説明

自己組織もしくは同種組織と組合せた移植片足場

本発明は、生体適合性の足場に係留された細胞内マトリクスを有する移植片を提供する。組織の細胞内マトリクスは、患者内の損傷した組織の治癒および増殖を促進するための、天然の媒体を提供する。本発明は、このような移植片を損傷した組織に挿入することにより、患者内の損傷した組織を処置する方法を提供する。本発明の移植片は、同種組織および/または異種組織を含有する移植片を備える。この組織はまた、無細胞でもあり得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への参照)
本願は、2004年3月9日に出願された、米国仮出願第60/551,839号本願の開示と矛盾が存在しない程度まで、本明細書中に援用される)の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
骨および軟骨の層のような組織の層に対する損傷を処置するために、移植片が組織層中に挿入され得ることは、当該分野で公知である。移植片の1つの型は、多孔性の生体適合性の発泡体もしくはポリマーのような合成材料(例えば、特許文献1;特許文献2および特許文献3に開示されるもの)から構成される。代替的な手順は、特許文献4、特許文献5および特許文献6に開示されるように、患者の身体の健康な領域から採取された健康な骨または軟骨のプラグを挿入し、そして、欠陥へと移植する工程を包含する。
【0003】
LifeCell Corp.(One Millennium Way,Branchburg,New Jersey 08876−3876)製のAlloDrem(登録商標)という名称の別の材料が、損傷した組織に移植されたときに、治癒を促進することが示されている。AlloDerm(登録商標)は、拒絶および炎症の危険性を除去するために脱細胞化されている、移植用(donated)ヒト皮膚組織である。LifeCell Corp.によって開発された登録商標権を有する方法は、皮膚組織から細胞を除去するが、細胞内マトリクスはインタクトなままにする(特許文献7、特許文献8および特許文献9)。得られる材料は、軟らかい組織および硬い組織の修復のための天然の媒体を提供する。AlloDerm(登録商標)は、組織構造の決定的な要素(例えば、コラーゲン、エラスチンおよびプロテオグリカン)を損なわない特許を受けたプロセス(特許文献7)によって凍結乾燥され、そして2年間までの保管寿命でパッケージ化され得る。一旦AlloDerm(登録商標)が患者内に移植されると、AlloDerm(登録商標)は、迅速に血管を再生し、そして、患者からの細胞を再増殖させ、それによって、患者自身の組織へと自然と再構築させる。例えば、研究によって、AlloDerm(登録商標)は、軟骨の欠陥中に移植されたときに、軟骨細胞を再増殖させることが示されている。
【0004】
他の同種組織(例えば、軟骨、腱、靭帯および類似の材料)がまた、移植に有用である。これらの組織の細胞内マトリクスは、生物学的な構造および組成を保存するように加工されるが、免疫応答を生じ得る細胞は除去される。同様に、自己組織が、同種移植片の代わりに利用され、細胞内マトリクスが、同種移植片について記載されたように加工される。自己組織および同種組織もまた、微粉化された形態で使用され得る。
【特許文献1】米国特許第4,186,448号明細書
【特許文献2】米国特許第5,607,474号明細書
【特許文献3】米国特許第5,716,413号明細書
【特許文献4】米国特許第5,152,763号明細書
【特許文献5】米国特許第5,919,196号明細書
【特許文献6】米国特許第6,358,253号明細書
【特許文献7】米国特許第5,364,756号明細書
【特許文献8】米国特許第5,336,616号明細書
【特許文献9】米国特許出願公開第2003/0035843号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような同種組織または自己組織を患者に送達するためのこれまでの試みは、欠陥に縫いつけされた組織片、欠陥上に接着剤でつけられた組織片、または、細切れにされ、そして欠陥内に詰められた組織片に限定されてきた。これらの材料は、安定化させて、関節内に定着させることが難しく、そして、患者が活動を再開するときにその位置に維持するのが困難である。組織のシートおよび微粉化された粒子は、効率的に移植することが困難であるので、改善された送達もしくは固定のシステムが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の要旨)
本発明は、患者内への移植片の挿入方法を提供し、この方法は、移植のための送達機構として構造的に健全な足場と組合せた組織を含む。この移植片は、組織の細胞内マトリクスを含有し、そして、無細胞であり得るか、または、細胞はインタクトなままにされる。1つの実施形態において、同種組織および/または自己組織を含み得る組織のシートは、単一もしくは複数の面を持つ足場基部に取り付けられる。別の実施形態において、同種組織および/または自己組織を含み得る細かく刻まれた組織が、多孔性のポリマー性足場上に装填される。別の実施形態において、同種組織および/または自己組織を含み得る微粒子化された組織が、複合移植片を形成するように、ポリマーと共加工(co−process)される。
