説明

自己注射器具

本体内に配置され、医薬を包含するためのリザーバを有する上記本体であって、上記リザーバが柔軟性の壁部を有する上記本体、上記本体内を移動可能であり、上記医薬が上記リザーバから排出されることを可能にするためのプランジャーであって、上記プランジャーは、上記柔軟性のリザーバ壁部に固定されない接触表面を有する上記プランジャー、上記プランジャーを上記リザーバに向って付勢するばね、上記リザーバに対して作動前の位置に上記プランジャーを選択的に維持し、上記作動前の位置から上記プランジャーを解放することで、上記ばねの力で上記プランジャーを移動させ、上記プランジャーの接触表面が、上記柔軟性のリザーバ壁部に接触し、患者への上記医薬の送達のために上記リザーバを加圧するように、上記プランジャーを案内するための手段を含む薬剤送達器具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には、改良された患者の利便性および使用の容易さ、および、改良された加圧および作動機構を有する、物質送達器具に関する。本発明は、また、一般的には、患者に種々の物質または医薬を送達するために用いられ得る、パッチ様の、内蔵式物質注入または自己注射器具に関する。更に具体的にいうと、本発明は、器具を作動させるために必要とされる力が軽減される注入または自己注射器具に関する。
【背景技術】
【0002】
糖尿病のような病気で悩んでいる人々のような、数多くの人々が、糖レベルの精密制御を維持するために、毎日のインシュリン注入のような、ある種の注入療法を用いている。現在、インシュリン注入療法例において、毎日の注入療法における二つの基本モードが存在する。第一のモードは、注射器およびインシュリンペンを含む。これらの器具は、使用するのが簡単で、比較的低コストであるが、典型的には、一日に3、4回、各注射で針刺しを必要とする。第二のモードは、ほぼ三年間持続する、高価なポンプの購入を必要とする、注入ポンプ療法を含む。高コスト(毎日の注射器療法のコストのおよそ8から10倍)およびポンプの有限の寿命は、このタイプの療法に高い障壁となる。インシュリンポンプは、また、比較的古い技術に相当し、使用するのが面倒である。ライフスタイルの観点から、さらに、ポンプを患者の腹部の送達部位に連結するチュービング(「注入セット」として知られている。)は、極めて不便であり。ポンプは、比較的重く、ポンプを運ぶことを重荷とする。患者の観点からは、しかしながら、ポンプを使用した患者の圧倒的多数が、余生の間、ポンプと共に生き残ることを好む。これは、注入ポンプは、注射器およびペンよりもっと手間がかかるが、インシュリンの連続的な注入、正確な投薬、および、プログラム可能な送達スケジュールの利点を提供するからである。このことは、精密な糖の制御、および、改良された健康感覚をもたらす。
【0003】
よりよい療法への関心が増えており、観察されるポンプ療法での発展、および、増加する毎日の注射の原因となっている。この注入および類似の注入例において、この増大した関心に完全に合致することを必要とされるものは、毎日の注入療法(低コストおよび使用の容易さ)の最適の態様と、インシュリンポンプ(連続的な注入と正確な投与)の最適な態様を結合し、また、各々の欠点を避ける、インシュリンの送達または注入の様式である。
【0004】
低コストで、使用するのに便利な、歩行可能な、または、「着用できる」薬物注入用器具を提供する、いくつかの試みがなされてきた。これらの器具のいくつかは、部分的に、または、完全に、廃棄可能であることを意図されている。理論上、このタイプの器具は、付随するコストおよび不便さを備えずに、注入ポンプの多くの利点を提供し得る。しかしながら、不幸にも、これらの器具の多くは、患者の不快(使用される注射針のゲージおよび/または長さによる。)、送達される物質と注入用器具の構造に使用される材料との互換性および相互作用、および、患者により正確に作動させられないと起こり得る機能不全(例えば、器具の早すぎる作動から生ずる「ウエット」インジェクション)を含む、欠点に悩まされる。製造における、また、針の穿刺深さの調節における困難さは、特に、短い、および/または、細いゲージの針が使用されるときに、直面された。使用された器具と接触するに至る者への針の刺傷の可能性も、また、解決が難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6、569、143号明細書
【特許文献2】国際公開第02/083214号パンフレット
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】「バイオキミカ・エト・バイオフィジカ・アクタ(Biochem Biophys Acta)」、1989年、1007巻67頁
【非特許文献2】「マイクロバイアル・パソジェネシス(Microbial Pathogenesis)」、25巻337〜342頁
【発明の概要】
【0007】
したがって、製造における簡便性とインシュリンおよび非インシュリンの適用における使用の改良を、さらに提供する、現在の注入用器具、例えば、インシュリン用の注入ポンプの代替物への要望が存在する。
【0008】
本発明の一態様は、皮膚に対して便利に装着され得、その上、所望の物質の注入を提供でき、一つ以上のマイクロニードルを用いることにより最小限の不快さを提供できる、パッチ様の注入または自己注射器具を提供することである。本発明の追加の態様は、器具を作動させるために患者により必要とされる力が軽減された、注入または自己注射器具を提供することである。
【0009】
本発明の、前述の、および/または、他の態様は、頂部筐体および底部筐体を有する本体、薬剤を包含するために本体内に配置されたリザーバ、患者の皮膚に刺入するための注射針であって、注射針が、リザーバと患者との間の薬剤のための通路を提供する、注射針を含む、薬物送達器具を提供することによって実現される。器具は、また、頂部筐体と底部筐体の間に配置された保持板、薬剤がリザーバから排出され得るように主たる本体内を移動可能なプランジャー、保持板とプランジャーとの間に配置され、プランジャーを付勢するばねを含む。第一案内手段が、保持板およびプランジャーの一方に設けられている。第一案内手段は、所定の大きさおよび形を備えた部分を有する。第二案内手段が、保持板およびプランジャーの他方に配置され、第一案内手段の大きさおよび形に相補的な大きさおよび形を有する。第一案内手段および第二案内手段は、リザーバに対して、第一の位置に、プランジャーを維持する。器具の作動で、保持板およびプランジャーの一方が、保持板およびプランジャーのうちの非回転の方に対して回転し、第一案内手段は第二案内手段と整列し、プランジャーが、第一の位置から解放されることを可能とし、プランジャーが、リザーバを押圧するためにばねの力で移動することを可能とする。
【0010】
本発明の、前述の、および/または、他の態様は、また、頂部筐体および底部筐体を含む本体であって、頂部筐体および底部筐体の一方が、円筒状のハウジングを有する本体、薬剤を包含するために本体内に配置されたリザーバ、および、患者の皮膚に刺入するための注射針であって、針が、リザーバと患者との間の薬剤の通路を提供する針を含む、薬剤送達器具を提供することによって実現される。器具は、また、頂部筐体および底部筐体の間に配置された保持板、作動前位置と整列位置との間で回転可能であり、薬剤がリザーバから排出されるように、整列された位置と作動位置との間で、円筒状ハウジング内を平行移動可能であるプランジャー、保持板上に配置されたばねであって、プランジャーを付勢し、プランジャーが作動前位置にあるとき、プランジャーによって圧縮されるばね、および、保持板およびプランジャーの一方において、円筒状ハウジングの中央に実質的に位置する第一案内手段を含む。第一案内手段は、所定の大きさおよび形を備えた部分を有する。第二案内手段が、保持板およびプランジャーの他方に配置される。第二案内手段は、第一案内手段の大きさおよび形と相補的な大きさおよび形を有し、第一案内手段および第二案内手段は、リザーバに対し、プランジャーを第一の位置に維持する。器具の作動により、プランジャーは整列位置に回転し、第一案内手段と第二案内手段を整列させ、リザーバを押圧するため、ばねの力により、プランジャーが、作動位置に移動するようにプランジャーを解放する。
【0011】
本発明の、前述の、および/または、他の態様は、また、薬剤を包含するためにその中に配置されたリザーバを有する本体、本体内に配置された保持板、リザーバから薬剤が排出されるように、本体内を移動可能なプランジャー、および、保持板およびプランジャーの間に配置され、プランジャーを付勢するばねを含む、薬剤送達器具を提供することによって実現される。器具は、また、保持板およびプランジャーの一方に設けられた第一案内手段であって、第一案内手段が、所定の大きさおよび形を備えた部分を有する第一案内手段を含む。器具は、さらに、保持板およびプランジャーの他方に設けられた第二案内手段であって、第二案内手段が、第一案内手段の大きさおよび形と相補的な大きさおよび形を有する第二案内手段を含み、第一案内手段および第二案内手段は、リザーバに対して、プランジャーを、第一の位置に維持する。器具の作動で、保持板およびプランジャーの一方が保持板およびプランジャーのうちの非回転の方に対して回転し、第一案内手段は第二案内手段と整列し、プランジャーが第一の位置から解放され、プランジャーが、患者への薬剤の送達のためにリザーバを押圧するため、ばねの力で移動することを可能とする。
【0012】
本発明の追加の、および/または、他の態様ならびに利点は、後に続く説明中で、一部において説明され、一部において、説明から明らかとなるであろうし、また、本発明の実施によって学習され得る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明の具体例の、上述の、および/または、他の態様および利点は、添付された図面と併せて、以下の詳細な説明から、より容易に理解されるであろう。
【図1】作動前の作動前状態にあるパッチ様注入用器具の具体例の透視図である。
【図2】作動前状態にある図1の注入用器具の部分的な分解組立図である。
【図3】詳細をもっと明らかにするために、回転させられた作動ボタンを備えた、作動前状態にある図1の注入用器具の部分的な分解組立図である。
【図4】作動前状態にある図1の注入用器具の完全な分解組立図である。
【図5】作動前状態にある図1の注入用器具の断面図である。
【図6】回転させられた作動ボタンを備えた、作動前状態にある図1の注入用器具の断面図である。
【図7】安全機構の取り付け中の図1の注入用器具の部分的な分解組立図である。
【図8】作動後の図1の注入用器具の部分的な分解組立図である。
【図9】作動後の図1の注入用器具のより完全な分解組立図である。
【図10】作動後の図1の注入用器具の断面図である。
【図11】安全機構の展開後の注入用器具の部分的な分解組立図である。
【図12】安全機構の展開後の注入用器具の断面図である。
【図13】安全機構の底部表面を示す図である。
【図14】安全機構の構造をさらに示す図である。
【図15A】薬の切れ目指示器および図1の注入用器具内におけるその作動を示す図である。
【図15B】薬の切れ目指示器および図1の注入用器具内におけるその作動を示す図である。
【図15C】薬の切れ目指示器および図1の注入用器具内におけるその作動を示す図である。
【図15D】薬の切れ目指示器および図1の注入用器具内におけるその作動を示す図である。
【図16】注入用ポートを有する注入用器具の具体例を示す図である。
【図17】図1の注入用器具を作動させるために必要な力を軽減するための保持組立体の具体例の分解組立図である。
【図18A】図17におけるスプロケットおよび対応するスプロケット開口の平面図である。
【図18B】図17におけるスプロケットおよび対応するスプロケット開口の平面図である。
【図19】作動前状態にある図17の組立体の断面図である。
【図20A】保持組立体の具体例の自由体図である。
【図20B】保持組立体の具体例の自由体図である。
【図21】図1の注入用器具を作動させるために必要な力を軽減するための保持組立体の別の具体例を示す図である。
【図22】図1の注入用器具を作動させるために必要な力を軽減するための保持組立体の別の具体例を示す図である。
【図23A】図4のプランジャーを作動前状態に取り付けるための工具を示す図である。
【図23B】図4のプランジャーを作動前状態に取り付けるための工具を示す図である。
【図24】図17のプランジャーを作動前状態に取り付けるための工具を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明の具体例に詳細に参照がなされるが、その例は、添付図面に示されており、同様の参照番号は、始めから終わりまで、同様の要素を参照する。記載された具体例は、図面を参照することによって、本発明を例示する。
【0015】
