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自己整合するイオン光学系の浮動型コンポーネント
説明

自己整合するイオン光学系の浮動型コンポーネント

【課題】質量分析計のコンポーネントを迅速で精密な位置合わせでもって、分解/再組み立てできるようにする。
【解決手段】質量分析計システムはイオン光学系(100)及びイオン光学系用のハウジング(301)を含む。パネル(303、305)がハウジングに対して開位置と閉位置との間で移動可能である。イオン光学系の第1のセクション(211)がハウジング内にあり、イオン光学系の第2のセクション(205、207、209)がパネルに取り付けられる。イオン光学系は、パネルが閉位置にある場合に、ハウジング及びパネルにより取り囲まれる。位置合わせ機構(401)は、パネルを閉じた際に、イオン光学系の第1及び第2のセクションを所定の整合状態へと位置合わせする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、質量分析計システムに関する。
【背景技術】
【0002】
質量分析法は、荷電粒子の質量対電荷比(m/z)に基づいて、試料の化学成分を同定するために使用され得る分析技術である。試料は、荷電粒子からなるか、又は荷電粒子を形成するためにイオン化を受ける。粒子の質量対電荷比は一般に、質量分析計の電場および磁場にそれらを通過させることにより求められる。
【0003】
質量分析法は、未知の化合物を同定する、化合物の元素の同位体組成を求める、フラグメンテーションを観測することにより化合物の構造を求める、試料の化合物の量を定量化する、気相イオン化学(真空状態においてイオン及び電荷的に中性な物質(neutral)の化学)の基礎を研究する、及び化合物の他の物理的、化学的、又は生物学的特性を求めるような、定性的使用法および定量的使用法を有する。
【0004】
図1は、典型的な三連四重極型質量分析計システムのイオン光学系100の例を示す。質量分析計のイオン光学系100は概して、3つの主要モジュール、即ち、試料の分子をイオン113に変えるイオン源(イオンソース)101、電場および磁場を印加することによる質量対電荷比によりイオン113を分類する質量分析器103、及び何らかの指標量の値を測定する、ひいては各イオンの存在の存在度を計算するためにデータを提供する検出器105を有する。
【0005】
三連四重極型質量分析計の場合、質量分析器103は、一連の3つの四重極を有する。第1の四重極107及び第3の四重極111は、質量フィルタの役割を果たす。中間の四重極109は、コリジョンセルに含められる。このコリジョンセルはガスを用いて、第1の四重極107から選択された前駆イオンのフラグメンテーション(衝突誘起解離)を誘発する。その後のフラグメントは、それらが完全にフィルタリングされるか又は走査され得る第3の四重極111を通過させられる。
【0006】
3つの四重極の使用は、フラグメントの研究(プロダクトイオン)を可能にし、それは構造の解明に非常に役立つ。例えば、第1の四重極107は、中間の四重極109においてフラグメント化される既知の質量のイオンの「フィルタ」に設定され得る。次いで、第3の四重極111は、m/z範囲の全体を走査するように設定されることができ、行われたフラグメントのサイズに関する情報を与える。かくして、元のイオンの構造が推定され得る。
【0007】
時として、イオン光学系100のコンポーネントが、汚れて、動作不良になる可能性があるか、又は定期的なメンテナンスを必要とする場合があり、従って、ユーザによりアクセスされるか又は取り外される必要がある。しかしながら、従来の質量分析計からイオン光学系のコンポーネントにアクセスする又は当該コンポーネントを取り外すことは不便である。例えば、特定の質量分析計(例えば、特許文献1)は、別個の真空チャンバ及び標準的な真空接続を有し、それにより真空チャンバの内部のコンポーネントにアクセスする又は当該コンポーネントを取り外すことを非常に困難にし、多大な時間が必要となる。更に、イオン光学系100のコンポーネントは、質量分析計の内部に再組み立てされる場合に、互いに対して精密に位置決めされて、位置合わせされる必要がある。
【0008】
