説明

自己発泡性液体クリーマーおよび方法

食用酸性成分を含む第1の液体成分と食用塩を含む第2の液体成分とを含み、第1の液体および第2の液体は貯蔵安定性であり、かつ、第1の液体および第2の液体が組み合わされた場合に二酸化炭素が発生して泡の提供を助けるように操作的に結び付けられ、ここで、液体クリーマーが飲料と組み合わされた場合、クリーマーの一部が約20秒未満で飲料中に融解または分散して飲料にクリーミングフレーバーと白色の色調を付与し、残部のクリーマーが、目に見える泡の層として飲料の表面に存在するように、飲料の密度よりも低密度の泡を形成する、自己発泡性液体クリーマー、ならびにそれを用いて発泡飲料を製造する方法。飲料中に発生する泡の量は、発泡液体クリーマーのオーバーランによって決まる。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(技術分野)
本発明は、天然類似の自己発泡性液体クリーマー、ならびにその製造方法および使用方法に関する。より詳しくは、本発明は、食用酸性成分を含む第1の液体と食用塩を含む第2の液体とを含む自己発泡性液体クリーマーおよび方法に関する。
【0002】
(発明の背景技術)
コーヒーなどの飲料の表面に発泡層を生じさせる様々な方法が知られている。主たる例は、スタンダードなカプチーノコーヒーである。カプチーノスタイルコーヒーは、コーヒー飲料でできている下層と泡状のスチームミルクまたはスチームクリーマーの上層からなっている。最初にコーヒー層を作り飲料容器に入れる。次いで、ミルクまたはクリーマーをスチーム処理および気体混合して泡沫または泡を作り、これをコーヒー層の上に注ぐ。他の特別なコーヒー飲料も同様に作られる。通常、レストランまたはコーヒーショップではこのようなコーヒー飲料の作り方が行われており、専用の器具が必要とされている。さらに、かかる飲料の調製には熟練の操作者が必要であり、時間もかかる。
【0003】
したがって、コーヒー飲用者の要望を満たす目的で発泡性クリーマーおよび発泡性飲料などの多数の製品が市場に現れてきた。喫茶店およびコーヒーの人気の上昇に伴って、より一層、発泡性製品およびクリーマー製品が導入されるようになってきた。これらの一部を以下に詳述する。
【0004】
慣用のインスタントドライミックスのホットカプチーノ組成物は、コーヒー成分、発泡性クリーマー成分、任意の甘味剤成分を他の任意の組成物(香料、着色料および泡安定剤成分など)とともに含む。一般に、この組成物は、水または牛乳などの熱した液体中に粒状粉末として、または粒状組成物として供給されている。甘味剤は、組成物中に含まれていない場合、通常、飲料を調製している時に加える。ホットカプチーノ飲料は、通常、飲料の表面に、入れたてのカプチーノ中のスチームミルクによって、およびインスタントカプチーノ中の粒状ドライミックス発泡性クリーマーによってもたらされる大量の特有の泡を有する。
【0005】
発泡性飲料は、泡を含んだその飲料全体が、インスタントカプチーノスタイルコーヒーなどでワンステップにより調製されるので人気がある。かかる飲料は、米国特許第5882716号、米国特許第6048567号、米国特許第6174557号、米国特許第6290997号、米国特許第6569486号、米国公開公報第2003/0157235号、米国公開公報第2003/0219522号、国際公報国際公開第00/56163号パンフレット、および日本公開公報第2003−000210号に記載されている。しかし、これらの予備形成した発泡性飲料は、用いるコーヒーまたは他の飲料の種類など、個人の嗜好によって飲料を調整する融通性を消費者に与えるものではない。さらに、多くのコーヒー飲用者は、インスタントコーヒーまたは濃縮物から作られるコーヒーよりも新しく入れたコーヒーの方が好きである。
【0006】
米国特許第5350591号には、二酸化炭素発生成分を含有している乾燥粉末混合物形態の発泡性クリーマー組成物が記載されている。EP0796562には、カプチーノの泡を形成するガスの混和を必要としない粒状ドライミックス発泡性クリーマーが記載されている。この泡は、代わりに、グルコノラクトンとアルカリ金属炭酸塩もしくは重炭酸塩を混合することにより得られる。この発泡性クリーマーは、ドライミックス可溶性コーヒー商品または液体飲料(入れたてのコーヒーなど)と一緒に利用することができる。グルコノラクトン以外のすべての添加剤は、浮遊凝集塊の形成をもたらすか、あるいは、沈殿を引き起こす不完全な溶解性、塩味、または他の明らかな風味もしくはテクスチャー上の変化、適切な泡を形成するための重炭酸塩との反応を推進する酸性度が不十分であること、またはオリジナルの飲料のpH値を保持する酸性度が不十分であることに問題があると言われている。
【0007】
また、発泡剤を含む他の乾燥クリーマー配合物は広範囲に及んでいる。粉末クリーマー配合物または乾燥クリーマー配合物は、米国特許第4438147号、米国特許第5462759号、米国特許第5721003号、米国特許第5780092号、米国特許第6129943号、米国特許第6168819号、米国特許第6589586号、米国公開公報第2002/0018839号、米国公開公報第2002/0127322号、国際公報国際公開第97/25882号パンフレット、国際公報国際公開第03/041506号パンフレット、EP0813815、EP0885566、および日本特開平08−038048号に記載されている。乾燥配合物に伴う問題としては、例えば、水分が乾燥粉末に接触した場合などの、通常の輸送中および取扱い中に発生する乾燥商品の物理的完全性または構造の破壊が挙げられる。このように構造上の破壊があると、多くの場合、望ましい発泡特性に達しなくなるとともに、魅力的な官能特性に及ばなくなり、その飲料の新鮮さと魅力が損なわれる。
【0008】
したがって、いくつかの別のタイプのクリーマーが製造された。例えば、米国特許第6713114号には、飲料の上に泡沫層または泡層をもたらす凍結飲料トッピング組成物が記載されている。この飲料トッピング組成物は、クリーミング状になり、コーヒーおよび他の飲料にフレーバー、甘み及び僅かな冷たさを付与することができる。飲料を加えると、それ自体で泡が生じる。また、米国公開公報第2004/0062846号には、粉末および液体の乳製品クリーマー組成物および非乳製品クリーマー組成物が記載されている。これらのクリーマー組成物は、濃縮形態で、また即時利用形態で調製することができるが、場合により発泡剤を含んでいてもよい。
【0009】