以下に記載された本発明の具体例は、ある期間にわたって、または、一度に、予め計量された量の、液体薬物または医薬のような物質を、患者へ送達するための、使い易い、パッチ様の注入用または自己注射用器具100として使用され得る。器具は、予め充填された状態で、すなわち、すでに器具のリザーバに包含されている薬物または医薬を備えて、末端使用者に好ましくは提供される。ここに記載された、(例えば、図1に示される)パッチ様の注入用または自己注射用器具100は、患者および/または介護人によって使用されるが、便宜上、器具の使用者は、これ以降、「患者」として言及される。加えて、便宜上、「垂直」、「水平」、「頂部」、「底部」のような用語は、水平面に置かれた注入用器具100に関する相対的な方向を表すために使用される。しかしながら、注入用器具100は、そのような方向に限定されないこと、および、注入用器具100は、どの方向においても使用され得ることが理解されるであろう。さらに、本発明を具体化する器具を記載するための用語「注入用器具」、「自己注射用器具」の代替的な使用は、限定的な意味に意図されない。自己注射用の機能を持たない注入用器具は、連続的な注入を実行しない自己注射用器具であるので、本発明の範囲内である。便宜上、しかし、限定のためではなく、用語「注入用器具」が以下の説明において使用される。
【0016】
図1のパッチ様の注入用器具100は、内臓式であり、(以下により詳細に記載されるように)注入用器具100の底表面に配置された接着剤によって、患者の皮膚表面に取り付けられる。患者により正しく位置決めされて作動させられると、器具内の柔軟性リザーバに対する解放されたばねの圧力が、針マニホールドを通り、一つ以上の患者用針(例えば、マイクロニードル)を介して、リザーバの内容物を空にするために使用され得る。リザーバ内の物質は、その後、皮膚に移動させられたマイクロニードルにより、患者の皮膚を介して送達される。ばねが、事実上、機械的、電気的および/または化学的であり得る、異なった種類の蓄積エネルギー機器と置換される、他の具体例が可能であることが理解されるであろう。
【0017】
当業者によって理解されるように、ここに開示されたパッチ様の注入用器具100を構成し、および使用する数多くの方法が存在する。図面および以下の説明に表わされた具体例に参照がなされるが、ここに開示された具体例は、開示された発明により包含される、種々の代替構造および具体例の網羅であることを意味されない。各々の開示された具体例において、器具は、注入用器具として言及されるが、器具は、典型的な器具により通常達成されるより早い速度(ボーラス投与)で、物質を注入し得る。例えば、内容物は、数秒の短い期間、または数日の長い期間で送達され得る。
【0018】
図1から図12に示された器具の具体例において、パッチ様の注入用器具100の押圧ボタン構造が示され、器具の作動および活性化は、単一の多機能/多段工程で実現される。図1は、作動前にある注入用器具100の組立てられた具体例を示す。図2から図6は、作動前にある注入用器具100の部分的分解組立図および断面図を示し、図7は、安全機構の取り付け中の注入用器具100の部分的分解組立図を示し、図8から図10は、作動に続く、注入用器具100の分解組立図および断面図を示し、図11および図12は、安全機構の展開に続く、注入用器具100の分解組立図および断面図を示す。注入用器具100は、作動前状態(例えば、図1、図2および図5に示される。)、作動または発射状態(例えば、図8から図10に示される。)、および、後退または安全状態(例えば、図11および図12に示される。)の間で、機能するように構成される。
【0019】
図1に示されるように、パッチ様の注入用器具100の具体例は、底部筐体104、安全機構108、柔軟性針カバー112、頂部筐体116、リザーバ部分組立体120、薬の切れ目表示器(EDI)124、および、患者インターフェース表面132を含む作動ボタン128を含む。加えて、図2から図6に示されるように、注入用器具100は、また、ローターまたは作動リング136、加圧ばね140、ドーム状金属プランジャー144、および、駆動ばね148を含む。
【0020】
柔軟性針カバー112は、少なくとも一本の針152(以下に、より詳細に説明される。)を保護することによって、患者および器具に安全性を提供し、滅菌障壁を提供する。針カバー112は、器具の製造中、針152を保護し、使用前に患者を保護し、除去前のどの時点においても、滅菌障壁を提供する。一つの具体例によれば、針カバー112は、少なくとも一本の針152が配置される、針マニホールドに、圧入によって取り付けられる。加えて、一つの具体例によれば、安全機構108の針開口156(以下に、より詳細に示される。)が、針カバー112の周囲に対応するよう、近接して形成される。
【0021】
例えば、図2、図3、図5、図6、図8、図10および図12に示されるように、リザーバ部分組立体120は、リザーバのドームシール164、弁168、少なくとも一本の針152、および、弁168と針152の間に配置され、それらの間に流路を創出する、少なくとも一つのチャネル172(例えば、図8を参照)、および、ドーム176を含む。加えて、リザーバ部分組立体120は、少なくとも一本の針152を選択的に覆うための除去可能な針カバー112を含む。一つの具体例によれば、リザーバ部分組立体120は、また、チャネル172を覆う、リザーバアームシール180を含む。好ましくは、針152は、針マニホールドおよび複数のマイクロニードル152を含む。
【0022】
例えば、図5に示されるように、リザーバ部分組立体120のリザーバドームシール(柔軟性フィルム)164は、プランジャー144とドーム176の間に配置される。注入用器具100のためのリザーバ内容物(例えば、医薬物質)は、リザーバドームシール164とドーム176の間の空間に配置される。リザーバドームシール164、ドーム176、および、それらの間の空間の組み合わせは、リザーバ160を画定する。ドーム176は、リザーバ内容物を視認できるように、好ましくは透明である。リザーバドームシール164は、非膨張性材料、金属被覆フィルムのようなラミネート、または、他の類似材料で製造され得る。例えば、リザーバドームシール164に使用され得る、一つの考えられ得る柔軟性ラミネートフィルムは、第一のポリエチレン層、バリア特性に基づいて選択される第三の金属層のための取り付け構造を提供する、当業者に良く知られた第二の化学層、および、ポリエステルおよび/またはナイロンを含む第四の層を含む。剛性部分(例えば、ドーム176)と連結した金属被覆または金属化フィルムを利用することにより、リザーバ160のバリア特定は改良され、それにより、その中に包含される内容物の有効期間を増大または改良する。例えば、リザーバ内容物が、インシュリンを含む場合、リザーバ160内での主要な接触の材料は、直鎖の低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、環状オレフィン共重合体(COC)およびテフロンを含む。以下により詳細に述べられるように、リザーバ内容物の残余の流路内での主要な接触の材料は、また、COCおよびLLDPEの他に、ポリエチレン(PE)熱可塑性エラストマー(TPE)、医療グレードのアクリルおよびステンレス鋼、および、接着剤(例えば、紫外線硬化接着剤)を含む。リザーバ160の内容物と長期の接触を保つそのような材料は、好ましくは、ISO10−993および他の適用され得る生体適合性テストに合格する。
【0023】
リザーバ部分組立体120は、好ましくは、内容物への悪影響なしに、適切な制御環境下で、リザーバ内容物の規定の有効期間、貯蔵され得、種々の環境条件下において適用可能である。加えて、リザーバ部分組立体120の構成要素によって提供される障壁は、所望の有効期間に合致することが許される以上の大きな速度で、気体、液体および/または、固体物質の、内容物へのまたは内容物からの移送を許容しない。上記の具体例において、リザーバ材料は、ほぼ華氏34〜120度の温度範囲で貯蔵、作動され得、二年以上の有効期間を有し得る。
【0024】
安定性要件を満たすことに加えて、リザーバ部分組立体120は、20分間、サンプルを、2.11kg/cm(30psi)に保持するというような、何回もの漏れ試験を漏れなしに成功裏に通過することによって、さらに、作動を確実にすることができる。加えて、リザーバの構造に起因する充填、貯蔵、送達上の利点は、以下に、より詳細に説明される、極小化された上部空間および適応性を含む。
【0025】
一具体例において、リザーバ160は、充填前に空にされる。充填前にリザーバ160を空にすること、ドーム176の中において、僅かの押し下げをすることによって、リザーバ160内の上部空間および過剰の無駄が極小化される。加えて、以下により詳細に説明されるように、リザーバの形状は、使用される加圧機構または押圧システム(例えば、押圧ばね140およびプランジャー144)の型に適合するように形成され得る。加えて、充填中、空にされた柔軟性リザーバ160を用いることは、充填されたリザーバ160内での、いかなる空気または気泡をも極小化し得る。しかしながら、本発明のいくつかの具体例は、空にされたリザーバを採用しないことが理解されるであろう。柔軟性リザーバ160の使用は、また、注入用器具100が、増大した内部リザーバ圧力に導く、外部圧力または温度の変化を受けるとき、極めて大きな利点である。そのような場合、柔軟性リザーバ160は、リザーバ内容物と一緒に膨張または収縮して、膨張または収縮力によるあり得る漏れを防止する。
【0026】
リザーバ160のさらにもう一つの態様は、充填時に、または、使用時に患者によって、自動的な微粒子検査を許容する能力を含む。ドーム176のような、一つ以上のリザーバ障壁が、透き通った、透明なプラスチック材料からモールド成形され得、リザーバ内に含まれる物質の検査を可能にする。透き通った、透明なプラスチック材料は、好ましくは、高い透明性と清澄性、低い抽出可能性、リザーバ160内に含まれる物質との生体適合性によって特徴付けられた、環状オレフィン共重合体である。好適な物質は、ケンタッキー州ルーイビルのゼオンケミカルズ社(Zeon Chemicals, L.P.)から、「BD CCP 樹脂」の指定で入手でき、米国食品医薬品局で医薬品等登録原簿(DMF)第16368号として掲載されている。そのような適用において、リザーバ160は、場合により検査を妨害する最小限の態様を含む(すなわち、検査中の回転は許容される。)。
【0027】
チャンネルアーム172が、弁168から針マニホールドまたはマイクロニードル152まで延びる少なくとも一本の柔軟性アーチ状アームの形で設けられる。アーチ状アームは、その中に形成された溝174(例えば、図2参照)を有する。弁168と針マニホールドまたはマイクロニードル152との間の流路を提供するため、リザーバアームシール180が、溝174を被覆する。リザーバ160とマイクロニードル152との間の流路(例えば、図8に示されるように、チャンネルアーム172に配置される。)は、リザーバ160のためのものとして上述された材料と、類似または同一の材料で形成される。例えば、チャンネルアーム172は、ドーム160と同じ材料で形成され、リザーバアームシール180は、リザーバドームシール164と同じ材料で形成され得る。一つの具体例によれば、両方のチャンネルアーム172は、弁168と針マニホールドまたはマイクロニードル152との間の流路として採用される。他の具体例によれば、一本のチャンネルアーム172のみが流路として用いられ、残りのチャンネルアーム172は、構造的な支持部材を提供する。そのような具体例において、溝174は、弁168から針マニホールドまたはマイクロニードル152まで、流路として使用されるチャンネルアーム172の中のみで、完全に延びる。
【0028】
チャンネルアーム172は、作動力に耐えるために十分に柔軟でなければならない。図2および図8におけるチャンネルアーム172の位置を対比すると、チャンネルアーム172(図2においてはリザーバアームシール180によって被覆されているが、図8においては、それは、明りょう化のために除去されている。)は、マイクロニードル152が、患者の皮膚に移動させられたとき、弾性的に変形する(以下に、より詳細に説明される。)。そのような変形の間、チャンネルアーム172は、弁168と針マニホールドまたはマイクロニードル152との間の流路の一体化を維持しなければならない。加えて、チャンネルアーム172のための材料は、数多くの生体適合性および貯蔵試験を満たす。例えば、以下の表1に示されるように、注入用器具内容物がインシュリンを含む場合、リザーバ160の中の主要接触材料は、直鎖低密度ポリエチレン、環状オレフィン共重合体、テフロンを含み、また、透き通った。透明なプラスチックを含み得る。リザーバ160と針マニホールドのマイクロニードル152との間の、残りの流路(チャンネル62)の中の主要な接触材料は、COC、および/または、医療グレードのアクリル、LLDPE、TPE、および/または、ステンレス鋼の他に、針接着剤を含む。
【0029】
【表1】

【0030】

更に具体的には、マイクロニードル152は、ステンレス鋼で作製され得、針マニホールドは、ポリエチレンおよび/または医療グレードのアクリルで作製され得る。そのような物質は、リザーバの内容物と長時間にわたって接触するときは、好ましくは、ISO10−993生体適合性試験をパスする。
【0031】
弁168は、リザーバ160とチャンネル172の間に配置され、選択的に、リザーバ160とチャンネル172の間の流体流れを、選択的に、許容し、制限する。弁168は、作動前位置(例えば、図2、図3および図6に示される。)と作動位置(例えば、図8から図10に示される。)間を移動する。作動位置にあるとき、弁は、リザーバ160とチャンネル172との間の、それゆえ、針マニホールドおよびマイクロニードル152への流体流れを許容する。
【0032】
使用中、弁168は、図5および図10の間の弁168の移動によってよく示されるように、作動ボタン128の移動により、作動位置に結局は押圧される。図10に示されるように、弁168の移動は、弁168の大きくされた遠位端を前進させ、それにより、薬物が、リザーバ160からチャンネル172へ流れ、および、針マニホールドへと流路を流下することを可能にする。
