説明

自己研磨性防汚塗料

表面に塗布した後、自己研磨性で防汚性のコーテイングを形成する防汚塗料であって、下記のポリマーA、B及びCを含有するバインダーを含むことを特徴とする防汚塗料:
(A)コポリマーであって、その繰り返し単位が、
(a)構造Iで定義されるモノマー:
(式中、XはH又はCH3であり、YはH又は場合によりエステル化COOH基であり、R1、R2、R3、R4及びR5は置換又は非置換C1-20アルキル、C1-20アリール、C1-20アルコキシ又はC1-20アリールオキシから独立して選ばれ、nは0又は1以上の整数である)、及び
(b)1種以上のエチレン性不飽和モノマーに該当するコポリマー、
(B)ホモ又はコポリマーであって、その繰り返し単位が、1種以上のタイプのエチレン性不飽和モノマーであって、少なくとも1種が、式II:
(式中、R6は置換又は非置換C1-20アルキル又はC1-20アリールから選ばれ、Yは−C(=O)−又は−O−である)の基で終わる側鎖をもつモノマーに該当し、(B)のポリマーが(A)のポリマー及びその他の所望の塗料成分とも不相溶性であるホモ又はコポリマー、かつ、場合により、
(C)ホモ又はコポリマーであって、その繰り返し単位が、1種以上のタイプのエチレン性不飽和モノマーであって、少なくとも1種が、式III:
(式中、R7は置換又は非置換C1-20アルキル又はC1-20アリールであり、Yは−C(=O)−又は−O−である)の基で終わる側鎖をもつモノマーに該当するホモ又はコポリマー。この防汚性コーテイングは、改良された機械的特性をもち、かつ自己研磨により減少した抜け殻層を生み出す。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
水性環境、特に海洋環境に連続して浸漬されるものの表面は、すべて広範囲な生物の定着をこうむるであろう。これは、広範囲な種からなる生命の微視的及び巨視的形態を含んでいる。この汚損は生物学的劣化に通じることがあり、これは好ましいことではなく、かつ経済的に重要な意味を持っている。これは、海洋環境中で操業する構造物、具体的には船舶にとって特に重要である。しかし、真水系から起きる問題も知られている。
【0002】
汚損を抑制するための効果的なメカニズム及びシステムの研究が、数百年間行われてきた。鉛、銅及び最近では銅ニッケル合金などの金属による被覆、及び機械的洗浄などの手段が試めされた。しかし、防汚剤含有溶媒ベース塗料は、汚損制御するために最近の約100年の間で、最も広く用いられた方法であった。
【0003】
最近の30〜40年間では、この目的を達成するための最も効率的な方法は、結合した有機スズ基をもつアクリルバインダーを含有する塗料を塗布することであった。このような有機スズ化合物は、効率的な生物学的活性化合物又は殺生剤であることがよく知られており、かつこの化合物は、海洋環境中に暴露される構造物表面ばかりでなく、木材保護などの分野においても、望ましくない成長を抑制するために用いられている。これらの有機スズコポリマーは、ポリマーが加水分解する時、有機スズ化合物を放出して汚損を防止する。この加水分解は、これらの生物学的活性有機スズ化合物が精密に制御されて放出されることを保証している。この放出速度は、コポリマーの組成を変更することにより制御できる。加水分解されず、機械的に強くかつ不溶性ポリマーから、加水分解され、機械的に弱くかつ部分溶解性ポリマーへの移行は、独特な防汚特性となる。不溶性ポリマーから溶解性ポリマーへの変更は、制御された侵食又は研磨のもとになる効率的な層状分子溶解を実現する。これは、以後に自己研磨技術と呼ばれることになった。また、効果を改良し、塗料を実用化するために、この防汚塗料は、顔料、充填剤、溶媒及びその他添加剤などの種々の成分を含んでいる。
【0004】
近年、有機スズ化合物含有塗料を使用することによる、有害な環境への影響の重大さに益々焦点が当てられている。加水分解により放出される有機スズ基、より具体的には、トリブチルスズは、徐々に劣化され、その結果それらの化合物は、局部的な地域において堆積物中に蓄積されると指摘されている。加えて、ある種の生物がそれらの化合物に対して極度に敏感であること、かつそれが巻貝Nucella lapillusのインポセックス(imposex)及び、例えばマガキ(Crassostrea gigas)で、カキガラの厚みの増大などの幾つかの非致死的結果をもつことが判っている。
【0005】
この観点において、それらの化合物を使用する製品に対して課せられた制約が増えており、この制約は、近い将来には完全に直面させられるであろう。国際海事機構(IMO)が、このプロセスを先導し、これらの塗料の使用に対して全面的禁止が2003年1月1日から有効になる計画である。
【0006】
環境に一層の焦点を合わせる観点で、代替技術が1990年代初期に導入された。また、この技術は自己研磨技術であると言われていたが、これを達成するプロセスは、最早ポリマーの加水分解によるものではなかった。その代わりに、ロジンなどの、別の水感応性及び部分的水溶性バインダーの組み合わせたものが、例えばEP0289481に記載されたように、単独又はアクリレートと混合して用いられた。この実験は、これらの塗料が、加水分解性有機スズベースの塗料と同様な高度かつ信頼性のある性能を実現できなかったことを示した。
【0007】
最近になって、有機スズポリマーと同様な原理に基づいて、即ち不溶性ポリマーの加水分解に基づいて、僅かに水溶性になる製品を提供する新規ポリマーが開発された。これらの中に、例えばWO8402915に記載の自己研磨性ポリマーがある。これは、ポリマー鎖に有機スズ基を組み込む代わりに、オルガノシリル基の組み込みを記載している。
【0008】
これらが、有機スズコポリマー技術に関連する特性の多くをもっていることを経験が示した。しかし、長期間には、主に塗料表面の変化によって、これらの塗料表面に亀裂と剥離が起きるかもしれないことが判明した。これは、溶解性成分の浸出により起きるものであり、その結果、原塗料とは異なる組成をもつ抜け殻(residual)層を形成させる。これを解決するためのアプローチは、種々のコモノマーでシリルポリマーを変性することであった。このことは、例えばEP0646630、EP1016681及びEP1127902に記載されている。別のアプローチは、WO0077102に記載のように、形成された塗料全体かつ特に抜け殻層全体の凝集力を強めかつ増大させるために繊維を含めることである。三番目のアプローチは、この抜け殻層の堆積を減少させるために、オルガノシリルコポリマー及びロジンの混合物が用いられた塗料を開発することであった。これはEP0802243に記載されている。また、低分子量可塑剤、特に塩素化パラフィンが使用されている。これは、EP0775733に記載されている。
【0009】
(本発明の詳細な説明)
本発明は、オルガノシリルコポリマーを基にした自己研磨性防汚塗料に関するものであり、機械的特性を改良するために、これまで未知の概念が用いられている。このようにして、我々は、不相溶性、相分離性(メタ)アクリレートポリマーを塗料に組み込むことにより、改良された特性が達成可能であることを見出した。これは、この塗料の機械的特性の改良に役立ち、一方で同時に、研磨特性及び防汚特性が保持される。また、これらの相分離性ポリマーの組成を変更することにより、研磨速度をある程度制御することが可能になる。しかし、相分離性ポリマー自身が自己研磨特性をもつ必要はない。
【0010】
相分離性ポリマーは、機械的皮膜特性を改良するが、抜け殻層の厚みの減少に寄与することはなく、これが、単独のオルガノシリルコポリマーに基づいた塗料の問題でもある。また、本発明は、低ガラス転移温度(Tg)をもつ(メタ)アクリルポリマーの組み込みに関するものであり、この低Tgは、使用中に形成された残存する抜け殻層の減少に役立ち、一方で同時に塗料の研磨特性及び防汚特性が保持される。
【0011】
塗料組成に不溶性ポリマーを含める願望は、あらゆる理論及び教示に対立するものであって、不溶性が回避されるべきであること、このことが塗料配合に関する文献にいつも述べられているとは限らないことは、専門家の間では明白である。しかし、Mildenberg,R;Zander,M;Collin,Gの「Hydrocarbon resins」、Vch出版社、1997年、ISBN3527286179、61頁(終わりから二番目のパラグラフに述べられている)に、「通常、エンドユーザーは、応用分野に関係なく、明らかな理由から完全に相溶性の樹脂を選択するであろう。しかし、きわどい相溶性が許容され又は望まれることもある多くの用途が存在している。」と言及されている。
【0012】
この引用で、相溶性は望ましい特性であり、ある場合には「きわどい相溶性」が利点になりうることが明白であると考えられている。本発明は、完全な不相溶性が必須であるので、このきわどい領域からはるかに離れた系に関するものである。
【0013】
更に、以下の出版物に述べるように、相溶性は可塑剤にとって最も重要な特性の1つである:
・Morgans W.M.の「Outlines of paint technology」の第1巻、材料、Charles Griffin & Company Ltd.1982年、ISBN0852642598、168頁に、「それらは、理想的には、非揮発性、かつ他の皮膜成分(即ち、皮膜形成性バインダー/ポリマー)と完全に相溶性であるべきである。」の記述:
・Payne H.F.の「Organic Coatings Technology」、John Wiley & Sons inc.1954年、381頁に、「関節膜形成材料用の可塑剤は、材料に対して良好な相溶性を持たなければならない。」の記述:
・C.H.Hareの「Protective Coating」、Technology Publishing、1994年、ISBN0938477900、409頁に、「キーになる可塑剤特性は、樹脂との親和性/相溶性を含み、・・・」の記述、また、リストは塩素化パラフィンなどの種々のタイプの可塑剤に言及している:
・P.Nylenらの「Moderen Surface Coatings a Textbook of the chemistry and Technology of paints varnishers and lacquers」、Interscience Publishers、1965年、337頁の可塑剤のための必要条件を参照して、「・・・必要条件は以下のようであってもよい:(1)バインダーとの相溶性・・・」の記述。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、下記の3種のポリマーA、B及び(場合により:任意選択的に)Cを含有することを特徴とする自己研磨性防汚塗料に関するものである:
(A)コポリマーであって、その繰り返し単位が、
(a)構造Iで定義することができるモノマー:


(式中、XはH又はCHであり、YはH又は場合によりエステル化COOH基であり、R、R、R、R及びRは置換又は非置換C1-20アルキル、C1-20アリール又は任意選択的にC1-20アルコキシ又はC1-20アリールオキシから独立して選ばれ、nは0又は1以上の整数である)、及び
(b)1種以上のエチレン性不飽和モノマーに該当するコポリマー、
(B)ホモポリマー又はコポリマーであって、その繰り返し単位が、1種以上のエチレン性不飽和モノマーであって、少なくとも1種が、式II:
−Y−R (II)
(式中、Rは置換又は非置換C1-20アルキル又はC1-20アリールから選ばれ、Yは−C(=O)−又は−O−である)の末端基をもつ側鎖を有するモノマーに該当するホモポリマー又はコポリマー、
(C)ホモポリマー又はコポリマーであって、その繰り返し単位が、1種以上のエチレン性不飽和モノマーであって、少なくとも1種が、式III:
−Y−R (III)
(式中、Rは置換又は非置換C1-20アルキル又はC1-20アリールから選ばれ、Yは−C(=O)−又は−O−である)の末端基をもつ側鎖を有するモノマーに該当するホモポリマー又はコポリマー。ポリマーBは、ポリマーAと不相溶性であることを特徴とする。ポリマーCは、そのガラス転移温度(Tg)が30℃未満であることを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、前記したポリマーA及びBを含有することを特徴とする自己研磨性防汚塗料に関するものである。
【0016】