【0007】
グラフトおよび移植片に適切であり、本発明の足場として使用され得る多孔性の構造体およびポリマー材料は、当該分野で周知であり、例えば、OsteoBiologics,Inc.(12500 Network Blvd.,Suite 112,San Antonio,TX,78249)によって開発されたもの(米国特許第6,514,286号;同第6,511,511号;同第6,344,496号;同第6,203,573号;同第6,156,068号;同第6,001,352号;同第5,977,204号;同第5,904,658号;同第5,876,452号;同第5,863,297号;同第5,741,329号;同第5,716,413号;および同第5,607,474号)がある。本発明の足場に適切なポリマーはまた、米国特許第6,511,511号に詳述されるような、繊維強化マトリクス;または、米国特許第5,741,329号に詳述されるように、緩衝化のためのセラミック成分から構成され、米国特許第6,344,496号に詳述されるように、二峰性の分解を達成するか、または、機械的特性を増大させる。
【0008】
本発明の1つの実施形態は、遠位端部、近位端部および本体を有する送達足場を備える移植片を提供する。本発明の文脈において、「近位」とは、最初に患者の身体に最も近くに配向された移植片または足場の端部、および、欠陥内に挿入される移植片の端部を指す。「遠位」とは、最初に患者の身体から離れて配向された移植片または足場の端部、および、一旦移植片が挿入されたら、欠陥と面しない端部を指す。足場の「本体」は、遠位端部と近位端部との間の、足場の中央セクションを指す。好ましくは、移植片の遠位端部は、移植片が欠陥内に挿入されたときに、欠陥の周囲の組織表面とほぼ同じ高さである。
【0009】
本明細書中で使用される場合、送達足場とは、組織の欠陥内への挿入に適し、そして、足場に取り付けられた組織を支持し得る構造を指す。送達足場は、治癒の間に、組織の形状および位置を維持する。足場は、必要に応じて、その足場が移植されるべき組織の機械的特性と適合する機械的特性を有するように製造される。このような特性としては、有孔性、強度、剛性、圧縮率、密度、弾性および孔もしくは繊維の配向が挙げられるがこれらに限定されない。本発明に有用な送達足場としては、合成材料で作製された足場、および移植された組織である足場が挙げられる。送達足場が合成材料から作製される場合、この合成材料は、生体適合性かつ生分解性であることが好ましい。
【0010】
本発明での使用に適切な合成ポリマーの例としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:αポリヒドロキシ酸(ポリグリコリド)(PGA)、ポリ(L−ラクチド)、ポリ(D,L−ラクチド)、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリ(エチレンオキシド)(PEO)、ポリヒドロキシブチレート(PHA)、ポリ(β−ヒドロキシブチレート)(PHB)、ポリ(β−ヒドロキシバレレート)(PHVA)、ポリ(p−ジオキサノン)(PDS)、ポリ(オルトエステル)、ポリヒドロキシアルカネート、チロシン由来のポリカーボネート、ポリペプチドおよび上記のコポリマー。本発明の足場は、必要に応じて、繊維強化剤、セラミック成分、生物活性分子(例えば、骨誘導性増殖因子または軟骨誘導性増殖因子)またはこれらの組み合わせを有する多孔性ポリマーを含む。
【0011】
送達足場はまた、プラスチック、金属、セラミック、または移植片が挿入される組織からの反応を誘発しない任意の滅菌材料から構築される。足場が、周囲の組織によって吸収されない材料から作製される場合、足場は、所望の組織層が治癒された後に、外科的に取り除かれる必要があり得る。本発明の移植片はまた、骨プラグ、軟骨プラグ、または他の型の組織からのグラフトから構築される。これらの組織プラグおよびグラフトは、患者以外の被験体から、組織バンクから、または患者の身体の異なる部分から採取され得る。本発明の1つの移植片は、AlloDerm(登録商標)のシートを有する骨プラグ、または、プラグの遠位端部に取り付けられた他の無細胞ヒト組織を含む。
【0012】
移植片に適切な生分解性ポリマーの大半が、本質的に疎水性であるので、流体は、移植片内に簡単には吸収も浸透もされない。本発明の移植片はまた、流体の吸収、組織の内殖、および材料の生体適合性をさらに高めるために、界面活性剤(1重量%未満)を含み得る。後加工が必要とされないように、製造時に足場のポリマーに組み込まれる界面活性剤は、製造操作、または、足場構造体の作製に対して、目に見えるほどの有害な影響を与えない。移植片は、さらに、移植片の機械的特性を変更するために、硫酸カルシウム、リン酸三カルシウム、またはセラミックを含み得る。