従来技術において、内部コンポーネントは、内部コンポーネントの全てが装着されるレールのような位置合わせシステムを用いて位置合わせされることが多い。他の位置合わせシステムは、精密に機械加工されたチャンバを使用し、当該チャンバに内部コンポーネントが挿入される。アジレントテクノロジー社の液体クロマトグラフィー三連四重極型質量分析計測器(LC/QQQ)は、係る位置合わせ技術を利用する質量分析計の例である。しかしながら、これら従来技術の位置合わせシステムにおいて、位置合わせシステムの部品は、位置合わせされるべきコンポーネントに比べて遠く離れている可能性がある。これは、許容誤差の積み重ね、及び機械加工の許容誤差要件を達成することの困難を有する問題につながる可能性があり、それにより係るシステムは、より複雑になり、製造コストがより高くなる。ここで、許容誤差の積み重ねは、特定の寸法および許容誤差の累積の結果として生じるばらつきを説明するために使用された用語である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第6069355号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
質量分析計のコンポーネントに対する速くて便利なアクセスを提供すると同時に、精密な位置決めと位置合わせでもって当該コンポーネントが再組み立てされることを可能にすることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一実施形態によれば、質量分析計システムはイオン光学系およびイオン光学系用のハウジングを含む。パネルがハウジングに対して開位置と閉位置との間で移動可能である。イオン光学系の第1のセクションがハウジング内にあり、イオン光学系の第2のセクションがパネルに取り付けられる。イオン光学系は、パネルが閉位置にある場合に、ハウジング及びパネルにより取り囲まれる。位置合わせ機構は、パネルを閉じた際に、イオン光学系の第1及び第2のセクションを所定の整合状態へと位置合わせする。
【0012】
ここで、本発明の更なる好適な特徴は、添付の図面に関連して単なる例示のために説明される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、質量分析計システム201(図2)は、パネル303、305がハウジング301に対して開かれる場合(図3)に、イオン光学系203に対する速くて便利なアクセスを提供する。イオン光学系203のコンポーネントは、パネル303、305及びハウジング301に取り付けられるが、パネル303、305を開くことにより、コンポーネントは互いから、パネル303、305から、及びハウジング301から容易に分離され得る。本発明の位置合わせ機構401(図4、図5、及び図8)は、パネル303、305を閉じることによりイオン光学系203がハウジング301内に再組み立てされる際に、当該イオン光学系203の精密な位置決めと位置合わせを達成することを簡単にする。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】従来技術の典型的な三連四重極型質量分析計システムのイオン光学系を示す略図である。
【図2】本発明の三連四重極型質量分析計システムのハウジングに対してパネルが閉じられた場合のイオン光学系とパネルの位置を示す図である。
【図3】ハウジングに対して開位置にあるパネルを示す図である。
【図4】中間四重極コリジョンセルと円筒形シュラウド内の四重極質量フィルタとの間の位置合わせ機構の拡大図である。
【図5】四重極質量フィルタ及び中間の四重極コリジョンセルが互いに位置決めされた状態の位置合わせ機構を示す図である。
【図6】内部に形成されたソケットを有する、図5の位置合わせ機構のフランジを示す図である。
【図7】図5の位置合わせ機構の位置合わせピンの詳細図である。
【図8】四重極質量フィルタ及び中間の四重極コリジョンセルが分離した位置にある、図5の位置合わせ機構を示す図である。
【図9】中間の四重極コリジョンセルを支持するブラケットを示す図である。
【図10】質量分析計システムのイオン光学系を組み立てる及び分解するためのステップを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施形態において、質量分析計システム201(図2)は、パネル303、305がハウジング301に対して開かれる場合(図3)に、イオン光学系203に対する速くて便利なアクセスを提供する。イオン光学系203のコンポーネントは、パネル303、305及びハウジング301に取り付けられるが、パネル303、305を開くことにより、コンポーネントは互いから、パネル303、305から、及びハウジング301から容易に分離され得る。本発明の位置合わせ機構401(図4、図5、及び図8)は、パネル303、305を閉じることによりイオン光学系203がハウジング301内に再組み立てされる際に、当該イオン光学系203の精密な位置決めと位置合わせ(整合)を達成することを簡単にする。