前に定義したように、用語「C1-20アルキル」は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、イソプロピル、tert−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、シクロヘキシル及び1〜20個の炭素原子を有するその他のアルキル基などの、1〜20個の炭素原子、好ましくは1〜12個の炭素原子、特に1〜8個の炭素原子を有する直鎖、枝分かれ及び環状炭化水素基を含むことを意味している。
【0017】
用語「C1-20アリール」は、フェニル、ナフチル及び1〜20個の炭素原子を有するその他のアリール基などの1〜20個の炭素原子の芳香族系の基を含むことを意味し、なかでもフェニル及びナフチルが好適な例である。
【0018】
用語「C1-20アルコキシ」は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシ、ヘプトキシ、オクトキシ、ノノキシ、デコキシ、イソプロポキシ、tert−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ及び1〜20個の炭素原子を有するその他のアルコキシ基などの、1〜20個の炭素原子、好ましくは1〜12個の炭素原子、特に1〜8個の炭素原子を有する直鎖及び枝分かれアルコキシ基を含むことを意味している。
【0019】
用語「C1-20アリールオキシ」は、フェノキシ、ナフトキシ及び1〜20個の炭素原子を有するその他のアリールオキシ基などの、1〜20個の炭素原子の芳香族環系を有する基を含むことを意味し、なかでもフェノキシ及びナフトキシが好適な例である。
【0020】
用語「置換C1-20アルキル」、「置換C1-20アリール」、「置換C1-20アルコキシ」又は「置換C1-20アリールオキシ」は、問題のアルキル、アリール、アルコキシ又はアリールオキシ基が、アミノ、モノ−、ジ−及びトリ−(C〜C20アルキル)アミノ、ヒドロキシ、モノ−、ジ−及びトリ−(C〜C20アルキル)アミノカルボニル、アミノ−C1-20アルキルアミノカルボニル、C1-20アルキルカルボニルアミノ、ニトロ、カルバミド、C1-20アルキロイルオキシ、シアノ、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードの群から選ばれた置換基で、1回以上、好ましくは1〜14回置換されて変更されてもよいことを示している。
【0021】
本発明の一実施形態は、少なくとも1種のモノマーが構造I:


(式中、nは0であり、かつX、Y、R、R、R、R及びRは上に定義された通りである)で定義された本発明のコポリマーAを使用することである。
【0022】
構造Iで定義された−Si(R)で表されるオルガノシリル基において、R、R及びRは、同一又は異なる基であってもよく、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、イソプロピル、tert−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、シクロヘキシル及び置換シクロヘキシルなどの20個までの炭素原子、好ましくは12個までの炭素原子、特に8個までの炭素原子を有するアルキル基、例えばアリール及びナフチルなどの20個までの炭素原子、好ましくは12個までの炭素原子を有するアリール基、及びフルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、ニトロ、シアノ、アミノ、ヒドロキシなどの群から選ばれた少なくとも1個の置換基を有する置換アリール基を有するものでもよい。
【0023】
構造Iで定義された−Si(R)で表されるオルガノシリル基の例は、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリ−n−プロピルシリル、トリイソプロピルシリル、トリ−n−ブチルシリル、トリ−tert−ブチルシリル、トリイソブチルシリル、トリ−sec−ブチルシリル、トリ−n−ペンチルシリル、トリ−n−ヘキルシリル、トリフェニルシリル、トリベンジルシリル、エチルジメチルシリル、n−ブチルジメチルシリル、ジイソプロピル−n−ブチルシリル、ジシクロヘキシルフェニルシリル、tert−ブチルジフェニルシリル、tert−ブチルジメチルシリル、ジメチルフェニルシリル、ビフェニルジメチルシリル、ビフェニルジイソプロピルシリル、ジフェニルメチルシリル、ジメチルオクタデシルシリル、ジメチルオクチルシリル、ジメチルシクロヘキシルシリル、ジメチルヘキシルシリル、クロロメチルジメチルシリル及びペンタフルオロフェニルジメチルシリルである。
【0024】
構造Iで定義されたオルガノシリルエステル基を含有するモノマーの例は、トリメチルシリル−(メタ)アクリレート、トリエチルシリル−(メタ)アクリレート、トリ−n−プロピルシリル−(メタ)アクリレート、トリイソプロピルシリル−(メタ)アクリレート、トリ−n−ブチルシリル−(メタ)アクリレート、トリイソブチルシリル−(メタ)アクリレート、トリ−tert−ブチルシリル−(メタ)アクリレート、トリ−sec−ブチルシリル−(メタ)アクリレート、トリ−n−ペンチルシリル−(メタ)アクリレート、トリイソペンチルシリル−(メタ)アクリレート、トリ−n−ヘキシルシリル−(メタ)アクリレート、トリ−n−オクチルシリル−(メタ)アクリレート、トリフェニルシリル−(メタ)アクリレート、トリ−p−メチルフェニルシリル−(メタ)アクリレート、トリベンジルシリル−(メタ)アクリレート、エチルジメチルシリル−(メタ)アクリレート、n−ブチルジメチルシリル−(メタ)アクリレート、ジイソプロピルシリル−(メタ)アクリレート及びtert−ブチルジフェニルシリル−(メタ)アクリレートなどのアクリル酸及びメタクリル酸のエステル化モノマー類;
トリメチルシリルメチルマレエート、トリエチルシリルエチルマレエート、トリ−n−プロピルシリル−n−プロピルマレエート、トリイソプロピルシリルメチルマレエート、トリ−n−ブチルシリル−n−ブチルマレエート及びトリ−n−ヘキシルシリル−n−ヘキシルマレエートなどのマレイン酸のエステル化モノマー類;
トリメチルシリルメチルフマレート、トリエチルシリルエチルフマレート、トリ−n−プロピルシリル−n−プロピルフマレート、トリイソプロピルシリルメチルフマレート、トリ−n−ブチルシリル−n−ブチルフマレート及びトリ−n−ヘキシルシリル−n−ヘキシルフマレートなどのフマル酸のエステル化モノマー類を含む。
【0025】
コポリマーAの場合、構造Iで定義された1種以上のモノマーが、1種以上のその他のビニル重合性モノマーと共重合されてもよい。このようなビニル重合性モノマーの量は、得られたコポリマーの全重量の95重量%以下、好ましくは90重量%以下である。したがって、構造Iで定義された定義されたモノマーの量は、少なくとも5重量%、好ましくは少なくとも10重量%になるであろう。
【0026】
このようなビニル共重合性モノマーの例は、アクリル酸、及びメチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、ブチルエチルアクリレート、ペンチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、フェニルアクリレート、n−オクチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、3,5,5−トリメチルヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート、セチルアクリレート、ステアリルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、メトキシプロピルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、エトキシプロピルアクリレート、プロポキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、イソブトキシエチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレートなどのアクリル酸のエステル類;
メタクリル酸、及びメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、ペンチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、トリデシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、メトキシエチルメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、エトキシプロピルメタクリレート、プロポキシエチルメタクリレート、2−ブトキシエチルメタクリレート、イソブトキシエチルメタクリレート、イソブトキシブチルジグリコールメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレートなどのメタクリル酸のエステル類;
アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−プロピルアクリルアミド、マレインイミドなどのアミド類;2−アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、3−アミノプロピル(メタ)アクリレート、2−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、tert−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどのアミノ官能性アクリレート及びメタクリレート類;
N−ビニルフォルムアミド、N−ビニルエチルアミド、N−ビニルプロピルアミド及びWO0162811に記載されたようなその他のものなどのN−ビニルアミド類;
N−ビニルピロリドン、N−ビニルピペリジン、N−ビニルカプロラクタム及びEP1127902に記載されたようなその他のものなどのN−ビニルラクタム類;
フルフリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートなどのヘテロシクリック(hetrocyclicly)置換アクリレート及びメタクリレート類;
ビニルイミダゾール、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、1−ビニル−1,2,4−トリアゾール、2−ビニル−1,3−ジオクソランなどのヘテロサイクリック置換ビニルモノマー類;
2−(メタクリロイルオキシ)エチルアセトアセテート、2−(((ブチルアミノ)カルボニル)オキシ)エチルアクリレートなどの官能性カルボニルオキシエチル(メタ)アクリレート類;
テトラエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ジ−(トリメチロールプロパン)−テトラアクリレート、ペンタエリトリットトリアクリレート、ペンタエリトリットテトラアクリレート、ジペンタエリトリットペンタアクリレート、ビニルアクリレートなどの多官能性アクリレート及びメタクリレート類である。
【0027】
構造Iで定義され、n=0の、少なくとも1種のモノマーから製造されるコポリマーAは、構造Iで定義されたようなオルガノシリルエステル基を有する少なくとも1種のモノマーと、少なくとも1種のその他のビニル重合性モノマーとを適切な重合開始剤を用いて、適切な重合方法で重合することにより製造されてもよい。
【0028】
適切な重合方法は、例えば溶液重合、塊状重合、セミバッチ重合、配位重合、懸濁重合又は乳化重合におけるラジカル又はイオン重合を含む。
【0029】
適切な溶媒中での重合は、例えば水、キシレン、揮発油、トルエンなどの芳香族炭化水素、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素、ジクロロメタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタンなどの塩素化炭化水素、ジフルオロメタン、ジフルオロエタン、トリフルオロエタン、テトラフルオロエタンなどのフッ素化炭化水素、クロロフルオロメタン、クロロジフルオロエタン、パラクロロベンゾトリフロライドなどのフルオロクロロ脂肪族及び芳香族炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、メチルアセテート、エチルアセテート、ブチルアセテート、tert−ブチルアセテート、エチレングリコールメチルエーテルアセテートなどエステル類、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジブチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル類、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコールなどのアルコール類、ブトキシエタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテルアルコール類、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミドなどのアミド類又はジメチルスルホキシドなどの溶媒、任意選択的に上記溶媒の混合物の使用を含む。