先行技術の発泡性クリーマーの多くは、高い頻度で、白色の泡の代わりに、褐色の泡またはまだらのある有色の泡が生じる。褐色の泡は、コーヒーの飲み心地を損なう。一方、白色の泡は、飲料が新鮮な成分で作られたように、ことによると、従来通りに、すなわちエスプレッソの器具を用いて従来の喫茶店にいるように飲用者に感じさせることによって体験の質を高める。さらに、公知の発泡性クリーマーは、ホット飲料では泡を発生させることができるが、コールド飲料での使用についてはまったく知られていない。したがって、いかなる温度の液体飲料に加えた場合にも白色の泡を提供し、飲料に白色の色調とクリーマーのフレーバーを提供する、新鮮で、自然に発泡する液体クリーマーが必要とされている。
【0010】
(発明の概要)
本発明は、食用酸性成分を含む第1の液体成分と、食用炭酸塩、重炭酸塩またはその組合せを含む第2の液体成分とを含み、第1の液体および第2の液体は貯蔵安定性であり、かつ、第1の液体および第2の液体が組み合わされた場合に二酸化炭素が発生して泡の提供を助けるように操作的に結び付けられ、ここで、液体クリーマーが飲料と組み合わされた場合、クリーマーの一部が約20秒未満で飲料中に融解または分散して飲料にクリーミングフレーバーと白色の色調を付与し、残部のクリーマーが、目に見える泡層として飲料の表面に存在するように、飲料の密度よりも低密度の泡を形成する、自己発泡性液体クリーマーを包含する。好ましい実施形態では、第1の成分および第2の成分は貯蔵安定性であり、物理的に分離されている。
【0011】
一実施形態では、第1の液体または第2の液体の少なくとも1つは、タンパク質溶液もしくは多糖類溶液、またはその両方をさらに含む。タンパク質溶液は、粉乳、ホエータンパク単離物、スイートホエーパウダー、酸ホエーパウダーもしくはカゼイン酸カルシウム、またはその組合せを含むのが好ましい。多糖類溶液は、マルトデキストリンを含むのが好ましい。
【0012】
一般に、第1の液体および第2の液体は、それぞれ0.001%〜約50%の全固形分含有量を有する。好ましい実施形態では、第1の液体は、1%〜約40%の全固形分含有量を有するマルトデキストリン溶液を含む。別の好ましい実施形態では、第2の液体は、約1%〜60%の全固形分含有量を有する水性脱脂粉乳溶液を含むか、約1%〜40%の全固形分含有量を有する、約0.5%〜10%の炭酸塩もしくは重炭酸塩またはその組合せで塩基性にされたタンパク質溶液を含む。
【0013】
酸性成分は、有機酸、無機酸またはその組合せであってよい。酸性成分は、例えば、クエン酸、アスコルビン酸、酒石酸、フマル酸、アルギン酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、アラビアゴム、低メトキシペクチン、高メトキシペクチン、グルコノデルタラクトン、ポリガラクツロン酸、リン酸一カルシウム一水和物、リン酸一カルシウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、またはその組合せであってよい。好ましい実施形態では、酸性成分としてはアスコルビン酸が挙げられる。
【0014】
用いられる炭酸塩および重炭酸塩としては、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、重炭酸アンモニウム、重炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、またはその組合せが挙げられる。さらに、本クリーマーは、乳製品クリーマー(dairy creamer)、または非乳製品クリーマー(non−dairy creamer)のいずれかの形態であってもよい。好ましい実施形態では、重炭酸塩は重炭酸カリウムである。
【0015】
有利には、本クリーマーは、様々な方法で配置することができる。一実施形態では、第1の成分および第2の成分は、1つのパッケージの別々の区画に配置される。別の実施形態では、第1の液体および第2の液体は1つのパッケージの1つの区画中に封入される。1つの区画のみが2種類の液体を含む場合、酸性成分および塩の少なくとも1つは、融点が少なくとも約25℃である脂質コーティングでカプセル化されているのが好ましい。このコーティングとしては、1種または複数のモノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、モノグリセリドもしくはジグリセリドの酢酸エステル、モノグリセリドもしくはジグリセリドの乳酸エステル、ステアロイル乳酸ナトリウム、モノグリセリドもしくはジグリセリドのジアセチル酒石酸エステル、ショ糖エステル、レシチン、または脂肪酸のプロピレングリコールエステル、ワックス、脂肪アルコール、またはその組合せが挙げられる。
【0016】
好ましい実施形態では、本飲料には、紅茶、コーヒーもしくはチョコレート、またはその組合せが含まれる。別の好ましい実施形態では、本発明は、自己発泡性クリーマーを含む非加圧容器に関する。本発明のさらなる別の態様は、少なくとも1つが上述のクリーマーを含む複数の製品を有し提供する自動販売機に関する。
【0017】
本発明はまた、クリーマーの泡形成を促進するのに十分な量の二酸化炭素を生成させるために、本発明のクリーマーの第1の液体成分と第2の液体成分を組み合わせるステップと、飲料の上に泡層を有し、飲料中でクリーミング作用を有する白くなった発泡飲料を提供するために、十分な量のクリーマーを飲料成分と組み合わせるステップにより、白くなった発泡飲料製品を提供する方法に関する。
【0018】
さらに本発明は、水含有飲料と液体クリーマー(ここで、前記クリーマーは、組み合わせた後に飲料中に泡を提供し、飲料が白くなるように飲料全体にわたって分散する)を組み合わせ、泡を上昇させて飲料表面に上部泡層を形成させることによって、知覚される新鮮上部泡層を有する白くなった飲料製品を提供する方法に関する。好ましい実施形態では、発泡飲料を提供するために、液体クリーマーの第1の成分および第2の成分はクリーマーを自己発泡した後、飲料と組み合わせられる。さらに別の好ましい実施形態では、本クリーマーは、約20秒未満で飲料全体にわたって分散する。
【0019】
本発明は、水含有飲料と組み合わせた場合、クリーマーの一部が泡層を提供し、残部のクリーマーが約20秒未満で部分的に融解または分散して飲料に白色の色調とクリーマーフレーバーを付与し、泡層が、飲料上に存在するように飲料の密度よりも低密度を有できるような、第1の液体成分および第2の液体成分を含む即時利用の自己発泡性液体クリーマーを包含する。即時利用のクリーマーの好ましい一実施形態では、第1の成分は食用酸性成分を含む第1の液体であり、第2の成分は食用炭酸塩、重炭酸塩またはその組合せを含む第2の液体であって、第1の液体および第2の液体は冷蔵庫安定性であり、第1の液体および第2の液体が組み合わされた場合に二酸化炭素が発生して泡の提供を助けるように操作的に結び付けられ、ここで、液体クリーマーが飲料と組み合わされた場合、泡の一部が飲料中に分散して飲料にクリーミング作用と白色化作用を付与し、残部の泡が目に見える泡層として飲料の表面に存在する。
