説明

自己組織化シリカ縮合物

自己組織化シリカ縮合物、さらにはコーティング組成物におけるその使用が記載されている。自己組織化シリカ縮合物は、中鎖状〜長鎖状トリアルコキシシラン化合物の加水分解により形成可能である。自己組織化シリカ縮合物を含有するコーティング組成物は、改良された耐引掻き性および耐擦傷性を有するコーティングを提供しうるとともに、優れた上塗り付着性を有しうる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、自己組織化シリカ縮合物およびコーティング組成物におけるその使用に関する。また、自己組織化シリカ縮合物の使用方法および自己組織化シリカ縮合物を含有するコーティング組成物も、本明細書に開示される。
【背景技術】
【0002】
ナノ粒子の分野は、コーティング工業では比較的新しい成長領域である。ナノ粒子材料は、多くの商用コーティング用途で利用されており、それがもたらす利点により、多くの重要な性質が向上する。
【0003】
コーティング工業では、シリカナノ粒子は、最も重要なナノスケール材料の1つであり、少なくとも2つの異なる形態で市販されている。ヒュームドシリカは、鎖状構造で配列された状態になる傾向がある二酸化ケイ素である。ヒュームドシリカの製造は、水素と酸素の火炎中での四塩化シリカの燃焼を介するものある。鎖状構造は、二酸化ケイ素の溶融スフェアの凝集に起因する。コロイドシリカは、本質的に球状の二酸化ケイ素粒子の水系または溶媒系の分散である。コロイドシリカは、いくつかの方法により製造可能であり、ヒュームドシリカの約3〜7倍の価格である。
【0004】
コーティングとくにクリアコートへのシリカナノ粒子の添加により、硬化コーティングの耐引掻き性および耐擦傷性を改良することが可能である。ヒュームドシリカおよびコロイドシリカは両方とも、使用可能である。表面上に高レベルのシラノール基を有するコロイドシリカは、後処理プロセスへの適合性がより高く、コーティング組成物中により容易に分散可能である。コロイドシリカは、適切に調製された場合、凝集が少なくなるので、改良された漆黒性(色強度)およびより良好な外観を呈することが可能である。しかしながら、コロイドシリカは、循環ポンプに過度に大きな摩耗を引き起こす傾向があり、しかもコロイドシリカの価格は、コーティングで使用するには高すぎる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、高い耐引掻き性および耐擦傷性を呈し、コーティング組成物中に容易に組み込まれ、かつ材料を基材に適用するために使用される循環ポンプで摩耗の問題を引き起こさないシリカ含有コーティングの必要性が依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、A)自己組織化シリカ縮合物とB)皮膜形成性バインダーとを含むコーティング組成物、コーティング組成物により被覆された基材、ならびに自己組織化シリカ縮合物を含むコーティング組成物の製造方法に関する。自己組織化シリカ縮合物は、特定のトリアルコキシシラン同士のまたは記載される他の化合物もしくはポリマーとの加水分解反応生成物でありうる。
【0007】
自己組織化シリカ縮合物を含有するコーティング組成物は、優れた耐引掻き性および耐擦傷性を有するクリアコートを提供する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書中で用いられる場合、「自己組織化シリカ縮合物」という語句は、本明細書に記載の手順に従って形成されるケイ素含有材料を意味する。自己組織化シリカ縮合物は、縮合物中に組み込まれる成分に依存してさまざまな構造体を含む可能性があり、1000未満の数平均分子量を有する構造体(オリゴマー型)から、透過型電子顕微鏡法(TEM)または光散乱法により測定した場合に1ナノメートル(nm)〜6ミクロンの範囲内の平均粒子サイズを有する粒子まで、多岐にわたる可能性がある。
【0009】
本明細書中で用いられる場合、「加水分解反応」または「加水分解」という用語は、(後述される)成分を含むかまたは本質的にそれからなる混合物を水の存在下で反応させ、その際、水が成分の少なくとも1つと反応して既存の共有結合を破壊しかつ新しい結合を形成することを意味する。反応時、酸が存在していてもよい。
【0010】
本明細書中で用いられる場合、「基材」という用語は、同一もしくは異なるコーティング組成物で表面が事前に被覆されているか否かにかかわらず、金属、木材、樹脂、アスファルト、皮革、紙、織布および不織布、金属、プラスター、セメント、紙、織布および不織布、金属、プラスターのような材料で作製された任意の表面または任意の他の表面を意味する。事前のコーティングとしては、電着プライマーコーティング、プライマーコーティング、プライマー/シーラーコーティング、または顔料着色コーティングが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0011】
クリアコートとは、乾燥硬化されたコーティングの状態を意味することに留意されたい。クリアコート組成物は、乳白色、透明、不透過、または半透明の溶液、混合物、または分散でありうる可能性がある。また、本明細書に記載のクリアコート組成物は、クリアコート組成物をティント処理するために存在する少量の顔料を有していてもよい。
【0012】
本開示の特徴および利点は、以下の詳細な説明を読むことにより当業者であればより容易に理解されよう。明確にするために個別の実施形態に関連して以上および以下に記載される本開示の特定の特徴は、単一の実施形態で組み合わせて提供することも可能であることを認識しなければならない。反対に、簡潔にするために単一の実施形態に関連して記載される本開示の種々の特徴は、単独でまたは任意の部分的組合せで提供することも可能である。そのほか、とくに文脈上明確に規定されないかぎり、単数形による参照は、複数形をも包含しうる(たとえば、「a」および「an」は、1つまたは1つ以上を意味しうる)。
【0013】
とくに明示的な指定がないかぎり、本出願に明記される種々の範囲内の数値の使用は、記載の範囲内の最小値および最大値の両方に「約」という単語が前に付されているかのように近似値として記載されているものとする。このようにして、記載の範囲をわずかに超える変動値およびわずかに下回る変動値を用いて、こうした範囲内の値と実質的に同一の結果を達成することが可能である。また、こうした範囲の開示は、最小値と最大値との間のすべての値を包含する連続範囲が意図されるものとする。
【0014】
以下の開示の一実施形態は、A)自己組織化シリカ縮合物とB)皮膜形成性バインダーとを含むコーティング組成物に関する。コーティング組成物は、クリアコート組成物として有用でありうる。また、優れた耐引掻き性および耐擦傷性を提供可能な乾燥硬化されたコーティング組成物層を提供可能である。それに加えて、本明細書に記載のコーティング組成物は、後続適用されるコーティング組成物層、たとえば、損傷部分の修復時に適用されるコーティング層などに良好に付着する基材をも提供可能である。
【0015】
自己組織化シリカ縮合物
自己組織化シリカ縮合物は、以下で論述されるようにいくつかの加水分解法により形成可能である。加水分解の各実施形態では、加水分解は水の存在下で行われ、加水分解を促進するために反応系に酸触媒を添加してもよい。また、溶媒を用いてもよい。
【0016】
いくつかの好適な酸触媒としては、ドデシルベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸などのような芳香族スルホン酸が挙げられる。使用可能な他の酸触媒としては、たとえば、塩酸、硫酸、リン酸などのような鉱酸、フェニルアシッドホスフェート、安息香酸などのような有機酸、ペンダントの酸官能基を有する重合酸オリゴマーが挙げられる。また、以上の酸触媒のいずれの組合せも使用可能である。
