である。本発明のさらに別の局面は、アレルギーに関連のあるHLA-DQ分子に機能的に結合するコポリマー組成物を投与することを含む、HLA-DQ分子が媒介するアレルギーおよびアレルギー反応の治療方法である。また、本発明の局面は、疾患に関係のあるHLA-DQ分子に機能的に結合するコポリマー組成物の投与により治療可能な疾患の治療方法も提供する。
【0042】
本発明の好ましい態様は、ランダム配列で重合されたアミノ酸を有するコポリマーを含む組成物の被験体への投与を含む、被験体における糖尿病の症状の治療方法を提供し、該アミノ酸が以下の群:
(1)酸性または中立極性残基(アスパラギン酸(D)、アスパラギン(N)、グルタミン酸(E)、グルタミン(Q));および
(2)疎水性脂肪族残基および小親水性水酸基残基(ロイシン(L)、イソロイシン(I)、バリン(V)、セリン(S)、トレオニン(T));
(3)小脂肪族残基(アラニン(A)、グリシン(G))
の各々由来の少なくとも一つの残基を含み、これにより被験体の糖尿病の症状を治療する。一般的に、コポリマーにおいて、酸性残基はグルタミン酸および/またはアスパラギン酸;中性残基はアラニンおよび/またはグリシン;ならびに疎水性脂肪族アミノ酸残基はロイシン、イソロイシン、バリン、および/またはトレオニンである。
【0043】
該治療の被験体はヒトであり得る。あるいは、被験体は、ラット、マウスまたはハムスターを含むげっ歯類等の非ヒト動物である。例えば、被験体は非糖尿病性肥満(NOD)マウスまたはストレプトゾチシン誘導糖尿病マウスである。
【0044】
別の態様において、治療方法は、本発明の任意のコポリマー、好ましくは以下の群:
(2)酸性残基(アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E));
(4)小脂肪族残基(アラニン(A)、グリシン(G));
(1)疎水性脂肪族残基(ロイシン(L)、イソロイシン(I)、バリン(V)、メチオニン(M));および
(3)小親水性残基(セリン(S)、システイン(C)、トレオニン(T))
の各々より選択される少なくとも一つのアミノ酸残基を含むポリペプチドを含むコポリマーを用いて実行される。
【0045】
また、コポリマーはプロリン(P)を含んでも良い。
【0046】
特定の態様において、該方法は、活性な構成成分の持続的放出に適した経皮的パッチ等の持続的放出担体、持続的放出製剤で覆われた埋め込み可能な医療装置、または埋め込み可能もしくは注射可能な医薬製剤による自己免疫疾患の連続的な治療を可能にする。
【0047】
本発明の治療方法は他の薬物との組み合わせでコポリマーの投与にも用いられる。本コポリマーは、抗炎症剤、成長因子、サイトカイン、免疫抑制剤、または抗高血圧薬、糖尿病患者において脂肪障害を処置する薬物もしくは抗肥満薬等の、他の活性成分と共に投与され得る。例えば本コポリマーは、シクロオキシゲナーゼインヒビター、およびTNF-α、IL-1またはICAM-1のインヒビターと共に用いられ得る。あるいは、付加的な薬剤は免疫抑制剤である。免疫抑制剤は薬物またはタンパク質であり得る。薬物はラパマイシン;コルチコステロイド;アザチオプリン;ミコフェノール酸モフェチル;シクロスポリン;シクロフォスファミド;メトトレキサート;6-メルカプトプリン;FK506;15-デオキシスパガリン;FTY720(塩酸2-アミノ-2-(2-[4-オクチルフェニル]エチル)-1,3-プロパンジオール)等のスフィンゴシン-1-リン酸レセプターアゴニストおよび他のリン酸類似体(Forrestら (2004) JPET 309:758-768);ミトザントロン;2-アミノ-1,3-プロパンジオール;6-(3-ジメチルアミノプロピオニル)フォルスコリン;ならびにデメトイムノマイシン(demethimmunomycin)の少なくとも一つである。タンパク質はhul 124;BTI-322;アロトラップ-HLA-B270;OKT4A;エンリモマブ(Enlimomab);ABX-CBL;OKT3;ATGAM;バシリキシマブ;ダクリズマブ(daclizumab);胸腺グロブリン;ISAtx247;Medi-500;Medi-507;アレファセプト(Alefacept);エファリズマブ;インフリキシマブ;およびインターフェロンの少なくとも一つである。
【0048】
抗高血圧薬の例としてはβブロッカー、カテプシンSインヒビターおよびACEインヒビターが挙げられる。脂肪障害の治療薬の例としてはHMG-CoAリダクターゼインヒビター、ニコチン酸、胆汁酸金属イオン封鎖剤(bile acid sequestrants)、およびフィブリン酸誘導体が挙げられる。抗肥満薬の例としてはP-3アゴニスト、CB-1アンタゴニスト、例えばシブトラミン(メリディア)(Meridia)等の食欲抑制剤、および例えばオルリスタット(orlistat)(ゼニカル)(Xenical)等のリパーゼインヒビターが挙げられる。
【0049】
IDDM治療の場合において、本発明のコポリマーはまた、PPARアゴニスト、スルホニル尿素薬、非スルホニル尿素分泌促進薬、αグルコシダーゼインヒビター、インスリン感作物質、インスリン分泌促進薬、肝臓グルコース排出量低下化合物、およびインスリンが含まれる他の公知の糖尿病の治療のための治療と共に投与され得る。かかる治療の組み合わせにおいて、同一被験体に対し、治療剤の量はコポリマーの投与前より少ない。
【0050】
かかる治療法は、本発明の化合物の投与より前か、それと同時かまたはそれに続いて施してもよい。インスリンには長期および短期活性形態、ならびにインスリンの製剤が含まれる。PPARアゴニストとしては任意のPPARサブユニットのアゴニストまたはその組み合わせが挙げられる。例えば、PPARアゴニストとしてはPPAR-α、PPAR-γ、PPAR-67またはPPARサブユニットの二つもしくは三つの組み合わせが挙げられる。PPARアゴニストとしては、例えばロシグリタゾンおよびピオグリタゾンが挙げられる。スルホニル尿素薬としては、例えばグリブリド、グリメピリド、クロルプロパミドおよびグリピジドが挙げられる。本発明のコポリマーと共に投与した際に、糖尿病の治療に有用であり得るα-グリコシダーゼインヒビターとしては、アカルボース、ミグリトールおよびボグリボースが挙げられる。本コポリマーと共に投与した際に、糖尿病の治療に有用であり得るインスリン感作物質としては、チオゾリジンジオンおよび非チオゾリジンジオンが挙げられる。有用であり得る肝臓グルコース排出量低下化合物としては、Glucophage(登録商標)およびGlucophage(登録商標)XR等のメトフォルミンが挙げられる。本発明のコポリマーと共に投与した際に、糖尿病の治療に有用であり得るインスリン分泌促進薬としては、スルホニル尿素薬および非スルホニル尿素薬:GLP-1、GIP、PAC/VPACレセプターアゴニスト、セクレチン、ナテグリニド、メグリチニド、レパグリニド、グリベンクラミド、グリメピリド、クロルプロパミド、グリピジドが挙げられる。GLP-1としては、例えば脂肪酸誘導性GLP-1およびエキセンディン等、天然のGLP-1よりも半減期が長いGLP-1誘導体が挙げられる。
【0051】
本発明の別の態様において、該方法は、治療の有効性を評価するために糖尿病の発症の頻度または糖尿病の重症度の観察を提供する。関連のある態様において、治療の方法は、コポリマー投与後の糖尿病の症状の生理的パラメーターを観察することを提供する。例えば、効果的な治療は、遊離血糖の減少、血液インスリンの増加、膵臓インスリンの増加、膵臓質量の増加、またはβ島細胞数の増加等のパラメーターの測定により観察される。
【0052】
特定の態様において、コポリマーを静脈内、皮下、筋内もしくは腹腔内注射等の注射か、または静脈内注射(もしくは点滴)により患者に投与する。あるいは、コポリマーを経口、経皮、吸引または腹腔内投与により投与する。
【0053】
また、本発明は、疾患の開始または症状を予防するかまたは遅らせるためにコポリマーを投与することを含む、自己免疫疾患、望ましくない免疫応答、アレルギー、またはコポリマー組成物の投与により治療可能な何らかの疾患被験体を予防的に治療するための方法も提供する。
【0054】
本発明の別の態様は、本明細書中のアミノ酸コポリマー組成物のいずれかによるアミノ酸のランダム配列を有するコポリマーおよび容器を含む、糖尿病被験体を治療するためのキットを提供する。キットにはさらに使用説明書が含まれ得る。キットは用量単位でコポリマーを提供し得る。
【0055】
医薬組成物の要約
本発明の別の局面は、本発明のコポリマーを含む医薬組成物を提供する。いくつかの態様における組成物は、さらに薬学的に許容され得る担体および/または賦形剤を含む。特定の態様において、医薬組成物は、HLA-DQ分子に結合する一つ以上の治療的に有効なコポリマー、および薬学的に許容され得る担体を含む。医薬組成物は経口、静脈内、筋内、皮下、経皮、吸引または腹腔内投与が挙げられる種々の投与ルートに対して製剤化してもよい。別の態様において、医薬組成物は、活性成分、生物学的に適合性のあるポリマーを含む組成物、または治療的に活性なコポリマーの緩やかな放出を可能にするマトリックスの持続的放出に適切である。かかる持続的放出製剤は、例えば経皮的パッチ、インプラント、または座薬の形状でもよい。
【0056】
特定の態様において、医薬組成物は、上記のコポリマーと組み合わせた付加的な薬物または薬剤と共に投与するための他の薬学的に活性な成分をさらに含む。付加的な薬剤は、HLA-DR媒介性のT細胞の活性化を引き起こすコポリマー等の、他のコポリマーであり得る。具体的なDR指向性のコポリマーとしては、Copaxone(登録商標)(米国特許第3,849,550号および第6,214,791号に記載されるような酢酸グラチラマー)、YFAK、ならびにPCT公開公報WO03/029276に記載される他のコポリマーおよびPCT公開公報WO00/05250に記載されるターポリマーが挙げられる。
【0057】
本発明の別の態様は、治療が必要な被験体への投与のための本明細書に記載の任意のコポリマーの調剤を含む、糖尿病もしくはセリアック病;望ましくない免疫応答;アレルギー;または本発明のコポリマーの投与により治療可能な何らかの疾患等の自己免疫疾患の治療のための医薬の製造方法を提供する。
【0058】
該組成物は、自己免疫疾患、望ましくない免疫応答、アレルギー、または本発明のコポリマーの投与により治療可能な何らかの疾患の治療に有効な用量単位で提供され得る。自己免疫応答はセリアック病もしくは糖尿病の症状であり得、それは糖尿病前症;インスリン依存型糖尿病(IDDM、I型糖尿病)、またはII型糖尿病であり得る。被験体はヒトであり得る。あるいは、被験体はラット、マウス、またはハムスター等のげっ歯類等、非ヒト動物である。例えば被験体は非肥満糖尿病(non-diabetic obese)(NOD)マウスまたはストレプトゾチシン誘導性糖尿病マウスである。用量単位は被験体の体の大きさに適した量である。
【0059】
スクリーニング方法の概要
本発明の別の局面は、HLA-DQ分子に結合し、自己免疫応答を阻害するコポリマーをスクリーニングし同定する方法を提供する。かかる方法により自己免疫疾患の治療に有効なコポリマーの同定が可能となる。
【0060】
特定態様において、本DQ指向性コポリマーは、コポリマーの検出を容易にする成分で修飾または標識されている。好ましい態様において、コポリマーはビオチン化されている。別の好ましい態様において、コポリマーはFITCで修飾されている。具体的なコポリマーはビオチンまたはFITCで修飾された上述のランダムコポリマーである。他の態様において、得られたポリマー中に規則的な間隔を生じる「アンカー」残基を有するコポリマーをビオチンまたはFITCで修飾する。好ましくは、一般式:



のいずれかを有するように修飾されたコポリマーを合成する。
式中、A、S、V、KまたはPにおいて、そのモルインプット比は5:1:1:1:0.5で、2≦n≦8であり、スペーサーは2〜6アミノ酸残基、好ましくはアミノ酸配列SGSGを含む。好ましい態様において、n=4である。
【0061】
これらの修飾されたコポリマーをアッセイおよび診断、例えば酵素結合免疫測定法(ELISA)に用いる。また、標識されたコポリマーを用いて、HLA分子に結合するコポリマー中の最良の配列または好ましい配列を決定するのにも用いられる。さらに、標識されたコポリマーを、HLA-DQ分子に結合するかまたは関する本発明のコポリマーとは関係のない他の化合物のスクリーニングに用い得る。
【0062】
スクリーニング方法はラット、マウス、またはハムスター等のげっ歯類等、非ヒト動物のインビボアッセイに用いられ得る。
【0063】
(発明の詳細な説明)
I. 概観
ヒト白血球抗原(HLA)の特定の対立遺伝子と強い関連を示す、様々な自己免疫疾患がある。特に、特定の疾患は対立遺伝子のHLA-DQサブクラスと、それ単独またはHLA-DRサブクラスに共同で、関連がある。これらの疾患はIDDMおよびセリアック病を含む。罹患性を与えるMHCクラスII対立遺伝子の同定に基づいて疾患を発現する危険性のある個体を識別することが可能である。
【0064】
HLA-DQ遺伝子産物と関連のある自己免疫疾患を治療するために、これらのタンパク質レセプター分子に結合するのに自己抗原候補と競合することによって、または、T細胞アネルギーもしくはT細胞アポトーシスまでも誘導することによって、または、続いて起こる自己抗原へのT細胞応答をインビボで抑えるようなT細胞の抑制によって、ランダム合成コポリマーを用いることができる。さらに、様々な量で重合反応に添加されたアミノ酸類似体または誘導体などの付加的な成分を1つ以上有する合成コポリマーは、様々な自己免疫T細胞応答の効果的なインヒビターになり得る。StromingerらによるPCT/US02/31399、およびFridkis-Hareliら (2002) J. Clin. Invest. 109: 1635-1643を参照されたい。両者の全ての内容はこれにより参考文献によって本明細書中に組み込まれている。
【0065】
自己免疫疾患の治療の主な目標は、抗原提示細胞の表面にある自己MHCレセプターによってもたらされた自己抗原ペプチドを持つ自己反応性T細胞レセプター(TCR)の3分子の相互作用を妨げる、抗原特異的免疫調節治療法の進展である。これらのT細胞を媒体とした自己免疫疾患の免疫治療は、公知の標的抗原(例えば、Weiner (1997) Immunol. Today 18 : 335-343、Nicholsonら (1997) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94: 9279-9284を参照されたい)を持つ動物モデルにおいて成功してきた。改変ペプチドリガンド(APL)の使用は、EAE(Nicholsonら (1997) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94: 9279-9284、Brocke ら (1996) Nature 379: 343-346)および、最近はMS(Bielekovaら (2000) Nat. Med. 10: 1167-1175、Kapposら (2000) Nat. Med. 10: 1176-1182)の両者の治療に用いられ、矛盾した所見を持つ。
【0066】
インスリン依存型糖尿病(IDDM)またはI型糖尿病は深刻な健康問題である。特定のHLA-DRおよびHLA-DQサブクラス対立遺伝子を有する遺伝的に感染しやすい個体は、疾患の開始を示す膵島抗原への自己抗体を監視されてもよい。かかる個体を疾患開始時に治療することは、自己免疫応答およびそれによるさらなる組織の破壊を抑制し、効能があると予想される。
【0067】
疾患への別の可能な適用は、対立遺伝子DQA1*0501-DQB1*0201および-DQA1*03-DQB1*0302でコードされたHLAと強く関連するセリアック病の治療である。自己免疫応答の抑制はセリアック病の症状を軽減する効能があると予想される。
【0068】
Tリンパ球はT細胞レセプター(TCR)により、外来抗原を認識することができる。TCRは、分化した抗原提示細胞の細胞表面上に膜結合した糖タンパク質である主要組織適合性複合体(MHC)に結合する。MHCは短い、細胞内でできた自己または異種タンパク質由来のペプチドと複合体を形成する。MHCタンパク質にはクラスIおよびクラスIIの2つの主要なクラスがある。クラスI分子は細胞内にできた自己または異種タンパク質由来のペプチドと複合し、一方、クラスII分子は細胞外からのペプチドと複合する。かかるペプチドはMHCとペプチド結合溝において、10-6Mの範囲の結合親和力(Kd)で非共有結合する。クラスII MHCのいずれの末端のペプチド結合溝も空いており、それによって9から75の範囲のアミノ酸残基長のペプチドを収容することができる。
【0069】
Copaxone(登録商標), コポリマー-1, Copl, YEAK またはGLATとしても知られる酢酸グラチラマーは、モル比でおよそ1:1.5:5:3のチロシン(Y)、グルタミン酸(E)、アラニン(A)、およびリシン(K)から構成されるランダムアミノ酸コポリマーである。酢酸グラチラマーは、N-カルボキシアミノ酸無水物(Teitelbaumら (1971)Eur. J. Immunol. 1: 242-248)を用いた溶液中で合成される。酢酸グラチラマーは多発性硬化症(MS)、特に再発性形態のMS(Bornsteinら (1987) New Engl. J. Med. 317: 408-414; Johnsonら(1995) Neurol. 45: 1268-1276)の治療薬として首尾よく開発されて認可され、現在広く用いられている。最初は酢酸グラチラマーおよび他の同類のランダムコポリマーは、今はクラスII MHC遺伝子として知られている免疫応答の遺伝的基礎を明らかにするのに用いられた。(McDevittおよびSela (1965) J. Exp. Med. 122: 517-532; McDevittおよびSela (1967) J. Exp. Med. 126: 969-978)。酢酸グラチラマーは実験的アレルギー性脳脊髄炎の抑制に効果的であることが見出された(Teitelbaumら (1971) Eur. J. Immunol. 1: 242-248; Teitelbaumら (1973) Eur. J. Immunol. 3: 273-279; Teitelbaumら (1974) Clin. Immunol. Immunopathol. 3: 256-262; Aharoniら (1993) Eur. J. Immunol. 23: 17-25)。
【0070】
酢酸グラチラマーの作用機構は完全には理解されていないが、酢酸グラチラマーの生物活性の必要条件は、ヒトのMHCクラスII分子に結合する能力を含むようである。MSと最も一般的に関連のあるMHC対立遺伝子はHLA-DR2 (DRB1*1501)で、酢酸グラチラマーはこのMHCクラスII分子に結合し、個体のT細胞のかなりの割合(典型的には15-20%)を活性化することが示されてきた。酢酸グラチラマーによるT細胞の活性化はHLA-DR分子に制限され、HLA-DQ分子を通じてはほとんど応答が生じない。(Brennerら (2001) J. Neuroimmunol. 115: 152-160, Fridkis-Hareliら (1994) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91: 4812-4876, 表1)。従って、酢酸グラチラマーはMS再発率を減少するのに効果的であるが、糖尿病やセリアック病等の、HLA-DQ分子に関連する他の自己免疫疾患は治療しない。
【0071】
クラスII分子に結合するペプチドは、アンカー位置に規定された側鎖の存在を必要とし、これらが全て一緒になって特定の結合モチーフを形成する。これらのアンカー位置はアミノ酸の位置1から位置9(またはP1からP9)として定められた。ペプチドが最適なクラスII結合をするのに役立つ最も重要な接点はP1、P4、P7、およびP9である。糖尿病と関連のあるクラスII MHCタンパク質にとって、タンパク質ポケットと相互作用するためにペプチドの最重要な位置はP1およびP9である。P1およびP9ポケットは、多様なアミノ酸側鎖を収容できる大きなポケットであるという点で「無差別」であると考えられる。本明細書中で提供される組成物を用いて、P1およびP9がアミノ酸残基グルタミン酸(E)またはアスパラギン酸(D)に占有されている時に、特にしっかりと結合していることが見出される。特定の位置の残基を区別する特徴を有するアミノ酸残基を持つペプチドは、予測できる親和力でMHC分子に結合する。しかしながら、HLA-DR分子を用いた実験では、アンカーではない位置で、結合に影響を与えることなく様々な側鎖が許容されていることを示している(Hammerら (1993,1994,および1995)、上述)。この結合機構は、HLAの所定のアロタイプによって、多くの異なるペプチドの提示を可能にする。アンカーではない位置の側鎖は外側を向いているが、アンカー位置の側鎖は結合部位内の特定のポケットと相互作用し、Th細胞上のT細胞レセプター(TCR)による認識が利用できる。
【0072】
従って、自己抗原ペプチドと同じ結合モチーフを持ちながらアンカーではない位置に異なる残基を持つ化合物は、疾患に関連のあるMHC分子に結合し、それによって自己免疫T細胞の活性化を妨げ、かくして疾患の進行を中断し得ると考えられる。このモデルによると、タンパク質のポケットに重要な位置で最もしっかりと適合するアミノ酸残基、すなわち「アンカー」残基の型を有するコポリマーが、自己免疫疾患の症状を改善するのに最も効果的である。かかる化合物がその効果を発揮する機構は、抗原提示部位に対する競合的拮抗であり得る。特定の自己免疫疾患に関わるクラスII分子に選択的に結合する化合物は、そのためにその疾患を特異的に妨げることが予想される。MHC分子に結合してT細胞活性化を抑制するさらなるペプチドは、例えば、国際特許出願WO 92/02543、WO 93/05011、WO 95/07707に開示されている。
【0073】
あるいは、自己抗原ペプチドと置き替わる化合物が、自己抗原ペプチドが活性化するのとは異なるT細胞のセットを活性化し得る(VignaliおよびStrominger (1994) J. Exp. Med. 179: 1945-1956)。例えば、自己免疫応答がTh1細胞を媒介とした望ましくない炎症反応を特徴とする場合、Th1細胞のかわりに、免疫抑制サイトカインIL-10を産生または増産するTh2細胞を活性化することで、自己免疫応答の症状が緩和し、望ましくない免疫応答の抑制をもたらし得る。クラスII MHCタンパク質複合体とT細胞との相互作用のために重要な位置はP2、P4、およびP5であるようである。Wucherpfennigら (1994) J. Exp. Med. 179 : 279を参照されたい。また、マウスのクラスII MHCタンパク質複合体によるT細胞の刺激を説明するBettelliら (1998) J. Immunol. 161: 3299; およびAharoniら(1998) J. Neuroimmunol. 91: 135、ヒトのクラスII MHCタンパク質複合体によるT細胞の刺激を説明するDudaら (2000) J. Cell Immunol. 105: 967も参照されたい。Arnonら(2003) Proc. Nat. Acad. Sci. USA 100 (24): 14157-62は、Cop Iによる処置がマウスの中枢神経系の特定のTh2細胞を誘発し、これらのTh2細胞が免疫抑制サイトカインを分泌すると説明した。
【0074】
最近、ヒトのインスリンペプチドとDQA1*03-DQB1*0302対立遺伝子でコードされたHLAの複合体の結晶構造が決定された。(Leeら (2001) Nature Immunol. 2: 501-507) この構造、DQA1*03-DQB1*0302対立遺伝子でコードされたHLAに関するのペプチド結合の研究(Yuら (2000) Eur. J. Immunol. 30: 2497-2506)、および実験結果に基づき、特定のHLA分子に結合できるコポリマーを本明細書中以下に提供する。
【0075】
任意の特定な作用機構に制限されることなく、アミノ酸の第1群は、コポリマーに組み込まれた時に、P1およびP9ポケットを占有するものがここで選ばれた。アミノ酸の第1群は、例えば、本明細書中表4に示すデータ分析などの多様な基準に基づいて選ばれ、アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、アスパラギン(N)、およびグルタミン(Q)を含む。アミノ酸の第2群は、同じく無差別であり得るP4位置を占有する時にTCRと相互作用するものが選ばれる。Hermanら (1999) J. Immunol. 163: 6275を参照されたい。アミノ酸の第2群はバリン(V)、イソロイシン(I)、ロイシン(L)、セリン(S)、およびトレオニン(T)である。リシン(K)等の、コポリマーの電荷、およびそれゆえに恐らく水への溶解性に影響する付加的なアミノ酸を用いてもよく、さらに、コポリマーの位置を占有する時にTCRと相互作用してT細胞の応答を変更してもよい。
【0076】
II. 定義
「アロタイプ」という用語は、免疫グロブリンの重鎖定常部領域上にあり、対立遺伝子変異から生じた血清タンパク質の、異なる抗原性形態を意味する。
【0077】
「アネルギー」という用語は、細胞レベルまたは生物体レベルいずれにおいても、対象の免疫系が抗原に対して応答しないことを意味する。
【0078】
「関連のある」という用語は、「共存する」または「相関がある」を意味する。この用語は必ずしも因果関係を示すものではないが、そのような関係があってもよい。
【0079】
「自己免疫状態」または「自己免疫疾患」という語句は、自己抗原として知られる自己コードされた実体に向けられた不適当な免疫応答によって起こる疾患状態を意味する。自己免疫疾患は、橋本甲状腺炎、特発性粘液水腫や重症甲状腺機能低下、多発性硬化症や脳または脊髄中の斑または硬化した組織を特徴とする脱髄疾患、神経筋接合部のアセチルコリン受容体での自己免疫攻撃によって起こる進行性筋低下を有する疾患である重症筋無力症、ギラン−バレー症候群や多発性神経炎、全身性紅斑性狼瘡、ブドウ膜炎、自己免疫性卵巣炎、慢性免疫性血小板減少性紫斑病、大腸炎、糖尿病、グルテン不耐症であるセリアック病、甲状腺機能低下の一型であるグレーヴズ病、乾癬、尋常性天疱瘡、および慢性関節リウマチ(RA)を含む、疾患の類である。
【0080】
「結合」という用語は、例えば、共有結合、静電気、疎水性、イオン、および/または生理的条件下での水素結合相互作用による、並びに塩橋および水橋等の相互作用を含む、2分子間の直接の関連をいう。
【0081】
「シス」という用語は、同じハプロタイプの遺伝子座でコードされた2つの対立遺伝子をいい、「トランス」は2つの異なるハプロタイプの遺伝子でコードされた2つの対立遺伝子をいう。HLAタンパク質を形成する2つのポリペプチドがシス対立遺伝子由来の時、本明細書中でその産物のことを「シス二量体」という。HLAタンパク質を形成する2つのポリペプチドがトランス対立遺伝子由来の時、本明細書中でその産物のことを「トランス二量体」という。
【0082】
「コポリマー」という用語は、異種の複数のアミノ酸残基から成るランダムアミノ酸配列を有するアミノ酸のポリマーを意味する。アミノ酸残基は自然発生したもの、または合成類似体でよい。コポリマーは化学的に修飾されたポリペプチドおよびペプチド模倣物(peptidomimetics)を含む誘導体も含み、並びに自然発生したペプチド結合以外の化学結合を含んでもよい。
【0083】
本明細書中で用いられる「糖尿病」という用語は、対立遺伝子DQA1*0501-DQB1*0201(HLA-DQ2の対立遺伝子)またはDQA1*03-DQB1*0302(DQ8の対立遺伝子)と遺伝的に関連するインスリン依存型糖尿病(IDDM、I型糖尿病)、II型糖尿病、初期段階の糖尿病、およびインスリンがゆるやかに減少または血糖値がゆるやかに上昇する特徴を持つ糖尿病症の症状等のヒト型を含む、実験動物モデルを含む任意の哺乳類の糖尿病の任意の顕在する症状を意味する。現在の糖尿病の流行は、第一にII型すなわち成人発症糖尿病で、インスリン抵抗性を特徴とするが、疾患はベータ細胞への損傷およびインスリン不足として現れるかもしれない。「糖尿病前症状態」は正式に糖尿病と診断されていない哺乳類の状態をいうが、例えば、インスリンまたはグルコースのレベルにおいて症状を示したり、家族の病歴、遺伝的素因、またはII型糖尿病の場合は肥満による糖尿病や関連の状態の罹患性を有していたり、または哺乳類が以前に糖尿病または関連の状態に罹ったことがある場合、糖尿病再発の危険性を受けやすい時など、糖尿病または関連の状態に罹っている疑いがあることを意味する。
【0084】
