自己分散性粒子並びにその製造方法及び使用方法
X−[Y]n反応性基を有する反応性化合物を第2の化合物N−S−ZMと反応させて置換型反応性中間体[Y]a−X−(N−S−ZM)bを形成することと、粒子を置換型反応性中間体[Y]a−X−(N−S−ZM)bと反応させて置換型反応性中間体を粒子の表面に結合することにより表面改質型粒子を形成することと、を含む粒子の改質方法。粒子は、染料粒子、無機顔料粒子、添加剤、又はそれらの組合せの少なくとも1つを含み得る。Xは、スルホニル基、ホスホリル基、又は1,3,5−トリアジニル基であり得る。Yは、ハロゲン脱離性基であり得る。Nは、求核性基であり得る。Sは、有機基であり得る。ZMは、イオン化性末端基であり得る。また、nは1〜3の整数であり、bは1〜3の整数であり、かつa=n−bである。この場合、nは、b以上であり、かつ、bが2又は3のとき、各N−S−ZMは、同一であり得るかもしくは異なり得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子、より特定的には、染料粒子(例えば、ソルベント染料、分散染料、水不溶性染料、難溶性染料、又はそれらの組合せ)、無機顔料粒子、及び添加剤(例えば、昇華性UV吸収剤又は昇華性光学増白剤)の表面改質による自己分散性粒子の形成に関する。本発明はさらに、コーティング、金属コーティング、塗料、用紙、接着剤、ラテックス、トナー、テキスタイル、繊維、プラスチック(可撓性フィルム及びバルク材料)、化粧品、並びにインク(ただし、これらに限定されるものではない)をはじめとする自己分散性粒子の最終使用用途に関する。インクの特定例としては、用紙、テキスタイル、ポリエステル、繊維、プラスチック(可撓性フィルム及びバルク材料)、金属、金属加飾プラスチック、UV硬化、木材着色剤、筆記具、フェルトペン、人造繊維上への昇華プリント、コーティング付き天然繊維、コーティング付き材料、プラスチック、コーティング付き硬質基材、並びにカラーフィルターで用いられるプリントインクが挙げられるが、これらに限定されるものではない。最終使用の他の例としては、昇華プリント、転写プリント、ダイレクトプリント、及びインクジェットプリントの用途で用いられるプリントインクが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【背景技術】
【0002】
染料粒子、無機顔料粒子、及び添加剤を含む水性ディスパージョンは、インク、コーティング、塗料、用紙、接着剤、ラテックス、トナー、テキスタイル、繊維、木材着色剤、カラーフィルター、化粧品、及びプラスチック(ただし、これらに限定されるものではない)をはじめとする最終用途に関しては、水溶性染料よりも優れたいくつかの利点を提供し得る。例えば、それらは、水溶性染料と比較して、より大きい光学濃度及びエッジ鮮鋭度の少なくとも1つを呈し得る。そのほかに、昇華性を示す染料粒子及び添加剤は、一般的には、ディスパージョンとしてのみプリント可能である。残念ながら、これらの粒子はまた、貯蔵時に沈降する傾向を示す可能性もあるので、インクジェットインクのような要求の厳しい用途でのそれらの使用は、最初から制限される。染料粒子系インクの良好な安定性は、達成困難であろう。
【0003】
懸濁状態の染料粒子の安定化は、分散剤による安定化を用いて(すなわち、立体的及び/又は静電的な安定化を提供して)達成されてきたが、その結果は、工業的に利用可能であるとはいえ、限られた貯蔵寿命を有するにすぎない。コロイド安定性を得るための分散剤と組み合わせて粒子をサブミクロンレベルに粉砕するメディアミルの出現は、インクジェットインク配合物で染料ディスパージョンを使用する原動力となっている。しかしながら、分散剤は、ディスパージョンの粘度を増大させる可能性があり、結果的に、ディスパージョンを含有するインクをインクジェットプリントヘッド中の小オリフィスから噴射することが困難になる。さらに、分散剤は、以上に列挙された材料の調製コストを著しく増大させる可能性があるので、経済的にも不利である。分散剤は、一般的には、染料の表面に共有結合されないので、安定化を損なうおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、現在の染料粒子系(例えば、現在の水溶性染料系及び分散剤を利用する現在の染料粒子系)を含む現在の最終用途に典型的に関連する問題の少なくともいくつかを克服可能な自己分散型粒子の必要性が依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様では、粒子の改質方法を提供する。この方法は、X−[Y]n反応性基を有する反応性化合物を第2の化合物N−S−ZMと反応させて置換型反応性中間体[Y]a−X−(N−S−ZM)bを形成することと、粒子を置換型反応性中間体[Y]a−X−(N−S−ZM)bと反応させて置換型反応性中間体を粒子の表面に結合することにより表面改質型粒子を形成することと、を含み得る。粒子は、染料粒子、無機顔料粒子、添加剤、又はそれらの組合せの少なくとも1つを含み得る。Xは、スルホニル基、ホスホリル基、又は1,3,5−トリアジニル基であり得る。Yは、ハロゲン脱離性基であり得る。Nは、求核性基であり得る。Sは、有機基であり得る。ZMは、イオン化性末端基であり得る。また、nは1〜3の整数であり、bは1〜3の整数であり、かつa=n−bであり(ただし、nはb以上である)、しかもbが2又は3のとき各N−S−ZMは同一であり得るかもしくは異なり得る。
【0006】
他の態様では、粒子の他の改質方法を提供する。この方法は、反応性化合物基を粒子の表面に結合することを含み得る。粒子は、染料粒子、無機顔料粒子、添加剤、又はそれらの組合せの少なくとも1つを含み得る。続いて、イオン化性末端基を有する有機基質で反応性基を置換し得る。粒子は、ディスパースブルー14、ディスパースブルー19、ディスパースブルー72、ディスパースブルー334、ディスパースブルー359、ディスパースブルー360、ディスパースオレンジ25、ディスパースイエロー54、ディスパースイエロー64、ディスパースレッド55、ディスパースレッド60、マクロレックスレッドH、ディスパースブラウン27、ソルベントブルー67、ソルベントブルー70、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146、ソルベントレッド160、ソルベントイエロー162、ソルベントバイオレット10、ソルベントブラック29、アシッドイエロー204、アシッドイエロー151、アシッドオレンジ60、アシッドレッド182、アシッドレッド357、アシッドレッド359、アシッドブルー193、アシッドブラウン355、アシッドバイオレット90、アシッドブラック172、アシッドブラック194、アシッドブラック52、アシッドブラック60、酸化チタン(IV)、酸化鉄(III)、及び酸化亜鉛よりなる群から選択可能である。
【0007】
さらなる態様では、粒子のそのほかの改質方法を提供する。この方法は、反応性基X−Yを粒子の表面に結合することを含み得る。粒子は、染料粒子、無機顔料粒子、添加剤、又はそれらの組合せの少なくとも1つを含み得る。続いて、この方法は、有機基質N−S−ZMでYを置換して結合されたX−N−S−ZMを有する表面改質型粒子を形成することを含む。式中、Xは、スルホニル基、ホスホリル基、又は1,3,5−トリアジニル基であり、Yは、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素であり、Nは、アミン基、イミン基、ピリジン基、又はチオール基であり、Sは、置換型もしくは無置換型のアルキル、アリール、又は約300〜約8000の分子量範囲を有するポリマー鎖であり、Zは、カルボキシル基、スルホニル基、フェノール性基、ホスホリル基、アンモニウム基、トリメチルアンモニウム基、又はトリブチルアンモニウム基であり、かつMは、ハロゲン化物イオン、負荷電イオン、塩形プロトン、又は塩形カチオンである。
【0008】
他のさらなる態様では、粒子1グラムあたり約0.1〜約0.8ミリモルの活性水素を有する染料粒子、無機顔料粒子、添加剤、又はそれらの組合せを含み得る表面改質型粒子を提供する。
【0009】
他の態様では、染料粒子、無機顔料粒子、添加剤、又はそれらの組合せの少なくとも1つと、粒子1グラムあたり約0.1〜約0.8ミリモルの活性水素と等価な全量のアルカリ金属と、を含む粒子を含み得る表面改質型粒子を提供する。
【0010】
そのほかの態様では、染料粒子、無機顔料粒子、添加剤、又はそれらの組合せの少なくとも1つと、それに結合された(N−S−ZM)を含む基と、を含み得る改質型粒子を提供する。式中、Nは、求核性基であり、Sは、有機基であり、かつZMは、イオン化性末端基である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】ディスパースブルー359並びに実施例3及び10の改質型ディスパースブルー359サンプルの低分解能X線光電子分光(XPS)スペクトルを示している。
【図2】ディスパースブルー359並びに実施例3及び10の改質型ディスパースブルー359サンプルの高エネルギー分解能C1sスペクトルを示している。
【図3】ディスパースブルー359並びに実施例3及び10の改質型ディスパースブルー359サンプルの高エネルギー分解能O1sスペクトルを示している。
【図4】ディスパースブルー359並びに実施例3及び10の改質型ディスパースブルー359サンプルの高エネルギー分解能Na1sスペクトルを示している。
【図5】ディスパースイエロー54及び実施例5の改質型ディスパースイエロー54サンプルの低分解能X線光電子分光(XPS)スペクトルを示している。
【図6】実施例5の改質型ディスパースイエロー54サンプルの高エネルギー分解能Na1sスペクトルを示している。
【図7】ディスパースブラウン27及び実施例7の改質型ディスパースブラウン27サンプルの低分解能X線光電子分光(XPS)スペクトルを示している。
【図8】ディスパースブラウン27及び実施例7の改質型ディスパースブラウン27サンプルの高エネルギー分解能Na1sスペクトルを示している。
【図9】ディスパースブルー72及び実施例8の改質型ディスパースブルー72サンプルの低分解能X線光電子分光(XPS)スペクトルを示している。
【図10】ディスパースブルー72及び実施例8の改質型ディスパースブルー72サンプルの高エネルギー分解能Na1sスペクトルを示している。
【図11】ソルベントレッド146及び実施例16の改質型ソルベントレッド146サンプルの低分解能X線光電子分光(XPS)スペクトルを示している。
【図12】ソルベントレッド146及び実施例16の改質型ソルベントレッド146サンプルの高エネルギー分解能Na1sスペクトルを示している。
【図13】ソルベントブルー67及び実施例14の改質型ソルベントブルー67サンプルの低分解能X線光電子分光(XPS)スペクトルを示している。
【図14】実施例14の改質型ソルベントブルー67サンプルの高エネルギー分解能Na1sスペクトルを示している。
【図15】トリエトキシカプリリルシラン処理二酸化チタン顔料、二酸化チタン顔料、並びに実施例17及び18のそれぞれの改質型サンプルの低分解能X線光電子分光(XPS)スペクトルを示している。
【図16】実施例17及び18の改質型トリエトキシカプリリルシラン処理二酸化チタン顔料及び改質型二酸化チタン顔料の高エネルギー分解能N1sスペクトルを示している。
【図17】実施例17及び18の改質型トリエトキシカプリリルシラン処理二酸化チタン顔料及び改質型二酸化チタン顔料の高エネルギー分解能Na1sスペクトルを示している。
【図18】改質型トリエトキシカプリリルシラン処理二酸化チタン顔料、二酸化チタン顔料、並びに実施例17及び18のそれぞれの改質型サンプルの高エネルギー分解能Si2pスペクトルを示している。
【図19】改質型トリエトキシカプリリルシラン処理二酸化チタン顔料、二酸化チタン顔料、並びに実施例17及び18のそれぞれの改質型サンプルの高エネルギー分解能P2pスペクトルを示している。
【図20】黄色酸化鉄顔料及び実施例19の改質型黄色酸化鉄顔料の低分解能X線光電子分光(XPS)スペクトルを示している。
【図21】実施例19の改質型黄色酸化鉄顔料サンプルの高エネルギー分解能Na1sスペクトルを示している。
【図22】改質型二酸化チタン顔料ディスパージョンを用いて調製された水中油型エマルジョン(左上及び左下)並びにシリコーン中水型エマルジョン(右上及び右下)の写真を示している。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の任意の実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、その適用が以下の説明に示される成分の構成及び配置の詳細に限定されるものではないことを理解しなければならない。本発明は、他の実施形態が可能であり、かつ種々の方法で実習又は実施が可能である。また、本明細書中で用いられる表現及び用語は、説明を目的としたものであって限定するものとみなされるべきでないことも理解しなければならない。本明細書中での「including(〜を含む)」、「comprising(〜を含む)」、又は「having(〜を有する)」、及びそれらの変化形の使用は、その後に列挙された項目及びそれらの等価物並びに追加の項目を包含するものとみなされる。
【0013】
また、本明細書中に挙げられた数値範囲はいずれも、下限値から上限値までのすべての値を包含するものとみなされる。例えば、濃度範囲が1%〜50%と明記されている場合、2%〜40%、10%〜30%、又は1%〜3%等のような値が本明細書中に明示的に列挙されているものとする。これらは、具体的に意図されたものの例にすぎず、列挙された最低値及び最高値を含めてそれらの間の数値のすべての可能な組合せが本出願ではっきりと明記されているものとみなされる。
【0014】
一態様では、本発明は、シアヌル酸クロリドを約3当量の第2の化合物又は第2の化合物の混合物と反応させてすべての反応性塩素を置換することにより置換型トリアジンを形成することを含み得る粒子の改質方法を提供し得る。置換型トリアジンは、粒子の表面と反応して自己分散性粒子を形成し得る。
【0015】
他の態様では、本発明は、X−[Y]n反応性基を有する反応性化合物を第2の化合物N−S−ZMと反応させて置換型反応性中間体[Y]a−X−(N−S−ZM)bを形成することを含み得る粒子の改質方法を提供し得る。この方法はまた、粒子を置換型反応性中間体[Y]a−X−(N−S−ZM)bと反応させて置換型反応性中間体を粒子の表面に結合することにより自己分散性粒子を形成することをも含み得る。Xは、1,3,5−トリアジニル基を表す。Yは、ハロゲン等の脱離性基であり、Nは、求核性基であり、Sは、有機基であり、かつZMは、イオン化性末端基であり得る。また、nは、1〜3の整数であり、bは、1〜3の整数であり、かつa=n−bであり得る。この場合、nは、b以上であり、かつ、bが2又は3のとき、各N−S−ZMは、同一であり得るかもしくは異なり得る。
【0016】
さらなる態様では、本発明は、反応性基X−Yを粒子の表面に結合することを含み得る粒子の改質方法を提供し得る。続いて、Yを有機基質N−S−ZMで置換して結合されたX−S−ZMを有する自己分散性粒子を形成し得る。Xは、1,3,5−トリアジニル基を表す。Yは、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素等の脱離性基であり得る。Nは、アミン基、イミン基、ピリジン基、又はチオール基であり得る。Sは、置換型もしくは無置換型のアルキル、アリール、又は約300〜約8000の分子量範囲を有するポリマー鎖であり得る。Zは、カルボキシル基、スルホニル基、フェノール性基、ホスホリル基、アンモニウム基、トリメチルアンモニウム基、又はトリブチルアンモニウム基であり得る。Mは、ハロゲン化物イオン、負荷電イオン、塩形プロトン、又は塩形カチオンであり得る。
【0017】
他の態様では、本発明は、粉砕助剤と共に粒子をミル処理して分散することにより粒子ディスパージョンを形成することを含み得る粒子の改質方法を提供し得る。この方法はまた、X−[Y]n反応性基を有する反応性化合物を第2の化合物N−S−ZMと反応させて置換型反応性中間体[Y]a−X−(N−S−ZM)bを形成することをも含み得る。この方法はまた、ディスパージョンを置換型反応性中間体[Y]a−X−(N−S−ZM)bと反応させて置換型反応性中間体を粒子の表面に結合することにより自己分散性粒子を形成することをも含み得る。この方法はまた、粉砕助剤を含めて不純物を除去するために自己分散性粒子を精製することをも含み得る。Xは、1,3,5−トリアジニル基を表す。Yは、ハロゲン等の脱離性基であり、Nは、求核性基であり、Sは、有機基であり、かつZMは、イオン化性末端基であり得る。また、nは、1〜3の整数であり、bは、1〜3の整数であり、かつa=n−bであり得る。この場合、nは、b以上であり、かつ、bが2又は3のとき、各N−S−ZMは、同一であり得るかもしくは異なり得る。
【0018】
さらなる態様では、本発明は、シアヌル酸クロリドを約3当量の第2の化合物又は第2の化合物の混合物と反応させてすべての反応性塩素を置換することにより置換型トリアジンを形成することを含み得る粒子の改質方法を提供し得る。置換型トリアジンは、粒子(D)と分散剤又はポリマー(R)と水とを含み得る粒子ディスパージョン(D)(R)と反応して自己分散性粒子を形成し得る。この方法はまた、追加のポリマーを粒子ディスパージョンに添加することをも含み得る。追加のポリマーは、(R)と同一であっても異なっていてもよい。自己分散性粒子は、結合された少なくとも1種の置換型トリアジンと(R)と追加のポリマーとを有し得る。粒子ディスパージョン(D)(R)は、場合により、粒子をミル処理して分散することにより形成され得る。この方法はまた、未結合の分散剤及び/又はポリマーを含めて不純物を除去するために自己分散性粒子を精製することをも含み得る。各第2の化合物は、同一であり得るかもしくは異なり得る。基Rは、原料の粒子ディスパージョン中にすでに存在するオリゴマー、ポリマー、高分子樹脂、分散剤、もしくはバインダー、原料の粒子に添加されるオリゴマー、ポリマー、高分子樹脂、分散剤、もしくはバインダー、原料の粒子ディスパージョンに添加される追加のオリゴマー、ポリマー、高分子樹脂、分散剤、もしくはバインダー、又はそれらの組合せであり得る。
【0019】
一実施形態では、本発明は、粒子の改質方法を提供する。この方法は、反応性分子を介在させて荷電末端基(負又は正)を有する有機基を結合することにより表面安定化改質型粒子を製造することを含み得る。理論により限定されるものではないが、安定化は、サブミクロンサイズの粒子上に共有結合された類似荷電基の一様分布により発生する斥力により達成されると考えられる。
【0020】
さらに他の実施形態では、本発明は、以上に記載されるように粒子と好適な有機分子に結合された反応性中間体との反応により形成された自己分散性粒子を含むディスパージョンを提供する。水性環境中で安定な反応性中間体の選択は、本発明の他の態様である。
【0021】
他の実施形態では、本発明は、反応性基を粒子の表面に結合してからイオン化性末端基を有する有機基質で反応性基を置換することを含み得る粒子の改質方法を提供する。
【0022】
さらなる実施形態では、本発明は、粒子1グラムあたり約0.1〜約10ミリモルの硫黄及び約0.1〜約10ミリモルの活性水素を含む自己分散性粒子と水とを含むディスパージョンを提供する。
【0023】
他の態様では、本発明は、耐クロッキング堅牢性(耐水堅牢性)や耐摩擦性等の少なくとも1つの耐久性さらには深色度を増強する、粒子へのオリゴマー、ポリマー、高分子樹脂、分散剤、もしくはバインダーの結合物、又は自己分散性粒子を提供する。これらの性質は、ディジタルプリント等の本明細書中で検討される用途のいくつかに関連する。速いプリント速度及び少ないジェット体積(2〜5ピコリットル)もまた、とくにサーマルインクジェット用の低粘度インク配合物に影響を及ぼす。オリゴマー、ポリマー、高分子樹脂、分散剤、又はバインダーの結合は、量の要件を軽減する。そのほかに、ポリマーは、粒子と一緒に留まるので、同等の結果を有する低粘度の配合物を与える。
【0024】
自己分散性粒子の製造方法
本発明の一態様は、安定な自己分散性粒子の製造方法に関する。
【0025】
本明細書中で用いられる場合、「粒子」という用語は、水不溶性成分を意味する。粒子は、染料粒子、無機顔料粒子、添加剤、又はそれらの組合せの少なくとも1つを含み得る。
【0026】
本明細書中で用いられる場合、「染料粒子」という用語は、ソルベント染料、分散染料、水不溶性染料、難溶性染料、又はそれらの組合せの少なくとも1つを包含するものとする。染料粒子は、基材に色を付与するために使用され得る。基材の例としては、普通紙又はコート紙、フィルム、及びテキスタイルのような他の受容媒体(例えば、織布、不織布、ニットウェア等)が挙げられ得るが、これらに限定されるものではない。染料粒子は、微細ディスパージョンの形態をとり得る。
【0027】
本明細書中で用いられる場合、「無機顔料粒子」という用語は、基材(例えば、普通紙又はコート紙、フィルム、及び他のタイプの受容媒体)に色を付与するために使用される無機着色剤を包含するものとする。無機顔料粒子はまた、化粧品配合物に色を付与し得る。無機顔料粒子は、白色、黒色、さらには他の色であり得る。
【0028】
本明細書中で用いられる場合、「添加剤」という用語は、最終製品で特定の性質を改良又は提供し得る非染料の分子もしくは粒子又は非顔料の分子もしくは粒子を包含するものとする。添加剤の例としては、昇華性UV吸収剤や昇華性光学増白剤等の非染料分子が挙げられるが、これらに限定されるものではない。添加剤は無色であり得る。
【0029】
本明細書中で用いられる場合、「自己分散性」粒子という用語は、追加の分散剤がまったく存在しなくても粒子が安定な水性ディスパージョンを形成するようにその表面に共有結合された安定化基を有する粒子を意味する。
【0030】
本明細書中で用いられる場合、「安定」という用語は、少なくとも約3ヶ月間さらには6ヶ月間〜2年間にわたり周囲温度で貯蔵した時に測定される決定的性質(例えば、平均粒子サイズ、粘度、表面張力、及びpHの少なくとも1つ)の変化が10%未満であることにより実証されるような最小限の変化をエージング時に呈するディスパージョンを意味する。加速試験方法としては、少なくとも約1週間にわたる約60℃での熱安定性試験又は少なくとも約4週間にわたる約60℃での熱安定性試験が挙げられる。自己分散性粒子は、人造繊維(例えばポリエステル)上への昇華時に変動のないカラーイールドを示す。
【0031】
いくつかの実施形態では、「結合された」、「結合する」、又は「結合」とは、直接的もしくは間接的なものであり得る。
【0032】
第1の実施形態では、自己分散性粒子の製造方法は、一般的には、(1)粒子(D)を、X−Y反応性基を有する反応性化合物及びハロゲン含有試薬と、反応させて、反応性基X−Yを粒子(D)の表面に結合することにより、粒子反応性中間体(D)X−Yを形成することと、(2)粒子反応性中間体(D)X−Yを第2の化合物N−S−ZMと反応させて自己分散型粒子(D)−X−S−ZMを形成することと(「置換工程」)、を含む。この実施形態に係る一例としては、反応性基X−Yを粒子の表面に結合することと、続いて、Yを有機基質N−S−ZMで置換して結合されたX−S−ZMを有する自己分散性粒子を形成することと、を含み得る粒子の改質方法が挙げられ得るが、これに限定されるものではない。
【0033】
第2の実施形態では、自己分散性粒子(D)−X−S−ZMの製造方法は、(1)X−Y反応性基を有する反応性化合物を第2の化合物N−S−ZMと反応させて置換型反応性中間体X−S−ZMを形成することと(「置換工程」)、(2)第2の置換反応を用いて粒子(D)を置換型反応性中間体X−S−ZMと反応させて置換型反応性中間体X−S−ZMを粒子の表面に結合することにより自己分散性粒子(D)−X−S−ZMを形成することと、を含み得る。この実施形態に係る一例としては、X−[Y]n反応性基を有する反応性化合物を第2の化合物N−S−ZMと反応させて置換型反応性中間体[Y]a−X−(S−ZM)bを形成することと、粒子を置換型反応性中間体[Y]a−X−(S−ZM)bと反応させて置換型反応性中間体を粒子の表面に結合することにより自己分散性粒子を形成することと、を含み得る粒子の改質方法が挙げられ得るが、これに限定されるものではない。式中、nは、1〜3の整数であり、bは、1〜3の整数であり、かつa=n−bであり、ただし、nは、b以上であり、かつ、bが2又は3のとき、各N−S−ZMは、同一であり得るかもしくは異なり得る。一実施形態では、bが2又は3のとき、各N−S−ZMは異なり得る。
【0034】
第3の実施形態では、自己分散性粒子(D)−X−S−ZMの製造方法は、(1)X−Y反応性基を有する反応性化合物を第2の化合物N−S−ZMと反応させて第1の置換型反応性中間体X−S−ZMを形成することと(「置換工程」)、(2)X−Y反応性基を有する反応性化合物を工程(1)とは異なる第2の化合物N2−S2−Z2M2と反応させて第2の置換型反応性中間体X−S2−Z2M2を形成することと(「置換工程」)、(3)粒子(D)を置換型反応性中間体X−S−ZM及びX−S2−Z2M2と反応させて置換型反応性中間体を結合することにより自己分散型粒子Z2M2−S2−X−(D)−X−S−ZMを形成することと、を含み得る。場合により、S−ZM及びS2−Z2M2は、同じであり得るうえに、反応性基はすべて、置換されるであろう。粒子表面への最終的結合は、ラジカル支援型不均化反応の1つであり得る。
【0035】
第4の実施形態では、自己分散性粒子(D)−X−S−ZMの製造方法は、(1)粉砕助剤を用いて粒子をミル処理して分散することにより水性粒子ディスパージョンを形成することと、(2)X−Y反応性基を有する反応性化合物を第2の化合物N−S−ZMと反応させて第1の置換型反応性中間体X−S−ZMを形成することと(「置換工程」)、(3)X−Y反応性基を有する反応性化合物を工程(2)とは異なる第2の化合物N2−S2−Z2M2と反応させて第2の置換型反応性中間体X−S2−Z2M2を形成することと(「置換工程」)、(4)ラジカル開始反応を用いて、粉砕助剤を用いてあらかじめミル処理された粒子(D)を置換型反応性中間体X−S−ZM及びX−S2−Z2M2と反応させて、置換型反応性中間体X−S−ZM及びX−S2−Z2M2を粒子の表面に結合することにより、自己分散性粒子Z2M2−S2−X−(D)(R)−X−S−ZMを形成することと、(5)粉砕助剤を含めて不純物を除去するために自己分散型粒子を精製することと、を含み得る。場合により、S−ZM及びS2−Z2M2は、同一であり得る。
【0036】
第5の実施形態では、自己分散性粒子(D)(R)−X−S−ZMの製造方法は、(1)場合により、粒子をミル処理して分散することにより水性粒子ディスパージョン(D)(R)を形成することと(この水性粒子ディスパージョン(D)(R)は、粒子(D)と分散剤又はポリマー(R)と水とを含む)、(2)シアヌル酸クロリドを約3当量の第2の化合物SZM又は第2の化合物の混合物(SZM、S2Z2M2、及びS3Z3M3)と反応させてすべての反応性塩素を置換することにより置換型トリアジンを形成することと、(3)置換型トリアジンを水性粒子ディスパージョン(D)(R)と反応させて自己分散型粒子(D)(R)−X−S−ZM、−X−S2−Z2M2、−X−S3−Z3M3を形成することと(ただし、X−S−ZM、−X−S2−Z2M2、−X−S3−Z3M3の1つ以上は、(D)(R)に結合される)、4)未結合の分散剤を含めて不純物を除去するために自己分散型粒子を精製することと、を含み得る。場合により、S−ZM、S2−Z2M2、S3−Z3M3は、同一であり得るかもしくは異なり得る。この実施形態では、Xはトリアジン基であり得る。
【0037】
第6の実施形態では、自己分散性粒子(D)(R)−X−S−ZMを製造するために、ポリマー添加剤で安定化された粒子ディスパージョンを固体粒子の代わりに使用し得る。
【0038】
置換工程時、X−Y反応性基の少なくとも1つの脱離性基Yは、第2の化合物N−S−ZMで置換される。一例では、置換工程時、シアヌル酸クロリドの少なくとも1つの塩素は、第2の化合物N−S−ZMで置換されるが、これに限定されるものではない。Nは、アミン、イミン、ピリジン、又はチオールをはじめとする求核性基であるが、これらに限定されるものではない。Sとしては、置換型もしくは無置換型の、アルキル、アリール、及び約1〜100個超の炭素を有するか又は約300〜約8000の分子量範囲を有するポリマー鎖等の有機基が挙げられ得るが、これらに限定されるものではなく、負電荷による安定化の場合、ZMは、酸性テール基であり、Zは、カルボキシル、スルホニル、フェノール性、及びホスホリルであり得るが、これらに限定されるものではなく、かつMは、プロトン又は塩形として存在するときカチオンのいずれかであり得る。
【0039】
置換反応は、粒子の表面に電荷及び嵩高さを付与し得る。置換工程は、水性媒体中で行われ得る。酸性テールの官能基の選択は、最終用途により決定されるが、塩基性ヘッドの官能基は、脱離性基Yを置換するのに十分な求核性を有していなければならない。一例では、塩基性ヘッドの官能基は、シアヌル酸クロリド中の塩素を置換するのに十分な求核性を有していなければならないが、これらに限定されるものではない。第2の化合物は、ポリマー、アミン、アミノ酸、アルコール、チオール、及びそれらの組合せを含み得る。第2の化合物(N−S−ZM及びN2−S2−Z2M2、N3−S3−Z3M3)の例としては、アミノ安息香酸、アミノベンゼンスルホン酸、アミノフェノール、アミノスルホン酸、ポリエトキシル化アミノ酸、ナトリウムスルファニレート、スルファニル酸、ナトリウムp−アミノベンゾエート、p−アミノフェノール、エチル4−アミノベンゾエート、タウリン、オレイン酸(アミノ)、ナトリウムアミノオレエート、テトラメチルアンモニウム4−アミノベンゾエート、及びナトリウム4−アミノフェノラートが挙げられるが、これらに限定されるものではない。追加の第2の化合物は、有機高分子基質を含む。有機高分子基質の例としては、SMA(ポリスチレン−co−無水マレイン酸樹脂)、ポリ(スチレン−co−無水マレイン酸)クメン末端樹脂、PEI、PEHA、SA(スチレン−アクリル)、ペンタエチレンヘキサアミン、「Surfonamine」という商品名でHuntsman Chemicalsから入手可能な300〜3000MWの既知の分子量範囲を有する線状アルキル並びに分岐状エトキシ及びプロポキシの鎖状ポリマー、線状ポリエトキシ高分子アミン、線状プロポキシ高分子アミン、「Joncryl」という商品名でBASFから入手可能なスチレンアクリルコポリマー、さらには「Epomine」という商品名で販売されているポリエチレンイミンが挙げられ得るが、これらに限定されるものではない。
【0040】
正電荷による安定化の場合、ZMは、正荷電第四級アンモニウムタイプのテール基であり得る。ここで、Zは、アンモニウム、トリメチルアンモニウム、及びトリブチルアンモニウムであり得るが、これらに限定されるものではなく、かつMは、ハロゲン化物イオン又は任意の負荷電イオンであり得る。第2の化合物N−S−ZM、N2−S2−Z2M2、及びN3−S3−Z3M3の例としては、単純ジアミノ芳香族化合物、又はポリエチレンイミン、ポリグアニジン、第四級アンモニウム化合物等よりなるカチオン性ポリマーが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0041】
最終的自己分散性粒子は、第1及び第2の実施形態では式(D)−X−S−ZMにより表され得る。いくつかの例では、異なる第2の化合物を含む、粒子に結合された複数の−S−ZMが存在し得る。第3の実施形態では、最終的自己分散性粒子は、式Z2M2−S2−X−(D)−X−S−ZMにより表され得る。第4の実施形態では、最終的自己分散性粒子は、式Z2M2−S2−X−(D)(R)−X−S−ZMにより表され得る。第5の実施形態では、最終的自己分散性粒子は、式(D)(R)−X−S−ZM、−X−S2−Z2M2、−X−S3−Z3M3により表され得る。ただし、X−S−ZM、−X−S2−Z2M2、−X−S3−Z3M3の1つ以上は、(D)(R)に結合される。第6の実施形態では、最終的自己分散性粒子は、式(D)(R)−X−S−ZMにより表され得る。また、最終的に、N、Z、M、及びSを変更する「2」又は「3」の使用は、N、Z、M、及びS、並びにMN2、Z2、M2、及びS2、並びにN3、Z3、M3、及びS3が互いに同一であり得るかもしくは異なり得ることを意味するものとする。N2、Z2、M2、及びS2、並びにN3、Z3、M3、及びS3は、N、Z、M、及びSに関して以上に示されたのと同一の選択肢から選択され得る。