【0030】
適切なラジカル開始剤は、過酸化ベンゾイル、過酸化ジ−tert−ブチル、過酸化ジデカノイル及び過酸化ジラウリル、tert−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ブチルペルオキシピバレート、tert−ブチルペルオキシジエチルアセテート、tert−アミルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート及び2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルペルオキシ)ヘキサンなどの過酸化物及び2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)及び2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)などのアゾ化合物を含む。
【0031】
また、構造Iで定義された少なくとも1種のモノマーから製造されたオルガノシリルエステル基を含有するコポリマーAは、構造Iで定義されたようなオルガノシリルエステル基を有する少なくとも1種のモノマーと、少なくとも1種のその他のビニル重合性モノマーとを適切な重合開始剤及び適切な連鎖移動剤を用いて、重合することにより製造されてもよい。連鎖移動剤を用いることにより、ポリマー分子が枝分かれ点から1個以上のポリマー鎖をもつ、枝分かれ又は星状構造が得られる。
【0032】
適切な連鎖移動剤は、ペンタエリトリット−テトラ(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパン−トリ(メルカプトプロピオネート)、ペンタエリトリット−テトラ(チオグリコレート)、ペンタエリトリット−トリ(チオグリコレート)又はWO9603465に記載のようなその他のものなどの多官能性メルカプタンを含む。
【0033】
また、構造Iで定義された少なくとも1種のモノマーから製造されたオルガノシリルエステル基を含有するコポリマーAは、n=0のとき、好ましくは1,000〜200,000g/moleの重量平均分子量(Mw)を有する。
【0034】
本発明のもう一つの実施形態は、少なくとも1種のモノマーが、構造I:


(式中、nは1以上の整数であり、X、Y、R、R、R、R及びRは上に定義された通りである)で定義される本発明のコポリマーAの使用である。
【0035】
nが1、2、3又はそれ以上の整数であるとき、nは5,000までであることが好ましい。R〜Rに関しては、これらは、1〜20個の炭素原子、好ましくは1〜12個の炭素原子、特に1〜8個の炭素原子をもつ基を含むことを意図している。このようなモノマーの例は、XがH又はメチルであり、nが例えば10〜100、500〜1,000、又は1,000〜5,000であり、R及びRがメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ブチル、フェニル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、フェノキシであり、R、R及びRはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、フェノキシ、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、フェノキシであるモノマーである。
【0036】
少なくとも1種のモノマーが構造Iで定義され、かつn>0であるコポリマーAは、1種以上のその他のビニル重合性モノマーと共重合されてもよい。このようなビニル重合性モノマーの量は、得られたコポリマーの全重量の95重量%以下、好ましくは90重量%以下である。したがって、構造Iで定義されたモノマーの量は、少なくとも5重量%、好ましくは少なくとも10重量%になるであろう。
【0037】
このようなビニル重合性モノマーの例は、アクリル酸、及びメチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、ブチルエチルアクリレート、ペンチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、フェニルアクリレート、n−オクチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、3,5,5−トリメチルヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート、セチルアクリレート、ステアリルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、メトキシプロピルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、エトキシプロピルアクリレート、プロポキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、イソブトキシエチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレートなどのアクリル酸のエステル類;
メタクリル酸、及びメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、ペンチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、トリデシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、メトキシエチルメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、エトキシプロピルメタクリレート、プロポキシエチルメタクリレート、2−ブトキシエチルメタクリレート、イソブトキシエチルメタクリレート、イソブトキシブチルジグリコールメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレートなどのメタクリル酸のエステル類;
アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−プロピルアクリルアミド、マレインイミドなどのアミド類;
2−アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、3−アミノプロピル(メタ)アクリレート、2−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、tert−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどのアミノ官能性モノマー類;
N−ビニルフォルムアミド、N−ビニルエチルアミド、N−ビニルプロピルアミド及びWO0162811に記載されたようなその他のものなどのN−ビニルアミド類;
N−ビニルピロリドン、N−ビニルピペリジン、N−ビニルカプロラクタム及びEP1127902に記載されたようなその他のものなどのN−ビニルラクタム類;
フルフリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートなどのヘテロシクリック置換(メタ)アクリレート類;
ビニルイミダゾール、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、1−ビニル−1,2,4−トリアゾール、2−ビニル−1,3−ジオクソランなどのヘテロサイクリック置換ビニルモノマー類;
テトラエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ジ−(トリメチロールプロパン)−テトラアクリレート、ペンタエリトリットトリアクリレート、ペンタエリトリットテトラアクリレート、ジペンタエリトリットペンタアクリレート、ビニルアクリレートなどの多官能性アクリレート及びメタクリレート類である。
【0038】
また、構造Iで定義され、n>0である、少なくとも1種のモノマーから製造されたオルガノシリルエステル基を含有するコポリマーAは、構造Iで定義されたようなオルガノシリルエステル基を有する少なくとも1種のモノマーと、少なくとも1種のその他のビニル重合性モノマーとを適切な重合開始剤及び適切な連鎖移動剤を用いて、重合することにより製造されてもよい。連鎖移動剤を用いることにより、ポリマー分子が枝分かれ点から3個以上のポリマー鎖をもつ、枝分かれ又は星状構造が得られる。
【0039】
適切な連鎖移動剤は、ペンタエリトリット−テトラ(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパン−トリ(メルカプトプロピオネート)、ペンタエリトリット−テトラ(チオグリコレート)、ペンタエリトリット−トリ(チオグリコレート)又はWO9603465に記載のようなその他のものなどの多官能性メルカプタンを含む。
【0040】
構造Iで定義され、n>0の、少なくとも1種のモノマーから製造されるコポリマーAは、構造Iで定義されたオルガノシリルエステル基を有する少なくとも1種のモノマーと、少なくとも1種のその他のビニル重合性モノマーとを適切な重合開始剤を用いて、適切な重合方法で重合することにより製造されてもよい。
【0041】
適切な重合方法は、例えば溶液重合、塊状重合、セミバッチ重合、配位重合、懸濁重合又は乳化重合におけるラジカル又はイオン重合を含む。
【0042】
適切な溶媒中での重合は、例えば水、キシレン、揮発油、トルエンなどの芳香族炭化水素、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素、ジクロロメタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタンなどの塩素化炭化水素、ジフルオロメタン、ジフルオロエタン、トリフルオロエタン、テトラフルオロエタンなどのフッ素化炭化水素、クロロフルオロメタン、クロロジフルオロエタン、パラクロロベンゾトリフロライドなどのフルオロクロロ脂肪族及び芳香族炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、メチルアセテート、エチルアセテート、ブチルアセテート、tert−ブチルアセテート、エチレングリコールメチルエーテルアセテートなどのエステル類、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジブチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル類、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコールなどのアルコール類、ブトキシエタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテルアルコール類、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミドなどのアミド類又はジメチルスルホキシドなどの溶媒、任意選択的に上記溶媒の混合物の使用を含む。
【0043】
適切なラジカル開始剤は、過酸化ベンゾイル、過酸化ジ−tert−ブチル、過酸化ジデカノイル及び過酸化ジラウリル、tert−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ブチルペルオキシピバレート、tert−ブチルペルオキシジエチルアセテート、tert−アミルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート及び2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルペルオキシ)ヘキサンなどの過酸化物及び2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)及び2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)などのアゾ化合物を含む。
