説明

自己調整式の高圧管継手

雄の密封要素5を備える結合要素1が、本明細書において開示される。雄の密封要素は、第1端部7、第2端部9、ならびに第1端部と第2端部の間に延在する縦軸を備える。結合要素は、ナット3の内部に収容される。一態様において、雄の密封要素は概ね円筒状の形状を有する。また、雄の密封要素1は、それを介して流体輸送用の流体通路を画定する。雄の密封要素は、ナットの空洞内に配置されたフェルール13に固定される。雄の密封要素の第1端部は、円錐状の密封面を画定する。一態様において、雄の円錐状の密封面17は、ほぼ相補的な円錐状の形状によって画定される差込口を有する雌の密封要素23と嵌合する。この態様において、雄の円錐状の密封面は、相補的な円錐状の雌の密封要素と比較すると不一致な角度を有する。結合要素はまた、保持リングとナットの空洞内に配置されたフェルールとの間に配設された付勢要素19を有する。この付勢要素は、雄の密封要素と雌の密封要素の間における液密な金属対金属(もしくは金属対プラスチック、またはプラスチック対プラスチック)の密封を容易にする。
【その他】 本願に係る特許出願人の国際段階での記載住所は「アメリカ合衆国、マサチユーセツツ・01757、ミルフオード、メープル・ストリート・34」ですが、識別番号504187179を付与された国内書面に記載の住所が適正な住所表記であります。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2004年3月2日に出願された米国仮特許出願第60/549183号の優先権を主張する。これらの出願の内容は、本明細書に援用する。
【0002】
本発明は、一般に管組立体用の接合具に関し、より具体的には、高圧密封を形成するための自己調整式の高圧管継手に関する。
【背景技術】
【0003】
高圧系は、分析実験室において、たとえば特定の化合物の分離および特性決定に一般的に利用されている。高圧系に対する需要は絶えず存在するため、高圧密封に対する需要もそれに伴う。
【0004】
現在、高性能な液体クロマトグラフィなどの高圧系においては、圧縮フェルールが流体管接合具において使用されている。これらの圧縮フェルールは、一体型または二分割型の管継手と協動する比較的小型の構造である。これらの装置は、2本の流体管が互いに接合する、または流体管が流体マニホールドや弁などの構成要素に連結する精巧な管接続口を、精密に機械加工することを必要とする。これらの流体連結の数が増加するにつれて、機械加工する部品の結果的なコストおよび生産用具のコストも増大する。
【0005】
使用頻度によっては、高圧系は流体連結部にきわめて大きな応力を及ぼすことがある。連結位置で形成された密封は、この応力により劣化し始めることがある。
【0006】
現行の管継手は、管端部に隣接する円錐状のフェルールおよび圧縮ナットを備える。嵌合部品は、螺刻されかつ円錐状に機械加工された溝部を受流口に有し、この溝部は管端部の圧縮ナットおよびフェルールと協動して密封をもたらす。圧縮ナットは、機械加工された管接続口のねじ山に締結されるとき、フェルールを前方に送り込む。この前方への動きによって、円錐状のフェルール端部が円錐状の溝部に対して押圧され、それによってフェルールの先端部は、管の周囲で緊密に嵌合するまで寸法が縮小するようになる。密封は、管接続口の円錐部によってフェルールが圧縮変形すること、および管の外面によってフェルールが圧縮変形することによって達成される。現在のクロマトグラフィシステムの圧力は、現行の管継手が耐えるよう設計された圧力よりも高くなりつつある。密封を達成するために必要とされる変形がより大きくなる結果、密封の信頼性が低下する。
【0007】
現行の管継手は、組み立てられたときに、クロマト分離の質に不利となる特性を有することがある。管の先端部と管接続口の底部の間に、空洞が残存する可能性がある。この空洞は、流体を滞留させることになり、クロマト分離の間に流体種の不要な混合を生じることがある。この空洞の最小化は、フェルールが管に接近する際の管継手を組み立てる者の技能に依存する。圧縮ナットがフェルールに対して締結されるときに管が管接続口内に緊密に保持される場合、先端部の間隙を閉塞するためにフェルールが管に対して圧潰する一方で、管は前方に押圧されることになる。