「ハプロタイプ」という用語は、ゲノムの特定領域における少ない染色体内組換えのために、同じ染色体のいくつかの遺伝子座において、対立遺伝子のランダムでない分布から生じたゲノムDNAの隣接した領域として定義される。MHC遺伝子は染色体上でお互いに隣接しているので、遺伝子組換えはMHC内では滅多に起こらず、ほとんどの個体はそれぞれの親から親の対立遺伝子のセットをそのまま受け継ぐであろう。かかる連関した遺伝子のセットをハプロタイプといい、1つのハプロイドゲノムから発見されたMHC遺伝子である。
【0085】
「異種細胞」という用語は、対象の細胞に関連のないMHCタンパク質を産生する細胞を意味し、例えば異種細胞とは哺乳類の細胞ではない。例えば異種細胞は、例えば無脊椎動物等の冷血動物に由来したり、異種細胞は昆虫細胞または酵母細胞等の微生物細胞であったりする。
【0086】
「HLA分子」という用語は、任意のクラスII主要組織適合複合体糖タンパク質を意味する。用語「HLA-DQ分子」または「HLA-DR分子」は、それぞれHLA-DQサブタイプまたはHLA-DRサブタイプのいずれか一つをいう。
【0087】
「IC50」という用語は、IC50について試験される薬剤がない時の効果と比較して、効果の50%の減少を生じる薬剤の濃度を意味する。
【0088】
「モルインプット比」という用語は、ランダムコポリマーを調製するのに用いたアミノ酸のモル比を意味する。投入モル比はランダムコポリマーを合成するのにそれぞれどれくらいのアミノ酸が用いられるかを、確定する。
【0089】
「モルアウトプット比」という用語は、ランダムコポリマー組成物を構成するアミノ酸のモル比を意味する。産生モル比はランダムコポリマー組成物試料のアミノ酸組成分析によって確定できる。一般に、より小さなアミノ酸がより効果的にポリペプチドに組み込まれ、他のアミノ酸成分に比較して、投入モル比で示されるよりも高い産生比のアミノ酸を生じる。
【0090】
「MHC活性」という用語は、例えばT細胞を活性化することにより、MHC分子が免疫応答を刺激する能力をいう。MHC活性のインヒビターはこの活性を抑制することができ、それによってMHCによるT細胞の活性化を阻害する。好ましい態様では、対象のインヒビターは特定のクラスII MHCアイソタイプまたはアロタイプによる活性化を選択的に阻害する。かかるインヒビターは、生物体の全てのMHC活性を妨げること無く、特定の望ましくないMHC活性を抑制することができ、それによって哺乳類、好ましくはヒト等の動物において、動物の免疫応答を全般的に損なうことなく、動物における好ましくない免疫応答を選択的に治療することができるかもしれない。
【0091】
「抗原結合溝」または「ペプチド結合溝」という用語は、クラスII MHCタンパク質分子のαおよびβサブユニットの両方の表面で形成されるクラスII MHCタンパク質分子の表面上にある三次元抗原相互作用部位(Sternら (1994) Nature 368: 215)をいう。「クラスII MHC HLAタンパク質の表面」という用語は、タンパク質の外部環境と接触する三次元配置にタンパク質分子部分を含み、水性溶媒と相互作用し、核酸、他のタンパク質、およびペプチド等の他の細胞成分と結合できるタンパク質の特徴を含む。
【0092】
「P1ポケット」および「P4ポケット」という用語は、結合した自然発生の抗原またはエピトープ、および結合した合成のペプチドまたはコポリマーを含む、クラスII MHCタンパク質に結合するペプチドからのアミノ酸残基側鎖を収容する、クラスII MHCタンパク質分子のペプチド結合表面にある三次元の多型領域を含む(Fridkis-Hareliら (1998) J. Immunol. 160: 4386-4397; Fridkis-Hareliら (2000) Human Immunol. 61: 640 ; Fridkis-Hareliら (2001) Human Immunol. 62: 753-763)。
【0093】
「P-1位置」および「P5位置」という用語は、T細胞レセプターに直接接触するクラスII MHCタンパク質分子ペプチド複合体上のアミノ酸残基(Fridkis-Hareliら (2000) Human Immunol. 61: 640; Fridkis-Hareliら (2001) Human Immunol. 62: 753-763)をいう。P-1位置は、P1ポケットを占有するペプチドのアミノ酸残基の前に位置するアミノ酸をいう。P5位置は、ペプチドまたはポリペプチドのアミノ酸配列においてP4ポケットを占有するアミノ酸残基の後に続くアミノ酸残基をいう。P2、P3、およびP5残基はTCR接触残基である。同様にP9位置は、ペプチドまたはポリペプチドのアミノ酸配列において、P5位置を4つ越えた位置に位置するアミノ酸残基をいう。
【0094】
「患者」という用語は、動物、好ましくは、ヒトならびに家畜および他の獣医学の被検体を含む哺乳類をいう。
【0095】
「ペプチド」、「ポリペプチド」、および「タンパク質」という用語は、本明細書中で同義に用いられる。これらの用語は修飾されていないアミノ酸鎖をいい、リン酸化、糖化、および脂質修飾等の、小さな修飾も含む。「ペプチド」および「ペプチド模倣物」という用語は、相互に排他的ではなく、実質的な重複を含む。
【0096】
「ペプチド模倣物」という用語は、自然でない主鎖および/または側鎖の構造を含む、リン酸化、キャップ形成、脂肪酸修飾等の、アミノ酸鎖の任意の修飾形態を含む。後述のように、ペプチド模倣物は、アミノ酸鎖とペプチドではない小さな分子の間に構造連続体を含む。一般にペプチド模倣物は、認識できるペプチド様のポリマー単位構造を保持する。こうしてペプチド模倣物は、自己免疫疾患を患う患者内の自己反応T細胞を活性化する複合体を形成するHLAタンパク質に結合する機能を保持し得る。
【0097】
「アミノ酸残基」という用語は、当該技術分野で公知である。一般に、本明細書中で用いられるアミノ酸および保護基を示す略語はIUPAC-IUB生化学命名法委員会(Commission on Biochemical Nomenclature)(Biochemistry (1972) 11: 1726-1732参照)の推薦に基づく。特定の態様では、この発明の適用に用いられるアミノ酸は、タンパク質中で発見された自然発生のアミノ酸、またはアミノ基とカルボキシル基を含むかかるアミノ酸の自然発生の同化もしくは異化産物である。特に好適なアミノ酸側鎖としては、以下のアミノ酸側鎖から選択された側鎖が挙げられる:グリシン(G)、アラニン(A)、バリン(V)、システイン(C)、ロイシン(L)、イソロイシン、セリン(S)、トレオニン(T)、メチオニン(M)、グルタミン酸(E)、アスパラギン酸(D)、グルタミン(Q)、アスパラギン(N)、リシン(K)、アルギニン(R)、プロリン(P)、ヒスチジン(H)、フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、およびトリプトファン(W)。本発明のコポリマーに用いられるアミノ酸の大部分が、特定の幾何学的または立体異性の形態で存在してもよい。好適な態様では、対象のコポリマーを形成するのに用いられるアミノ酸は(L)-異性体であるが、アンカー位置ではない場所等に、またはコポリマーのペプチド模倣物型の場合に、(D)-異性体がコポリマーに含まれてもよい。ここで用いられる「アミノ酸」は、本明細書中で定義されているようなアミノ酸誘導体および/またはアミノ酸類似体である成分を1つ以上含み得る。例えば、「チロシン」残基を持つコポリマー組成物(compositing)中で、これらの残基の1つ以上の部分がホモチロシンと置換され得る。
【0098】
「アミノ酸残基」という用語は、類似体、誘導体、およびC末端またはN末端が保護されたアミノ酸誘導体と同様、本明細書中でいう任意の特定アミノ酸の同種物をさらに含む。アミノ酸の「誘導体」という用語は、例えば、アミノ酸の原子に結合したN-無水カルボキシ基、g-ベンジル基、e,N-トリフルオロアセチル基、ハロゲン化物基等のさらなる置換基を有するそのアミノ酸と化学的に関連する形態を意味する。またはアミノ酸がN末端もしくはC末端保護基において修飾されてもよい。
【0099】
「アミノ酸類似体」という用語は、例えば、異性体、またはそのアミノ酸と近似した大きさ、電荷、および形の有機分子等の異なる配置を有するそのアミノ酸と化学的に関連する形態を意味する。例えば本発明は、側鎖が延長または縮小されているが、環化のためのカルボキシル基、アミノ基、または他の反応前駆体官能基をなお提供するアミノ酸類似体、ならびに適当な官能基をもつ様々な側鎖を有するアミノ酸類似体の使用を熟慮している。例えば対象化合物は、例えばシアノアラニン、カナバニン、ジエンコル酸、ノルロイシン、3-リン酸化セリン、ホモセリン、ジヒドロキシフェニルアラニン、5-ジヒドロキシトリプトファン、1-メチルヒスチジン、3-メチルヒスチジン、ジアミノピメリン酸、オルニチン、またはジアミノ酪酸等のアミノ酸類似体を含み得る。ここで好適な側鎖を有する他の自然発生のアミノ酸代謝産物またはアミノ酸前駆体は当業者には理解され、本発明の範囲に含まれる。一般に、本明細書中での「アミノ酸」は、2つの近接した残基間の1つ以上の非ペプチド結合または擬似ペプチド結合を持つポリペプチド形態のアミノ酸を含む、様々な天然アミノ酸を含む。
【0100】
「疎水性」アミノ酸という用語は、アラニン(A)、グリシン(G)、イソロイシン(I)、ロイシン(L)、プロリン(P)、およびバリン(V)の脂肪族アミノ酸を、ならびにトリプトファン(W)、フェニルアラニン(F)、およびチロシン(Y)の芳香族アミノ酸を意味し、カッコ内の語はそれぞれのアミノ酸の一般的な略号の一文字である。これらのアミノ酸は、タンパク質またはペプチド中の残基として見出される時、脂肪族側鎖の長さおよび芳香族側鎖の大きさの関数として疎水性を与える。
【0101】
「親水性ヒドロキシ」アミノ酸という用語は、セリン(S)またはトレオニン(T)を意味する。
【0102】
「荷電」アミノ酸という用語は、これらの残基を含むペプチドまたはタンパク質の水溶液中で生理的pH値において陽電荷(H、K、およびR)または陰電荷(D、E)を与える、アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、ヒスチジン(H)、アルギニン(R)、およびリシン(K)のアミノ酸を意味する。ヒスチジン(H)はpH7において疎水性で、pH6において荷電する。
【0103】
本明細書中で用いられる「妨げる」は、例えば、障害または病気の一つ以上の症状の始まりを遅らせる、または阻むことを意味する。
【0104】
「プロドラッグ」という用語は、生理的条件下で本発明のインヒビターに変換する化合物を包含することを意図する。プロドラッグを作る常法では、所望の生物活性のある薬物を供給するために、生理的条件下で加水分解された一部を選択する。他の態様では、プロドラッグは患者またはその代わりに標的病原体の、酵素活性によって変換される。
【0105】
本明細書中で用いられる「治療する」は、少なくとも重症度を軽減するか、または例えば、障害または病気の一つ以上の症状への効能を改善することを意味する。
【0106】
「ED50」という用語は、その薬物の最大の反応または効能の50%を示す薬物用量を意味する。あるいは、検査対象または製剤の50%に所定の反応を示す用量であってもよい。
【0107】
「LD50」という用語は、検査対象の50%が死に至る薬物用量を意味する。
【0108】
「治療指数」という用語は、LD50/ED50で定義される薬物の治療指数をいう。
【0109】
「構造活性関係」または「SAR」という用語は、レセプター、酵素等との相互関係を変える薬物の分子構造を変える方法をいう。
【0110】
「脂肪族」という用語は、直鎖状、分枝状、環状のアルカン、アルケン、またはアルキンをいう。特定の態様では、本発明の脂肪族基は直鎖状または分枝状で1から約20の炭素原子を有する。
【0111】
「アルキル」という用語は、直鎖のアルキル基、分枝鎖のアルキル基、シクロアルキル(脂環式の)基、アルキル置換したシクロアルキル基、およびシクロアルキル置換したアルキル基を含む、飽和脂肪族基の遊離基をいう。特定の態様では、直鎖または分枝鎖のアルキルは約30またはより少ない炭素原子をその主鎖に有し(例えば、直鎖にはC1からC30、分枝鎖にはC3からC30)、あるいは、約20またはより少ない炭素原子を有する。同じく、シクロアルキルは環状構造中に約3から約10の炭素原子を有し、あるいは約5、6、または7の炭素を環状構造中に有する。
【0112】
さらに「アルキル」(または「低級アルキル」)という用語は、「非置換アルキル」および「置換アルキル」の両者を含み、後者は炭化水素主鎖の1つ以上の炭素の水素を置き換えた置換基を有するアルキル部分をいう。かかる置換基は、例えば、ハロゲン基、水酸基、カルボニル基(カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、ホルミル基、またはアクリル基等)、チオカルボニル基(チオエステル基、チオアセテート基、またはチオ蟻酸基等)、アルコキシル基、ホスホリル基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、アミノ基、アミド基、アミジン基、イミン基、シアノ基、ニトロ基、アジド基、メルカプト基、アルキルチオ基、硫酸基、スルホン酸基、スルファモイル基、スルホンアミド基、スルホニル基、ヘテロシクリル基、アラルキル基または芳香族もしくは複素環式芳香族部分を含んでもよい。適当であれば、炭化水素鎖上の置換部分そのものが置換されてもいい事は、当業者に理解されるであろう。例えば、エーテル類、アルキルチオ類、カルボニル類(ケトン類、アルデヒド類、カルボン酸塩類、およびエステル類を含む)、-CF3、-CN等と同様、置換アルキルの置換基は、アミノ基、アジド基、イミノ基、アミド基、ホスホリル基(ホスホン酸基およびホスフィン酸基を含む)、スルホニル基(硫酸基、スルホンアミド基、スルファモイル基およびスルホン酸基を含む)、およびシリル基等で、置換された形態および置換されていない形態を含んでもよい。
【0113】
「へテロ原子」という用語は、炭素または水素以外のどんな元素の原子をもいう。実例となるヘテロ原子は、ホウ素、窒素、酸素、リン、硫黄およびセレン、あるいは酸素、窒素または硫黄が挙げられる。
【0114】
「アリール」という用語は、例えば、ベンゼン、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、トリアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、およびピリミジン等の0から4のヘテロ原子を含んでもよい5-、6-および7-員の単環式芳香族基を含む。環状構造にヘテロ原子を含むこれらのアリール基はまた「アリール複素環式化合物」または「複素環式芳香族化合物」といわれてもよい。上述されているような置換基、例えば、ハロゲン基、アジド基、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、水酸基、アルコキシル基、アミノ基、ニトロ基、メルカプト基、イミノ基、アミド基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、カルボニル基、カルボキシル基、シリル基、エーテル基、アルキルチオ基、スルホニル基、スルホンアミド基、ケトン基、アルデヒド基、エステル基、ヘテロシクリル基、芳香族または複素環式芳香族部分、-CF3、-CN等で、芳香環の1つ以上の環位置が置換されてもよい。「アリール」という用語は、2つ以上の炭素が2つの隣接する環(環は「縮合環」である)に共有された2つ以上の環を有し、そのうちの少なくとも1つの環が芳香族であり、例えば他の環はシクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、および/またはヘテロシクリルであってもよい、多環式の環系も含む。
【0115】
III. 模範的な態様
コポリマー
本発明は、HLA-DR媒介様式に加えて、またはその代わりにHLA-DQ媒介様式で、T細胞に結合してT細胞を活性化する化合物を提供する。本発明は、クラスII MHC分子に結合し、自己抗原ペプチドがHLA-DQ媒介様式でT細胞を活性化するのを妨げる化合物をも提供する。
【0116】
本発明の1つの側面は、様々なアミノ酸残基のランダム合成(重合)によって形成されたコポリマー組成物である。かかる組成物は、少なくとも3つの異なるアミノ酸残基のランダム配列をもつコポリマーであるターポリマーを含み、ここで少なくとも1つのアミノ酸は:
【0117】
(1)酸性または中性の残基(アスパラギン酸(D)、アスパラギン(N)、グルタミン酸(E)、グルタミン(Q))、および
【0118】
(2)疎水性脂肪族残基および小親水性水酸基残基(ロイシン(L)、イソロイシン(I)、バリン(V)、セリン(S)、トレオニン(T))、
【0119】
(3)小脂肪族残基(アラニン(A)、グリシン(G))
の各群より選ばれる。
【0120】
よって、コポリマーは、例えば表1の3つのアミノ酸残基からなる群より選ばれた3つのアミノ酸残基を含むターポリマーである。
【表1】




