自己細胞の保管及び利用のための支援システム
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、セルバンクシステム及び細胞の凍結及び解凍方法に関し、特に、個人の医療、美容、生活設計を支援するために、予防や診断を目的とした個人の細胞及びその遺伝子情報を保管するセルバンクシステム及び細胞の凍結及び解凍方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、万一の病気に備えて健康な人の細胞を予防や診断目的で保管するところは存在しなかった。これは、人の細胞を保管しても何の利益も得られないという理由があったためである。ところが、最近になって、保存血液不足の深刻化に伴い自分の血液の有用性が次第に認知され、手術前に予め自分の血液を採取しておき、手術時に用いることが多くなってきた。
【0003】また、従来において、細胞の保存法は、細胞、受精卵、組織(皮膚シート)ごとに異なっていた。しかし、細胞の種類やその状態に応じて何ら保存法を変えるといった処置は講じていなかった。このように、細胞、受精卵等と大雑把に分類し、それらに対して異なる保存法を採るに留まっていた。このように、細胞の凍結保存の成否は、実際にやってみなくては分からないというような程度の認識で、細胞の凍結保存の前にその成否や生存率を推定し、それを考慮した保存方法や解凍後の処理法の想到までには到っていなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら従来においては、病気になって初めて自己細胞(血液や皮膚等)を手術に備えて採取し、手術までの短期間だけの保存が行われていた。しかし、病気と診断された時点で、既に自己細胞が病気に冒されている場合や過去にその事実があった場合は、治療に自己細胞を使えない状況となる。又、病気が発見された時点で、手遅れで時間的に細胞採取が間に合わない場合も生じる。そこで、このような救急の事態に備えて予め、しかもなるべく若く、健康な状態の細胞を保管しておく必要性が出てきた。加えて、近年の急速な医学の進歩で細胞の保管技術や細胞の増殖法、更には細胞の分化(組織化、臓器形成)を基礎とした再生医学が可能となってきた。再生医学は病気で失われた組織、臓器を人工物や他人あるいは動物からの移植に頼らずに、自己の細胞から作り出そうとする医療である。これは21世紀の医療の主流になるものと脚光を浴びている技術である。ところが、現時点では全ての組織、臓器が自己細胞から再生できないが、近い将来この医療が完成し、人体のほとんどの細胞が再生可能になるものと予想される。そのために自己細胞を予め凍結保存しておき、必要になったときに利用するシステムを構築することは大いに意義があることである。
【0005】本発明の目的は、上記の従来の技術が有する問題点に鑑みなされたものであって、依頼者の細胞を予め採取しておき、依頼者からの要求に応じて、細胞に関する情報を閲覧できると共に、細胞を組織培養企業や薬品/化粧品製造企業に配達し、そこで細胞の増殖、分化、あるいはオーダメードの薬品、化粧品の製造を可能にするセルバンクシステム及び細胞の凍結及び解凍方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために本発明のヒューマンセルバンク(以下、HCBと略す)は保管している細胞に関するデータの閲覧依頼を受信する受信手段と、受信手段による受信に応じて、保管している細胞に関するデータを表示する表示手段と、を備えるものである。上記の各手段を備えるセルバンクシステムが実現されることで、依頼者は細胞に関する情報を随時閲覧できることが可能になる。
【0007】他の観点において、保管している細胞に関するデータの閲覧依頼を受信する受信手段と、受信手段による受信に応じて、本人確認を求める本人確認手段と、本人確認手段による本人確認に応じて、保管している細胞に関するデータを表示する表示手段とを備える、ものである。上記の各手段を備えるセルバンクシステムが実現されることで、セルバンクシステムへの不正なアクセスを防止し、これにより、依頼者の個人情報や細胞及びその遺伝子情報に関する情報の漏洩を防ぐことができる。又、他の観点において、前記細胞及びその遺伝子情報に関するデータには、細胞数、有効保存期間、又は、保存方法が含まれる、ものである。
【0008】このようなデータ構成を採ることで、依頼者は、細胞数、有効細胞保存期間、及び保存方法を随時閲覧することができる。又、他の観点において、細胞を凍結させ、この凍結状態を第1の所定時間維持し、これを解凍してから、第2の所定時間培養してから生細胞の割合を算出し、この算出結果により細胞の保存方法又は保存期間を決定する、ものである。このような細胞の凍結方法又は解凍方法を採ることで、細胞が保存可能かどうか、また、有効保存期間を事前に判定することが可能になり、結果として、無駄をなくすことができる。
【0009】さらに又、他の観点において、前記細胞の保存方法又は保存期間は、細胞の種類及び細胞の状態に応じて異なる、ものである。このような細胞の保存又は保存期間を採ることで、個々の細胞の種類及びその状態に応じて最適の保存方法と保存期間を選択できる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。本発明は、予め依頼者各個人の細胞を採取し、目的に応じて細胞を保管しておき、依頼者自身が必要とする時、自分の細胞保管状況をインターネット上で確認し、HCBの保管管理者に必要な指示を出す。保管管理者は依頼者の指示に従い目的に応じた処置を行い、指定された時間と場所に依頼者の細胞を届ける。又、依頼者の指示で保管細胞より、遺伝子情報やその細胞を用いた薬剤感応試験等を行い、その結果を依頼者に通知する。これらの解析、試験状況も、随時インターネット上で依頼者本人に公開することで、依頼者との質疑応答に応じてインホームドコンセントと情報公開を徹底させる。また、細胞医療や再生医療の専門のカウンセラを常駐させて、現段階で考えられる医療技術、科学について解説しながらカウンセリングを行う、ことを主旨とするものである。
【0011】 図1は、本発明の一実施の形態によるHCBの全体構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施の形態によるセルバンクシステムは、HCB1と、インターネット6に接続され、HCB1から委託されて依頼者5の細胞の増殖、分化を行う組織培養企業2と、細胞の抽出物を基に薬品や化粧品の製造を行う薬品/化粧品製造企業3と、組織培養企業2において増殖、分化させた細胞を用いて手術や治療を行う病院4と、HCB1への細胞の凍結保管を希望する依頼者5と、から構成される。なお、本実施の形態では、便詮的に組織培養企業2、薬品/化粧品製造企業3、病院4の各コンピュータ端末は、すべてインターネット6に接続されているものとする。
【0012】図1において、HCB1は、依頼者5から採取した細胞を凍結保存しておく細胞保管手段である細胞保管施設13と、依頼者5の個人情報及び細胞保管施設13に保管されている細胞に関する情報が格納されている記憶手段であるメモリ11と、HCB1全体を制御するホストコンピュータ12と、インターネット6に接続して、HCB1のホームページを依頼者5が閲覧可能なようにするサーバ14と、から構成される。
【0013】なお、上記において、細胞に関する情報には、HIV−1(human immunodeficiency virus-1:エイズウイルス)、HBV(hepatitis B virus:B型肝炎ウイルス)、HCV(hepatitis C virus:C型肝炎ウイルス)、生細胞率、細胞形態、細胞の増殖性、微生物汚染(マイコプラズマ、細菌、酵母、カビ等)等の検査結果が含まれる。また、本実施例では、細胞の状態に応じた凍結保存法を選択し、解凍後の対処を予め用意しておく方法を採っているが、この細胞の状態には、以下の項目が含まれる。