【0044】
構造Iにより定義され、nが1以上の整数である、少なくとも1種のモノマーから製造されたオルガノシリルエステル基を含有するコポリマーAは、好ましくは1,000〜2,000,000g/moleの重量平均分子量(Mw)を有する。
【0045】
ポリマーBは、構造IIで定義された少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマーから製造され、1種以上のビニル重合性モノマーの組み合わせの重合を含む。
【0046】
このようなビニル重合性モノマーの例は、アクリル酸、及びメチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、ブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、フェニルアクリレート、n−オクチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、3,5,5−トリメチルヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート、セチルアクリレート、ステアリルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、メトキシプロピルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、エトキシプロピルアクリレート、プロポキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、イソブトキシエチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレートなどのアクリル酸のエステル類;
メタクリル酸、及びメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、ペンチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、トリデシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、メトキシエチルメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、エトキシプロピルメタクリレート、プロポキシエチルメタクリレート、2−ブトキシエチルメタクリレート、イソブトキシエチルメタクリレート、イソブトキシブチルジグリコールメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレートなどのメタクリル酸のエステル類;
アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−プロピルアクリルアミド、マレインイミドなどのアミド類;
2−アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、3−アミノプロピル(メタ)アクリレート、2−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、tert−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどのアミノ官能性モノマー類;
N−ビニルフォルムアミド、N−ビニルエチルアミド、N−ビニルプロピルアミド及びWO0162811に記載されたようなその他のものなどのN−ビニルアミド類;
N−ビニルピロリドン、N−ビニルピペリジン、N−ビニルカプロラクタム及びEP1127902に記載されたようなその他のものなどのN−ビニルラクタム類;
フルフリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートなどのヘテロサイクリック置換(メタ)アクリレート類;
ビニルイミダゾール、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、1−ビニル−1,2,4−トリアゾール、2−ビニル−1,3−ジオクソランなどのヘテロサイクリック置換ビニルモノマー類;
2−(メタクリロイルオキシ)エチルアセトアセテート、2−(((ブチルアミノ)カルボニル)オキシ)エチルアクリレートなどの官能性カルボニルオキシエチル(メタ)アクリレート類;
テトラエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ジ−(トリメチロールプロパン)−テトラアクリレート、ペンタエリトリットトリアクリレート、ペンタエリトリットテトラアクリレート、ジペンタエリトリットペンタアクリレート、ビニルアクリレートなどの多官能性アクリレート及びメタクリレート類である。
【0047】
コポリマーBは、構造IIで定義された少なくとも1種のモノマーと、少なくとも1種のその他のビニル重合性モノマーとを適切な重合開始剤及び適切な連鎖移動剤を用いて、重合することにより製造されてもよい。連鎖移動剤を用いることにより、ポリマー分子が枝分かれ点から3個以上のポリマー鎖をもつ、枝分かれ又は星状構造が得られる。
【0048】
適切な連鎖移動剤は、ペンタエリトリット−テトラ(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパン−トリ(メルカプトプロピオネート)、ペンタエリトリット−テトラ(チオグルコネート)、ペンタエリトリット−トリ(チオグリコレート)又はWO9603465に記載されたようなその他のものなどの多官能性メルカプタンを含む。
【0049】
ポリマーBは、少なくとも1種のビニル重合性モノマーを適切な重合開始剤を用いて、適切な重合方法で重合することにより製造されてもよい。
【0050】
適切な重合方法は、例えば溶液重合、塊状重合、セミバッチ重合、配位重合、懸濁重合又は乳化重合におけるラジカル又はイオン重合を含む。
【0051】
適切な溶媒中での重合は、例えば水、キシレン、揮発油、トルエンなどの芳香族炭化水素、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素、ジクロロメタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタンなどの塩素化炭化水素、ジフルオロメタン、ジフルオロエタン、トリフルオロエタン、テトラフルオロエタンなどのフッ素化炭化水素、クロロフルオロメタン、クロロジフルオロエタン、パラクロロベンゾトリフロライドなどのフルオロクロロ脂肪族及び芳香族炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、メチルアセテート、エチルアセテート、ブチルアセテート、tert−ブチルアセテート、エチレングリコールメチルエーテルアセテートなどのエステル類、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジブチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル類、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコールなどのアルコール類、ブトキシエタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテルアルコール類、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミドなどのアミド類又はジメチルスルホキシドなどの溶媒、任意選択的に上記溶媒の混合物の使用を含む。
【0052】
適切なラジカル開始剤は、過酸化ベンゾイル、過酸化ジ−tert−ブチル、過酸化ジデカノイル及び過酸化ジラウリル、tert−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ブチルペルオキシピバレート、tert−ブチルペルオキシジエチルアセテート、tert−アミルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート及び2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルペルオキシ)ヘキサンなどの過酸化物及び2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)及び2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)などのアゾ化合物を含む。
【0053】
ポリマーBは、ポリマーAと不相溶性であることが特徴である。高分子化学の専門家は、2つのポリマーの不相溶性を測定することができる。不相溶性は、多くの方法、例えば溶液中の相分離を考察することにより明示される。本明細書では、EP0775733に記載されるように、25℃で2つのポリマーを1:1の容積比で30重量%含有するキシレン溶液を作成することにより測定が行われる。このとき相分離が起こるならば、この2つのポリマーは不相溶性である。
【0054】
ポリマーCは、構造IIIにより定義されるような、少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマーから製造され、かつ1種以上のモノマーの組み合わせの重合を含み、30℃又は20℃より低いガラス転移温度(Tg)、好ましくは10℃より低いTg、特に0℃より低いTgをもつポリマーを生んでいる。30℃より低いTgを特徴とするポリマーCの組み込みは、海水暴露により形成される抜け殻層の減少に役立ち、一方、同時に暴露時の塗料皮膜の改良された機械的特性になんら悪影響を与えない。ポリマーCは、構造IIIにより定義された少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマーから製造され、かつまた高低ガラス転移温度を有するモノマーを組み込んだ重合を含み、それ故最終ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、30℃又は20℃より低く、好ましくは10℃より低いTg、特に0℃より低いTgとなる。ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)は、当業者には知られた特性であり、「Polymer Handbook」Brandrup J.,Immergut E.H.及びGrulke E.A.(編集者)第4版、John Wiley & Sons,Inc.1999年などの文献に掲載されている。また、ガラス転移温度は、前記参考文献の頁VI/195又はBrown,M.E.の「Introduction to Thermal Analysis」Chapman and Hall、ロンドン、1998年に記載されているように実験的に測定されてもよい。コポリマーの場合、ガラス転移温度(Tg)は、T.G.Fox,Bull.Am.Phys.SOC.,1,123(1956)に記載されるように、式I:
1/T=(W/Tg1)+(W/Tg2)+・・・+(W/Tgn) (I)
(式中、W、W及びWnはモノマー1、2及びnの重量分率であり、Tg1、Tg2及びTgnはコポリマーに含まれるモノマー1、2及びnのガラス転移温度である)により理論的に計算されてもよい。また、コポリマーのTgは、上記したホモポリマーと同様に実験的に測定されてもよい。
【0055】
単独重合することにより30℃より低いガラス転移温度を有する、構造IIIにより定義されたモノマーの例は、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、3−エトキシカルボニルフェニルアクリレート、メチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、ネオペンチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、ブチルエチルアクリレート、ペンチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、3,5,5−トリメチルヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、メトキシプロピルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、エトキシプロピルアクリレート、イソブトキシエチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、ブチルジグリコールメタクリレート、ブチルメタクリレート、ヘキサデシルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、ネオペンチルメタクリレート、エチルエタクリレート、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテルを含む。