【0016】
図面をより詳細に説明すると、図2において、イオン光学系203及びパネル303、305の位置は、パネル303、305がハウジング301に対して閉じられている状態で示されている。ハウジング301は、イオン光学系203をより明瞭に示すために取り除かれている。質量分析計システム201が使用されるべきである場合、イオン光学系203がハウジング301により、又はハウジング301内に取り囲まれるように、パネル303、305はハウジング301に対して閉じた位置に配置される。
【0017】
イオン光学系203は、イオン源205、円筒形シュラウド209内の第1の四重極質量フィルタ207、中間の四重極コリジョンセル211、円筒形シュラウド215内の第3の四重極質量フィルタ213、及び検出器217を含むように示される。第1の四重極質量フィルタ207、中間の四重極コリジョンセル211、及び第3の四重極質量フィルタ213は、質量分析器219を形成するように組み合わされる。
【0018】
コンポーネント205〜217の任意の1つ又は組み合わせ、或いはイオン源205から検出器217まで進む際にイオンが通過する(イオン113が取る経路は、「イオンビーム経路」又は「イオン経路」と呼ばれ得る)任意の他のコンポーネントは、イオン光学系203と呼ばれ得る。
【0019】
図3は、ハウジング301に対して開位置にあるパネル303、305を示す。中間の四重極コリジョンセル211の概観を提供するように、ハウジングは上部で切り取られて示される。第1のパネル303及び第2のパネル305(図2及び図3に示される)は、ハウジング301内のイオン光学系203に対するアクセスを提供する。パネル303、305はそれぞれ、ヒンジ307、309(図2)を介してハウジング301に接続される。パネル303、305は、ハウジング301に対して開位置と閉位置との間で動く場合、ヒンジ307、309を中心に回転する。
【0020】
パネル303、305をヒンジ307、309を中心に回転させることにより、パネル303、305が開いたり又は閉じたりするものとして説明されるが、代案として、パネル303、305は、それらを開位置または閉位置へ滑動させることにより、又は当業者により理解されるような他の態様で開いたり又は閉じたりされることができる。
【0021】
イオン光学系203の部分は、パネル303、305及びハウジング301の任意の組み合わせ又は全てに、直接的に又は間接的に取り付けられる。他の実施形態において、電子顕微鏡、電子顕微鏡の試料ハンドラ、表面科学機器、又はウェハローダを含む様々な装置が、パネル303、305、及び/又はハウジング301に取り付けられ得る。また、電子サブアセンブリも、パネル303、305、及び/又はハウジング301に取り付けられ得る。
【0022】
図2及び図3は更に、ブラケット221、223を用いてパネル305に取り付けられ、且つパネル305に対して固定されたイオン源205および円筒形シュラウド209内の第1の四重極質量フィルタ207を示す。より具体的には、円筒形シュラウド209がブラケット221、223に堅固に固定され、次いでブラケット221、223がパネル305に堅固に固定される。
【0023】
同様に、円筒形シュラウド215内の第3の四重極質量フィルタ213及び検出器217が、ブラケット229、231を用いてパネル303に取り付けられ、且つパネル303に対して固定されるように示される。
【0024】
図2に示されるように、中間の四重極コリジョンセル211は、ブラケット225、227を用いてハウジング301に取り付けられる。図9は、中間の四重極コリジョンセル211を支持するブラケット227をより詳細に示す。中間の四重極コリジョンセル211は、ブラケット227により堅固に拘束されるのではなく、ブラケット227上に緩く載せられる。同様に、中間の四重極コリジョンセル211の反対側の端部も、ブラケット225上に緩く載せられる。中間の四重極コリジョンセル211及びブラケット225、227のこの構成の使用目的は、以下で更に詳述される。
【0025】
ブラケット221、223がパネル305上の所定位置に取り付けられ、ブラケット225、227がハウジング301上の所定位置に取り付けられ、ブラケット229、231がパネル303上の所定位置に取り付けられ、その結果、イオン光学系203がブラケット221、223、225、227、229、231に装着され、且つパネル303、305がハウジング301に対して閉位置にある場合に、イオン光学系203が所定の整合状態へと組み立てられる。
【0026】
