説明

自己抗体の検出方法

【課題】HCV感染者の血清からHCC患者特異的自己抗体等の血清中の自己抗体を、高感度・特異的に検出する方法を提供すること。
【解決手段】抗原タンパク質と、該抗原タンパク質のN末端に融合したGFP、C末端に融合したシステインタグとを含む複合タンパク質を調製する工程;複合タンパク質のシステインタグと、アミノ基を介してマレイミド基を導入した基板表面のマレイミド基とを反応させ、共有結合により基板表面に複合タンパク質を固定して抗原タンパクチップを調製する工程;
抗原タンパクチップを、タンパク質の変性剤及び還元剤の存在下に加熱処理する工程;加熱処理後の抗原タンパクチップに、血清と抗蛍光タンパク質非ヒト抗体とを作用させる工程;
Cy5標識抗ヒトIg抗体と、Cy3標識抗非ヒトIg抗体とを順次2段階で反応させる工程;蛍光強度の比(Cy5/Cy3)を算出する工程; を備えた自己抗体の検出方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自己抗体の検出方法、より詳しくは、自己抗原タンパク質を調製し基板に結合させて調製した抗原チップを用いて自己抗体の発現量を測定する自己抗体の検出方法に関する。本発明の自己抗体の検出方法は、例えば、血清中に存在する自己抗体の発現量の増減を指標として、癌を発症するリスクを判定する際に有用である。
【背景技術】
【0002】
わが国においてC型肝炎ウイルス(HCV)感染者は150万〜200万人いると推測され、その多くは輸血などの医療行為に対策がとられる以前の感染によるものであり、現在新たな感染者の増加率は低くなっている。しかし一度感染が成立すると感染は持続的で、HCV感染者は慢性的な肝炎(C型肝炎)を引き起こし、20〜30年を経て肝硬変の後に、もしくはC型肝炎から直接に肝細胞癌を発症する。従ってHCV感染者においては、出来る限り早期にこれらの疾患発症を検出し、早期に治療を開始して、肝疾患を克服することが、現在の重要な医学的課題である。原発性肝細胞癌発症の診断マーカーとして血清中のAFP(α-fetoprotein)、PIVKA−II(protein induced by vitamin-K absence-II)等が報告されているが、初期段階での検出感度が低いため、前癌状態における診断に用いることは困難であった。そのため、新しい肝癌検出用マーカーの開発が急務である。本発明者のグループは、肝細胞癌患者には特異的な3つの自己抗体が存在することを報告してきた(非特許文献1参照)。その自己抗体抗原タンパク質は、HSP70(heat shock 70kDa protein 1)、SOD2 (manganese superoxide dismutase)、PRDX6(peroxiredoxin)である。こうした自己抗体は診断マーカーとして活用できる可能性がある。
【0003】
近年、多種類のタンパク質を小さな基板上に固定化するタンパク質チップ技術の進展が著しい。タンパク質チップは、先行しているDNAチップ技術を発展させながらも、DNAより多様な立体構造をもち直接生命機能を担うタンパク質独自の特徴の少なくとも一部を基板上で再現する必要があり、こうした問題を解決しながら現在発展途上にある。
【0004】
バイオマーカーとなる自己抗体としては、肝臓癌患者の体液または組織抽出液中に存在しかつ肝臓癌で発生量が増加する抗ヒトGADII自己抗体をヒトGADIIタンパク質と反応させることにより検出する方法等(特許文献1参照)や血中のホルモンレセプターに対する自己抗体の測定による癌の検出方法(特許文献2参照)が報告されている。また、バイオチップ上に固定化された肝臓疾患用バイオマーカーを用いて、試料中の自己抗体を同定する肝臓疾患用の検出キット等(特許文献3参照)が報告されている。
【0005】
また、本発明者らは、基板上にアミノ基を介してマレイミド基を導入した固体支持体を用い、オリゴシステイン配列が導入されたポリペプチドをマレイミド基と結合させることにより、ポリペプチドを固定化する方法(特許文献4参照)等や、ポリペプチドが固定化された担体を凍結乾燥することを含む担体の保存方法(特許文献5参照)について報告し、また、スタスミンと、スタスミンに結合した検出用の蛍光タンパク質と、C末端側に結合したシステインタグと、N末端側に結合したヒスチジンタグを含むポリペプチドで構成される、スタスミンを有効成分とする、タンパク質検出用チップ(特許文献6参照)等について報告している。これらのチップでは、タンパク質は基板から1方向に並んで裸出しているため、基板を浸した溶液中の物質との反応性に富むことが予測される。
【0006】