【0056】
構造IIIより定義されたモノマーと共重合でき、それにより適切な比率の下で30℃より低いガラス転移温度が得られるモノマーの例は、アクリル酸、及びメチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、ブチルエチルアクリレート、ペンチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、フェニルアクリレート、n−オクチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、3,5,5−トリメチルヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート、セチルアクリレート、ステアリルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、メトキシプロピルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、エトキシプロピルアクリレート、プロポキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、イソブトキシエチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレートなどのアクリル酸のエステル類;
メタクリル酸、及びメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、ペンチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、トリデシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、メトキシエチルメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、エトキシプロピルメタクリレート、プロポキシエチルメタクリレート、2−ブトキシエチルメタクリレート、イソブトキシエチルメタクリレート、イソブトキシブチルジグリコールメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレートなどのメタクリル酸のエステル類;
メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、エチルブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、フェニルエチルビニルエーテル、フェノキシエチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;
アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−プロピルアクリルアミド、マレインイミドなどのアミド類;
2−アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、3−アミノプロピル(メタ)アクリレート、2−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、tert−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどのアミノ官能性アクリレート及びメタクリレート類;
N−ビニルフォルムアミド、N−ビニルエチルアミド、N−ビニルプロピルアミド及びWO0162811に記載されたようなその他のものなどのN−ビニルアミド類;
N−ビニルピロリドン、N−ビニルピペリジン、N−ビニルカプロラクタム及びEP1127902に記載されたようなその他のものなどのN−ビニルラクタム;
フルフリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートなどのヘテロサイクリック置換(メタ)アクリレート類;
ビニルイミダゾール、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、1−ビニル−1,2,4−トリアゾール、2−ビニル−1,3−ジオクソランなどヘテロサイクリック置換ビニルモノマー類;
2−(メタクリロイルオキシ)エチルアセトアセテート、2−(((ブチルアミノ)カルボニル)オキシ)エチルアクリレートなどの官能性カルボニルオキシエチル(メタ)アクリレート類;
テトラエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ジ−(トリメチロールプロパン)−テトラアクリレート、ペンタエリトリットトリアクリレート、ペンタエリトリットテトラアクリレート、ジペンタエリトリットペンタアクリレート、ビニルアクリレートなど多官能性アクリレート及びメタクリレート類である。
【0057】
コポリマーCは、構造IIIで定義された少なくとも1種のモノマーを、適切な重合開始剤及び適切な連鎖移動剤を用いて、重合することにより製造されてもよい。連鎖移動剤を用いることにより、ポリマー分子が枝分かれ点から3個以上のポリマー鎖をもつ、枝分かれ又は星状構造が得られる。
【0058】
適切な連鎖移動剤は、ペンタエリトリット−テトラ(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパン−トリ(メルカプトプロピオネート)、ペンタエリトリット−テトラ(チオグリコレート)、ペンタエリトリット−トリ(チオグリコレート)又はWO9603465に記載されたようなその他のものなどの多官能性メルカプタンを含む。
【0059】
ポリマーCは、構造IIIで定義された少なくとも1種のモノマーを、適切な重合開始剤を用いて、適切な重合方法で重合することにより製造されてもよい。
【0060】
適切な重合方法は、例えば溶液重合、塊状重合、セミバッチ重合、配位重合、懸濁重合又は乳化重合におけるラジカル又はイオン重合を含む。
【0061】
適切な溶媒中での重合は、例えば水、キシレン、揮発油、トルエンなどの芳香族炭化水素、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素、ジクロロメタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタンなどの塩素化炭化水素、ジフルオロメタン、ジフルオロエタン、トリフルオロエタン、テトラフルオロエタンなどのフッ素化炭化水素、クロロフルオロメタン、クロロジフルオロエタン、パラクロロベンゾトリフロライドなどのフルオロクロロ脂肪族及び芳香族炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、メチルアセテート、エチルアセテート、ブチルアセテート、tert−ブチルアセテート、エチレングリコールメチルエーテルアセテートなどのエステル類、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジブチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル類、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコールなどのアルコール類、ブトキシエタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテルアルコール類、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミドなどのアミド類又はジメチルスルホキシドなどの溶媒、任意選択的に上記溶媒の混合物の使用を含む。
【0062】
適切なラジカル開始剤は、過酸化ベンゾイル、過酸化ジ−tert−ブチル、過酸化ジデカノイル及び過酸化ジラウリル、tert−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ブチルペルオキシピバレート、tert−ブチルペルオキシジエチルアセテート、tert−アミルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート及び2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルペルオキシ)ヘキサンなどの過酸化物及び2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)及び2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)などのアゾ化合物を含む。
【0063】
本発明の典型的防汚塗料は、バインダー及び1種以上のその他の成分からなる。これらのバインダーは、上で定義されたポリマーA、B及びC並びにその他のバインダーであってもよい。バインダー中の固形分の容量は、本明細書では乾燥塗料の全容量の%で与えられる。したがって、乾燥塗料皮膜中のバインダー(本明細書ではポリマーA、B及びCを含む)の固形分容量は、少なくとも20%、好ましくは少なくとも25%、特に少なくとも30%である。
【0064】
官能性、加水分解性ポリマーA、相分離性、不相溶性ポリマーB及び低Tg値のポリマーCを共に用いる防汚塗料の場合、容量は、ポリマーA、B及びCからなる全バインダーの%として表される。上で定義されたようなポリマーAの使用量は、ポリマーA、B及びCからなるバインダー相の95容量%未満、好ましくは90容量%より小さく、特に85容量%より小さい。上で定義されたようなポリマーBの使用量は、ポリマーA、B及びCからなるバインダー相の少なくとも1容量%、好ましくは少なくとも5容量%、特に少なくとも10容量%である。上で定義されたようなポリマーCの使用量は、ポリマーA、B及びCからなるバインダー相の少なくとも1容量%又は3容量%、好ましくは少なくとも5容量%、特に少なくとも10容量%である。
【0065】
記載されたポリマーの2種だけ、官能性、加水分解性ポリマーA及び相分離性、不相溶性ポリマーBを含有する防汚塗料においては、上で定義されたようなポリマーBの使用量は、ポリマーA及びBからなるバインダー相の95容量%未満、好ましくは90容量%より小さく、特に85容量%より小さい。上で定義されたようなポリマーBの使用量は、ポリマーA及びBからなるバインダー相の少なくとも5容量%、好ましくは少なくとも10容量%、特に少なくとも15容量%である。
【0066】
本発明によれば、ポリマーAを含有し、重量ベースで下記組成の塗料配合が試験された:トリイソプロピルシリルメタクリレート/ビニルピロリドン/メチルメタクリレート=66/3/31。
【0067】
前記ポリマーを含有した塗料が不十分な機械的特性を有することを機械的試験が証明し、かつ塗料皮膜中に大きな亀裂が観察された。重量ベースでメチルメタクリレート/エチルアクリレート/メトキシエチルアクリレート=60/34/6の百分率組成を有するポリマーBが導入され、その結果、ポリマーAとポリマーBの比率が、全塗料配合の重量ベースで23.2:10.7になった。不相溶性ポリマーBの導入によって、機械的特性が著しく改良されたことを機械的曲げ試験が証明し、かつ塗料皮膜中に小さな亀裂だけが観察された。
【0068】
暴露後の抜け殻層は、不変であった。重量ベースでブチルアクリレート/エチルアクリレート/メチルメタクリレート=44/22/34の百分率組成を有するポリマーCが導入され、その結果、ポリマーA:ポリマーB:ポリマーCの比率が全塗料配合の重量ベースで11.2:7.6:9.9になった。それによって、良好な機械的特性及び減少して33%になった抜け殻層をもった塗料が得られた。
【0069】
また、本発明に従って、工業製品も試験された。ポリマーBが工業製品に添加され、その結果改良された機械的特性が得られた。工業製品SeaGrandprix1000(中国塗料(株))は、トリオルガノシリル基をもつコポリマー、即ち本明細書にポリマーAとして説明されたコポリマーをベースにしたバインダーを含有している。
