説明

自己固定型足場

【課題】
【解決手段】自己固定型足場は、いろいろな疾患/状態を治療するため治療材料を送り出す。足場は、治療材料を保持し且つ、組織内に植え込まれる。固定要素は足場を組織内に定着させて足場が変位する可能性を少なくする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、身体組織内に植え込むための足場に関する。特に、本発明は、治療材料を身体組織内に植え込むべく保持する自己固定型足場(self−fixating scaffolds)に関する。
【背景技術】
【0002】
色々な疾患及び状態を治療するため治療材料を組織内に直接、植え込むことは、緊急及び(又は)長期間の解決策を提供する。治療材料は、典型的に、針及びカテーテルによりターゲット組織内に注入される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
妥当な送り出し経路を経ての注入は、挑戦すべき課題がない訳ではない。心臓において、注射液の約80%ないし90%は、静脈及びリンパ管経路並び機械的手段を介して失われる。このため、送り出し過程は、非効率的である。漏洩した治療材料の最終的な供給先は、確認されず、効果のない治療又は有害な結果となる可能性がある。更に、組織内に保持される治療材料は、接着するのに十分な基質が欠如するため、最終的に、洗い流される可能性がある。
【0004】
細胞が注入された場合でも、送り出された細胞の約80%ないし90%は、脈管構造及び必要な栄養分が欠如するため、また、注入した組織内にて気体の交換のため、細胞死する。生物学的材料をターゲット組織に送り出し注入の欠点を解消するため足場が使用されている。しかし、足場は、その位置に縫合されなかったならば、変位する可能性がある。このため、治療材料をターゲット組織に送り出す一層優れた方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、自己固定型足場である。自己固定型足場は、治療材料を保持する足場と、足場を組織内に定着する固定要素とを有している。固定要素は、足場が組織から変位するのを防止するのを助ける。
【0006】
本発明は、治療材料を身体の色々な組織に送り出すときに使用可能な自己固定型足場である。自己固定型足場は、実質的に、治療材料を保持する足場と、足場を組織内に定着する固定要素とを有している。固定要素は、以下により詳細に説明する多くの形態を含む。
【0007】
本発明は、細胞療法、遺伝子療法、タンパク質療法及び薬剤療法のような多岐に亙る治療法に適用可能である。治療材料は、細胞、ウィルスベクトル、核酸、ペプチド/タンパク質、製剤又はこれらの任意の組み合わせとすることができる。
【0008】
自己固定型足場によって送り出された治療材料にて治療できる疾患/状態の例は、次のものを含む、すなわち、徐脈性不整脈−生物学的ペースメーカの送り出し、AV節の再構築、頻脈−梗塞の境界領域を渡る電気的伝導を向上させ又は伝導ブロックを誘発させるため(線維芽細胞又はその他の細胞を使用するバイオアブレーション)生物学的材料の送り出し、その他の不整脈−術後の心房細動を回避するため心臓外科手術の後、薬剤の短期間の送り出し(心外膜への取り付け可能)、心不全−心筋の成長及び増殖を誘発させる成長因子の送り出し、冠状動脈の疾患のようなその他の心臓病−血管形成及び動脈形成のため生物学的材料の送り出し、局所神経疾患のようなその他の疾患−幹細胞療法のため極小の足場の送り出し(パーキンソン氏病のため幹細胞のドーパミンを生成する幹細胞、発作に対するNGFを解放する足場、発作を治療するため神経幹細胞の播種、K.I.パーク(Park)その他の者のNat Biotechnol 20(11):1111−7を参照)、糖尿病−身体のどこにでも取り付け可能なインスリン生成幹細胞の送り出しを含む。その他の用途は、骨を含む、疾患状態となり又は損傷した組織に対する組織再生及び癌の治療を含む。
【0009】