【0033】
上述の具体例は、少なくとも一本の針152またはマイクロニードル152を含むが、いくつかの、例えば二つの、図示されたマイクロニードル152を含み得る。各々のマイクロニードル152は、少なくとも31ゲージ、または、34ゲージのようにより小さく、リザーバ160と流体連通に置かれうる患者の針マニホールド内に固定される。マイクロニードル152は、一つ以上が注入用器具100内に含まれるとき、異なる長さ、または、ゲージ、または、長さおよびゲージの両方が異なる組み合わせであり得、好ましくは、マイクロニードル152の先端の近く、または、いずれかのマイクロニードル152が有するなら先端の斜面の近くに配置された、本体の長さに沿う一つ以上のポートを含み得る。
【0034】
一つの具体例によれば、マイクロニードル152のゲージは、注入用器具100のリザーバ内容物の送達速度を支配する。リザーバ内容物を送達するためのマルチ34ゲージマイクロニードル152の使用は、注入が、もっと大きなカニューレまたは針を必要とする、即時シリンジ注射と典型的に結びつけられるよりも長期間に亘って生じるときに、実際的である。開示された具体例において、皮内または皮下スペースを標的にするどのマイクロニードル152も使用され得るが、図示された具体例は、1から7mmの長さ(例えば、4mm)の皮内マイクロニードル152を含む。マイクロニードル152の配置は、線状、または、非線状配列であり得、特別の適用による要求に応じて、どんな数のマイクロニードル152をも含み得る。
【0035】
上述のように、マイクロニードル152は、針マニホールド内に配置される。針マニホールド内において、少なくとも一つの流体連通通路、またはチャンネル172が、各々のマイクロニードル152に設けられる。マニホールドは、単純に、一つ以上のマイクロニードル152への単一の通路を有し得、各々のマイクロニードル152へ、分離して、リザーバ内容物を送る、複数の流体管路またはチャンネルを設け得る。これらの管路またはチャンネルは、さらに、移送すべき内容物のための蛇行した管路を含み得、それにより、流体圧力および送達速度に影響を与え、流量制限部材として作用する。針マニホールド内のチャンネルまたは管路は、用途に応じて、幅、深さおよび形状に幅があり、チャンネルの幅は、典型的には、およそ0.038および0.36cm(0.015および0.14インチ)の間であり、好ましくは、0.05cm(0.02インチ)であって、マニホールド内のデッドスペースを極小化するように構成される。
【0036】
一つの具体例によれば、リザーバ部分組立体120は、底部筐体104に対するリザーバ部分組立体120の登録を支援するため、孔184および188を有する。底部筐体104の第一および第二支柱192および196(以下に、より詳細に記載される。)は、それぞれ、孔184および188に挿入される。
【0037】
リザーバ部分組立体120が除去されてなる分解組立図において、図4、図7および図9は、底部筐体104が、加圧ばね140およびプランジャー144が配置された、実質的に円筒状のハウジング200を含むことを示す。一つの具体例によれば、プランジャーがハウジング200内を平行移動するとき、プランジャー144の複数の脚部208および足部212のそれぞれを案内するための複数の凹部チャンネル204を含む。共同して、脚部208と足部212は、プランジャータブ214を構成する。例えば、図4、図7および図9に示されるように、凹部チャンネル204は、円筒状ハウジング200を、その頂部から下方に、経路の一部のみを延びる。凹部チャンネル204の下方に、プランジャー144の足部212が、そこから円筒状ハウジング200の外方に延び得る、開口216が存在する。開口216は、ハウジング200の基部における水平部分と、凹部チャンネル204と実質的に整列した垂直部分を備える、実質的にL字形である。
【0038】
注入用器具100が作動前状態にあるとき、加圧ばね140はプランジャー144によって圧縮され(例えば、図4から図6に示される。)、プランジャー144の足部212は、開口216の水平部分に実質的に配置される。加圧ばね140の力が、プランジャー144の足部122を開口216の水平部分の頂部(すなわち、円筒状ハウジング200の水平の出っ張り)に向って付勢する。以下に、より詳細に説明されるように、加圧ばね140およびプランジャー144は、共に、注入用器具100が作動されるとき、リザーバ160を加圧するための加圧システムを形成する。
【0039】
以下に、より詳細に説明されるように、ローター136が、円筒状ハウジング200の基部の周りを、作動前位置(例えば、図2から図4に示される。)と作動位置(例えば、図8から図10に示される。)との間で回転する。ローター136が、作動前位置から作動位置へ回転すると、ローター136の少なくとも一つのローターの足部係合表面217(例えば、図4に示される。)が、プランジャー144の少なくとも一つの足部212と係合してプランジャーを回転させ、その結果、足部212が開口216の垂直部分及び凹部チャンネル204と整列する。この時点で、加圧ばね140は、隆起したチャンネル204によって案内される足部212と共に、プランジャー144を上方移動させる。
【0040】
加圧ばね140は、リザーバ160に本質的に均一な力を適用し、リザーバ160から内容物を押し出すために注入用器具100内に含まれる。加圧ばね140は、解放されると、使用時にリザーバ160を押圧するエネルギーを蓄えるために使用される。加圧ばね140は、プランジャー144の足部212と円筒状ハウジング200との係合によって圧縮状態に保持される。この係合は、押圧ばね140が、貯蔵中、リザーバ160のフィルム(後に説明される。)、または、いかなる残りの機器構成部材(底部筐体104およびプランジャー144以外)にも圧力を及ぼすことを防止する。プランジャー144は、ばねの張力および変形に抗するために十分剛体であり、通常の負荷では機能不全となるべきではない。
【0041】
上述のように、ローター136が、作動前位置から作動位置へ回転するとき、ローター136は、プランジャー144の少なくとも一つの足部212と係合し、足部212と、開口216の垂直部分および凹部チャンネル204とを整列させるようにプランジャー144を回転させる。圧縮された加圧ばね140は、そのとき、プランジャー144を上方に移動させ、そうすることで、リザーバ160のフィルムに力を与える。加圧ばね140は、好ましくは、リザーバ116内で、リザーバ内容物の皮内送達のため、およそ0.07から3.52kg/cm(1から50psi)、さらに好ましくは、およそ0.14からおよそ1.76kg/cm(およそ2からおよそ25psi)の圧力を生成するように形成され得る。皮下注射または注入のためには、およそ0.14から0.35kg/cm(およそ2から5psi)までの範囲で十分であり得る。
【0042】
プランジャー144および加圧ばね140に、作動前位置への負荷をかけるため、例えば、工具の端部から突出する角型突起220を有する工具219(例えば、図23Aおよび図23Bを参照)が挿入され、その結果、突起220は、プランジャー144の工具開口222(例えば、図4および図27参照)を通過する。工具219は、それから、プランジャー144への下方への加圧を通して加圧ばね140を圧縮するために使用される。工具219は、足部212が、凹部チャンネル204内で、円筒状ハウジングの足部係合表面218の高さの垂直方向下方に至るまで、プランジャー144の下方移動および加圧ばね140の圧縮を継続させる。その後、工具209は、プランジャーを回転させるために回転させられ、その結果、足部212は、足部係合行面218の下方に配置される。この時点で、工具219は、除去され、それにより、円筒状ハウジング200の足部係合表面218と足部212とを係合させ、圧力ばね140の圧縮を維持する。
【0043】
一つの具体例によれば、起動ボタン128は、患者が注入用器具100を起動させるために押圧する患者インターフェース表面132を含む。起動ボタン128は、また、ヒンジアーム224および起動アーム228を含む(両者は、例えば、図3に示される。)。起動ボタン128のヒンジアーム224は、開口を備えた円筒状部分を含む。起動アーム228は、タブ230を含む(例えば、図3を参照)。一つの具体例によれば、タブ230は、ベアリング表面232と、ベアリング表面232の片持ち梁状の端部に近接して配置された錠止表面234を含む。一つの具体例によれば、タブ230は、起動アーム228の主要部分と鋭角を形成する。
【0044】
第一支柱192は、底部筐体104に配置され、そこから上方に延びる。一つの具体例によれば(例えば、図4および図7に示されるように)、第一支柱192の基部は、一対の平坦な側面236および一対の丸みを帯びた側面240を含む。加えて、例えば、図4および図7に示されるように、第二支柱196ならびに第一および第二駆動ばね台244および248が底部筐体104から上方に延びる。以下により詳細に説明されるように、第一および第二駆動ばね台244および248は、それぞれ、駆動ばね148の端部を固定する。第一駆動ばね台244は、それらの間に距離を置いて、第二支柱196に近接して配置される。
【0045】
一つの具体例によれば、図3および図6は、作動ボタン128の組立てのために、底部筐体104に対する作動ボタン128の位置決めを示す。この位置において、ヒンジアーム224の円筒状部分の開口は、作動ボタン128が、水平にスライドし(平坦な側面236を越えて)、第一支柱192に係合することを可能にする。ヒンジアーム224(および、それゆえに作動ボタン128)は、その後、第一支柱192の周りを回転する。作動アーム228が第二支柱196と第一駆動ばね台224との間の空間に入ると、少なくとも一つのタブ230と作動アーム228は、タブ230のベアリング表面232の片持ち梁状の端部が、第二支柱196の保持表面252を通過するまで、弾性的に変形する。タブ230のベアリング表面232の片持ち梁状の端部の、第二支柱196の保持表面252(例えば、図4参照)を越えた通過と、タブ230の錠止表面234の保持表面252との係合は、作動ボタン128が、作動前位置にあることを伝える、可聴のクリックおよび触覚のフィードバックを提供する。
【0046】
図2から図4、および図7から図9を振り返ると、ローター136は、作動突起256および駆動ばねホルダー260を付加的に含む。作動ボタン128の作動アーム228は、患者が作動ボタン128を押圧するとき、作動突起256と係合し、それにより、ローター136を、作動前位置から作動位置に回転させる。
【0047】
駆動ばねホルダー260は、ローター136が、作動前位置にあるとき駆動ばね148を作動前位置に保持する。上述したように、第一および第二駆動ばね台244および248は、駆動ばね148の対向端を固定する。駆動ばね148のほぼ中間点に、例えば、図2および図3に示されるように、ローター136のばねホルダー260との係合のための、実質的にU字状の突起がある。したがって、ローター136が、作動前位置にあり、駆動ばね148が駆動ばねホルダー260と係合するとき、駆動ばね148は、伸長状態に維持される。そして、駆動ばねホルダー260が、駆動ばね148を解放すると(すなわち、ローターが、例えば、図8から図10に示されるように、作動前位置から作動位置に回転すると)、駆動ばね148は、底部筐体104の開口300を通して(および、以下により詳細に説明される安全機構108の開口を通して)、注入用器具100の外部に延びるように、マイクロニードル152を駆動する。
【0048】
したがって、以下により詳細に説明されるように、単一の多機能−多段工程により実行される注入用器具100の作動および活性化は、患者による作動ボタン128の押圧、および、作動ボタン128の作動アーム228と、ローター136の作動突起256との係合による、ローター136の回転を含む。上述したとおり、ローター136の回転は、プランジャー144を回転させ、リザーバ160内の液体を加圧するために、プランジャー144を解放する。加えて、ローター136の回転は、駆動ばねホルダー260から駆動ばね148を解放し、それにより、注入用器具100の外方に延びるように、マイクロニードル152を駆動する。単一の多機能−多段工程は、また、作動ボタン128が押圧されるとき、作動ボタン128が弁168と係合して移動させることによる、作動前位置から作動位置への弁168の移動と、それによる、チャンネル172を通した、リザーバとマイクロニードル152との流体流れを開始することを含む。
【0049】
上述したとおり、パッチ様の注入用器具100は、また、安全機構108を含む。不注意の、または、不慮の針刺し障害を防止し、器具の意図的な再使用を防止し、露出した針を覆うために、錠止針安全機構108が設けられる。安全機構108は、患者の皮膚表面から注入用器具100が除去されるとすぐに、自動的に作動する。以下により詳細に説明される一具体例によれば、柔軟性の接着パッドが、底部筐体104の底部分および安全機構108の底部分に付着する。接着パッド264は、患者の皮膚と接触し、使用中、皮膚表面の適切な箇所に注入用器具100を保持する。例えば、図11および図12に示されるように、皮膚表面から注入用器具100を除去することで、安全機構108は、マイクロニードル152を覆う位置に延びる。完全に延ばされると、安全機構108は、所定の位置に錠止され、不慮の障害および患者針152への露出を防止する。