【0008】
現行の管継手は、死容積の問題により、多くの場合、一度取り付けると異なる管接続口の間で交換することができない。フェルールが第1の組立体において管上で圧縮されるとき、フェルールから管の先端までの距離はその管接続口に固有のものとなる。管および管継手を除去し、異なる管接続口で使用する場合、管の先端に空間が残存することがある。これは、混合してはならない流体を管が輸送するときには、クロマトグラフィに不利な影響を及ぼすことがある。
【0009】
上述の問題の軽減を試みる高圧密封組立体が存在する。たとえば、管の球状の遠端部と受容面の間の接触界面において密封が形成される、高圧管の取付組立体が開示されている。球状の遠部は、加えられる軸方向力が大きくなるにつれて、受容面の形状により類似して変形すると考えられている。しかしながら実際には、加えられる軸方向力が大きくなるにつれて球状の遠部は変形するが、受容面に明確に適合する(compliment)するような形式では変形しない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
現在のクロマトグラフィシステムでは、圧力は増大し、内部の流体体積は減少しつつある。したがって、現行の管継手の信頼性および密封特性は、問題となりつつある。現行の管継手は、密封する流体経路の直径よりもいずれも比較的大きい、2つの密封面を有している。これらの密封面は、管の先端および管接続口の開口部から離隔しており、そのため流体の「死容積」を生じる可能性がある。圧力が上昇するにつれて、圧力ナットの力と、その結果として生じるフェルールおよび関連部品の変形は過剰なものとなる。システム内部の流体体積が小さくなるにつれて、管継手の死容積および特に組立工の技能による影響度は、クロマトグラフィの質に対する主要な障害となる。
【0011】
受容要素に適合し、それによって最適な流体の完全性(integrity)で高圧密封を形成するような形式で、軸方向の圧力下で変形する高圧管継手組立体を備える動向が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、高圧シール内で使用するための、軸方向の変位が可能な結合要素に関する。この結合要素は、軸方向の圧縮下で液密な密封を形成する。
【0013】
雄の密封要素を備える結合要素が、本明細書において開示される。雄の密封要素は、第1端部、第2端部、ならびに第1端部と第2端部の間に延在する縦軸を備える。結合要素は、ナットの内部に収容される。一態様において、雄の密封要素は概ね円筒状の形状を有する。また、雄の密封要素は、それを介して流体輸送用の流体通路を画定する。雄の密封要素は、ナットの空洞内に配置されたフェルールに固定される。雄の密封要素の第1端部は、円錐状の密封面を画定する。一態様において、雄の円錐状の密封面は、ほぼ相補的な円錐状の形状によって画定される差込口を有する雌の密封要素と嵌合する。この態様において、雄の円錐状の密封面は、相補的な円錐状の雌の密封要素と比較すると不一致な角度を有する。結合要素はまた、保持リングとナットの空洞内に配置されたフェルールとの間に配設された付勢要素を有する。この付勢要素は、雄の密封要素と雌の密封要素の間における液密な金属対金属(もしくは金属対プラスチック、またはプラスチック対プラスチック)の密封を容易にする。
【0014】
高圧密封を形成する方法が本明細書に開示される。本発明の雄の密封要素には、軸方向の圧縮力を加えることができる。この圧縮力によって、雄の密封要素は雌の密封要素に向かって移動する。一態様において、雄の密封要素は円錐状の密封表面を画定する第1端部を有する。この態様において、雌の密封要素は相補的な円錐状の形状を画定する差込口を有する。この態様における雄の円錐状表面と雌の密封要素の間には、不一致の角度がある。軸方向の圧縮力が加えられたとき、雄の第1端部の円錐状表面が変形し、それによって液密な密封が実現する。
【0015】
本発明のその他の目的およびさらなる目的と共に本発明をより理解するために、添付の図面および詳細な説明を参照し、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲で示すことにする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明は、高圧シール内で使用するための、軸方向の変位が可能な結合要素に関する。この結合要素は、軸方向の圧縮下で液密な密封を形成する。