当該技術にて既知の多数の技術の任意のものを使用して、本発明の自己固定型足場を製造することができる。その例は、次のものを含む、ファイバ接着、溶剤のキャスティング、微粒子の漂白、皮膜の積層化、溶融成形、エマルジョン/凍結−乾燥、高圧(ガスフォーミング)、及び位相反転を含む。色々な方法は、また、Adv.polym.Sci.122、245、(1995)にてR.C.トムソン(Thomson)その他の者による器官を再生する生物分解性ポリマー足場(Biodegradable Polymer Scaffolds to Regenerate Organs)、生体材料(Biomaterials)におけるC.E.ホーリー(Holy)その他の者による生物分解性ポリマーに関する骨組織エンジニアリング:新規なポリ(ラクチド・コ・グリコリド(lactide−co−glycolide)の作成(Bone Tissue Engineering on Biodegradable Polymers:Preparation of a Novel Poly)、ニューヨーク、米国化学工学会(AIChE);1997、p.272−4における薬剤を送り出すキャリア及び組織エンジニアリング用足場(Carriers for Drug Delivery and Scaffolds for Tissue Engineering)、に記載されている。
【0010】
製造過程において足場に対する色々な制約を考慮しなければならない。足場は、血管の内部成長を促進しつつ、細胞が接着するのに十分に大きい表面積を提供するポアサイズを有する。足場は、効果的な栄養物の交換(物質移動)を許容する。典型的に、ポアの直径は約30μmないし120μmの範囲にある。全体的なポアサイズは、物理的及び電気的接続性を決定し、このことは、一部の療法にて重要である。
【0011】
多孔率(ポアのサイズではなくてポアの数)は、遺伝子の送り出しを向上させ且つ、色々な手段によって制御される。例えば、足場材料が溶剤中に溶解し、その後、溶剤が蒸発するとき、溶剤の蒸発率は足場の所望のポアサイズ及び多孔率を形成するよう変化させる。蒸発率に対して溶剤の量を変化させることは、多孔率を制御することもできる。
【0012】
多孔率は、また、発泡剤として二酸化炭素を使用する圧力クエンチ法にて足場を製造することにより制御することができる。ポリマー本体は、二酸化炭素にて飽和させ、その後、特定の圧力下にて、真空吸引力を介して除去する。反応の温度及び圧力を変化させることは、二酸化炭素の吸収量を制御し、このことは、ポアの量及びサイズを制御することになる。L.シーン(Singh)その他の者の生体材料(Biomaterials)25:2611−17を参照。
【0013】
足場は、増殖する細胞の応力の下、潰れるのに抵抗するのに十分、丈夫である。先行技術の生物分解性足場は、この型式の応力下にて潰れていた。
本発明の生物分解性足場は、組織の増殖速度に等しい分解速度を有する。固定要素は、足場の他の部分よりも遥かにゆっくりと分解するか又は分解不能であるようにすることができる。
【0014】
分解速度は、多数の方法を通じて制御可能である。ポリマー鎖の長さを操作すれば分解速度は変化する。親水性/疎水性の特徴(すなわち、化学的組成)を追加するため改質側鎖を追加することは、分解速度を制御することになる。
【0015】
分解速度は、また、ジ/トリ/ペンタコブロックポリマーを形成することによっても制御される。このことは、2つのモノマーの性質を組み合わせて、金属合金と同様の機械的に変化した形成されるポリマーを提供することになる。
【0016】
1つの実施の形態において、ポリカプロラクトン(PCL)は、ポリウレタン(PU)と組み合わされ、その結果、ポリマー単独の場合よりも大きい弾性率及び延伸性を有するポリマーとなる。酸化ポリエチレン(PEO)は、PUと組み合わされ、その結果、粘着性の粘性材料となる。この組み合わせは、固定要素を製造するのに有用であろう。
【0017】
第二の実施の形態は、ポリグリコール酸(PGA)及びポリ(L−乳酸)(PLLA)を組み合わせる。PGAは、高結晶性で且つ親水性である一方、PLLAは、金属基が存在するため、低結晶性で且つより疎水性である。PLLAは、PGAよりも遅い速度にて分解し且つ優れた強度特性を有する。このため、PLLA:PGAの比を制御することにより、ポリ(D、L−乳酸−コ−グリコリド)(PGLA)共重合体は、所望の分解速度及び機械的強度を有するよう設計することができる。
【0018】
最後に、足場及び固定要素は、組織に貫入するのに十分剛性でなければならない。貫入に要求される剛性は、自己固定型足場が定着される組織に依存して変化するであろう。
固定要素は、生物分解性又は非生物分解性ポリマー又は金属又は任意のその他の適宜な生物適合性材料にて製造することができる。上述した機械的性質を有する固定要素を製造するため、例えば、PLLAを使用することができる。ニチノール(Nitinol)又は白金或いはその他の金属材料を使用することができる。メドトロニック(Medtronic)インクに譲渡された米国特許明細書5,246,014号に記載された固定要素を本発明と共に使用することもできる。
【0019】