そしてまた、本発明者らは、ヒスチジンタグと、システイン残基が5つ連なった5xCys(システイン)タグを付加したGFPタンパク質を大腸菌内で発現させ、ニッケルカラムで精製後、マレイミド基を導入したダイヤモンドライクカーボン(DLC)基板に対する、上記タンパク質の結合、及び結合効率について調べた。タンパク質発現、精製、及びマレイミド基への結合までのトータルな効率を考えると、ターゲットタンパク質のN末端側にヒスチジンタグを、C末端側にシステインタグを付加させるとよいことを報告している(非特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−38008号公報
【特許文献2】特開平11−94831号公報
【特許文献3】特開2005−181342号公報
【特許文献4】特開2005−312425号公報
【特許文献5】特開2008−105973号公報
【特許文献6】特開2007−282591号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Proteomics 6:3894-3900、2006
【非特許文献2】Journal of Proteome Research 5: 2144-2151、2006
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
HCV感染者はC型肝炎を発症し、その後、長期間を経て肝細胞癌を発症するリスクが高い。肝細胞癌患者血清にはいくつかの特異的な自己抗体が認められる。したがってHCV感染者からこれらの自己抗体を検出すれば、ごく初期の段階の癌の存在を明らかにし、早い時期に治療を開始できると考えられる。本発明の課題は、HCV感染者の血清からHCC患者特異的自己抗体等の血清中の自己抗体を、高感度・特異的に検出する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
抗原チップ法は、複数の抗体の存在を同時に高感度、ハイスループット(スループット:単位時間当たりの処理能力)で検出できる点が新しく、一つひとつの抗原を検査する従来の酵素抗体法に比べ、複数抗体を同時検出するため情報量が多い。1チップから検出した自己抗体情報を組み合わせることが出来るので、原理的に検出特異性と感度を高められると期待されている。ごく少量の血清(5倍希釈して用いるとき必要な血清原液量は10μl)から検出できる点で、従来のウエスタンブロット(WB)解析(100倍希釈して用いるとして血清原液500μlは必要)よりも優れている。本研究では、基板に固定化された抗原タンパク質128fmolに結合する血清自己抗体は、蛍光にて可視化しており、検出感度は、化学発光法と組み合わせ増感して検出するWB解析と同程度か、それ以上である。このチップを用いれば、多数の血清試料を96ウェルプレートにて同時に反応させることが可能で、WB解析に比べはるかにスループットに優れている。本発明者らは、抗原チップを用いた自己抗体検出方法の改良プロトコル(図4参照)を見いだし、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち本発明は、(1)(a)抗原タンパク質と、該抗原タンパク質のN末端又はC末端に融合した蛍光タンパク質、及び蛍光タンパク質を融合した反対の末端に融合したシステインタグとを含む複合タンパク質を調製する工程;(b)工程(a)で調製した複合タンパク質のシステインタグと、アミノ基を介してマレイミド基を導入した基板表面のマレイミド基とを反応させ、共有結合により基板表面に複合タンパク質を固定して抗原タンパクチップを調製する工程;(c)工程(b)で調製した抗原タンパクチップを、タンパク質の変性剤及び還元剤の存在下に加熱処理する工程;(d)加熱処理後の抗原タンパクチップに、血清と抗蛍光タンパク質非ヒト抗体とを作用させる工程;(e)蛍光物質[I]で標識された抗ヒトIg抗体と、蛍光物質[I]と異なる蛍光物質[II]で標識された抗非ヒトIg抗体とを順次2段階で反応させる工程;(f)蛍光物質[I]/蛍光物質[II]の蛍光強度の比を算出する工程;を備えた自己抗体の検出方法や、(2)蛍光タンパク質として緑色蛍光タンパク質(GFP)を用いることを特徴とする上記(1)記載の自己抗体の検出方法や、(3)複合タンパク質が、抗原タンパク質のN末端に融合した蛍光タンパク質及びC末端に融合したシステインタグを含むことを特徴とする上記(1)又は(2)記載の自己抗体の検出方法や、(4)複合タンパク質が、GFPのN末端にヒスチジンタグがさらに融合されていることを特徴とする上記(2)又は(3)記載の自己抗体の検出方法に関する。
【0012】