【0121】
一般に、ターポリマー組成物において、コポリマーは、アミノ酸成分のモルインプット比が、第1群、第2群、および第3群それぞれのアミノ酸の相対量として約2:5:3であるように合成される。または、アミノ酸成分のモルインプット比が、第1群、第2群、および第3群それぞれのアミノ酸の相対量として約2:25:15である。あるいは、アミノ酸成分のモルインプット比が、第1群、第2群、および第3群それぞれの相対量として約2:1:0.6である。
【0122】
特定の態様において、対象のDQ指向性コポリマーはテトラポリマーまたはペンタポリマーであり、それぞれのコポリマーは、少なくとも4つの異なるアミノ酸残基を含むランダムなまたは部分的にランダムなアミノ酸配列の混合物であり、ここで少なくとも1つのアミノ酸は:
(1)疎水性脂肪族残基(ロイシン(L)、イソロイシン(I)、バリン(V)、メチオニン(M))、
(2)酸性残基(アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E))、
(3)小親水性残基(セリン(S)、システイン(C)、トレオニン(T))、および
(4)小脂肪族残基(アラニン(A)、グリシン(G))
の各群より選ばれる。
【0123】
また、コポリマーはプロリン(P)残基を含んでもよい。酸性アミノ酸側鎖は、罹病性に関連のあるb57多形性に基づいて、対立遺伝子DQA1*03-DQB1*0302にコードされたHLAおよび対立遺伝子DQA1*0501-DQB1*0201にコードされたHLAのP9ポケットの重要なアンカー残基の役目をする。脂肪族側鎖は2番目に関連のあるポケットP4の優れたアンカーの役目をする。残りのポケットは小さい、中性の、または疎水性の残基を収容するのに最も好都合である。従って、ある態様では、HLA-DQ分子に結合するコポリマーは、上述の4群より選ばれたアミノ酸残基を複数含む。
【0124】
ある態様において、コポリマーは、グルタミン酸(E)、および/またはアスパラギン酸(D)、ロイシン(L)、セリン(S)、ならびにアラニン(A)のアミノ酸を用いて誘導され、本明細書中では「ELSA」コポリマーという。
【0125】
他の特定の態様では、対象のDQ指向性コポリマーは、少なくとも4つの異なるアミノ酸残基を含むランダムなまたは部分的にランダムなアミノ酸配列の混合物であり、ここで少なくとも1つのアミノ酸は:
(1)疎水性脂肪族残基(ロイシン(L)、イソロイシン(I)、バリン(V)、メチオニン(M)等)およびかさ高い疎水性残基(チロシン(Y)、フェニルアラニン(F)、ロイシン(L)、メチオニン(M)等)、
(2)酸性残基(アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)等)、
(3)小さな親水性残基(セリン(S)、システイン(C)、トレオニン(T)等)、および
(4)小さな脂肪族残基(アラニン(A)、グリシン(G)等)
の各群より選ばれる。
【0126】
さらに、コポリマーはプロリン(P)残基を含有し得る。典型的なコポリマーはアミノ酸残基のグルタミン酸(E)、および/またはアスパラギン酸(D)、ロイシン(L)、チロシン(Y)、およびバリン(V)を用いて誘導され、本明細書中で「DLYV」コポリマーと称される。
【0127】
別の態様では、コポリマーは、表2の4つのアミノ酸残基の群から選択される組み合わせなどの、4つのアミノ酸残基の組み合わせを含む四量体(tetrapolymer)である。
【0128】
【表2】


【0129】
本発明の好ましい態様は、アミノ酸残基の次の組:
アスパラギン酸、アラニン、ロイシン、およびグルタミン酸 (DALE);
アスパラギン酸、アラニン、イソロイシン、およびグルタミン酸 (DAIE);
アスパラギン酸、アラニン、バリン、およびグルタミン酸 (DAVE);
アスパラギン酸、アラニン、トレオニン、およびグルタミン酸 (DATE);
アスパラギン酸、グリシン、ロイシン、およびグルタミン酸 (DGLE);
アスパラギン酸、グリシン、イソロイシン、およびグルタミン酸 (DGIE);
アスパラギン酸、グリシン、バリン、およびグルタミン酸 (DGVE);または
アスパラギン酸、グリシン、トレオニン、およびグルタミン酸 (DGTE)
の一つの任意の配列を含むコポリマー組成物である。
【0130】
一般に、かかる組成物は、それぞれ約1:10:3:1または約1:15:3:1の、上に載っているアミノ酸成分のモルアウトプット比を有するように合成される。あるいは、アミノ酸成分のモルアウトプット比は、それぞれ約1:25:15:5である。あるいは、アミノ酸成分のモルアウトプット比は、それぞれ約1:3:1.5:0.2である。モルアウトプット比は、異なるアミノ酸の間で約10%の可変範囲を有する。
【0131】
別の態様において、任意のコポリマーはさらに、さらなるアミノ酸残基を含み得、ここでコポリマーはクラスII MHCタンパク質との複合体においてT細胞刺激活性を有し、さらなるアミノ酸残基は、糖尿病に対する自己抗原ペプチドに見出される。例えば、上の任意の組み合わせに対するさらなるアミノ酸はリシン残基(K)である。K残基は十分なモルアウトプット比で存在し、クラスII MHCタンパク質との複合体を形成したコポリマーによってT細胞刺激を増大させる。さらに、K残基は十分なモルアウトプット比で存在し、コポリマーの水溶解度を増大させる。
【0132】
ランダムコポリマー中に組み込まれるある比のアミノ酸が用いられ得る。本発明の好ましいランダムコポリマーは、アミノ酸残基K、E、A、S、V、およびPを含む。より好ましくは、K:E:A:S:Vのモルインプット比は、0.3:0.7:9:0.5:0.5:0.3である。
【0133】
さらに、ある態様において、コポリマーは、生じるポリマーにおいて規則的な間隔で存在する「アンカー」残基、すなわち固定された残基を有するセミランダム(すなわち半規則性)ポリマーであり、最適なクラスII結合のために提供され得る。好ましくは、コポリマーは、一般配列:


ここで、nは2〜8であり、Xは任意のアミノ酸残基であり、Xa1およびXa2はグルタミン酸およびアスパラギン酸から選択される酸性アミノ酸残基である、
を有する。あるいは、Xa1およびXa2の1つはバリンであり得る。
【0134】
好ましくは、コポリマーは合成され、一般配列:


の1つを有し得、ここで、XはA、S、V、K、またはPである。
【0135】
好ましい態様において、A:S:V:K:Pのモルインプット比は、5:1:1:1:0.5であり、nは2〜8である。好ましい態様において、n=4である。
【0136】
ペプチドは9〜25個のアミノ酸残基の長さを有し得る。好ましくは、ペプチドは13アミノ酸残基長である。9〜25個のアミノ酸の定められた配列の長さのペプチドは、2〜20個の固定された残基を含有し得る。本発明において記載されるペプチドの個々の固定された残基は、位置P1、P4、P7、またはP9のいずれかで、クラスII MHC分子のペプチド結合溝(grove)に結合し得る。好ましくは、かかるペプチドは2個または3個の固定された残基を含有する。一態様において、13個のアミノ酸の定められた配列の長さのペプチドは、EもしくはDのいずれか、またはその任意の組み合わせである2つの固定された残基を含有し得る。好ましくは、13個のアミノ酸の定められた配列の長さのペプチドは、3つの固定された残基を含有し得る。ペプチドは、繰り返し単位の数が好ましくは2〜8の範囲にわたる、定められた配列の多量体であり得る。より好ましくは、繰り返し単位の数は3〜6である。最も好ましくは、繰り返し単位の数は4である。好ましい態様において、本発明の多量体は、EもしくはDのいずれか、またはその任意の組み合わせである2つの固定された残基を含む13個のアミノ酸の定められた配列の長さのペプチドを含む。
【0137】
好ましい態様では、本発明のコポリマー組成物は、1μM以下の平均Kdで、より好ましくは100nM未満の、10nM未満の、または1nMでさえ超えない平均Kdで、1つ以上のDQアイソタイプに結合する。好ましいコポリマーを同定する別の方法は、Sidneyら (2002) J. Immunol. 169: 5098に記載されたような競合結合アッセイに基づき、これはIC50値、すなわち50%の結合が阻害される競合物の値として表わされる。本発明の好ましいコポリマーは、1μM未満の、より好ましくは500nM未満の、さらにより好ましくは100nM未満のIC50値を有する。
【0138】
本明細書中で提供されるコポリマーは、少なくとも約30残基長であるか、少なくとも約40残基長であるか、またはコポリマーは少なくとも約50残基長である。さらにまた、コポリマーは、約90残基長を超えないか、約80残基長を超えないか、または約70残基長を超えない。好ましくはランダムコポリマーは約10〜100アミノ酸残基長であり、より好ましくは20〜80アミノ酸残基長であり、さらにより好ましくは40〜60アミノ酸残基長であり、最も好ましくは約50アミノ酸残基長である。合成される場合、ランダムコポリマーの典型的な製剤は、その大部分は所望の長さであるが、現在利用し得る合成方法により必然的につくり出されるより短い、またはより長いペプチドを含有している、種々の長さのペプチドの混合物である。好ましくは、ペプチドは固相化学作用(solid phase chemistry)により合成される。
【0139】
ある好ましい態様において、主題のコポリマーは、25,000未満の、より好ましくは10000未満の、5000未満の、または1000さえも越えない多分散性を有するように、医薬としての使用のために調剤される。
【0140】
HLA-DQ媒介自己免疫応答を減少させる本発明の化合物は、種々のクラスIIMHC関連疾患、すなわちインスリン依存型糖尿病(IDDM)、セリアック病、疱疹状皮膚炎、および自己免疫性甲状腺疾患(AITD)などの疾患の予防または治療における治療上の価値を有する。本発明の化合物は、例えば望ましくない、もしくは不適切な免疫活性を伴う免疫疾患の治療のために、患者に投与され得るか、または治療用医薬の調製のために用いられ得る。特に、本発明の化合物の効果的な用量は、治療的に適用され、インスリン依存型糖尿病、セリアック病、および他の疾患を改善するか、または予防し得る。自己免疫疾患などの望ましくない、または不適当なMHC活性を伴う疾患の治療のための本発明の化合物の有効な用量は、通常の安全性の研究、毒性の研究、服用濃度の研究、および送達方法、例えばボーラス、継続的、または連用を考慮に入れ、当該分野で公知の標準的な手段により決定され得る。
【0141】
化合物の調製法
本発明の化合物は、容易に利用し得る技術および容易に入手し得る物質を用いて合成され得る、上に記載したアミノ酸残基のランダムコポリマーもしくはセミランダムコポリマー、またはその類似体(ペプチド模倣物を形成するような)である。説明すると、本発明のコポリマーはさらなる重合(固相合成)のための自動ペプチド合成装置において樹脂に固定される、Fmocまたはt-boc開始アミノ酸類似体などを用いて合成され得る。アミノ酸はコポリマーに最適な結合特性を与えるために調節され得るモル比で重合される。
【0142】
ペプチド合成のためのかかる樹脂支持体の例としては、メリフィールド(Merrifield)樹脂、1%のDVB架橋を有するクロロメチル化ポリスチレン;前もってアミノ酸が負荷されている(例えばFmoc-D-trp(boc)-Wang樹脂)Fmocアミノ酸Wang樹脂、4-ベンジルオキシベンジルアルコールが挙げられる。樹脂は種々のメッシュサイズで、例えば100〜200メッシュで、およびわずかな(fractionalization of)開始アミノ酸の高負荷密度、または低負荷密度で入手し得る。
【0143】
合成手順は、適切に誘導体化されたアミノ酸前駆体(L-リシン、例えば前駆体ε,N-トリフルオロアセチル-L-リシンのεアミノ基などのある官能基を保護するために誘導体化された)の各々の適切なモル比の、活性化された形態の、例えばN-カルボキシ無水物のような活性化された、選ばれたアミノ酸の混合物である溶液を与えることを含み得る。あるいは、合成手順は、好ましいモル比の選択されたアミノ酸の誘導体化された前駆体の合成手順の間のオンライン混合(online mixing)を含み得る。アミノ酸のモルアウトプット比は、モルインプット比と異なる、すなわち合成混合物に用いられるアミノ酸のモル比は、合成されたランダムコポリマーにおけるアミノ酸のモル比と異なる。モルアウトプット比は、コポリマー組成物の加水分解の後に、通常のアミノ酸組成分析により決定される。モルアウトプット比は、異なるアミノ酸の間で約10%の可変範囲を有する。
【0144】
好ましくは従来のようにペプチド合成において保護された、重合させて本発明の組成物にするための種々の誘導体化アミノ酸の溶液は、ビーズ、例えばFmocの試料に加えられる。脱阻害のための、および樹脂からの除去のための完成したコポリマー分子の切断のための合成試薬は、装置の製造業者(Applied Biosystems Peptide Synthesizer, Foster City, CA, またはAdvanced ChemTech, Louisville, KY)から入手し得る。例えば、その内容が本明細書中に参照によって援用される、Bodansky, Principles of Peptide Synthesis, 第2版, Springer-Verlag, 1991を参照。さらなるアミノ酸、またはアミノ酸の類似体もしくは誘導体が、選択された少なくとも3つのアミノ酸に加えられ、コポリマーを構成し、それらのアミノ酸の少数割合を置換し、例えば、増大したプロテアーゼ耐性を有する、従ってより長いインビボの寿命などの高められた薬理学的性質を有するコポリマーを与え得る。類似体の例は、ホモチロシンまたは他の置換チロシン誘導体、およびアミノ酪酸であり、各々はAdvanced ChemTechからFmoc誘導体として入手し得る。
【0145】
コポリマー合成サービスもまた、例えばChiron Technologies, Clayton, Australia, the Harvard Medical School Biopolymer Laboratory, Boston, MAで、およびAdvanced ChemTech, Inc., Louisville, KYで商業的に得られる。
【0146】
ある態様において、本発明の化合物は、種々の化学的部分を置換することまたは付加することによりさらに修飾される線状コポリマーなどを含む。一つの態様において、かかる修飾は、ある残基の位置に、および被験体においてコポリマーのタンパク質分解を抑制するのに十分な量で存在する。例えば、アミノ酸修飾物は少なくとも一つのプロリン残基が配列中に存在する所であり得、該残基は少なくとも一つのカルボキシ末端およびアミノ末端に存在し、さらにプロリンは少なくとも一つのカルボキシ末端およびアミノ末端の4つの残基の中に存在し得る。さらにアミノ酸修飾はD-アミノ酸の存在する所であり得る。
【0147】
ある態様において、主題のコポリマーは、ペプチド模倣物である。ペプチド模倣物は、ペプチドおよびタンパク質に基づく、または由来する化合物である。本発明のコポリマーのペプチド模倣物は、典型的には1つ以上の天然のアミノ酸残基の構造の修飾により、例えば非天然アミノ酸、立体配座の抑制、等電子置換などを用いて得られ得る。主題のペプチド模倣物は、ペプチドの総合構造と非ペプチドの総合構造との間の連続の構造空間を構成する。
【0148】
かかるペプチド模倣物は、加水分解され得ないこと(例えば、プロテアーゼ、または対応するペプチドコポリマーを分解する他の生理学的状況に対する安定性の増大)、特異性の増大、および/または効能の増大などの性質を有し得る。例示的な目的のために、本発明のペプチド類似体は、例えばベンゾジアゼピン(例えば「Peptides: Chemistry and Biology,」 G.R. Marshall編, ESCOM Publisher: Leiden, Netherlands, 1988におけるFreidingerらを参照)、置換γ-ラクタム環(「Peptides: Chemistry and Biology,」 G.R. Marshall編, ESCOM Publisher: Leiden, Netherlands, 1988, 123ページにおけるGarveyら)、C-7模倣体(「Peptides: Chemistry and Biology,」 G.R. Marshall編, ESCOM Publisher: Leiden, Netherlands, 1988, 105ページにおけるHuffmanら)、ケトメチレン擬ペプチド(Ewensonら (1986) J. Med. Chem. 29: 295; および「Peptides: Structure and Function (第9回米国ペプチドシンポジウム議事録(Proceedings of the 9th American Peptide Symposium)),」 Pierce Chemical Co. Rockland, IL, 1985におけるEwensonら)、βターンジペプチドの中核(Nagaiら (1985) Tetrahedron Lett. 26: 647; およびSatoら (1986) J. Chem. Soc. Perkin Trans. 1: 1231)、β-アミノアルコール(Gordonら(1985) Biochem. Biophys. Res. Commun. 126: 419; およびDannら (1986) Biochem. Biophys. Res. Commun. 134: 71)、ジアミノケトン(Natarajanら (1984) Biochem. Biophys. Res. Commun. 124: 141)、およびメチレンアミノ修飾(「Peptides: Chemistry and Biology,」 G.R. Marshall編, ESCOM Publisher: Leiden, Netherlands, 1988, l34ページにおけるRoarkら)を用いて生成させ得る。なお、一般的には、「Peptides: Chemistry and Biology,」 G.R. Marshall編, ESCOM Publisher: Leiden, Netherlands, 1988における講座(Session)III: 分析法および合成法)を参照。
【0149】
主題のコポリマーのペプチド模倣物を生成させるために行い得る種々の側鎖の置換に加え、本発明はペプチド二次構造の立体配座的に制限された模倣体の使用を特に意図する。ペプチドのアミド結合の多数の代替物が開発されてきた。頻繁に利用されるアミド結合の代替物としては、次の群、(i)トランスオレフィン、(ii)フルオロアルケン、(iii)メチレンアミノ、(iv)ホスホンアミド(phosphonamides)、および(v)スルホンアミドが挙げられる。

【0150】
代替物の例

【0151】
さらに、コポリマーの主鎖のより本質的な修飾に基づくペプチド模倣物が用いられ得る。この範疇に入るペプチド模倣物としては、(i)後方逆転(retro-inverso)類似体、および(ii)N-アルキルグリシン類似体(いわゆるペプトイド)が挙げられる。

【0152】
類似体の例

【0153】
さらに、ペプチド模倣物コポリマーの開発にコンビナトリアルケミストリー法が向けられている。例えば、いわゆる「ペプチド変形(peptide morphing)」法の一態様は、広範囲のペプチド結合置換基を含むペプチド類似体ライブラリーの無作為の生成に焦点を当てている。