【0050】
一般的に、受動安全システムが最も望ましい。これは、不慮の除去の場合、または、患者が、安全工程が存在することを忘れると、自己防衛的である。この注入用器具100の一つの典型的な使用は、通常、夜に投与される、ヒト成長ホルモンを提供することであるため、送達が、10分未満でなされることが期待され得るとしても、器具を装着する患者(例えば子供)は、実際には、一晩中装着することが想定され得る。受動システムなしに、注入用器具100が、離れ落ちると、マイクロニードル152は、患者または介護人を、再び刺傷し得る。解決策は、使用中、活動を制限するか、受動安全システムを含むことである。
【0051】
安全システムに関して、典型的には三つの選択肢がある。第一の選択肢は、器具内にニードル152を後退させることである。第二の選択肢は、アクセスを除去するためにニードル152を覆うことであり、第三の選択肢は、針刺し障害を防止するような方法でニードル152を破壊することである。能動システムのような、他のシステムは、手動の遮蔽および/または破壊、または、付加的な追加のボタン押圧または類似の作動で、安全態様の手動解放を利用する。本発明の受動安全具体例の詳細な説明は、以下に、提供される。
【0052】
本発明の一安全具体例は、安全機構108のような、受動的な、完全に囲まれる、引き出し式構造の具体例である。図5、図10および図12は、作動前、作動後および安全機構108の展開後の安全機構108をそれぞれ示す、注入用器具100の透視断面図である。
【0053】
注入用器具100が皮膚から除去されるとき、柔軟性接着パッド264(底部筐体104の底部分および安全機構108の底部分の双方に取り付けられている。)は、接着パッド264が皮膚表面を解放する前に、安全機構108を引き抜き、所定の位置にそれを錠止する。換言すると、皮膚表面から接着パッドを除去するために必要な力は、安全機構108を展開するために必要な力より大きい。一具体例によれば、安全機構108は、例えば、図13に示されるように、患者の皮膚と接触する平坦な表面部分268を含む。平坦な表面268は、接着パッド264の一部(図13に点線で示される。)が安全機構108に取り付けられている場所であり、注入用器具100が患者により皮膚から除去されるとき、接着パッド264が、注入用器具100から安全機構108を展開するように作動し、その結果、さもなければ、患者からの注入用器具100の除去で露出されるであろう、マイクロニードル152を覆う。
【0054】
安全機構108が、完全に伸長させられたとき、安全機構108は、所定の位置で錠止され、不慮の刺傷またはマイクロニードル152の露出を防止する。
【0055】
一具体例によれば、接着パッド264は、実質的に二つの部分に提供され、一つは、底部筐体104の側部表面の大半、一つは、安全機構108の底部表面である。注入用器具100が除去されるとき、二つのパッチは、独立に移動し、安全機構108は、底部筐体104に対して回転可能である。他の具体例によれば、二つの部分は、底部筐体104の底部表面の大半に配置される一部、安全機構108の底部表面に配置される一部を有する、単一の、柔軟性接着パッド264として形成される。
【0056】
一具体例によれば、安全機構108は、型打ちした金属部分である。他の具体例によれば、安全機構108は、底部筐体104と実質的に同じ材料で形成される。図14に示されるように、安全機構108は、正面シールド272、安全機構108の後部に配置された一対の挿入用タブ276、それぞれ、安全機構108のリム部284の後端上方に配置された一対の旋回タブ280、安全機構108の実質的に平坦な底部内部表面から上方に延びる案内支柱288、および、安全機構108の底部内部表面から、また、上方に延びる錠止用支柱292を含む。正面シールド272は、安全機構108が展開されるとき、マイクロニードル152から患者を遮蔽するために、リム部分284の上方に延びる。案内支柱288は、ローター136が作動前位置にあるとき、注入用器具100の作動前に安全機構108が展開しないようにするため、ローター136の安全保持突起296(例えば、図7および図9に示される。)と係合するための、その中の切欠き部を含む。
【0057】
加えて、上述したように、安全機構108は、針開口156を含む。安全機構108の展開前は、針開口156は、底部筐体104の開口300と少なくとも部分的に重なり、マイクロニードル152の移動のための空間を提供する。錠止支柱292は、それぞれ、針開口256の正面側の側端に隣接して配置される。底部筐体104は、ガイド支柱用開口304(例えば、図7および図9に示されている。)、底部筐体104の対向側端に隣接して配置された、一対の挿入タブ用開口308(例えば、図4にその一つが示されている。)、および、底部筐体104の対向側部に配置された一対の旋回支持部(例えば、図7および図9に示されている。)を含む。
【0058】
再度、図14を参照すると、挿入タブ276は、各々、接続部316および延長部320を含む。一具体例によれば、接続部316は、安全機構108の底部内部表面から、安全機構108の底部内部表面に対して垂直ではない角度で、注入用器具100の後方に向って延びる。延長部分320は、各々、安全機構108の各々の外側に向って、延長部分316から実質的に垂直に延びる。底部筐体104に安全機構108を組み付けるために、安全機構108は、底部筐体104に対してほぼ45度の角度で保持され、挿入タブ276は、挿入タブ用開口308を通して挿入される。安全機構108は、その後、案内支柱288が案内支柱用開口304に挿入される位置まで回転させられ、安全機構108の底部内部表面は、底部筐体104の底部表面と実質的に平行となって、これに接触する。
【0059】
再度、図7および図9を参照すると、これらの図面は、作動位置にあるローター136を示すけれども、分解組立された、図7および図9の種類は、この段階の、安全機構108の底部筐体104への組み付けを示すのに便利である。しかしながら、安全機構108は、作動に先立って底部筐体に組み付けられるべきことが理解されるであろう。図4に示されるように、安全機構108の上方への回転に続いて、安全機構108は、底部筐体104に対して、後方に移動させられ、その結果、旋回タブ280が、それぞれ、旋回支持部312の前端を通過して、旋回支持部312上に配置され、錠止支柱292が、底部筐体104の開口300の側端に隣接して配置され、ローター136の安全保持突起296が、案内支柱288と係合する。
【0060】
図14に戻ると、錠止用支柱292の各々は、安全機構108の底部内部表面から実質的に垂直に延びる支柱伸長部分324、および支柱伸長部分324の端部に配置されたくさび状部分328を含む。くさび状部分328の高さが、安全機構108の底部内部表面に対して増大するにつれて、くさび状部分328の幅は増大する。
【0061】
安全機構108が展開し、底部筐体104に対して下方に回転すると、くさび状部分328は、底部筐体104の開口180の各々の側端に対して作用し、錠止用支柱292が互いに向けて弾性的に変形するのを可能にする。安全機構108が完全に展開されると、タブ280が、旋回支持部312に着座する。加えて、くさび状部分328の先端が、開口300の底端を通過し、錠止支柱292は、実質的に非変形状態に回復し、安全機構108が、完全に展開し、それゆえに、マイクロニードル152が覆われたことを知らせる、可聴のクリックおよび触覚のフィードバックを提供する。図11および図12に戻ると、安全機構108が完全に展開され、錠止用支柱292が実質的に非変形の状態に回復したなら、くさび状部分328の先端は、開口300に隣接した底部筐体104の底部表面と係合し、それにより、安全機構104が、底部筐体104に対して上方に回転し、マイクロニードル152が露出することを防止する。加えて、上述したように、正面シールド272が、患者をマイクロニードル152から遮蔽する。
【0062】
したがって、安全機構108は、単一パートとして提供される受動安全具体例であり、人間の負荷によってつぶれない良好な錠止を提供する。この受動安全機構によって、注射中何の付加的な力も適用されず、マイクロニードル152は、使用後、注入用器具100内で安全に保持される。
【0063】
注入用器具100の使用後、全量が送達されたことを保証するために、患者は、再び、器具を検査することができる。この点に関し、図15A〜Dに示されるように、注入用器具100は、薬の切れ目表示器(EDI)124を含む。EDI124は、主体332、および、主体332の頂部に対して実質的に水平に延びる第一および第二のアーム336および340を含む。
【0064】
EDI124は、また、主体332の頂部から上方に曲がるばねアーム344を含む。一具体例によれば、ばねアーム344は、リザーバ部分組立体120の底部側を押し、EDI124を底部筐体104に向って、弾性的に付勢させて、EDI124が、例えば、注入用器具100の運搬および操作中に、注入用器具100から自由に移動しないようにする。
【0065】
図4に戻ると、主体332は、EDIチャンネル348内に配置され、実質的に、その中を、垂直に平行移動する。EDIチャンネルは、プランジャー144の脚部208および足部212を案内する凹部チャンネル204の一つに近接している。第一のアーム336は、この凹部チャンネル204の頂部を横切って延びる。
【0066】
図15Aに戻ると、垂直な突起352が、第二アーム340の端部から上方に延びている。リザーバ内容物が送達されたとき、垂直な突起は、頂部筐体116のEDI開口356を通って延び(例えば、図15C参照)、容量の終わりに達したことを知らせる。一具体例によれば、EDI124は、一体構造として形成される。
【0067】
図15Bに示されるように、プランジャー144が、作動後、加圧ばね140によって円筒状ハウジング200内を上方に移動すると、プランジャー144の足部212の一つが、EDI124の第一アームと接触する。足部212は、ばねアーム344の付勢に抗して、EDI124を上方に持ち上げ、リザーバ内容物の送達中、垂直な突起352がEDI開口356を通して徐々に延びることをもたらす。
【0068】
図10に戻ると、垂直突起352は、注入用器具100から部分的に延びる。リザーバ内容物の送達が完了し、プランジャーがその全行程を達成すると、垂直の突起352は、図15Dに示されるように、完全に延ばされる。したがって、EDI124は、注入用器具100の外部から視ることができ、それにより、リザーバ内容物の送達を知らせる、EDI124の直線的な移動を生成するために、プランジャー144の直線的な移動を用いる。
【0069】
図16は、注入ポート404を備える、注入用器具400の具体例を示す。注入ポートは、空になった、または、部分的に充填されたリザーバ408へのアクセスを提供し、その結果、患者は、作動に先立ち、リザーバに、物質または物質の組み合わせを注入することができる。代わりに、製薬業者または薬剤師は、販売前に、注入用器具400を、物質または物質の組み合わせで充填するために、注入ポート404を用いることができる。その他の実質的に全ての点において、注入用器具400は、先に説明した注入用器具100と同様である。
【0070】
次に、注入用器具100の操作が説明される。上述の本発明の具体例は、押圧ボタン(作動ボタン128)構造を含み、注入用器具100が、皮膚表面に位置決め、および、貼付され、ならびに、作動ボタン128の押圧によって活性化および/または作動される。さらに特別には、第一段階において、患者が滅菌パッケージ(不図示)から器具を取り出し、接着用パッド264のカバー(不図示)を取り除く。患者は、また、針カバー112を取り除く。パッケージからの注入用器具100の取り出しにより、および、使用前において(例えば、図1、図2、図4および図5を参照)、作動前状態にある注入用器具100は、患者が、消失および損傷した内容物、使用期限、濁った、または、変色した薬剤、その他の検査、を含んで、器具およびその中の内容物の双方を検査することを可能にする。
【0071】
次段階は、患者の皮膚表面に注入用器具100を位置決めし、適用することである。医療用パッチのように、患者は、皮膚上に注入用器具100をしっかりと押圧する。接着用パッド264の一側は、底部筐体104の底部および安全機構108の底部に接着し、接着パッド264の対向側は、注入用器具100を患者の皮膚に固定する。これらの底部表面(底部筐体104および安全機構108の)は、平坦であるか、局面であるか、または、どんな好適な態様にも形成され得、接着用パッド264は、その上に固定される。一具体例によれば、輸送前、接着用パッド264の、例えば、フィルムのようなカバーが、接着用パッド264の患者側に適用され、輸送中、接着剤を保存する。上述したように、使用前、患者は、接着剤カバーを剥がし、それにより、皮膚への配置のために接着用パッド264を露出させる。
【0072】