また本発明は、(5)工程(c)と工程(d)の間に、BSAブロッキング処理を行うことを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれか記載の自己抗体の検出方法や、(6)タンパク質の変性剤としてSDS、還元剤として2−メルカプトエタノールを用いることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれか記載の自己抗体の検出方法や、(7)蛍光物質としてCy3とCy5を用いることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれか記載の自己抗体の検出方法や、(8)基板として、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)がコーティングされているDLCチップを用いることを特徴とする上記(1)〜(7)のいずれか記載の自己抗体の検出方法や、(9)抗原タンパク質が、HSP70、SOD2、又はPRDX6であることを特徴とする上記(1)〜(8)のいずれか記載の自己抗体の検出方法に関する。
【発明の効果】
【0013】
抗原チップを用いる本発明の自己抗体の検出方法を用いた検証テストで、HCV陰性者(HCV陰性他疾患患者及び健常者)血清14試料が全て肝細胞癌発症は陰性とするような発症示唆基準を設定したが、この発症示唆基準によると、HCV陽性肝細胞癌患者血清13試料中7試料で陽性検出が得られ、さらに興味深いことにはHCV陽性他疾患患者血清4試料中2試料で陽性検出が認められた。多くの血清を用いてさらに検討する必要があるが、この抗原チップを用いることで、HCV陽性者の中から肝細胞癌発症を早期に予測しうる可能性がある。また、自己抗体の組み合わせを用いた病態の超早期診断という新しい検診方法を提案できる可能性も期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】(a)GFP融合抗原タンパク質の構成を示す図である。(b)基板上に(a)に示されたGFP融合抗原タンパク質が固定化された、肝細胞癌に特異的な自己抗体を検出するための抗原チップを示す図である。
【図2】自己抗体検出の原理を示す図である。
【図3】固定化タンパク量の検出の問題点を示す図である。上左図が比較的むらなく検出できた例を示し、下左図が検出にむらが認められた例である。
【図4】抗原チップを用いた自己抗体検出方法の改良プロトコルを示す図である。
【図5】抗原チップの熱処理の効果を示す抗原チップの蛍光顕微鏡による解析を行った結果を示す図である。基板上のタンパク質は横1列に同じタンパク質が固定化されており、GはGFPのみ、HCはGFP融合HSP70C末端ドメイン(C)、HNはGFP融合HSP70N末端ドメイン(N)、SはGFP融合SOD2、PはGFP融合PRDX6が固定化されている。
【図6】熱処理と2次抗体の2段階処理による検出の向上を示す図である。Scan Array (Perkin Elmer社)にて検出した。表示された縦軸にはCy5による蛍光レベル(自己抗体量)、横軸にはCy3による蛍光レベル(GFPタンパク量)が示されている。
【図7】健常者及びHCV陰性他疾患患者(HCV−/肝細胞癌−他疾患患者)血清からの検出例を示す図である。ProScan Array (Perkin Elmer社) autoadjust-modeにて表示した。基板上のタンパク質は横1列に同じタンパク質が固定化されており、GはGFPのみ、HCはGFP融合HSP70のC末端ドメイン、HNはGFP融合HSP70のN末端ドメイン、SはGFP融合SOD2、PはGFP融合PRDX6が固定化されている。
【図8】HCV陽性肝細胞癌患者(HCV+/肝細胞癌+患者)からの陽性検出例を示す図である。基板上のタンパク質は横1列に同じタンパク質が固定化されており、GはGFPのみ、HCはGFP融合HSP70のC末端ドメイン、HNはGFP融合HSP70のN末端ドメイン、SはGFP融合SOD2、PはGFP融合PRDX6が固定化されている。
【図9】抗原チップによる自己抗体検出の数値化したデータを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の自己抗体の検出方法における上記工程(a)としては、抗原タンパク質と、該抗原タンパク質のN末端又はC末端に融合した蛍光タンパク質、及び蛍光タンパク質を融合した反対の末端に融合したシステインタグとを含む複合タンパク質を調製する工程であれば特に制限されないが、上記複合タンパク質としては、抗原タンパク質のN末端に融合した蛍光タンパク質及びC末端に融合したシステインタグを含むものが好ましい。
【0016】