【0013】
1つの実施形態において、送達足場は、単一の材料層を備える。別の実施形態において、送達足場は、第1の材料層と、近接する第2の材料層とを備え、この第1の材料層と第2の材料層とは、少なくとも1つの異なる機械的特性を有する。例えば、一方の材料層は、組織の内殖を働きかけるためにより高い有孔性を有し得、一方で、他方の材料層は、剛性を増すためにより低い有孔性を有する。1つの実施形態において、足場は、多孔性の繊維強化ポリマーを含み、ここで、第1の材料層における繊維および孔の配向は、第2の層における繊維および孔の配向に対して垂直である。本発明のさらなる実施形態において、第2の材料層における繊維および孔は、足場の遠位端部から近位端部へと延びる線に対して平行に配向され、そして、第1の材料層における繊維および孔は、遠位−近位の方向に対して垂直に配向される。
【0014】
本発明の移植片に適した組織は、細胞内マトリクス(ときおり、細胞外マトリクスとも呼ばれる)を含む組織であり、皮膚組織、脂肪組織、骨組織、軟骨組織、腱および靭帯が挙げられるがこれらに限定されない。本明細書中で使用される場合、組織層を備える移植片は、組織の細胞内マトリクスを含む移植片である。細胞内マトリクスは、組織のネイティブなタンパク質、分子、繊維および脈管チャネルを備える複合構造体である。本発明の移植片は、治癒の間に患者の組織の移植片への内殖を増殖させ、そして、損傷した組織の修復を増殖するために、組織の細胞内マトリクスを利用する。組織は、ヒト組織もしくは動物組織であり得る。好ましくは、組織は、同種、自己もしくはその組み合わせである。組織は、必要に応じて、無細胞である。「無細胞」とは、細胞内マトリクスを残しながら、細胞が除去された組織を指す。組織から細胞を除去することにより、患者の身体による免疫応答が減少または防止される(炎症および拒絶の減少もしくは防止を含む)。
【0015】
1つの実施形態において、移植片は、足場に取り付けられた組織層を備える。さらなる実施形態において、移植片は、第1の組織層と第2の組織層とを備える。移植片の組織層を構成する組織は、修復される組織と同じ型である必要はない。例えば、ヒト脂肪組織を含有する移植片は、軟骨組織における欠陥を修復するために使用され得る。1つの実施形態において、組織層を構成する組織は、ヒトの皮膚組織、脂肪組織、軟骨組織、骨組織、靭帯組織または腱組織が挙げられるがこれらに限定されない。好ましくは、組織は、同種、自己またはこれらの組み合わせである。必要に応じて、組織は、無細胞である。さらに、第1の組織層を構成する組織は、第2の組織層を構成する組織と異なり得る。本発明の特定の実施形態において、組織層は、無細胞の自己および/または同種のヒト皮膚組織であり、そして、足場の第1の材料層は、骨組織または軟骨組織と類似した有孔性および弾性を有する。
【0016】
本発明の1つの実施形態は、以下:
(a)少なくとも1つの材料層で作製された遠位端部、近位端部および足場本体を備える、生体適合性の送達足場;ならびに
(b)組織のシートを備える組織層
を備える移植片を提供し、上記組織層は、上記足場の遠位端部に取り付けられている。「上記足場の遠位端部に取り付けられる」とは、組織のシートまたは円筒状の片が、単一もしくは複数の面を持つ足場に置かれ、そして、縫合糸、リベット、接着剤または当該分野で公知の他の手段を用いて、その足場に固定されていることを意味する。例えば、組織シートは、組織を適所に固定するために、マッシュルーム形状の足場の遠位端部の周りを覆い、そして、足場の遠位端部の下に縫合され得る。あるいは、足場は、その一部が一緒に押し込まれるときに、組織シートを足場へと固定する連結部分を有し得る。理想的には、足場に組織を固定するために使用される方法は、どんなものであれ、粗いか、突出しているか、または、磨耗性の表面を生じるべきではない。なぜならば、このことは、周囲の組織に損傷を生じ得るので、患者内への移植に、特に、関節内への移植には理想的でないからである。
【0017】
組織のシートは、種々の形状(矩形または円形を含む)へと形成され得る、組織の連続した広い平らな片である。1つの実施形態において、組織のシートは、移植片の遠位端部の形状および寸法と適合するように切断され得る。別の実施形態において、組織のシートは、移植片の遠位端部よりも大きく、そして、足場の遠位端部、および側部の一部を覆う。
【0018】
組織のシートを用いる代替として、組織は、送達足場の平均孔サイズよりも小さな平均粒子サイズを有するように細かく刻まれ、そして、単一もしくは複数の面を持つ足場に装填される。細かく刻まれた粒子サイズは、約100ミクロン幅と約400ミクロン幅との間であり、好ましくは、約200ミクロン幅と300ミクロン幅との間である。足場の孔は、1mm幅までであり、より好ましくは、約500ミクロン幅と約1000ミクロン幅との間である。「足場に装填される」とは、細かく刻まれた組織が、送達足場により吸収されるか、送達足場へと流れ込むか、または、送達足場内へと入り込んで、足場の孔内に封入されるようになることを意味する。送達足場の装填は、好ましくは、外科手術と同時に行なわれる。多孔性の足場は、(米国特許第6,511,511号に記載されるように)繊維で強化され、そして、繊維の主な方向、そしてそれゆえ孔の主な方向は、垂直であり得るか、水平であり得るか、または、その中間であり得る。