【0017】
本開示のいくつかの実施形態では、加水分解は、周囲温度で実施可能であり、他の実施形態では、加水分解反応は、反応混合物の還流温度までの高温で実施可能である。他の実施形態では、加水分解反応は、30℃〜90℃の範囲内の温度で実施可能である。そのほかのさらなる実施形態では、加水分解反応は、40℃〜80℃の範囲内の温度で実施可能である。反応時間の長さは、数分間から24時間以上までさまざまでありうる。
【0018】
一実施形態では、自己組織化シリカ縮合物は、中鎖状〜長鎖状トリアルコキシシランを含む反応混合物の加水分解により形成可能である。本明細書中で用いられる場合、「中鎖状〜長鎖状トリアルコキシシラン」という用語は、式(1):
【化1】

〔式中、各Rは、独立して、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基であり、かつR1は、3〜20個の炭素原子を含む有機基である〕
で示される構造を有する化合物を意味する。R1は、エポキシド、カルバメート、ウレア、イソシアネート、ヒドロキシル、ブロック化イソシアネート、またはそれらの組合せなどのような1個以上の官能基を含んでいてもよい。R1が1個以上の官能基を含む中鎖状〜長鎖状トリアルコキシシランの好適な例は、構造(2)および(3)により表される。
【化2】

【化3】

【0019】
いくつかの実施形態では、中鎖状〜長鎖状トリアルコキシシランは、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、1−ブチルトリメトキシシラン、1−ブチルトリエトキシシラン、2−ブチルトリメトキシシラン、2−ブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、t−ブチルトリメトキシシラン、t−ブチルトリエトキシシラン、1−ペンチルトリメトキシシラン、1−ペンチルトリエトキシシラン、ペンチルトリメトキシシランの異性体、ペンチルトリエトキシシランの異性体、1−ヘキシルトリメトキシシラン、1−ヘキシルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシランの異性体、ヘキシルトリエトキシシランの異性体、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、およびそれらの組合せからなる群から選択可能である。
【0020】
1が無置換型アルキルすなわちプロピル、ブチルなどである中鎖状〜長鎖状トリアルコキシシラン(1)の加水分解時に形成される自己組織化シリカ縮合物は、表面活性のシリカ縮合物を形成する傾向があるが判明した。「表面活性」とは、シリカ縮合物が、コーティング組成物の成分として配合された場合、適用されたコーティング層の表面領域に分散する傾向があることを意味する。シリカ縮合物のすべてが表面に移動するわけではないが、コーティング組成物は、基材に隣接する表面では比較的低い濃度でかつ基材と反対側の表面では比較的高い濃度でシリカ縮合物の漸変的濃度を有するであろう。
【0021】
一実施形態では、この表面活性は、化学分析用電子分光法(ESCA)を用いて材料のバルク中の元素ケイ素の理論濃度に対して表面領域の元素ケイ素濃度を測定することにより測定可能である。ESCAでは、低エネルギー、典型的には1〜2keVのX線を利用して、光電効果によりサンプルの原子から光電子を叩き出す。次に、この放出された電子のエネルギー含有量を分光計により分析してその放出源の元素を同定する。
【0022】
表面近傍で比較的高濃度のシリカ縮合物を有する硬化コーティング組成物は、優れた耐引掻き性および耐擦傷性を有する傾向がある。しかしながら、そのようなコーティングはまた、不十分な上塗り付着性を有する傾向がある。それに加えて、時間がたつと、表面層は、特定の機械的作用(たとえば洗浄)に起因して摩耗剥離される可能性があり、シリカ縮合物を含有する層は、除去される可能性がある。比較的高濃度のシリカ縮合物を分散して有するコーティング層が除去された後、耐引掻き性および耐擦傷性の利点は、初期コーティングのものと比較した場合、低減される。
【0023】
1が1個以上の官能基を含む中鎖状〜長鎖状トリアルコキシシラン(1)の加水分解により形成される自己組織化シリカ縮合物は、乾燥硬化されたコーティング層のバルク全体にわたり良好に分散された状態を維持する傾向がある。乾燥硬化されたコーティング組成物層のバルク全体にわたる自己組織化シリカ縮合物の分散により、表面領域が除去された場合でさえも、一貫性のある耐引掻き性および耐擦傷性が提供される。また、コーティングの損傷部分の上塗り付着性は、悪影響を受けない。
【0024】
第2の実施形態では、自己組織化シリカ縮合物は、少なくとも2種の中鎖状〜長鎖状トリアルコキシシラン(1)を含む混合物の加水分解により製造可能である。混合物は、R1がアルキル基である少なくとも1種の中鎖状〜長鎖状トリアルコキシシランと、R1が官能基で置換された少なくとも1種の中鎖状〜長鎖状トリアルコキシシラン(たとえば、構造(2)または(3)の場合のようにR1がエポキシ基またはカルバメート基で置換されたものなど)とを含みうる。
【0025】
置換型R1と無置換型R1との比は、さまざまでありうる。好適な自己組織化シリカ縮合物は、中鎖状〜長鎖状トリアルコキシシランの100%が1個以上の官能基を含む場合に製造可能である。他の好適な実施形態は、置換型R1と無置換型R1との比が0.01:100から100:0.01を超える範囲内にある場合に製造可能である。
【0026】
第3の実施形態では、自己組織化シリカ縮合物は、中鎖状〜長鎖状トリアルコキシシランとテトラアルコキシオルトシリケートとを含む混合物の加水分解により形成可能である。テトラアルコキシオルトシリケートは、1:0.01から約1:20までまたはそれ以上の範囲内のトリアルコキシシラン:オルトシリケート比で反応混合物中に存在可能である。特定の条件下では、テトラアルコキシオルトシリケートの加水分解の結果、ゲルが形成される可能性があることが知られているので、そうした結果が望ましくない場合、ゲルの形成を回避するように注意を払わなければならない。
【0027】
いくつかの実施形態では、テトラアルコキシオルトシリケートとしては、テトラメトキシオルトシリケート、テトラエトキシオルトシリケート、テトラプロピルオルトシリケート、およびそれらの組合せが挙げられうる。
【0028】
第4の実施形態では、自己組織化シリカ縮合物は、中鎖状〜長鎖状トリアルコキシシランとシラン官能性ポリマーとを含むかまたは本質的にそれらからなる混合物の加水分解により製造可能である。テトラアルコキシオルトシリケートを反応剤として添加してもよい。
【0029】
好適なシラン官能性ポリマーは、式Si−X〔式中、Xは、1〜4個の炭素原子を有するアルコキシ基、6〜20個の炭素原子を有するアリールオキシ基、2〜6個の炭素原子を有するアシルオキシ基、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アミド、アミド、イミダゾール、オキサゾリジノン、ウレア、カルバメート、およびヒドロキシルアミンである〕で示される加水分解性シラン官能基である少なくとも1個の官能基を有しうる。加水分解性シラン官能基は、ポリマー鎖の末端に存在しうるか、ポリマー主鎖の一部でありうるか、またはポリマー主鎖のペンダントでありうる。
【0030】
いくつかの実施形態では、シラン官能性ポリマーはまた、少なくとも1個のヒドロキシ官能基を含有しうる。ヒドロキシ官能基は、乾燥硬化されたコーティング組成物層の架橋網状構造の一部を形成するように架橋成分(以下で論述される)と相互作用可能な架橋性官能基を有する自己組織化シリカ縮合物を提供するとともに改良された上塗り付着性を提供するうえで役立ちうる。
【0031】