接着剤カバーを取り除いた後、患者は、皮膚に対して注入用器具100を配置し、適正な接着を確かなものとするために押圧することができる。上述したように、ひとたび、適正に位置決めされたら、器具は、作動ボタン128を押圧することによって作動させられる。この作動段階は、プランジャー144および加圧ばね140を解放し、プランジャー144が、リザーバ160の柔軟性フィルム(リザーバドームシール164)を押圧し、それにより、リザーバを加圧することを可能にする。この作動段階は、また、ローター136の駆動ばねホルダー260から駆動ばね148を解放する役目を果たし、それにより、マイクロニードル152を、注入用器具100の外側に(底部筐体104の開口300および安全機構108の針開口156を通して)延び、患者にマイクロニードル152を着座させるように、駆動する。さらに、作動段階は、弁168を開放し、チャンネル172を通した(例えば、図8から図10を参照)、リザーバ160とマイクロニードル152との間の流体連通路を確立する。特筆すべき利点は、単一の押圧ボタン操作において、これらの作動の各々を実現する能力から派生する。加えて、他の特筆すべき利点は、リザーバ部分組立体120内に完全に含まれる連続的な流体連通路の使用を含む。
【0073】
ひとたび作動されると、患者は、リザーバ内容物の完全な送達のために、典型的には、注入用器具100を適切な位置にそのままにしておくか、ある期間(10分から72時間のような)機器を装着する。患者は、それから、下に横たわる皮膚または組織に対する損傷なしに、器具を除去または廃棄する。不注意の、または、不慮の除去で、一つ以上の安全構造が、露出されたマイクロニードル152を覆うために展開する。より特別には、注入用器具100が患者によって皮膚から取り除かれるとき、接着パッド264が、注入用器具100から安全機構108を展開させるように作動し、それにより、さもなければ、患者からの注入用器具100の除去により露出されるであろう、マイクロニードル152を遮蔽する。安全機構108が、完全に伸長させられると、安全機構108は、所定の位置で錠止し、不慮の刺傷またはマイクロニードル152の露出を防止する。安全構造は、しかしながら、作動ボタン128が押圧されず、マイクロニードル152が伸長させられないと、展開しないように形成され得、それにより、使用前の安全機構の展開を防止する。使用後、患者は、全量が送達されたことを確かめるために、再び、器具を検査することができる。例えば、患者は、透明のドーム176を通してリザーバの内部を見ることができ、および/または、EDI124を検査することができる。
【0074】
金属製のプランジャータブ214が、作動前位置における加圧ばねの収縮を維持するために、プラスチック製の円筒状ハウジング200の足部係合表面218に対して上方に向う、上述の具体例において、プラスチック製の底部筐体104に高い圧力が付与され、そこにクリープが引き起こされ得る。
【0075】
図17は、注入用器具(例えば、100)を作動するのに要する力を軽減するための、保持組立体500の一具体例の分解組立図を示す。保持組立体500は、注入用器具100に関して示されているが、保持組立体500は、注入用器具100での採用に限定されず、注入用器具400または他の注入用または自己注射用器具で採用され得ることが理解されるであろう。図17に示されるように、保持組立体500は、保持板504、加圧ばね140、およびプランジャー508を含む。加圧ばね140は、保持板504とプランジャー508との間で、保持板504上に配置される。保持板504は、底部筐体104の頂部表面の凹所内で、円筒状ハウジング200内に配置される。一具体例によれば、保持板504は、実質的に、円筒状筐体200の中央に配置される。一具体例によれば、保持板504は、円筒状ハウジング200内での保持板504の回転を防止するための安定用タブ512を含む。安定用タブ512は、底部筐体104の頂部表面内の対応する凹所に係合する。
【0076】
図17に示されるように、保持板504は、支柱516、および、支柱516の遠位端に配置されたスプロケット520を含む。一具体例によれば、支柱516は、実質的に、保持板504の中央に配置される。一具体例によれば、支柱516およびスプロケット520は、単一の金属構造として一体に形成される。加えて、一具体例によれば、支柱516は、スポット溶接により保持板504に取り付けられる。他の具体例によれば、支柱516は、保持板504にねじ込まれる。更に別の具体例によれば、支柱516は、摩擦嵌合によって保持板504に取り付けられる。更に別の具体例によれば、支柱516は、フランジおよびねじ式端部を有し、ねじ式端部は保持板504の開口を通して挿入され、ナットで保持板504に取り付けられ、フランジが保持板504に対して固定されるまで締め付けられる。代替具体例によれば、支柱516および保持板504は、単一の金属構造として一体に形成される。
【0077】
一具体例によれば、保持板504は、例えば、板状鋼または302ステンレス鋼のような、鋼で作製される。そのような材料の選択は、一般的に、優れたクリープ特性およびプラスチック(例えば、底部筐体104の円筒状ハウジング200として使用されているもの)に対する高い剛性係数を提供する。加えて、そのような材料の選択は、より強い加圧ばね140を採用する能力を提供する。例えば、一具体例によれば、22.7kg(50ポンド)の加圧ばねは、保持組立体500に採用され得る。
【0078】
プランジャー508は、スプロケット520に対応した形状を有するスプロケット開口524を含む。以下により詳細に説明されるように、プランジャー508は、また、作動前位置に保持組立体500を組み立てるために少なくとも一つの工具開口528を含む。言い換えると、プランジャー508は、実質的にその中央に開けられたスプロケット開口524を有し、支柱516は、その遠位端に配置された、対応する鋸刃状形態を備えたスプロケット520を有する。
【0079】
図18Aおよび図18Bにより詳細に示されるように、スプロケット520は、複数のスプロケット歯532を含み、スプロケット開口524は、プランジャー508の複数のフィンガー540の間に入った複数のスロット536を含む。一具体例によれば、複数のスロット536および複数のフィンガー540は、それぞれ、複数のスプロケット歯532に対応する。
【0080】
保持組立体500が、図19に示されるように、作動前の位置にあるとき、スプロケット歯532は、加圧ばね140の圧縮を維持するために、プランジャー508のフィンガー540と整列して係合する。加えて、上述の具体例と対比すると、保持組立体500が、作動前位置にあるとき、プランジャータブは、円筒状ハウジング200の足部係合表面218に向わない。代わりに、圧縮状態に、作動前位置に、加圧ばね140を維持するための力は、スプロケット歯532とプランジャー508のフィンガー540との係合によって支えられる。そのような具体例において、しかしながら、円筒状ハウジング200の足部係合表面218は、なお、プランジャー508の過剰な揺動を防止することにより、有用な機能を実行するであろう。
【0081】
注入用器具100の作動で、プランジャー508は回転させられ(例えば、上述したように、作動ボタン128の移動によって円筒状ハウジング200の周りを回転させられるローター136によって)、その結果、スプロケット歯532は、スプロケット開口524のスロット536と整列し(および、プランジャータブは、円筒状ハウジング200の凹部チャンネル204と整列する。)、リザーバ160を加圧するために、加圧ばね140の力で、円筒状ハウジング200内を上方に移動するよう、プランジャー508を解放する。
【0082】
作動前位置に保持組立体500を組立てるために、例えば、その端部から突出する突起548を有する、工具544(例えば、図24を参照)が挿入され、突起548は、プランジャー508の工具開口528(例えば、図17参照)を通過する。工具544は、それから、プランジャー508に対する下方への押圧によって加圧ばね140を圧縮するように使用される。工具544は、スプロケット520がスプロケット開口524を通過するまで、プランジャー508の下方移動と加圧ばね140の圧縮を継続させる。スプロケット520がスプロケット開口524を通過するために、スプロケット歯532は、スプロケット開口524のスロット536と整列させられる必要がある。スプロケット開口524のスロット536が、スプロケット歯532と整列すると、工具544は、プランジャー508を所望の整列に回転させるために、回転させられ得る。スプロケット520がスプロケット開口524を通過した後、工具544は回転させられ、その結果、工具突起548は、工具開口528の側部と係合して、プランジャー508を回転させ、その結果、スプロケット歯532は、プランジャー508のフィンガー540と整列する。この時点で、工具504は、除去され得、それにより、スプロケット歯532を、プランジャー508のフィンガー540と係合させ、加圧ばね140の圧縮を維持する。
【0083】
図20Aは、プランジャー144を採用する保持組立体の具体例の自由体図を示す。図20Bは、保持組立体500の自由体図を示す。図20Aにおいて、μは、円筒状ハウジング200の足部係合表面218における、プランジャータブ214との間の摩擦係数を表し、μは、上方に押圧する加圧ばね140による、プランジャータブ214と円筒状ハウジング200の足部係合表面218との間の係合によって生み出される摩擦力を表す。加えて、注入用器具100の作動時での、プランジャー144の回転に関して、力μは、距離(半径)を越えて作用し、摩擦モーメントは、μとなる。
【0084】
対照的に、図20Bに示されるように、μは、上方に押圧する加圧ばね140による、スプロケット歯532とプランジャー508のフィンガー540との間の係合によって生み出される摩擦力を表す。双方の具体例において、同じ加圧ばね140が採用されるので、力μは、力μに実質的に等しい。しかし、μがそれを越えて作用する距離(半径)L(摩擦モーメントは、μとなる。)は、距離Lより実質的に小さい。したがって、摩擦モーメントμは、摩擦モーメントμより実質的に小さい。したがって、(保持組立体500を採用することによる)摩擦モーメントμに打ち勝つのに必要とされる作動ボタン128からの力は、(上述されたプランジャー144を採用する具体例における)摩擦モーメントμに打ち勝つのに必要とされる作動ボタン128からの力より小さい。換言すると、作動前位置に加圧ばね140を保持することによる摩擦モーメントは、負荷が適用された場合、モーメントの減少により、実質的に減少される。それゆえ、プランジャー144を採用する注入用器具との比較において、保持組立体500を採用する具体例は、注入用器具100を作動させるために、患者によって適用される減少した力を要求する。
【0085】
しかしながら、保持組立体500を採用する具体例において、加圧ばね140は、鋼製保持板504を押え付け、一方、プランジャー144を採用する具体例においては、上述したように、加圧ばね140はプラスチックの底部筐体104を押え付けるということが留意されるべきである。しかし、鋼上での鋼の摩擦係数は、鋼とプラスチックの摩擦係数よりいくらか高いが、減少した距離(Lに対するL)は、より高い摩擦係数を補って余りある。例えば、プランジャー144を採用する具体例での実験において、1.81kg(4ポンド)より大きい平均が、注入用器具を作動させるのに必要とされた。対照的に、保持組立体500を採用する具体例での実験において、およそ0.68kg(1.5ポンド)の平均が、注入用器具を作動させるのに必要とされた。
【0086】
(例えば、図19に示されるように)、作動前位置において、スプロケット520は、プランジャー508の頂部表面に着座するので、注入用器具100の全高を減少する一つの方策は、プランジャー内にポケットを設けることであり、その結果、作動前位置において、スプロケット520は、プランジャー508の頂部と平坦になるであろう。そのような具体例は、しかしながら、リザーバ160の死容積または不使用容積を増加し得る。しかしながら、そのようなポケットなしに、具体例の作動で、プランジャー508は、リザーバドームシール164に衝突する前に、円筒状ハウジング200内を大きな距離移動する。したがって、そのような衝突前に、より大きな運動エネルギーが存在する。プランジャー508とリザーバドームシールとの間のこの衝突は、大きな音をもたらす。この運動エネルギーを減少させる一つの方法は、スプロケット歯532とプランジャー508のフィンガー540が係合する領域内に大きな粘性の減衰ゲルを注入することであろう。
【0087】
そのような問題に対処する他の方法は、図21および図22に示されるような、代替具体例の保持組立体560を採用することである。図21は、その上に配置された支柱568を有するプランジャー564を示す。スプロケット572が、支柱568の遠位端に配置され、スプロケットは、複数のスプロケット歯576を含む。一具体例によれば、支柱568は、プランジャー564の中央に、実質的に配置される。したがって、支柱568は、リザーバドームシール164から離れた方向を向いたスプロケット572を有する、傘状のつくりで、プランジャー564から延び、それらの間の不注意な接触を防止する。
【0088】
加えて、一具体例によれば、支柱568は、減少した直径部分578を有し、(以下により詳細に説明されるように、)保持板580との係合を容易にする。さらに、一具体例によれば、支柱568およびスプロケット572は、単一の金属構造として一体に形成される。加えて、一具体例によれば、支柱568は、スポット溶接でプランジャー564に取り付けられる。他の具体例によれば、支柱568は、プランジャー564にねじ込まれる。更に他の具体例によれば、支柱568は、摩擦係合によって、プランジャー564に取り付けられる。さらに他の具体例によれば、支柱568は、フランジおよびねじ端部を有し、ねじ端部がプランジャー564の開口を通して挿入され、ナットでプランジャー564に取り付けられて、フランジがプランジャー564に対して固定されるまで、締め付けられる。代わりの具体例によれば、支柱568およびプランジャー564は、単一の金属構造として一体に形成される。さらに、以下により詳細に説明されるように、プランジャー564は、また、作動前の位置に保持組立体560を組立てるための少なくとも一つの工具開口580を含む。