一般に、イオン光学系のコンポーネントは、パネル303、305及びハウジング301に直接的に、間接的に、又は当業者により理解されるような任意の取り付け手段を用いて、取り付けられ得る。取り付けは、固定の堅固な支持を提供することができ、又は代案として、緩い支持を提供することができる。取り付けは、全て又は幾つかの運動方向において、イオン光学系のコンポーネントを拘束することができる。
【0027】
イオン光学系203を形成するコンポーネントには、厳しい位置決め要件および位置合わせ要件が存在する。従って、本発明のイオン光学系203は、これら要件を満たすために高精度で互いに位置合わせされるコンポーネントから製作される。イオン源205、第1の四重極質量フィルタ207、中間の四重極コリジョンセル211、第3の四重極質量フィルタ213、及び検出器217を含むイオン光学系203のコンポーネントは全て、設計仕様の0.5mm以内まで半径方向(ビーム経路に垂直に)に位置合わせされ、且つ軸方向(ビーム経路の方向)に位置決めされなければならない。幾つかのシステムにおいて、位置合わせの許容誤差は、更に精密な位置合わせと位置決めを達成するために、本発明のコンポーネントに必要な設計仕様の0.5mmよりずっと少ない。
【0028】
留意すべきは、この説明において、イオン光学系203の位置合わせと位置決めが、円筒座標系に関連して説明され、その円筒座標系は、ビーム経路に沿ったその軸方向成分、ビーム経路に垂直なその半径方向成分、及びビーム経路の周りを回るその接線成分を有する。
【0029】
図4は、位置合わせ機構401の拡大図を示し、当該機構401は、精密な位置合わせと位置決めを提供すると同時に、イオン光学系203のコンポーネントの便利な組み立てと分解を可能にする。位置合わせ機構401は、中間の四重極コリジョンセル211と円筒形シュラウド215内の第3の四重極質量フィルタ213との間に示される。図5と図8は、位置合わせ機構401だけの詳細図を示す。
【0030】
位置合わせ機構401は、第1のソケット407と係合するための第1の位置合わせピン403、及び第2のソケット409と係合するための第2の位置合わせピン405を含む。ピン403、405は、中間の四重極コリジョンセル211に取り付けられるフランジ411から外側へ垂直に延在するように示される。ソケット407、409は、円筒形シュラウド215に取り付けられるフランジ413内に形成される。
【0031】
他の実施形態において、ピン403、405は、フランジ413から延在することができ、ソケット407、409はフランジ411内に形成され得る。代案として、フランジ411、413はそれぞれ、ピンとソケットの組み合わせを含むことができる。また、フランジ上/内に配置された任意の数の対応するピンとソケットが存在することができる。更に他の実施形態において、ピン403、405又はソケット407、409は、フランジ411、413を利用せずに、イオン光学系203の質量フィルタ又はコリジョンセルの部分に直接的に取り付けられるか、又は当該質量フィルタ又はコリジョンセルの部分内に直接的に形成され得る。
【0032】
別の位置合わせ機構が、中間の四重極コリジョンセル211の反対側に、中間の四重極コリジョンセル211と第1の四重極質量フィルタ207との間に配置され、それは位置合わせ機構401に関連して説明された実施形態と実質的に同じとすることができる。
【0033】
イオン光学系203の製作または最初の組み立て時に、位置合わせ機構401は、イオン光学系203のコンポーネントの互いに対する位置合わせ(整合)と位置を精密に制御するように設計または調整される。ピン403、405がフランジ411から外側へ垂直に延在する距離は、第1の四重極質量フィルタ207と中間の四重極コリジョンセル211との間の所望の相対的な軸方向位置を達成するために調整され得る。また、ピン403、405の半径方向および接線方向の位置決めは、所望の相対的な半径方向および接線方向の位置合わせを達成するために調整され得る。従って、イオン光学系のコンポーネントは、所定の軸方向の位置決め、半径方向の位置合わせ、及び接線方向の位置合わせの状態にされる。
【0034】
図5は、第3の四重極質量フィルタ213及び中間の四重極コリジョンセル211が互いに配置される場合の位置合わせ機構401を示す。図6は、内部に形成されたソケット407、409を有するフランジ413を示す。図7は、ピン403の詳細な図を示す(他のピン、例えばピン405は、ピン403と実質的に同じとすることができる)。ピン403は、扁平な頂部703を有する概して丸い球状の頭部701を有する。また、ピン403は、スペーサ705も含む。
【0035】
