説明

自己展開の体の開口部プロテクタ

【課題】開口部を保護する外科手術デバイスを提供すること。
【解決手段】ライナー部材であって、ライナー部材は、圧縮状態と拡張状態との間で移行可能であり、ライナー部材は、圧縮状態における第1の幅と、拡張状態における第2の幅とを規定し、第2の幅は、第1の幅より大きく、ライナー部材は、拡張状態の方に付勢される、ライナー部材と、長手方向に延びる内腔を含むカニューレであって、ライナー部材は、該内腔を通って並進可能である、カニューレとを備えている、開口部保護デバイス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の参照)
本出願は、2010年12月20日に出願された米国仮出願第61/424,927号の利益および優先権を主張し、この仮出願の内容全体が参照によって本明細書に援用される。
【0002】
(背景)
(1.技術分野)
本開示は、外科手術処置がそこを通って行われる、例えば創傷または自然に存在するオリフィスなどの体の開口部を保護する外科手術デバイスに関する。より詳細には、最小侵襲性外科手術処置中に用いられる創傷プロテクタが開示される。
【背景技術】
【0003】
(2.関連技術の背景)
例えば、腹腔鏡外科手術、内視鏡外科手術、胸腔鏡外科手術などの最小侵襲性外科手術は、従来の開放外科手術より多くの利点を有する。特に最小侵襲性外科手術は、大きな切開部の必要を排除し、それによって、不快さ、回復時間、および従来の開放外科手術に関連する有害な副作用の多くを減少させる。
【0004】
最小侵襲性外科手術は、患者の皮膚における小さな開口部を通って行われる。これらの開口部は、皮膚における切開部であり得るか、または(例えば、口、肛門、または膣などの)自然に存在する体のオリフィスであり得る。
【0005】
切開部が必要な場合、最初の穿刺は、通常、近くの組織を過剰に損傷することなく針またはトロカールが所望の貫通を達成し得るように非常に小さい。外科手術器具の導入および所望の医療処置の実施を可能にする作業直径を提供するために、その後、最初のアクセス穴が拡張されることが必要となり得る。
【0006】
どの切開部の場合でも、創傷を作ることは、例えば細菌感染などの創傷の汚染のリスクを引き起こす。従って、創傷プロテクタで創傷の縁を保護して、創傷の汚染を防ぐことが望まれ得る。さらに、外科手術処置中、体の開口部の内側表面を保護して、損傷を防ぎかつ/または不快さを最小限にすることが望まれ得る。改善された、体の開口部の保護デバイスに対する継続するニーズが存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
(概要)
本明細書において開示されるものは、ライナー部材を含む開口部保護デバイスである。ライナー部材は、圧縮状態と拡張状態との間で移行可能である。ライナー部材は、圧縮状態における第1の幅と、拡張状態における第2の幅とを規定する。拡張状態における第2の幅は、圧縮状態における第1の幅より大きい。ライナー部材は、拡張状態の方に付勢され得る。開口部保護デバイスはまた、患者の皮膚における、例えば創傷などの開口部の中に挿入可能であるカニューレを含む。ライナー部材は、内腔を通って並進可能である。カニューレの内腔は、圧縮状態である間、ライナー部材の第1の幅に対応する寸法を有する。カニューレ内から出るようにライナー部材を並進させることは、拡張状態に、ライナー部材の例えば展開などの移行を引き起こす。
【0008】
開口部保護デバイスはまた、ライナー部材を係合して、カニューレを通ってライナー部材の並進を引き起こす栓子を含み得る。カニューレおよび栓子は、第1の方向への栓子に対するカニューレの回転運動がカニューレを通って栓子の遠位の並進を引き起こし、第2の方向への栓子に対するカニューレの回転運動がカニューレを通って栓子の近位の並進を引き起こすように、対応するねじ切りを含み得る。
【0009】
ライナー部材は、近位フランジを含む近位セクションと、遠位フランジを含む遠位セクションとを含み得る。近位フランジと遠位フランジとの間に配置されるものは、中間セクションである。中間セクションは、組織内において、例えば自然の開口部または創傷などの開口部の内側表面を覆う(line)するように構成されかつ適合される。
【0010】