【0089】
作動前位置にある保持組立体560の断面図である図22に示されるように、保持板582は、対応して、スプロケット572に対応する形状を有するスプロケット開口584を含む。言い換えれば、保持板582は、実質的にその中央に空けられたスプロケット開口584を有し、支柱568は、その遠位端に配置された対応する鋸歯状の外形を有するスプロケット572を有する。一具体例によれば、上述の保持板504に類似して、保持板582が、底部筐体104に対して、固定されており、それに対して割り出されている。したがって、保持板582は、プランジャー564が作動により回転するときに回転しない。
【0090】
図18Bに類似して、スプロケット開口584は、保持板582の複数のフィンガー592間に配置された、複数のスロット588を含む。一具体例によれば、複数のスロット588および複数のフィンガー592の各々は、それぞれ、スプロケット歯576に対応する。
【0091】
図22に示されるように、保持組立体560が作動前位置にあるとき、スプロケット歯576は、保持板582のフィンガー592と整列および係合し、加圧ばね140の圧縮を維持する。加えて、保持組立体500と同様に、保持組立体560が作動前位置にあるとき、プランジャー564のプランジャータブは、円筒状ハウジング200の足部係合表面218に向わない。代わりに、圧縮された、作動前位置に加圧ばね140を維持するための力は、スプロケット歯576と保持板582のフィンガー592との係合によって支えられる。そのような具体例において、しかしながら、円筒状ハウジング200の足部係合表面218は、なお、プランジャー564の過剰な揺動を防止し得る。
【0092】
注入用器具100の作動で、プランジャー564は、(例えば、上述したように、作動ボタン128の移動によって、円筒状ハウジング200の周りを回転させられる、ローター136によって、)回転させられ、その結果、スプロケット歯576は、スプロケット開口584のスロット588と整列し(および、プランジャータブが円筒状ハウジング200の凹部チャンネル204と整列し、)、プランジャー564が、リザーバ160を押圧するため、加圧ばね140の力で、円筒状ハウジング200内を平行移動するようにプランジャー564を解放する。
【0093】
保持組立体560を作動前位置に組立てるために、例えば、その端部から突出する一対の突起を有する工具(不図示)が挿入され、その結果、突起は、プランジャー564の工具開口580(例えば、図21参照)を通過する。工具は、その後、プランジャー564に対する下方への押圧により加圧ばね140を圧縮するように使用される。工具は、スプロケット572がスプロケット開口584を通過するまで、プランジャー564の下方への移動と、加圧ばね140の圧縮とを継続させる。もちろん、スプロケット572がスプロケット開口584を通過するために、スプロケット歯576が、スプロケット開口584のスロット588と整列させられねばならない。スプロケット572がスプロケット開口584を通過した後、工具の突起が工具開口584の側部と係合し、プランジャー564を回転させるように、工具は回転させられ、その結果、スプロケット歯576は、保持板582のフィンガー592と整列する。この時点で、工具は除去され、それにより、スプロケット歯576を保持板582のフィンガー592と係合させ、加圧ばね140の圧縮を維持する。加圧ばね140の圧縮中、もし、スプロケット開口584のスロット588がスプロケット歯576と整列すると、工具は、所望の配置にプランジャー564を回転させるように回転させられる。
【0094】
保持組立体560の説明された具体例は、プランジャー内の開口を消去しており、それゆえ、リザーバ160の死容積の問題を減少または消去する。および、スプロケット572は、保持板582の底部によって保持され、作動前状態において、底部筐体の厚み内に存在し、したがって、スプロケット572の高さは、注入用器具100の全体の高さを増大させない。
【0095】
他の具体例によれば、固定状態であるよりは、保持板582は、底部筐体104に対して回転可能に配置され、プランジャー564は、作動時、回転しない。換言すると、この具体例において、少なくとも保持組立体560に関して、保持板は、ローター136に置き換わる。換言すれば、この具体例において、保持板582は、作動ボタン128が押圧されるとき、作動ボタン128によって係合され、それにより、底部筐体104に対して保持板582を回転させる、係合タブを有する。この回転は、スロット588をスプロケット歯576と整列させ、それにより、加圧ばね140の力により、円筒状ハウジング200内を平行移動するように、プランジャー564を解放する。
【0096】
説明された具体例は、薬剤および医薬品を含む種々の物質を、患者、特に、ヒト患者に投与する使用に好適である。ここにおいて使用される限りでは、医薬品は、体膜および体表面、特に、皮膚を介して送達され得る、生物活性を有する物質を含む。以下により詳細に挙げられた例は、抗生物質、抗ウィルス薬、鎮痛薬、麻酔薬、食欲減退薬、抗関節炎薬、抗うつ剤、抗ヒスタミン剤、抗インフルエンザ薬、抗腫瘍薬、DNAワクチンを含むワクチン、および、同類のものを含む。患者へ、皮内または皮下で送達され得る他の物質は、ヒト成長ホルモン、インシュリン、たんぱく質、ペプチドおよびそれらの断片を含む。たんぱく質およびペプチドは、天然素材であるか、合成されるか、または、組み換えによって製造され得る。加えて、器具は、樹脂状細胞の皮内注入の間のように、細胞療法において使用され得る。本発明の方法に従って送達され得る、さらに他の物質は、病気の予防、診断、緩和、治療、または、回復に使用される、薬剤、ワクチンおよび類似物からなる群から選択され得、薬剤は、アルファ1−アンチトリプシン(Alpha-1 anti-trypsin)、血管新生阻害剤(Anti-Angiogenesis agents)、アンチセンス(Antisense)、ビュトールファノール(butorphanol)、カルシトニンおよび類似物(Calcitonin and analogs)、セレダーゼ(Ceredase)、COX-II阻害剤(COX-II inhibitors)、皮膚病薬(dermatological agents)、ジヒドロエルゴタミン(dihydroergotamine)、ドーパミン作動薬および拮抗薬(Dopamine agonists and antagonists)、エンケファリンおよび他のオピオイドペプチド(Enkephalins and other opioid peptides)、上皮細胞増殖因子(Epidermal growth factors)、エリスロポエチンおよび類似物(Erythropoietin and analogs)、卵胞刺激ホルモン(Follicle stimulating hormone)、G-CSF、グルカゴン(G lucagon)、GM-CSF、グラニセトロン(granisetron)、成長ホルモンおよび類似物(Growth hormone and analogs)(ホルモンを放出する成長ホルモン(growth hormone releasing hormone)を含む。)、成長ホルモン拮抗薬(Growth hormone antagonists)、ヒルジン(Hirudin)およびヒルログ(hirulog)のようなヒルジン類似物(Hirudin analogs)、IgE抑制遺伝子(IgE suppressors)、インシュリン、インシュリン分泌抑制剤および類似物(insulinotropin and analogs)、インシュリン様成長因子(Insulin-like growth factors)、インターフェロン、インターロイキン、黄体化ホルモン(Leutenizing hormone)、ホルモンを放出する黄体化ホルモンおよび類似物(Leutenizing hormone releasing hormone and analogs)、低分子量ヘパリン、M-CSF、メトクロプラミド(metoclopramide)、ミダゾラム(Midazolam)、モノクロナール抗体(Monoclonal antibodies)、麻薬性鎮痛剤(Narcotic analgesics)、ニコチン、非ステロイド抗炎症薬(Nonsteroid anti-inflammatory agents)、オリゴ糖、オンダンセトロン(ondansetron)、副甲状腺ホルモンおよび類似物(Parathyroid hormone and analogs)、副甲状腺ホルモン拮抗薬(Parathyroid hormone antagonists)、プロスタグランジン拮抗薬(Prostaglandin antagonists)、プロスタグランジン、遺伝子組み換え溶解性レセプター(Recombinant soluble receptors)、スコポラミン(scopolamine)、セロトニン作動薬および拮抗薬(Serotonin agonists and antagonists)、シルデナフィル(Sildenafil)、テルブタリン(Terbutaline)、血栓溶解剤(Thrombolytics)、組織プラスミノゲン活性化因子(Tissue plasminogen activators)、腫瘍壊死因子(TNF-)および腫瘍壊死因子拮抗薬(TNF- antagonist)を含み、ワクチンは、担体/アジュバンドを有するか、または、有さずに、依存症、関節炎、コレラ、コカイン中毒、ジフテリア、破傷風、HIB、ライム病、髄膜炎、はしか、おたふく風邪、風疹、水痘、黄熱病、呼吸器合胞体ウィルス、マダニ媒介性日本脳炎、肺炎球菌、連鎖球菌、腸チフス、インフルエンザ、A、B、CおよびE型肺炎を含む肺炎、中耳炎、狂犬病、ポリオ、HIV、パラインフルエンザ、ロタウィルス、エプスタイン・バー・ウィルス、CMV、クラミジア、非腫瘍ヘモウィルス、カタラリス菌、ヒトパピローマウィルス、BCGを含む結核菌、淋病、ぜんそく、アテローム性動脈硬化、マラリア、大腸菌、アルツハイマー、H−ピロリ、サルモネラ、糖尿病、癌、単純ヘルペス、ヒト・パピローマに関連した、予防薬および治療用抗原(サブユニットたんぱく質、ペプチドおよび多糖類、多糖類複合体、タンパク毒素、遺伝的ワクチン、弱毒性の、再集合体の、不活性化された全細胞、ウィルスおよび細菌のベクターを含むが、限定されない。)を含み、そして、類似の他の物質は、風邪薬のような主要な治療薬の全て、抗依存症薬、抗アレルギー薬、制吐薬、抗肥満薬、抗骨粗鬆薬、抗感染薬、鎮痛薬、麻酔薬、食欲減退薬、抗関節炎薬、抗ぜんそく薬、抗けいれん薬、抗うつ薬、下剤止め、抗ヒスタミン剤、抗炎症薬、抗片頭痛製剤、抗動揺病製剤、制嘔吐剤、抗新生物薬、抗パーキンソン薬、かゆみ止め、抗精神病薬、解熱剤、抗コリン作用薬、ベンゾジアゼピン拮抗剤、一般、冠状動脈、末梢、および、脳を含む血管拡張剤、骨刺激剤、中枢神経系刺激剤、ホルモン、催眠薬、免疫抑制薬、筋肉弛緩剤、副交感神経遮断剤、副交感神経興奮剤、プロスタグランジン、たんぱく質、ペプチド、ポリペプチドおよび他の高分子、精神刺激剤、鎮痛剤、性機能刺激剤、および、精神安定剤、および、ツベルクリンのような主要な診断薬、および、皮内に物質を注入する方法と題され、その全ての内容が、参照により、ここに明白に組み込まれる、特許文献1に記載されているような他の過感受性薬を含む。
【0097】