ピン403と第1のソケット407との間、及び第2のピン405と第2のソケット409との間の嵌合は、0.5mm未満の許容誤差を有するように設計される。従って、コンポーネント間の半径方向の位置合わせ(ビーム経路に垂直)は非常に精密である。また、図5に示されるように、コンポーネントの相対的な軸方向の位置(ビーム経路の方向において)は、設計仕様の0.5mm以内までフランジ413に対して支持されるスペーサ705により精密に設定される。また、ピン403に類似した他のピンも使用して、イオン光学系203のコンポーネントの相対的な軸方向の位置を設定する。
【0036】
図9に戻ると、看取され得るように、ピン403、405が、ブラケット227に形成されたノッチ901、903内に置かれることにより、中間の四重極コリジョンセル211を支持する。他の位置合わせ機構が、中間の四重極コリジョンセル211と第1の四重極質量フィルタ207との間に配置され、それはブラケット225上に置かれる同様のピンを有して、中間の四重極コリジョンセル211の反対側の端部を支持する。
【0037】
ここで、質量分析計システム201のイオン光学系203を組み立てる及び分解するための方法が、図10に関連して説明される。ステップ1001において、イオン光学系203のコンポーネントが質量分析計システム201内へ配置される。パネル303、305が図3に示されるような開位置にある状態で、イオン源205、及び円筒形シュラウド209内の第1の四重極質量フィルタ207(又はより一般的には、イオン光学系の第1のセクション)が、ブラケット221、223を用いてパネル305に取り付けられる、又はパネル305に対して固定される。また、円筒形シュラウド215内の第3の四重極質量フィルタ213、及び検出器217(又はより一般的には、イオン光学系の第3のセクション)が、ブラケット229、231を用いてパネル303に取り付けられる、又はパネル303に対して固定される。中間の四重極コリジョンセル211(又はより一般的には、イオン光学系の第2のセクション)が、ブラケット225、227を用いてハウジング301に取り付けられる。この目的を達成するために、中間の四重極コリジョンセル211は、ピン403、405がブラケット227に形成されたノッチ901、903内へ嵌合するように、及び中間の四重極コリジョンセル211の反対側の端部にある同様のピンもブラケット225に形成された同様のノッチ内へ嵌合するように、ブラケット225、227の上に配置される。次いで、当業者により理解されるように、イオン光学系203のコンポーネントに対する様々な電気接続が行われる。
【0038】
ステップ1003において、パネル303、305は、質量分析計システム201のハウジング301に対して閉じられる。パネル303はヒンジ307を中心に回転し、その結果、第3の四重極質量フィルタ213と中間の四重極コリジョンセル211との間の位置合わせ機構401が接合して、第3の四重極質量フィルタ213と中間の四重極コリジョンセル211を位置合わせする(図4と図8を参照)。ヒンジ307の回転軸は、円筒座標系の軸方向成分に対応する。パネル303がヒンジ307を中心に回転すると、位置合わせ機構401のピン403、405は、それらが位置合わせ機構401のソケット407、409と係合する際に、この円筒座標系の接線方向に向けられた経路に沿って進む。
【0039】
ソケット407は、おおよそ円形の断面を有することができ、その理由はピン403がヒンジ307から遠く離れているからである。一方、ピン405及びソケット409はヒンジ307にずっと近く、ピン405のはるかに極端な接線方向の動きに対処するために、ソケット409は、ソケット407の断面に比べて、接線方向に伸長された断面(細長い断面)を有する。更に、おおよそ円形の断面を有するようにソケット407を設計し、ソケット407に比べて伸長された断面を有するようにソケット409を設計することにより、許容誤差の積み重ねが低減されるのに役立つ。
【0040】
パネル303が閉位置にある場合、ピン403、405はソケット407、409に緊密に嵌合し、中間の四重極コリジョンセル211と第1の四重極質量フィルタ207との間の精密な半径方向の位置合わせを行う。更に、パネル305が閉位置にある場合、ピン403、405のスペーサ705は、フランジ413に対して支持され、中間の四重極コリジョンセル211と第1の四重極質量フィルタ207との間の精密な軸方向の位置決めを行う。
【0041】
また、ステップ1003において、パネル305を閉じることは、パネル303を閉じることと同様に行われ、その結果、パネル305はヒンジ309を中心に回転し、それにより第1の四重極質量フィルタ207と中間の四重極コリジョンセル211との間の位置合わせ機構が接合して、第1の四重極質量フィルタ207と中間の四重極コリジョンセル211を位置合わせする。