【0070】
顔料とバインダーの比率が著しく変わらないように、工業用塗料にポリマーB及び顔料が添加された。その結果、この比率に起こりうる小さい変化は、機械的特性及び海水中の防汚性に重要であるとは考えられない。添加後、塗料は、デゾルバーで<30μmの粉末度に粉砕された。塗料は試験パネルに塗布され、機械的曲げ試験に供された。その結果は、重量ベースでメチルメタクリレート/エチルアクリレート/メトキシエチルアクリレート=60/34/6の百分率組成を有するポリマーBを前記工業製品に添加することにより、機械的曲げ試験で説明したように機械的特性が改良されることを示した。純粋な工業用塗料は塗料皮膜中に小さい亀裂を現したが、ポリマーBを追加した後、亀裂は塗料皮膜中に観察されなかった。
【0071】
上記のことは、実施例で説明される。
【0072】
バインダー相がロジン、可塑剤又は以下に例示するようなその他のものなどの補助バインダーを含有してもよいことは、このような配合物に精通するものであれば誰でも理解できるであろう。
【0073】
補助バインダーの例は、ロジン、及びタル油ロジン、ガムロジン、ウッドロジン、水素化ロジン、フマル酸ガムロジンエステル、マレイン酸ロジンエステル、重合ロジン、二量化ロジン、ロジン酸亜鉛、ロジン酸銅、ロジン酸カルシウム、ロジン酸カリ又はWO9744401及びWO9615198に記載されたようなその他のものなどのロジン誘導体及びロジンの金属塩;
ヒマシ油及びその油誘導体、アマニ油及びその誘導体、大豆油及びその誘導体、ヤシ油及びその誘導体などのその他の補助バインダー;
塩化ビニルポリマー及び塩化ビニルコポリマー;
スチレン/(メタ)アクリレートコポリマーなどのスチレンコポリマー;
ポリビニルアセテートなどの飽和ポリエステル;アルキッド及び変性アルキッド;石油留分縮合物などの炭化水素樹脂を含む。
【0074】
可塑剤の例は、塩素化パラフィン;
フタル酸ジブチル、フタル酸ベンジルブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジノニル及びフタル酸ジイソデシルなどのフタル酸エステル類;
リン酸トリクレジル、リン酸ノニルフェニル、リン酸オクチルオキシポリ(エチレンオキシ)エチル、リン酸トリブトキシエチル、リン酸イソオクチル及びリン酸−2−エチルヘキシル−ジフェニルなどのリン酸エステル類;
H−エチル−para−トルエン−スルホンアミド及び
アルキル−para−トルエン−スルホンアミドなどのスルホンアミド類;
アジピン酸ビス(2−エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソブチル及びアジピン酸ジオクチルなど)アジピン酸エステル類;及びリン酸トリエチル、ステアリン酸ブチル、ソルビタントリオレエート及びエポキシ化大豆(ビーン)油などのその他のものを含む。
【0075】
塗料中に含有されるその他の成分は、生物学的に活性な物質、顔料及び充填剤、界面活性剤、湿潤剤及び分散剤、乾燥剤、活性化剤、抑泡剤、安定剤、酸化防止剤、腐食防止剤、凝集剤、増粘剤及び沈降防止剤、繊維及び溶媒であってもよい。
【0076】
バインダーの組成物全体が、必要な自己研磨性及び広範な機械的特性をもった塗料を提供するであろう。加えて、汚損生物の付着と生長を抑制するために種々の化合物を用いることが必要である。これらの生物学的に活性な物質は、大まかに2つのグループ、即ち無機及び有機化合物に分けることができる。
【0077】
生物学的に活性な無機化合物は、酸化物、塩、金属及び合金などの種々の銅化合物を含み、単独で又は数種を組み合わせて用いられる。具体的な例は、酸化銅、チオシアン酸銅、金属銅、金属銅−ニッケルである。また、このカテゴリーは、メタホウ酸バリウムを含む。活性無機化合物の含有量が乾燥塗料の容量%として表されるなら、防汚塗料は70%より少ない、好ましくは60%より少ない、特に50%より少ない活性無機化合物を含むことができる。
【0078】
生物学的に活性な有機化合物は、今日防汚技術に広範に使用されている又は防汚技術として評価されつつある、まったくの有機又は有機金属物質を含む。これらの物質は、通常、改良された効果を与えるために、無機化合物と組み合わせて用いられるが、無機化合物を含有しない塗料に用いられてもよい。今日、最も普遍的に用いられるこのタイプの化合物は、Copper Omadine、Zinc Omdine/Zinc−Pyrion、Sea−Nine 211、Irgarol 1051、Preventol A4、Preventol A5、Preventol A6/Diuron、Zineb及びPKの商品名で入手できる。これらの及びその他の化合物が、The European Council of the Paint、「Printing Ink and Artists Colours Industri(CEPE)」の1998年にヨーロッパ市場で入手できた防汚化合物のリスト(より環境にやさしい防汚製品の利用、ECプロジェクト96/559/3040/DEB/E2、最終レポート、1999年7月)に掲載されている。これらを本明細書では参考文献として援用する。
【0079】
有機金属化合物は、有機銅、有機亜鉛及び有機マグネシウム化合物を含む。
【0080】
有機銅化合物の例は、銅ピリチオン、銅オキシン、ノニルフェノールスルホン酸銅、ナフテン酸銅、酢酸銅、ビス(エチレンジアミン)ビスドデシルベンゼンスルホン酸銅及びビス(ペンタクロロフェノール酸)銅を含む。
【0081】
有機亜鉛の例は、亜鉛ピリチオン、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、エチレン−ビス(ジチオカルバミン酸)亜鉛、及び亜鉛塩と錯体を作ったエチレン−ビス(ジチオカルバミン酸)マグネシウムポリマーを含む。有機マグネシウム化合物の例は、エチレン−ビス(ジチオカルバミン酸)マグネシウムポリマーである。
【0082】
複素環式窒素化合物の例は、2−メチルチオ−4−tert−ブチルアミノ−6−シクロプロピルアミノ−トリアジン、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルホニル)ピリジン及びピリジン−トリフェニルボランを含む。
【0083】
複素環式硫黄含有化合物の例は、4,5−ジクロロ−2−オクチル−3(2H)−イソチアゾロン、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン及び2−(チオシアノメチルチオ)−ベンゾチアゾールを含む。
【0084】
尿素誘導体の例は、3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチル尿素を含む。
【0085】
カルボン酸、スルホン酸及びスルフェン酸のアミド及びイミドの例は、N−(ジクロロフルオロメチルチオ)フタルアミド、N,N−ジメチル−N−フェニル−(ジクロロフルオロメチルチオ)スルファミド及び1,1−ジクロロ−N−((ジメチルアミノ)スルホニル)−1−フルオロ−N−(4−メチルフェニル)メタン−スルフェンアミドを含む。
【0086】
カルボン酸エステルの塩の例は、2−((3−ヨード−2−プロピル)オクソ)−エタノールフェニルカルバメート及び3−ヨード−2−プロピル−N−ブチルカルバメートを含む。
【0087】
アミンの例は、デヒドロアビエチルアミン及びココジメチルアミンを含む。
【0088】
置換ベンゼンの例は、2,4,5,6−テトラクロロ−1,3−ベンゼンジカルボニトリル及び1−((ジヨードメチル)スルホニル)−4−メチルベンゼンを含む。
【0089】
その他の例は、テトラアルキルホスホニウムハロゲン化物及びグアニジン誘導体を含む。
【0090】
有機及び有機金属活性化合物と、酸化銅、チオシアン酸銅及び金属銅などの無機活性化合物とを組み合わせて用いることにより、有機及び有機金属活性化合物の使用量は、それらが単独で用いられる時より、通常低くなるであろう。本発明の範囲では、これらは、乾燥塗料の30容量%、好ましくは25容量%、特に20容量%より少なくなるべきである。
【0091】
また、これらの有機及び有機金属活性化合物は、無機活性化合物の不在下でその他の有機及び有機金属活性化合物と組み合わせて用いられてもよい。必要量は高くなるであろう。乾燥塗料はこれらを50容量%より少なく、好ましくは40容量%より少なく、かつ特に30容量%より少なく含むに違いない。
【0092】
多くの防汚塗料では、生物学的活性化合物が顔料の大部分を構成する。加えて、種々の化合物が含まれてもよい。これらの化合物は、屈折率に応じて顔料又は充填剤と呼ばれている。
【0093】
顔料又は充填剤の重要な特性は、水溶性の程度である。これは、加水分解性バインダーに基づく防汚塗料を考慮するとき特に明白である。顔料又は充填剤は、水感応性又は水溶性のもの、及び水に非感応性又は水不溶性のものに分類できる。最初のカテゴリーは、先に述べたように生物学的に活性である顔料又は充填剤を含む。これらの例は、酸化銅、チオシアン酸銅を含む。このカテゴリーのその他の顔料又は充填剤は、酸化亜鉛、塩化銀、酸化銀、フッ化カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、炭酸鉄、鉄カルボニル、水酸化マグネシウム、二水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、炭酸マンガン、クロム酸亜鉛、炭酸亜鉛、硫化亜鉛を含む。自己研磨系では、本明細書で説明したように、このような物質は、塗料の研磨速度を調節するために用いられてもよい。これらの成分は、単独で又は組み合わせて用いられてもよく、乾燥塗料の60容量%より少なくなる。このグループの水不溶性の顔料又は充填剤は多くあり、本明細書で説明したように、これらが自己研磨系で用いられるとき、これらは塗料の研磨速度を低減するかもしれない。これらの例は、タルク、ドロマイト、炭酸カルシウム、雲母、硫酸バリウム、カオリン、シリカ、パーライト、酸化マグネシウム、カルサイト及び石英粉末を含む。その他の水不溶性顔料は、二酸化チタン、酸化鉄、黒鉛及びカーボンブラックを含む。一般的に、これらは、水溶性成分と組み合わせて用いられ、乾燥塗料の60容量%より少なくなる。
【0094】
界面活性剤の例は、酸化プロピレン及び酸化エチレン誘導体(アルキルフェノール−酸化エチレン縮合物など)、不飽和脂肪酸のエトキシル化モノエタノールアミド(イタコン酸のエトキシル化モノエタノールアミドなど)、及びその他のもの(ドデシル硫酸ナトリウム、アルキルフェノールエトキシル化物及び大豆レシチンなど)を含む。
【0095】
湿潤剤及び分散剤の例は、M.AshとI.Ash、「Handbook of Paint and Coating Raw Materials」、第1巻、1996年、Gower Publ.Ltd.英国の821〜823頁、849〜851頁に詳細に説明されているものを含む。
【0096】
乾燥剤の例は、オクタン酸金属及びナフテン酸金属を含む。
【0097】
活性化剤の例は、サルチル酸およびベンジルアルコールを含む。
【0098】
抑泡剤の例は、シリコーンオイル、芳香族及び脂肪族鉱油を含む。
【0099】
光と熱が原因の劣化を防止するための安定剤の例は、HALS化合物(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−(5−クロロ−(2H)−ベンゾチアゾール−2−イル)−4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノール及び2,4−ジ−tert−ブチル−6−(5−クロロベンゾチアゾール−2−イル)フェノールなど)を含み、水分が原因の劣化を防止するための安定剤の例は、モレキュラーシーブ及び水吸着剤を含む。
【0100】
酸化防止剤の例は、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、没食子酸プロピル、トコフェノール、2,5−ジ−tert−ブチル−ヒドロキノン、L−アスコルビン酸を含む。
【0101】
腐食抑制剤の例は、アミノカルボキシレート及びそれらの金属塩、リン酸ケイ酸カルシウム、安息香酸アンモニウム、アルキルナフタレンスルホン酸のバリウム、カルシウム、亜鉛及びマグネシウム塩、シアヌール酸亜鉛塩、5−ニトロイソフタル酸の亜鉛塩、ドデシルナフタレンスルホン酸の亜鉛塩、トリルプロピオン酸の亜鉛及びアミン錯体を含む。
【0102】
凝集剤の例は、グリコール、2−ブトキシエタノール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノ−イソブチレート、アジピン酸、グルタル酸及びコハク酸のジイソブチルエステルを含む。