【0020】
本発明はまた、食用酸性成分を含む第1の液体を含む第1のプレクリーマー成分と、食用炭酸塩、重炭酸塩またはその組合せを含む第2の液体を含む第2のプレクリーマー成分とを含む自己発泡性液体クリーマーであって、第1の液体および第2の液体はそれぞれ貯蔵安定性であり、物理的に分離されおり、第1の液体および第2の液体が組み合わされた場合に二酸化炭素が発生して泡の提供を助けるように操作的に結び付けられ、ここで、液体クリーマーが飲料と組み合わされた場合、泡の一部が約20秒未満で飲料中に融解または分散して飲料にクリーミング作用と白色化作用を付与し、残部の泡が、目に見える泡の層として飲料の表面に存在する、液体クリーマーに関する。好ましい一実施形態では、食用酸性成分および食用塩成分の少なくとも1つは、融点が少なくとも約25℃である、脂質コーティングでカプセル化されている。
【0021】
本発明のさらなる特徴および利点は、以下に記載の図面に関連して提示されている以下の詳細な記載により確認することができる。
図1は、本発明によるクリーマーをホットカプチーノコーヒー飲料に加えた場合の発泡特性および白色化特性を示す図である。
【0022】
(好ましい実施形態の詳細な説明)
驚いたことに、また思いがけないことに、本発明は、白色発泡層を含み、飲料を白色化するとともにクリーマーフレーバーを付与し、それによって飲料の視覚的な魅力、フレーバーおよびテクスチャーが向上する、天然類似の自己発泡性液体クリーマーを提供する。本クリーマーによって提供される白い泡は、従来カプチーノスタイル飲料の表面に載せられているスチームミルクおよび発泡ミルクに視覚的に、また味と匂いの点で似ているのが好ましい。しかし、本クリーマーは即時利用され、ホット飲料およびコールド飲料の双方で容易に分散して白色化作用とクリーマーフレーバーを提供するとともに、面倒な器具または機械を使用することなく白色の泡を生じる。本クリーマーと組み合わせて用いることができる飲料としては、例えば、コーヒー、紅茶、チョコレート、アルコール飲料、スープ、ジュース等、またはその任意の組合せ(例えば、紅茶とレモネード、またはコーヒーとアルコール飲料)が挙げられる。好ましい飲料としては、紅茶、コーヒーもしくはホットチョコレート、またはその組合せが挙げられる。
【0023】
したがって、本発明は、水含有飲料と組み合わせた場合に、クリーマーの一部が泡層を提供し、残部のクリーマーが約20秒未満で部分的に融解または分散して飲料に白色の色調とクリーマーフレーバーを提供できるような、第1の成分および第2の成分を含む自己発泡性液体クリーマーに関する。本発明のクリーマーは、天然類似であるのが好ましく、すなわち、ミルクまたはクリームなどの発泡天然製品のテクスチャーおよび外観に非常に似ているのが好ましい。また、天然類似というのは、天然製品よりも安定性が改善されており、スチームミルクなどの慣用の喫茶店製品と比べてかかるクリーマーの調製および保管の利便性を高める、加工クリーマーが含まれることを理解されたい。本発明の天然類似製品は、かかる慣用の喫茶店製品と少なくとも同等の知覚官能検査特性を有している。泡層は、飲料表面に存在するように、飲料よりも低密度である。この密度は、約0.1g/cm〜0.6g/cmであるのが好ましく、より好ましくは約0.25g/cm〜0.45g/cmである。
【0024】
ある一の単純なステップでは、飲料飲用者は、本発明の液体クリーマーを飲料と組み合わせて、飲料のフレーバーおよびテクスチャーを改善し、組み合わせた飲料の色調を変化させることができると同時に、コーヒーの表面の液体内にガス封入された泡層または泡沫層を提供することができる。飲料と液体クリーマーとの組合せには、手動の攪拌を行う必要がないのが好ましい。発泡天然ミルクのフレーバー、色調およびテクスチャーの長所と同じように作用する液体形態の天然類似クリーマーを提供することにより、消費者が飲料を新鮮で天然なものとして強く知覚するようになり、また、消費者がホット飲料またはコールド飲料を楽しむために待たなければならない時間が短縮される。鮮度は、変性傾向のないクリーマー成分を用いることにより達成することができる。すなわち、本発明の天然類似のクリーマーは、変性するタンパク質または他の成分を実質的に含まないか、あるいはまったく含まないものであってよい。したがって、ミルク、クリーム由来の成分または他の天然成分も本発明のクリーマーの形成に含めることができる。消費者は、一杯の自家製の例えばコーヒーを、豊かなテクスチャー、白色化作用、および目に見える泡層を有する喫茶店スタイルのグルメ飲料に変えることができるのが有利である。自己発泡性クリーマーによって生成される泡の量は、特に、本明細書における本発明の記載を参照して当業者によって容易に決定され得る。
【0025】
本クリーマーは、乳製品クリーマーであっても、非乳製品クリーマーであってもよい。したがって、本発明の別の驚くべき、予期せぬ利点は、新鮮な乳製品クリーマーの白色化、発泡性およびフレーバーに似た天然類似の非乳製品クリーマーを提供することができることである。これは、有利には、乳製品の摂取を最小限にすること、または回避することが好まれる人々(例えば、ラクトース不耐症の人など)に役立つ。さらに、乳性または非乳性にかかわらず、本発明の液体クリーマーには、新鮮なミルクまたはクリームに比べて貯蔵期間が長いという望ましい効果がある。本発明のクリーマーは、冷蔵庫で、または冷蔵庫を用いずに保存することができる。使用する成分は冷蔵を必要としないのが好ましく、すなわち、これらは貯蔵安定性であり、冷凍することなく、長期間(例えば、少なくとも約3カ月間、好ましくは少なくとも約6カ月間)の貯蔵に好適であるように製造される。請求項に記載の本発明の天然類似液体クリーマーは、所望により新鮮ミルクの特定成分の一部をさらに含んでいてもよく、あるいは、本クリーマーは、新鮮ミルクにおいて一般に確認されている腐敗しやすい成分を実質的にまたは完全に含まないようにして、天然クリーマーの発泡性、白色化、およびフレーバー増強効果を維持しながら貯蔵期間を延ばすことができる。
【0026】
また本発明のクリーマーは、少なくとも実質的に脂肪を含まないか、あるいは好ましくはまったく脂肪を含まずに、健康によくない脂肪内容物を加えることなく、実際のクリーマーのフレーバー、テクスチャーおよび視覚的効果を提供する。また本クリーマーはアスコルビン酸を含有することが好ましく、したがって、本クリーマーは水溶性ビタミン源となり得る。驚いたことに、自己発泡性クリーマーでは、アスコルビン酸は、栄養上の効果を提供するとともに、食用炭酸塩、重炭酸塩またはその組合せと組み合わせた場合に泡を提供するよう作用し得る。