【0042】
Rは、オリゴマー、ポリマー、高分子樹脂、分散剤、又はバインダーであり得る。一実施形態では、分散剤は、活性化されてラジカルを形成し粒子の表面に結合し得る官能基を有するポリマーであり得る。Rは、原料の粒子ディスパージョン中にすでに存在するオリゴマー、ポリマー、高分子樹脂、分散剤、もしくはバインダー、原料の粒子に添加されるオリゴマー、ポリマー、高分子樹脂、分散剤、もしくはバインダー、原料の粒子ディスパージョンに添加される追加のポリマー、高分子樹脂、分散剤、もしくはバインダー、又はそれらの組合せであり得る。ポリマーの特定例としては、SMA(ポリスチレン−コ−無水マレイン酸樹脂)、ポリ(スチレン−コ−無水マレイン酸)クメン末端樹脂、PEI、PEHA、SA(スチレン−アクリル)、ペンタエチレンヘキサアミン、「Surfonamine」という商品名でHuntsman Chemicalsから入手可能な300〜3000MWの既知の分子量範囲を有する線状アルキル並びに分岐状エトキシ及びプロポキシの鎖状ポリマー、線状ポリエトキシ高分子アミン、線状プロポキシ高分子アミン、「Joncryl」という商品名でBASFから入手可能なスチレンアクリルコポリマー、「Epomine」という商品名で販売されているポリエチレンイミン、さらにはAlberdingk、Bayer(Impranil)、Huntsman Specialty(Dicrylan)により作製されるようなPU樹脂が挙げられるが、これらに限定されるものではない。オリゴマーの特定例としては、ウレタン−アクリレート、ポリエステル−アクリレート、及びPEG−アクリレート(Cytec製、Sartomer製、Rahn製)が挙げられる。
【0043】
本発明の例示に役立てるべく、第2の実施形態の特定例を以下に提供する。式中、Dは粒子を表す。
【化1】
【0044】
本発明の例示に役立てるべく、第3の実施形態の特定例を以下に提供する。式中、Dは粒子を表す。
【化2】
【0045】
本発明の例示に役立てるべく、第5の実施形態の特定例を以下に提供する。式中、Dは粒子を表し、かつRは、ポリマー、高分子樹脂、又は分散剤を表す。
【化3】
【0046】
より一般的にいえば、自己分散性粒子は、原料の粒子又はウェットプレスケークをミル処理して微細粉砕物(典型的には約200nm未満)にしてから安定化基として小有機分子を結合することにより形成可能である。本明細書に記載のものをはじめとする表面改質化学はまた、原料の粒子と分散剤と水とを含む原料の粒子ディスパージョンでも使用可能である。当技術分野で公知のように1種もしくは複数種の分散剤及び添加剤を用いて原料の粒子を分散し、原料の粒子ディスパージョンを形成することが可能である。原料の粒子(例えば粉末形態のもの)ではなく原料の粒子ディスパージョンは、本明細書中に記載の表面改質技術さらには当技術分野で周知の他の表面改質技術で使用可能である。それに加えて、原料の粒子ディスパージョン及び原料の粒子は、本明細書中に記載の表面改質技術で一緒に使用可能である。原料の粒子、原料の粒子ディスパージョン、自己分散性粒子、及び原料の粒子ディスパージョンの自己分散性粒子の任意の組合せが、本明細書中に記載の表面改質技術で使用可能である。
【0047】
原料の粒子ディスパージョンを改質するために以上の表面改質化学のいずれかを用いる場合、原料の粒子ディスパージョン中の分散剤さらには以上に記載の化合物は、表面改質時に原料の粒子の表面に結合可能である。このようにして、ラジカル形成可能な分散剤及び置換型反応性中間体(例えばX−S−ZM)は、粒子の表面に同時に結合可能である。これにより、安定な粒子ディスパージョンを形成可能である。表面改質プロセス時に粒子の表面に結合しない残留分散剤はすべて、すなわち、粒子に単に吸着されているだけで結合されていない分散剤はすべて、精製プロセスを介して除去可能である。
【0048】
一実施形態では、市販の粒子ディスパージョンは、なんらミル処理を必要とすることなく改質可能である。より小さい粒子が望まれる場合、ディスパージョンは、結合プロセスの前に又はその任意の時点でミル処理可能である。例えば、Buhlerマイクロメディアミルを使用することが可能である。さらなる実施形態では、分散剤は、原料の粒子に添加可能であり、次に、粒子及び分散剤は、結合プロセスの前に又はその任意の時点でミル処理可能である。他のさらなる実施形態では、分散剤は、原料の粒子に添加可能であり、次に、粒子及び分散剤は、ミル処理可能であり、又は原料の粒子ディスパージョンは、ミル処理可能であり、かつ追加のポリマー又は置換型反応性中間体は、ミル処理の前に又はその任意の時点で添加可能である。粉砕助剤もまた、原料の粒子及び分散剤と共にミル処理可能である。添加される分散剤の量は、粒子の表面に結合される分散剤の最終量に影響を及ぼすように制御可能である。化学処理の前に行われるミル処理では、通常のミルチャンバー及び部品を使用して結合プロセス時の再凝集を防止することが可能である。
【0049】
このプロセスを用いることにより改質された粒子は、従来方式で分散された粒子よりも低い粘度及び高い表面張力を有し得る。
【0050】
必ずしも全部というわけではないがいくつの実施形態では、方法、改質型粒子、又は改質型粒子を含むディスパージョンは、元素金属及び合金、ポリマー(例えばポリウレタン)、クレー、ゾルゲル、プラスチックビーズ、又はラテックス塗料を除外することもある。
【0051】
本発明の実施形態は、以下でより詳細に考察される。一般的には、自己分散性粒子の製造方法は、粒子の供給源の選択から開始される。
【0052】
粒子
本発明に従って表面改質可能な染料粒子は、Color Indexに準拠して分散染料及びソルベント染料とみなされるすべての色素を包含する。本発明に従って表面改質可能な染料粒子としては、ディスパースブルー14、ディスパースブルー19、ディスパースブルー72、ディスパースブルー334、ディスパースブルー359、ディスパースブルー360、ディスパースオレンジ25、ディスパースイエロー54、ディスパースイエロー64、ディスパースレッド55、ディスパースレッド60、マクロレックスレッドH、ディスパースブラウン27、ソルベントブルー67、ソルベントブルー70、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146、ソルベントレッド160、ソルベントイエロー162、ソルベントバイオレット10、ソルベントブラック29、アシッドイエロー204、アシッドイエロー151、アシッドオレンジ60、アシッドレッド182、アシッドレッド357、アシッドレッド359、アシッドブルー193、アシッドブラウン355、アシッドバイオレット90、アシッドブラック172、アシッドブラック194、アシッドブラック52、及びアシッドブラック60が挙げられ得るが、これらに限定されるものではない。他の好適な材料は、Macrolex(Lanxessから入手可能)及びElbasolという商品名で入手可能である。
【0053】
本発明で使用可能な市販の水性染料粒子ディスパージョン(D)(R)の例としては、Bafixan(BASF)、Foron(Clariant)、Transcorona(Huber)、及びPapicel(Eastwell)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。Sensient Imaging Technologies−Specialty Inks and Colors(Switzerland)から入手可能な染料粒子ディスパージョンの例としては、Teraprint、Subli、及びElvajetの製品が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0054】
利用される染料粒子の品質は、平均粒子サイズ、不透明性、色調、安定性等のディスパージョンの決定的性質に影響を及ぼし得る。しかしながら、本発明の一実施形態では、本発明に係る表面改質技術でより低品質の染料粒子を用いて良品質の完成品を製造することが可能である。本発明に係る自己分散性染料粒子の精製プロセスでは、原料の染料粒子又は原料の染料粒子ディスパージョンに由来する不純物を除去することが可能である。
【0055】
染料粉末及びウェットプレスケーク状染料は、さまざまな粒子サイズで入手可能である。一般的には、より小さい粒子サイズは、より大きい表面積に関連付けられ、より大きい表面積は、より高濃度の親水性表面基を収容可能であるので、究極的に水性系媒体中での染料の分散能を増強する。したがって、粒子サイズは、自己分散性染料粒子の分散能に影響を及ぼし得る。例えば、乾燥粉末状の典型的な分散染料の平均一次粒子サイズは、約0.1〜100ミクロン、特定的には約1〜20ミクロンである。大きい寸法を有する染料粒子は、当業者に公知の任意の数の技術を用いて表面改質前又は表面改質時に所望のサイズに細粒化可能である。そのような技術としては、ボールミル、アトライター、フロージェットミキサー、インペラーミル、コロイドミル、及びサンドミル(例えば、「Super Mill」、「Agitator Mill」、「Dyno−mill」、又は「Beads Mill」という商品名で市販されているもの)が挙げられ得るが、これらに限定されるものではない。ミルメディアとしては、ガラスビーズ、ジルコニアビーズ、及びステンレス鋼ビーズが挙げられ得るが、これらに限定されるものではない。ミルメディアは、約0.01mm〜約5mm、特定的には約0.1mm〜約3mmのサイズ範囲内の粒子を含み得る。
【0056】
本発明に従って表面改質可能な無機顔料粒子としては、金属酸化物、金属ホウ酸塩、金属硫酸塩、金属硫化物、金属クロム酸塩、金属炭酸塩、金属セレン化物、及びそれらの組合せが挙げられ得るが、これらに限定されるものではない。いくつかの実施形態では、好適な無機顔料としては、例えば、酸化チタン(IV)、酸化鉄(III)、酸化亜鉛、又はそれらの組合せが挙げられ得る。
【0057】
本発明に従って表面改質可能な他の無機顔料としては、FDAにより承認された顔料が挙げられ得るが、これらに限定されるものではない。これらは、化粧品用途に好適であり得る。化粧品で使用可能な許容される無機顔料は、21 C.F.R.§§70−82(参照により本明細書に組み入れられるものとする)中に見いだし得る。
【0058】
粒子は、さまざまな粒子サイズで入手可能である。一般的には、より小さい粒子サイズは、より大きい表面積に関連付けられ、より大きい表面積は、より高濃度の親水性表面基を収容可能であるので、究極的に水性系媒体中での顔料の分散性を増強する。したがって、粒子サイズは、表面改質型粒子の分散性に影響を及ぼし得る。例えば、本発明での粒子の平均一次粒子サイズは、約50nm未満、特定的には約30nm未満、特定的には約20nm未満、より特定的には約10nm未満であり得る。粒子の凝集体は、約200nm未満、特定的には約150nm未満、より特定的には約100nm未満であり得る。粒子の表面積は、約100m2/g超、特定的には約150m2/g超、より特定的には約200m2/g超であり得る。より大きい寸法を有する粒子は、当業者に公知の任意の数の技術を用いて表面改質前又は表面改質時に所望のサイズに細粒化可能である。そのような技術としては、ボールミル、アトライター、フロージェットミキサー、インペラーミル、コロイドミル、及びサンドミル(例えば、「Super Mill」、「Agitator Mill」、「Dyno−mill」、又は「Beads Mill」という商品名で市販されているもの)が挙げられ得るが、これらに限定されるものではない。ミルメディアとしては、ガラスビーズ、ジルコニアビーズ、プラスチックビーズ、及びステンレス鋼ビーズが挙げられ得るが、これらに限定されるものではない。ミルメディアは、約0.01mm〜約5mm、好適には約0.1mm〜約3mmのサイズ範囲内の粒子を含み得る。顔料が容易に砕けるのであれば、ロータリーホモジナイザー又は超音波ホモジナイザーを用いて粒子サイズを低減することが可能である。
【0059】
いくつかの例では、自己分散性粒子の生成前に、粒子を湿潤させ、粉砕助剤及び/又は高分子樹脂を用いてナノサイズの粒子にミル処理して分散させることが可能である。粒子は、粉砕助剤を用いてミル処理する前、粉末又はウェットケークの形態をとり得る。ミル処理は、置換型反応性中間体又は追加のポリマーとの反応前、反応の任意の時点、又は反応後に行い得る。結合反応が終了した後、当業者に公知の精製方法を用いて未結合の粉砕助剤/樹脂を除去し、主として結合された基質を有する改質型顔料と水とを含有するディスパージョンを形成することが可能である。粉砕助剤の例としては、Triton X−100(Ashland Inc.,Dublin,OHから入手可能)、Igepal CA−630(Rhodia,Cranbury,NJから入手可能)、Surfynol CT121、131、141,及び231(Air Products,Allentown,PAから入手可能)、並びにLemantex Binder(Sensient Imaging Technologies S.A.,Switzerlandから入手可能)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0060】
そのような例では、不均化させて結合プロセスを促進するためにペルスルフェート部分等のラジカル開始剤が使用される。いくつかの実施形態では、反応は、約25℃〜約90℃の温度で実施可能である。粒子は、顔料と置換型トリアジンとの反応前、反応時、又は反応後に約100nm未満にミル処理可能である。脱泡剤は、起泡を防止するために必要に応じて添加可能である。染料溶液及び/又は界面活性剤は、粒子を湿潤させるために必要に応じて使用可能である。
【0061】
添加剤の例としては、2−[2−ヒドロキシ−5−メチル−3−(t−ブチル)フェニル]−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール等の昇華性UV吸収剤、ベンゾオキサゾール誘導体Hostalux KCB(Clariant)等の昇華性光学増白剤、及びそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0062】
いくつかの例では、自己分散性粒子の生成前に、粒子を湿潤させ、粉砕助剤及び/又は高分子樹脂を用いてナノサイズの粒子にミル処理して分散させることが可能である。粒子は、粉砕助剤及び/又は高分子樹脂を用いてミル処理する前、粉末又はウェットケークの形態をとり得る。ミル処理は、置換型反応性中間体又は追加のポリマーとの反応前、反応の任意の時点、又は反応後に行い得る。結合反応が終了した後、当業者に公知の精製方法を用いて未結合の粉砕助剤/樹脂を除去し、主として結合された基質を有する自己分散性顔料と水とを含有するディスパージョンを形成することが可能である。粉砕助剤の例としては、限定されるものではないが、Triton X−100(Ashland Inc.,Dublin,OHから入手可能)、Igepal CA−630(Rhodia,Cranbury,NJから入手可能)、Surfynol 104、CT121、131、141、及び231(Air Products,Allentown,PAから入手可能)、Efka(CIBA Specialty chemicals,Switzerlandから入手可能)、Simulsol(Seppic,Franceから入手可能)、種々の陰イオン性粉砕助剤、例えば、限定されるものではないが、Mead Westvaco製、Borregaard製のリグノスルホネート及びNufarm製、Rohm&Haas製のナフタレン酸−ホルムアルデヒド縮合物のスルホネート等が挙げられる。
【0063】
第2の実施形態の一例では、シアヌリル基を含む反応性化合物は、有機基を含む第2の化合物で置換される。次に、置換型反応性中間体−X−S−ZMは、シアヌル酸クロリドを用いて粒子に結合される。pHと反応温度と持続時間との組合せにより、いくつの基が粒子の表面に結合されるかが決定される。一実施形態では、反応は、粒子30グラムあたり15グラムの4−アミノ安息香酸及び29.6グラムを用いて行われる。
【0064】
いくつかの実施形態では、有機基を含む第2の化合物とシアヌル酸クロリドと水と氷と塩基とのスラリーが形成される。有機基を含む第2の化合物は、粒子の所望の最終用途により選択され得る。
【0065】
第3の実施形態の一例では、シアヌリル基を含む反応性化合物は、同一であっても異なっていてもよい2種の有機基を含む第2の化合物で置換される。次に、2種の置換型反応性中間体X−S−ZM及びX−S2−Z2M2は、シアヌル酸クロリドを用いて粒子に結合される。pHと反応温度と持続時間との組合せにより、いくつの基が粒子の表面に結合されるかが決定される。このプロセスは、最初に有機基を含む第2の化合物とシアヌル酸クロリドと水と氷と塩基とのスラリーを用いて反応させることにより、逐次的に行うことが可能である。有機基を含む異なる第2の化合物とシアヌル酸クロリドと水と氷と酸と塩基との第2のスラリーは、逐次処理を完了させるために使用される。
【0066】
シアヌリルクロリドと第2の化合物との比は、典型的には、化学量論により決定され、濃度は、良好な混合を可能にするように制御される。シアヌル酸クロリドと第2の化合物との反応は、混合しながら約2時間〜約4時間にわたり行い得る。
【0067】
第3の実施形態の一例では、シアヌリルクロリド中の反応性塩素はすべて、粒子との反応の前に化学量論(3個の塩素をすべて置換するには3当量)及び温度(約90℃のより高い温度)を操作することにより第2の化合物又は第2の化合物の混合物により置換される。この反応では、粒子の表面改質を容易にする置換型トリアジンが形成される。第2の化合物の混合物は、1、2、もしくは3種の異なる第2の化合物を含み得る。そのような例では、不均化させて結合プロセスを促進するためにペルスルフェート部分等のラジカル開始剤が使用される。
【0068】
本発明のいくつかの実施形態では、不均化させて結合プロセスを促進するためにペルスルフェート部分等のラジカル開始剤が使用される。いくつかの実施形態では、反応は、約25℃〜約90℃、特定的には約40℃〜60℃の温度で実施可能である。粒子は、粒子と置換型トリアジンとの反応前、反応時、又は反応後に約100nm未満にミル処理可能である。粒子は、約2〜約20時間、特定的には約4〜約15時間、より特定的には約7〜約11時間にわたりミル処理可能である。脱泡剤は、起泡を防止するために必要に応じて添加可能である。
【0069】
粒子と反応性化合物又は酸誘導体を含む第2の基との反応では、反応混合物のpHを低下させ得る酸性表面基が形成され得る。pHの低下は、置換時に自己分散性粒子ディスパージョン又は反応性化合物と第2の化合物とのスラリーの不安定化を引き起こすおそれがあり、また粘度増加を引き起こすおそれもある。したがって、pHは、塩基性試薬による置換前及び置換時に必要に応じて調整可能である。置換時の反応混合物のpHは、約7以上、特定的には約8以上、より特定的には約9以上であり得る。pHは、例えば塩基の添加をはじめとする当技術分野で公知の任意の方法により調整可能である。好適な塩基としては、水酸化アルカリ及びカルシウムを含まない水酸化アルカリ(例えば、NaOH、KOH、LiOH、NH4OH)、炭酸アルカリ及び重炭酸アルカリ(例えば、NaHCO3、KHCO3)、並びに有機塩基(例えば、ジメチルエタノールアミン及びトリエタノールアミン)挙げられ得るが、これらに限定されるものではない。特定的には、好適なpH調整剤は、カルシウムを含まない水酸化ナトリウムを含む。
【0070】
自己分散性粒子
以上に記載の反応が終了した後、自己分散性粒子は、乾燥粉末として反応混合物から単離可能である。得られた自己分散性粒子は、未反応原料、副生成物塩、及び他の反応不純物を除去するために、当業者に公知の任意の数の技術を用いることにより精製可能である。精製技術としては、濾過、遠心分離、又は両者の組合せが挙げられ得るが、これらに限定されるものではない。自己分散性粒子はまた、例えばエバポレーションにより単離可能であるか、又は濾過及び当業者に公知の技術を用いた乾燥により回収可能である。
【0071】
他の選択肢として、自己分散性粒子は、濃縮された水性粒子ディスパージョンとして供給可能である。本発明に係る自己分散性粒子のディスパージョンは、有機及び無機の不純物並びに製造プロセスの結果としてディスパージョン中で共存し得る他の望ましくない遊離種を除去するために精製可能である。精製技術としては、水洗、逆浸透、及び限外濾過が挙げられ得るが、これらに限定されるものではない。いくつかの実施形態では、溶存不純物は、固形分10%に調整された供給サンプルの塩化物及び硫酸塩の含有率が約150ppm未満、特定的には約100ppm未満、より特定的には約25ppm未満になるまで、限外濾過により除去可能である。必要であれば、ディスパージョンのpHは、精製前に調整可能である。ディスパージョンのpHを少なくとも約7、特定的には少なくとも約8、より特定的には少なくとも約9に調整するのに十分な量の酸又は塩基を添加することが可能である。これは、ディスパージョンのpHが約7〜約9である実施形態を包含する。ディスパージョンは、所望により、水の一部を除去することにより濃縮可能である。いくつかの実施形態では、ディスパージョンは、少なくとも固形分約8%に、他の実施形態では、少なくとも固形分約14%に、さらに他の実施形態では、少なくとも固形分約20%に濃縮される。これは、ディスパージョンが固形分約8%〜約16%に濃縮される実施形態を包含する。他の実施形態では、ディスパージョンは、少なくとも固形分約10%に、他の実施形態では、少なくとも固形分約18%に、さらに他の実施形態では、少なくとも固形分約20%に濃縮される。これは、ディスパージョンが固形分約8%〜約14%に濃縮される実施形態を包含する。
【0072】
微生物の増殖を阻害するために殺生物剤をディスパージョンに添加することも可能である。好適な殺生物剤の例としては、ナトリウムベンゾエート、ペンタクロロフェノールナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキシドナトリウム、ナトリウムソルベート、ナトリウムデヒドロアセテート、ベンゾイソチアゾリノン、1,2−ジベンゾチアゾリン−3−オン、メチルイソチアゾリノン、クロロメチルイソチアゾリノン、及び1−(3−クロロアリル)−3,5,7−トリアザ−1アゾニアアダマンタンクロリド(CTAC)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。市販の殺生物剤としては、Proxel(登録商標)CRL、Proxel(登録商標)BDN、Proxel(登録商標)GXL、Proxel(登録商標)XL−2、及びProxel(登録商標)TN(Arch Chemicals,Smyrna,GAから入手可能)、Nipacide TBX(Clariant,Charlotte,NCから入手可能)、並びにXBINX(登録商標)(PMC Specialties Group,Inc.,Cincinnati,Ohioから入手可能)が挙げられる。典型的には、少量、例えば0.05〜5重量%、特定的には0.1〜1重量%、より特定的には0.2〜0.4重量%の殺生物剤がディスパージョンで使用される。これは、0.3重量%の殺生物剤を包含する。
【0073】
ディスパージョンに流動性及び安定性を付与するための作用剤を添加することも可能である。そのような作用剤の例は、1991年10月22日発行の米国特許第5,059,248号明細書、1997年1月7日発行の米国特許第5,591,455号明細書、及び1997年1月21日発行の米国特許第5,595,592号明細書(それらはいずれも参照により本明細書に組み入れられるものとする)中に見いだし得る。例としては、線状脂肪族置換型グリシン化合物及びその塩が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本明細書中で用いられる場合、「線状脂肪族置換型グリシン」という用語は、グリシンのアミノ基が線状脂肪族基で置換されたグリシン化合物を意味する。本発明の実施で使用可能なこのタイプの作用剤の例としては、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、ヒドロキシエチレンジアミン三酢酸、ジヒドロキシエチルグリシン、イミノ二酢酸、及びエタノールジグリシン、並びにそれらのアルカリ金属(例えばナトリウム)塩、アルカリ土類金属(例えばカルシウム)塩、及びアンモニウム塩が挙げられる。当業者に公知の他の類似の線状脂肪族置換型グリシン化合物及びその塩を使用することも可能である。いくつかの実施形態では、入手可能性、費用効率、及び非毒性が理由で、エチレンジアミン四酢酸の以上に挙げられた塩が使用される。いくつかの実施形態では、これらの作用剤は、ディスパージョン組成物中の粒子の約0.5〜3.5重量%、好ましくは約1.5〜2.5重量%を構成し得る。
【0074】
ディスパージョンは、ディスパージョンの指定最終使用の必要に応じてフィルターカートリッジに通して濾過可能である。いくつかの実施形態では、フィルターカートリッジの公称細孔サイズは、約5ミクロン以下、特定的には約1ミクロン以下、特定的には約0.5ミクロン以下、より特定的には約0.2ミクロン以下である。
【0075】
粉末及びディスパージョンのほかに、自己分散性粒子はまた、ウェットプレスケークとして単離することも可能である。プレスケーク形態では、自己分散性粒子は、乾燥形態のときほど凝集しないので、自己分散性粒子は、例えばインクの調製では、使用時にそれほど脱凝集を必要としない。
【0076】
所望により、結合/置換プロセスの結果として生じる表面改質基に付随する電荷バランス対イオンは、好適な塩基形又は塩形を用いて少なくとも部分的に置換すなわち変更が可能であるか、又は限外濾過、逆浸透、中間体として酸形への変換等のような公知のイオン交換技術を用いて他の好適なカチオンで置換すなわち交換が可能である。対イオンの例としては、アルカリ土類金属イオン、アルカリ金属イオン(例えば、Na+、K+、及びLi+)、NR1R2R3H+、及びそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されるものではない。式中、R1、R2、及びR3は、独立して、H又は無置換型であっても置換型であってもよいC1〜C5アルキル基である(例えば、テトラエチルアンモニウムイオン(TEA)、テトラメチルアンモニウムイオン(TMA)、モノエタノールアンモニウムイオン、トリエタノールアンモニウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオン等)。
【0077】
自己分散性粒子の性質
自己分散性粒子は、長期安定性及び高温安定性の少なくとも1つを呈し、かつ高速ジェット用途に使用するのに好適な粒子サイズ分布を有し得る。より従来型の系と比較して、自己分散性粒子を含有するディスパージョンは、ロバスト性及び安定性が高い。これは、製品信頼性(例えば、圧電式及び感熱式のプリントヘッドの場合)、原材料純度のより小さい影響、貯蔵に対する改良された安定性、輸送時の熱的条件、ロジスティックス(より大きいバッチの製造可能性の提供)、及び原価管理の少なくとも1つに関して有利である。共有結合を介して表面が改質される場合、それらは自己分散型顔料のように挙動し得る。注目に値する1つの差異は、これらの染料のいくつかがそのような改質の後でさえも昇華性であることであり、このため、昇華プリント市場での用途は、かなり広い。表面改質は、水性環境で行うことが可能であるので、生成物及びプロセスは、生態系に優しいものになる。
【0078】
自己分散性粒子は、次の性質を有し得る。自己分散性粒子中の固形分パーセントは、約5%〜約30%、特定的には約7%〜約20%であり得る。
【0079】
自己分散性粒子ディスパージョンのpHは、約6〜約10、特定的には約7〜9であり得る。
【0080】
自己分散性粒子ディスパージョンの粘度は、約2〜約30cps、特定的には約3〜約20cpsであり得る。
【0081】
自己分散性粒子ディスパージョンの表面張力は、約35〜約70ダイン/cmであり得る。
【0082】
自己分散性粒子の用途
本発明に係る自己分散性粒子は、いくつかの最終使用用途で使用可能である。これらの使用用途としては、コーティング、金属コーティング、塗料、用紙、接着剤、ラテックス、トナー、テキスタイル、繊維、プラスチック(可撓性フィルム及びバルク材料)、インク、並びにインクジェットインクが挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明に係る自己分散性粒子はまた、化粧品用途で、例えば、限定されるものではないが、マスカラ、アイライナー、水中油型及びシリコーン中水型ディスパージョン、水性マニキュア液、並びに毛髪着色剤すなわちヘアダイ等で使用可能である。本発明に係る自己分散性粒子は、そのほかに、筆記具(例えば、ペン、マーカー)及び修正液で使用可能である。
【0083】
特定例としては、用紙、テキスタイル、ポリエステル、繊維、プラスチック(可撓性フィルム及びバルク材料)、金属、金属加飾プラスチック、UV硬化、木材着色剤、筆記具、筆記用もしくは描画用のフェルトペン、人造繊維上への昇華プリント、コーティング付き天然繊維、コーティング付き材料、プラスチック、コーティング付き硬質基材、並びにカラーフィルターで用いられるプリントインクが挙げられるが、これらに限定されるものではない。一例では、本発明に係る粒子が組み込まれたインクジェットインクは、インクジェットフォトプリンターでの高品質プリントに有用であり得る。本発明に係るプロセスにより製造された自己分散性粒子は、昇華プリント用途、転写用途、及びダイレクトプリント用途で使用するのにとくに好適である。転写プリントの例は、米国特許第4,406,662号明細書、同第4,713,081号明細書、同第5,246,518号明細書、同第5,248,363号明細書、同第5,302,223号明細書、同第7,001,660号明細書、英国特許第1527396号明細書、及び欧州特許第1533347号明細書(参照によりその全体が本明細書に組み入れられるものとする)中に開示されている。他のプリント技術及び適用技術のさらなる例は、米国特許第7,001,649号明細書、同第6,961,076号明細書、同第6,840,614号明細書、同第6,686,314号明細書、同第6,631,984号明細書、同第6,540,345号明細書、同第6,488,370号明細書、同第6,486,903号明細書、同第6,450,098号明細書、同第6,447,629号明細書、同第6,439,710号明細書、同第6,425,331号明細書、同第6,402,313号明細書、同第6,341,856号明細書、同第6,152,038号明細書、同第6,103,041号明細書、同第5,830,263号明細書、同第5,746,816号明細書、同第5,734,396号明細書、同第5,642,141号明細書、同第5,640,180号明細書、同第5,601,023号明細書(参照によりその全体が本明細書に組み入れられるものとする)中に開示されている。テキスタイルプリントの説明は、Textile Printing, LCW Miles, Second Edition, 1994, chapter 3.2(参照によりその全体が本明細書に組み入れられるものとする)中に見いだし得る。
【0084】
昇華転写は、プリントデザインでの昇華性染料の使用に依存する。プリント基材(紙、フィルム等)が加熱された場合、染料分子は、基材を離れて気相になる。加熱紙が適切な受容材料(布、コーティング付き表面、プラスチック等)にあらかじめ接触した状態で置かれている場合、染料分子は、受容材料の表面上に優先的に吸着される。基材が適正に加熱された場合かつ染料が材料に対する親和性を有する場合、染料分子は、加温基材中に拡散し、次に、その中に溶解される。
【0085】
最終使用用途のさらなる例としては、可撓性基材上への適用が挙げられるが、これに限定されるものではない。例えば、プリント可撓性フィルムは、すでに造形された3D対象物上への3D昇華転写の実施を可能にし得る。最終使用用途の他の例としては、屋外建築コーティングが挙げられるが、これに限定されるものではない。屋外建築コーティングに対する昇華転写は、コーティング付き金属上で実施可能である。
【0086】