一実施形態において、ライナー部材は、近位リングと、遠位リングと、それらの間に配置されるライニングとを含み得る。近位リングおよび遠位リングは、圧縮状態と拡張状態との間で並進可能であり得、圧縮状態において第1の直径を規定し、拡張状態において第2の直径を規定し得る。拡張状態のとき、近位リングの直径および遠位リングの直径は、実質的に同じで有り得るかまたは異なり得る。拡張状態である間、近位リングおよび遠位リングによって規定される第2の直径は、圧縮状態における第1の直径より大きい。さらに一実施形態において、ライナー部材の長さは調整可能であり得る。例えば、ライニングは、互いに離れるような近位リングおよび遠位リングの相対的な長手方向の動きがライナー部材の延長を引き起こすように、近位リングの周りに回転させられ得る。逆に、互いの方への近位リングおよび遠位リングの相対的な長手方向の動きは、ライナー部材の短縮を引き起こす。
【0011】
栓子は、1つ以上の溝部を含み得、近位フランジおよび遠位フランジ(またはリング)のうちの少なくとも1つを係合し得る。例えば、栓子は、ライナー部材の長手方向に延びる内腔内に配置されるように、構成されかつ適合され得る。1つ以上の溝部は、カニューレを通る栓子の長手方向の並進がライナー部材の対応する長手方向の並進を引き起こすように、近位フランジおよび/または遠位フランジ(もしくはリング)を係合する。栓子がカニューレの内腔内から出るようにライナー部材を遠位に並進させると、ライナー部材は拡張状態に展開する。その後、カニューレおよび栓子は、ライナー部材が皮膚の開口部内に展開された状態で、患者の皮膚内の開口部から除去され得る。ライナーがカニューレの内腔内に配置される場合、ライナーはカニューレの内腔によって圧縮状態に維持される。
【0012】
例えば創傷などの体の開口部内にライナー部材を展開する方法もまた説明される。特に、外科医は、カニューレの内腔内に配置される自己展開ライナーを含むカニューレを提供する。カニューレは、体の開口部内に配置される。その後、ライナー部材は、カニューレを通って遠位に並進させられて、カニューレ内から体の開口部の中にライナー部材の排出を引き起こす。カニューレは、体の開口部から出るように近位に並進させられる。体の開口部から出るようなカニューレの近位の並進およびライナー部材の遠位の並進は、同時に起こり得、それによって、外科医による実質的に1回の動作で体の開口部内におけるカニューレの除去およびライナー部材の展開を達成し得る。
【0013】
本開示のこれらおよび他の実施形態は、添付の図を参照して下記に詳細に説明される。
【0014】
例えば、本発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
ライナー部材であって、該ライナー部材は、圧縮状態と拡張状態との間で移行可能であり、該ライナー部材は、該圧縮状態における第1の幅と、該拡張状態における第2の幅とを規定し、該第2の幅は、該第1の幅より大きく、該ライナー部材は、該拡張状態に向けて付勢される、ライナー部材と、
長手方向に延びる内腔を含むカニューレであって、該ライナー部材は、該内腔を通って並進可能である、カニューレと
を備えている、開口部保護デバイス。
(項目2)
上記ライナー部材を係合して、上記カニューレを通って該ライナー部材の並進を容易にするように構成かつ適合される栓子をさらに備えている、上記項目に記載の開口部保護デバイス。
(項目3)
上記栓子は、該栓子の外側表面に沿って長手方向に延びるねじ切りを含み、上記カニューレは、該カニューレの内側表面に沿って長手方向に延びるねじ切りを含み、該栓子のねじ切りは該カニューレのねじ切りに対応する、上記項目のいずれかに記載の開口部保護デバイス。
(項目4)
上記カニューレに対する上記栓子の回転運動は、該カニューレの内腔を通る該栓子の並進を引き起こす、上記項目のいずれかに記載の開口部保護デバイス。
(項目5)
上記ライナー部材は、近位フランジと、遠位フランジと、該近位フランジと遠位フランジとの間のライニングとを備え、該近位フランジおよび遠位フランジは、圧縮状態と拡張状態との間で並進可能であり、該近位フランジおよび遠位フランジは、該圧縮状態における第1の直径と、該拡張状態における第2の直径とを規定し、該第2の直径は、該第1の直径より大きい、上記項目のいずれかに記載の開口部保護デバイス。
(項目6)
上記栓子は、近位溝部と、遠位溝部とを含み、該近位溝部および遠位溝部は、上記近位フランジおよび遠位フランジと係合可能である、上記項目のいずれかに記載の開口部保護デバイス。
(項目7)
体の開口部の中に開口部保護デバイスを展開するシステムであって、
半径寸法を規定する管状のライナー部材であって、該半径寸法は第1の直径と第2の直径との間で移行可能であり、該第2の直径は該第1の直径より大きく、該ライナー部材は該第2の直径に向けて付勢される、管状のライナー部材と、