足場を製造するためのその他の考慮事項は、次のものを含むことができる。すなわち、結晶性、分子背向、表面/容積比、分子量、分子量の分布及びテクスチャーである。しかし、全ての場合、足場は、生物適合性である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1は、自己固定型足場の第一の実施の形態である。図1は、足場12と、固定要素14とを有する自己固定型足場10を含む。足場12は、治療材料を保ち又は保持する一方、固定要素14は、自己固定型足場10を組織T内に定着する。
【0021】
図示した実施の形態において、自己固定型足場10は、生物学的材料にて製造され且つin vitroにて生物学的材料で含浸される。しかし、生物学的材料は、その材料を組織Tに送り出した後に自己固定型足場10に送り出してもよい。自己固定型足場10は培地16内にて培養する。培地16は、成長因子及び栄養物のようなその他の因子を含む、細胞の生存力すなわち化学走化性因子(chemotactic factors)を向上させる生物学的材料を含む。生物学的材料にて含浸されたならば、培養した足場18は組織Tに送り出される。組織Tは、任意の身体組織とし、また、実行される療法に依存して相違することになろう。自己固定型足場は、心臓内及び心臓の回りのような、治療材料が洗い流される可能性がある組織内に植え込むのに特に適している。
【0022】
一部の細胞療法による治療が成功するかどうかは、一部、組織Tを形成する細胞の間に植え込んだ細胞を含むことに依存する。このため、1つの実施の形態において、インスリン様成長因子−1(IFG−1)のような化学走化性因子が組織T内に注入されて細胞を組織T内に引き込む。固定要素14は、足場10が注入装置でもあるように中空とすることができる。
【0023】
図2には、自己固定型足場の第二の実施の形態が示されている。自己固定型足場20は、足場22と、アーム24とを含む。アーム24は、ばね荷重が加えられ又はニチノールのような形状記憶材料にて出来たものとする。送り出したとき、アーム24は開放し且つ、自己固定型足場20を組織T内に定着する。
【0024】
図3には、自己固定型足場の第三の実施の形態が示されている。この場合、足場26は、組織T内に植込まれる。足場26は、図3に示すように、容易に植え込み得る形状とされている。植え込まれたならば、足場26の部分28は、拡張して足場26を組織T内に定着する。
【0025】
図4は自己固定型足場の第四の実施の形態の図である。図4には、足場32及び骨格34を有する足場装置30が示されている。骨格34は金属又は同様の剛性な材料にて形成される。手術のとき、足場装置30を組織T内に植え込む。骨格34は、足場32が組織Tに貫入するための剛性を提供する。これと代替的に、骨格34は、植え込む間、遠隔制御用のリードとして作用するようにしてもよい。植え込まれたならば、骨格34を除去し、足場32の部分32a、32bの形態が変化するようにする。部分32a、32bは、植え込んだ後、足場32を組織T内に定着する。
【0026】
図5には、自己固定型足場の第五の実施の形態が示されている。足場システム36は、針38と、カテーテル40と、足場42とを有する。手術のとき、足場システム36は、組織T内に挿入され、足場42が組織Tの表面に対してほぼ平行であるようにする。針38を後退させ、その後、カテーテル40を後退させる。足場42は組織T内に植え込まれたままである。
【0027】
図6a及び図6bには、自己固定型足場の第六の実施の形態が示されている。自己固定型足場44は、足場46と、伸長部48aを有する固定要素48と、ドーナツ形の分配パターンにて足場46内に含浸させた治療剤50とを有する。この場合、固定要素48は金属製であり、また、リードとして機能する伸長部48aを有する。伸長部48aは、自己固定型足場44を植え込む間、遠隔制御の誘導作用を提供する。この実施の形態にて利用可能である固定要素は、メドトロニク・インクに譲渡された米国特許明細書5,246,014号に記載されている。
【0028】
上述した実施の形態は、全てin vitroにて製造され、また、組織T内に送り出す前に治療材料を含浸させることができ、又は含浸させなくてもよい。これらの実施の形態は自己固定型足場の例であり、限定的であることを意味するものではない。
【0029】
治療材料が注射によって送り出されたならば、治療材料を含浸させた球形足場を組織内に注入する。治療材料に対する足場の寸法は、足場が洗い流される機会を減少させ且つ、それ自体の洗い流し経路を妨害する。球形足場はまた最初、細胞のような生物学的材料を組織の環境から緩衝する。
【0030】