【0019】
細かく刻まれた組織は、多数の異なる技術を用いて足場上へと装填される。組織粒子は、組織粒子の懸濁液に送達足場を浸漬し、そして、約2時間穏やかに撹拌することによって装填され得る。あるいは、真空装填法が使用され、この方法においては、組織粒子の懸濁液中に足場が浸漬され、そして、真空が適用される。臨床的に使用を簡単にするために、二重シリンジシステムが構成され、それによって、シリンジバレルの1つの内側に足場が配置され、そして、シリンジバレル間で組織懸濁液が往復(back and forth)されて、足場を完全に浸透させる。手術室の設定において無菌的になされる装填方法が好ましい。
【0020】
なお別の装填技術は、足場を遠心機または遠心管の底に固定して、組織粒子の懸濁液を加えることである。次いで、足場および組織粒子の混合物が、200〜1000×Gにて5〜15分間スピンダウンされる。過剰な溶液がデカントされ、そして、装填された移植片が、患者への移植のために取り出される。
【0021】
本発明の1つの実施形態は、以下:
(a)多孔性の第1の材料層を有する、遠位端部、近位端部および足場本体を備える生体適合性の送達足場;ならびに
(b)上記足場本体中に装填された、細かく刻まれた組織
を備える移植片を提供する。好ましくは、この組織は、皮膚組織、軟骨組織または骨組織であり、そして、足場本体は、生分解性であり、かつ、骨組織もしくは軟骨組織と類似した有孔性および弾性を有する。
【0022】
本発明の1つの実施形態において、組織は、複合移植片を形成するために、微粒子化されて、そして、送達足場のポリマーと共加工される。複合移植片は、微粒子化された組織を含有する生分解性ポリマーを含む、遠位端部、近位端部および足場本体を有する生体適合性送達足場を備える。DMSOのような受容可能な溶媒で組織を同時に加工することにより、組織が、溶解したポリマーとブレンドされ、そして、所望の形状へと成形されることを可能にする。細かく刻まれた組織を含有する移植片は、足場の孔内に組織を捕捉するが、複合移植片の組織粒子は、足場ポリマー自体の一部であり、そして、足場内の組織の量の決定は、孔のサイズに依存しない。
【0023】
複合移植片は、多孔性で、完全に密な、単一面もしくは複数面であり得る。足場ポリマーが生分解性であるという筋書きにおいては、組織は、ポリマーが分解すると放出される。複合移植片は、種々のサイズおよび形状(切り刻まれた形状を含む)へと形成され得、そしてまた、増殖因子、骨髄、血小板に富む血漿、または、組織の内殖を働きかけるための他の組成のような生物活性因子を含み得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
(詳細な説明)
好ましくは、本発明の移植片は、ほぼ円筒状の形状であるが、欠陥の形状に依存して、矩形、特に、長矩形細片(strip)、円形、細長、または、不規則な形状でもあり得る。移植片は、米国特許第5,716,413号に記載されるように、種々の形状に成形可能な、手で形状を変えられる(hand−shapeable)移植片であり得る。足場はまた、欠陥の輪郭に適合するように、凹部もしくは凸部のような凹凸表面を有し得る。移植片が円筒状である場合、この移植片は、約1mmと50mmとの間の直径、好ましくは、約3mmと30mmとの間の直径、そして、より好ましくは、約10mmと25mmとの間の直径を有する。移植片の高さは、約2mmと約20mmとの間、好ましくは、約3mmと約15mmとの間、より好ましくは、約6mmと約12mmとの間である。組織層の直径または幅は、損傷した組織内にフィットするために必要とされる形状およびサイズに依存して、足場本体の直径もしくは幅よりも大きいか、足場本体の直径もしくは幅よりも小さいか、または足場本体の直径もしくは幅と同じであり得る。
【0025】
送達足場が、ほぼ円筒状の形状である1つの実施形態において、組織層は、組織層の厚みに適応するために、送達足場の直径よりもわずかに小さい直径を有する円形のディスクの形状であり、その結果、組織のいずれもが、欠陥内に挿入されるときに、外れることがない。組織の厚みは、約1mmと約2mmとの間である。
【0026】