【0014】1)細胞総数(細胞の数が少ないとそれに伴い凍結解凍後の細胞数も少なくなり、細胞の生存維持が難しくなる)。
2)凍結保存に対する抵抗性(細胞の種類により抵抗性が異なる)。
3)人体から分離後の経過時間(人体から分離後の時間が余りに長いと細胞の生命力が低下する)。
4)凍結保存までの保存法(細胞を培養条件下に置いたのか、または、培地中に浸したのか、あるいは、冷却していたのか等の細胞を分離した後に採った保存法であり、重要な項目である。細胞へのダメージが少ないほど凍結保存後の回復率が良好である)。
【0015】本実施の形態において細胞を細胞保管施設13に保管する目的は、大きく以下の7つに分類される。
(1)細胞から、例えば、親子鑑定やSNP(Single Nucleotide Polymorphism:一塩基変異多型)等の遺伝子診断を含む遺伝子情報(1次情報)を取得することを目的とした保管。
(2)細胞を培養して増殖させ、制癌剤や化粧品等の薬剤感応試験のデータ及び試験をした細胞の遺伝子の取得を目的とした保管。
(3)細胞を培養して増殖させ、そこから目的とするタンパク質等の成分を抽出、分離、精製することを目的とした保管。
【0016】(4)解凍後の細胞をそのまま、増殖及び分化後、あるいは予め組織形成、臓器形成させてから凍結しておいた細胞、組織、臓器を移植医療に用いることを目的とした保管。
(5)解凍後の細胞を増殖させて、又、増殖及び分化後組織形成、臓器形成させて移植医療に用いることを目的とした保管。
(6)全能性(種々の組織、臓器分化できる能力を持った)のあるES(Embryonic Stem Cell:胚幹細胞)細胞の保管。
(7)病院からの委託保管。
【0017】(1)、(2)の目的での細胞保管は、依頼者5個人の細胞が採取されてHCB1で保管される。(3)、(4)の目的での細胞保管は、細胞は依頼者5から採取され、HCB1に運ばれて保管される。依頼者からの指示で細胞を起眠させ、増殖・分化させて、又は、細胞を組織培養企業2を経由して病院4に輸送し、依頼者5に戻される。又、(5)、(6)の目的での細胞保管は、保管の前に細胞の増殖、分化を行うか、又は組織培養企業2で増殖や分化(組織化、臓器形成)させたものをセルバンクに戻して保管する。遺伝子や感応試験の解析で得られた情報は、依頼者5本人にのみ連絡する場合とインターネット6を通して依頼者5、HCB1と病院4等のセルバンクシステム参加者間で共有させる場合がある。この場合は依頼者の承諾を得ることが前提となる。このとき、依頼者名とそのデータとの照合ができる第三者は、医師、医療・美容コーディネーターのみである。
【0018】細胞の採取方法として、(1)依頼者の意志に基づいてメス、レーザー(外科手術)等を用いて行う方法、(2)出産時のさい帯血、親知らず(第3大臼歯)の抜歯等、採取できる時期を選んで採取する方法、(3)また、例えば、病気、事故等の偶然による方法の3つが考えられる。
【0019】本実施の形態における細胞の凍結/解凍は以下のように行われる。まず、細胞が凍結保存に耐えられるか否かの判定と解凍の際の処置法を予測するプレ凍結保存を行う。このプレ実験は2通りの方法がある。(1)ペーパータオル等の断熱材で細胞保存チューブを梱包し、−80℃のフリーザーの1時間置き、液体窒素に10分間以上漬けて凍らせてから通常の方法で解凍する。または、(2)瞬間冷凍(液体窒素に10分間以上凍らせてから通常の方法で解凍する。次に、解凍した細胞の数の計測に移るが、この時も細胞の形態に応じて2通りの方法が採られる。浮遊細胞の場合は、1時間培養して、トリパンブルー溶液等で染色し、血球計算板で生細胞数と死細胞数を計測し、細胞の生存率を算出する。付着細胞の場合は、解凍後、1時間培養して付着した細胞数から生存率を算出する。トリパンブル−溶液以外では、細胞の生活力を測定するMTT試薬を用いても良い。
【0020】このMTT試薬は、Gay, et al, The Living Skin Equivalent as a Model InVitro for Ranking the Toxic Potential of Dermal Irritants, Toxic. In Vitro, 6, 303-315 (1992)に記載されている。可溶テトラゾリウム塩の青色ホルマザン沈殿物への代謝還元は、無傷のミトコンドリア機能を有する生活力のある細胞の存在に依存しており、細胞毒性を計算するために用いられる。MTT試薬は、例えば、東洋紡からMATREという商品名で市販されている。
【0021】上記の説明を図示すると以下のようになる。
採取された細胞↓細胞の一部を、短時間で段階的に凍結又は瞬間凍結↓10分間凍結↓解凍↓1時間培養↓生/死細胞数の割合(又は生存率)を算出↓細胞保存の可能性を判定する↓結果に応じた対処を行う
【0022】図2は、プレ凍結保存法と一般的凍結保存法による初代骨芽細胞と初代ヒト表皮角化細胞の細胞数の比較を示す表である。以下、プレ凍結保存法の特徴を示すため、初代ヒト骨芽細胞と初代ヒト表皮角化組織を用いて、プレ凍結保存法と一般(簡易)凍結保存法との比較をしてみる。
【0023】先ず、初代ヒト骨芽細胞と初代ヒト表皮角化細胞をそれぞれ1×106個/m1に調製し、■10%DMSO、20%FBS(ウシ胎児血清)を含む培地と■市販のセルバンカー(BLC−1:十全科学工業)に懸濁させ、それをクライオチューブに入れ、次いで、(A)プレ凍結保存法では、細胞の入ったクライオチューブをペーパータオルで5〜6重に巻き、そのまま−80℃のフリーザー中に1時間置き、それから液体窒素に10分間漬ける。(B)一般的凍結保存法では、クライオチューブを予め4℃に冷やしておいたバイセル(日本フリーザー)に入れ、そのまま−80℃のフリーザーに入れる。2時間経過後にバイセルからチューブを取り出し、液体窒素に10分間漬ける。それから(A)、(B)の方法とも液体窒素からチューブを取り出し、直ちに37℃の湯浴中で解凍し、細胞を予め4℃に冷やしておいた20%FBSを含む培養用の培地に入れ、遠心分離により凍結保存液を除去する。最後に、37℃に保存しておいた至適培地に懸濁させ、1時間培養してから、付着している細胞を計測する。
【0024】細胞により保存基準となる細胞の生存率や生活力が異なるが、例えば、生存率と生活力が10%以下であれば、目安の保存期間を5年とする。そして、解凍後の細胞培養は、細胞密度を高めるために小面積の、例えば、3.5cmのシャーレで行い、細胞が接着し次第、培地交換をして、大量に存在する死細胞を素早く除去する。なお、プレ凍結保存法と定法として行われている一般的凍結保存法による細胞の種類と凍結条件の違いによる細胞の生存率の比較を図2に示す。
【0025】その結果、初代ヒト骨芽細胞と初代ヒト表皮角化細胞に細胞凍結保存液として10%DMSO、20%FBSを含む培地と市販のセルバンカーを用いた検討から、プログラムフリーザーを使わない場合の一般的凍結保存法とプレ凍結保存法との間に差違はなかった。よって、プレ凍結保存法での評価は一般的凍結保存法で行った場合の評価と同じと考えられる。目安として、細胞の生存率と生活力が10%以下であれば、プログラムフリーザーを用いた凍結法で行い、その保存率も5年程度を想定する。また、生存する細胞が無いか、生存率が0.1%以下であれば、凍結保存は行わず、この細胞に適した細胞凍結保存液の検討を行う。
【0026】図3は、HCBのホストコンピュータにおいて実行されるソフトウェアの機能ブロック図を示す図である。図3に示すように、HCB1のソフトウェアは、依頼者の入会を受け付ける窓口/受付16ユニットと、依頼者が実際に本人かどうか確認する本人確認手段である本人確認ユニット17と、依頼者本人の依頼内容と細胞保管の意志を確認するアンケートユニット18と、HCB1への入会を受け付けるか否かを判定する判定ユニット19と、入会した依頼者の情報を保存する情報管理ユニット20と、細胞保管施設13に保管されている細胞を監視する細胞保管ユニット21とから成る。