【0154】
例示的態様において、ペプチド模倣物は、後方逆転類似体として誘導体化され得る。後方逆転類似体は、Sistoら 米国特許第4,522,752号に記載された方法などの当該技術分野で公知の方法に従ってつくられ得る。一般的な指針として、最もタンパク質分解を受けやすい部位が典型的には変化させられ、より受けにくいアミド結合は、模倣体の変換に対して任意である。最終生成物、またはその中間体は、HPLCにより精製され得る。
【0155】
別の例示的態様において、ペプチド模倣物は、後方エナンチオ(retro-enantio)コポリマーとして誘導体化され得る。このような後方エナンチオ類似体は、市販されているD-アミノ酸(またはその類似体)および標準的な固相または溶液相ペプチド合成手法によって合成され得る(can be synthesized peptide-synthesis techniques)。
【0156】
さらに別の例示的態様において、トランスオレフィン誘導体がつくられ得る。あるコポリマーのトランスオレフィン類似体は、Shueら (1987) Tetrahedron Lett. 28: 3225の方法に従って、およびまた当該技術分野で公知の他の方法に従って合成され得る。用いる試薬の性質により、引用した手順、または他の利用し得る手順における変形形態が必要であり得ることは理解されるであろう。
【0157】
上記の方法により合成された偽ジペプチド(pseudodipeptide)を他の偽ジペプチドに結合させ、アミド官能性の代わりにいくつかのオレフィン官能性を有するコポリマーをつくることがさらに可能である。例えば、あるジペプチド配列に対応する偽ジペプチドをつくり得、次いで標準的な方法により一緒に結合させ、残基の間に交互のオレフィン結合を有するコポリマーペプチドの類似体を生じ得る。
【0158】
さらに別の種類のペプチド模倣物誘導体としては、ホスホネート誘導体が挙げられる。かかるホスホネート誘導体の合成は公知の合成スキームから適応させ得る。例えば、「Peptides: Chemistry and Biology,」(Escom Science Publishers, Leiden, 1988, 118ページ)におけるLootsら; 「Peptides: Structure and Function(第9回米国ペプチドシンポジウム議事録),」Pierce Chemical Co. Rockland, IL, 1985) におけるPetrilloらを参照。
【0159】
他の態様において、修飾は炭水化物部分または脂質部分の導入であり得る。かかる修飾はまたコポリマーの種々の媒質(medium)への溶解度を変化させ、その結果コポリマーは有利に調製されて適切な医薬組成物になり得る。修飾脂質基としては、ファルネシル基またはミリストイル基が挙げられる。修飾する炭水化物の群としては、任意の天然由来の単糖(single sugars)、またはオリゴ糖、および合成糖、ならびに糖アルコール、例えばグルコース、ガラクトース、ラムノース、マンノース、アラビノース、および他の糖、ならびにこれらのそれぞれのアルコールが挙げられる。
【0160】
治療方法
本発明の一つの側面は、本発明の一つ以上のコポリマーを被験体に治療有効量で投与することにより、自己免疫疾患を有する被験体を治療する方法を提供する。本発明の他の側面は、望ましくない免疫応答、アレルギー、または本明細書中に記載される本発明のコポリマーを投与することにより治療し得る任意の疾患を有する被験体を治療する方法を提供する。本発明により提供される治療方法は、I型、すなわちインスリン依存型糖尿病、セリアック病、またはHLA-DQ分子により媒介される任意の他の自己免疫疾患の治療に特に好適である。
【0161】
一般に、本発明の態様は、治療効果、例えば症状を緩和することを生じる最低の有効用量であり得る、適切な日用量の治療用コポリマー組成物を投与することである。治療用コポリマーは好ましくは、適切な最低限の開始投薬量として、少なくとも約2 mg、少なくとも約5 mg、少なくとも約10 mg、または少なくとも約20 mgの被験体当たりの、1日当たりの用量で投与される。本明細書中に記載される方法の一つの態様において、約0.01〜約500 mg/kgの用量が投与され得る。一般に本発明の化合物の有効な投薬量は、1日当たり、被験体の1キログラム当たり約50〜約400マイクログラムの化合物である。しかし、本発明の組成物の用量は、被験体によって、および用いられる投与の特定の経路によって変化し得ることは当業者によって理解され得る。投薬量を調節して個々の被験体に適合させることは当該技術分野において常套的である。例えば、単一の巨丸剤が投与され得、いくつかの分割された用量が時間をかけて投与され得、または疾患の状態の緊急性により示されるように、用量は比例して減少または増加され得る。さらに、有効量はとりわけ化合物の大きさ、化合物の生分解性、化合物の生理活性、および化合物の生物学的利用能に基づき得る。化合物が急速に分解せず、生物学的に利用可能で、高度に活性である場合、有効であるためにより少量が必要とされる。被験体に適した実際の投薬量は当業者、例えば一般的な開始点が与えられた医師または獣医により通常の実務として容易に決定され得る。
【0162】
かかる投与の結果としての症状の改善は、糖尿病の発現の頻度の減少によって、症状の重篤度の減少によって、および投与の開始後ある期間の間の再発する発症が除去されることによって表される。治療的に有効な投薬量は、好ましくは、一つ以上の症状を、または治療されていない被験体に関する自己免疫疾患の再発を少なくとも約20%、例えば少なくとも約40%、少なくとも約60%、および少なくとも約80%、または約100%除去することにより、症状および再発の頻度を減少させる。
【0163】
化合物は、毎時、毎日、毎週、毎月、毎年(例えばある期間の放出形態で)、または一回の送達として、送達され得る。送達はある期間の持続的送達、例えば静脈内送達であり得る。本明細書中に記載される方法の一つの態様において、薬剤は1日当たり少なくとも一回投与される。一態様において、薬剤は毎日投与される。一態様において、薬剤は一日おきに投与される。一態様において、薬剤は6〜8日ごとに投与される。一態様において、薬剤は毎週投与される。治療期間は少なくとも約1ヵ月、少なくとも約6ヵ月、または少なくとも約1年であり得る。
【0164】
本明細書中に記載される方法の一つの態様において、投与の経路は経口、腹腔内、経皮、皮下、静脈内注射もしくは筋内注射によって、吸入、局所、病変内、注入によって;リポソーム媒介送達;局所、髄腔内、歯肉ポケット、直腸、気管支内、鼻腔内、経粘膜、腸管、眼送達もしくは耳送達、または当業者が容易に理解し得るような当該技術分野における任意の他の公知の方法であり得る。本発明の組成物の他の態様は、非経口、肺、鼻腔内、および経口を含む種々の経路の投与のための、粒状形態の保護被覆剤、プロテアーゼインヒビター、または浸透促進剤を組み込む。
【0165】
本発明の方法の態様は、本発明のコポリマーを持続的放出形態で投与することである。かかる方法は、持続的放出性経皮パッチを適用すること、または持続的放出性カプセルもしくは被覆された移植可能医療機器を埋め込むことを含み、その結果治療的に有効な用量の本発明のコポリマーがかかる方法の被験体に持続的に送達される。主題の発明の化合物および/または薬剤は、ある期間にわたって薬剤またはペプチドの持続的放出を可能にするカプセルによって、送達され得る。制御された、または持続的放出性の組成物は、親油性貯留物(例えば脂肪酸、蝋、油)での製剤を含む。さらに本発明により包含されるのは、ポリマー(例えばポロキサマーもしくはポロキサミン)で被覆された粒子状組成物、またはマイクロカプセルに入れられた送達系である。ある態様において、コポリマーの供給源は、自己免疫の発作の領域の中に定位(stereotactically)で提供されるか、またはそれの最も近く、例えばIDDMの治療については膵臓付近である。
【0166】
別の関連する態様では、方法は少なくとも一つのさらなる治療剤を投与することをさらに含む。かかる薬剤は、HLA-DQ分子またはHLA-DR分子であり得る、異なるHLA分子に結合するCopaxone(登録商標)などの別のコポリマー;望ましくない炎症性分子すなわち(or)、インターロイキン-6、インターロイキン-8、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、および腫瘍壊死因子αなどのサイトカインに結合する抗体または抗体の断片;α1-アンチトリプシン、アプロチニン、カリクレインのインヒビターなどのプロテアーゼインヒビターなどの酵素インヒビター;シクロオキシゲナーゼインヒビター;アモキシシリン、リファンピシン、エリスロマイシンなどの抗生物質;アシクロビルなどの抗ウイルス薬;グルココルチコイドなどのステロイド性抗炎症薬;プロゲステロンなどの性ステロイド;アスピリン、イブプロフェン、もしくはアセトアミノフェンなどの非ステロイド性抗炎症薬;メトトレキサートもしくはアドリアマイシンなどの抗癌剤;サイトカインブロッキング剤;接着分子ブロッキング剤;FK506もしくはシクロスポリンなどの免疫抑制薬;またはインターロイキン-4もしくはインターロイキン-10などの非炎症性サイトカインであり得る。他のサイトカインおよび成長因子は、インターフェロンβ、腫瘍壊死因子、抗血管形成因子、エリスロポイエチン、トロンボポエチン、インターロイキン、成熟因子、走化性タンパク質、およびこれらの変異体、ならびに同様の生理活性を保持する誘導体であり得る。
【0167】
本発明の方法の別の態様は、抗肥満薬の投与をさらに含む。抗肥満薬としては、P-3アゴニスト、CB-1アンタゴニスト、例えばシブトラミン(メリディア)などの食欲抑制薬、および例えばオルリスタット(ゼニカル)などのリパーゼインヒビターが挙げられる。
【0168】
本発明の方法の一つの態様において、本発明のコポリマーは、糖尿病の患者における脂質疾患を治療するために一般に用いられる薬物と組み合わせて投与される。かかる薬物としては、限定されないが、HMG-CoAレダクターゼインヒビター、ニコチン酸、胆汁酸金属イオン封鎖剤、およびフィブリン酸誘導体が挙げられる。
【0169】
本発明の方法のさらに別の態様において、本発明のコポリマーは、βブロッカー、カテプシンSインヒビター、およびACEインヒビターなどの抗高血圧薬と組み合わせて投与される。
【0170】
本発明のコポリマーは、一つ以上の任意の前記のさらなる治療剤とともに投与され得る。
【0171】
さらなる薬剤、または複数の薬剤は、以下に記載するような医薬組成物の添加部分として投与され得るか、またはさらなる薬剤の生理的効果が本発明のコポリマーの生理的効果と重複する場合、付随して、またはある期間内に別個の組成物として投与され得る。より具体的には、さらなる薬剤は、付随して、またはコポリマーの投与の1週間前、数日前、24時間前、8時間前、もしくはすぐ前に、投与され得る。あるいは、さらなる薬剤は、コポリマーの投与の1週間後、数日後、24時間後、8時間後、またはすぐ後に、投与され得る。
【0172】
本発明の別の態様は、本発明のコポリマーを投与することにより、自己免疫疾患にかかる危険性のある被験体を予防的に治療する方法であり、その結果疾患の開始が遅延されるか、または妨げられる。危険性のある被験体は、例えばかかる自己免疫疾患と関連するHLAの対立遺伝子について試験することによって、および/または家族の病歴、またはかかる自己免疫疾患と相関関係がある他の遺伝的指標(markers)に基づいて、自己免疫疾患に対する遺伝的感受性を判定することにより同定される。かかる予防的治療は、治療される自己免疫疾患と関連する第二のHLA分子に結合する第二のコポリマーをさらに含み得る。第二のHLA分子は、HLA-DQ分子またはHLA-DR分子であり得る。好ましくは、予防的に治療される自己免疫疾患は、IDDMまたはセリアック病である。
【0173】
本発明のコポリマー組成物を用いる予防的治療はまた、臓器移植後の宿主対移植片病(host-graft disease)、もしくは移植片対宿主病(graft-host disease)、または移植拒絶反応などの望ましくない免疫応答を妨げるために好適である。本発明のコポリマーは、移植の前、移植の間、および移植の後に、単独にか、または慣習的な免疫抑制薬とともにかのいずれかで、被験体に投与され得る。かかる投与は、移植の1週間前、数日前、24時間前、8時間前、または直前に行われ得、継続し、移植日の後もう60〜100日間、しかし少なくとも60日間、治療養生法において移植後患者に投与され得る(may continue to be administered)。本発明のコポリマー組成物を用いる予防的治療はまた、アレルギー、または本発明のコポリマーの投与により治療し得る任意の疾患を防ぐために好適である。
【0174】
治療用組成物
本発明の別の側面は、薬学的に有効な量の本発明のコポリマー組成物、および許容され得る担体、および/または賦形剤を含む、医薬組成物を提供する。薬学的に許容され得る担体としては、生理学的に適合性のある任意の溶媒、分散媒、または被覆物が挙げられる。好ましくは、担体は静脈内、筋肉内、経口、腹腔内、経皮、局所、または皮下投与に適する。一つの例示的な薬学的に許容され得る担体は生理食塩水である。他の薬学的に許容され得る担体およびその調合は周知であり、例えばRemington’s Pharmaceutical Science(第18版, Gennaro編, Mack Publishing Co., Easton, PA, 1990)に全般的に記載されている。種々の薬学的に許容され得る賦形剤が当該技術分野において周知であり、例えばHandbook of Pharmaceutical Excipients(第4版, Roweら編 Pharmaceutical Press, Washington, D.C.)に見出され得る。組成物は、溶液、マイクロエマルション、リポソーム、カプセル剤、錠剤、または治療方法のために(in for)上に記載した種々の経路の投与に適切な他の形態として製剤化され得る。コポリマーを含む活性成分は、作用の標的部位に到達する前の環境による不活性化から活性成分を保護する物質で被覆され得る。
【0175】
本発明の他の態様において、医薬組成物は持続的放出性製剤である。本発明のコポリマーは、コポリマーの直近の環境への放出速度を制御する生物学的に適合性のあるポリマー、または基質と混合され得る。制御された、または持続的放出性の組成物としては、親油性貯留物(例えば脂肪酸、蝋、油)、インプラント、経皮パッチ、およびマイクロカプセルに入れられた送達系での製剤が挙げられる。さらに本発明により包含されるのは、ポリマー(例えばポロキサマーもしくはポロキサミン)で被覆された粒子状組成物である。本発明の組成物の他の態様は、非経口、肺、鼻腔内、および経口を含む種々の経路の投与のための、粒状形態の保護被覆剤、プロテアーゼインヒビター、または浸透促進剤を組み込む。許容され得る担体としては、カルボキシメチルセルロース(CMC)、および修飾されたCMCが挙げられる。例えばSustained and Controlled Release Drug Delivery Systems, J.R. Robinson編, Marcel Dekker, Inc., NY, 1978を参照。
【0176】
医薬組成物はまた、さらなる治療的に活性な成分を含み得る。かかるさらなる成分は、異なるHLA分子に結合するCopaxone(登録商標)などの別のコポリマー、望ましくない炎症性分子すなわち(or)、インターロイキン-6、インターロイキン-8、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、および腫瘍壊死因子αなどのサイトカインに結合する抗体または抗体の断片;α1-アンチトリプシン、アプロチニン、カリクレインのインヒビターなどのプロテアーゼインヒビターなどの酵素インヒビター;シクロオキシゲナーゼインヒビター;アモキシシリン、リファンピシン、エリスロマイシンなどの抗生物質;アシクロビルなどの抗ウイルス剤;グルココルチコイドなどのステロイド性抗炎症薬;プロゲステロンなどの性ステロイド;アスピリン、イブプロフェン、もしくはアセトアミノフェンなどの非ステロイド性抗炎症薬;メトトレキサートもしくはアドリアマイシンなどの抗癌剤;サイトカインブロッキング剤;接着分子ブロッキング剤;FK506もしくはシクロスポリンなどの免疫抑制薬;またはインターロイキン-4もしくはインターロイキン-10などの非炎症性サイトカインであり得る。インターフェロンβ、腫瘍壊死因子、抗血管形成因子、エリスロポイエチン、トロンボポエチン、インターロイキン、成熟因子、走化性タンパク質、およびこれらの変異体、ならびに同様の生理活性を保持する誘導体などの他のサイトカインおよび成長因子もまた、本発明の組成物のさらなる成分として用いられ得る。
【0177】
本発明の治療用組成物の一つの態様は、P-3アゴニスト、CB-1アンタゴニストなどの一つ以上の抗肥満薬、例えばシブトラミン(メリディア)などの食欲抑制薬、および例えばオルリスタット(ゼニカル)などのリパーゼインヒビターと組み合わせたコポリマーを含み得る。
【0178】
糖尿病の患者における脂質疾患を治療するために一般に用いられる一つ以上の薬物は、本発明の組成物のさらなる治療的に活性な成分であり得る。かかる薬物としては、限定されないが、HMG-CoAレダクターゼインヒビター、ニコチン酸、胆汁酸金属イオン封鎖剤、およびフィブリン酸誘導体が挙げられる。
【0179】
抗高血圧薬(例えば、βブロッカー、カテプシンSインヒビターおよびACEインヒビター)は、本発明の組成物のさらなる治療活性な成分であり得る。βブロッカーの例は:アセブトロール、ビソプロロール、エスモロール、プロパノロール、アテノロール、ラベタロール、カルベディロール、およびメトプロロールである。ACEインヒビターの例は:カプトプリル、エナラプリル、リジノプリル、ベナゼプリル、フォシノプリル、ラミプリル、キナプリル、ペリンドプリル、トランドラプリル、およびモエキシプリルである。
カテプシンS特異的インヒビターの例は、以下の式(I):
【化1】


式中、
R1=R’、R’C(O)、R’C(S)、R’SO2、R’OC(O)、R’NHC(O)、
R’=


X=O、S、NH、W、Y、Z=CH、N;
R’’=H、C1〜7-アルキル、C3〜6-シクロアルキル、OH、SH、アミン、ハロゲンから選ばれる単環置換または多環置換の組み合わせ;
R2、R4=H、C1〜7-アルキル、C3〜7-シクロアルキル;
R3=C1〜7-アルキル、C3〜7-シクロアルキル、Ar-C1〜7-アルキル;
R5=C1〜7-アルキル、ハロゲン、Ar-C1〜7-アルキル、C1〜3-アルキル-CONR’’’、Riv
iv


式中、
n=1〜3、m=1〜3;
v、Rvi=H、C1〜7-アルキル;
A=N、CH;
B=N、O、S、CH;
vii=BがO、Sの場合存在しない;またはRvii=BがN、CHの場合H、C1〜7-アルキル;
viii=O、C1〜7-アルキル;
R6=H、Ar-C1〜7-アルキル、C1〜3-アルキル-SO2-Rix、C1〜3-アルキル-C(O)-NHRixまたはCH2XAr;ここでXおよびArは本明細書中に規定される
で表される構造を有するフラノン誘導体、および薬学的に許容され得るその塩である。式(I)の化合物は、公開PCT出願第WO 00/69855号中で開示されており、開示の全体が本明細書中に援用される。カテプシンSインヒビターの他の例は、以下の式(II):
【化2】


式中、
R1はR’-C(=O)-またはR’-S(=O)2-である、
R’は



である、
X=O、S、NH、
W、Y、Z=CH、N;
R’’=H、C1〜7-アルキル、C3〜6-シクロアルキル、OH、SH、アミン、ハロゲンから選ばれる単環置換または多環置換の組み合わせ;
R3=C1〜7-アルキル、C2〜7-アルケニル、C3〜7-シクロアルキル、Ar、Ar-C1〜7-アルキル;
R4=H、C1〜7-アルキル、C3〜7-シクロアルキル;C2〜7-アルケニル、Ar、Ar-C1〜7-アルキル;
R5=C1〜7-アルキル、ヒドロキシル-もしくはハロゲン置換C1〜C7-アルキルハロゲン、Ar-C1〜7-アルキル、C0〜3アルキル-CONR3R4またはRiv
iv


n=1〜3、m=1〜3;
v、Rvi=H、C1〜7-アルキル;
A=N、CH;
B=N、O、S、CH;
vii=BがO、Sの場合存在しない;またはRvii=BがN、CHの場合H、C1〜7-アルキル;
viii=O、C1〜7-アルキル;
R6=H、C1〜7-アルキル、AR-C1〜7-アルキル、C1〜3アルキル-SO2-Rix、C1〜3-アルキル-C(O)-NHRixまたはCH2XAr;
ixはC1〜7-アルキル、Ar-C1〜7-アルキル、C3〜C6-シクロアルキル
で表される構造を有するフラノン誘導体、および薬学的に許容され得るその塩である。式(II)の化合物は、公開PCT出願第WO 02/40462号中で開示されており、開示の全体が本明細書中に援用される。他のカテプシンSインヒビターの例は:1-[3-[4-(6-クロロ-2,3-ジヒドロ-3-メチル-2-オキソ-1H-ベンジミダゾール-1-イル)-1-ピペリジニル]プロピル]-4,5,6,7-テトラヒドロ-5-(メチルスルホニル)-3-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-1H-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン(JNJ 10329670)(Thurmondら (2004) J. Pharmacol. Exp. Ther. 308(1):268-76, Epub 2003 Oct 17);CLIK-60(Katunumaら FEBS Lett. 458: 6-10);4-モルホリン尿素-Leu-HomoPhe-ビニルスルホン(Flanneryら (2003) Am. J. Pathol. 163(1): 175-82);ペシロペプチン(paecilopeptin)(Shindoら (2002) Biosci. Biotechnol. Biochem. 66(11): 2444-8);ジペプチドニトリル(Wardら (2002) J. Med. Chem. 45(25): 5471-82);およびジペプチドアルファ-ケト-ベータ-アルデヒド(Walkerら (2000) Biochem. Biophys. Res. Commun. 275(2): 401-5)である。
【0180】
本発明の医薬組成物は、送達の際、好ましくは滅菌状態で非発熱性であり、製造および貯蔵の条件の下では、好ましくは安定している。
【0181】
治療活性なコポリマーの同定方法
本発明の別の局面は、自己免疫疾患の症状の発現の重篤度および頻度を減少させることが可能な治療コポリマーを同定する方法を提供する。
【0182】
ある態様において、本DQ指向性コポリマーは、コポリマーの検出を容易にする部分によって修飾されるか、または標識される。好ましい態様において、コポリマーはビオチン化される。別の好ましい態様において、コポリマーはFITCで修飾される。具体的なコポリマーは、上記したようにビオチンまたはFITCで修飾されたランダムコポリマーである。他の態様において、得られたポリマー中に規則的な間隔で現れる「アンカー」残基を有するコポリマーが、ビオチンまたはFITCで修飾される。
【0183】
好ましい態様において、修飾されたコポリマーが合成され得、一般式の1つを有する。