1つの実施形態において、組織層は、縫合糸を用いて送達足場に取り付けられる。組織層の遠位表面は、滑らかな表面に存在することが好ましく、従って、縫合糸は、組織層の表面に存在すべきではない。1つの実施形態において、縫合糸は、組織層の遠位端部の表面の下で、組織層の側部へと入り、足場の本体を通り、そして、足場の近位端部もしくはその付近から出る。ある縫合糸の各々の全長は、足場の遠位端部から、足場本体の内側を通って、近位端部に向かって走る。その一方で、他の縫合糸の全長は、足場本体の外側に沿って走る。足場本体の外側は、患者内の欠陥の側部と接触する可能性があるので、足場の側部もまた、滑らかであることが好ましい。足場の近位端部から遠位端部へと延びる、足場本体の表面に沿った表面の凹部は、縫合糸が、足場表面を越えて突出することなく、足場の外側に沿って走るための空間を提供する。代替的に、足場本体の内側を通る両方の縫合糸の全長のための経路を提供するために、1つ以上のチャネルが形成され得る。
【0027】
縫合糸に対する代替として、第1の組織層は、ピンを使用して足場に取り付けられる。第1の層が足場の遠位端部を覆って位置決めされた後、1つ以上のピンが、第1の組織層を通って足場本体へと押し込まれる。必要に応じて、ピンは、鉤、好ましくは、角度のついた鉤を有し、ピンが引き出されるのを防止する。さらに、1つ以上のピンは、第1の組織層の適所への維持を補助するために、第1の組織層の遠位表面を覆う、薄い細片を備え得る。この細片は、生分解性材料、またはプラスチックもしくは金属の片であり得、治癒後に除去され得る。あるいは、ピンおよび縫合糸もまた、生分解性であり得る。
【0028】
1つの実施形態において、組織層は、足場本体の遠位端部よりも大きいシートである。組織シートは、遠位端部が完全に覆われるように、足場本体の遠位端部の上に位置決めされる。組織層シートの余りの(free)縁部は、足場本体の近位端部に向かって折り畳まれ、そして、縫合糸が、遠位端部の近くで、組織シートおよび足場本体の周りに位置決めされる。
【0029】
1つの実施形態において、組織シートは、マッシュルーム形状の足場を覆う。マッシュルーム形状であることによって、足場には、足場の遠位端部の近くで、足場本体の周りに凹部が形成される。足場の遠位端部の直径は、足場本体の残りの部分の直径と同じであっても、足場本体の残りの部分の直径よりも大きくても、または足場本体の残りの部分の直径よりも小さくてもよい。組織シートは、遠位端部が完全に覆われるように足場本体の遠位端部の上に位置決めされ、そして、組織層シートの余りの縁部が、足場の近位端部に向けて、凹部内へと折り畳まれる。縫合糸が、凹部内で、組織シートの周りに位置決めされる。
【0030】
必要に応じて、組織シートは、足場に取り付ける前に、2層シートを形成するために折り畳まれる。さらに、移植片は、組織シートと足場の遠位端部との間に、第2の組織層を含み得る。第2の組織層は、組織の1つ以上のさらなるシート、細かく刻まれた組織の層、細かく刻まれた組織を含有する足場材料の層、または、足場材料および微粒子化された組織で作製された複合材料であり得る。好ましくは、組織は、同種、自己、またはこれらの組み合わせである。必要に応じて、組織は、無細胞である。
【0031】
図1Aは、本体3、遠位端部1および近位端部2を有する足場を備える、本発明の移植片を示す。この実施形態において、移植片は、足場本体3の遠位端部1に取り付けられた第1の組織層4および第2の組織層5を備える。第1の組織層4は、足場本体3と同じ幅もしくは直径を有する組織の円筒状の片である。第2の組織層5は、第1の組織層4と足場本体3との間にある。第2の組織層5は、第2の円筒状の組織片、細かく刻まれた組織を含有する足場材料の層、または、足場材料と微粒子化された組織から作製された複合材料であり得る。1つの実施形態において、第1の組織層4は、1mmと2mmとの間の厚みであり、そして、第2の組織層5は、細かく刻まれた無細胞のヒト皮膚組織(例えば、Cymetra(登録商標)(LifeCell Corp.,One Millennium Way,Branchburg,New Jersey 08876−3876))で作製された、円筒状の不均一な層である。
【0032】
図1Bは、第1の組織層4および第2の組織層5が、足場本体3の幅もしくは直径よりも大きい幅もしくは直径を有する、類似の移植片を例示する。このような移植片は、欠陥の上側領域が、欠陥の下側領域よりも大きい場合に有用である。本発明の1つの方法において、穴は、足場を位置決めするためにより広い空間を提供するために、欠陥の底部で、組織にドリルで開けられる。欠陥の底部にドリルで開けられた穴は、患者の組織に対するストレスを最小限にするために、欠陥の上側部分よりも小さい直径を有するように作製される。図1Bにおいて例示される移植片は、この方法に特に有用である。
【0033】
図2Aは、遠位端部1の近くで、足場本体3の周りに環状の凹部8を有する移植片を示す。遠位端部1の直径は、組織シート16の厚みを収容するために、足場の残りの部分の直径よりも小さい。図2Bに示されるように、組織のシート16は、足場の遠位端部1を、組織のシート16で覆い、この組織のシート16の端部を、近位端部2に向けて折り畳むことによって、足場に固定される。移植片からはみ出る縫合糸7の部分を最小限にするために、縫合糸7は、環状の凹部8において、足場本体3へと組織のシート16を結ぶか、もしくは縫い付けるために使用される。
【0034】