本発明の一態様は、以上に記載の自己分散性粒子を用いたインクジェットインク配合物に関する。そのような粒子を含有するインクジェット配合物では、次の事項、すなわち、1)プリント媒体上に高解像度かつ高密度でブリードのない均一画像を提供すること、2)典型的にはノズルの遠位端でインクの乾燥に起因して起こるノズル閉塞を引き起こさないこと、3)基材(紙、布、フィルム等)上で迅速に乾燥すること、4)良好な長期貯蔵安定性を示すこと、及び5)紙品質に依存しないプリント特性を示すこと、の少なくとも1つが可能である。そのような粒子を含有するインクジェット配合物はまた、ノズル閉塞、バンディング、及び低プリント品質をもたらす可能性のある輸送時及び貯蔵時の変動する温度条件に対して、より良好なインク安定性及びロバスト性を提供し得る。
【0087】
本発明に係るインク組成物は、以上の自己分散性粒子を水性媒体及び任意の他の好適な成分(そのうちのいくつかは以下で考察される)と組み合わせることにより調製可能である。インク組成物中の自己分散性粒子の量(重量基準)は、少なくとも約0.1%、特定的には少なくとも約10%、より特定的には少なくとも約20%である。さらには、インク組成物中の自己分散性粒子の量(重量基準)は、約12%以下、特定的には約8%以下、より特定的には約5%以下である。これは、インク組成物中の自己分散性粒子の量(重量基準)が約0.1%〜約12%の範囲内の量で存在する実施形態を包含する。
【0088】
水性媒体は、水又は1種以上の水溶性有機溶媒と組み合わされた水を含み得る。水溶性有機溶媒は、水性媒体を構成するように水と組み合わせることが可能である。水溶性有機溶媒としては、アルコール、多価アルコール、例えば、エチレングリコール、グリセリン、PEG等、ケトン及びケトンアルコール、例えば、アセトン及びジアセトンアルコール等、エーテル、例えば、テトラヒドロフラン及びジオキサン等、多価アルコールの低級アルキルエーテル、例えば、エチレングリコールモノメチル(又はモノエチル)エーテル等、窒素含有溶媒、例えば、ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン等、硫黄含有溶媒、例えば、チオジエタノール等、糖及びその誘導体、例えば、グルコース等、グリセリンのオキシエチレン付加物、並びにジグリセリンのオキシエチレン付加物が挙げられ得る。水溶性有機溶媒は、単独で又は組み合わせて使用可能である。水と水溶性有機溶媒との混合物を使用する場合、インク組成物中の水溶性有機溶媒の量(重量基準)は、少なくとも約5%、特定的には少なくとも約15%、より特定的には少なくとも約25%である。さらには、インク組成物中の水溶性有機溶媒の量(重量基準)は、約50%以下、特定的には約40%以下、より特定的には約25%以下である。これは、インク組成物中の水溶性有機溶媒の量(重量基準)が約5%〜約30%である実施形態を包含する。インク組成物中の水の量は、少なくとも約40%、特定的には少なくとも約50%、より特定的には少なくとも約60%である。さらには、インク組成物中の水の量(重量基準)は、約90%以下、特定的には約80%以下、より特定的には約70%以下である。これは、インク組成物中の水の量(重量基準)が約40%〜約80%である実施形態を包含する。
【0089】
成分は、インクを特定のインクジェットプリンターの要件に適合させたり又は光安定性、耐スミア性、粘度、表面張力、コーティング浸透性、光学濃度、深色度、接着性、耐マーカー性、もしくは耐クラスト性のバランスをとったりするのに必要とされるような任意の数の所望の性質を付与するために、水性媒体中に組込み可能である。例えば、浸透剤は、ブリードを低減したり、プリント媒体の湿潤性を改良したり、さもなければプリント画像の全体性能を改良したりするために、添加可能である。浸透剤の例としては、1〜4個の炭素原子を有するアルキルアルコール例えばエタノール等、グリコールエーテル例えばエチレングリコールモノメチルエーテル等、ジオール例えば1,2−アルキルジオール等、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルスルホキシド、ソルビトール、及びスルホランが挙げられ得るが、これらに限定されるものではない。浸透剤は、単独で又は組み合わせて使用可能である。インク組成物中の浸透剤の量(重量基準)は、0%〜約60%、特定的には約2%〜約40%、より特定的には約5%〜約20%の範囲内である。これは、インク組成物中の浸透剤の量(重量基準)が約10%〜約15%の範囲内の量で存在する実施形態を包含する。
【0090】
界面活性剤は、インク組成物の表面張力を低減するために水性媒体に添加可能である。界面活性剤は、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、及び/又は陽イオン性界面活性剤であり得る。好適な界面活性剤としては、以下に列挙されるもの並びに1992年5月26日発行の米国特許第5,116,409号明細書、1999年1月19日発行の米国特許第5,861,447号明細書、及び2005年2月1日発行の米国特許第6,849,111号明細書(それらはいずれも参照により本明細書に組み入れられるものとする)に列挙されるものが挙げられ得る。
【0091】
界面活性剤は、種々の周知の商品名で入手可能であり、例えば、いくつか例を挙げると、PLURONIC(登録商標)シリーズ(BASF Corporation,Parsippany,N.J.)、TETRONIC(登録商標)シリーズ(BASF Corporation,Parsippany,N.J.)、ARQUAD(登録商標)シリーズ(Akzo Chemical Inc.,Chicago,Ill.)、TRITON(登録商標)シリーズ(Union Carbide Corp.,Danbury,Conn.)、SURFONIC(登録商標)シリーズ(Texaco Chemical Company,Houston,Tex.)、ETHOQUAD(登録商標)シリーズ(Akzo Chemical Inc.,Chicago,Ill.)、ARMEEN(登録商標)シリーズ(Akzo Chemical Inc.,Chicago,Ill.)、ICONOL(登録商標)シリーズ(BASF Corporation,Parsippany,N.J.)、SURFYNOL(登録商標)シリーズ(Air Products and Chemicals,Inc.Allentown,Pa.)、及びETHOMEEN(登録商標)シリーズ(Akzo Chemical Inc.,Chicago,Ill.)である。
【0092】
界面活性剤は、単独で又は組み合わせて使用可能である。インク組成物中の界面活性剤の量(重量基準)は、0%〜約10%、特定的には約0.1%〜約10%、より特定的には約0.3%〜約5%の範囲内であり得る。これは、インク組成物中の界面活性剤の量(重量基準)が約0.1%〜約8%の範囲内であり得る実施形態を包含する。
【0093】
1種以上の湿潤剤は、インクジェットノズルの閉塞(待ち時間の間のドライアウトに起因する)を防止するために、水性媒体に添加可能である。湿潤剤は、高い吸湿性及び水への溶解性を有する材料から選択可能である。湿潤剤の例としては、ポリオール例えばグリセロール等、ラクタム例えば2−ピロリドン等、ウレア化合物例えばウレア等、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、サッカリド例えばソルビトール等、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1−メチル−2−ピペリドン、N−エチルアセトアミド、3−アミノ−1,2−プロパンジオール、エチレンカーボネート、ブチロラクトン、及びLiponic EG−1が挙げられるが、これらに限定されるものではない。湿潤剤の使用量にとくに限定を加えるものではない、一般的には、インク組成物中の湿潤剤の量(重量基準)は、0%〜約30%、特定的には約1%〜約15%、より特定的には約5%〜約10%の範囲内であり得る。
【0094】
ポリマーは、プリント媒体上の画像の耐水堅牢性、耐摩擦堅牢性、及び耐光堅牢性を改良するために、インク組成物に添加可能である。好適なポリマーとしては、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリエステルメラミン、スチレン−アクリル酸コポリマー、スチレン−マレイン酸コポリマー、スチレン−マレイン酸−アルキルアクリレートコポリマー、スチレン−メタクリル酸コポリマー、スチレン−メタクリル酸−アルキルアクリレートコポリマー、スチレン−マレイン酸ハーフエステルコポリマー、ビニルナフタレン−アクリル酸コポリマー、ビニルナフタレン−マレイン酸コポリマー、及びそれらの塩が挙げられ得るが、これらに限定されるものではない。インク組成物中のポリマーの量(重量基準)は、0%〜約10%、特定的には、約0.1%〜約6%の、より特定的には約0.2%〜約4%の範囲内であり得る。これは、インク組成物中のポリマーの量(重量基準)が約0.1%〜約5.0%の範囲内であり得る実施形態を包含する。
【0095】
本発明に係るインク組成物は、任意の数のpH調整剤を用いて所望のpHに緩衝化可能である。好適なpH調整剤としては、水酸化アルカリ、炭酸アルカリ及び重炭酸塩アルカリ、トリエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、鉱酸、塩酸、並びに硫酸が挙げられ得る。pH調整剤は、単独で又は組み合わせて使用可能である。インク組成物中のpH調整剤の量(重量基準)は、0%〜約3.0%の、特定的には約0.1%〜約2.0%、より特定的には約0.5%〜約1.5%の範囲内であり得る。これは、インク組成物中のpH調整剤の量(重量基準)が約0.2%〜約2.5%の範囲内である実施形態を包含する。
【0096】
殺生物剤や殺菌類剤等の保存剤もまた、インク組成物に添加可能である。好適な保存剤の例としては、ナトリウムベンゾエート、ペンタクロロフェノールナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキシドナトリウム、ナトリウムソルベート、ナトリウムデヒドロアセテート、ベンゾイソチアゾリノン、1,2−ジベンゾチアゾリン−3−オン、CTAC、メチルイソチアゾリノン、及びクロロメチルイソチアゾリノンが挙げられる。市販の殺生物剤としては、UCARCIDE(登録商標)250(Union Carbide Companyから入手可能)、Proxel(登録商標)CRL、Proxel(登録商標)BDN、Proxel(登録商標)GXL、Proxel(登録商標)XL−2、Proxel(登録商標)TN(Arch Chemicals,Smyrna,GAから入手可能)、Dowicil(登録商標)(Dow Chemical,Midland,Mich.)、Nuosept(登録商標)(Huls America,Inc.,Piscataway,N.J.)、Omidines(登録商標)(Olin Corp.,Cheshire,Conn.)、Nopcocides(登録商標)(Henkel Corp.,Ambler,Pa.)、Troysans(登録商標)(Troy Chemical Corp.,Newark,N.J.)、及びXBINX(登録商標)(PMC Specialties Group,Inc.,Cincinnati,Ohio)が挙げられる。保存剤は、単独で又は組み合わせて使用可能である。インク組成物中の保存剤の量(重量基準)は、0%〜約1.5%、特定的には約0.05%〜約1.0%、より特定的には約0.1%〜約0.3%の範囲内であり得る。これは、インク組成物中の保存剤の量(重量基準)が約0.05%〜約0.5%の範囲内であり得る実施形態を包含する。
【0097】
インク組成物は、1種以上の粘度調整剤を含有し得る。粘度調整剤としては、ロジン化合物、アルギン酸化合物、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ポリアクリル酸の塩、ポリビニルピロリドン、アラビアガム及びデンプン、HEUR(疎水性エトキシル化ウレタン)、HASE(疎水変性アルカリ膨潤性エマルジョン)、ASE(アルカリ膨潤性エマルジョン)、並びにそれらの組合せが挙げられ得る。インク組成物中の粘度調整剤の量(重量基準)は、0%〜約10%、特定的には約0.5%〜約8%、より特定的には約1%〜約5%の範囲内であり得る。これは、インク組成物中の粘度調整剤の量(重量基準)が約1%〜約7%の範囲内であり得る実施形態を包含する。
【0098】
水性媒体中に組込み可能な他の成分としてはまた、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレート化剤、電気伝導率調整剤、粘度調整剤、酸素吸収剤、コゲーション防止剤、カール防止剤、ブリード防止剤、脱泡剤、及び緩衝剤も挙げられ得る。本発明に係るインク組成物は、本発明に係る染料粒子ディスパージョンに加えて1種以上の着色剤を含有し得る。
【0099】
本発明に係るインク組成物は、インク組成物の小滴をプリント装置から吐出して基材上に堆積することにより画像を生成するインクジェットプリント用のインク組成物として使用するのにとくに適している。好適なプリント装置としては、連続インクジェット(CIJ)、ドロップオンデマンドバルブ(DoDバルブ)、ドロップオンデマンドピエゾ(DoDピエゾ)、及びサーマルインクジェット(TIJ)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。同様に、普通紙、ボンド紙、コート紙、透明材料、テキスタイル材料、プラスチック、高分子フィルム、及び無機基材をはじめとする任意の好適な基材を利用することが可能である。しかしながら、当業者であればわかるであろうが、以上のインク組成物はまた、一般的な筆記具用途及びスタンプ用途(ただし、これらに限定されるものではない)をはじめとする他の用途で使用することも可能である。
【0100】
テキスタイルプリント(昇華プリント及びダイレクトプリントによる)
本発明の他の態様は、テキスタイルプリント用途での以上に記載の自己分散性粒子を用いた水性配合物に関する。本発明に係る粒子を含有するテキスタイルプリント配合物は、次の性質、すなわち、1)ナイロン、ポリエステル、ポリアクリル、又はそれらのブレンド等のテキスタイル布に対する許容される堅牢性、並びに2)適用及び固着の容易さの少なくとも1つを呈し得る。
【0101】
プラスチック上及びコーティング付き基材上への転写
本発明の他の態様は、昇華転写プリント用途での以上に記載の自己分散性粒子を用いた水性配合物に関する。本発明に係る粒子を含有する昇華転写プリント配合物は、次の性質、すなわち、1)コーティング付き材料及びプラスチック(ABS等)に対する許容される光堅牢性、並びに2)適用及び固着の容易さの少なくとも1つを呈し得る。
【0102】
着色テキスタイルの耐洗濯堅牢性、耐摩擦堅牢性、耐水堅牢性、及び耐光堅牢性は、当業者に公知のISO及びAATCCの試験方法により測定可能である。コーティング付き材料及びプラスチックの耐光堅牢性は、ISO及びAATCCの試験方法により測定可能である。
【0103】
化粧品用途
本発明の他の態様は、化粧品用途での以上に記載の自己分散性粒子を用いた配合物に関する。化粧品用途としては、顔、眼、口唇、毛髪、皮膚、及び爪を対象とするものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。化粧品用途としては、マスカラ、アイライナー、スプレー式ヘアーマスカラ、水性マニキュア液、眉ブラシ、アイシャドー、リップスティック、ブラッシャー及びルージュ、メーキャップ、ファンデーション、並びにヘアカラー又はヘアダイが挙げられ得るが、これらに限定されるものではない。自己分散性粒子ディスパージョンは、ポリオール及び保存剤と容易にブレンドされるので、化粧品配合物の任意の水性相部分への組込みが容易であり得る。シリコーン、エステル(例えば、限定されるものではないが、CCT)、ワックス(例えば、限定されるものではないが、カルナウバワックス)、及び溶媒(例えば、限定されるものではないが、イソドデカン)とのより良好な相溶性は、乳化に役立ち、安定な製品をもたらす。自己分散型粒子を用いれば、配合業者は、グリセリン−水ディスパージョンを用いた従来の粒子ディスパージョンを用いる場合よりも等価な粒子充填率でより高い色強度を有する製品を作製することが可能である。製品の流動性により、配合業者は、さらに高い粒子充填率を柔軟に達成できるので、製品の利得が向上し、適用回数が低減されるようになる。
【0104】
本発明に係る自己分散型粒子を含むマスカラの性質は、マスカラを皮膚に一様に適用してからそれを本発明に係る自己分散型粒子を含まないマスカラと並置して比較することにより、目視評価することが可能である。
【0105】
コーティング用途
本出願に係るディスパージョンを含有するコーティング配合物は、高い隠蔽力(例えば、二酸化チタン)又は高い浸透性(例えば、木材及びコンクリートの着色剤中のソルベント染料)を呈し得るので、適用が容易になり、環境影響性が低減されるようになる。
【実施例】
【0106】
本発明の例示的な実施形態は、以下の実施例で提供される。以下の実施例は、本発明を例示するために及び当業者によるその製造及び使用の助けとなるように提示される。実施例は、他の形で本発明の範囲を限定することをなんら意図したものではない。
【0107】
(実施例1a)
シアヌリルのスルファニル酸三付加物の調製例。
三段階で温度をそれぞれ<0℃、<3℃、及び<10℃に制御して、DI水(310g)中のスルファニル酸(114g)、カルシウムを含まない水酸化ナトリウム(32g)、及び重炭酸ナトリウム(55g)よりなる8.5のpHの溶液を、シアヌル酸クロリド(40.2g、Lonza Walkersville,Inc.,Walkersville,Marylandから入手可能)、氷(570g)、及びDI水(480g)よりなる攪拌混合物に添加した。添加後、pHは、7.1であった。また、反応混合物を4.5時間にわたり95〜100℃に加熱してその温度に保持し、1000gの透明液体を得た。
【0108】
(実施例1b)
シアヌリルの4−アミノフェノール三付加物の調製例。
実施例1aの4−アミノ安息香酸の代わりに等価量(72g)の4−アミノフェノールを用いることにより、シアヌリルの4−アミノフェノール三付加物の透明溶液を調製する。
【0109】
(実施例2)
シアヌリルの4−アミノ安息香酸三付加物(「Tris 4−ABA」)の調製例。
三段階で温度をそれぞれ<0℃、<3℃、及び<10℃に制御して、DI水(300g)中の4−アミノ安息香酸(90.1g)、カルシウムを含まない水酸化ナトリウム(30g)、及び重炭酸ナトリウム(55g)よりなる7.2のpHの溶液を、シアヌル酸クロリド(40.2g、Lonza Walkersville,Inc.,Walkersville,Marylandから入手可能)、氷(550g)、及びDI水(500g)よりなる攪拌混合物に添加した。添加後、pHは、7.1であった。また、反応混合物を5時間にわたり95〜100℃に加熱してその温度に保持し、600gの透明液体を得た。
【0110】
(実施例3)
シアヌリルの4−アミノ安息香酸三付加物で処理することにより水不溶性染料粒子を自己分散型水性ディスパージョンに変換する例。
0.2mmのYTZメディア(Quackenbush Co.,Inc.,Crystal Lake,ILから入手可能)を用いてHockmeyerメディアミル(Hockmeyer Equipment Corp.,ElizabethCity,NCから入手可能)により、ディスパースブルー359(Sensient Colors Inc.,St.Louis,MOから入手可能)60g及び実施例2に記載の100gのTris 4−ABA試薬を4時間にわたりミル処理した。ミル処理時、反応混合物を45℃に加熱した。カルシウムを含まない水酸化ナトリウム(19g)を添加してpHを7.5〜9.0に保持しながら、50℃の熱DI水(300g)中の29.6gの過硫酸カリウム及び9.2gの重炭酸ナトリウムの溶液を徐々に導入した。ミル処理後、反応混合物を45℃に加熱した[工程1]。供給サンプルの塩化物及び硫酸塩の含有率が50ppm未満になるまで、溶存不純物を限外濾過により除去した。次に、生成物を固形分9.3%に濃縮し、(0.3%、wt/wt)Proxel GXL(Arch Chemicals,Smyrna,GAから入手可能)と混合した。最後に、生成物(352g)を0.7ミクロンのGFフィルターに通して濾過した。
【0111】
(実施例4)
非イオン性粉砕助剤と共に水不溶性染料粒子をミル処理して所要のサイズにし、シアヌリルの4−アミノ安息香酸三付加物で処理することにより自己分散型水性ディスパージョンに変換する例。
ディスパースイエロー54(120g、Sensient Colors Inc., St.Louis,MOから入手可能)をSURFYNOL(登録商標)CT−131(42.8g、Air Products and Chemicals,Inc.Allentown,Pa.から入手可能)及び140gのDI水よりなる攪拌混合物に徐々に添加した。0.4mmのYTZメディア(Quackenbush Co.,Inc.,Crystal Lake,ILから入手可能)を用いてHockmeyerメディアミル(Hockmeyer Equipment Corp.,Elizabeth City,NCから入手可能)により、この混合物をミル処理した。約3300rpmかつ40℃未満で合計21時間にわたりミル処理を継続して、145nmの平均PSDを得た。ミルベースをリンスと組み合わせて、よく混合しながら50℃に加熱した。粒子成長を引き起こすことなく9.9gの当量の実施例2に記載のTris 4−ABA試薬を徐々に添加した。カルシウムを含まない水酸化ナトリウムを添加してpHを10.5〜9.0に保持しながら、熱(50℃)DI水(200g)中の26gの過硫酸カリウム及び10gの重炭酸ナトリウムの溶液を徐々に導入した。加熱及び混合を継続して16時間にわたり約55℃の温度に保持した。供給サンプルの塩化物の含有率及び硫酸塩の含有率のそれぞれが100ppm未満になるまで、溶存不純物を限外濾過により除去した。ナトリウム塩としてEDTA(15g)の溶液を導入し、EDTAのほとんどが除去されて塩(塩化物及び硫酸塩として)レベルが50ppm未満になるまで、精製を継続した。粒子は、約250nmの平均PSDを有して凝集し、ディスパージョンは、不安定であった。反応混合物を第2段階の反応に付した。この時、合計17時間にわたり以上に記載の4−ABA Tris試薬(30gの4−ABA当量)及び20gの過硫酸カリウムと共にミルにかけた。生成物を限外濾過によりもう1回精製して溶存塩を除去し、次に、固形分12.4%に濃縮し、そして0.3%,wt/wtのProxel GXL(Arch Chemicals,Smyrna,GAから入手可能)と混合した。最後に、生成物を10,000rpmで5分間遠心分離し、0.7ミクロンGFフィルターに通して濾過した。
【0112】
(実施例5〜8)
実施例4に関連して以上に示されたのと同一のプロセスに従って実施例5〜12を調製した。
【表1】
【0113】
(実施例9)
グリセロール(17g)、BYK024脱泡剤(0.4g、BykChemieから入手可能)、及び実施例2に記載のTris 4−ABA試薬(125g)(17.5gの4−アミノ安息香酸当量)を混合した。混合物をアトライターミル(NETZSCH−Feinmahltechnik GmbH,Selb,Germanyから入手可能)により55℃で加熱した。17.5gのディスパースレッド60を攪拌下で添加した。カルシウムを含まない水酸化ナトリウムを添加してpHを8〜9.5に保持した。過硫酸カリウム(13.4g)及び重炭酸ナトリウム(4.2g)を攪拌下で添加した。17.5gのディスパースレッド60(Huntsmanから入手可能)、過硫酸カリウム(13.4g)、及び重炭酸ナトリウム(4.2g)を攪拌下で添加した。0.5mmのZirstar(Saint Gobainから入手可能)メディアミルを添加し、55℃かつ1100rpmでミル処理を行った。ミル処理時、カルシウムを含まない水酸化ナトリウムを添加してpHを8〜9.5に保持した。1時間ごとに、15gの実施例2のTris 4−ABA試薬、1gの重炭酸ナトリウム、3.2gの過硫酸カリウムを添加した。ミル処理の10時間後、平均粒子サイズは0.2ミクロンであった。溶存不純物を限外濾過により除去した。限外濾過後、ディスパージョンの色素濃度は9%であった。Dowicil 200(0.1%wt/wt、Dow Chemicalから入手可能な)をディスパージョンに添加した。最後に、生成物を0.7ミクロンのGFフィルターに通して濾過した。
【0114】
(実施例10)
分散染料ディスパージョン(シアヌリルの4−アミノ安息香酸三付加物を用いてポリマー安定化ディスパージョンを自己分散型染料ディスパージョンに変換する例)。
Blue 7704の高分子分散剤安定化23%濃厚液(ディスパースブルー359、Sensient Imaging−Specialty Colors and Inks,Switzerlandから入手可能)312gを91gの以上に記載のTris 4−ABA試薬及び950gのDI水の混合物に徐々に添加した。
【0115】
1時間後、反応混合物を54℃に加熱した。カルシウムを含まない水酸化ナトリウムを添加してpHを7.5〜9.5に保持しながら、50℃の熱DI水(200g)中の33gの過硫酸カリウム及び10.5gの重炭酸ナトリウムの溶液を徐々に導入した。過硫酸カリウム溶液の添加後、反応混合物を一晩約16時間にわたり55℃に保持した[工程1]。供給サンプルの塩化物及び硫酸塩の含有率が50ppm未満になるまで、溶存不純物を限外濾過により除去した。次に、生成物を固形分25%に濃縮し、(0.3%、wt/wt)Proxel GXL(Arch Chemicals,Smyrna,GAから入手可能)と混合した。最後に、生成物(413.5g)を0.7ミクロンのGFフィルターに通して濾過した。
【0116】
(実施例11〜13)
【表2】
【0117】
(実施例14〜16)
プリント用途及びコーティング用途で使用されるソルベント染料を実施例4の場合と同様に表面処理した。
【表3】
【0118】
(実施例17〜19)
化粧品用途で使用される無機顔料を実施例4の場合と同様に表面処理した。
【表4】
【0119】
(実施例20)
以上の実施例の改質型染料の物理的性質は、以下の表に示される。
【表5】
【表6】
【0120】
(実施例21)
X線光電子分光(「XPS」)分析
表6に実施例番号により特定されたサンプルについてXPSデータを収集して分析した。
【表7】
【0121】
集束単色Al Kα線のプローブビームを用いてEAG Labs(所在地Chanhassen,MN)によりXPSデータを取得した。X線により光電子を発生し、これをエネルギー分析及び計数してサンプル表面の原子組成及び化学性を明らかにする。光電子の脱出深さが15〜35Åであるので、分析深さは外側約50〜100Åに限定される。典型的には、シグナルの95%は、この深さの範囲内から発生する。提示されたデータは、低分解能サーベイスキャンを含む。これは、0〜1400eVの結合エネルギーのフルスペクトルを与える。データにはまた、所定の元素の高分解能スペクトルも含まれる。これは、化学状態の情報を提供する。スペクトルは、光電子ピーク下面積を積分し経験的感度係数を適用することにより表面組成を得るべく使用される。XPSデータは、図1〜21に提示される。
【表8】
【0122】
以下の表は、検出された元素の100%に規格化されたものである。XPSでは、HやHeは検出されない。他の元素に関しては、検出限界は、典型的には0.05%〜1.0%である。ダッシュ「−」は、元素が検出されなかったことを示す。検出限界に影響を及ぼす主な因子は、元素自体(一般的には重い元素ほど低い検出限界を有する)、干渉(他の元素の光電子ピーク及びオージェ電子ピークを含み得る)、並びにバックグラウンド(主にエネルギーをマトリックスに消失した電子のシグナルに起因する)である。
【0123】
所与の元素の化学状態の帰属は、文献の参照データを調べることにより行った。入手可能な参照データが限られる場合又はいくつかの異なる化学状態で類似の結合エネルギーが観測される場合、化学状態の帰属は暫定であると考えられなければならない。可能な化学状態の帰属を支援するために、所定の高分解能スペクトルに非線形最小二乗(NLLS)曲線あてはめを適用した。NLLSあてはめの結果は、個別のスペクトル及び化学性の表(表8〜10)に示されている。未処理の粒子を除くすべてのサンプル中に存在するN、Na、及びKのレベルは、アミノ安息香酸基として又は対応するナトリウム塩としての表面酸性基として存在する電荷基の指標である。
【表9】
【表10】
【表11】
【表12】
【表13】
【表14】
【表15】
【表16】
【表17】
【表18】
【表19】
【表20】
【表21】
【表22】
【表23】
【表24】
【表25】
【表26】
【表27】
【0124】
表8に示されるXPSの結果は、開示された表面改質により元のディスパージョン中に存在する高分子材料の結合に起因する表面酸素の増加及びそれに対応して窒素の減少を有する改質型ディスパースブルー359染料が得られることを示している。これは、追加の酸素が主に炭素−酸素結合タイプであることを示す曲線あてはめプロトコル(図2及び3)によりさらに確証される。
【0125】
表8及び図4に示されるXPSの結果は、開示された表面改質によりCOONaとしての表面ナトリウムが約0.3原子%に増加した改質型ディスパースブルー359染料が得られることを示している。
【0126】
表8に示されるXPSの結果は、開示された表面改質によりCOONaとしての表面ナトリウムが約0.7原子%に増加した改質型ディスパースイエロー54染料が得られることを示している。
【0127】
表8に示されるXPSの結果は、開示された表面改質によりCOONaとしての表面ナトリウムが約0.1原子%に増加した改質型ディスパースブラウン27染料が得られることを示している。
【0128】
表8に示されるXPSの結果は、開示された表面改質によりCOONaとしての表面ナトリウムが約0.4原子%に増加した改質型ディスパースブルー72染料が得られることを示している。
【0129】
表9に示されるXPSの結果は、開示された表面改質によりCOONaとしての表面ナトリウムが約0.3原子%に増加した改質型ソルベントレッド146染料が得られることを示している。
【0130】
表10に示されるXPSの結果は、開示された表面改質により元の顔料と比較して有意に高い表面炭素含有率(>16原子%)、表面窒素含有率(1.2原子%)、及び表面ナトリウム含有率(0.9原子%)を有する改質型トリエトキシカプリリルシラン処理二酸化チタン顔料が得られることを示している。
【0131】
表10に示されるXPSの結果は、開示された表面改質により元の顔料と比較して有意に高い表面炭素含有率(>30.6原子%)、表面窒素含有率(1.1原子%)、及び表面ナトリウム含有率(1.1原子%)を有する改質型二酸化チタン顔料が得られることを示している。
【0132】
表10及び図19に示されるXPSの結果は、開示された表面改質によりリン化合物として元の二酸化チタン顔料中に存在する表面不純物が実質的に除去されることを示している。
【0133】
表10及び図18に示されるXPSの結果は、開示された表面改質により元のトリエトキシカプリリルシラン処理二酸化チタン顔料中に不純物として存在する未結合のケイ素化合物が実質的に除去されることを示している。
【0134】
表10及び図21に示されるXPSの結果は、開示された表面改質により元の顔料と比較して有意に高い表面炭素含有率(>25.1原子%)、表面窒素含有率(1.1原子%)、及び表面ナトリウム含有率(0.9原子%)を有する改質型酸化鉄顔料が得られることを示している。
【0135】
(実施例22)
【表28】
【0136】
元素分析の結果は、開示された表面改質により染料1グラムあたり0.154〜0.284ミリモルの活性水素を有する改質型ディスパースブルー359染料が得られることを示している。
【0137】
元素分析の結果は、開示された表面改質により染料1グラムあたり約0.218ミリモルの活性水素を有する改質型ディスパースイエロー54染料が得られることを示している。
【0138】
元素分析の結果は、開示された表面改質により染料1グラムあたり約0.332ミリモルの活性水素を有する改質型ディスパースブラウン27染料が得られることを示している。
【0139】