【0042】
図9に関連して上述したように、中間の四重極コリジョンセル211は、ブラケット225、227の上に緩く載置されている。更に、パネル303、305が閉じる際に、パネル303、305の動きにある程度の遊び(ガタ)がある。従って、パネル305に取り付けられたイオン源205及び第1の四重極質量フィルタ207、パネル303に取り付けられた第3の四重極質量フィルタ213及び検出器217、及びブラケット225、227上に載置されている中間の四重極コリジョンセル211は全て、互いに対して「浮動」する。
【0043】
位置合わせ機構のピン403、405の概して円形で球状形状の頭部は、パネル303、305が閉じられて位置合わせ機構を接合する際に、イオン光学系203の「浮動」コンポーネントを案内する働きをする。パネル303、305が完全に閉じられた位置に到達すると、ピン403、405のスペーサ705がフランジに対して支持され(フランジに突き当たり)、ピンの頭部がそれらの対応するソケットへ「パチン」とはめ込まれ、その結果、イオン光学系203のコンポーネントは、半径方向および軸方向において約0.5mm未満の許容誤差の範囲内で所定の整合状態に組み立てられる。
【0044】
更に、パネル305に取り付けられたイオン源205及び第1の四重極質量フィルタ207と、パネル303に取り付けられた第3の四重極質量フィルタ213及び検出器217と、ブラケット225、227上に載置されている中間の四重極コリジョンセル211との間の遊びの量は、パネル303、305が閉じる際に、ピン及び対応するソケットが互いに係合するのに失敗するほど多くない。
【0045】
ステップ1005において、質量分析計システム201の真空チャンバがポンプで吸い出されて(真空引きされて)、質量分析計システム201がオンされ、次いで試料の測定を実行するために使用され得る。
【0046】
試料の測定は、試料の分子をイオンに変えるためのイオン源205を用いて試料をイオン化することにより実行され得る。また、ヘリウムのようなガスがイオン源205に供給される。次いで、イオン光学系203の質量分析器の部分が、電場および磁場を印加することによって、イオンの質量によりイオンを仕分けする。イオン光学系203の検出器217が、何らかの指標量の値を測定し、ひいては各イオンの存在の存在度を計算するためにデータを提供する。
【0047】
メンテナンスが必要とされる場合、ステップ1007において、ハウジング301内の真空状態が解放されて、質量分析計システム201がオフされる。
【0048】
ステップ1009において、パネル303、305が開かれる。これが行われる場合、ピンとソケットが互いから切り離されて、イオン源205、第1の四重極質量フィルタ207、及び円筒形シュラウド209が、中間の四重極コリジョンセル211から分離される。同様に、第3の四重極質量フィルタ213、円筒形シュラウド215、及び検出器217が、中間の四重極コリジョンセル211から分離される。
【0049】
ステップ1011において、ユーザは、クリーニング、修理、又は定期的なメンテナンスを行うために、ハウジング301の内部の質量分析計のコンポーネント、例えばイオン光学系203を、単に手作業で取り外すだけである。
【0050】
上記の詳細な説明において、本発明は、その特定の例示的な実施形態に関連して説明された。従って、詳細な説明および図面は、制限的な意味ではなくて例示的な意味で考えられるべきである。
【0051】
以下においては、本発明の種々の構成要件の組み合わせからなる例示的な実施形態を示す。
1.質量分析計システムであって、
イオン光学系(100)と、
前記イオン光学系用のハウジング(301)と、
前記ハウジングに対して開位置と閉位置との間で移動可能なパネル(303、305)と、
前記イオン光学系の第1のセクション(211)が前記ハウジング内にあり、
前記イオン光学系の第2のセクション(205、207、209)が前記パネルに取り付けられ、前記イオン光学系は、前記パネルが前記閉位置にある場合に、前記ハウジング及び前記パネルにより取り囲まれ、
前記パネルを閉じた際に、前記イオン光学系の前記第1及び第2のセクションを所定の整合状態へと位置合わせするための位置合わせ機構(401)とを含む、質量分析計システム。
2.前記イオン光学系(100)の前記第1のセクション(211)が、前記ハウジング(301)に取り付けられる、上記1に記載のシステム。