長手方向に延びる内腔を規定するカニューレであって、該内腔は直径を規定し、該ライナー部材は該内腔を通って並進可能であり、該ライナー部材は該内腔内にある間、該第1の直径を規定し、該第1の直径は該内腔の直径に対応し、該ライナー部材は該カニューレからの排出に応答して該第2の直径の方に移行する、カニューレと
を備え、
該カニューレは、体の開口部内に該カニューレを配置されるように構成され、該カニューレは該カニューレ内に位置決めされた該ライナー部材を含み、
該ライナー部材は、該カニューレの内腔を通って遠位に並進するように構成され、
該カニューレは、該開口部から出るように近位に並進するように構成されている、システム。
(項目7A)
体の開口部の中に開口部保護デバイスを展開する方法であって、
半径寸法を規定する管状のライナー部材であって、該半径寸法は第1の直径と第2の直径との間で移行可能であり、該第2の直径は該第1の直径より大きく、該ライナー部材は該第2の直径に向けて付勢される、管状のライナー部材と、
長手方向に延びる内腔を規定するカニューレであって、該内腔は直径を規定し、該ライナー部材は該内腔を通って並進可能であり、該ライナー部材は該内腔内にある間、該第1の直径を規定し、該第1の直径は該内腔の直径に対応し、該ライナー部材は該カニューレからの排出に応答して該第2の直径の方に移行する、カニューレと
を提供することと、
体の開口部内に該カニューレを配置することであって、該カニューレは該カニューレ内に位置決めされた該ライナー部材を含む、ことと、
該カニューレの内腔を通って該ライナー部材を遠位に並進させることと、
該開口部から出るように該カニューレを近位に並進させることと
を包含する、方法。
【0015】
(摘要)
自己展開開口部保護デバイスが開示される。開口部保護デバイスは、圧縮状態と拡張状態との間で移行可能である。開口部保護デバイスは、患者の皮膚の開口部内に配置されるカニューレの内腔を通って並進可能である。開口部保護デバイスは、それがカニューレの内腔内から出るように並進すると、拡張状態に展開する。
【0016】
本開示の実施形態は、添付の図面を参照して本明細書に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本開示に従う開口部保護デバイスの部分破断図である。
【図2】図2は、最初の拡張状態で示される、本開示に従うライナー部材の斜視図である。
【図3】図3は、第2の圧縮状態で示される、図2のライナー部材である。
【図4】図4は、本開示に従う栓子の斜視図である。
【図5】図5は、第1の状態で組織の創傷内に配置されて示される、図1の開口部保護デバイスの部分破断図である。
【図6】図6は、中間の状態で組織の創傷内に配置されて示される、図1の開口部保護デバイスの部分破断図である。
【図7】図7は、展開された状態で組織の創傷内に配置されて示される、図1の開口部保護デバイスの斜視図である。
【図8】図8は、本開示に従うライナー部材の別の実施形態である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(詳細な説明)
本開示の実施形態は図面を参照してここで詳細に説明され、図面において参照字は類似するかまたは同一の要素を識別する。図面およびそれに続く説明において、用語「近位」は、オペレータに最も近い、計器またはデバイスの端部をいい、一方、用語「遠位」は、オペレータから最も遠い、計器またはデバイスの端部をいう。
【0019】
開口部保護デバイス100は、図1〜図4を参照してここで説明される。開口部保護デバイス100は、自己展開ライナー部材50と、カニューレ70とを含む。図1に示されるように、ライナー部材50は、カニューレ70の内腔71内に位置を決められる。図2および図3に最も良く示されるように、ライナー部材50は、近位セクション12と、遠位セクション14と、近位セクション12と遠位セクション14との間に配置される中間セクション16とを含む。近位セクション12は、近位フランジ部材12aを含み得る。遠位セクション14は、遠位フランジ部材14aを含み得る。近位フランジ部材12aおよび遠位フランジ部材14aは、各々例えば湾曲するかまたは丸くされたなど、実質的に凸状の形状または構成を有し得る。中間セクション16は、ライナー16aを含み得る。一実施形態において、開口部保護デバイス100が組織T内の開口部W内に配置される場合(図7)、ライナー16aは、近位フランジ部材12aおよび遠位フランジ部材14aによってぴんと張って保持される薄く柔軟な、ある長さの材料であり得る。ライナー16aは、実質的に管状の形状または構成を規定する。一実施形態において、ライナー16aは、近位フランジ部材12aおよび遠位フランジ部材14aと同じかまたは類似した材料から形成され得る。