元素分析の結果は、開示された表面改質により染料1グラムあたり約0.145ミリモルの活性水素を有する改質型ディスパースブルー72染料が得られることを示している。
【0140】
元素分析の結果は、開示された表面改質により染料1グラムあたり約0.237ミリモルの活性水素を有する改質型ソルベントレッド146染料が得られることを示している。
【0141】
元素分析の結果は、開示された表面改質により染料1グラムあたり約0.719ミリモルの活性水素を有する改質型ソルベントブルー67染料が得られることを示している。
【0142】
元素分析の結果は、開示された表面改質により顔料1グラムあたり約5.2%の炭素、0.64%の水素、013%の窒素、及び0.313ミリモルの活性水素を有する改質型二酸化チタン顔料が得られることを示している。
【0143】
元素分析の結果は、開示された表面改質により顔料1グラムあたり約3.6%の炭素、<0.5%の水素、0.11%の窒素、0.17%のケイ素、及び0.322ミリモルの活性水素を有する改質型トリエトキシカプリリルシラン処理二酸化チタン顔料が得られることを示している。
【0144】
元素分析の結果は、開示された表面改質により顔料1グラムあたり約6.2%の炭素、1.9%の水素、019%の窒素、及び0.188ミリモルの活性水素を有する改質型酸化鉄顔料が得られることを示している。
【0145】
(実施例23)
粒子サイズ測定及び安定性データ
気泡を回避しながら、1滴のサンプルを15mlの脱イオン水に希釈して1cmディスポーザブルキュベットに充填することにより、8〜15%の固形分を含むサンプルを調製した。次に、Malvern Zetasizer NanoシリーズModel ZEN3600を用いてサンプルの平均粒子サイズを測定した。
【表29】
【0146】
以下の実施例に記載の手順に従って以下のインクジェットインクを作製した。
【0147】
(実施例24)
19.1gの実施例10に記載の精製ディスパージョン、23gのグリセロール、0.05gのDowicil 200(Dow Chemical製)、0.1gのActicid TBW(Thor GmbH,Germany製)、4.5gのReax907(Meadwestwaco,USA製)、及び53.2gの脱塩水を混合することにより、インクジェットインクを調製した。そのようにして得られたインクを公称1ミクロンのガラスフィルターに通して濾過した。DuNouyリングを用いて測定された静的表面張力は、43.2ダイン/cmであり、コーンプレートレオメーターを用いて23℃で測定された粘度は、4.3mPasであった。このインクを、720×720dpiの解像度及び100%の被覆率でMimaki JV4プリンターを用いて、Coldenhove HTR2000紙(Coldenhove Papier B.V,Hollandから入手可能)上にプリントする。カレンダー(calander)(Storck;Hollandから入手可能)を用いて2barの圧力下210℃でプリント紙を100%ポリエステル布上に30秒間転写する。Datacolor分光光度計SF450X Spectraflash(Datacolor AG,Switzerlandから入手可能)を用いて転写後の布のLab値を測定する。市販のインク、すなわち、UV−Vis分光光度計(Shimadzu UV−2501PC,Shimadzu,Japan)を用いて580nmの光吸収により測定したときに同一量のDB359染料を含有するS4 Subli Blue7704を、同一条件下でプリントした。2種のインクの測色Lab値は、表13に与えられており、染料の昇華能が結合反応により影響を受けないことを示している。
【表30】
【0148】
(実施例25)
37.3gの実施例11の精製ディスパージョン、46gのグリセロール、0.2gのDowicil200、1gのトリエタノールアミン、7gのReax LS(Meadwestwaco,USA製)、及び108.5gのDI水を混合することにより、シアンインクジェットインクを調製した。そのようにして得られたインクを公称1ミクロンのガラスフィルターに通して濾過した。DuNouyリングを用いて測定された静的表面張力は、43.7ダイン/cmであり、コーンプレートレオメーターを用いて23℃で測定された粘度は、4.1mPasであった。このインクを、540×360dpiの解像度及び100%の被覆率でMimaki JV4プリンターを用いて、Coldenhove HTR2000紙(Coldenhove Papier B.V,Hollandから入手可能)上にプリントする。プリント紙を2barの圧力下210℃で100%ポリエステル布上に30秒間転写する。Datacolor分光光度計SF450X Spectraflash(Datacolor AG,Switzerlandから入手可能)を用いて転写後の布のLab値を測定する。市販のインク、すなわち、UV−Vis分光光度計(Shimadzu UV−2501PC,Shimadzu,Japan)を用いて580nmの光吸収により測定したときに同一量のDB359染料を含有するS4 Subli Blue7704を、同一条件下でプリントした。2種のインクの測色Lab値は、表14に与えられており、染料の昇華能が結合反応により影響を受けないことを示している。
【表31】
【0149】
(実施例26)
表15に記載の成分を混合することにより、インクジェットインクを調製した。UV−Vis分光光度計を用いて染料含有率を測定した。
【表32】
【0150】
成分を混合し、得られたインクを公称1ミクロンのガラスフィルターに通して濾過した。DuNouyリングを用いてインクの静的表面張力を測定した。コーンプレートレオメーターを用いて23℃で粘度を測定した。これらのインクを、540×360dpiの解像度及び100%の被覆率でMimaki JV4プリンターを用いて、Coldenhove HTR2000紙(Coldenhove Papier B.V,Hollandから入手可能)上にプリントする。プリント紙を2barの圧力下210℃で100%ポリエステル布上に30秒間転写する。Datacolor分光光度計SF450X Spectraflash(Datacolor AG,Switzerlandから入手可能)を用いて転写後の布のLab値を測定する。同一量の染料を含有するS4 Subli系列(Sensient Imaging−Specialty Colors and Inks,Switzerland)の対応する市販のインクを同一条件下でプリントした。さまざまなインクの測色Lab値は、表16に与えられており、染料の昇華能が結合反応により影響を受けないことを示している。
【表33】
【0151】
(実施例27)
65.9gの実施例11の精製ディスパージョン、25gのグリセロール、0.1gのDowicil200、及び9gのDI水を混合することにより、シアンインクジェットインクを調製した。そのようにして得られたインクを公称1ミクロンのガラスフィルターに通して濾過した。DuNouyリングを用いて測定された静的表面張力は、39.1ダイン/cmであり、コーンプレートレオメーターを用いて23℃で測定された粘度は、5.8mPasであった。このインクを、720×720dpiの解像度及び100%の被覆率でMimaki JV4プリンターを用いて、Coldenhove Screencol紙(Coldenhove Papier B.V,Hollandから入手可能)及びプリントできる状態の100%綿上にプリントする。Datacolor分光光度計SF450X Spectraflash(Datacolor AG,Switzerlandから入手可能)を用いてプリントのLab値を測定する。
【表34】
【0152】
(実施例28)
シアヌリルのスルファニル酸三付加物で処理することにより水不溶性染料粒子を自己分散型水性ディスパージョンに変換する例。
【0153】
4−アミノ安息香酸を用いて調製されたシアヌリルの三付加物(実施例2)の代わりにスルファニル酸を用いて調製されたシアヌリルの三付加物(実施例1a)を用いて、以上の実施例3〜19のそれぞれを反復する。
【0154】
(実施例29)
シアヌリルの4−アミノフェノール三付加物で処理することにより水不溶性染料粒子を自己分散型水性ディスパージョンに変換する例。
【0155】
4−アミノ安息香酸を用いて調製されたシアヌリルの三付加物(実施例2)の代わりに4−アミノフェノールを用いて調製されたシアヌリルの三付加物(実施例1b)を用いて、以上の実施例3〜19のそれぞれを反復する。
【0156】
(実施例30)
木材着色剤用途での性能
18%のJoncryl95(BASFから入手可能)と残部の脱イオン水とよりなる樹脂溶液を用いて、以上の実施例の1種以上の改質型粒子の充填率を6%にして、木材着色剤を調製して試験する。巻線ロッド#7(Paul N.Gardner Company,Pompano Beach,FLから入手可能)を用いたLeneta Form 3NT−3上の展延物の耐水堅牢性の比較を1’’×4’’ストリップで行う。各ストリップの半分を脱イオン水中に1分間浸漬する。ストリップを周囲温度で乾燥させる。Datacolor SF600 PLUS−CT測色計を用いて色差(DE*)を読み取る。着色剤は、より小さいDE*により実証される改良された耐水堅牢性を示すと予想される。
【0157】
(実施例31)
コーティングの性能
25%アクリル系媒体(Valspar,Wheeling,ILから入手可能)と残部の脱イオン水とよりなる樹脂溶液を用いて、以上の実施例の1種以上の改質型粒子の充填率を6%にして、コーティング配合物(マストーン)を調製して試験する。ティント調製物を得るために各マストーン着色剤をラテックス系ティントベース(Sherwin Williams,Cleveland,OHから入手可能)と1:10の比で混合する。6.0ミル巻線ロッドを用いてLeneta form 2A上に展延物を作製する。10滴の10%塩酸及び10滴の10%水酸化ナトリウム溶液をマストーン展延物上にスポットすることにより、耐薬品性を別々に測定する。スポット領域と対照領域との間でDE*値を求めることにより、耐薬品性の度合いを測定する。コーティング配合物は、DE*により測定される改良された耐薬品性を実証すると予想される。
【0158】
(実施例32)
カラーフィルター用途での性能
脱イオン水を用いて全量の75%に調整してから30%のValsparアクリル系媒体と30%のJoncryl1972(BASFから入手可能)と40%の1−メトキシ−2−プロパノール(プロピレングリコールモノメチルエーテル)とよりなる媒体(25%)と混合して以上の実施例の1種以上の改質型粒子の充填率を6%にして、カラーフィルター配合物を調製して試験する。巻線ロッド#7(Paul N.Gardner Company,Pompano Beach,FL)を用いた透明オレフィンポリマー基材上のカラーフィルターコーティングの透過率値を、周囲温度で乾燥させた後、測定する。
【0159】
(実施例33)
化粧品用途での性能
実施例17の改質型二酸化チタン顔料ディスパージョンを用いて、水中油型及びシリコーン中水型のエマルジョンを調製した。水中油型及びシリコーン中水型のエマルジョンの調製に使用した材料は、表18に記載されている。
【表35】
【0160】
表19は、以下に記載されるように調製される水中油型エマルジョンの処方を示している。
【表36】
【0161】
水中油型エマルジョンの作製手順:
1.相Aを調製し、均一になるまで混合及び50℃への加熱を行う。
2.相B1/B2を調製し、次に、相Aに添加する。Turraxホモジナイザーを用いて1分間混合する。
3.混合しながら40℃に冷却し、次に、相Cを添加する。
4.増粘剤(相D)を添加し、そして粘稠かつクリーム状になるまで混合を継続する。
5.適切な容器内に入れる。pH=7.60
【0162】
表20は、以下に記載されるように調製されるシリコーン中水型エマルジョンの処方を示している。
【表37】
【0163】
シリコーン中水型エマルジョンの作製手順:
1.相Aでは、均一になるまで混合及び70℃への加熱を行う。
2.熱を加えずに均一になるまで相B及びCを別々に混合する。
3.乳化されるまでBをバルクに添加する。バルクをCに徐々に添加し、そして温度を70℃に保持する。
4.増粘が起こるまで混合を継続する。
5.適切な容器内に入れる。
【0164】
図22について説明すると、左上のサンプルは、この実施例に記載されるように調製されて23℃で14日間貯蔵された水中油型エマルジョンを示し、一方、左下のサンプルは、50℃で7日間貯蔵された同一の水中油型エマルジョンを示している。右上のサンプルは、この実施例に記載されるように調製されて23℃で14日間貯蔵されたシリコーン中水型エマルジョンを示し、一方、左下のサンプルは、50℃で7日間貯蔵された同一の水中油型エマルジョンを示している。23℃で貯蔵されたエマルジョンと50℃で貯蔵されたものとの比較により、2種のエマルジョンの熱安定性が実証される。
【0165】
元の顔料と対比される改質型顔料の利点は、分散性及び分散の容易さである。エマルジョンは両方とも、剪断力をあまり用いないでも実施例17のディスパージョンを用いて比較的容易に形成された。特定の理論により拘束されるものではないが、温度安定性は、小さい粒子サイズ及び湿潤特性に起因して従来の顔料を含むエマルジョンよりも改質型顔料ディスパージョンを含むエマルジョンのほうが高いと考えられる。このため、粒子は、長期間にわたり懸濁状態で保持されるであろう。分散がより容易かつより良好であろうから、色強度もまた、改質型顔料を用いればより良好になると予想される。
【0166】
(実施例34)
修正液用途での性能
改質型不透明化剤(例えば、実施例17で調製された二酸化チタン)を含む水系修正液組成物は、当業者に周知の方法に従って調製される。(例えば、米国特許第6,025,413号明細書、米国特許第4,654,081号明細書、米国特許第4,165,988号明細書、及び米国特許第3,997,498号明細書(それらの開示内容はその全体が参照により本明細書に組み入れられるものとする)を参照されたい。)
(実施例35)
マーカー及びペン
以上の実施例の改質型粒子は、当技術分野で公知の方法を用いてマーカー及び筆記ペンに組み込まれる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子、より特定的には、染料粒子(例えば、ソルベント染料、分散染料、水不溶性染料、難溶性染料、又はそれらの組合せ)、無機顔料粒子、及び添加剤(例えば、昇華性UV吸収剤又は昇華性光学増白剤)の表面改質による自己分散性粒子の形成に関する。本発明はさらに、コーティング、金属コーティング、塗料、用紙、接着剤、ラテックス、トナー、テキスタイル、繊維、プラスチック(可撓性フィルム及びバルク材料)、化粧品、並びにインク(ただし、これらに限定されるものではない)をはじめとする自己分散性粒子の最終使用用途に関する。インクの特定例としては、用紙、テキスタイル、ポリエステル、繊維、プラスチック(可撓性フィルム及びバルク材料)、金属、金属加飾プラスチック、UV硬化、木材着色剤、筆記具、フェルトペン、人造繊維上への昇華プリント、コーティング付き天然繊維、コーティング付き材料、プラスチック、コーティング付き硬質基材、並びにカラーフィルターで用いられるプリントインクが挙げられるが、これらに限定されるものではない。最終使用の他の例としては、昇華プリント、転写プリント、ダイレクトプリント、及びインクジェットプリントの用途で用いられるプリントインクが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【背景技術】
【0002】
染料粒子、無機顔料粒子、及び添加剤を含む水性ディスパージョンは、インク、コーティング、塗料、用紙、接着剤、ラテックス、トナー、テキスタイル、繊維、木材着色剤、カラーフィルター、化粧品、及びプラスチック(ただし、これらに限定されるものではない)をはじめとする最終用途に関しては、水溶性染料よりも優れたいくつかの利点を提供し得る。例えば、それらは、水溶性染料と比較して、より大きい光学濃度及びエッジ鮮鋭度の少なくとも1つを呈し得る。そのほかに、昇華性を示す染料粒子及び添加剤は、一般的には、ディスパージョンとしてのみプリント可能である。残念ながら、これらの粒子はまた、貯蔵時に沈降する傾向を示す可能性もあるので、インクジェットインクのような要求の厳しい用途でのそれらの使用は、最初から制限される。染料粒子系インクの良好な安定性は、達成困難であろう。
【0003】
懸濁状態の染料粒子の安定化は、分散剤による安定化を用いて(すなわち、立体的及び/又は静電的な安定化を提供して)達成されてきたが、その結果は、工業的に利用可能であるとはいえ、限られた貯蔵寿命を有するにすぎない。コロイド安定性を得るための分散剤と組み合わせて粒子をサブミクロンレベルに粉砕するメディアミルの出現は、インクジェットインク配合物で染料ディスパージョンを使用する原動力となっている。しかしながら、分散剤は、ディスパージョンの粘度を増大させる可能性があり、結果的に、ディスパージョンを含有するインクをインクジェットプリントヘッド中の小オリフィスから噴射することが困難になる。さらに、分散剤は、以上に列挙された材料の調製コストを著しく増大させる可能性があるので、経済的にも不利である。分散剤は、一般的には、染料の表面に共有結合されないので、安定化を損なうおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、現在の染料粒子系(例えば、現在の水溶性染料系及び分散剤を利用する現在の染料粒子系)を含む現在の最終用途に典型的に関連する問題の少なくともいくつかを克服可能な自己分散型粒子の必要性が依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様では、粒子の改質方法を提供する。この方法は、X−[Y]n反応性基を有する反応性化合物を第2の化合物N−S−ZMと反応させて置換型反応性中間体[Y]a−X−(N−S−ZM)bを形成することと、粒子を置換型反応性中間体[Y]a−X−(N−S−ZM)bと反応させて置換型反応性中間体を粒子の表面に結合することにより表面改質型粒子を形成することと、を含み得る。粒子は、染料粒子、無機顔料粒子、添加剤、又はそれらの組合せの少なくとも1つを含み得る。Xは、スルホニル基、ホスホリル基、又は1,3,5−トリアジニル基であり得る。Yは、ハロゲン脱離性基であり得る。Nは、求核性基であり得る。Sは、有機基であり得る。ZMは、イオン化性末端基であり得る。また、nは1〜3の整数であり、bは1〜3の整数であり、かつa=n−bであり(ただし、nはb以上である)、しかもbが2又は3のとき各N−S−ZMは同一であり得るかもしくは異なり得る。
【0006】
他の態様では、粒子の他の改質方法を提供する。この方法は、反応性化合物基を粒子の表面に結合することを含み得る。粒子は、染料粒子、無機顔料粒子、添加剤、又はそれらの組合せの少なくとも1つを含み得る。続いて、イオン化性末端基を有する有機基質で反応性基を置換し得る。粒子は、ディスパースブルー14、ディスパースブルー19、ディスパースブルー72、ディスパースブルー334、ディスパースブルー359、ディスパースブルー360、ディスパースオレンジ25、ディスパースイエロー54、ディスパースイエロー64、ディスパースレッド55、ディスパースレッド60、マクロレックスレッドH、ディスパースブラウン27、ソルベントブルー67、ソルベントブルー70、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146、ソルベントレッド160、ソルベントイエロー162、ソルベントバイオレット10、ソルベントブラック29、アシッドイエロー204、アシッドイエロー151、アシッドオレンジ60、アシッドレッド182、アシッドレッド357、アシッドレッド359、アシッドブルー193、アシッドブラウン355、アシッドバイオレット90、アシッドブラック172、アシッドブラック194、アシッドブラック52、アシッドブラック60、酸化チタン(IV)、酸化鉄(III)、及び酸化亜鉛よりなる群から選択可能である。
【0007】
さらなる態様では、粒子のそのほかの改質方法を提供する。この方法は、反応性基X−Yを粒子の表面に結合することを含み得る。粒子は、染料粒子、無機顔料粒子、添加剤、又はそれらの組合せの少なくとも1つを含み得る。続いて、この方法は、有機基質N−S−ZMでYを置換して結合されたX−N−S−ZMを有する表面改質型粒子を形成することを含む。式中、Xは、スルホニル基、ホスホリル基、又は1,3,5−トリアジニル基であり、Yは、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素であり、Nは、アミン基、イミン基、ピリジン基、又はチオール基であり、Sは、置換型もしくは無置換型のアルキル、アリール、又は約300〜約8000の分子量範囲を有するポリマー鎖であり、Zは、カルボキシル基、スルホニル基、フェノール性基、ホスホリル基、アンモニウム基、トリメチルアンモニウム基、又はトリブチルアンモニウム基であり、かつMは、ハロゲン化物イオン、負荷電イオン、塩形プロトン、又は塩形カチオンである。
【0008】
他のさらなる態様では、粒子1グラムあたり約0.1〜約0.8ミリモルの活性水素を有する染料粒子、無機顔料粒子、添加剤、又はそれらの組合せを含み得る表面改質型粒子を提供する。
【0009】
他の態様では、染料粒子、無機顔料粒子、添加剤、又はそれらの組合せの少なくとも1つと、粒子1グラムあたり約0.1〜約0.8ミリモルの活性水素と等価な全量のアルカリ金属と、を含む粒子を含み得る表面改質型粒子を提供する。
【0010】
そのほかの態様では、染料粒子、無機顔料粒子、添加剤、又はそれらの組合せの少なくとも1つと、それに結合された(N−S−ZM)を含む基と、を含み得る改質型粒子を提供する。式中、Nは、求核性基であり、Sは、有機基であり、かつZMは、イオン化性末端基である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】ディスパースブルー359並びに実施例3及び10の改質型ディスパースブルー359サンプルの低分解能X線光電子分光(XPS)スペクトルを示している。
【図2】ディスパースブルー359並びに実施例3及び10の改質型ディスパースブルー359サンプルの高エネルギー分解能C1sスペクトルを示している。
【図3】ディスパースブルー359並びに実施例3及び10の改質型ディスパースブルー359サンプルの高エネルギー分解能O1sスペクトルを示している。
【図4】ディスパースブルー359並びに実施例3及び10の改質型ディスパースブルー359サンプルの高エネルギー分解能Na1sスペクトルを示している。
【図5】ディスパースイエロー54及び実施例5の改質型ディスパースイエロー54サンプルの低分解能X線光電子分光(XPS)スペクトルを示している。
【図6】実施例5の改質型ディスパースイエロー54サンプルの高エネルギー分解能Na1sスペクトルを示している。
【図7】ディスパースブラウン27及び実施例7の改質型ディスパースブラウン27サンプルの低分解能X線光電子分光(XPS)スペクトルを示している。
【図8】ディスパースブラウン27及び実施例7の改質型ディスパースブラウン27サンプルの高エネルギー分解能Na1sスペクトルを示している。
【図9】ディスパースブルー72及び実施例8の改質型ディスパースブルー72サンプルの低分解能X線光電子分光(XPS)スペクトルを示している。
【図10】ディスパースブルー72及び実施例8の改質型ディスパースブルー72サンプルの高エネルギー分解能Na1sスペクトルを示している。
【図11】ソルベントレッド146及び実施例16の改質型ソルベントレッド146サンプルの低分解能X線光電子分光(XPS)スペクトルを示している。
【図12】ソルベントレッド146及び実施例16の改質型ソルベントレッド146サンプルの高エネルギー分解能Na1sスペクトルを示している。
【図13】ソルベントブルー67及び実施例14の改質型ソルベントブルー67サンプルの低分解能X線光電子分光(XPS)スペクトルを示している。
【図14】実施例14の改質型ソルベントブルー67サンプルの高エネルギー分解能Na1sスペクトルを示している。
【図15】トリエトキシカプリリルシラン処理二酸化チタン顔料、二酸化チタン顔料、並びに実施例17及び18のそれぞれの改質型サンプルの低分解能X線光電子分光(XPS)スペクトルを示している。
【図16】実施例17及び18の改質型トリエトキシカプリリルシラン処理二酸化チタン顔料及び改質型二酸化チタン顔料の高エネルギー分解能N1sスペクトルを示している。
【図17】実施例17及び18の改質型トリエトキシカプリリルシラン処理二酸化チタン顔料及び改質型二酸化チタン顔料の高エネルギー分解能Na1sスペクトルを示している。
【図18】改質型トリエトキシカプリリルシラン処理二酸化チタン顔料、二酸化チタン顔料、並びに実施例17及び18のそれぞれの改質型サンプルの高エネルギー分解能Si2pスペクトルを示している。
【図19】改質型トリエトキシカプリリルシラン処理二酸化チタン顔料、二酸化チタン顔料、並びに実施例17及び18のそれぞれの改質型サンプルの高エネルギー分解能P2pスペクトルを示している。
【図20】黄色酸化鉄顔料及び実施例19の改質型黄色酸化鉄顔料の低分解能X線光電子分光(XPS)スペクトルを示している。
【図21】実施例19の改質型黄色酸化鉄顔料サンプルの高エネルギー分解能Na1sスペクトルを示している。
【図22】改質型二酸化チタン顔料ディスパージョンを用いて調製された水中油型エマルジョン(左上及び左下)並びにシリコーン中水型エマルジョン(右上及び右下)の写真を示している。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の任意の実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、その適用が以下の説明に示される成分の構成及び配置の詳細に限定されるものではないことを理解しなければならない。本発明は、他の実施形態が可能であり、かつ種々の方法で実習又は実施が可能である。また、本明細書中で用いられる表現及び用語は、説明を目的としたものであって限定するものとみなされるべきでないことも理解しなければならない。本明細書中での「including(〜を含む)」、「comprising(〜を含む)」、又は「having(〜を有する)」、及びそれらの変化形の使用は、その後に列挙された項目及びそれらの等価物並びに追加の項目を包含するものとみなされる。
【0013】
また、本明細書中に挙げられた数値範囲はいずれも、下限値から上限値までのすべての値を包含するものとみなされる。例えば、濃度範囲が1%〜50%と明記されている場合、2%〜40%、10%〜30%、又は1%〜3%等のような値が本明細書中に明示的に列挙されているものとする。これらは、具体的に意図されたものの例にすぎず、列挙された最低値及び最高値を含めてそれらの間の数値のすべての可能な組合せが本出願ではっきりと明記されているものとみなされる。
【0014】
一態様では、本発明は、シアヌル酸クロリドを約3当量の第2の化合物又は第2の化合物の混合物と反応させてすべての反応性塩素を置換することにより置換型トリアジンを形成することを含み得る粒子の改質方法を提供し得る。置換型トリアジンは、粒子の表面と反応して自己分散性粒子を形成し得る。
【0015】
他の態様では、本発明は、X−[Y]n反応性基を有する反応性化合物を第2の化合物N−S−ZMと反応させて置換型反応性中間体[Y]a−X−(N−S−ZM)bを形成することを含み得る粒子の改質方法を提供し得る。この方法はまた、粒子を置換型反応性中間体[Y]a−X−(N−S−ZM)bと反応させて置換型反応性中間体を粒子の表面に結合することにより自己分散性粒子を形成することをも含み得る。Xは、1,3,5−トリアジニル基を表す。Yは、ハロゲン等の脱離性基であり、Nは、求核性基であり、Sは、有機基であり、かつZMは、イオン化性末端基であり得る。また、nは、1〜3の整数であり、bは、1〜3の整数であり、かつa=n−bであり得る。この場合、nは、b以上であり、かつ、bが2又は3のとき、各N−S−ZMは、同一であり得るかもしくは異なり得る。
【0016】
さらなる態様では、本発明は、反応性基X−Yを粒子の表面に結合することを含み得る粒子の改質方法を提供し得る。続いて、Yを有機基質N−S−ZMで置換して結合されたX−S−ZMを有する自己分散性粒子を形成し得る。Xは、1,3,5−トリアジニル基を表す。Yは、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素等の脱離性基であり得る。Nは、アミン基、イミン基、ピリジン基、又はチオール基であり得る。Sは、置換型もしくは無置換型のアルキル、アリール、又は約300〜約8000の分子量範囲を有するポリマー鎖であり得る。Zは、カルボキシル基、スルホニル基、フェノール性基、ホスホリル基、アンモニウム基、トリメチルアンモニウム基、又はトリブチルアンモニウム基であり得る。Mは、ハロゲン化物イオン、負荷電イオン、塩形プロトン、又は塩形カチオンであり得る。
【0017】
他の態様では、本発明は、粉砕助剤と共に粒子をミル処理して分散することにより粒子ディスパージョンを形成することを含み得る粒子の改質方法を提供し得る。この方法はまた、X−[Y]n反応性基を有する反応性化合物を第2の化合物N−S−ZMと反応させて置換型反応性中間体[Y]a−X−(N−S−ZM)bを形成することをも含み得る。この方法はまた、ディスパージョンを置換型反応性中間体[Y]a−X−(N−S−ZM)bと反応させて置換型反応性中間体を粒子の表面に結合することにより自己分散性粒子を形成することをも含み得る。この方法はまた、粉砕助剤を含めて不純物を除去するために自己分散性粒子を精製することをも含み得る。Xは、1,3,5−トリアジニル基を表す。Yは、ハロゲン等の脱離性基であり、Nは、求核性基であり、Sは、有機基であり、かつZMは、イオン化性末端基であり得る。また、nは、1〜3の整数であり、bは、1〜3の整数であり、かつa=n−bであり得る。この場合、nは、b以上であり、かつ、bが2又は3のとき、各N−S−ZMは、同一であり得るかもしくは異なり得る。
【0018】
さらなる態様では、本発明は、シアヌル酸クロリドを約3当量の第2の化合物又は第2の化合物の混合物と反応させてすべての反応性塩素を置換することにより置換型トリアジンを形成することを含み得る粒子の改質方法を提供し得る。置換型トリアジンは、粒子(D)と分散剤又はポリマー(R)と水とを含み得る粒子ディスパージョン(D)(R)と反応して自己分散性粒子を形成し得る。この方法はまた、追加のポリマーを粒子ディスパージョンに添加することをも含み得る。追加のポリマーは、(R)と同一であっても異なっていてもよい。自己分散性粒子は、結合された少なくとも1種の置換型トリアジンと(R)と追加のポリマーとを有し得る。粒子ディスパージョン(D)(R)は、場合により、粒子をミル処理して分散することにより形成され得る。この方法はまた、未結合の分散剤及び/又はポリマーを含めて不純物を除去するために自己分散性粒子を精製することをも含み得る。各第2の化合物は、同一であり得るかもしくは異なり得る。基Rは、原料の粒子ディスパージョン中にすでに存在するオリゴマー、ポリマー、高分子樹脂、分散剤、もしくはバインダー、原料の粒子に添加されるオリゴマー、ポリマー、高分子樹脂、分散剤、もしくはバインダー、原料の粒子ディスパージョンに添加される追加のオリゴマー、ポリマー、高分子樹脂、分散剤、もしくはバインダー、又はそれらの組合せであり得る。
【0019】
一実施形態では、本発明は、粒子の改質方法を提供する。この方法は、反応性分子を介在させて荷電末端基(負又は正)を有する有機基を結合することにより表面安定化改質型粒子を製造することを含み得る。理論により限定されるものではないが、安定化は、サブミクロンサイズの粒子上に共有結合された類似荷電基の一様分布により発生する斥力により達成されると考えられる。
【0020】
さらに他の実施形態では、本発明は、以上に記載されるように粒子と好適な有機分子に結合された反応性中間体との反応により形成された自己分散性粒子を含むディスパージョンを提供する。水性環境中で安定な反応性中間体の選択は、本発明の他の態様である。
【0021】
他の実施形態では、本発明は、反応性基を粒子の表面に結合してからイオン化性末端基を有する有機基質で反応性基を置換することを含み得る粒子の改質方法を提供する。
【0022】
さらなる実施形態では、本発明は、粒子1グラムあたり約0.1〜約10ミリモルの硫黄及び約0.1〜約10ミリモルの活性水素を含む自己分散性粒子と水とを含むディスパージョンを提供する。