【0017】
本発明の結合要素は、可能な限り小型でかつ緊密となるように流体経路の外径のすぐ外側で密封を形成する。これによって、死容積が排除され、密封力が最小化される。密封力は事前に取り付けられたばねの撓みによってもたらされるので、結合要素が組立誤差(make−up error)の影響、または管接続口の間における密封の変動の影響を受けることがない。また、嵌合力が事前設定されることにより、過度な締め付けが原因で変形することもなくなる。
【0018】
雄の密封要素5を備える結合要素1が、本明細書において開示される。図1を参照する。雄の密封要素5は、第1端部7、第2端部9、ならびに第1端部7と第2端部9の間に延在する縦軸を備える。結合要素5は、ナット3の内部に収容される。一態様において、雄の密封要素5は概ね円筒状の形状を有する。また、雄の密封要素5は、それを介して流体輸送用の流体通路を画定する。雄の密封要素5は、ナット3の遠部の空洞15内部に配置されたフェルール13に固定される。雄の密封要素5の第1端部7は、円錐状の密封面17を画定する。一態様において、円錐状の密封面17は、ナットハウジング33の近部を越えて延出または突出する。この延出は公称で約0.030インチ(0.762mm)である。他の態様において、雄の円錐状の密封面17は、ほぼ相補的な円錐状の形状によって画定される差込口25を有する雌の密封要素23と嵌合する。図2Aを参照する。一態様において、雄の円錐状の密封面17は、相補的な円錐状の雌の密封要素23と比較すると不一致な角度を有する。結合要素1はまた、保持リング21とナットの空洞15の内部に配置されたフェルール13との間に配設された一対の付勢要素19を有する。図1を参照する。付勢要素19は、雄の密封要素5と雌の密封要素23の間で液密な金属対金属の密封を容易にする。
【0019】
本発明に適した材料には、限定はしないが、ステンレス鋼、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、ポリフェニレンサルファイド、セラミック、ポリアミド、ポリオレフィンなどがある。本発明では材料の組合わせを使用することができる。たとえば、雄の要素5はステンレス鋼を含むことができ、雌の要素23はポリフェニレンサルファイドなどの高分子材料を含むことができる。もちろん、その逆も同様に当てはまる。
【0020】
一実施形態において、結合要素1は、約0.5インチ(1.270cm)から約0.7インチ(1.778cm)の範囲の縦軸を有する。本明細書において縦軸は、雄の要素5の頂端面(apical surface)17の先端からナットハウジング33の遠部の終端部までの距離として定義されている。雄の密封要素の一般的な直径は、約0.031インチ(0.0787cm)から約0.094インチ(0.2388cm)の範囲である。一態様において、雄の要素5の近部は、たとえば、幾何学的形状が円錐形表面を画定する際に直径が変化する円錐状表面を形成して先細りする。雄の要素5に適した材料には、限定はしないが、ステンレス鋼、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、ポリフェニレンサルファイド、セラミック、ポリアミド、ポリオレフィンなどがある。雄の要素5の頂端部は、残りの雄の要素と異なる材料を有することができる。たとえば、雄の先端部は、テフロン(登録商標)膜などの、密封を向上させる被覆を有することができる。
【0021】