【0020】
さらに、図2、図3、および図7に示されるように、ライナー部材50は、実質的に細腰の構成を有し得、例えば、中間セクション16によって規定される半径寸法は、近位セクション12の半径寸法および遠位セクション14の半径寸法より小さくなり得る。さらに、近位フランジ部材12aおよび遠位フランジ部材14aは、実質的に同じ半径寸法または異なる半径寸法を有し得る。ライナー部材50の腰細の構成は、組織T内の開口部W内にライナー部材50を固定する、および/または留めることを容易にし得る。さらに、ライナー部材50は、長手方向に延びる内腔51を規定する実質的に管状の形状を有する。
【0021】
ライナー部材50は、ライナー部材50が拡張直径Deを有する半径寸法を規定する第1の状態(図2)とライナー部材50が圧縮直径Dcを有する半径寸法を規定する第2の状態(図3)との間で移行可能である。ライナー部材50は、第1の状態に付勢される。ライナー部材50は、全体にまたは部分的に圧縮性および弾力性の材料から形成され得、その結果、ライナー部材50は、圧縮力Fcを加えることによって圧縮され得、圧縮力Fcがない場合、緩むかまたは拡張した状態に戻る。
【0022】
図3に示されるように、圧縮力Fcの印加はライナー部材50を第2の状態に移行させ、例えばライナー部材50の半径寸法は圧縮直径Dcである。ライナー部材50は、カニューレ70の内腔71内に配置されるように構成されかつ適合される。ライナー部材50がカニューレ70の内腔71内にある場合、圧縮直径Dcは、カニューレ70の内径Dxと実質的に同じである。
【0023】
図4に示されるように、栓子60は、実質的に円筒形である第1のセクション61と、先細のノーズ65とを含む。第1のセクション61は、長手方向軸「A」に対して直交して配置され、第1のセクション61を外接して囲む1つ以上の溝部62、64を含む。1つ以上の溝部62、64は、栓子60の先細のノーズ65の近位にあり得る。溝部62、64の各々は、ライナー部材50の近位フランジ12aおよび遠位フランジ14aのうちの1つの一部分を解放可能に受容するように構成されかつ適合される。
【0024】
栓子60はまた、カニューレ70のリップ73を係合するように構成されかつ適合されるリップ63を含み得る。栓子60のリップ63とカニューレ70のリップ73との間の相互作用は、所与の動作範囲を超える、カニューレ70に対する栓子60の相対的な並進を阻止する。さらに、栓子60は、カニューレのねじ切り76と係合可能なねじ切り66を含み得る。栓子60は、カニューレ70の内腔71の中に挿入可能であり、カニューレ70の内腔71を通って並進可能である。栓子60はまた、ライナー部材50の内腔51の中に挿入可能であり、ライナー部材50の内腔51を通って並進可能である。栓子の先細のノーズ65は、ライナー部材50およびカニューレ70を通って栓子を挿入すること、ならびに組織Tの開口部Wの中に開放保護デバイス100を挿入することを容易にし得る。
【0025】
一実施形態において、図8に示されるように、ライナー部材500Aは、次の相違があるが、ライナー部材50と実質的に類似している。ライナー部材500Aは、近位端512と、遠位端514と、近位端512と遠位端514との間に配置される中間セクション517とを含む。ある長さのライニング516は、遠位フランジ514に動作可能に連結されるかまたは取り付けられる。近位リング512aは、その長さのライニング516を受容するように構成されかつ適合される。特に、その長さのライニング516は、近位リング512aの周りに巻きつけられ得る。図8に示されるように、Pの方向への近位リング512aの回転は、近位リング512の周りに巻きつけられるライニング516の長さを増加させる。矢印Pの方向とは反対の方向への近位リング512aの回転は、近位リング512aの周りに巻きつけられるライニング516の長さを減少させる。従って、中間セクション517の全長Lは、近位リング512aの回転によって調整され得る。
【0026】