【0023】
他の態様では、本発明は、耐クロッキング堅牢性(耐水堅牢性)や耐摩擦性等の少なくとも1つの耐久性さらには深色度を増強する、粒子へのオリゴマー、ポリマー、高分子樹脂、分散剤、もしくはバインダーの結合物、又は自己分散性粒子を提供する。これらの性質は、ディジタルプリント等の本明細書中で検討される用途のいくつかに関連する。速いプリント速度及び少ないジェット体積(2〜5ピコリットル)もまた、とくにサーマルインクジェット用の低粘度インク配合物に影響を及ぼす。オリゴマー、ポリマー、高分子樹脂、分散剤、又はバインダーの結合は、量の要件を軽減する。そのほかに、ポリマーは、粒子と一緒に留まるので、同等の結果を有する低粘度の配合物を与える。
【0024】
自己分散性粒子の製造方法
本発明の一態様は、安定な自己分散性粒子の製造方法に関する。
【0025】
本明細書中で用いられる場合、「粒子」という用語は、水不溶性成分を意味する。粒子は、染料粒子、無機顔料粒子、添加剤、又はそれらの組合せの少なくとも1つを含み得る。
【0026】
本明細書中で用いられる場合、「染料粒子」という用語は、ソルベント染料、分散染料、水不溶性染料、難溶性染料、又はそれらの組合せの少なくとも1つを包含するものとする。染料粒子は、基材に色を付与するために使用され得る。基材の例としては、普通紙又はコート紙、フィルム、及びテキスタイルのような他の受容媒体(例えば、織布、不織布、ニットウェア等)が挙げられ得るが、これらに限定されるものではない。染料粒子は、微細ディスパージョンの形態をとり得る。
【0027】
本明細書中で用いられる場合、「無機顔料粒子」という用語は、基材(例えば、普通紙又はコート紙、フィルム、及び他のタイプの受容媒体)に色を付与するために使用される無機着色剤を包含するものとする。無機顔料粒子はまた、化粧品配合物に色を付与し得る。無機顔料粒子は、白色、黒色、さらには他の色であり得る。
【0028】
本明細書中で用いられる場合、「添加剤」という用語は、最終製品で特定の性質を改良又は提供し得る非染料の分子もしくは粒子又は非顔料の分子もしくは粒子を包含するものとする。添加剤の例としては、昇華性UV吸収剤や昇華性光学増白剤等の非染料分子が挙げられるが、これらに限定されるものではない。添加剤は無色であり得る。
【0029】
本明細書中で用いられる場合、「自己分散性」粒子という用語は、追加の分散剤がまったく存在しなくても粒子が安定な水性ディスパージョンを形成するようにその表面に共有結合された安定化基を有する粒子を意味する。
【0030】
本明細書中で用いられる場合、「安定」という用語は、少なくとも約3ヶ月間さらには6ヶ月間〜2年間にわたり周囲温度で貯蔵した時に測定される決定的性質(例えば、平均粒子サイズ、粘度、表面張力、及びpHの少なくとも1つ)の変化が10%未満であることにより実証されるような最小限の変化をエージング時に呈するディスパージョンを意味する。加速試験方法としては、少なくとも約1週間にわたる約60℃での熱安定性試験又は少なくとも約4週間にわたる約60℃での熱安定性試験が挙げられる。自己分散性粒子は、人造繊維(例えばポリエステル)上への昇華時に変動のないカラーイールドを示す。
【0031】
いくつかの実施形態では、「結合された」、「結合する」、又は「結合」とは、直接的もしくは間接的なものであり得る。
【0032】
第1の実施形態では、自己分散性粒子の製造方法は、一般的には、(1)粒子(D)を、X−Y反応性基を有する反応性化合物及びハロゲン含有試薬と、反応させて、反応性基X−Yを粒子(D)の表面に結合することにより、粒子反応性中間体(D)X−Yを形成することと、(2)粒子反応性中間体(D)X−Yを第2の化合物N−S−ZMと反応させて自己分散型粒子(D)−X−S−ZMを形成することと(「置換工程」)、を含む。この実施形態に係る一例としては、反応性基X−Yを粒子の表面に結合することと、続いて、Yを有機基質N−S−ZMで置換して結合されたX−S−ZMを有する自己分散性粒子を形成することと、を含み得る粒子の改質方法が挙げられ得るが、これに限定されるものではない。
【0033】
第2の実施形態では、自己分散性粒子(D)−X−S−ZMの製造方法は、(1)X−Y反応性基を有する反応性化合物を第2の化合物N−S−ZMと反応させて置換型反応性中間体X−S−ZMを形成することと(「置換工程」)、(2)第2の置換反応を用いて粒子(D)を置換型反応性中間体X−S−ZMと反応させて置換型反応性中間体X−S−ZMを粒子の表面に結合することにより自己分散性粒子(D)−X−S−ZMを形成することと、を含み得る。この実施形態に係る一例としては、X−[Y]n反応性基を有する反応性化合物を第2の化合物N−S−ZMと反応させて置換型反応性中間体[Y]a−X−(S−ZM)bを形成することと、粒子を置換型反応性中間体[Y]a−X−(S−ZM)bと反応させて置換型反応性中間体を粒子の表面に結合することにより自己分散性粒子を形成することと、を含み得る粒子の改質方法が挙げられ得るが、これに限定されるものではない。式中、nは、1〜3の整数であり、bは、1〜3の整数であり、かつa=n−bであり、ただし、nは、b以上であり、かつ、bが2又は3のとき、各N−S−ZMは、同一であり得るかもしくは異なり得る。一実施形態では、bが2又は3のとき、各N−S−ZMは異なり得る。
【0034】
第3の実施形態では、自己分散性粒子(D)−X−S−ZMの製造方法は、(1)X−Y反応性基を有する反応性化合物を第2の化合物N−S−ZMと反応させて第1の置換型反応性中間体X−S−ZMを形成することと(「置換工程」)、(2)X−Y反応性基を有する反応性化合物を工程(1)とは異なる第2の化合物N2−S2−Z2M2と反応させて第2の置換型反応性中間体X−S2−Z2M2を形成することと(「置換工程」)、(3)粒子(D)を置換型反応性中間体X−S−ZM及びX−S2−Z2M2と反応させて置換型反応性中間体を結合することにより自己分散型粒子Z2M2−S2−X−(D)−X−S−ZMを形成することと、を含み得る。場合により、S−ZM及びS2−Z2M2は、同じであり得るうえに、反応性基はすべて、置換されるであろう。粒子表面への最終的結合は、ラジカル支援型不均化反応の1つであり得る。
【0035】
第4の実施形態では、自己分散性粒子(D)−X−S−ZMの製造方法は、(1)粉砕助剤を用いて粒子をミル処理して分散することにより水性粒子ディスパージョンを形成することと、(2)X−Y反応性基を有する反応性化合物を第2の化合物N−S−ZMと反応させて第1の置換型反応性中間体X−S−ZMを形成することと(「置換工程」)、(3)X−Y反応性基を有する反応性化合物を工程(2)とは異なる第2の化合物N2−S2−Z2M2と反応させて第2の置換型反応性中間体X−S2−Z2M2を形成することと(「置換工程」)、(4)ラジカル開始反応を用いて、粉砕助剤を用いてあらかじめミル処理された粒子(D)を置換型反応性中間体X−S−ZM及びX−S2−Z2M2と反応させて、置換型反応性中間体X−S−ZM及びX−S2−Z2M2を粒子の表面に結合することにより、自己分散性粒子Z2M2−S2−X−(D)(R)−X−S−ZMを形成することと、(5)粉砕助剤を含めて不純物を除去するために自己分散型粒子を精製することと、を含み得る。場合により、S−ZM及びS2−Z2M2は、同一であり得る。
【0036】
第5の実施形態では、自己分散性粒子(D)(R)−X−S−ZMの製造方法は、(1)場合により、粒子をミル処理して分散することにより水性粒子ディスパージョン(D)(R)を形成することと(この水性粒子ディスパージョン(D)(R)は、粒子(D)と分散剤又はポリマー(R)と水とを含む)、(2)シアヌル酸クロリドを約3当量の第2の化合物SZM又は第2の化合物の混合物(SZM、S2Z2M2、及びS3Z3M3)と反応させてすべての反応性塩素を置換することにより置換型トリアジンを形成することと、(3)置換型トリアジンを水性粒子ディスパージョン(D)(R)と反応させて自己分散型粒子(D)(R)−X−S−ZM、−X−S2−Z2M2、−X−S3−Z3M3を形成することと(ただし、X−S−ZM、−X−S2−Z2M2、−X−S3−Z3M3の1つ以上は、(D)(R)に結合される)、4)未結合の分散剤を含めて不純物を除去するために自己分散型粒子を精製することと、を含み得る。場合により、S−ZM、S2−Z2M2、S3−Z3M3は、同一であり得るかもしくは異なり得る。この実施形態では、Xはトリアジン基であり得る。
【0037】
第6の実施形態では、自己分散性粒子(D)(R)−X−S−ZMを製造するために、ポリマー添加剤で安定化された粒子ディスパージョンを固体粒子の代わりに使用し得る。
【0038】
置換工程時、X−Y反応性基の少なくとも1つの脱離性基Yは、第2の化合物N−S−ZMで置換される。一例では、置換工程時、シアヌル酸クロリドの少なくとも1つの塩素は、第2の化合物N−S−ZMで置換されるが、これに限定されるものではない。Nは、アミン、イミン、ピリジン、又はチオールをはじめとする求核性基であるが、これらに限定されるものではない。Sとしては、置換型もしくは無置換型の、アルキル、アリール、及び約1〜100個超の炭素を有するか又は約300〜約8000の分子量範囲を有するポリマー鎖等の有機基が挙げられ得るが、これらに限定されるものではなく、負電荷による安定化の場合、ZMは、酸性テール基であり、Zは、カルボキシル、スルホニル、フェノール性、及びホスホリルであり得るが、これらに限定されるものではなく、かつMは、プロトン又は塩形として存在するときカチオンのいずれかであり得る。
【0039】
置換反応は、粒子の表面に電荷及び嵩高さを付与し得る。置換工程は、水性媒体中で行われ得る。酸性テールの官能基の選択は、最終用途により決定されるが、塩基性ヘッドの官能基は、脱離性基Yを置換するのに十分な求核性を有していなければならない。一例では、塩基性ヘッドの官能基は、シアヌル酸クロリド中の塩素を置換するのに十分な求核性を有していなければならないが、これらに限定されるものではない。第2の化合物は、ポリマー、アミン、アミノ酸、アルコール、チオール、及びそれらの組合せを含み得る。第2の化合物(N−S−ZM及びN2−S2−Z2M2、N3−S3−Z3M3)の例としては、アミノ安息香酸、アミノベンゼンスルホン酸、アミノフェノール、アミノスルホン酸、ポリエトキシル化アミノ酸、ナトリウムスルファニレート、スルファニル酸、ナトリウムp−アミノベンゾエート、p−アミノフェノール、エチル4−アミノベンゾエート、タウリン、オレイン酸(アミノ)、ナトリウムアミノオレエート、テトラメチルアンモニウム4−アミノベンゾエート、及びナトリウム4−アミノフェノラートが挙げられるが、これらに限定されるものではない。追加の第2の化合物は、有機高分子基質を含む。有機高分子基質の例としては、SMA(ポリスチレン−co−無水マレイン酸樹脂)、ポリ(スチレン−co−無水マレイン酸)クメン末端樹脂、PEI、PEHA、SA(スチレン−アクリル)、ペンタエチレンヘキサアミン、「Surfonamine」という商品名でHuntsman Chemicalsから入手可能な300〜3000MWの既知の分子量範囲を有する線状アルキル並びに分岐状エトキシ及びプロポキシの鎖状ポリマー、線状ポリエトキシ高分子アミン、線状プロポキシ高分子アミン、「Joncryl」という商品名でBASFから入手可能なスチレンアクリルコポリマー、さらには「Epomine」という商品名で販売されているポリエチレンイミンが挙げられ得るが、これらに限定されるものではない。
【0040】
正電荷による安定化の場合、ZMは、正荷電第四級アンモニウムタイプのテール基であり得る。ここで、Zは、アンモニウム、トリメチルアンモニウム、及びトリブチルアンモニウムであり得るが、これらに限定されるものではなく、かつMは、ハロゲン化物イオン又は任意の負荷電イオンであり得る。第2の化合物N−S−ZM、N2−S2−Z2M2、及びN3−S3−Z3M3の例としては、単純ジアミノ芳香族化合物、又はポリエチレンイミン、ポリグアニジン、第四級アンモニウム化合物等よりなるカチオン性ポリマーが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0041】
最終的自己分散性粒子は、第1及び第2の実施形態では式(D)−X−S−ZMにより表され得る。いくつかの例では、異なる第2の化合物を含む、粒子に結合された複数の−S−ZMが存在し得る。第3の実施形態では、最終的自己分散性粒子は、式Z2M2−S2−X−(D)−X−S−ZMにより表され得る。第4の実施形態では、最終的自己分散性粒子は、式Z2M2−S2−X−(D)(R)−X−S−ZMにより表され得る。第5の実施形態では、最終的自己分散性粒子は、式(D)(R)−X−S−ZM、−X−S2−Z2M2、−X−S3−Z3M3により表され得る。ただし、X−S−ZM、−X−S2−Z2M2、−X−S3−Z3M3の1つ以上は、(D)(R)に結合される。第6の実施形態では、最終的自己分散性粒子は、式(D)(R)−X−S−ZMにより表され得る。また、最終的に、N、Z、M、及びSを変更する「2」又は「3」の使用は、N、Z、M、及びS、並びにMN2、Z2、M2、及びS2、並びにN3、Z3、M3、及びS3が互いに同一であり得るかもしくは異なり得ることを意味するものとする。N2、Z2、M2、及びS2、並びにN3、Z3、M3、及びS3は、N、Z、M、及びSに関して以上に示されたのと同一の選択肢から選択され得る。
【0042】
Rは、オリゴマー、ポリマー、高分子樹脂、分散剤、又はバインダーであり得る。一実施形態では、分散剤は、活性化されてラジカルを形成し粒子の表面に結合し得る官能基を有するポリマーであり得る。Rは、原料の粒子ディスパージョン中にすでに存在するオリゴマー、ポリマー、高分子樹脂、分散剤、もしくはバインダー、原料の粒子に添加されるオリゴマー、ポリマー、高分子樹脂、分散剤、もしくはバインダー、原料の粒子ディスパージョンに添加される追加のポリマー、高分子樹脂、分散剤、もしくはバインダー、又はそれらの組合せであり得る。ポリマーの特定例としては、SMA(ポリスチレン−コ−無水マレイン酸樹脂)、ポリ(スチレン−コ−無水マレイン酸)クメン末端樹脂、PEI、PEHA、SA(スチレン−アクリル)、ペンタエチレンヘキサアミン、「Surfonamine」という商品名でHuntsman Chemicalsから入手可能な300〜3000MWの既知の分子量範囲を有する線状アルキル並びに分岐状エトキシ及びプロポキシの鎖状ポリマー、線状ポリエトキシ高分子アミン、線状プロポキシ高分子アミン、「Joncryl」という商品名でBASFから入手可能なスチレンアクリルコポリマー、「Epomine」という商品名で販売されているポリエチレンイミン、さらにはAlberdingk、Bayer(Impranil)、Huntsman Specialty(Dicrylan)により作製されるようなPU樹脂が挙げられるが、これらに限定されるものではない。オリゴマーの特定例としては、ウレタン−アクリレート、ポリエステル−アクリレート、及びPEG−アクリレート(Cytec製、Sartomer製、Rahn製)が挙げられる。
【0043】
本発明の例示に役立てるべく、第2の実施形態の特定例を以下に提供する。式中、Dは粒子を表す。
【化1】
【0044】
本発明の例示に役立てるべく、第3の実施形態の特定例を以下に提供する。式中、Dは粒子を表す。
【化2】
【0045】
本発明の例示に役立てるべく、第5の実施形態の特定例を以下に提供する。式中、Dは粒子を表し、かつRは、ポリマー、高分子樹脂、又は分散剤を表す。
【化3】
【0046】
より一般的にいえば、自己分散性粒子は、原料の粒子又はウェットプレスケークをミル処理して微細粉砕物(典型的には約200nm未満)にしてから安定化基として小有機分子を結合することにより形成可能である。本明細書に記載のものをはじめとする表面改質化学はまた、原料の粒子と分散剤と水とを含む原料の粒子ディスパージョンでも使用可能である。当技術分野で公知のように1種もしくは複数種の分散剤及び添加剤を用いて原料の粒子を分散し、原料の粒子ディスパージョンを形成することが可能である。原料の粒子(例えば粉末形態のもの)ではなく原料の粒子ディスパージョンは、本明細書中に記載の表面改質技術さらには当技術分野で周知の他の表面改質技術で使用可能である。それに加えて、原料の粒子ディスパージョン及び原料の粒子は、本明細書中に記載の表面改質技術で一緒に使用可能である。原料の粒子、原料の粒子ディスパージョン、自己分散性粒子、及び原料の粒子ディスパージョンの自己分散性粒子の任意の組合せが、本明細書中に記載の表面改質技術で使用可能である。
【0047】
原料の粒子ディスパージョンを改質するために以上の表面改質化学のいずれかを用いる場合、原料の粒子ディスパージョン中の分散剤さらには以上に記載の化合物は、表面改質時に原料の粒子の表面に結合可能である。このようにして、ラジカル形成可能な分散剤及び置換型反応性中間体(例えばX−S−ZM)は、粒子の表面に同時に結合可能である。これにより、安定な粒子ディスパージョンを形成可能である。表面改質プロセス時に粒子の表面に結合しない残留分散剤はすべて、すなわち、粒子に単に吸着されているだけで結合されていない分散剤はすべて、精製プロセスを介して除去可能である。
【0048】
一実施形態では、市販の粒子ディスパージョンは、なんらミル処理を必要とすることなく改質可能である。より小さい粒子が望まれる場合、ディスパージョンは、結合プロセスの前に又はその任意の時点でミル処理可能である。例えば、Buhlerマイクロメディアミルを使用することが可能である。さらなる実施形態では、分散剤は、原料の粒子に添加可能であり、次に、粒子及び分散剤は、結合プロセスの前に又はその任意の時点でミル処理可能である。他のさらなる実施形態では、分散剤は、原料の粒子に添加可能であり、次に、粒子及び分散剤は、ミル処理可能であり、又は原料の粒子ディスパージョンは、ミル処理可能であり、かつ追加のポリマー又は置換型反応性中間体は、ミル処理の前に又はその任意の時点で添加可能である。粉砕助剤もまた、原料の粒子及び分散剤と共にミル処理可能である。添加される分散剤の量は、粒子の表面に結合される分散剤の最終量に影響を及ぼすように制御可能である。化学処理の前に行われるミル処理では、通常のミルチャンバー及び部品を使用して結合プロセス時の再凝集を防止することが可能である。
【0049】
このプロセスを用いることにより改質された粒子は、従来方式で分散された粒子よりも低い粘度及び高い表面張力を有し得る。
【0050】
必ずしも全部というわけではないがいくつの実施形態では、方法、改質型粒子、又は改質型粒子を含むディスパージョンは、元素金属及び合金、ポリマー(例えばポリウレタン)、クレー、ゾルゲル、プラスチックビーズ、又はラテックス塗料を除外することもある。
【0051】
本発明の実施形態は、以下でより詳細に考察される。一般的には、自己分散性粒子の製造方法は、粒子の供給源の選択から開始される。
【0052】
粒子
本発明に従って表面改質可能な染料粒子は、Color Indexに準拠して分散染料及びソルベント染料とみなされるすべての色素を包含する。本発明に従って表面改質可能な染料粒子としては、ディスパースブルー14、ディスパースブルー19、ディスパースブルー72、ディスパースブルー334、ディスパースブルー359、ディスパースブルー360、ディスパースオレンジ25、ディスパースイエロー54、ディスパースイエロー64、ディスパースレッド55、ディスパースレッド60、マクロレックスレッドH、ディスパースブラウン27、ソルベントブルー67、ソルベントブルー70、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146、ソルベントレッド160、ソルベントイエロー162、ソルベントバイオレット10、ソルベントブラック29、アシッドイエロー204、アシッドイエロー151、アシッドオレンジ60、アシッドレッド182、アシッドレッド357、アシッドレッド359、アシッドブルー193、アシッドブラウン355、アシッドバイオレット90、アシッドブラック172、アシッドブラック194、アシッドブラック52、及びアシッドブラック60が挙げられ得るが、これらに限定されるものではない。他の好適な材料は、Macrolex(Lanxessから入手可能)及びElbasolという商品名で入手可能である。
【0053】
本発明で使用可能な市販の水性染料粒子ディスパージョン(D)(R)の例としては、Bafixan(BASF)、Foron(Clariant)、Transcorona(Huber)、及びPapicel(Eastwell)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。Sensient Imaging Technologies−Specialty Inks and Colors(Switzerland)から入手可能な染料粒子ディスパージョンの例としては、Teraprint、Subli、及びElvajetの製品が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0054】
利用される染料粒子の品質は、平均粒子サイズ、不透明性、色調、安定性等のディスパージョンの決定的性質に影響を及ぼし得る。しかしながら、本発明の一実施形態では、本発明に係る表面改質技術でより低品質の染料粒子を用いて良品質の完成品を製造することが可能である。本発明に係る自己分散性染料粒子の精製プロセスでは、原料の染料粒子又は原料の染料粒子ディスパージョンに由来する不純物を除去することが可能である。
【0055】
染料粉末及びウェットプレスケーク状染料は、さまざまな粒子サイズで入手可能である。一般的には、より小さい粒子サイズは、より大きい表面積に関連付けられ、より大きい表面積は、より高濃度の親水性表面基を収容可能であるので、究極的に水性系媒体中での染料の分散能を増強する。したがって、粒子サイズは、自己分散性染料粒子の分散能に影響を及ぼし得る。例えば、乾燥粉末状の典型的な分散染料の平均一次粒子サイズは、約0.1〜100ミクロン、特定的には約1〜20ミクロンである。大きい寸法を有する染料粒子は、当業者に公知の任意の数の技術を用いて表面改質前又は表面改質時に所望のサイズに細粒化可能である。そのような技術としては、ボールミル、アトライター、フロージェットミキサー、インペラーミル、コロイドミル、及びサンドミル(例えば、「Super Mill」、「Agitator Mill」、「Dyno−mill」、又は「Beads Mill」という商品名で市販されているもの)が挙げられ得るが、これらに限定されるものではない。ミルメディアとしては、ガラスビーズ、ジルコニアビーズ、及びステンレス鋼ビーズが挙げられ得るが、これらに限定されるものではない。ミルメディアは、約0.01mm〜約5mm、特定的には約0.1mm〜約3mmのサイズ範囲内の粒子を含み得る。
【0056】
本発明に従って表面改質可能な無機顔料粒子としては、金属酸化物、金属ホウ酸塩、金属硫酸塩、金属硫化物、金属クロム酸塩、金属炭酸塩、金属セレン化物、及びそれらの組合せが挙げられ得るが、これらに限定されるものではない。いくつかの実施形態では、好適な無機顔料としては、例えば、酸化チタン(IV)、酸化鉄(III)、酸化亜鉛、又はそれらの組合せが挙げられ得る。
【0057】
本発明に従って表面改質可能な他の無機顔料としては、FDAにより承認された顔料が挙げられ得るが、これらに限定されるものではない。これらは、化粧品用途に好適であり得る。化粧品で使用可能な許容される無機顔料は、21 C.F.R.§§70−82(参照により本明細書に組み入れられるものとする)中に見いだし得る。
【0058】
粒子は、さまざまな粒子サイズで入手可能である。一般的には、より小さい粒子サイズは、より大きい表面積に関連付けられ、より大きい表面積は、より高濃度の親水性表面基を収容可能であるので、究極的に水性系媒体中での顔料の分散性を増強する。したがって、粒子サイズは、表面改質型粒子の分散性に影響を及ぼし得る。例えば、本発明での粒子の平均一次粒子サイズは、約50nm未満、特定的には約30nm未満、特定的には約20nm未満、より特定的には約10nm未満であり得る。粒子の凝集体は、約200nm未満、特定的には約150nm未満、より特定的には約100nm未満であり得る。粒子の表面積は、約100m2/g超、特定的には約150m2/g超、より特定的には約200m2/g超であり得る。より大きい寸法を有する粒子は、当業者に公知の任意の数の技術を用いて表面改質前又は表面改質時に所望のサイズに細粒化可能である。そのような技術としては、ボールミル、アトライター、フロージェットミキサー、インペラーミル、コロイドミル、及びサンドミル(例えば、「Super Mill」、「Agitator Mill」、「Dyno−mill」、又は「Beads Mill」という商品名で市販されているもの)が挙げられ得るが、これらに限定されるものではない。ミルメディアとしては、ガラスビーズ、ジルコニアビーズ、プラスチックビーズ、及びステンレス鋼ビーズが挙げられ得るが、これらに限定されるものではない。ミルメディアは、約0.01mm〜約5mm、好適には約0.1mm〜約3mmのサイズ範囲内の粒子を含み得る。顔料が容易に砕けるのであれば、ロータリーホモジナイザー又は超音波ホモジナイザーを用いて粒子サイズを低減することが可能である。
【0059】
いくつかの例では、自己分散性粒子の生成前に、粒子を湿潤させ、粉砕助剤及び/又は高分子樹脂を用いてナノサイズの粒子にミル処理して分散させることが可能である。粒子は、粉砕助剤を用いてミル処理する前、粉末又はウェットケークの形態をとり得る。ミル処理は、置換型反応性中間体又は追加のポリマーとの反応前、反応の任意の時点、又は反応後に行い得る。結合反応が終了した後、当業者に公知の精製方法を用いて未結合の粉砕助剤/樹脂を除去し、主として結合された基質を有する改質型顔料と水とを含有するディスパージョンを形成することが可能である。粉砕助剤の例としては、Triton X−100(Ashland Inc.,Dublin,OHから入手可能)、Igepal CA−630(Rhodia,Cranbury,NJから入手可能)、Surfynol CT121、131、141,及び231(Air Products,Allentown,PAから入手可能)、並びにLemantex Binder(Sensient Imaging Technologies S.A.,Switzerlandから入手可能)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0060】
そのような例では、不均化させて結合プロセスを促進するためにペルスルフェート部分等のラジカル開始剤が使用される。いくつかの実施形態では、反応は、約25℃〜約90℃の温度で実施可能である。粒子は、顔料と置換型トリアジンとの反応前、反応時、又は反応後に約100nm未満にミル処理可能である。脱泡剤は、起泡を防止するために必要に応じて添加可能である。染料溶液及び/又は界面活性剤は、粒子を湿潤させるために必要に応じて使用可能である。
【0061】
添加剤の例としては、2−[2−ヒドロキシ−5−メチル−3−(t−ブチル)フェニル]−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール等の昇華性UV吸収剤、ベンゾオキサゾール誘導体Hostalux KCB(Clariant)等の昇華性光学増白剤、及びそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0062】
いくつかの例では、自己分散性粒子の生成前に、粒子を湿潤させ、粉砕助剤及び/又は高分子樹脂を用いてナノサイズの粒子にミル処理して分散させることが可能である。粒子は、粉砕助剤及び/又は高分子樹脂を用いてミル処理する前、粉末又はウェットケークの形態をとり得る。ミル処理は、置換型反応性中間体又は追加のポリマーとの反応前、反応の任意の時点、又は反応後に行い得る。結合反応が終了した後、当業者に公知の精製方法を用いて未結合の粉砕助剤/樹脂を除去し、主として結合された基質を有する自己分散性顔料と水とを含有するディスパージョンを形成することが可能である。粉砕助剤の例としては、限定されるものではないが、Triton X−100(Ashland Inc.,Dublin,OHから入手可能)、Igepal CA−630(Rhodia,Cranbury,NJから入手可能)、Surfynol 104、CT121、131、141、及び231(Air Products,Allentown,PAから入手可能)、Efka(CIBA Specialty chemicals,Switzerlandから入手可能)、Simulsol(Seppic,Franceから入手可能)、種々の陰イオン性粉砕助剤、例えば、限定されるものではないが、Mead Westvaco製、Borregaard製のリグノスルホネート及びNufarm製、Rohm&Haas製のナフタレン酸−ホルムアルデヒド縮合物のスルホネート等が挙げられる。
【0063】
第2の実施形態の一例では、シアヌリル基を含む反応性化合物は、有機基を含む第2の化合物で置換される。次に、置換型反応性中間体−X−S−ZMは、シアヌル酸クロリドを用いて粒子に結合される。pHと反応温度と持続時間との組合せにより、いくつの基が粒子の表面に結合されるかが決定される。一実施形態では、反応は、粒子30グラムあたり15グラムの4−アミノ安息香酸及び29.6グラムを用いて行われる。
【0064】
いくつかの実施形態では、有機基を含む第2の化合物とシアヌル酸クロリドと水と氷と塩基とのスラリーが形成される。有機基を含む第2の化合物は、粒子の所望の最終用途により選択され得る。
【0065】
第3の実施形態の一例では、シアヌリル基を含む反応性化合物は、同一であっても異なっていてもよい2種の有機基を含む第2の化合物で置換される。次に、2種の置換型反応性中間体X−S−ZM及びX−S2−Z2M2は、シアヌル酸クロリドを用いて粒子に結合される。pHと反応温度と持続時間との組合せにより、いくつの基が粒子の表面に結合されるかが決定される。このプロセスは、最初に有機基を含む第2の化合物とシアヌル酸クロリドと水と氷と塩基とのスラリーを用いて反応させることにより、逐次的に行うことが可能である。有機基を含む異なる第2の化合物とシアヌル酸クロリドと水と氷と酸と塩基との第2のスラリーは、逐次処理を完了させるために使用される。
【0066】
シアヌリルクロリドと第2の化合物との比は、典型的には、化学量論により決定され、濃度は、良好な混合を可能にするように制御される。シアヌル酸クロリドと第2の化合物との反応は、混合しながら約2時間〜約4時間にわたり行い得る。
【0067】
第3の実施形態の一例では、シアヌリルクロリド中の反応性塩素はすべて、粒子との反応の前に化学量論(3個の塩素をすべて置換するには3当量)及び温度(約90℃のより高い温度)を操作することにより第2の化合物又は第2の化合物の混合物により置換される。この反応では、粒子の表面改質を容易にする置換型トリアジンが形成される。第2の化合物の混合物は、1、2、もしくは3種の異なる第2の化合物を含み得る。そのような例では、不均化させて結合プロセスを促進するためにペルスルフェート部分等のラジカル開始剤が使用される。
【0068】
本発明のいくつかの実施形態では、不均化させて結合プロセスを促進するためにペルスルフェート部分等のラジカル開始剤が使用される。いくつかの実施形態では、反応は、約25℃〜約90℃、特定的には約40℃〜60℃の温度で実施可能である。粒子は、粒子と置換型トリアジンとの反応前、反応時、又は反応後に約100nm未満にミル処理可能である。粒子は、約2〜約20時間、特定的には約4〜約15時間、より特定的には約7〜約11時間にわたりミル処理可能である。脱泡剤は、起泡を防止するために必要に応じて添加可能である。
【0069】
粒子と反応性化合物又は酸誘導体を含む第2の基との反応では、反応混合物のpHを低下させ得る酸性表面基が形成され得る。pHの低下は、置換時に自己分散性粒子ディスパージョン又は反応性化合物と第2の化合物とのスラリーの不安定化を引き起こすおそれがあり、また粘度増加を引き起こすおそれもある。したがって、pHは、塩基性試薬による置換前及び置換時に必要に応じて調整可能である。置換時の反応混合物のpHは、約7以上、特定的には約8以上、より特定的には約9以上であり得る。pHは、例えば塩基の添加をはじめとする当技術分野で公知の任意の方法により調整可能である。好適な塩基としては、水酸化アルカリ及びカルシウムを含まない水酸化アルカリ(例えば、NaOH、KOH、LiOH、NH4OH)、炭酸アルカリ及び重炭酸アルカリ(例えば、NaHCO3、KHCO3)、並びに有機塩基(例えば、ジメチルエタノールアミン及びトリエタノールアミン)挙げられ得るが、これらに限定されるものではない。特定的には、好適なpH調整剤は、カルシウムを含まない水酸化ナトリウムを含む。