ナット3はナットハウジング33によって画定される。ナットハウジング33は、雄の要素5の一部を概ね囲繞する。一態様において、ナットハウジング33の外面の一部は、10/32またはM4螺子などの螺子によって画定される。ナットハウジング33の全体的な表面形状は、従来技術のものでかつ当業者に知られているものに従うことができる。一態様において、ナットハウジング33の遠部表面29からナットハウジング33の近部表面31までの長さは、約0.5インチ(1.27cm)から約0.7インチ(1.78cm)の範囲である。ナット3の直径は、遠部表面29から近部表面31へ視点(perspective)を移動させるにつれて変化する。一般に、ナットハウジング33の直径は雄の要素5よりも大きい。一態様において、雄の要素5は、約0.031インチ(0.0787cm)から約0.094インチ(0.2388cm)の範囲の直径を有する。雄の要素5の円錐状の先端部17と要素5の残りの部分との間における直径の比は、約4対1である。ナットハウジング33に適した材料には、限定はしないが、ステンレス鋼、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、ポリフェニレンサルファイド、セラミック、ポリアミド、ポリオレフィンなどがある。
【0022】
ナット3はまた、ナット3の遠部に向かって空洞15を画定する。空洞15には、保持リング21、付勢要素19、およびフェルール13が内在している。保持リング21は、ナット3内のその他の要素の整合性を維持するのに役立つ。保持リング21はまた、軸方向力が加えられているときに付勢要素19が対抗して付勢される表面を提供する。一態様において、この力は、図2Aに示す雌の密封要素23などの差込口にナット3が螺入されたときに加えられる。保持リング21は、ナットの空洞15内部の円周に配設される。一態様において、保持リング21は、ナットハウジング33によって画定される溝部内に配設される。保持リング21は、ステンレス鋼ならびにその他の適切な材料を含むことができる。
【0023】
付勢要素19は、保持リング21に隣接して配設される。一態様において、付勢要素19は圧縮ばねを含む。特定の態様において、付勢要素19は、連続した2つの皿ばねを含む。この態様において、皿ばねは公称で約0.008インチ(0.0203cm)圧縮される。付勢要素のその他の例には、限定はしないが、波形ばね座金、エラストマー座金(elastomer washer)などがある。保持リング21の反対側には、付勢要素19がフェルール13に隣接して配設される。一態様において、軸方向力が加えられたとき、付勢要素19は保持リング21とフェルール13の間で付勢される。付勢要素19に適した材料には、限定はしないが、ステンレス鋼、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、被覆鋼板などがある。
【0024】
フェルール13はナットの空洞15の内部にある。一態様において、フェルール13は雄の要素5に物理的に取り付けられている。この取付は、溶接、抵抗溶接、電子ビーム溶接、レーザー溶接、ろう付けなど、当業者に知られるあらゆる方法で達成することができる。フェルール13は、その遠部表面上で付勢要素19に隣接して配設される。静止位置において、すなわち軸方向力が加えられていなければ、空洞空間27によって、フェルール13の近部表面はナットハウジング33の縁部から分離される。軸方向力が加えられるとき、(空洞15と連続する)この空洞空間27は、ナットハウジング33の縁部がフェルール13の近部表面(雄の要素5の円錐状の先端部17に向かって配設された表面)に接近するにつれて、小さくなる。フェルール13に適した材料には、限定はしないが、ステンレス鋼、鋼、および強化ポリフェニレンスルフィド(PPS)または強化ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの高分子材料がある。
【0025】
図2Aおよび図2Bは、本発明(図2A)を従来技術における通常の結合システム(図2B)と比較したものである。特に、図2Aは本発明の結合要素1と雌の密封要素23の間の嵌合を示す。雄の密封要素5は、頂端面17が円錐状の形状によって画定される第1端部7を有する。雌の密封要素23の受容要素、すなわち差込口25は、相補的な円錐状の形状を有する。この相補的な設計によって、雄の密封要素5と雌の密封要素23の間における液密な密封が容易となる。また、この設計によって、雌の要素23に対する雄の要素5の心出しが促進される。
【0026】
軸方向の圧縮が加えられるとき、雄の要素5は、雌の要素23、具体的には雌の差込口25に向かって移動される。加えられる力が増大すると、雄の要素5の第1端部7の頂端部分が(図2Aで矢印によって示すように)変形して、雄の要素5と雌の要素23の間で表面間の密封がもたらされる。