ここで、A、S、V、K、またはPのモルインプット(molar input)比は、5:1:1:1:0.5、2≦n≦8であり、スペーサーは2〜6アミノ酸残基からなり、好ましくはアミノ酸配列SGSGを有する。好ましい態様において、n=4である。
【0184】
これらの修飾されたコポリマーは、アッセイおよび診断法、例えば、酵素結合免疫測定法(ELISA)に使用される。標識化コポリマーはまた、HLA分子に結合するコポリマーの中で最良の配列または好ましい配列を決定するために使用され得る。さらに標識化コポリマーは、本発明のコポリマーに関しないが、HLA-DQ分子と結合するかまたは関連がある他の化合物のスクリーニングに使用され得る。
【0185】
自己免疫疾患を治療するのに治療有効なコポリマーは、以下の方法によって同定され得る:(1)本発明のコポリマーは上記したように合成される;(2)かかるコポリマーのHLA-DQ分子への結合を測定すること;(3)コポリマーのHLA-DQ分子への結合と公知の自己抗原ペプチドのHLA-DQへの結合とを比較すること;(4)試験された公知の自己抗原ペプチドよりも実質的に強くHLA-DQ分子に結合するコポリマーを選択すること;および(5)かかる選択されたコポリマーを示すHLA-DQ分子によって抑制されたTヘルパー細胞の活性化およびTヘルパー細胞による抗炎症サイトカイン産生を測定すること。
【0186】
自己抗原ペプチドの例は:ヒトインスリンのアミノ酸残基9〜23を含むペプチド;ヒトGADのアミノ酸残基206〜220を含むペプチド;またはヒトHSP60のアミノ酸残基441〜460を含むペプチドである。コポリマーがHLA-DQ分子に対して試験されるHLA-DQ分子は、本明細書中に記載される任意のHLA-DQ分子であり得る。
【0187】
スクリーニングの方法は、ラット、マウス、またはハムスター等のげっ歯類等のヒトでない動物のインビボアッセイに使用され得る。ヒト糖尿病のNODマウス等のげっ歯類はヒト疾患のモデルであり得る。
【実施例】
【0188】
実施例1. HLA-DQへのコポリマーの結合
これら新しいコポリマーのHLA-DQ分子へ結合する能力は、競合結合アッセイによって試験されるが、その中でコポリマーは膵島自己抗原(islet autoantigen)由来のペプチド、その例は上で列挙される、と可溶性な組み換えHLA-DQ8分子に結合するために競合する。対立遺伝子DQA1*03〜DQB1*0302でコードされた可溶性な組み換えHLA-DQ8は、銅誘導性の金属結合性タンパク質プロモーターの調節の下で、キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)S2細胞中に発現した。HLA-DQ8は、DQαおよびDQβの膜貫通(transmembrane)部分および細胞内部分を転写要因FosおよびJun由来のロイシンジッパー二量化ドメインと交換することで、可溶性タンパク質に作り変えられた。Hausmannら (1999) J. Exp. Med. 189:1723-1734を参照。発現された組み換えタンパク質は、モノクローナル抗体9.3.F10(HB180、American Type Culture Collection)を使用するアフィニティクロマトグラフィーおよびモノQ HRカラム(Pharmacia Biotech)を使用する陰イオン交換クロマトグラフィーによって、濃縮上澄み液から精製された。
【0189】
Fridkis-Hareliら (1999) J. Immunol. 162: 4697-4704中に記載されるように、各コポリマーは分離され、プール配列された(pool sequenced)。一般にポリマーの分画は、Zorbax C18 1.0mm逆相カラムを使用するマイクロボアHPLCによるものであり、0〜60%勾配のアセトニトリル中0.055%勾配のトリフルオロ酢酸で溶出した。ピークの選択、逆相による分離、およびエドマンマイクロシークエンシングは、Chiczら (1993) J. Exp. Med. 178: 27-47に基づいて考案された。
【0190】
コポリマー結合アッセイをビオチン化コポリマーで実行した。結合アッセイにおいて、候補コポリマーおよび可溶性HLA-DQ8をインキュベートし、特異的にHLA-DQ8に結合するモノクローナル抗体9.3.F10を使用して、形成された複合体を捕獲した。捕獲された複合体は、ユーロピウム標識化ストレプトアビジンを用いた検出によって定量化した。競合アッセイにおいて、ビオチン化コポリマーを可溶性HLA-DQ8でプレインキュベートした。次いで、過剰な量で膵島自己抗原由来のアミノ酸配列(例えばインスリンアミノ酸残基9-23、GADアミノ酸残基206-220、またはHSP60アミノ酸残基441-460)を有する標識化されていない競合物ペプチドを添加し、コポリマーを移動させた。残るコポリマー-HLA-DQ8複合体の画分を、残りの結合の小さい非特異的対照量から計算し、かかる複合体の半減期を調べるために72時間まで測定した。
【0191】
自己抗原ペプチドよりも強い結合親和力を有するか、または自己抗原ペプチドに対して相対的な結合親和力を有するコポリマーを選択する。好ましいコポリマーは、12時間よりも長い半減期を有するHLA-DQ8と複合体を形成する。より好ましくは、選択されたコポリマーは、24時間、48時間、またはさらにより好ましくは72時間よりも長い半減期を有するHLA-DQ8と複合体を形成する。
【0192】
本実験に使用されるコポリマーは以下のアミノ酸組成物、および該当する場合、アンカーアミノ酸を有する:



ここでXは、合成の開始時に5:1:1:1:0.5のモルインプット比を有するA、K、S、V、Pの混合物である。
【0193】
RSP-008: DAVEのランダム混合物
RSP-009: DATEのランダム混合物
RSP-010: DALEのランダム混合物
ここで、合成の開始時に4つのアミノ酸のモルインプット比が1:5:3:1である。
【0194】
CO-14: 得られるランダムコポリマー組成物において、4つのアミノ酸残基約1:1.2:18:6のモルインプット比を有するYFAK。
【0195】
結合アッセイの結果を図1〜6に示す。図1は競合アッセイの結果を示し、ここで非標識化ランダムコポリマーRSP-001、RSP-002およびRSP-003は、HLA-DQ8に結合するためにビオチン化RSP-003であるRSP-006と競合した。図2は、非標識化ランダムコポリマーRSP-008(DAVE)、RSP-009(DATE)、およびRSP-010(DALE)がRSP-006と競合してHLA-DQ8へ結合する競合アッセイを使用して得られた結果を示す。図3は、HLA-DR分子への親和力のために本来目的のコポリマー組成物であるCO-14(YFAK)に対する競合アッセイを使用して得られた結果を示す。グラフは非特異的対照に対して訂正された結果を示し、それは置き換わったランダムコポリマーの量を示す。図4は、ビオチン化ランダムコポリマーRSP-004(ビオチン化RSP-001)、RSP-005(ビオチン化RSP-002)、およびRSP-006(ビオチン化RSP-006)の直接的結合アッセイの結果を示す。これらの実験から得られた結果は、これらのランダムコポリマーが類似した親和力でHLA-DQ8へ結合することを堅実に示す。
【0196】
図5および6は対照実験であり、これらランダムコポリマーのHLA-DR2タンパク質への結合を示す。図5は、ビオチン化ランダムコポリマーRSP-004、RSP-005、およびRSP-006の直接結合アッセイである。その結果は、これらのランダムコポリマーが約10倍だけHLA-DQ8に対して特異的であることを示している。図6は、RSP-008(DAVE)、RSP-009(DATE)、およびRSP-010(DALE)の、適度な親和力で種々のクラスIIタンパク質と結合するCLIP(クラスII関連不変鎖ペプチド; Riberdyら (1992) Nature 360 (6403): 474-7)との競合におけるHLA-DR2への競合アッセイの結果を示す。これらの結果は、かかる3つのランダムコポリマーのいずれもビオチン化CLIPを除外(compete away)し得ず、本発明のかかるランダムコポリマーの結合がHLA-DQ8に対して特異的であるという結論を導く。
【0197】
HLA-DQ8に対する解離定数Kdおよび「完全性」を、観察されたデータをあてはめることから得られた曲線をもとに算出した。結果の概要を以下の表3に示す。「完全性」を、競合物が存在しない場合でのRP-006ペプチドの平均蛍光と結合曲線が実験的飽和に到達する点との差として規定する。完全性を、標識化されていないペプチドが除外し得るビオチン標識化ペプチドの蛍光単位の数として測定する。ランダムコポリマーの各「クラス」が一定の「完全性」を有することによって、コポリマーの特定の分集団がコポリマーのそのクラスにのみ結合する様式でHLAタンパク質に結合し得ることを示唆し、かくして異なるクラスのコポリマーで競合(compete out)し得ないことが観察された。ランダムコポリマーのクラスは、同一アンカー残基等の構造的特徴を共有するコポリマー組成物、または比較可能なアミノ酸組成物を含む。これは、RP-006ペプチドはより完全に、RP-006と同一クラスのコポリマー中に存在するRSP-001、002および003を置き換わり(displace)得るが、RSP-008、009および010等の他のコポリマーを効率よく置き換わり得ない、という観察に示唆される。
【0198】
さらに、HLA-DR2に対して試験されたランダムコポリマーの解離定数は、約10〜20μg/mlと算出され、かくしてHLA-DQ8に対する値よりも約10倍大きい。
【表3】

【0199】
さらにHLA-DQ制限様式におけるヒトT細胞を活性化させるための結合アッセイで選択されるコポリマーの能力を試験するために、コポリマーが、対立遺伝子DQA1*0501〜DQB1*0201でコードされたHLA-DQ2または対立遺伝子DQA1*03〜DQB1*0302対立遺伝子でコードされたHLA-DQ8を有する被験体からのヒトPBMCでインキュベートされる。得られる細胞株の制限要素(単数か複数)は、抗DRおよび抗DQ抗体で決定され得る。
【0200】
実施例2 ヒトクラスII MHC HLA-DQ8に結合したペプチド
コポリマー、ペプチドおよび抗体
Applied Biosystem Peptide Synthesizerの固相技法(Barany, G.,およびR. Merrifield. 1979. Academic Press, New York, NY)を用いてペプチドを合成し、逆相HPLC(RP-HPLC)で精製した。
【0201】
糖尿病の「ヒト化」マウスモデル(該マウスは内因性クラスII遺伝子を欠いているが、ヒトHLA-DQ8およびDR3タンパク質を導入遺伝子的に発現する)を本明細書中の研究に使用する。GAD65をこれら遺伝子導入マウスに注入し、かくしてGAD65で免疫化する。HLA-DR3およびDQ8ならびにGAD65由来のそれらの結合ペプチド断片を、GAD65抗体の出現後にマウスの脾臓およびリンパ節から精製する。得られたペプチドプールを分画し、免疫化遺伝子導入マウスから生じたT細胞を、これらのペプチドに対する応答のために試験する。GAD65ペプチドが、これら遺伝子導入動物中のDRおよびDQタンパク質の双方によって示されるかどうかを決定し、各タイプのタンパク質と関連するペプチドの配列が、同一ペプチドかまたはオーバーラップするペプチドか決定するために比較される。さらに、1つのクラスII MHCタンパク質の存在が、他のタンパク質と関連するペプチドレパートリーの提示に影響を与えるかどうかを、単一および二重遺伝子導入動物の比較から決定する。
【0202】
これらのMHCタンパク質の精製が、微小規模で急速な精製を可能とするBioCAD器具を使用して達成された。ペプチドプールをHPLCで分画し、目的のペプチドピークを免疫化遺伝子導入マウスの脾臓およびリンパ節から生じたT細胞ハイブリドーマを使用してIL-2産生アッセイまたはIL-2増殖アッセイにより同定し、その後ピークにおけるペプチドの同定をした。最終的に同定されたペプチドは合成され、マウスをそれらで免疫化し、それらが免疫原であるかどうかを決定する。
【0203】
タンパク質発現および精製
可溶性HLA-DQ分子を、記載されたようにドロソフィラS2細胞中に発現し、かつ精製した(Kalandadzeら 1996. J. Biol. Chem. 271:20156-20162)。細胞を、0〜5%ウシ胎児血清(Sigma Chemicals, St. Louis, MO)で補充されたExCell 401培地(JRH Biosciences, Lenexa, KS)のローラーボトル中、26℃で成長させた。細胞を、1mM CuSO4による誘導後4〜5日して採取した。採取された細胞からの上澄み液を連続的にProtein A、Protein GおよびProtein A-LB3.1カラムに通過させ、続いてpH11.5にて、HLA-DRと50mM 3-[シクロヘキシルアミノ]-1-プロパンスルホン酸(CAPS)の結合の溶離が起こり、200mMリン酸塩(pH6.0)で中和した。タンパク質をCentriprep 10膜(Amicon, Beverly, MA)で濃縮した。
【0204】
HPLC分離および結合したコポリマーのマイクロシークエンシング
結合したコポリマーのそれぞれが非結合材料から分離され、前記したようにプール配列した(Fridkis-Hareli, M.ら (1999) J. Immunol. 162: 4697-4704)。簡単に分画とは、1040ダイオードアレイ検出器を備えたHewlett-Packard 1090 HPLCのZorbax C18 1.0mm逆相カラムを使用するマイクロボアHPLCによるものである。コポリマーを、アセトニトリル中0.055%勾配のトリフルオロ酢酸(TFA)により、54μl/分の流速で溶出する(0〜10分で0%、73分で33%および105分で60%)。ピーク選択、逆相分離およびエドマンマイクロシークエンシングに対する戦略は、前記されてきた(Chicz, R. M.ら (1993) J. Exp Med. 178: 27-47; Godkinら (1997) Int. Immunol. 9: 905-11)。プールされた画分は、製造業者のRoutin 3.5を使用するHewlett-Packard G1005A(Palo Alto, CA)タンパク質シーケンサー上の自動化エドマン分解に従う。
【0205】
クラスII MHCタンパク質に結合するペプチドのアッセイ
本アッセイに使用される解決法は以下の通りである:結合バッファは、別に明記されない限り20mM 2-[N-モルホリノ]エタンスルホン酸(MES)、140mM NaCl、0.05% NaN3、pH5.0; PBSは150mM塩化ナトリウム、7.5mM Na2HPO4、2.5mM NaH2PO4、pH7.2;TBSは137mM塩化ナトリウム、25mM Tris pH8.0、2.7mM塩化カリウム;TTBSは、TBSに0.05% Tween-20を加えたものである。
【0206】
試料を添加する前に、イムノアッセイプレート(96ウェルマイクロタイター、PRO-BINDTM, Falcon, Lincoln Park, NJ)を、PBS(全100μl)中1μg/ウェル親和力−精製化LB3.1モノクローナル抗体で18時間4℃にて被覆した。次いで、ウェルをTBS/3%ウシ血清アルブミン(BSA)で1時間37℃にてブロックし、TTBSで3回洗浄した。試料添加の直前に、50μlのTBS/1% BSAを各々のウェルに添加した。
【0207】
ビオチン化ペプチドを最終濃度50μlの結合バッファ中0.13μMとし、40時間37℃にて、標識されていないインヒビター(ランダムコポリマーまたは対照ペプチド)およびHLA-DQ分子と共に同時インキュベート(co-incubating)することで抑制反応を実行した。結合したペプチド−ビオチンを、ストレプトアビジン結合アルカリホスファターゼを用いて以下のように検出した。プレートをTTBSで3回洗浄し、100μlのストレプトアビジン結合アルカリホスファターゼ(1:3000、BioRad, Richmond, CA)で1時間、37℃にてインキュベートし、その後トリエタノールアミンバッファ(BioRad)中のp−ニトロフェニルリン酸塩を添加した。410nmでの吸光度をマイクロプレートリーダー(モデルMR4000;Dynatech, Chantilly, VA)でモニターした。
【0208】
小スケールで精製されたHLA-DQ8から溶出したペプチドのシークエンシングに対して技法を使用した。HLA-DQ8タンパク質からの精製物を1gの細胞から単離した。プリース(priess)細胞(HLA-DR4、HLA-DQ8同型接合)は本調査の基準である。POROS免疫親和性カラム(BioCAD器具)を使用して、20gの細胞からHLA-DQ8(およびHLA-DR4)を単離した。ペプチドをこの材料の1/20(1gの細胞に相当する)から溶出した。
【0209】
全体で79のペプチド配列をLC-MS-MS(表3)による混合物中で同定した。これらの多くがネステッドペプチドセットを表した。特にクラスI MHCタンパク質由来の1つのペプチドが10の異なる配列中に存在したが、その違いはペプチドのN-末端か、またはC-末端だけであった。このセットにおけるコアを容易に同定した。これは、HLA-DQ8タンパク質から単離されたペプチドおよび同定されたペプチドの最大数を表し、この臨界(critical)数はP1およびP9位置等のタンパク質上の部位の分析のためにコンセンサスを提供する(表4参照)。HLA-DQ8の先の2つの研究において(1、2)、8つのペプチドの配列を1つにまとめて報告し(report in one)、他は単にペプチドプールシークエンシングを記載しただけであった。単離するために、次いでこの分析を1グラムのプリース細胞に使用した(1グラムとは、15〜20匹のマウスから得ることができる脾臓の量である)。内因性ペプチドを有するHLA-DQ8タンパク質複合体は、容易にこのスケールで単離され、ペプチドは容易に同定された(表4)。この手順は112ペプチドの配列をもたらし、より多くのもの(many more than)が先に観察された(Chiczら (1994) Int. Immunol. 6:1639-49; Godkinら (1997) Int. Immunol. 9:905)。かかる多数の配列に基づいて、対立遺伝子DQA1*0501〜DQB1*0201でコードされたクラスII MHC HLA-DQ2か、または対立遺伝子DQA1*03〜DQB1*0302対立遺伝子でコードされたHLA-DQ8による結合のコンセンサスを発展(develop)させることが可能である。
【0210】
【表4】