いくつかの好適なシラン官能性ポリマーとしては、たとえば、Shin−Etsu Silicones of America,Inc.(Akron,Ohio)から入手可能な部分加水分解メチルメトキシポリシロキサンKC−89S、シラン官能性ポリアクリレート、シラン官能性およびヒドロキシ官能性ポリアクリレート、線状、星形、または分岐状の脂肪族ポリエステルまたは脂肪族ポリエーテルのオリゴマーポリオールとγ−イソシアナトプロピルトリエトキシルシランまたはγ−イソシアナトプロピルトリメトキシルシランとの反応生成物、ヒドロシリル化ビニル含有オリゴマーが挙げられうる。
【0032】
第5の実施形態では、自己組織化シリカ縮合物は、加水分解反応系へのコロイドシリカのさらなる添加を行って以上の方法のいずれかにより形成可能である。この第5の実施形態では、反応混合物は、以上に挙げられた反応剤混合物のいずれか1つとコロイドシリカとより本質的になる。コロイドシリカの添加は、フロキュレーションおよび最終的には沈降析出が起こらないように自己組織化シリカ縮合物を安定化させるのに役立ちうる。特定のタイプの自己組織化シリカ縮合物は、コロイドシリカを存在させずに形成された場合、時間がたつと沈降析出する可能性があることが判明した。コロイドシリカの存在下で自己組織化シリカ縮合物を形成すると、沈降析出が低減される。
【0033】
以上に記載の加水分解法では、1000グラム/モル未満の平均分子量を有する自己組織化シリカ縮合物から、1nm〜2000nmの範囲内の平均粒子サイズを有する自己組織化シリカ縮合物に至るまで、得ることが可能である。一般的には、記載の加水分解法では、以上のサイズ範囲内の生成物の混合物を有する生成物が得られる。当業者であれば、より低分子量の生成物が優位になるようにまたはより大きい自己組織化シリカ縮合物が優位になるように反応条件を変更することが可能である。
【0034】
以上に記載の方法に従って形成された自己組織化シリカ縮合物は、コーティング組成物中に容易に分散される。このコーティング組成物により、コーティングのバルク全体にわたり分散された自己組織化シリカ縮合物を有する乾燥硬化されたコーティング層を提供可能であるか、または中鎖状〜長鎖状トリアルコキシシランの置換型R1と無置換型R1との比を変化させることにより、バルク材料全体にわたり分散される自己組織化シリカ縮合物を有するとともに表面に比較的高濃度のシリカ縮合物を有するコーティング組成物を製造可能である。
【0035】
コーティング組成物に添加する自己組織化シリカ縮合物の量を決定する目的で、任意選択の酸触媒および任意選択の溶媒を除くすべての出発材料が所望の生成物を形成すると仮定する。反応条件、試薬反応性、および種々の他の因子に依存して、反応は、加水分解反応に関与する初期出発材料の100パーセントに近いこともあればそうでないこともある。すべての出発材料の反応は、コーティング組成物に添加される自己組織化シリカ縮合物の量の計算とは無関係であり、この計算では、以上に明記されたように、任意選択の酸触媒および任意選択の溶媒を除くすべての出発材料が所望の生成物を形成すると仮定する。
【0036】
皮膜形成性バインダー
コーティング組成物は、自己組織化シリカ縮合物および皮膜形成性バインダーを含みうる。コーティング組成物は、皮膜形成性バインダーの全重量を基準にして1〜30パーセントの範囲内の自己組織化シリカ縮合物を含有しうる。典型的なコーティング組成物は、自己組織化シリカ縮合物および皮膜形成性バインダーに加えて、溶媒、顔料、レオロジー調整剤、光安定剤、UV吸収剤、架橋触媒、および他の添加剤を含みうる。
【0037】
「皮膜形成性バインダー」という用語は、最終的架橋網状構造の一部を形成する成分を意味する。コーティング組成物に典型的に添加される他の成分のうち乾燥層の一部を形成するが架橋網状構造の必須部分にならないものは、皮膜形成性バインダーの一部とみなされない。同様にこの定義で除外されるのは、以上に記載の方法のいずれかにより形成された添加される自己組織化シリカ縮合物である。
【0038】
自己組織化シリカ縮合物を含むコーティング組成物は、公知の方法のいずれかにより形成可能である。一実施形態では、クリアコート組成物は、自己組織化シリカ縮合物を除くコーティング組成物のすべての成分を混合一体化させることにより形成可能である。これらのすべての成分を混合した後、自己組織化シリカ縮合物を添加混合してコーティング組成物を形成することが可能である。他の実施形態では、自己組織化シリカ縮合物をすべての成分と混合一体化させてコーティング組成物を形成することが可能である。さらなる実施形態では、とくに架橋成分が非ブロック化ポリイソシアネートである場合、自己組織化シリカ縮合物を個別の架橋成分および架橋性成分の一方もしくは他方または両方と混合することが可能である。その場合、個別の架橋成分および架橋性成分を使用直前に混合して、基材に適用可能な「ポット混合物」を形成することが可能である。
【0039】
自己組織化シリカ縮合物を含有するコーティング組成物に湿気捕捉剤を添加してもよい。いくつかの実施形態では、湿気捕捉剤はトリメチルオルトアセテートでありうる。他の湿気捕捉剤は、当該技術分野で公知であり、使用可能である。
【0040】
皮膜形成性バインダーは、架橋性成分および架橋成分を含むかまたは本質的にそれらからなる。架橋性成分は、架橋成分上の官能基と反応して架橋網状構造を形成可能な官能基を有する化合物、オリゴマー、および/またはポリマーでありうる。架橋性官能基としては、たとえば、ヒドロキシル基、アミン基、エポキシ基、カルボン酸基、アンヒドリド基、アスパルテート基、アセトアセトキシ基、オルトエステル基、チオール基、またはそれらの組合せが挙げられうる。架橋成分は、架橋性成分の官能基と反応して架橋網状構造を形成可能な官能基を有する化合物、オリゴマー、および/またはポリマーでありうる。架橋官能基としては、カルボン酸基、アンヒドリド基、イソシアネート基、およびブロック化イソシアネート基が挙げられうる。メラミン樹脂もまた、架橋性成分として好適である。以上に挙げた架橋成分のいずれの組合せも使用可能である。
【0041】
一実施形態では、架橋性成分は、エポキシ官能基を含有する、化合物、オリゴマー、および/またはポリマーであり、かつ架橋成分は、カルボン酸基を含有する、化合物、オリゴマー、および/またはポリマーである。これらのコーティングは、典型的には「エポキシ/酸」コーティング組成物と呼ばれ、当該技術分野で周知である。本明細書中で用いられる場合、「カルボン酸基」という用語は、カルボン酸官能基および/またはアンヒドリド官能基を包含する。いくつかの実施形態では、単一の化合物、オリゴマー、および/またはポリマーは、エポキシ基およびカルボン酸基の両方を有しうる。
【0042】
エポキシ官能基を含有する典型的な架橋性成分は、エポキシ官能性アクリルポリマー、エポキシ官能性ポリエステルポリマー、エポキシ官能性ポリエーテル、エポキシ官能性ポリウレタン、またはそれらの組合せから選択可能である。そのようなポリマーは、100〜2000グラム毎モルの範囲内のエポキシ当量を有しうる。本明細書中で用いられる場合、エポキシ当量とは、1当量のエポキシを含有するグラム単位の樹脂の重量を意味する。
【0043】
カルボン酸基を含有する典型的なポリマーは、アクリルポリマー、ポリエステルポリマー、ポリエーテル、ポリウレタン、またはそれらの組合せから選択可能である。そのようなポリマーは、100〜2000グラム毎モルの範囲内の酸当量を有しうる。
【0044】
他の実施形態では、架橋性成分としては、ヒドロキシル基、アミン基、カルボン酸基、アンヒドリド基、アスパルテート基、アセトアセトキシ基、オルトエステル基、チオール基、またはそれらの組合せなどのような架橋性基を有する化合物、オリゴマー、および/またはポリマーが挙げられ、架橋成分としては、イソシアネート基、ブロック化イソシアネート基、メラミン樹脂、またはそれらの組合せを含む化合物、オリゴマー、および/またはポリマーが挙げられる。