【0027】
密封の接合部において関与する要素をより詳しく調べると、雄の要素5の円錐状の頂端面17と雌の要素23の差込口25の間に、角度の不一致があることが明らかとなる。図3を参照する。一態様において、この不一致の角度は1度から2度である。この喰い違いによって機能的な利点がもたらされる。軸方向力が雌の密封要素25の方向に雄の密封要素へと加えられるとき、雄の要素17の円錐状の先端部における喰い違い部分が変形し、雌の密封要素25との金属対金属の接触がなされる。この喰い違いを有することによって、雄の要素と雌の要素の間で接触力が増大して、液密な密封がなされる。
【0028】
図2Aおよび図2Bに戻ると、本発明の結合システム(図2A)が、従来技術の通常の結合システムと対比されている。既に説明したように、本発明の結合システムは、雌の密封要素23と連結する雄の密封要素5を備える。雄の要素5の第1端部7の頂端部分17は、円錐状の形状によって画定される。雌の差込口25は、雄の要素5を受容し、相補的な円錐状の形状によって画定される。図3に示すように、雄の頂端部分17の角度と雌の差込口25の角度は不一致であり、このようにして雄の要素5と雌の要素23の間のより強い接触を容易にする。
【0029】
図2Bは、従来技術において見受けられる通常の結合システムを示す。この結合システムには、雌の要素23’によって受容される雄の要素5’がある。軸方向力が雄の要素5’に加えられるとき、この要素5’は雌の要素23’の雌の差込口25’内に送り込まれる。変形は、雄の要素5’の頂端部分において発生する。しかしながら、図2Bに示すように、雄の要素5’の頂端部分は球状であり、したがって本発明と比較すると、雄の要素5’と雌の要素23’の間でなされる接触は不十分なものである。さらに、雄の要素5’と雌の要素23’の間に角度の不一致がなく、したがって作用する接触力はさらに不十分なものとなる。さらに、雄の要素5’の形状が球状であることにより、雄の要素5’が雌の要素23’に対して心出しされる見込みは、本発明と比較するとより低くなる。図2Bに示す結合システムは、高圧下での密封には十分には適していない。
【0030】
高圧密封を形成する方法が本明細書に開示される。本発明の雄の密封要素には、軸方向の圧縮力を加えることができる。この圧縮力によって、雄の密封要素は雌の密封要素に向かって移動する。一態様において、雄の密封要素は円錐状の密封表面を画定する第1端部を有する。この態様において、雌の密封要素はほぼ相補的な円錐状の形状を画定する。この態様における雄の円錐状表面と雌の密封要素の間には、不一致の角度がある。軸方向の圧縮力が加えられたとき、雄の第1端部の円錐状表面が変形し、それによって液密な密封が実現する。
【0031】
雄の要素に軸方向力が加えられたとき、第1端部の頂端部分は、雌の要素内にある円錐状の雌の差込口と協動して弾性的に変形する。密封を向上させるために、軸方向力が増大され、それによって密封圧力と密封領域の双方が増大する。さらに、密封表面はほぼ嵌合する円錐状であるという事実により、密封部材間における垂直軸方向の心のずれを許容する、結合の機能が向上する。
【0032】
雌の差込口に押圧される雄(円錐状)の要素は、自動調心する傾向がある。これによって、その他の結合形式では心のずれ(直線的な喰い違いまたは角度の喰い違い)が密封を妨げたり、流れの遮断を生じたりする程度のものであるときにも、密封が形成されることになる。
【0033】
液密な密封を確実にするために、相対的な軸方向力は、約50ポンド(2.268kg)から約65ポンド(2.948kg)の範囲内であることが必要である。接触界面における表面積が小さいと仮定すると、軸方向力はその小さな表面積に集中し、約40,000psi(275.6MPa)から約50,000psi(344.6MPa)の範囲で密封圧力を生成する。
【0034】
本発明の利点の一部には、限定はしないが、雄と雌の要素をくさび迫めすることによって密封圧力が増加すること、圧力の増加に伴って密封面積が増大すること、雄の要素が雌の差込口に挿入されるときに中心に向かう(自動調心する)ことができ、この心合わせによって、雄および雌の要素が正しく心出しされていないことが原因で流れが遮断されることが回避可能であること、ならびに製造の誤差により心合わせされていない部品が収容可能であることがある。