上記抗原タンパク質としては、癌、自己免疫疾患、感染症等の患者血清中の自己抗体により認識され、自己抗体と結合する抗原タンパク質であれば特に制限されず、例えば、腫瘍抗原タンパク質としてMAGE、gp100、MART−1、HSP70、SOD2、PRDX6、チロシナーゼ、HER2/neu、CEA、PSA、SART−1等を、ウイルスの抗原タンパク質としてHIV、HCV、HPV、HTLV、EBV等のウイルス由来の抗原タンパク質を、細菌の抗原タンパク質として梅毒トレポネーマ、ヘリコバクター・ピロリ、マイコプラズマ、淋菌、結核菌等の抗原タンパク質を挙げることができるが、肝細胞癌患者に特異的な3つの自己抗体が認識する腫瘍抗原タンパク質であるHSP70、SOD2、PRDX6を特に好適に例示することができる。以上の抗原タンパク質は、全長のみならず、その部分ポリペプチドや改変体であっても、自己抗体により認識され、自己抗体と結合するものであればよい。
【0017】
上記蛍光タンパク質としては、緑色蛍光タンパク質(Green Fluorescence Protein;GFP)、GFP変異体(シアン蛍光タンパク質[Cyan Fluorescence Protein;CFP]、青色蛍光タンパク質[Blue Fluorescence Protein;BFP]、黄色蛍光タンパク質[Yellow Fluorescence Protein;YFP]、赤色蛍光タンパク質[Red Fluorescence Protein;RFP])、ルシフェラーゼ(luciferase)等を例示することができるが、GFP又はGFP変異体を検出するGFP抗体はSanta Cruz社、Roche社、又はMBL社などから市販されていることから入手が容易であり、かつ該GFP抗体は良質な抗体として知られているため、GFP又はGFP変異体を用いることが好ましい。
【0018】
また、上記蛍光タンパク質には、亜鉛、ニッケル又はコバルトイオンのような金属イオンと特異的に相互作用するヒスチジンタグ、亜鉛若しくは銅と特異的に相互作用する、少なくとも約4個のリシンを含むリシンタグ若しくは9個のアルギニン残基を含むポリアルギニンタグなどの複合タンパク質精製用のタグがさらに融合されていてもよい。
【0019】
上記システインタグとしては、システイン残基が3個以上、好ましくは3〜10個、より好ましくは4〜6個、特に5個連なったものを好適に例示することができる。
【0020】
工程(a)において、蛍光タンパク質、好ましくは精製用のタグがさらに融合された蛍光タンパク質と、抗原タンパク質と、システインタグとが融合している複合タンパク質を調製するには、通常の遺伝子組換え技術を用いることができる。例えば、あらかじめヒスチジンタグとGFPとシステインタグとをコードする領域をもつプラスミドベクターを構築し、後で制限酵素部位等を利用して標的抗原タンパク質をコードするDNAを導入して、得られた組み換えベクターで宿主細胞を形質転換し、当該形質転換体において融合ポリペプチドを発現させることにより、複合タンパク質を調製することができる。あるいは、複合タンパク質をコードするDNAを、宿主細胞中で複製可能な複製起点、プロモーター、リボソーム結合部位、DNAクローニング部位、ターミネーター等を有するプラスミドベクターに導入して、得られた組み換えベクターで宿主細胞を形質転換し、当該形質転換体において融合ポリペプチドを発現させることにより、複合タンパク質を調製することができる。複合タンパク質の精製には、例えばヒスチジンタグを利用して、ニッケルカラムを用いるなどの通常の方法で精製することができる。
【0021】
本発明の自己抗体の検出方法における上記工程(b)としては、上記工程(a)で調製した複合タンパク質のシステインタグと、アミノ基を介してマレイミド基を導入した基板表面のマレイミド基とを反応させ、共有結合により基板表面に複合タンパク質を固定して抗原タンパクチップを調製する工程であれば特に制限されず、システインタグが融合されている上記複合タンパク質をスポッティグ用バッファーに溶解し、アミノ基を介してマレイミド基を導入した基板表面にスポッティングすることにより、システインタグのSH基がマレイミド基と反応して共有結合を形成し、複合タンパク質が強固に固定された抗原タンパクチップを調製することができる。
【0022】
システインタグを導入した複合タンパク質を、濃度が通常0.01〜100μM、好ましくは5〜50μMとなるようにスポッティング用バッファーに溶解し、スポッティング用溶液を調製する。スポッティング用バッファーとしては、20〜50%のPEG(ポリエチレングリコール)溶液、PBS(リン酸緩衝化生理食塩水)、20〜50%DMSO(ジメチルスルホキシド)、3×SSC(saline sodium citrate)、純水等を使用することができる。マレイミド基は加水分解されやすく、pH7付近で反応効率が最も良い。スポッティング後、複合タンパク質が基板表面に結合する反応を進行させるため、インキュベーションを行うことが好ましい。また、反応後に純水等で洗浄することが好ましい。
【0023】