図3Aおよび3Bは、足場に組織を取り付けるための代替的な方法を例示する。第1の組織層4は、縫合糸7によって足場本体3に取り付けられ、この縫合糸7は、表面の凹部27内を、足場本体3の側部に沿って走る。縫合糸7は、第1の組織層4を通り、そして、足場本体3の内側を通って縫い付けられる。
【0035】
図4Aおよび4Bは、足場に組織を取り付けるための別の方法を例示する。予め形成されたチャネル6が、足場本体3内に形成され、このチャネルは、近位端部(示さず)から遠位端部1へと延びる。縫合糸7が、足場本体3の内側にあるチャネル6を通して、第1の組織層4へと通され、そして、チャネル6を通して戻される。この実施形態は、患者の周辺組織への縫合糸7の露出を減らし、それによって、周辺組織の刺激および炎症の可能性を減らすので、有益である。
【0036】
図5A、5Bおよび5Cは、足場に組織を取り付けるための別の方法を例示する。第1の組織層4は、1つ以上のピン9によって足場本体3に取り付けられる。1つ以上のピン9は、第1の組織層4を通して、足場本体3内へと挿入される。必要に応じて、ピン9は、ピン9が緩むこと、または、足場本体3から抜けることを防止するために、(図5Bに示されるように)鉤17を有し得る。さらに、確実な固定を提供するために、複数のピンが使用され得る。図5Cに示されるように、ピンは、第1の組織層4の位置をさらに安定化するために、ピンは、必要に応じて、第1の組織層4の遠位表面上に、細片18を有し得る。
【0037】
縫合糸およびピンに対する代替として、組織層は、当該分野で公知の適切な接着剤を用いて、足場本体に取り付けられる。接着剤は、上記足場本体の遠位端部および/または第1の組織層の近位端部に取り付けられる。組織層が、足場本体の遠位端部上に位置決めされる場合、接着剤は、これら組織層と足場本体とを一緒に物理的に接着する。好ましくは、接着剤は、生体適合性かつ生分解性である。
【0038】
図6Aに示されるように、本発明の1つの実施形態において、足場本体3は、第1の材料層19および第2の材料層20を備え、これらは、少なくとも1つの機械的特性が異なる。多孔性の繊維強化ポリマーから足場が作製される場合、差別化する特性は、繊維および孔の配向および方向の違いであり得る。図6Aは、第1の材料層19と、第2の材料層20とを有する移植片を示し、第1の材料層19において、繊維および孔の格子21は、遠位−近位の方向に対して垂直に配向されており、そして、第2の材料層20において、繊維および孔の格子21は、遠位−近位の方向に対して平行に配向される。繊維および孔の整列は、通常のヒアリン構造を再現するために使用される。通常のヒアリン軟骨は、上の組織層(関節表面またはその近くの層)が、より良いせん断性能を提供するために間接表面に対して平行であり、そして、下の層(骨に最も近い層)が、関節の表面に対して垂直な円柱状の様式で整列される。
【0039】
図6Bは、細かく刻まれた組織が装填された、多孔性の繊維強化足場を備える、本発明の移植片を例示する。移植片は、遠位端部1と近位端部2とを有する足場本体3を備える。足場を、細かく刻まれた組織の懸濁液中に置き、そして、真空を適用することによって、足場内に組織が装填される。細かく刻まれた組織は、足場の繊維および孔の格子21内の空間に吸収され、捕捉される。図6Bは、足場本体3の一部が装填された足場材料22であり、そして、一部が、装填されていない足場材料27である、組織が部分的に装填された移植片を例示する。好ましくは、足場全体に組織が装填されている。足場本体3内に装填された足場材料22の量は、足場が真空懸濁液中に置かれた時間に依存する。足場が長時間にわたって真空懸濁液中に置かれた場合、足場材料22が装填される領域は増える。
【0040】
図7Aおよび7Bは、足場が、スナッピング機構を有する場合の、本発明の別の移植片を例示する。この足場は、第1の材料層19と、別個の第2の材料層20とを備える。第1の材料層19は、スナッピング取り付け具23を有し、そして、第2の材料層20は、スナッピング取付け具23を受容および保持するために適した、対応する受容腔24を有する。スナッピング取付け具23の長さは、受容腔24の深さと対応し、その結果、スナッピング取り付け具23が受容腔24内に挿入されたときに、第1の材料層19の近位表面と、第2の材料層20の遠位表面とが接触する。この移植片は、足場に組織のシートを取り付けるための別の手段を提供する。図7Bに示されるように、組織シート16は、第1の材料層19の遠位端部1の上に置かれ、そして、組織シート16の端部は、第1の材料層19の周りに折り畳まれている。スナッピング取り付け具23が受容腔24内に挿入されるとき、組織シート16の端部は、第1の材料層19と第2の材料層20との間にピンで止められる。
【0041】
図8は、患者の欠陥25内に挿入された、本発明の移植片を例示する。この移植片は、足場本体3、近位端部1および遠位端部2を有する足場に取り付けられた、第1の組織層4および第2の組織層5を有する。遠位端部から近位端部までの移植片の長さは、この移植片が、欠陥25内に挿入されたときに、第1の組織層4の遠位表面が、周囲の組織26の表面とほぼ同じ高さになるように、欠陥25の深さと同じか、またはそれに近くなるべきである。