【0027】
本クリーマーは、一般に、食用酸性成分を含む第1の液体と食用塩を含む第2の液体とを含む自己発泡性液体クリーマーである。この2種類の液体は、少なくとも実質的に、好ましくは完全に互いに混和性でなければならず、酸性化またはアルカリ化された場合に安定していなければならない。食用塩としては、一般に、炭酸塩、重炭酸塩またはその組合せが挙げられる。第1の液体および第2の液体が組み合わされた場合、二酸化炭素が発生し、白色の泡が生じる。本液体クリーマーが飲料と組み合わされた場合、すなわち、飲料中に生じた場合、泡の一部は飲料中に分散して飲料にクリーミング作用と白色化作用を付与し、一方、残部の泡は目に見える泡層として飲料の表面に存在する。この分散は、任意の好適な化学的プロセスまたは物理的プロセスの結果として生じ得るが、一般に、液体飲料への泡部分の融解または溶解が含まれる。図1は、本クリーマーをホットカプチーノ飲料に添加した場合の発泡作用および白色化作用を示すものである。
【0028】
一般に泡は、例えば同量の第1の液体と第2の液体を混合することにより瞬間的に形成される。第1の液体または第2の液体の1つは他の液体よりも多量に存在してもよいが、各液体は、目に見える泡層を提供するのに十分な泡を生成し、一部の泡に関しては、飲料中に分散して飲料に有効な白色化作用およびフレーバー増強をもたらすのに十分な量で存在しなければならない。泡は別々の容器中で形成され、次いで、飲料上に注ぐことができる。場合により、泡は、その場で泡を形成するために、2種類の液体を飲料に別々に注ぐことによるか、あるいは、1つの液体成分を飲料と組み合わせ、次いで、第2の液体成分を加えることにより生成することができる。これらの任意の実施形態では、その場で泡を生成する場合、得られる泡は、実質的に飲料と同じ色調である。本発明のすべての実施形態では、本液体クリーマーが飲用容器に最初に提供され、続いて飲料が提供されること;最初に飲料が提供され、次いで液体クリーマーが提供されること;飲料とクリーマーの一部を交互に提供すること;あるいは飲料とクリーマーを組み合わせる他の任意の好適な方法により提供されることを理解されたい。第1の液体および第2の液体は、混合後に、白色で、細かく、好ましくは均質の多量の泡を生じる能力を有しているのが好ましい。酸塩基反応によって生成される多量の二酸化炭素によって、形成される混合物に気体混合することができる。この酸塩基反応を以下に化学的に示す。
HA+XHCO → XA+HO+CO
HAは、第1の液体中の酸性成分に対応し、XHCOは第2の液体中の塩基性塩に対応する。2種類の液体を組み合わせることによって、塩のXA、水および二酸化炭素が生じる。最良の結果を得るには、十分に多量の二酸化炭素を速やかに遊離させなければならない。この容量は、存在している液体クリーマーの大部分を(好ましくは実質的に全部を、さらに好ましくは全部を)泡立たせるのに十分なガスを発生させるのに十分に多量でなければならない。
【0029】
一実施形態では、第1の液体または第2の液体の少なくとも1つは、タンパク質溶液もしくは多糖類溶液またはその両方をさらに含む。タンパク質溶液は、すべての泡立ちやすいタンパク質または発泡性タンパク質であってよい。タンパク質溶液としては、卵タンパク質およびミルクタンパク質、植物タンパク質、微生物タンパク質、またはその混合物を挙げることができる。タンパク質溶液としては、好ましくは、粉乳、ホエータンパク単離物、スイートホエーパウダー、酸ホエーパウダーもしくはカゼイン酸カルシウム、またはその組合せが挙げられる。多糖類溶液としては、好適なすべての炭水化物、例えば、デンプン、セルロース、アルギン酸塩等を挙げることができる。好ましくは、多糖類溶液としてはマルトデキストリンが挙げられる。好適な量のタンパク質溶液、多糖類溶液、甘味剤および香料は、所望の通り、あるいは、特に本明細書中の本発明の記載を参照して当業者によって容易に決定される量で含むことができる。
【0030】
場合により、第1の液体および第2の液体の1つの液体または両液体は、1種または複数の甘味剤および/または香料を含んでいてもよい。甘味剤は、ノンカロリー甘味剤、低カロリー甘味剤、またはカロリー甘味剤であってもよい。甘味剤は、クリーマーに広範囲の全体にわたる甘味を付与する。一般に、ノンカロリー甘味剤または低カロリー甘味剤は、高濃度甘味剤および充填剤を含む。充填剤は、甘味をほとんど付与しないか、まったく付与しないが、クリーマーの全体構造および保全性を維持するのを促進することができる。カロリー甘味剤としては、一般に、糖または糖の混合物、例えば、フルクトース、スクロース、デキストロース、マルトース、ラクトース、高フルクトースコーンシロップ固体、転化糖、糖アルコール等、ならびにこれらの甘味剤の混合物が挙げられる。着香料は、飲料に1種または複数の特定のフレーバーを加えるために用いられる。これらの着香料は、天然起源のものであっても、人工起源のものであってもよい。好ましい着香料としては、アマレット、アーモンドナッツ、アニゼット、ブランデー、ミント、チョコレート、シナモン、シナモンアーモンド、モカ、バニラ、タフィー、カプチーノ、レモン、マカダミアナッツ、オレンジ、ピーチ、ストロベリー、グレープ、ラズベリー、チェリー、コーヒー等、およびその混合物が挙げられる。クリーマーへの着香料の添加は、コーヒーの飲み心地をさらに高めることができる。
【0031】
第1の液体および第2の液体の各全固形分含有量は、一般に、0.001%〜約50%、好ましくは約1%〜48%、さらに好ましくは約20%〜40%である。一実施形態では、第1の液体は、約5%〜40%の全固形分含有量を有するホエータンパク質溶液(例えば、マルトデキストリン)もしくは約0.001%〜20%の全固形分含有量を有するカゼイン酸カルシウム溶液、または両溶液を含む。第1液体は、本クリーマーを酸性化するのに十分な有機酸性成分または無機酸性成分で酸性化し、炭酸塩または重炭酸塩とともに泡の形成を促進するのが好ましい。したがって、好ましくは、第1の液体は、約1〜6、好ましくは2〜5のpH値まで酸性成分で酸性化するのが好ましい。代表的な酸性成分のpH値は約2.5である。別の実施形態では、第2の液体は、約1%〜60%の全固形分含有量を有する水溶性脱脂粉乳溶液を含むか、あるいは約1%〜40%の全固形分を有する、約0.5%〜10%の炭酸塩もしくは重炭酸塩またはその組合せで塩基性にされたタンパク質溶液を含む。しかし、クエン酸などの酸性成分は、タンパク質の沈澱を起こさないようにできないため、第2の液体に加えることができない。したがって、酸性成分は、いかなる成分の沈澱(これは、飲料とクリーマーの組合せのフレーバーおよび/または外観に都合悪く影響を与え得る)をも最小限にし、または回避するために、例えば、ホエータンパク質溶液と一緒に第1の液体に含まれるのが好ましい。実際、本発明のクリーマーは、実質的にまたはまったく沈殿を含まず、また飲料と組み合わせる場合にも、実質的にまたはまったく沈殿を含まない。好ましくは、本クリーマーのすべての成分、飲料およびその組合せは、実質的にまたは完全に可溶性である。