上記基板の材料としては、シリコン、ガラス、繊維、木材、紙、セラミックス、プラスチックを挙げることができ、かかる基板上にカーボン層、特にダイヤモンドライクカーボン(DLC)層を形成することが好ましい。DLC層を形成することにより、高密度に複合タンパク質を固定化でき、高いS/N比が得られるため、感度の高い検出が可能になる。また、繰り返し使用することも可能である。基板にアミノ基を導入するには、例えばDLC層を施した基板を、アンモニア雰囲気下でイオン化したガスでバイアスを印加するプラズマ法に付すことにより実施することができる。
【0024】
本発明の自己抗体の検出方法における上記工程(c)としては、上記工程(b)で調製した抗原タンパクチップを、タンパク質の変性剤及び還元剤の存在下に加熱処理する工程であれば特に制限されず、上記タンパク質の変性剤としてはラウリル硫酸ナトリウム(SDS)、グアニジン塩酸塩、尿素等を挙げることができるがSDSが好ましい。また、上記タンパク質の還元剤としては2−メルカプトエタノール(2−ME)やジチオトレイトール(DTT)を挙げることができるが2−MEが好ましい。加熱条件としては90〜98℃で10〜1分、好ましくは95℃で5分を挙げることができる。工程(c)におけるタンパク質の変性剤及び還元剤の存在下に加熱処理することにより、タンパク質の立体構造がくずれ、次工程(d)における抗体の反応性を高めることができると共に、蛍光タンパク質の自家蛍光を消失することができる。
【0025】
本発明の自己抗体の検出方法における上記工程(d)としては、加熱処理後の抗原タンパクチップに、血清と抗蛍光タンパク質非ヒト抗体とを作用させる工程であれば特に制限されず、上記血清としては癌、自己免疫疾患、感染症等の患者の血清を好適に例示することができる。工程(d)においては、抗原チップに固定されている複合タンパク質の蛍光タンパク質部分に抗蛍光タンパク質非ヒト抗体が結合し、複合タンパク質の抗原タンパク質部分に血清中の自己抗体が結合する。
【0026】
上記工程(c)と工程(d)との間には、1%牛血清アルブミン(BSA)による抗原チップのブロッキング処理を1時間程度行うことが好ましい。BSAブロッキング処理によりタンパクスポットの検出時にむらができにくい傾向が認められる。
【0027】
本発明の自己抗体の検出方法における上記工程(e)としては、蛍光物質[I]で標識された抗ヒトIg抗体と、蛍光物質[I]と異なる蛍光物質[II]で標識された抗非ヒトIg抗体とを順次2段階で反応させる工程であれば特に制限されず、上記蛍光物質としては、Cy3、Cy5、Cy2、フルオレセイン(FITC)、ローダミン、テキサスレッド、Alexa−488、Alexa−546、Alexa−594等を挙げることができるが、蛍光タンパク質としてGFPを用いる場合、熱処理後のGFPの自家蛍光の残存によるバックグランドがあるため、緑色発光以外の蛍光物質を用いるのが好ましく、その中でも、Cy3とCy5は輝度と光安定性が高く、他の蛍光物質よりもバックグランドが低い点から、Cy3とCy5を用いるのが好ましい。工程(e)において、抗ヒトIg抗体と抗非ヒトIg抗体とを順次2段階で反応させることにより、抗ヒトIg抗体と抗非ヒトIg抗体とを同時に用いる場合に比べて、複合タンパク質の抗原タンパク質部分に結合した自己抗体に対する抗ヒトIg抗体の結合反応性を高めることができる。
【0028】
抗原タンパクチップに固定化された抗原タンパク質量は、抗原タンパク質の種類やスポッティング条件で異なる可能性があるが、本発明の自己抗体の検出方法において固定化抗原タンパク質量を正確に把握することは重要である。例えば、抗原タンパクチップに複数種類の異なる抗原タンパク質を固定化する場合、抗原タンパク質を同じ濃度にそろえて固定化処理を行っても、必ずしも同じ量が固定化されない可能性があることから、自己抗体量を相対的に評価するには補正を行う必要がある。研究当初は、抗原タンパク質に融合した蛍光タンパク質の蛍光強度を指標として固定化抗原タンパク質量を簡便かつ正確に測定しうるのではないかと考えられた。しかし、融合されている抗原タンパク質の種類によっては蛍光タンパク質の構造に変化が生じ、蛍光タンパク質の蛍光強度を指標としても、固定化抗原タンパク質量を正確に把握することが困難であることがわかった。そこで本発明においては、工程(d)における抗蛍光タンパク質非ヒト抗体の使用と、工程(e)における蛍光物質[II]で標識された抗非ヒトIg抗体の使用とを組み合わせる方法で、固定化抗原タンパク質量を正確に把握することとしている。工程(f)では、この方法で測定した蛍光物質[II]の蛍光強度を利用して、自己抗体量を相対的に評価するため、蛍光物質[I]/蛍光物質[II]の蛍光強度の比を算出する。工程(f)により、抗原チップによる自己抗体検出の相対評価と数値化が可能となる。
【0029】
以下実施例により、本発明を具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はかかる実施例により制限されるものではない。