【0045】
ヒドロキシル基、アミン基、カルボン酸基、アンヒドリド基、アスパルテート基、アセトアセトキシ基、オルトエステル基、および/またはチオール基を有する化合物、オリゴマー基、および/またはポリマーは、当該技術分野で周知である。これらの基を含有する典型的な化合物、オリゴマー、および/またはポリマーとしては、たとえば、ポリアクリレート、ポリエステル、ポリエーテル、ポリウレタン、およびそれらの組合せが挙げられうる。
【0046】
架橋性基を有する化合物、オリゴマー、および/またはポリマーは、多くの場合、皮膜形成性バインダーの架橋性成分として参照される。架橋性基は、耐久性皮膜を形成するために、架橋成分と反応(すなわち架橋)しなければならない。イソシアネート官能基を有する化合物、オリゴマー、および/またはポリマーは、皮膜形成性バインダーの架橋成分として機能しうる。
【0047】
典型的なイソシアネート架橋成分としては、たとえば、脂肪族、脂環式、および芳香族のポリイソシアネートが挙げられる。特定の例としては、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニルジイソシアネート、1,4−ベンゼンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、4,6−キシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,2−プロピレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、オメガジプロピルエーテルジイソシアネートおよび1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,2−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、4−メチル−1,3−ジイソシアナトシクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソシアヌレート構造ユニットを有するポリイソシアネート、ウレチジオン構造ユニットを有するポリイソシアネート、3分子のジイソシアネートと1分子の水との付加物、たとえばヘキサメチレンジイソシアネートのアロファネート、ウレチジオン、三量体、およびビウレット、たとえばイソホロンジイソシアネートのアロファネート、ウレチジオン、三量体、およびビウレットが挙げられうる。1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートおよびイソホロンジイソシアネートならびにそれらのイソシアヌレートは、市販されているので好ましい。トリフェニルメタントリイソシアネート、1,3,5−ベンゼントリイソシアネート、2,4,6−トルエントリイソシアネートなどのような三官能性イソシアネートもまた、使用可能である。Rhodia CorporationからTOLONATE(登録商標)HDTとして販売されているヘキサメチレンジイソシアネートの三量体などのようなジイソシアネートの三量体およびイソホロンジイソシアネートの三量体もまた、好適である。また、挙げられたポリイソシアネートのいずれの組合せも有用である。コーティング組成物で芳香族ポリイソシアネートを使用すると、経時的にコーティングの黄変を生じる可能性がある。したがって、コーティング組成物をクリアコート組成物として使用する場合、芳香族ポリイソシアネートの使用を注意深く検討しなければならない。
【0048】
いくつかの実施形態では、架橋成分は、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート、ヘキサメチレンジイソシアネートのアロファネート、ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット、ヘキサメチレンジイソシアネートのウレチジオン、イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート、イソホロンジイソシアネートのアロファネート、イソホロンジイソシアネートのビウレット、イソホロンジイソシアネートのウレチジオン、およびそれらの組合せからなる群から選択される。
【0049】
以上のポリイソシアネートのいずれかを公知の方法に従って公知のブロック化剤でブロック化してブロック化ポリイソシアネートを形成してもよい。そのようなブロック化ポリイソシアネートは、自己組織化シリカ縮合物を含有するコーティング組成物で架橋成分として使用可能である。
【0050】
メラミン樹脂架橋成分は、一般的には、完全にまたは部分的にアルキル化されたメラミンホルムアルデヒド化合物であり、単量体もしくは多量体またはそれらの混合物でありうる。いくつかの好適なメラミンとしては、メタノール、n−ブタノール、またはイソブタノールなどのような1〜5個の炭素原子を有する一価アルコールでエーテル化されたメチロール基をトリアジン核1個あたり平均で3個以上含有するメラミンが挙げられる。
【0051】
多くの好適なメラミンは、市販されており、例としては、メチル化メラミン、ブチル化メラミン、イソブチル化メラミン、およびそれらの混合物などのようなアルキル化メラミンが挙げられうる。好適なメラミン樹脂は、Cytec Industries Inc.(West Patterson,New Jersey)からおよびIneos Melamines(Marietta,Georgia)から入手可能である。
【0052】
所望により、コーティング組成物の架橋プロセスを促進するために、適切な触媒を組み込むことも可能である。
【0053】
コーティング組成物が架橋剤としてポリイソシアネートまたはブロック化ポリイソシアネートを含む場合、コーティング組成物は、好ましくは、硬化プロセスを促進するために触媒活性量の1種以上のスズ触媒または第三級アミン触媒を含む。一般的には、コーティング組成物中の触媒の触媒活性量は、いずれも皮膜形成性バインダーの重量を基準にした重量パーセントで、約0.001パーセント〜約5パーセントの範囲内、好ましくは0.005パーセント〜2パーセントの範囲内、より好ましくは0.01パーセント〜1パーセントの範囲内である。広範にわたるさまざまな触媒、たとえば、ジブチルスズジラウレートおよびジブチルスズジアセテートをはじめとするスズ化合物、トリエチレンジアミンなどのような第三級アミンを使用することが可能である。これらの触媒は、単独でまたは酢酸などのようなカルボン酸と組み合わせて使用可能である。Elf−Atochem North America,Inc.(Philadelphia,Pennsylvania)によりFASTCAT(登録商標)4202ジブチルスズジラウレートという商標で販売されている市販の触媒の1つは、とくに好適である。
【0054】
コーティング組成物が架橋剤としてメラミンを含む場合、それはまた、好ましくは、硬化時に成分の架橋をさらに促進するために触媒活性量の1種以上の酸触媒を含む。一般的には、コーティング組成物中の酸触媒の触媒活性量は、いずれもバインダーの重量を基準にした重量パーセントで、約0.1パーセント〜約5パーセントの範囲内、好ましくは0.1パーセント〜2パーセントの範囲内、より好ましくは0.5パーセント〜1.2パーセントの範囲内である。いくつかの好適な酸触媒としては、ドデシルベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、およびジノニルナフタレンスルホン酸のような芳香族スルホン酸が挙げられ、これらはすべて、ブロック化されていないか、またはジメチルオキサゾリジンおよび2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、n,n−ジメチルエタノールアミン、もしくはそれらの組合せなどのようなアミンでブロック化されているか、のいずれかである。使用可能な他の酸触媒は、たとえば、リン酸、より特定的にはフェニルアシッドホスフェート、安息香酸、ペンダント酸基を有するオリゴマーであり、これらはすべて、ブロック化されていなくてもよいし、アミンでブロック化されていてもよい。