【0027】図3中、各ブロックは、依頼者の受付けから細胞を保管するまでの各ソフトウェアユニットを示している。依頼者が自宅のパソコンからインターネットあるいは事業所の窓口や受付用端末から、選択、依頼する内容に従い本人の確認を行った後、アンケートに答えてもらう。これは本人の依頼を確認する意味とその意志の強さをも判断するために行う処置である。判定ユニット19で、そのアンケート結果を解析し、セルバンクへの入会を断るか、入会を受け付けるかを判断する。入会を断る場合はその旨を依頼者に伝える。入会を受け付ける場合は、情報管理ユニット20により依頼者の情報として保存すると共に必要に応じて細胞保管ユニット21により、細胞保管施設13にも伝える。入会を受け付けると判断した場合は、情報管理ユニット20から許可ID番号が依頼者に発行される。依頼者はこのID番号を次の指示、依頼に用いる。
【0028】図4は、窓口、受付の内容を業務別に示す図である。HCBへの入会30、細胞保管登録40、細胞採取予約50、細胞採取60、細胞の検査等70から成る。以下、各業務の場合について説明する。
【0029】図5は、入会業務の手順を示すフローチャートである。依頼者が自宅のパソコンでインターネットのHCBホームページから、又は、HCB事業所に設置されている端末から入会手続きを行い(ステップS31、S32)。アンケートに答えて(ステップS33)、その結果を判定し(ステップS34)、その判定結果から入会が妥当と判断された場合は、予備登録をするか否か確認して(ステップS36)、予備登録する場合は、登録を予約し、依頼者に仮のID番号を発行する。ステップS34において、入会を断られた場合は、依頼者にその理由を説明する(ステップS35)。
【0030】図6は、仮ID番号が発行された依頼者が細胞保管登録を行う場合の手順を示すフローチャートである。この登録は依頼者に事業所に来てもらい、依頼者と窓口担当者が合意の上進める。窓口担当者は依頼者に仮IDを入力してもらい本人かどうかの確認をする(ステップS41)。以後の本人の確認法はパスワードの他に声紋、指紋、虹彩等が想定できる。次に、登録するかどうかを確認し(ステップS42)、登録するのであれば、アンケートに答えてもらう(ステップS43)。次に、アンケートの結果を判定し(ステップS44)、判定結果から細胞保管登録が許可された場合は、依頼者との契約、アンケート内容の保存、細胞採取予約システムへの連絡を行うと同時に依頼者にID1を発行する(ステップS46)。ステップS44において、細胞保管登録が許可されなかった場合は、依頼者にその理由を説明する(ステップS45)。
【0031】図7は、細胞採取予約の手順を示すフローチャートである。依頼者は自分のパソコンや事業所に設置の端末を用いてID1を入力してホームページの細胞採取予約システムに入り、本人の確認を行ってから(ステップS51)、アンケートに答え(ステップS53)、その結果を判定し(ステップS54)、予約可であれば、予約項目が入力され(ステップS56)、その確認がされることで(ステップS52)、それまでの結果やデータは個人情報として保管され、依頼者に対してID2が発行される。ステップS54において、アンケートの結果が不可と判定された場合は、依頼者にその理由を説明する(ステップS55)。
【0032】図8は、細胞採取の手順を示すフローチャートである。依頼者は事業所に設置の端末を用いてID2を入力し、ホームページの細胞採取施設受付システムに入り、本人の確認を行ってから(ステップS61)、細胞採取するのか確認し(ステップS62)、細胞を採取するのであれば、アンケートに答え(ステップS63)、その結果を判定し(ステップS64)、その結果を個人情報として管理し、細胞採取の許可を出す。細胞採取許可により、依頼者に細胞採取証明とID3を発行する(ステップS66)。そして細胞採取許可により、依頼者に細胞承諾書を提出してもらい、細胞を採取する。採取した細胞を細胞保管施設に輸送する。ステップS64において、判定結果が不可の場合は、依頼者にその理由を説明する(ステップS65)。
【0033】図9は、細胞検査依頼の手順を示すフローチャートである。依頼者は自分のパソコンからHCBのホームページにID3又はID4を入力して細胞検査依頼画面に入り、以下今までと同様に進める(ステップS71)。ID4は、既に細胞検査を行った依頼者に発行されたID番号である。検査するかを確認し(ステップS72)、アンケートに答え(ステップS73)、アンケートと検査項目、目的とを合わせた結果から、細胞検査の可否を判定し(ステップS74)、必要に応じて検査前のカウンセリングを行い、検査項目を確認して(ステップS76、S77)、検査、解析へと進む。又これらの結果やデータは個人情報として保管される。ステップS74において、検査の結果不可と判定された場合は、依頼者にその理由を説明する(ステップS75)。
【0034】図10は、カウンセリングが不要な項目の場合の手順を示すフローチャートである。依頼者は自分のパソコンからHCBのホームページにID3又はID4の入力後、本人の確認ができてから(ステップS80)、本人に関する検査データとその説明が表示手段である画面に表示される(ステップS81)。画面表示に従い検査データとその説明を見ることができる(ステップS82、S83)。アンケートに答えると(ステップS84)、その結果から判定ユニット19でカウンセリングが必要かどうか判定し(ステップS85)、カウンセリングが必要と判定された場合は、カウンセラの予約や紹介を行う(ステップS86)。ステップS85において、カウンセリングが不要と判断された場合は、アドバイスを希望するかどうか確認し(ステップS87)、アドバイザが必要な場合は、アドバイザや専門医を紹介し、彼らと面談する(ステップS88)。会員が細胞保管登録をする場合は、事業所に来てもらいアドバイザとの面談があるため、待ち時間節約のために予約の意味で予備登録を行って貰う。その結果、登録の予約をして画面を終了する。
【0035】図11は、カウンセリングが必要な項目の場合の手順を示すフローチャートである。依頼者が事業所の端末からHCBのホームページにID3又はID4を入力して(ステップS90)、登録画面が表示される(ステップS91)。本人の確認ができた後は、カウンセリングを受けたかどうか判定する(ステップS92)。知りたい検査結果のカウンセリングを受けていない場合、即ち、初めて知る結果であれば、結果(データ)の概略を示し(ステップS96)、更に詳しく知りたいと希望した場合で(ステップS97)、アンケートの結果もそれを支持した場合は(ステップS98)、カウンセラから結果を知らせるためにその予約、紹介をする(ステップS99)。一方、既にカウンセラからカウンセリングを受け、結果を聞いている場合は、結果(データ)を見ることができる(ステップS93)。その結果についての相談があれば(ステップS94)、専門家を紹介する(ステップS95)。
【0036】図12は、HCBのホームページ画面から個人のページ画面までの表示例である。HCBのホームページからID番号が発行されている会員が「会員のページ」を選択すると、次画面が表示され、この画面から「登録予約」や「細胞採取予約」を選択する。ここで、「個人のページ」を選択するとその次の画面が表示され、この画面から本人のデータの確認や検査依頼を行う。最初の画面において、IDが発行されている依頼者のみが次ぎの会員の画面に進むことができる。