【実施例1】
【0030】
[肝細胞癌患者特異的自己抗体検出用抗原タンパク質チップ(抗原チップ)]
自己抗体抗原タンパク質としてHSP70、SOD2及びPRDX6を用いた。抗原タンパク質はいずれも、N末端側に緑色蛍光タンパク質(GFP)とタンパク質精製用のヒスチジンタグを融合させ、C末端にシステインタグを結合させたリコンビナントタンパク質として大腸菌内で発現させた。70kDaと比較的大きなタンパク質であるHSP70は、2つのドメインに分けて発現させた。すなわち、HSP70のC末端ドメイン(HSP70C)、HSP70のN末端ドメイン(HSP70N)、SOD2、又はPRDX6の4種類の抗原タンパク質の各N末端側に、GFP及びヒスチジンタグを順次付加させ、各C末端側にシステインタグを付加させた4種類の融合タンパク質(GFP−HSP70C;GFP−HSP70N;GFP−SOD2;GFP−PRDX6)を大腸菌内で発現させ、リコンビナント融合タンパク質を作製した。なお、コントロールとしてGFP、ヒスチジンタグ及びシステインタグが融合したタンパク質(GFPとのみ記載)を用いた(図1a)。
【0031】
リコンビナント融合タンパク質を大腸菌から抽出し、融合タンパク質のヒスチジンタグを利用して、ニッケルカラムを用いてこれら5種類の融合タンパク質を精製後、3mm×3mmのDLC表面加工シリカガラスにマレイミド基を導入した基板上に、128fmol/10nlの5種類の前記融合タンパク質を直径200μm中に横一列に5〜6スポットし、システインとマレイミド基の共有結合を利用して、前記融合タンパク質を前記基板に結合させ、抗原チップを調製した。蛍光顕微鏡を用いて抗原チップ上のGFPの蛍光を検出したところ、5種類すべての融合タンパク質についてGFPの蛍光が検出され、スポットによる蛍光強度に差はほとんど見られなかった(図1b)。このことは、5種類の融合タンパク質は基板へ結合していること、及びスポットによる操作の手ブレがほとんどないことを確認できる。
【実施例2】
【0032】
[抗原チップ固定化タンパク質の検出]
事前に蛍光顕微鏡でGFP蛍光を確認した、4種類の抗原タンパク質及びコントロールが結合した基板(抗原チップ)をTBS−T溶液(10mM Trizma Base、150mM NaCl、0.1% Tween 20(登録商標)、pH7.5)中で10分間洗浄後、還元剤溶液(640mM 2−ME/TBS−T)中で30分間振盪し、5%BSA/TBS−T溶液中で1時間ブロッキング処理を行った。次に1次抗体として5倍希釈の患者血清液中で1時間30分間振盪した後(図2(1))、500倍希釈の抗GFPマウス抗体(Santa Cruz社製)溶液中で30分間振盪することで1次抗体反応を行った(図2(2))。TBS−T溶液で洗浄後、Alexa633標識抗ヒトIgG抗体(図2(3))及びAlexa555標識抗マウスIgG抗体(図2(4))の混合液中で1時間、TBS−T溶液で洗浄した。洗浄は24ウェルプレート、1次抗体液処理は96ウェルプレート、2次抗体液処理は48ウェルプレートにて行った。Cy3蛍光(抗GFP抗体検出)でチップ固定化タンパク量を、Cy5蛍光(抗ヒトIgG抗体検出)で自己抗体量を画像化した(図2(5))。各タンパクスポットの詳細な観察は蛍光顕微鏡にて、蛍光量測定はイメージスキャナーScan Array(Perkin Elmer社製)にて行った。Cy3(Laser power90%、PMT gain95%)、Cy5(Laser power95%、PMT gain95%)にて検出した。さらに、患者血清31試料について、検出器を、ProScan Array(Perkin Elmer社製)に変え、Cy3(Laser power90%、PMT gain50%)、Cy5(Laser power90%、PMT gain90%)にて検出を行い、検出値をCy5/Cy3(自己抗体量/固定化タンパク量)で補正し(図2(6))、基板上5〜6スポットの平均値を各血清の判定値とした。結果を図3に示す。
【0033】
同じ方法を用いても、GFP抗体の検出が低下していることがあった。特に、作製直後の抗原チップはGFP抗体の検出が比較的安定していたが(図3(1)上段)、抗原チップ作製後1ヶ月以上4℃で保存しておいたチップではGFP抗体の検出にむらが認められる傾向があった(図3(1)下段)。そのような抗原チップの検出操作後タンパクスポットを蛍光観察したところ、タンパクスポットの中でGFP蛍光が残っている部分にはGFP抗体が結合していなかった(図3(3))。他方、自己抗体の検出にはむらは認められなかった(図3(2)上段と下段を比較)。従ってGFPの立体構造の変化により抗GFP抗体の結合が阻害されたのではないかと考えられた。
【実施例3】
【0034】
[抗原チップ熱処理の効果]