本発明のシステムおよび方法により送達され得るワクチン製剤は、ヒト病原菌に対する免疫反応を引き出し得る抗原または抗原組成物からなる群から選択され得、その抗原または抗原組成物は、(tat、nef、gp 120 または gp 160のような)、HIV-1、gDまたはその誘導体、または、HSV1またはHSV2からのIPC27のような前初期たんぱく質のような、ヒトヘルペスウィルス(HSV)、(特にヒトの)(gBまたはその誘導体のような)サイトメガロウィルス(cytomegalovirus)(CMV)、(弱毒化ウィルスを含む)ロタウィルス、(gp350またはその誘導体のような)エプスタイン・バー・ウィルス(Epstein Barr virus)、(gpl、IIおよびIEのような)水疱瘡ウィルス(Varicella Zoster Virus)(VZV)に由来し、または、(例えば、ヘパチチスB表面抗原(Hepatitis B Surface antigen)またはその誘導体のような)ヘパチチスBウィルス(hepatitis B virus)、ヘパチチスAウィルス(HAV)、ヘパチチスCウィルス(hepatitis B virus)およびヘパチチスEウィルスのようなヘパチチスウィルスに由来し、または、パラミクソウィルス(paramyxoviruses)である、(FおよびGたんぱく質またはその誘導体のような)呼吸器合胞体ウィルス(Respiratory Syncytial virus)(RSV)、パラインフルエンザウィルス(parainfluenza virus)、麻疹ウィルス(measles virus)、ムンプスウィルス(mumps virus)、ヒトパピローマウィルス(human papilloma viruses)(HPV、例えば、HPV6、11、16、18)、フラビウィルス(flaviviruses)(例えば、黄熱病ウィルス(Yellow Fever Virus)、デング熱ウィルス(Dengue Virus)、ダニ媒介性脳炎ウィルス(Tick-borne encephalitis virus)、日本脳炎ウィルス(Japanese Encephalitis Virus))、または、インフルエンザウィルス(卵またはMDCK細胞の中で育った、全体が生の、または、不活性化されたウィルス、スプリットインフルエンザウィルス(split influenza virus)、または、全体がインフルエンザビロゾーム(whole flu virosomes)、または、HA、NP、IMA、または、Mたんぱく質のような、純化された、遺伝子組み替えされたそれらのたんぱく質)のような、他のウィルス性の病原菌に由来し、または、淋菌(N. gonorrhea)および髄膜炎菌(N. meningitidis)(例えば、莢膜多糖類(capsular polysaccharides)およびその複合体、トランスフェリン結合たんぱく質、ラクトフェリン結合たんぱく質、PilC、付着因子(adhesins))を含むナイセリア属種(Neisseria spp.)、化膿連鎖球菌(S. pyogenes)(例えば、Mたんぱく質およびそのフラグメント、C5Aプロテアーゼ、リポタイコ酸)、ストレプトコッカス・アガラクチア(S. agalactiae)、ストレプトコッカス・ミュータンス(S. mutans)、デュアル桿菌(H. ducreyi)、ブランハメラカタラーリス(Branhamella catarrhalis)(例えば、高および低分子量の付着因子(adhesins)および宿主細胞接着因子(invasins))としても知られている、カタル球菌(M catarrhalis)を含む、モラキセラ属種(Moraxella spp.)、百日咳菌(B. pertussis)(例えば、パータクチン(pertactin)、百日咳毒素(pertussis toxin)またはその誘導体、フィラメント状赤血球凝集素(filamenteous hemagglutinin)、アデニル酸シクラーゼ(adenylate cyclase)、線毛(fimbriae))、パラ百日咳菌(B. parapertussis)および気管支敗血症菌(B. bronchiseptica)を含む、ボルデテラ属種(Bordetella spp.)、ヒト結核菌(M. tuberculosis)(例えば、ESAT6、抗原85A、-Bまたは-C)、抗酸菌(M. bovis)、らい菌(M. leprae)、アビウム菌(M. avium)、ヨーネ菌(M. paratuberculosis)、スメグマ菌(M. smegmatis)を含む、ミクロバクテリウム属種(Mycobacterium spp.)、在郷軍人病菌(L. pneumophila)を含む、レジオネラ属種(Legionella spp)、腸管毒性大腸菌(enterotoxic E. coli)(例えば、定着因子(colonization factors)、易熱性毒素(heat-labile toxin)またはその誘導物、耐熱性毒素(heat-stable toxin)またはその誘導体)、腸管出血性大腸菌(enterohemorragic E. coli)、病原性大腸菌(enteropathogenic E. coli)(例えば、志賀毒素毒素(shiga toxin-like toxin)またはその誘導体)を含む、大腸菌属種(Escherichia spp)、コレラ菌(V. cholera)(例えば、コレラ毒またはその誘導体体)を含むビブリオ菌属種(Vibrio spp)、細菌性赤痢病原体(S. sonnei)、志賀赤痢菌(S. dysenteriae)、フレクスネリ菌(S. flexnerii)を含む、赤痢菌属種(Shigella spp)、食中毒病原菌(Y. enterocolitica)(例えば、Yopたんぱく質)、ペスト菌(Y. pestis)、仮性結核菌(Y. pseudotuberculosis)を含む、エルシニア属種(Yersinia spp)、腸炎病原菌(C. jejuni)(例えば、毒素、付着因子、宿主細胞接着因子)およびコリ菌(C. coli)を含む、カンピロバクター属種(Campylobacter spp)、チフス菌(S. typhi)、パラチフス菌(S. paratyphi)、コレレスイス菌(S. choleraesuis)、腸炎菌(S. enteritidis)を含む、サルモネラ属種(Salmonella spp)、リステリア菌(L. monocytogenes)を含む、リステリア属種(Listeria spp.)、ピロリ菌(H . pylori)(例えば、ウレアーゼ、カタラーゼ、空胞化毒素(vacuolating toxin))を含む、ヘリコバクター属種(Helicobacter spp)、緑膿菌(P. aeruginosa)を含む、シュードモナス属種(Pseudomonas spp)、黄色ブドウ球菌(S. aureus)、表皮ブドウ球菌(S. Epidermidis)を含む、スタフィロコッカス属種(Staphylococcus spp.)、フェカリス菌(E. faecalis)、フェシウム菌(E. faecium)を含む、エンテロコッカス属種(Enterococcus spp.)、破傷風菌(C. tetani)(例えば、破傷風毒素(tetanus toxin)およびその誘導体)、ボツリヌム菌(C. botulinum)(例えば、ボツリヌム毒(Botulinum toxin)およびその誘導体)、ディフィシル菌(C. difficile)(例えば、クロストリジウム毒素AまたはBおよびその誘導体)を含む、クロストリジウム属種(Clostridium spp.)、炭疽菌(B. anthracis)(例えば、ボツリヌム毒素およびその誘導体)を含む、バチルス属種(Bacillus spp.)、ジフテリア菌(C. diphtheriae)(例えば、ジフテリア毒素およびその誘導体)を含む、コリネバクテリウム属種(Corynebacterium spp.)、ライム病ボレリア(B. Burgdorferi)(例えば、OspA、OspC、DbpA、DbpB)、ボレリア・ガリニ(B. garinii)(例えば、OspA、OspC、DbpA、DbpB)、ボレリア・アフゼリ(B. afzelii)(例えば、OspA、OspC、DbpA、DbpB)、ボレリア・アンダーソン(B. andersonii)(例えば、OspA、OspC、DbpA、DbpB)、回帰熱ボレリア(B. Hermsii)を含む、ボレリア属種(Borrelia spp.)、ウマエーリキア症病原菌(E. equi)およびヒト顆粒球エーリキア症因子(the agent of the Human Granulocytic Ehrlichiosis)を含む、エーリキア属種(Ehrlichia spp.)、リケッチア(R. rickettsii)を含む、リケッチア属種(Rickettsia spp)、トラコーマクラミジア(C. Trachomatis)(例えば、MOMP、ヘパリン結合たんぱく質)、肺炎クラミジア(C. pneumoniae)(例えば、MOMP、ヘパリン結合たんぱく質)、オウム病クラミジア(C. psittaci)を含む、クラミジア属種(Chlamydia spp.)、レプトスピラ・インターロガンス(L. interrogans)を含む、レプトスピラ属種(Leptospira spp.)、梅毒トレポネーマ(T. pallidum)(例えば、希少外膣たんぱく質(the rare outer membrane proteins))、トレポネーマ・デンティコラ(T. denticola)、トレポネーマ・フィオディセンテリエ(T. hyodysenteriae)を含む、トレポネーマ属種(Treponema spp.)のような、細菌性の病原菌に由来し、また、熱帯熱マラリア原虫(P. Falciparum)を含む、マラリア原虫属種(Plasmodium spp.)、トキソプラズマ原虫(T. gondii)(例えば、SAG2、 SAG3、 Tg34)を含む、トキソプラズマ属種(Toxoplasma spp.)、赤痢アメーバ(E. histolytica)を含む、エンアメーバ属種(Entamoeba spp.)、バベシア・ミクロテ(B. microti)を含む、バベシア属種(Babesia spp.)、トリパノゾーマ・クルージ(T. cruzi)を含む、トリパノゾーマ属種(Trypanosoma spp.)、ランブル鞭毛虫(G. lamblia)を含む、ジアルジア属種(Giardia spp.)、森林型熱帯レシュマニア(L. major)を含む、レシュマニア属種(Leshmania spp.)、ニューモシスティス・カリニ(P. Carinii)を含む、ニューモシスティス属種(Pneumocystis spp.)、膣トリコモナス(T. vaginalis)を含む、トリコモナス属種(Trichomonas spp.)、スキソストーマ・マンソーニ(S. mansoni)を含む、スキソストーマ属種(Schisostoma spp.)のような寄生虫に由来し、また、カンジダ・アルビカンス(C. albicans)を含む、カンジダ属種(Candida spp.)、「ワクチン送達システム」と題され、その全ての内容が、参照により、ここに明白に組み込まれる、特許文献2に記載されたクリプトコッカス・ネオフォルマンス(C. neoformans)を含む、クリプトコッカス属種(Cryptococcus spp.)のような酵母に由来する。
【0098】
これらは、また、結核菌(M. tuberculosis)のための、他の推奨された特効の抗原、例えば、Tb Ral2、Tb H9、Tb Ra35、Tb38-1、Erd 14、DPV、MTI、MSL、mTTC2およびhTCCl、を含む。結核菌のためのたんぱく質は、また、融合たんぱく質(fusion proteins)およびその変異体を含み、結核菌の、少なくとも二つ、好ましくは、三つのポリペプチドが、より巨大なたんぱく質に融合(fused into)される。推奨の融合体は、Ral2-TbH9-Ra35、Erdl4-DPV-MTI、DPV-MTI-MSL、Erdl4-DPV-MTI-MSL-mTCC2、Erdl4-DPV-MTI-MSL、DPV-MTI-MSL-mTCC2、TbH9-DPV-MTlを含む。クラミジア(Chlamydia)のための最も推奨される抗原は、例えば、高分子量たんぱく質(HWMP)、ORF3および推定膜たんぱく質(putative membrane proteins)(Pmps)を含む。推奨される細菌ワクチンは、肺炎球菌(S. pneumoniae)(例えば、莢膜多糖類(capsular polysaccharides)およびその複合体、PsaA、PspA、ストレプトリシン(streptolysin)、コリン結合たんぱく質)を含む、ストレプトコッカス属種(Streptococcus spp)由来の抗原、タンパク抗原のニューモリシン(the protein antigen Pneumolysin)(非特許文献1、非特許文献2)および、その変異解毒誘導体(mutant detoxified derivatives)を含む。他の推奨される細菌性のワクチンは、B型インフルエンザ(H. influenzae type B)(「Hib」、例えば、PRPおよびその複合体)、分類できないインフルエンザ(non typeable H. influenzae)、例えば、OMP26、を含むヘモフィルス属種(Haemophilus spp.)に由来する抗原、高分子量付着因子、P5、P6、たんぱく質Dおよびリポたんぱく質D、および、フィンブリンおよびフィンブリン由来のペプチド、または、多回複写変異体(multiple copy variants)、または、その融合たんぱく質を含む。ヘパチチスB表面抗原(Hepatitis B Surface antigen)誘導体は、当該技術分野でよく知られており、とりわけ、PreS l、PreS2 S抗原を含む。一つの推奨される態様において、本発明のワクチン製剤は、特に、CIIO 細胞(cells)で発現させられた、 HIV-1抗原、gpl20を含む。さらなる具体例において、本発明のワクチン製剤は、上記において定義されたgD2tを含む。
【0099】
上記にリストアップされた物質の送達に加え、注入用器具100は、また、患者から物質を引き出すこと、または、患者内の物質の水準を監視することに使用され得る。監視され、または、引き出され得る物質の例は、血液、間質液、または、血漿である。引き出された物質は、検体として、糖、医薬、および類似物を検査され得る。
【0100】
本発明の、ほんのわずかの例示的具体例が、上記において詳細に説明されたが、当業者は、本発明の新規な教示および利点から実質的に離れることなく、多くの変更が例示的具体例において可能であることを、容易に理解するであろう。したがって、全てのそのような変更は、添付された特許請求の範囲、および、その均等物の範囲内に含まれることが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤送達器具であって、
医薬を包含するためにその中に配置されたリザーバを有する本体であって、前記リザーバが柔軟性の壁部を含む、前記本体、
前記リザーバから医薬が排出されるのを可能にするために前記本体内で移動可能なプランジャーであって、前記プランジャーが前記柔軟性のリザーバ壁部に固定されていない接触表面を有する、前記プランジャー、
作動前位置にある前記プランジャーを、前記リザーバに向けて付勢するばね、および、