【0055】
コーティング組成物は、有機溶媒または溶媒のブレンドを含みうる。有機溶媒の選択は、VOC排出要件などのようなコーティング組成物の特定の最終用途の要件、選択される顔料、皮膜形成性バインダー、および架橋剤に依存する。
【0056】
本発明に有用でありうる有機溶媒の代表例としては、アルコール、たとえば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、ブタノールなど、ケトン、たとえば、アセトン、ブタノン、ペンタノン、ヘキサノン、さらにはメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、メチルアミルケトンなど、酢酸、プロピオン酸、および酪酸のアルキルエステル、たとえば、エチルアセテート、ブチルアセテート、アミルアセテートなど、エーテル、たとえば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、エチレングリコール、セロソルブやカルビトールのようなポリエチレングリコールモノアルキルおよびジアルキルエーテルなど、ならびにグリコール、たとえば、エチレングリコール、プロピレングリコール、それらの混合物など、そのほかに芳香族炭化水素溶媒、たとえば、キシレン、トルエンなどが挙げられる。
【0057】
組成物の耐候性を改良するために、皮膜形成性バインダーの重量を基準にして約0.1〜10重量%の紫外光安定剤、紫外光遮断剤、および酸化防止剤を添加することが可能である。典型的な紫外光遮断剤および紫外光安定剤としては、以下のものが挙げられる。
【0058】
ベンゾフェノン、たとえば、ヒドロキシドデシルオキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、スルホン酸基含有ヒドロキシベンゾフェノンなど、またはそれらの組合せ。
【0059】
ベンゾエート、たとえば、ジフェニロールプロパンのジベンゾエート、ジフェニロールプロパンの第三級ブチルベンゾエートなど、またはそれらの組合せ。
【0060】
トリアジン、たとえば、トリアジンの3,5−ジアルキル−4−ヒドロキシフェニル誘導体、ジアルキル−4−ヒドロキシフェニルトリアジンの硫黄含有誘導体、ヒドロキシフェニル−1,3,5−トリアジンなど、またはそれらの組合せ。
【0061】
トリアゾール、たとえば、2−フェニル−4−(2,2’−ジヒドロキシベンゾイル)−トリアゾールなど、置換型ベンゾトリアゾール、たとえば、ヒドロキシ−フェニルトリアゾールなど、またはそれらの組合せ。
【0062】
ヒンダードアミン、たとえば、ビス(1,2,2,6,6エンタメチル−4−ピペリジニルセバケート)、ジ[4(2,2,6,6,テトラメチルピペリジニル]セバケートなど、またはそれらの組合せ、ならびに以上のいずれかの混合物。
【0063】
一般的には、レオロジー調整剤、たとえば、ポリアクリル酸、ポリアルキルアクリレート、ポリエーテル変性ジメチルポリシロキサンコポリマー、ポリエステル変性ポリジメチルシロキサンなど、またはそれらの組合せを、皮膜形成性バインダーの重量を基準にして約0.1〜5重量%の量で組成物で使用することが可能である。
【0064】
一実施形態では、コーティング組成物は、自動車の仕上げ処理でおよび車両の再仕上げ処理でクリアコートとして使用される。クリアコートをティント処理して向上した審美的効果を提供するために、少量の顔料をクリアコート組成物に添加することが可能である。他の実施形態では、コーティング組成物は、モノコート組成物、ベースコート組成物、シーラーコート組成物、プライマー組成物、プライマーサーフェーサー組成物、または他の顔料着色コーティング組成物を提供するために、顔料を含有することが可能である。顔料は、以上に挙げた組成物で一般に使用されるように約0.1:100〜300:100の顔料対バインダー比でコーティング組成物に添加可能である。顔料は、典型的には、コーティング組成物に適合可能なミルベース中に配合され、所望の量で添加される。使用される顔料は、以上に挙げた組成物で典型的に使用されるものであり、当業者に周知である。
【0065】
いくつかの実施形態では、コーティング組成物は、一液で一緒に貯蔵された架橋性成分と架橋剤の両方を有する硬化性コーティング組成物を意味する「一液型コーティング組成物」として調製可能である。一液型コーティング組成物は、好適な基材に適用され、典型的には高温で硬化されて耐久性コーティングを形成する。
【0066】
他の実施形態では、コーティング組成物は、典型的には密閉された個別容器中に架橋性成分と架橋剤が貯蔵される「二要素型」すなわち「二液型」コーティング組成物として調製可能である。触媒、有機溶媒、および通常の他の添加剤は、組成物の使用目的に依存して、架橋性剤または架橋剤の一方または両方に添加可能である。しかしながら、これらの添加剤(ある種の溶媒を除く)は、好ましくは、架橋性成分と共に同一の容器に添加されて貯蔵される。要素容器の内容物は、使用直前に所望の比で混合されて、限られたポットライフを有する活性コーティング組成物を形成する。混合は、通常、単に適用直前に室温で撹拌するだけで達成される。次に、コーティング組成物は、自動車車体のような基材表面上に所望の厚さの層として適用される。適用後、層は、周囲温度または高温で乾燥硬化して基材表面に所望のコーティング特性を有するコーティングを形成する。
【0067】
自動車やトラックのような車両にクリアコート再仕上げ剤としてコーティング組成物を適用する場合、最初に、溶媒性組成物または水性組成物のいずれかでありうるベースコートが適用され、次に、溶媒または水の少なくとも一部分が除去されるように乾燥され、その後、通常は従来のスプレー処理によりウェットオンウェット方式で、クリアコートが適用される。適用されるベースコート組成物が水性ベースコート組成物である場合、乾燥工程では、適用された層から水の少なくとも75%を除去しなければならない。静電スプレー処理を使用することも可能である。再仕上げ適用では、組成物は、好ましくは、周囲温度で乾燥硬化されるが、わずかに高いブース温度(一般的には約30〜100℃、好ましくは約35〜65℃)の熱源を備えた塗装ブース内で、約3〜30分間、好ましくは約5〜15分間の短時間で、強制的に乾燥硬化させることが可能である。そのように形成されたコーティングは、典型的には約0.5〜5ミルの厚さである。
【0068】
好ましい基材は、自動車両(または自動車)車体、自動車下請供給業者により製造および塗装されるあらゆる物品、フレームレール、商用トラック車体およびトラック車体、たとえば、限定されるものではないが、飲料用車体、多目的車体、生コンクリート運搬車両車体、廃棄物運搬車両車体、ならびに消防車両車体および緊急車両車体、さらには、そのようなトラック車体、バス、農業機械および建設機械、トラックキャップおよびトラックカバー、商用トレーラー、消費者用トレーラー、レクリエーション用車両、たとえば、限定されるものではないが、モーターホーム、キャンピングカー、コンバージョンバン、バン、娯楽用車両、プレジャークラフトスノーモービル、全地形型車両、パーソナルウォータークラフト、オートバイ、ボート、および航空機の任意の可能性のある付属品または部品である。基材としては、さらに、工業用および商業用の新しい建設材およびその補修材、セメントおよび木材の床、オフィスビルおよび家屋のような商業用および住宅用の構造物の壁、遊園地設備、駐車場および車道のようなコンクリート表面、アスファルトおよびコンクリートの道路表面、木材基材、海用表面、橋や塔のような屋外構造物、コイルコーティング、鉄道車両、プリント回路板、機械、OEM工具、標識、繊維ガラス構造物、スポーツ用品(一輪車、二輪車、三輪車、およびオートバイを含む)、ならびにスポーツ設備が挙げられる。