【0070】
自己分散性粒子
以上に記載の反応が終了した後、自己分散性粒子は、乾燥粉末として反応混合物から単離可能である。得られた自己分散性粒子は、未反応原料、副生成物塩、及び他の反応不純物を除去するために、当業者に公知の任意の数の技術を用いることにより精製可能である。精製技術としては、濾過、遠心分離、又は両者の組合せが挙げられ得るが、これらに限定されるものではない。自己分散性粒子はまた、例えばエバポレーションにより単離可能であるか、又は濾過及び当業者に公知の技術を用いた乾燥により回収可能である。
【0071】
他の選択肢として、自己分散性粒子は、濃縮された水性粒子ディスパージョンとして供給可能である。本発明に係る自己分散性粒子のディスパージョンは、有機及び無機の不純物並びに製造プロセスの結果としてディスパージョン中で共存し得る他の望ましくない遊離種を除去するために精製可能である。精製技術としては、水洗、逆浸透、及び限外濾過が挙げられ得るが、これらに限定されるものではない。いくつかの実施形態では、溶存不純物は、固形分10%に調整された供給サンプルの塩化物及び硫酸塩の含有率が約150ppm未満、特定的には約100ppm未満、より特定的には約25ppm未満になるまで、限外濾過により除去可能である。必要であれば、ディスパージョンのpHは、精製前に調整可能である。ディスパージョンのpHを少なくとも約7、特定的には少なくとも約8、より特定的には少なくとも約9に調整するのに十分な量の酸又は塩基を添加することが可能である。これは、ディスパージョンのpHが約7〜約9である実施形態を包含する。ディスパージョンは、所望により、水の一部を除去することにより濃縮可能である。いくつかの実施形態では、ディスパージョンは、少なくとも固形分約8%に、他の実施形態では、少なくとも固形分約14%に、さらに他の実施形態では、少なくとも固形分約20%に濃縮される。これは、ディスパージョンが固形分約8%〜約16%に濃縮される実施形態を包含する。他の実施形態では、ディスパージョンは、少なくとも固形分約10%に、他の実施形態では、少なくとも固形分約18%に、さらに他の実施形態では、少なくとも固形分約20%に濃縮される。これは、ディスパージョンが固形分約8%〜約14%に濃縮される実施形態を包含する。
【0072】
微生物の増殖を阻害するために殺生物剤をディスパージョンに添加することも可能である。好適な殺生物剤の例としては、ナトリウムベンゾエート、ペンタクロロフェノールナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキシドナトリウム、ナトリウムソルベート、ナトリウムデヒドロアセテート、ベンゾイソチアゾリノン、1,2−ジベンゾチアゾリン−3−オン、メチルイソチアゾリノン、クロロメチルイソチアゾリノン、及び1−(3−クロロアリル)−3,5,7−トリアザ−1アゾニアアダマンタンクロリド(CTAC)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。市販の殺生物剤としては、Proxel(登録商標)CRL、Proxel(登録商標)BDN、Proxel(登録商標)GXL、Proxel(登録商標)XL−2、及びProxel(登録商標)TN(Arch Chemicals,Smyrna,GAから入手可能)、Nipacide TBX(Clariant,Charlotte,NCから入手可能)、並びにXBINX(登録商標)(PMC Specialties Group,Inc.,Cincinnati,Ohioから入手可能)が挙げられる。典型的には、少量、例えば0.05〜5重量%、特定的には0.1〜1重量%、より特定的には0.2〜0.4重量%の殺生物剤がディスパージョンで使用される。これは、0.3重量%の殺生物剤を包含する。
【0073】
ディスパージョンに流動性及び安定性を付与するための作用剤を添加することも可能である。そのような作用剤の例は、1991年10月22日発行の米国特許第5,059,248号明細書、1997年1月7日発行の米国特許第5,591,455号明細書、及び1997年1月21日発行の米国特許第5,595,592号明細書(それらはいずれも参照により本明細書に組み入れられるものとする)中に見いだし得る。例としては、線状脂肪族置換型グリシン化合物及びその塩が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本明細書中で用いられる場合、「線状脂肪族置換型グリシン」という用語は、グリシンのアミノ基が線状脂肪族基で置換されたグリシン化合物を意味する。本発明の実施で使用可能なこのタイプの作用剤の例としては、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、ヒドロキシエチレンジアミン三酢酸、ジヒドロキシエチルグリシン、イミノ二酢酸、及びエタノールジグリシン、並びにそれらのアルカリ金属(例えばナトリウム)塩、アルカリ土類金属(例えばカルシウム)塩、及びアンモニウム塩が挙げられる。当業者に公知の他の類似の線状脂肪族置換型グリシン化合物及びその塩を使用することも可能である。いくつかの実施形態では、入手可能性、費用効率、及び非毒性が理由で、エチレンジアミン四酢酸の以上に挙げられた塩が使用される。いくつかの実施形態では、これらの作用剤は、ディスパージョン組成物中の粒子の約0.5〜3.5重量%、好ましくは約1.5〜2.5重量%を構成し得る。
【0074】
ディスパージョンは、ディスパージョンの指定最終使用の必要に応じてフィルターカートリッジに通して濾過可能である。いくつかの実施形態では、フィルターカートリッジの公称細孔サイズは、約5ミクロン以下、特定的には約1ミクロン以下、特定的には約0.5ミクロン以下、より特定的には約0.2ミクロン以下である。
【0075】
粉末及びディスパージョンのほかに、自己分散性粒子はまた、ウェットプレスケークとして単離することも可能である。プレスケーク形態では、自己分散性粒子は、乾燥形態のときほど凝集しないので、自己分散性粒子は、例えばインクの調製では、使用時にそれほど脱凝集を必要としない。
【0076】
所望により、結合/置換プロセスの結果として生じる表面改質基に付随する電荷バランス対イオンは、好適な塩基形又は塩形を用いて少なくとも部分的に置換すなわち変更が可能であるか、又は限外濾過、逆浸透、中間体として酸形への変換等のような公知のイオン交換技術を用いて他の好適なカチオンで置換すなわち交換が可能である。対イオンの例としては、アルカリ土類金属イオン、アルカリ金属イオン(例えば、Na+、K+、及びLi+)、NR1R2R3H+、及びそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されるものではない。式中、R1、R2、及びR3は、独立して、H又は無置換型であっても置換型であってもよいC1〜C5アルキル基である(例えば、テトラエチルアンモニウムイオン(TEA)、テトラメチルアンモニウムイオン(TMA)、モノエタノールアンモニウムイオン、トリエタノールアンモニウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオン等)。
【0077】
自己分散性粒子の性質
自己分散性粒子は、長期安定性及び高温安定性の少なくとも1つを呈し、かつ高速ジェット用途に使用するのに好適な粒子サイズ分布を有し得る。より従来型の系と比較して、自己分散性粒子を含有するディスパージョンは、ロバスト性及び安定性が高い。これは、製品信頼性(例えば、圧電式及び感熱式のプリントヘッドの場合)、原材料純度のより小さい影響、貯蔵に対する改良された安定性、輸送時の熱的条件、ロジスティックス(より大きいバッチの製造可能性の提供)、及び原価管理の少なくとも1つに関して有利である。共有結合を介して表面が改質される場合、それらは自己分散型顔料のように挙動し得る。注目に値する1つの差異は、これらの染料のいくつかがそのような改質の後でさえも昇華性であることであり、このため、昇華プリント市場での用途は、かなり広い。表面改質は、水性環境で行うことが可能であるので、生成物及びプロセスは、生態系に優しいものになる。
【0078】
自己分散性粒子は、次の性質を有し得る。自己分散性粒子中の固形分パーセントは、約5%〜約30%、特定的には約7%〜約20%であり得る。
【0079】
自己分散性粒子ディスパージョンのpHは、約6〜約10、特定的には約7〜9であり得る。
【0080】
自己分散性粒子ディスパージョンの粘度は、約2〜約30cps、特定的には約3〜約20cpsであり得る。
【0081】
自己分散性粒子ディスパージョンの表面張力は、約35〜約70ダイン/cmであり得る。
【0082】
自己分散性粒子の用途
本発明に係る自己分散性粒子は、いくつかの最終使用用途で使用可能である。これらの使用用途としては、コーティング、金属コーティング、塗料、用紙、接着剤、ラテックス、トナー、テキスタイル、繊維、プラスチック(可撓性フィルム及びバルク材料)、インク、並びにインクジェットインクが挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明に係る自己分散性粒子はまた、化粧品用途で、例えば、限定されるものではないが、マスカラ、アイライナー、水中油型及びシリコーン中水型ディスパージョン、水性マニキュア液、並びに毛髪着色剤すなわちヘアダイ等で使用可能である。本発明に係る自己分散性粒子は、そのほかに、筆記具(例えば、ペン、マーカー)及び修正液で使用可能である。
【0083】
特定例としては、用紙、テキスタイル、ポリエステル、繊維、プラスチック(可撓性フィルム及びバルク材料)、金属、金属加飾プラスチック、UV硬化、木材着色剤、筆記具、筆記用もしくは描画用のフェルトペン、人造繊維上への昇華プリント、コーティング付き天然繊維、コーティング付き材料、プラスチック、コーティング付き硬質基材、並びにカラーフィルターで用いられるプリントインクが挙げられるが、これらに限定されるものではない。一例では、本発明に係る粒子が組み込まれたインクジェットインクは、インクジェットフォトプリンターでの高品質プリントに有用であり得る。本発明に係るプロセスにより製造された自己分散性粒子は、昇華プリント用途、転写用途、及びダイレクトプリント用途で使用するのにとくに好適である。転写プリントの例は、米国特許第4,406,662号明細書、同第4,713,081号明細書、同第5,246,518号明細書、同第5,248,363号明細書、同第5,302,223号明細書、同第7,001,660号明細書、英国特許第1527396号明細書、及び欧州特許第1533347号明細書(参照によりその全体が本明細書に組み入れられるものとする)中に開示されている。他のプリント技術及び適用技術のさらなる例は、米国特許第7,001,649号明細書、同第6,961,076号明細書、同第6,840,614号明細書、同第6,686,314号明細書、同第6,631,984号明細書、同第6,540,345号明細書、同第6,488,370号明細書、同第6,486,903号明細書、同第6,450,098号明細書、同第6,447,629号明細書、同第6,439,710号明細書、同第6,425,331号明細書、同第6,402,313号明細書、同第6,341,856号明細書、同第6,152,038号明細書、同第6,103,041号明細書、同第5,830,263号明細書、同第5,746,816号明細書、同第5,734,396号明細書、同第5,642,141号明細書、同第5,640,180号明細書、同第5,601,023号明細書(参照によりその全体が本明細書に組み入れられるものとする)中に開示されている。テキスタイルプリントの説明は、Textile Printing, LCW Miles, Second Edition, 1994, chapter 3.2(参照によりその全体が本明細書に組み入れられるものとする)中に見いだし得る。
【0084】
昇華転写は、プリントデザインでの昇華性染料の使用に依存する。プリント基材(紙、フィルム等)が加熱された場合、染料分子は、基材を離れて気相になる。加熱紙が適切な受容材料(布、コーティング付き表面、プラスチック等)にあらかじめ接触した状態で置かれている場合、染料分子は、受容材料の表面上に優先的に吸着される。基材が適正に加熱された場合かつ染料が材料に対する親和性を有する場合、染料分子は、加温基材中に拡散し、次に、その中に溶解される。
【0085】
最終使用用途のさらなる例としては、可撓性基材上への適用が挙げられるが、これに限定されるものではない。例えば、プリント可撓性フィルムは、すでに造形された3D対象物上への3D昇華転写の実施を可能にし得る。最終使用用途の他の例としては、屋外建築コーティングが挙げられるが、これに限定されるものではない。屋外建築コーティングに対する昇華転写は、コーティング付き金属上で実施可能である。
【0086】
本発明の一態様は、以上に記載の自己分散性粒子を用いたインクジェットインク配合物に関する。そのような粒子を含有するインクジェット配合物では、次の事項、すなわち、1)プリント媒体上に高解像度かつ高密度でブリードのない均一画像を提供すること、2)典型的にはノズルの遠位端でインクの乾燥に起因して起こるノズル閉塞を引き起こさないこと、3)基材(紙、布、フィルム等)上で迅速に乾燥すること、4)良好な長期貯蔵安定性を示すこと、及び5)紙品質に依存しないプリント特性を示すこと、の少なくとも1つが可能である。そのような粒子を含有するインクジェット配合物はまた、ノズル閉塞、バンディング、及び低プリント品質をもたらす可能性のある輸送時及び貯蔵時の変動する温度条件に対して、より良好なインク安定性及びロバスト性を提供し得る。
【0087】
本発明に係るインク組成物は、以上の自己分散性粒子を水性媒体及び任意の他の好適な成分(そのうちのいくつかは以下で考察される)と組み合わせることにより調製可能である。インク組成物中の自己分散性粒子の量(重量基準)は、少なくとも約0.1%、特定的には少なくとも約10%、より特定的には少なくとも約20%である。さらには、インク組成物中の自己分散性粒子の量(重量基準)は、約12%以下、特定的には約8%以下、より特定的には約5%以下である。これは、インク組成物中の自己分散性粒子の量(重量基準)が約0.1%〜約12%の範囲内の量で存在する実施形態を包含する。
【0088】
水性媒体は、水又は1種以上の水溶性有機溶媒と組み合わされた水を含み得る。水溶性有機溶媒は、水性媒体を構成するように水と組み合わせることが可能である。水溶性有機溶媒としては、アルコール、多価アルコール、例えば、エチレングリコール、グリセリン、PEG等、ケトン及びケトンアルコール、例えば、アセトン及びジアセトンアルコール等、エーテル、例えば、テトラヒドロフラン及びジオキサン等、多価アルコールの低級アルキルエーテル、例えば、エチレングリコールモノメチル(又はモノエチル)エーテル等、窒素含有溶媒、例えば、ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン等、硫黄含有溶媒、例えば、チオジエタノール等、糖及びその誘導体、例えば、グルコース等、グリセリンのオキシエチレン付加物、並びにジグリセリンのオキシエチレン付加物が挙げられ得る。水溶性有機溶媒は、単独で又は組み合わせて使用可能である。水と水溶性有機溶媒との混合物を使用する場合、インク組成物中の水溶性有機溶媒の量(重量基準)は、少なくとも約5%、特定的には少なくとも約15%、より特定的には少なくとも約25%である。さらには、インク組成物中の水溶性有機溶媒の量(重量基準)は、約50%以下、特定的には約40%以下、より特定的には約25%以下である。これは、インク組成物中の水溶性有機溶媒の量(重量基準)が約5%〜約30%である実施形態を包含する。インク組成物中の水の量は、少なくとも約40%、特定的には少なくとも約50%、より特定的には少なくとも約60%である。さらには、インク組成物中の水の量(重量基準)は、約90%以下、特定的には約80%以下、より特定的には約70%以下である。これは、インク組成物中の水の量(重量基準)が約40%〜約80%である実施形態を包含する。
【0089】
成分は、インクを特定のインクジェットプリンターの要件に適合させたり又は光安定性、耐スミア性、粘度、表面張力、コーティング浸透性、光学濃度、深色度、接着性、耐マーカー性、もしくは耐クラスト性のバランスをとったりするのに必要とされるような任意の数の所望の性質を付与するために、水性媒体中に組込み可能である。例えば、浸透剤は、ブリードを低減したり、プリント媒体の湿潤性を改良したり、さもなければプリント画像の全体性能を改良したりするために、添加可能である。浸透剤の例としては、1〜4個の炭素原子を有するアルキルアルコール例えばエタノール等、グリコールエーテル例えばエチレングリコールモノメチルエーテル等、ジオール例えば1,2−アルキルジオール等、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルスルホキシド、ソルビトール、及びスルホランが挙げられ得るが、これらに限定されるものではない。浸透剤は、単独で又は組み合わせて使用可能である。インク組成物中の浸透剤の量(重量基準)は、0%〜約60%、特定的には約2%〜約40%、より特定的には約5%〜約20%の範囲内である。これは、インク組成物中の浸透剤の量(重量基準)が約10%〜約15%の範囲内の量で存在する実施形態を包含する。
【0090】
界面活性剤は、インク組成物の表面張力を低減するために水性媒体に添加可能である。界面活性剤は、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、及び/又は陽イオン性界面活性剤であり得る。好適な界面活性剤としては、以下に列挙されるもの並びに1992年5月26日発行の米国特許第5,116,409号明細書、1999年1月19日発行の米国特許第5,861,447号明細書、及び2005年2月1日発行の米国特許第6,849,111号明細書(それらはいずれも参照により本明細書に組み入れられるものとする)に列挙されるものが挙げられ得る。
【0091】
界面活性剤は、種々の周知の商品名で入手可能であり、例えば、いくつか例を挙げると、PLURONIC(登録商標)シリーズ(BASF Corporation,Parsippany,N.J.)、TETRONIC(登録商標)シリーズ(BASF Corporation,Parsippany,N.J.)、ARQUAD(登録商標)シリーズ(Akzo Chemical Inc.,Chicago,Ill.)、TRITON(登録商標)シリーズ(Union Carbide Corp.,Danbury,Conn.)、SURFONIC(登録商標)シリーズ(Texaco Chemical Company,Houston,Tex.)、ETHOQUAD(登録商標)シリーズ(Akzo Chemical Inc.,Chicago,Ill.)、ARMEEN(登録商標)シリーズ(Akzo Chemical Inc.,Chicago,Ill.)、ICONOL(登録商標)シリーズ(BASF Corporation,Parsippany,N.J.)、SURFYNOL(登録商標)シリーズ(Air Products and Chemicals,Inc.Allentown,Pa.)、及びETHOMEEN(登録商標)シリーズ(Akzo Chemical Inc.,Chicago,Ill.)である。
【0092】
界面活性剤は、単独で又は組み合わせて使用可能である。インク組成物中の界面活性剤の量(重量基準)は、0%〜約10%、特定的には約0.1%〜約10%、より特定的には約0.3%〜約5%の範囲内であり得る。これは、インク組成物中の界面活性剤の量(重量基準)が約0.1%〜約8%の範囲内であり得る実施形態を包含する。
【0093】
1種以上の湿潤剤は、インクジェットノズルの閉塞(待ち時間の間のドライアウトに起因する)を防止するために、水性媒体に添加可能である。湿潤剤は、高い吸湿性及び水への溶解性を有する材料から選択可能である。湿潤剤の例としては、ポリオール例えばグリセロール等、ラクタム例えば2−ピロリドン等、ウレア化合物例えばウレア等、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、サッカリド例えばソルビトール等、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1−メチル−2−ピペリドン、N−エチルアセトアミド、3−アミノ−1,2−プロパンジオール、エチレンカーボネート、ブチロラクトン、及びLiponic EG−1が挙げられるが、これらに限定されるものではない。湿潤剤の使用量にとくに限定を加えるものではない、一般的には、インク組成物中の湿潤剤の量(重量基準)は、0%〜約30%、特定的には約1%〜約15%、より特定的には約5%〜約10%の範囲内であり得る。
【0094】
ポリマーは、プリント媒体上の画像の耐水堅牢性、耐摩擦堅牢性、及び耐光堅牢性を改良するために、インク組成物に添加可能である。好適なポリマーとしては、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリエステルメラミン、スチレン−アクリル酸コポリマー、スチレン−マレイン酸コポリマー、スチレン−マレイン酸−アルキルアクリレートコポリマー、スチレン−メタクリル酸コポリマー、スチレン−メタクリル酸−アルキルアクリレートコポリマー、スチレン−マレイン酸ハーフエステルコポリマー、ビニルナフタレン−アクリル酸コポリマー、ビニルナフタレン−マレイン酸コポリマー、及びそれらの塩が挙げられ得るが、これらに限定されるものではない。インク組成物中のポリマーの量(重量基準)は、0%〜約10%、特定的には、約0.1%〜約6%の、より特定的には約0.2%〜約4%の範囲内であり得る。これは、インク組成物中のポリマーの量(重量基準)が約0.1%〜約5.0%の範囲内であり得る実施形態を包含する。
【0095】
本発明に係るインク組成物は、任意の数のpH調整剤を用いて所望のpHに緩衝化可能である。好適なpH調整剤としては、水酸化アルカリ、炭酸アルカリ及び重炭酸塩アルカリ、トリエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、鉱酸、塩酸、並びに硫酸が挙げられ得る。pH調整剤は、単独で又は組み合わせて使用可能である。インク組成物中のpH調整剤の量(重量基準)は、0%〜約3.0%の、特定的には約0.1%〜約2.0%、より特定的には約0.5%〜約1.5%の範囲内であり得る。これは、インク組成物中のpH調整剤の量(重量基準)が約0.2%〜約2.5%の範囲内である実施形態を包含する。
【0096】
殺生物剤や殺菌類剤等の保存剤もまた、インク組成物に添加可能である。好適な保存剤の例としては、ナトリウムベンゾエート、ペンタクロロフェノールナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキシドナトリウム、ナトリウムソルベート、ナトリウムデヒドロアセテート、ベンゾイソチアゾリノン、1,2−ジベンゾチアゾリン−3−オン、CTAC、メチルイソチアゾリノン、及びクロロメチルイソチアゾリノンが挙げられる。市販の殺生物剤としては、UCARCIDE(登録商標)250(Union Carbide Companyから入手可能)、Proxel(登録商標)CRL、Proxel(登録商標)BDN、Proxel(登録商標)GXL、Proxel(登録商標)XL−2、Proxel(登録商標)TN(Arch Chemicals,Smyrna,GAから入手可能)、Dowicil(登録商標)(Dow Chemical,Midland,Mich.)、Nuosept(登録商標)(Huls America,Inc.,Piscataway,N.J.)、Omidines(登録商標)(Olin Corp.,Cheshire,Conn.)、Nopcocides(登録商標)(Henkel Corp.,Ambler,Pa.)、Troysans(登録商標)(Troy Chemical Corp.,Newark,N.J.)、及びXBINX(登録商標)(PMC Specialties Group,Inc.,Cincinnati,Ohio)が挙げられる。保存剤は、単独で又は組み合わせて使用可能である。インク組成物中の保存剤の量(重量基準)は、0%〜約1.5%、特定的には約0.05%〜約1.0%、より特定的には約0.1%〜約0.3%の範囲内であり得る。これは、インク組成物中の保存剤の量(重量基準)が約0.05%〜約0.5%の範囲内であり得る実施形態を包含する。
【0097】
インク組成物は、1種以上の粘度調整剤を含有し得る。粘度調整剤としては、ロジン化合物、アルギン酸化合物、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ポリアクリル酸の塩、ポリビニルピロリドン、アラビアガム及びデンプン、HEUR(疎水性エトキシル化ウレタン)、HASE(疎水変性アルカリ膨潤性エマルジョン)、ASE(アルカリ膨潤性エマルジョン)、並びにそれらの組合せが挙げられ得る。インク組成物中の粘度調整剤の量(重量基準)は、0%〜約10%、特定的には約0.5%〜約8%、より特定的には約1%〜約5%の範囲内であり得る。これは、インク組成物中の粘度調整剤の量(重量基準)が約1%〜約7%の範囲内であり得る実施形態を包含する。
【0098】
水性媒体中に組込み可能な他の成分としてはまた、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレート化剤、電気伝導率調整剤、粘度調整剤、酸素吸収剤、コゲーション防止剤、カール防止剤、ブリード防止剤、脱泡剤、及び緩衝剤も挙げられ得る。本発明に係るインク組成物は、本発明に係る染料粒子ディスパージョンに加えて1種以上の着色剤を含有し得る。
【0099】
本発明に係るインク組成物は、インク組成物の小滴をプリント装置から吐出して基材上に堆積することにより画像を生成するインクジェットプリント用のインク組成物として使用するのにとくに適している。好適なプリント装置としては、連続インクジェット(CIJ)、ドロップオンデマンドバルブ(DoDバルブ)、ドロップオンデマンドピエゾ(DoDピエゾ)、及びサーマルインクジェット(TIJ)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。同様に、普通紙、ボンド紙、コート紙、透明材料、テキスタイル材料、プラスチック、高分子フィルム、及び無機基材をはじめとする任意の好適な基材を利用することが可能である。しかしながら、当業者であればわかるであろうが、以上のインク組成物はまた、一般的な筆記具用途及びスタンプ用途(ただし、これらに限定されるものではない)をはじめとする他の用途で使用することも可能である。
【0100】
テキスタイルプリント(昇華プリント及びダイレクトプリントによる)
本発明の他の態様は、テキスタイルプリント用途での以上に記載の自己分散性粒子を用いた水性配合物に関する。本発明に係る粒子を含有するテキスタイルプリント配合物は、次の性質、すなわち、1)ナイロン、ポリエステル、ポリアクリル、又はそれらのブレンド等のテキスタイル布に対する許容される堅牢性、並びに2)適用及び固着の容易さの少なくとも1つを呈し得る。
【0101】
プラスチック上及びコーティング付き基材上への転写
本発明の他の態様は、昇華転写プリント用途での以上に記載の自己分散性粒子を用いた水性配合物に関する。本発明に係る粒子を含有する昇華転写プリント配合物は、次の性質、すなわち、1)コーティング付き材料及びプラスチック(ABS等)に対する許容される光堅牢性、並びに2)適用及び固着の容易さの少なくとも1つを呈し得る。
【0102】
着色テキスタイルの耐洗濯堅牢性、耐摩擦堅牢性、耐水堅牢性、及び耐光堅牢性は、当業者に公知のISO及びAATCCの試験方法により測定可能である。コーティング付き材料及びプラスチックの耐光堅牢性は、ISO及びAATCCの試験方法により測定可能である。
【0103】
化粧品用途
本発明の他の態様は、化粧品用途での以上に記載の自己分散性粒子を用いた配合物に関する。化粧品用途としては、顔、眼、口唇、毛髪、皮膚、及び爪を対象とするものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。化粧品用途としては、マスカラ、アイライナー、スプレー式ヘアーマスカラ、水性マニキュア液、眉ブラシ、アイシャドー、リップスティック、ブラッシャー及びルージュ、メーキャップ、ファンデーション、並びにヘアカラー又はヘアダイが挙げられ得るが、これらに限定されるものではない。自己分散性粒子ディスパージョンは、ポリオール及び保存剤と容易にブレンドされるので、化粧品配合物の任意の水性相部分への組込みが容易であり得る。シリコーン、エステル(例えば、限定されるものではないが、CCT)、ワックス(例えば、限定されるものではないが、カルナウバワックス)、及び溶媒(例えば、限定されるものではないが、イソドデカン)とのより良好な相溶性は、乳化に役立ち、安定な製品をもたらす。自己分散型粒子を用いれば、配合業者は、グリセリン−水ディスパージョンを用いた従来の粒子ディスパージョンを用いる場合よりも等価な粒子充填率でより高い色強度を有する製品を作製することが可能である。製品の流動性により、配合業者は、さらに高い粒子充填率を柔軟に達成できるので、製品の利得が向上し、適用回数が低減されるようになる。
【0104】
本発明に係る自己分散型粒子を含むマスカラの性質は、マスカラを皮膚に一様に適用してからそれを本発明に係る自己分散型粒子を含まないマスカラと並置して比較することにより、目視評価することが可能である。
【0105】
コーティング用途
本出願に係るディスパージョンを含有するコーティング配合物は、高い隠蔽力(例えば、二酸化チタン)又は高い浸透性(例えば、木材及びコンクリートの着色剤中のソルベント染料)を呈し得るので、適用が容易になり、環境影響性が低減されるようになる。
【実施例】
【0106】
本発明の例示的な実施形態は、以下の実施例で提供される。以下の実施例は、本発明を例示するために及び当業者によるその製造及び使用の助けとなるように提示される。実施例は、他の形で本発明の範囲を限定することをなんら意図したものではない。
【0107】
(実施例1a)
シアヌリルのスルファニル酸三付加物の調製例。
三段階で温度をそれぞれ<0℃、<3℃、及び<10℃に制御して、DI水(310g)中のスルファニル酸(114g)、カルシウムを含まない水酸化ナトリウム(32g)、及び重炭酸ナトリウム(55g)よりなる8.5のpHの溶液を、シアヌル酸クロリド(40.2g、Lonza Walkersville,Inc.,Walkersville,Marylandから入手可能)、氷(570g)、及びDI水(480g)よりなる攪拌混合物に添加した。添加後、pHは、7.1であった。また、反応混合物を4.5時間にわたり95〜100℃に加熱してその温度に保持し、1000gの透明液体を得た。
【0108】
(実施例1b)
シアヌリルの4−アミノフェノール三付加物の調製例。
実施例1aの4−アミノ安息香酸の代わりに等価量(72g)の4−アミノフェノールを用いることにより、シアヌリルの4−アミノフェノール三付加物の透明溶液を調製する。
【0109】
(実施例2)
シアヌリルの4−アミノ安息香酸三付加物(「Tris 4−ABA」)の調製例。
三段階で温度をそれぞれ<0℃、<3℃、及び<10℃に制御して、DI水(300g)中の4−アミノ安息香酸(90.1g)、カルシウムを含まない水酸化ナトリウム(30g)、及び重炭酸ナトリウム(55g)よりなる7.2のpHの溶液を、シアヌル酸クロリド(40.2g、Lonza Walkersville,Inc.,Walkersville,Marylandから入手可能)、氷(550g)、及びDI水(500g)よりなる攪拌混合物に添加した。添加後、pHは、7.1であった。また、反応混合物を5時間にわたり95〜100℃に加熱してその温度に保持し、600gの透明液体を得た。
【0110】
(実施例3)
シアヌリルの4−アミノ安息香酸三付加物で処理することにより水不溶性染料粒子を自己分散型水性ディスパージョンに変換する例。