【0037】図13は、オプションデータの選択画面である。図11に示す個人のページの画面において、「オプションデータ」を選択するとこの画面が表示される。この画面から「解析データ」や「データ発送」等を選択する。図14は、本人データの表示画面である。図11に示す個人のページの画面において、「本人データ」を選択するとこの画面が表示される。この画面には依頼者のID番号や基本データ等が表示される。図15は、検査依頼の選択画面である。図11に示す個人のページの画面において「検査依頼」を選択するとこの画面が表示される。この画面において、「項目」を選択すると項目の内容を選択する画面が表示され、「目的」を選択するとその目的選択画面が表示される。
【0038】図16は、カウンセリングの選択画面である。図11に示す個人のページの画面において、「カウンセンリング」を選択するとこの画面が表示される。この画面から「相談内容」や「アンケート」等を選択する。図17は、作業状況の選択画面である。図11に示す個人のページの画面において、「作業状況」を選択するとこの画面が表示される。この画面から「細胞の保管場所」や「進行状況」を選択する。
【0039】セルバンクシステムの動作を実行するプログラムを記憶した記録媒体は、ROMであっても良いし、又、外部記憶装置としてCD−ROMドライバ等のプログラム読み取り装置(図示せず)が設けられ、そこに挿入することで読み取り可能なCD−ROM等であっても良い。又、上記記録媒体は、磁気テープ、カセットテープ、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、MO/MD/DVD等、又は半導体メモリであっても良い。
【0040】 なお、本発明は、インターネットに組織培養企業、薬品/化粧品製造企業、病院等が接続されている場合を例にとり説明したが、必ずしもこの形態に限定されることなく、たとえば、スポーツジムや飲食店等に接続しておき、ダイエットのための減量スケジュールの立案やメニュー作成に利用できるようにしても良い。又、セルバンクシステム1は、インターネットを利用しているため、単に国内だけに留まらず、依頼者が海外に旅行や出張したときにおいてもサービス可能であることは言うまでもない。
【0041】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、以下のような顕著な効果を奏する。
(1)過去に保存してあった細胞を解析することで、正確な病気の診断や親子鑑定が可能になる。
(2)病気に備えて予め自己細胞を用意しておくことで、自己細胞から自己臓器を作ることができ、移植のために新たにドナーを探す必要がなくなり、生存率も著しく向上する。
(3)自己の健康管理や治療を主体的に考えられるようになる。
(4)自己細胞から作った臓器を移植すれば、免疫抑制剤を使用せずに済むため、その副作用の低下に伴い苦痛を軽減できる。
(5)臓器売買の蔓延を防ぐことができる。
(6)自分の体質や病気の種類に応じて薬剤を調合できるため、医療費を安く抑えることができる。
(7)自分の肌に合った化粧品を選択したり製造できるため、肌荒れや炎症等のトラブルを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態によるHCBの全体構成を示すブロック図である。
【図2】プレ凍結保存法と一般凍結保存法による初代骨芽細胞と初代ヒト表皮角化細胞の細胞数の比較を示す表である。
【図3】HCBのホストコンピュータにおいて実行されるソフトウェアの機能ブロック図を示す図である。
【図4】窓口、受付の内容を業務別に示す図である。
【図5】入会業務の手順を示すフローチャートである。
【図6】仮ID番号が発行された依頼者が細胞保管登録を行う場合の手順を示すフローチャートである。
【図7】細胞採取予約の手順を示すフローチャートである。
【図8】細胞採取の手順を示すフローチャートである。
【図9】細胞検査依頼の手順を示すフローチャートである。
【図10】カウンセリングが不要な項目の場合の手順を示すフローチャートである。
【図11】カウンセリングが必要な項目の場合の手順を示すフローチャートである。
【図12】HCBのホームページ画面から個人のページ画面までの表示例である。
【図13】オプションデータの選択画面である。
【図14】本人データの表示画面である。
【図15】検査依頼の選択画面である。
【図16】カウンセリングの選択画面である。
【図17】作業状況の選択画面である。
【符号の説明】
1 HCB(ヒューマンセルバンク)
2 組織培養企業
3 薬品/化粧品製造企業
4 病院
5 ユーザ
6 インターネット
11 メモリ
12 ホストコンピュータ
13 細胞保管
14 サーバ
16 窓口/受付ユニット
17 本人確認ユニット
18 アンケートユニット
19 判定ユニット
20 情報管理ユニット
21 細胞保管ユニット
30 入会
40 登録
50 細胞採取予約
60 細胞採取
70 細胞検査
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、セルバンクシステム及び細胞の凍結及び解凍方法に関し、特に、個人の医療、美容、生活設計を支援するために、予防や診断を目的とした個人の細胞及びその遺伝子情報を保管するセルバンクシステム及び細胞の凍結及び解凍方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、万一の病気に備えて健康な人の細胞を予防や診断目的で保管するところは存在しなかった。これは、人の細胞を保管しても何の利益も得られないという理由があったためである。ところが、最近になって、保存血液不足の深刻化に伴い自分の血液の有用性が次第に認知され、手術前に予め自分の血液を採取しておき、手術時に用いることが多くなってきた。
【0003】また、従来において、細胞の保存法は、細胞、受精卵、組織(皮膚シート)ごとに異なっていた。しかし、細胞の種類やその状態に応じて何ら保存法を変えるといった処置は講じていなかった。このように、細胞、受精卵等と大雑把に分類し、それらに対して異なる保存法を採るに留まっていた。このように、細胞の凍結保存の成否は、実際にやってみなくては分からないというような程度の認識で、細胞の凍結保存の前にその成否や生存率を推定し、それを考慮した保存方法や解凍後の処理法の想到までには到っていなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら従来においては、病気になって初めて自己細胞(血液や皮膚等)を手術に備えて採取し、手術までの短期間だけの保存が行われていた。しかし、病気と診断された時点で、既に自己細胞が病気に冒されている場合や過去にその事実があった場合は、治療に自己細胞を使えない状況となる。又、病気が発見された時点で、手遅れで時間的に細胞採取が間に合わない場合も生じる。そこで、このような救急の事態に備えて予め、しかもなるべく若く、健康な状態の細胞を保管しておく必要性が出てきた。加えて、近年の急速な医学の進歩で細胞の保管技術や細胞の増殖法、更には細胞の分化(組織化、臓器形成)を基礎とした再生医学が可能となってきた。再生医学は病気で失われた組織、臓器を人工物や他人あるいは動物からの移植に頼らずに、自己の細胞から作り出そうとする医療である。これは21世紀の医療の主流になるものと脚光を浴びている技術である。ところが、現時点では全ての組織、臓器が自己細胞から再生できないが、近い将来この医療が完成し、人体のほとんどの細胞が再生可能になるものと予想される。そのために自己細胞を予め凍結保存しておき、必要になったときに利用するシステムを構築することは大いに意義があることである。