【実施例】
【0069】
本明細書中で使用される化学物質は、とくに断りのないかぎり、Aldrich Chemical Companyから入手可能である。
VAZO(登録商標)67開始剤、DuPont(Wilmington,Delaware)から入手可能。
KC−89S(登録商標)メチルメトキシポリシロキサンは、Shin−Etsu Silicones of America,Inc.(Akron,Ohio)から入手可能である。
IPA−ST(登録商標)コロイドシリカは、Nissan Chemical Industries,Ltd.(Houston,Texas)から入手可能である。
EXXSOL(登録商標)D−3135石油ナフサは、ExxonMobil(Houston,Texas)から入手可能である。
EXXSOL(登録商標)D40ミネラルスピリットは、ExxonMobil(Houston,Texas)から入手可能である。
RESIMENE(登録商標)717および755メラミンは、INEOS Melamines,Inc.(Marietta,Georgia)から入手可能である。
CYMEL(登録商標)1168単量体メラミン、Cytec Industries Inc.(West Patterson,New Jersey)により供給。
TINUVIN(登録商標)123および928光安定剤は、Ciba Specialty Chemicals(Tarrytown,New York)により供給される。
ドデシルベンゼンスルホン酸およびドデシルベンゼンスルホン酸の2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール塩は、NACURE(登録商標)というブランド名でKing Industries(Norwalk,Connecticut)により供給される。
DISPARLON(登録商標)LC−955流動化助剤、King Industries(Norwalk,Connecticut)により供給。
トリメチルオルトアセテートおよびブタノールは、Chem Central(Bedford Park,Illinois)により供給される。
AROMATIC(登録商標)100炭化水素流体は、ExxonMobil(Houston,Texas)から入手可能である。
【0070】
本明細書中では以下の略号が用いられる。
HPA − ヒドロキシプロピルアクリレート
HEMA − 2−ヒドロキシエチルメタクリレート
MAPTS − メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン
Sty − スチレン
IBMA − イソブチルメタクリレート
BA − ブチルアクリレート
BMA − ブチルメタクリレート
EHA − 2−エチルヘキシルアクリレート
【0071】
アクリル性ヒドロキシ官能性シランポリマー1および2の調製
8重量部のVAZO(登録商標)67開始剤の存在下で、表1に記載のモノマー混合物を、2/1のSOLVESSO(登録商標)100芳香族溶媒/ブタノール混合物の存在下で共重合することにより、シランポリマー1および2を調製した。得られたポリマー溶液は、70%の固形分含有率および25℃で測定されるGardner HoldtスケールでF〜Rの粘度を有し、ポリマーは、約4,500グラム/モルの重量平均分子量を有する。表1中の量はすべて、重量部である。
【0072】
【表1】

【0073】
自己組織化シリカ縮合物1〜8の調製
自己組織化シリカ縮合物1の調製
30グラムのプロピルトリメトキシシラン、19.1グラムのテトラエチルオルトシリケート、8.3グラムの脱イオン水、および0.36グラムのドデシルベンゼンスルホン酸を、撹拌しながらフラスコに添加した。透明溶液が形成されるまで、混合物を数分間撹拌した。次に、混合物を60℃で15時間撹拌した。この混合物に10グラムのシランポリマー1を添加し、60℃でさらに15時間混合を継続した。
【0074】
自己組織化シリカ縮合物2の調製
8グラムのプロピルトリメトキシシラン、40グラムのテトラエチルオルトシリケート、8.3グラムの脱イオン水、および0.36グラムのドデシルベンゼンスルホン酸を、撹拌しながらフラスコに添加した。透明溶液が形成されるまで、混合物を数分間撹拌した。次に、混合物を60℃で15時間撹拌した。この混合物に4グラムのKC−89Sおよび8グラムのシランポリマー2を添加し、60℃でさらに15時間混合を継続した。
【0075】
自己組織化シリカ縮合物3の調製
30グラムのプロピルトリメトキシシラン、19.1グラムのテトラエチルオルトシリケート、8.3グラムの脱イオン水、および0.36グラムのドデシルベンゼンスルホン酸を、撹拌しながらフラスコに添加した。透明溶液が形成されるまで、混合物を数分間撹拌した。この混合物に4.9グラムのIPA−STを添加し、60℃で15時間撹拌した。この加熱されて得られた混合物に9グラムのシランポリマー2を添加し、60℃でさらに15時間混合を継続した。
【0076】
自己組織化シリカ縮合物4の調製
7.2グラムのプロピルトリメトキシシラン、36グラムのテトラエチルオルトシリケート、10.6グラムの脱イオン水、および0.36グラムのドデシルベンゼンスルホン酸を、撹拌しながらフラスコに添加した。透明溶液が形成されるまで、混合物を数分間撹拌した。この混合物に4.7グラムのIPA−STを添加し、60℃で15時間撹拌した。次に、混合物を60℃で15時間撹拌した。この混合物に4グラムのKC−89Sおよび8グラムのシランポリマー2を添加し、60℃でさらに15時間混合を継続した。
【0077】
自己組織化シリカ縮合物5の調製
51.8グラムのガンマグリシドキシプロピルトリメトキシシラン、5.9グラムの脱イオン水、および0.36グラムのフェニルアシッドホスフェートを、撹拌しながらフラスコに添加した。透明溶液が形成されるまで、混合物を数分間撹拌した。次に、混合物を60℃で15時間撹拌した。
【0078】
自己組織化シリカ縮合物6の調製
10.8グラムのプロピルトリメトキシシラン、36.2グラムのガンマグリシドキシプロピルトリメトキシシラン、5.9グラムの脱イオン水、および0.36グラムのフェニルアシッドホスフェートを、撹拌しながらフラスコに添加した。透明溶液が形成されるまで、混合物を数分間撹拌した。次に、混合物を60℃で15時間撹拌した。
【0079】
自己組織化シリカ縮合物7の調製
7.7グラムのプロピルトリメトキシシラン、25.9グラムのガンマグリシドキシプロピルトリメトキシシラン、7グラムの脱イオン水、16.3グラムのテトラエチルオルトシリケート、および0.36グラムのドデシルベンジルスルホン酸を、撹拌しながらフラスコに添加した。透明溶液が形成されるまで、混合物を数分間撹拌した。次に、混合物を60℃で15時間撹拌した。以上の混合物に7.5グラムのガンマグリシドキシプロピルトリメトキシシランを添加し、60℃でさらに15時間撹拌を継続した。
【0080】
自己組織化シリカ縮合物8の調製
7.7グラムのプロピルトリメトキシシラン、25.9グラムのガンマグリシドキシプロピルトリメトキシシラン、7グラムの脱イオン水、16.3グラムのテトラエチルオルトシリケート、および0.36グラムのドデシルベンジルスルホン酸を、撹拌しながらフラスコに添加した。透明溶液が形成されるまで、混合物を数分間撹拌した。この混合物に5.7グラムのIPA−STを添加し、次に、得られた混合物を60℃で15時間撹拌した。以上の混合物を8.5グラムのガンマグリシドキシプロピルトリメトキシシランでさらに処理し、60℃でさらに15時間加熱した。