3.前記イオン光学系の前記第1のセクションを前記ハウジングに取り付けるために、前記イオン光学系の前記第1のセクションが置かれる、前記ハウジングに取り付けられる少なくとも1つのブラケット(225、227)を更に含む、上記1に記載のシステム。
4.前記イオン光学系の前記第2のセクションを前記ハウジングに取り付けるために、前記パネルに取り付けられ、且つ前記イオン光学系の前記第2のセクションを支持する少なくとも1つのブラケット(221、223、229、231)を更に含む、上記1に記載のシステム。
5.前記イオン光学系の前記第1のセクション(211)、及び前記イオン光学系の前記第2のセクション(205、207、209)の前記所定の整合状態の位置合わせ許容誤差が、0.5mm未満である、上記1に記載のシステム。
6.前記パネルが、前記開位置と閉位置との間で移動する際にヒンジ(307、309)を中心に回転する、上記1に記載のシステム。
7.前記位置合わせ機構が、前記パネルを閉じる際に、前記第1及び第2のセクションを前記所定の整合状態へと位置合わせするために互いとの係合状態に入るための、前記イオン光学系の前記第1のセクションのピン(403、405)と、前記イオン光学系の前記第2のセクションのソケット(407、409)とを含む、上記1に記載のシステム。
8.前記ピンが垂直に外方向に延在する、前記第1のセクションのフランジ(411)と、
前記ソケットが形成されている、前記第2のセクションのフランジ(413)とを更に含む、上記7に記載のシステム。
9.少なくとも1つのピンは、前記パネルが閉位置に移動し、前記ピンと前記ソケットが互いとの係合状態に入る場合に、前記イオン光学系の前記第1のセクションと前記イオン光学系の前記第2のセクションとの間の所定の距離を設定するためのスペーサ(705)を含む、上記7に記載のシステム。
10.前記パネルが、前記開位置と閉位置との間で移動する際にヒンジ(307、309)を中心に回転し、前記ヒンジに近いソケット(409)がほぼ円形の断面を有する一方、前記ヒンジから遠く離れているソケット(407)が、前記ヒンジに近いソケットに比べて細長い断面を有する、上記7に記載のシステム。
11.少なくとも1つのピン(403、405)が、円形の頭部(701)を有し、少なくとも1つのソケット(407、409)との係合へと前記ヒンジを中心に接線方向に回転する、上記10に記載のシステム。
12.前記イオン光学系の前記第1のセクションが、コリジョンセル(211)を含む、上記1に記載のシステム。
13.前記イオン光学系の前記第2のセクションが、質量フィルタ(207)を含む、上記1に記載のシステム。
14.質量分析計システムのイオン光学系(100)を位置合わせするための方法であって、
位置合わせ機構(401)が前記イオン光学系の第2のセクションを、ハウジング内に取り付けられたイオン光学系の第1のセクション(211)と所定の整合状態にするように、前記イオン光学系の第2のセクション(205、207、209)が取り付けられたパネル(303、305)を閉じるステップ(1003)を含む、方法。
15.前記イオン光学系の前記第1のセクションが、前記ハウジングに取り付けられる(1001)、上記14に記載の方法。
16.前記イオン光学系(100)の前記第1のセクション(211)、及び前記イオン光学系の前記第2のセクション(205、207、209)の前記所定の整合状態の位置合わせ許容誤差が、0.5mm未満である、上記14に記載の方法。
17.前記位置合わせ機構がピンとソケットを含み、前記閉じるステップ(1003)が、前記パネルを閉じる際に前記所定の整合状態へと前記第1及び第2のセクションを位置合わせするために、前記ピンとソケットを互いとの係合状態へ入れることを更に含む、上記14に記載の方法。
18.少なくとも1つのピンがスペーサを含み、前記パネルを閉じるステップは、前記パネルが閉位置に移動し、前記ピンとソケットが互いとの係合状態に入る場合に、前記イオン光学系の前記第1のセクションと前記イオン光学系の前記第2のセクションを、前記スペーサにより設定された互いの所定の距離以内にすることを更に含む、上記17に記載の方法。
19.前記パネルを閉じるステップの前に、前記イオン光学系の前記第1のセクションを少なくとも1つのブラケット上に配置することにより、前記ハウジングに前記イオン光学系の前記第1のセクションを取り付けるステップ(1001)が実行される、上記15に記載の方法。
20.前記閉じるステップ(1003)が、ヒンジを中心に前記パネルを回転させることを更に含む、上記14に記載の方法。
【符号の説明】
【0052】
100、203 イオン光学系
201 質量分析計システム
205 イオン源
207、213 四重極質量フィルタ
209、215 円筒形シュラウド
211 四重極コリジョンセル