上記のように、同じ方法を用いてもGFP抗体の検出が低下していることがあったことから、あらかじめWB解析で自己抗体の検出が高いと確認された患者血清No.150、No.193の2検体を用いて、検出方法の再検討を行った。種々の検討を行った中で、タンパク質の立体構造を崩し抗原エピトープを裸出させる目的で、タンパク質の変性剤SDS及び還元剤2−MEを含む変性・還元剤溶液(2% SDS/640mM 2−ME/50mM Tris-HCl(pH 6.8)/10% glycerol)中で95℃、5分間の熱処理を行うように変更し(図4、改良点1)、熱処理前、熱処理後、及び検出操作後に抗原チップを蛍光顕微鏡にて撮影して比較した(図5)ところ、熱処理なしの抗原チップは検出操作後でもGFP蛍光が検出されたが、熱処理した抗原チップは熱処理直後にGFP蛍光が検出されなくなり、この蛍光消失は検出操作終了後まで持続した。GFPの蛍光消失は立体構造が崩れていることを示していると考えられた。他方、タンパク質の変性剤(SDS)及び還元剤(2−ME)の存在下に熱処理を行うと、各スポットの抗体で検出されるGFPのシグナル(Cy3による蛍光)はより強くより均一になった(図5、右から2番目の下段図を上段図と比較参照)。一方で自己抗体検出には大きな変化は認められなかった(図5、右端の下段図を上段図と比較参照)。従って、抗原チップをあらかじめタンパク質の変性剤及び還元剤の存在下に熱処理することにより、基板上に固定化されている抗原タンパク質の量はGFP抗体を用いてCy3検出として定量できると考えられた。
【実施例4】
【0035】
[熱処理と2次抗体の2段階処理による検出の向上]
さらに、先に抗原チップに固定された複合タンパク質のGFP部分に結合した抗マウスGFP抗体や抗原タンパク質部分に結合した自己抗体が、抗体自体がもつ立体構造により近傍の別の場所の抗体結合を阻害して、最終的な検出を低下させている可能性も考えられた。そこで、混合して使用していた2種の蛍光標識2次抗体1時間振盪のうち、最初の30分を500倍希釈抗ヒトIgG抗体のみで振盪させ、残り30分で500倍希釈抗マウスIgG抗体を追加して振盪するという2段階に改変した(図4、改良点2)。患者血清No.193とNo.150を用いた蛍光検出結果をグラフ化し(図6a−d)、改良前(□;熱処理なし、2次抗体混合)、改良点1の後(△;熱処理あり、2次抗体混合)と改良点1及び2の後(○;熱処理あり、2次抗体2段階)を比較した。HSP70C検出においては、改良前では検出結果にばらつきがみられたが、改良1及び2の後ではばらつきが少なくなり、直線性が得られるようになった(図6a、c)。また、No.193血清のPRDX6においては、改良前では自己抗体の検出が低かったが、改良1及び2の後には高くなった(図6b)。No.150血清のPRDX6においては、改良後でもCy3蛍光の比較的強いスポットにおいてもCy5検出は低く、PRDX6自己抗体は検出限界以下と思われた(図6d)。したがって、基板の熱処理と2次抗体2段階処理という2つの改良には顕著な検出改善効果が認められた。
【実施例5】
【0036】
[抗原チップによる自己抗体検出の数値化]
抗原チップを熱処理し、その後の2次抗体反応を2段階で操作するという上記実施例4の方法(改良点1及び2)が血清中に存在する自己抗体を検出するうえで有効な手段であることがわかったので、HCV陽性肝細胞癌(HCV+/HCC+)患者、HCV陽性他疾患(HCV+/HCC−他疾患)患者、HCV陰性他疾患(HCV−/HCC−他疾患)患者及び健常者の4グループから31検体の血清を採取し、それら血清中に存在する自己抗体量を上記実施例4の方法(改良点1及び2)を用いて検出した。結果を図7及び8に示す。図7には、ProScan Array (Perkin Elmer社製) autoadjust-modeにて表示された健常者及びHCV陰性他疾患(HCV−/HCC−他疾患)患者の血清からの検出例が示されているが、いずれの場合においてもCy3蛍光検出(抗GFP抗体検出)は良好であるのに対し、Cy5蛍光検出(抗ヒトIgG抗体検出)はバックグランド以下の検出しか得られなかった。そのため、こうした健常者及びHCV陰性他疾患(HCV−/HCC−他疾患)患者の血清を陰性と判定した。図8では、HCV陽性肝細胞癌患者(HCV+/HCC+)患者からの検出例が示されているが、Cy3蛍光検出(抗GFP抗体検出)は良好であり、またCy5蛍光検出(抗ヒトIgG抗体検出)は特定の抗原タンパク列にのみ認められた。こうしたHCV陽性肝細胞癌患者(HCV+/HCC+)患者の血清を陽性と判定した。
【0037】