【0081】
非水性分散(NAD)の調製
撹拌機、温度計、冷却器、窒素入口、および添加漏斗を備えた5リットルフラスコに、スチレン/ブチルアクリレート/ブチルメタクリレート/2−ヒドロキシエチルアクリレート/メタクリル酸/グリシジルメタクリレート(重量部単位で14.7/43.6/27.5/10.1/2.3/1.7、)を含む206部のランダムコポリマー、12部のイソプロパノール、94部のミネラルスピリット、53部のヘプタン、および3部のブタノールを添加した。ランダムコポリマーは、8100の重量平均分子量を有し、トルエン中63.5重量%であった。混合物を窒素雰囲気下で撹拌し、加熱して還流させた(100℃〜104℃)。5部のミネラルスピリット中の0.5部のt−ブチルペルオクトエートの混合物をすべて一度に添加した。52部のスチレンと86部の2−ヒドロキシエチルアクリレートと126部メタクリル酸メチルと5部のグリシジルメタクリレートと14部のメタクリル酸と62部のアクリル酸メチルと103部の以上に記載のランダムコポリマーとの混合物を210分間かけて還流混合物に添加した。添加が終了した時、12部のブタノールと17部のヘプタンと5部のt−ブチルペルオクトエートと31部のミネラルスピリットとの混合物を添加し、混合物を45分間還流させた。次に、16部のブタノール中の1.7部のt−ブチルペルオクトエートの混合物を30分間かけて添加し、反応を60分間維持した。最後に、反応器から76部の溶媒をストリッピングした。反応系は、Brookfield粘度計を用いて5rpmで2000センチポアズの室温粘度および63.5パーセントの固形分重量を有していた。
【0082】
クリアコート組成物
クリアコート共通部分の調製
以下の成分を記載順にブレンド一体化させることにより、クリアコート組成物1を調製した。成分量はすべて、重量部単位である。
【0083】
【表2】

【0084】
対照クリアコート1およびクリアコート2〜5の作製
190グラムのクリアコート共通部分を表3に示される成分と混合することにより、対照クリアコート1およびクリアコート実施例2〜5を作製した。表3中の量はすべて、グラム単位である。
【0085】
【表3】

【0086】
対照クリアコート1およびクリアコート2〜5は、室温でフォード#4カップで35秒のスプレー粘度になるようにAROMATIC(登録商標)100で希釈して、それぞれ、電着コートおよびプライマーサーフェーサーの各層ですでに被覆された鋼製基材上に溶媒性黒色ベースコートを被覆したパネル上に、約50ミクロンの厚さになるようにハンドスプレーした。水性ベースコートは、562S61222のDuPontコードでDuPontから市販されている黒壇ベースコートである。使用したプライマーサーフェーサーは、554−DN082のDuPontコードでDuPontから入手可能である。使用した電着コートは、ED5050の名称でDuPontから入手可能である。
【0087】
ベースコートは、第1および第2のコート間で60秒間のフラッシュ時間を設けてプライマー電着コート被覆鋼製基材上に手動で二重コートとして適用した。スプレーブース条件は、24℃および湿度65%であった。第2のベースコート適用に続いて、70℃で5分間加熱フラッシュした後、第1および第2のクリアコート適用間で30秒間のフラッシュを行って2層のクリアコート組成物を適用した。ブース条件は同一に維持した。クリアコートをさらに10分間フラッシュし、次に、オーブン中140℃で20分間焼き付けた。
【0088】
耐引掻き性および耐擦傷性の試験のために、パネルを少なくとも24時間エージングさせた。コーティングの性質を測定し、以下の表6に報告した。擦傷試験は、周囲条件に敏感である可能性がある点に留意することが重要である。したがって、擦傷試験の判定に用いられる正確なベースラインを作成するために、実験を行うごとに対照実験を行うことはよいことである。
【0089】
クロックメーター乾燥耐擦傷性
パネルのクリアコーティングをFaultless Starch/Bon Ami Corporation(Kansas City,Mo.)により供給されるBon Ami研磨剤の薄層で被覆した。次に、A.A.T.C.C.クロックメーター(Model CM−1,Atlas Electric Devices Corporation(Chicago,Ill.))の緑色フェルト被覆フィンガーチップでダブルラビングを10回行うことにより、擦傷損傷に関してパネルを試験した。被覆パネルの非擦傷領域に対して擦傷領域の20°光沢を測定することにより、乾燥耐擦傷性を光沢保持率パーセントとして記録した。
【0090】
クロックメーター湿潤耐擦傷性
Bon Ami研磨剤の代わりに湿潤アルミナスラリーを使用したこと以外は以上と類似の手順を使用した。アルミナスラリーは、294部の脱イオン水、21部のACRYSOL(登録商標)ASE−60増粘剤(Rohm & Haas(Philadelphia,Pennsylvania)から入手可能)、25部の95%水性溶液のアミノメチルプロパノール、および7部の酸化アルミニウム(120#グリット)からなるものであった。
【0091】
データを表4にまとめる。
【0092】
【表4】

【0093】
表6に示されるように、クリアコート2〜5はすべて、劣った対照と対比して湿潤耐擦傷性の有意な改良を示した。対照の乾燥耐擦傷性は、許容しうるものであったが、クリアコート5で示されるようにさらに改良可能であった。
【0094】
対照クリアコート6およびクリアコート7〜10の作製
エポキシ−酸系クリアコート(DuPont(Wilmington,Delaware)から市販されているKino 1200thクリアコート、RK−8139)をAROMATIC(登録商標)100とDBE二塩基酸エステル混合物との10%wtの1/1混合物で希釈し、対照クリアとして使用した。このエポキシ−酸対照クリアに自己組織化シリカ縮合物を添加し、表5中に記載の透明組成物を作製した。表5中の量はすべて、グラム単位である。
【0095】
【表5】

【0096】
以上の各クリアコーティングは、以上のコーティング実施例に記載されるように電着コートおよびプライマーサーフェーサーの各層ですでに被覆された鋼製基材上に水性黒色ベースコート(TW710ブラックのDupontコードでDuPontから市販されている)を被覆した個別の鋼製パネル上に、約50ミクロンのコーティング厚さになるようにハンドスプレーした。
【0097】
ベースコートおよびクリアコートは、コーティング実施例Aに記載の手順に従って適用して焼き付けた。
【0098】
サンプルはすべて、コーティング実施例Aに記載の方法によりクロックメーター乾燥・湿潤耐擦傷性に関して試験した。
【0099】
データを表6にまとめる。
【0100】
【表6】

【0101】
クリアコート実施例7〜10はすべて、光沢の有意な減少もヘイズの有意な増加も伴うことなく、対照クリアコート6と対比してクロックメーター乾燥・湿潤耐擦傷性の有意な改良を示した。
【0102】
自己組織化シリカ縮合物の安定性
本開示の種々の実施形態の安定性を実証するために、いくつかの実施例および比較例を予備形成した。
【0103】
比較シリケート縮合物Aの調製
40グラムのテトラエチルオルトシリケート、6.6グラムの脱イオン水、および0.36グラムのドデシルベンゼンスルホン酸を、撹拌しながらフラスコに添加した。透明溶液が形成されるまで、混合物を数分間撹拌した。次に、混合物を60℃で15時間撹拌した。白色沈殿が形成された。
【0104】
この実施例は、テトラアルキルオルトシリケートの加水分解の結果として分散混合物ではなく沈殿物が形成されることを示している。シロキサンまたはシリケートの構造ユニット(Si−O−Si−O−)の成長は、中鎖状〜長鎖状トリアルコキシシランなしでは無制限になるであろうと考えられる。この無制限の成長は、最終的には、無限大のMwおよび溶液からの沈殿をもたらすであろう。