代替的な実施の形態にて足場はin vivoにて製造することができる。注入可能なポリマーを組織内に注入する。注入可能なポリマーは、注入する前に治療材料と混合させ又は治療材料を含浸させることができる重合系足場を形成する。
【0031】
注入したとき、注入可能なポリマーは、例えば、温度又はカルシウムイオンの存在によって励起することのできる相転移を受ける。このように形成されたならば、足場は、組織内に自己固定される。
【0032】
足場は幾つかの有利な効果を有する。足場は、所定の量の治療材料を組織に送り出し且つ病巣への局所的送り出しを可能にする。足場は、急激な環境の変化に対する保護体を提供するから、足場内で含浸させた細胞はその内部にて成長し、また、組織に送り出されたとき、受ける応力が少ないであろう基質を有する。核酸を足場の表面に接着するよう誘導することができる。最後に、足場を治療材料の漏洩を減少させる生物化学的骨格として機能する。自己固定型足場は、特に、足場を固定するための縫合糸は不要であるから、送り出し手順を簡略化することができる。
【0033】
足場は、特殊な組織にも使用可能である。例えば、心臓組織は異方性組織である。該心臓組織は電気的波面の異方的伝搬を示す(電位作用は、心筋繊維を横断するよりも心筋線維の方向に沿ってより迅速に伝搬する)。異方性軸線は、心筋の厚さに沿って心内膜層から心外膜層まで回転する。足場は、向き決めした細胞の成長のため特定の格子構造を有するよう構成され、心臓組織内に植え込まれた細胞が望ましい異方性を有するようにする。足場線維のアーキテクチャーは、細胞の異方性を促進し得るよう特別に配置されている。先行技術は、自己組み立てのオリゴペプチド単層を使用して細胞を特定の態様及びパターンにて整合させる方法を含む。例えば、バイオマテリアルズ(Biomaterials)20:1213−20におけるS.ツァン(S.Zhang)その他の者の文献を参照。足場無しにて注入された細胞は、組織内にランダムに一体化し、これにより等方性構造体を形成する。足場は、ランダムな一体化を解消して心臓組織を電気的に修復するときの成功率を増加させるのを助ける。
【0034】
本発明の足場は、多数の生物分解性及び非生物分解性ポリマーの任意の1つ又はより多くから製造することができる。足場の固定要素が組織に貫入し且つ組織から変位するのに抵抗するのに十分堅固である必要があるから、これらの固定要素は、治療材料を保持する足場部分のものと異なるポリマーにて製造される。一部の場合、固定要素は、白金のような金属材料から製造される。自己固定型足場を製造するのに使用することのできるポリマーの例は、次のものを含む、すなわち、PLA:ポリ(乳酸)のような合成ポリマー、PGA:ポリ(グリコール酸)、PLGA:ポリ(D、L−乳−共−グリコリド)、PEG:ポリエチレングリコール、PCL:ポリ(e−カプロラクトン)、PLLA、ポリウレタン−PCL、ポリウレタン−PEO:ポリエチレンオキシド、織ったポリ−L−ラクチド織地にて補強されたPCLA:e−カプロラクトン−共−L−ラクチドのポリマー、上記のジブロック、トリブロック、ペンタブロック共重合体の変更例;アルギン酸塩、コラーゲン、でんぷん/セルロース、酢酸セルロース、フィブリン、血小板ゲル、ヒドロゲル、ゼラチン、キチン、ペクチン、ヒアルロン酸ポリマーのような天然ポリマー;コラーゲン/PLA、ペクチン/PLGA、キチン/PLGAのような組み合わせ製品、オリゴペプチド、アルギン酸塩、フィブリン及び血小板ゲル(トロンビンと血小板との組み合わせ)のような注入可能なポリマーを含む。
【0035】
合成−天然共重合体の変形例にて製造された足場は、全合成及び全天然足場の性質を持つ有用な特性を備えている。合成ポリマーは、細胞の認識信号を欠如する。天然由来ポリマーは、迅速な加水分解を受けて、身体内にて迅速に改変することもある。このため、合成及び天然ポリマーの混合体は、その双方の有益な性質を持つ足場を形成することになる。
【0036】
自己固定型足場の植え込みは、当該技術にて周知の技術を利用することができる。心臓組織のような一部の組織の場合、特殊な方法を採用する必要がある。例えば、足場が植え込まれる間、心臓組織を安定化させることが望ましいことがある。このことは、心臓の収縮不全を誘発させるか又は足場を受け入れる心臓の局所的領域を安定化させるステップを含む、多数の方法の任意のものにより実行することができる。また、自己固定型足場は、心臓組織まで心内膜法、経血管法又は心外膜法により送り出すことが可能であることも望ましい。
【0037】