【0005】本発明の目的は、上記の従来の技術が有する問題点に鑑みなされたものであって、依頼者の細胞を予め採取しておき、依頼者からの要求に応じて、細胞に関する情報を閲覧できると共に、細胞を組織培養企業や薬品/化粧品製造企業に配達し、そこで細胞の増殖、分化、あるいはオーダメードの薬品、化粧品の製造を可能にするセルバンクシステム及び細胞の凍結及び解凍方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために本発明のヒューマンセルバンク(以下、HCBと略す)は保管している細胞に関するデータの閲覧依頼を受信する受信手段と、受信手段による受信に応じて、保管している細胞に関するデータを表示する表示手段と、を備えるものである。上記の各手段を備えるセルバンクシステムが実現されることで、依頼者は細胞に関する情報を随時閲覧できることが可能になる。
【0007】他の観点において、保管している細胞に関するデータの閲覧依頼を受信する受信手段と、受信手段による受信に応じて、本人確認を求める本人確認手段と、本人確認手段による本人確認に応じて、保管している細胞に関するデータを表示する表示手段とを備える、ものである。上記の各手段を備えるセルバンクシステムが実現されることで、セルバンクシステムへの不正なアクセスを防止し、これにより、依頼者の個人情報や細胞及びその遺伝子情報に関する情報の漏洩を防ぐことができる。又、他の観点において、前記細胞及びその遺伝子情報に関するデータには、細胞数、有効保存期間、又は、保存方法が含まれる、ものである。
【0008】このようなデータ構成を採ることで、依頼者は、細胞数、有効細胞保存期間、及び保存方法を随時閲覧することができる。又、他の観点において、細胞を凍結させ、この凍結状態を第1の所定時間維持し、これを解凍してから、第2の所定時間培養してから生細胞の割合を算出し、この算出結果により細胞の保存方法又は保存期間を決定する、ものである。このような細胞の凍結方法又は解凍方法を採ることで、細胞が保存可能かどうか、また、有効保存期間を事前に判定することが可能になり、結果として、無駄をなくすことができる。
【0009】さらに又、他の観点において、前記細胞の保存方法又は保存期間は、細胞の種類及び細胞の状態に応じて異なる、ものである。このような細胞の保存又は保存期間を採ることで、個々の細胞の種類及びその状態に応じて最適の保存方法と保存期間を選択できる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。本発明は、予め依頼者各個人の細胞を採取し、目的に応じて細胞を保管しておき、依頼者自身が必要とする時、自分の細胞保管状況をインターネット上で確認し、HCBの保管管理者に必要な指示を出す。保管管理者は依頼者の指示に従い目的に応じた処置を行い、指定された時間と場所に依頼者の細胞を届ける。又、依頼者の指示で保管細胞より、遺伝子情報やその細胞を用いた薬剤感応試験等を行い、その結果を依頼者に通知する。これらの解析、試験状況も、随時インターネット上で依頼者本人に公開することで、依頼者との質疑応答に応じてインホームドコンセントと情報公開を徹底させる。また、細胞医療や再生医療の専門のカウンセラを常駐させて、現段階で考えられる医療技術、科学について解説しながらカウンセリングを行う、ことを主旨とするものである。
【0011】 図1は、本発明の一実施の形態によるHCBの全体構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施の形態によるセルバンクシステムは、HCB1と、インターネット6に接続され、HCB1から委託されて依頼者5の細胞の増殖、分化を行う組織培養企業2と、細胞の抽出物を基に薬品や化粧品の製造を行う薬品/化粧品製造企業3と、組織培養企業2において増殖、分化させた細胞を用いて手術や治療を行う病院4と、HCB1への細胞の凍結保管を希望する依頼者5と、から構成される。なお、本実施の形態では、便詮的に組織培養企業2、薬品/化粧品製造企業3、病院4の各コンピュータ端末は、すべてインターネット6に接続されているものとする。
【0012】図1において、HCB1は、依頼者5から採取した細胞を凍結保存しておく細胞保管手段である細胞保管施設13と、依頼者5の個人情報及び細胞保管施設13に保管されている細胞に関する情報が格納されている記憶手段であるメモリ11と、HCB1全体を制御するホストコンピュータ12と、インターネット6に接続して、HCB1のホームページを依頼者5が閲覧可能なようにするサーバ14と、から構成される。
【0013】なお、上記において、細胞に関する情報には、HIV−1(human immunodeficiency virus-1:エイズウイルス)、HBV(hepatitis B virus:B型肝炎ウイルス)、HCV(hepatitis C virus:C型肝炎ウイルス)、生細胞率、細胞形態、細胞の増殖性、微生物汚染(マイコプラズマ、細菌、酵母、カビ等)等の検査結果が含まれる。また、本実施例では、細胞の状態に応じた凍結保存法を選択し、解凍後の対処を予め用意しておく方法を採っているが、この細胞の状態には、以下の項目が含まれる。
【0014】1)細胞総数(細胞の数が少ないとそれに伴い凍結解凍後の細胞数も少なくなり、細胞の生存維持が難しくなる)。
2)凍結保存に対する抵抗性(細胞の種類により抵抗性が異なる)。
3)人体から分離後の経過時間(人体から分離後の時間が余りに長いと細胞の生命力が低下する)。
4)凍結保存までの保存法(細胞を培養条件下に置いたのか、または、培地中に浸したのか、あるいは、冷却していたのか等の細胞を分離した後に採った保存法であり、重要な項目である。細胞へのダメージが少ないほど凍結保存後の回復率が良好である)。
【0015】本実施の形態において細胞を細胞保管施設13に保管する目的は、大きく以下の7つに分類される。
(1)細胞から、例えば、親子鑑定やSNP(Single Nucleotide Polymorphism:一塩基変異多型)等の遺伝子診断を含む遺伝子情報(1次情報)を取得することを目的とした保管。
(2)細胞を培養して増殖させ、制癌剤や化粧品等の薬剤感応試験のデータ及び試験をした細胞の遺伝子の取得を目的とした保管。
(3)細胞を培養して増殖させ、そこから目的とするタンパク質等の成分を抽出、分離、精製することを目的とした保管。
【0016】(4)解凍後の細胞をそのまま、増殖及び分化後、あるいは予め組織形成、臓器形成させてから凍結しておいた細胞、組織、臓器を移植医療に用いることを目的とした保管。
(5)解凍後の細胞を増殖させて、又、増殖及び分化後組織形成、臓器形成させて移植医療に用いることを目的とした保管。
(6)全能性(種々の組織、臓器分化できる能力を持った)のあるES(Embryonic Stem Cell:胚幹細胞)細胞の保管。
(7)病院からの委託保管。
【0017】(1)、(2)の目的での細胞保管は、依頼者5個人の細胞が採取されてHCB1で保管される。(3)、(4)の目的での細胞保管は、細胞は依頼者5から採取され、HCB1に運ばれて保管される。依頼者からの指示で細胞を起眠させ、増殖・分化させて、又は、細胞を組織培養企業2を経由して病院4に輸送し、依頼者5に戻される。又、(5)、(6)の目的での細胞保管は、保管の前に細胞の増殖、分化を行うか、又は組織培養企業2で増殖や分化(組織化、臓器形成)させたものをセルバンクに戻して保管する。遺伝子や感応試験の解析で得られた情報は、依頼者5本人にのみ連絡する場合とインターネット6を通して依頼者5、HCB1と病院4等のセルバンクシステム参加者間で共有させる場合がある。この場合は依頼者の承諾を得ることが前提となる。このとき、依頼者名とそのデータとの照合ができる第三者は、医師、医療・美容コーディネーターのみである。
【0018】細胞の採取方法として、(1)依頼者の意志に基づいてメス、レーザー(外科手術)等を用いて行う方法、(2)出産時のさい帯血、親知らず(第3大臼歯)の抜歯等、採取できる時期を選んで採取する方法、(3)また、例えば、病気、事故等の偶然による方法の3つが考えられる。