【0105】
比較シラン/シリケート縮合物Bの調製
6.5グラムのメチルトリメトキシシラン、40グラムのテトラエチルオルトシリケート、8.3グラムの脱イオン水、および0.36グラムのドデシルベンゼンスルホン酸を、撹拌しながらフラスコに添加した。透明溶液が形成されるまで、混合物を数分間撹拌した。次に、混合物を60℃で15時間撹拌し、次に、室温に冷却した。混合物を室温で2週間貯蔵したところ、ゲルの形成が認められた。
【0106】
この実施例は、トリアルコキシシランの鎖長の選択が重要であることを示している。この場合、トリアルコキシシランのアルキル基はメチル基であり、反応生成物は、2週間後、許容できないゲルを形成する。
【0107】
自己組織化シリカ縮合物9の調製
6.8グラムのIPA−ST、40グラムのテトラエチルオルトシリケート、8.3グラムの脱イオン水、および0.36グラムのドデシルベンゼンスルホン酸を、撹拌しながらフラスコに添加した。透明溶液が形成されるまで、混合物を数分間撹拌した。次に、混合物を60℃で15時間撹拌し、次に、室温に冷却した。青色ティントを有する透明溶液が形成され、室温で少なくとも2週間安定であることが判明した。
【0108】
自己組織化シリカ縮合物10の調製
30グラムのプロピルトリメトキシシラン、19.1グラムのテトラエチルオルトシリケート、8.3グラムの脱イオン水、および0.36グラムのドデシルベンゼンスルホン酸を、撹拌しながらフラスコに添加した。透明溶液が形成されるまで、混合物を数分間撹拌した。次に、混合物を60℃で15時間撹拌し、次に、室温に冷却した。無色透明溶液が形成され、室温で少なくとも2週間安定であることが判明した。
【0109】
自己組織化シリカ縮合物11の調製
30グラムのプロピルトリメトキシシラン、19.1グラムのテトラエチルオルトシリケート、8.3グラムの脱イオン水、および0.36グラムのドデシルベンゼンスルホン酸を、撹拌しながらフラスコに添加した。透明溶液が形成されるまで、混合物を数分間撹拌した。次に、混合物を60℃で15時間撹拌し、次に、室温に冷却した。1.2グラムのトリメチルオルトアセテートを添加したところ、無色透明溶液は、室温で少なくとも4週間安定であることが判明した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
A)自己組織化シリカ縮合物とB)皮膜形成性バインダーとを含む、コーティング組成物。
【請求項2】
前記皮膜形成性バインダーが架橋性成分と架橋成分とを含み、前記架橋性成分が、1個以上のヒドロキシル基、アミン基、エポキシ基、カルボン酸基、アンヒドリド基、アスパルテート基、アセトアセテート基、オルトエステル基、チオール基を含む、化合物、オリゴマー、および/もしくはポリマーであり、かつ前記架橋成分が、1個以上のカルボン酸基、アンヒドリド基、イソシアネート基、ブロック化イソシアネート基を含む、化合物、オリゴマー、および/もしくはポリマーであるか、または前記架橋成分がメラミン樹脂であるか、または前記架橋成分がそれらの組合せを含む、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項3】
前記自己組織化シリカ縮合物が、中鎖状〜長鎖状トリアルコキシシランを含む反応混合物の加水分解により形成される、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項4】
前記中鎖状〜長鎖状トリアルコキシシランが、式(1):
(RO)3−Si−R1 (1)
〔式中、各Rは、独立して、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基であり、かつR1は、3〜20個の炭素原子を含む有機基である〕
で示される構造を有する、請求項3に記載のコーティング組成物。
【請求項5】
前記反応混合物がテトラアルコキシオルトシリケートをさらに含む、請求項3に記載のコーティング組成物。
【請求項6】
前記反応混合物がシラン官能性ポリマーをさらに含む、請求項3に記載のコーティング組成物。
【請求項7】
前記自己組織化シリカ縮合物が、中鎖状〜長鎖状トリアルコキシシランと、コロイドシリカと、場合によりテトラアルコキシオルトシリケートおよび/またはシラン官能性ポリマーから本質的になる反応混合物の加水分解により形成される、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項8】
前記中鎖状〜長鎖状トリアルコキシシランが、式(1)で示される少なくとも2種の化合物の混合物を含み、前記混合物が、R1がアルキル基である少なくとも1種の中鎖状〜長鎖状トリアルコキシシランと、R1が官能基で置換されている少なくとも1種の中鎖状〜長鎖状トリアルコキシシランとを含む、請求項4に記載のコーティング組成物。
【請求項9】
1がアルキル基である前記中鎖状〜長鎖状トリアルコキシシランが、プロピルトリアルコキシシランであり、かつR1が官能基で置換されている前記中鎖状〜長鎖状トリアルコキシシランの官能基が、エポキシ官能基である、請求項8に記載のコーティング組成物。
【請求項10】
前記皮膜形成性バインダーが架橋性成分と架橋成分とを含み、前記架橋性成分が、エポキシ官能基を含有する、化合物、オリゴマー、および/またはポリマーであり、かつ前記架橋成分が、カルボン酸基を含有する、化合物、オリゴマー、および/またはポリマーである、請求項2に記載のコーティング組成物。
【請求項11】
A)自己組織化シリカ縮合物とB)皮膜形成性バインダーとを含む少なくとも1層のコーティング組成物層を含む、被覆基材。
【請求項12】
前記皮膜形成性バインダーが架橋性成分と架橋成分とを含み、前記架橋性成分が、1個以上のヒドロキシル基、アミン基、エポキシ基、カルボン酸基、アンヒドリド基、アスパルテート基、アセトアセテート基、オルトエステル基、チオール基を含む、化合物、オリゴマー、および/もしくはポリマーであり、かつ前記架橋成分が、1個以上のカルボン酸基、アンヒドリド基、イソシアネート基、ブロック化イソシアネート基を含む、化合物、オリゴマー、および/もしくはポリマーであるか、または前記架橋成分がメラミン樹脂であるか、または前記架橋成分がそれらの組合せを含む、請求項11に記載の被覆基材。
【請求項13】
前記自己組織化シリカ縮合物が、中鎖状〜長鎖状トリアルコキシシランを含む混合物の加水分解により形成される、請求項11に記載の被覆基材。
【請求項14】
前記中鎖状〜長鎖状トリアルコキシシランが、式(1):
(RO)3−Si−R1 (1)
〔式中、各Rは、独立して、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基であり、かつR1は、3〜20個の炭素原子を含む有機基である〕
で示される構造を有する、請求項13に記載の被覆基材。
【請求項15】
基材上にコーティング組成物層を作製する方法であって、以下の工程、すなわち、
a.前記基材にコーティング組成物を適用する工程であって、前記コーティング組成物は自己組織化シリカ縮合物と皮膜形成性バインダーとを含む工程、および
b.適用されたコーティング組成物を硬化させる工程、
を含む、方法。

【公表番号】特表2012−511079(P2012−511079A)
【公表日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−539530(P2011−539530)
【出願日】平成21年7月28日(2009.7.28)
【国際出願番号】PCT/US2009/051940
【国際公開番号】WO2010/065169
【国際公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】