前記リザーバに対する前記作動前位置に、前記プランジャーを選択的に維持し、前記プランジャーを前記作動前位置から解放することによって、前記プランジャーが、前記ばねの力によって移動し、前記プランジャーの前記接触表面が、前記柔軟性のリザーバ壁部に接触し、患者への前記医薬の送達のために前記リザーバを押圧するように、前記プランジャーを案内する手段、
を含むことを特徴とする薬剤送達器具。
【請求項2】
請求項1の器具であって、前記プランジャーを、選択的に、維持し、および、案内する手段が、
前記本体内に配置された保持板であって、前記ばねが前記保持板と前記プランジャーとの間に配置された、前記保持板、
前記保持板および前記プランジャーのうちの一つに設けられた第一案内手段であって、前記第一案内手段が、所定の大きさおよび形を備えた部分を有する、前記第一案内手段、および、
前記保持板および前記プランジャーのうちの他の一つに設けられ、前記第一案内手段の大きさおよび形と相補的な大きさと形を有する第二案内手段であって、前記第一案内手段および前記第二案内手段が、前記リザーバに対して前記プランジャーを第一位置に維持する、前記第二案内手段、
を含み、
前記器具の作動によって、前記保持板および前記プランジャーのうちの一つが、前記保持板および前記プランジャーのうちの非回転の一つに対して回転し、その結果、前記第一案内手段が前記第二案内手段と整列し、前記プランジャーが前記第一位置から解放されることをもたらし、前記プランジャーが、患者へ前記医薬を送達するために前記リザーバを押圧するよう、前記ばねの力で移動することを可能にすることを特徴とする器具。
【請求項3】
請求項2の器具であって、
前記第一案内手段は、前記保持板および前記プランジャーのうちの一つの実質的に中央に配置された支柱を含み、前記所定の大きさおよび形を備えた部分は、前記支柱の遠位端に配置されたスプロケットを含み、
前記第二案内手段は、前記スプロケットに対応した形および大きさを備えた開口を含み、前記開口は、前記保持板および前記プランジャーのうちの他の一つのフィンガー間に配置されるスロットを有し、および、
前記器具の作動により、前記保持板および前記プランジャーのうちの回転する一つの回転が、前記スプロケットの歯を前記開口のスロットと整列させて、前記プランジャーを解放することを特徴とする器具。
【請求項4】
請求項3の器具であって、作動前位置において、前記スプロケットの歯は、前記フィンガーと整列し、前記ばねの圧縮を維持することを特徴とする器具。
【請求項5】
請求項3の器具であって、前記支柱、および、前記支柱が配置されている、前記保持板および前記プランジャーのうちの一つが、単一の構造として一体に形成されていることを特徴とする器具。
【請求項6】
請求項3の器具であって、前記器具は、前記本体に可動に配置され、作動前位置から作動位置へ移動可能な作動ボタンをさらに含み、
前記作動前位置から前記作動位置への前記作動ボタンの移動は、前記保持板および前記プランジャーのうちの一方を回転させ、前記スプロケットの歯と前記開口のスロットとを整列させることを特徴とする器具。
【請求項7】
請求項6の器具であって、
前記プランジャーが、その外端から延びる少なくとも一つのタブを含み、
前記本体が、前記リザーバを押圧するために、前記ばねの力によるプランジャーの移動中、前記少なくとも一つのプランジャータブを案内する、少なくとも一つの凹部チャネルを有する、実質的に円筒状のハウジングを含み、
前記リザーバが、前記実質的に円筒状のハウジング内に配置されており、および、
前記薬剤送達器具が、さらに、患者の皮膚に貫入させるための注射針を含み、該注射針は、前記リザーバと前記患者との間の前記医薬の通路を提供することを特徴とする器具。
【請求項8】
請求項7の器具であって、さらに、前記リザーバから前記注射針まで前記医薬の送達を選択的に許容するための、前記リザーバと前記注射針との間に配置された弁を含み、
作動前位置から作動位置への前記作動ボタンの移動が、前記リザーバから前記注射針までの前記医薬の送達を可能にするために、前記弁を開放することをもたらすことを特徴とする器具。
【請求項9】
請求項7の器具であって、さらに、前記円筒状ハウジングの周りに回転可能に配置されたローターを含み、
前記作動前位置から前記作動位置へ前記作動ボタンを移動させることが、前記ローターの回転をもたらし、前記ローターは、前記少なくとも一つのタブと接触し、前記スプロケットの歯を、前記開口の前記スロットと整列させるために、前記プランジャーを回転させることを特徴とする器具。
【請求項10】
請求項9の器具であって、前記支柱が、前記保持板に配置されていることを特徴とする器具。
【請求項11】
請求項9の器具であって、前記支柱が、前記プランジャーに配置されていることを特徴とする器具。
【請求項12】
請求項7の器具であって、前記作動前位置から前記作動位置へ前記作動ボタンを移動させることが、前記保持板の回転をもたらし、前記スプロケットの歯を、前記開口のスロットと整列させることを特徴とする器具。
【請求項13】
請求項12の器具であって、前記支柱が、前記保持板に配置されていることを特徴とする器具。
【請求項14】
請求項12の器具であって、前記支柱が、前記プランジャーに配置されていることを特徴とする器具。
【請求項15】
請求項12の器具であって、さらに、作動前位置から作動位置へ移動可能な駆動ばねを含み、
前記保持板が、作動前位置から作動位置へ回転すると共に、前記保持板の前記作動前位置にあるばねを支持する駆動ばね保持部材と、前記駆動ばねを含み、および、
前記作動前位置から前記作動位置へと前記作動ボタンを移動させることが、前記作動位置への前記保持板の回転をもたらし、前記作動位置へ移動するように前記駆動ばねを解放して、前記患者の皮膚に貫入させるため前記注射針を駆動することを特徴とする器具。
【請求項16】
請求項1の器具であって、前記プランジャーを選択的に維持し、または、案内するための手段が、前記本体内に配置されたハウジング、前記プランジャー、および、前記ハウジング内に配置されたばねを含み、
前記プランジャーは、その外端から延びる少なくとも一つのタブを含み、および、
前記ハウジングは、前記プランジャータブを選択的に係合するタブ係合部を備えた少なくとも一つの開口と、前記リザーバを加圧するために、前記ばねの力でのプランジャーの移動中、前記少なくとも一つのプランジャータブを案内するための少なくとも一つの凹部チャンネルを含むことを特徴とする器具。
【請求項17】
請求項16の器具であって、前記ハウジング内の前記少なくとも一つの開口は、前記凹部チャンネルに実質的に整列させられた垂直部分および前記タブ係合部を含む水平部分を有する、L型開口を含むことを特徴とする器具。
【請求項18】
請求項16の器具であって、前記プランジャーの前記作動前位置において、前記ばねは、前記タブ係合部に対して、前記タブを付勢することを特徴とする器具。
【請求項19】
請求項16の器具であって、前記プランジャーの前記作動前位置において、前記タブ係合部は、前記ばねと前記プランジャーが前記リザーバを加圧することを防止することを特徴とする器具。
【請求項20】
請求項16の器具であって、さらに、前記ハウジングの周りに回転可能に配置され、作動前位置と作動位置との間で回転可能であるローターを含み、
前記作動前位置から前記作動位置への回転中、前記ローターのタブ係合表面は、前記ハウジングの前記タブ係合部との係合から前記凹部チャンネルとの整列に至るまで、前記プランジャータブを回転させ、それにより、前記プランジャーが、患者への前記医薬の送達のために前記リザーバを加圧するため、前記ばねの力で移動できるようにすることを特徴とする器具。
【請求項21】
薬剤送達器具であって、
医薬を包含するために、その中に配置されたリザーバを有する本体、
前記リザーバから前記医薬が排出されるのを可能にするために前記本体内を移動可能なプランジャー、
前記プランジャーを、前記リザーバに向けて、作動前位置に付勢するばね、
前記本体内に配置された保持板であって、前記ばねが、前記保持板と前記プランジャーとの間に配置されている、前記保持板、
前記保持板および前記プランジャーのうちの一つに設けられた第一案内ユニットであって、前記第一案内ユニットは、所定の大きさおよび形を備えた部分を有する、前記第一案内ユニット、および、
前記保持板および前記プランジャーのうちの他の一つに設けられ、前記第一案内ユニットの前記大きさおよび形と相補的な大きさおよび形を有する第二案内ユニットであって、前記第一案内ユニットおよび前記第二案内ユニットが、前記プランジャーを、前記リザーバに対して第一位置に維持する、前記第二ユニットを含み、
前記器具の作動により、前記保持板および前記プランジャーのうちの一つが、前記保持板および前記プランジャーのうちの非回転の一つに対して回転し、その結果、第一案内ユニットが、第二案内ユニットと整列し、前記プランジャーが前記第一位置から解放されることをもたらし、前記プランジャーが、患者への前記医薬の送達のために前記リザーバを加圧するよう、前記ばねの力で移動することを可能とすることを特徴とする薬剤送達器具。
【請求項22】
薬剤送達器具であって、
医薬を包含するためにその中に配置されたリザーバを有する本体であって、前記リザーバが、柔軟性の壁を有する、前記本体、
前記リザーバから前記医薬が排出されることを可能にするために前記本体内を移動可能なプランジャーであって、該プランジャーは、その外端から延びる少なくとも一つのタブと、前記柔軟性のリザーバ壁に固定されない接触表面とを有する、前記プランジャー、
作動前位置にある前記プランジャーを前記リザーバに向けて付勢するばね、および、
前記本体内に配置されたハウジングであって、前記ハウジング内に、前記プランジャーおよびばねが配置されている、前記ハウジング、
を含み、
前記ハウジングは、前記プランジャーを作動前位置に維持するために前記プランジャータブと選択的に係合するためのタブ係合部分を備える少なくとも一つの開口を含み、前記ハウジングは、また、前記作動前位置から前記プランジャーを解放することで、前記プランジャーが、前記ばねの力で移動し、前記プランジャーの前記接触表面が前記柔軟性のリザーバ壁に接触し、患者への前記医薬の送達のために前記リザーバを押圧するように、前記少なくとも一つのプランジャータブを案内するための少なくとも一つの凹部チャネルを含むことを特徴とする薬剤送達器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15A】
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【図15B】
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【図15C】
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【図15D】
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【図16】
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【図17】
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【図18A】
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【図18B】
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【図19】
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【図20A】
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【図20B】
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【図21】
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【図22】
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【図23A】
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【図23B】
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【図24】
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【公表番号】特表2013−514133(P2013−514133A)
【公表日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−544450(P2012−544450)
【出願日】平成21年12月16日(2009.12.16)
【国際出願番号】PCT/US2009/006574
【国際公開番号】WO2011/075102
【国際公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(595117091)ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー (539)
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417−1880, UNITED STATES OF AMERICA
【Fターム(参考)】