【0019】本実施の形態における細胞の凍結/解凍は以下のように行われる。まず、細胞が凍結保存に耐えられるか否かの判定と解凍の際の処置法を予測するプレ凍結保存を行う。このプレ実験は2通りの方法がある。(1)ペーパータオル等の断熱材で細胞保存チューブを梱包し、−80℃のフリーザーの1時間置き、液体窒素に10分間以上漬けて凍らせてから通常の方法で解凍する。または、(2)瞬間冷凍(液体窒素に10分間以上凍らせてから通常の方法で解凍する。次に、解凍した細胞の数の計測に移るが、この時も細胞の形態に応じて2通りの方法が採られる。浮遊細胞の場合は、1時間培養して、トリパンブルー溶液等で染色し、血球計算板で生細胞数と死細胞数を計測し、細胞の生存率を算出する。付着細胞の場合は、解凍後、1時間培養して付着した細胞数から生存率を算出する。トリパンブル−溶液以外では、細胞の生活力を測定するMTT試薬を用いても良い。
【0020】このMTT試薬は、Gay, et al, The Living Skin Equivalent as a Model InVitro for Ranking the Toxic Potential of Dermal Irritants, Toxic. In Vitro, 6, 303-315 (1992)に記載されている。可溶テトラゾリウム塩の青色ホルマザン沈殿物への代謝還元は、無傷のミトコンドリア機能を有する生活力のある細胞の存在に依存しており、細胞毒性を計算するために用いられる。MTT試薬は、例えば、東洋紡からMATREという商品名で市販されている。
【0021】上記の説明を図示すると以下のようになる。
採取された細胞↓細胞の一部を、短時間で段階的に凍結又は瞬間凍結↓10分間凍結↓解凍↓1時間培養↓生/死細胞数の割合(又は生存率)を算出↓細胞保存の可能性を判定する↓結果に応じた対処を行う
【0022】図2は、プレ凍結保存法と一般的凍結保存法による初代骨芽細胞と初代ヒト表皮角化細胞の細胞数の比較を示す表である。以下、プレ凍結保存法の特徴を示すため、初代ヒト骨芽細胞と初代ヒト表皮角化組織を用いて、プレ凍結保存法と一般(簡易)凍結保存法との比較をしてみる。
【0023】先ず、初代ヒト骨芽細胞と初代ヒト表皮角化細胞をそれぞれ1×106個/m1に調製し、
【0024】細胞により保存基準となる細胞の生存率や生活力が異なるが、例えば、生存率と生活力が10%以下であれば、目安の保存期間を5年とする。そして、解凍後の細胞培養は、細胞密度を高めるために小面積の、例えば、3.5cmのシャーレで行い、細胞が接着し次第、培地交換をして、大量に存在する死細胞を素早く除去する。なお、プレ凍結保存法と定法として行われている一般的凍結保存法による細胞の種類と凍結条件の違いによる細胞の生存率の比較を図2に示す。
【0025】その結果、初代ヒト骨芽細胞と初代ヒト表皮角化細胞に細胞凍結保存液として10%DMSO、20%FBSを含む培地と市販のセルバンカーを用いた検討から、プログラムフリーザーを使わない場合の一般的凍結保存法とプレ凍結保存法との間に差違はなかった。よって、プレ凍結保存法での評価は一般的凍結保存法で行った場合の評価と同じと考えられる。目安として、細胞の生存率と生活力が10%以下であれば、プログラムフリーザーを用いた凍結法で行い、その保存率も5年程度を想定する。また、生存する細胞が無いか、生存率が0.1%以下であれば、凍結保存は行わず、この細胞に適した細胞凍結保存液の検討を行う。
【0026】図3は、HCBのホストコンピュータにおいて実行されるソフトウェアの機能ブロック図を示す図である。図3に示すように、HCB1のソフトウェアは、依頼者の入会を受け付ける窓口/受付16ユニットと、依頼者が実際に本人かどうか確認する本人確認手段である本人確認ユニット17と、依頼者本人の依頼内容と細胞保管の意志を確認するアンケートユニット18と、HCB1への入会を受け付けるか否かを判定する判定ユニット19と、入会した依頼者の情報を保存する情報管理ユニット20と、細胞保管施設13に保管されている細胞を監視する細胞保管ユニット21とから成る。
【0027】図3中、各ブロックは、依頼者の受付けから細胞を保管するまでの各ソフトウェアユニットを示している。依頼者が自宅のパソコンからインターネットあるいは事業所の窓口や受付用端末から、選択、依頼する内容に従い本人の確認を行った後、アンケートに答えてもらう。これは本人の依頼を確認する意味とその意志の強さをも判断するために行う処置である。判定ユニット19で、そのアンケート結果を解析し、セルバンクへの入会を断るか、入会を受け付けるかを判断する。入会を断る場合はその旨を依頼者に伝える。入会を受け付ける場合は、情報管理ユニット20により依頼者の情報として保存すると共に必要に応じて細胞保管ユニット21により、細胞保管施設13にも伝える。入会を受け付けると判断した場合は、情報管理ユニット20から許可ID番号が依頼者に発行される。依頼者はこのID番号を次の指示、依頼に用いる。
【0028】図4は、窓口、受付の内容を業務別に示す図である。HCBへの入会30、細胞保管登録40、細胞採取予約50、細胞採取60、細胞の検査等70から成る。以下、各業務の場合について説明する。
【0029】図5は、入会業務の手順を示すフローチャートである。依頼者が自宅のパソコンでインターネットのHCBホームページから、又は、HCB事業所に設置されている端末から入会手続きを行い(ステップS31、S32)。アンケートに答えて(ステップS33)、その結果を判定し(ステップS34)、その判定結果から入会が妥当と判断された場合は、予備登録をするか否か確認して(ステップS36)、予備登録する場合は、登録を予約し、依頼者に仮のID番号を発行する。ステップS34において、入会を断られた場合は、依頼者にその理由を説明する(ステップS35)。
【0030】図6は、仮ID番号が発行された依頼者が細胞保管登録を行う場合の手順を示すフローチャートである。この登録は依頼者に事業所に来てもらい、依頼者と窓口担当者が合意の上進める。窓口担当者は依頼者に仮IDを入力してもらい本人かどうかの確認をする(ステップS41)。以後の本人の確認法はパスワードの他に声紋、指紋、虹彩等が想定できる。次に、登録するかどうかを確認し(ステップS42)、登録するのであれば、アンケートに答えてもらう(ステップS43)。次に、アンケートの結果を判定し(ステップS44)、判定結果から細胞保管登録が許可された場合は、依頼者との契約、アンケート内容の保存、細胞採取予約システムへの連絡を行うと同時に依頼者にID1を発行する(ステップS46)。ステップS44において、細胞保管登録が許可されなかった場合は、依頼者にその理由を説明する(ステップS45)。
【0031】図7は、細胞採取予約の手順を示すフローチャートである。依頼者は自分のパソコンや事業所に設置の端末を用いてID1を入力してホームページの細胞採取予約システムに入り、本人の確認を行ってから(ステップS51)、アンケートに答え(ステップS53)、その結果を判定し(ステップS54)、予約可であれば、予約項目が入力され(ステップS56)、その確認がされることで(ステップS52)、それまでの結果やデータは個人情報として保管され、依頼者に対してID2が発行される。ステップS54において、アンケートの結果が不可と判定された場合は、依頼者にその理由を説明する(ステップS55)。
【0032】図8は、細胞採取の手順を示すフローチャートである。依頼者は事業所に設置の端末を用いてID2を入力し、ホームページの細胞採取施設受付システムに入り、本人の確認を行ってから(ステップS61)、細胞採取するのか確認し(ステップS62)、細胞を採取するのであれば、アンケートに答え(ステップS63)、その結果を判定し(ステップS64)、その結果を個人情報として管理し、細胞採取の許可を出す。細胞採取許可により、依頼者に細胞採取証明とID3を発行する(ステップS66)。そして細胞採取許可により、依頼者に細胞承諾書を提出してもらい、細胞を採取する。採取した細胞を細胞保管施設に輸送する。ステップS64において、判定結果が不可の場合は、依頼者にその理由を説明する(ステップS65)。