【0042】
損傷した組織の再生を促進する方法は、損傷した組織内の欠陥に、本発明の移植片を挿入する工程を包含する。欠陥としては、患者の組織層に対する傷害、ならびに、意図的に作製された穴(例えば、健康な骨もしくは軟骨のプラグが移植のために取り出された後に、骨組織もしくは軟骨組織内に残る穴)が挙げられる。意図的に作製された欠陥としてはまた、靱帯もしくは腱の修復外科手術の間に自己グラフト、同種グラフトもしくは合成グラフトを挿入するために作製された、骨組織もしくは軟骨組織内の穴が挙げられる。足場の遠位端部にある組織層は、隣接する組織と接触したときに、一体化および治癒を増強する、滑らかな関節表面を提供する。移植片の組織層表面は、周囲の組織の表面と平らであるべきである。好ましくは、移植片の組織層は、同種、自己またはこれらの組み合わせである。必要に応じて、組織は無細胞である。本発明の移植片によって処置可能な組織としては、皮膚組織、骨、軟骨、腱および靱帯が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の移植片はまた、骨軟骨性の欠陥、特に、関節内に存在する欠陥を処置するために使用され得る。移植片の組織層は、修復されるべき欠陥と同じ型の組織である必要はない。例えば、無細胞皮膚組織の組織層を含有する移植片が、骨組織内および軟骨組織内の欠陥を修復するために使用される。
【0043】
損傷した組織内の欠陥は、移植片の挿入に適応するために、意図的に形成もしくは拡大され得る。例えば、穴の深さが送達足場の近位端部から遠位端部までの距離と等しくなるように、損傷した組織の底部(欠陥の表面から最も離れた部分)に、穴は、ドリルで開けられ得る。移植片が欠陥内に挿入された場合、足場本体は、ドリルで開けられた穴が周囲の組織で満たされ、そして、移植片の組織層が、周囲の組織とほぼ同じ高さになる。
【0044】
本発明は、特定の好ましい実施形態と共に記載されてきたが、前述の説明は、本発明の範囲を制限するようには意図されないことが理解される。種々の等価物および改変物が、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、特定の実施形態において示される本発明に対してなされ得ることは、当業者により理解される。本明細書中で言及された全ての刊行物は、本明細書と矛盾しない程度に、参考として本明細書中に援用される。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】図1Aは、第1の組織層および第2の組織層を有する、本発明の移植片を示す。図1Bは、第1の組織層および第2の組織層を有する移植片を示し、ここで、この組織層の幅は、足場の幅よりも大きい。
【図2】図2Aは、足場の遠位端部の近くに内向きの凹部を有する、本発明の移植片を示す。図2Bは、図2Aの移植片を覆う組織のシートを示す。
【図3】図3Aは、縫合糸によって足場に係留された単一の組織層を有する、本発明の移植片の側面図を示し、その一部が、表面にある凹部内を、足場の側部に沿って走っている。図3Bは、図3Aの移植片の正面図である。組織層を足場に取り付けるために使用した縫合糸の一部が、表面にある凹部内を、移植片の外側に沿って走っている一方で、縫合糸の残りの部分は、移植片を通って走っている。
【図4】図4Aは、2本の縫合糸を使用することによって、足場に取り付けられた単一の組織層を有する、本発明の移植片の断面図を示す。足場の遠位端部から近位端部へと延びる一対の穴が、足場内に形成されている。縫合糸は、穴を通され、組織層の一部を通ってループ状にされ、そして、穴を通って足場の近位端部へと戻る。図4Bは、単一の組織層と、縫合糸のための足場を通る予め形成された穴とを有する、移植片の分解図である。
【図5】図5Aは、組織層を通して足場内に挿入された2つのピンによって足場に取り付けられた単一の組織層を有する、本発明の移植片を示す。図5Bは、組織層が、ピンの取り外しを防止するための鉤を有するピンによって足場に固定された移植片を示す。図5Cは、組織層が、組織層の表面に沿って配置された細片に取り付けられたピンによって足場に固定された移植片を示す。
【図6】図6Aは、足場が第1の材料層と、第2の材料層とを備える本発明の移植片を示し、第1の材料層において、孔および繊維は、水平に整列しており、そして、第2の材料層において、孔および繊維は、垂直に整列している。図6Bは、本発明の多孔性移植片を示し、足場の外側セクションは、細かく刻まれた組織で装填されている。
【図7】図7Aは、本発明の2段階移植片の分解図を示す。図7Bは、2段階移植片を示し、ここで、第1の材料層は、組織のシートによって覆われ、第2の材料層内にスナップ止めされている。
【図8】図8は、欠陥内に挿入された第1の組織層および第2の組織層を有する、本発明の移植片を例示する。
【図1A】