そこで、健常者6検体、HCV陰性他疾患(HCV−/HCC−他疾患)患者8検体、HCV陽性肝細胞癌(HCV+/HCC+)患者13検体、及びHCV陽性他疾患(HCV+/HCC−)患者4検体の計31検体について、蛍光強度の比(Cy5/Cy3=自己抗体量/固定化タンパク量)を算出し、その値をグラフ化して図9に示した。その結果、HCV陽性者(HCV陽性肝細胞癌患者及びHCV陽性他疾患患者)の血清は、HCV陰性者(HCV陰性他疾患患者及び健常者)の血清と比べ、全体として自己抗体検出レベルが高かった。
【0038】
このグラフを基に、HCV陰性患者血清試料が全てHCC発症示唆陰性となる基準値(Cy5/Cy3=自己抗体量/固定化タンパク量)を求めた。すなわちHCV陰性他疾患患者8検体と健常者6検体の合計14検体すべてを陰性とする条件を設定すると、4種類の自己抗体(HSP70C、HSP70N、SOD2、及びPRDX6)のうち少なくとも1種類におけるHCC発症示唆基準値は0.8となり、4種類の自己抗体のうち少なくとも1種類において0.8以上の値を示す血清をHCC発症示唆陽性と判定することとした。このHCC発症示唆基準値0.8に基づき判定すると、HCV陽性肝細胞癌患者では13検体中7検体がHCC発症示唆陽性であった。また、HCV陽性の他疾患患者4検体中でも2検体がHCC発症示唆陽性であり、HCV陽性肝細胞癌患者のHCC発症示唆陽性検出率と同程度であった。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明の自己抗体の検出方法は、癌、自己免疫疾患、感染症等の各種疾患の診断に有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程を備えた自己抗体の検出方法。
(a)抗原タンパク質と、該抗原タンパク質のN末端又はC末端に融合した蛍光タンパク質、及び蛍光タンパク質を融合した反対の末端に融合したシステインタグとを含む複合タンパク質を調製する工程;
(b)工程(a)で調製した複合タンパク質のシステインタグと、アミノ基を介してマレイミド基を導入した基板表面のマレイミド基とを反応させ、共有結合により基板表面に複合タンパク質を固定して抗原タンパクチップを調製する工程;
(c)工程(b)で調製した抗原タンパクチップを、タンパク質の変性剤及び還元剤の存在下に加熱処理する工程;
(d)加熱処理後の抗原タンパクチップに、血清と抗蛍光タンパク質非ヒト抗体とを作用させる工程;
(e)蛍光物質[I]で標識された抗ヒトIg抗体と、蛍光物質[I]と異なる蛍光物質[II]で標識された抗非ヒトIg抗体とを順次2段階で反応させる工程;
(f)蛍光物質[I]/蛍光物質[II]の蛍光強度の比を算出する工程;
【請求項2】
蛍光タンパク質として緑色蛍光タンパク質(GFP)を用いることを特徴とする請求項1記載の自己抗体の検出方法。
【請求項3】
複合タンパク質が、抗原タンパク質のN末端に融合した蛍光タンパク質及びC末端に融合したシステインタグを含むことを特徴とする請求項1又は2記載の自己抗体の検出方法。
【請求項4】
複合タンパク質が、GFPのN末端にヒスチジンタグがさらに融合されていることを特徴とする請求項2又は3記載の自己抗体の検出方法。
【請求項5】
工程(c)と工程(d)の間に、BSAブロッキング処理を行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の自己抗体の検出方法。
【請求項6】
タンパク質の変性剤としてSDS、還元剤として2−メルカプトエタノールを用いることを特徴とする請求項1〜5のいずれか記載の自己抗体の検出方法。
【請求項7】
蛍光物質としてCy3とCy5を用いることを特徴とする請求項1〜6のいずれか記載の自己抗体の検出方法。
【請求項8】
基板として、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)がコーティングされているDLCチップを用いることを特徴とする請求項1〜7のいずれか記載の自己抗体の検出方法。
【請求項9】
抗原タンパク質が、HSP70、SOD2、又はPRDX6であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか記載の自己抗体の検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−47543(P2012−47543A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−188841(P2010−188841)
【出願日】平成22年8月25日(2010.8.25)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)「平成17年度、経済産業省、地域新生コンソーシアム研究開発事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願」
【出願人】(304020177)国立大学法人山口大学 (579)