【0035】
本発明は様々な実施形態に関して説明したが、添付の特許請求の範囲の精神および範囲から逸脱することなく様々なさらなる実施形態およびその他の実施形態が本発明からさらに可能となることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一実施形態の概略図である。
【図2A】本発明の実施形態の図である。
【図2B】従来技術における通常の結合システムの図である。
【図3】本発明の雄の要素と雌の要素の間に形成された不一致な角度を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
雄の密封要素と付勢要素とを備え、
前記雄の密封要素が、第1端部と、第2端部と、前記第1端部と前記第2端部の間で延在する縦軸とを有し、前記雄の密封要素が概ね円筒状の形状を有し、前記雄の密封要素が、流体を輸送するための、それを介した流体経路を画定し、前記雄の密封要素がフェルールに摺動可能に結合され、前記第1端部が円錐状の密封表面を画定し、前記円錐状の密封表面が、雌の密封要素に対して不一致な角度を有し、前記雌の密封要素が、相補的な円錐状の形状を画定し、
前記付勢要素が、前記第1端部と前記雌の密封要素の間に液密な密封を形成するのに十分な付勢力で、前記第1端部を付勢し、前記雌の密封要素に直接当接して接触させるために、保持リングとフェルールの間に配設された、結合要素。
【請求項2】
前記不一致な角度が約1度から約2度である請求項1に記載の結合要素。
【請求項3】
前記雄の密封要素が、雌の密封要素と嵌合されたときに金属対金属の液密な密封を形成する請求項1に記載の結合要素。
【請求項4】
前記雄の密封要素の第1端部が、前記雌の密封要素と嵌合されたときに変形する請求項3に記載の結合要素。
【請求項5】
前記雄の密封要素が、前記雌の密封要素と嵌合されたときに中心に配置される請求項3に記載の結合要素。
【請求項6】
前記付勢要素が圧縮ばねを備える請求項1に記載の結合要素。
【請求項7】
前記圧縮ばねが皿ばねである請求項6に記載の結合要素。
【請求項8】
前記雄の密封要素が金属を含む請求項1に記載の結合要素。
【請求項9】
前記金属がステンレス鋼である請求項8に記載の結合要素。
【請求項10】
雄の密閉要素と、付勢要素とを提供するステップであって、
前記雄の密閉要素が、第1端部と、第2端部と、前記第1端部と前記第2端部の間で延在する縦軸とを有し、前記雄の密封要素が概ね円筒状の形状を有し、前記雄の密封要素が、流体を輸送するための、それを介した流体経路を画定し、前記雄の密封要素がフェルールに摺動可能に結合され、前記第1端部が円錐状の密封表面を画定し、前記円錐状の密封表面が、雌の密封要素に対して不一致な角度を有し、前記雌の密封要素が、相補的な円錐状の形状を画定し、
前記付勢要素が、前記第1端部と前記雌の密封要素の間に液密な密封を形成するのに十分な付勢力で、前記第1端部を付勢し、前記雌の密封要素に直接当接して接触させるために、保持リングと前記フェルールの間に配設される、前記提供するステップと、
液密な高圧密封を形成するのに十分な圧縮力を、雄の密封要素の軸方向に、前記雌の密封要素に向かって加えるステップとを備える、液密な高圧を生成する方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−526429(P2007−526429A)
【公表日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−501945(P2007−501945)
【出願日】平成17年3月2日(2005.3.2)
【国際出願番号】PCT/US2005/006755
【国際公開番号】WO2005/084337
【国際公開日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【出願人】(504187179)ウオーターズ・インベストメンツ・リミテツド (4)
【Fターム(参考)】