【0032】
酸性成分は、1種または複数の有機酸、無機酸またはその組合せを含み得る。有機酸塩および誘導体、例えば、無水物、エステルまたはラクトンなどを用いることもできる。好適な有機酸または塩の例としては、クエン酸、アスコルビン酸、酒石酸、フマル酸、アルギン酸、リンゴ酸、コハク酸、アラビアゴム、低メトキシペクチン、高メトキシペクチン、グルコノデルタラクトン、ポリガラクツロン酸、重酒石酸カリウム、フマル酸一カルシウム、フマル酸一カリウム、クエン酸一ナトリウム、クエン酸二ナトトリウム、アルギン酸ナトリウム、およびアルギン酸カリウムが挙げられる。好適な無機酸の例としては、リン酸一カルシウム一水和物、無水リン酸一カルシウム、酸性ピロリン酸ナトリウム、リン酸アルミニウムナトリウム、リン酸二カルシウム二水和物、メタリン酸カリウム、リン酸一ナトリウム、リン酸一カリウム、およびヘキサメタリン酸ナトリウムが挙げられる。好ましくは、酸性成分としては、クエン酸、アスコルビン酸、酒石酸、フマル酸、アルギン酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、アラビアゴム、低メトキシペクチン、高メトキシペクチン、グルコノデルタラクトン、ポリガラクツロン酸、リン酸一カルシウム一水和物、リン酸一カルシウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、またはその組合せが挙げられる。
【0033】
炭酸塩および重炭酸塩としては、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、重炭酸アンモニウム、重炭酸マグネシウム、もしくは炭酸カルシウム、またはその組合せが挙げられる。
【0034】
酸塩基反応は、2種類の液体を混合した後、適度な時間内に、例えば約20秒未満、好ましくは約10秒未満、さらに好ましくは約5秒未満に多量の泡を発生させるのが好ましい。具体的な実施形態では、実質的には、すべての泡が第1の液体と第2の液体を組み合わせた後3秒以内に直ちに形成される。好ましくは、すべての実施形態において、クリーマーの白色化作用およびクリーミング作用も実質的に同じ時間内に生じる。好ましくは、生成される泡の量は、飲料の約2〜40体積%、さらに好ましくは飲料の約5〜20体積%である。しかし、この酸塩基反応によって、過剰に飲料を酸性化すべきではなく、特に、本発明の発泡性クリーマーの結果として、飲料フレーバーに望ましくない味が含まれてしまう程度にまで酸性化すべきではない。
【0035】
さらに、液体クリーマー中で二酸化炭素を発生させるための第1の液体と第2の液体の組合せは、好ましくないフレーバーおよび/または塩味を発生させるものではない。重要なこととしては、これらの組合せは、例えば、タンパク質の凝固もしくは沈澱または不溶性塩類の形成によって生じる浮遊凝集塊の形成を最小限に抑制するか回避するのが好ましい。乳性成分を含む溶液で、酒石酸またはクエン酸と重炭酸塩との化学量的混合物を使用した場合、通常、タンパク質の沈澱が発生する。さらに、純無機塩類を使用した場合、Ca2+などの遊離金属カチオンが遊離され、これがタンパク質錯体を誘発するとともに、浮遊複合体を出現させる。したがって、一実施形態では、酸性成分は、重量比が約1.5:1〜3:1、好ましくは約2:1のリン酸一カルシウム一水和物と酒石酸との二成分混合物である。この二成分酸混合物と重炭酸塩との反応は、通常、ガス発生とともに可溶性複合体を形成させる。
【0036】
別の好ましい実施形態は、酸性成分がアスコルビン酸を含む場合であり、この酸は酒石酸またはクエン酸よりも飲料を酸性化する程度が小さい傾向にあり、したがって、これによりタンパク質の沈澱が最小限に抑制されるまたは予防される。さらに、前記複合体は安定していて、浮遊凝集塊形成の一因とはならない。最後に、アスコルビン酸は栄養上の効果を提供するとともに、良好な官能検査特性を有している。
【0037】
本クリーマーの自己発泡は、一般に、飲料または飲料成分へ添加する際の直前であるため、発泡性クリーマーは、泡を発生するためのエアゾール缶などの加圧容器を必要としない。したがって、本クリーマーは、さほど高価でなく、環境によりやさしい容器、例えば非加圧容器などに包装することができる。また一般的に、エアゾール缶は、オゾン層に害を及ぼし得る環境上有害な、典型的にクロロフルオロカーボンなど噴射剤化学物質を含む。非加圧容器を使用することにより、環境およびその資源の保全が促進される。
【0038】
また本発明には、本発明のクリーマーを含む包装または容器も含まれる。本クリーマーは使用のために包装され、各包装は、1回限りの使用、または複数回の使用、またさらに大量使用、またはフードサービスでの使用に対して十分な量の第1のクリーマー成分および第2のクリーマー成分を収容することができる。1回限りの使用の包装または複数回使用の包装は、場合により、スーパーマーケット、コンビニエンスストア等へ出荷および販売するための多重包装されたケースまたはカートンに詰めることができる。この包装は、液体を収容するために用いられる、区画された缶、カートン、ジャー、ボトル、カップ、または他の慣用の、もしくは使い捨ての容器の形態であってよい。例えば、容器はプラスチックボトルであってもよく、好ましくは多層プラスチックボトルである。プラスチックボトルの形成には、すべての好適なプラスチック原料もしくは高分子原料またはその組合せを用いることができる。例としては、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンおよびポリプロピレンが挙げられる。好ましくは、1種または複数のポリオレフィン族原料が用いられる。好ましい一実施形態では、パッケージは、強剛なボトルまたは圧搾可能なボトルである。一実施形態では、本クリーマーは、乳製品クリーマーまたは非乳製品クリーマーの配達に好適な自動販売機に入れることができる。
【0039】