本明細書に開示された全ての特許、特許出願明細書及び論文は参考として引用し本明細書に含める。本発明は、好ましい実施の形態に関して説明したが、当該技術の当業者は、本発明の精神及び範囲から逸脱せず形態及び細部の点にて変更を為すことが可能であることが認識されよう。
【0038】
一例としての実施例
シリーズAの実施例
生物学的材料を保持する足場と、
足場と共に送り出すことができ、足場を組織に対して定着する固定要素とを備える、自己固定型足場である。
【0039】
上記において、組織は心臓組織を備えている。
上記において、足場及び固定要素は、次のアプローチ法、すなわち心内膜法、経血管法及び心外膜法の1つを介して心臓組織まで送り出すことができる。
【0040】
上記において、生物学的材料は、次の状態、すなわち心機能不全、精神学的機能不全、内分泌機能不全、疾患し又は損傷した組織の少なくとも1つ及び癌を治療する。
上記において、生物学的材料は核酸である。
【0041】
上記において、生物学的材料は細胞である。
上記において、生物学的材料はタンパク質である。
上記において、足場及び固定要素は生物分解性である。
【0042】
上記において、固定要素の分解速度は足場の分解速度よりも遅い。
上記において、固定要素は非生物分解性である。
上記において、足場内の孔の直径は約30μmないし120μmの範囲にある

【0043】
シリーズBの実施例
治療材料を保持する足場と、
足場を組織に定着させる固定要素と、
固定要素から伸びて、リードとして使用可能な伸長部とを備える、自己固定型足場である。
【0044】
上記において、伸長部は、自己固定型足場を遠隔制御を介して植え込むことを許容する。
上記において、固定要素及び伸長部は金属材料から製造される。
【0045】
上記において、足場内の孔の直径は約30μmないし120μmの範囲にある。
上記において、固定要素はヘリカルコイルの形態をしている。
シリーズCの実施例
治療材料を保持する足場と、
足場内に除去可能に植え込まれた骨格とを備え、足場は組みから除去したとき、形態を変化させて足場を組織内に定着させる、自己固定型足場装置である。
【0046】
上記において、骨格は金属材料にて製造される。
上記において、治療材料は、組織に送り出す前に、足場内に含浸させる。
上記において、骨格は、遠隔制御によって植え込むためのリードである。
【0047】
シリーズDの実施例
治療材料を保持し、固定要素を有する自己固定型足場を準備するステップと、
自己固定型足場の少なくとも一部分を組織内に植え込むステップと、を備え、
固定要素は、自己固定型足場を組織に定着させる、治療材料を組織まで送り出す方法である。
【0048】
上記の方法において、治療材料は、組織内に植え込む前に、自己固定型足場の少なくとも一部分内に含浸させる。
上記の方法において、治療材料は、組織内に植え込んだ後に、自己固定型足場の少なくとも一部分内に含浸させる。
【0049】
上記の方法において、固定要素は、植え込んだとき、形態を変化させる。
上記の方法において、自己固定型足場を遠隔制御を介して組織まで案内するステップを更に備えている。
【0050】
シリーズEの実施例
固定要素を有する自己固定型足場の一部分を状態を治療する材料にて含浸させるステップと、
自己固定型要素の少なくとも一部分を組織内に植え込むステップとを備え、
固定要素は、自己固定型足場を組織内に定着させる、状態を治療する方法である。
【0051】
上記の方法は、成長因子及び化学走化性因子の少なくとも1つを自己固定型足場付近にて組織内に注入するステップを更に含む。
上記の方法において、組織は心筋組織であり、状態は心機能不全であり、
心機能不全と関係した疾患状態の心筋組織の領域を決定するステップを備え、
治療材料は、心機能不全を治療するためのものである。
【0052】
上記の方法において、
自己固定型足場付近の組織に対して成長因子及び化学走化性因子の1つを、固定要素を介して注入するステップを更に備えている。
【0053】
上記の方法において、固定要素の伸長部は、遠隔制御誘導のためのリードとして作用する。
一連のシリーズの実施例は、一例であり且つ、特許請求の範囲における本発明の幾つかの実施の形態及び特徴に関して限定的ではないことを意味するものである。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】自己固定型足場の第一の実施の形態を示す概略図である。
【図2】自己固定型足場の第二の実施の形態を示す概略図である。
【図3】自己固定型足場の第三の実施の形態を示す概略図である。
【図4】自己固定型足場の第四の実施の形態を示す概略図である。
【図5】自己固定型足場の第五の実施の形態を示す概略図である。