0.2mmのYTZメディア(Quackenbush Co.,Inc.,Crystal Lake,ILから入手可能)を用いてHockmeyerメディアミル(Hockmeyer Equipment Corp.,ElizabethCity,NCから入手可能)により、ディスパースブルー359(Sensient Colors Inc.,St.Louis,MOから入手可能)60g及び実施例2に記載の100gのTris 4−ABA試薬を4時間にわたりミル処理した。ミル処理時、反応混合物を45℃に加熱した。カルシウムを含まない水酸化ナトリウム(19g)を添加してpHを7.5〜9.0に保持しながら、50℃の熱DI水(300g)中の29.6gの過硫酸カリウム及び9.2gの重炭酸ナトリウムの溶液を徐々に導入した。ミル処理後、反応混合物を45℃に加熱した[工程1]。供給サンプルの塩化物及び硫酸塩の含有率が50ppm未満になるまで、溶存不純物を限外濾過により除去した。次に、生成物を固形分9.3%に濃縮し、(0.3%、wt/wt)Proxel GXL(Arch Chemicals,Smyrna,GAから入手可能)と混合した。最後に、生成物(352g)を0.7ミクロンのGFフィルターに通して濾過した。
【0111】
(実施例4)
非イオン性粉砕助剤と共に水不溶性染料粒子をミル処理して所要のサイズにし、シアヌリルの4−アミノ安息香酸三付加物で処理することにより自己分散型水性ディスパージョンに変換する例。
ディスパースイエロー54(120g、Sensient Colors Inc., St.Louis,MOから入手可能)をSURFYNOL(登録商標)CT−131(42.8g、Air Products and Chemicals,Inc.Allentown,Pa.から入手可能)及び140gのDI水よりなる攪拌混合物に徐々に添加した。0.4mmのYTZメディア(Quackenbush Co.,Inc.,Crystal Lake,ILから入手可能)を用いてHockmeyerメディアミル(Hockmeyer Equipment Corp.,Elizabeth City,NCから入手可能)により、この混合物をミル処理した。約3300rpmかつ40℃未満で合計21時間にわたりミル処理を継続して、145nmの平均PSDを得た。ミルベースをリンスと組み合わせて、よく混合しながら50℃に加熱した。粒子成長を引き起こすことなく9.9gの当量の実施例2に記載のTris 4−ABA試薬を徐々に添加した。カルシウムを含まない水酸化ナトリウムを添加してpHを10.5〜9.0に保持しながら、熱(50℃)DI水(200g)中の26gの過硫酸カリウム及び10gの重炭酸ナトリウムの溶液を徐々に導入した。加熱及び混合を継続して16時間にわたり約55℃の温度に保持した。供給サンプルの塩化物の含有率及び硫酸塩の含有率のそれぞれが100ppm未満になるまで、溶存不純物を限外濾過により除去した。ナトリウム塩としてEDTA(15g)の溶液を導入し、EDTAのほとんどが除去されて塩(塩化物及び硫酸塩として)レベルが50ppm未満になるまで、精製を継続した。粒子は、約250nmの平均PSDを有して凝集し、ディスパージョンは、不安定であった。反応混合物を第2段階の反応に付した。この時、合計17時間にわたり以上に記載の4−ABA Tris試薬(30gの4−ABA当量)及び20gの過硫酸カリウムと共にミルにかけた。生成物を限外濾過によりもう1回精製して溶存塩を除去し、次に、固形分12.4%に濃縮し、そして0.3%,wt/wtのProxel GXL(Arch Chemicals,Smyrna,GAから入手可能)と混合した。最後に、生成物を10,000rpmで5分間遠心分離し、0.7ミクロンGFフィルターに通して濾過した。
【0112】
(実施例5〜8)
実施例4に関連して以上に示されたのと同一のプロセスに従って実施例5〜12を調製した。
【表1】
【0113】
(実施例9)
グリセロール(17g)、BYK024脱泡剤(0.4g、BykChemieから入手可能)、及び実施例2に記載のTris 4−ABA試薬(125g)(17.5gの4−アミノ安息香酸当量)を混合した。混合物をアトライターミル(NETZSCH−Feinmahltechnik GmbH,Selb,Germanyから入手可能)により55℃で加熱した。17.5gのディスパースレッド60を攪拌下で添加した。カルシウムを含まない水酸化ナトリウムを添加してpHを8〜9.5に保持した。過硫酸カリウム(13.4g)及び重炭酸ナトリウム(4.2g)を攪拌下で添加した。17.5gのディスパースレッド60(Huntsmanから入手可能)、過硫酸カリウム(13.4g)、及び重炭酸ナトリウム(4.2g)を攪拌下で添加した。0.5mmのZirstar(Saint Gobainから入手可能)メディアミルを添加し、55℃かつ1100rpmでミル処理を行った。ミル処理時、カルシウムを含まない水酸化ナトリウムを添加してpHを8〜9.5に保持した。1時間ごとに、15gの実施例2のTris 4−ABA試薬、1gの重炭酸ナトリウム、3.2gの過硫酸カリウムを添加した。ミル処理の10時間後、平均粒子サイズは0.2ミクロンであった。溶存不純物を限外濾過により除去した。限外濾過後、ディスパージョンの色素濃度は9%であった。Dowicil 200(0.1%wt/wt、Dow Chemicalから入手可能な)をディスパージョンに添加した。最後に、生成物を0.7ミクロンのGFフィルターに通して濾過した。
【0114】
(実施例10)
分散染料ディスパージョン(シアヌリルの4−アミノ安息香酸三付加物を用いてポリマー安定化ディスパージョンを自己分散型染料ディスパージョンに変換する例)。
Blue 7704の高分子分散剤安定化23%濃厚液(ディスパースブルー359、Sensient Imaging−Specialty Colors and Inks,Switzerlandから入手可能)312gを91gの以上に記載のTris 4−ABA試薬及び950gのDI水の混合物に徐々に添加した。
【0115】
1時間後、反応混合物を54℃に加熱した。カルシウムを含まない水酸化ナトリウムを添加してpHを7.5〜9.5に保持しながら、50℃の熱DI水(200g)中の33gの過硫酸カリウム及び10.5gの重炭酸ナトリウムの溶液を徐々に導入した。過硫酸カリウム溶液の添加後、反応混合物を一晩約16時間にわたり55℃に保持した[工程1]。供給サンプルの塩化物及び硫酸塩の含有率が50ppm未満になるまで、溶存不純物を限外濾過により除去した。次に、生成物を固形分25%に濃縮し、(0.3%、wt/wt)Proxel GXL(Arch Chemicals,Smyrna,GAから入手可能)と混合した。最後に、生成物(413.5g)を0.7ミクロンのGFフィルターに通して濾過した。
【0116】
(実施例11〜13)
【表2】
【0117】
(実施例14〜16)
プリント用途及びコーティング用途で使用されるソルベント染料を実施例4の場合と同様に表面処理した。
【表3】
【0118】
(実施例17〜19)
化粧品用途で使用される無機顔料を実施例4の場合と同様に表面処理した。
【表4】
【0119】
(実施例20)
以上の実施例の改質型染料の物理的性質は、以下の表に示される。
【表5】
【表6】
【0120】
(実施例21)
X線光電子分光(「XPS」)分析
表6に実施例番号により特定されたサンプルについてXPSデータを収集して分析した。
【表7】
【0121】
集束単色Al Kα線のプローブビームを用いてEAG Labs(所在地Chanhassen,MN)によりXPSデータを取得した。X線により光電子を発生し、これをエネルギー分析及び計数してサンプル表面の原子組成及び化学性を明らかにする。光電子の脱出深さが15〜35Åであるので、分析深さは外側約50〜100Åに限定される。典型的には、シグナルの95%は、この深さの範囲内から発生する。提示されたデータは、低分解能サーベイスキャンを含む。これは、0〜1400eVの結合エネルギーのフルスペクトルを与える。データにはまた、所定の元素の高分解能スペクトルも含まれる。これは、化学状態の情報を提供する。スペクトルは、光電子ピーク下面積を積分し経験的感度係数を適用することにより表面組成を得るべく使用される。XPSデータは、図1〜21に提示される。
【表8】
【0122】
以下の表は、検出された元素の100%に規格化されたものである。XPSでは、HやHeは検出されない。他の元素に関しては、検出限界は、典型的には0.05%〜1.0%である。ダッシュ「−」は、元素が検出されなかったことを示す。検出限界に影響を及ぼす主な因子は、元素自体(一般的には重い元素ほど低い検出限界を有する)、干渉(他の元素の光電子ピーク及びオージェ電子ピークを含み得る)、並びにバックグラウンド(主にエネルギーをマトリックスに消失した電子のシグナルに起因する)である。
【0123】
所与の元素の化学状態の帰属は、文献の参照データを調べることにより行った。入手可能な参照データが限られる場合又はいくつかの異なる化学状態で類似の結合エネルギーが観測される場合、化学状態の帰属は暫定であると考えられなければならない。可能な化学状態の帰属を支援するために、所定の高分解能スペクトルに非線形最小二乗(NLLS)曲線あてはめを適用した。NLLSあてはめの結果は、個別のスペクトル及び化学性の表(表8〜10)に示されている。未処理の粒子を除くすべてのサンプル中に存在するN、Na、及びKのレベルは、アミノ安息香酸基として又は対応するナトリウム塩としての表面酸性基として存在する電荷基の指標である。
【表9】
【表10】
【表11】
【表12】
【表13】
【表14】
【表15】
【表16】
【表17】
【表18】
【表19】
【表20】
【表21】
【表22】
【表23】
【表24】
【表25】
【表26】
【表27】
【0124】
表8に示されるXPSの結果は、開示された表面改質により元のディスパージョン中に存在する高分子材料の結合に起因する表面酸素の増加及びそれに対応して窒素の減少を有する改質型ディスパースブルー359染料が得られることを示している。これは、追加の酸素が主に炭素−酸素結合タイプであることを示す曲線あてはめプロトコル(図2及び3)によりさらに確証される。
【0125】
表8及び図4に示されるXPSの結果は、開示された表面改質によりCOONaとしての表面ナトリウムが約0.3原子%に増加した改質型ディスパースブルー359染料が得られることを示している。
【0126】
表8に示されるXPSの結果は、開示された表面改質によりCOONaとしての表面ナトリウムが約0.7原子%に増加した改質型ディスパースイエロー54染料が得られることを示している。
【0127】
表8に示されるXPSの結果は、開示された表面改質によりCOONaとしての表面ナトリウムが約0.1原子%に増加した改質型ディスパースブラウン27染料が得られることを示している。
【0128】
表8に示されるXPSの結果は、開示された表面改質によりCOONaとしての表面ナトリウムが約0.4原子%に増加した改質型ディスパースブルー72染料が得られることを示している。
【0129】
表9に示されるXPSの結果は、開示された表面改質によりCOONaとしての表面ナトリウムが約0.3原子%に増加した改質型ソルベントレッド146染料が得られることを示している。
【0130】
表10に示されるXPSの結果は、開示された表面改質により元の顔料と比較して有意に高い表面炭素含有率(>16原子%)、表面窒素含有率(1.2原子%)、及び表面ナトリウム含有率(0.9原子%)を有する改質型トリエトキシカプリリルシラン処理二酸化チタン顔料が得られることを示している。
【0131】
表10に示されるXPSの結果は、開示された表面改質により元の顔料と比較して有意に高い表面炭素含有率(>30.6原子%)、表面窒素含有率(1.1原子%)、及び表面ナトリウム含有率(1.1原子%)を有する改質型二酸化チタン顔料が得られることを示している。
【0132】
表10及び図19に示されるXPSの結果は、開示された表面改質によりリン化合物として元の二酸化チタン顔料中に存在する表面不純物が実質的に除去されることを示している。
【0133】
表10及び図18に示されるXPSの結果は、開示された表面改質により元のトリエトキシカプリリルシラン処理二酸化チタン顔料中に不純物として存在する未結合のケイ素化合物が実質的に除去されることを示している。
【0134】
表10及び図21に示されるXPSの結果は、開示された表面改質により元の顔料と比較して有意に高い表面炭素含有率(>25.1原子%)、表面窒素含有率(1.1原子%)、及び表面ナトリウム含有率(0.9原子%)を有する改質型酸化鉄顔料が得られることを示している。
【0135】
(実施例22)
【表28】
【0136】
元素分析の結果は、開示された表面改質により染料1グラムあたり0.154〜0.284ミリモルの活性水素を有する改質型ディスパースブルー359染料が得られることを示している。
【0137】
元素分析の結果は、開示された表面改質により染料1グラムあたり約0.218ミリモルの活性水素を有する改質型ディスパースイエロー54染料が得られることを示している。
【0138】
元素分析の結果は、開示された表面改質により染料1グラムあたり約0.332ミリモルの活性水素を有する改質型ディスパースブラウン27染料が得られることを示している。
【0139】
元素分析の結果は、開示された表面改質により染料1グラムあたり約0.145ミリモルの活性水素を有する改質型ディスパースブルー72染料が得られることを示している。
【0140】
元素分析の結果は、開示された表面改質により染料1グラムあたり約0.237ミリモルの活性水素を有する改質型ソルベントレッド146染料が得られることを示している。
【0141】
元素分析の結果は、開示された表面改質により染料1グラムあたり約0.719ミリモルの活性水素を有する改質型ソルベントブルー67染料が得られることを示している。
【0142】
元素分析の結果は、開示された表面改質により顔料1グラムあたり約5.2%の炭素、0.64%の水素、013%の窒素、及び0.313ミリモルの活性水素を有する改質型二酸化チタン顔料が得られることを示している。
【0143】
元素分析の結果は、開示された表面改質により顔料1グラムあたり約3.6%の炭素、<0.5%の水素、0.11%の窒素、0.17%のケイ素、及び0.322ミリモルの活性水素を有する改質型トリエトキシカプリリルシラン処理二酸化チタン顔料が得られることを示している。
【0144】
元素分析の結果は、開示された表面改質により顔料1グラムあたり約6.2%の炭素、1.9%の水素、019%の窒素、及び0.188ミリモルの活性水素を有する改質型酸化鉄顔料が得られることを示している。
【0145】
(実施例23)
粒子サイズ測定及び安定性データ
気泡を回避しながら、1滴のサンプルを15mlの脱イオン水に希釈して1cmディスポーザブルキュベットに充填することにより、8〜15%の固形分を含むサンプルを調製した。次に、Malvern Zetasizer NanoシリーズModel ZEN3600を用いてサンプルの平均粒子サイズを測定した。
【表29】
【0146】
以下の実施例に記載の手順に従って以下のインクジェットインクを作製した。
【0147】
(実施例24)
19.1gの実施例10に記載の精製ディスパージョン、23gのグリセロール、0.05gのDowicil 200(Dow Chemical製)、0.1gのActicid TBW(Thor GmbH,Germany製)、4.5gのReax907(Meadwestwaco,USA製)、及び53.2gの脱塩水を混合することにより、インクジェットインクを調製した。そのようにして得られたインクを公称1ミクロンのガラスフィルターに通して濾過した。DuNouyリングを用いて測定された静的表面張力は、43.2ダイン/cmであり、コーンプレートレオメーターを用いて23℃で測定された粘度は、4.3mPasであった。このインクを、720×720dpiの解像度及び100%の被覆率でMimaki JV4プリンターを用いて、Coldenhove HTR2000紙(Coldenhove Papier B.V,Hollandから入手可能)上にプリントする。カレンダー(calander)(Storck;Hollandから入手可能)を用いて2barの圧力下210℃でプリント紙を100%ポリエステル布上に30秒間転写する。Datacolor分光光度計SF450X Spectraflash(Datacolor AG,Switzerlandから入手可能)を用いて転写後の布のLab値を測定する。市販のインク、すなわち、UV−Vis分光光度計(Shimadzu UV−2501PC,Shimadzu,Japan)を用いて580nmの光吸収により測定したときに同一量のDB359染料を含有するS4 Subli Blue7704を、同一条件下でプリントした。2種のインクの測色Lab値は、表13に与えられており、染料の昇華能が結合反応により影響を受けないことを示している。
【表30】
【0148】
(実施例25)
37.3gの実施例11の精製ディスパージョン、46gのグリセロール、0.2gのDowicil200、1gのトリエタノールアミン、7gのReax LS(Meadwestwaco,USA製)、及び108.5gのDI水を混合することにより、シアンインクジェットインクを調製した。そのようにして得られたインクを公称1ミクロンのガラスフィルターに通して濾過した。DuNouyリングを用いて測定された静的表面張力は、43.7ダイン/cmであり、コーンプレートレオメーターを用いて23℃で測定された粘度は、4.1mPasであった。このインクを、540×360dpiの解像度及び100%の被覆率でMimaki JV4プリンターを用いて、Coldenhove HTR2000紙(Coldenhove Papier B.V,Hollandから入手可能)上にプリントする。プリント紙を2barの圧力下210℃で100%ポリエステル布上に30秒間転写する。Datacolor分光光度計SF450X Spectraflash(Datacolor AG,Switzerlandから入手可能)を用いて転写後の布のLab値を測定する。市販のインク、すなわち、UV−Vis分光光度計(Shimadzu UV−2501PC,Shimadzu,Japan)を用いて580nmの光吸収により測定したときに同一量のDB359染料を含有するS4 Subli Blue7704を、同一条件下でプリントした。2種のインクの測色Lab値は、表14に与えられており、染料の昇華能が結合反応により影響を受けないことを示している。
【表31】
【0149】
(実施例26)
表15に記載の成分を混合することにより、インクジェットインクを調製した。UV−Vis分光光度計を用いて染料含有率を測定した。
【表32】
【0150】
成分を混合し、得られたインクを公称1ミクロンのガラスフィルターに通して濾過した。DuNouyリングを用いてインクの静的表面張力を測定した。コーンプレートレオメーターを用いて23℃で粘度を測定した。これらのインクを、540×360dpiの解像度及び100%の被覆率でMimaki JV4プリンターを用いて、Coldenhove HTR2000紙(Coldenhove Papier B.V,Hollandから入手可能)上にプリントする。プリント紙を2barの圧力下210℃で100%ポリエステル布上に30秒間転写する。Datacolor分光光度計SF450X Spectraflash(Datacolor AG,Switzerlandから入手可能)を用いて転写後の布のLab値を測定する。同一量の染料を含有するS4 Subli系列(Sensient Imaging−Specialty Colors and Inks,Switzerland)の対応する市販のインクを同一条件下でプリントした。さまざまなインクの測色Lab値は、表16に与えられており、染料の昇華能が結合反応により影響を受けないことを示している。
【表33】
【0151】
(実施例27)
65.9gの実施例11の精製ディスパージョン、25gのグリセロール、0.1gのDowicil200、及び9gのDI水を混合することにより、シアンインクジェットインクを調製した。そのようにして得られたインクを公称1ミクロンのガラスフィルターに通して濾過した。DuNouyリングを用いて測定された静的表面張力は、39.1ダイン/cmであり、コーンプレートレオメーターを用いて23℃で測定された粘度は、5.8mPasであった。このインクを、720×720dpiの解像度及び100%の被覆率でMimaki JV4プリンターを用いて、Coldenhove Screencol紙(Coldenhove Papier B.V,Hollandから入手可能)及びプリントできる状態の100%綿上にプリントする。Datacolor分光光度計SF450X Spectraflash(Datacolor AG,Switzerlandから入手可能)を用いてプリントのLab値を測定する。
【表34】
【0152】
(実施例28)
シアヌリルのスルファニル酸三付加物で処理することにより水不溶性染料粒子を自己分散型水性ディスパージョンに変換する例。
【0153】
4−アミノ安息香酸を用いて調製されたシアヌリルの三付加物(実施例2)の代わりにスルファニル酸を用いて調製されたシアヌリルの三付加物(実施例1a)を用いて、以上の実施例3〜19のそれぞれを反復する。
【0154】
(実施例29)
シアヌリルの4−アミノフェノール三付加物で処理することにより水不溶性染料粒子を自己分散型水性ディスパージョンに変換する例。
【0155】
4−アミノ安息香酸を用いて調製されたシアヌリルの三付加物(実施例2)の代わりに4−アミノフェノールを用いて調製されたシアヌリルの三付加物(実施例1b)を用いて、以上の実施例3〜19のそれぞれを反復する。
【0156】
(実施例30)
木材着色剤用途での性能
18%のJoncryl95(BASFから入手可能)と残部の脱イオン水とよりなる樹脂溶液を用いて、以上の実施例の1種以上の改質型粒子の充填率を6%にして、木材着色剤を調製して試験する。巻線ロッド#7(Paul N.Gardner Company,Pompano Beach,FLから入手可能)を用いたLeneta Form 3NT−3上の展延物の耐水堅牢性の比較を1’’×4’’ストリップで行う。各ストリップの半分を脱イオン水中に1分間浸漬する。ストリップを周囲温度で乾燥させる。Datacolor SF600 PLUS−CT測色計を用いて色差(DE*)を読み取る。着色剤は、より小さいDE*により実証される改良された耐水堅牢性を示すと予想される。
【0157】
(実施例31)
コーティングの性能
25%アクリル系媒体(Valspar,Wheeling,ILから入手可能)と残部の脱イオン水とよりなる樹脂溶液を用いて、以上の実施例の1種以上の改質型粒子の充填率を6%にして、コーティング配合物(マストーン)を調製して試験する。ティント調製物を得るために各マストーン着色剤をラテックス系ティントベース(Sherwin Williams,Cleveland,OHから入手可能)と1:10の比で混合する。6.0ミル巻線ロッドを用いてLeneta form 2A上に展延物を作製する。10滴の10%塩酸及び10滴の10%水酸化ナトリウム溶液をマストーン展延物上にスポットすることにより、耐薬品性を別々に測定する。スポット領域と対照領域との間でDE*値を求めることにより、耐薬品性の度合いを測定する。コーティング配合物は、DE*により測定される改良された耐薬品性を実証すると予想される。
【0158】
(実施例32)
カラーフィルター用途での性能
脱イオン水を用いて全量の75%に調整してから30%のValsparアクリル系媒体と30%のJoncryl1972(BASFから入手可能)と40%の1−メトキシ−2−プロパノール(プロピレングリコールモノメチルエーテル)とよりなる媒体(25%)と混合して以上の実施例の1種以上の改質型粒子の充填率を6%にして、カラーフィルター配合物を調製して試験する。巻線ロッド#7(Paul N.Gardner Company,Pompano Beach,FL)を用いた透明オレフィンポリマー基材上のカラーフィルターコーティングの透過率値を、周囲温度で乾燥させた後、測定する。
【0159】
(実施例33)
化粧品用途での性能
実施例17の改質型二酸化チタン顔料ディスパージョンを用いて、水中油型及びシリコーン中水型のエマルジョンを調製した。水中油型及びシリコーン中水型のエマルジョンの調製に使用した材料は、表18に記載されている。
【表35】
【0160】
表19は、以下に記載されるように調製される水中油型エマルジョンの処方を示している。
【表36】
【0161】
水中油型エマルジョンの作製手順:
1.相Aを調製し、均一になるまで混合及び50℃への加熱を行う。
2.相B1/B2を調製し、次に、相Aに添加する。Turraxホモジナイザーを用いて1分間混合する。
3.混合しながら40℃に冷却し、次に、相Cを添加する。
4.増粘剤(相D)を添加し、そして粘稠かつクリーム状になるまで混合を継続する。
5.適切な容器内に入れる。pH=7.60
【0162】
表20は、以下に記載されるように調製されるシリコーン中水型エマルジョンの処方を示している。
【表37】
【0163】
シリコーン中水型エマルジョンの作製手順:
1.相Aでは、均一になるまで混合及び70℃への加熱を行う。
2.熱を加えずに均一になるまで相B及びCを別々に混合する。
3.乳化されるまでBをバルクに添加する。バルクをCに徐々に添加し、そして温度を70℃に保持する。
4.増粘が起こるまで混合を継続する。
5.適切な容器内に入れる。
【0164】
図22について説明すると、左上のサンプルは、この実施例に記載されるように調製されて23℃で14日間貯蔵された水中油型エマルジョンを示し、一方、左下のサンプルは、50℃で7日間貯蔵された同一の水中油型エマルジョンを示している。右上のサンプルは、この実施例に記載されるように調製されて23℃で14日間貯蔵されたシリコーン中水型エマルジョンを示し、一方、左下のサンプルは、50℃で7日間貯蔵された同一の水中油型エマルジョンを示している。23℃で貯蔵されたエマルジョンと50℃で貯蔵されたものとの比較により、2種のエマルジョンの熱安定性が実証される。
【0165】
元の顔料と対比される改質型顔料の利点は、分散性及び分散の容易さである。エマルジョンは両方とも、剪断力をあまり用いないでも実施例17のディスパージョンを用いて比較的容易に形成された。特定の理論により拘束されるものではないが、温度安定性は、小さい粒子サイズ及び湿潤特性に起因して従来の顔料を含むエマルジョンよりも改質型顔料ディスパージョンを含むエマルジョンのほうが高いと考えられる。このため、粒子は、長期間にわたり懸濁状態で保持されるであろう。分散がより容易かつより良好であろうから、色強度もまた、改質型顔料を用いればより良好になると予想される。
【0166】
(実施例34)
修正液用途での性能
改質型不透明化剤(例えば、実施例17で調製された二酸化チタン)を含む水系修正液組成物は、当業者に周知の方法に従って調製される。(例えば、米国特許第6,025,413号明細書、米国特許第4,654,081号明細書、米国特許第4,165,988号明細書、及び米国特許第3,997,498号明細書(それらの開示内容はその全体が参照により本明細書に組み入れられるものとする)を参照されたい。)
(実施例35)
マーカー及びペン
以上の実施例の改質型粒子は、当技術分野で公知の方法を用いてマーカー及び筆記ペンに組み込まれる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子の改質方法であって、
X−[Y]n反応性基を有する反応性化合物を第2の化合物N−S−ZMと反応させて置換型反応性中間体[Y]a−X−(N−S−ZM)bを形成することと、
該粒子を該置換型反応性中間体[Y]a−X−(N−S−ZM)bと反応させて該置換型反応性中間体を該粒子の表面に結合することにより表面改質型粒子を形成することと、
を含み、該粒子が、染料粒子、無機顔料粒子、添加剤、又はそれらの組合せの少なくとも1つを含み、
式中、Xが、スルホニル基、ホスホリル基、又は1,3,5−トリアジニル基であり、
Yが、ハロゲン脱離性基であり、
Nが、求核性基であり、
Sが、有機基であり、
ZMが、イオン化性末端基であり、
nが、1〜3の整数であり、
bが、1〜3の整数であり、かつ
a=n−bであり、
しかも、nが、b以上であり、かつ
bが2又は3のとき、各N−S−ZMが、同一であり得るかもしくは異なり得る、
上記方法。
【請求項2】
Xが1,3,5−トリアジニル基である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
bが2又は3であり、かつ各N−S−ZMが異なる、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
X−[Y]n反応性基がシアヌル酸クロリドを含み、かつ第2の化合物が4−アミノ安息香酸及び高分子アミンを含む、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
Yが、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素の少なくとも1つを含む、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
Nが、アミン基、イミン基、ピリジン基、又はチオール基の少なくとも1つを含む、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
Sが、置換型もしくは無置換型のアルキル、アリール、及び約300〜約8000の分子量範囲を有するポリマー鎖の少なくとも1つを含む、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
Zが、カルボキシル基、スルホニル基、フェノール性基、又はホスホリル基の少なくとも1つを含み、かつMが、プロトン又は塩形カチオンの少なくとも1つを含む、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
第2の化合物N−S−ZMが、ポリマー、アミン、アミノ酸、アルコール、チオール、及びそれらの組合せの少なくとも1つを含む、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
第2の化合物N−S−ZMが、アミノ安息香酸、アミノベンゼンスルホン酸、アミノフェノール、アミノスルホン酸、ポリエトキシル化アミノ酸、ナトリウムスルファニレート、スルファニル酸、ナトリウムp−アミノベンゾエート、p−アミノフェノール、エチル4−アミノベンゾエート、タウリン、オレイン酸(アミノ)、テトラメチルアンモニウム4−アミノベンゾエート、ナトリウム4−アミノフェノラート、ナトリウムアミノオレエート、有機高分子基質、及びそれらの組合せの少なくとも1を含む、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
有機高分子基質が、約300〜約3000の分子量を有する線状アルキル並びに分岐状エトキシ及びプロポキシの鎖状ポリマー、線状ポリエトキシ高分子アミン、線状プロポキシ高分子アミン、スチレンアクリルコポリマー、ポリエチレンイミン、及びそれらの組合せの少なくとも1つを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
Zが、アンモニウム、トリメチルアンモニウム、又はトリブチルアンモニウムの少なくとも1つを含み、かつMが、ハロゲン化物イオン又は負荷電イオンの少なくとも1つを含む、請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
第2の化合物N−S−ZMが、ジアミノ芳香族化合物、ポリエチレンイミン化合物、ポリグアニジン化合物、第四級アンモニウム化合物、又はそれらの組合せの少なくとも1つを含む、請求項1〜12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
粒子が、ディスパースブルー14、ディスパースブルー19、ディスパースブルー72、ディスパースブルー334、ディスパースブルー359、ディスパースブルー360、ディスパースオレンジ25、ディスパースイエロー54、ディスパースイエロー64、ディスパースレッド55、ディスパースレッド60、マクロレックスレッドH、ディスパースブラウン27、ソルベントブルー67、ソルベントブルー70、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146、ソルベントレッド160、ソルベントイエロー162、ソルベントバイオレット10、ソルベントブラック29、アシッドイエロー204、アシッドイエロー151、アシッドオレンジ60、アシッドレッド182、アシッドレッド357、アシッドレッド359、アシッドブルー193、アシッドブラウン355、アシッドバイオレット90、アシッドブラック172、アシッドブラック194、アシッドブラック52、アシッドブラック60、酸化チタン(IV)、酸化鉄(III)、酸化亜鉛、及びそれらの組合せの少なくとも1つを含む、請求項1〜13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