本液体クリーマーは、好ましくは、非加圧容器で包装することができる。すなわち、これらには、出荷、保存等のための気圧調節が必要ではない。一般に、非加圧とは周囲圧力またはほとんど周囲圧力であることを意味し、好ましくは、非加圧クリーマーは、発泡には不必要な推進ガス(例えば亜酸化窒素)を少なくとも実質的にまたはまったく含まない。驚いたことに、これによって、上述の本発明の発泡性クリーマー製品に対して慣用の包装を用いることができる。好ましくは、非加圧容器は一般に本発明の発泡性クリーマーに好適な冷蔵庫安定性を付与するので、容器に、特殊コーティング、箔包装、真空パックまたは他の特殊な鮮度保存努力を求めることを最小限にするか、回避することができる。好ましくは、本クリーマーの包装は、すべての好適な食品グレードの材料または最も内側の層が食品グレードの材料で作られている多層材料の非加圧ボトルまたは缶または箱である。典型的な包装は非加圧ボトルである。本クリーマーは、消費者が簡単に包装を開け、飲料に本発泡クリーマーを入れることができるように包装することができる。この実施形態は、自動販売機における配置および販売に適し得る。
【0040】
一実施形態では、本クリーマーの第1の液体および第2の液体は、1つの包装の別々の区画中に配置される。一般に、消費者は包装を開き、カップなどの別の容器中へその別々の区画の液体内容物を注ぎ、泡を形成させる。その後、消費者は飲料にこの泡を注ぐ。あるいは、包装内容物を、飲料または容器中へ直接的に、および同時に、または連続して注ぎ入れ、その場で泡を形成させることができる。
【0041】
別の実施形態では、二成分系の第1の成分および第2の成分は、1つの包装の1つの区画内に封入されている。区画内で泡が時期尚早に形成されるのを防止するために、少なくとも1つの酸性成分および塩は、融点が少なくとも約25℃、好ましくは少なくとも約35℃である脂質コーティングでカプセル化されているのが好ましい。一実施形態では、この融点は、少なくとも約45℃であることができる。次いで、酸性成分および塩成分は、脱脂粉乳水溶液などの良好な発泡特性のある液体マトリックス中に分散させる。室温では、脂質コーティングは固体であり、酸性成分と塩の反応を防止する。脂質コーティングの融解温度より高い温度のコーヒーなどの飲料を加えることによって、コーティングは時間とともに(例えば約0.1〜20秒)徐々に溶解し、酸性成分および/または塩が放出され、それらに反応が起こり、泡が生成される。コーティングとしては、1種または複数のモノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、モノグリセリドもしくはジグリセリドの酢酸エステル、モノグリセリドもしくはジグリセリドの乳酸エステル、ステアロイルラクチル酸ナトリウム、モノグリセリドもしくはジグリセリドのジアセチル酒石酸エステル、ショ糖エステル、レシチン、または脂肪酸のプロピレングリコールエステル、ワックス、脂肪アルコールまたはその組合せを含むのが好ましい。
【0042】
本発明のクリーマーは、脂肪/油の微粒子もしくは乳化剤またはその両方を実質的に、好ましくはまったく含まない。有利には、本クリーマーには、ホット飲料またはコールド飲料中に容易に分散させるための乳化剤は必要ではない。脂肪または油が用いられる場合は、それらは一般に、酸性成分および/または塩成分に対するコーティングとしてのみ本クリーマーに含まれる。
【0043】
この一区画/単一包装の実施形態は、主として、ホット飲料とともに用いられるクリーマーの場合にのみ有用である。好ましくは、第1の液体および第2の液体は、コールド飲料であってもクリーマーが速やかに泡を形成し得るように、融点が少なくとも約25℃である脂質コーティングの使用を回避するか最小限に抑える方法で組み合わせる。
【0044】
一実施形態では、塩は、好適な粒径、例えば約100μm未満、好ましくは約80μm未満、さらに好ましくは約50μm未満に粉砕し、コーティング系中で分散させる。次いで、コーティングした塩をスプレー冷却し、得られた粉末を発泡可能な混合物中に分散させる。
【0045】
さらに、それほど好ましくはないが、最初に酸性成分および塩を包装中で反応させて一部または全部の泡を形成させることができる。これは、例えば、酸性成分および/または塩の一部のみをコーティングすることによって達成することができる。この実施形態では、発泡飲料を楽しむ前に酸塩基反応が起こる限りは、消費者は待つ必要がない。消費者は包装を開封し、飲料に発泡クリーマーを加えるだけである。この実施形態は、自動販売機における配置および販売で好適であり得る。
【0046】
本明細書では、「白」とは、ミルク、クリーム等の色調を意味し、ベージュ色または他のオフホワイト色を含み得る。「分散する」という用語には、例えば、飲料中に泡が融解または溶解する可能性が含まれる。
【0047】
これらの液体成分は低温殺菌することができるか、さもなければ、熱処理して貯蔵安定性を高めることができる。クリーミング作用を付与し、飲料を白くする天然類似の液体クリーマーの一部は、好ましくは、飲料中に少なくとも実質的に分散し、より好ましくは完全に分散する。最も好ましい実施形態では、その一部は、飲料中に均一に分散する。典型のホイップクリームのトッピングは、一般に、飲料中に(例えば飲料全体にわたって)分散せず、したがって、飲料に白色化作用を付与することはない。しかし、本明細書に記載のクリーマーは、飲料のテクスチャーを変化させ、泡層を生成しながら、いずれも飲料中に分散して飲料に白色化作用と望ましいフレーバー変化を付与する泡を提供する。
【0048】
これらの液体クリーマーまたはその成分の貯蔵期間は、少なくとも約60日、好ましくは少なくとも約90日、さらに好ましくは少なくとも約120日であって、冷蔵温度ではさらに長くなる。貯蔵のための周囲温度は20℃であると考えられるが、冷蔵温度としては、一般に約10℃未満、好ましくは約6℃未満の温度が挙げられる。本発明のクリーマーは、一般に、それが液体形態で存在するために、凍結温度(0℃)よりも高い温度で保存される。
【0049】
本発明はまた、選んだ飲用容器中へカフェイン入り飲料を入れるための、または飲用容器または飲料中へ液体の自己発泡性天然類似クリーマーを調製して入れるための、取扱説明書(例えば、ラベル、包装または挿入物など)をはじめとする、飲用容器中で飲料を調製するための一連の取扱説明書を含む。飲料およびクリーマーのいずれかを入れる順番は指定することができ、また、最初に発泡性クリーマーを形成させるのではなく、飲料へ酸性成分および塩成分をいずれかの順番で直接加え、次いで、それを飲料と組み合わせることによって本クリーマーをその場で泡立たせることができる。飲料または天然類似クリーマー液体もしくはその成分の配置は、スプーンを用いずに飲料全体にわたってクリーマーを分散させるのに十分であることが好ましい。一連の取扱説明書は、例えばクリーマーの包装の上に表示することができる。一実施形態では、発泡および/または分散を促進するために、飲料は少なくとも約100℃であるのが好ましい。特に、脂質または油脂カプセル材料を酸性成分または塩成分の一方または両方で用いる場合、カプセル材料の融解を促進し、泡の発生のタイミングおよび/または速度を速くするには、暖かい飲料が好ましい。別の実施形態では、低粘度発泡クリーマーを製造して、コールド飲料であっても、例えば、室温にあるもの、または冷蔵庫温度にまでさらに冷却されたものであっても発泡および分散を促進することができる。