【0033】図9は、細胞検査依頼の手順を示すフローチャートである。依頼者は自分のパソコンからHCBのホームページにID3又はID4を入力して細胞検査依頼画面に入り、以下今までと同様に進める(ステップS71)。ID4は、既に細胞検査を行った依頼者に発行されたID番号である。検査するかを確認し(ステップS72)、アンケートに答え(ステップS73)、アンケートと検査項目、目的とを合わせた結果から、細胞検査の可否を判定し(ステップS74)、必要に応じて検査前のカウンセリングを行い、検査項目を確認して(ステップS76、S77)、検査、解析へと進む。又これらの結果やデータは個人情報として保管される。ステップS74において、検査の結果不可と判定された場合は、依頼者にその理由を説明する(ステップS75)。
【0034】図10は、カウンセリングが不要な項目の場合の手順を示すフローチャートである。依頼者は自分のパソコンからHCBのホームページにID3又はID4の入力後、本人の確認ができてから(ステップS80)、本人に関する検査データとその説明が表示手段である画面に表示される(ステップS81)。画面表示に従い検査データとその説明を見ることができる(ステップS82、S83)。アンケートに答えると(ステップS84)、その結果から判定ユニット19でカウンセリングが必要かどうか判定し(ステップS85)、カウンセリングが必要と判定された場合は、カウンセラの予約や紹介を行う(ステップS86)。ステップS85において、カウンセリングが不要と判断された場合は、アドバイスを希望するかどうか確認し(ステップS87)、アドバイザが必要な場合は、アドバイザや専門医を紹介し、彼らと面談する(ステップS88)。会員が細胞保管登録をする場合は、事業所に来てもらいアドバイザとの面談があるため、待ち時間節約のために予約の意味で予備登録を行って貰う。その結果、登録の予約をして画面を終了する。
【0035】図11は、カウンセリングが必要な項目の場合の手順を示すフローチャートである。依頼者が事業所の端末からHCBのホームページにID3又はID4を入力して(ステップS90)、登録画面が表示される(ステップS91)。本人の確認ができた後は、カウンセリングを受けたかどうか判定する(ステップS92)。知りたい検査結果のカウンセリングを受けていない場合、即ち、初めて知る結果であれば、結果(データ)の概略を示し(ステップS96)、更に詳しく知りたいと希望した場合で(ステップS97)、アンケートの結果もそれを支持した場合は(ステップS98)、カウンセラから結果を知らせるためにその予約、紹介をする(ステップS99)。一方、既にカウンセラからカウンセリングを受け、結果を聞いている場合は、結果(データ)を見ることができる(ステップS93)。その結果についての相談があれば(ステップS94)、専門家を紹介する(ステップS95)。
【0036】図12は、HCBのホームページ画面から個人のページ画面までの表示例である。HCBのホームページからID番号が発行されている会員が「会員のページ」を選択すると、次画面が表示され、この画面から「登録予約」や「細胞採取予約」を選択する。ここで、「個人のページ」を選択するとその次の画面が表示され、この画面から本人のデータの確認や検査依頼を行う。最初の画面において、IDが発行されている依頼者のみが次ぎの会員の画面に進むことができる。
【0037】図13は、オプションデータの選択画面である。図11に示す個人のページの画面において、「オプションデータ」を選択するとこの画面が表示される。この画面から「解析データ」や「データ発送」等を選択する。図14は、本人データの表示画面である。図11に示す個人のページの画面において、「本人データ」を選択するとこの画面が表示される。この画面には依頼者のID番号や基本データ等が表示される。図15は、検査依頼の選択画面である。図11に示す個人のページの画面において「検査依頼」を選択するとこの画面が表示される。この画面において、「項目」を選択すると項目の内容を選択する画面が表示され、「目的」を選択するとその目的選択画面が表示される。
【0038】図16は、カウンセリングの選択画面である。図11に示す個人のページの画面において、「カウンセンリング」を選択するとこの画面が表示される。この画面から「相談内容」や「アンケート」等を選択する。図17は、作業状況の選択画面である。図11に示す個人のページの画面において、「作業状況」を選択するとこの画面が表示される。この画面から「細胞の保管場所」や「進行状況」を選択する。
【0039】セルバンクシステムの動作を実行するプログラムを記憶した記録媒体は、ROMであっても良いし、又、外部記憶装置としてCD−ROMドライバ等のプログラム読み取り装置(図示せず)が設けられ、そこに挿入することで読み取り可能なCD−ROM等であっても良い。又、上記記録媒体は、磁気テープ、カセットテープ、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、MO/MD/DVD等、又は半導体メモリであっても良い。
【0040】 なお、本発明は、インターネットに組織培養企業、薬品/化粧品製造企業、病院等が接続されている場合を例にとり説明したが、必ずしもこの形態に限定されることなく、たとえば、スポーツジムや飲食店等に接続しておき、ダイエットのための減量スケジュールの立案やメニュー作成に利用できるようにしても良い。又、セルバンクシステム1は、インターネットを利用しているため、単に国内だけに留まらず、依頼者が海外に旅行や出張したときにおいてもサービス可能であることは言うまでもない。
【0041】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、以下のような顕著な効果を奏する。
(1)過去に保存してあった細胞を解析することで、正確な病気の診断や親子鑑定が可能になる。
(2)病気に備えて予め自己細胞を用意しておくことで、自己細胞から自己臓器を作ることができ、移植のために新たにドナーを探す必要がなくなり、生存率も著しく向上する。
(3)自己の健康管理や治療を主体的に考えられるようになる。
(4)自己細胞から作った臓器を移植すれば、免疫抑制剤を使用せずに済むため、その副作用の低下に伴い苦痛を軽減できる。
(5)臓器売買の蔓延を防ぐことができる。
(6)自分の体質や病気の種類に応じて薬剤を調合できるため、医療費を安く抑えることができる。
(7)自分の肌に合った化粧品を選択したり製造できるため、肌荒れや炎症等のトラブルを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態によるHCBの全体構成を示すブロック図である。
【図2】プレ凍結保存法と一般凍結保存法による初代骨芽細胞と初代ヒト表皮角化細胞の細胞数の比較を示す表である。
【図3】HCBのホストコンピュータにおいて実行されるソフトウェアの機能ブロック図を示す図である。
【図4】窓口、受付の内容を業務別に示す図である。
【図5】入会業務の手順を示すフローチャートである。
【図6】仮ID番号が発行された依頼者が細胞保管登録を行う場合の手順を示すフローチャートである。
【図7】細胞採取予約の手順を示すフローチャートである。
【図8】細胞採取の手順を示すフローチャートである。
【図9】細胞検査依頼の手順を示すフローチャートである。
【図10】カウンセリングが不要な項目の場合の手順を示すフローチャートである。
【図11】カウンセリングが必要な項目の場合の手順を示すフローチャートである。