【図1B】

【図2A】

【図2B】

【図3A】

【図3B】

【図4A】

【図4B】

【図5A】

【図5B】

【図5C】

【図6A】

【図6B】

【図7A】

【図7B】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
移植片であって、以下:
(a)少なくとも1種の材料層から作製された遠位端部、近位端部および足場を備える、生体適合性の送達足場;ならびに
(b)組織のシートを備える組織層
を備え、該第1の組織層が、該足場の遠位端部に取り付けられている、
移植片。
【請求項2】
前記組織が、同種、自己、またはこれらの組み合わせである、請求項1に記載の移植片。
【請求項3】
前記組織が、無細胞である、請求項1に記載の移植片。
【請求項4】
前記組織が、皮膚組織、脂肪組織、軟骨組織または骨組織である、請求項1に記載の移植片。
【請求項5】
前記組織が、ヒト組織である、請求項1に記載の移植片。
【請求項6】
前記材料層が、軟骨組織または骨組織に類似した有孔性および弾性を有する、請求項1に記載の移植片。
【請求項7】
前記材料層が、合成ポリマーである、請求項1に記載の移植片。
【請求項8】
前記組織が、無細胞のヒト皮膚組織であり、そして、前記材料層が、骨組織または軟骨組織に類似した有孔性および弾性を有する、請求項1に記載の移植片。
【請求項9】
前記材料層が、多孔性、生体適合性、生分解性の繊維強化ポリマーである、請求項1に記載の移植片。
【請求項10】
前記足場本体の遠位端部と前記組織層との間に接着剤をさらに備え、該接着剤は、該足場本体の遠位端部と前記組織層とを物理的に接触させている、請求項1に記載の移植片。
【請求項11】
1種以上の縫合糸をさらに備え、該縫合糸の各々が、前記組織層の一部を通って、そして、前記足場本体の内側を通って位置決めされる、請求項1に記載の移植片。
【請求項12】
前記近位端部から前記遠位端部へと延びる、前記足場本体内に予め形成された1つ以上のチャネルをさらに備える、請求項9に記載の移植片。
【請求項13】
前記足場の遠位端部の近くで、前記足場本体の周りに環状の凹部をさらに備える、請求項1に記載の移植片。
【請求項14】
前記組織層を前記環状の凹部に取り付ける縫合糸をさらに備える、請求項11に記載の移植片。
【請求項15】
前記組織を通して、前記足場本体内に配置される1つ以上のピンをさらに備える、請求項1に記載の移植片。
【請求項16】
第2の組織層をさらに備える、請求項1に記載の移植片。
【請求項17】
前記第2の組織層が、同種、自己、またはこれらの組み合わせである、請求項16に記載の移植片。
【請求項18】
前記第2の組織層が、無細胞である、請求項16に記載の移植片。
【請求項19】
前記足場本体が、前記材料層に隣接し、かつ該材料層に近接した第2の材料層を備える、請求項1に記載の移植片。
【請求項20】
前記材料層が、多孔性、生体適合性、生分解性の繊維強化ポリマーを備え、1つの材料層内の繊維の方向が、他の材料層内の繊維の方向に対して垂直である、請求項19に記載の移植片。
【請求項21】
スナッピング機構をさらに備える、請求項19に記載の移植片であって、該スナッピング機構は、以下:
(a)1つの材料層表面から延びる、スナッピング取り付け部;および
(b)他の材料層内に配置され、そして、該他の材料層表面の下を延びる受容腔であって、該スナッピング取り付け部を受容および保持するように適合されている、受容腔
を備え、該スナッピング取り付け部が、該受容腔内に完全に挿入されたときに、該材料層の両方の表面が互いに接するように、該スナッピング取り付け部の長さは、該受容腔の深さと同じである、移植片。
【請求項22】
移植片であって、以下:
(a)多孔性の材料層を有する、遠位端部、近位端部および足場を備える、生体適合性の送達足場;ならびに
(b)該足場本体上に装填された、細かく刻まれた組織
を備える、移植片。
【請求項23】
前記組織が、皮膚組織、軟骨組織または骨組織である、請求項22に記載の移植片。
【請求項24】
前記組織が、同種、自己またはこれらの組み合わせである、請求項22に記載の移植片。
【請求項25】
前記組織が、無細胞である、請求項22に記載の移植片。
【請求項26】
前記多孔性の材料層が、生分解性である、請求項22に記載の移植片。
【請求項27】
前記多孔性の材料層が、軟骨組織または骨組織に類似した有孔性および弾性を有する、請求項22に記載の移植片。
【請求項28】
生体適合性の送達足場を備える移植片であって、該送達足場は、粒子状の組織を含有する複合生分解性ポリマーを含む、遠位端部、近位端部および足場本体を有する、移植片。
【請求項29】
前記粒子状の組織は、同種、自己、またはこれらの組み合わせである、請求項28に記載の移植片。
【請求項30】
前記組織は、皮膚組織、軟骨組織または骨組織である、請求項28に記載の移植片。
【請求項31】
前記組織は、無細胞である、請求項28に記載の移植片。
【請求項32】
前記足場本体は、軟骨組織または骨組織に類似した有孔性および弾性を有する、請求項28に記載の移植片。
【請求項33】
損傷した組織の再生を促進する方法であって、該損傷した組織内の欠陥中に、請求項1に記載の移植片を挿入する工程を包含する、方法。
【請求項34】
前記欠陥の底部にドリルで穴を開ける工程をさらに包含し、該穴の深さは、前記移植片の近位端部から遠位端部までの距離と等しい、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記組織層の前記遠位表面は、周囲の元々の組織の表面とほぼ同じ高さである、請求項33に記載の方法。

【図8】
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【公表番号】特表2007−537778(P2007−537778A)
【公表日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−502951(P2007−502951)
【出願日】平成17年3月9日(2005.3.9)
【国際出願番号】PCT/US2005/007717
【国際公開番号】WO2005/086849
【国際公開日】平成17年9月22日(2005.9.22)
【出願人】(505316358)オステオバイオロジックス, インコーポレイテッド (8)
【Fターム(参考)】