顔料と置換型反応性中間体との反応前、反応時、又は反応後に、粒子をミル処理して約200nm未満にすることをさらに含む、請求項1〜14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
置換型反応性中間体[Y]a−X−(N−S−ZM)bに電荷バランス対イオンが付随し、該対イオンを、アルカリ金属、アルカリ土類金属、NR1R2R3H+、及びそれらの組合せの少なくとも1つで少なくとも部分的に置換することをさらに含み、式中、R1、R2、及びR3が、独立して、H又は置換型もしくは無置換型のC1〜C5アルキル基である、請求項1〜15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
対イオンが、K+、Li+、NH4+、モノエタノールアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、トリエタノールアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、及びそれらの組合せの少なくとも1つで少なくとも部分的に置換される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
表面改質型粒子を水性粒子ディスパージョン中に組み込むことをさらに含む、請求項1〜17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
X−[Y]n反応性基がシアヌル酸クロリドであり、かつ第2の化合物N−S−ZMが、4−アミノ安息香酸、スルファニル酸、4−アミノフェノラート、タウリン、オレイン酸(アミノ)、線状ポリエトキシ高分子アミン、線状プロポキシ高分子アミン、又はそれらの組合せの少なくとも1つである、請求項1〜18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
表面改質型粒子が自己分散性粒子である、請求項1〜19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
表面改質型粒子が粒子1グラムあたり約0.1〜約0.8ミリモルの活性水素を含む、請求項1〜20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
表面改質型粒子が、粒子1グラムあたり約0.1〜約0.8ミリモルの活性水素と等価な全量のアルカリ金属を含む、請求項1〜21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
表面改質型粒子が染料粒子を含む、請求項1〜22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
表面改質型粒子が、無機顔料粒子、約2〜約7パーセントの炭素、約0.1〜約2パーセントの水素、及び前記無機顔料粒子1グラムあたり約0.1〜約0.5ミリモルの活性水素を含む、請求項1〜22のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
粒子が、酸化チタン、酸化鉄、又は酸化亜鉛の少なくとも1つを含む、請求項1〜22のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
反応性化合物がシアヌル酸クロリドを含み、かつ該シアヌル酸クロリドが約3当量の第2の化合物又は第2の化合物の混合物と反応して置換型反応性中間体を形成し、前記置換型反応性中間体が置換型トリアジンを含む、請求項1〜25のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
ラジカル開始剤を用いて、置換型トリアジンを粒子の表面と反応させて表面改質型粒子を形成することをさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
ラジカル開始剤がペルスルフェートを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
第2の化合物の混合物が、1、2、もしくは3種の異なる第2の化合物を含み得る、請求項26〜28のいずれかに記載の方法。
【請求項30】
方法が約25℃〜約90℃の温度で行われる、請求項1〜29のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
第2の化合物又は第2の化合物の混合物が、アミノ安息香酸、アミノベンゼンスルホン酸、アミノフェノール、アミノスルホン酸、ポリエトキシル化アミノ酸、ナトリウムスルファニレート、スルファニル酸、ナトリウムp−アミノベンゾエート、p−アミノフェノール、エチル4−アミノベンゾエート、テトラメチルアンモニウム4−アミノベンゾエート、ナトリウム4−アミノフェノラート、タウリン、オレイン酸(アミノ)、ナトリウムアミノオレエート、有機高分子基質、線状ポリエトキシ高分子アミン、線状プロポキシ高分子アミン、ジアミノ芳香族化合物、ポリエチレンイミン化合物、ポリグアニジン化合物、第四級アンモニウム化合物、又はそれらの組合せの少なくとも1つを含む、請求項26〜30のいずれかに記載の方法。
【請求項32】
第2の化合物又は第2の化合物の混合物が、アミノ安息香酸、スルファニル酸、又はそれらの塩の少なくとも1つを含む、請求項26〜31のいずれかに記載の方法。
【請求項33】
粒子と置換型トリアジンとの反応前、反応時、又は反応後に粒子をミル処理して約200nm未満にすることをさらに含む、請求項26〜32のいずれかに記載の方法。
【請求項34】
粒子が染料粒子を含む、請求項1〜33のいずれかに記載の方法。
【請求項35】
粒子が、ディスパースブルー14、ディスパースブルー19、ディスパースブルー72、ディスパースブルー334、ディスパースブルー359、ディスパースブルー360、ディスパースオレンジ25、ディスパースイエロー54、ディスパースイエロー64、ディスパースレッド55、ディスパースレッド60、マクロレックスレッドH、ディスパースブラウン27、ソルベントブルー67、ソルベントブルー70、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146、ソルベントレッド160、ソルベントイエロー162、ソルベントバイオレット10、ソルベントブラック29、アシッドイエロー204、アシッドイエロー151、アシッドオレンジ60、アシッドレッド182、アシッドレッド357、アシッドレッド359、アシッドブルー193、アシッドブラウン355、アシッドバイオレット90、アシッドブラック172、アシッドブラック194、アシッドブラック52、アシッドブラック60、酸化チタン(IV)、酸化鉄(III)、酸化亜鉛、及びそれらの組合せの少なくとも1つを含む、請求項1〜34のいずれかに記載の方法。
【請求項36】
粒子が添加剤を含む、請求項1〜35のいずれかに記載の方法。
【請求項37】
粒子の改質方法であって、
反応性化合物基を該粒子の表面に結合することと、ただし、該粒子は、染料粒子、無機顔料粒子、添加剤、又はそれらの組合せの少なくとも1つを含み、
続いて、イオン化性末端基を有する有機基質で該反応性基を置換することと、
を含み、
該粒子が、ディスパースブルー14、ディスパースブルー19、ディスパースブルー72、ディスパースブルー334、ディスパースブルー359、ディスパースブルー360、ディスパースオレンジ25、ディスパースイエロー54、ディスパースイエロー64、ディスパースレッド55、ディスパースレッド60、マクロレックスレッドH、ディスパースブラウン27、ソルベントブルー67、ソルベントブルー70、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146、ソルベントレッド160、ソルベントイエロー162、ソルベントバイオレット10、ソルベントブラック29、アシッドイエロー204、アシッドイエロー151、アシッドオレンジ60、アシッドレッド182、アシッドレッド357、アシッドレッド359、アシッドブルー193、アシッドブラウン355、アシッドバイオレット90、アシッドブラック172、アシッドブラック194、アシッドブラック52、アシッドブラック60、酸化チタン(IV)、酸化鉄(III)、及び酸化亜鉛よりなる群から選択される、
上記方法。
【請求項38】
粒子の改質方法であって、
反応性基X−Yを該粒子の表面に結合することと、ただし、該粒子は、染料粒子、無機顔料粒子、添加剤、又はそれらの組合せの少なくとも1つを含み、
続いて、有機基質N−S−ZMでYを置換して結合されたX−N−S−ZMを有する表面改質型粒子を形成することと、
を含み、
式中、Xが、スルホニル基、ホスホリル基、又は1,3,5−トリアジニル基であり、
Yが、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素であり、
Nが、アミン基、イミン基、ピリジン基、又はチオール基であり、
Sが、置換型もしくは無置換型のアルキル、アリール、又は約300〜約8000の分子量範囲を有するポリマー鎖であり、
Zが、カルボキシル基、スルホニル基、フェノール性基、ホスホリル基、アンモニウム基、トリメチルアンモニウム基、又はトリブチルアンモニウム基であり、かつ
Mが、ハロゲン化物イオン、負荷電イオン、塩形プロトン、又は塩形カチオンである、
上記方法。
【請求項39】
Xが1,3,5−トリアジニル基である、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
粒子1グラムあたり約0.1〜約0.8ミリモルの活性水素を有する、染料粒子、無機顔料粒子、添加剤、又はそれらの組合せを含む、表面改質型粒子。
【請求項41】
染料粒子、無機顔料粒子、添加剤、又はそれらの組合せの少なくとも1つと、粒子1グラムあたり約0.1〜約0.8ミリモルの活性水素と等価な全量のアルカリ金属と、を含む粒子を含む、表面改質型粒子。
【請求項42】
粒子が染料粒子を含む、請求項41に記載の表面改質型粒子。
【請求項43】
粒子が、無機顔料粒子、約2〜約7パーセントの炭素、約0.1〜約2パーセントの水素、及び前記無機顔料粒子1グラムあたり約0.1〜約0.5ミリモルの活性水素を含む、請求項41に記載の表面改質型粒子。
【請求項44】
粒子が、酸化チタン、酸化鉄、又は酸化亜鉛の少なくとも1つを含む、請求項43に記載の表面改質型粒子。
【請求項45】
染料粒子、無機顔料粒子、添加剤、又はそれらの組合せの少なくとも1つと、
それに結合した(N−S−ZM)を含む基と、
を含み、式中、
Nが求核性基であり、
Sが有機基であり、かつ
ZMがイオン化性末端基である、
改質型粒子。
【請求項46】
Nが、アミン、イミン、ピリジン、又はチオールであり、Sが、置換型もしくは無置換型のアルキル基、置換型もしくは無置換型のアリール基、置換型もしくは無置換型の芳香族基、又は約1〜100個超の炭素を有するかもしくは約300〜約20000の分子量範囲を有するポリマー鎖であり、Zが、水素、カルボキシル基、スルホニル基、フェノール性基、ホスホリル基、アンモニウム基、トリメチルアンモニウム基、又はトリブチルアンモニウム基であり、かつMが対イオンである、請求項46に記載の改質型粒子。
【請求項47】
基(N−S−ZM)が、アミノ安息香酸、アミノベンゼンスルホン酸、アミノフェノール、アミノスルホン酸、ポリエトキシル化アミノ酸、ナトリウムスルファニレート、スルファニル酸、ナトリウムp−アミノベンゾエート、p−アミノフェノール、エチル4−アミノベンゾエート、タウリン、オレイン酸(アミノ)、テトラメチルアンモニウム4−アミノベンゾエート、ナトリウム4−アミノフェノラート、ナトリウムアミノオレエート、有機高分子基質、及びそれらの組合せの少なくとも1つを含む、請求項45〜46のいずれかに記載の改質型粒子。
【請求項48】
請求項40〜47のいずれかに記載の表面改質型粒子又は請求項1〜39のいずれかにより製造された表面改質型粒子を含む、木材着色剤、コーティング、修正液、マーカー、インクジェットインク、カラーフィルター、化粧品配合物、又はテキスタイルプリントインク。
【請求項49】
インクが転写プリントインクを含む、請求項48に記載のテキスタイルプリントインク。
【請求項50】
インクがダイレクトプリントインクを含む、請求項48に記載のテキスタイルプリントインク。
【請求項1】
粒子の改質方法であって、
X−[Y]n反応性基を有する反応性化合物を第2の化合物N−S−ZMと反応させて置換型反応性中間体[Y]a−X−(N−S−ZM)bを形成することと、
該粒子を該置換型反応性中間体[Y]a−X−(N−S−ZM)bと反応させて該置換型反応性中間体を該粒子の表面に結合することにより表面改質型粒子を形成することと、
を含み、該粒子が、染料粒子、無機顔料粒子、添加剤、又はそれらの組合せの少なくとも1つを含み、
式中、Xが、スルホニル基、ホスホリル基、又は1,3,5−トリアジニル基であり、
Yが、ハロゲン脱離性基であり、
Nが、求核性基であり、
Sが、有機基であり、
ZMが、イオン化性末端基であり、
nが、1〜3の整数であり、
bが、1〜3の整数であり、かつ
a=n−bであり、
しかも、nが、b以上であり、かつ
bが2又は3のとき、各N−S−ZMが、同一であり得るかもしくは異なり得る、
上記方法。
【請求項2】
Xが1,3,5−トリアジニル基である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
bが2又は3であり、かつ各N−S−ZMが異なる、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
X−[Y]n反応性基がシアヌル酸クロリドを含み、かつ第2の化合物が4−アミノ安息香酸及び高分子アミンを含む、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
Yが、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素の少なくとも1つを含む、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
Nが、アミン基、イミン基、ピリジン基、又はチオール基の少なくとも1つを含む、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
Sが、置換型もしくは無置換型のアルキル、アリール、及び約300〜約8000の分子量範囲を有するポリマー鎖の少なくとも1つを含む、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
Zが、カルボキシル基、スルホニル基、フェノール性基、又はホスホリル基の少なくとも1つを含み、かつMが、プロトン又は塩形カチオンの少なくとも1つを含む、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
第2の化合物N−S−ZMが、ポリマー、アミン、アミノ酸、アルコール、チオール、及びそれらの組合せの少なくとも1つを含む、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
第2の化合物N−S−ZMが、アミノ安息香酸、アミノベンゼンスルホン酸、アミノフェノール、アミノスルホン酸、ポリエトキシル化アミノ酸、ナトリウムスルファニレート、スルファニル酸、ナトリウムp−アミノベンゾエート、p−アミノフェノール、エチル4−アミノベンゾエート、タウリン、オレイン酸(アミノ)、テトラメチルアンモニウム4−アミノベンゾエート、ナトリウム4−アミノフェノラート、ナトリウムアミノオレエート、有機高分子基質、及びそれらの組合せの少なくとも1を含む、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
有機高分子基質が、約300〜約3000の分子量を有する線状アルキル並びに分岐状エトキシ及びプロポキシの鎖状ポリマー、線状ポリエトキシ高分子アミン、線状プロポキシ高分子アミン、スチレンアクリルコポリマー、ポリエチレンイミン、及びそれらの組合せの少なくとも1つを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
Zが、アンモニウム、トリメチルアンモニウム、又はトリブチルアンモニウムの少なくとも1つを含み、かつMが、ハロゲン化物イオン又は負荷電イオンの少なくとも1つを含む、請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
第2の化合物N−S−ZMが、ジアミノ芳香族化合物、ポリエチレンイミン化合物、ポリグアニジン化合物、第四級アンモニウム化合物、又はそれらの組合せの少なくとも1つを含む、請求項1〜12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
粒子が、ディスパースブルー14、ディスパースブルー19、ディスパースブルー72、ディスパースブルー334、ディスパースブルー359、ディスパースブルー360、ディスパースオレンジ25、ディスパースイエロー54、ディスパースイエロー64、ディスパースレッド55、ディスパースレッド60、マクロレックスレッドH、ディスパースブラウン27、ソルベントブルー67、ソルベントブルー70、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146、ソルベントレッド160、ソルベントイエロー162、ソルベントバイオレット10、ソルベントブラック29、アシッドイエロー204、アシッドイエロー151、アシッドオレンジ60、アシッドレッド182、アシッドレッド357、アシッドレッド359、アシッドブルー193、アシッドブラウン355、アシッドバイオレット90、アシッドブラック172、アシッドブラック194、アシッドブラック52、アシッドブラック60、酸化チタン(IV)、酸化鉄(III)、酸化亜鉛、及びそれらの組合せの少なくとも1つを含む、請求項1〜13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
顔料と置換型反応性中間体との反応前、反応時、又は反応後に、粒子をミル処理して約200nm未満にすることをさらに含む、請求項1〜14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
置換型反応性中間体[Y]a−X−(N−S−ZM)bに電荷バランス対イオンが付随し、該対イオンを、アルカリ金属、アルカリ土類金属、NR1R2R3H+、及びそれらの組合せの少なくとも1つで少なくとも部分的に置換することをさらに含み、式中、R1、R2、及びR3が、独立して、H又は置換型もしくは無置換型のC1〜C5アルキル基である、請求項1〜15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
対イオンが、K+、Li+、NH4+、モノエタノールアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、トリエタノールアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、及びそれらの組合せの少なくとも1つで少なくとも部分的に置換される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
表面改質型粒子を水性粒子ディスパージョン中に組み込むことをさらに含む、請求項1〜17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
X−[Y]n反応性基がシアヌル酸クロリドであり、かつ第2の化合物N−S−ZMが、4−アミノ安息香酸、スルファニル酸、4−アミノフェノラート、タウリン、オレイン酸(アミノ)、線状ポリエトキシ高分子アミン、線状プロポキシ高分子アミン、又はそれらの組合せの少なくとも1つである、請求項1〜18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
表面改質型粒子が自己分散性粒子である、請求項1〜19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
表面改質型粒子が粒子1グラムあたり約0.1〜約0.8ミリモルの活性水素を含む、請求項1〜20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
表面改質型粒子が、粒子1グラムあたり約0.1〜約0.8ミリモルの活性水素と等価な全量のアルカリ金属を含む、請求項1〜21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
表面改質型粒子が染料粒子を含む、請求項1〜22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
表面改質型粒子が、無機顔料粒子、約2〜約7パーセントの炭素、約0.1〜約2パーセントの水素、及び前記無機顔料粒子1グラムあたり約0.1〜約0.5ミリモルの活性水素を含む、請求項1〜22のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
粒子が、酸化チタン、酸化鉄、又は酸化亜鉛の少なくとも1つを含む、請求項1〜22のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
反応性化合物がシアヌル酸クロリドを含み、かつ該シアヌル酸クロリドが約3当量の第2の化合物又は第2の化合物の混合物と反応して置換型反応性中間体を形成し、前記置換型反応性中間体が置換型トリアジンを含む、請求項1〜25のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
ラジカル開始剤を用いて、置換型トリアジンを粒子の表面と反応させて表面改質型粒子を形成することをさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
ラジカル開始剤がペルスルフェートを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
第2の化合物の混合物が、1、2、もしくは3種の異なる第2の化合物を含み得る、請求項26〜28のいずれかに記載の方法。
【請求項30】
方法が約25℃〜約90℃の温度で行われる、請求項1〜29のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
第2の化合物又は第2の化合物の混合物が、アミノ安息香酸、アミノベンゼンスルホン酸、アミノフェノール、アミノスルホン酸、ポリエトキシル化アミノ酸、ナトリウムスルファニレート、スルファニル酸、ナトリウムp−アミノベンゾエート、p−アミノフェノール、エチル4−アミノベンゾエート、テトラメチルアンモニウム4−アミノベンゾエート、ナトリウム4−アミノフェノラート、タウリン、オレイン酸(アミノ)、ナトリウムアミノオレエート、有機高分子基質、線状ポリエトキシ高分子アミン、線状プロポキシ高分子アミン、ジアミノ芳香族化合物、ポリエチレンイミン化合物、ポリグアニジン化合物、第四級アンモニウム化合物、又はそれらの組合せの少なくとも1つを含む、請求項26〜30のいずれかに記載の方法。
【請求項32】
第2の化合物又は第2の化合物の混合物が、アミノ安息香酸、スルファニル酸、又はそれらの塩の少なくとも1つを含む、請求項26〜31のいずれかに記載の方法。
【請求項33】
粒子と置換型トリアジンとの反応前、反応時、又は反応後に粒子をミル処理して約200nm未満にすることをさらに含む、請求項26〜32のいずれかに記載の方法。
【請求項34】
粒子が染料粒子を含む、請求項1〜33のいずれかに記載の方法。
【請求項35】
粒子が、ディスパースブルー14、ディスパースブルー19、ディスパースブルー72、ディスパースブルー334、ディスパースブルー359、ディスパースブルー360、ディスパースオレンジ25、ディスパースイエロー54、ディスパースイエロー64、ディスパースレッド55、ディスパースレッド60、マクロレックスレッドH、ディスパースブラウン27、ソルベントブルー67、ソルベントブルー70、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146、ソルベントレッド160、ソルベントイエロー162、ソルベントバイオレット10、ソルベントブラック29、アシッドイエロー204、アシッドイエロー151、アシッドオレンジ60、アシッドレッド182、アシッドレッド357、アシッドレッド359、アシッドブルー193、アシッドブラウン355、アシッドバイオレット90、アシッドブラック172、アシッドブラック194、アシッドブラック52、アシッドブラック60、酸化チタン(IV)、酸化鉄(III)、酸化亜鉛、及びそれらの組合せの少なくとも1つを含む、請求項1〜34のいずれかに記載の方法。
【請求項36】
粒子が添加剤を含む、請求項1〜35のいずれかに記載の方法。
【請求項37】
粒子の改質方法であって、
反応性化合物基を該粒子の表面に結合することと、ただし、該粒子は、染料粒子、無機顔料粒子、添加剤、又はそれらの組合せの少なくとも1つを含み、
続いて、イオン化性末端基を有する有機基質で該反応性基を置換することと、
を含み、
該粒子が、ディスパースブルー14、ディスパースブルー19、ディスパースブルー72、ディスパースブルー334、ディスパースブルー359、ディスパースブルー360、ディスパースオレンジ25、ディスパースイエロー54、ディスパースイエロー64、ディスパースレッド55、ディスパースレッド60、マクロレックスレッドH、ディスパースブラウン27、ソルベントブルー67、ソルベントブルー70、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146、ソルベントレッド160、ソルベントイエロー162、ソルベントバイオレット10、ソルベントブラック29、アシッドイエロー204、アシッドイエロー151、アシッドオレンジ60、アシッドレッド182、アシッドレッド357、アシッドレッド359、アシッドブルー193、アシッドブラウン355、アシッドバイオレット90、アシッドブラック172、アシッドブラック194、アシッドブラック52、アシッドブラック60、酸化チタン(IV)、酸化鉄(III)、及び酸化亜鉛よりなる群から選択される、
上記方法。
【請求項38】
粒子の改質方法であって、
反応性基X−Yを該粒子の表面に結合することと、ただし、該粒子は、染料粒子、無機顔料粒子、添加剤、又はそれらの組合せの少なくとも1つを含み、
続いて、有機基質N−S−ZMでYを置換して結合されたX−N−S−ZMを有する表面改質型粒子を形成することと、
を含み、
式中、Xが、スルホニル基、ホスホリル基、又は1,3,5−トリアジニル基であり、
Yが、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素であり、
Nが、アミン基、イミン基、ピリジン基、又はチオール基であり、
Sが、置換型もしくは無置換型のアルキル、アリール、又は約300〜約8000の分子量範囲を有するポリマー鎖であり、
Zが、カルボキシル基、スルホニル基、フェノール性基、ホスホリル基、アンモニウム基、トリメチルアンモニウム基、又はトリブチルアンモニウム基であり、かつ
Mが、ハロゲン化物イオン、負荷電イオン、塩形プロトン、又は塩形カチオンである、
上記方法。
【請求項39】
Xが1,3,5−トリアジニル基である、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
粒子1グラムあたり約0.1〜約0.8ミリモルの活性水素を有する、染料粒子、無機顔料粒子、添加剤、又はそれらの組合せを含む、表面改質型粒子。
【請求項41】
染料粒子、無機顔料粒子、添加剤、又はそれらの組合せの少なくとも1つと、粒子1グラムあたり約0.1〜約0.8ミリモルの活性水素と等価な全量のアルカリ金属と、を含む粒子を含む、表面改質型粒子。
【請求項42】
粒子が染料粒子を含む、請求項41に記載の表面改質型粒子。
【請求項43】
粒子が、無機顔料粒子、約2〜約7パーセントの炭素、約0.1〜約2パーセントの水素、及び前記無機顔料粒子1グラムあたり約0.1〜約0.5ミリモルの活性水素を含む、請求項41に記載の表面改質型粒子。
【請求項44】
粒子が、酸化チタン、酸化鉄、又は酸化亜鉛の少なくとも1つを含む、請求項43に記載の表面改質型粒子。
【請求項45】
染料粒子、無機顔料粒子、添加剤、又はそれらの組合せの少なくとも1つと、
それに結合した(N−S−ZM)を含む基と、
を含み、式中、
Nが求核性基であり、
Sが有機基であり、かつ
ZMがイオン化性末端基である、
改質型粒子。
【請求項46】
Nが、アミン、イミン、ピリジン、又はチオールであり、Sが、置換型もしくは無置換型のアルキル基、置換型もしくは無置換型のアリール基、置換型もしくは無置換型の芳香族基、又は約1〜100個超の炭素を有するかもしくは約300〜約20000の分子量範囲を有するポリマー鎖であり、Zが、水素、カルボキシル基、スルホニル基、フェノール性基、ホスホリル基、アンモニウム基、トリメチルアンモニウム基、又はトリブチルアンモニウム基であり、かつMが対イオンである、請求項46に記載の改質型粒子。
【請求項47】
基(N−S−ZM)が、アミノ安息香酸、アミノベンゼンスルホン酸、アミノフェノール、アミノスルホン酸、ポリエトキシル化アミノ酸、ナトリウムスルファニレート、スルファニル酸、ナトリウムp−アミノベンゾエート、p−アミノフェノール、エチル4−アミノベンゾエート、タウリン、オレイン酸(アミノ)、テトラメチルアンモニウム4−アミノベンゾエート、ナトリウム4−アミノフェノラート、ナトリウムアミノオレエート、有機高分子基質、及びそれらの組合せの少なくとも1つを含む、請求項45〜46のいずれかに記載の改質型粒子。
【請求項48】
請求項40〜47のいずれかに記載の表面改質型粒子又は請求項1〜39のいずれかにより製造された表面改質型粒子を含む、木材着色剤、コーティング、修正液、マーカー、インクジェットインク、カラーフィルター、化粧品配合物、又はテキスタイルプリントインク。
【請求項49】
インクが転写プリントインクを含む、請求項48に記載のテキスタイルプリントインク。
【請求項50】
インクがダイレクトプリントインクを含む、請求項48に記載のテキスタイルプリントインク。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
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【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公表番号】特表2012−523479(P2012−523479A)
【公表日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−504842(P2012−504842)
【出願日】平成22年4月7日(2010.4.7)
【国際出願番号】PCT/US2010/030311
【国際公開番号】WO2010/118187
【国際公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(511176311)センシエント カラーズ エルエルシー (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月7日(2010.4.7)
【国際出願番号】PCT/US2010/030311
【国際公開番号】WO2010/118187
【国際公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(511176311)センシエント カラーズ エルエルシー (1)
【Fターム(参考)】
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