【0050】
本発明はまた、本発明の自己発泡性天然類似液体クリーマーを配達するための、様々な配達方法および器具(例えば自動販売機)を包含する。一実施形態では、本発明は、少なくとも1つが上述したクリーマーである複数の製品を有し、提供する自動販売機を包含する。自動販売機中に入っている他の製品は、任意の好適な飲料またはその成分が含まれ得る。
【実施例】
【0051】
以下の実施例は、本発明の範囲を限定することを目的としたものではなく、単に本発明に関する代表的な可能性について説明するものである。
【0052】
実施例1:本発明によるホットカプチーノ飲料の調製
乾燥ネスカフェゴールド(Nescafe Gold)インスタントコーヒーから調製した約120mLのダークコーヒーに、20mLの液体1Aおよび20mLの液体2の混合により得た乳性泡を加えることによりホットカプチーノ飲料を調製した。下記に液体の組成を示す。液体1Aおよび液体2の混合により形成された泡は甘味があった。1Aの代わりに液体1Bを用いた場合、甘味のない乳性泡が得られた。驚いたことに、また思いがけないことに、それぞれ20mLの液体1および液体2を混合することによって、約100〜130mLの白色で細かい本発明の乳性泡が得られた。この泡は、密度の値が約0.3〜0.4であって、良好な白色化特性を有していた。
【0053】
【表1】

【0054】
実施例2:本発明によるホットカプチーノ飲料の調製
乾燥ネスカフェゴールド(Nescafe Gold)インスタントコーヒーから調製した約120mLのダークコーヒーに、20mLの液体1Cおよび20mLの液体2Bの混合により得た乳性泡を加えることによりホットカプチーノ飲料を調製した。下記に液体の組成を示す。本実施例では、使用した酸はアスコルビン酸であった。驚いたことに、また思いがけないことに、それぞれ20mLの液体1Cおよび液体2Bを混合することによって、約100〜130mLの白色で甘く細かい本発明の乳性泡が得られた。この泡は、密度の値が約0.3〜0.4であり、良好な白色化特性を有していた。
【0055】
【表2】

【0056】
実施例3:本発明によるホットカプチーノ飲料の調製
乾燥ネスカフェゴールド(Nescafe Gold)インスタントコーヒーから調製した約120mLのダークコーヒーに、20mLの液体1Cおよび20mLの液体2Cの混合により得た乳性泡を加えることによりホットカプチーノ飲料を調製した。この液体の組成は上に記載している。本実施例では、使用した乳性液体は全乳を含む。驚いたことに、また思いがけないことに、それぞれ20mLの液体1Cおよび液体2Cを混合することによって、約100〜130mLの白色で甘く細かい本発明の乳性泡が得られた。この泡は、密度の値が約0.3〜0.4であり、良好な白色化特性を有していた。
【0057】
実施例4:本発明によるアイスカプチーノ飲料の調製
約120mLのアイスコーヒーに、20mLの液体1Cおよび20mLの液体2B(上掲)の混合により得た乳性泡を加えることによりアイスカプチーノ飲料を調製した。本実施例では、使用した酸はアスコルビン酸であった。驚いたことに、また思いがけないことに、それぞれ20mLの液体1Cおよび液体2Bを混合することによって、約100〜130mLの白色で甘く細かい本発明の乳性泡が得られた。この泡は、密度の値が約0.3〜0.4であり、良好な白色化特性を有していた。
【0058】
実施例5:本発明による自己発泡性液体クリーマーの調製
pH値が約6.7で全固形分含有量が約40%である40mLの脱脂粉乳溶液含有混合物を、約600mgの分散脂肪コーティング塩と組み合わせた。コーティング塩は、約300mgの重炭酸カリウム(CAS 298−14−6)、約100mgの酒石酸(CAS 87−69−4)、および約200mgのリン酸一カルシウム一水和物(CAS 7758−23−8)を含んでいた。脂質コーティングは、テキサス州ヒューストンのSasol North Americaから市販されている商標名Witocan42/44のトリグリセリド製品600mg、およびデンマークのBrabrand DK−8280のDaniscoから市販されているGrindsted PGMS SPV(プロピレングリコールエステル)6mgであった。
【0059】
実施例6:本発明による乳成分非含有自己発泡性液体クリーマーを入れたホットカプチーノ飲料の調製
乾燥ネスカフェゴールド(Nescafe Gold)インスタントコーヒーから調製した約120mLのダークコーヒーに、非乳性泡を加えることによりホットカプチーノ飲料を調製した。非乳性泡は、20mLの液体1Dのおよび20mLの液体2Dの混合により得た。下記に液体の組成物を示す。本実施例では、使用した酸はアスコルビン酸であった。それぞれ20mLの液体1Dおよび液体2Dを混合することによって、約80〜100mLの白色で甘く細かい本発明の非乳性泡が得られた。この泡は、密度の値が約0.3〜0.4であり、良好な白色化特性を有していた。
【0060】
【表3】

【0061】
実施例7:本発明による非乳性自己発泡性液体クリーマーを入れたホットカプチーノ飲料の調製
乾燥ネスカフェゴールド(Nescafe Gold)インスタントコーヒーから調製した約120mLのダークコーヒーに、本発明の非乳性泡を加えることによりホットカプチーノ飲料を調製した。非乳性泡は、20mLの液体1Eおよび20mLの液体2Eの混合により得た。下記に液体の組成物を示す。本実施例では、使用した酸はアスコルビン酸およびリンゴ酸であった。それぞれ20mLの液体1Eおよび液体2Eを混合することによって、約80〜100mLの白色で甘く細かい本発明の非乳性泡が得られた。この泡の密度は約0.3g/cm〜0.4g/cmであり、カップ中で良好な白色化特性および安定性を有していた。
【0062】
【表4】

【0063】
本明細書で使用している「約」という用語は、一般に、一連の数字におけるその前後の複数の数値であることを意味するものと理解されたい。さらに、本明細書中のすべての数値の範囲は、それぞれその範囲内の整数全部を含むものと理解されたい。適用可能であって、特に断りのない限り、本明細書中のすべてのパーセントは、体積ではなく重量パーセントであることを意味する。