【図12】HCBのホームページ画面から個人のページ画面までの表示例である。
【図13】オプションデータの選択画面である。
【図14】本人データの表示画面である。
【図15】検査依頼の選択画面である。
【図16】カウンセリングの選択画面である。
【図17】作業状況の選択画面である。
【符号の説明】
1 HCB(ヒューマンセルバンク)
2 組織培養企業
3 薬品/化粧品製造企業
4 病院
5 ユーザ
6 インターネット
11 メモリ
12 ホストコンピュータ
13 細胞保管
14 サーバ
16 窓口/受付ユニット
17 本人確認ユニット
18 アンケートユニット
19 判定ユニット
20 情報管理ユニット
21 細胞保管ユニット
30 入会
40 登録
50 細胞採取予約
60 細胞採取
70 細胞検査
【特許請求の範囲】
【請求項1】 依頼者から採取した自己細胞を目的に応じて凍結保管しておくための細胞保管施設に保管されている前記自己細胞に関するデータを格納しておくメモリーと、前記メモリーを制御するホストコンピュータと、該ホストコンピュータに接続されたサーバと、該サーバとコンピュータ端末とを、インターネットを介して接続するネットワークを利用するシステムであって、前記ホストコンピュータは、所定項目のアンケート入力データに基づく自動判定ステップを実行して、依頼者の入会可否の判断を行う手段と、所定項目のアンケート入力データに基づく自動判定ステップを実行して、依頼者の細胞保管登録許可の判断を行う手段と、所定項目のアンケート入力データに基づく自動判定ステップを実行して、依頼者からの細胞採取許可の判断を行う手段と、所定項目のアンケート入力に基づく自動判定ステップを実行して、細胞検査の実施可否の判断を行う手段と、を少なくとも備え、前記サーバは、インターネットを介して、前記依頼者から保管された自己細胞のデータの閲覧依頼情報を受信する受信手段と、前記受信手段による受信に応じて、本人確認を求める本人確認手段と、前記本人確認手段によって本人確認がされた結果に基づいて、インターネットを介して前記データを前記依頼者のコンピュータ端末に送信する手段と、保管された前記細胞検査を行うことに関する依頼者からの依頼情報を受信する受信手段と、その検査結果情報を前記依頼者のコンピュータ端末に送信する手段と、保管された前記細胞を、目的に応じて処置することに関する依頼者からの指示情報を受信し、該指示情報を委託細胞培養企業のコンピュータ端末に送信する手段と、前記委託細胞培養企業における前記処置によって増殖、分化された細胞又は該細胞の抽出物を、指定された時間と場所に輸送することに関する依頼者からの指示情報を受信する手段と、を少なくとも備えており、前記した増殖、分化された細胞又は該細胞の抽出物は、依頼者本人の医療又は美容のためだけに利用されることを特徴とする自己細胞の保管及び利用のための支援システム。
【請求項2】 前記データには、その遺伝子情報、細胞数、有効保存期間及び保存方法が含まれることを特徴とする請求項1記載の自己細胞の保管及び利用のための支援システム。
【請求項3】 増殖、分化された細胞又は該細胞の抽出物が輸送される前記場所は、予め登録された病院、化粧品製造企業、薬品製造企業のいずれかであることを特徴とする請求項1又は2に記載の自己細胞の保管及び利用のための支援システム。
【請求項1】 依頼者から採取した自己細胞を目的に応じて凍結保管しておくための細胞保管施設に保管されている前記自己細胞に関するデータを格納しておくメモリーと、前記メモリーを制御するホストコンピュータと、該ホストコンピュータに接続されたサーバと、該サーバとコンピュータ端末とを、インターネットを介して接続するネットワークを利用するシステムであって、前記ホストコンピュータは、所定項目のアンケート入力データに基づく自動判定ステップを実行して、依頼者の入会可否の判断を行う手段と、所定項目のアンケート入力データに基づく自動判定ステップを実行して、依頼者の細胞保管登録許可の判断を行う手段と、所定項目のアンケート入力データに基づく自動判定ステップを実行して、依頼者からの細胞採取許可の判断を行う手段と、所定項目のアンケート入力に基づく自動判定ステップを実行して、細胞検査の実施可否の判断を行う手段と、を少なくとも備え、前記サーバは、インターネットを介して、前記依頼者から保管された自己細胞のデータの閲覧依頼情報を受信する受信手段と、前記受信手段による受信に応じて、本人確認を求める本人確認手段と、前記本人確認手段によって本人確認がされた結果に基づいて、インターネットを介して前記データを前記依頼者のコンピュータ端末に送信する手段と、保管された前記細胞検査を行うことに関する依頼者からの依頼情報を受信する受信手段と、その検査結果情報を前記依頼者のコンピュータ端末に送信する手段と、保管された前記細胞を、目的に応じて処置することに関する依頼者からの指示情報を受信し、該指示情報を委託細胞培養企業のコンピュータ端末に送信する手段と、前記委託細胞培養企業における前記処置によって増殖、分化された細胞又は該細胞の抽出物を、指定された時間と場所に輸送することに関する依頼者からの指示情報を受信する手段と、を少なくとも備えており、前記した増殖、分化された細胞又は該細胞の抽出物は、依頼者本人の医療又は美容のためだけに利用されることを特徴とする自己細胞の保管及び利用のための支援システム。
【請求項2】 前記データには、その遺伝子情報、細胞数、有効保存期間及び保存方法が含まれることを特徴とする請求項1記載の自己細胞の保管及び利用のための支援システム。
【請求項3】 増殖、分化された細胞又は該細胞の抽出物が輸送される前記場所は、予め登録された病院、化粧品製造企業、薬品製造企業のいずれかであることを特徴とする請求項1又は2に記載の自己細胞の保管及び利用のための支援システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図13】
【図14】
【図16】
【図17】
【図5】
【図6】
【図12】
【図7】
【図8】
【図9】
【図11】
【図10】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図13】
【図14】
【図16】
【図17】
【図5】
【図6】
【図12】
【図7】
【図8】
【図9】
【図11】
【図10】
【図15】
【特許番号】特許第3414704号(P3414704)
【登録日】平成15年4月4日(2003.4.4)
【発行日】平成15年6月9日(2003.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−211368(P2000−211368)
【出願日】平成12年7月12日(2000.7.12)
【公開番号】特開2002−27983(P2002−27983A)
【公開日】平成14年1月29日(2002.1.29)
【審査請求日】平成12年7月12日(2000.7.12)
【出願人】(301058137)株式会社エーシーバイオテクノロジーズ (6)
【参考文献】
【文献】特開 平11−282393(JP,A)
【登録日】平成15年4月4日(2003.4.4)
【発行日】平成15年6月9日(2003.6.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成12年7月12日(2000.7.12)
【公開番号】特開2002−27983(P2002−27983A)
【公開日】平成14年1月29日(2002.1.29)
【審査請求日】平成12年7月12日(2000.7.12)
【出願人】(301058137)株式会社エーシーバイオテクノロジーズ (6)
【参考文献】
【文献】特開 平11−282393(JP,A)
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