【0103】
増粘剤及び沈降防止剤の例は、コロイダルシリカ、水和ケイ酸アルミニウム、トリステアリン酸アルミニウム、モノステアリン酸アルミニウム、キサンタンガム、サルチル酸、クリソライト、ヒュームドシリカ、不飽和及び水素化ヒマシ油、オルガノ変性クレー、ポリヒドロキシカルボン酸アミド、変性尿素及びポリアミドワックスを含む。
【0104】
繊維の例は、天然及び合成無機繊維(シリコーン含有繊維、金属繊維、酸化物繊維、鉱物繊維など)、天然及び合成有機繊維(セルロース繊維、ゴム繊維、アクリル繊維など)又はWO0077102に記載されたようなその他のものを含む。
【0105】
溶媒の例は、水、キシレン、揮発油、ソルベッソ、トルエンなどの芳香族炭化水素、ヘキサン及びヘプタンなどの脂肪族炭化水素、ジクロロメタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタンなどの塩素化炭化水素、ジフルオロメタン、ジフルオロエタン、トリフルオロエタン、テトラフルオロエタンなどのフッ素化炭化水素、クロロフルオロメタン、クロロジフルオロエタン、パラクロロベンゾトリフロライドなどのフルオロクロロ脂肪族及び芳香族炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、メチルアセテート、エチルアセテート、ブチルアセテート、tert−ブチルアセテート、エチレングリコールメチルエーテルアセテートなどのエステル類、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジブチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル類、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコールなどのアルコール類、ブトキシエタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテルアルコール類、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミドなどのアミド類又はジメチルスルホキシドなどの溶媒、任意選択的に上記溶媒の混合物を含む。
【0106】
本発明は、以下の実施例でより詳細に説明される。
【実施例】
【0107】
(ポリマー中の固形分の測定)
ポリマー中の固形分の測定は、150℃30分間の暴露の前後に0.6±0.1gの試料を秤量することに行われた。
【0108】
その結果が、表1〜3に報告されている。
【0109】
(ポリマーの分子量分布の測定)
ポリマーの分子量分布の測定は、ゲル透過クロマトグラフィ(GPC)を用いて行われた。溶媒としてテトラヒドロフラン(TFH)が、基準としてポリスチレンが用いられた。
【0110】
重量平均分子量(Mw)が、表1〜3に報告されている。
【0111】
(ポリマーCのガラス転移温度(Tg)の計算)
ガラス転移温度が、T.G.Foxが説明した式(Bull.Am.Phys.Soc.1、123,1956年)を用いて計算された。
【0112】
その結果が、表3に報告されている。
【0113】
(機械的試験)
塗料の機械的特性が、曲げ試験を用いて行われた。
【0114】
この試験のために、スチール製試験板(170×110×0.7mm)が用いられた。試験板は、塗料が基板によく付着するように、事前に、サンドペーパーで研磨され、溶媒で脱脂された。前記防汚塗料が、乾燥皮膜として100〜300μmに対応する厚みで試験板に塗布された。防汚塗料を塗布した後、試験板は少なくとも16時間乾燥され、その後に前記曲げ試験に供された。
【0115】
曲げ試験を行うために、テーパーの付いたマンドレルが用いられた。防汚塗料の機械的特性が、塗料皮膜中の亀裂発生傾向の観点で評価された。以下の記号を用い、防汚塗料の機械的特性が、分類/評価されている。
0=塗料皮膜中に亀裂認められず
×=塗料皮膜中に小さい亀裂あり
××=塗料皮膜中に中程度の亀裂あり
×××=塗料皮膜中に大きい亀裂あり
柔軟性、即ち耐亀裂性は0から×××に向けて低下する。
【0116】
曲げ試験の結果が、表4〜5に掲載されている。
【0117】
(海水中での研磨速度の測定)
研磨速度が、塗料調合物の皮膜厚さの時間に対する減少を計測することにより行われる。この試験のために円形PVC板が用いられる。試験板が脱脂され、かつ塗料調合物が、試験板上に放射状に筋状に塗布される。塗布後皮膜が乾燥され、かつ乾燥皮膜の厚みが、適切な電子皮膜厚み計を用いて計測される。PVC板が、海水が流入する容器中で回転するシャフト上に取り付けられる。ろ過され、25±2℃に調整された天然海水が用いられる。PVC板が、一定のインターバルで取り除かれ、皮膜厚さが測定される。試験板は、真水でリンスされ、一晩中常温で乾燥される。皮膜厚みが測定され、試験板は海水中に戻され、回転された。この試験は、少なくとも12週間続けられる。
【0118】
塗料の研磨速度を分類/評価するために、以下の記号が使用されている。
結果(μm/年) 研磨
>50 +++
20〜49 ++
1〜19 +
0 0
【0119】
防汚塗料に対する研磨結果が、表4及び5に掲載されている。
【0120】
(抜け殻層の測定)
海水中で研磨速度の測定が終了した後、抜け殻層の測定が行われる。
【0121】
それぞれの塗料皮膜の試料が、エポキシ樹脂に注型された。この試料は、塗料皮膜の断面が光学顕微鏡で試験できるように、研磨される。
【0122】
抜け殻層は、可溶性顔料が塗料皮膜から溶解されたので、塗料皮膜の残部と比較して明らかに識別できる。その結果として、抜け殻層は、塗料皮膜の残部とは別の色を持っている。
【0123】
顕微鏡中のスケールを用いることにより、抜け殻層の厚みがマイクロメーターで測定できる。
【0124】
抜け殻層の測定結果が、表4〜5に掲載されている。
【0125】
(海水中での防汚性の測定(イカダ試験))
本発明のポリマー調合物の海洋生物に対する防汚効果が、Oslofjord外域(Sandefjord、Norway)で静的暴露試験に供された。
【0126】
この試験のために、塩化ビニル(PVC)試験板(150×75×3mm)が用いられた。試験板は、市販のプライマー(Vinyguard Silvergrey 88、Jotun)を用いて事前に塗布された。前記防汚塗料が、乾燥皮膜として100〜150μmに対応する厚みで試験板に塗布された。防汚塗料を塗布した後、試験板は少なくとも48時間乾燥され、フレームに取り付けられて、1mの深度の海水中に半年間浸漬された。
【0127】
海水暴露終了後、この塗料は、その防汚性の大きさ、即ち試験板上の粘泥、藻類及び動物の量について評価された。防汚性評価値100は、汚損がないことを表し、一方0は、試験板が完全に汚損されたことを表す。以下の記号を用いて塗料の防汚性が分類/評価された。
評価 防汚性
97〜100 優れている
90〜96 非常に良好
71〜89 良好
0〜70 不良
海水中の防汚性評価の結果は、表4〜5に掲載されている。
【0128】
(ポリマー実施例)
(ポリマーAの製造)
溶媒LA1が、攪拌器、温度計、添加ロート及び冷却器付の5頚フラスコに注入され、反応温度に加熱された。表1に掲載された所望の組成に対応して、モノマーMA1〜MA8と溶媒LA2及び開始剤IA1との混合物が、3時間にわたり滴状に添加され、この間、温度は反応温度に維持された。添加が完了した後、30分間攪拌が続けられた。次に、開始剤IA2及び溶媒LA3の混合物が、30分間にわたり添加された。引き続き、さらに30分間攪拌が続けられた。
【0129】
反応混合物の組成(重量%)及び実施例A1〜A4の測定された特性が、表1に掲載されている。
【0130】
(ポリマーBの製造)
溶媒LB1〜LB2及びモノマーMB1が、攪拌器、温度計、添加ロート及び冷却器付の5頚フラスコに注入され、反応温度まで加熱された。表2に掲載された所望の組成に対応して、モノマーMB2〜MB9と溶媒LB3及び開始剤IB1〜IB2との混合物が、4時間にわたり滴状に添加され、この間、温度は反応温度に維持された。添加が完了した後、30分間攪拌が続けられた。次に、開始剤IB3〜IB4及び溶媒LB4の混合物が、30分間にわたり添加された。続いて、さらに1時間攪拌が続けられた。
【0131】
反応混合物の組成(重量%)及び実施例B1〜B4の測定された特性が、表2に掲載されている。
【0132】
(ポリマーCの製造)
溶媒LC1が、攪拌器、温度計、添加ロート及び冷却器付の5頚フラスコに注入され、反応温度まで加熱された。表3に掲載された所望の組成に対応して、モノマーMC1〜MC6と溶媒LC2及び開始剤IC1との混合物が、3時間にわたり滴状に添加され、この間、温度は反応温度に維持された。添加が完了した後、30分間攪拌が続けられた。次に、開始剤IC2及び溶媒LC3の混合物が、30分間にわたり添加された。続いて、さらに2時間攪拌が続けられた。
【0133】
反応混合物の組成(重量%)及び実施例C1〜C7の測定された特性が、表3に掲載されている。
【0134】
表1:ポリマーAを製造するための反応混合物の組成及び反応条件並びにポリマーAの測定された特性

【0135】
表2:ポリマーBを製造するための反応混合物の組成及び反応条件並びにポリマーBの測定された特性

【0136】
表3:ポリマーCを製造するための反応混合物の組成及び反応条件並びにポリマーCの測定された特性

【0137】
(塗料実施例)
全ての塗料は、表4〜5に重量%で表された組成を有する、実施例M1〜M45及びS1〜S3に従って製造された。
【0138】
塗料実施例M1、M11、M16及びM29は、ポリマーAだけを含有する塗料であり、したがって本発明に包含されない。しかし、この実施例は、本発明の高い独創性を説明するための比較例として組み込まれている。
【0139】
塗料実施例M43〜M45は、ポリマーPA4及びポリマーPC5〜PC7をも用いて製造されている。ポリマーPC5〜PC7は、ポリマーAと相溶することが判っている。この実施例は、本発明の高い独創性を説明するための比較例として組み込まれている。
【0140】
塗料実施例S1では、市販の製品(SeaGrandprix 1000、中国塗料(株))が、トリオルガノシリル基を有するコポリマー、即ち本明細書に説明されたようなコポリマーに基づくバインダーと共に用いられて試験された。したがって、この実施例は本発明に包含されない。この実施例は、本発明の高い独創性を説明するための比較例として組み込まれている。
【0141】
(ポリマーAを用いた塗料製造の実施例)
ポリマーA及び溶媒キシレンが、デゾルバー中で混合された。攪拌しながら、顔料が添加された。塗料は、<30μmの粉末度に粉砕された。粉砕後、増粘剤(BYK−410)が添加された。
【0142】
ポリマーBを用いた塗料が、同様な方法で製造された。
【0143】
(ポリマーA及びBを用いた塗料製造の実施例)
ポリマーA及びB並びに溶媒キシレンが、デゾルバー中で混合された。攪拌しながら、顔料が添加された。塗料は、<30μmの粉末度に粉砕された。粉砕後、増粘剤(BYK−410)が添加された。
【0144】
ポリマーA及びCを用いた塗料が、同様な方法で製造された。
【0145】
(ポリマーA、B及びCを用いた塗料製造の実施例)
ポリマーA、B及びC並びに溶媒キシレンが、デゾルバー中で混合された。攪拌しながら、顔料が添加された。塗料は、<30μmの粉末度に粉砕された。粉砕後、増粘剤(BYK−410)が添加された。
【0146】
(比較例S1〜S3に用いられた市販塗料製品)
SeaGrandprix 1000(中国塗料(株))は、トリオルガノシリル基を有するコポリマー、即ち本明細書に説明されたようなコポリマーに基づくバインダーを含有する。
【0147】
バインダー/顔料の比率に何らかの本質的な変更が生じることを避けるために、ポリマーB及び顔料が、この市販塗料に添加された。この比率に起こりうる小さな変更は、機械的特性及び海水中での防汚性に対して重要であるとは考えられない。塗料は、デゾルバー中で<30μmの粉末度に粉砕された。
【0148】
表4:塗料の組成






(注) a比較例、ポリマーAだけを含む。
b比較例、ポリマーAを含まない。
c比較例、ポリマーAとCが相溶性である。
【0149】
表5:塗料実施例S1〜S3

【0150】