【図6】自己固定型足場の第六の実施の形態を示す概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療材料を保持する足場と、
足場と一体化されて、足場を組織に定着させる固定要素とを備える、自己固定型足場。
【請求項2】
請求項1に記載の自己固定型足場において、
足場は生物分解性である、自己固定型足場。
【請求項3】
請求項2に記載の自己固定型足場において、
足場は、PLA、PGA、PLGA、PEG、PCL、PLLA、ポリウレタン−PCL、ポリウレタン−PEO、PCLA、アルギン酸塩、コラーゲン、でんぷん/セルロース、酢酸セルロース、フィブリン、血小板ゲル、ヒドロゲル、ゼラチン、キチン、ペクチン、ヒアルロン酸ポリマーの少なくとも1つにて組み立てられる、自己固定型足場。
【請求項4】
請求項1に記載の自己固定型足場において、
治療材料は生物学的材料である、自己固定型足場。
【請求項5】
請求項1に記載の自己固定型足場において、
治療材料は医薬用薬剤である、自己固定型足場。
【請求項6】
請求項1に記載の自己固定型足場において、
治療材料は、足場を組織内に定着させる前に足場内にて含浸させる、自己固定型足場。
【請求項7】
請求項1に記載の自己固定型足場において、
治療材料は、足場が組織内に定着された後、足場まで送り出すことができる、自己固定型足場。
【請求項8】
請求項1に記載の自己固定型足場において、
固定要素は、中空であり且つ注入装置として使用可能である、自己固定型足場。
【請求項9】
請求項1に記載の自己固定型足場において、
固定要素から伸びて、リードとして使用可能である伸長部を更に備える、自己固定型足場。
【請求項10】
請求項1に記載の自己固定型要素において、
足場は、向き決めした細胞の成長を実現する格子構造体を有する、自己固定型要素。
【請求項11】
請求項1に記載の自己固定型足場において、
足場及び固定要素は、心臓組織まで心内膜法にて送り出し可能、心臓組織まで経血管法にて送り出し可能、心臓組織まで心外膜法に送り出し可能であることの何れかである、自己固定型足場。
【請求項12】
自己固定型足場において、
生物学的材料を保持する足場と、
足場と共に送り出すことができ、足場を組織に定着させる固定要素とを備える、自己固定型足場。
【請求項13】
請求項12に記載の自己固定型足場において、
組織は心筋組織を備える、自己固定型足場。
【請求項14】
請求項12に記載の自己固定型足場において、
生物学的材料は、次の状態、すなわち心機能不全、精神学的機能不全、内分泌機能不全、疾患し又は損傷した組織及び癌の少なくとも1つを治療する、自己固定型足場。
【請求項15】
請求項12に記載の自己固定型足場において、
足場内の孔の直径は、約30μmないし120μmの範囲にある、自己固定型足場。
【請求項16】
治療材料を保持する足場と、
足場を組織に定着させる固定要素と、
固定要素から伸びて、リードとして使用可能である伸長部とを備える、自己固定型足場。
【請求項17】
治療材料を保持する足場と、
足場内に除去可能に植え込まれた骨格とを備え、
足場は、骨格を除去したとき形態を変化させて足場を組織内に定着させる、自己固定型足場装置。
【請求項18】
請求項17に記載の自己固定型足場装置において、
骨格は金属材料にて製造される、自己固定型足場装置。
【請求項19】
請求項17に記載の自己固定型足場装置において、
治療材料は、組織に送り出す前に、足場内にて含浸させる、自己固定型足場装置。
【請求項20】
請求項17に記載の自己固定型足場において、
骨格は、遠隔制御植え込みのためのリードを備える、自己固定型足場。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【公表番号】特表2008−516000(P2008−516000A)
【公表日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−537021(P2007−537021)
【出願日】平成17年10月13日(2005.10.13)
【国際出願番号】PCT/US2005/037430
【国際公開番号】WO2006/044890
【国際公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(591007804)メドトロニック・インコーポレーテッド (243)
【住所又は居所原語表記】710Medtronic Parkway,Minneapolis,Minnesota 55432,U.S.A
【Fターム(参考)】