【0211】
【表5】




【0212】
実施例3 ペプチド配列の分析
溶出したペプチドは一般に酸性であることが分かっており、驚くべきことにアスパラギン酸(D)およびグルタミン酸(E)の過剰発現(overrepresentation)があった。コアのカルボキシ末端近く(すなわちP9にて)の、EまたはDを有するペプチドの配列が表6に示される。また、P1での酸性アミノ酸に対する選択は、マウスタンパク質I-Ag7で観察されたものよりも多い配列において顕著であった(Suriら (2002) J. Immunol. 168(3):1235-43)。1つの種から別の種の選択間の区別は、免疫認識に対して特に重要であり得る。
【0213】
【表6】

【0214】
実施例4 マウスクラスII MHCに結合したペプチドの分析
実験を行い、マウス脾臓から単離されたI-Ag7を使用してマウスクラスII MHCに対する同様の分析を得る。15のマウス脾臓を使用する公開された手順へのこの改変は、高精製度での少量のI-Ag7の単離を生じた(Suriら (2002) J. Immunol. 168(3):1235-43)。ヒトクラスII MHCタンパク質に対して上記したように、ペプチドを単離、配列、および分析し、マウスに対するコンセンサスを得る。I-Ag7の単離およびペプチドの精製に対するマイクロ技法をHLA-DQ8に関して行う。上記の実施例を、HLA-DQ8遺伝子導入マウスおよびHLA-DR3/HLA-DQ8二重遺伝子導入マウスを用いて行う。疾患がより早く発症するBDC2.5TCR、CD1d-/-マウス(Shiら (2001) Proc. Natl. Acad. Sci. USA98: 6777-6782)も使用する。
【0215】
実施例5 糖尿病治療のコポリマー:Copaxone(登録商標)対照
非肥満糖尿病(NOD)マウスの糖尿病の進行を予防し得るコポリマーを産生するために、本明細書の表6でP1およびP9位置で観察されるコンセンサスアミノ酸を、アミノ酸残基(すなわちランダム配列を有するコポリマーを得るために使用するアミノ酸)の選択の基準として使用した。
【0216】
NODマウスをJackson Laboratories, Bar Harbor, ME,から入手し、実験系として使用する(Shiら (2001) Proc. Natl. Acad. Sci. USA98: 6777-6782)。これらのマウスは約13〜15週目で糖尿病の発症が始まり、処置を受けたマウスの群、および未処置のマウスの群の比較による症状の頻度等のデータを得るために、約30週後にデータを得る。本明細書中にてNODマウスをCopaxone(登録商標)で処置し、未処置の動物とCopaxone(登録商標)で処置した動物との間に差異は見られなかった。実験において、10μgのCopaxone(登録商標)をマウスに週3回注射した(体重比率基準でのヒト用量に相当する。より高い用量(33μg Copaxone(登録商標)/マウスを週3回)も使用する。これらの実験は、Copaxone(登録商標)が効果的でないであろうという仮説を試験する。
【0217】
表6の結合モチーフに基づく新規のコポリマーを設計し、合成し、および試験する。これらのコポリマーの組成物は、本明細書の概要中に記載されている。
【0218】
実施例6 ランダムコポリマーに対するT細胞リコール応答(recall response)
NODマウスは、ヒトインスリン依存型糖尿病に対して幅広く研究されたマウスモデルである。NODマウスにおいてI-Ag7が発現され、HLA-DQ8と構造的類似性およびペプチド結合類似性を共有し、マウスと構造的類似性およびペプチド結合類似性を有し合うクラスII MHC分子が、IDDMに感受性を与える。実験を行い、アンカー残基を含有するセミランダムコポリマーの投与によって、NODマウスがインビトロT細胞アッセイで測定され得るT細胞応答を生じさせるためのNODマウスを産生(prime)し得るかどうかを決定した。
【0219】
NOD/Ltjマウスを、1日目に50または250μgのRSP-001、RSP-002、RSP-003もしくはRSP-010を単独かまたは完全フロイントアジュバント(CFA)と共に、肩と肩の間に皮下注射して免疫化した。RSP-001、002および003に関して、3、5、8、10および12日目に、付加的な免疫処置として同様の皮下注射を繰り返した。RSP-010に関して8日目に同様の皮下注射を繰り返した。対照群の動物にリン酸ナトリウムバッファを注射した。15日目にマウスを屠殺して脾臓を採集した。脾臓細胞をインビトロにて、免疫化に使用される種々の濃度の同一コポリマーで再刺激した。少なくとも3つの複製を、再刺激に対する各々の処置グループに対して培養した。培養の2日目にトリチウムチミジンを添加して3倍ウェルとし、3日目に細胞を採取して放射能の取り込みを測定したところ、それは抗原に応答する産生されたT細胞の増殖を示す。
【0220】
実験の結果を図7〜10に示す。各々の図は、マウスを免疫化するために使用されたコポリマーによるRSP-001、002、003および010によって免疫化されたマウスの脾臓由来の脾臓細胞による3Hチミジンの取り込みを示す。これらの実験は、セミランダムコポリマーRSP-001、RSP-002、およびRSP-003、ならびにランダムコポリマーRSP-010(DALE)が、事前に曝露したマウス由来のT細胞の応答を誘導するという点で免疫原であることを示す。
【0221】
実施例7 GAD65ペプチドの分析
得られるデータは、ペプチドと複合体化したDR3およびDQ8タンパク質によるT細胞へのGADペプチドの提示の理解に関するものであり、ペプチド配列のプールからのDQ8結合モチーフのさらなる情報を提供するであろう。コポリマーおよび/または自己抗原性ペプチドの投与による自己免疫疾患の寛容の誘導は、重要な実践的話題ならびに理論的関心の話題である。GAD65由来のペプチドならびにDRおよびDQタンパク質で提示されるペプチドの同定は、アミノ酸基準のヒト治療学の設計を可能とするだろう。
【0222】
本明細書中のデータは、HLA-DQ08と結合する、単離され自然に加工されたペプチドを記載する。さらなる研究によって、インスリン炎を発症しGAD65で免疫化されるか、またはGAD65自己応答を自発的に示すAβ°/DQ3、DQ8遺伝子導入マウスの脾臓およびリンパ節中のHLA-DQ08およびHLA-DR3タンパク質から得られるペプチドが分析されるだろう。
【0223】
免疫系は、異物分子と内因性または「自己」細胞成分(例えばタンパク質)を区別し得る。一度異物分子を認識したら、免疫系は種々の細胞(例えばBおよびT細胞)および分子の参入を促し、それらを排除するための適切な応答を開始する。自己免疫は、自己成分に対して免疫応答が開始される場合に起こる。T細胞によって認識されるタンパク質は、例えばタンパク質分解的に、小断片(ペプチド)に分解され、それらは次いで主要組織適合性複合体(MHC)分子と関連し細胞表面へ輸送される。MHC分子の例は、HLA-DR4、DR3、DQA1*0501〜DQB1*0201対立遺伝子でコードされたHLA-DQ2またはDQA1*03〜DQB1*0302対立遺伝子でコードされたHLA-DQ8であり、ある対立遺伝子はインスリン依存型糖尿病(IDDM)のより大きなリスクと関連があることが示されている。IDDMはT細胞媒介自己免疫疾患と考えられ、ここでT細胞は膵臓のランゲルハンス島のインスリン分泌β細胞を破壊する。主として脳および膵島中で見出されるβ細胞に限定される酵素であるグルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD65)由来のペプチドが疾患の病因に関係していた。
【0224】
糖尿病のヒト化マウスモデル(マウスは内因性クラスII遺伝子を欠き、その代わり遺伝子導入的にヒトHLA-DQ8およびDR3タンパク質を発現する)を本明細書中で使用する。GAD65をこれら遺伝子導入マウスに注射し、次いでGAD65で免疫化する。
【0225】
ヒトB細胞株WT20およびプリース細胞を使用して最適化された精製化手順を用いて、DR3およびDQ8タンパク質の微小規模精製を使用しこれらのタンパク質を得るであろう。この手順は遺伝子導入マウスからの材料を利用して使用される。ペプチドプールを分画しペプチドの配列を分析した。T細胞ハイブリドーマが免疫化遺伝子導入マウスの脾臓およびリンパ節から発生し、これらのペプチドに対する応答を試験する。この材料は数種の異なるペプチドを含有しているようである。GAD65ペプチドを、各々のプール中の数種のペプチドから得られる配列を用いて、アミノ酸配列データから同定する。最終的に、同定されたペプチドを合成し、該ペプチドでマウスを免疫化し、これらが免疫原かどうかを決定する。
【0226】
DR3およびDQ8タンパク質によるGAD65ペプチドのT細胞への提示は、プールからのペプチドのアミノ酸配列の比較によりDQ8結合モチーフのさらなる情報を提供する。得られたデータは本明細書中のコポリマーを設計するために使用される。したがって、GAD65由来でDRおよびDQタンパク質により提示されるペプチドの決定的な同定は、ヒト治療学に対し重要な実践結果を有し得る。
【0227】
IV 均等物
上記したコポリマー、サブユニットおよび他の組成物の意図された均等物は、別なものがそれと対応し、同一の一般的なその特性(例えば生体適合性の、抗腫瘍性の)を有するかかる材料を含み、ここで置換基の1つ以上の単純な変形が作成されるが、これはその意図された目的を達成するために、かかる分子の効力に有害な影響を与えない。一般に本発明の化合物は、例えば以下に記載されるような一般反応式図に例示された方法によって調製され得るか、または容易に入手可能な開始材料、試薬および従来の合成手順を使用するその改変によって調製され得る。これらの反応において、公知であるが本明細書では言及していない変形体の利用もまた可能である。
【0228】
上記した参照の全てが、本明細書によりその全体において参照によって援用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
7アミノ酸残基で分離された少なくとも二つの固定されたアンカー残基を有するセミランダム配列コポリマーを含むコポリマー組成物であり、
(1)該アンカー残基がアスパラギン酸残基(D)およびグルタミン酸残基(E)より選択され;
(2)コポリマーの残りが少なくとも二つのアミノ酸残基を含むランダム配列を有し、一つのアミノ酸が
(a)アラニン(A)またはグリシン(G);ならびに
(b)ロイシン(L)、イソロイシン(I)、バリン(V)、メチオニン(M)、トレオニン(T)、セリン(S)、およびシステイン(C)
のアミノ酸残基の各群より選択され、
さらに、任意にプロリン(P)を含む、
コポリマー組成物。
【請求項2】
ランダム配列コポリマーを含むコポリマー組成物であり、そのアミノ酸配列が少なくとも四つの異なるアミノ酸残基を含み、少なくとも一つのアミノ酸残基が
(1)グルタミン酸(E)、アスパラギン酸(D);
(2)ロイシン(L)、イソロイシン(I)、バリン(V)、およびメチオニン(M);
(3)トレオニン(T)、セリン(S)、およびシステイン(C);ならびに
(4)アラニン(A)およびグリシン(G)
からなる群の各々より選択され
さらに、任意にプロリンを含む、
コポリマー組成物。
【請求項3】
コポリマーが:
(1)アスパラギン酸、アラニン、ロイシン、グルタミン酸(DALE);
(2)アスパラギン酸、アラニン、イソロイシン、グルタミン酸(DAIE);
(3)アスパラギン酸、アラニン、バリン、グルタミン酸(DAVE);
(4)アスパラギン酸、アラニン、トレオニン、グルタミン酸(DATE);および
(5)アスパラギン酸、アラニン、セリン、グルタミン酸(DASE)
より選択されるアミノ酸組成物を有するテトラポリマーである、請求項2記載のコポリマー組成物。
【請求項4】
コポリマーが:
(1)アスパラギン酸、グリシン、ロイシン、グルタミン酸(DGLE);
(2)アスパラギン酸、グリシン、イソロイシン、グルタミン酸(DGIE);
(3)アスパラギン酸、グリシン、バリン、グルタミン酸(DGVE);
(4)アスパラギン酸、グリシン、トレオニン、グルタミン酸(DGTE);および
(5)アスパラギン酸、グリシン、セリン、グルタミン酸(DGSE)
より選択されるアミノ酸組成物を有するテトラポリマーである、請求項2記載のコポリマー組成物。
【請求項5】
ランダム配列中にアミノ酸残基:
(1)アスパラギン酸、アラニン、ロイシン、グルタミン酸(DALE);
(2)アスパラギン酸、アラニン、イソロイシン、グルタミン酸(DAIE);
(3)アスパラギン酸、アラニン、バリン、グルタミン酸(DAVE);または
(4)アスパラギン酸、アラニン、トレオニン、グルタミン酸(DATE)
を含むコポリマー組成物。
【請求項6】
ランダム配列中にアミノ酸残基:
(1)アスパラギン酸、グリシン、ロイシン、グルタミン酸(DGLE);
(2)アスパラギン酸、グリシン、イソロイシン、グルタミン酸(DGIE);
(3)アスパラギン酸、グリシン、バリン、グルタミン酸(DGVE);または
(4)アスパラギン酸、グリシン、トレオニン、グルタミン酸(DGTE)
を含むコポリマー組成物。
【請求項7】
XがL、I、V、S、もしくはTであるアミノ酸残基D:A:X:EまたはD:G:X:Eのモルアウトプット比が約:
(1)1:10:3:1;
(2)1:15:3:1;
(3)1:25:15:5;または
(4)1:3:1.5:0.2
であり、モルアウトプット比のばらつきが、異なるアミノ酸の間で約10%の範囲に含まれる、請求項3または4記載のコポリマー組成物。
【請求項8】
XがL、I、V、S、もしくはTであるアミノ酸残基D:A:X:EまたはD:G:X:Eのモルアウトプット比が約:
(1)1:10:3:1;
(2)1:15:3:1;
(3)1:25:15:5;または
(4)1:3:1.5:0.2
であり、モルアウトプット比のばらつきが、異なるアミノ酸の間で約10%の範囲に含まれる、請求項5または6記載のコポリマー組成物。
【請求項9】
XがL、I、V、S、もしくはTであるアミノ酸残基D:A:X:EまたはD:G:X:Eのモルインプット比が約:
(1)1:5:3:1;
(2)1:25:15:5;または
(3)1:1:1.5:0.2
である、請求項3または4記載のコポリマー組成物。
【請求項10】
XがL、I、V、もしくはTであるアミノ酸残基D:A:X:EまたはD:G:X:Eのモルインプット比が約:
(1)1:5:3:1;
(2)1:25:15:5;または
(3)1:1:1.5:0.2
である、請求項5または6記載のコポリマー組成物。
【請求項11】
コポリマーがHLA-DQタンパク質に特異的な自己抗原性ペプチド中に見られる付加的なアミノ酸残基をさらに含む、請求項3または4記載のコポリマー組成物。
【請求項12】
付加的なアミノ酸残基がリシン残基(K)である、請求項11記載のコポリマー組成物。
【請求項13】
コポリマーがMHCタンパク質HLA-DQに機能的に結合する、請求項1〜12いずれか記載のコポリマー組成物。
【請求項14】
コポリマーが30〜70のアミノ酸残基を含む、請求項1〜13いずれか記載のコポリマー組成物。
【請求項15】
コポリマーが約50のアミノ酸残基を含む、請求項14記載のコポリマー組成物。
【請求項16】
コポリマーが固相化学作用によって合成される、請求項1〜15いずれか記載のコポリマー組成物。
【請求項17】
コポリマーがクラスII MHCタンパク質HLA-DQに機能的に結合し、少なくとも1つのアミノ酸残基がアスパラギン酸残基またはグルタミン酸残基である、少なくとも3つの異なるアミノ酸残基を有するランダムまたはセミランダム配列コポリマーを含むコポリマー組成物。
【請求項18】
HLA-DQが自己免疫疾患と関連する、請求項13記載のコポリマー組成物。
【請求項19】
自己免疫疾患がインスリン依存型糖尿病またはセリアック病である、請求項18記載のコポリマー組成物。
【請求項20】
HLA-DQが望ましくない免疫応答に関連する、請求項13記載のコポリマー組成物。
【請求項21】
HLA-DQがアレルギーと関連する、請求項13記載のコポリマー組成物。
【請求項22】
HLA-DQがコポリマー組成物の投与によって治療できる疾患と関連する、請求項13記載のコポリマー組成物。
【請求項23】
HLA-DQがHLA-DQ2(対立遺伝子DQA1*0501-DQB1*0201の組合せ)またはHLA-DQ8(対立遺伝子DQA1*03-DQB1*0302の組合せ)である、請求項13記載のコポリマー組成物。
【請求項24】
自己免疫疾患と関連するHLA-DQ分子に機能的に結合するコポリマー、ならびに薬学的に許容され得る担体および/または賦形剤を含む、薬学的に有効量のコポリマー組成物を含む、自己免疫疾患治療のための医薬組成物。
【請求項25】
コポリマー組成物が請求項18記載のコポリマー組成物である、請求項24記載の医薬組成物。
【請求項26】
治療効果のある付加的な薬剤をさらに含む、請求項25記載の医薬組成物。
【請求項27】
治療効果のある付加的に薬剤が、自己免疫疾患に関連する第2のHLA分子に結合する第2のコポリマー組成物である、請求項26記載の医薬組成物。
【請求項28】
第2のHLA分子がHLA-DQ分子である、請求項27記載の医薬組成物。
【請求項29】
第2のHLA分子がHLA-DR分子である、請求項27記載の医薬組成物。
【請求項30】
自己免疫疾患が糖尿病の症状またはセリアック病である、請求項24〜29いずれか記載の医薬組成物。
【請求項31】
治療効果のある追加の薬剤がインスリンである、請求項26記載の医薬組成物。
【請求項32】
治療効果のある追加の薬剤が1つ以上の免疫抑制薬である、請求項26記載の医薬組成物。
【請求項33】
免疫抑制薬が、
(1)ラパマイシン、コルチコステロイド、アザチオプリン、ミコフェノール酸モフェチル、シクロスポリン、シクロフォスファミド、メトトレキサート、6-メルカプトプリン、FK506、15-デオキシスパガリン、スフィンゴシン-1-リン酸 (S1P)アゴニスト、FTY 720(2-アミノ-1,3-プロパンジオール、塩酸2-アミノ-2[2-(4-オクチルフェニル)エチル]プロパン-1,3-ジオール)、ミトザントロン、6-(3-ジメチル-アミノプロピオニル)フォルスコリン、およびデメトイムイノマイシンから選択される薬物、または
(2)hul 124、BTI-322、アロトラップ-HLA-B270、OKT4A、エンリモマブ、ABX-CBL、OKT3、ATGAM、バシリキシマブ、ダクリズマブ、胸腺グロブリン、ISAtx247、Medi-500、Medi-507、アレファセプト、エファリズマブ、インフリキシマブ、およびインターフェロンから選択されるタンパク質
である、請求項32記載の医薬組成物。
【請求項34】
望ましくない免疫応答と関連するHLA-DQ分子に機能的に結合するコポリマー、ならびに薬学的に許容され得る担体および/または賦形剤を含む、薬学的に有効量のコポリマー組成物を含む、望ましくない免疫応答治療のための医薬組成物。
【請求項35】
コポリマー組成物が請求項20記載のコポリマー組成物である、請求項34記載の医薬組成物。
【請求項36】
アレルギーと関連するHLA-DQ分子に機能的に結合するコポリマー、および薬学的に許容され得る担体および/または賦形剤を含む、薬学的に有効量のコポリマー組成物を含む、アレルギー治療のための医薬組成物。
【請求項37】
コポリマー組成物が請求項21記載のコポリマー組成物である、請求項36記載の医薬組成物。
【請求項38】
コポリマー組成物の投与によって治療可能な疾患と関連するHLA-DQ分子に機能的に結合するコポリマー、ならびに薬学的に許容され得る担体および/または賦形剤を含む、薬学的に有効量のコポリマー組成物を含む、コポリマー組成物の投与によって治療可能な疾患の治療のための医薬組成物。
【請求項39】
コポリマー組成物が請求項22記載のコポリマー組成物である、請求項37記載の医薬組成物。
【請求項40】
自己免疫疾患と関連するHLA-DQ分子に結合する一つ以上のランダム配列コポリマーを含む治療有効量のコポリマー組成物を、自己免疫疾患を有する被験体に投与することを含む、自己免疫疾患の治療方法。
【請求項41】
前記コポリマー組成物が請求項18記載のコポリマー組成物である、請求項40記載の方法。
【請求項42】
第二の治療的に活性な薬剤を投与することをさらに含む、請求項41記載の方法。
【請求項43】
第二の治療的に活性な薬剤が前記自己免疫疾患と関連する第二のHLA分子に結合する第二のコポリマー組成物である、請求項42記載の方法。
【請求項44】
前記第二のHLA分子がHLA-DQ分子である、請求項43記載の方法。
【請求項45】
前記第二のHLA分子がHLA-DR分子である、請求項43記載の方法。
【請求項46】
前記自己免疫疾患が糖尿病の症状およびセリアック病から選択される、請求項40〜45いずれか記載の方法。
【請求項47】
糖尿病の状態が糖尿病前症、インスリン依存型糖尿病(I型)、およびII型糖尿病から選択される、請求項46記載の方法。
【請求項48】
糖尿病の状態がインスリン依存型糖尿病(I型)である、請求項46記載の方法。
【請求項49】
コポリマーを投与することが注射によりコポリマーを与えることである、請求項40〜48いずれか記載の方法。
【請求項50】
注射の位置が静脈内(i.v.)、皮下(s.c.)、筋肉内(i.m.)、および腹腔内(i.p.)から選択される、請求項49記載の方法。
【請求項51】
コポリマーを投与することが静脈内注射を与えることである、請求項49記載の方法。
【請求項52】
コポリマーの投与の後、糖尿病の症状またはセリアック病の生理的パラメーターを観察することをさらに含む、請求項46記載の方法。
【請求項53】
パラメーターが、遊離血糖の減少、血液インスリンの増加、膵臓インスリンの増加、膵臓質量の増加、およびβ島細胞数の増加である、請求項52記載の方法。
【請求項54】
コポリマーの投与の後、糖尿病の発現の頻度の減少、または糖尿病の発現の重篤度の減少を観察することをさらに含む、請求項46記載の方法。
【請求項55】
薬剤がインスリンである、請求項42記載の方法。
【請求項56】
投与されるインスリンの量が、該被験体に対してコポリマーを投与する前よりも少ない、請求項55記載の方法。
【請求項57】
薬剤が免疫抑制剤である、請求項42記載の方法。
【請求項58】
薬剤が、
(1)ラパマイシン、コルチコステロイド、アザチオプリン、ミコフェノール酸モフェチル、シクロスポリン、シクロホスファミド、メトトレキサート、6-メルカプトプリン、FK506、15-デオキシスパガリン、スフィンゴシン-1-ホスファートアゴニスト、FTY 720(塩酸2-アミノ-2[2-(4-オクチルフェニル)エチル] プロパン-1,3-ジオール)、ミトザントロン、2-アミノ-1,3-プロパンジオール、6-(3-ジメチル-アミノプロピオニル) フォルスコリン、およびデメトイムノマイシンから選択される薬物、または
(2)hul 124、BTI-322、アロトラップ- HLA-B270、OKT4A、エンリモマブ、ABX-CBL、OKT3、ATGAM、バシリキシマブ、ダクリズマブ、胸腺グロブリン、ISAtx247、Medi-500、Medi-507、アレファセプト、エファリズマブ、インフリキシマブ、およびインターフェロンから選択されるタンパク質
である、請求項56記載の方法。
【請求項59】
被験体がヒトである、請求項40〜58いずれか記載の方法。
【請求項60】
被験体がげっ歯類である、請求項40〜58いずれか記載の方法。
【請求項61】
被験体が非肥満性糖尿病(NOD)マウスまたはストレプトゾチシン誘導糖尿病マウスである、請求項60記載の方法。
【請求項62】
望ましくない免疫応答と関連するHLA-DQ分子に結合する一つ以上のランダム配列コポリマーを含む治療有効量のコポリマー組成物を、望ましくない免疫応答を有する被験体に投与することを含む、望ましくない免疫応答の治療方法。
【請求項63】
前記コポリマー組成物が請求項20記載のコポリマー組成物である、請求項62記載の方法。
【請求項64】
アレルギーと関連するHLA-DQ分子に結合する一つ以上のランダム配列コポリマーを含む治療有効量のコポリマー組成物を、アレルギーの症状を有する被験体に投与することを含む、アレルギーの治療方法。
【請求項65】
前記コポリマー組成物が請求項21記載のコポリマー組成物である、請求項64記載の方法。
【請求項66】
疾患と関連するHLA-DQ分子に結合する一つ以上のランダム配列コポリマーを含む治療有効量のコポリマー組成物を、疾患を有する被験体に投与することを含む、コポリマー組成物の投与により治療し得る疾患の治療方法。
【請求項67】
前記コポリマー組成物が請求項22記載のコポリマー組成物である、請求項66記載の方法。
【請求項68】
請求項18記載のコポリマーを投与することを含む、自己免疫疾患にかかる危険性のある被験体を予防的に治療する方法であって、自己免疫疾患の開始を遅延させるかまたは妨げる、方法。
【請求項69】
前記自己免疫疾患と関連する第二のHLA分子に結合する第二のコポリマーをさらに含む、請求項68記載の方法。
【請求項70】
前記第二のHLA分子がHLA-DQ分子である、請求項69記載の方法。
【請求項71】
前記第二のHLA分子がHLA-DR分子である、請求項69記載の方法。
【請求項72】
前記自己免疫疾患がI型糖尿病およびセリアック病から選択される、請求項68〜71いずれか記載の方法。
【請求項73】
糖尿病前症の状態を有する被験体において糖尿病の進行を妨げる方法であって、被験体に請求項1〜18および25〜33いずれか記載の組成物を投与し、それにより糖尿病の進行を妨げることを含む方法。
【請求項74】
被験体または被験体の家族が、該状態を有さない対照の被験体と比較して、高い血中グルコースレベルまたは高い自己抗体レベルを有する、請求項73記載の方法。
【請求項75】
被験体に請求項1〜18および25〜33いずれか記載の組成物を投与することを含む、膵島移植の被験体受容者を治療する方法。
【請求項76】
組成物の投与が膵島移植の前である、請求項75記載の方法。
【請求項77】
組成物の投与が膵島の移植の後に続く、請求項75記載の方法。
【請求項78】
被験体中の生理学的パラメーターの観察をさらに含む、請求項73〜77いずれか記載の方法。
【請求項79】
パラメーターが遊離血糖、血液インスリン、膵臓インスリン、膵臓質量、およびβ島細胞数の群より選択される、請求項78記載の方法。
【請求項80】
望ましくない免疫応答を発症する危険のある被験体を予防的に処置する方法であって、請求項19のコポリマーを投与することを含み、望ましくない免疫応答の開始を遅延させるかまたは妨げる、方法。
【請求項81】
アレルギーを発症する危険のある被験体を予防的に処置する方法であって、請求項21のコポリマーを投与することを含み、アレルギー反応の開始を遅延させるかまたは妨げる、方法。
【請求項82】
コポリマーを投与することによって処置可能な疾患を発症する危険のある被験体を予防的に処置する方法であって、所望されない免疫応答の開始を請求項22のコポリマーを投与することによって遅延させるかまたは妨げる、方法。
【請求項83】
(a)(1)疎水性、脂肪族残基(ロイシン、イソロイシン、バリン、メチオニン)
(2)酸性残基(アスパラギン酸、グルタミン酸)
(3)小親水残基(セリン、システイン、トレオニン)
(4)小脂肪族残基(アラニン、グリシン)および
(5)プロリン
より選択されるアミノ酸のランダムコポリマーを合成すること、
(b)前記コポリマーのHLA-DQ分子への結合を測定すること;
(c)前記コポリマーの前記HLA-DQ分子への結合と公知の自己抗原ペプチドの前記HLA-DQ分子への結合とを比較すること;
(d)前記公知の自己抗原ペプチドよりも実質的により強く前記HLA-DQ分子へ結合する前記コポリマーを選択すること;ならびに
(e)前記ポリマーを提示する前記HLA-DQ分子によって抑制されるTヘルパー細胞の活性化を測定すること
を含む、HLA-DQ媒体自己免疫疾患を処置するのに治療有効的であるコポリマーを同定する方法。
【請求項84】
前記自己抗原ペプチドが、
(1)ヒトインスリンのアミノ酸残基9〜23を含むペプチド;
(2)ヒトGADのアミノ酸残基206〜220を含むペプチド;および
(3)ヒトHSP60のアミノ酸残基441〜460を含むペプチド
から選択される、請求項83記載の方法。
【請求項85】
前記HLA-DQ分子がDQA1*03〜DQB1*0302、DQA1*0501〜DQB1*0201、HLA-DQA1*0501〜DQB1*0201およびHLA-DQA1*03〜DQB1*0302間のトランスダイマー、DQA1*03/B1*0302、DQB1*0201/DQA1*0501、DQB1*0201およびDQA1*03から選択される、請求項84記載の方法。
【請求項86】
コポリマーがビオチン付加している、請求項83〜85いずれか記載の方法。
【請求項87】
コポリマーがFITCで標識される、請求項83〜85いずれか記載の方法。
【請求項88】
コポリマーがクラスII MHCマウスタンパク質IAg7に結合可能である、請求項83〜87いずれか記載の方法。
【請求項89】
自己免疫疾患の処置のための医薬の製造方法であって、自己免疫疾患を有する被験体に投与するための請求項1〜23いずれか記載のコポリマー組成物を調剤することを含む、方法。
【請求項90】
インスリン依存性糖尿病(IDDM)またはセリアック病の処置のための医薬の製造方法であって、IDDMまたはセリアック病を有する被験体に投与するための請求項19記載のコポリマー組成物を調剤することを含む、方法。
【請求項91】
望ましくない免疫応答の処置のための医薬の製造方法であって、望ましくない免疫応答を有する被験体に投与するための請求項20記載のコポリマー組成物を調剤することを含む、方法。
【請求項92】
アレルギーの処置のための医薬の製造方法であって、アレルギーを有する被験体に投与するための請求項21記載のコポリマー組成物を調剤することを含む、方法。
【請求項93】
請求項22記載のコポリマー組成物を投与することによって処置可能な疾患の処置のための医薬の製造方法であって、該疾患を有する被験体に投与するためのコポリマー組成物を調剤することを含む、方法。
【請求項94】
請求項5、6、8、10または19いずれか記載のアミノ酸のランダム配列を有するコポリマーを含む糖尿病被験体を処置するためのキットおよび容器。
【請求項95】
さらに使用説明書を含む、請求項94記載のキット。
【請求項96】
単位用量である、請求項94記載のキット。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−1547(P2012−1547A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−162044(P2011−162044)
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【分割の表示】特願2007−501960(P2007−501960)の分割
【原出願日】平成17年3月1日(2005.3.1)
【出願人】(506297762)ペプチミューン,インコーポレイテッド (8)
【出願人】(501029250)ザ・プレジデント・アンド・フェローズ・オブ・ハーバード・カレッジ (2)
【Fターム(参考)】