表4〜5の結果は、ポリマーAだけが用いられたこれらの実施例と比較して、ポリマーBの添加により機械的特性が改良されていること、及び本発明の防汚塗料が十分な研磨性及び海水中で有効な防汚性を提供することを例証している。また、この結果は、本発明の防汚塗料で塗布された試験板が、実施例S1の市販塗料製品の防汚効果に匹敵する防汚効果を示すこと、並びにこの試験板がこの試験期間に動物及び藻類で覆われなかったことを例証している。
【0151】
しかし、実施例M42の塗料は、何らの防汚効果又は研磨特性を示さなかった。
【0152】
また、この結果は、抜け殻層がポリマーCの添加により減少すること、並びにそうでない場合にも、研磨特性及び防汚特性が維持されていることを例証している。また、この結果は、種々の程度の研磨性を得ることが可能であり、それ故自己研磨性防汚塗料を必要とする用途の全分野をカバーすることが可能であることを証明している。
【0153】
ポリマーAと相溶性があるポリマーCが用いられている実施例M43〜M45における塗料は、機械的特性が改良されなかったことを例証している。このことは、機械的特性を改良するためには、塗料が、本発明にかかるポリマーBとして定義される不相溶性ポリマーを含むべきであることを例証している。
【0154】
また、表5の結果は、市販の塗料製品の機械的特性がポリマーBの添加により改良されたこと、並びに海水中での研磨特性及び防汚特性が保持されていることを例証している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に塗布した後、自己研磨性で防汚性のコーテイングを形成する防汚塗料であって、下記のポリマーA、B及びCを含むバインダーを含有することを特徴とする防汚塗料:
(A)コポリマーであって、その繰り返し単位が、
(a)構造Iで定義されるモノマー:


(式中、XはH又はCHであり、YはH又は場合によりエステル化COOH基であり、R、R、R、R及びRは置換又は非置換C1−20アルキル、C1−20アリール、C1−20アルコキシ又はC1−20アリールオキシから独立して選ばれ、nは0又は1以上の整数である)、及び
(b)1種以上のエチレン性不飽和モノマーに該当するコポリマー、
(B)ホモ又はコポリマーであって、その繰り返し単位が、1種以上のタイプのエチレン性不飽和モノマーであって、少なくとも1種が、式II:
−Y−R (II)
(式中、Rは置換又は非置換C1−20アルキル又はC1−20アリールから選ばれ、Yは−C(=O)−又は−O−である)の基で終わる側鎖をもつモノマーに該当し、(B)のポリマーが(A)のポリマー及びその他の所望の塗料成分とも不相溶性であるホモ又はコポリマー、かつ、場合により、
(C)ホモ又はコポリマーであって、その繰り返し単位が、1種以上のタイプのエチレン性不飽和モノマーであって、少なくとも1種が、式III:
−Y−R (III)
(式中、Rは置換又は非置換C1−20アルキル又はC1−20アリールであり、Yは−C(=O)−又は−O−である)の基で終わる側鎖をもつモノマーに該当するホモ又はコポリマー。
【請求項2】
nが0である請求項1記載の防汚塗料。
【請求項3】
nが1以上である請求項1記載の防汚塗料。
【請求項4】
、R、R、R及びRが、置換又は非置換C1−12アルキル、C1−12アリール、C1−12アルコキシ又はC1−12アリールオキシから独立して選ばれる請求項1〜3のいずれか一項に記載の防汚塗料。
【請求項5】
、R、R、R及びRが、置換又は非置換C1−8アルキル、C1−8アリール、C1−8アルコキシ又はC1−8アリールオキシから独立して選ばれる請求項4記載の防汚塗料。
【請求項6】
トリオルガノシリル基である−Si(R)が、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリ−n−プロピルシリル、トリイソプロピルシリル、トリ−n−ブチルシリル、トリ−tert−ブチルシリル、トリイソブチルシリル、トリ−n−ペンチルシリル、トリ−n−ヘキシルシリル、トリフェニルシリル、トリベンジルシリル、エチルジメチルシリル、n−ブチルジメチルシリル、ジイソプロピル−n−ブチルシリル、ジシクロヘキシルフェニルシリル、tert−ブチルジフェニルシリル、tert−ブチルジメチルシリル、ジメチルフェニルシリル、ビフェニルジメチルシリル、ビフェニルジイソプロピルシリル、ジフェニルメチルシリル、ジメチルヘキシルシリルからなる群から選ばれる請求項1〜5のいずれか一項に記載の防汚塗料。
【請求項7】
バインダーが、ガラス転移温度Tg<30℃をもつ(C)で定義されるポリマーを含む請求項1〜6のいずれか一項に記載の防汚塗料。
【請求項8】
Tg<20℃である請求項7記載の防汚塗料。
【請求項9】
Tg<10℃である請求項7記載の防汚塗料。
【請求項10】
Tg<0℃である請求項7記載の防汚塗料。
【請求項11】
成分A、B及び場合により含有するCの量が、合計で塗料中の固形分全量の少なくとも20容量%、好ましくは少なくとも25容量%、特に少なくとも30容量%を構成する請求項1〜10のいずれか一項に記載の防汚塗料。
【請求項12】
ポリマーA、B及び場合により含有するCの組み合わせ中のポリマーAの割合が、最大95容量%、好ましくは最大90容量%、特に最大85容量%である請求項1〜11のいずれか一項に記載の防汚塗料。
【請求項13】
ポリマーCが存在せず、かつポリマーBの量が、A及びBを組み合わせた容積の少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%、特に少なくとも15%である請求項1〜6、11及び12のいずれか一項に記載の防汚塗料。
【請求項14】
ポリマーBの量が、A、B及びCを組み合わせた容積の少なくとも1%、好ましくは少なくとも5%、特に少なくとも10%である請求項1〜12のいずれか一項に記載の防汚塗料。
【請求項15】
ポリマーCの量が、A、B及びCを組み合わせた容積の少なくとも1%、好ましくは少なくとも3%、特に少なくとも5%、特に少なくとも10%である請求項1〜12及び14のいずれか一項に記載の防汚塗料。
【請求項16】
ポリマー分子が、枝分かれしているか又は星状であって、枝分かれ点から3個以上のポリマー鎖をもつ請求項1記載の防汚塗料。
【請求項17】
補助バインダー、生物学的活性物質、顔料及び充填剤、界面活性剤、湿潤剤及び分散剤、乾燥剤、活性剤、抑泡剤、安定剤、酸化防止剤、腐食防止剤、合体剤、増粘剤及び沈降防止剤、繊維及び溶媒から選ばれた追加成分を含む請求項1〜15のいずれか一項に記載の防汚塗料。
【請求項18】
ロジン又はロジン誘導体から選ばれた補助バインダーを含む請求項17記載の防汚塗料。
【請求項19】
塗料中の固形分の2〜10容量%の量で繊維を含む請求項17及び18のいずれか一項に記載の防汚塗料。
【請求項20】
請求項1〜19のいずれか一項に記載の塗料からなる自己研磨性防汚コーテイングを行った海洋構造物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に塗布した後、自己研磨性で防汚性のコーテイングを形成する防汚塗料であって、下記のポリマーA、B及びCを含むバインダーを含有することを特徴とする防汚塗料:
(A)コポリマーであって、その繰り返し単位が、
(a)構造Iで定義されるモノマー:


(式中、XはH又はCHであり、YはH又は場合によりエステル化COOH基であり、R、R、R、R及びRは置換又は非置換C1−20アルキル、C1−20アリール、C1−20アルコキシ又はC1−20アリールオキシから独立して選ばれ、nは0又は1以上の整数である)、及び
(b)1種以上のエチレン性不飽和モノマーに該当するコポリマー、
(B)ホモ又はコポリマーであって、その繰り返し単位が、1種以上のタイプのエチレン性不飽和モノマーであって、少なくとも1種が、式II:
−Y−R (II)
(式中、Rは置換又は非置換C1−20アルキル又はC1−20アリールから選ばれ、Yは−C(=O)−又は−O−である)の基で終わる側鎖をもつモノマーに該当し、(B)のポリマーが(A)のポリマー及びその他の所望の塗料成分とも不相溶性であるホモ又はコポリマー、かつ、場合により、
(C)ホモ又はコポリマーであって、その繰り返し単位が、1種以上のタイプのエチレン性不飽和モノマーであって、少なくとも1種が、式III:
−Y−R (III)
(式中、Rは置換又は非置換C1−20アルキル又はC1−20アリールであり、Yは−C(=O)−又は−O−である)の基で終わる側鎖をもつモノマーに該当し、ポリマーがTg<30℃のガラス転移温度を有するホモ又はコポリマー。
【請求項2】
nが0である請求項1記載の防汚塗料。
【請求項3】
nが1以上である請求項1記載の防汚塗料。
【請求項4】
、R、R、R及びRが、置換又は非置換C1−12アルキル、C1−12アリール、C1−12アルコキシ又はC1−12アリールオキシから独立して選ばれる請求項1〜3のいずれか一項に記載の防汚塗料。
【請求項5】
、R、R、R及びRが、置換又は非置換C1−8アルキル、C1−8アリール、C1−8アルコキシ又はC1−8アリールオキシから独立して選ばれる請求項4記載の防汚塗料。
【請求項6】
トリオルガノシリル基である−Si(R)が、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリ−n−プロピルシリル、トリイソプロピルシリル、トリ−n−ブチルシリル、トリ−tert−ブチルシリル、トリイソブチルシリル、トリ−n−ペンチルシリル、トリ−n−ヘキシルシリル、トリフェニルシリル、トリベンジルシリル、エチルジメチルシリル、n−ブチルジメチルシリル、ジイソプロピル−n−ブチルシリル、ジシクロヘキシルフェニルシリル、tert−ブチルジフェニルシリル、tert−ブチルジメチルシリル、ジメチルフェニルシリル、ビフェニルジメチルシリル、ビフェニルジイソプロピルシリル、ジフェニルメチルシリル、ジメチルヘキシルシリルからなる群から選ばれる請求項1〜5のいずれか一項に記載の防汚塗料。
【請求項7】
Tg<20℃である請求項1記載の防汚塗料。
【請求項8】
Tg<10℃である請求項1記載の防汚塗料。
【請求項9】
Tg<0℃である請求項1記載の防汚塗料。
【請求項10】
成分A、B及び場合により含有するCの量が、合計で塗料中の固形分全量の少なくとも20容量%、好ましくは少なくとも25容量%、特に少なくとも30容量%を構成する請求項1〜9のいずれか一項に記載の防汚塗料。
【請求項11】
ポリマーA、B及び場合により含有するCの組み合わせ中のポリマーAの割合が、最大95容量%、好ましくは最大90容量%、特に最大85容量%である請求項1〜10のいずれか一項に記載の防汚塗料。
【請求項12】
ポリマーCが存在せず、かつポリマーBの量が、A及びBを組み合わせた容積の少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%、特に少なくとも15%である請求項1〜6、10及び11のいずれか一項に記載の防汚塗料。
【請求項13】
ポリマーBの量が、A、B及びCを組み合わせた容積の少なくとも1%、好ましくは少なくとも5%、特に少なくとも10%である請求項1〜11のいずれか一項に記載の防汚塗料。
【請求項14】
ポリマーCの量が、A、B及びCを組み合わせた容積の少なくとも1%、好ましくは少なくとも3%、特に少なくとも5%、特に少なくとも10%である請求項1〜11、及び13のいずれか一項に記載の防汚塗料。
【請求項15】
ポリマー分子が、枝分かれしているか又は星状であって、枝分かれ点から3個以上のポリマー鎖をもつ請求項1記載の防汚塗料。
【請求項16】
補助バインダー、生物学的活性物質、顔料及び充填剤、界面活性剤、湿潤剤及び分散剤、乾燥剤、活性剤、抑泡剤、安定剤、酸化防止剤、腐食防止剤、合体剤、増粘剤及び沈降防止剤、繊維及び溶媒から選ばれた追加成分を含む請求項1〜14のいずれか一項に記載の防汚塗料。
【請求項17】
ロジン又はロジン誘導体から選ばれた補助バインダーを含む請求項16記載の防汚塗料。
【請求項18】
塗料中の固形分の2〜10容量%の量で繊維を含む請求項16及び17のいずれか一項に記載の防汚塗料。
【請求項19】
請求項1〜18のいずれか一項に記載の塗料からなる自己研磨性防汚コーテイングを行った海洋構造物。

【公表番号】特表2006−503115(P2006−503115A)
【公表日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−569736(P2003−569736)
【出願日】平成15年2月20日(2003.2.20)
【国際出願番号】PCT/NO2003/000064
【国際公開番号】WO2003/070832
【国際公開日】平成15年8月28日(2003.8.28)
【出願人】(504318245)
【Fターム(参考)】