近位リング512aおよび遠位リング514bの各々は、第1の直径を有する第1の状態と第2の直径を有する第2の状態との間で移行可能である、圧縮可能および弾力性の材料から形成され得る。中間セクション517を形成するライナー516は、薄く柔軟なシートまたは膜であり得る。近位リング512aは、回転させられて、ライナー部材500Aの全長を調整することを容易にし、ぴんと張った状態にライナー516を維持し得る。ライナー516がぴんと張られた場合、ライナー516は、中間セクション517を剛性状態または半剛性状態に維持することによって、開放位置において組織T内に開口部Wを維持することを容易にし得る。
【0027】
本明細書において開示されるライナー部材50、500Aの各々は、カニューレ70および栓子60と共に用いられるように構成されかつ適合される。特に、ライナー部材50、500Aの各々は、圧縮状態である間、カニューレ70の内腔71を通って長手方向に並進し、栓子60に解放可能に連結されるように寸法設定され、その結果、カニューレ70の内腔71を通る栓子60の並進は、カニューレ70の内腔71を通るライナー部材50、500Aの対応する並進を引き起こす。特に、ライナー50の近位端12および遠位端14のうちの少なくとも1つ、ならびにライナー500Aの近位端512および遠位端514のうちの少なくとも1つは、栓子60の溝部62、64のうちの少なくとも1つと解放可能に連結されるよう構成されかつ適合され、その結果、ライナー部材50、500Aは、栓子60とカニューレ70の内腔71との間に圧縮され得る。
【0028】
開口部保護デバイス100の使用法および操作は、図5〜図7を参照してここで説明される。開口部保護デバイス100の使用法および操作は、ライナー部材50を参照して説明されるが、開口部保護デバイス100の使用法および操作は、ライナー部材500Aと共に用いられる場合と実質的に類似している。
【0029】
図5に示されるように、第1の状態で開口部保護デバイス100は、カニューレ70の内腔71内に実質的にまたは完全に位置を決められるライナー部材50を有する。ライナー部材50は、栓子60に解放可能に固定される。特に、フランジ部材12a、14aは、溝部62、64とカニューレ70の内腔71の内側表面との間に保持される。先細のノーズ65は、挿入中、開口部Wを徐々に拡張することによって、組織Tの開口部Wの中に開口部保護デバイス100を挿入することを容易にし得る。図5に示されるように、一旦開口部保護デバイス100が開口部W内に配置されると、次のステップは、カニューレ70の内腔71を通って遠位に栓子60を前進させ、それによって、カニューレ70の内腔71内から出るようにライナー部材50を前進させることである。
【0030】
図6に示されるように、カニューレ70の内腔71内から出るようにライナー部材50を前進させると、遠位フランジ部材14aは、カニューレ70の内腔71の内側表面によってもはや拘束されない。カニューレを通る栓子60の遠位の並進および前進は、G方向に栓子60を回転させることによって引き起こされ得る(図6)。対応する、栓子60のねじ切り66およびカニューレ70のねじ切り76は、G方向への栓子60の半径方向の並進がカニューレ70に対する栓子60の相対的な遠位の軸方向の並進を引き起こすように構成されかつ適合される。逆に、矢印Gの方向と反対の方向への栓子の半径方向の並進は、カニューレ70に対する栓子60の近位の軸方向の並進を引き起こす。
【0031】
上記に説明されるように、カニューレ70および栓子60は、それぞれ対応するねじ切り76、66を有するものとして示され、その結果、カニューレ70および栓子60の相対的な回転は、ライナー部材50の展開を達成する。しかしながら、ライナー部材50の展開は、他の手段によって達成され得る。例えば、栓子60は、ライナー部材50と内腔71の表面との間のいかなる摩擦抵抗にも打ち勝つほど十分な力を加えることによって、カニューレ70の内腔71を通って、回転させられるのではなく、軸方向に並進させられ得る。一実施形態において、栓子60および/または栓子60に接触する内腔71の表面は、栓子60およびカニューレ70の相対的な動きに対して摩擦抵抗を提供して、カニューレ70の内腔71を通る栓子60の制御された前進を容易にする、例えば、粗い表面またはゴム加工された表面などの材料から形成され得るかまたはそれらを含み得る。
【0032】
ライナー部材50がカニューレ70の内腔71から出るように並進させられると、遠位フランジ部材14aの付勢力は、圧縮直径Dcから拡張直径Deへの遠位フランジ部材14aの移行を引き起こす。遠位フランジ部材14aの拡張直径Deは、開口部W内にライナー部材50を留めることを容易にする。なぜなら、開口部Wは、拡張直径Deよりも小さい寸法を有するからである。図7に示されるように、近位フランジ部材12aは、開口部Wの近位表面に位置を決められ、栓子60およびカニューレ70は、ライナー部材50が開口部W内に留められている状態で、開口部Wから除去される。ライナー部材50を留めることは、近位フランジ部材12aの付勢力によってさらに容易にされる。特に、近位フランジ部材12aの付勢力は、圧縮直径Dcから拡張直径Deに近位フランジ部材12aの半径寸法を移行させる。