217 検出器
221、223、229、231 ブラケット
301 ハウジング
303、305 パネル
307、309 ヒンジ
401 位置合わせ機構
403、405 ピン
407、409 ソケット
411、413 フランジ
705 スペーサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
質量分析計システムであって、
イオン光学系(100)と、
前記イオン光学系用のハウジング(301)と、
前記ハウジングに対して開位置と閉位置との間で移動可能なパネル(303、305)と、
前記イオン光学系の第1のセクション(211)が前記ハウジング内にあり、
前記イオン光学系の第2のセクション(205、207、209)が前記パネルに取り付けられ、前記イオン光学系は、前記パネルが前記閉位置にある場合に、前記ハウジング及び前記パネルにより取り囲まれ、
前記パネルを閉じた際に、前記イオン光学系の前記第1及び第2のセクションを所定の整合状態へと位置合わせするための位置合わせ機構(401)とを含む、質量分析計システム。
【請求項2】
前記イオン光学系(100)の前記第1のセクション(211)が、前記ハウジング(301)に取り付けられる、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記イオン光学系の前記第1のセクションを前記ハウジングに取り付けるために、前記イオン光学系の前記第1のセクションが置かれる、前記ハウジングに取り付けられる少なくとも1つのブラケット(225、227)を更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記イオン光学系の前記第2のセクションを前記ハウジングに取り付けるために、前記パネルに取り付けられ、且つ前記イオン光学系の前記第2のセクションを支持する少なくとも1つのブラケット(221、223、229、231)を更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記イオン光学系の前記第1のセクション(211)、及び前記イオン光学系の前記第2のセクション(205、207、209)の前記所定の整合状態の位置合わせ許容誤差が、0.5mm未満である、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記パネルが、前記開位置と閉位置との間で移動する際にヒンジ(307、309)を中心に回転する、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記位置合わせ機構が、前記パネルを閉じる際に、前記第1及び第2のセクションを前記所定の整合状態へと位置合わせするために互いとの係合状態に入るための、前記イオン光学系の前記第1のセクションのピン(403、405)と、前記イオン光学系の前記第2のセクションのソケット(407、409)とを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記ピンが垂直に外方向に延在する、前記第1のセクションのフランジ(411)と、
前記ソケットが形成されている、前記第2のセクションのフランジ(413)とを更に含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
少なくとも1つのピンは、前記パネルが閉位置に移動し、前記ピンと前記ソケットが互いとの係合状態に入る場合に、前記イオン光学系の前記第1のセクションと前記イオン光学系の前記第2のセクションとの間の所定の距離を設定するためのスペーサ(705)を含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記パネルが、前記開位置と閉位置との間で移動する際にヒンジ(307、309)を中心に回転し、前記ヒンジに近いソケット(409)がほぼ円形の断面を有する一方、前記ヒンジから遠く離れているソケット(407)が、前記ヒンジに近いソケットに比べて細長い断面を有する、請求項7に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−9197(P2011−9197A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−115122(P2010−115122)
【出願日】平成22年5月19日(2010.5.19)
【出願人】(399117121)アジレント・テクノロジーズ・インク (710)
【氏名又は名称原語表記】AGILENT TECHNOLOGIES, INC.
【Fターム(参考)】