【0064】
本明細書で使用されている「実質的に含まない」という用語は、原料の約10重量%以下、好ましくは約5重量%以下、さらに好ましくは約1重量%以下が存在することを意味する。好ましい実施形態では、「実質的に含まない」とは、約0.1重量%以下が残存することを意味する。反対に、例えば、分散または混和に対して意味する場合の「実質的に」、および「実質的に全部(すべて)」とは、一般に、原料の少なくとも90重量%、好ましくは少なくとも95重量%、さらに好ましくは少なくとも約99重量%であることを意味する。一般に、「まったく(完全に)含まない」とは、除外した原料がせいぜい極微量のみ存在すること、好ましくは、検出可能な量で存在しないことを意味する。
【0065】
先の記載で本発明の好ましい実施形態を記載したが、本発明は、本明細書に記載されている特定の実施形態に限定されるものではなく、当業者によって多くの変更が可能であることは理解されよう。また、使用した原料および化学的詳細は、本発明によって記載し教示した方法および組成物から逸脱することなく、本明細書の記載から多少異なっていてもよいし、変更されていてもよいことも理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明によるクリーマーをホットカプチーノコーヒー飲料に加えた場合の発泡特性および白色化特性を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食用酸性成分を含む第1の液体成分と、
食用炭酸塩、重炭酸塩またはその組合せを含む第2の液体成分と
を含み、
第1の液体および第2の液体は貯蔵安定性であり、かつ、第1の液体および第2の液体が組み合わされた場合に二酸化炭素が発生して泡の提供を助けるように操作的に結び付けられ、ここで、液体クリーマーが飲料と組み合わされた場合、クリーマーの一部が約20秒未満で飲料中に融解または分散して飲料にクリーミングフレーバーと白色の色調を付与し、残部のクリーマーが、目に見える泡層として飲料の表面に存在するように、飲料の密度よりも低密度の泡を形成する、
自己発泡性液体クリーマー。
【請求項2】
第1の液体および第2の液体がそれぞれ貯蔵安定性であり、貯蔵中は物理的に分離されている、請求項1記載のクリーマー。
【請求項3】
第1の液体または第2の液体の少なくとも1つが、タンパク質溶液もしくは多糖類溶液、またはその両方をさらに含む、請求項1または2記載のクリーマー。
【請求項4】
タンパク質溶液が、粉乳、ホエータンパク単離物、スイートホエーパウダー、酸ホエーパウダーもしくはカゼイン酸カルシウム、またはその組合せを含み、多糖類溶液がマルトデキストリンを含む、請求項3記載のクリーマー。
【請求項5】
第1の液体および第2の液体がそれぞれ0.001%〜約50%の全固形分含有量を有する、請求項4記載のクリーマー。
【請求項6】
第1の液体が、約1%〜40%の全固形分含有量を有するマルトデキストリン溶液を含む、請求項5記載のクリーマー。
【請求項7】
第2の液体が、約1%〜60%の全固形分含有量を有する水性脱脂粉乳溶液を含むか、約1%〜40%の全固形分含有量を有する約0.5%〜10%の炭酸塩もしくは重炭酸塩またはその組合せで塩基性にされたタンパク質溶液を含む、請求項4記載のクリーマー。
【請求項8】
酸性成分が、クエン酸、アスコルビン酸、酒石酸、フマル酸、アルギン酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、アラビアゴム、低メトキシペクチン、高メトキシペクチン、グルコノデルタラクトン、ポリガラクツロン酸、リン酸一カルシウム一水和物、リン酸一カルシウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウムまたはその組合せを含み、炭酸塩および重炭酸塩が、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、重炭酸アンモニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウムまたはその組合せを含む、請求項1または2記載のクリーマー。
【請求項9】
非乳製品クリーマーの形態である、請求項1または2記載のクリーマー。
【請求項10】
第1の液体および第2の液体が、1つの非加圧容器の別々の区画に配置されている、請求項1または2記載のクリーマー。
【請求項11】
食用酸性成分および食用塩成分の少なくとも1つが、少なくとも約25℃の融点を有する脂質コーティングでカプセル化されており、少なくとも実質的に微粒子化された脂肪を含まない、請求項1または2記載のクリーマー。
【請求項12】
コーティングが、1種または複数のモノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、モノグリセリドもしくはジグリセリドの酢酸エステル、モノグリセリドもしくはジグリセリドの乳酸エステル、ステアロイル乳酸ナトリウム、モノグリセリドもしくはジグリセリドのジアセチル酒石酸エステル、ショ糖エステル、レシチン、または脂肪酸のプロピレングリコールエステル、ワックス、脂肪アルコール、またはその組合せを含む、請求項11記載のクリーマー。
【請求項13】
少なくとも1つが請求項1または2記載のクリーマーを含む複数の製品を、有し、提供する、自動販売機。
【請求項14】
クリーマーの泡形成を促進するのに十分な量の二酸化炭素を生成させるために、請求項1記載のクリーマーの第1の液体成分と第2の液体成分を組み合わせるステップと、
飲料の上に泡層を有し、飲料中でクリーミング作用を有する白色化発泡飲料を提供するために、十分な量のクリーマーを飲料成分と組み合わせるステップと
を含む、白色化発泡飲料製品を提供する方法。
【請求項15】
発泡飲料を提供するために、飲料との組合せの前に液体クリーマーの第1の成分および第2の成分がクリーマーを自己発泡させる、請求項14記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2008−502337(P2008−502337A)
【公表日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−515871(P2007−515871)
【出願日】平成17年6月15日(2005.6.15)
【国際出願番号】PCT/EP2005/006435
【国際公開番号】WO2005/122799
【国際公開日】平成17年12月29日(2005.12.29)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】