【0033】
上記に説明された実施形態の各々は、例示的目的のみのために提供される。本開示の実施形態に様々な修正がなされ得ることは理解される。従って、上記の説明は、限定することとして解釈されるべきではなく、単に実施形態の例証として解釈されるべきである。当業者は、本開示の範囲および精神内の他の修正形態を想定する。
【符号の説明】
【0034】
12 近位セクション
14 遠位セクション
16 中間セクション
50 ライナー部材
60 栓子
61 第1のセクション
62 溝部
63 リップ
65 先細のノーズ
70 カニューレ
71 内腔
100 開口部保護デバイス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ライナー部材であって、該ライナー部材は、圧縮状態と拡張状態との間で移行可能であり、該ライナー部材は、該圧縮状態における第1の幅と、該拡張状態における第2の幅とを規定し、該第2の幅は、該第1の幅より大きく、該ライナー部材は、該拡張状態に向けて付勢される、ライナー部材と、
長手方向に延びる内腔を含むカニューレであって、該ライナー部材は、該内腔を通って並進可能である、カニューレと
を備えている、開口部保護デバイス。
【請求項2】
前記ライナー部材を係合して、前記カニューレを通って該ライナー部材の並進を容易にするように構成かつ適合される栓子をさらに備えている、請求項1に記載の開口部保護デバイス。
【請求項3】
前記栓子は、該栓子の外側表面に沿って長手方向に延びるねじ切りを含み、前記カニューレは、該カニューレの内側表面に沿って長手方向に延びるねじ切りを含み、該栓子のねじ切りは該カニューレのねじ切りに対応する、請求項2に記載の開口部保護デバイス。
【請求項4】
前記カニューレに対する前記栓子の回転運動は、該カニューレの内腔を通る該栓子の並進を引き起こす、請求項3に記載の開口部保護デバイス。
【請求項5】
前記ライナー部材は、近位フランジと、遠位フランジと、該近位フランジと遠位フランジとの間のライニングとを備え、該近位フランジおよび遠位フランジは、圧縮状態と拡張状態との間で並進可能であり、該近位フランジおよび遠位フランジは、該圧縮状態における第1の直径と、該拡張状態における第2の直径とを規定し、該第2の直径は、該第1の直径より大きい、請求項2に記載の開口部保護デバイス。
【請求項6】
前記栓子は、近位溝部と、遠位溝部とを含み、該近位溝部および遠位溝部は、前記近位フランジおよび遠位フランジと係合可能である、請求項5に記載の開口部保護デバイス。
【請求項7】
体の開口部の中に開口部保護デバイスを展開するシステムであって、
半径寸法を規定する管状のライナー部材であって、該半径寸法は第1の直径と第2の直径との間で移行可能であり、該第2の直径は該第1の直径より大きく、該ライナー部材は該第2の直径に向けて付勢される、管状のライナー部材と、
長手方向に延びる内腔を規定するカニューレであって、該内腔は直径を規定し、該ライナー部材は該内腔を通って並進可能であり、該ライナー部材は該内腔内にある間、該第1の直径を規定し、該第1の直径は該内腔の直径に対応し、該ライナー部材は該カニューレからの排出に応答して該第2の直径の方に移行する、カニューレと
を備え、
該カニューレは、体の開口部内に該カニューレを配置されるように構成され、該カニューレは該カニューレ内に位置決めされた該ライナー部材を含み、
該ライナー部材は、該カニューレの内腔を通って遠位に並進するように構成され、
該カニューレは、該開口部から出るように近位に並進するように構成されている、システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−130677(P2012−130677A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−271718(P2011−271718)
【出願日】平成23年12月12日(2011.12.12)
【出願人】(501289751)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (320)
【Fターム(参考)】